主文 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 3 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実 及び理由 第1 控訴の趣旨主文と同旨第2 事案の概要本件は,信用情報収集調査等を業務とする被控訴人が,調査委任契約(以下「本件契約」という。)の委任者である控訴人に対し,控訴人による解除の意思表示をしたときまでに本件契約に基づいて調査を実施したとして,その報酬60万円及び弁済期の翌日である平成20年5月23日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。控訴人は,①控訴人が本件契約の申込みの意思表示をするにあたって被控訴人担当者による退去妨害(消費者契約法4条3項2号)又は強迫(民法96条1項)があったとしてこれを取り消した,②被控訴人による調査事務の履行がない,③本件契約は公序良俗等に反して無効であると主張して争っている。 原審は被控訴人の請求を全部認容し,控訴人はこれを不服として控訴した。 第3 争いのない事実等(証拠を付さない事実は,当事者間に争いがない。) 1 被控訴人は,信用情報収集調査等を業務とする株式会社である。Aは,被控訴人の従業員であり,本件契約の締結に関する事務を担当した者である。 控訴人は,不動産取引を業とする有限会社の代表者であり,平成20年5月当時,77歳であった(甲2,乙6)。 2 控訴人は,かねてより,第三者から,控訴人宅の屋根へ泥を投げつけられる,控訴人使用車両へ傷を付けられる等の嫌がらせ(以下「本件嫌がらせ」という。)を受けていた。 3 控訴人は,平成20年5月15日午後6時30分か午後7時ころから午後9時30分ころまでの間,被控訴人の事務所(以 へ傷を付けられる等の嫌がらせ(以下「本件嫌がらせ」という。)を受けていた。 3 控訴人は,平成20年5月15日午後6時30分か午後7時ころから午後9時30分ころまでの間,被控訴人の事務所(以下「被控訴人事務所」という。)に滞在して,Aに対して,本件嫌がらせの内容等を説明した上で,被控訴人との間で,おおむね,以下の内容の調査委任契約(本件契約)を締結した。本件契約は,消費者契約法における消費者契約である。 (1) 委任事項控訴人宅における尾行,張込み等の監視調査(2) 調査日数7日間(3) 報酬金額147万円(消費税込み)。ただし,調査開始後による解除の場合は,前記金額を調査実施日数で日割り換算した金額とする。 (4) 弁済期平成20年5月20日限り100万円,同年6月4日限り47万円 4 控訴人は,平成20年5月19日,被控訴人に対し,本件契約について,解除の意思表示をした(以下「本件解除」という。)。 5 被控訴人は,平成20年5月20日,控訴人に対し,被控訴人が本件契約に基づいて監視調査を3日間実施したこと,本件契約で合意した報酬金額147万円を調査実施日数である3日で日割り換算すると63万円となるところ,これを60万円に減額すること及び被控訴人に対しかかる報酬を同月22日に支払うことを通知した。 第4 争点及びこれについての当事者の主張本件の争点は,①消費者契約法4条3項2号規定の取消原因があるか(争点1),②Aが控訴人を強迫して本件契約の申込みの意思表示をさせたか(争点2),③被控訴人が本件契約に基づき監視調査を行ったか(争点3),④本件契約が公序良俗に反する等として無効であるか(争点4)である。 これらの争点についての当事者の主張は,以 せたか(争点2),③被控訴人が本件契約に基づき監視調査を行ったか(争点3),④本件契約が公序良俗に反する等として無効であるか(争点4)である。 これらの争点についての当事者の主張は,以下のとおりである。 1 消費者契約法4条3項2号規定の取消原因があるか(争点1)(控訴人の主張)Aは,控訴人に対して本件契約の締結について勧誘をするに際し,以下の(1),(2)のとおり,被控訴人事務所からの退去の意思を2度にわたって示した控訴人を退去させず,困惑させて本件契約の申込みの意思表示をさせた。