【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理 由 被告人弁護人作間耕造同平尾東策上告趣意第一点について。 原判決は、判示第一の
主文原判決を破棄する。 本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理由被告人弁護人作間耕造同平尾東策上告趣意第一点について。 原判決は、判示第一の(い)の判示として被告人は、所論のごとく、判示七月一〇日判示学院新校舎開校式に列席して自ら経過報告をなし、以て校長の職務に従事しと判示し、証拠として被告人の原審公判廷における判示学院新校舎開校式に経過報告をした旨の供述と、第一審第二回公判調書中の証人Aの供述として判示第一の(い)に照応する顛末の記載とを挙示しているに過ぎない。されば原判決の判示によつては右「経過報告」とは新校舎開校式に関する経過報告であるのか若しくは校舎新築に関する経過報告であるのか或はその他の経過報告であるのかその内容が明らかではない。また、記録に就いて右証人Aの供述内容を調査するも被告人は経過報告として建築に関することを語つたというに過ぎず、建築に関する如何なる内容の報告をしたものかを知ることができない。従つて原判決の判示では被告人が果して校長の職務に従事したものであるか否かの理由を知ることができない。それ故本論旨は理由があつて原判決は破棄を免れない。 同第二点について。 昭和二二年政令第六二号(教職員の除去、就職禁止等に関する政令)はその第七条において「教職を去らしめられた教職不適格者は、その退職当時の勤務先であつた学校又は官公署その他の団体の執務の場所に出入してはならない。但し、正当の事由がある場合は、この限りでない。」と規定して教職不適格者の退職当時の勤務先への出入を禁止していること並びに同令中には第八条(刑罰三年以下の懲役若しくは禁錮又は一万五千円以下の罰金)その他においてこれが違反につき罰則を設け- 1 -ていないことは、いずれも所論のとおりである。しかし、 していること並びに同令中には第八条(刑罰三年以下の懲役若しくは禁錮又は一万五千円以下の罰金)その他においてこれが違反につき罰則を設け- 1 -ていないことは、いずれも所論のとおりである。しかし、その故を以て直ちに同令第七条は所論のごとき単なる注意的、訓示的の警戒規定に過ぎないものと解することはできない。なぜなら右政令公布の前年に当る昭和二一年六月一二日公布の勅令第三一一号聯合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令第四条第一項には「この勅令に違反した者及び占領目的に有害な行為をした者は、これを十年以下の懲役若しくは七万五千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と規定し、同第三項に「前二項の規定は聯合国最高司令官の指令又はその指令を履行するために日本国政府の発する法令に特別の定ある場合には、これを適用しない」と規定して、この勅令に違反した者及び占領目的に有害な行為をした者に対しては、右第三項所定の法令に特別の定のない限り、一般的、原則的に同第一項所定の刑罰(すなわち最高懲役十年、最低科料とする四種の法定刑)を以て処罰すべきことを定めて居る。又同第二条第三項によれば、右占領目的に有害な行為という中には連合国最高司令官の日本国政府に対する指令の趣旨に反する行為及びその指令を履行するために日本国政府の発する法令に違反する行為を含むことは明らかである。前記政令は連合国最高司令官の指令を履行するために日本国政府の発した法令に該当し、従つて前記政令第七条に違反する旧勤務先えの出入行為は、「占領目的に有害な行為」に該当する。そして、該政令中には出入行為につき処罰の特別の定はないから、該出入行為には右勅令第四条第三項の例外規定の適用はなく、原則規定である第一項又は第二項を適用して処罰すべきものと解するを相当とする。次に、所論の同 令中には出入行為につき処罰の特別の定はないから、該出入行為には右勅令第四条第三項の例外規定の適用はなく、原則規定である第一項又は第二項を適用して処罰すべきものと解するを相当とする。次に、所論の同勅令の罰則を以て常に同政令の罰則より重きものとする前提に基く主張は、単に片面的に本罰則の重き刑のみを比較した議論であつて、反面において勅令の罰則は刑種も四種に亘り最高最低の間に極めて幅の広い裁量の余地があり最低は科料にまで及んでいる点を看過するものであつて妥当ではない。本論旨はその理由がない。 同第四点について。 - 2 -原判決は、その判示第二事実として、被告人は、昭和二三年四月二八日正当の事由がないのに退職当時の勤務先たる右会話学院旧校舎事務室に出入し、もつて連合国占領軍の占領目的に有害な行為をなした事実を認定している。しかるに、その挙示の証人Bの原審における供述によれば同証人は、右判示の日午前中判示学院事務室にあつた金庫が破られたことがあり、これを聞いて直ぐ現場に駈付けたところその後から被告人が同所に来た事実並びに被告人は同日午後警官が来た際又同所に来た事実を認めることができる。かくのごとく盗難事件の発生したような異常の場合に利害関係を有する者が被害現場に立入るがごときことは特別の事由なき限り社会通念上当然許容さるべき事柄に属する。然るに原判決は経験法則上何等是認さるべき明確な理由を示すことなく、漫然正当の事由なくして立入つたと認定判示したのは判決理由に不備又は齟齬の違法ありといわざるを得ない。この点においても本論旨はその理由があつて原判決は破棄を免れない。 以上の理由により原判決の判示第一の(い)及び同第二事実の判示には違法が存するから原判決は全部破棄を免れない。それ故爾余の論旨に対し判断を省略し、なお、右の違法は事実の確定に影響 破棄を免れない。 以上の理由により原判決の判示第一の(い)及び同第二事実の判示には違法が存するから原判決は全部破棄を免れない。それ故爾余の論旨に対し判断を省略し、なお、右の違法は事実の確定に影響を及ぼすべきものと認めるから刑訴第四四七条第四四八条の二に則り主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官橋本乾三関与昭和二三年一一月四日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官斎藤悠輔裁判官沢田竹治郎裁判官真野毅裁判官岩松三郎- 3 -
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