主文 1 被告は,原告に対し,11万円及びうち9万5000円に対する平成31年2月8日から支払済みまで年5%の割合による金員,うち1万2000円に対する令和2年9月9日から支払済みまで年5%の割合による金員,うち3000円に対する令和2年9月9日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告に対し,5万円及びうち4万円に対する平成31年2月8日から支払済みまで年5%の割合による金員,うち8000円に対する令和2年9月9日から支払済みまで年5%の割合による金員,うち2000円に対する令和2年9月9日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,2万5000円及びうち1万円に対する平成28年2月15日から,うち5000円に対する平成28年3月15日から,うち5000円に対する平成28年10月17日から,うち5000円に対する平成28年12月14日から各支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告に対し,2万円及びこれに対する平成31年2月8日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,これを20分し,その19を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,原告に対し,267万5000円及びうち225万5000円に対する平成31年2月8日から支払済みまで,うち42万円に対する令和2年9月9日から支払済みまで,それぞれ年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告に対し,20万円及びこれに対する平成31年2月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,8万円並びにうち1万円に対する平成28年2月4日か 告は,原告に対し,20万円及びこれに対する平成31年2月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,8万円並びにうち1万円に対する平成28年2月4日か ら,4万円に対する同月15日から,1万円に対する同年3月15日から,1万円に対する同年10月17日から,及びうち1万円に対する同年12月14日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告に対し,80万円及びこれに対する平成28年11月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告は,原告に対し,38万円及びこれに対する平成31年2月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,死刑確定者として名古屋拘置所に収容されている原告が,(1)名古屋拘置所長が,①原告の信書の発受を許さなかったこと,②原告に対して差し入れられた物品について差入人に引取りを求めるなどしたこと,③書籍等の一部を抹消した上で原告に閲覧させることとし,抹消の同意を求め,原告の同意を得て抹消したこと又は同意しない場合に当該書籍を領置したことはいずれも違法である,また,(2)原告が提起していた別訴(国家賠償請求訴訟)において,被告が,必要性を欠くにもかかわらず,原告の医療記録,再審請求弁護人との面会の記録,動静経過表,面会表及び書信表を第三者に提供し,あるいは証拠として提出した行為は違法であるとして,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償(損害額は,上記(1)①について267万5000円,同②について20万円,同③について8万円,上記(2)について80万円,上記(1)(2)に関する弁護士費用相当額として38万円)を求める事案である(附帯請求として,上記(1)①について,うち225万5000円に対 万円,同③について8万円,上記(2)について80万円,上記(1)(2)に関する弁護士費用相当額として38万円)を求める事案である(附帯請求として,上記(1)①について,うち225万5000円に対する不法行為の後の日である平成31年2月8日(本件訴え提起日。以下同じ。)から,うち42万円に対する令和2年9月9日(請求の追加的変更申立ての日)から各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下,特に断らない限り同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金,同②について,平成31年2月8日から支払済みまで上記同様の遅延損害金,同③について,うち1万円に対する平成28年2月4日から, うち4万円に対する同月15日から,うち1万円に対する同年3月15日から,うち1万円に対する同年10月17日から,うち1万円に対する同年12月14日から(始期はいずれも不法行為の日)各支払済みまで上記同様の遅延損害金,上記(2)について,不法行為の後の日である平成28年11月2日から支払済みまで上記同様の遅延損害金,上記弁護士費用相当額について,平成31年2月8日から支払済みまで上記同様の遅延損害金の各支払を求めている。)。 1 関係法令等の定め関係法令等の定めは,別紙5記載のとおりである(なお,同別紙中の略語は本文及び他の別紙においても用いる。以下他の別紙についても同じ。)。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実,当裁判所に顕著な事実並びに掲記の証拠(特に明記しない限り,枝番があるものは枝番を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者原告は,平成7年5月12日,名古屋拘置所に刑事被告人として入所し,平成23年4月1日,強盗殺人,殺人,傷害,監禁及び死体遺棄等の各罪により死刑判決が確定して以 認められる事実)(1) 当事者原告は,平成7年5月12日,名古屋拘置所に刑事被告人として入所し,平成23年4月1日,強盗殺人,殺人,傷害,監禁及び死体遺棄等の各罪により死刑判決が確定して以降,名古屋拘置所に収容されている死刑確定者である。 (2) 事実経過等ア平成23年4月以降,別紙1「受信にかかる信書」欄記載のとおり,原告宛ての来信があった。これに対し,名古屋拘置所長は,同別紙「処分の日」欄記載の日に,「処分の理由」欄記載の理由で,「処分の内容」欄記載の処分をし(以下「本件各受信不許可処分」という。),「告知の日」欄記載の日に,同所職員を通じて,上記処分の内容(相手方の氏名を含む。)を原告に告知した。 なお,名古屋拘置所職員は,原告に対し,各信書の内容や処分の理由は告知しなかった。 イ原告は,平成27年12月2日から令和元年12月3日にかけて,別紙2 「発信願いにかかる信書」欄記載のとおり,信書を発信しようとした。これに対し,名古屋拘置所長は,同別紙「処分の日」欄記載の日に,「処分の理由」欄記載の理由で,「処分の内容」欄記載の処分(発信不許可とすること又は一部を抹消の上発信を許可すること)をし(以下「本件各発信不許可処分」といい,本件各受信不許可処分とあわせて「本件各発受不許可処分」ということがある。),「告知の日」欄記載の日に,同所職員を通じて,上記処分の内容を原告に告知した。 なお,名古屋拘置所職員は,原告に対し,各信書の内容や処分の理由は告知しなかった。 ウ平成26年5月21日から令和2年9月4日にかけて,別紙3「差入物」欄記載のとおり,原告に対する物品の差入れがあった。これに対し,名古屋拘置所長は,同別紙「不許可判定の理由」欄記載の理由で,各差入物につき差入人に引取りを求めることとし(以下 けて,別紙3「差入物」欄記載のとおり,原告に対する物品の差入れがあった。これに対し,名古屋拘置所長は,同別紙「不許可判定の理由」欄記載の理由で,各差入物につき差入人に引取りを求めることとし(以下「本件各差入不許可処分」という。),同別紙「差入人への通知日」欄記載の日に,同所職員を通じて,引取りを求める旨を差入人に通知した。 原告は,本件各差入不許可処分があったことについて,本件訴訟を提起するまで知らされていなかった。 エ名古屋拘置所長は,平成28年2月4日から同年12月13日にかけて,別紙4「書籍名等」欄記載の原告が差入れを受けるなどした書籍のうち,「抹消相当箇所」欄記載の箇所について,「決定の日」欄記載の日に,「決定の理由」欄記載の理由で,「決定の内容」欄記載のとおり,抹消相当箇所を抹消の上書籍等を閲覧させる旨の決定をした(以下「本件各閲覧禁止処分」という。)。 名古屋拘置所長は,同別紙「その後の対応」欄記載の日に,同所職員を通じて,原告に,上記決定を告知するとともに抹消相当箇所を抹消することについての同意を求め,原告が抹消に同意した場合は抹消相当箇所を抹消して当該書籍等を原告に交付し,原告が抹消に同意しなかった場合は当該書籍等を 領置した。 オ(ア) 原告は,平成25年,被告に対し,名古屋拘置所長が平成22年から平成25年にかけてした,書籍等のうち刑場の図面や写真,死刑執行状況等を描写した箇所を抹消して原告に交付した処分が違法であるとして,国家賠償法に基づき,損害賠償を求める訴訟(名古屋地方裁判所平成25年(ワ)第4608号損害賠償請求事件。以下「4608号事件」という。)を提起し,同裁判所は,原告の請求を一部認容する判決をした(甲18)。これに対して被告が控訴したところ,名古屋高裁は,被告の控訴を棄却す 第4608号損害賠償請求事件。以下「4608号事件」という。)を提起し,同裁判所は,原告の請求を一部認容する判決をした(甲18)。これに対して被告が控訴したところ,名古屋高裁は,被告の控訴を棄却する判決をし(名古屋高等裁判所平成28年(ネ)第842号損害賠償請求控訴事件。以下,この事件を「842号控訴事件」といい,4608号事件と併せて「別件訴訟」という。甲19),この判決は確定した。 (イ) 被告は,別件訴訟において,①原告が平成11年に自殺行為及び居室内での器物損壊行為に及んでいて精神的に不安定であり,他者からの信書や書籍等の記載の影響を受けやすく,それらの影響を受けて自殺を図るなどしかねないこと,②平成10年12月頃から幻聴を聞くようになった旨述べ,平成11年2月2日から同年10月19日にかけて複数回,精神科医の診察を受けていたこと,③死刑判決が確定したことにより,前記(ア)の処分当時には更に不安定となっていたことなどからすると,原告に前記(ア)の抹消箇所を閲覧させた場合,原告が自殺等の自傷行為や器物損壊行為等に及ぶおそれが十分に認められたから,上記処分は適法である旨主張していた(甲18)。そして,被告は,別件訴訟において,原告の診療録,原告の日常的な動静等が記録された動静経過表,原告と原告の知人等との面会の内容等を記録した面会表や外部交通の内容等を記録した書信表(以下「診療録等」と総称する。)を証拠として提出した(甲10から16まで)。 (ウ) 被告は,平成28年11月2日,842号控訴事件において「死刑確定者が極限状態に置かれていること等」という立証趣旨で,A医師の意見書 (甲17)を提出した。同意見書には,名古屋拘置所における原告の細かな診療経過が記載されており,その情報を基に,同医師が原告の精神状態について いること等」という立証趣旨で,A医師の意見書 (甲17)を提出した。同意見書には,名古屋拘置所における原告の細かな診療経過が記載されており,その情報を基に,同医師が原告の精神状態について分析した内容が記載されていた。同意見書には,原告が再審請求弁護人と面会した際の面会表(甲24)の記載内容が引用されていた。また,被告は,842号控訴事件において,上記面会表を証拠として提出した。 A医師が意見書を作成する前提として,被告は,同医師に対し,原告の診療録や面会表を含む原告に関する情報を提供した(以下,別件訴訟における証拠提出行為並びに医師への情報提供行為について「本件証拠提出行為等」ということがある。)。 カ原告は,平成31年2月8日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 また,原告は,令和2年9月9日付け「請求の趣旨の減縮及び追加的変更申立書」をもって,請求の拡張をした。