平成12(ワ)303 渡島信用金庫降格

裁判年月日・裁判所
平成14年9月26日 函館地方裁判所
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判決文本文30,639 文字)

平成14年9月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成12年(ワ)第303号地位確認等請求事件口頭弁論終結日平成14年6月13日判決 主文 1 原告とA信用金庫(以下「被告金庫」という。)との間で,原告が同金庫B支店において勤務する地位を有することを確認する。 2 被告金庫は,原告に対し,平成11年8月から平成13年12月までの各月につき,別紙1未払賃金表中の未払賃金額記載の各金員及びこれに対する同表支給日記載の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告金庫は,原告に対し,平成14年1月から毎月21日限り金46万5500円,毎年6月末日限り金67万9150円,毎年12月21日限り金119万8500円を支払え。 4 被告らは,原告に対し,連帯して金20万円及びこれに対する被告金庫及び同Dについては平成12年12月23日から,被告Cについては同月29日から支払済みまでそれぞれ年5分の割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用については,原告に生じた費用の5分の4と被告金庫に生じた費用はこれを10分し,その3を原告の負担とし,その余は被告金庫の負担とし,原告に生じたその余の費用と被告C及び同Dに生じた費用は,これを10分し,その9を原告の負担とし,その余は被告C及び同Dの負担とする。 7 この判決は,第2項ないし第4項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項 及び同Dの負担とする。 7 この判決は,第2項ないし第4項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項と同旨 2 原告が,被告金庫に対して,同金庫昭和49年2月28日制定の資格規程第3条所定の資格区分において,「1.管理事務職,(5)主事E級」の地位にあることを確認する。 3 原告が,被告金庫に対して,上記資格規程第7条所定の職位において,「(5)主事」の「店次長」の地位にあることを確認する。 4 被告金庫は,原告に対し,平成11年8月から平成13年12月までの各月につき,別紙2(省略)中の未払賃金額記載の各金員及びこれに対する同表支給日記載の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告金庫は,原告に対し,平成14年1月から毎月21日限り金51万1500円,毎年6月末日限り金68万0850円,毎年12月21日限り金120万1500円を支払え。 6 原告が,被告金庫に対して,同金庫昭和49年4月1日施行の改正給与規程第23条に基づく原告の基本給及び加給が,同規程の平成8年4月1日改正別表中の基本給号俸表における管理職E級100号俸及び加給号俸表における管理職E級107号俸の地位にあることを確認する。 7 被告らは,原告に対し,連帯して金200万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日(被告金庫及び被告Dに対しての送達日は平成12年12月22日であり,被告Cに対しての送達日は同月28日である。)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告金庫に勤務する原告が,同金庫から降格,配置換え,減給等の処遇(以下「本件処遇」という。)を 日である。)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告金庫に勤務する原告が,同金庫から降格,配置換え,減給等の処遇(以下「本件処遇」という。)を受けたものの,同処遇は人事権行使の濫用だから無効であるなどと主張して,同金庫に対し,本件処遇前における人事上の各地位を有することの確認を求めるとともに,従前賃金との差額(未払賃金)の支払を求め,さらに本件処遇それ自体及びその際の同金庫の対応はその代表者である被告C及び同Dによりなされた違法行為であり,原告はこれにより精神的な苦痛を受けたとして,被告らに対し,不法行為に基づく慰謝料の支払を求めた事案である。 1 前提事実(証拠等を併記したものの他は争いがない。)(1)被告金庫は,明治44年5月,E信用組合として設立され,昭和26年6月15日,信用金庫法に基づき現在の名称に変更された信用金庫であり,肩書地に本店を置くほか,B支店,F支店(函館市),G支店(函館市),H支店(大成町),I支店,J支店,K支店,L支店,M支店,N支店,O支店及びP支店の12支店を設け,職員約150名をもって業務を行っている。 (2)被告C及び同Dは,ともに被告金庫の代表理事であり,平成8年5月以降,前者は理事長,後者は常務理事の地位にある。 (3)被告金庫における職員の資格及びその昇格は,同金庫昭和49年2月28日制定の資格規程(以下「資格規程」という。また,以下では,内容を変更しない限りにおいて,誤字等を修正したうえ同規程中の文言を引用する。)によって規定され(甲2),その給与は,就業規則の定めるところにより,同金庫昭和49年4月1日改正施行の給与規程(以下「給与規程」という。 等を修正したうえ同規程中の文言を引用する。)によって規定され(甲2),その給与は,就業規則の定めるところにより,同金庫昭和49年4月1日改正施行の給与規程(以下「給与規程」という。 同規程に添付されている現行の別表は平成8年4月1日改正の基本給号俸表及び加給号俸表である。)によって規定されている(甲3)。 資格規程によれば,一般事務に従事する事務職員は,管理事務職員と一般事務職員に大別され(2条),その資格は,職務遂行能力に応じ,上位から順に,管理事務職では,参与(I級),副参与(H級),参事(G級),参事補(F級),主事(E級)及び副主事(D級)に,一般事務職では,主事補(C級),書記(B級),書記補(A級),事務職(1級),事務職(2級)及び事務職(試用3級)に区分され(3条),各資格の基準は同規程の別表に定められている(4条)。これによると,副参与(H級)は,「経営上必要な知識・経験を有し,権限の範囲内で,自主的に重要業務の判定を行い,担当部門の全般的な業務運営にあたりうる能力を有する」ことを,参事補(F級)は,「職務上必要な高度の知識・経験を有し,権限の範囲内で,自主的に業務全般の判定を行い,所管業務を遂行しうる能力を有する」ことを,主事(E級)は,「職務上必要な相当高度の知識・経験を有し,上司を補佐して,業務全般の判定を行い,常時部下を指揮して業務を遂行しうる能力を有する」ことを,主事補(C級)は,「職務上必要な知識・経験を有し,一般的な指示に従い上司を補佐して,分担業務につき,具体的計画と遂行にあたり,常時部下を指導調整および監督を行う能力を有する」ことをそれぞれ基準としている。資格と職位の関係で し,一般的な指示に従い上司を補佐して,分担業務につき,具体的計画と遂行にあたり,常時部下を指導調整および監督を行う能力を有する」ことをそれぞれ基準としている。資格と職位の関係では,副参与(H級)は,「部長,部次長,支店長,課長,室長,店次長,室次長」,参事補(F級)は,「部次長,課長,支店長,店次長,課長代理,調査役,検査役,店長代理,室長,室次長」,主事(E級)は,「課長,支店長,店次長,課長代理,係長,主任,店長代理,調査役,検査役,室次長」,主事補(C級)は,「課長代理,係長,主任,店長代理,室長代理,一般職員」への配置をそれぞれ原則としている(7条)。 また,同規程は,「懲戒処分に該当し,もしくは,職務遂行能力よりして,当該資格基準を満たさないと認められた場合は,降格を行うことがある」と規定している(6条)。 (4)被告Cが被告金庫の理事長に就任した平成8年5月以前における被告金庫の人事は,基本的には年功序列的に処理されていたが,被告Cが同理事長に就任して以降は,職員の業績評価見直しによる積極的な人事考課を行う方針に改められ,人事考課に基づく降格,降職等が比較的頻繁になされるようになった(甲79,80,証人Q,被告D)。 (5)原告は,昭和42年3月にR高等学校を卒業後,同年4月に被告金庫と雇用契約を締結して現在に至っている。その後の経過は,昭和54年4月1日以降において,別紙3(省略)のとおりである。原告とA信用金庫労働組合(以下「組合」という。)との関わりについて,原告は,昭和48年9月の組合結成とともに組合に加入し,結婚,長女誕生を経て昭和54年に脱退したが,平成12年6月30日から再加 働組合(以下「組合」という。)