判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告日本郵便株式会社(以下、「被告」という。)は、原告Aに対し、別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告A)記載の「勤務年月・賞与」欄に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同「合計」欄に対応する「支払日」欄記載の各支払日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに「弁護士費用」欄に対応する「合計」欄記載の金員及びこれに対する令和2年4月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告Bに対し、別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告B)記載の「勤務年月・賞与」欄に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同「合計」欄に対応する「支払日」欄記載の各支払日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに「弁護士費用」欄に対応する「合計」欄記載の金員及びこれに対する令和2年4月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は、原告Cに対し、別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告C)記載の「勤務年月・賞与」欄に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同「合計」欄に対応する「支払日」欄記載の各支払日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに「弁護士費用」欄に対応する「合計」欄記載の金員及びこれに対する令和2年4月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は、原告Dに対し、別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告D)記載の「勤務年月・賞与」欄に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同「合計」欄に対応する「支払日」欄記載の各支払日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに「弁護士費用」欄に対応する「合計」欄記 務年月・賞与」欄に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同「合計」欄に対応する「支払日」欄記載の各支払日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに「弁護士費用」欄に対応する「合計」欄記載の金員及びこれに対する 令和2年4月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告は、原告Eに対し、別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告E)記載の「勤務年月・賞与」欄に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同「合計」欄に対応する「支払日」欄記載の各支払日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに「弁護士費用」欄に対応する「合計」欄記載の金員及びこれに対する令和2年4月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 被告は、原告Fに対し、別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告F)記載の「勤務年月・賞与」欄に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同「合計」欄に対応する「支払日」欄記載の各支払日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに「弁護士費用」欄に対応する「合計」欄記載の金員及びこれに対する令和2年4月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、被告と期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結して勤務した時給制契約社員である原告らが、期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を締結している労働者(以下「正社員」という。)