平成29(ワ)14685 職務発明対価請求事件

裁判年月日・裁判所
令和元年9月11日 東京地方裁判所
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令和元年9月11日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成29年(ワ)第14685号職務発明対価請求事件口頭弁論終結日令和元年5月31日判決 原告 A同訴訟代理人弁護士木村貴司同補佐人弁理士廣田恵梨奈 被告株式会社日本触媒 同訴訟代理人弁護士重冨貴光松田誠司大和奈月 主文 1 被告は,原告に対し,226万4061円及びこれに対する平成29年 5月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを25分し,その24を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 目次省略第1 請求被告は,原告に対し,5862万8568円及びこれに対する平成29年5月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告の保有する国内特許3件(特許第4406144号,特許第4749642号及び特許第4766811号。以下,この順に「144号特許」,「642号特許」及び「811号特許」という。また,これらの各特許に係る発明をそれぞれ「144号発明」,「642号発明」及び「8 642号及び特許第4766811号。以下,この順に「144号特許」,「642号特許」及び「811号特許」という。また,これらの各特許に係る発明をそれぞれ「144号発明」,「642号発明」及び「811号発明」という。)及びこれらに対応する 別紙1特許目録記載1ないし外国特許(以下,144号特許,米国特許第6166097号及び欧州特許第1045001B1号を併せて「144号特許等」と,642号特許,米国特許第6362243B1号及び欧州特許第1211262B1号を併せて「642号特許等」と,811号特許,米国特許第6274638B1号及び欧州特許第1237939B1号を併せて「811号特許等」とそれ ぞれいう。また,これらの各特許に係る発明をそれぞれ「144号発明等」,「642号発明等」及び「811号発明等」という。さらに,上記の国内特許及び外国特許を全て併せて「本件各特許」といい,これらに係る特許権を全て併せて「本件各特許権」といい,以上の各特許に係る発明を全て併せて「本件各発明」という。)の発明当時被告の従業員であり,共同発明者の一人として特許を受ける権利の持分を被告に承継さ せた原告が,被告に対し,特許法35条(平成16年法律第79号による改正前のもの。以下同じ。)3項又はその類推適用に基づき,相当の対価合計●(省略)●円のうち5862万8568円(相当の対価の内訳は,144号発明等,642号発明等及び811号発明等について各●(省略)●円のうちの各1954万2856円であり,本件各発明内の各特許について,対価の内訳は均等割である。)及びこれらに対する 訴状送達により請求した日の翌日である平成29年5月17日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当 割である。)及びこれらに対する 訴状送達により請求した日の翌日である平成29年5月17日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがない又は後掲の証拠(以下,書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者 ア原告は,昭和63年4月1日から平成12年6月まで,被告に雇用され,吸水 材に関する研究開発に携わってきた者である。 イ被告は,無水フタール酸,無水マレイン酸等有機化学製品及びその誘導品,酸化エチレン,エチレングリコール,アクリル酸等石油化学製品及びその誘導品,ポリエステル樹脂等各種合成樹脂並びに触媒,セラミックス,工業用ガス等無機化学製品を製造,加工,販売すること等を目的とする株式会社である。 本件各発明に係る背景技術等(甲1~3)本件各特許は,いずれも,連続気泡(セル)構造を有する多孔質架橋重合体フォームの一つであるFoamAbsorbentMaterial(以下「FAM」という。)の製造方法に関するものである。 FAMは,塩化カルシウム水溶液,水溶性重合開始剤等から成る水相と,モノマー (重合性単量体),架橋剤(架橋性単量体),界面活性剤(乳化剤),油溶性重合開始剤等から成る油相とを乳化することによって得られる油中水滴型高分散相エマルション(WaterinOilTypeHighInternalPhaseEmulsion。以下「HIPE」という。)を重合して多孔質架橋重合体を得,これを圧縮,脱水して,さらに乾燥させることにより水相を取り除いて製造されるものである。上記の水相と油相の比率(以下「W/ O比」という。)や乳化条件を調 。)を重合して多孔質架橋重合体を得,これを圧縮,脱水して,さらに乾燥させることにより水相を取り除いて製造されるものである。上記の水相と油相の比率(以下「W/ O比」という。)や乳化条件を調整することで,FAMの連続気泡のサイズや柱の強度等が変化し,例えばW/O比が45:1のFAMは,45倍の吸液率を有することとなる。HIPEのW/O比に特に制限はなく,目的とする多孔質材料の使用目的によって適宜選択できるが,3:1以上であることが好ましく,より好ましくは10:1ないし250:1,特には10:1ないし100:1とされている。FAMは,密度 が低く,高い吸収力を有し,おむつやナプキン等の吸液体として使用される。 水相の比率を高めるほどFAMの製造に当たってより多量の水を要するとともに,脱水や乾燥の際により多量の廃水が発生することになる。また,HIPEの重合工程は,多孔質ポリマー材料の骨格を形成するモノマーの重合段階と,次いで生じる三次元架橋を形成するための架橋剤による重合との2段階ある(以下,この工程段階のう ちの前者を「前段重合」と,後者を「後硬化」という。)。前段重合は「プレキュアー」 と呼ばれることもあり,後硬化は「後段重合」,「アフターキュアー」等と呼ばれることもある。 職務発明及び特許を受ける権利の承継原告は,被告に在籍中,他の被告の従業員と共同して,被告の業務範囲に属し,かつ,原告の職務に属する本件各発明をした上で,被告に対し,本件各特許の出願日以 前に,これらに係る国内外で特許を受ける権利の持分を譲渡した(乙135,弁論の全趣旨)。 被告の保有する特許権等被告は,別紙1特許目録記載のとおり,国内外において,本件各発明につき特許出願をして特許権を取得した。本件各発明に係る特許請求の を譲渡した(乙135,弁論の全趣旨)。 被告の保有する特許権等被告は,別紙1特許目録記載のとおり,国内外において,本件各発明につき特許出願をして特許権を取得した。本件各発明に係る特許請求の範囲の記載は,同目録記載 1ないし3の各「特許請求の範囲」の項に記載のとおりであり,本件各特許権の公報上に発明者として記載されている者は,同目録記載1ないし3の各「発明者」の項に記載のとおりである(以上,甲1~3,16~21)。 さらに,被告は,現在,FAMに関し,本件各特許権のほかに,別紙2●(省略)●記載3,5ないし11及び13ないし17の国内外における各特許権を単独で保有 し,同目録記載18ないし20の国内外における各特許権を●(省略)●と共有している。 ●(省略)● 被告の原告に対する出願補償金等の支払及び報奨金決定の通知ア被告は,被告の従業員等が職務上行った発明の取扱い等につき,「職務発明取 扱規定」を設けており,本件各発明について適用される平成6年1月1日改正後のものには,被告が発明者に対して支払う補償金について次の趣旨の定めがある(乙135)。 被告が従業員等から承継した発明について国内出願したときは1件●(省略)●円の出願補償金を,国内特許権を取得したときは1件●(省略)●円の登録補償金 をそれぞれ当該発明者に対して支払う。国内出願した発明を外国出願する場合は,補 償金は支払わない。 国内優先出願,分割出願,変更出願,国内出願した発明を外国出願する場合には,出願補償金の支払はしない。 発明者が複数の場合,前記の補償金は当該発明者が均等分割して受け取るものとする。 イ被告は,本件各発明について,上記アの規定に従った出願補償金及び登録補償金の支払をした( はしない。 発明者が複数の場合,前記の補償金は当該発明者が均等分割して受け取るものとする。 イ被告は,本件各発明について,上記アの規定に従った出願補償金及び登録補償金の支払をした(弁論の全趣旨)。 ウ被告は,本件各発明の出願時に実績補償を定めた社内規程を設けておらず,本件各発明に適用される実績補償の定めはないが,原告に対し,平成28年5月12日頃,原告が発明者として関与した特許に関する報奨金を13万6015円と決定した 旨通知した(甲4)。 特許法35条4項の適用本件各発明に係る相当の対価については,特許法35条4項が適用ないし類推適用され,本件各発明により被告が受けるべき利益の額,本件各発明がされるについて被告が貢献した程度などを考慮して定められる。 2 争点本件の争点は相当の対価の額であり,具体的な争点は次のとおりである。 本件各発明により被告が受けるべき利益の額(争点1)本件各発明に対する被告の貢献度(争点2)本件各発明の共同発明者間における原告の貢献度(争点3) 3 争点に対する当事者の主張争点1(本件各発明により被告が受けるべき利益の額)について【原告の主張】●(省略)●対象特許の寄与率は,それぞれ番号ごとに均等である。もっとも,別紙2●(省略)●記載12のものについては,拒絶査定が確定し,かつ対応する外国 特許も存在せず,●(省略)●寄与はない。また,同目録記載18ないし20に対応 する各特許は,●(省略)●共有であるから,被告が単独所有している特許の半分の寄与があるにとどまる。したがって,●(省略)●144号特許等,642号特許等及び811号特許等の個別の寄与率は,それぞれ1/17.5(20-1-0.5×3=17.5)となる。 ている特許の半分の寄与があるにとどまる。したがって,●(省略)●144号特許等,642号特許等及び811号特許等の個別の寄与率は,それぞれ1/17.5(20-1-0.5×3=17.5)となる。 そうすると,144号発明等,642号発明等及び811号発明等について,被告 が受けるべき利益の額は,それぞれ●(省略)●円(●(省略)●円÷17.5=●(省略)●円)となる。本件各発明内の各特許の内訳は均等割である。 【被告の主張】●(省略)●また,別紙2●(省略)●記載18ないし20の各特許は,被告の従業員のみによ りされた発明に基づく特許であるから,実質的に被告が単独で保有する財産である。 したがって,●(省略)●別紙2●(省略)●記載の各番号に対応する各特許又は出願中の特許の寄与率は,番号ごとにそれぞれ20分の1である。 争点2(本件各発明に対する被告の貢献度)について【原告の主張】 次のとおり,本件各発明により被告が受けるべき利益に対する原告の貢献度は極めて高く,使用者である被告の貢献度が50%を超えることはない 。 ア原告におるFAMの研究開始前には,被告においてFAMの研究開発は行われていなかった。 本件各発明にいうFAMは,W/O比が略45倍以上のものを指すところ,被告が 平成5年に研究開発していたHIPEの重合物は,アクリル系の原料を用いたものであり,かつW/O比が上記の値を下回るものであったから,被告による上記研究開発はFAMについてのものとはいえない。●(省略)●イ原告は,被告からの具体的な指示等がない状態で一人で研究を開始し,その後も中心的な存在として研究を進めた。 原告は,平成8年4月から,上記の問題点を解決するためには原料自体を見直す必 要が からの具体的な指示等がない状態で一人で研究を開始し,その後も中心的な存在として研究を進めた。 原告は,平成8年4月から,上記の問題点を解決するためには原料自体を見直す必 要があるとの仮説の下,自発的に,特許調査,パテントマップの作成,●(省略)●追試を行うなどしてFAMに関する研究開発を開始してこれを主導した。そして,原告は,同年6月5日,上記の被告の従前の研究開発における原料とは異なるスチレン系の原料を用い,初めてW/O比が45倍以上であるFAMの作製に成功した。この研究開発に関し,M(以下「M」という。)は管理者として,N(以下「N」という。) は補助者として関与したにすぎない。そして,被告は,原告の上記成果等を含む研究結果に基づき,実質的な発明者が原告である2件の特許出願(特願平8-197282号,特開平10-36411号(甲10)及び特願平8-202127号,特開平10-45929号(甲11))をした。また,上記の原告によるFAM作製という成果が,被告●(省略)●検討を加速させたのであって,原告の貢献なしに平成9年1 0月以降のFAMの研究はなし得ないものであった。被告が,同月以降,FAMに係る研究開発を行うプロジェクトを立ち上げたとしても,立ち上げ当初は引き続き原告のみがFAMの研究を行っており,平成10年1月頃になってようやく他の被告従業員が原告の実験を手伝うようになったにすぎなかった。 そのほかにも,原告は,●(省略)●を踏まえFAM製造に必要な特殊な攪拌用の 羽根の情報を引き出してこれを特注し,平成9年10月以降の被告におけるFAMの研究に必要な種々の機器・設備の選定,導入等の研究環境の整備も行った。 さらに,本件発明等を含めた原告のFAM関連発明の創作を基礎として,●(省略)●対 し,平成9年10月以降の被告におけるFAMの研究に必要な種々の機器・設備の選定,導入等の研究環境の整備も行った。 さらに,本件発明等を含めた原告のFAM関連発明の創作を基礎として,●(省略)●対象特許に係る発明がされ,FAM事業が●(省略)●成長したのである。 ウ原告は,以上のような貢献に対し,従業員として特別の待遇等は一切受けてい ない。 エ ●(省略)●【被告の主張】次のとおり,本件各発明により被告が受けるべき利益についての被告の貢献度は高く99%であって,原告を含む発明者の貢献度は1%を超えることはない。 被告は,平成5年からFAMに関する研究開発を開始し,FAMの製造技術の開発, FAM及びその製造方法に関する特許出願・取得,作製したFAMの●(省略)●研究開発活動を行っていた。 被告は,平成8年4月,●(省略)●打診を受けた。そこで,被告は,FAMの商用生産技術,すなわち製造コスト低減及びスケールアップの技術を確立するべく,被告主導下で研究開発を実施することにし,MをFAM研究開発プロジェクト遂行の責 任者とした。Mは,原告及びNに対して研究内容の指示をしてFAMの研究開発を進め,被告は,同年7月には重合開始剤及び界面活性剤に関する発明について特許出願(特願平8-197282号(甲10)及び特願平8-202127号(甲11))を行い,同年10月には,Nが作製したFAMを●(省略)●した。 被告は,平成9年8月,●(省略)●ため,同年10月,会社として総力を挙げて FAM商用生産技術を開発するためのFAMプロジェクトを立ち上げるとともに,多数の従業員を研究開発活動に従事させた。また,被告は,FAMの研究開発に必要な設備・機器等を調達する費用として少なくとも1億円を投下した。加えて 発するためのFAMプロジェクトを立ち上げるとともに,多数の従業員を研究開発活動に従事させた。また,被告は,FAMの研究開発に必要な設備・機器等を調達する費用として少なくとも1億円を投下した。加えて,国内特許の権利化及び維持のための費用(代理人費用含む)に合計約2000万円,外国特許の権利化及び維持のための費用に約8000万円を支出し,今後も存続期間満了まで の特許権維持費用を支出する予定である。このような被告全社を挙げての研究開発活動の結果として,平成13年5月までの間に,●(省略)●対象特許を含め,多数の特許出願を行った。 ●(省略)●争点3(本件各発明の共同発明者間における原告の貢献度)について 【原告の主張】ア 144号発明等原告は,平成9年6月以前から生分解性ポリマーの研究を行っていたこともあり,環境負荷低減に対する意識が高く,FAMの実験過程において大量の廃水を生み出す状況を危惧しており,これを何とかしなければならないという思いを有していた。 そして,原告は,同月以降同年12月7日までの間に,FAM生産において廃水の再 使用を行うことを着想し,平成10年1月から廃水の再使用の検討を開始して3回程度の再使用が可能であることを確認するとともに,再使用回数を増やすとHIPEの作製やFAMの物性に変化が起こることを見いだした。