拡張に係る請求は,別紙1ないし3の各「第2次請求」欄に「●」を付したものである。 キ被告は,令和元年8月29日付けの第2準備書面において,本件各発受不許可処分の違法を理由とする損害賠償請求権について,消滅時効を援用する旨の意思表示をし,同準備書面は,同日,原告代理人に送付された(顕著な事実)。 被告は,令和元年6月14日付けの第1準備書面において,本件各差入不許可処分及び本件各閲覧禁止処分の違法を理由とする損害賠償請求権について,消滅時効を援用する旨の意思表示をし,同準備書面は,同日,原告代理人に送付された(顕著な事実)。 3 争点(1) 本件各発受不許可処分の違法性(2) 本件各差入不許可処分の違法性(3) 本件各閲覧禁止処分の違法性 (4) 本件証拠提出行為等の違法性(5) 損害額(6) 消滅時効の成否 4 争点に対す 処分の違法性(2) 本件各差入不許可処分の違法性(3) 本件各閲覧禁止処分の違法性 (4) 本件証拠提出行為等の違法性(5) 損害額(6) 消滅時効の成否 4 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)ないし(4)について別紙6ないし10記載のとおり(2) 争点(5)(損害額)について(原告の主張)別紙11記載のとおり(被告の主張)争う。 (3) 争点(6)(消滅時効の成否)について(被告の主張)ア別紙6ないし9の各「消滅時効の主張」欄に消滅時効期間が経過した旨の記載があるものは,名古屋拘置所長が受信・発信を不許可として原告にその旨を告知し,差入人に対して差入物の引取りを求め,又は抹消相当箇所の抹消に同意すれば閲覧を許可するが同意しなければ閲覧を不許可とする旨を原告に告知してから3年の消滅時効期間が経過している。そのため,これらの消滅時効を援用する。 イ原告の主張への反論(ア) 受信不許可処分について民法724条にいう損害及び加害者を知った時とは,一般人を前提として,被害者が損害賠償請求権を行使するに足りる客観的な事実関係の存在を認識していれば足り,その認識の程度について,確実な証拠を基に勝訴の見込みが立つまでの認識は要求されないというべきである。 そして,死刑確定者に対する信書の受信不許可に関して,一般人が加害 者に対する賠償請求が可能であると判断するには,受信不許可とされた信書の具体的内容まで認識する必要はないというべきである。 なぜなら,仮に,受信不許可とされた信書の具体的内容の認識を必要であるとすると,死刑確定者が賠償請求をする前提として,刑事施設の長が死刑確定者に当該信書の内容を了知させなければならないことになるが,このような解釈は,法139条1 た信書の具体的内容の認識を必要であるとすると,死刑確定者が賠償請求をする前提として,刑事施設の長が死刑確定者に当該信書の内容を了知させなければならないことになるが,このような解釈は,法139条1項各号の趣旨を没却し,妥当ではないからである。 (イ) 発信不許可処分について死刑確定者の発信不許可に係る損害賠償請求権について,死刑確定者は,不許可の告知の時点で,賠償請求権を行使するに足りる客観的事実関係を認識するといえるので,同時点から消滅時効期間が進行するというべきである。 (ウ) 差入不許可処分について原告は,平成26年1月8日,名古屋拘置所長が,平成23年4月18日頃から平成26年1月8日までの間の差入不許可処分が違法であるなどとして,被告に対し,国家賠償請求訴訟を提起した(名古屋地方裁判所平成26年(ワ)第309号,同第366号事件)。そうすると,原告は,平成26年1月8日の時点で,名古屋拘置所長が原告への差入れを不許可とする場合に,原告に告知しないまま差入人に引取りを求めることがあり得ることを認識し,また,差入れに関する具体的な事実を把握できていないと思われる段階で損害賠償を請求できることを理解していた。 そうすると,平成26年1月8日より後に,差入人に引取りを求めた本件差入物1ないし4に係る請求権については,いずれも消滅時効期間が経過したと解するべきである。 (エ) 閲覧禁止処分について本件書籍等1と本件書籍等4の閲覧の拒否に関する名古屋拘置所長の措 置は別個のものであり,本件書籍等1に関する閲覧禁止処分を理由とする損害賠償請求権の消滅時効期間は,本件抹消相当箇所1の抹消に同意しないのであれば本件書籍等1の閲覧を不許可とする旨を告知した時から進行する。 また,原告が本件書籍等1を現在に至るまで閲覧 由とする損害賠償請求権の消滅時効期間は,本件抹消相当箇所1の抹消に同意しないのであれば本件書籍等1の閲覧を不許可とする旨を告知した時から進行する。 また,原告が本件書籍等1を現在に至るまで閲覧できていないことは,原告が訴えを提起する障害にはならない。 (原告の主張)ア受信不許可処分について原告は,本訴訟提起に至るまで,各受信不許可処分について,不許可となった事実を告知されただけであり,不許可に係る信書の内容を知らず,違法性の有無を判断することができなかった。そのため,受信不許可処分を告知された時点では,原告が被告に対する賠償請求が事実上可能な状況にあったとはいえず,その可能な程度において損害及び加害者を知ったとはいえない。 したがって,各受信不許可処分について消滅時効は成立しない。 イ発信不許可処分について名古屋拘置所職員は,刑の確定した原告に対し,外部交通は,親族のほか,あらかじめ許可を受けた人物に限定する旨を通知した。そこで,原告は,同通知に基づき各発信不許可処分がされたと認識していた。そのため,発信不許可処分を告知された時点は,原告が被告に対する賠償請求が事実上可能な状況にあったとはいえず,その可能な程度において損害及び加害者を知ったとはいえない。 したがって,各発信不許可処分について消滅時効は成立しない。 ウ差入不許可処分について原告は,差入不許可処分について告知を受けておらず,本件訴訟において各差入れ不許可処分の内容が被告から主張されるまで,損害を知らなかった。 したがって,差入不許可処分に係る請求について,消滅時効は成立しない。 エ閲覧禁止処分について被告は,本件書籍等1に関する閲覧禁止処分について消滅時効を援用しているところ,本件書籍等1は,本件書籍等4と同内容である。そこで, ,消滅時効は成立しない。 エ閲覧禁止処分について被告は,本件書籍等1に関する閲覧禁止処分について消滅時効を援用しているところ,本件書籍等1は,本件書籍等4と同内容である。そこで,本件書籍等1については,本件書籍等4についての閲覧不許可処分がなされたことにより,原告がこれを抹消されることなく閲覧できないことが確定的になったといえ,原告の損害が確定したといえる。 したがって,本件書籍等1に関する閲覧禁止処分を理由とする損害賠償請求権の消滅時効期間は,本件書籍等4に関する閲覧禁止処分がなされた平成28年3月15日から進行する。よって,消滅時効は成立しない。 仮に上記主張が認められないとしても,原告は,本件抹消相当箇所1について現在に至るまで閲覧できていないため,原告の損害は現在に至るまで発生し続けている。したがって,本件書籍等1に関する閲覧禁止処分を理由とする損害賠償請求権の消滅時効期間は,未だ進行していない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。 (1) 名古屋拘置所収容後の原告の動向等についてア原告は,平成10年12月頃から幻聴を聞くようになった旨述べ,平成11年2月から同年10月にかけて,6回にわたり,幻聴に関して精神科医の診察を受けた(乙48,51)。 原告は,平成11年3月31日,名古屋拘置所において,私物のタイツ等を用いて自殺を図ったが,職員に発見され,未遂に終わった。原告は,同所職員に対し,この自殺未遂の一因として,幻聴が続いていたところ,拘置所外から送付されたはがきや手紙に知人が自殺を図った旨が記載されていたことを供述し,自殺の方法については,以前に読んだ本を参考にした旨供述 した。 原告は,平成11年1 いたところ,拘置所外から送付されたはがきや手紙に知人が自殺を図った旨が記載されていたことを供述し,自殺の方法については,以前に読んだ本を参考にした旨供述 した。 原告は,平成11年10月27日,名古屋拘置所内の居室において,蛍光灯が点滅していたことや廊下の人の話し声が聞こえて眠れずにイライラしたなどとして,天井の蛍光灯及びそのカバーを小机で叩き割った(乙47ないし50)。 イ原告は,平成13年6月15日,名古屋拘置所内において,日本聖公会の司教B1によってキリスト教の洗礼を受けた(乙405)。 (2) 原告と外部交通者等との関係性についてア B2原告は,平成19年12月11日にB2に対して「私も聖書希望者を獄中でさがしています。」などと発信したことを契機として,B2との外部交通を開始した。B2は,後記コのC1の運営等に参加し,C1の中心的存在として原告に協力してきた(甲76,乙391,392,398の1,398の2)。 また,B2は,C2という団体の代表として,同会が発行する冊子Dの発行に関与するなどしている(甲91ないし95等)。 イ B3原告は,平成20年4月25日,B3に対してC1通信への寄稿を依頼するなどする信書を発信したことを契機として,B3との外部交通を開始し,それ以降,原告が要求した物品を原告に差し入れるなどしていた(甲77,乙398の3)。 ウ B4B4は,原告の弁護団事務局法律事務職員であり,原告の訴訟上の用務処理や差入等について支援をしていた(甲100,101,乙398の4,弁論の全趣旨)。 エ B5 B5は,原告の弁護団事務局法律事務職員であり,原告の訴訟上の用務処理等について支援をしていた(乙398の4ないし6,弁論の全趣旨)。 オ B6B6は,聖心侍女 旨)。 エ B5 B5は,原告の弁護団事務局法律事務職員であり,原告の訴訟上の用務処理等について支援をしていた(乙398の4ないし6,弁論の全趣旨)。 オ B6B6は,聖心侍女修道会所属の修道女であり,C2にカンパをしたり,Dに寄稿したりして,原告を支援している(甲90等)。 原告は,平成20年7月25日,シスターから紹介を受けて信書を発信したことを契機として,B6との外部交通を開始した(乙398の8)。 カ B7B7は,キリスト教徒であり,平成26年12月11日,原告の身元引受人となった者である(弁論の全趣旨)。 原告は,平成22年1月5日からB7との外部交通を開始し,その後もC2の活動等に関し信書の授受をした(甲129,130,乙398の9,398の10)。 キ B8B8はカトリックの神父であり,更生支援活動のために,C1の活動に協力してきた(弁論の全趣旨)。 原告とB8は,平成20年6月24日に外部交通を開始し,その後もC1の活動等に関して信書を交わした(乙398の11ないし398の19)。 ク B9B9は中日新聞社会部の記者であり,原告の刑事事件の取材をしたことを契機として,平成13年5月24日頃から原告との外部交通を開始した。また,B9はキリスト教徒である(乙398の20)。 ケ B10原告とB10は,平成11年9月16日,共通の外部交通者の介在により交流を開始し,原告は平成11年12月9日,B10は平成12年3月1日に,同一の養親とそれぞれ養子縁組をしたことにより,義姉・義弟の関係と なった(乙398の22,402の1~3)。 コ C1C1は,キリスト教を基盤として,受刑者の心の友となり,犯した罪を悔悛して新しい人生を生きるための支援をすることをその目的に掲げる団体 なった(乙398の22,402の1~3)。 コ C1C1は,キリスト教を基盤として,受刑者の心の友となり,犯した罪を悔悛して新しい人生を生きるための支援をすることをその目的に掲げる団体である(甲83)。 原告は,平成24年5月31日までの間,C1の代表を務めていた(弁論の全趣旨)。 サ B11B11は,カトリックの修道士であり,C1の活動に協力するなどしている(弁論の全趣旨)。B11は,平成23年4月時点でC1事務局代表を務めていた(甲137)。 原告は,平成20年5月21日,B11との外部交通をしている(乙398の33)。 シ B12B12は,B11の友人であり,キリスト教徒である。また,B12は,C1の運営に協力するなどしている(弁論の全趣旨)。 原告とB12は,平成20年8月15日,外部交通を開始した(乙398の35)。 ス B13B13は,キリスト教徒であり,平成21年6月26日,原告との外部交通を開始した(乙398の37,弁論の全趣旨)。 