との関わりについて,原告は,昭和48年9月の組合結成とともに組合に加入し,結婚,長女誕生を経て昭和54年に脱退したが,平成12年6月30日から再加入している(原告,弁論の全趣旨)。 この間,被告C及び同Dがそれぞれ理事長及び常務理事に就任した平成8年5月以降,原告は理事長宛の始末書3通(平成8年11月19日付け,同年12月3日付け,同月27日付け)を徴されたことなどから(甲6ないし9),推移表記載のとおり,平成9年1月6日付けで降格,減給され,その後も,理事長宛の始末書3通(平成9年4月16日付け2通,同年6月19日付け)及び顛末書1通(平成9年5月30日付け)を徴されたことなどから(甲10,乙12,15,16),推移表記載のとおり,同年6月30日付けで降格,減給されるとともに,同年7月1日付けで本店本部の審査部管理課長からI支店次長に配転されるなどした(被告金庫による上記各降格及び減給行為は,以下日付けをもって特定する。)。 (6)原告は,平成11年7月16日付けの人事異動により,O支店次長からB支店次長に配転され,同店で勤務していたところ,被告金庫は,平成12年7月18日,原告に対し,同金庫における資格を管理職E級から事務職C級に,その職位を支店次長から一般職員にそれぞれ低下変更したうえ(以下それぞれ「本件降格行為」,「本件降職行為」という。),N支店に配置換えし(以下「本件配転行為」という。),本給(基本給及び加給)を推移表記載のとおり切り下げたほか,従前支給していた役職手当月額4万5000円を無配とし,住宅手当を従前の月額2万円から月額1万3000円に減ずる(以下「本件 (基本給及び加給)を推移表記載のとおり切り下げたほか,従前支給していた役職手当月額4万5000円を無配とし,住宅手当を従前の月額2万円から月額1万3000円に減ずる(以下「本件減給行為」という。)旨の本件処遇を発令し,その辞令は同月21日,原告に到達した。 2 争点(1)本件降格行為,本件降職行為及び本件配転行為は権利濫用として無効であるか。 (2)平成9年1月6日付け減給行為,同年6月30日付け減給行為及び本件減給行為は有効であるか。 (3) 慰謝料請求権の存否 3 争点に関する当事者の主張要旨(1)争点(1)について(原告)ア本件降格,降職及び配転行為については,平成12年6月5日における被告Cからの電話に対する原告の対応に端を発し,以降,被告金庫は,原告に対し,1か月以上も仕事を与えず,原告に対する中傷等を通じて退職のやむなきに至らしめようとしていたものであり,このような状況下において,同月30日,原告が組合に加入したことをとらえて,B支店次長が組合員になることは許し難いとして,上記各行為が行われたものである。 したがって,これらの行為は理由がないばかりでなく,必要性や合理性に欠け,また,配転については原告が辞令を受け取ってからわずか3日後に転勤させたことや,原告の家族構成,経済状態等を考慮すれば到底是認し得ない人事といわざるを得ず,さらにこれらの行為は不当労働行為に該当し,いずれも権利濫用として違法無効である。 イ被告金庫の後記事実主張に対する反論は次のとおりである。 (ア)まず,平成8年11月19日付け始末書の件(甲6)について,原告のとった措置は本部決裁の遅れに 違法無効である。 イ被告金庫の後記事実主張に対する反論は次のとおりである。 (ア)まず,平成8年11月19日付け始末書の件(甲6)について,原告のとった措置は本部決裁の遅れに対処するための緊急避難的なものであり,本部が原告や支店を責めるのは責任転嫁である。次に,同年12月3日付け始末書の件(甲7)について,原告がそのことを初めて指摘されたのは同年11月ころの本部検査の際であり,この時に始末書の提出を指示され,同年12月中には求められた200件リストを作成している。P支店の規模や所管地域からすれば,200件の融資開拓リストを作れというには実質的に無理がある。同月27日付け始末書の件(甲8)について,原告は前任の支店長から該当案件が既存建物を取り壊して新築するものであるとの引継ぎを受けておらず,そのことを初めて知ったのは融資担当次長から同年11月ころ告げられたことによる。したがって,原告に責任があるとはいえない。 (イ)平成9年4月16日付け始末書の件(甲10)について,そのうち女子職員に対する指導の件は支店長による指導前の問題であり,仮に支店長の管理教育の問題とされるとしても,既に転勤して現場にいない原告が始末書を作成させられるのは理解し難い。また,女子組合員の件については,原告がP支店長時代に女性職員がほぼ全員組合に加入したことによる腹いせ的な対応である。同日付け始末書の件(乙12)については,当時,P支店のみならず,検査を受けた支店のほとんどが役席者キー及び諸届けの不備を指摘され,指導されている。同年5月30日付け顛末書の件( 書の件(乙12)については,当時,P支店のみならず,検査を受けた支店のほとんどが役席者キー及び諸届けの不備を指摘され,指導されている。同年5月30日付け顛末書の件(乙15)については,理事者の責任を原告ら管理課に責任転嫁されて顛末書を書かされたものではないかと考える。同年6月19日付け始末書の件(乙16)については,まったく身に覚えのないことである。 (ウ)I支店時代の被告金庫主張事実は具体性を欠き,反論のしようがない。 (エ)B支店の目標未達成については,原告にとって,B支店における定期積金(月掛)の集金先を捜し当てるだけでも大変な苦労をし,1日に10件程度しか訪問できない状態であった。そんな状況で,知人,親族も少ない原告が年金受取口座や融資先を新規開拓することは当然無理があり,特に年金については,被告金庫との取引先は既に契約済みであり,純新規となれば大変困難であった。また,除雪の件や電話での応対の件等については,些細なことに過ぎず,このことで被告Cらは原告に対し,吊し上げや誹謗中傷等を行ったものである。 (オ)よって,被告金庫の本件降格,降職及び配転行為には理由も必要性もなく,これらは不当労働行為にあたる。 (被告金庫)ア本件降格,降職及び配転行為に至るまでの事実経過は次のとおりである。 (ア)原告は,M支店長在職中の平成6年8月ころ,被告金庫の指導に反して,歩積・両建預金の自粛に抵触する行為を行い,これが平成8年に発覚したため,同金庫から平成8年11月19日付けで始末書(甲6)を徴取された。また,原告は,同年5月7日に発令さ て,歩積・両建預金の自粛に抵触する行為を行い,これが平成8年に発覚したため,同金庫から平成8年11月19日付けで始末書(甲6)を徴取された。また,原告は,同年5月7日に発令されたP支店長として在職中,同金庫からの数度の督促にもかかわらず,外務訪問先開拓リスト査定表等を提出しなかったために,同年12月3日付けで始末書(甲7)を徴取された。さらに,原告は,同支店長時代に同金庫のため担保権が付けられていた建物の取壊前に(根)抵当権抹消申請書を同金庫審査部に提出してその承認を受けたうえ,(根)抵当権抹消登記手続をすべきところ,これを怠り,同建物取壊後に同申請書を提出したため,同月27日付けで始末書(甲8)を徴取された。これら及び諸般の事情により,原告は平成9年1月6日付けで管理職H級から管理職F級に降格され,それに伴い減給された。 (イ)原告は,P支店長時代において,同金庫からの指導にもかかわらず,同支店の女子職員の挨拶,電話対応のまずさについて教育の徹底がなされていなかったことや,同支店の職員である組合の構成員が他の職員に対してした執務時間内における組合加入の勧誘行為を防止できなかったことについて,同年4月16日付けで始末書(甲10)を徴取された。 さらに,原告は,P支店長時代,役席者キー及び諸届けの取扱不備を内部検査で指摘されていたにもかかわらず,それを改善する意思も行動もなく,内部検査で再度指摘を受けて,同日付けで始末書(乙12)を徴取された。また,原告は,本部管理課長在職中の平成9年5月ころ,当庁から整理会社の整理計画案に対する同意 なく,内部検査で再度指摘を受けて,同日付けで始末書(乙12)を徴取された。また,原告は,本部管理課長在職中の平成9年5月ころ,当庁から整理会社の整理計画案に対する同意,不同意を一定期間までに当庁に書面で回答するように求められていたにもかかわらず,期間を徒過させてしまった(乙15)。同年6月ころには,J支店から延滞貸付金弁済について,担当者である原告に何度も問い合わせがなされたが,原告が明確な対応,回答をしなかったので,同支店も対応に苦慮し,ついに原告の上司に直訴する事件があり,この件でも原告は始末書を徴取された(乙16)。 (ウ)同年1月6日付け降格,減給後におけるこれらの事情及び原告の勤務態度等諸般の事情を考慮し,同金庫は,同年6月30日付けで,原告を管理職F級から管理職E級に降格し,同年7月1日付けでI支店次長に配転した。しかし,ここでも以前と同様,顧客に対する態度や口のきき方の悪さ,職務に対する情熱のなさ等は一向に改善されず,同店支店長の上申を受けて,同金庫は同年11月1日付けをもって,原告をO支店次長に配転した。 (エ)その後,原告は,平成11年7月21日から,B支店次長として定期預金,定期積金,年金受取口座の獲得や新規融資案件の開拓等の外務を担当していたところ,支店の次長であれば,率先して一般職員以上に目標を達成する努力が求められるにもかかわらず,原告にはやる気がなく,各種目標を達成できないでいたことから,同年12月26日,原告は同店支店長とともに,理事長宛の始末書(乙21)を作成した。原告は,翌27日か ,原告にはやる気がなく,各種目標を達成できないでいたことから,同年12月26日,原告は同店支店長とともに,理事長宛の始末書(乙21)を作成した。原告は,翌27日から内勤の融資担当となったが,原告の顧客に対する対応の悪さや自己の過失を担当者に責任転嫁する姿勢等が指摘されていたところ,平成12年3月初めころ,被告Cが所用でB支店前を通りかかった際,同支店正面玄関前の除雪が不十分であったことが目に留まり,日頃から地域に対する配慮として掃除や除雪を心がけるように指導していたことから,電話でその旨指摘したところ,対応した原告は,自己の担当分である支店裏の駐車場は除雪したと回答するのみで,到底役職者のする対応とは思われず,そのやる気のなさを窺わせた。さらに,同年6月ころ,被告CがB支店長に架電した際,対応した原告は,支店長が外勤のため不在で行き先を知らないと答えたため,支店長はいつも行き先を告げずに外出するのかと問い質したところ,要領を得ない回答であったため,話を逸らし,何事もごまかそうとする態度の表れであるととらえざるを得なかった。そこで,同月7日には,自省を促すために通常の業務を行わせず,就業規則を熟読するよう指示し,同月15日には被告DがB支店に赴いて原告と話をしたものの,反省の様子はみられなかった。 イ以上により,被告金庫はこれまでの原告の一連の不業績,降格されても一向に反省,改善のないこと,上記事実,特にB支店における各種目標の未達成等を勘案して,原告は管理職としての適性を欠くものと判断し,本件降格及び降職行為を行った。また,このこ 一向に反省,改善のないこと,上記事実,特にB支店における各種目標の未達成等を勘案して,原告は管理職としての適性を欠くものと判断し,本件降格及び降職行為を行った。また,このころ,被告金庫は函館市内統括部を強化し,函館市外の支店からも多くの職員を同部に異動させることとしたところ,N支店で外務を担当していた職員もその対象となったため,その後任が必要であったことや,これまでの経緯から原告にとって初めて勤務する支店の方がよいと判断したことなどから本件配転行為を行った。 本件降格行為は資格規程6条に基づくものであり,本件降職及び配転行為は企業に裁量が認められる人事権の行使として権利濫用にはあたらない。 なお,上記各行為は,原告が組合に加入してない時期における事情を考慮したものであり,実際,原告は長らく組合とは無縁の生活を送ってきたものであるから,不当労働行為性は全くない。 したがって,本件降格,降職及び配転行為はいずれも適法である。 (2)争点(2)について(被告金庫)本件における各減給行為は,給与規程22条及び23条に基づくものであり,適法である。同規程が昇格に伴う給与体系について規定しておきながら,降格に伴う減給について要件を規定していないのは,降格に伴い減給となることは当然の事理だからである。すなわち,職員のある時点における給与の号数(号俸)は決まっているところ,資格に変更があってもその号数は変わらないから,変更後の資格における同一号数に該当する給与に機械的に減給されることになるのである。 したがって,減給それ自体の違法を前提とし,これに基づき既発生分及び将来給付分につい ないから,変更後の資格における同一号数に該当する給与に機械的に減給されることになるのである。 したがって,減給それ自体の違法を前提とし,これに基づき既発生分及び将来給付分について,本来支払われるべき金員との差額を求める原告の請求は理由がない。 (原告)給与規程では,降格に伴う減給に関する具体的な規定は存在せず,せいぜい同規程28条で昇給幅を小さくする措置か,同規程29条で昇給保留の措置が定められているに過ぎない。そうすると,同規程32条において,「降格によって給料の額に異動を生じた場合」とは,懲戒権行使による場合を指すものと思われるが,仮にそうではなく,人事権行使による降格に伴って減給となる場合があるとしても,被告金庫主張の計算方法では大幅な減給となり労働基準法91条の規制に抵触する可能性があるので肯認できず,昇格に伴う昇給について漸増する旨規定した同規程31条を解釈適用して,漸減する方法(すなわち,降格前の給与額と降格後の給与額は同じであることを原則とし,それに適合する号俸を適用する方法)で減給額を算定すべきである。 したがって,原告は同方法に従って計算した給与額につき未払いのもの(ただし,平成11年8月分以降のもの)と将来の給付とを請求する。その際,毎年6月末日と12月21日にそれぞれ支給される夏期賞与と年末賞与については,全職員一律分と査定分とがあるところ,本件では,前者(夏期賞与につき本給の1.7か月分,年末賞与につき本給の3か月分)のみ請求し,後者は請求しない。また,本件処遇が無効であることを前提とする将来の給付について,本給以外に支給される諸手当は,支給根拠と金額が具体的に特定されて つき本給の3か月分)のみ請求し,後者は請求しない。また,本件処遇が無効であることを前提とする将来の給付について,本給以外に支給される諸手当は,支給根拠と金額が具体的に特定されているもの(役職手当4万5000円,住宅手当2万円,食事手当1万1000円,家族手当3万5000円)のみを請求し,通勤手当と勤務手当は請求しない。 (3)争点(3)について(原告)本件処遇それ自体及びそれに伴う非常識な誹謗中傷,言いがかり,つるし上げ,退職強要,仕事の取り上げ等の被告金庫の対応は,使用者の有する人事権の裁量の範囲を著しく逸脱するもので,原告に対する不法行為を構成する。これは,被告金庫代表者である被告C及び同Dによって,法人の機関としてその職務を行うについてなされたものであるから,被告金庫,同C及び同Dは,原告が被った精神的苦痛(人格侵害や家族生活に対する侵害)を慰謝すべく連帯して損害を賠償する責任を負う。 (被告ら)否認又は争う。本件処遇は適法であり,それに伴う不法行為も存在しない。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)について(1)証拠(甲12,原告のほか該当個所で併記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,原告の被告金庫における降格,降職及び配転の経緯及び内容等について,次の事実が認められる。 ア原告は,被告金庫の指導に反し,M支店長在職中の平成6年8月15日,歩積・両建預金の自粛に抵触する行為をなし,これが平成8年に判明したため,同年11月19日付けで理事長宛の始末書を提出した(甲6,被告D)。 これに対し,原告は,その措置は本部決裁の遅れに対処するための緊急避難的行為であり,原告を ため,同年11月19日付けで理事長宛の始末書を提出した(甲6,被告D)。 これに対し,原告は,その措置は本部決裁の遅れに対処するための緊急避難的行為であり,原告を非難するのは責任転嫁である旨主張し,これに符合する原告の供述部分がある。 しかしながら,歩積・両建預金をさせることになった顧客である法人がM支店に融資を依頼したのは,資金を必要とする日の2,3日前に過ぎなかった(原告)のであるから,本部の決裁が特に遅れたとはいえず,また,原告としても,本部の決裁が資金需要日までに間に合わなければ,とりあえず,同日前に顧客の定期預金の解約に応じ,その後融資の決裁が下りて融資が得られた後に歩積み両建てするという方法をとってもよいかどうかをあらかじめ本部に打診することは十分可能であったところ,こうした代替策を講じず,本部の了解なく独断で歩積・両建行為を行ったことは明らかである(原告,被告D)から,原告の主張は理由がない。 イ原告は,平成8年5月7日に発令されたP支店長に在職中,被告金庫からの督促にもかかわらず,外部訪問先開拓リスト査定表等(以下「査定表等」という。)を作成しなかったために,同年12月3日付けで理事長宛の始末書を提出した(甲7,乙4,5,被告D)。 これに対し,原告は,査定表等をその時までに作成していなかったことは認めながらも,その未作成を指摘されたのは同年11月ころの本部検査の時が初めてである旨主張し,これに符合する原告の供述部分がある。 しかしながら,支店長が査定表等を作成することは,支店が営業を推進するうえでの基礎になるものとして,当時,被告金 の時が初めてである旨主張し,これに符合する原告の供述部分がある。 しかしながら,支店長が査定表等を作成することは,支店が営業を推進するうえでの基礎になるものとして,当時,被告金庫本部の業務部から作成が指導されていた(被告D)ものであり,またその作成に格別時間を要するものではなかった(原告)のであるから,原告の未作成を初めて指摘された時期がいつであるにせよ,その未作成の責任が免れられるものではなく,また減じられたりするものではないというべきである。