平成12(ワ)2795等 大森廻漕店整理解雇

裁判年月日・裁判所
平成15年3月26日 神戸地方裁判所
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判決文本文26,017 文字)

主文 1 第1,2事件原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は第1,2事件原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件(1) 第1事件原告が第1事件被告らに対しそれぞれ労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 (2) 第1事件被告らは,第1事件原告に対し,各自平成12年7月5日から毎月26日限り1か月40万3673円の割合による金員を支払え。 2 第2事件(1) 第2事件原告が第2事件被告宇徳運輸株式会社(以下「被告宇徳運輸」という。)に対し労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 (2) 被告宇徳運輸は,第2事件原告に対し,平成12年11月から毎月26日限り1か月40万3673円の割合による金員を支払え。 (3) 第2事件被告らは,第2事件原告に対し,各自7000万円及び第2事件訴状送達の日(第2事件被告株式会社大森廻漕店及び同大森陸運株式会社につき平成13年10月30日,被告宇徳運輸につき同月31日)の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,労働組合の組合員であり,かつ,第1,2事件被告大森陸運株式会社(以下「被告大森陸運」という。)の従業員であった第1,2事件原告(以下「原告」という。)が,①被告大森陸運の100パーセント株主である第1,2事件被告株式会社大森廻漕店(以下「被告大森廻漕店」という。)による被告大森陸運の解散は被告大森陸運からの労働組合の排除を唯一の目的とするものであり,解散権の濫用であって無効であるから,これに伴う原告に対する解雇の意思表示も無効である,②原告に対する解雇の意思表示は整理の必要性の不存在,誠実 陸運からの労働組合の排除を唯一の目的とするものであり,解散権の濫用であって無効であるから,これに伴う原告に対する解雇の意思表示も無効である,②原告に対する解雇の意思表示は整理の必要性の不存在,誠実協議の不存在の点から解雇権の濫用であって無効である,③被告大森陸運はその営業を被告宇徳運輸に譲渡するとともに,その従業員の労働契約を被告宇徳運輸に承継させたものであり,かつ,原告に対する解雇の意思表示は整理解雇4要件に違反して無効であるか,あるいは組合排除を目的とする不当労働行為であって無効であるから,上記営業譲渡によって原告と被告大森陸運との間の労働契約も被告宇徳運輸に承継された,④被告大森廻漕店は労働組合を排除して使用者としての責任を回避するため,形骸的な法人格にすぎない被告大森陸運を解散してその資産と業務を被告宇徳運輸に承継させたものであり,法人格否認の法理により労働契約上の責任を免れない,⑤被告大森陸運の解散,営業譲渡に伴う労働契約承継からの原告の排除,原告に対して雇用を保障しないという労働組合所属を理由とする不利益な差別取扱い並びに被告大森廻漕店及び被告大森陸運による不誠実な団体交渉に関して上記被告らに共同不法行為が成立すると主張して,上記被告らに対し,労働契約に基づき,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と賃金の支払を求めるとともに,共同不法行為に基づき,損害金及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 1 争いのない事実等(証拠を掲記した事実を除き,当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,平成3年2月21日,被告大森陸運に正社員として雇用され,海上コンテナトラック運転手の業務に就いていた。原告が被告大森陸運から得ていた賃金は,月額40万3673円である。 原 は,平成3年2月21日,被告大森陸運に正社員として雇用され,海上コンテナトラック運転手の業務に就いていた。原告が被告大森陸運から得ていた賃金は,月額40万3673円である。 原告は,全日本運輸一般労働組合(以下「運輸一般」という。運輸一般は,平成11年9月,全日本建設交運一般労働組合(以下「建交労」という。)に名称を変更した。)大森陸運分会に所属していたが,平成12年6月24日,関西合同労働組合に加入した。 イ(ア) 被告大森廻漕店は,大正10年11月28日に設立され,肩書地に本店を置き,倉庫業,通関業等を営んでいる。 (イ) 被告大森陸運は,被告大森廻漕店の100パーセント出資の子会社であり,一般貨物運送事業,貨物運送取扱事業等を営んできたが,平成12年6月26日に開催された臨時株主総会において,同月30日をもって被告大森陸運を解散する旨の決議がされ,同日,解散した(以下「本件解散」という。)。 (ウ) 被告宇徳運輸は,大正4年12月8日に設立され,肩書地に本店を置き,港湾運送事業等を営んでいる。 (2) 本件解雇被告大森陸運は,平成12年7月4日,原告に対し,解雇の意思表示をした(以下「本件解雇」という。)。 (3) 被告らの関係ア被告大森廻漕店と被告大森陸運の関係前記(1)イ(イ)のとおり,被告大森陸運は,被告大森廻漕店の100パーセント出資の子会社であるところ,被告大森陸運の代表取締役,労務担当者は,被告大森廻漕店の現役又は定年退職した役員等で構成されていた。 被告大森陸運の業務は,その大部分が被告大森廻漕店からの発注によるものであった。被告大森廻漕店の業務担当者は,荷主からの注文をフ 漕店の現役又は定年退職した役員等で構成されていた。 被告大森陸運の業務は,その大部分が被告大森廻漕店からの発注によるものであった。被告大森廻漕店の業務担当者は,荷主からの注文をファックスで被告大森陸運に伝達していた。 被告大森廻漕店と被告大森陸運は,女性従業員の制服が同一であったことがあった。 被告大森廻漕店取締役Aは,被告大森陸運の従業員の再就職先を確保すべく同業他社に働きかけたことがある。 イ被告大森廻漕店と被告宇徳運輸の関係被告宇徳運輸は,被告大森廻漕店に対し,荷の通関・運送・保管の一部を頼んでいた。 被告大森廻漕店と被告宇徳運輸は,横浜港本牧埠頭B突堤において,同一建物内に倉庫及び事務所を設けている。 ウ被告大森陸運と被告宇徳運輸の関係被告大森陸運の従業員の一部(労働組合であるCSG(旧一般同盟)の組合員ら,もと取締役のB及び事務員のC)は,平成12年11月以降,被告宇徳運輸に雇用されている。 被告宇徳運輸は,本件解散後,被告大森陸運がかつて使用し,三井オートリース株式会社(以下「三井オートリース」という。)に譲渡されたトレーラーのヘッド4台及びシャーシ11台を使用していた(甲24,25の10,11,13,14,16ないし20)。 (4) 土地賃貸借契約の解約の申入れ被告大森陸運の事務所及び駐車場は,被告大森廻漕店が神戸市から転貸禁止の条件で借り受けた土地上にあったが,同被告は,平成11年12月8日,神戸市に対し,上記土地の賃貸借契約の解約の申入れをし,同被告は,平成12年7月中旬ころ,上記事務所を取り壊し,上記土地を更地にした。 (5 土地上にあったが,同被告は,平成11年12月8日,神戸市に対し,上記土地の賃貸借契約の解約の申入れをし,同被告は,平成12年7月中旬ころ,上記事務所を取り壊し,上記土地を更地にした。 (5) 事前労使協議の協定被告大森陸運は,2000年基本集団交渉に参加し,建交労大森陸運分会との間で,「組合員に重大な影響を与える身分・賃金・労働条件の変更及び企業の解散,合併,分離,譲渡,閉鎖など経営主体の変更,縮小にあたっては,円満な労使関係を育成するため事前に労使協議を行ない,双方誠意を尽くして問題の解決を図る。」旨の協定を締結した。 (6) 被告大森陸運の解散に至る経過ア被告大森陸運側は,平成11年5月31日,運輸一般側に対し,経営合理化案を提案したが,運輸一般側の強い抵抗により,それは実現しなかった。 イ被告大森陸運側は,同年11月25日,建交労側に対し,10万円の賃金引下げや一時金の49パーセントカット等の経営合理化案を提案した。 ウ被告大森陸運側は,平成12年4月3日,建交労側に対し,事務所及び駐車場の移転について説明したが,建交労側は,これに反対した。 エ被告大森陸運は,同年5月15日,事務所の移転に着手した。 オ被告大森廻漕店は,同月18日,取締役会を開催し,被告大森陸運を解散する方針を確認した。 カ被告大森陸運代表取締役Dは,同日,建交労側に対し,同年6月に被告大森廻漕店が被告大森陸運を解散するか否かを決定する旨や事務所の移転は解散とは関係ない旨を述べた。 キ被告大森陸運と建交労は,同年5月18日,確認書(甲18)を作成した。 ク被告大森陸運は,同月20日,事務所及び駐車場の移転を完了した。 関係ない旨を述べた。 キ被告大森陸運と建交労は,同年5月18日,確認書(甲18)を作成した。 ク被告大森陸運は,同月20日,事務所及び駐車場の移転を完了した。 ケ被告大森陸運側は,同月30日,建交労側との話し合いにおいて,同被告の解散に言及した。同被告と建交労は,同年6月7日,同月15日,同月21日,同月22日にも,話合いの場を持った。 コ建交労側は,10万円の賃金引下げに応じる姿勢を示したが,被告大森廻漕店側は,同月6日,建交労側に対し,「賃下げに応じてもらっても,それだけでは足りない。」と述べ,被告大森陸運側は,同月15日,建交労側に対し,人員削減が必要である旨を述べた。 サ被告大森廻漕店取締役Eは,同月16日,建交労側に対し,「既に遅い。」などと述べた。 シ建交労側は,同月22日,被告大森陸運側に対し,会社再建案を提案したが,同被告側は,これを受け入れなかった。 ス被告大森陸運は,関西合同労働組合に対し,被告大森廻漕店の受注量等に関する資料を提出しなかった。 2 主要な争点(1) 本件解散の効力(2) 本件解雇の効力(整理の必要性の存否と誠実協議の存否)(3) 営業譲渡契約の成否(4) 法人格否認の可否(5) 共同不法行為の成否 3 当事者の主張(1) 原告の主張ア本件解散の無効被告大森陸運の100パーセント株主たる被告大森廻漕店は,被告大森陸運における営業を真に廃止する意思はなく,本件解散は,被告大森陸運からの労働組合の排除を唯一の目的とするものである。 したがって,本件解散は,解散権の濫用であって無効であるから,本件解 ける営業を真に廃止する意思はなく,本件解散は,被告大森陸運からの労働組合の排除を唯一の目的とするものである。 したがって,本件解散は,解散権の濫用であって無効であるから,本件解雇も無効である。 イ本件解雇の無効(ア) 本件解雇は,実質的には整理解雇の性質を有する。仮に,本件解雇が整理解雇でなく,解散解雇であるとしても,整理解雇4要件の適用がある。 (イ) 整理の必要性の不存在被告大森陸運のほぼ100パーセントの発注元である被告大森廻漕店の経営状況は堅実な内容であり,被告大森陸運以外の被告大森廻漕店の発注先運送会社も倒産に至った例はなく,現に営業を続けている。また,被告大森陸運自体,第37期(平成11年10月1日から平成12年6月30日)には,固定負債(長期借入金)がゼロという状況であった。 被告大森陸運に解散を余儀なくされるほどの深刻な業績不振はなく,このような状況で整理の必要性があるとは認められない。 (ウ) 誠実協議の不存在被告大森廻漕店は,平成12年5月18日の時点で,その日以前にあった被告大森陸運からの解散を提案したいという申入れを受けて,同年6月30日をもって被告大森陸運を解散することを決定していた。被告大森廻漕店のEを始めとする役員ら,被告大森陸運のFを始めとする役員らは,いずれもそのことを知りながら,以後同月22日の被告大森陸運と建交労との団体交渉までその事実を秘匿し,建交労大森陸運分会に所属する労働者に対して,会社再建の可能性があるかのように振る舞い続けた。 また,被告大森廻漕店が被告大森陸運の解散を決定する同年5月18日以前の段階から,被告大森陸 運分会に所属する労働者に対して,会社再建の可能性があるかのように振る舞い続けた。 また,被告大森廻漕店が被告大森陸運の解散を決定する同年5月18日以前の段階から,被告大森陸運・被告大森廻漕店役員には被告大森陸運を再建する意思がないか,あるいはその再建の可能性が著しく低いことを知りながら,被告大森廻漕店のEを始めとする役員ら,被告大森陸運のFを始めとする役員らは,そのことを正しく建交労に伝えなかった。 これは,被告大森廻漕店・被告大森陸運が建交労に対して真実を明らかにすることなく,虚偽の発言・答弁を行って,団体交渉に出席した組合員を欺罔したものとして,不誠実な団体交渉に当たる。 (エ) したがって,解雇権の濫用があるから,本件解雇は無効である。 ウ被告大森陸運から被告宇徳運輸への営業譲渡と労働契約の承継(ア) 従来,被告宇徳運輸は,その荷主から配送を請け負った荷のうち,関西地区における通関・荷役・輸送を被告大森廻漕店に請け負わせており,被告大森廻漕店は,さらにそのうちの宇徳運輸に関する輸送業務のすべてを被告大森陸運に請け負わせていた。 そして,被告大森陸運は,その営業のうち,被告宇徳運輸に関わる営業をヘッド・シャーシや動産類の資産とともに被告宇徳運輸に譲渡するとともに,B取締役(海上コンテナの輸送に関わる業務一切の管理及び行政上の様々な申請等を行う。)・建交労と関西合同労働組合の組合員を除くすべての運転手・C事務員の労働契約を被告宇徳運輸に承継させた。 被告宇徳運輸は,被告大森陸運から譲り受けた資産等と労働契約を承継した従業員・運転手等を使用して,被告宇徳運輸に関わる営業を譲り受けて以後,関西地区におけ 運輸に承継させた。 被告宇徳運輸は,被告大森陸運から譲り受けた資産等と労働契約を承継した従業員・運転手等を使用して,被告宇徳運輸に関わる営業を譲り受けて以後,関西地区における輸送を自社で行っているのである。 この営業譲渡契約が明示の契約書によるものであるか,黙示の契約であるかは,原告には不明である。また,契約の時期は,遅くともヘッド・シャーシのナンバー変更が行われた平成12年11月までの間にされたと考えられる。 (イ) 被告大森陸運から被告宇徳運輸への営業譲渡に際して,被告大森陸運からの全員解雇,被告宇徳運輸への建交労の組合員以外の者の新規採用という形式を採っているが,実質的には建交労の組合員のみを解雇して被告宇徳運輸に関わる営業全体を承継するとの契約に等しい。そして,建交労に対する解雇は,整理解雇4要件に違反して無効であるか,あるいは組合排除を目的とする不当労働行為であって無効であるから,上記営業譲渡によって原告と被告大森陸運との間の労働契約も,被告宇徳運輸に承継されたものと解すべきである(大阪地裁平成11年12月8日判決・労働判例777号25頁参照)。 エ法人格の否認(ア) 被告大森陸運には被告大森廻漕店を離れて独自の営業はなく(より正確には被告大森陸運には何の営業もない。),被告大森陸運の運送業務は被告大森廻漕店に指示監督され,被告大森廻漕店と被告大森陸運との間には財産の混同があり,被告大森陸運は被告大森廻漕店に道具として支配されていた。