平成27(行ウ)205 固定資産評価審査決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年9月14日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文28,240 文字)

- 1 -平成29年9月14日判決言渡平成27年(行ウ)第205号固定資産評価審査決定取消請求事件 主文 1 裁決行政庁が,原告に対し,平成26年10月9日付けでした審査決定(24東固審委申第90号の7)を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,別紙1物件目録記載の各土地(以下「本件各土地」という。)を所有してホテルを営業する原告が,東京都知事から平成24年3月30日付けで平成24年度の本件各土地の固定資産の各価格の決定(以下「本件価格決定」という。)を受け,同日,上記各価格が土地課税台帳に登録されたことから(以下,登録された価格を「本件各登録価格」という。),本件価格決定を不服として同年7月31日に裁決行政庁に対して審査の申出をしたところ,裁決行政庁から,平成26年10月9日付けで審査の申出を棄却する旨の決定(以下「本件審査決定」という。)を受けたことから,本件各登録価格は,建築基準法(平成26年法律第39号による改正前のもの。以下同じ。)57条の2の規定に基づく特例容積率の限度の指定を減価要因として考慮していないために固定資産評価基準(以下「評価基準」という。)によって決定された価格とはいえないとして,裁決行政庁の所属する東京都を被告として,本件審査決定の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め本件に関係する法令の定めは,別紙2「関係法令の定め」記載のとおりであ - 2 -るが(同別紙において定義した略語等は,本文においても用いる。),特例容積率適用地区制度の概要は次のとおりである。 (1) 特例容積率適用地区は,第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第 した略語等は,本文においても用いる。),特例容積率適用地区制度の概要は次のとおりである。 (1) 特例容積率適用地区は,第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域,準住居地域,近隣商業地域,商業地域,準工業地域又は工業地域内の適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において,建築基準法52条1項から9項までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区である(都市計画法9条15項)。 (2)ア都市計画においては,特例容積率適用地区の位置及び区域のみを定めることとされている(都市計画法8条1項2号の3,3項1号。ただし,当該地区における市街地の環境を確保するために必要な場合には建築物の高さの最高限度を定めることができる(同項2号ホ)。)。 その上で,特例容積率適用地区内の2以上の敷地の所有者等は,一人で又は数人が共同して,特定行政庁に対し,当該2以上の敷地(以下「特例敷地」という。)のそれぞれに適用される特別の容積率(特例容積率)の限度の指定を申請することができる(建築基準法57条の2第1項)。特定行政庁は,この申請が同条3項各号の要件に該当すると認めるときは,当該申請に基づき,特例敷地のそれぞれに適用される特例容積率の限度を指定することとされている。この指定は,公告(同条4項)により効力が生ずる(同条5項)。 イ特例敷地の土地所有者等は,その全員の合意により,特例容積率の限度の指定の取消しを特定行政庁に申請することができ(建築基準法57条の3第1項),この申請を受けた特定行政庁において,同条2項の要件を充足していると認める場合に取り消すこととされている。この取消しも公告により効力が 特定行政庁に申請することができ(建築基準法57条の3第1項),この申請を受けた特定行政庁において,同条2項の要件を充足していると認める場合に取り消すこととされている。この取消しも公告により効力が生ずる(同条3項,4項)。 2 前提事実(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。) - 3 -(1) 原告は,別紙1物件目録記載の各土地(本件各土地)を,昭和35年から現在に至るまで所有している。本件各土地の周辺は,都市計画法8条1項1号所定の商業地域と定められており,建築基準法52条に規定する容積率は,10分の130である。 (2) 東京都知事は,平成14年5月29日,本件各土地を含むα・β・γ 地区約116.7haを,都市計画法8条1項2号の3所定の特例容積率適用地区(ただし,平成16年法律第67号による改正前は特例容積率適用区域)に指定した。 東京都知事は,平成20年12月8日,建築基準法57条の2第3項に基づき,本件各土地の特例容積率の限度を10分の114.02に,東京都千代田区β×番1(以下「本件隣接地」という。),同×番2,同×番3,同×番4及び同×番5の特例容積率の限度を10分の150.76に,それぞれ指定した(以下,この指定を「本件容積率限度指定」という。)。 (3) 原告は,平成21年6月30日,三菱地所株式会社(以下「三菱地所」という。)との間で,容積利用権譲渡及び地役権設定契約書と題する契約書を取り交わした(以下,上記契約書による契約を「本件契約」という。)。 本件契約の概要は次のとおりである。(甲5)ア本件契約において,「容積利用権」とは特例容積率制度を活用して移転される未利用容積を利用する権利をいう。(1条1項)イ原告は,三菱地所に対し,本件各土地から本件隣接 ある。(甲5)ア本件契約において,「容積利用権」とは特例容積率制度を活用して移転される未利用容積を利用する権利をいう。(1条1項)イ原告は,三菱地所に対し,本件各土地から本件隣接地に移転される未利用容積に係る容積利用権を譲渡し,三菱地所は,本件隣接地において建物を建築する目的でこれを買い受けた。(1条2項)ウイの容積利用権の対象となる容積対象床面積は1万6683.98㎡(本件各土地の容積率159.8%相当)とする。(1条3項)エイの容積利用権の存続期間は永久とする。(2条1項)オ(ア) 原告は,三菱地所に対し,イの容積利用権の利用開始日に本件各土 - 4 -地を承役地とし,本件隣接地を要役地とする建物建築制限地役権を設定する。(3条1項)(イ) (ア)の地役権の内容は次のとおりとする。(3条2項)目的承役地を要役地に建築する建物に対する建築基準法で定める容積率の算定上,特例敷地として使用し,将来にわたり要役地の特例容積率の確保のため,承役地において,承役地の面積に基準容積率を乗じた面積から要役地に容積移転した1万6683.98㎡を減じた面積を超える建物の建築をしてはならない。 範囲承役地の全部存続期間永久使用対価無償カ(ア) イの容積利用権の譲渡及びオの地役権設定の対価は199億8292万5405円とする。(4条1項)(イ) 三菱地所は,原告に対し,(ア)の対価を3回に分割して支払う。 (4)ア東京都知事は,平成24年3月30日付けで,別紙3課税明細目録記載のとおり,平成24年度の本件各土地の固定資産の各価格を決定し(本件価格決定),東京都千代田都税事務所長は,同日,当該各価格を土地課 東京都知事は,平成24年3月30日付けで,別紙3課税明細目録記載のとおり,平成24年度の本件各土地の固定資産の各価格を決定し(本件価格決定),東京都千代田都税事務所長は,同日,当該各価格を土地課税台帳に登録した。その際,東京都知事は,本件容積率限度指定を減価要因とせずに価格を決定した。 イ本件価格決定における価格の算定根拠は別紙4並びに別表1及び別表2のとおりである。(乙1から乙11まで(枝番を含む。),弁論の全趣旨)(5) 原告は,平成24年7月31日,裁決行政庁に対して,本件価格決定を不服として審査申出をした。これに対し,裁決行政庁は,平成26年10月9日付けで,審査申出を棄却する旨の決定(本件審査決定)をした。 (6) 原告は,平成27年4月6日,本件訴えを提起した。(当裁判所に顕著な - 5 -事実) 3 争点本件の争点は,本件各土地に係る地方税法403条所定の価格の決定に当たり,本件容積率限度指定がされた事実を減価要因として考慮すべきか否かである。 