よって,原告の主張は理由がない。 ウ原告は,上記P支店長時代に,被告金庫のため担保権が設定されていた建物の取壊前に(根)抵当物件抹消申請書を同金庫審査部に提出してその承認を受け,(根)抵当権抹消登記手続をすべきところ,これを怠り,同建物取壊後に同申請書を提出したため,平成8年12月27日付けで理事長宛の始末書を提出した(甲8,原告,被告D)。 これに対し,原告は,前任の支店長から該当案件が既存建物を取り壊して新築するものであるとの引継ぎを受けておらず,上記事態を初めて知ったのは融資担当次長から同年11月ころ言われたことによるのであるから,原告にのみ責任があるとはいえないと主張し,これに符合する原告の供述部分がある。 しかしながら,貸付関係の引継ぎは受けており,融資ファイルを見れば担保設定状況が把握できるうえ,原告は担保設定物件の所有者が被告金庫の融資先の代表者であることを知っていたとみられるし,当時,P支店の住宅金融公庫の融資案件は3件から5件程度に過ぎなかった(原告)のであるから,原告が仮に上記の引継ぎを受けて の融資先の代表者であることを知っていたとみられるし,当時,P支店の住宅金融公庫の融資案件は3件から5件程度に過ぎなかった(原告)のであるから,原告が仮に上記の引継ぎを受けていなかったとしても,上記事態を招いたことは明らかに過失があるというべきであり,またそのような結果を招いたことは,金融機関として重大な事態であって,その最大の責任は上記事態が発生した当時のP支店の最高責任者である原告にあるといわざるを得ないから,原告の主張は採用できない。 エ原告は,上記アないしウの事情により,平成9年1月6日付けで管理職H級から管理職F級に降格され,それに伴い推移表記載のとおり減給された(甲9,被告D)。 オその後,原告は,P支店長時代に被告金庫からの指導にもかかわらず,同支店の女性職員の挨拶,電話対応のまずさについて教育の徹底をしていなかったことや,同支店の職員である組合員が執務時間内に他の職員に対し組合加入の勧誘行為をすることを防止できなかったことについて,平成9年4月16日付けで理事長宛の始末書を提出した(甲10,被告D)。 これに対し,原告は,女性職員への指導は支店長の教育指導以前の問題であり,仮に支店長の管理教育の問題とされるにしても,既に転勤して現場にいない原告が始末書を提出しなければならないというのは理解し難いし,組合勧誘の件については,原告がP支店長時代に女性職員がほぼ全員組合に加入したことによる腹いせ的対応であると主張し,これに符合する原告の供述部分がある。 しかしながら,支店の女性職員の挨拶や電話対応のまずさについては支店の最高責任者で管理職である支 ことによる腹いせ的対応であると主張し,これに符合する原告の供述部分がある。 しかしながら,支店の女性職員の挨拶や電話対応のまずさについては支店の最高責任者で管理職である支店長に教育指導責任があるといわざるを得ず,この不徹底がなされていた当時の支店長が原告であった(原告,被告D)のであるから,原告の責任は免れないというべきである。また,職員の執務時間内における組合勧誘については,本件全証拠によっても,そのとおりの事実があったかどうかは判然としないものの,始末書の文面上,その対象は執務時間内の勧誘行為に限定されており,組合加入に対する腹いせ的対応であると断定できるまでの証拠は存在しないから,原告の主張は理由がない。 カ原告は,P支店長時代,役席者キー及び諸届けの取扱不備を被告金庫の内部検査により指摘されていたにもかかわらず,それを改善する行動をせず,再度内部検査で指摘を受けて,平成9年4月16日付けで理事長宛の始末書を提出した(乙12,被告D)。 これに対し,原告は,平成8年当時,P支店のみならず検査を受けた支店のほとんどが不備を指摘され指導されているから,原告の責任は必ずしも重くはない旨主張し,これに符合する原告の供述部分がある。 しかしながら,役席者キーは,本来ならば扱わない異例の取引について,支店長のような役席者がカードを使用して承認するためのものである(原告,被告D)から,その取扱いは慎重であるべきものであり,したがってこれに不備があったことの責任は決して軽いものとはいえないから,原告の上記主張は理由がない。 キ原告は,本部管理課長の時である平 の取扱いは慎重であるべきものであり,したがってこれに不備があったことの責任は決して軽いものとはいえないから,原告の上記主張は理由がない。 キ原告は,本部管理課長の時である平成9年5月ころ,当庁から整理会社の整理計画案に対する同意・不同意を一定期間までに当庁に書面で回答するように求められていたにもかかわらず,期間を徒過させてしまったことに対して,同月30日付けで理事長宛の顛末書を提出した(乙13ないし15,被告D)。 これに対し,原告は,この期間徒過は決裁者である理事者の責任を原告に転嫁したものである旨主張し,これに符合する原告の供述部分がある。 しかしながら,当時被告金庫本部管理部の職員は,部長,原告及び他の1名の職員の3名しかおらず,また特にその部において役割分担が決められていたわけではなかった(原告,被告D)こと,管理部から理事者への決裁のための上申後に理事者の側でことさら期限を徒過させてしまったとの事情は認められない(被告Dは,関係書類を閲覧したところ,上記上申自体が遅れて期限までに決裁が間に合わなかった旨供述している。)こと等の事情に照らせば,この期限徒過は管理部に責任があるといわざるを得ず,当時原告がこの職務を担当していなかったとの特段の事情を認めるに足りる証拠はないことから,原告のこの点についての責任は免れないといわざるを得ない。よって,原告の上記主張は採用できない。 ク平成9年6月ころ,J支店から延滞貸付金弁済について担当部である本部管理部に問い合わせがあった際,同支店への指示につき管理部として不適切な対応,指示により同支店の事務処理を困窮させたこ 成9年6月ころ,J支店から延滞貸付金弁済について担当部である本部管理部に問い合わせがあった際,同支店への指示につき管理部として不適切な対応,指示により同支店の事務処理を困窮させたことから,原告は理事長宛の始末書を提出した(乙16,被告D)。 この点について,原告はまったく身に覚えはないことであると主張し,これに符合する原告の供述がある。 しかしながら,原告は上記不適切な事務処理を行ったことを認める上記始末書を提出していること,被告Dの供述中には,当時のJ支店長に事実確認をしたところ,原告の対応に不適切な点があったことが認められた旨の部分があること等の事実に照らせば,上記原告の供述部分はたやすく信用することができず,他に上記認定を覆す証拠はないから,原告の主張は採用できない。 ケ被告金庫は,上記オないしクの諸事情等を考慮し,平成9年6月30日付けで,原告を管理職F級から管理職E級に降格し,同年7月1日付けでI支店次長に配転した。しかし,顧客に対する態度や口のきき方の悪さ,職務に対する情熱のなさ等が認められ,原告は同年10月16日付けで理事長宛の始末書を提出したが,I支店長の再三の注意にもかかわらず,改善しないため,同支店長の上申を受けて,同金庫は,同年11月1日付けをもって,原告をO支店次長に配転した(乙17ないし19,証人S,被告D)。 コ原告は,平成11年7月15日まで同次長として外務を担当したが,その間,不行跡等を指摘されることはなく,年金受取口座や定期預金,定期積金の獲得等の支店目標(いわゆるノルマ)は達成していた(証人Q)。 サ原告は,平成11年 務を担当したが,その間,不行跡等を指摘されることはなく,年金受取口座や定期預金,定期積金の獲得等の支店目標(いわゆるノルマ)は達成していた(証人Q)。 サ原告は,平成11年7月16日からB支店次長となり,外務に専従したが,その実績は,別紙4(省略)のとおりであり,年金受取口座,新規融資案件については同月から同年12月にかけて1件も獲得できず,同月26日付けで,「内部事務管理,預金増強,債務者数の増強,年金受給口座獲得など次長として店舗の管理者としての自覚の欠如より不備又は未達成の状態であり,不備は普段から部下の指導をしていないためであり,又各種増強運動については何の目的や戦略もなく,ここまで経過したことは深く反省致します。これからは,次長として支店長の補佐,職員の指導など自から先頭に立ち強いこだわりを持ち業務推進致します」と記載した理事長宛の始末書を,B支店長作成の始末書とともに提出した(乙20ないし22)。 これに対し,原告は,B支店勤務は22年ぶりで,取引先も変わっていることや,金融機関相互の競争が熾烈であること等のため年金等を獲得できなかった旨主張し,これに符合する原告供述部分がある。 