そして,被告大森陸運の解散の理由は,経営不振ではなく,被告大森廻漕店による労働組合嫌悪の情にある。 したがって,本件が法人格の形骸化ないしは濫用の事例に当たることは明らかである。 大森陸運の解散の理由は,経営不振ではなく,被告大森廻漕店による労働組合嫌悪の情にある。 したがって,本件が法人格の形骸化ないしは濫用の事例に当たることは明らかである。 (イ) 被告大森廻漕店が形骸的な法人格にすぎない被告大森陸運を別会社として存続させてきたのは,利益の調節を通じて行う課税の回避,雇用・事故の責任の回避などを目的とするものであり,さらに,被告大森廻漕店は,建交労と関西合同労働組合を嫌悪し,両組合を排除して,両組合に対する使用者としての責任を回避するために,被告大森陸運を解散して,その資産と業務を被告宇徳運輸に承継させた。 したがって,被告大森廻漕店に不当・違法の目的がある。 (ウ) 仮に,労働契約の承継がないとすれば,原告と被告大森陸運との間に労働契約が存続しているところ,被告大森廻漕店は,法人格否認の法理により,原告に対する労働契約上の責任を免れない。 オ共同不法行為(ア)a 仮に,本件解散が真実の解散であり,かつ,有効であるとしても,本件解散は,不当労働行為目的の解散であって,不当労働行為である。もしくは,営業譲渡に伴う労働契約承継からの原告の排除は不当労働行為である。したがって,これを行った被告らには共同不法行為が成立する。 b 仮に,本件解散が真実の解散であり,かつ,有効な本件解散が不法行為たり得ないとしても,原告は,その組合所属を理由として不利益な差別取扱いを受けた。したがって,被告らには共同不法行為が成立する。 すなわち,本件解散の後,CSGに所属する運転手は,すべて被告宇徳運輸において雇用を保障された。また,建交労に所属する運転手は,株式会社トラック共同セ 法行為が成立する。 すなわち,本件解散の後,CSGに所属する運転手は,すべて被告宇徳運輸において雇用を保障された。また,建交労に所属する運転手は,株式会社トラック共同センター(甲26)において雇用を保障された。ところが,原告に対してはこのような雇用保障がなかった。原告は,このような不利益取扱いにより,雇用を得ることができなかった。 c 原告の平成11年度の賃金の総支給額は,709万1227円である。原告は,本件解雇当時47歳で,本件解雇がなければ,60歳の定年まで13年間の雇用が予定されていた。 したがって,原告が本件解雇により失った得べかりし利益としては,709万1227円×9.89=7013万2235円に加えて,退職金が予定される。 このため,原告の損害額は,7000万円を上回る。 (イ) 被告大森廻漕店・被告大森陸運の役員による前記イ(ウ)の不誠実な団体交渉は,それ自体,原告ら建交労組合員に対する不法行為である(民法709条・715条)。 平成12年5月18日以前の時点で,被告大森廻漕店・被告大森陸運の役員に被告大森陸運を再建する意思がないか,あるいはその再建の可能性が著しく低いことを真摯に告げられていれば,建交労は,同年6月22日に再建案(「第38期予想損益計算書」)を示す以前に,被告大森陸運に対し,再建可能な案を示して実りある協議をし,あるいは,有効な争議を展開して,被告大森陸運を再建することができた。あるいは,同年5月18日の時点で,同年6月30日に被告大森陸運を解散するという事実を告げられていれば,建交労は,これに対して労働組合として有効な争議を展開して本件解散を阻止することができた。 きた。あるいは,同年5月18日の時点で,同年6月30日に被告大森陸運を解散するという事実を告げられていれば,建交労は,これに対して労働組合として有効な争議を展開して本件解散を阻止することができた。 それにもかかわらず,これらが告げられなかったことにより,被告大森陸運を解散されてしまったのであるから,上記不法行為による損害は,原告が本件解散により被った損害となる。 仮に,原告が本件解散により被った損害のすべてが上記不法行為による損害とは認められないとしても,上記不法行為により,原告が労働組合に団結して団体交渉するという憲法上の権利(これは,第一義的には勤労者個々人に属するものである。)を侵害され,あるいは,精神的な損害を被った。これらにより原告が被った損害は,金銭で評価すれば,300万円を下らない。 (2) 被告大森廻漕店の主張ア法人格否認の法理適用について(ア) 被告大森廻漕店と被告大森陸運の同一性がないこと被告大森廻漕店と被告大森陸運は,もともと別個の営業主体・収益帰属主体である。人事的にも別個である。営業内容も賃金体系も別個である。資産,財産の混同もない。被告大森陸運の独自の営業活動が現に存在している。被告大森廻漕店による日常の業務指示もない。 したがって,被告大森廻漕店と被告大森陸運は,形式的にも実質的にも全く別個の法人格を有する会社であるということは明白である。 (イ) 不当・違法な目的が存在しないこと被告大森廻漕店が被告大森陸運を子会社化したのは,被告大森廻漕店において発生した運送需要に対して,安価で迅速なサービスを提供することが目的である(丙11)。原告が しないこと被告大森廻漕店が被告大森陸運を子会社化したのは,被告大森廻漕店において発生した運送需要に対して,安価で迅速なサービスを提供することが目的である(丙11)。原告が主張するような利益の調整を通じて行う課税の回避,雇用・事故の責任の回避などの目的はもちろん,建交労及び関西合同労働組合に対する使用者としての責任を回避する目的も全くない。 イ本件解散の正当性被告大森陸運は,本件解散の直近6期にわたって一度も営業段階で利益を計上していない(乙1の1ないし6)から,企業としての収益力自体が劣化していたものといわざるを得ず,このような深刻な業績不振が本件解散の理由であることは明らかである。 ウ本件解雇の正当性(ア) 解雇の必要性解雇の必要性の判定については,企業の合理的運営上やむを得ない必要性があれば足り,企業の経常利益がマイナスとなり,整理解雇以外の方法で当面その解消が期待できない場合には,必要な範囲で整理解雇の必要性を認めるべきである。 被告大森陸運の解散・解雇は,阪神・淡路大震災後の神戸港全体の貨物量減少の中で(丙4ないし6),上述のとおり,企業自体の収益がなくなり,やむを得ずに行われたものである。会社解散そして解雇の必要性があったことは明らかである。 (イ) 解雇手続の相当性解雇手続の相当性については,解雇の必要性と内容について十分説明し,納得を得るように努力する義務があるところ,平成11年5月から本件解散に至る平成12年6月26日前後までの交渉経過を直視すれば,被告大森陸運は,本件解散に当たり,5度にわたる事前協議を真摯かつ十分に尽くした上で解散決議をす 務があるところ,平成11年5月から本件解散に至る平成12年6月26日前後までの交渉経過を直視すれば,被告大森陸運は,本件解散に当たり,5度にわたる事前協議を真摯かつ十分に尽くした上で解散決議をするに至り,その後に原告に対し解雇通知を行ったものであって,解散解雇の必要性と内容についても十分相当性が認められる。 エ不法行為責任の成否(ア) 被告大森陸運の解散の理由は,上述のとおり,同被告の深刻な業績不振にある。また,後述のとおり,被告大森陸運から被告宇徳運輸への労働契約の承継も存在しないから,これが不当労働行為に当たることはあり得ない。 (イ) 被告大森廻漕店は,被告宇徳運輸へのCSG所属の運転手の就職については全く関与していない。また,建交労所属の運転手に対しても雇用保障を行った事実はない。そもそも原告は,解雇撤回の一点のみを主張し,それ以外の要請を一切していない。 (ウ) 被告大森陸運は,遅くとも平成11年11月25日の時点で建交労に対し「現状のままで推移するならば,来春には企業閉鎖の止むなきにいたるという危機的状況に追い込まれております」と伝えたことは明らかであり(乙3),実際に本件解散の約7か月前には解散の可能性について触れ,正しく建交労に伝えている。 また,原告は,結局のところ,被告大森陸運が数度経営合理化案を提示し,会社再建への理解と協力を求めたにもかかわらず,原告や建交労がこれを会社解散の危機と捉えず,賃金カットや人員削減にも一切応じない姿勢を取り続けた(原告本人)。すなわち,原告や建交労が被告大森陸運の意思を正しく解釈しなかったのであって,これは原告らの責任である。団体交渉は誠実に行われていた。 オ営業譲渡契約の成否 た(原告本人)。すなわち,原告や建交労が被告大森陸運の意思を正しく解釈しなかったのであって,これは原告らの責任である。団体交渉は誠実に行われていた。 オ営業譲渡契約の成否被告大森陸運が所有していたヘッド14台のうち,被告宇徳運輸が購入したのは4台だけであり(甲24),従業員も運転手5名及び事務職員2名を新規雇用したのみである。また,被告大森廻漕店が現在陸送を委託しているのも被告宇徳運輸ではなく,3~4社の陸運業者である(証人E)。取引先(被告大森廻漕店等)を含む有機的,組織的な一体としての営業が譲渡された事実はない。 (3) 被告大森陸運の主張ア解散無効について会社解散が真に事業を廃止するのではなく,解散後に新会社を設立するなどして別の形式で同様の事業を継続する「偽装解散」である場合は格別,株主が真に事業を廃止する目的で行った「真正解散」である場合には,解散は常に有効と解すべきであるところ,被告大森陸運は解散後完全に廃業しており,その後に別会社を介して実質的に事業を継続しているといった事情はないのであるから,その解散の目的いかんを問わず,本件解散を無効と解する余地はない。 イ解雇権の濫用について(ア) 人員整理の必要性について被告大森陸運が深刻な業績不振に陥っており,人員整理を含む経営合理化を図る必要性が存在したことは,第32期(平成6年10月1日~平成7年9月30日)から第37期(平成11年10月1日~平成12年6月30日)までの決算報告書をみれば明らかである(乙1の1~6)。被告大森陸運の財務状況が業績不振により著しく悪化していたことは,清算結了に向けて最終的に被告大森廻漕店が1億2000万円以上の債 6月30日)までの決算報告書をみれば明らかである(乙1の1~6)。被告大森陸運の財務状況が業績不振により著しく悪化していたことは,清算結了に向けて最終的に被告大森廻漕店が1億2000万円以上の債権放棄を余儀なくされていること(丙8)からも分かる。 (イ) 解雇手続の相当性について被告大森陸運は,平成11年5月に第1次経営合理化案を提案した直後から既に,経営合理化が実現しない場合には会社解散もあり得ることを建交労に伝えている(甲17)。その後も,書面(乙3,4,7,10,12)や労使協議会(乙5,8,14)の席で繰り返し話している。 また,平成12年の春ころに会社存続の可否を判断することを説明しているし,実際の解散時期は被告大森陸運の資金ショートが生じた同年6月となったが,そのことは試算により予想されていたため,被告大森陸運は,建交労に対し,会社を存続させるか否かは6月が一つの区切りとなる旨を事前に説明しているし(証人F),同月上旬に解散時期が正式に決定した(証人E,同F)後は,速やかにその旨を建交労に伝えている(乙14,甲17)。 被告大森廻漕店は,同年5月18日の役員会で「経営合理化が実現しない以上解散もやむなし」との方針を確認したにすぎず,同年6月に株主総会で解散決議を行うことを正式に決定したという事実はない(証人E)。被告大森陸運は,その日のうちに上記内容を聞いたが,内容的には既に建交労に話しているこれまでの方針と基本的に変わりはなかったため,建交労に対し改めて告知することはしなかったにすぎず,同年6月末をもって被告大森陸運が解散することが上記役員会で決定していた事実を意図的に隠匿したというのは事実に反している。 被告大 対し改めて告知することはしなかったにすぎず,同年6月末をもって被告大森陸運が解散することが上記役員会で決定していた事実を意図的に隠匿したというのは事実に反している。 被告大森陸運が同月7日以降も建交労との間で労使協議を開催し,予想損益計算書(乙15)を提出したり,建交労からの対案を検討したりしたことは事実であるが,あくまで被告大森陸運が提示した経営合理化案が実現しない場合は同月末に解散することが前提での労使協議であった(乙14)。 ウ不法行為に基づく損害賠償請求について(ア) 被告大森陸運は,深刻な業績不振が原因で解散したのであり(乙1の1~6,証人F),労働組合の排除を目的として行われたのではない。 (イ) 被告大森陸運が被告宇徳運輸に対しヘッド4台及びシャーシ11台を譲渡したこと及び一部のもと従業員が被告宇徳運輸に再就職したのは事実であるが,ヘッド及びシャーシの譲渡は清算に伴う個別の財産処分であって,被告宇徳運輸との間で営業譲渡契約を締結した事実はない。 また,一部のもと従業員は,被告大森陸運を退職した後に被告宇徳運輸に再就職したのであり,被告大森陸運がもと従業員らの再就職に関与した事実は一切ないうえ,被告宇徳運輸が被告大森陸運の業務を引き継いでいるという事情もないのであるから(証人E),一部の営業資産の売却と一部の従業員の再就職をもって黙示の営業譲渡契約が成立したと評価することも到底できない。 (ウ) 被告大森陸運が建交労やCSG所属の従業員に対して雇用を保障した事実はない。 (4) 被告宇徳運輸の主張ア原告の引用する判決(大阪地裁平成11年12月8日判決・労働判例777号25頁)は,営業譲渡の実体がある 従業員に対して雇用を保障した事実はない。 (4) 被告宇徳運輸の主張ア原告の引用する判決(大阪地裁平成11年12月8日判決・労働判例777号25頁)は,営業譲渡の実体がある場合において,在籍した従業員を全員雇用したという事案に関するものであって,本件とは全く事実関係を異にする。 すなわち,被告宇徳運輸は,被告大森陸運から,本件解散後数か月経ってから,トレーラーヘッド4台(被告宇徳運輸は5台を必要としていたが,被告大森陸運は,本件解散前は14台を保有していたものの,当時は4台しか残っていなかった。被告宇徳運輸は,他から残り1台を取得した。)並びにシャーシのうち20フィート用7台及び40フィート用4台(被告宇徳運輸は,他から40フィート用15台を取得した。)を購入しただけである。また,被告宇徳運輸は,被告大森陸運を解雇された者のうち運転手5名,事務職2名を個別に面接のうえ採用したのみである。 以上のとおり,被告宇徳運輸と被告大森陸運との間には営業譲渡の実体がないこと及び被告宇徳運輸が被告大森陸運の従業員を全員雇用した事実がないことは明白であり,原告の主張は前提を欠くものである。 イ共同不法行為の事実は否認する。 第3 当裁判所の判断 1 本件解散の効力(争点(1))について原告は,本件解散は被告大森陸運からの労働組合の排除を唯一の目的とするものであり,解散権の濫用であって無効であるから,本件解雇も無効であると主張する。 しかしながら,憲法22条1項は,職業選択の自由の一環として企業廃止の自由を保障していると解されるのであって,企業の存続を強制することはできない。憲法28条が保障する団結権は,企業が存続することを前提とするものであって,企業廃 ,職業選択の自由の一環として企業廃止の自由を保障していると解されるのであって,企業の存続を強制することはできない。憲法28条が保障する団結権は,企業が存続することを前提とするものであって,企業廃止の自由を制約するものではないと解するのが相当である。