さらに,原告は,同年3月又は4月,廃水の再使用回数を増加させるため,モルタルミキサーを導入するとともに,油相撹拌下に水相を少しずつ添加する方法を用いて大量のHIPEを調製すること に成功し,以後の複数回の実験を可能とする環境を整えた。このように,原告は,遅くとも同月頃までに,144号特許の特許請求の範囲の請求項1ないし6,12ないし15及び17記載の各発明を完 ること に成功し,以後の複数回の実験を可能とする環境を整えた。このように,原告は,遅くとも同月頃までに,144号特許の特許請求の範囲の請求項1ないし6,12ないし15及び17記載の各発明を完成させた。 また,原告は,平成10年4月までには,廃水を複数回再使用するとpH値が低下することや不純物が発生すること,その原因が廃水中に含まれる硫酸イオンであ ることを把握していた。そして,原告は,同月被告に入社したCを指導するとともに,Cを実験補助者として,pH調整による中和技術を確立した。原告が同年9月にCの指導を離れた後にCが行った実験は,いずれも後追いの確認実験にすぎず,144号発明等の完成に対する関与とはいえない。また,Bは,同月以降にFAMの研究に携わったもので,FAMに慣れるために既に完成していた廃水の再使用実験に関与した にすぎず,144号発明等の完成に一切関与していない。 さらに,原告は,平成10年5月までには,廃水の再使用により生じる不純物の除去に遠心分離等を用いることを想起している。これについてのD及びCの関与は,モデル組成物を用いた実験をしたにすぎず,144号発明等と無関係か又は周知技術を適用した後追い実験にすぎない。Dは,144号発明等の内容に関与しない単なる 管理者にすぎず,原告の上司であるという理由のみで発明者とされているにすぎない。 加えて,原告は,平成10年1月から同年9月頃までに144号特許の明細書原案を作成しているほか,144号特許の願書において,発明者の中で筆頭者として記載されている。 以上によれば,144号発明等に対する原告の共同発明者としての貢献度は少 なくとも90%を超えるものである。 イ 642号発明等642号特許等に係る発明は,大きく①エ 以上によれば,144号発明等に対する原告の共同発明者としての貢献度は少 なくとも90%を超えるものである。 イ 642号発明等642号特許等に係る発明は,大きく①エマルションの外表面部を酸素量低減手段によって周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態とし,シート材をエマルション搬送手段として設けられた水平設置型ベルトコンベア等からなる重合装置を用いて,エマルションの供給から重合までを連続して行うことで,生産性を向上 させる発明(以下「HIPE連続重合発明」という。)及び②酸素量低減手段としてフッ素樹脂等の特定の材質からなるシートを用いてHIPEを硬化させることで,オープンセル構造とし,クローズドセルの発生を防止する発明(以下「フィルム発明」という。)に分けられる。 HIPE連続重合発明について,原告は,遅くとも吸水性樹脂を研究していた 平成8年7月26日以前頃,吸収性樹脂の製造ラインがバッチ方式から水平連続重合方式へ切替えが行われ始めていることを見聞したことから,生産性向上のために,HIPEの重合においても,従来のバッチ方式ではなく水平連続重合方式で行うことを想起しており,この点は原告が発明者となっている別の発明に係る特開平10-36411号公報の段落【0021】(以下,公報,明細書等の段落については,単に【0 021】のように示す。)(甲10)及び特開平10-45929号公報【0017】(甲11)にも記載されている。そして,Eにも,その旨を伝えていたところ,平成9年10月頃,Eから,人工大理石の連続重合装置(以下「人大装置」という。)を利用して実験してみたらよいとの話を聞き,人大装置を用いたHIPEの連続重合方式を試みることとした。そして,原告自身は人大装置を動かすことができない 大理石の連続重合装置(以下「人大装置」という。)を利用して実験してみたらよいとの話を聞き,人大装置を用いたHIPEの連続重合方式を試みることとした。そして,原告自身は人大装置を動かすことができないため,E 及びJの協力を得ることとした上で,原告自ら実験計画を立案し,HIPEを調製し,重合条件等を設定して,同年10月31日に人大装置を用いたHIPEの重合実験を行った。その結果得られたHIPEの重合物の表面状態はそれほど良くないものであったが,原告は,人大装置を用いてHIPEを重合できることの確証をつかみ,HIPE連続重合発明がおおよそ完成した。また,その後2度目の人大装置を用いた実験 も行われたが,これについても原告が実験計画を立案し,原告が主導して行い,改良 された重合物を作製することができた。 他のHIPE連続重合発明の発明者とされている者について,Eは,具体的に人大装置を転用するという提案をしたという限りにおいてHIPE連続重合発明への貢献が認められるにすぎず,貢献度は低い。F及びJは,原告の実験に協力した者であり,原告の見いだした手法について追加的な実験を行ったにとどまる。Hは,原告の 研究を補助する立場にあった者にすぎず,HIPE連続重合発明にも関与していない。 Kは管理者として関与したために発明者とされているにすぎず,Gは,原告の見いだした手法について追加的な実験を行ったにとどまる。 フィルム発明について,原告は,年10月31日の人大装置を用いた実験において,HIPE連続重合の過程において,人大装置に設置されたフィ ルムとHIPEの接触面にクローズドセルのスキン層が形成されてしまい,かかる層を別途除去しなければ吸水材として使用できないということを見いだした。そこで,原告は,平成10年1 設置されたフィ ルムとHIPEの接触面にクローズドセルのスキン層が形成されてしまい,かかる層を別途除去しなければ吸水材として使用できないということを見いだした。そこで,原告は,平成10年1月から,ポリエチレンの袋を用いたシート重合実験を行ったり,重合容器の内壁と底部をポリイミド,ポリエーテルイミド,ポリエーテルエーテルケトン等の材料で囲んで実験を行うなどしたほか,Iに対して原告が調製した重合物の 分析を依頼したり,Hに実験を補助してもらいながら,ポリエチレンテレフタレート(PET),ナイロン,テフロン,ガラス等を使用すると接触面がオープンセル構造となるため,これらが最適な材料であることを繰り返し実験することで特定し,フィルム発明を完成させた。 他のフィルム発明の発明者とされている者について,Eは,せいぜいフィルム選定 についてコスト面の検討したにすぎず,発明の完成に対する関与はない。I及びHは上記のとおり補助者にすぎない。D及びJは発明の完成に対して何ら関与していない。 加えて,原告は,平成9年12月8日以前に,HIPE連続重合発明及びフィルム発明に係る明細書原案を作成しており,同日には,●(省略)●ミーティングで上記各発明に関するプレゼンテーションをしているほか,フィルム発明に係る出願の 願書において,発明者の中で筆頭者として記載されている。 以上によれば,642号発明等に対する原告の共同発明者としての貢献度は,少なくとも90%を超えるものである。 ウ 811号発明等811号発明等のポイントは,反応条件を厳しくしてもエマルション構造が壊れないところまで前段重合をマイルドな条件で行い,以後,反応条件を厳しくして後 硬化をすることにより,全体として反応時間が短縮できること及び前段重 トは,反応条件を厳しくしてもエマルション構造が壊れないところまで前段重合をマイルドな条件で行い,以後,反応条件を厳しくして後 硬化をすることにより,全体として反応時間が短縮できること及び前段重合と後硬化のタイミングについて臭素付加による残存二重結合の定量法で特定したことにある。 原告は,FAM研究に関わったこれまでの知見からFAM製造における重合時間の短縮を課題として認識しており,平成8年7月26日までに,反応条件を厳しくしてもエマルション構造が壊れないところまで前段重合をマイルドな条件で行い,以 後,反応条件を厳しくして後硬化をすることにより,全体として反応時間が短縮できることを見いだした。この点は,原告が発明者となっている別の発明に係る特開平10-36411号公報【0004】及び【0021】(甲10)に記載されている。その後,原告は,平成10年6月から8月にかけて,HIPEへのマイクロ波照射実験を繰り返し行い,前段重合の条件を厳しくすると,水が沸騰してしまい,エマルショ ンが壊れ,均一な細孔分布を持つFAMを生成できないことを突き止め,重合途中に,重合は完結していないが,水の沸騰には耐えられるまでに重合したタイミングで反応条件を厳しくすれば,エマルションの破壊を回避して全体の重合時間を短縮できるのではないかと考えるに至った。また,原告は,平成10年4月頃までには,高分子の活性エネルギー線,コーガアイソトープや日新ハイボルテージを利用すればよいとい う点を想起していた。 そして,原告は,平成11年3月,後硬化手段としてマイクロ波照射をする実験を実施して後硬化条件を検討し,811号特許等の特許請求の範囲に含まれる内容の実験結果を得た。さらに,原告は,後硬化に関する実験と並行して,同年4月頃には,前段重合終了の てマイクロ波照射をする実験を実施して後硬化条件を検討し,811号特許等の特許請求の範囲に含まれる内容の実験結果を得た。さらに,原告は,後硬化に関する実験と並行して,同年4月頃には,前段重合終了のタイミングを定量的に把握する検討を始め,最終的にはPSDB法を 用いて,FAMの残存二重結合の定量を可能にした。その後も,原告は,実験を繰り 返し,最終的に前段重合と後硬化のタイミングについて,前段重合の条件として臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させるのが最も好ましいことを見いだし,811号特許の請求項1記載の発明をおおむね完成させ,さらに,マイクロ波等を用いた後硬化の実験を行い,811号発明等の最終的な完成に関与した。 他の811号発明等の発明者とされている者について,Eは,原告による実験 結果等の説明をまとめてメモを作成しているだけであり,811号等発明への貢献はなく,管理者の立場として形式的に発明者とされているにすぎない。Bは,後硬化前までの連続重合の実験を手伝ったにとどまるし,同人の行った実験(乙60)も,通常の重合を行ったものに電子レンジを用いてマイクロ波を照射したというにすぎず,上記の811号発明等の特徴的部分とは何ら関係がないものである。Gについても, 同人の行った実験(乙61)は,前段重合の条件を定めずに行ったものであって,上記の811号発明等の特徴的部分とは何ら関係がないし,仮に関連性があるとしても,811号特許等の下位の請求項に関連する実験を行った程度であるから,811号発明等に貢献したと評価されるものではない。Lも原告の実験を手伝う程度のことしかしておらず,811号発明等の完成に関与したと評価されることはない。 加えて,原告は,811号特許の明細書原案を作成しているほか,8 されるものではない。Lも原告の実験を手伝う程度のことしかしておらず,811号発明等の完成に関与したと評価されることはない。 加えて,原告は,811号特許の明細書原案を作成しているほか,811号特許の願書において,発明者の中で筆頭者として記載されている。 以上によれば,811号発明等に対する原告の共同発明者としての貢献度は,少なくとも90%を超えるものである。 【被告の主張】 ア 144号発明等 被告は,平成8年4月●(省略)●ミーティングにおいてFAM製造過程において生じる廃水の処理という問題を認識し,これを解決課題として設定し,遅くとも平成9年8月にはその解決手段として廃水を重合系に戻して再使用するという手法を想到していた。その上で,被告は,FAMに係る研究開発を行うプロジェクト(以 下「FAMプロジェクト」という。)を組織し,FAMの研究開発が進められたのであ って,原告のみが144号発明等をしたのではない。 被告は,あくまで●(省略)●FAM供給●(省略)●を行うにふさわしい商用生産技術を確立するために研究開発を行っていたのであり,144号発明等のポイントは,FAM作製に係る重合過程において単に廃水を再使用するという点のみにあるのではなく,多数回の再使用を効率的に実現する技術を開発することが必要である。 そのためには,廃水を再使用したときの乳化の阻害要因を特定した上で,中和技術及び遠心分離技術を確立したことが極めて重要であった。そして,平成10年4月以後,硫酸カルシウムと思われる沈殿物及びpH値の低下が乳化を阻害することを突き止め,乳化の阻害要因の把握に貢献したのは,C及びEである。さらに,上記成果を踏まえ,C,B及びDらが中和技術を,C及びDが実験等を行って遠心分離技術を 殿物及びpH値の低下が乳化を阻害することを突き止め,乳化の阻害要因の把握に貢献したのは,C及びEである。さらに,上記成果を踏まえ,C,B及びDらが中和技術を,C及びDが実験等を行って遠心分離技術をそれ ぞれ確立したものである。そして,Dが144号特許の基礎となった特願平11-107295号及び特願平11-107296号(以下,これらを併せて「144号特許基礎出願」という。)の各出願の明細書原案のたたき台を作成し,S(以下「S」という。)がこれを修正し,D及びBのチェックを経て,最終案が確定した。 これに対し,原告は,平成10年1月から4月にかけて,被告の指示を受けて, FAMプロジェクトの一員として,廃水をろ過したものを重合工程で再使用するという実験作業を担当し,廃水を3回再使用したにとどまっており,乳化の阻害要因を同定していないし,商用生産を可能にするような多数回の廃水再使用技術には関与していない。 以上によれば,144号発明等に対する原告の共同発明者としての貢献度は, 高く見積もっても共同発明者間の均等割相当分を超えることはない。 イ 642号発明等 HIPE連続重合発明については,Eが,平成9年10月頃,人工大理石の連続成形方法に係る発明をFAMの製造方法に応用することを着想し,これを受けて,主としてE,J及びHが,同年10月及び平成10年7月に連続重合に関する具体的 な実験計画を策定し,実行した。その後,商用生産を可能とする技術を確立すべく, 平成11年9月,E,K,F及びGらによってベンチプラントが建設され,ベンチプラントを用いたFAMの重合実験を経て,発明が完成した。そして,Eが明細書原案を作成した。 これに対し,原告は,平成9年10月31日に実施された人大装置を用いた重 ベンチプラントが建設され,ベンチプラントを用いたFAMの重合実験を経て,発明が完成した。そして,Eが明細書原案を作成した。 これに対し,原告は,平成9年10月31日に実施された人大装置を用いた重合実験において,HIPEを水平状の装置に供給する作業を担当したにすぎず,その後に 行われた実験を含め,原告が実験計画を策定し又は原告が主導して実験を行ったことはない。 フィルム発明については,Eが,特定の材質のフィルムを選定すればHIPEがオープンセル構造で硬化することを活用して設備コストを低減できる可能性を見いだし,E及びIが具体的な実験を繰り返し,フィルム選定作業を主として行った。 また,E及びDが商用生産に不可欠であるフィルムのコスト面からの検討を行った。 そして,Sが明細書原案を作成した。 これに対し,原告は,平成10年1月に642号特許の特許請求の範囲に含まれないポリエチレン袋を用いた重合実験を行ったのみで,他の材料について具体的な検討を行っていない。 以上によれば,642号発明等に対する原告の共同発明者としての貢献度は,高く見積もっても共同発明者間の均等割相当分を超えることはない。 ウ 811号発明等811号発明等の課題は,重合時間の短時間化と物性の維持向上を両立させようとする点にある。そして,硬化について前段重合及び後硬化という手法が存在する こと,後硬化を行うことにより重合に要する時間を短縮し得ること及び硬化の手法としての一般的な照射方法及び臭素価の測定方法の存在はそれぞれ公知であった。したがって,811号発明等の創作上のポイントは,①前段重合をどの程度行うかという分岐点を把握すること及び②適切な後硬化の方法を具体化することである。 811号発明に係る研究開発は,FAMプロジェクト内で策定 811号発明等の創作上のポイントは,①前段重合をどの程度行うかという分岐点を把握すること及び②適切な後硬化の方法を具体化することである。 