と原告らとの間で、寒冷地手当の支給の有無に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反するものであったと主張して、不法行為に基づき、各原告につき、別紙1請求債権目録記載の「勤務年月・賞与」欄に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同「合計 よる改正前のもの。以下同じ。)に違反するものであったと主張して、不法行為に基づき、各原告につき、別紙1請求債権目録記載の「勤務年月・賞与」欄に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同「合計」欄に対応する「支払日」欄記載の各支払日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金並びに「弁護士費用」欄に対応する「合計」欄記載の金員及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和2年4月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ア被告は、国及び日本郵政公社が行っていた郵便事業を承継した郵便局株式会社及び郵便事業株式会社の合併により、平成24年10月1日に成立した株式会社であり、郵便局を設置して、郵便の業務、銀行窓口業務、保険窓口業務等を営んでいる。 イ原告Aは、平成21年4月、被告との間で、有期労働契約を締結して時給制契約社員として採用され、平成29年3月31日まで、その更新を繰り返してきた者である。 原告Bは、平成19年10月、被告との間で、有期労働契約を締結して時給制契約社員として採用され(なお、平成19年4月から同年9月30日までの間は日本郵政公社に任用されていた。)、平成29年3月31日まで、その更新を繰り返してきた者である。 原告Cは、平成19年11月、被告との間で、有期労働契約を締結して時給制契約社員として採用され、平成29年3月31日まで、その更新を繰り返してきた者である。 原告Dは、平成27年5月11日、被告との間で、有期労働契約を締結して時給制契約社員として て時給制契約社員として採用され、平成29年3月31日まで、その更新を繰り返してきた者である。 原告Dは、平成27年5月11日、被告との間で、有期労働契約を締結して時給制契約社員として採用され、平成30年8月31日まで、その更新を繰り返してきた者である。 原告Eは、平成22年1月12日、被告との間で、有期労働契約を締結して時給制契約社員として採用され、平成29年3月31日まで、その更新を繰り返してきた者である(乙個5の1〈枝番を含む。〉)。 原告Fは、平成22年4月1日、被告との間で、有期労働契約を締結して時給制契約社員として採用され、平成29年3月31日まで、その更新を繰り返してきた者である。 ⑵ア被告に雇用される従業員には、無期労働契約を締結する正社員と有期労働契約を締結する期間雇用社員が存在し、それぞれに適用される就業規則及び給与規程は異なる。 イ正社員について(乙共35)正社員に適用される就業規則(甲共1)では、正社員の勤務時間は、1日について原則8時間、4週間について1週平均40時間とされている。 平成26年4月1日以後の人事制度において、正社員は、管理職、総合職、地域基幹職及び一般職の各コースに区分され、このうち郵便局における郵便の業務を担当するのは地域基幹職及び一般職である。 正社員に適用される給与規程(以下「社員給与規程」という。甲共2)では、郵便の業務を担当する正社員の給与は、基本給と諸手当で構成されている(同規程3条)。 諸手当のうち寒冷地手当は、毎年11月から翌年3月までの各月の初日において、別紙2の別表第12「寒冷地手当地域指定表」に掲げる地域(以下「寒冷地手当支給地域」という。)又は別表第13「寒冷地手当局所指定表」 ち寒冷地手当は、毎年11月から翌年3月までの各月の初日において、別紙2の別表第12「寒冷地手当地域指定表」に掲げる地域(以下「寒冷地手当支給地域」という。)又は別表第13「寒冷地手当局所指定表」に掲げる地域(以下「寒冷地手当支給局所」という。)に在勤する社員に支給される(同規程72条)。 寒冷地手当の支給額は、別紙2の別表第12の地域の区分並びに世帯主か否か及び扶養親族の有無により金額が定められており、寒冷地手当支給地域に在勤する社員に支給される額は、別紙3記載のとおりであった(同規程73条1項)。 ウ期間雇用社員(時給制契約社員)について(乙共35)期間雇用社員に適用される就業規則では、期間雇用社員は、スペシャリスト契約社員、エキスパート契約社員、月給制契約社員、時給制契約社員及びアルバイトに区分されており、それぞれ契約期間の長さや賃金の支払方法が異なる。そのうち、時給制契約社員は、郵便局等での一般的業務に従事し、時給制で給与が支給されるものとして採用された者であって、契約期間は6か月以内で、契約を更新することができ、正規の勤務時間は、1日について8時間以内、4週間について1週平均40時間以内とされて いる(乙共35)。 期間雇用社員に適用される給与規定(以下「期間雇用社員給与規程」という。甲共4)では、時給制契約社員の給与は、基本賃金と諸手当で構成されている(同規程38条1項)。時給制契約社員に対して、寒冷手当は支給されない(同規程38条2項参照)。 