また,会社の解散決議の内容が法令に違反していなくても,その目的,動機が不当である場合にこれを無効とする法的根拠は存しない。 したがって,たとえ労働組合を排除するという不当な目的,動機で会社の解散決議がされたとしても,その内容が法令に違反しない限り,その決議は有効であるというべきである。 そうすると,本件解散の決議の内容が法令に違反することが窺われない本件においては,本件解散は有効であるから,原告の上記主張は理由がない。 2 本件解雇の効力(争点(2))について(1) 会社が解散した場合,会社を清算する必要があり,もはやその従業員の雇用を継続することはできないから,その従業員を解雇する必要性が認められ,その解雇は,客観的に合理的な理由を有するものとして,原則として有効であるというべきである。 原告は,整理の必要性が存在しないと主張するが,結局,解散の必要性が存在しないというにすぎない。前記説示のとおり,企業廃止の自由が憲法上保障されているのであって,たとえ解散の必要性が存在しなくても,企業の廃止は妨げられないから,解散の必要性を論じる余地はないものというべきである。 (2)アもっとも,前記争いのない事実等(5)によれば,被告大森陸運は,2000年基本集団交渉に参加し,建交労大森陸運分会との間で,「組合員に重大な影響を与える身分・賃金・労働条件の変更及び企業の解散,合併,分離,譲渡,閉鎖など経営主体の変更,縮小にあたっては,円満な労使関係 年基本集団交渉に参加し,建交労大森陸運分会との間で,「組合員に重大な影響を与える身分・賃金・労働条件の変更及び企業の解散,合併,分離,譲渡,閉鎖など経営主体の変更,縮小にあたっては,円満な労使関係を育成するため事前に労使協議を行ない,双方誠意を尽くして問題の解決を図る。」旨の協定を締結したというのである。 前記説示のとおり,企業廃止の自由が憲法上保障されていることからすると,被告大森陸運は,会社を解散するか否かについて事前に労使協議を行うべき義務を負うものではないが,会社を解散することとした場合には,上記規定に基づき,建交労大森陸運分会との間で,解散に伴ってその従業員を解雇する必要性があることを説明し,解雇の条件等の問題について誠意を尽くして事前に労使協議を行うべき義務を負うものと解すべきである。そして,上記義務違反の程度が重大であって,会社が解散したことを考慮してもなお解雇することが著しく不合理であり,社会通念上相当として是認することができないときには,当該解雇の意思表示は,解雇権の濫用として無効になるものというべきである。 そこで,このような見地から,以下検討する。 イ前記争いのない事実等,証拠(甲5,11,17,18,33,36,37,40ないし43,46,48,51,53,54,57,61ないし64,85,86,88,乙1の1ないし6,乙2ないし15,乙16の1,2,乙17,18,22,23,丙1の1,2,丙2,4ないし6,9ないし11,証人G,同F,同E,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 原告は,平成3年2月21日,被告大森廻漕店の100パーセント出資の子会社である被告大森陸運に正社員として雇用され,海上コンテナトラック運転手 よれば,次の事実が認められる。 (ア) 原告は,平成3年2月21日,被告大森廻漕店の100パーセント出資の子会社である被告大森陸運に正社員として雇用され,海上コンテナトラック運転手の業務に就いていた。原告は,当初,労働組合である一般同盟(現CSG)に所属していたが,平成7年ころから,運輸一般(現建交労)大森陸運分会(以下「大森陸運分会」の記載を適宜省略する。)に所属していた。 (イ) 平成6年10月1日から平成12年6月30日までの各期ごとの被告大森陸運の売上高及び損益の状況はおおむね別紙記載のとおりであり,阪神・淡路大震災後,被告大森陸運の経営状況は悪化していった。 (ウ) 被告大森陸運側は,平成11年5月31日付けで,運輸一般側に対し,現在の厳しい経営環境の下で経営を維持し雇用を守るために賃金の引下げ等を提案する旨の申し入れ書(乙2)を交付し,同年6月10日,運輸一般との労使協議の席上で同様の提案をしたが,上記提案は実現しなかった。 (エ) 被告大森陸運側は,同年11月5日,建交労等との団体交渉の席上で,同被告の倒産もあり得ることを説明した。 (オ) 被告大森陸運側は,同月25日付けで,建交労側に対し,連続5期の赤字決算が続いている現状の打開,雇用の確保と経営の再建維持のために大幅な賃金等の引下げ(10万円の賃金引下げや一時金の49パーセントカット)と希望退職による6名程度の人員削減等を提案し,労使協議を申し入れる旨の申し入れ書(乙3)を交付しようとしたが,建交労大森陸運分会分会長H(以下「H」という。)は,それに目を通したものの,その受取りを拒否した。上記申し入れ書には,「尚,本件に関する労使協議は,10日に1回程度の日程で開催し,平成12年2月中旬には企 陸運分会分会長H(以下「H」という。)は,それに目を通したものの,その受取りを拒否した。上記申し入れ書には,「尚,本件に関する労使協議は,10日に1回程度の日程で開催し,平成12年2月中旬には企業閉鎖か経営再建かの最終的な判断をしたいと考えておりますので,労使協議への積極的な参画を御願いします。」との記載がある。 (カ) 被告大森陸運は,Hに対し,上記申し入れ書(乙3)並びに上記申し入れ書及び営業報告書を受け取ってその内容を十分に検討し,労使協議に応じるように求める旨の添え書き(乙4)を郵送し,平成11年12月2日,これが到達した。上記添え書きには,「会社の置かれている現状は,あまりにも悪く現状のまま推移すれば,来春には企業閉鎖,全員解雇という最悪の状態を迎えることが予測されます。このような事態を回避し,経営再建に向けた取り組みが必要不可欠な状況にあることを理解していただきたいと思います。」との記載がある。 (キ) 被告大森陸運の事務所及び駐車場は,被告大森廻漕店が神戸市から転貸禁止の条件で借り受けた土地上にあったが,同被告は,平成11年12月8日,神戸市に対し,上記土地の賃貸借契約の解約の申入れをし,同日から1年が経過したときに上記契約が解約されることとなった。 (ク) 被告大森陸運側は,平成12年3月6日,建交労との労使協議の席上で,建交労側に対し,第36期決算報告書(平成10年10月1日から平成11年9月30日までの分)(乙1の5)及び第37期損益計算書②(同年10月1日から同年12月31日までの分)(乙6)を交付してその内容を説明し,また,物件費や事務管理費の削減等の合理化を実施していることを説明したうえ,9名以上の希望退職の募集をする旨の提案をし,希望退職者が1名も出ない場合は,資 での分)(乙6)を交付してその内容を説明し,また,物件費や事務管理費の削減等の合理化を実施していることを説明したうえ,9名以上の希望退職の募集をする旨の提案をし,希望退職者が1名も出ない場合は,資金繰りにも行き詰まり,会社運営の継続ができなくなる旨を述べた。また,家賃・地代の削減のために,駐車場用地の移転を考えて具体的に物件を探している旨を述べた。 (ケ) 被告大森陸運は,平成12年3月9日付けで,その従業員に対し,希望退職を募集したが,これに応じたのは事務職1名のみであった。 (コ) 被告大森陸運側は,同年4月3日,建交労との労使協議の席上で,建交労側に対し,第2次希望退職募集及び賃金引下げを提案し,現状の人員及び賃金で推移した場合の第37期予想損益計算書並びに運転手9名と事務職1名が退職し,かつ,賃金を10万円引き下げた場合の第37期及び第38期各予想損益計算書(乙9)を交付して,その内容を説明し,また,事務所及び駐車場の移転について説明した。