控訴人は,平成20年5月19日,被控訴人に対し,消費者契約法4条3項2号に基づき,本件契約を取り消す旨の意思表示をした。 (1) 控訴人は,平成20年5月15日午後6時30分ないし午後7時ころ,本件嫌がらせの相談のために被控訴人事務所を訪れた。控訴人は,監視調査の内容や報酬金額について聞いてみるつもりであったに過ぎず,契約の締結までする意思ではなかった。Aは,かような控訴人に対し,報酬金額等の記載がない調査委任契約書に署名押印をするように迫った上,報酬として600万円から1000万円かかると述べた。控訴人は,Aに対し,このような額の報酬は払えない旨を述べて退去の意思を示した。しかし,Aは,控訴人に対し,本件契約に基づく調査を実施しない場合には本件嫌がらせが継続する旨を述べて恐怖を感じさせ,控訴人の退去を妨害した。 (2) その後,Aが,本件契約に基づく調査の内容を説明しないまま,調査委任契約書に記載された重要事項を早口で読み始めたため,控訴人は,本件契約を締結しない旨を述べて,再び退去の意思を示した。 しかし,Aは,控訴人に対して,にらみつけながら,「今まで説明させて帰る気か」と強い口調で大きな声 要事項を早口で読み始めたため,控訴人は,本件契約を締結しない旨を述べて,再び退去の意思を示した。 しかし,Aは,控訴人に対して,にらみつけながら,「今まで説明させて帰る気か」と強い口調で大きな声で怒鳴って恐怖心を抱かせ,控訴人の退去を妨害し,控訴人を午後9時30分ころまで被控訴人事務所に引き留めて,困惑させて本件契約を締結させた。 (被控訴人の主張)Aは,控訴人に対して本件契約の締結について勧誘をするに際し,控訴人に 対し,退去を妨害したことはない。 Aは,平成20年5月15日午後6時30分か7時ころから同日午後9時30分ころまでの間,控訴人から,本件嫌がらせのいきさつ等について聞き取りを行った後,控訴人に対し,張込み,尾行による所在確認の必要性などのほか,重要事項など契約締結に必要な事項の説明を行った。控訴人は,不動産業を経営し,司法書士の資格を有していることから,日常的に契約締結,重要事項の説明等の業務に携わっているはずであり,本件契約の内容を了承してこれを締結したことは明らかである。 2 Aが控訴人を強迫して本件契約の申込みの意思表示をさせたか(争点2)(控訴人の主張)Aは,本件契約の締結について勧誘するに際し,控訴人に対し,「今まで説明させて帰る気か」と強い口調で怒鳴るなどして,控訴人を畏怖させて本件契約の申込みの意思を表示させた。 (被控訴人の主張)Aは,本件契約の締結について勧誘するに際し,控訴人に対し,威圧的言動で本件契約の締結を迫ったということはない。 3 被控訴人が本件契約に基づき監視調査を行ったか(争点3)(被控訴人の主張)被控訴人は,本件契約に基づき,平成20年5月16日から同月18日までの3日間,控訴人宅の監視調査(以下「本件調査 件契約に基づき監視調査を行ったか(争点3)(被控訴人の主張)被控訴人は,本件契約に基づき,平成20年5月16日から同月18日までの3日間,控訴人宅の監視調査(以下「本件調査」という。)を実施した。 調査報告書(甲2)の作成日付は,同月26日であるが,調査報告書の作成には時間がかかり,被控訴人は,一般的に依頼者に対して,調査実施から調査報告書の提示まで10日前後かかる旨の了解を得ているのであり,同月16日から同月18日までの間の調査の実施を否定するものではない。 (控訴人の主張)被控訴人が本件契約に基づく監視調査を行ったことを否認する。控訴人は, 本件が提訴されるまでは,本件調査に関する報告書(甲2)を見たことがなく,また同報告書の作成日は,本件契約の解除の意思表示後の同月26日である。 4 本件契約が公序良俗に反する等として無効であるか(争点4)(控訴人の主張)本件契約は,調査期間1週間で報酬額が147万円であり,また締結後3日間でキャンセル料が60万円と,明らかに対価が不相当であり,公序良俗に反し(民法90条),また,消費者契約法9条1号,10条に該当し,無効である。 (被控訴人の主張)本件契約の調査代金を147万円とすることは不相当ではなく,また60万円は,既に行った調査の報酬であり,不相当ではない。