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主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。理由 上告代理人東中光雄、同宇賀神直、同東垣内清の上告理由一の1、2、3について。原判決は、訴外Dは昭和二〇年一月ないし翌二一年一月頃被上告人先代Eから本件建物(一)を賃借し、そこに居住してシヤツ製造業に従事していたが、その後附近に家屋を新築し、そこに移住して家業を営み、右営業を会社組織にしてF株式会社を設立してその代表取締役となり、昭和三〇年頃以前から本件建物(一)の二階を右会社の従業員であるGに、またその階下を同Hに、それぞれ使用させるに至つたこと、Iはその妻と二人で右建物(一)の二階を使用して生活し、Hはその妻子と三名で右建物(一)の階下を使用して生活し、右各使用はいずれも独立の用益者たる地位を取得する程度のものであつたこと、右のようにI、Hに使用させるについて訴外Dにおいて被上告人先代Eまたはその代理人から明示もしくは黙示の承諾を得た事実はなかつたことを認定したうえ、訴外Dは賃貸人に無断でI、Hにそれぞれ賃借物を転貸したものであり、右無断転貸について賃借人の背信行為と認められないような特殊事情はないものであると判示している。右認定判示は、原判決挙示の証拠関係に徴してすべて肯認できる。従つて、右無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除を有効とした原審の判断に、民法六一二条の解釈適用の誤りはない。所論は、いずれも原審の正当な右事実認定に反することを前提とするものであつて、採用できない。同一の4について。原判決は、上告人A1は昭和一四年三月頃被上告人先代Eから本件建物(二)を- 1 -賃借し、それ以来そこに居住して洋服仕立業を営んでいたが、昭和三四年一一月頃附近に家屋を新築し、そこへ妻子を伴つて移住して家業を 人A1は昭和一四年三月頃被上告人先代Eから本件建物(二)を- 1 -賃借し、それ以来そこに居住して洋服仕立業を営んでいたが、昭和三四年一一月頃附近に家屋を新築し、そこへ妻子を伴つて移住して家業を営み、右一一月頃以降本件建物(二)を同上告人の娘婿で同上告人の下に右業務に従事している上告人A2に使用させるに至つたこと、A2はその妻子三名と右建物に居住し、そこで生活し、右使用は独立の用益者たる地位を取得する程度のもので単に上告人A1の占有補助者に過ぎないものではないこと、右のように上告人A2に使用させるについて上告人A1においてEまたはその代理人の明示もしくは黙示の承諾を得た事実はなかつたことを認定したうえ、右が賃借人A1の無断転貸行為にあたるとし、右無断転貸について賃借人の背信行為と認められないような特殊事情はないものであると判示している。 住し、そこで生活し、右使用は独立の用益者たる地位を取得する程度のもので単に上告人A1の占有補助者に過ぎないものではないこと、右のように上告人A2に使用させるについて上告人A1においてEまたはその代理人の明示もしくは黙示の承諾を得た事実はなかつたことを認定したうえ、右が賃借人A1の無断転貸行為にあたるとし、右無断転貸について賃借人の背信行為と認められないような特殊事情はないものであると判示している。右認定判示は、原判決挙示の証拠関係に徴してすべて肯認できる。従つて、右無断転貸を理由とする本件建物(二)についての賃貸借契約解除を有効とした原審の判断に違法はない。所論は、ひつきよう原審の認定にそわないことを前提とするものであつて、採用できない。同二について。本件無断転貸が賃借人の背信行為とはいえない旨を主張する所論は、原審の認定に反することをいうものであつて右主張を前提とする所論は採用の余地がない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官奥野健一裁判官草鹿浅之介裁判官城戸芳彦裁判官石田和外- 2 - 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外
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