2 争点及び争点に対する当事者の主張⑴ 時給制契約社員と正社員との間の寒冷地手当に関する労働条件の相違が不合理であるか否か(争点⑴)(原告らの主張)ア原告らの職務内容等及び職務内容及び配置の変更の範囲は、一 ⑴ 時給制契約社員と正社員との間の寒冷地手当に関する労働条件の相違が不合理であるか否か(争点⑴)(原告らの主張)ア原告らの職務内容等及び職務内容及び配置の変更の範囲は、一般職と同様であり、寒冷地手当の趣旨目的からすれば、一般職に支給される寒冷地手当を、原告ら期間雇用社員に付与しないことは、不合理な労働条件の相違であり、労働契約法20条に違反する。 イ寒冷地手当は、寒冷地に居住して勤務する従業員には暖房費等に多額の費用がかかるために、その寒冷地に生活する暖房費を補助する趣旨で支給されるものにほかならない。その支給要件は、寒冷地にて居住し勤務する従業員に支給されるものであるから、一般職との関係でも、寒冷地での暖房費等は同程度とみることができるから、一般職に対して寒冷地手当を支給する一方で、期間雇用社員に対して、これを支給しないという労働条件の相違は不合理とであるというべきである。 ウ被告が主張する正社員間の公平を図る目的は、「郵政事業の給与制度」(乙共38)にも記載されておらず、また、被告の寒冷地手当に引き継がれた昭和24年5月22日の参議院人事委員会における「国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律案」の審議においても、職員の公平を図る目的があるとは発言されておらず、そのような目的を有しているとは考えられない。 また、地域別最低賃金額は標準生計費とは全く関係なく、経済政策の一環として決定されてきたものである。仮に、最低賃金の決定にあたって、寒冷地域における冬期間の生活費の増額分が考慮されているとしても、その考慮されている割合は僅かにすぎず、冬期間の実際の生活費の増額分に応じて増額されているものではない。しかも、最低賃金額は1年を通じて固定されており、 間の生活費の増額分が考慮されているとしても、その考慮されている割合は僅かにすぎず、冬期間の実際の生活費の増額分に応じて増額されているものではない。しかも、最低賃金額は1年を通じて固定されており、冬期間における生活費の上昇に応じて上昇するものではないし、扶養親族の有無や世帯主であるかも考慮されていない。加えて、被告の時給制契約社員の基本賃金は地域別最低賃金と同一ではない。 さらに、被告が主張する正社員に対して、長期にわたり会社へ貢献することのインセンティブを付与するとともに、有為な人材の獲得・定着を図るという目的も、「郵政事業の給与制度」(乙共38)には記載されておらず、そのような目的を有しているとは考えられない。 (被告の主張)ア被告の正社員と期間雇用社員との間には、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲について大きな相違がある。また、その他の事情として、被告は、国家事業であった郵政事業が民営化されて発足した会社であり、元々は国会の制定した法律に基づいて労働条件が決定されており、民営化時にも郵政民営化法173条の規定に基づき、基本的に民営化前の労働条件および処遇が踏襲されることとなったため、当時の条件を承継して現在に至っているから他の一般企業と比較して、労働条件の設定に係る歴史的経緯が不合理性の判断に与える影響は大きい。そして、被告は、寒冷地手当を含む労働条件について、その制度導入時に、労働組合との間でも団体交渉の申し入れに応じて誠実に交渉を重ねており、労働組合との十分な協議を踏まえて、現在の形となっており、被告の人事制度や賃金体系をも見据えた上で、労使交渉を経て決定されたものであることは、その他の事情として考慮されなければならない。 の十分な協議を踏まえて、現在の形となっており、被告の人事制度や賃金体系をも見据えた上で、労使交渉を経て決定されたものであることは、その他の事情として考慮されなければならない。 さらに、被告における正社員に対する手当については、正社員に対して定年まで長期にわたり会社に貢献することのインセンティブを付与することや、長期雇用を前提とする正社員に対する手当を手厚くすることにより有為な人材の獲得・定着を図ることが、支給・付与の趣旨の1つとされている(乙共11)。被告に対する長期にわたる貢献のインセンティブをどのような従業員に対してどの程度与えるかは、会社の「雇用及び人事に関する経営判断」とも密接にかかわるものであり、原則として被告における労使協議を経て決定されるべきものであり、被告の裁量が広く認められるべきである。 また、被告においては、正社員や期間雇用社員といった従業員区分によって期待される役割・職責に本質的な違いがあることに応じて、経営・人事制度上の施策の目的に鑑みて、正社員と期間雇用社員の人事制度・賃金体系等を全く別個に詳細に設計し、これまで運用してきたものであり、寒冷地手当は、賃金の一部を構成するものとして、全体としてそれぞれ一個の賃金体系が構築されているのであって、かかる事情は、その他の事情として考慮されなければならない。 