しかしながら,原告の前任者は,原告同様,久しぶりにB支店で勤務したにもかかわらず,原告よりも良い業績を上げていた(証人T)のであり,また,原告自身認めるように,例えば信用金庫が主催する高齢者のゲートボール大会に参加して年金受取口座の獲得のための勧誘をする等の積極的な顧客開拓活動を行わなかった(原告)のであるから,原告の努力は不足していたと認めざるを得ない。 シそ ボール大会に参加して年金受取口座の獲得のための勧誘をする等の積極的な顧客開拓活動を行わなかった(原告)のであるから,原告の努力は不足していたと認めざるを得ない。 シそこで,原告は翌27日から内勤の融資担当に変更となったが,平成12年3月初めころ,被告Cが所用でB支店前を通りかかった際,同支店正面玄関前の除雪が不十分であると思ったことから,同支店に架電して,雪かきをしたかどうか確認した。これに対応した原告は,支店裏の駐車場は自ら雪かきをしたし,支店前は他の職員が雪かきをした旨回答したところ,被告Cから,支店前の除雪も十分なされているか確認することが管理職の責任ではないかと叱責された。 ス同年6月5日,被告CがB支店長に架電したところ,同支店長が不在のため原告が対応した際,同支店長の行き先を問う被告Cに対し,原告は,今日は外勤先を言わずに出かけたのでわからない旨返答した。そこで,被告Cが,いつも同支店長は行き先を告げずに外出するのかどうか問うたところ,原告は,言う場合と言わない場合があると返答した。これに対し,被告Cが,それは本当か,と確認したところ,原告は,その質問に直接答えず,同支店長をポケットベルで呼び出す旨回答したため,被告Cは,また話を逸らすつもりか,この前の雪かきの件もそうだったなどと言って,原告に対し,直ちに本部まで来るよう指示した。 原告は,同日午後5時ころ,本部理事長室に到着し,被告C及び同Dと面談した。その際,被告Cは,B支店長に確認したところ,行き先を言わずに外出する方が多いというのだから,行き先を言う場合と言わない場合があるという原告 着し,被告C及び同Dと面談した。その際,被告Cは,B支店長に確認したところ,行き先を言わずに外出する方が多いというのだから,行き先を言う場合と言わない場合があるという原告の返答は嘘である旨の話をした。これに対し,原告が,同支店長をかばうつもりで,言わずに外出することが多いとは答えなかったと応じたところ,被告Cは,直ちに同支店長に架電して,原告が同支店長をかばうつもりで答えたと言っているがどうなのか,と確認した後,本部の部課長10名ほどを理事長室に呼び出した。そこで,被告Dにおいて,原告を直立不動の姿勢にさせたうえ,被告Cは,原告に対し,以前の雪かきの件も含めてすべて嘘,ごまかしだ,これ以上,嘘をつく職員を使っていけない,身元保証人に連絡せよ,などと告げた。 同日午後8時ころ,B支店に戻った原告は,被告Cの指示により,同店支店長から,明日以降,就業規則を熟読すること及び融資担当は同店支店長代理に変更することを告げられた。なお,被告Dは被告Cの指示を補完して,原告に対しては,当分の間,就業規則の理解に専念し,これまでに不備のあった点,今後改善すべき点についてレポートを作成させるよう同支店長に指示した。 原告は,翌6日,休暇を取り,身元引受人ないし保証人である実母と実弟に会い,事の次第を説明したうえ,翌7日出勤したところ,既に次長として使用していた役席者カードとオペレーターカードが変更されており,同支店長から,検印ほか通常業務は行わず,次長としての心構えなどについてレポートを書くよう指示された。 同月15日,被告DがB支店を訪れ,身元保証人らとの連絡状況やレポ ,同支店長から,検印ほか通常業務は行わず,次長としての心構えなどについてレポートを書くよう指示された。 同月15日,被告DがB支店を訪れ,身元保証人らとの連絡状況やレポートの進捗状況等を確認した。そこで,原告が,支店長宛の「職場の管理者次長として今後どうして行くか」と題する書面(甲47)を提出したところ,被告Dはこれを閲読したうえ,今回の件だけでなく,雪かきの件やI支店での顧客とのトラブル等も含めて反省の必要があるため,身元保証人を交えて話をしたいので,再度連絡を取るように告げ,同日午後3時40分ころから,原告の勤務態度等について店内会議を開催させ,同店の職員が居並ぶ中で上記書面の内容について逐一確認した。それ以降,原告は,「就業規則を読んでの自分の考え」と題する書面(甲48)を作成して同支店長に提出したり,身元保証人を連れて本部に行く日を調整してもらうよう同支店長に依頼するなどしていたが,同支店長は本部と連絡を取らず,依然として原告は通常業務を行うことができなかった。そこで,原告は,同月30日,組合に加入し,同年7月11日,被告金庫と組合との間で団体交渉が行われたところ,翌12日から同月14日までの間は,同支店長から検査に備えて諸届けに不備がないかどうか確認する作業をするように指示されたものの,その後は本件処遇によりN支店に転勤するまで,やはり通常業務を行うことができず,自ら被告金庫の諸規程を読む作業等をしていた(証人T,被告D)。 セ B支店における原告の勤務状況については,仕事に対する熱意が必ずしも十分でなく,また顧客に対する言葉遣いや電話応対も芳しく 諸規程を読む作業等をしていた(証人T,被告D)。 セ B支店における原告の勤務状況については,仕事に対する熱意が必ずしも十分でなく,また顧客に対する言葉遣いや電話応対も芳しくなく,ポケットに手を入れたまま愛想も悪く顧客と話をしたり,十分な説明をしない等の態度も見受けられ,顧客からの苦情も少なくはなかった。部下や同僚職員に対しても自己の仕事上の間違いを認めようとせず,言い争いになったり,部下に対する指導も不十分であった。当時の支店長は,特に窓口の女性職員から原告に対する苦情を伝えられると注意していたが,改善されなかった(乙29ないし33,証人T)。 ソ被告金庫と組合との関係について,組合は,平成元年(2回),平成6年において被告金庫による団体交渉の拒否,支配介入等を理由として不当労働行為救済命令の申立てをし,平成元年,平成7年に北海道地方労働委員会から救済命令が発せられるなど両者間では対立関係が続いていた。被告Cは,平成6年当時,被告金庫の検査室長であり,当時の理事長宛に同年11月9日付け「A信用金庫労働組合員の実態報告について」と題する文書で,各店舗別の組合員の氏名を明らかにするとともに,組合員13名の人物評価を報告するなどしていた。被告Cが被告金庫の理事長に就任した後も被告金庫と組合との対立関係は解消されず,北海道地方労働委員会から平成11年8月26日付けで不当労働行為に対する救済命令が発せられるなどしたものの,被告金庫により続発した一連の不当労働行為により,平成9年2月末当時23名いた組合員が平成12年2月末には5名にまで減少したことなどから,平成13年9月 れるなどしたものの,被告金庫により続発した一連の不当労働行為により,平成9年2月末当時23名いた組合員が平成12年2月末には5名にまで減少したことなどから,平成13年9月17日札幌地方裁判所判決及びその控訴審である平成14年3月15日札幌高等裁判所判決により,被告金庫が組合に対し,不法行為による損害賠償を支払わなければならない事態にまで至った(甲5,82,83,103)。 タ本件配転行為により原告が配置換えとなったN支店は,被告金庫が本支店を展開する道南地方において比較的僻遠の地に所在し,かつて被告金庫が就業規則を変更する際,平成9年3月29日に開催された同規則改正説明会にあえて出席を要請しなかった4支店(P支店,H支店,N支店,O支店)のうちの1つである(この点,被告金庫による出席不要請の行為等も上記各判決により不当労働行為と認定されている。)。当時,上記4支店における組合員数は,組合員総数22名のうち,P支店6名,H支店5名,N支店5名,O支店3名の合計19名であった(甲4,32,45,82,83)。 なお,現在の組合員数は4名で,組合の委員長を務める証人QはH支店に勤務し,原告を除くその他の組合員も上記4支店のいずれかに配属されているものとみられる(証人Q)。 チ原告は,平成11年1月,住宅金融公庫から融資を受けて函館市内に自宅を建築し,B支店勤務時は,妻,長女,二女(本件配転行為時高校3年生)及び長男(同中学3年生)とともに生活していたが,N支店配転に伴って単身赴任となり,現在に至っている(甲12,16,17,84,原告)。 ツ被告Dは 為時高校3年生)及び長男(同中学3年生)とともに生活していたが,N支店配転に伴って単身赴任となり,現在に至っている(甲12,16,17,84,原告)。 ツ被告Dは,被告金庫が本件配転行為をした理由について,函館市内3店舗における外務担当領域の重複を避け,かつ外務を強化する目的で,函館市内統括部を増強し,函館市外の支店から多くの職員を同部に異動させたところ,N支店の外務担当者が異動対象者となったため,その後任として同支店の外務担当者に初めて同支店で勤務することになる原告を充て,初めての支店であればこれまでにあった顧客とのトラブルや職員からの苦情等を軽減できると判断した旨供述している。上記N支店の外務担当者は,その後約1か月という短期間を経て函館市内統括部からO支店に異動されている(甲84,乙23,被告D)。 (2)以上認定事実に前提事実(以下これらの事実を「認定事実等」という。)を加えて争点(1)について検討した結果は次のとおりである。 ア本件降格,降職行為等に近接する前後の原告の勤務状況等をみれば,雪かきの件及び電話の件という客観的には比較的些細な出来事に端を発して原告が被告金庫から通常業務を取り上げられ,就業規則を熟読する等のことを求められて3週間以上経過した後に原告は組合に加入し,組合と被告金庫との間で原告の件で団体交渉がもたれた後にもなお原告に通常業務が与えられない事態の中で本件降格,降職行為等がなされたものであり,この点を重視すれば,原告が主張するように被告金庫は原告を退職せしめようとして同人を間接的に追い込んでいたところ,原告が組合に加入したことから報 行為等がなされたものであり,この点を重視すれば,原告が主張するように被告金庫は原告を退職せしめようとして同人を間接的に追い込んでいたところ,原告が組合に加入したことから報復的に本件降格,降職行為等に及んだとの疑念が生ずるのも一応頷けないことはない。 しかしながら,確かに,後記争点(3)に関する判断の中で述べるとおり,上記被告金庫の原告に対する対応は,対象となる原告の行為の内容を踏まえた場合,人事権の行使としての裁量の範囲を超えて違法と評価せざるを得ないところではあるが(それが故に原告の被告らに対する損害賠償請求を認めたことは後記する。),被告らが原告の本件降格,降職行為等の処分理由として主張しているものは,平成6年8月以降の原告の勤務状況とこれに対する被告金庫の処遇内容や指導監督内容等であり,これらの長期間の人事資料が収集された時期は原告が組合に加入していない時期であったうえ,人事は継続的な資料に基づく総合的な判断でもあるという性質に照らせば(決して前降格,降職等以降の人事資料に限定されない。),これらの資料のうち当裁判所に認定されたものや人事権の行使の裁量性に関する事実をも勘案して,本件降格,降職行為等が被告金庫に与えられた人事権の行使についての裁量権を逸脱したものであるかどうかを検討すべきであると考える。 そこで,このような点をも踏まえて争点(1)について検討する。そもそも,本件降格,降職行為等が人事権の行使としての裁量権を逸脱しているかどうかを判断するに当たっては,使用者としての被告金庫における業務上,組織上の必要性の有無及び程度,労働者としての原告 本件降格,降職行為等が人事権の行使としての裁量権を逸脱しているかどうかを判断するに当たっては,使用者としての被告金庫における業務上,組織上の必要性の有無及び程度,労働者としての原告の受ける不利益の性質及びその程度,被告金庫における降格,降職等の運用状況等の事情を総合考慮すべきである。 これを本件についてみるに,認定事実等によれば,被告金庫の人事方針については,被告Cが被告金庫の理事長に就任する以前は基本的に年功序列に従って処理されていたと評することができるが,被告Cが理事長に就任した平成8年5月以降,被告金庫は職員の勤務状況や非違行為を重視し,職員に非違行為や不適当な行為があったときは職員から始末書等を徴求して,これらを踏まえ職員の降格,降職等を積極的に行う人事方針に改めたことが明らかであり,このような中で原告についても職務上不適当な行為がしばしばみられたことから,被告金庫から始末書等を徴求されたうえ,平成9年1月に管理職H級から2階級下の同F級に降格させられ,さらにその後も勤務状況が芳しからぬため,同年6月末に同F級から同E級に降格された後,平成12年7月18日付けで本件降格,降職行為等がなされたものである。そこで,原告についてはこれらの人事経過を踏まえたうえで,前降格以後の原告の勤務状況をみると,I支店次長時代は顧客に対する態度や口のきき方の悪さ,職務に対する情熱のなさ等がみられ,理事長宛の始末書を提出しているが,同支店の支店長の再三の注意にもかかわらず改善しなかったため,同支店長の転勤上申といういわば異例な事態を受けて(原告の勤務状況の悪さが推認されるというべ 宛の始末書を提出しているが,同支店の支店長の再三の注意にもかかわらず改善しなかったため,同支店長の転勤上申といういわば異例な事態を受けて(原告の勤務状況の悪さが推認されるというべきである。)O支店次長に配転したこと,その後O支店においては格別勤務状況の悪さは認められなかったが,B支店次長に配転した平成11年7月16日以降は,当初外務専従の役付としての職位にあったものの,職務に対する熱意が不十分で自らも実績を上げられなかったのみならず部下に対する指導も不十分で内部事務管理等の不備を招いたことから,これを認め以後改善の努力をする旨の始末書を同年12月26日付けで提出し,その後内勤の融資担当に変更になったものの相変わらず部下に対する指導も不十分なうえ,部下や同僚に対しても自己の仕事上の間違いを認めようとしない等の態度が認められ,さらに以前から指摘されていた顧客に対する言葉遣いや電話応対等も芳しくなく,顧客に対し無愛想な態度をとったり,十分な説明をしないこと等から苦情が同支店に寄せられるような有様であったこと,以上の事情が存在したことが明らかである。してみれば,本件降格行為は,これが原告に及ぼす不利益が著しいものでない限り,人事権の行使としてなお裁量の範囲内にあると解するのが相当であるところ,争点(2)についての後記判断のとおり,本件降格が直ちに原告の減給につながるものではなく,原告の生活に格別不利益を与えることはない一方で,本件降格行為は,被告金庫の地域に根ざした金融機関として性質上,その組織を維持し,これを円滑に機能させるためにやむを得ない面があったものというべきである。 えることはない一方で,本件降格行為は,被告金庫の地域に根ざした金融機関として性質上,その組織を維持し,これを円滑に機能させるためにやむを得ない面があったものというべきである。 もっとも,原告は管理職でなくなれば管理職手当が得られなくなるところ,これは業務の種類・態様が異なることによる当然の事態であり,原告は管理職でなくなればその責任も軽減され,職務自体の質も軽減されるのであるから,この点の不利益をことさら重視することはできない。以上の諸事情を併せ考慮すれば,被告金庫による本件降格行為は,これがなされた経緯に照らすと,その相当性に疑問の余地なしとまではいえないものの,なお人事権の行使としてその裁量を逸脱したものとまでは評することができず,権利濫用と断ずることはできないというほかはない。 イ次に本件降職行為についてみるに,資格規程によれば,資格がC級の場合の職位については,一般職員に処遇することも原則の場合に含まれることから,特段の事情が認められない限り,原告を一般職員に補したからといってこれを直ちに権利濫用であると評することはできず,また本件において特段の事情を認めるに足りる証拠はない。 ウ進んで,本件配転行為の効力について検討するに,原告を管理職から一般職員に降格,降職させる以上,職場の秩序と士気を保つ必要等の事情から原告を降格,降職前の職場であるB支店より他の支店に配転させる点での必要性自体は認めることができる。しかしながら,原告をN支店に配転した行為は,次の理由に照らせば被告金庫による不当労働行為であると推認するのが相当であり,したがってこれは無効であると解すべきで は認めることができる。しかしながら,原告をN支店に配転した行為は,次の理由に照らせば被告金庫による不当労働行為であると推認するのが相当であり,したがってこれは無効であると解すべきである。 すなわち,被告金庫に対し本件配転行為時までに組合からの申立てを受けて3度にわたり不当労働行為救済命令が発令されており,裁判所も近時,被告金庫の組合に対する不当労働行為の存在を認め,被告金庫に対し不法行為に基づく損害賠償の支払いを命じていることから明らかなように,被告金庫は本件配転行為時において組合を嫌悪していたとみられること,N支店は被告金庫の組合員が配置されている4支店のうちの一つであり,過去にも比較的多くの組合員が配置されてきた支店の一つであること,被告金庫はN支店の外務担当職員の一人が異動対象者となったことから原告をその補充に充てる必要があったと本件配転行為の理由を説明しているが,原告のこれまでの勤務状況に照らせば外勤に充てるのはいささか疑問があるうえ,上記N支店の異動対象者についても異動先である函館市内統括部を強化する目的で配転させたといいながら僅か1か月程度でO支店に再び異動されているという事態も不自然であるといわざるを得ないにもかかわらず,同被告からこの人事について未だ合理的な説明がなされているとはいえないこと,同被告は,原告が4人家族で子の教育費もかかり,さらに1年前に自宅をローンにより新築し,家計にさほど余裕がないことを知っていたと推認されるにもかかわらず,原告に対し本件降格,降職とともに大幅な減給行為を行ったのみならず,事実上,原告に単身赴任を強いて,経済的に二重 さほど余裕がないことを知っていたと推認されるにもかかわらず,原告に対し本件降格,降職とともに大幅な減給行為を行ったのみならず,事実上,原告に単身赴任を強いて,経済的に二重生活を余儀なくさせる本件配転行為を行ったこと,以上の事情が存在したものである。