建交労側は,事務所及び駐車場の移転は事前協議の対象である旨を述べ,事前に協議を行わなかったことに反発した。 (サ) 被告大森陸運は,同月6日,その従業員に対し,希望退職を募集したが,これに応じた者はいなかった。 (シ) 被告大森廻漕店と建交労は,同年5月11日,協議を行い,建交労側が被告大森陸運の閉鎖問題が噂されている旨を述べたのに対し,被告大森廻漕店側は,現在における経営の環境は極めて厳しく,今のままで推移すると重大な決意をせざるを得ない旨を述べた。 (ス) 被告大森陸運は,同月15日,事務所の移転に着手した。 (セ) 被告大森廻漕店は,同月18日午前,取締役会を開催し,経営合理化案が実現しない限り同年6月30日 べた。 (ス) 被告大森陸運は,同月15日,事務所の移転に着手した。 (セ) 被告大森廻漕店は,同月18日午前,取締役会を開催し,経営合理化案が実現しない限り同年6月30日をもって被告大森陸運を解散する方針を確認し,同被告にその旨を通知した。この時点で同被告の解散がほぼ確定した。同被告は,同年5月18日以前に,被告大森廻漕店に対し,同年6月30日をもって被告大森陸運を解散することを申し入れていた。 (ソ) 被告大森陸運側は,同年5月18日午後,建交労側に対し,同年6月に被告大森廻漕店が被告大森陸運を解散するか否かを決定する旨を述べて,その件で翌週中に事前協議会を開催することを申し入れ,また,同月末に資金ショートを起こすので,これを解決するため,事務所及び駐車場の移転について合意したい旨や賃金カット及び労働条件の見直しについて提案を出す旨を述べた。これに対し,建交労側は,事務所及び駐車場の移転は分離とか親子の関係を切るという思惑があるのではないかと追及したが,被告大森陸運側は,建交労がいうような思惑や意図は全くない旨を述べ,同被告と建交労は,駐車場移転について,被告大森廻漕店と被告大森陸運の関係が従来どおりであって,両者の分離を目的としたものではないことを確認した旨の確認書(甲18)を締結した。被告大森陸運側は,建交労側に対し,同月30日をもって同被告を解散することがほぼ確定したことを告げなかった。 (タ) 被告大森陸運は,同年5月20日,事務所及び駐車場の移転を完了した。 (チ) 被告大森陸運側は,同月23日付けで,建交労側に対し,同月25日に企業存続にかかわる件で第1回事前協議を開催することを申し入れる旨の申し入れ書(乙11)を交付したが,建交労側は,その延期を申し入れ 被告大森陸運側は,同月23日付けで,建交労側に対し,同月25日に企業存続にかかわる件で第1回事前協議を開催することを申し入れる旨の申し入れ書(乙11)を交付したが,建交労側は,その延期を申し入れた。 被告大森陸運側は,同月29日付けで,建交労側に対し,再度事前協議の開催を申し入れる旨の通告書(乙12)を交付した。上記通告書には,「廻漕店としても改善の方向も見えぬまま,何時までも援助を続けて行くわけにも行かず見切りをつける段階に入ると云う結論に達している。従って,このような状態では近々早々に会社存続は不可能と見做し解散の方向と結論付けざるを得ない。この結論に基ずく事前協議を真剣に進めて行くべく協議開催を行う故,事前検討を願います。」との記載がある。 (ツ) 被告大森陸運側は,同月30日,建交労との労使協議の席上で,建交労側に対し,経営合理化が実現しない限り同被告を解散する旨や同年6月中旬に同被告を存続させるか解散するかを被告大森廻漕店の役員会で決定する方向である旨を述べた。これに対し,建交労側は,「事務所及び車庫の移転問題では,会社存続を基本に協力をしてきた。閉鎖決定での事前協議は協議でもない。これでは騙し討ちだ。合理化問題での協議ではないのか。そういうことをするのか。」などと述べた。 (テ) 被告大森廻漕店は,同月上旬ころ,同月20日に被告大森陸運の臨時株主総会を開催し,同月30日をもって同被告を解散することを決定した。 (ト) 被告大森陸運側は,同月5日付けで,建交労側に対し,同月7日に企業存続にかかわる件で第2回事前協議を開催することを申し入れる旨の申し入れ書(乙13)を交付した。 (ナ) 被告大森廻漕店と建交労は,同月6日,協議を行い,建交労側が1 同月7日に企業存続にかかわる件で第2回事前協議を開催することを申し入れる旨の申し入れ書(乙13)を交付した。 (ナ) 被告大森廻漕店と建交労は,同月6日,協議を行い,建交労側が10万円の賃金引下げに応じる姿勢を示したのに対し,同被告側は,「賃下げに応じてもらっても,それだけでは足りない。」「6月末の株主総会で閉鎖をしていくうえでご理解を得たい。」などと述べた。建交労側は,組合としての再建案はある旨を述べ,同被告側は,その再建案について被告大森陸運とよく話し合ってもらいたい旨を述べた。 (ニ) 建交労側は,同月7日,被告大森陸運との労使協議の席上で,同被告側に対し,10万円の賃金引下げに応じるので,再度再建案を出してもらいたい旨を述べ,企業閉鎖をしないように被告大森廻漕店に働きかけることや,総会が予定されている同月中旬までに組合の再建案を了解してもらわないといけないので,総会を延期するように被告大森廻漕店に働きかけることを求めた。これに対し,被告大森陸運側は,9名以上の人員削減,10万円の賃金引下げ並びに事務所及び駐車場の移転を再建の条件としていたが,人員削減及び賃金引下げに関して協力を得ることができず,被告大森廻漕店からは資金援助はできないとの通告があったことなどから,解散もやむを得ないと判断した旨を述べた。建交労側は,人員削減には応じなかったが,賃金を10万円引き下げ,かつ,9名分の人件費を削減した場合の経営資料を作るように求めたので,被告大森陸運側は,そのような資料を作ることとし,それに基づいて次回の交渉を行って結論づけたい旨や同月末の解散という構想は変わらないのだからあまり時間がない旨を述べた。 (ヌ) 被告大森陸運側は,同月15日,建交労との労使協議の席上で,建交労側に対し,第3 行って結論づけたい旨や同月末の解散という構想は変わらないのだからあまり時間がない旨を述べた。 (ヌ) 被告大森陸運側は,同月15日,建交労との労使協議の席上で,建交労側に対し,第38期収支予測及び従業員賃金一覧表を交付し,あくまでも9名の希望退職と10万円の賃金引下げがセットであるが,希望退職者がいないので,10万円以上の賃金引下げをしないと追いつかないし,そうすると,あまりにも賃金が低くなるので,そのような試算はやめた旨や同月末の閉鎖は決定事項である旨を述べたのに対し,建交労側は,まず解散ありきの話であり,会社再建,存続を基本にした内容ではないと反発し,そうであれば事務所及び駐車場を移転する必要はないではないかと追及した。 (ネ) 被告大森廻漕店と建交労は,同月16日,協議を行い,建交労側が同年5月18日に労使が事務所及び駐車場の移転問題を協議している最中に同被告が被告大森陸運の閉鎖を決定したことを非難するなどし,同年6月20日の株主総会を延期するように求めたのに対し,被告大森廻漕店側は,賃金引下げではまかないきれず,被告大森陸運を再建するには既に遅すぎる旨や株主総会の日程は同日しかない旨を述べた。 (ノ) 建交労は,同月19日付けで,被告大森陸運に対し,会社存続の方向で検討するように被告大森廻漕店に要請したことを通知した。 (ハ) 被告大森陸運の臨時株主総会は,同月26日に延期された。 (ヒ) 被告大森陸運側は,同月21日,建交労との労使協議の席上で,建交労側に対し,全員の雇用を維持し,かつ,賃金を10万円引き下げることを前提とした第38期予想損益計算書(乙15)を交付し,この場合でも約2200万円の営業損失を計上することになり,経営合理化案として全く現実的でない の雇用を維持し,かつ,賃金を10万円引き下げることを前提とした第38期予想損益計算書(乙15)を交付し,この場合でも約2200万円の営業損失を計上することになり,経営合理化案として全く現実的でない旨を述べ,具体的な案や資料はないのかと尋ねたので,建交労側は,資料を作り,次回までに提出すると答えた。 (フ) 建交労側は,同月22日,被告大森陸運との労使協議の席上で,同被告側に対し,予想損益計算書(甲43,乙16の1)を交付してその内容を説明した。同被告側は,約1時間かけてその内容を検討した後,建交労側に対し,上記予想損益計算書ではリース料や役員報酬がゼロとされている点などを指摘して,これでは無理である旨を述べ,また,同年5月18日に被告大森廻漕店の役員会で同年6月30日をもって被告大森陸運を閉鎖すると決定した旨を述べたのに対し,建交労側は,同被告が無理と判断することは納得できないと反発した。 (ヘ) 原告は,同月24日,建交労を脱退し,関西合同労働組合に加入した。同組合は,同月26日付けで,被告大森廻漕店及び被告大森陸運に対し,原告が同組合に加入したことを通告するとともに,会社を閉鎖するという決定を撤回すること,すべての労働者の雇用を維持すること,これらの項目について同月30日までに団体交渉を行うことを求めた。 (ホ) 同月26日,被告大森陸運の臨時株主総会が開催され,同月30日をもって同被告を解散する旨の決議がされた。 (マ) 被告大森陸運側は,同月29日,関西合同労働組合との団体交渉の席上で,同組合側に対し,第36期損益計算書(甲11,乙22)並びに第37期及び第38期各予想損益計算書(乙9)を交付して本件解散に至る事情を説明した。建交労側は,同被告側に対し,上記各資料を裏 の席上で,同組合側に対し,第36期損益計算書(甲11,乙22)並びに第37期及び第38期各予想損益計算書(乙9)を交付して本件解散に至る事情を説明した。建交労側は,同被告側に対し,上記各資料を裏付ける資料や過去10期分の決算報告書等を提出するように求めたが,同被告側は,これを拒否した。 (ミ) 被告大森陸運は,同月30日,解散した。 (ム) 関西合同労働組合側は,同年7月4日,被告大森陸運との団体交渉の席上で,同被告側に対し,前回と同様に資料の提出を求めたが,同被告側は,これを拒否し,原告に対し,解雇の意思表示をした。 ウ前記認定事実によれば,被告大森廻漕店は,平成12年5月18日午前,取締役会を開催し,経営合理化案が実現しない限り同年6月30日をもって被告大森陸運を解散する方針を確認し,この時点で同被告の解散がほぼ確定したのであるが,同被告側は,建交労側に対し,そのことを知りながら直ちに告げず,かえって,同月末の資金ショートを回避するため,事務所及び駐車場の移転について合意したい旨や賃金カット及び労働条件の見直しについて提案を出す旨を述べたものである。すなわち,被告大森陸運側は,建交労側に対し,同被告が今後も存続するかのような態度を取ったものであり,同被告の解散を前提とした協議を直ちに行わなかった点において問題がないわけではない。 しかしながら,被告大森陸運側は,建交労側に対し,平成11年5月31日以降,たびたび同被告の経営状況が厳しいことを説明して賃金引下げと人員削減を提案し,その提案が実現しなければ同被告の解散もあり得ることを指摘していたのであり,また,平成12年5月18日以降,同被告の解散に関して事前協議の開催を申し入れるなどして,同被告の解散が切迫していることを示 その提案が実現しなければ同被告の解散もあり得ることを指摘していたのであり,また,平成12年5月18日以降,同被告の解散に関して事前協議の開催を申し入れるなどして,同被告の解散が切迫していることを示唆し,建交労側は,遅くとも同被告の臨時株主総会の開催日が決定された直後である同年6月6日,同月30日をもって同被告が解散することが予定されていることを認識していたものと認められる。 また,同年5月18日の時点では,被告大森陸運の解散を回避する余地が全くなかったわけではなく,同被告側が,同日,事務所及び駐車場の移転に関する合意や賃金引下げ等の提案に言及したのは,最後まで経営合理化による同被告の再建の可能性を追求しようとする意図の表れとみられなくもない。もっとも,証拠(証人F)によれば,この段階で建交労が同被告の経営合理化に関する提案を受け入れたとしても,そのことのみでは同年6月末の資金ショートを回避することはできなかったと認められるので,同月末の資金ショートを回避するため賃金引下げ等の提案をする旨の同被告側の発言は必ずしも適当でないが,証拠(証人F,同E)によれば,建交労が上記提案を受け入れた場合には,同被告としては被告大森廻漕店の支援が得られる見込みがあったと認められ,そのことによって同月末の資金ショートを回避する可能性があったといえるから,被告大森陸運側の上記発言は建交労側を欺くものとまではいえない。なお,同被告と建交労は,同年5月18日,駐車場移転について,被告大森廻漕店と被告大森陸運の関係が従来どおりであって,両者の分離を目的としたものではないことを確認した旨の確認書(甲18)を締結したものであるが,そこに同被告を解散しないとの趣旨を読みとることはできない。 さらに,被告大森陸運が,同被告の解散が 的としたものではないことを確認した旨の確認書(甲18)を締結したものであるが,そこに同被告を解散しないとの趣旨を読みとることはできない。 さらに,被告大森陸運が,同被告の解散がほぼ確定した後も,建交労との間で,同被告の経営合理化に関して協議を続けたのは,同被告の解散を回避したいという建交労の強い要望を受けたものと考えられ,同時に同被告の解散にも言及していたことを考慮すると,同被告が解散という重大な結果を回避するためぎりぎりまで同被告の経営合理化に関する協議を続けたことをもって不当ということはできない。 そして,被告大森陸運が,建交労及び関西合同労働組合との間で,同被告の解散を前提として解雇の条件等の問題について協議しなかったことは前記認定の事実経過から明らかであるが,それは,労働組合側が同被告の解散に反対する姿勢を貫いたことによるものであると考えられ,やむを得ない面があるというべきである。 なお,被告大森陸運側は,関西合同労働組合側に対し,損益計算書を裏付ける資料や過去10期分の決算報告書等の提出を拒否したものであるが,前記説示のとおり,同被告は,一般に会社を解散するか否かについて労使協議を行うべき義務を負うものではないから,同被告に対し,上記資料の提出を義務づけることはできない。 以上によれば,被告大森陸運が,建交労との間で,解散に伴ってその従業員を解雇する必要性があることを説明し,解雇の条件等の問題について誠意を尽くして事前に労使協議を行うべき義務に違反したと断ずることはできないし,関西合同労働組合との間で,誠意を尽くして協議を行わなかったともいえない。したがって,本件解雇が解雇権の濫用として無効になるとはいえない。 原告は,被告大森 ずることはできないし,関西合同労働組合との間で,誠意を尽くして協議を行わなかったともいえない。したがって,本件解雇が解雇権の濫用として無効になるとはいえない。 原告は,被告大森廻漕店及び被告大森陸運の役員らが平成12年5月18日の時点で同年6月30日をもって同被告を解散することが決定していることを知りながら,以後同月22日の同被告と建交労との団体交渉までその事実を秘匿し,建交労に所属する労働者に対して,会社再建の可能性があるかのように振る舞い続けたとか,上記役員らが同被告を再建する意思がないか,あるいはその再建の可能性が著しく低いことを正しく建交労に伝えなかったと主張するが,前記認定説示に照らし,採用することができない。 