811号発明に係る研究開発は,FAMプロジェクト内で策定され実験計画に 基づいて進められたもので,その中でも,上記①に関しては,Bが,平成10年8月 に,重合率が90%に達するときに何らかのエネルギー照射による急速加熱を行うことによりFAMの物性を向上させることができることを見いだした。また,ペンダント二重結合の定量化に関しては,平成11年4月13日,Lが原告に対してペンダント二重結合の定量化作業を指示し,原告はその指示に従いこれを行った。上記②に関しては,Gが,平成10年9月に電子線(EB)及び紫外線(UV)の照射実験を行 い,G及びEが,平成11年1月に活性エネルギー照射実験を行うことにより見いだした。 これに対し,原告は,上記①に関し,上記のとおり,Lの指示を受けて分岐点の定量化及びこれに基づく臭素価確認の各作業を行ってはいるが,811号発明等の創作において重要なポイントは,定量化そのものではなく,その前提としての分岐点 の把握それ自体であるから,原告の上記作業の811号発明等への貢献度は大きくない。また,原告は,上記②に関し,平成8年6月から8月にかけて,後硬化につき加熱やマイクロ波照射実験等を行っているが,ゲル化率向上の効果はないなどと報告しているのであって,成功していないし,平成9年3月に,811号特許の特許請求の範囲に含まれる電子レンジを用いた実験を行っているが,既にE及びGにより後硬化 の条件が特定された後のものであるから,発明の特徴的部分の完成への大きな貢献はない。 以上によれば,811号発明等に対する原告の共同発明者としての貢献度は が,既にE及びGにより後硬化 の条件が特定された後のものであるから,発明の特徴的部分の完成への大きな貢献はない。 以上によれば,811号発明等に対する原告の共同発明者としての貢献度は,高く見積もっても共同発明者間の均等割相当分を超えることはない。 第3 当裁判所の判断 1 事実認定前記前提事実,掲記の各証拠(いずれも以下の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認定することができる。 原告の経歴原告は,昭和63年4月に被告に入社し,吸水性樹脂の物性改良及びプロセス改良 の研究開発に従事した後,平成3年から平成5年にかけて米国に留学し,帰国後は新 規な吸水材の研究開発に従事した後,FAMの研究開発に従事するようになった(甲23)。 本件各発明前の被告における研究の状況等ア ●(省略)●イ平成5年当時の被告におけるHIPEの研究状況及び特許出願等 HIPEの研究状況被告の姫路研究所高分子第1研究室の主任研究員であったMは,平成5年1月,●(省略)●を紹介された。これを受け,Mは,被告の指示の下,同研究室の研究員であったO(以下「O」という。)らとともに,HIPEの研究開発を開始し,バッチ方式による乳化及び重合の手法を用いて,上記米国特許公報の記載に基づき,モノマー 材料として2-エチルヘキシルアクリレート(以下「EHA」という。)やスチレンを用い,架橋剤としてジビニルベンゼンを用いるとともに,水相に塩化カルシウムを用い,重合開始剤として過硫酸カリウム(以下「KPS」という。)を用いるなどして吸水スポンジを作製したほか,HIPEに関する特許調査を実施するなどした(以上,乙4,6,7,142,144,証人M〔1,2頁〕)。そして,被 過硫酸カリウム(以下「KPS」という。)を用いるなどして吸水スポンジを作製したほか,HIPEに関する特許調査を実施するなどした(以上,乙4,6,7,142,144,証人M〔1,2頁〕)。そして,被告は,同年4月2 8日及び同年7月30日,M及びOらを発明者とする吸液材及びその製造方法に関する発明について特許出願をするとともに(特願平5-102138号及び特願平5-190205号),●(省略)●などしていた(乙4,5,12)。 特許出願等被告は,平成6年4月27日,上記各特許出願に係る発明に基づく優先権を主張し て国際出願(PCT/JP94/00706号)をするとともに,同年中に国内書面を提出し(特願平6-524104号),平成15年1月10日に特許登録を受けた(乙8。特許第3386131号。以下「131号特許」という。)。131号特許に係る明細書には,アルキル(メタ)アクリレートを主たる成分とする単量体,架橋性単量体から成る単量体及び水を油溶性界面活性剤の存在の下に混合して油中水滴型 エマルションを形成し(5頁9欄15行目以下),その油中水滴型エマルションを重 合開始剤存在下で25℃ないし90℃の温度に加熱重合すること(5頁9欄49行目以下),重合の際に油中水滴型エマルションをバッチごと又は連続的にフィードしながらキャスト重合することができること(5頁10欄2行目以下),重合容器を任意の形状とすることで重合により得られる多孔質架橋重合体をシート状といった任意形状にすることが可能であること(5頁10欄5行目以下),重合法として連続重合 法を採用することも可能であること(5頁10欄11行目以下),重合温度は25℃ないし90℃の範囲,好ましくは40℃ないし80℃の範囲であるが,前半重合を25℃ないし 下),重合法として連続重合 法を採用することも可能であること(5頁10欄11行目以下),重合温度は25℃ないし90℃の範囲,好ましくは40℃ないし80℃の範囲であるが,前半重合を25℃ないし50℃の温度範囲で行い,後半を50℃ないし90℃の温度範囲で行うことも可能であること,重合時間は1ないし30時間程度が適切であり,重合温度が90℃を超える範囲では,得られる多孔質架橋重合体の孔径制御が困難となり,吸液材 の吸液量が低下すること(5頁10欄12行目以下),重合により平均孔径1ないし10μmの細孔を有する多孔質架橋重合体を得ること(5頁10欄21行目以下)が開示されるとともに,実施例3において,37℃の生理食塩水を14秒で吸収し,その吸収量が27.2g/g(W/O比が約30:1相当)の吸液材が得られたこと(8頁15欄15行目以下)が開示されている(乙8)。 ウ平成8年4月以降の被告におけるHIPEの研究状況及び特許出願等HIPEの研究状況被告は,平成8年4月17日に行われたミーティングにおいて,●(省略)●被告は,上記ミーティングを受け,●(省略)●効率良く品質の優れたHIPE重合物を製造する技術を研究開発するとともに,特許出願をして技術の権利化をするこ とにより他社を牽制する方針を決定し,上記技術の開発の責任者を当時ゲル状の吸水性樹脂を担当する被告の高分子研究所第3研究室に所属し,かつ将来技術を担当する主任研究員であったMとした。そこで,Mは,原告を含む同研究所の研究員に対し,平成8年4月19日のミーティングで上記の事項を話題にし,当時同研究室所属の研究員であったN及び当時はHIPEを重合してFAMを作製した経験はなかった原 告を上記研究開発に従事させることとした(以上,乙1,5,15,144 グで上記の事項を話題にし,当時同研究室所属の研究員であったN及び当時はHIPEを重合してFAMを作製した経験はなかった原 告を上記研究開発に従事させることとした(以上,乙1,5,15,144,証人M 〔5頁〕,原告本人〔33頁〕)。 原告は,平成8年5月8日,モノマー材料としてEHAとスチレンを用い,ジビニルベンゼンを架橋剤に用いるとともに,水相に塩化カルシウムを用い,重合開始剤としてKPSを用いるなどして,被告において平成5年に用いた手法と同様の手法で,●(省略)●特許出願(特表平6-509729号。乙14)に係る発明の追試を行 った。この手法は被告内で平成5年に行われた実験において用いられた手法と同様であったが,均一なエマルションが得られない,転送時間が遅い,重合完結に要する時間が遅い,硬化物に大きな穴が多く特に重合容器との接触面に多い等の問題点が判明した(乙16,96,144,証人M〔6頁〕)。その後も,原告は,同月23日,Mからレドックス系の重合開始剤を用いるようにとの指示を受け,同月28日までにレ ドックス系の重合開始剤であるAPS及びSBSを用いてHIPE重合物を作製し(乙17,証人M〔6,7頁〕),同年6月5日には,上記の追試と同様に,EHAとスチレンを用い,ジビニルベンゼンを架橋剤に用いるとともに,水相に塩化カルシウムを用い,上記の追試からW/O比及び乳化のプロセスを変えるとともに,重合開始剤をKPSからレドックス系の重合開始剤であるAPS及びSBSに変えることに より,W/O比37倍のHIPE重合物の作製をした(乙108,原告本人〔9,36頁〕)。そのほかにも,原告は,重合容器の検討や攪拌機及び連続乳化装置の検討を行うほか,Mの指示により新規の界面活性剤の検討を主として担当するなど PE重合物の作製をした(乙108,原告本人〔9,36頁〕)。そのほかにも,原告は,重合容器の検討や攪拌機及び連続乳化装置の検討を行うほか,Mの指示により新規の界面活性剤の検討を主として担当するなどした(乙18,96,144,証人M〔7~9頁〕)。 他方,Nは,平成8年6月24日,Mが考案した組成を用いてW/O比50倍のH IPE重合物を作製したり(乙64),同年10月のミーティングの際に被告が●(省略)●HIPE重合物のサンプルを作製したりしたほか(乙1,19),Mも原料や重合開始剤,重合の条件などを変えて種々のHIPE重合物の調製などを行い(乙103,109),かつ,NとMは,HIPE作製に用いられる油溶性重合開始剤の検討及び吸水速度の改善を主として担当するなどして,HIPE重合物の研究を行った(乙 18,96)。 原告,M及びNは,グループミーティング等で情報の共有を図りつつ,互いの研究にも関与しながら研究開発を行っていた(乙103,証人M〔24頁〕,原告本人〔37頁〕)。 特許出願等被告は,上記の研究成果を受け,いずれも原告,N(甲10に「F」とあるのは 誤記と認める。)及びMを発明者として,平成8年7月26日にHIPE重合時の重合開始剤混合等に係る発明についての特許出願(特願平8-197282号,特開平10-36411号。甲10),同月31日にHIPE重合時の界面活性剤添加に係る発明についての特許出願(特願平8-202127号,特開平10-45929号。 甲11),同年12月25日にHIPE重合体を親水化することに係る発明について の特許出願(特願平8-344921号,特許第3699225号。甲12)をそれぞれした。 上記各発明に係る公開公報ないし特許公報である特開平10-36 合体を親水化することに係る発明について の特許出願(特願平8-344921号,特許第3699225号。甲12)をそれぞれした。 上記各発明に係る公開公報ないし特許公報である特開平10-36411号公報(甲10)の【0021】,特開平10-45929号公報(甲11)の【0017】及び特許第3699225号公報(甲12)の【0019】のいずれにも,131号 特許の明細書と同様に,重合の際に油中水滴型エマルションをバッチごと又は連続的にフィードしながらキャスト重合することができること,重合容器を任意の形状とすることで重合により得られる多孔質架橋重合体をシート状といった任意形状にすることが可能であること,重合法として連続重合法を採用することも可能であること,前半重合を25℃ないし50℃の温度範囲で行い,後半を50℃ないし90℃の温度 範囲で行うことも可能であること(甲10及び12では,これらの温度範囲で完結することが最も好ましいとされている。),重合硬化時間は1ないし30時間程度が適切であり,重合温度が60℃(甲11では90℃とされている。)を超える範囲では,得られる多孔質架橋ポリマー材料の孔径が不均一となることがあり,また,多孔質架橋ポリマー材料の吸液量が低下することが開示されている。さらに,特開平10-36 411号公報(甲10)の【0040】ないし【0044】には,40℃で2.5時 間ないし3時間重合し,更に60℃で3時間重合して,W/O比が40以上のFAMが得られたとの実施例が開示されている。 エ FAMプロジェクト立ち上げに至る経緯等●(省略)●被告は,●(省略)●FAMの商用生産技術を開発するためのプロジェクトを立ち 上げることを決定し,平成9年10月,当時の被告の取締役開発研究本 Mプロジェクト立ち上げに至る経緯等●(省略)●被告は,●(省略)●FAMの商用生産技術を開発するためのプロジェクトを立ち 上げることを決定し,平成9年10月,当時の被告の取締役開発研究本部本部長Pをトップ,高分子研究所所長Qをナンバーツー,同研究所第3研究室長のRをナンバースリーとして,FAMプロジェクトを立ち上げた(甲22,乙24)。FAMプロジェクトには,当初,アクリルエマルションを担当する被告の高分子第2研究室から主席研究員のS,同第3研究室からM,原告,H,I,成型やプロセスを担当する同第4 研究室から主席研究員のEの各研究員らが参加することとなり(乙23,24,28,140,証人M〔12頁〕),その後も増員された。原告については,●(省略)●新しいプロジェクトを結成すること及び実験場所が吹田地区であることを理由として,正式に姫路の高分子研究所から吹田の中央研究所への異動となり,実験担当及びサブリーダークラスとされた(乙28)。FAMプロジェクトで実際の研究を担当するメ ンバー間では,おおむね毎週ミーティングを行い,毎月月報で研究成果を確認,共有するなどして,全体の方針として課題を設定し,各人において研究開発を進めていた(乙144,証人M〔12頁〕)。 144号発明等についてア 144号特許の明細書の記載 144号特許の明細書の発明の詳細な説明には,次の内容の記載がある(甲1)。 発明の属する技術分野本発明は,油中水滴型高分散相エマルションを形成して多孔質材料を製造するに際し,該油中水滴型高分散相エマルションを形成する水相に使用した廃水を再使用するものである多孔質材料の製造方法に関する(【0001】)。 発明が解決しようとする課題 HIPE法(油中水滴 型高分散相エマルションを形成する水相に使用した廃水を再使用するものである多孔質材料の製造方法に関する(【0001】)。 発明が解決しようとする課題 HIPE法(油中水滴型高分散相エマルションに含まれる重合性単量体を架橋重合する油中水滴型高分散相エマルション法)による多孔質材料は,その製造工程の逆相乳化重合の際の内相である水相と外相である油相の比(W/O比)によって多孔の形成が影響を受け,より空孔容積率の大きい多孔質材料を得ようとすればW/O比は必然的に水相側の比率が高くなるため,多孔質材料の製造後に該多孔質材料に含まれる 水分の脱水及び乾燥の必要があり,多量の廃水が発生する(【0005】)。 HIPE法では油中水滴型高分散相エマルションの調製工程を経て多孔質材料が製造されるために,多量の水の供給が大きな問題となるとともに,重合反応及び架橋反応により多孔質架橋体を得た後に脱水して得た廃水や,多孔質材料の洗浄後の廃水には,多量の塩類や重合開始剤未反応物,重合開始剤分解物等の各種の不純物が含有 され,かつpHも変化していることから,使用後の塩類などを含有する大量の廃水処理とが大きな問題となる。廃水をそのまま廃棄すれば環境負荷が極めて大きく,その一方,これら廃水を環境負荷無く処理するには,多大の費用並びに労力が必要とされる(【0006】)。 一方,衛生材等の人体に直接触れる用途に多孔質材料を使用する場合には,皮膚に 対する刺激をできるだけ少ないものとするために,従来から,油中水滴型エマルションを重合して得た多孔質架橋重合体を水などで洗浄して酸性物質を含む刺激性物質を洗い流す方法が採られているが,製造する多孔質材料の数倍から数十倍,時には数百倍もの洗浄水を必要とし,多量の廃水を処理・排出しなければなら 多孔質架橋重合体を水などで洗浄して酸性物質を含む刺激性物質を洗い流す方法が採られているが,製造する多孔質材料の数倍から数十倍,時には数百倍もの洗浄水を必要とし,多量の廃水を処理・排出しなければならず製造コストの上昇,環境負荷の増大など好ましくない結果をもたらす(【0007】,【0008】)。 その一方で,多孔質材料の機械的性質や吸収性はW/O比に支配されるために,油中水滴型高分散相エマルション中の水相の重量%を低下することはできないし,十分な特性を確保するにはその構造中に微細な多孔を有することが好ましいが,水相重量%が低いと微細かつ連続気泡の多孔質材料が得られず機械的性質が劣化し又は吸水特性等が低下するから,単に使用水量を低減させることは容易でない。したがって, 廃水の量を減らし,又は廃水を出さない,環境にやさしく廃水処理コストを低減でき るプロセスの開発が望まれる(【0009】)。 課題を解決するための手段本発明者らは,HIPE法による多孔質材料製造のプロセスを検討し,請求項1ないし17の処理を行うことで廃水を製造系に再使用できることを見いだし,本発明を完成させた(【0010】)。 