昭和39(う)1188 道路交通法違反等被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和39年10月13日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人を禁錮六月に処する。      被告人の本件控訴を棄却する。      原審訴訟費用は被告人に負担させない。          理    由

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判決文本文2,759 文字)

主文原判決を破棄する。 被告人を禁錮六月に処する。 被告人の本件控訴を棄却する。 原審訴訟費用は被告人に負担させない。 理由本件控訴の趣意は、原審検察官山本清二郎及び弁護人金田絢子作成名義の各控訴趣意書記載のとおりであるから、これをここに引用し、これに対し次のとおり判断する。 検察官の控訴趣意は、原判決は本件公訴事実中被告人が原判示第三及び第四の各事故後直ちに車両の運転を停止して道路交通法第七二条第一項前段に定められた必要措置を講じなかつた旨の各訴因に対し、被告人が右の各事故後運転を停止しなかつたことは証拠により明らかであるけれども、右の各事故の場合には人の死傷が存せず、また車両の損傷はあつたがそのために運転不能を来すことなく、道路上の通行に危険を生じた事跡も認められない。従つて、この場合被告人としては負傷者を救護しまたは道路における危険を防止すべき措置としてとるべきものは何も存しなかつたのであるから、これらの義務違反はなかつたと謂わなければならない。 また、同条は交通事故があつたとき、負傷者や物の損壊の有無を確認するため停止すべきことを義務づけたものとも解し難いとし、結局、本件は犯罪の証明がないとの理由で無罪の言渡しをしたものであるが、右は法令の解釈適用を誤つた違法があると主張する。 よつて所論に基づき審按するに、道路交通法第七二条第一項前段は「車両等の交通による人の死傷又は物の損壊があつたときは当該車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」と規定し、交通事故の発生した場合、運転者に対し被害者の救護及び道路における危険防止のため応急措置を講ずべきことを定め 傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」と規定し、交通事故の発生した場合、運転者に対し被害者の救護及び道路における危険防止のため応急措置を講ずべきことを定めている。ところで、車両の交通によつて人の死傷又は物の損壊を生じた場合、単に運転中の車両内から望見したのみでは被害者の救護の要否、及び道路における危険防止措置の要否を確認することは困難であり、一旦停車して仔細にこれを<要旨>調査しなければその要否の判明しない場合が極めて多いことに鑑みると、同条は車両の交通による人の死傷又</要旨>は物の損壊があつた場合、被害者の救護並に道路における危険防止の前提として,運転者に対し必ず一旦停止して負傷者の救護の要否、或は道路における危険の有無を確認すべき義務を負わせたものと解するのが相当である。それは、道路交通法第七二条第一項前段に相当する旧道路交通取締法施行令第六七条が「車馬等の交通に因り人の殺傷又は物の損壊があつた場合においては、当該車馬等の操縦者等は直ちに被害者の救護又は道路における危険防止、その他交通の安全を図るため必要な措置を講じなければならない。」と規定していたのに対し、新法が「運転者等は、直ちに車両等の運転を停止して」との字句を挿入した立法の趣旨からしても推論し得るところであるのみならず、文理上からも、人の死傷又は物の損壊があつた場合には運転者は直ちに運転を停止すべく、然る後負傷者が救護を要することが判明した場合にはその措置を、人の死傷或は物の損壊により道路における危険発生の虞れのある場合にはその防止措置を講ずべき二重の義務を課したものと解することができる。そこで本件についてこれをみるに、A、B運転の各自動車は被告人の自動車と接触の結果、いずれも修理を要する損傷を生じたことが明らかであるから、被告 講ずべき二重の義務を課したものと解することができる。そこで本件についてこれをみるに、A、B運転の各自動車は被告人の自動車と接触の結果、いずれも修理を要する損傷を生じたことが明らかであるから、被告人は直ちに停車して道路における危険防止の必要の有無を確認すべき義務があつたものと謂うべく、仮りに本件の場合、道路における危険防止措置の必要がなかつたからといつて停車確認の義務を否定することはできない。それ故右法条に関しこれと異る解釈の下に、人の死傷がなく、又道路における危険が認められない本件にあつては、被告人には同条による義務違反は存しないとする原判決は法律の解釈適用を誤つた違法があると謂わざるを得ない。 この点において論旨は理由があり原判決は破棄を免がれない。 よつて検察官の量刑不当に関する各控訴趣意については判断を省略し、弁護人の量刑不当の控訴趣意については判断を加えるまでもなく理由がないから刑事訴訟法第三九六条に則り被告人の本件公訴を棄却し、検察官の控訴は理由があるから、同法第三九七条第一項、第三八〇条、第四〇〇条但書により原判決を破棄し、当裁判所において更に次のとおり判決する。 (罪となるべき事実)当裁判所が認定した事実は、原判示第四の次に、左記のとおり第五の(一)(二)を追加する外、原判示のとおりであるから、これをここに引用する。 第五 (一)、前記第三の事故を起しながら、直ちに運転を停止して法令に定められた必要な措置を講ずることなく、そのまま運転を継続し、(二)、前記第四の事故を起しながら、直ちに運転を停止して法令に定められた必要な措置を講ずることなく、そのまま運転を継続し、(証拠の標目(省略)(法令の適用)法律に照らすと、被告人の所為中判示第一の点は、道路交通法第六五条、第一一八条第一項第二号、同法施行令第二七 な措置を講ずることなく、そのまま運転を継続し、(証拠の標目(省略)(法令の適用)法律に照らすと、被告人の所為中判示第一の点は、道路交通法第六五条、第一一八条第一項第二号、同法施行令第二七条罰金等臨時措置法第二条に、判示第二の(一)の点は刑法第二一一条前段罰金等臨時措置法第二条、第三条に、判示第三及び第四の点は道路交通法第七〇条、第一一九条第一項第九号、第一二二条第一項罰金等臨時措置法第二条に、第二の(二)、第五の(一)及び(二)の点は各道路交通法第七二条第一項前段、第一一七条罰金等臨時措置法第二条に各該当するので、第二の(一)の罪については所定刑中禁錮刑をその余については各所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条、第一〇条に則り最も重い判示第二の(一)の罪につき定めた刑に法定の加重をした刑期範囲内で被告人を禁鋼六月に処し、原審訴訟費用については刑事訴訟法第一八一条第一項但書を適用し被告人に負担させないこととし、主文のとおり判決する。 (裁判長判事渡辺好人判事目黒太郎判事深谷真也)

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