セ B14B14は,キリスト教徒であり,平成20年4月23日,B2から紹介を受けて,原告との外部交通を開始した(乙398の38,弁論の全趣旨)。 ソ B15B15は,キリスト教徒であり,平成10年4月13日,原告との外部交 通を開始した(乙398の40,弁論の全趣旨)。 平成15年4月7日のB15からの来信後,本件B15来信1(平成27年12月7日)までの間,原告とB15との外部交通はなかった(乙398の40ないし398の42,弁論の全趣旨)。 タ B16B16は,原告の民事事件の訴訟代理人を務めたことがある弁護士である。 なお,本件B16来信1,2及び本件B16宛て年賀状の発受の時点では,委任関係になかった(弁論の全趣旨)。 チ B タ B16B16は,原告の民事事件の訴訟代理人を務めたことがある弁護士である。 なお,本件B16来信1,2及び本件B16宛て年賀状の発受の時点では,委任関係になかった(弁論の全趣旨)。 チ B17B17は,原告の民事事件の訴訟代理人を務めたことがある弁護士である。 なお,本件B17来信1,2及び本件B16宛て年賀状の発受の時点では,委任関係になかった(弁論の全趣旨)。 ツ B18及びB19B18は,原告から民事事件ないし刑事事件についての相談等を受けたことがある弁護士である。B19は,B18の妻である(乙398の43,弁論の全趣旨)。 原告は,別件の民事訴訟において,B18及びB19からの年賀状について受信不許可処分としたことが違法であるとの判決が確定したことから(甲26,29),同年賀状の交付を受けた(甲145)。 テ B1及びB20B1は,日本聖公会の司教であり,前記(1)イのとおり,平成13年6月15日,原告の洗礼式を執り行った。 B20は,B1の妻である(弁論の全趣旨)。 原告とB1及びB20は,平成21年1月7日,年賀状を来信したことから外部交通を開始した(乙398の44,45)。 ト B21 B21は,原告の友人の紹介で外部交通を開始しようとする者である。 令和2年7月2日の時点で,本件B21来信よりも前に,原告とB21とが外部交通を行ったことはなかった(乙406)。 ナ B22B22は,B10の友人である(弁論の全趣旨)。 原告とB22は,平成12年2月19日,外部交通を開始したが,平成18年3月20日の来信を最後に外部交通はなかった(乙398の46,弁論の全趣旨)。 ニ B23B23は,C1事務局スタッフとして同会の活動に協力する者である(甲145,弁論の全趣旨)。 令和2 年3月20日の来信を最後に外部交通はなかった(乙398の46,弁論の全趣旨)。 ニ B23B23は,C1事務局スタッフとして同会の活動に協力する者である(甲145,弁論の全趣旨)。 令和2年7月2日の時点で,本件B23来信1よりも前に,原告とB23とが外部交通を行ったことはなかった(乙406)。 ヌ B24B24は,平成23年4月に死刑判決が確定するまでの間,原告と面会をするなどの仲にあり,その後も原告に差入れをするなどしていた者である(甲145,弁論の全趣旨)。 ネ B25B25は,原告が所属していた少年野球チームの監督であった者である。 原告は,平成29年にB25が原告に関する事件の新聞取材を受けたことを契機として,新聞記者及びB7を通じてB25の連絡先を入手した(甲145)。 ノ B26B26は,原告の少年時代の知人であり,大学卒業後,プロ野球チームに入団した者である(甲145)。 原告とB26との間に外部交通の実績はない(弁論の全趣旨)。 ハ B27及びB28B27及びB28は,キリスト教の牧師であり,B27はDに寄稿するなどして原告を支援していた(甲89,93等)。 原告とB27及びB28は,原告が未決拘禁者であった時に外部交通をしていたが,死刑判決確定後は来信や差入れはない(甲145,弁論の全趣旨)。 ヒ B29B29は,C3の代表者である。原告は,C3に対し,支援者を通じて贖罪寄付をしてきたが,平成30年12月27日,上記C3のB29に対して直接贖罪寄付をすることの許可を得た(甲94,145,弁論の全趣旨)。 原告とB29との間に外部交通の実績はない(弁論の全趣旨)。 フ B30B30は,原告が以前に民事事件の依頼をしていた弁護士である(弁論の全趣旨)。 原告は,別件の民 45,弁論の全趣旨)。 原告とB29との間に外部交通の実績はない(弁論の全趣旨)。 フ B30B30は,原告が以前に民事事件の依頼をしていた弁護士である(弁論の全趣旨)。 原告は,別件の民事訴訟において,B30からの年賀状について受信不許可処分としたことが違法であるとの判決が確定したことから(甲25,26),同年賀状の交付を受けた(甲145)。また,平成29年7月27日,B30が原告に差し入れた冊子について差入不許可処分をしたことが違法であるとの判決が言い渡された(甲1の1,145)。 ヘ B31B31は,キリスト教徒であり,原告が未決拘禁者であった時,原告から更生支援を受けていた。B31は,現在,キリスト教徒が設立した更生支援団体C4の役員である(甲111)。 ホほんにかえるプロジェクトほんにかえるプロジェクトは,被収容者に対して書籍の無償貸与等を行っている団体である(弁論の全趣旨)。 原告は,平成30年4月から令和元年9月にかけて,ほんにかえるプロジ ェクト事務局に対し,借りていた書籍を返還するとともに書籍を寄贈した(甲145)。 (3) 本件各抹消相当箇所の記載内容についてア本件抹消相当箇所1及び4本件抹消相当箇所1及び4は同内容であり,死刑確定者が,執行の「お迎え」に来た刑務官に抵抗して暴れたこと,刑場においても暴れる同人を刑務官がよってたかって取り押さえ,死刑を執行したこと,同人の死体検案書には,明らかに抵抗して暴れた痕が残っていたことなどが記載されている(甲3)。 イ本件抹消相当箇所2本件抹消相当箇所2は,絞死刑と題する映画の作中における死刑執行場面の様子を写した写真(1か所)である(甲5)。 ウ本件抹消相当箇所3本件抹消相当箇所3は,絞死刑と題する映画の作中における死 本件抹消相当箇所2は,絞死刑と題する映画の作中における死刑執行場面の様子を写した写真(1か所)である(甲5)。 ウ本件抹消相当箇所3本件抹消相当箇所3は,絞死刑と題する映画の作中における死刑執行場面の様子を写した写真(2か所)である(甲4)。 エ本件抹消相当箇所5本件抹消相当箇所5は,名古屋拘置所が災害時の避難所として指定された旨の記事中において,インタビューに応じた同所職員(2名)の氏名を記載した部分である(甲6)。 オ本件抹消相当箇所6本件抹消相当箇所6は,刑場内を写した写真,本文のうち刑場内の設備に関する具体的な説明を記載した部分及び絞死刑と題する映画の作中における死刑執行場面の様子を写した写真(1か所)である(甲7)。 2 争点(6)(消滅時効の成否)について(1) 民法724条にいう「損害及び加害者を知った時」とは,被害者において,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度にこれら を知った時を意味すると解するのが相当である(最高裁昭和48年11月16日第二小法廷判決・民集27巻10号1374頁参照)。 (2) 本件各発受不許可処分について前記前提事実(2)アによれば,原告は,別紙1及び2の各「告知の日」欄記載の日に,本件各発受不許可処分の内容を告知されたものであるから,同日の時点で,名古屋拘置所長の判断により,本件各発受不許可処分に係る信書の発受が許可されず,精神的苦痛を被ったという事実を認識したといえる。そして,刑事施設の長が死刑確定者による信書の発受を許可する場合の要件は法定されているところ(法139条等),原告は,同日の時点で,本件各受信不許可処分については相手方の氏名を告知され,本件各発信不許可処分については相手方が誰であるかを知っていたものであるから,本 は法定されているところ(法139条等),原告は,同日の時点で,本件各受信不許可処分については相手方の氏名を告知され,本件各発信不許可処分については相手方が誰であるかを知っていたものであるから,本件各発受不許可処分が違法であると判断するに足りる事実についても,同日の時点で認識したものとみるのが相当である。 これに対して,原告は,受信不許可処分があった旨の告知を受けただけでは違法性の有無を判断できないから,消滅時効期間は進行しないと主張する。しかしながら,上記のとおり当該信書の差出人が誰であるかを認識すれば,原告において同人との交友関係の有無等を認識している以上,当該処分が違法であると判断するに足りる事実を認識したものというべきであり,その時点において原告が当該信書の内容を認識していないとしても,上記の認定判断は左右されない。そうすると,本件各発受不許可処分の違法を理由とする損害賠償請求権の消滅時効は,別紙1及び2の各「告知の日」欄記載の日から進行するというべきであり,本件訴え提起時には,本件B2来信1ないし16,本件B3来信1ないし24,本件B4来信1ないし31,本件B5来信,本件B6来信1ないし56,本件B7来信5ないし8,本件B8来信1ないし8,本件B9来信1ないし3,本件B10来信1ないし9,本件C1来信,本件B11来信1ないし5,本件B12来信1,本件B13来信3,本件B14来信1~6(撤 回済みの3,4を除く。),本件B15来信1,本件B16来信1,本件B17来信1,本件B18及びB19来信,本件B1及びB20来信1,本件B32宛て年賀状,本件B33宛て年賀状,本件B16宛て年賀状,本件B17宛て年賀状,本件B34宛て年賀状及び本件B1及びB20宛て年賀状に係る発受不許可処分の違法を理由とする損害賠償請求権につ 件B32宛て年賀状,本件B33宛て年賀状,本件B16宛て年賀状,本件B17宛て年賀状,本件B34宛て年賀状及び本件B1及びB20宛て年賀状に係る発受不許可処分の違法を理由とする損害賠償請求権について3年の消滅時効期間を経過していたものである。そして,被告は,この消滅時効を援用したから(前記前提事実(2)キ),上記損害賠償請求権は時効により消滅したものである。 (3) 本件各差入不許可処分について前記前提事実(2)ウによれば,原告は,名古屋拘置所長が本件各差入物について差入人に引取りを求めた時点では,本件各差入不許可処分があったことを知らなかったから,本件各差入不許可処分の違法を理由とする賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度に損害及び加害者を知ったとはいえない。 したがって,本件訴え提起時には,本件各差入不許可処分の違法を理由とする損害賠償請求権について消滅時効期間は経過していなかったものである。 これに対して,被告は,原告がこれまで本件と同様に差入不許可処分についての訴えを提起していたことなどを理由に,消滅時効期間が経過していた旨を主張する。しかし,原告が差入不許可処分に関して損害賠償請求をするには,少なくとも,原告が,原告に対して差し入れられた物品について,名古屋拘置所長が差入人に引取りを求めることとした旨の事実関係を認識していることが必要というべきであり,被告の上記主張は採用することができない。 (4) 閲覧禁止処分について前記前提事実(2)エによれば,原告は,平成28年2月4日,名古屋拘置所職員から,本件抹消相当箇所1の抹消に同意するのであれば,本件抹消相当箇所1を抹消した上で本件書籍等1の閲覧を許可するが,同意しなければ本件書籍等1の閲覧を不許可とする旨を告知されたのであるから,同日の時点で,本件書籍等 所1の抹消に同意するのであれば,本件抹消相当箇所1を抹消した上で本件書籍等1の閲覧を許可するが,同意しなければ本件書籍等1の閲覧を不許可とする旨を告知されたのであるから,同日の時点で,本件書籍等1の閲覧禁止処分について,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状 況の下に,その可能な程度に損害及び加害者を知ったものというべきである。 そうすると,本件書籍等1の閲覧禁止処分の違法を理由とする損害賠償請求権の消滅時効は,平成28年2月4日から進行し,本件訴え提起時には,3年の消滅時効期間を経過していたものである。そして,被告は,この消滅時効を援用したから(前記前提事実(2)キ),上記損害賠償請求権は時効により消滅したものである。 これに対して,原告は,本件書籍等1と本件書籍等4とが同内容であることなどを理由に,上記損害賠償請求権の消滅時効は,本件書籍等4の閲覧禁止処分がされた時点から進行すると主張する。