実施例廃水を精製することなく2回再使用した例(実施例1,【0089】~【0095】),再使用の都度廃水のpH値を6ないし7に調整して4回再使用した例(実施例2,【0096】~【0099】),再使用の都度廃水のpH値を6.5ないし7.5に調整し(再使用1回目はpH7.5),遠心分離処理を行って9回再使用した例(実施例3, 【0100】,【0101】),再使用の都度,廃水のpH値を6.5ないし7.5に調整し,遠心分離処理を行うとともに,10分の1は新しい原料を使用することにより,49回再使用した例(実施 3, 【0100】,【0101】),再使用の都度,廃水のpH値を6.5ないし7.5に調整し,遠心分離処理を行うとともに,10分の1は新しい原料を使用することにより,49回再使用した例(実施例6,【0106】~【0108】)等である。 発明の効果本発明によれば,多孔質材料の製造に際して,油中水滴型高分散相エマルションを 形成する水相に使用した廃水を再使用することで,使用用水量及び廃水量を低減できる。特に,廃水から不純物を除去しpHを調整することで,油中水滴型高分散相エマルションの再形成が容易となる(【0186】)。 イ 144号発明等の経緯 当初の検討状況 前記のとおり,●(省略)●ミーティングにおいて,廃水の再使用が話題とされており,被告内でも,平成9年9月頃には,吸水性樹脂製造部などにおいて,FAMの生産コストの削減の手法として,廃水の再使用を含めた廃水の削減によるコスト削減の程度についても検討がされ,被告内で廃水の処理技術の確立が課題となると記載されていた(乙65~67)。 FAMプロジェクト内においても,平成9年11月から12月にかけて,廃水の再 使用についての検討が開始され,そのために界面活性剤や油溶性硬化剤にいかなるものを用いるべきか等の検討が必要とされた(乙68,69)。また,原告は,平成9年12月の●(省略)●ミーティングにおいて,被告におけるFAMプロジェクト概要や同プロジェクトにおける検討の進捗状況について発表をしたが,その際,廃水の再使用について検討を開始していることを説明した(甲22,乙139)。被告において は,廃水を50回再使用することを目標としていた(原告本人〔39頁〕)。 廃水の再使用の研究状況a 原告による研究状況原告は,平成10 ことを説明した(甲22,乙139)。被告において は,廃水を50回再使用することを目標としていた(原告本人〔39頁〕)。 廃水の再使用の研究状況a 原告による研究状況原告は,平成10年1月に廃水(被告において「しぼり液」との名称が用いられることもあった。)の再使用に関する実験を開始し,同月から同年4月にかけて,廃水を 再使用する際の界面活性剤等の量を変えたり,水相に重合開始剤としてKPSを用いてHIPEを作成した際の廃水や,パーブチルH/ロンガリット系の重合開始剤を用いてHIPEを作製した際の廃水等を再使用したりしてFAMを作製する実験を行ったりして,3回程度廃水を再使用してFAMを作製するに至った。そして,同年5月8日提出の月報において,同年2月9日から同年5月7日までの間の研究結果とし て,廃水を未精製で再使用した場合,重合開始剤として過硫酸カリウム系を用いた場合では,3回目(再使用2回目)以降,オープンセル構造の巨大化,引っ張り強度の低下の問題が起きること,パーブチルH/ロンガリット系を用いた場合では,1ないし4回目(再使用3回目)まではオープンセル構造に変化は見られず,引っ張り強度は逆に強くなっていたこと,いずれの重合開始剤を用いても廃水の再使用を重ねるご とに廃水中の不純物が増加すること,ろ過では不純物の除去はできず酢酸エチルによる洗浄では主に界面活性剤であるジグリセリンモノオレート(DGMO)を取り除くことができたが,取り除けない不純物もあったこと,今後の予定として,レドックス系の重合開始剤を用い未精製の廃水を何回再使用することが可能かを見極める必要性や,廃水の精製方法として遠心分離等の方法を検討すべきことを報告した(乙30 ~35,70,71,115,140)。もっとも,原告は,上記不 製の廃水を何回再使用することが可能かを見極める必要性や,廃水の精製方法として遠心分離等の方法を検討すべきことを報告した(乙30 ~35,70,71,115,140)。もっとも,原告は,上記不純物の同定までは しておらず,実際に遠心分離に係る実験等を行ったものでもない。 bC及びBを中心とした研究状況大学院を卒業して平成10年4月に被告に入社したCは,これ以降,廃水の再使用の研究を開始した(乙36)。Cは,同月27日には,水相にパーブチルH/ロンガリット系の重合開始剤等を用いるなど原告が用いたのと同様の組成(乙33)を用いて HIPEを作成してこれから得た廃水を何回再使用できるかを調べる実験をしたが,その際,水相である塩化カルシウム水溶液についてpH=9.6であったとの記載をした(乙36)。廃水の再使用については,同年6月1日の段階でも,パーブチルH/ロンガリット系の重合開始剤を用いた場合で,3,4回の廃水の再使用でHIPEの分散が不良となるような状況であった(乙78)が,Cは,同年7月7日,再使用回 数とともに廃水のpH値が下がっていくという傾向が見られたこと(乙72),同月8日,酸化分解物として亜硫酸水素ナトリウム及び硫酸水素ナトリウムが生成され,これが廃水に含まれること(乙73),同月9日,廃水に硫酸が含まれる可能性があると考えられたことから,塩化カルシウム溶液から成る水相に硫酸を0.5ml滴下したところで硫酸カルシウムと思われる沈殿物が生じ,その際のpHが1.2であった こと,上記沈殿物を除去したところ特に問題なく乳化したこと,硫酸0,8gを加えてpH=1.28にし,白沈を含んだまま乳化テストをすると,乳化しなかったという原告のデータ,塩酸1.1gを加えると(pH=1.2)乳化しないが, たところ特に問題なく乳化したこと,硫酸0,8gを加えてpH=1.28にし,白沈を含んだまま乳化テストをすると,乳化しなかったという原告のデータ,塩酸1.1gを加えると(pH=1.2)乳化しないが,塩酸1. 9gを加える(pH=1.7)と乳化するという原告のデータがあることから,乳化の限度がpH1ないし2付近であると考えられること(乙37),同月10日,廃水中 の不純物と考えられる亜硫酸水素ナトリウムと硫酸についてHPLCにより分析したところ,硫酸の方が探していたものである可能性が高いこと(乙37)をそれぞれ見いだした。他方,原告は,同月13日,水相をあらかじめ酸性にしておいて乳化するかどうかを見極めることを目的として,水相に硫酸1.3115gを加えてpH=1.18としたものと,塩酸1.1695gを加えてpH=1.28としたものを使 用して乳化テストをしたところ,いずれも乳化しないことを確認した(乙77)。 Cは,平成10年8月3日,廃液をICPにより分析し,硫黄が再使用回数とともに高くなる傾向があることを見いだした(乙110)。そして,同月28日提出の月報において,同年6月10日から同年8月27日までの間の研究結果として,重合前の水相(塩化カルシウム水溶液)のpHは9.3であるが,再使用回数とともにpHが低下すること,再使用ごとに得られた廃水に水酸化カルシウムを加えてpHを4ない し5に調整し,再使用実験を行ったところ4回まで再使用が可能であったが,得られたFAMの吸水性能と圧縮強度は低く,再使用回数とともに低下したこと,廃水をICP等で分析したところ,硫酸イオン及び亜硫酸イオン濃度が,再使用回数とともに高くなる傾向があることを報告した(乙39)。さらに,Cは,同年9月4日,イオン交換樹脂により廃水を中和 たこと,廃水をICP等で分析したところ,硫酸イオン及び亜硫酸イオン濃度が,再使用回数とともに高くなる傾向があることを報告した(乙39)。さらに,Cは,同年9月4日,イオン交換樹脂により廃水を中和する技術を採用することによりpH値を調整し,7回にわ たる廃水の再使用に成功した(乙40,74)。その後,C及び同年9月にFAMプロジェクトに参加したBは,同年11月9日提出の月報において,同年8月28日から同年11月8日までの間の研究結果として不溶塩(硫酸カルシウム)が溶解していれば乳化するが,析出すると乳化しないこと,乳化阻害の要因は水相中に析出した塩であると思われること,廃水の中和にナトリウムイオンを用いた場合には,水相に不溶 物が含まれていなければ再使用できることなどを報告した(乙40)。CとBは,その後も,50回の再使用を想定した中和シミュレーションを行ったり,中和塩基として水酸化カルシウムと水酸化ナトリウムのいずれを用いるかについて検討を行ったりしたほか,析出した塩の遠心分離を行ったりして,不純物の除去方法をも検討した(乙41,44,75)。その後,C及びDは,平成11年3月から4月にかけて,遠心分 離の方法により廃水中の不純物を除去することを検討するための実験を行った(乙44,76)。さらに,C,H及びDは,平成12年7月13日提出の月報において,同年5月11日から同年7月12日までの研究結果としてこれまでに遠心分離機による不純物除去を行ったことなどを記載している(乙43)。 144号特許の出願の経緯及び発明届の記載内容 Dは,平成10年6月25日,未完成品であり,阻害物質や濃度の特定はできてい ないとしつつ,144号特許基礎出願に係る明細書の案を作成してSに送付した。Sは,上記原案 載内容 Dは,平成10年6月25日,未完成品であり,阻害物質や濃度の特定はできてい ないとしつつ,144号特許基礎出願に係る明細書の案を作成してSに送付した。Sは,上記原案を修正した2通の明細書案を作成し,さらに,D及びBの指摘を踏まえて同明細書案を修正した。被告は,平成11年4月14日,144号特許基礎出願をした。さらに,被告は,平成12年3月16日,144号特許基礎出願に基づく国内優先権を主張して144号特許を出願し,平成21年10月5日付けで特許査定を受 けた。144号特許の出願時の願書では,発明者は原告,B,C,Dの順で記載されていた(以上,甲1,乙117~119)。 S作成に係る平成11年4月2日付けの144号特許基礎出願の各発明届の発明者欄には,原告が筆頭者として記載され,以下B,C及びDの順に記載されている。 そして,各発明者が着想したことを記載してある発明ノートの番号及び頁の欄には, 原告につき9頁分(乙31,32,70の一部及び115を含む。),Bにつき79頁分,Cにつき173頁分(乙36,37,41,73~76及び110を含む。),Dにつき5頁分がそれぞれ記載されている(乙114)。また,S作成に係る平成12年1月25日付けの144号特許の出願時の発明届でも同様の記載とされている(乙129)。 144号特許に対応する米国特許の出願日は平成12年4月13日,特許日は平成12年12月26日であり,欧州特許の出願日は平成12年4月7日,登録日は平成16年11月17日である。 642号発明等についてア 642号特許の明細書の記載 642号特許の明細書の発明の詳細な説明には,次の内容の記載がある(甲2)。 技術分野本発明は,油中水滴型高分散相エマルショ 2号発明等についてア 642号特許の明細書の記載 642号特許の明細書の発明の詳細な説明には,次の内容の記載がある(甲2)。 技術分野本発明は,油中水滴型高分散相エマルション(HIPE)を重合して,多孔質架橋重合体,好ましくは表面も内部も連通孔の形成されている連続気泡(オープンセル)を有する多孔質架橋重合体を製造するに際して,HIPEを連続重合する多孔質架橋 重合体の製造方法に関するものである(2頁49行目~3頁4行目)。 背景技術WO-A-97-27240号公報では,HIPEを垂直(縦型)帯状の樹脂フィルム製ジッパー付き袋に連続的に充填し,巻き取った後バッチ方式で重合する連続とバッチの併用重合方法が開示されている。さらに,フィルムの材質としては,多孔質架橋重合体への付着性が少なく安価でリサイクルが可能なことから,ポリプロピレン (PP)が好ましいと記載されている。 また,WO-A-97-37745号公報では,HIPEを多孔質基材(フェルト等)上に塗布し,少なくとも一部を多孔質基材に含浸させて重合させる多孔質架橋重合体の製造方法が開示されている。また,多孔質架橋重合体をオープンセルにするためにはPET,ガラス,水などの極性の材料と接触させて重合させることの必要性が 開示されている。 また,Z.Bhumgara(Filtration & Separation,March,1995,245-251)では,スチレンとジビニルベンゼンの共重合体においては,PET,ナイロン66,ガラス,鋼を用いるとオープンセルの多孔質架橋重合体が得られることが記載されている。 しかし,上記WO-A-97-27240号公報のHIPEの重合法では,HIP Eの自重により下部が厚くなる傾向があ 鋼を用いるとオープンセルの多孔質架橋重合体が得られることが記載されている。 しかし,上記WO-A-97-27240号公報のHIPEの重合法では,HIP Eの自重により下部が厚くなる傾向があり,さらに悪いことには油相と液相とが上下に偏向分離する傾向にあるため,高さ(幅)及び厚さに制限がありかつ厚さ及び性能・品質の均一性が保たれにくく,幅と厚さが自由にコントロールできないという問題があり,かつHIPEの充填から重合までを連続的に行うことができないため,HIPEの連続充填工程からバッチ式の重合工程の間の移行段階が律速となるため,連続充 填工程の有利性を最大限に活かすことができないという問題があった。また,フィルム製の袋を使用しているため,同一な性状面の多孔質架橋重合体が得られるだけで,両面の性状を変化させた多孔質架橋重合体を得ることができないという問題もあった。 上記WO-A-97-37745号公報では,重合はバッチ式でも連続式でもどち らでもよいと記載されているが,多孔質基材と極性材料を併用した多孔質架橋重合体 の連続的製法についての具体的な提案は何らなされていない。 したがって,本発明の目的は,多孔質架橋重合体の表面性状を制御することが可能で,幅及び厚さを自由にコントロールすることができ,かつHIPEを重合工程に連続的に供給しながらHIPEを連続重合する多孔質架橋重合体の製造方法を提供することである。 また,WO-A-97-27240号公報では,高温での耐久性を考えたフィルムの選択はされておらず,リサイクル性は考えられていない。以上のように,従来の技術に開示されているフィルムの材質は,限定されたものであり,高温での重合に適した耐久性(耐熱性,耐モノマー性,耐加水分解性,リサイクル性等)が良好であ クル性は考えられていない。以上のように,従来の技術に開示されているフィルムの材質は,限定されたものであり,高温での重合に適した耐久性(耐熱性,耐モノマー性,耐加水分解性,リサイクル性等)が良好でありかつ多孔質架橋重合体の表面特性(平滑性,オープンセル構造性,耐ピンホール・ボイ ド性等)をコントロールできるフィルムの選択については具体的な提案は何らされていない。 さらに,Z.Bhumgara(Filtration & Separation,March,1995,245-251)は,スチレンとジビニルベンゼンの共重合体においては,PET,ナイロン66,ガラス,鋼を用いるとオープンセルの多孔質架橋重合体が得られることを記載しているが,PETは, HIPEの構成成分として含まれる塩化カルシウムなどによりアルカリ性である水相の成分によって加水分解を受けやすく,特に重合温度が高温の場合にその傾向が顕著である。ナイロンは吸水性が高く,膨潤して寸法が変化する現象が見られた。ガラスはもろく伝熱もよくなく,鋼は錆を発生した。また,アクリル酸エステルを含むモノマー混合物の共重合でオープンセルを形成する材料については記載されておらず, 連続シート重合についての記載もない。 したがって,本発明の他の目的は,耐久性が良好であり,多孔質架橋重合体の表面特性をコントロールできるフィルムを含むシート材を選択することにより,フィルムを含むシート材の繰り返し使用が可能になりコストダウンが期待できかつ性能に特徴のある多孔質架橋重合体の製造方法を提供することである(以上,3頁15行目~ 4頁16行目)。 産業上の利用可能性本発明の多孔質架橋重合体の製造方法では,エマルションの外表面部を,酸素量低減手段により,周囲空気よりも酸素含 以上,3頁15行目~ 4頁16行目)。 