してみれば,特段の反証がない限り,本件配転行為は被告金庫による原告に対する不当労働行為であると推認するのが相当であり,また本件において特段の反証はない。 エよって,争点(1)に関する原告の主張のうち,本件配転行為の無効を主張する部分は理由があるが,本件降格及び降職行為についての部分は失当である。 2 争点(2)について(1)原告は,平成9年1月6日付け及び同年6月30日付けの各降格行為については本件においてその効力を争っておらず,また,上記判示のとおり,本件降格及び降職行為は有効であると認められるところ,被告金庫は,給与規程(甲3)における「基本給および加給は,等級と号数ごとに別表ⅠおよびⅡにより決定する。」との規定(22条)と,「職員に支給される基本給および加給の等級と号数は,本規程ならびに資格規程にしたがい別表の基本給表,加給表により決定する。」との規定(23条)によれば,基本給及び加給の号数は降格の前後で変更がないから,資格の等級が下がれば,給与規程別表に従い,下位の等級に該当する同一号数の給与に減給される旨主張する(実際,推移表によれば,上記各降格行為によって原告の資格が下がった後もその号数は変更されていない。)。 しかしながら,一方において,同規程が,昇格した場合の基本給について,「昇格直前に受けていた号数に対応する基本給月額と同額 の資格が下がった後もその号数は変更されていない。)。 しかしながら,一方において,同規程が,昇格した場合の基本給について,「昇格直前に受けていた号数に対応する基本給月額と同額の基本給月額が昇格した等級にある場合にはその額に対応する号数」,「昇格直前に受けていた号数に対応する基本給月額と同額の基本給が昇格した等級にない場合には,昇格直前に受けていた基本給月額の直近上位の額に対応する号数」によっていわば漸増的に昇給する旨定めている(31条)ことに照らすと(加給もこれに倣うものと思われる。実際,推移表と甲3,69,70とを照らし合わせてみると,原告の昭和63年10月4日付け及び平成3年7月22日付け各昇格に伴う基本給及び加給の昇給額は上記方法に従っているものと思われる。),同規程22条及び23条は,被告金庫における本給額が同規程別表により類型化されることを定めた静的な基準であるというべきであり,被告金庫の主張の論拠とはなり難い。また,他方において,同規程が,「著しく勤務成績が不良である場合」であっても,昇給留保の措置を定めているに過ぎない(29条)ことを勘案すると,同規程は32条において「降格によって給料の額に異動を生じた場合」を一般的に想定しているにせよ,懲戒権行使によるものは別論として,資格規程6条に基づいて人事権行使により降格がなされる場合に減給措置がなされることを当然に想定しているものかどうかが判然としない面があり(実際,本件全証拠によっても,被告C及び同Dが代表理事に就任した平成8年5月以前にかかる処遇がなされた事例は見当たらない,),少なくとも人事権行使による降格に伴う減給については明確な定 本件全証拠によっても,被告C及び同Dが代表理事に就任した平成8年5月以前にかかる処遇がなされた事例は見当たらない,),少なくとも人事権行使による降格に伴う減給については明確な定めを欠くものといわざるを得ない。 したがって,重要な労働条件の不利益変更である賃金の引き下げについて明確な規定が欠缺する以上,被告金庫では人事権行使による降格に伴って減給することはないと解する余地もあるが,給与規程22条及び23条の趣旨に照らせば,資格規程における資格と給与規程における等級との剥離を生じさせておくべきではないと解されるから,本件では,原告が主張するように,同規程31条を降格の場合にも類推適用して,いわば漸減的に減給されると解するのが相当である。よって,これに従い,同条の規定を降格,減給する場合に置き換えて,人事権行使により降格した場合の本給は,「降格直前に受けていた号数に対応する基本給及び加給月額と同額の基本給及び加給月額が昇格した等級にある場合にはその額に対応する号数」,「降格直前に受けていた号数に対応する基本給及び加給月額と同額の基本給及び加給が降格した等級にない場合には,降格直前に受けていた基本給及び加給月額の直近下位の額に対応する号数」によって算定する方法を適用するのが相当である。 そうすると,同方法によらない平成9年1月6日付け,同年6月30日付け及び本件減給行為(本給部分)はいずれも無効であり,この点に関する被告金庫の主張は採用できない。 (2)上記方法により,争点(1)における判断を踏まえ,平成9年1月6日付け降格行為が行われた当時から現在に至るまで原告に支給されるべきであった給与額を計算すると次のとおり できない。 (2)上記方法により,争点(1)における判断を踏まえ,平成9年1月6日付け降格行為が行われた当時から現在に至るまで原告に支給されるべきであった給与額を計算すると次のとおりとなる(甲3,弁論の全趣旨)。 ア推移表のとおり,平成9年1月6日付け減給行為が行われる前における原告の本給は,管理職H級の基本給71号俸25万1200円及び加給92号俸13万円の合計38万1200円であった。 イ同日付け降格行為で原告は管理職F級となったので,上記方法によりその本給を算定すると,管理職F級の基本給90号俸25万0700円及び加給103号俸13万円の合計38万0700円となる。 ウ被告金庫では,同年4月1日より,全職員に対し基本給の3号俸昇給(いわゆる定期昇給)が実施されたので,原告の本給は,管理職F級93号俸25万4900円及び加給103号俸の合計38万4900円となる。 エ同年6月30日付け降格行為で原告は管理職E級となったので,上記方法によりその本給を算定すると,管理職E級の基本給103号俸25万3900円及び加給107号俸13万円の合計38万3900円となる。 オ平成10年4月1日より,基本給3号俸及び加給1号俸の定期昇給が実施されたので,原告の本給は管理職E級の基本給106号俸25万7800円及び加給108号俸13万1000円の合計38万8800円となる。 カ平成11年4月1日より,基本給3号俸の定期昇給が実施されたので,原告の本給は管理職E級の基本給109号俸26万1700円及び加給108号俸13万1000円の合計39万2700円となる。 キ平成12年4月1日より,基本給3 実施されたので,原告の本給は管理職E級の基本給109号俸26万1700円及び加給108号俸13万1000円の合計39万2700円となる。 キ平成12年4月1日より,基本給3号俸の定期昇給が実施されたので,原告の本給は,管理職E級の基本給112号俸26万5600円及び加給108号俸13万1000円の合計39万6600円となる。 ク本件降格行為により原告は事務職C級となったので,上記方法によりその本給を計算すると,事務職C級の基本給136号俸26万5200円及び加給113号俸13万1000円の合計39万6200円となり,本件降職行為によって役職手当4万5000円は支給されないこととなる。 ただし,本件配転行為は無効であるから,原告には従前どおりの住宅手当2万円が支給されるべきである。 ケ平成13年4月1日より,基本給3号俸の定期昇給が実施されたので,原告の本給は事務職C級の基本給139号俸26万8500円及び加給113号俸13万1000円の合計39万9500円となる。 コそうすると,原告が将来の給付として請求する平成14年1月以降の月例給は,上記本給39万9500円と,住宅手当2万円,食事手当1万1000円及び家族手当3万5000円(以上各手当については甲13の28,101による。)の合計46万5500円となる。 (3)以上の算定により,原告が本件において請求している平成11年8月分以降の差額(未払賃金)を計算すると,次のとおりとなる。 ア平成11年8月から平成12年3月までの月例給は,本来39万2700円が支払われるべきであるのに,34万円のみ支払われているから,差額は )を計算すると,次のとおりとなる。 ア平成11年8月から平成12年3月までの月例給は,本来39万2700円が支払われるべきであるのに,34万円のみ支払われているから,差額は5万2700円となる。 イ平成11年12月支給の年末賞与は全職員一律支給分が本給の3か月分であったから,月例給の差額に3を乗じて,差額は15万8100円となる。 ウ平成12年4月から同年7月までの月例給の差額は,本来39万6600円が支払われるべきであるのに,34万3900円のみ支払われているから,差額は5万2700円となる。 エ同年6月支給の夏期賞与は全職員一律支給分が本給の1.7か月分であったから,月例給の差額に1.7を乗じて,差額は8万9590円となる。 オ同年8月から平成13年3月までの月例給の差額は,本来,本給39万6200円及び住宅手当2万円の合計41万6200円が支払われるべきであったのに,本給31万7900円及び住宅手当1万3000円の合計33万0900円のみ支払われているから,差額は8万5300円となる。 