しかし,本件書籍等1と本件書籍等4についての閲覧禁止処分は別個になされているから,原告の主張は採用できない。また,原告が現在に至るまで本件書籍等1を閲覧できていないことも,上記結論を左右しない。 3 本件各発受不許可処分の違法性(争点(1))について(1)ア刑事施設の長は,被収容者と外部の者との信書の発受に関する許否の権限を有しているところ,当該施設の規律及び秩序の維持等の観点からその権限を適切に行使するよう職務上義務付けられている(法第2編第2章第11節第3款)。そして,死刑確定者については,法139条1項において,一定の信書の発受を保障し,同条2項において,その他の信書の発受を許すか否かの措置を刑事施設の長に委ね,信書の発受についての死刑確定者の利益を保護するよう刑事施設の長に義務付けている。 死刑確定者は,死刑という 受を保障し,同条2項において,その他の信書の発受を許すか否かの措置を刑事施設の長に委ね,信書の発受についての死刑確定者の利益を保護するよう刑事施設の長に義務付けている。 死刑確定者は,死刑という最も重い刑に処せられた者であるから,その刑罰に伴う制裁として,刑事施設における処遇上,外部交通を含めた行動の自由を受刑者よりも制約することが許されると考えられる。また,死刑確定者は,来るべき自己の死を待つという特殊な状況にあり,外部交通によって激しい精神的苦痛に陥ることも十分に想定される。そこで,法は,死刑確定者について,受刑者とは異なり,139条1項各号所定の信書以外の信書の発 受を保障しないこととする一方,婚姻関係の調整,訴訟の遂行,事業の維持その他の死刑確定者の身分上,法律上又は業務上の重大な利害に係る用務の処理(以下,これらを「重大用務処理」という。)のためには外部交通による意思連絡が必要となる場合があるところ,死刑確定者であっても重大用務処理を妨げられるべきではないとの考慮から,重大用務処理のため発受する信書の発受を保障することとした(同項2号)。また,死刑確定者の置かれた上記の特殊な状況に鑑みて,法は,発受により死刑確定者の心情の安定に資すると認められる信書の発受を保障することとした(同項3号)。さらに,友人・知人との交流は,人間として自然の活動であり,これを否定すると死刑確定者を精神的に孤立させることとなりかねないことから,交友関係を維持するための外部交通も,弊害を生ずるおそれがない限り,一般的にこれを認めるのが適当であると考えられる。そのため,法は,同項各号に掲げる信書以外の信書の発受について,交友関係の維持その他その発受を必要とする事情があり,かつ,その発受により刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがないと認め 考えられる。そのため,法は,同項各号に掲げる信書以外の信書の発受について,交友関係の維持その他その発受を必要とする事情があり,かつ,その発受により刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがないと認めるときは,刑事施設の長の裁量によりこれを許すことができることとしたものである(同条2項)。 イ前記アのような法139条の趣旨に照らすと,同条1項2号にいう「死刑確定者の身分上,法律上又は業務上の重大な利害に係る用務」とは,同号に例示された婚姻関係の調整,訴訟の遂行及び事業の維持と客観的に同程度の重大な利害に係る用務をいうものと解される。 また,法139条1項3号にいう「死刑確定者の心情の安定に資すると認められる信書」とは,死刑確定者が,来るべき死刑の執行による自己の死を待つことによる精神的な苦悩や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに直接に又は間接に資する内容のものをいうと解される。ただし,発受の相手方との交流自体が心情の安定に意味を有することが少なくないと考えられることから,同号所定の信書に該当するか否かの判断に当た っては,厳格に信書の内容だけから判断するのではなく,発受の相手方との交友関係を十分考慮すべきである。 さらに,法139条2項は,同項所定の要件(「交友関係の維持その他その発受を必要とする事情があり,かつ,その発受により刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがないと認めるとき」)に該当するかの判断について,刑事施設内の実情に通暁し,刑事施設の規律及び秩序の維持その他適正な管理運営の責務を負う刑事施設の長の合理的裁量に委ねたものと解される一方,この要件に該当する以上,刑事施設の長は当該信書の発受を許さなければならないものと解するのが相当である(同項の文言が「許すものとする」ではなく「許すことができ 合理的裁量に委ねたものと解される一方,この要件に該当する以上,刑事施設の長は当該信書の発受を許さなければならないものと解するのが相当である(同項の文言が「許すものとする」ではなく「許すことができる」であることのみから,直ちに,上記の要件に該当する場合でもなお刑事施設の長において当該信書の発受を許さないことができるものと解するのは,前記アのような同項の趣旨に照らして相当でない。)。 (2) 本件B2来信17ないし19についてア前記認定事実(2)アによれば,原告は,本件B2来信17があった時点において7年以上にわたり,B2との間で,C1の活動等を通じて交友関係を形成していたものと認められる。 イ本件B2来信17及び18は,B2が原告を気遣い,原告の誕生日を祝う旨の信書であり(別紙1),B2との交友関係を踏まえると,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。 したがって,本件B2来信17及び18の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 ウ本件B2来信19は,B2以外の第三者が原告に宛てた通信文や,原告の当該第三者宛ての信書を取り次ぐ旨の申出が記載された信書であるから(別紙1),法139条1項2号の信書に該当するとは認められないし,差出人がB2であることを考慮しても,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,ある いはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,同項3号の信書に該当するとは認められない。 また,本件B2来信19は,B2との交友関係の維持等のために受信することが必要であるとは認められないから,法139条2項によりその受信を許すべき事情は認めら 3号の信書に該当するとは認められない。 また,本件B2来信19は,B2との交友関係の維持等のために受信することが必要であるとは認められないから,法139条2項によりその受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B2来信19の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (3) 本件B3来信25ないし37についてア前記認定事実(2)イによれば,原告は,本件B3来信25があった時点において約8年にわたり,B3との間で,C1の活動等を通じて交友関係を形成していたものと認められる。 イ本件B3来信25ないし35は,B3が原告を気遣い,クリスマスや原告の誕生日を祝う旨の信書であり(別紙1),B3との交友関係を踏まえると,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。なお,本件B3来信25ないし35は第三者の近況等を含む信書であるが,第三者の近況等を伝えるのみならず,原告に対する挨拶等も記されていることからすると,これらの信書は,全体としてみれば,法139条1項3号の信書に該当するということができる(ただし,その一部について,内容によっては,同号の信書に該当しないものとして削除し又は抹消することがあり得る。)。 したがって,本件B3来信25ないし35の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 ウ本件B3来信36及び37のうち削除された部分は,B3以外の第三者の原告に対するメッセージであり,法139条1項2号又は3号の信書に該当 置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 ウ本件B3来信36及び37のうち削除された部分は,B3以外の第三者の原告に対するメッセージであり,法139条1項2号又は3号の信書に該当 するとは認められない。 また,本件B3来信36及び37のうち上記部分は,B3との交友関係の維持等のために受信することが必要であるとは認められないから,法139条2項によりその受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B3来信36及び37のうち上記部分の受信を許さないこととして同部分を削除した名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (4) 本件B4来信32ないし36について前記認定事実(2)ウによれば,B4は,原告の弁護団事務局法律事務職員であり,原告の訴訟上の用務処理等をしていたものであるが,原告とB4との間でそれを超えた交友関係が形成されていたものとは認められない。 本件B4来信32ないし36の主たる目的は,原告に差入れを行ったことを知らせる内容の事務連絡であり(別紙1),一部原告の体調を気遣う旨や来年度も原告の再審請求を支援する旨のコメントが付されているものもあるが,原告とB4との間で交友関係が形成されていないことを踏まえると,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。 また,上記のとおり,原告とB4との間で交友関係は形成されていないから,法139条2項により本件B4来信32ないし36の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲 た,上記のとおり,原告とB4との間で交友関係は形成されていないから,法139条2項により本件B4来信32ないし36の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B4来信32ないし36の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (5) 本件B6来信57ないし112及び本件B6宛て年賀状前記認定事実(2)オによれば,原告は,本件B6来信57があった時点において7年以上にわたり,B6との間で,信仰上の交友関係を形成していたと認められる。 本件B6来信57ないし112及び本件B6宛て年賀状は,祈りの言葉等を記載した信書又は年賀状であり(別紙1),B6との交友関係を踏まえると,これらの信書は,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。 したがって,本件B6来信57ないし112及び本件B6宛て年賀状の発受を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 (6) 本件B8来信9について前記認定事実(2)キによれば,原告は,本件B8来信9があった時点において8年以上にわたり,カトリックの神父であるB8との間で,C1の活動等を通じて信仰上の交友関係を形成していたと認められる。 本件B8来信9は,原告に対する感謝等を記載した信書であり(別紙1),B8との交友関係を踏まえると,本件B8来信9は,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。 し との交友関係を踏まえると,本件B8来信9は,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。 したがって,本件B8来信9の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 (7) 本件B9来信5について前記認定事実(2)クによれば,B9は中日新聞社会部の記者であり,原告の刑事事件の取材をしたことを契機として,平成13年5月24日頃から原告との外部交通を開始した者であるが,平成24年12月以降,本件B9来信5が あるまでの間,5年半以上にわたって交流が途絶えていたものである(別紙1)。 