産業上の利用可能性本発明の多孔質架橋重合体の製造方法では,エマルションの外表面部を,酸素量低減手段により,周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態として,該エマルションを連続重合することにより,従来の連続とバッチの併用重合方法により生じる多くの技術的な課題を解決することができ,加えて該エマルションの連続重合を行う 上での新たな技術的課題をも解決し得ることができる。すなわち,HIPEに所定の重合条件を与えても,条件によって表層部に特異的に未硬化部分やピンホールやボイドが生じたり,表層部をオープンセル構造化できずに利用範囲が限定されたりなどの問題を解決でき,得られる多孔質架橋重合体の外表面部の表面性状を自由に制御することが可能で,幅(W)及び厚さ(T)も自由にコントロールすることができ,様々 な使用用途に応じて最適な性状等を具備したものを設計することができ,かつHIPEの供給から重合までを連続して極めて短時間で行うことができ,必要な時必要な量だけの生産が可能となる(36頁23行目~36行目)。 また,本発明の製法によれば,物性に優れ,通液性,通気性,熱や音などエネルギー吸収性の良い,表面も内部も連通孔が形成されて成る連続気泡を有する多孔質架橋 重合体が,HIPEの組成や重合条件の制約が無く,容易に作ることができる。したがって,得られた多孔質架橋重合体の表面のスキン層を除去するための工程が不要で製品収率が良く,重合装置,特にHIPEと接触する部分の耐久性(強度保持率など)も著しく向上するので,製造コストの低減効果も大きいものである(36頁47行目~37頁2行目)。 イ 642号発明等の経緯 被告における人工大理石の連続重合製法の研究 保持率など)も著しく向上するので,製造コストの低減効果も大きいものである(36頁47行目~37頁2行目)。 イ 642号発明等の経緯 被告における人工大理石の連続重合製法の研究被告は,その樹脂研究所において,平成5年頃から,硬化性人工大理石組成物の上下を特定のフィルムで挟み,加熱条件下で水平移動させて連続的に重合し,人工大理石板を連続的に成形するという人工大理石の連続重合製法の研究を開始した。そして, 被告は,同年11月から平成7年4月にかけて,J及びFを含む者を発明者とする4 件の上記製法に係る発明の特許出願をした(乙47~50,146)。 1回目の人大装置を用いた実験等被告は,前記のとおり,●(省略)●被告の樹脂研究所に所属したこともあるEは,FAMプロジェクト参加後,FAM生産におけるコストダウン手法を検討していたが,平成9年10月頃,●(省略)●HIPEの重合に当たり,●(省略)●上 記の人工大理石の連続重合製法を用いることを検討するとともに,原告とも相談し,同月17日のFAMプロジェクト会議において,人大装置を用いたテストをすることを提案した(乙46,80)。その結果,これが実施されることとなったため,Eは,当時被告の樹脂研究所に所属していたJに協力を依頼し,E,J及びFは,原告からHIPEの性質や重合条件等の情報提供を受けた上で,人大装置を用いたHIPEの 重合実験を立案した。そして,同年10月31日,原告の作製したHIPEを用い,被告の樹脂研究所に設置されていた人大装置を用いたHIPEの重合実験が実施された。これにより,表面はでこぼこであったものの,HIPEは硬化したという結果が得られた(以上,甲23,乙51,143,証人J〔6~8頁〕,原告本人〔22頁〕) 置を用いたHIPEの重合実験が実施された。これにより,表面はでこぼこであったものの,HIPEは硬化したという結果が得られた(以上,甲23,乙51,143,証人J〔6~8頁〕,原告本人〔22頁〕)。 フィルム選定の検討状況等上記実験では,HIPEの上下をポリエチレンのシートで挟んで重合が実施されたが,これは,上記の人工大理石の連続重合製法の特許出願に係る明細書に開示され,また上記の人大装置において現に使用されているビニロンフィルムが耐水性の低い材質であって,HIPEの重合には適さないものであったためであった(乙47~ 51,143,証人J〔2頁〕,原告本人〔45,46頁〕)。また,FAMについては,表面も内部も連通孔の形成されている連続気泡(オープンセル)を有する構造としないと,水等の吸収力,ろ過性が低下することとなるところ,重合容器などHIPEが接触する材質によって,重合容器とHIPEの接触界面にスキン層ができて開口度が低下し,通液性,ろ過性などに影響があること,スキン層が形成されると,これを切 断除去する必要があり,工程が増え,製品の収率が低下することが知られており,こ れを防止する方法として,例えばWO97/37745特許では,PET,ガラス,水と接触させて重合すると得られる多孔質架橋重合体がオープンセル構造になることが開示されていた(乙121の1,122の1)。 そこで,平成9年11月12日のFAMプロジェクト会議において,連続重合の可能性の検討のポイントとして,他社の特許では,薄い厚みの連続フィルム袋内での重 合(連続巻取り後のバッチ重合)であり,スライスなしでフィルム接触面をそのまま使用するものであるが,フィルムを人大装置の上下面に利用し,フィルムとHIPEの接触面をスライスす ィルム袋内での重 合(連続巻取り後のバッチ重合)であり,スライスなしでフィルム接触面をそのまま使用するものであるが,フィルムを人大装置の上下面に利用し,フィルムとHIPEの接触面をスライスすることなくそのまま使用できるかどうか,また,この製造方法が●(省略)●コスト面でメリットがあるかどうかが挙げられ,人大装置を用いた連続重合に適したフィルム材質の選定が検討されることとなった(乙80,84)。ま た,原告は,同年12月8日,●(省略)●ミーティングにおいて,被告がフィルム間でメチルメタクリレートを重合する人工大理石用のポリメチルメタクリレートの連続重合プロセスの経験を有すること,人大装置を用いてHIPEが1時間で硬化したが,いまだ均一な細孔分布のものが得られておらず,●(省略)●今後連続重合プロセスの開発を予定していることを説明した(甲22,乙139)。 フィルム選定に係る研究状況原告は,平成10年1月20日,フィルム間が5mmの厚さでW/O比60倍の組成のHIPEの重合ができるかどうか及びフィルム接触面の細孔がオープンセル構造になっているかどうかを確認するため,ポリエチレン袋内でHIPEを重合する実験を行ったところ,硬化物は得られたが,上面下面ともでこぼこで,所々に穴がある 状態であるという結果となった(乙57)。そして,原告は,同年2月9日提出の月報において,同年1月1日から同年2月8日までの研究結果として,●(省略)●HIPEをポリエチレンの袋内で重合をしたところ,下面及び溝部分のポリ袋接触面は中面と形状は異なるがオープンセル構造を有していた旨報告した(乙140)。 Eは,平成10年3月15日には,検討中のフィルムについて価格を比較し,コス ト面からの検討を行った(乙56)。ほか,同月30日に 異なるがオープンセル構造を有していた旨報告した(乙140)。 Eは,平成10年3月15日には,検討中のフィルムについて価格を比較し,コス ト面からの検討を行った(乙56)。ほか,同月30日には,フィルムの材質としてテ フロン等の臨界表面張力のはじきがあるものを使用すると接触面がオープンセル構造となることを示し,引き続き材質を探索すること等を今後の課題とし,同年4月20日には,材質としてテフロン及びガラスが良いことを示し,EVA,ナイロン,PET等の検討等を今後の課題として,これらはFAMプロジェクト会議においても報告された(乙54,80)。 Hは,平成10年5月8日提出の月報において,同年2月9日から5月7日までの研究結果として,FAM接触表面材質の検討結果としてテフロンコート面に接触した部分は内部に近い開孔径で強度も十分であった反面,PE,PPに接触させた部分は開孔していなかったこと,接触角が低いガラス面で硬化したところ,テフロン以上に孔径が大きいものが得られたこと,エマルションと接触する材料を接触角(臨界表面 張力)の異なる表面材質が,水と親和性が高い又は水や油(モノマー)をはじく場合に,非常に表面がオープンセルとなりやすい結果となった旨報告した(乙35)。同月15日には,FAMプロジェクト会議において,ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。),ナイロン,ポリカーボネイト(PC)等についてのオープンセル構造の可能性,耐久性,リサイクルの可能性が検討事項とされた(乙54,80, 87)。 Iは,平成10年6月10日提出の月報において,同年5月8日から6月9日までの研究結果として,テフロン(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等),ポリプロピレン(以下「PP」という。),ポリエチレ Iは,平成10年6月10日提出の月報において,同年5月8日から6月9日までの研究結果として,テフロン(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等),ポリプロピレン(以下「PP」という。),ポリエチレン(以下「PE」という。),塩化ビニール(塩ビ),ガラス,アクリル,PET,ナイロン,二軸延伸ポリプロピレン(以下 「OPP」という。)などから成るフィルムを使用して作製したFAMの表面状態(オープンセル構造の可否)及び耐久性(耐薬品性,耐熱性)の確認を行ったこと,薄層(膜)連続重合に用いるベルトとしてSUSベルトの腐食性テストも行ったこと,オープンセル構造をとるのに適したフィルムとしてPET,ナイロン,OPPを考えていること等を報告した(乙55,85。)。さらに,Iは,同年8月28日提出の月報 において,同年6月10日から8月27日までの研究結果として,テフロン,PET, PP及びPEの耐久性(耐薬品性,耐熱性)テスト及び再使用テストの結果,PETフィルムを使用することが最適であること,オープンセル構造の方がクローズドセル構造より吸収速度が速く,PETフィルムによりオープンセル構造とするのが可能であること,人大装置においてもPETフィルムを用いればオープンセル構造となることが確認できたことなどを報告した(乙39)。 連続重合装置の研究状況以上の重合の際に用いるフィルムの検討過程や,別に行われていたHIPEの重合条件の検討結果を受け,平成10年8月4日,Hによる立案の下,連続重合プロセスの課題抽出等を目的として,F,J,E,H,C,I及びDが参加して,PETフィルムを用いて,人大装置によるFAM連続重合実験が実施された。この実験では,H IPEを30℃の温度で供給したが,温度上昇が遅く30℃から9 ,F,J,E,H,C,I及びDが参加して,PETフィルムを用いて,人大装置によるFAM連続重合実験が実施された。この実験では,H IPEを30℃の温度で供給したが,温度上昇が遅く30℃から90℃にするまでに50分掛かったため,圧縮強度が極端に弱い結果となった。引き続き,同月12日にも,F,J,S,原告,H,C,I及びDらが参加して人大装置によるFAM連続重合実験が実施され,HIPEを50℃ないし60℃の温度で連続供給し,温度上昇の速度を向上させたところ,実験室で作製したものとほぼ同等の圧縮強度のFAMを作 製でき,さらに,PETフィルムを用いてオープンセルのFAMを生成でき,連続シート重合の形でHIPEの重合が可能であることが確認された。他方で,昇温速度を速めるための最適化やそのための手段の検証や,FAMがまだ弱くすぐ折れることからFAMの送り装置にも課題が残ったとされた(以上,乙39,81,82)。これを受け,被告において,商用生産を可能とする技術までHIPEの連続重合技術を確立 すべく,ベンチプラントを作成し,これを用いた実験を行うことを検討するようになり,F,K及びEは,同年11月9日提出の月報において,同年8月28日から11月8日までの研究結果として,642号発明に関係するHIPE供給工程・重合工程及びスライス工程を含めたFAM連続製造プロセスの各工程においてどのメーカーの装置を用いるか,装置開発の検討状況及び課題等に加え,連続重合装置のベンチプ ラントの設計図の概要といった検討の進捗状況を報告した(乙83)。さらに,F, K,E及びGは,同年12月8日提出の月報において,同年11月9日から12月7日までの研究結果として,HIPE連続重合に使用する材質としてPETフィルム,SUSバット,テ らに,F, K,E及びGは,同年12月8日提出の月報において,同年11月9日から12月7日までの研究結果として,HIPE連続重合に使用する材質としてPETフィルム,SUSバット,テフロンコーティングしたバット及びポリブチレンテレフタレート(PBT)ベルトを用いて検討した結果を報告し(甲23,乙42),その後も連続重合装置やシート材等のFAMの製造プロセスに係る技術の検討を継続した(乙94, 95)。そして,被告は,遅くとも平成11年9月までにはベンチプラントを完成させ,J,E,F,Kらにより,上記のとおり選定されたフィルムを用いることができるかどうかも含め,FAMの連続重合技術の検証が開始されたが,同月時点では,ベンチプラントで重合したFAMの吸水高さが全体的に低く,原因究明の必要があるといった課題も残る状況であった(乙52,証人J〔5頁〕,証人L〔5頁〕)。 642号特許の出願の経緯及び発明届の記載内容Dは,フィルム発明の特許出願に係る明細書案を作成し,Sは,平成11年7月23日,上記の修正案を作成したが,そこでは発明者はH,I,J,E,原告,Dの順で記載されていた(乙120の1,121の1)。被告は,同年9月8日,上記発明に係る特許出願(特願平11-254063号)をしたが,そこでは,発明者は,原告, H,I,D,J及びEの順で記載されている(甲14,乙122の1)。 Eは,平成11年8月4日,HIPE連続重合発明の特許出願に係る明細書案を作成し(乙120の2,121の2),被告は,同年11月4日,上記発明に係る特許出願(特願平11-314397号)をしたが,そこでは,発明者は,E,F,J,H,G及びKの順で記載されている(甲15,乙122の2)。 そして,被告は,平成12年9月6 上記発明に係る特許出願(特願平11-314397号)をしたが,そこでは,発明者は,E,F,J,H,G及びKの順で記載されている(甲15,乙122の2)。 そして,被告は,平成12年9月6日,上記各出願について優先権を主張して国際出願(PCT/JP2000/006052)をし(甲2),平成13年3月21日,国内書面を提出(特願2001-522287号)したが,そこでは,発明者はE,F,G,原告,H,I,D,J,Kの順で記載されていた(乙123の1)。その後,被告は,平成19年5月14日に審査請求をしたが(甲2),平成23年1月19日付けで 拒絶理由通知を受けたため(乙123の2),同年3月10日に,重合を水平方式で行 うことに限定する内容の補正をし(乙123の3,4),同年4月18日付けで特許査定を受けた(乙123の5)。 D作成に係る平成11年4月2日付けのフィルム発明の特許出願の発明届の発明者欄には,原告が筆頭者として印字して記載され,以下H,I及びDが印字されて記載されるとともに,J及びEが手書きで記載されている。そして,各発明者が着想し たことを記載してある発明ノートの番号及び頁の欄には,原告につき1頁分(乙57),H7頁分,Iにつき45頁分,Dにつき1頁分がそれぞれ記載されているが,J及びEについては記載がない(乙120の1)。また,E作成に係る平成11年10月1日付けのHIPE連続重合の発明の特許出願の発明届の発明者欄には,E,F,J,H,G及びKが記載され,発明ノートの番号及び頁の欄には,Eにつき3頁分,その他の 者につき各1頁分ずつが記載されている(乙120の2)。 S作成に係る平成12年5月26日付けの642号特許の出願時の発明届では,発明者欄にはE,F,J,H,原告,I,D,G 頁分,その他の 者につき各1頁分ずつが記載されている(乙120の2)。 S作成に係る平成12年5月26日付けの642号特許の出願時の発明届では,発明者欄にはE,F,J,H,原告,I,D,G,Kの順に記載され,発明ノート番号・頁の欄にも,上記2通の発明届と同様の記載(Eにつき最初のp74はp1の誤りと認める。)がされている(乙130)。 642号特許に対応する米国特許の出願日は平成12年9月8日,特許日は平成14年3月26日であり,欧州特許の出願日は平成12年9月6日,登録日は平成18年5月24日である。 811号発明等についてア 811号特許の明細書の記載 811号特許の明細書の発明の詳細な説明には,次の内容の記載がある。 