よって,本件契約は,公序良俗に反せず,また,消費者契約法9条1号,10条に該当しない。 第5 当裁判所の判断 1 争点1(消費者契約法4条3項2号規定の取消原因があるか)について(1) 控訴人は,前記争いのない事実等3のとおり,被控訴人事務所を訪れた際,前記第4の1の(控訴人の主張)(1),(2)のとおり,Aから退去妨害を受け,困惑して,本件契約を締結 か)について(1) 控訴人は,前記争いのない事実等3のとおり,被控訴人事務所を訪れた際,前記第4の1の(控訴人の主張)(1),(2)のとおり,Aから退去妨害を受け,困惑して,本件契約を締結させられた旨主張し,陳述書(乙5)及び原審本人尋問(その反訳書が乙6である。)においても,ほぼこれに沿う陳述ないし供述をする。この陳述及び供述については,特段不自然な点は見られない。 (2) 本件契約締結の前後については,括弧内に掲記した証拠によれば,以下の事実(一部争いのない事実を含む。)が認められ,これを覆すに足りる証拠はない。 ア控訴人は,平成20年5月15日木曜日,午後6時30分か午後7時ころ,予約をすることなく被控訴人事務所を訪れ,Aに対し,平成12年ころから本件嫌がらせを受けていることを相談し,被控訴人との間で,本件契約を締結した。なお,控訴人が被控訴人のような調査会社を訪れるのは, 同日が初めてであった。(以上,前記争いのない事実等2,甲1,3,8,乙5,6)。本件契約の主な内容は,前記争いのない事実等3(1)ないし(4)記載の事項のほか,以下のとおりであった(甲1)。 (ア) 調査の企画,立案,準備,手配等の打ち合わせなどの着手日時平成20年5月15日午後10時(イ) 調査開始予定日平成20年5月16日(ウ) 契約の解除又は変更a 控訴人の都合により本件契約の解除又は変更をする場合,被控訴人の依頼受付業務と異なる営業時間内(午前9時から午後8時)に,被控訴人へ電話又はFAXで通知する。 b 調査開始日の前日までによる解除の場合は,控訴人は,調査受件に要した費用,調査の企画,立案,準備,手配,事務手続などに要した費用を算出した金額を支払う。 c 調査開始後による解除の場合 る。 b 調査開始日の前日までによる解除の場合は,控訴人は,調査受件に要した費用,調査の企画,立案,準備,手配,事務手続などに要した費用を算出した金額を支払う。 c 調査開始後による解除の場合は,控訴人は,調査実施日数の契約金額の日割り換算の金額を支払う。また,調査日当日の調査開始前による解除の場合も,控訴人は同様の金額を支払う。 イ控訴人は,平成20年5月19日月曜日,被控訴人に対し架電し,本件契約を解除する旨の意思表示をした。Aは,その後,控訴人に対して架電し,報酬として日割りの63万円を支払うように言った。(前記争いのない事実等4,5,甲3,8,乙5,6)ウ控訴人は,平成20年5月20日,弁護士に対して,被控訴人からの請求への対処について相談した。(甲3,乙5,9)エ控訴人は,平成20年5月21日,川越市生活情報センターの担当者に対し,Aから本件契約の内容について一方的に説明され,報酬金額が600万円であると言われたため,何度も帰ると言ったにもかかわらず,引き 留められて本件契約を締結した旨の相談をした。これに対し,同センター担当者は,控訴人に対し,消費者契約法4条3項2号の退去妨害に当たる可能性があり,また報酬金額に合理的根拠がないとして,控訴人に対して,その旨を記載した書面を送付するように助言した。控訴人は,同月23日及び同月26日にも同センターを訪れ,担当者から,かかる書面の書き方等について助言を得た。(乙1,6,9)オ Aは,平成20年5月22日,控訴人宅を訪れ,控訴人に対し,報酬として60万円を支払うよう請求したが,控訴人は,支払をしなかった。 (甲3,8,乙5,6)カ控訴人は,平成20年5月26日,前記エのとおりの川越市生活情報センターの助言に基づき,被控訴人に対し,以下の内容 払うよう請求したが,控訴人は,支払をしなかった。 (甲3,8,乙5,6)カ控訴人は,平成20年5月26日,前記エのとおりの川越市生活情報センターの助言に基づき,被控訴人に対し,以下の内容の書面を送付し,同書面は,同月27日,被控訴人に到達した(甲3,8,乙9)。 (ア) Aは,本件契約を締結する際,控訴人に対し,報酬金額が600万円から1000万円になると紙に書いて示したことから,控訴人は,高額であることに驚き,Aに対し,「お金がないから帰る」と言って,恐くなって立ち上がったが,Aは,「このままにしておくと,どこへ越してもつきまといますよ」と言った。 (イ) Aは,仕事の内容を言わず,重要事項をものすごい速さで読み始めたことから,控訴人は,すぐに「私には,わからないからやめます」と言って立ち上がって帰ろうとすると,「今まで説明させて帰る気か」と強い口調で言った。そのときの顔は,まるでやくざのような顔で恐くなった。特に2回目に「帰る」と言ったときの顔は,忘れられないほど恐かったので,契約をせずには帰れないと思った。 (ウ) 本件契約締結時において,Aから退去妨害を受けた。これは,消費者契約法による取消原因となると考える。 キ控訴人は,平成20年12月2日,本件訴訟の訴状等とともに本件調査 の結果をまとめたとされる調査報告書(甲2)の送達を受けた。控訴人はこの時点まで上記報告書を見たことがなかった。 ク控訴人は,平成元年12月に夫が死亡した後から,不動産取引の仲介を業とする有限会社の代表者として,不動産の賃貸借契約の仲介に関する業務を行っているが,実際に仲介業務に携わるのは,1か月に2件か3件であった(甲6,乙6)。 (3)ア以上の認定事実を踏まえて検討するに,まず,本件契約で合意 て,不動産の賃貸借契約の仲介に関する業務を行っているが,実際に仲介業務に携わるのは,1か月に2件か3件であった(甲6,乙6)。 (3)ア以上の認定事実を踏まえて検討するに,まず,本件契約で合意した報酬額147万円は,かなり高額といえ,また,そのうち100万円については,監視調査が完了する前に支払うというものであった(前記争いのない事実等3)のであり,控訴人にとって,本件契約は,相当程度の経済的負担を伴う契約であったといえる。 また,前記(2)ア(ア)及び同(イ)のとおり,本件契約は,控訴人が被控訴人事務所を退去した平成20年5月15日午後9時30分の30分後の同日午後10時から,被控訴人において調査の企画,立案,準備,手配等の打ち合わせなどに着手し,翌16日から監視調査を開始するという内容であったことが認められる。この点,控訴人が,本件契約締結前においては,本件嫌がらせにより,精神的に辛い状況で警察等に相談したことが認められるものの(甲3),本件嫌がらせは,控訴人の身体に直接危害が加えられたとか,控訴人宅への居住に支障が生じる程度に損壊を受けたといったものではなかった(前記争いのない事実等2)。このような本件嫌がらせの内容に照らせば,控訴人が被控訴人事務所を退去してわずか30分後に調査の準備等に着手し,契約締結の翌日に調査を開始するといった早急な調査を必要とするほどに切迫していたともいえない。 また,同前記(2)ア(ウ)aないしcのとおり,本件契約においては,控訴人が解除するには,午前9時から午後8時までの間に電話又はFAXをして解除の意思を伝え,それが調査開始日前日までの場合は,調査受件に要 した費用,調査の企画等に要した費用を算出した金額を支払う必要があり, するには,午前9時から午後8時までの間に電話又はFAXをして解除の意思を伝え,それが調査開始日前日までの場合は,調査受件に要 した費用,調査の企画等に要した費用を算出した金額を支払う必要があり,調査開始後の場合には,調査実施日数で日割り換算した報酬を支払う必要があるという内容であったことが認められる。 そうだとすると,本件契約において調査の企画等の着手日時を本件契約締結の直後とすることは,本件で早急な調査を必要とするほどに切迫していた事情がない一方で,被控訴人の具体的な報酬等の請求権の発生時期を早めることとなっていたといえる。 これらの本件契約における報酬額,支払時期,調査等の開始時期,解除についての合意内容からすると,宅地建物取扱主任者の資格を有し(乙6),不動産会社を経営する控訴人が,Aによる本件契約の勧誘に対して,本件契約の内容を冷静に吟味した上で申込みの意思表示をしたとまでは認められない。 