本件B9来信5は,B9が久しぶりに原告に信書を発信すること,この間のB9の動静等について原告に報告する趣旨の信書であるが(別紙1),原告とB9との間の交流が長年途絶えていたことなどを踏まえると,B9がキリスト教徒であることを考慮しても,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。 また,上記のとおり原告とB9との間の交流は長年途絶えており,交友関係の維持のために本件B9来信5を受信する必要があるとは認められないから,法139条2項により本件B9来信5の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B9来信5の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (8) 本件B10来信10について前記認定事実(2)ケによれば,原告とB10は,同一の B9来信5の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (8) 本件B10来信10について前記認定事実(2)ケによれば,原告とB10は,同一の養親とそれぞれ養子縁組をしたことにより,民法上,親族となったことが認められる(民法727条参照)。 したがって,本件B10来信10は,法139条1項1号の信書(死刑確定者の親族との間で発受する信書)に該当すると認められる。 したがって,本件B10来信10の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 (9) 本件B11来信7,8及び11ないし37,本件B12来信2及び3,本件B12・B11来信1ないし10並びに本件B11宛て年賀状についてア前記認定事実(2)サ及びシによれば,B11はカトリックの修道士,B12はキリスト教徒であり,いずれも,本件B11来信があった時点において 7年以上にわたり,C1の活動等を通じて,原告との間で信仰上の交友関係を形成していたと認められる。 イ上記各信書のうち,本件B11来信7,8,11ないし15,17ないし24,26ないし32,34,37,本件B12・B11来信1ないし3,7ないし10及び本件B11宛て年賀状は,キリスト教の信仰を基盤として,B11やB12が,原告に祈りを運び,原告の誕生日を祝い,自身の活動状況を伝えたり,相互に季節の挨拶を交わしたりするものであり(別紙1),原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。 したがって,本件B11来信7,8,11ないし15,17ないし24,26ないし32,34,37,本件B12・B11来信1ないし3,7ない あるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。 したがって,本件B11来信7,8,11ないし15,17ないし24,26ないし32,34,37,本件B12・B11来信1ないし3,7ないし10及び本件B11宛て年賀状の発受を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 ウ本件B11来信16,25,33,35,36,本件B12来信2,3及び本件B12・B11来信4は,いずれも原告に差入れを行った旨を伝えるにとどまるものであり(別紙1),原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。また,これらの信書は,B11及びB12との交友関係の維持等のために受信することが必要であるとは認められないから,法139条2項によりこれらの信書の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 本件B12・B11来信5及び6は,第三者の訃報を知らせる旨の信書であるところ(別紙1),死刑確定者の置かれた特殊な状況に照らし,自らの死を連想させ,原告に精神的動揺を与える可能性があるから,法139条1項 3号の信書に該当するとは認められない。また,これらの信書は,B11及びB12との交友関係の維持等のために受信することが必要であるとは認められないから,法139条2項によりこれらの信書の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B11来信16,25,33,35,36,本件B12来信2,3及び本件B12・B た名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B11来信16,25,33,35,36,本件B12来信2,3及び本件B12・B11来信4ないし6の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (10) 本件B13来信7について前記認定事実(2)スによれば,原告は,本件B13来信7があった時点において8年以上にわたり,キリスト教徒であるB13との間で,交友関係を形成していたと認められる。 本件B13来信7は年賀状であるところ(別紙1),年賀状は,新年においても,これまでと変わらぬ交友関係を維持することを表明する趣旨を含むものであるといえ,B13との交友関係を踏まえると,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。 したがって,本件B13来信7の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 (11) 本件B14来信21ないし26,28ないし31,34,35及び本件B14宛て年賀状発信願いについてア前記認定事実(2)セによれば,原告は,本件B14来信21があった時点において9年以上にわたり,キリスト教徒であるB14との間で,交友関係を形成していたものと認められる。 イ(ア) 本件B14来信21,24,25,26,28ないし30,34,35 は,B14が原告に祈りを運び,自身の活動状況を伝えたり,相互に季節の挨拶を交わしたりするものであり(別紙1),B14との交友関係を踏まえると,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するもの の活動状況を伝えたり,相互に季節の挨拶を交わしたりするものであり(別紙1),B14との交友関係を踏まえると,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。 (イ) 本件B14宛て年賀状発信願いについては,上記のとおりの原告とB14との交友関係や,年賀状が交友関係を維持する手段として広く定着していることからすれば,B14との交友関係の維持のために発信を必要とする事情があるものというべきである。また,本件全証拠によっても,B14宛て年賀状の発信により刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあることをうかがわせる事情は認められない。 これに対して,被告は,B14からの返信可能性の程度は不明であるところ,返信がなかった場合,原告の心情の安定を害するおそれがあるので,B14宛て年賀状願いの発信により刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあった旨主張する。しかしながら,B14は,平成29年7月11日から同年11月8日までの間に3回原告に対して信書を発信していること(別紙1)に照らせば,B14が返信をせず,そのために原告の心情の安定が害される具体的な蓋然性があったとは考え難い。 そうすると,法139条2項により本件B14宛て年賀状願いの発信を許すべき事情が認められないとした名古屋拘置所長の判断は不合理なものであったといわざるを得ず,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものというべきである。 (ウ) したがって,本件B14来信21,24,25,26,28ないし30,34,35及び本件B14宛て年賀状願いの発受を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 ウ本件B14来信22,23及び31は,原告に差入れを行 28ないし30,34,35及び本件B14宛て年賀状願いの発受を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 ウ本件B14来信22,23及び31は,原告に差入れを行った旨や又は第 三者の近況等を伝えるにとどまるものであり(別紙1),原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。また,これらの信書は,B14との交友関係の維持等のために受信することが必要であるとは認められないから,法139条2項によりこれらの信書の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B14来信22,23及び31の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (12) 本件B15来信2について前記認定事実(2)ソによれば,B15はキリスト教徒であり,平成10年4月13日から原告との外部交通を開始したものであるが,平成15年4月7日から平成27年12月7日までの間,12年以上にわたって交流が途絶えていたものである。 本件B15来信2は,原告に対して差入れを行った旨を連絡するにとどまるものであり(別紙1),原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。また,上記のとおり原告とB15との間の交流は長年途絶えており,交友関係の維持のために本件B15来信2を受信する必要があるとは認められないから,法139条2項により本件B15来信2の受信を許 ない。また,上記のとおり原告とB15との間の交流は長年途絶えており,交友関係の維持のために本件B15来信2を受信する必要があるとは認められないから,法139条2項により本件B15来信2の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B15来信2の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置 が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (13) 本件B16来信2及び本件B17来信2について前記認定事実(2)タ及びチによれば,B16及びB17は,過去に原告の民事事件の訴訟代理人を務めた弁護士であるが,原告とB16及びB17との間でそれを超えた交友関係が形成されていたものとは認められない。 本件B16来信2及び本件B17来信2は,いずれも年賀状であり,年賀状は,新年においても,これまでと変わらぬ交友関係を維持することを表明する趣旨を含むものであるといえるが,原告とB16及びB17との間で交友関係が形成されていないことを踏まえると,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。 また,上記のとおり,原告とB16及びB17との間で交友関係は形成されていないから,法139条2項により本件B16来信2及び本件B17来信2の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B16来信2及び本件B17来信2の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (14 の濫用があったものということはできない。 したがって,本件B16来信2及び本件B17来信2の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (14) 本件B1及びB20来信2及び3について前記認定事実(2)テによれば,B1及びB20は,平成13年に原告の洗礼を行った司教及びその妻であり,本件B1及びB20来信2があった時点において7年以上にわたり,B1及びB20との間で交友関係を形成していたものと認められる。 