技術分野本発明は,油中水滴型高分散相エマルション(HIPE)を重合して,多孔質架橋重合体,好ましくは表面も内部も連通孔の形成されている連続気泡(オープンセル)を有する多孔質架橋重合体を製造するに際して,非常に短時間でHIPEを後硬化さ せて当該多孔質架橋ポリマー材料を製造する方法に関するものである(【0001】)。 背景技術特開昭57-198713号公報には,水溶性及び/又は油溶性重合開始剤を含んだHIPEを作製し,これを50℃あるいは60℃で8時間から72時間加熱重合する方法が開示されている。また,WO97-27240号公報には,HIPEを袋状のフィルムに入れて巻き取り硬化させてシート状多孔質架橋ポリマー材料を製造す る方法,さらに特表平7-507340号公報には,65℃未満の温度でエマルションから所定の動的剪断弾性率を有するゲルを形成させ,その後に70℃以上の温度で重合させる方法が開示されている。特表平7-507340号公報においてゲルを形成 号公報には,65℃未満の温度でエマルションから所定の動的剪断弾性率を有するゲルを形成させ,その後に70℃以上の温度で重合させる方法が開示されている。特表平7-507340号公報においてゲルを形成させるのは,エマルションが高温では不安定であるため,ゲルの形成によってエマルションの強度を確保し,次いで重合させるためである(【0005】)。 しかしながら,特開昭57-198713号公報やWO97-27240号公報に開示されている方法は,重合時間が長く生産効率が良くない。また,特表平7-507340号公報のように,65℃未満の温度でエマルションから所定の動的剪断弾性率を有するゲルを形成させ,その後に70℃以上の温度で重合させると比較的短時間で重合できるものの,なお数時間程度の重合時間を必要とする(【0006】)。 一般に重合時間を短縮するには,重合開始剤の増量,開始剤の分解促進などの方法が有効である。しかし,重合速度とポリマー分子量は反比例することが多く,重合時間を短縮させるとHIPEに含まれるポリマー分子量の低下を伴い,この低下によって吸収特性,機械的強度などの性能低下を生じることが多い。多孔質架橋ポリマー材料の製造において,特に一時間以内という短時間で重合を完了しようとすると,著し い性能の低下が生じる。そこで,本発明の目的は,上記技術的課題を解決し,HIPEの安定性を損なわず,かつ非常に短時間でHIPEを重合させる多孔質架橋ポリマー材料の製造方法を提供するものである(【0007】)。 発明の開示本発明によれば,1時間以下,好ましくは30分以下という従来からは予想もでき ないような非常な短時間で,多孔質架橋ポリマー材料の後硬化することができ,吸収 特性及び機械的強度に優れた多孔質架橋ポリマー 以下,好ましくは30分以下という従来からは予想もでき ないような非常な短時間で,多孔質架橋ポリマー材料の後硬化することができ,吸収 特性及び機械的強度に優れた多孔質架橋ポリマー材料が効率よく製造できる(【0011】)。 発明を実施するための最良の形態HIPEの重合には,多孔質架橋ポリマー材料の骨格を形成する重合性モノマーの重合段階と,次いで生ずる三次元架橋を形成するための架橋剤による重合との二段階 があり,特に後者の重合(後硬化)において前者より高エネルギーの重合条件で処理すると,HIPEの安定性を損なわずに短時間で重合でき,しかも得られた多孔質架橋ポリマー材料の機械的強度,吸収性などの特性が向上することを見いだした。さらに,開始剤種と重合温度を選択することによって,所定重合時間(1時間以内)に分解する開始剤量,すなわち,発生するラジカル量を,単量体を実質的に消失させる量 とすることによって,前段重合を1時間以内という短時間で完了できることが明らかになった。なお,前段重合と後硬化の目安は,HIPEの臭素価が重合前の25%以下になる時点であることも判明した。なお,油中水型エマルションの臭素価は,PSDB法によるものとする。本発明によれば,HIPEの臭素価が重合前の25%以下になる時点をHIPEの重合性モノマーの重合が完了した時点とし,次に得られた多 孔質架橋ポリマー材料を前段重合よりも高エネルギーの重合条件で処理することで,例えば30分ないし1時間という短時間で,機械的特性,吸収性などの特性に優れる多孔質架橋ポリマー材料を得ることができる(【0014】)。 本発明における後硬化の時期は,多孔質架橋ポリマー材料の臭素価が重合前の25%の値以下になるまで重合させた後,該多孔質架橋ポリマー材料を後硬化 質架橋ポリマー材料を得ることができる(【0014】)。 本発明における後硬化の時期は,多孔質架橋ポリマー材料の臭素価が重合前の25%の値以下になるまで重合させた後,該多孔質架橋ポリマー材料を後硬化する。後 硬化は重合に引き続いて工程を中断することなく実施することが,エネルギーロスが少ないので好ましい。好ましくは25%以下,より好ましくは25ないし10%,特に好ましくは15ないし10%の値になるまで重合させた後,後硬化するのがよい。 後硬化の時期が25%を超える場合に後硬化を行ってもHIPEの多孔質構造が破壊されたり,孔径が変化したりすることがあり十分な性能を有する多孔質架橋ポリマ ー材料が得られない(【0065】。 本発明では,重合性モノマーの重合段階,その後の後硬化との処理条件を同一とせず,特に後硬化条件を重合条件よりも高エネルギーで処理することで極めて短時間に架橋剤を重合させることができ,しかも得られた多孔質架橋ポリマー材料が優れた特性を保持し得るのである。したがって,本発明における後硬化は,活性エネルギー線または重合温度より高温で行う事が出来る(【0067】)。 活性エネルギー線とは,放射エネルギー(外部から入射した赤外線は物質原子と電磁的共鳴を起こして効果的に吸収されその温度を高めるとする熱作用)を利用できる遠赤外線(可視光線の赤色端からマイクロ波のミリメートル波に至る赤外線のうち,波長20μmないし1mmの電磁波)及び近赤外線(可視光線の赤色端からマイクロ波のミリメートル波に至る赤外線のうち,波長0.75μmないし20μmの電磁波), 高周波誘電加熱(高周波電場(数メガヘルツないし数ギガヘルツ)中で絶縁物が誘電損失により発熱する現象を利用したもので物体の内部から加熱される利点がある)を 75μmないし20μmの電磁波), 高周波誘電加熱(高周波電場(数メガヘルツないし数ギガヘルツ)中で絶縁物が誘電損失により発熱する現象を利用したもので物体の内部から加熱される利点がある)を利用できるマイクロ波(波長1mないし数mm,周波数300ないし数十万メガヘルツの電磁波),電子線,紫外線などが挙げられる(【0068】)。 イ 811号発明等の経緯 当初の検討状況被告は,前記のとおり,●(省略)●そこで,製造されるFAMの物性を保ちつつ,重合を効率的に行うための重合時間の短縮(速硬化)の検討を開始し,同年12月の●(省略)●ミーティングにおいては,原告が,速硬化のためのモノマー組成と重合開始剤の検討を行ったことを報告するなどした(甲22)。 被告は,重合時間を8時間から1時間に短縮することを検討しており(乙140),当初,Hが遅くとも平成10年1月頃から速硬化及び後硬化について検討していたところ,同年3月17日のFAMプロジェクト会議において,●(省略)●HIPEの重合時間と物性を検討した結果が示され,①重合時間を1時間にした場合,圧縮により破壊される程度の強度のFAMしかできなかったが,2時間以降24時間まで,自 由膨潤倍率も吸収倍率(GV)も変わらないこと,②重合時間と引っ張り強度との関 係を,圧縮した含水シート状態で比較した場合2時間以降24時間までほとんど変化がないが,乾燥シート状態で比較した場合は,2時間以降8時間まで引っ張り強度と伸びの両方が低下したこと,③重合時間が2時間のときはペンダントの二重結合と推定されるビニル基の存在が確認されたことなどが示され,今後,●(省略)●1時間で重合できるか,すなわち重合工程短縮の可能性の見極めを行うこととされた(乙3 5, のときはペンダントの二重結合と推定されるビニル基の存在が確認されたことなどが示され,今後,●(省略)●1時間で重合できるか,すなわち重合工程短縮の可能性の見極めを行うこととされた(乙3 5,86,140)。 平成10年4月のFAMプロジェクト会議においては,●(省略)●速硬化につき,重合開始剤を検討する中で,レドックス系の速硬化重合開始剤(PBH/RGT)を用いると,65℃ではなく95℃の温度で重合できる可能性があり,温度向上による速硬化が期待できるが,圧縮強度が低く,基本分子量の低下の可能性及び架橋剤であ るDVBの反応性が低い可能性が考えられ,重合率も低いため後硬化が必要となることから,重合温度につき85℃ないし95℃として5分程度行うことを目標としつつ,後硬化の併用が必須かどうかを検討することとされ,重合方法につき,プレキュアーについては50℃の重合温度から95℃の重合温度に1分以内で昇温できること,重合については5分間95℃の重合温度を維持できるようにすること,後硬化について は,重合の完結及び強度物性アップが目標とされ,紫外線(以下「UV」という。)及び電子線(以下「EB」ともいう。)の使用の可能性を検討することが示されるなどした(乙35,59)。さらに,同年5月のFAMプロジェクト会議では,プレキュアー及び後硬化について,遠赤外線,マイクロ波及びUVの可能性を検討することが予定され(乙87),重合時間を短縮しつつFAMの物性を改良するために,二段で重合す る方法と一段で重合する方法の双方が検討されることなった(乙39,91,147)。 原告による後硬化実験原告は,平成10年5月頃までは,オールアクリル系のFAMの検討及び廃水のリサイクルの検討を行っていたが(乙40,140月頃から (乙39,91,147)。 原告による後硬化実験原告は,平成10年5月頃までは,オールアクリル系のFAMの検討及び廃水のリサイクルの検討を行っていたが(乙40,140月頃から後硬化の方法の検討を行い,同年6月1日のFAMプロジェクト会議において,同日 までの実験結果により得られたFAMのゲル化率について報告を行ったほか,離水や 突沸のため,HIPE重合開始時にはマイクロ波を使用できないことを報告し,その結果,マイクロ波の照射については,今後は後硬化の手段として検討するなどとされた。さらに,原告は,後硬化に用いる重合開始剤の検討を行うなどし,同年8月28日提出の月報において,同年6月10日から8月27日までの研究結果として,後硬化についての検討結果につき,前段重合に当たりHIPEへマイクロ波を照射すると, 短時間でHIPE中の水分の沸騰が起こり,硬化物が得られなかったこと,後硬化の手法として水を含むFAM及び脱水後のFAMに加熱やマイクロ波の照射を行ったがゲル化率向上の効果はなかったこと,後硬化に用いる重合開始剤の検討結果や重合開始剤の相違による圧縮強度への影響などを報告した(以上,乙39,78~80)。 G及びEによる後硬化の研究状況 Gは,平成10年9月17日,EB照射によるFAMの後硬化を検討し,KPS系の重合開始剤を用いて95℃,30分間重合させ,水を含んだFAMについては,EBをFAMの両面に10回照射したときにわずかに圧縮強度が上昇する効果があることを見いだした。また,Gは,同月29日,UV照射によるFAMの後硬化を検討し,上記同様のFAMへのUVの照射により,圧縮強度が上昇することを見いだし, 同年10月8日にも同様の結果を確認した(以上,乙88~90)。そし 同月29日,UV照射によるFAMの後硬化を検討し,上記同様のFAMへのUVの照射により,圧縮強度が上昇することを見いだし, 同年10月8日にも同様の結果を確認した(以上,乙88~90)。そして,同月19日のFAMプロジェクト会議においては,後硬化につき,UVの照射による圧縮強度上昇の効果があったこと,投資コスト,ランニングコストが高すぎること,UV以外の可能性として,遠赤外線,近赤外線又はマイクロ波と熱風の併用が挙げられた(乙91)。さらに,G及びEは,同年8月28日提出の月報において,同年8月28日か ら11月9日までの研究結果として,速硬化で得られたFAMは強度が低くなることから後硬化を検討した結果として,脱水前のFAMに両面10回ずつEBを照射したところわずかに強度上昇の効果があったこと,厚さ5mmの脱水前のFAMに数回UVを照射したところ強度上昇の効果があったこと,UV照射を中心に検討することを今後の方針とすることなどを報告した(乙40)。そして,Gは,平成11年1月20 日,●(省略)●60℃のHIPEを62℃のオーブンで3時間硬化させるなどし, 5mmにスライスしたFAMにUVを40秒間照射したところ圧縮強度向上に効果があることを見いだした(乙61)。 原告による後硬化の研究状況原告は,バルク重合とHIPEの重合における重合時間の差は衝突頻度の差によるものと考え,衝突頻度を上げるため,ある程度重合させたところでマイクロ波を照射 してその効果を見ることとし,平成11年3月16日,97.5℃の重合温度で7分又は5分間重合して作製したFAMにマイクロ波を2分間照射して,短時間での硬化を検討した。その結果,後者の条件の下で作製されたFAMでは,底部に亀裂が入り,外周部に小さな亀裂や穴が の重合温度で7分又は5分間重合して作製したFAMにマイクロ波を2分間照射して,短時間での硬化を検討した。その結果,後者の条件の下で作製されたFAMでは,底部に亀裂が入り,外周部に小さな亀裂や穴が観察され,重合開始剤の量やマイクロ波の照射量等に最適化の余地があるなどと結論付けた(以上,乙62(左上頁番号32),92)。原告は, 同月17日には,97.5℃の重合温度で6分15秒間重合して作製したFAMにマイクロ波を1分間照射したが,容器から出すときに半分崩れ,最下層をスライスするときにさらに崩れるなどし,さらに97.5℃の重合温度で7分間重合して作製したFAMにマイクロ波を3分間照射したが,マイクロ波を2分間照射したものと比較して圧縮強度に改善は見られなかった(乙62(頁番号34,35))。 原告によるペンダント二重結合の定量化の研究状況平成11年4月からFAMプロジェクトに主任研究員として加わったLは,同月13日,FAMプロジェクトの研究員らに今後の作業内容を指示し,原告に対しては,高温での二段重合につき,ペンダント二重結合の反応性を高め架橋効率を上昇させて物性を向上させること,具体的には電子レンジ等を用いた後硬化における急速加熱に よる物性向上のデータの積み重ね,前段重合後のペンダント二重結合量の定量及び前段重合における開始温度や開始剤残存量の影響等についての検討を行うことを担当するよう指示した(乙93,94,147,証人L〔3,4頁〕)。 これを受け,原告は,平成11年4月22日以降,前段重合に用いるHIPEの温度や前段重合の時間や温度の条件を変えつつ後硬化にマイクロ波を用いる手法によ る重合方法の検討を継続する一方で,前段重合後に残存するペンダント二重結合の定 量作業に取り組んだ 温度や前段重合の時間や温度の条件を変えつつ後硬化にマイクロ波を用いる手法によ る重合方法の検討を継続する一方で,前段重合後に残存するペンダント二重結合の定 量作業に取り組んだ。原告は,当初は,NMR(核磁気共鳴)を利用して定量作業を行っていたが,うまく結果を得ることができなかった。そこで,同年6月7日以降,臭素付加による手法の検討を開始し,同年7月頃には,Brominenumbersolution を用いた手法を検討していたが,これによっても,十分な結果を得ることができなかった(以上,甲23,乙63,113)。 Bによる実験の内容Bは,平成11年8月1日,前段重合で電子線を用いて急速に温度を上昇させると,ゲル化率が高くならない状態で水エマルションが沸騰し,エマルションが崩壊することを確認したほか,●(省略)●65℃で16時間重合した後,電子線を30秒間照射して後硬化を行い,ある程度前段重合を行うと電子レンジで電子線を照射しても形 態の崩壊が見られないこと,二重結合を反応させるためには,電子線以外のエネルギー,UV,赤外線又は熱などのどのような手段を用いてもかまわないが,前段重合の重合率(ゲル化の進行度合い(架橋度))が90%以下のときにこれらのエネルギーを照射し,急速に加熱することは望ましくないことを見いだした(乙60,145,証人B〔9,10頁〕)。 原告によるPSDB法を用いたペンダント二重結合の定量Lは,平成11年8月6日,研究員らに同月から9月にかけての作業内容を指示し,原告に対しては,ペンダント二重結合の分析やその存在を示唆する実験を急ぐように指示した(乙95)。原告は,同月には,PSDB法を用いた臭素付加による分析を試み,前段重合後に残存するペンダント二重結合の定 に対しては,ペンダント二重結合の分析やその存在を示唆する実験を急ぐように指示した(乙95)。