カ平成12年12月支給の年末賞与は全職員一律支給分が本給の3か月分であったから,上記本給の差額(7万8300円)に3を乗じて,差額は23万4900円となる。 キ平成13年4月以降の月例給の差額は,本来,本給39万9500円及び住宅手当2万円の合計41万9500円が支払われるべきであるのに,本給32万1200円及び住宅手当1万3000円の合計33万4200円のみ支払われているから,差額は8万5300円となる。 ク同年6月支給の夏期賞与は全職員一律支給分が1.7か月分であった 32万1200円及び住宅手当1万3000円の合計33万4200円のみ支払われているから,差額は8万5300円となる。 ク同年6月支給の夏期賞与は全職員一律支給分が1.7か月分であったから,上記本給の差額(7万8300円)に1.7を乗じて,差額は13万3110円となる。 ケ同年12月支給の年末賞与は全職員一律支給分が本給の3か月分であったから,上記本給の差額に3を乗じて,差額は23万4900円となる。 (4)原告が将来の給付として請求する平成14年1月以降の月例給は,(2)コ記載の本給39万9500円と,住宅手当2万円,食事手当1万1000円及び家族手当3万5000円の合計46万5500円であり,夏期賞与は本給1.7か月分の67万9150円,年末賞与は本給3か月分の119万8500円となる。 (5)弁論の全趣旨によれば,上記未払賃金は,それぞれの月例給与,夏期及び年末賞与の支給日に支払われるべきものであったところ,その支給日は別紙未払賃金一覧表のとおりであると認められ,将来給付については,月例給につき毎月21日,夏期賞与につき毎年6月末日,年末賞与につき遅くとも毎年12月21日に支払われるべきものであると認められる。 (6)なお,原告は,本訴請求において,管理職E級の基本給100号俸及び加給107号俸の地位にあることの確認も求めているが,本件における各減給行為が無効であることを前提として順次検討した結果は上記(2)のとおりであるから,同請求には理由がない。 3 争点(3)について上記争点に対する判断1(1)記載の認定事実によって判断すると,原告が,客観的には比較的些細な出来事であるといわざるを得ない電話応対や雪 ,同請求には理由がない。 3 争点(3)について上記争点に対する判断1(1)記載の認定事実によって判断すると,原告が,客観的には比較的些細な出来事であるといわざるを得ない電話応対や雪かきの件で,平成12年6月5日,本部理事長室において,部課長10名ほどの面前で被告Cから嘘をつく職員は使えないなどとして叱責されたこと,被告C及び同Dの指示に基づき,以降,本件処遇により転勤するに至るまでB支店における通常業務から外され,就業規則やその他諸規程を読む作業に専念するよう余儀なくされこと,その間,被告金庫において,原告に対する指導教育上の措置,配慮があったことを窺えないこと,被告C及び同Dから身元引受人に対し連絡を取るよう指示があったこと,同月15日には,被告Dにより,急遽,同支店の店内会議が開催され,原告の記した反省事項等について同支店職員の面前で逐一確認されたこと等の事実経過が認められるところ,これらの経過は原告に対し暗に退職を強要しているものと推認されてもやむを得ない状況であると思料され,仮にそうでなくとも,被告金庫の原告に対する措置は,原告にことさら屈辱感を与えるものであり,これを正当付けるに足りる客観的かつ合理的な理由があるものとは認め難い。 そうすると,上記指示等は業務命令権ないし労務指揮権の濫用として違法であるといわざるを得ず,これら一連の行為により原告は精神的な人格的利益を侵害されたものと認められるところ,原告に対する上記指示等を故意又は過失によって行った被告C及び同D個人に不法行為責任が生じることはもとより,同指示等が被告金庫代表理事の職務遂行として行われたことに照らすと,民法44条1項によって被告金庫もその責任を免れない。上記一連の った被告C及び同D個人に不法行為責任が生じることはもとより,同指示等が被告金庫代表理事の職務遂行として行われたことに照らすと,民法44条1項によって被告金庫もその責任を免れない。上記一連の経過により被った原告の精神的苦痛を慰謝すべき賠償額は,原告が通常業務より外された期間等に鑑みると,20万円をもって相当とするものと思料する(なお,原告は,本件処遇そのものによっても精神的苦痛を受けたことや,経済的に逼迫したことなどにより家庭生活に対する侵害があったことなどを主張するが,本訴訟において本件処遇の一部が無効であると確認され,経済的な填補がなされる以上,これらの点は慰謝料の算定にあたって考慮しないこととする。)。 4 結論以上の次第で,原告の本訴各請求は,人事上の各地位を有する旨の確認を求める請求の一部(本件配転行為の無効を主張する部分),賃金請求の一部(平成9年1月9日付け,同年6月30日付け及び本件減給行為の無効を前提とする正当な賃金等の差額請求部分)及び不法行為請求の一部において理由があるからこれらを認容し,その余の請求については理由がないからこれらを棄却する。 函館地方裁判所民事部裁判長裁判官堀内明裁判官河村俊哉裁判官島村典男(別紙1)未払賃金表 │ 種類│ 該当年月分│ 未払賃金 │ 支給日 ││ 給与│ 平成 │ 種類│ 該当年月分│ 未払賃金 │ 支給日 ││ 給与│ 平成11年 8月分│  5万2700円│ 平成11年 8月20日││ 給与│ 平成11年 9月分│ 5万2700円│ 平成11年 9月21日││ 給与│ 平成11年10月分│ 5万2700円│ 平成11年10月21日││ 給与│ 平成11年11月分│ 5万2700円│ 平成11年11月19日││ 賞与│ 平成11年年末分│ 15万8100円│ 平成11年12月15日││ 給与│ 平成11年12月分│ 5万2700円│ 平成11年12月21日││ 給与│ 平成12年 1月分│ 5万2700円│ 平成12年 1月21日││ 給与│ 平成12年 2月分│ 5万2700円│ 平成12年 2月21日││ 給与│ 平成12年 3月分│ 5万2700円│ 平成12年 3月21日││ 給与│ 平成12年 4月分│ 5万2700円│ 平成12年 4月21日││ 給与│ 平成12年 5月分│ 5万2700円│ 平成12年 5月19日││ 給与│ 平成12年 6月分│ 5万2700円│ 平成12年 6月21日││ 賞与│ 平成12年夏期分│ 8万9590円│ 平成12年 6月30日││ 給与│ 平成12年 7月分│ 5万2700円│ 平成12年 7月21日││ 給与│ 平成12年 8月分│ 8万5300円│ 平成12年 8月21日││ 給与│ 平成12年 9月分│ 8万5300円│ 平成12年 9月21日││ 給与│ 平成12年10月分│ 8万5300円│ 平成12年10月21日││ 給与│ 平成12年11 21日││ 給与│ 平成12年 9月分│ 8万5300円│ 平成12年 9月21日││ 給与│ 平成12年10月分│ 8万5300円│ 平成12年10月21日││ 給与│ 平成12年11月分│ 8万5300円│ 平成12年11月21日││ 賞与│ 平成12年年末分│ 23万4900円│ 平成12年12月15日││ 給与│ 平成12年12月分│ 8万5300円│ 平成12年12月21日││ 給与│ 平成13年 1月分│ 8万5300円│ 平成13年 1月19日││ 給与│ 平成13年 2月分│ 8万5300円│ 平成13年 2月21日│ │ 給与│ 平成13年 3月分│ 8万5300円│ 平成13年 3月21日││ 給与│ 平成13年 4月分│ 8万5300円│ 平成13年 4月20日││ 給与│ 平成13年 5月分│ 8万5300円│ 平成13年 5月21日││ 給与│ 平成13年 6月分│ 8万5300円│ 平成13年 6月21日││ 賞与│ 平成13年夏期分│ 13万3110円│ 平成13年 6月29日││ 給与│ 平成13年 7月分│ 8万5300円│ 平成13年 7月19日││ 給与│ 平成13年 8月分│ 8万5300円│ 平成13年 8月21日││ 給与│ 平成13年 9月分│ 8万5300円│ 平成13年 9月21日││ 給与│ 平成13年10月分│ 8万5300円│ 平成13年10月19日││ 給与│ 平成13年11月分│ 8万5300円│ 平成13年11月21日││ 賞与│ 平成13年年末分│ 23万4900円│ 13年10月分│ 8万5300円│ 平成13年10月19日││ 給与│ 平成13年11月分│ 8万5300円│ 平成13年11月21日││ 賞与│ 平成13年年末分│ 23万4900円│ 平成13年12月15日││ 給与│ 平成13年12月分│ 8万5300円│ 平成13年12月21日│ 以上

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