4 争点に関する当事者の主張(1) 被告の主張ア(ア) 土地の容積率は,都市計画によって,基本となる容積率の限度(指定容積率)がまず定められ(都市計画法8条3項2号イ),建築基準法52条2項が対象となる土地の前面道路の幅員に応じて算出される容積率の限度を別途規定していることから,両者を比較したいずれか数値の低い方の容積率が当該土地に係る基準容積率とされる。 容積率には,土地の有効・高度利用を図る観点から,基準容積率を基本として,更にこれを緩和又は規制する様々な特例制度が設けられている。このような特例制度は,根拠法や制度上の違いから,都市計画決定されている場合と建築基準法上の手続による場合とに大別することができる。 (イ れを緩和又は規制する様々な特例制度が設けられている。このような特例制度は,根拠法や制度上の違いから,都市計画決定されている場合と建築基準法上の手続による場合とに大別することができる。 (イ) 被告は,容積率を固定資産評価において考慮するに当たり,評価の基本となるものとして基準容積率を採用し,基準容積率よりも容積率が緩和又は規制されている場合には,当該容積率の限度が都市計画決定されている場合についてのみ考慮の対象とする取扱いとしている。 このような取扱いをしているのは,固定資産評価が,賦課課税方式を前提とし,膨大な数の土地を短期間に評価しなければならないという大量一括評価の特性を有しており,評価に反映することができる価格形成要因にはおのずと限界があるためである。すなわち,土地に対する固定資産税における適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の - 6 -取引価格,すなわち客観的な交換価値をいうと解されるところ,土地の適正な時価の算定は,個々の土地について個別的,具体的に鑑定評価することが最も正確な方法であるが,大量一括評価という固定資産評価の特性を踏まえると,こうした評価を実施することは行政実務上困難といわざるを得ない。そこで,評価基準は,宅地評価の手法として,個別鑑定と同様の方法で標準宅地の適正な時価を算定し,これを基礎として価格形成要因の主要なものに関する補正等を加えて,対象土地の価格を比準評定する市街地宅地評価法を採用している。 そうすると,どのような要因を固定資産評価に反映すべきかが問題となるが,適正な時価が客観的な交換価値を意味することや,固定資産評価が大量一括評価であること,課税の公平性等を踏まえれば,反映すべき要因は客観性を有していることが求められ,個別の主観的,特殊な事情による ,適正な時価が客観的な交換価値を意味することや,固定資産評価が大量一括評価であること,課税の公平性等を踏まえれば,反映すべき要因は客観性を有していることが求められ,個別の主観的,特殊な事情によるものは固定資産評価に反映すべきではない。このような考え方が妥当性を有することは,評価基準が「地上権,借地権等が設定されている土地については,これらの権利が設定されていない土地として評価するものとする。」と定め,全ての土地についてあらゆる権利関係を確定した上で,これを逐一価格に反映させることは行政実務上困難であること等から,このような個別の権利関係等を考慮しない更地主義を採用していることからも裏付けられる。 (ウ) 国及び地方公共団体は,都市計画の適切な遂行に努めるとともに,都市の住民も公的主体の行う措置に協力することが義務付けられている(都市計画法3条)。そのために,都市計画を決定するに当たっては,公聴会の開催,都市計画案の縦覧,意見書の提出等の規定を設け,事前に広く住民の意見を反映し,住民の協力を得ることが求められている(都市計画法16条,17条等)。このような観点からは,容積率の最高限度が都市計画決定されている場合,当該容積率の制限は,都市計画法に - 7 -定められた関係住民の合意形成を図るための一連の適正な手続を経ることによって裏打ちされた客観性,公共性の高い土地利用上の制限といえるのであって,これらの容積率の規制の緩和又は強化に係る制度は,地区の様々な状況に応じて,あらかじめ具体的に目指すべき市街地像を定め,それに向けて敷地,街区単位で容積率を事前かつ詳細に都市計画により定め直すものということができる。そのため,被告は,容積率の限度が都市計画決定されている場合について固定資産評価上考慮することとしている。 街区単位で容積率を事前かつ詳細に都市計画により定め直すものということができる。そのため,被告は,容積率の限度が都市計画決定されている場合について固定資産評価上考慮することとしている。 これに対し,建築基準法上の手続による容積率の規制の緩和又は強化に係る制度は,都市計画で定められた容積率の範囲内で土地所有者等の建築活動の自由を生かしつつ,土地所有者等の申請に基づき,敷地内に一定割合以上の空地を確保するなど,ある特定の要件を満たす場合についてのみ,特定行政庁により一時的に容積率の規制の緩和又は強化が認められるものであって,当該容積率は都市計画により定め直されるものではない。そして,建築基準法上の手続による容積率の規制の緩和又は強化に係る制度を利用して,都市計画で定められた容積率より割増等を申請するか否かの判断は,飽くまで土地所有者等の意思に委ねられており不確実である以上,そのような土地所有者等の主観的,特殊な事情に基づく容積率を前提として評価すべきではなく,都市計画に定められた容積率によって評価すべきである。 イ(ア) アに述べたところを前提に,特例容積率適用地区制度について検討するに,同制度は,都市計画においては対象となる位置及び区域のみを定めるにとどめ,具体的な容積率の移転については私人間の自由意思に委ねているのであって,同制度に基づく移転後の容積率は都市計画によって定め直されるものではない。 また,同制度に基づく容積率の移転は,飽くまで土地所有者等の申 - 8 -請に基づくものであって,特定行政庁は,当該申請が一定の要件を満たす場合に限り,建築基準法の規定に従い容積率の限度を指定しているにすぎず,当該申請の前提は土地所有者間の合意にとどまる。そして,こうした土地所有者間の合意は,通常,私人間の一 申請が一定の要件を満たす場合に限り,建築基準法の規定に従い容積率の限度を指定しているにすぎず,当該申請の前提は土地所有者間の合意にとどまる。そして,こうした土地所有者間の合意は,通常,私人間の一行為として行われる容積率利用権の売買や賃貸を内容とする債権契約や容積率利用権の地役権設定等によって担保されていることからすれば,同制度による特例容積率の限度の指定もまた,評価基準が更地主義により考慮しないこととしている地上権や借地権設定などによる土地利用上の制限と何ら変わるところはないというべきであり,飽くまで土地所有者等の個別の主観的,特殊な事情(合意)によって,ある土地では都市計画を下回る容積率しか使用されておらず,他の土地では都市計画を上回る容積率が使用されているという状況が,特定の条件の下,たまたま実現しているにすぎないというべきである。 (イ) 特例容積率適用地区制度に基づく容積率の移転については,特定行政庁が指定するという形で関与しており,当該容積率を指定するに当たっては,建築基準法57条の2第3項各号の要件該当性が判断されている。しかし,特定行政庁は,飽くまで土地所有者等の申請に基づき,当該容積率の限度を指定しているにすぎず,当該申請は都市計画で定められた容積率を基準に容積率の規制を緩和又は強化することを求めるものであるから,特定行政庁が,都市の健全な発展や秩序の維持に支障を来さないよう,申請内容について同項各号の要件に適合しているか判断し,特例容積率の限度の指定を行うことは当然というべきである。 (ウ) 以上によれば,特例容積率適用地区制度に基づく容積率の制限は,都市計画決定されていない以上,いわば土地所有者間の合意によってもたらされた土地利用上の制限というべきであり,仮に当該特例容積 - 9 - よれば,特例容積率適用地区制度に基づく容積率の制限は,都市計画決定されていない以上,いわば土地所有者間の合意によってもたらされた土地利用上の制限というべきであり,仮に当該特例容積 - 9 -率の限度の指定が将来的な建築物の建替えの際にも維持されることになったとしても,それは飽くまで土地所有者間の合意の内容がそのように設定されたからにとどまる。そうであるとすると,同制度による特例容積率の限度の指定は,飽くまで土地所有者等の個別の主観的,特殊な事情に基づく建築基準法上の手続によるものであり,容積率の限度が都市計画決定されている場合には該当しないから,固定資産評価上考慮すべきではない。 (エ) 本件各土地は,指定容積率1300%の土地であるが,地区計画によって高さが100mに制限されている。しかし,本件各土地周辺の同種制限が課されている土地においては,高さ100mという制限の中で,指定容積率1300%を最大限に活用した建造物の建築が広くなされているのであり,本件各土地においてもそうした建造物を建築することは十分に可能であったといえる。 