本件B1及びB20来信2及び3は,クリスマスメッセージや自身の近況等を知らせるものであり(別紙1),B1及びB20が原告の洗礼を行った司教及びその妻であることを踏まえると,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あ るいはコントロールできる状態になることに資するものであるといえるから,法139条1項3号の信書に該当すると認められる。 したがって,本件B1及びB20来信2及び3の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 (15) 本件B21来信について前記認定事実(2)トによれば,B21は,本件B21来信をもって原告との外部交通を開始しようとする者であり,これまで原告と交友関係にあったことをうかがわせる証拠はない。 そうすると,原告との文通開始を希望する旨を記載した本件B21来信は,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当すると認めることはできない。また,法139条2項により本件B21来信の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 した はできない。また,法139条2項により本件B21来信の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B21来信の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (16) 本件B22来信について前記認定事実(2)ナによれば,B22は,原告の義姉であるB10の友人として,平成12年2月19日から原告との外部交通を開始した者であるが,平成18年3月以降,本件B22来信があるまでの間,約11年にわたって交流が途絶えていたものである。 本件B22来信は,平成18年3月20日以降来信が途絶えていた理由等について述べるものであるところ(別紙1),信書を発信しなかった間も原告を気遣っていたことを示す趣旨ともとれる一方,原告との外部交通を継続する意思があるかどうか分からない面もあり,必ずしも原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとは いえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。 また,上記のとおり原告とB22との間の交流は長年途絶えており,交友関係の維持のために本件B22来信を受信する必要があるとは認められないから,法139条2項により本件B22来信の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B22来信の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (17) 本件B23来信1及び2について前記認定事実(2)ニによれば,B23は,C1事務局スタッフである 許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (17) 本件B23来信1及び2について前記認定事実(2)ニによれば,B23は,C1事務局スタッフであるが,本件B23来信1よりも前に原告と外部交通をしたことはなかったものである。 本件B23来信1及び2は,B23が原告に差入れを行ったことや,それが初めてであることなどを伝えるにとどまるものであり(別紙1),原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。また,上記のとおり,原告とB23との間で交友関係は形成されていないから,法139条2項により本件B23来信1及び2の受信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B23来信1及び2の受信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (18) 本件B24宛て信書について本件B24宛て信書は,原告が,B24に対し,訴訟代理人となる弁護士を原告のために探すことを依頼する内容の信書であるところ,適切な弁護士を探し,依頼することは,訴訟の遂行と客観的に同程度の重大な利害に係る用務であるというべきであるから,法139条1項2号の信書に該当すると認められ る。 これに対し,被告は,原告が既に複数の弁護士の連絡先を把握しており,B24に対して,別途弁護士を探すよう依頼する必要性がないなどと主張する。 しかし,弁護士の選任を誰に依頼するかは,原告が自由に決すべき事項であるから,原告が複数の弁護士の連絡先を把握済みであることは,上記用務の て,別途弁護士を探すよう依頼する必要性がないなどと主張する。 しかし,弁護士の選任を誰に依頼するかは,原告が自由に決すべき事項であるから,原告が複数の弁護士の連絡先を把握済みであることは,上記用務の必要性を否定する事情とはならない。 したがって,本件B24宛て信書の発信を許さなかった名古屋拘置所長の措置は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 (19) 本件B25宛て年賀状発信願い及び本件B26宛て年賀状発信願いについて前記認定事実(2)ネ及びノによれば,B25及びB26は,原告の少年時代の知人であるが,原告との外部交通の実績はなく,本件B25宛て年賀状発信願い及び本件B26宛て年賀状発信願いを提出するまでに,原告との間で交友関係が継続していたことを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,法139条2項により本件B25宛て年賀状発信願い及び本件B26宛て年賀状発信願いの発信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B25宛て年賀状発信願い及び本件B26宛て年賀状発信願いの発信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (20) 本件B27及びB28宛て信書について前記認定事実(2)ハによれば,B27及びB28は,キリスト教の牧師であり,原告が未決拘禁者であった時に外部交通をしていたほか,B27においてDに寄稿するなどして原告を支援していたものであるが,死刑判決が確定してから本件B27及びB28宛て信書の発信願いが提出された平成30年6月 までの7年以上にわたり,交流が途絶えていたものである。 本件B27及びB28宛て信書は,差入れに対する謝意,近況報告等を内容 27及びB28宛て信書の発信願いが提出された平成30年6月 までの7年以上にわたり,交流が途絶えていたものである。 本件B27及びB28宛て信書は,差入れに対する謝意,近況報告等を内容とする信書であるが(別紙2),原告とB27及びB28との間の交流が長年途絶えていたことを踏まえると,上記両名がキリスト教の牧師であり,B27において原告を支援していたことを考慮しても,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。 また,上記のとおり原告とB27及びB28との間の交流は長年途絶えており,交友関係の維持のために本件B27及びB28宛て信書を発信する必要があるとは認められないから,法139条2項により本件B27及びB28宛て信書の発信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B27及びB28宛て信書の発信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (21) 本件B29宛て信書について前記認定事実(2)ヒによれば,B29は,C3の代表者であるが,本件B29宛て信書の発信願いが提出された平成30年6月の時点で,原告との間で交友関係があったものとは認められない。 本件B29宛て信書は,B29に対して贖罪寄付の申出をする趣旨の信書であるところ(別紙2),キリスト教徒である原告にとって贖罪寄付が一定程度の重要性を有するということはできるものの,それが婚姻関係の調整,訴訟の遂行及び事業の維持と客観的に同程度の重大な利害に係る用務に当たるとまではいえないから,法139条1項2 って贖罪寄付が一定程度の重要性を有するということはできるものの,それが婚姻関係の調整,訴訟の遂行及び事業の維持と客観的に同程度の重大な利害に係る用務に当たるとまではいえないから,法139条1項2号の信書に該当するものとは認められない。 また,上記のとおり原告とB29との間で交友関係が形成されていないことを踏まえると,本件B29宛て信書は,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し, あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。そして,同条2項により本件B29宛て信書の発信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B29宛て信書の発信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 (22) 本件B30宛て信書及び本件B18及びB19宛て信書について前記認定事実(2)ツ及びフによれば,B30及びB18及びB19は,原告が以前に民事事件の依頼をするなどしていた弁護士であるが,原告とB30及びB18及びB19との間でそれを超えた交友関係が形成されていたものとは認められない(別件の民事訴訟において,B18及びB19及びB30からの各年賀状の受信許可処分が違法である旨の理由中の判断が示された判決が確定していることは,上記認定判断を左右しない。)。 本件B30宛て信書及び本件B18及びB19宛て信書は,いずれも年賀状であり,年賀状は,新年においても,これまでと変わらぬ交友関係を維持することを表明する趣旨を含むものであるといえるが,原告とB30及びB18及びB19との間で交友関係が形成されていないことを踏まえる であり,年賀状は,新年においても,これまでと変わらぬ交友関係を維持することを表明する趣旨を含むものであるといえるが,原告とB30及びB18及びB19との間で交友関係が形成されていないことを踏まえると,原告が精神的な苦痛や動揺を克服し,あるいはコントロールできる状態になることに資するものであるとはいえないから,法139条1項3号の信書に該当するとは認められない。 また,上記のとおり,原告とB30及びB18及びB19との間で交友関係は形成されていないから,法139条2項により本件B30宛て信書及び本件B18及びB19宛て信書の発信を許すべき事情は認められないとした名古屋拘置所長の判断について,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものということはできない。 したがって,本件B30宛て信書及び本件B18及びB19宛て信書の発信を許さなかった名古屋拘置所長の措置が,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 4 本件各差入不許可処分の違法性(争点(2))について(1) 本件差入物1ないし6,8,9,14ないし16,19及び25についてア前記前提事実(2)ウのとおり,名古屋拘置所長は,上記各差入物について,いずれも法46条1項1号に該当することを理由として,差入人に対してその引取りを求めたものである。 そこで検討すると,法46条1項1号は,犯罪性のある者等との間での受刑者の信書の発受を禁止することができる旨の法128条の規定と同様に,差入人の属性や被収容者と当該差入人との関係等に照らして,被収容者が当該差入人から金品の交付を受けることで交流すること自体によって刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがある場合に,差入れを認めない趣旨の規定であると解される。そして,同号に該当するかの判断に関しては,刑事施設内の実 の交付を受けることで交流すること自体によって刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがある場合に,差入れを認めない趣旨の規定であると解される。