イ寒冷地手当は、労使交渉を踏まえ、昭和46年に「国家公務員の寒冷地手当に関する法律」(昭和24年法律第200号)の規定内容を当時の郵政省が準用する形で、寒冷地手当支給地域又は寒冷地手当支給局所に在籍する正社員に支給されることとなった。かかる寒冷地手当は、正社員について全国一律で基本給の支給額を定めていることから、寒冷地域であることに起因して増加する暖房用燃料費等に係る生計 手当支給局所に在籍する正社員に支給されることとなった。かかる寒冷地手当は、正社員について全国一律で基本給の支給額を定めていることから、寒冷地域であることに起因して増加する暖房用燃料費等に係る生計費を補助することによって、正社員間の公平を図る目的で支給されているものである。 また、正社員に寒冷地手当を支給する目的には、寒冷地域であることに起因して増加する暖房用燃料費等に係る生計費を補助することによって、定年までの長期的な貢献が前提とされている正社員に対して、長期にわたり会社へ貢献することのインセンティブを付与するとともに、有為な人材の獲得・ 定着を図ることをも含むものである。 これに対し、時給制契約社員については、各地域の生計費(光熱費を含む。)の水準を踏まえて基本賃金が決定されており、基本賃金に加えて別途寒冷地域であることに起因して増加する暖房用燃料費等に係る生計費を補助すべき必要性がない。 さらに、正社員のような長期的な貢献は前提とされていない時給制契約社員については、寒冷地域であることに起因して増加する暖房用燃料費等に係る生計費を補助することによって、長期にわたり会社へ貢献することのインセンティブを付与するとともに、有為な人材の獲得・定着を図るという趣旨・目的も妥当しない。 ウしたがって、正社員に寒冷地手当を支給する一方で、時給制契約社員にこれを支給しないという労働条件の相違は不合理ではない。 ⑵ 損害(争点⑵)(原告らの主張)寒冷地手当は、正社員のうち毎年11月から翌年3月までの各月の初日(基準日)において、給与規定に定められた地域又は勤務場所で指定された勤務場所(支給地域)に勤務する者について支給される(社員給与規程72条)。 支給額は、支給地域( 年3月までの各月の初日(基準日)において、給与規定に定められた地域又は勤務場所で指定された勤務場所(支給地域)に勤務する者について支給される(社員給与規程72条)。 支給額は、支給地域(同規程72条別表第12、同13)に応じて、また社員の区分に応じて、定められており、各原告に支給されるべき額は次のとおりである。 ア原告A原告Aが勤務する札幌市は2級地(別紙2別表第12)に該当し、社員の区分はその他の社員に該当するので、正社員については、月額8800円が支給されている。 よって、原告Aの寒冷地手当相当額の損害は別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告A)記載の合計額欄の額となる。 イ原告B原告Bが勤務する札幌市は2級地(別紙2別表第12)に該当し、社員の区分はその他の世帯主である社員に該当するので、正社員であれば、月額1万3060円が支給される。 よって、原告Bの寒冷地手当相当額の損害は別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告B)記載の合計額欄の額となる。 ウ原告C原告Cが勤務する札幌市は2級地(別紙2別表第12)に該当し、社員の区分はその他の社員に該当するので、正社員であれば、月額8800円が支給される。 よって、原告Cの寒冷地手当相当額の損害は別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告C)記載の合計額欄の額となる。 エ原告D原告Dが勤務する札幌市は2級地(別紙2別表第12)に該当し、社員の区分はその他の社員に該当するので、正社員であれば、月額8800円が支給される。 よって、原告Dの寒冷地手当相当額の損害は別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告D)記載の合計額欄の額となる。 オ原告E原告Eが勤務する芦別市は1級地(別 8800円が支給される。 よって、原告Dの寒冷地手当相当額の損害は別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告D)記載の合計額欄の額となる。 オ原告E原告Eが勤務する芦別市は1級地(別紙2別表第12)に該当し、社員の区分は扶養家族のある社員に該当するので、正社員であれば、月額2万6380円が支給される。 よって、原告Eの寒冷地手当相当額の損害は別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告E)記載の合計額欄の額となる。 カ原告F原告Fが勤務する芦別市は1級地(別紙2別表第12)に該当し、社員の 区分は扶養家族のある社員に該当するので、正社員であれば、月額2万6380円が支給される。 よって、原告Fの寒冷地手当相当額の損害は、別紙1請求債権目録(請求者氏名:原告F)記載の合計額欄の額となる。 キ弁護士費用原告らは代理人弁護士らに依頼して訴訟提起せざるを得なかったため、弁護士費用は各寒冷地手当相当額の10%を下らない。 (被告の主張)いずれも否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実掲記証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の各事実が認められる。 ⑴ 給与の構成、基本給の内容ア正社員は、その担当する職務に従い、職種が定められ、職種によりその属する職群(一般職群、企画職群及び新一般職群)に分類され、職群ごとに基本給表が設けられている。 基本給表では、職務の級(その職務の複雑困難性と責任の度合いに基づく区分)及び号俸(同一の職務の級における賃金階層)によって金額が定められている。 昇格(職務の級を同一の基本給表の上位の職務の級に変更すること)は、勤務成績が良好であること、現在の職務の級に一定期間以上在籍することなどの条件を満たした場 階層)によって金額が定められている。 昇格(職務の級を同一の基本給表の上位の職務の級に変更すること)は、勤務成績が良好であること、現在の職務の級に一定期間以上在籍することなどの条件を満たした場合に行うことができる。 昇給(号俸又は基本給月額を同一の職務の級の上位の号俸又は基本給月額に変更すること)は、前年度に良好な成績で勤務するなどの条件を満たした場合に行うことができる。 正社員の基本給は、全国一律であり勤務地域による差異はない。 (社員給与規程2条、4~9条、14条、18条、別表第1~第3、第6)イ時給制契約社員の基本賃金は、時間額であり、期間雇用社員給与規程に基づき、所属長が決定する(同規程40条1項)。 基本賃金は、基本給と加算給の合計額である(同条2項)。 基本給は、基本的に、地域別最低賃金に相当する額(10円未満の端数は、10円単位に切り上げる。)に20円を加えた額が下限額とされる(同条3項1号)。 所属長は、募集環境を考慮して、既達予算の範囲内で下限額以上の金額で基本給を定めることができる(同条3項2号)。 ⑵ 職務の内容など(乙共35)ア正社員である一般職は、郵便外務事務、郵便内務事務等の標準的な業務に従事することが予定されており、昇任及び昇格は予定されていない。 また、正社員の人事評価においては、業務の実績そのものに加え、部下の育成指導状況、組織全体に対する貢献等の項目によって業績が評価されるほか、自己研さん、状況把握、論理的思考、チャレンジ志向等の項目によって正社員に求められる役割を発揮した行動が評価される。 イ時給制契約社員は、郵便局での一般的業務に従事することが想定されており、昇任や昇格は予定されていない(期間雇用社員就業規則2条3項4号)。 期 求められる役割を発揮した行動が評価される。 イ時給制契約社員は、郵便局での一般的業務に従事することが想定されており、昇任や昇格は予定されていない(期間雇用社員就業規則2条3項4号)。 期間雇用社員は、郵便外務事務においては、一般職と同様に班員を構成するが、一般職とは異なり、営業については携行販売等の集配営業を行うに過ぎない。また、郵便内務事務においては、一般職を補助責任者、期間雇用社員を実務担当者とする係単位において、実務を担当する(一般職の一部は実務を担当する)(乙共10)。 また、時給制契約社員の人事評価においては、管理社員、正社員、リーダーの指示を理解して対応している、職場内のルールを遵守している等の基礎評価項目の評価が行われるほか、職務の広さとその習熟度を事務別に定めた スキル基準の評価項目について評価が行われる一方、組織貢献加点評価のような評価項目はない(乙共20、弁論の全趣旨)。 ⑶ 職務の内容・配置の変更の範囲ア正社員は配転が予定されている(社員就業規則11条1項)。ただし、地域基幹職は、原則として会社が指定する地域内において、一般職は、原則として転居を伴う転勤がない範囲内において、人事異動が命じられる可能性があるにとどまる(同規則2条の2第2項)。 イ時給制契約社員は、職場及び職務内容を限定して採用されており、正社員のような人事異動が命じられることはない。例外的に、郵便局の閉鎖や開設に伴い、別の郵便局での勤務が打診されることがあるが、時給制契約社員が同意した場合に限られ、かつ、従前の郵便局における労働契約を終了させた上で、新たに別の郵便局における勤務に関して労働契約を締結し直している(弁論の全趣旨)。 2 争点⑴(時給制契約社員と正社員との間の寒冷地手当に関す かつ、従前の郵便局における労働契約を終了させた上で、新たに別の郵便局における勤務に関して労働契約を締結し直している(弁論の全趣旨)。 2 争点⑴(時給制契約社員と正社員との間の寒冷地手当に関する労働条件の相違が不合理であるか否か)について⑴ 労働契約法20条は、有期労働契約を締結している労働者(以下「有期契約労働者」という。)と無期労働契約を締結している労働者(以下「無期契約労働者」という。)との労働条件に相違があり得ることを前提に、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情(以下「職務の内容等」という。)を考慮して、その相違が不合理と認められるものであってはならないとするものであり、職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定であると解される。 