原告は,同月には,PSDB法を用いた臭素付加による分析を試み,前段重合後に残存するペンダント二重結合の定量に成功した(甲23,乙125, 147,証人L〔12頁〕,原告本人〔32頁〕。)。 811号特許の出願の経緯及び発明届の記載内容原告は,平成11年11月17日以前に,811号発明の特許出願に係る明細書案を作成し(乙126),被告は,同月19日,上記発明に係る特許出願(特願平11-329349号)をした(乙127)。その後,被告は,平成12年11月15日,上 記出願について優先権を主張して国際出願(PCT/JP/2000/008054) をし(甲3),平成13年6月4日,国内書面を提出(特願2001-540165号)したが,そこでは,発明者は原告,G,E,B,Lの順で記載されていた(乙128の1)。その後,被告は,平成19年7月2日に審査請求をしたが(甲3),平成23年2月25日付けで拒絶理由通知を受けたため(乙128の2),同年4月7日に,後硬化の時間を10秒から30分の範囲に限定する内容の補正等をし(乙128の3, 4),同年5月19日付けで特許査定を受けた(乙128の5)。 原告作成に係る平成11年10月6日付けの特願平11-329349号に係る発明届の発明者欄には,原告が筆頭者として記載され,以下G,E,B及びLの順に記載されている。そして,発明ノートの番号・頁の欄には,原告につき1頁分(乙125の1),Gにつき1頁分(乙89),Eにつき1頁分,Bにつき1頁分(乙60),L につき2頁分がそれぞれ記載されている(乙124)。また,S作成に係る原告退職後の平成12年6月27日付けの811号特許 Gにつき1頁分(乙89),Eにつき1頁分,Bにつき1頁分(乙60),L につき2頁分がそれぞれ記載されている(乙124)。また,S作成に係る原告退職後の平成12年6月27日付けの811号特許の出願時の発明届でも同様の記載とされ,特許部記入の備考欄に,Sの指示として,発明者の順番は特願平11-329349号と同じとする旨の記載がある(乙131)。 811号特許に対応する米国特許の出願日は平成12年11月14日,特許日は平 成13年8月14日であり,欧州特許の出願日は平成12年11月15日,登録日は平成16年9月29日である。 被告によるFAMの研究開発に使用する設備・機器の導入被告は,FAMの商用生産技術に関する研究開発に必要となる次の設備,機器を購入して,又は被告における他の研究室と併用する形で共同して使用させることにより 提供した。 ① GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)兼用HPLC(高速液体クロマトグラフィー) 化学物質の分析に用いる機器② GC(ガスクロマトグラフィー) 化学物質の分析に用いる機器③ 吸い上げ高さ測定装置及び吸い上げ高さ測定用恒温機 FAMの吸水力(毛管 吸引力)を測定する装置及び当該測定装置を保温するための汎用の恒温装置 ④ インストロン試験機 FAMの物理強度を測定する機器⑤ pHメーター脱水液のpHを測定する機器⑥ 導電率計水相の導電率を測定する機器⑦ CCT(コンプレッションサイクルテスト測定器) FAMの圧縮復元特性を測定するための分析装置 ⑧ スリーワンモーター撹拌装置⑨ モルタルミキサー主にセメントモルタルを練り混ぜるミキサーまた,被告は,上記の機器の購入費用や,HIPE連続重合に用いるベンチプラン の分析装置 ⑧ スリーワンモーター撹拌装置⑨ モルタルミキサー主にセメントモルタルを練り混ぜるミキサーまた,被告は,上記の機器の購入費用や,HIPE連続重合に用いるベンチプラントの工事費用等として少なくとも1億4000万円を支出した(乙27)。さらに,被告は,●(省略)●対象となった特許の取得及び維持の費用を支出した。 ●(省略)● 2 争点1(本件各発明により被告が受けるべき利益の額)について ●(省略)●●(省略)●そして,別紙●(省略)●記載12の出願中の特許は,●(省略)●拒絶査定され, その後これが確定していることから●(省略)●寄与したということはできない。●(省略)●(乙138)などを踏まえれば,上記出願中の特許が●(省略)●ものと解し得るのであり,前記認定を左右しない。 別紙2●(省略)●記載のその余のものについては●(省略)●対象となり,●(省略)●~138)及び弁論の全趣旨によれば,被告が単独保有し,かつ特許登録され た別紙2●(省略)●記載の番号1~11及び13~17に対応する各特許の●(省略)●寄与率は,それぞれ番号で均等であると認められる。 他方,別紙2ライセンス目録記載18ないし20に対応する各特許については,仮に被告の主張するように同特許に係る発明が被告の従業員によってされたとしても,●(省略)●被告の持分が2分の1と推認されるところ,被告の持分がこれを上回る 旨の主張立証はない以上,●(省略)●被告が単独で保有する特許の2分の1にとど まるというべきである。 以上を前提とすると,本件各発明の●(省略)●寄与率は,それぞれ17.5分の1(被告の単独保有するもの16件(別紙2●(省略)●記載1~11及び13~17)及び共有す まるというべきである。 以上を前提とすると,本件各発明の●(省略)●寄与率は,それぞれ17.5分の1(被告の単独保有するもの16件(別紙2●(省略)●記載1~11及び13~17)及び共有するもの3件(同目録記載18~20)×0.5=1.5件の合計)であると認められる。 そして,証拠(乙136~138)及び弁論の全趣旨によれば,本件各発明内の国内特許及び各外国特許の寄与率は均等であると認められる。 小括したがって,本件各発明により,被告が受けるべき利益の額は,次のとおりとなる(いずれも1円未満の端数は切り捨て。)。 ア 144号発明等(国内特許及び外国特許3件)各発明につきそれぞれ●(省略)●円(●(省略)●円÷17.5÷4=●(省略)●円)である。 イ 642号発明等(国内特許及び外国特許5件)各発明につきそれぞれ●(省略)●円(●(省略)●円÷17.5÷6=●(省略) ●円)である。 ウ 811号発明等(国内特許及び外国特許2件)各発明につきそれぞれ●(省略)●円(●(省略)●円÷17.5÷3=●(省略)●円)である。 3 争点2(本件各発明に対する被告の貢献度)について 特許法35条4項は,従業者等と使用者等の利害を調整する趣旨の規定であり,同項の「使用者等が貢献した程度」を判断するに当たっては,使用者等が「その発明がされるについて」貢献した事情のほか,特許の取得・維持●(省略)●に要した労力や費用等を,使用者等がその発明により利益を受けるについて貢献した一切の事情として考慮し得るものと解するのが相当である。 そこで,検討すると,とおり,被告が,本件各発明に先立 ち,●(省略)●同イ認定のとおり,平成5年には,MらによるHIPEの重合物の 考慮し得るものと解するのが相当である。 そこで,検討すると,とおり,被告が,本件各発明に先立 ち,●(省略)●同イ認定のとおり,平成5年には,MらによるHIPEの重合物の研究を行わせ,その中では,同ウ認定のとおり,平成8年以降の研究開発において用いられたものと類似する組成の吸水性スポンジを作製するなどするとともに,HIPEを連続で重合することや二段階で重合することを開示する131号特許を出願するに至っていること,②同ウ認定のとおり,平成8年には,M,N及び原告にHIP Eの研究を指示して平成5年当時よりもより性能の高いFAMの作製を行っており,●(省略)●などしていたこと,③同エ認定のとおり,●(省略)●平成9年10月にはFAMプロジェクトを立ち上げ,多数の研究員を研究開発に充てるとともに,同⑹認定のとおり,FAMの研究に必要な機器や設備の調達を含めた開発費用を提供し,また,特許の取得及び維持の費用を支出し認定のとおり,●(省 略)●本件各発明についての被告の貢献に係る事情であるといえる。 これに対し,本件各発明の発明者らは,被告の費用負担の下,被告に雇用された後に得た知識経験に基づき,FAMプロジェクト内で知見を共有しつつ,発明に至ったにとどまる。 そうすると,本件各発明が原告ら共同発明者の努力及び創意工夫によって創作され たことは確かであるが,他方で,共同発明者らは,被告による費用負担の下,被告入社後に得た知識経験に基づき,FAMプロジェクトでの職務を通じて,本件各発明を完成させるに至ったとみることができる。また,●(省略)●被告が●(省略)●そのための研究開発を行っていたのみならず,●(省略)●本件各発明の共同発明者のみならず,その他の部署に属する多数の従業員の協力によるものであると ることができる。また,●(省略)●被告が●(省略)●そのための研究開発を行っていたのみならず,●(省略)●本件各発明の共同発明者のみならず,その他の部署に属する多数の従業員の協力によるものであるということが できる。 以上の事情を総合考慮すると,本件各発明により被告が受けるべき利益について,被告の貢献度は高く,その貢献度は95%と認めるのが相当である。 原告の主張についてア原告は,①被告が平成5年に研究開発していたHIPEの重合物は,FAMと は異なるものであり,しかも,被告は,平成6年2月に同研究開発を中断しているこ と,②原告が,平成8年4月から自発的にFAMに関する研究開発を開始してこれを主導し,同年6月5日,上記の被告の研究開発における原料とは異なるスチレン系の原料を用いて初めてW/O比が45倍以上のFAMの作製に成功し,実質的な発明者が原告である2件の特許出願につながっており,かつ上記の成果が,●(省略)●検討を加速させたのであり,原告の貢献なしに平成9年10月以降のFAMの研究はな し得ないものであって,Mは管理者,Nは補助者として関与したにすぎないこと,③FAMプロジェクト立ち上げ後も原告のみがFAMの研究を行っていたこと,④原告が,●(省略)●FAM製造に必要な特殊な攪拌用の羽根の情報を引き出してこれを特注し,あるいは●(省略)●ほか,平成9年10月以降の被告におけるFAMの研究に必要な種々の機器・設備の選定,導入等の研究環境の整備も行ったことなどの事 情を指摘して被告の貢献度は50%を超えるものではない旨主張する。 イしかしながら,次のとおり,原告の指摘する事情は認めることができないか,左右し得ず,原告の主張を採用することはできない。 原告の指摘する①の事情について 0%を超えるものではない旨主張する。 イしかしながら,次のとおり,原告の指摘する事情は認めることができないか,左右し得ず,原告の主張を採用することはできない。 原告の指摘する①の事情について 確かに131号特許に開示されたHIPE重合物の組成は,平成8年4月以降の研究開発の対象の組成とは異なるが,前記のとおり,被告が平成5年当時に得た知見にも本件各発明に関連するものがある以上,同年当時に行われた研究成果は,その後の研究開発の基礎となり,本件各発明にも寄与していると推認され,本件各発明に対する被告の貢献に当たるというべきである。 原告の指摘する②の事情について原告は,FAMの研究開発を自発的に行うこととしたきっかけの一つとして,平成8年4月19日のミーティングで,Mから,●(省略)●HIPEの供給元を探していることを聞いたことを認めている(甲23)が,Mがミーティングで●(省略)●対応をする旨の被告の決定がされていたとみるのが自然であるし,それ以降の被告内 のHIPEの研究状況を見ても,原告がMの指示を受けて研究 を進めたり,原告のみならずM及びNも,自らHIPE重合物を作製したり,原告と役割を分担したりするなどして研究を進めるなどし,研究成果を3名で共有するなどもしているほか,これらの研究結果を踏まえてされた特許出願においても,発明者は原告,M及びNの3名とされている。そうすると,平成8年4月以降に被告において行われた研究は,被告の指示により上記3名が共同して行ったものというべきであり, 原告が自発的に行い,Mは管理者として,Nは補助者として関与した旨の原告の主張は認めることができない。 原告の指摘する③の事情について前記1ないし認定したとおり,FAMプロジェクト開始 原告が自発的に行い,Mは管理者として,Nは補助者として関与した旨の原告の主張は認めることができない。 原告の指摘する③の事情について前記1ないし認定したとおり,FAMプロジェクト開始後は,参加した研究員がそれぞれ役割を分担して研究を行い,定期的にミーティン グを行って知見を共有しながら研究を進めていたものということができるから,原告のみがFAMの研究を行っていた旨の主張は認めることができない。 原告の指摘する④の事情について原告が●(省略)●FAM製造に必要な特殊な攪拌用の羽根の情報を引き出してこれを特注したり,あるいは●(省略)●が実現したり,原告が,このような情報を得 たことがあったとしても,Mと●(省略)●が話題とされていること(乙26)にも照らせば,他の被告の従業員も関与する中で,被告の従業員の一員の立場で行われたものとみるのが自然であり,そうすると,そのことをもって直ちに原告の本件各発明に対する貢献度が大きいといえるものではない。また,原告が導入すべき機器や設備を提案していたとしても,最終的にその機器や設備の導入を決定し,その資金を提供 したのは被告である以上,上記の提案の存在をもって,原告の本件各発明に対する貢献の度合いに大きな影響を与える事情であるとはいえない。 被告の主張について被告は,●(省略)●全社を挙げてFAMの研究開発を進めたこと,●(省略)●被告の対応が大きく寄与していることなどを主張して,被告の貢献度は99%を下ら ない旨主張するが,被告の指摘する上記事情が被告の貢献として認められることは前 のとは認められず,被告の主張を採用することはできない。 4 争点3(本件各発明の共同発明者間における原告の貢献度)について 144号発明等について して認められることは前 のとは認められず,被告の主張を採用することはできない。 4 争点3(本件各発明の共同発明者間における原告の貢献度)について 144号発明等についてア発明の特徴的部分 前記第2のにおいて判示したところに照らすと,144号発明等の特徴的部分は,HIPEを用いてFAMを製造するに当たって,HIPEを形成するために多量の水が必要となる反面,FAMの製造後にFAMに含まれる水分を脱水し,またFAMを乾燥させることにより,塩類などを含有する大量の廃水が生じ,その処理が問題となるのみならず,FAMを水などで洗浄する際にも多量の洗浄水を 必要とし,同様に多量の廃水を処理・排出しなければならず,製造コストの上昇,環境負荷の増大など好ましくない結果をもたらす反面,性能を維持した多孔質材料を得るためには,使用水量を低減させることが容易ではないとの課題を解決すべく,廃水を製造系に再使用することにより,使用水量及び廃水量を低減できるという点にある。 もっとも,前記1のとおり,●(省略)●である。そうすると,144号発明 の特徴的部分の着想及びその具体化の一部は●(省略)●行われていたものということができ,被告において行われたのは,多数回にわたる廃水の再使用技術を完成させた点にあるということができる。 イ各共同発明者の関与の内容原告は,aのとおり,廃水を3回程度再使用することに成功している ことから,144号発明の特徴的部分の具体化に相応に関与しているということができる。また,原告は,再使用を繰り返すことにより廃水中の不純物が増加することを見いだしたほか,廃水の精製方法として遠心分離を行うことを検討する旨の報告を行っている。 のとおり,Cが乳化の限界となるpH値を見いだす は,再使用を繰り返すことにより廃水中の不純物が増加することを見いだしたほか,廃水の精製方法として遠心分離を行うことを検討する旨の報告を行っている。 のとおり,Cが乳化の限界となるpH値を見いだすに当たり原告のデータを参照している。他方で,原告は,廃水を精製することまで はしておらず,上記不純物の同定には至っておらず,実際にこれを取り除くことまで したものではないし,遠心分離による廃水の精製方法を具体化するまでには至っていない。 のとおり,C及びBが上記の不純物を同定し,廃水のpHを調整する方法を見いだすとともに,C及びDが遠心分離の方法による不純物の除去を検討する実験を行っているところ,これらの技術を用いる FAMの製造方法も144号特許等の特許請求の範囲に含まれており,かつ,前記1のとおり,これらの技術を用いることにより,単に未精製の廃水を再使用した場合と比較して,より多数回廃水を再使用することが可能になっているのであるから,これらの者も144号発明の特徴的部分の具体化に相応の関与をしているということができる。 