そして,同号に該当するかの判断に関しては,刑事施設内の実情に通暁し,刑事施設の規律及び秩序の維持その他適正な管理運営の責務を負う刑事施設の長の合理的な裁量に委ねられているものと解される。 したがって,ある差入物が法46条1項1号に該当すると判断して差入人に対してその引取りを求めた刑事施設の長の措置は,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,国家賠償法1条1項の適用上違法となるとすべきものと解するのが相当である。 イこれを本件についてみると,前記前提事実(2)ウ(別紙3)によれば,上記 各差入物は,いずれもキリスト教に関する書籍やパンフレット,写真であり,前記認定事実(2)によれば,これらの差入人のうちB3,B2,B14,B31及びB23は,いずれもキリスト教の活動等を通して原告を支援している者であり,ほんにかえるプロジェクトは,被収容者に対して書籍の無償貸与等を行っている団体である。 しかるに,名古屋拘置所長は,上記の各差入人が,外部交通許可方針者(死刑確定者が事前に届け出た面会の申出をすることが予想される者及び信書の発受をすることが予想される者のうち,名古屋拘置所があらかじめ外部交通を許可する方向性を示したもの。以下同じ。)でないか,あるいは外部交通の許否を個別に判断する方針が示されていた者(B2)であり, の発受をすることが予想される者のうち,名古屋拘置所があらかじめ外部交通を許可する方向性を示したもの。以下同じ。)でないか,あるいは外部交通の許否を個別に判断する方針が示されていた者(B2)であり,差入物を原告に交付することについて,刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがないといえる事情がないとして,上記各差入物が法46条1項1号に該当すると判断したものである。 しかしながら,外部交通許可方針者でないからといって,被収容者がその者から金品の交付を受けることで交流すること自体によって刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるものと直ちにはいえないことは明らかであるところ,名古屋拘置所長は,上記の各差入人の属性や原告と当該差入人との関係等を個別的に検討することなく,また,上記各差入物を原告に交付することにより,原告が精神的に不安定になって逃走や自殺を図るなどして,刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるかという点について具体的に検討することなく上記のとおり判断したものであり,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる。 ウしたがって,名古屋拘置所長が,本件差入物1ないし6,8,9,14ないし16,19及び25について引取りを求めたことは,国家賠償法1条1項の適用上上違法となる。 (2) 本件差入物7,10ないし13,17,18,20ないし24及び26ないし28についてア前記前提事実(2)ウのとおり,名古屋拘置所長は,上記各差入物について,いずれも法46条1項5号に該当することを理由として,差入人に対してその引取りを求めたものである。 法46条1項5号にいう「自弁により使用し,若しくは摂取することがきることとされる物品又は釈放の際に必要と認 46条1項5号に該当することを理由として,差入人に対してその引取りを求めたものである。 法46条1項5号にいう「自弁により使用し,若しくは摂取することがきることとされる物品又は釈放の際に必要と認められる物品」については,法41条,42条,刑事施設規則16条のほか,別紙5記載の自弁に関する訓令,平成26年自弁に関する達示及び平成29年自弁に関する達示等により規律される。 イ本件差入物7,12,13,22ないし24,26,28について本件差入物7は指サック1袋,本件差入物12はマフラー,本件差入物13,22ないし24はカレンダー(コピーを含む。),本件差入物26は小じわ取りのサンプル,本件差入物28は保湿クリームのサンプルであるところ,自弁に関する訓令,平成26年自弁に関する達示及び平成29年自弁に関する達示によれば,これらの物品はいずれも,死刑確定者が自弁により使用することができる物品に当たらない。 したがって,名古屋拘置所長が,本件差入物7,12,13,22ないし24,26,28について引取りを求めたことが,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 ウ本件差入物10及び20本件差入物10は日刊新聞紙の一面,本件差入物20は東京新聞2部であるところ,刑事施設の長は,被収容者が取得することができる新聞紙の取得方法について,刑事施設の管理運営上必要な制限として,刑事施設の長が指定する事業者からの1月以上の継続的な購入に制限することができ(法71条,刑事施設規則34条2項),名古屋拘置所長は,上記の制限をしているも のである(弁論の全趣旨)。 そうすると,本件差入物10及び20は,死刑確定者が自弁により使用することができる物品に当たらない。 したがって,名古屋拘置所長が,本件差入物10及び20について引 のである(弁論の全趣旨)。 そうすると,本件差入物10及び20は,死刑確定者が自弁により使用することができる物品に当たらない。 したがって,名古屋拘置所長が,本件差入物10及び20について引取りを求めたことが,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 エ本件差入物11について本件差入物11はタオルであるが,名古屋拘置所長は,被収容者に対して差入れすることのできるタオルの規格を,90㎝以内×35㎝以内と定めているところ(乙382),本件差入物11はこの規格に反するものであるから,死刑確定者が自弁により使用することができる物品に当たらない。 これに対して,原告は,自弁に関する訓令等によれば,タオルは自弁により使用することができるものとされているのであり,名古屋拘置所内の内部規定は具体的な法的根拠を欠くから,本件差入物11は自弁により使用することができる物品に当たる旨主張する。しかし,自弁に関する訓令10条は,刑事施設の長は,被収容者に自弁を許す物品について,規律及び秩序の維持その他管理運営上の必要がある場合には,あらかじめ形状又は規格を定めることができる旨規定しており,名古屋拘置所長は,この規定に基づいて,上記のとおりタオルの規格を定めたものと解することができるから,原告の上記主張は採用することができない。 したがって,名古屋拘置所長が,本件差入物11について引取りを求めたことが,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 オ本件差入物17,18,21及び27について上記各差入物は,いずれもポストカードである(ただし,本件差入物17はプラスチック製3Dポストカードである。)ところ,自弁に関する訓令,平成29年自弁に関する達示によれば,ポストカードは死刑確定者が自弁により使用することができる物品である (ただし,本件差入物17はプラスチック製3Dポストカードである。)ところ,自弁に関する訓令,平成29年自弁に関する達示によれば,ポストカードは死刑確定者が自弁により使用することができる物品である。 これに対し,被告は,上記各差入物は,素材としてプラスチックが用いられ立体的に映る図面が細工され,あるいは表面や裏面に絵や文章が印刷されるなどしており,通常の官製はがきと大きく異なるため,自弁物品等以外の物品であると主張する。しかし,自弁物品に当たるかどうかは,その物品の用法・機能に照らし画一的に判断すべきであり,そのようにみると,上記各差入物は,官製はがきと異なる体裁をとっていたとしてもはがきとして用いることができるものであるから,被告の主張は採用できない。 したがって,名古屋拘置所長が,本件差入物17,18,21及び27について引取りを求めたことは,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 (3) 本件差入物7及び10ないし12を廃棄したことについて原告は,上記各差入物について,名古屋拘置所長が原告に何らの告知もせずに廃棄したことが法46条5項に反し違法であると主張する。 そこで検討すると,法46条5項は,被収容者に交付するため当該被収容者以外の者が刑事施設に持参し,又は送付した現金及び物品(法44条3号)であって,法46条1項5号又は6号に該当するもの(同項1号から4号までのいずれかに該当するものを除く。),すなわち刑事施設において受け入れることができない差入物について,差入人がその引取りを拒んだときなどは,刑事施設の長は,被収容者に対し,親族その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めるものとする旨を規定する(なお,同項1号から4号までのいずれかに該当する現金又は物品について,引取りがされないときは,国庫に帰属 収容者に対し,親族その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めるものとする旨を規定する(なお,同項1号から4号までのいずれかに該当する現金又は物品について,引取りがされないときは,国庫に帰属する。同条3項)。これは,刑事施設において受け入れることができない差入物について,差入人が引取りを拒むなどした場合,刑事施設内に受け入れることは適当でないものの,被収容者が一時的に処分することができるものとすることは必ずしも不適当でないことから,被収容者に対し相当の処分を求めるものとする趣旨の規定であり(被収容者が相当の期間内にその処分をしないときは,刑事施設の長は,これを売却してその代金を領置するか,売却することができ ないものは廃棄する。同条6項,45条2項),刑事施設において受け入れることができない差入物について,被収容者にこれを処分する利益を保障するものではないと解される。 そうすると,差入人が,当該差入物について刑事施設内に受け入れられないのであればこれを廃棄されたい旨の意向を明示又は黙示に表示した場合に,被収容者に告知することなく当該差入物を廃棄したとしても,少なくとも被収容者との関係において違法となる余地はないものと解するのが相当である。 これを本件についてみると,証拠(乙386,390)及び弁論の全趣旨によれば,本件差入物7の差入人であるB7及び本件差入物10の差入人であるB3は,名古屋拘置所長から,「あなたから6か月間ご連絡がない場合は,当所において当該差入物品の処分を行うこととなりますので,併せてご了解願います。」との記載のある書面を受け取った後,6箇月以上名古屋拘置所長に対して当該差入物の処分について連絡をしなかったものであり,本件差入物11及び12の差入人であるB3は,名古屋拘置所長に対し,本件差入物11 の記載のある書面を受け取った後,6箇月以上名古屋拘置所長に対して当該差入物の処分について連絡をしなかったものであり,本件差入物11及び12の差入人であるB3は,名古屋拘置所長に対し,本件差入物11及び12の処分を依頼する旨の文書を送付したものである。 したがって,名古屋拘置所長が,本件差入物7及び10ないし12について,原告に何らの告知もせずに廃棄したことが原告との関係で違法となる余地はない。 5 本件各閲覧禁止処分の違法性(争点(3))について(1) 書籍等の閲覧は,憲法上の思想の自由や表現の自由に関わるものであるから,合理的な制限の理由がない限り,これを保障する必要がある。また,被収容者は,余暇時間帯等(受刑者以外の被収容者にあっては,食事,就寝その他の起居動作をすべき時間帯以外の時間帯)において,知的,教育的及び娯楽的活動を行うことができるところ(法39条2項参照),書籍等の閲覧は,上記活動として,あるいは上記活動に必要なものとして,有意義である。そこで,法は,未決拘禁者,受刑者,死刑確定者等の収容の事由によって区別すること なく,被収容者に原則として自弁の書籍等の閲覧の自由を保障する旨規定するとともに(69条),その閲覧を禁止する場合にも刑事施設の規律秩序の維持などのために必要な限度を超えてはならない旨規定している(73条2項)。 