原告は,その業態がホテル業であったことから,エントランスや宴会場部分の階高を通常より高く設定し,吹き抜けを多用し,あるいはホテルとしての眺望を確保するためにオフィス棟とホテル棟のツインタワー構造とするなど,意匠や構造を優先した結果,近隣の建物と同様に高さ100mの建造物を建築しながら,指定容積率1300%を最大限活用しなかったにすぎない。 また,原告は,結果的に未利用となった容積率について,第三者に譲渡しないことも可能であったにもかかわらず,自らの事情により三菱地所との間で容積率利用権譲渡及び地役権設定契約を締結し,当該契約に基づき,未利用となった159.8%の容積率 積率について,第三者に譲渡しないことも可能であったにもかかわらず,自らの事情により三菱地所との間で容積率利用権譲渡及び地役権設定契約を締結し,当該契約に基づき,未利用となった159.8%の容積率を約200億円で譲渡することによって,移転後の容積率1140.2%の制限を自らに課することになったにすぎない。評価基準が更地主義を採用していることを考慮すれば,飽くまで指定容積率1300%を前提として - 10 -評価すべきである。 (2) 原告の主張ア土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格(当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されたもの。以下同じ。)が評価基準によって決定される価格を上回る場合には,その登録価格の決定は,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず違法となる。 イ評価基準においては,主として市街地的形態を形成している宅地を評価する場合には,市街地宅地評価法により評価するものとされている。 市街地宅地評価法においては,付設された路線価を基礎として画地計算法を適用して各筆の評点数を求めるところ,この際に,市町村長において必要があるときは所要の補正を行うこととされている。これは,評価基準に明示された画地計算法が,全国一律の規範的な基準であるために,土地の形状を主に考慮したものとなっており,地域的な事情や法的規制等による個別的な事情を考慮した補正をしていないことから,個々の土地の評価において,評価者が地域事情や,個別的・局地的な減価要因を反映させるために定められているものであり,画地の個別的要因により宅地の価格の低下等が生じているにもかかわらず,所要の補正(なお,路線価の付設等ができる場合は路線価等を付設す 的・局地的な減価要因を反映させるために定められているものであり,画地の個別的要因により宅地の価格の低下等が生じているにもかかわらず,所要の補正(なお,路線価の付設等ができる場合は路線価等を付設する。このような路線価の付設と所要の補正を併せて「所要の補正等」という。)を適正に行わないでした評価方法は,評価基準への委任の趣旨に照らして,適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を欠く評価方法による価格であり,評価基準によって登録価格が決定されたということができず,当該決定は違法となるというべきである。 上記の所要の補正等を要する個別的要因に当たるか否かについては,土地の利用上の制限等の態様を,その取引価格への影響を踏まえながら検討 - 11 -すべきことになる。 ウ(ア) 特例容積率適用地区制度に基づく特例容積率の限度の指定があった場合には,これにより当該特例容積率の限度が建築基準法52条1項各号に掲げる数値とみなされ,当該特例容積率の限度を超える建築物を建築することはできない。しかも,同制度に基づく特例容積率の限度の指定は,建築物の建替えによってその効力を失うものではなく,将来の建替えの際にも担保されている。 本件においても,東京都知事が本件各土地について特例容積率の限度を10分の114.02と定めたことにより,当該特例容積率の限度が建築基準法52条1項各号に掲げる数値とみなされ,本件各土地上には容積率が10分の114.02を超える建築物を建築できないことが,行政法規上確定され,この制限が本件各土地上に現存する建物を建て替える際においても存続する。 (イ) 特例容積率適用地区制度は,都市計画法に根拠を有する制度であり,都市計画で「地域地区」として特例容積率の限度の指定の対象となる土地が定められる。 物を建て替える際においても存続する。 (イ) 特例容積率適用地区制度は,都市計画法に根拠を有する制度であり,都市計画で「地域地区」として特例容積率の限度の指定の対象となる土地が定められる。そして,容積率を活用するため特例容積率適用地区として指定した都市計画の目的を達成するための便宜として,特例容積率の限度の指定の手続を建築基準法上の規定に委ねたにすぎない。現に,特定行政庁は,特例容積率適用地区内において特例容積率の限度の指定を行う場合,指定基準に従い指定しなければならないとされている。したがって,特例容積率の限度の指定は,都市計画法における都市計画に根拠を有するものであるということができる。 本件においても,本件各土地の所在するα・β・γ地区は都市計画により特例容積率適用地区に指定され,その指定基準において「指定容積率より低い数値で特例容積率を指定する特例敷地の要件」があらかじめ定められている。また,地区計画において建築物等の高さの制限が設け - 12 -られ,本件各土地については最高限度が100mとされると同時に,「計画図で100mと示した敷地において特例容積率適用地区制度を活用するなど」と,特例容積率適用地区制度の活用が図られることも示されている。 (ウ) 特例容積率適用地区制度に基づく容積率の制限は,特例容積率適用地区の指定が都市計画により行われることから,都市計画を見れば,容積率の制限があり得ることが容易に認識することができる。また,具体的な容積率の制限の指定も公告及び縦覧の対象とされるとともに,宅地建物取引業法においても重要事項として説明の対象とされ,取引の安全に配慮されている。このように周知性という観点からも,被告が「都市計画決定されている場合」として固定資産評価上考慮すべきとする高層住居 物取引業法においても重要事項として説明の対象とされ,取引の安全に配慮されている。このように周知性という観点からも,被告が「都市計画決定されている場合」として固定資産評価上考慮すべきとする高層住居誘導地区,高度利用地区,特定街区及び都市再生特別地区における容積率の制限と区別する理由はない。 (エ) 以上によれば,特例容積率適用地区制度に基づく特例容積率の限度の指定が,土地利用に係る制限であって土地の取引価格に一定の影響を与える要因となることは明らかであり,本件容積率限度指定も本件各土地の利用に係る制限であって土地の取引価格に一定の影響を与えることが明らかであるから,所要の補正等を要する個別的要因に当たる。また,不動産鑑定評価における最有効使用の原則からすれば,不動産の最有効使用は,当然に「合法的」な使用方法に基づくものでなければならず,現存する容積率の限度等の法令上の制限を前提とすべきであり,本件各土地の固定資産評価において,法令に基づく容積率の制限である特例容積率の制限を考慮すべきである。 それにもかかわらず,被告は,評価基準の解釈,適用を誤り,本件容積率限度指定について所要の補正等を行うことなく本件各土地の価格を決定したのであるから,本件各登録価格が評価基準によって決定される - 13 -価格には当たらず,かつ,評価基準によって決定される価格を上回っていることは明らかである。 よって,本件価格決定は違法であり,本件価格決定を是認した本件審査決定も違法である。 エ(ア) 被告は,固定資産評価においては容積率に関する特例的な取扱いが,都市計画決定されている場合であるか又は建築基準法上の手続による場合であるかによって区別されると主張し,その根拠として,① 更地主義,② 将来の建替えの際の担保の有無,③ に関する特例的な取扱いが,都市計画決定されている場合であるか又は建築基準法上の手続による場合であるかによって区別されると主張し,その根拠として,① 更地主義,② 将来の建替えの際の担保の有無,③ 特例容積率適用地区制度が土地所有者等の意思(主観的な事情)によって自由に容積率を移転できる制度であること,④ 大量一括評価という制約の下で合理性があることなどを指摘する。 (イ) しかし,被告の主張する容積率の制限についての区分は,何らの法律上の根拠ある区分ではなく,その基準が不明確であり,かつ,そのように区分すべき理由も不明である。 (ウ) 被告は,被告が主張する区分の根拠の一つとして,評価基準が「地上権,借地権等が設定されている土地については,これらの権利が設定されていない土地として評価するものとする。」(第1章第1節三)と定め,更地主義を採用していることを指摘する。しかし,そもそも,特例容積率の限度の指定は,土地に地上権,借地権等を設定するものではなく,更地主義の問題とは無関係である。 また,更地主義の趣旨は,土地の所有権の内容が所有者と借地権者等の複数人に分別して帰属する場合に,その所有者が代表して納税義務を負う形式を採り,所有者に土地の全価値に対応する固定資産税を負担させるところにあるところ,特例容積率の限度の指定により所有者と第三者との間で土地の所有権の内容が分別して帰属することはない。したがって,更地主義の趣旨は特例容積率の限度の指定の場面では妥当しない。 - 14 -(エ) 被告は,将来の建替えの際,容積率の制限が都市計画により決定されている場合は担保されるが,建築基準法の手続による場合には担保されないことを根拠の一つとして主張する。 しかし,容積率の制限は,容積率の移転とは次元を ,容積率の制限が都市計画により決定されている場合は担保されるが,建築基準法の手続による場合には担保されないことを根拠の一つとして主張する。 しかし,容積率の制限は,容積率の移転とは次元を異にする問題であり,その根拠法が都市計画法又は建築基準法のいずれであっても公法上の制限であり,当事者間の合意により変更できるものではない。他方,公法上の制限である容積率の制限によって発生した余剰容積率利用権の移転がいわゆる容積率の移転であるが,土地の固定資産評価額に影響を与えるか否かが問題となるのは公法上の制限である容積率の制限であり,その判断において当事者間の合意,あるいは土地所有者等の意思(主観的な事情)を考慮する必要はない。 また,特例容積率の限度の指定は,特定行政庁により取り消されない限り永久的に存続し,建物の建替えの際にも担保される。 (オ) 被告は,特例容積率適用地区制度を土地所有者等の意思(主観的な事情)によって自由に容積率を移転することができるものと評価するが,同制度の意義を誤解するものである。特定行政庁が特例容積率の限度を指定するに当たっては建築基準法57条の2第3項所定の厳格な要件が定められており,運用上も厳格に同項該当性が検討されていることからすれば,同制度は土地所有者等の意思(主観的な事情)によって,自由に容積率を移転することができるというものではない。 (カ) 被告は,固定資産の大量一括評価の必要性を自らの主張の根拠とする。しかし,地方税法が固定資産評価を評価基準に委ねている趣旨は,各市町村全体の評価の均衡を図り,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するために,固定資産の価格が全国一律の統一的な評価基準によって決定されることを要するとすることにあり,被告の主張は誤りである。また, 均衡を図り,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するために,固定資産の価格が全国一律の統一的な評価基準によって決定されることを要するとすることにあり,被告の主張は誤りである。また,仮に大量一括評価の観点から固定資産評価にお - 15 -いてある程度個別性が捨象されるとしても,容積率の制限が都市計画決定されている場合についてのみ固定資産評価において考慮することが相当であるとする被告の主張は根拠を欠くものである。 第3 当裁判所の判断1(1) 地方税法は,土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準を,当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳等に登録されたもの(登録価格)とし(349条1項),上記の価格とは適正な時価をいうと定めている(341条5号)ところ,上記の適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうと解される。したがって,土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回れば,その登録価格の決定は違法となる。 また,地方税法は,固定資産税の課税標準に係る固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を総務大臣(平成13年1月5日以前は自治大臣。以下同じ。)の告示に係る評価基準に委ね(388条1項),市町村長は,評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならないと定めている(403条1項)。これは,全国一律の統一的な評価基準による評価によって,各市町村全体の評価の均衡を図り,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するために,固定資産の価格は評価基準によって決定されることを要するものとする趣旨であると解され,これを受けて全国一律に適用される評価基準として昭和38年 与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するために,固定資産の価格は評価基準によって決定されることを要するものとする趣旨であると解され,これを受けて全国一律に適用される評価基準として昭和38年自治省告示第158号が定められ,その後数次の改正が行われている。これらの地方税法の規定及びその趣旨等に鑑みれば,固定資産税の課税においてこのような全国一律の統一的な評価基準に従って公平な評価を受ける利益は,適正な時価との多寡の問題とは別にそれ自体が法によって保護されるべきものということができる。したがって,土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が評価基準によって決 - 16 -定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録価格の決定は違法となるものというべきである。 そして,法は固定資産税の課税標準に係る適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準の定めを総務大臣の告示に係る評価基準に委任したものであること等からすると,評価対象の土地に適用される評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり,かつ,当該土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格がその評価方法に従って決定された価格を上回るものでない場合には,その登録価格は,その評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認するのが相当である。 以上に鑑みると,土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格の決定が違法となるのは,当該登録価格が,①当該土地に適用される評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回ると ある。 以上に鑑みると,土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格の決定が違法となるのは,当該登録価格が,①当該土地に適用される評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回るときであるか,あるいは,②これを上回るものではないが,その評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものではなく,又はその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情が存する場合であって,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るときであるということができる(最高裁平成24年(行ヒ)第79号同25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)。 (2) ところで,評価基準は,主として市街地的形態を形成する地域における宅地について市街地宅地評価法によって評価するものとしているところ(評価基準第1章第3節二),同評価法においては,① 市町村の宅地を商業地区,住宅地区,工業地区,観光地区等に区分し,当該各地区について,その状況が相当に相違する地域ごとに,その主要な街路に沿接する宅地のうちから標 - 17 -準宅地を選定し,② 標準宅地について,売買実例価額から評定する適正な時価を求め,これに基づいて当該標準宅地の沿接する主要な街路について路線価を付設し,これに比準して主要な街路以外の街路の路線価を付設し,③ 路線価を基礎とし,「画地計算法」(評価基準別表第3)を適用して,各筆の宅地の評点数を付設するという手順を経るものとされている(評価基準第1章第3節二㈠1)。また,市町村長は,画地計算法を適用して各筆の宅地の評点数を付設する際に,宅地の状況に応じて必要があるときは,画地計算法の附表等について所要の補正をして,これを適用するものとされている(同第3節二㈠4) 市町村長は,画地計算法を適用して各筆の宅地の評点数を付設する際に,宅地の状況に応じて必要があるときは,画地計算法の附表等について所要の補正をして,これを適用するものとされている(同第3節二㈠4)。 本件において,原告は,本件各土地の価格の決定に当たり本件容積率限度指定がされた事実を減価要因として考慮すべきであると主張するところ,土地に係る利用の制限を当該土地の価格の決定に当たり評価基準において考慮すべきか否かは,固定資産の評価の基準等が評価基準に委ねられている趣旨を踏まえつつ,当該制限の性質や法的効果,これらに応じて当該制限が土地の客観的な交換価値に及ぼす影響の程度等の諸事情に照らし,そのような制限の存在を固定資産の価格の決定に当たり評価基準において考慮することが合理的であるか否かとの観点から検討すべきものと解される。そして,当該制限の存在を考慮することが合理的であると認められる場合には,評価基準においてこれを上記に述べた市街地宅地評価法に基づく評価の過程で適切に考慮することが要求されているというべきであり,これを考慮しないで決定された価格は評価基準の定める評価方法によって決定された価格には当たらないというべきである。そして,そのような考慮をせずに決定され,登録された価格が,これを適切に考慮した評価基準の定める評価方法によって決定される価格を上回る場合には,当該登録価格に係る決定は違法となるというべきである。 2 以上を前提に,本件各土地に係る価格の決定に当たり,本件容積率限度指定 - 18 -がされた事実を減価要因として評価基準において考慮すべきか否かを検討する。 (1)ア建築基準法57条の2所定の特例容積率の限度の指定は,土地所有者等の申請に基づくものであるところ,上記指定は土地所有者等の申請があれ て評価基準において考慮すべきか否かを検討する。 (1)ア建築基準法57条の2所定の特例容積率の限度の指定は,土地所有者等の申請に基づくものであるところ,上記指定は土地所有者等の申請があれば当然にされるものではなく,特定行政庁において,当該申請が同条3項所定の要件を充足するか否かを審査した上でされるものである。したがって,上記指定が,単に私人間の合意により特定の土地の利用方法を制限するものであるとはいい難い。 特に,上記申請に係る特例容積率の限度が当該特例敷地の土地の適正かつ合理的な利用形態となるように定められていることが上記指定の要件の一つとされ,かつ,上記申請に係る特例容積率の限度のうち同法52条1項及び3項から8項までの規定による容積率の限度を超えるものについては,当該特例容積率の限度に適合して建築される建築物が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないものとなるよう定められていることが上記指定の要件とされていることに照らせば(同法57条の2第3項3号),上記指定に当たっては,特定行政庁が同法57条の2第3項所定の要件該当性について専門的,技術的な観点から審査をし,裁量的な判断をすることが予定されているということができる。 このような特例容積率の限度の指定の仕組みに照らせば,特例容積率の限度の指定は,それが土地所有者等の申請に基づいてされるものであり,かつ,このような申請がされる場合に,容積率の移転について関係当事者間で何らかの合意がされていることが当然に想定されることを踏まえても,単なる私人間の合意による土地利用の制限であるということはできず,公法上の土地利用の制限という性質を有するというべきである。 次に,特例容積率の限度の指定の法的効果についてみるに,この指定は特例容積率適用地区 る土地利用の制限であるということはできず,公法上の土地利用の制限という性質を有するというべきである。 次に,特例容積率の限度の指定の法的効果についてみるに,この指定は特例容積率適用地区内の2以上の敷地を対象とするものであり,同指定が特定行政庁により取り消されない限りは,当該土地上の建築物が滅失する - 19 -などした場合でも指定の効果は存続し,指定された特例容積率の限度を超える建物を建築することはできないものと解される。また,特例容積率の限度の指定の法的効果は,指定の対象となった敷地の譲受人に対しても及ぶものと解され,そのような法的効果に鑑み,特例容積率の限度の指定が公告されるとともに,公告によりその効力を有するものとされているもの(建築基準法57条の2第4項,第5項)と解される。 このような特例容積率の限度の指定の性質や法的効果に鑑みれば,建築基準法52条1項所定の容積率(基準容積率)を下回る特例容積率の限度の指定がされた土地については,当該指定の効果が存続する限り,当該指定がされていない場合と比較して客観的な交換価値がその制限の程度に応じて一定程度減少することは明らかであるといえる。 イ以上によれば,本件各土地の価格の決定に当たっては本件容積率限度指定がされたことを評価基準において考慮することが合理的であり,本件各土地に係る市街地宅地評価法に基づく評価の過程でそのような指定がされた事実を適切に考慮すべきものといえる。それにもかかわらず,本件価格決定においては,本件容積率限度指定がされたことが何ら考慮されていないから,本件各登録価格は,評価基準の定める評価方法によって決定されたものということはできない。そして,既に述べたところによれば,本件各登録価格が評価基準の定める評価方法によって決定され されていないから,本件各登録価格は,評価基準の定める評価方法によって決定されたものということはできない。そして,既に述べたところによれば,本件各登録価格が評価基準の定める評価方法によって決定される価格を上回ることも明らかであるから,本件価格決定は違法というべきである。 (2)アこれに対し,被告は,容積率の限度が都市計画により決定されている場合と建築基準法上の手続により決定されている場合とに区別することができるとした上で,基準容積率よりも容積率の規制が緩和又は強化されているという事情は,当該容積率の限度が都市計画決定されている場合についてのみ価格の決定に当たり考慮することが相当であると主張する。 しかし,容積率の限度が都市計画により決定されている場合には上記価 - 20 -格の決定に当たり考慮すべきである一方で,建築基準法上の手続により容積率の限度が決定されている場合には考慮することを要しないとする根拠は明確でないといわざるを得ない。 この点に関連して,被告は評価基準に基づく評価が大量一括評価との特性を有することを指摘するが,評価基準に基づく評価がそのような性質を有するからといって,本件容積率限度指定がされたことを評価基準に基づく評価に当たり考慮することを要しないとはいい難い。 また,被告はいわゆる更地主義についても指摘するが,更地主義とは,地上権,借地権等が設定された土地につき,そのような権利が設定された事実を地方税法403条所定の価格の決定に当たり考慮するか否かを問題とするものであり,特例容積率適用地区制度に基づく特例容積率の限度の指定がされたことを上記価格の決定において考慮するか否かを問題とするものではない。その点を措くとしても,評価基準において更地主義が採られているのは,地方税法 率適用地区制度に基づく特例容積率の限度の指定がされたことを上記価格の決定において考慮するか否かを問題とするものではない。その点を措くとしても,評価基準において更地主義が採られているのは,地方税法において地上権者や借地権者が原則として固定資産税の納税義務者とはされていないことから,土地の価格の決定に当たり地上権や借地権が設定されたことを理由とする減価をすると当該減価に対応する固定資産税相当額を納付する者がいなくなることを前提とするものと解される。これに対し,特例容積率の限度の指定の対象となった土地の所有者等は,その指定の前後を通じ固定資産税の納税義務者の地位を有するから,特例容積率の限度の指定がされた敷地の評価においては,前提となる事実関係が地上権や借地権が設定された敷地とは異なるといえる。このような観点からも,更地主義の趣旨が本件に妥当するとはいい難い。 