そして、有期契約労働者と無期契約労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては、両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく、当該賃金項目の趣旨を 個別に考慮すべきものと解するのが相当である。 (最高裁平成30年6月1日第二小法廷判決・民集72巻2号202頁参照)⑵アこの点、被告において正社員に対して支給されている寒冷地手当は、北海道その他の寒冷積雪地においては気温、積雪、風速等の特殊な気象条件によって冬期において燃料費、除雪費、被服費、食糧費、家屋修繕費等(以下「燃料費等」という。)に多額の出費を要することから、これらの費用の一部を補給するために設けられた手当であり(乙共38)、その主たる目的は、正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから、これらの一時的に増蒿する生活費を填補する から、これらの費用の一部を補給するために設けられた手当であり(乙共38)、その主たる目的は、正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから、これらの一時的に増蒿する生活費を填補することを通じて、その継続的な雇用を確保するという目的によるものと認められる。 上記目的に照らせば、寒冷地域において勤務する時給制契約社員についても、相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、寒冷地手当を支給することとした趣旨は基本的に妥当するということができる。 そして、被告における時給制契約社員は、契約期間が6か月以内とされており、原告らのように有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者が存するなど、相応に継続的な勤務が見込まれていることからすると、正社員と同額を支給するかどうかはともかく、正社員と同様、時給制契約社員に対しても寒冷地手当を支給するとすることは合理的な理由があるといい得る。 イしかし、他方で、認定事実⑴アのとおり、正社員の基本給は、全国一律に定められていることから、寒冷地手当には、寒冷地域に勤務することにより冬期に発生する燃料費等の多額の出費を余儀なくされる正社員の生活費を填補することにより、それ以外の地域に勤務する正社員との均衡を図り、これにより円滑な人事異動を実現するという趣旨を含んでいることは否定できない。 これに対して、認定事実⑴イのとおり、時給制契約社員の基本給は、地域ごとの最低賃金に相当する額に20円を加えた額を下限額として決定され ており、この地域別最低賃金額は、地域における労働者の生計費を考慮要素とし(最低賃金法9条2項)、具体的には、各都道府県の人事委員会が定める標準生計費等を考慮して定められ、その標準生計費を定める際には光熱費以外に灯油等への支出金額も検討材料とされている。したがって、具 し(最低賃金法9条2項)、具体的には、各都道府県の人事委員会が定める標準生計費等を考慮して定められ、その標準生計費を定める際には光熱費以外に灯油等への支出金額も検討材料とされている。したがって、具体的な金額は必ずしも明らかではないものの、寒冷地に勤務する時給制契約社員の基本給は、既に寒冷地であることに起因して増加する生計費が一定程度考慮されているといえる。 このように正社員と時給制契約社員との基本給は異なる体系となっている上、時給制契約社員の基本給は元々各地域の生計費の違いが考慮されており、寒冷地域に勤務することにより増蒿する生活費が全く考慮されていないものではない。 加えて、被告における寒冷地手当は、国家公務員の寒冷地手当に関する法律(昭和24年法律200号)に由来するところ(弁論の全趣旨)、同法においても寒冷地手当の支給は、常時勤務に服する職員に限り支給するとされるにとどまり(同法1条)、時給制契約社員に対して寒冷地手当を支給する旨の規定はないことも考慮すると、前記認定事実の正社員と時給制契約社員との職務の内容及び職務の内容等の相違を踏まえ、時給制契約社員に対して寒冷地手当を支給するか否か、また、その額をいくらにするかという事項は、被告の経営判断に委ねられているものといわざるを得ない。 そうすると、正社員に寒冷地手当を支給する一方で、時給制契約社員に対してこれを支給しないという労働条件に相違があることは不合理であるとまではいうことができず、労働契約法20条に違反するとは認められない。 3 結論よって、その余の点を判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官右田晃一 主文 るまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 理由 事実 争点 判断 札幌地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官右田晃一 裁判官小野健 裁判官小林遼平 (別紙2及び3は掲載を省略する。)
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