3 営業譲渡契約の成否(争点(3))について(1) 原告は,被告大森陸運が,その営業のうち,被告宇徳運輸に関わる営業をヘッド・シャーシや動産類の資産とともに同被告に譲渡するとともに,B取締役(海上コンテナの輸送に関わる業務一切の管理及び行政上の様々な申請等を行う。)・建交労と関西合同労働組合の組合員を除くすべての運転手・C事務員の労働契約を同被告に承継させたものであり,かつ,本件解雇は無効であるから,上記営業譲渡によって原告と被告大森陸運との間の労働契約も被告宇徳運輸に承継されたと主張するところ,一般に,企業が労働組合を排除する目的で,その営業を他の企業に譲渡したうえ,解散して労働者全員を解雇し,営業を譲り受けた他の企業が労働組合の組合員以外の者を雇用して営業を継続するといういわゆる偽装解散の場合には,労働組合の組合員に対する解雇の意思表示を無効として,営業を継続する他の企業に労働契約上の責任を追及する余地がある。 そこで,被告大森陸運と被告宇徳運輸との間の営業譲渡契約の 合には,労働組合の組合員に対する解雇の意思表示を無効として,営業を継続する他の企業に労働契約上の責任を追及する余地がある。 そこで,被告大森陸運と被告宇徳運輸との間の営業譲渡契約の成否について検討する。 (2) 確かに,前記争いのない事実等(3)ウによれば,被告大森陸運の従業員の一部(労働組合であるCSG(旧一般同盟)の組合員ら,もと取締役のB及び事務員のC)は,平成12年11月以降,被告宇徳運輸に雇用されており,また,同被告は,本件解散後,被告大森陸運がかつて使用し,三井オートリースに譲渡されたトレーラーのヘッド4台及びシャーシ11台を使用していたというのである。 しかしながら,他方,証拠(甲46,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告大森陸運の従業員であった非組合員の運転手I及び事務員Jは被告宇徳運輸に雇用されていないことが認められる。 また,証拠(甲24,25の1ないし9,12,15,甲46,71,72,74,88,乙23,証人F,同G,原告本人)によれば,被告大森陸運が所有・使用していたトレーラーのヘッド14台は,平成12年9月以降,被告宇徳運輸のほか,株式会社トラック共同センター,三協運輸有限会社,株式会社共栄運送及び株式会社西神陸運に譲渡されたり,その使用に供されたりし,また,被告大森陸運が使用していたトラック1台が栄運輸工業株式会社に譲渡されたことが認められる。 さらに,前記争いのない事実等(3)アによれば,被告大森陸運の業務は,その大部分が被告大森廻漕店からの発注によるものであったというのであるのに対し,証拠(丙11,証人E)及び弁論の全趣旨によれば,同被告は,本件解散後,従前被告大森陸運に発注していた運送業務を被告宇徳運輸に対して発注していないこ の発注によるものであったというのであるのに対し,証拠(丙11,証人E)及び弁論の全趣旨によれば,同被告は,本件解散後,従前被告大森陸運に発注していた運送業務を被告宇徳運輸に対して発注していないことが認められる。 これらの事実に照らせば,被告大森陸運の従業員の一部が被告宇徳運輸に雇用されたことや同被告が被告大森陸運がかつて使用していたトレーラーのヘッド及びシャーシを使用していたことから,被告大森陸運と被告宇徳運輸との間で営業譲渡契約が成立したと推認することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 (3) したがって,本件解雇が無効であり,営業譲渡によって原告と被告大森陸運との間の労働契約も被告宇徳運輸に承継された旨の原告の主張は,その前提を欠き,理由がない。 4 法人格否認の可否(争点(4))について前記認定説示のとおり,被告大森陸運が建交労及び関西合同労働組合との間で誠意を尽くして協議を行わなかったとはいえず,また,被告大森陸運と被告宇徳運輸との間で営業譲渡契約が成立したとはいえず,本件解散を偽装解散ということができない本件においては,本件解雇は有効であり,そうである以上,原告は,被告大森陸運の親会社である被告大森廻漕店に対し,法人格否認の法理(法人格の形骸化)により,労働契約上の責任を追及することはできないものというべきである。 5 共同不法行為の成否(争点(5))について(1) 原告は,本件解散は不当労働行為目的の解散であって,不当労働行為であるとか,営業譲渡に伴う労働契約承継からの原告の排除は不当労働行為であるから,これを行った被告らには共同不法行為が成立すると主張する。 しかしながら,前記認定説示のとおり,本件解散及び本件解雇はいずれも有効であるし,また の原告の排除は不当労働行為であるから,これを行った被告らには共同不法行為が成立すると主張する。 しかしながら,前記認定説示のとおり,本件解散及び本件解雇はいずれも有効であるし,また,被告大森陸運と被告宇徳運輸との間で営業譲渡契約が成立したとはいえない以上,本件解散や営業譲渡に関して被告らの共同不法行為が成立する余地はないというべきであるから,原告の上記主張は理由がない。 (2) 原告は,本件解散後,CSG及び建交労に所属する運転手は雇用を保障されたのに,原告に対しては雇用保障がなく,その組合所属を理由として不利益な差別取扱いを受けたから,被告らには共同不法行為が成立すると主張し,これに沿う証拠(甲46,78,80ないし83,88,証人G,原告本人)がある。 しかしながら,被告らがCSG及び建交労に所属する運転手の雇用を保障したと認めるに足りる客観的な証拠はなく,上記証拠(甲46,78,80ないし83,88,証人G,原告本人)は直ちに採用することができないから,原告の上記主張は理由がない。 (3) 原告は,被告大森廻漕店及び被告大森陸運の役員による不誠実な団体交渉は原告に対する不法行為であると主張する。 しかしながら,前記認定説示のとおり,被告大森陸運が建交労及び関西合同労働組合との間で誠意を尽くして協議を行わなかったとはいえない。 また,被告大森廻漕店は,原告の労働契約上の雇用主でないことはもとより,証拠上,原告が同被告の指揮監督の下で労務を提供していた事実や,同被告が原告に対して賃金を支払っていた事実を認めることはできないから,原告と同被告との間に労働契約に準じた関係が成立していたものということはできないし,また,同被告が,実質的にみて,原告の基本的な労働条件等 告に対して賃金を支払っていた事実を認めることはできないから,原告と同被告との間に労働契約に準じた関係が成立していたものということはできないし,また,同被告が,実質的にみて,原告の基本的な労働条件等について,雇用主である被告大森陸運と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定することができる地位にあったものということもできない。そして,前記説示のとおり,本件解散を偽装解散ということができず,法人格否認の法理が適用されない本件においては,被告大森廻漕店は,労働組合法7条にいう「使用者」に当たらないものと解するほかはないから,同被告は,建交労及び関西合同労働組合に対し,団体交渉義務を負わないものというべきである。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 第4 結語よって,原告の本訴請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,訴訟費用の負担について民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第六民事部裁判長裁判官松村雅司裁判官水野有子裁判官増田純平

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