イ被告は,建築基準法上の手続による容積率の規制の緩和又は強化を申請するか否かの判断が土地所有者等の意思に委ねられており不確実であるとした上で,そのような土地所有者等の主観的,特殊な事情に基づく容積率を前提として地方税法403条所定の価格の決定をすべきではないと主張 - 21 -する。 しかし,土地所有者等の主観的,特殊な事情に基づいて容積率の規制の緩和又は強化がされた場合に,これを上記価格の決定において考慮することを要しないとする被告の主張の根拠は明確でないといわざるを得ない。 また,その点を措くとしても,特例容積率適用地区制度に基づく特例容積率の限度の指定は,それが土地所有者等の申請に基づくものであることを踏まえても,単なる私人間の合意による土地利用の制限であるとはいえないことは既に述べたとおりである。 ウ被告は,本件容積率限度指定がされた事実 れが土地所有者等の申請に基づくものであることを踏まえても,単なる私人間の合意による土地利用の制限であるとはいえないことは既に述べたとおりである。 ウ被告は,本件容積率限度指定がされた事実を本件各土地の価格の決定に当たり考慮することを要しない根拠として,原告が本件各土地に係る指定容積率を最大限に活用しなかったことや,原告が三菱地所との間で容積率利用権譲渡及び地役権設定契約を締結し,対価を受領したことを指摘する。 しかし,これらの事情があるからといって,本件容積率限度指定により本件各土地の客観的な交換価値が一定程度低下した事実に変わりはないから,被告の指摘する事情をもって本件容積率限度指定がされた事実を本件各土地の価格の決定に当たり考慮することを要しないとはいえない。 エ以上のとおりであるから,本件容積率限度指定がされた事実を本件各土地に係る価格の決定に当たり考慮することを要しない根拠として被告が指摘するところは,いずれも採用することができない。 3 なお,本件容積率限度指定がされた事実が減価要因として考慮されていないことにより,本年各土地の適正な時価が本件各登録価格を下回ることは既に述べたとおりであるが,具体的にどの程度下回るかについて特段の主張,立証はない。したがって,本件においては,本件審査決定の全部を取り消すほかはないというべきである。 第4 結論以上によれば,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとお - 22 -り判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官林俊之 裁判官衣 斐 瑞 穂 裁判官池田好英 - 23 - (別紙2)関係法令の定め 俊之 裁判官衣 斐 瑞 穂 裁判官池田好英 - 23 - (別紙2)関係法令の定め第1 都市計画法 1 平成16年法律第67号による改正前の都市計画法8条3項地域地区については,次に掲げる事項を都市計画に定めるものとする。 一地域地区の種類(特別用途地区にあっては,その指定により実現を図るべき特別の目的を明らかにした特別用途地区の種類),位置及び区域二次に掲げる地域地区については,それぞれ次に定める事項イからハまで (略)ニ商業地域建築基準法(平成16年法律第67号による改正前のもの)第52条の2第1項に規定する特例容積率適用区域(適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において,当該区域内の土地の高度利用を図るため,同法第52条第1項から第8項までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進する必要がある場合に限る。以下単に「特例容積率適用区域」という。)ホからリまで (略)三 (略) 2 3条(国,地方公共団体及び住民の責務)(1) 1項国及び地方公共団体は,都市の整備,開発その他都市計画の適切な遂行に努めなければならない。 (2) 2項 - 24 -都市の住民は,国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するため行なう措置に協力し,良好な都市環境の形成に努めなければならない。 (3) 3項国及び地方公共団体は,都市の住民に対し,都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。 3 8条(地域地区)(1) 1項都市計画区域につ い。 (3) 3項国及び地方公共団体は,都市の住民に対し,都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。 3 8条(地域地区)(1) 1項都市計画区域については,都市計画に,次に掲げる地域,地区又は街区を定めることができる。 一第一種低層住居専用地域,第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域,準住居地域,近隣商業地域,商業地域,準工業地域,工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)二及び二の二 (略)二の三特例容積率適用地区二の四から十六まで (略)(2) 2項 (略)(3) 3項地域地区については,都市計画に,第1号及び第2号に掲げる事項を定めるものとするとともに,第3号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。 一地域地区の種類(特別用途地区にあっては,その指定により実現を図るべき特別の目的を明らかにした特別用途地区の種類),位置及び区域二次に掲げる地域地区については,それぞれ次に定める事項イ用途地域建築基準法第52条第1項第1号から第4号までに規定する建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。以下同じ。)並びに同法第53条の2第1項及び第2項に規定する建築物の敷地面積 - 25 -の最低限度(建築物の敷地面積の最低限度にあっては,当該地域における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。)ロから二まで (略)ホ特例容積率適用地区建築物の高さの最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するために必要な場合に限る。)ヘからリまで (略)三 (略)(4) 4項 (略) 4 9条(1) 1項から14 区建築物の高さの最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するために必要な場合に限る。)ヘからリまで (略)三 (略)(4) 4項 (略) 4 9条(1) 1項から14項まで (略)(2) 15項特例容積率適用地区は,第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域,準住居地域,近隣商業地域,商業地域,準工業地域又は工業地域内の適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において,建築基準法第52条第1項から第9項までの規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区とする。 (3) 16項から22項まで (略) 5 16条(公聴会の開催等)(1) 1項都道府県又は市町村は,次項の規定による場合を除くほか,都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは,公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 (2) 2項及び3項 (略) 6 17条(都市計画の案の縦覧等)(1) 1項 - 26 -都道府県又は市町村は,都市計画を決定しようとするときは,あらかじめ,国土交通省令で定めるところにより,その旨を公告し,当該都市計画の案を,当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて,当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。 (2) 2項前項の規定による公告があったときは,関係市町村の住民及び利害関係人は,同項の縦覧期間満了の日までに,縦覧に供された都市計画の案について,都道府県の作成に係るものにあっては都道府県に,市町村の作成に係るものにあっては市町村に,意見書を提出することができる 害関係人は,同項の縦覧期間満了の日までに,縦覧に供された都市計画の案について,都道府県の作成に係るものにあっては都道府県に,市町村の作成に係るものにあっては市町村に,意見書を提出することができる。 (3) 3項から5項まで (略) 第2 建築基準法(平成26年法律第39号による改正前のもの。以下同じ。) 1 52条(容積率)(1) 1項建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は,次の各号に掲げる区分に従い,当該各号に定める数値以下でなければならない。 一及び二 (略)三商業地域内の建築物10分の20,10分の30,10分の40,10分の50,10分の60,10分の70,10分の80,10分の90,10分の100,10分の110,10分の120又は10分の130のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの四から六まで (略)(2) 2項前項に定めるもののほか,前面道路(前面道路が2以上あるときは,その - 27 -幅員の最大のもの。以下この項及び第12項において同じ。)の幅員が12メートル未満である建築物の容積率は,当該前面道路の幅員のメートルの数値に,次の各号に掲げる区分に従い,当該各号に定める数値を乗じたもの以下でなければならない。 一から三まで (略)(3) 3項から15項まで (略) 2 57条の2(特例容積率適用地区内における建築物の容積率の特例)(1) 1項特例容積率適用地区内の2以上の敷地(建築物の敷地となるべき土地及び当該特例容積率適用地区の内外にわたる敷地であってその過半が当該特例容積率適用地区に属するものを含む。以下この項において同じ。)に係る土地について所有権若しくは建築物の所有を目的とする地 き土地及び当該特例容積率適用地区の内外にわたる敷地であってその過半が当該特例容積率適用地区に属するものを含む。以下この項において同じ。)に係る土地について所有権若しくは建築物の所有を目的とする地上権若しくは賃借権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。以下「借地権」という。)を有する者又はこれらの者の同意を得た者は,一人で,又は数人が共同して,特定行政庁に対し,国土交通省令で定めるところにより,当該2以上の敷地(以下この条及び次条において「特例敷地」という。)のそれぞれに適用される特別の容積率(以下この条及び第60条の2第4項において「特例容積率」という。)の限度の指定を申請することができる。 (2) 2項前項の規定による申請をしようとする者は,申請者及び同項の規定による同意をした者以外に当該申請に係る特例敷地について政令で定める利害関係を有する者があるときは,あらかじめ,これらの者の同意を得なければならない。 (3) 3項特定行政庁は,第1項の規定による申請が次の各号に掲げる要件のいずれにも該当すると認めるときは,当該申請に基づき,特例敷地のそれぞれに適 - 28 -用される特例容積率の限度を指定するものとする。 一申請に係るそれぞれの特例敷地の敷地面積に申請に係るそれぞれの特例容積率の限度を乗じて得た数値の合計が,当該それぞれの特例敷地の敷地面積に第52条第1項各号(第5号を除く。以下この号において同じ。)の規定によるそれぞれの建築物の容積率(当該特例敷地について現に次項の規定により特例容積率の限度が公告されているときは,当該特例容積率。 以下この号において「基準容積率」という。)の限度を乗じて得た数値の合計以下であること。この場合において,当該それぞれの 現に次項の規定により特例容積率の限度が公告されているときは,当該特例容積率。 以下この号において「基準容積率」という。)の限度を乗じて得た数値の合計以下であること。この場合において,当該それぞれの特例敷地が基準容積率に関する制限を受ける地域又は区域の2以上にわたるときの当該基準容積率の限度は,同条第1項各号の規定による当該各地域又は区域内の建築物の容積率の限度にその特例敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計とする。 二申請に係るそれぞれの特例容積率の限度が,申請に係るそれぞれの特例敷地内に現に存する建築物の容積率又は現に建築の工事中の建築物の計画上の容積率以上であること。 三申請に係るそれぞれの特例容積率の限度が,申請に係るそれぞれの特例敷地における建築物の利用上の必要性,周囲の状況等を考慮して,当該それぞれの特例敷地にふさわしい容積を備えた建築物が建築されることにより当該それぞれの特例敷地の土地が適正かつ合理的な利用形態となるよう定められていること。この場合において,申請に係る特例容積率の限度のうち第52条第1項及び第3項から第8項までの規定による限度を超えるものにあっては,当該特例容積率の限度に適合して建築される建築物が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないものとなるよう定められていること。 (4) 4項特定行政庁は,前項の規定による指定をしたときは,遅滞なく,特例容積 - 29 -率の限度,特例敷地の位置その他国土交通省令で定める事項を公告するとともに,国土交通省令で定める事項を表示した図書をその事務所に備えて,一般の縦覧に供さなければならない。 (5) 5項第3項の規定による指定は,前項の規定による公告に するとともに,国土交通省令で定める事項を表示した図書をその事務所に備えて,一般の縦覧に供さなければならない。 (5) 5項第3項の規定による指定は,前項の規定による公告によって,その効力を生ずる。 (6) 6項第4項の規定により特例容積率の限度が公告されたときは,当該特例敷地内の建築物については,当該特例容積率の限度を第52条第1項各号に掲げる数値とみなして,同条の規定を適用する。 (7) 7項 (略) 3 57条の3(指定の取消し)(1) 1項前条第4項の規定により公告された特例敷地である土地について所有権又は借地権を有する者は,その全員の合意により,同条第3項の指定の取消しを特定行政庁に申請することができる。この場合においては,あらかじめ,当該特例敷地について政令で定める利害関係を有する者の同意を得なければならない。 (2) 前項の規定による申請を受けた特定行政庁は,当該申請に係るそれぞれの特例敷地内に現に存する建築物の容積率又は現に建築の工事中の建築物の計画上の容積率が第52条第1項から第9項までの規定による限度以下であるとき,その他当該建築物の構造が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めるときは,当該申請に係る指定を取り消すものとする。 (3) 特定行政庁は,前項の規定による取消しをしたときは,遅滞なく,国土交通省令で定めるところにより,その旨を公告しなければならない。 (4) 第2項の規定による取消しは,前項の規定による公告によって,その効 - 30 -力を生ずる。 (5) (略)第3 地方税法 1 341条(固定資産税に関する用語の意義)固定資産税について,次の各号に掲げる用語の意義 る公告によって,その効 - 30 -力を生ずる。 (5) (略)第3 地方税法 1 341条(固定資産税に関する用語の意義)固定資産税について,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 一から四まで (略)五価格適正な時価をいう。 六基準年度昭和31年度及び昭和33年度並びに昭和33年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過したごとの年度をいう。 七から十四まで (略) 2 343条(固定資産税の納税義務者等)(1) 1項固定資産税は,固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については,その質権者又は地上権者とする。 以下固定資産税について同様とする。)に課する。 (2) 2項から9項まで (略) 3 349条(土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準)(1) 1項基準年度に係る賦課期日に所在する土地又は家屋(以下「基準年度の土地又は家屋」という。)に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該土地又は家屋の基準年度に係る賦課期日における価格(以下「基準年度の価格」という。)で土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳(以下「土地課税台帳等」という。)又は家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳(以下「家屋課税台帳等」という。)