【DRY-RUN】主 文 原判決を破毀する。 本件を仙台高等裁判所に差戻する。 理 由 弁護人高屋市二郎、同福田力之助、同河野太郎の上告趣意第一点は『原判決は証 拠と
主文原判決を破毀する。 本件を仙台高等裁判所に差戻する。 理由弁護人高屋市二郎、同福田力之助、同河野太郎の上告趣意第一点は『原判決は証拠として「原審(第一審)第一回公判調書中原審相被告人Aの供述としてBは農業会の会計をやつており、私は二回ほどその農業会に物品を売却したことがあつたりして、特に親しくはないが心安くしておりました。昭和二十二年六月二日Bからけん銃一ちようと弾丸二十五発と麻の洋服地十二ヤールの売却方を頼まれてそれ等の品物を受取りました。それはBの家で頼まれました。五、六日してそのけん銃はCに二千円で売りました」との部分を引用説明した。そこで第一審第一回公判調書(記録八九丁以下)を調べて見ると「昭和二十二年七月九日福島地方裁判所郡山支部に於て判事裁判所書記D列席の上検事E立会公判を開廷す云々」と記載してあつて、列席判事の氏名の記載がない。斯かる公判調書は重大な欠点(刑事訴訟法第六十条、第六十四条参照)があつて、其の記載内容は証拠能力がないものである。従つて原判決は虚無の証拠を断罪の資料に供した違法があるから破毀すべきものである。』というにある。 原審は判示事実を認定する証拠として一、被告人の原審公廷における供述二、第一審第一回公判調書中第一審相被告人Aの供述記載を挙げておるのである。ところで第一審第一回公判調書を調べてみると列席判事の氏名の記載がないことは所論のとおりである。尤も同公判調書には判事Fの署名捺印がしてあるけれども、それは唯刑事訴訟法第六十三条の要件を充たしたに止まり同法第六十条第二項第二号の要求する列席判事の氏名の記載があつたという訳にはならない。そして同法第六十三条により公判調書に署名捺印すべき裁判長は公判に列席したものでなければならな- 1 -いの り同法第六十条第二項第二号の要求する列席判事の氏名の記載があつたという訳にはならない。そして同法第六十三条により公判調書に署名捺印すべき裁判長は公判に列席したものでなければならな- 1 -いのであつて一人制の場合にはその事件の審理に関与した一人の裁判官でなければならないのに公判調書に列席した判事の氏名が記載してないから公判に列席した判事が公判調書に署名捺印したか否やも不明であるし又公判に列席した判事が果して判事たる資格のあつた者かどうかも不明である。列席判事の何人であるかということは公判において最も重要な事項であるからその氏名の記載を公判調書の記載要件としたものであつて従つてその氏名の記載を欠缺した公判調書は無効であると解すべきである。然らば原審が前記の如く第一審公判調書の記載を証拠として事実認定の資料に供したことは違法であつて論旨は理由がある。原判決はこの点において破毀を免れないから他の上告論旨については説明を省略する。 よつて本件上告は理由があるから刑事訴訟法第四百四十七条第四百四十八条ノ二により主文の如く判決する。 この判決は全裁判官一致の意見によるものである。 検察官福尾彌太郎関与昭和二三年六月二六日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎- 2 - 藤田八郎- 2 -
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