イそして,前記(2)アないしエのとおり,控訴人は,木曜日であった平成20年5月15日の夜に本件契約を締結した後,土,日を挟んだ月曜日である平成20年5月19日に,被控訴人に対して,本件契約を解除する旨の意思表示をしたこと,同日にAから報酬を支払う義務があることを告げられるや,翌20日には弁護士に相談し,翌々日である同月21日のほか,同月23日及び同月26日,川越市生活情報センターに相談している。 また,同エ及び同カ(ア)ないし(ウ)のとおり,控訴人は,川越市生活情報センターにおいて,本件契約の締結の際,Aから,本件契約の内容について一方的に説明され,報酬金額が600万円であると言われたため,Aに対して何度も帰ると言ったにもかかわらず,引き留められた旨の相談をしたこと,同センターでは,消費者契約法4条3項2号の退去妨害に当たる可 的に説明され,報酬金額が600万円であると言われたため,Aに対して何度も帰ると言ったにもかかわらず,引き留められた旨の相談をしたこと,同センターでは,消費者契約法4条3項2号の退去妨害に当たる可能性があり,また報酬金額に合理的根拠がないとして,控訴人に対してその旨を記載した書面を送付するように助言したこと,控訴人が,かかる助言に基づいて,被控訴人に対して,報酬金額が600万円から1000 万円になることを告げられて帰ろうとしたが引き留められたこと,重要事項について早口で説明されて理解ができなかったことから帰ろうとしたころ,怖い顔をされて引き留められた旨を記載した書面を送付している。 上記のように,控訴人は,本件契約を締結した後,極めて早期の段階で,被控訴人に対して本件契約を解除する旨の意思表示をして,弁護士及び川越市生活情報センターといった然るべき機関に相談に行ったのであり,同センターにおいて,Aから本件契約を勧誘された際に2度にわたって退去を妨害され,困惑した上で本件契約を締結したことを,具体的かつ詳細に相談しているのである。 ウさらに,前記争いのない事実等3のとおり,控訴人は,本件契約にあたって,夜の9時30分ころまで2時間30分ないし3時間もの間,被控訴人事務所に留まっているのであって,かような事実は,不動産会社の経営者であるとはいえ,当時77歳という高齢の女性としては,通常の契約を締結する際の行動として,不自然さが否めない。 (4) 以上からすると,前記(1)の控訴人の主張に沿う各証拠は,十分に信用できるというべきであり,Aは,控訴人に対して本件契約の締結の勧誘をするに際し,被控訴人事務所から控訴人が退去する意思を示したにもかかわらず,その場所から控訴人を退去させないことにより,控訴人を困惑させ,これにより本 り,Aは,控訴人に対して本件契約の締結の勧誘をするに際し,被控訴人事務所から控訴人が退去する意思を示したにもかかわらず,その場所から控訴人を退去させないことにより,控訴人を困惑させ,これにより本件契約の申込みの意思表示をさせたことが認められる。 2 そして,控訴人は,前記争いのない事実等4のとおり,平成20年5月19日,被控訴人に対し,本件契約を解除する意思表示をしたのであるが,かような意思表示は,消費者契約法4条3項2号に基づき,本件契約を取り消す旨の意思表示にも当たるということができる。 そうすると,本件契約は取り消されたこととなり,控訴人は,本件契約に基づいて,報酬を支払う義務を負わず,その余(争点2ないし4)について判断するまでもなく,被控訴人の請求には理由がないこととなる。よって,被控訴 人の請求を認容した原判決は不当であるから,これを取り消し,被控訴人の請求を棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法67条2項,61条を適用して,主文のとおり判決する。 さいたま地方裁判所第4民事部 裁判長裁判官原啓一郎 裁判官古河謙一 裁判官猪坂剛
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