に登録されたものとする。 (2) 2項から6項 (略) - 31 - 4 388条(固定資産税に係る総務大臣の任務)(1) 1項総務大臣は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続(以下「固定資産評価基準」という。)を定め,これを告示しなければならない。 この場合において,固定資産評価基準には,その細目に関する事項について道府県知事が定めなければ びに評価の実施の方法及び手続(以下「固定資産評価基準」という。)を定め,これを告示しなければならない。 この場合において,固定資産評価基準には,その細目に関する事項について道府県知事が定めなければならない旨を定めることができる。 (2) 2項から4項まで (略) 5 403条(固定資産の評価に関する事務に従事する市町村の職員の任務)(1) 1項市町村長は,第389条又は第743条の規定によって道府県知事又は総務大臣が固定資産を評価する場合を除く外,第388条第1項の固定資産評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならない。 (2) 2項 (略) - 32 - (別紙4)本件各土地の価格の算出根拠 1 本件土地Ⅰ(千代田区β×番7,同番11,同番12,同番13及び同番14)の価格の算出根拠(1) 本件土地Ⅰの地目本件土地Ⅰの登記及び現況地目はいずれも宅地であり,主として市街地的形態を形成する地域における宅地に該当するから,市街地宅地評価法により評価することになる。 (2) 画地の認定千代田区β×番7,同番11,同番12,同番13及び同番14は,平成24年度の賦課期日である平成24年1月1日の時点において,ホテル等の建設工事のため一体として利用されていることから,当該5筆を合わせた部分(以下「本件土地Ⅰ」又は「本件画地」という)を一画地として評価した。 (3) 本件土地Ⅰが属する地域の用途地区区分本件土地Ⅰの付近は,「都心又は副都心にあって,大企業や官公庁の中枢管理機能を有する事務所等の入居する超高層又は高層の大規模ビルが集合し,街区を形成している地区」に該当するから,ビル街とした。 (4) 本件土地Ⅰは,当該5筆の土地を合わせて一画地と認定される正面と側方に路線がある画 所等の入居する超高層又は高層の大規模ビルが集合し,街区を形成している地区」に該当するから,ビル街とした。 (4) 本件土地Ⅰは,当該5筆の土地を合わせて一画地と認定される正面と側方に路線がある画地(以下「角地」という。)であるが,こうした角地の価格は,正面路線のみに接する画地の価格よりも高くなるものであるから,正面路線から求めた基本評点数を補正する必要がある。 具体的には,正面路線のみに接するとした場合の基本評点数に,副路線である側方路線を正面路線とみなして計算した評点数に東京都固定資産(土地)評価事務取扱要領(以下「取扱要領」という。)付表2「側方路線影響加算率表」 - 33 -により当該副路線の路線区分から求めた加算率を乗じたものを基本評点数に加算することにより行うことになる。 (5) 東京都知事は,右のビル街について,状況類似地区ごとに区分し,正面路線及び側方路線が属する状況類似地区について,標準宅地を千代田区α×番1外13筆の土地(以下「本件標準宅地」という。)とした。 (6)ア本件標準宅地に係る適正な時価については,価格調査基準日である平成23年1月1日時点の不動産鑑定価格1520万円を活用し,その7割程度の価格をもって1060万円とした。 イ上記に述べた本件標準宅地の価格に基づいて,本件標準宅地の沿接する南側の街路(以下「主要な街路」という。)の路線価を1060万点と付設した。 ウ東京都知事は,上記に述べた本件標準宅地の主要な街路と本件土地Ⅰに沿接する北側路線の街路が一致するため,正面路線を1060万点とした。 エ次に,東京都知事は,上記に述べた本件標準宅地の主要な街路の路線価を基礎とし,本件標準宅地と本件各土地に沿接する側方路線とを比較し,その格差を幅員,連続性等の街路条件100%,最 点とした。 エ次に,東京都知事は,上記に述べた本件標準宅地の主要な街路の路線価を基礎とし,本件標準宅地と本件各土地に沿接する側方路線とを比較し,その格差を幅員,連続性等の街路条件100%,最寄駅への距離等の交通・接近条件100%,土地区画整理事業等の環境条件91%,容積率等の行政的条件100%と算定し,これらを乗じた格差率91%を主要な街路の路線価に乗じて側方路線の路線価を964万点とした(別表1①)。 (7)ア本件各土地の評点数は,前述した(6)ウ,エの路線価を基礎として,評価基準等に定める画地計算法に従って算出されるものである。 イそこで,上記に述べたことを前提に本件各土地について検討すると,正面路線から本件各土地の奥行は128.5mと算定されるから,取扱要領付表1に基づき奥行価格補正率を0.90とし,正面路線の路線価に乗じて基本評点数を求める(別表1②)。 ウ次に,側方路線から本件各土地の奥行は101.0mと算定されるから, - 34 -取扱要領付表1に基づき奥行価格補正率を0.90とし,当該側方路線の用途地区はビル街であるので取扱要領付表2に基づき,側方路線影響加算率を0.05とし,これらを乗じて得られた画地補正率0.05を側方路線の路線価に乗じて,加算評点数を求める(別表1③)。 エ以上のことから,本件各土地の評価は,(7)イにおいて算出された基本評点数に,同ウで求められた加算評点数を加えて,修正前単位地積当たりの評点数を算出し(別表1④),次いで,平成23年1月1日から同年7月1日までの時点修正率0.987を乗じて,修正後単位地積当たり評点数を算出し(別表1⑤),各土地の地積を乗じて(別表1⑥ないし⑩),最後に評点1点当たりの価額1円を乗じて求めることになる(別表1⑪ないし⑮)。 2 本 987を乗じて,修正後単位地積当たり評点数を算出し(別表1⑤),各土地の地積を乗じて(別表1⑥ないし⑩),最後に評点1点当たりの価額1円を乗じて求めることになる(別表1⑪ないし⑮)。 2 本件土地Ⅱ(千代田区β×番8)の価格の算出根拠(1) 本件土地Ⅱの地目千代田区β×番8(以下「本件土地Ⅱ」という。)の登記及び現況地目はいずれも宅地であり,主として市街地的形態を形成する地域における宅地に該当するから,市街地宅地評価法により評価することになる。 (2) 本件土地Ⅱが属する地域の用途地区区分本件土地Ⅱの付近は,「都心又は副都心にあって,大企業や官公庁の中枢管理機能を有する事務所等の入居する超高層又は高層の大規模ビルが集合し,街区を形成している地区」に該当するから,ビル街とした。 (3) 東京都知事は,上記のビル街について,状況類似地区ごとに区分し,正面路線が属する状況類似地区について,標準宅地を千代田区β×番2号外3筆に所在する土地を選定した。 (4)ア本件標準宅地に係る適正な時価については,価格調査基準日である平成23年1月1日時点の不動産鑑定価格1990万円を活用し,その7割程度の価格をもって1390万円とした。 - 35 -イ上記に述べた本件標準宅地の価格に基づいて,本件標準宅地の沿接する街路(以下「主要な街路」という)の路線価を1390万点と付設した。 ウ東京都知事は,上記に述べた本件標準宅地の主要な街路と本件土地Ⅱに沿接する正面路線の街路が一致するため,正面路線を1390万点とした。 (5)ア本件土地Ⅱの評点数は,前述した(4)ウの路線価を基礎として,評価基準等に定める画地計算法に従って,算出されるものである。 イそこで,上記に述べたことを前提に本件土地Ⅱについて検討すると,正面 本件土地Ⅱの評点数は,前述した(4)ウの路線価を基礎として,評価基準等に定める画地計算法に従って,算出されるものである。 イそこで,上記に述べたことを前提に本件土地Ⅱについて検討すると,正面路線から本件各土地の奥行は70.5mと算定されるから,取扱要領付表1に基づき奥行価格補正率を1.00を適用し,間口は2.5mと算定されるから取扱要領付表4に基づき間口狭小補正率0.80を適用し,奥行距離を間口距離で除した割合は8以上となるので取扱要領付表5に基づき奥行長大補正率0.90を適用し,これらを乗じたものを,正面路線路線価に乗じて修正前単位地積当たり評点数を求める(別表2①)。 ウ次いで,平成23年1月1日から同年7月1日までの時点修正率0.985を乗じて,修正後単位地積当たり評点数を算出し(別表2②),本件土地Ⅱの地積を乗じて(別表2③),最後に評点1点当たりの価額1円を乗じて求めることになる(別表2④)。

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