このような法の趣旨に鑑みれば,自弁の書籍等の閲覧を禁止することができる事由としての「刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき」とは,当該書籍等を閲覧することにより刑事施設の規律及び秩序が害される一般的,抽象的なおそれがあるというだけでは足りず,被収容者の性向,行状,刑事施設内の管理,保安の状況,当該書籍等の内容その他の具体的事情の下において,その閲覧により刑事施設内 律及び秩序が害される一般的,抽象的なおそれがあるというだけでは足りず,被収容者の性向,行状,刑事施設内の管理,保安の状況,当該書籍等の内容その他の具体的事情の下において,その閲覧により刑事施設内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認められ,かつ,その閲覧を禁止することが上記障害発生の防止のために必要かつ合理的である場合をいうものと解するのが相当である(最高裁昭和58年6月22日大法廷判決・民集37巻5号793頁参照)。 そして,上記の「刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれ」の有無を判断するに当たっては,刑事施設内の実情に通暁し,刑事施設の規律及び秩序の維持その他適正な管理運営の責務を負う刑事施設の長による個々の場合の具体的状況の下における裁量的判断にまつべき点が少なくないため,上記の「おそれ」があるとした刑事施設の長の認定に合理的な根拠があり,その防止のために当該書籍等の閲覧を禁止する措置が必要であるとした判断に合理性が認められる限り,当該措置は適法として是認すべきものと解するのが相当である(前掲昭和58年6月22日大法廷判決参照)。 (2) 本件抹消相当箇所2ないし4及び6について前記認定事実(3)によれば,本件抹消相当箇所2ないし4及び6には,刑場の図面や写真,死刑執行状況等を具体的に描写した記載があると認められる。 名古屋拘置所長は,当該記載を死刑確定者である原告に閲覧させた場合,死刑執行場面をイメージさせ,心情が不安定になり,逃走を企てたり,自殺等の自 傷行為や刑の執行妨害等に及んだりするおそれがあるなどとして,法70条1項1号所定の「おそれ」があるものと判断し,本件抹消相当箇所2ないし4及び6を抹消の上当該書籍等を閲覧させる旨の決定をしたものである(別 刑の執行妨害等に及んだりするおそれがあるなどとして,法70条1項1号所定の「おそれ」があるものと判断し,本件抹消相当箇所2ないし4及び6を抹消の上当該書籍等を閲覧させる旨の決定をしたものである(別紙4)。 確かに,死刑確定者は特殊な心理状況にあると認められ(乙395等),自殺等の自傷行為や逃走のおそれが潜在的に存在し,その処遇に当たっては,その者の心情の安定を得られるようにすることに留意する必要があるといえる(法32条1項)。しかし,死刑確定者が,自らの判断で死刑執行状況等が具体的に描写された書籍等を閲覧する場合,逃走を企てたり,自殺等の自傷行為や刑の執行妨害等に及んだりする相当程度の蓋然性があるものと当然にいうことはできない。 この点について,被告は,原告が過去に自殺を図り,器物損壊行為に及び,幻聴を訴えて精神科医の診察を受けたことがある上,死刑判決確定により原告の精神状態は更に不安定になったと主張し,前記認定事実(1)によれば,原告が平成10年12月頃から幻聴を聞くようになった旨述べ,平成11年2月から同年10月にかけて幻聴に関して精神科医の診察を受けたこと,平成11年3月に自殺を図ったこと,平成11年10月に居室内の蛍光灯の損壊に及んだことが認められる。 しかしながら,上記各決定がされたのは平成28年2月以降であって,被告が指摘する事情が認められる時期から15年以上の年月が経過しており,原告が,この間,平成10年ないし平成11年当時と同様に不安定な精神状態にあったことをうかがわせる証拠はない。 以上によれば,本件抹消相当箇所2ないし4及び6を閲覧することにより法70条1項1号所定の「おそれ」があるとした名古屋拘置所長の認定に合理的な根拠があるとはいえない。 (3) 本件抹消相当箇所5について前記認定事実(3)によれば し4及び6を閲覧することにより法70条1項1号所定の「おそれ」があるとした名古屋拘置所長の認定に合理的な根拠があるとはいえない。 (3) 本件抹消相当箇所5について前記認定事実(3)によれば,本件抹消相当箇所5には,名古屋拘置所職員の 氏名が記載されている。 被告は,名古屋拘置所職員の氏名が収容者に明らかとなれば,処遇等に不満を持つ被収容者から,刑事施設外の関係者等を通じて報復を受ける危険性があるなどとして,本件抹消相当箇所5を原告に閲覧させることにより刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあると主張する。 しかし,原告が,刑事施設外の関係者を通じるなどして,当該職員に対して報復をする蓋然性をうかがわせる証拠はない上,原告と刑事施設外の関係者との外部交通については,法所定の検査を経ることになるから(法140条等),原告が本件抹消相当箇所5を閲覧したとしても,名古屋拘置所内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があるとはいい難い。 以上によれば,本件抹消相当箇所5を閲覧することにより法70条1項1号所定の「おそれ」があるとした名古屋拘置所長の認定に合理的な根拠があるとはいえない。 (4) よって,本件抹消相当箇所2ないし6を抹消の上当該書籍等を閲覧させる旨の名古屋拘置所長の決定は,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 6 本件証拠提出行為等の違法性(争点(4))について(1) 原告の診療録,原告の日常的な動静等が記録された動静経過表,原告と原告の知人等との面会の内容等を記録した面会表や外部交通の内容等を記録した書信表(診療録等)を証拠として提出した行為について診療録等に記載された事実,すなわち原告の病名,症状,原告の日常的な動静等,知人等との面会や外部交通の内 録した面会表や外部交通の内容等を記録した書信表(診療録等)を証拠として提出した行為について診療録等に記載された事実,すなわち原告の病名,症状,原告の日常的な動静等,知人等との面会や外部交通の内容等の中には,他人にみだりに知られたくない原告のプライバシーに属する事実が含まれるものと解される。しかしながら,民事訴訟においては,訴訟物たる権利ないし法律関係の基礎をなす事実の確定に必要な資料の収集を当事者の権能と責任に委ねており,事実認定の基礎となる証拠は当事者が申し出たものに限られることを踏まえると,民事訴訟 における主張立証活動は,通常の言論活動よりも厚く保護されなければならず,相手方当事者のプライバシーに属する事実を主張したり,同事実を利用した証拠を提出したりしたとしても,それが直ちに不法行為を構成するものではないというべきである。そして,上記の主張及び証拠提出行為が不法行為を構成するか否かは,当該行為の目的や,必要性・関連性の有無及び程度と,これにより相手方当事者に生ずる不利益の程度等とを比較衡量して判断すべきものと解される。 これを本件についてみると,前記前提事実(2)オによれば,被告は,別件訴訟において,名古屋拘置所長がした処分の適法性を基礎づける事情として,当該処分の前の原告の動静や精神状態等を主張立証しようとしていたものであり,診療録等は上記事情の立証にとって必要不可欠であったといえる。他方,診療録等が証拠として提出されると,訴訟記録の一部として閲覧の対象となるが(民事訴訟法91条1項),訴訟記録について閲覧等制限の申立て(同法92条1項)をすることが可能であることや,裁判所職員等は職務上の守秘義務を負っていることを踏まえると,原告の診療録等を証拠として提出することにより原告に生ずる不利益の程度は大きいとはい 立て(同法92条1項)をすることが可能であることや,裁判所職員等は職務上の守秘義務を負っていることを踏まえると,原告の診療録等を証拠として提出することにより原告に生ずる不利益の程度は大きいとはいえない。 以上によれば,被告が診療録等を証拠として提出した行為は,不法行為を構成しないものというべきである。 (2) A医師に原告が再審請求弁護人と面会した際の面会表等を開示した行為及び上記面会表を証拠として提出した行為について原告は,上記各行為が原告の再審請求弁護人との間で秘密面会をする権利を侵害するものである旨主張する。 しかしながら,死刑確定者の秘密面会の利益は,再審請求をするために再審請求弁護人から援助を受ける機会を実質的に保障するために認められるものであること(最高裁平成25年12月10日第三小法廷判決・民集67巻9号1761頁参照)に照らすと,既に刑事施設の職員の立会いの下に死刑確定者 と再審請求弁護人との間でされた面会の内容を開示することが,上記利益を侵害するものであるとはいえない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 なお,上記各行為は,再審請求弁護人との打合せの内容という他人にみだりに知られたくない原告のプライバシーに属する事実を含むものと解する余地があるが,上記医師の意見書の作成に必要な資料の提供行為及び当該資料の証拠としての提出行為であり,前記(1)で説示したところに照らして,原告のプライバシーを侵害する不法行為を構成することはないものというべきである。 7 損害額(争点(5))について以上によれば,原告は,発受不許可処分,差入不許可処分及び閲覧禁止処分を受けたことにより精神的苦痛を被ったと認められる。そして,発受不許可処分については,相手方が11名であること,信書の内容その他本件 上によれば,原告は,発受不許可処分,差入不許可処分及び閲覧禁止処分を受けたことにより精神的苦痛を被ったと認められる。そして,発受不許可処分については,相手方が11名であること,信書の内容その他本件における一切の事情を考慮すると,慰謝料として合計11万円(そのうち,第1次請求に関するものが9万5000円,第2次請求(上記相手方のうち3名(B6,B11,B14)との間の信書の一部に係る請求)に関するものが1万5000円)を認めるのが相当である。また,差入不許可処分については,差入物の内容その他本件における一切の事情を考慮すると,慰謝料として合計5万円(そのうち,第1次請求に関するものが4万円,第2次請求に関するものが1万円)を認めるのが相当である。さらに,閲覧禁止処分については,書籍等の内容その他本件における一切の事情を考慮すると,慰謝料として一つの処分につき5000円ずつを認めるのが相当である。 また,違法と認められる各処分と相当因果関係のある弁護士費用としては2万円が相当であると認められる。 なお,第2次請求に係る損害賠償請求権(本件B6来信94ないし112,本件B11来信21ないし24,26ないし32,34,37,本件B14来信30,34,35の受信を許さなかったこと(合計1万5000円),及び本件差 入物18,19,21,25,27の引取りを求めたこと(合計1万円)の違法を理由とするもの)のうち,令和2年4月1日以降に処分がされたものに係る額を5000円(本件B6来信108ないし112,本件B11来信34,37,本件B14来信35(合計3000円),本件差入物27(2000円))と認めるのが相当であり,これについては,平成29年法律第44号による改正後の民法が施行された後に被告が遅滞の責任を負ったものであるから,遅延 信35(合計3000円),本件差入物27(2000円)と認めるのが相当であり,これについては,平成29年法律第44号による改正後の民法が施行された後に被告が遅滞の責任を負ったものであるから,遅延損害金の利率は同法所定の年3%となる(平成29年法律第44号附則17条3項参照)。 第4 結論 以上によれば,原告の請求は,主文第1項から第4項の限度で理由があるからこれを認容し,その余はいずれも理由がないからこれを棄却することとする。 なお,仮執行の宣言については,相当でないからこれを付さない。 よって,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第7部 裁判長裁判官齋藤毅 裁判官今城智徳 裁判官白鳥葵 (別紙省略)
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