ウ小括以上によれば,144号等発明の発明者は,原告,B,C及びDの4名であり,原告の144号発明等に係る共同発明者としての貢献度は,他の発明者の平均的な貢献度よりも高いとは認められない。そうすると,144号等発明の発明者間における原告の貢献度は,4分の1であると認めるのが相当である。 エ原告の主張について原告は,上記イにおいて掲げた事情に加え,原告は,①平成9年6月以降同年12月7日まで間に,FAM生産において廃水の再使用を行うことを着想したこと,②平成10年3月又は4月,廃水の再使用回数を増加させるため,モルタルミキサーを導入するとともに,油相撹拌下に水相を少しず 12月7日まで間に,FAM生産において廃水の再使用を行うことを着想したこと,②平成10年3月又は4月,廃水の再使用回数を増加させるため,モルタルミキサーを導入するとともに,油相撹拌下に水相を少しずつ添加する方法を用いて大量のHI PEを調製することに成功し,以後の複数回の実験を可能とする環境を整えたこと,③同年4月までには,廃水を複数回再使用するとpH値が低下することや不純物が発生すること,その原因が廃水中に含まれる硫酸イオンであることを把握しており,同月被告に入社したCを指導するとともに,Cを実験補助者として,pH調整による中和技術を確立したもので,CやBの144号発明等に対する関与はないこと,④平成 10年5月までには,廃水の再使用により生じる不純物の除去に遠心分離等を用いる ことを想起しており,これについてのD及びCの関与は,モデル組成物を用いた実験をしたにすぎず144号発明等と無関係か又は周知技術を適用した後追い実験にすぎないこと,⑤平成10年1月から同年9月頃までに144号特許の明細書原案を作成しているほか,144号特許の願書において,発明者の中で筆頭者として記載されていることから,自らの共同発明者間の貢献度が90%を超える旨主張する。 しかしながら,次のとおり,原告の指摘する事情は,認めることができないか,共同発明者間での原告貢献度の高さを示すものとまではいえないのであって,前記ウの判断を左右し得ず,原告の主張を採用することはできない。 すなわち,①については,原告が,上記の時までに廃水の再使用を検討していたことをうかがわせる的確な証拠はないし,かえって,前記1において認定したとこ ろに照らせば,被告が,●(省略)●廃水の再使用を検討するに至ったとみるのが自然である。原告は,●(省 討していたことをうかがわせる的確な証拠はないし,かえって,前記1において認定したとこ ろに照らせば,被告が,●(省略)●廃水の再使用を検討するに至ったとみるのが自然である。原告は,●(省略)●において,廃水の再使用は●(省略)●となっていること(乙22)も指摘するが,このことは被告において検討することを排斥するものではないし,廃水の再使用も,●(省略)●コスト削減の可能な新たな生産技術の開発の一部をなすものということができ,被告従業員の上記ミーティングに係るメモ には,廃水の削減の検討●(省略)●の記載があること(乙65)にも照らすと,被告においても,廃水の再使用の検討を行うこととなったとみるのが自然である。 ②については,原告の指摘する事情が,直ちに発明の着想や具体化に直接寄与するものではなく,共同発明者間の貢献度を高める事情に当たるとはいえない。 ③については,原告がCを指導する立場にあり,Cに対し,実験ノートの記載方法 や実験方法等の一般的事項や,Cととともに二人で行う必要のあるモルタルミキサーを用いたサンプル作製を行ったこともあることが認められる(甲23,証人B〔11頁,18頁〕,原告本人〔16~18頁〕,弁論の全趣旨)ものの,それを超えて,原告が,前記イのCの見いだした各事実についてまで具体的に関与していたことを認めるに足りる的確な証拠はないし,Cの研究開始前に原告が廃水のpH値に着目してい たことや,その原因が廃水中に含まれる硫酸イオンであることを把握していたことを 裏付ける的確な証拠もなく,かえって,aのとおり,原告は,不純物の同定をし得ていない状況であったこと,CがEの検討結果を踏まえて検討を行っている場面もあること(乙73)にも照らせば,常に原告がCとともに研究を行っていた ,かえって,aのとおり,原告は,不純物の同定をし得ていない状況であったこと,CがEの検討結果を踏まえて検討を行っている場面もあること(乙73)にも照らせば,常に原告がCとともに研究を行っていたともいえない。確かに,のとおり,Cが乳化の限界となるpH値を見いだすに当たり原告のデータを参照しており,その限度では原告にも貢献があるとい うことはできるが,これがいつどのような形で見いだされたものであるかは明らかでない以上,これをもって,原告がその主張する時期からpH値に着目していたことを示すものとはいえないし,平成10年7月13日にした乳化テストも,それまでにCが見いだしたことと同内容を確認しているにとどまる。そして,それ以外に原告の着想に基づいてCが実験を行ったにすぎないことをうかがわせる的確な証拠はない。 ④については,原告は月報に今後の検討予定として記載したにとどまり,現実に遠心分離を行ったものではないし,他方で,のとおり,D及びCが遠心分離機を用いた不純物の除去の実験等を行っている上に,これらの者のほかに遠心分離による不純物の除去に係る実験をする等した者が存在することもうかがわれないのであるから,D及びCは,遠心分離に関する実験を行うことにより,144号発明 等の特徴的部分の完成に関与したものというべきである。 ⑤については,原告が明細書原案を作成したことを裏付ける的確な証拠はない。また,144号発明等に係る特許出願において原告が筆頭者に記載されていたとしても,被告内において,最も貢献度の高い者を筆頭者とする旨のルールがあったことを示す的確な証拠はないし,そもそも,筆頭者として記載されたからといって,そのことか ら直ちに原告の貢献度が客観的にみて高いことが根拠付けられるものでもない。 オ被告の主張につ があったことを示す的確な証拠はないし,そもそも,筆頭者として記載されたからといって,そのことか ら直ちに原告の貢献度が客観的にみて高いことが根拠付けられるものでもない。 オ被告の主張について被告は,144号発明等に対してEが貢献をしている旨主張する。この点,Cの平成10年7月8日の研究ノートには,Eによるロンガリットの酸化分解物の酸解離定数(以下「pKa」という。)の検討結果が貼付されていることが認められる(乙73) が,上記のEの検討結果は,ロンガリットの酸化分解物の組成及びそのpKaを記載 してあるにとどまり,課題の解決の前提となる一般的知見を提供したにすぎないとも解される。また,被告は,Eの貢献として同人作成のノート(乙68,69)の存在を指摘するが,これらの内容や,これらの作成日に,FAMプロジェクト会議が行われていること(乙80)からすれば,FAMプロジェクト全体の検討内容をまとめたものとみる余地が十分にあり,上記ノートがEの貢献を示すものとまではいえない。 さらに,前記1のとおり,Eは,144号特許又は144号特許基礎出願に係る発明届や特許出願において発明者とはされていないことも併せ考えると,上記の点をもって,Eが144号発明等の特徴的部分の完成に関与しており,144号発明等の発明者の一人であると認めることはできない。 642号発明等について ア発明の特徴的部分において判示したところに照らすと,642号発明等の特徴的部分は,①HIPEを重合して多孔質架橋重合体を製造する方法につき,公知の文献では,HIPEの重合物の幅と厚さが自由にコントロールできず,また,HIPEの充填から重合までを連続的に行うことができないため,HIPEの連続充 填工程からバッチ式の重合 法につき,公知の文献では,HIPEの重合物の幅と厚さが自由にコントロールできず,また,HIPEの充填から重合までを連続的に行うことができないため,HIPEの連続充 填工程からバッチ式の重合工程の間の移行段階が律速となり,連続充填工程の有利性を最大限に活かすことができないという問題があるほか,多孔質基材と極性材料を併用した多孔質架橋重合体の連続的製法についての具体的な提案が何らされていないことから,HIPE連続重合発明に係る構成を採用することにより,多孔質架橋重合体の表面性状を制御することが可能で,幅及び厚さを自由にコントロールすることが でき,かつHIPEを重合工程に連続的に供給しながらHIPEを連続重合する多孔質架橋重合体の製造方法を提供できるようにした点,②そのような製造方法に用いる接触酸素量を低減又はカットするシートとして,公知の文献には,高温での重合に適した耐久性(耐熱性,耐モノマー性,耐加水分解性,リサイクル性等)が良好でありかつ多孔質架橋重合体の表面特性(平滑性,オープンセル構造性,耐ピンホール・ボ イド性等)をコントロールできるフィルムの選択については具体的な開示はなかった ことから,フィルム発明に係る構成を採用することにより,フィルムを含むシート材の繰り返し使用が可能になりコストダウンが期待できかつ性能に特徴のある多孔質架橋重合体の製造方法を提供できるようにした点にあるということができる。 イ各共同発明者の関与の内容前記1において認定したところに照らすと,HIPEを連続重合するのに人大 装置を用いることを着想したのはEであり,人大装置を用いる実験を行ったり,平成10年8月の人大装置を用いた実験の結果を受けてなお残る課題を解決すべく,ベンチプラントにおける検討を行ったりしてH 装置を用いることを着想したのはEであり,人大装置を用いる実験を行ったり,平成10年8月の人大装置を用いた実験の結果を受けてなお残る課題を解決すべく,ベンチプラントにおける検討を行ったりしてHIPE連続重合発明を具体化するのに貢献したのは,E,F,J,H,G及びKであると認められる。これに対し,原告は,HIPEの重合条件等の情報を提供し,人大装置を用いる実験に用いるためのHIP Eを作製して提供するなどしたにとどまる上に,原告がHIPE連続重合発明に係る発明届及びこれに関する特許出願においても発明者とされていないことにも照らすと,原告はHIPE連続重合発明の特徴的部分の完成に関与したものと認められない。 また,前記1において認定したところに照らすと,フィルム発明に係るシート材の材質の選定に当たり,原告は,644号特許の請求項に挙げられていないポリエ チレンを用いた実験を行っており,上面下面ともでこぼこで,ところどころ穴のある硬化物を得ており,ポリエチレンが適切でないことを確認したという点では一応の貢献があるもの,これにとどまり,むしろ実際のシート材の選定にはIの貢献が大きく,また,Iの選定したシート材であるPETフィルムを人大装置に用いる実験を行い,これをベンチプラントで用いるなどして,シート材を重合装置において使用すること を具体化することに貢献したのは,E,J,H及びDであると認められる。 ウ小括以上によれば,644号発明等の発明者は,E,F,G,原告,H,I,D,J及びKの9名であり,原告の644号発明等に係る共同発明者としての貢献度は,他の発明者の平均的な貢献度よりも高いとは認められない。そうすると,644号発明等 の発明者間における原告の貢献度は,9分の1であると認めるのが相当である 明等に係る共同発明者としての貢献度は,他の発明者の平均的な貢献度よりも高いとは認められない。そうすると,644号発明等 の発明者間における原告の貢献度は,9分の1であると認めるのが相当である。 エ原告の主張について原告は,上記アにおいて認定したところに加え,いずれも原告が,①遅くとも平成8年7月26日以前,FAMのHIPEの重合においても水平連続重合方式で行うことを想起し,人大装置を用いたHIPEの重合実験を行ってこれにより人大装置を用いてHIPEを重合できることの確証をつかみ,これによりHIPE連続重合発 明がおおよそ完成したこと,②平成9年10月31日の人大装置を用いた実験において,HIPE連続重合の過程において,人大装置に設置されたフィルムとのHIPEの接触面にクローズドセルのスキン層が形成されてしまい,かかる層を別途除去しなければ吸水材として使用できないということを見いだし,ポリエチレンの袋を用いたシート重合実験を行ったり,重合容器の内壁と底部をポリイミド,ポリエーテルイミ ド,ポリエーテルエーテルケトン等の材料で囲んで実験を行うなどしたほか,Iに対し,原告が調製した重合物の分析を依頼したり,Hに実験を補助してもらいながら,ポリエチレンテレフタレート(PET),ナイロン,テフロン,ガラス等を使用すると接触面がオープンセル構造となるため,これらが最適な材料であることを繰り返し実験することで特定し,フィルム発明を完成させたこと,③平成9年12月8日以前に, HIPE連続重合発明及びフィルム発明に係る明細書原案を作成し,同日には,●(省略)●上記各発明に対するプレゼンテーションをしているほか,フィルム発明に係る出願の願書において,発明者の中で筆頭者として記載されていることから,自らの共同 係る明細書原案を作成し,同日には,●(省略)●上記各発明に対するプレゼンテーションをしているほか,フィルム発明に係る出願の願書において,発明者の中で筆頭者として記載されていることから,自らの共同発明者間の貢献度が90%を超える旨主張する。 しかしながら,次のとおり,原告の指摘する事情は,認めることができないか, 共同発明者間での原告の貢献度の高さを示すものとまではいえないのであって,前記ウの判断を左右し得ず,原告の主張を採用することはできない。 すなわち,①については,のとおり,原告を共同発明者の一人とする平成8年の特許出願の明細書には,重合法として連続重合法を採用することも可能であることの開示があることは認められるものの,これを水平方式で行うことの開示 はされておらず,他に原告がHIPEの連続重合を水平方式において行うことを着想 していたことを認めるに足りる証拠はない。また,原告の供述(甲23〔21頁,24頁〕,原告本人〔22頁〕)を前提としても,原告が平成9年10月31日の人大装置を用いた実験において行ったことは,これに用いるべきHIPEの性状を検討してこれを作製したほか,重合条件を検討したというにとどまり,HIPE連続重合発明の特徴的部分に直接関係しない部分にすぎないから,これをもって,原告がHIP E連続重合発明の特徴的部分に関与したことが根拠付けられるとはいえない。原告は,HIPE連続重合発明に係る発明届や特許出願においては発明者として挙げられていないところ,そのことを特許出願直後に初めて知ったのであり,異議を述べなかったのは研究の規模を大きくするためにささいなことは指摘しなかったためである旨供述するが(原告本人〔54,55頁〕),自らHIPE連続重合発 明を発明し,その明細書案ま であり,異議を述べなかったのは研究の規模を大きくするためにささいなことは指摘しなかったためである旨供述するが(原告本人〔54,55頁〕),自らHIPE連続重合発 明を発明し,その明細書案まで作成するなどしたとの原告の主張とは整合し難いものである。 ②については,好ましいことや,HIPEが接触する材質によってスキン層が形成されること自体は既に公知であったのであるから,人大装置を用いた実験により作製された重合物の接 触面の状態を確認すること自体は何ら創作性を有するものとはいえない。また,原告が,ポリエチレン以外の他の素材について具体的に実験等を行って検討したことや,IやHの検討結果についてまで具体的に関与していたことを認めるに足りる的確な証拠はない。 ③については,原告が,平成9年12月8日●(省略)●に,HIPEの上下をフ ィルムに挟んで連続重合することについてのプレゼンテーションをしたことが認められるが(甲22,乙139),644号発明等の発明者とされる者のうち,同日のミーティングに参加したのは原告のみであったことに加え,その内容も,被告において上記の重合方法を行った経験があることを示すものにすぎないから,これをもって,原告の644号発明等の特徴的部分の完成についての関与を示すものであるという ことはできない。また,原告がHIPE連続発明及びフィルム発明の明細書原案を作 成したことを裏付ける的確な証拠はない。さらに,フィルム発明に係る特許出願において原告が筆頭者として記載されていたとしても,被告内において,最も貢献度の高い者を筆頭者とする旨のルールがあったことを示す的確な証拠はないし,そもそも,筆頭者として記載されたからといって,そのことから直ちに原告の貢献度が客観的にみて高いことが根拠付け いて,最も貢献度の高い者を筆頭者とする旨のルールがあったことを示す的確な証拠はないし,そもそも,筆頭者として記載されたからといって,そのことから直ちに原告の貢献度が客観的にみて高いことが根拠付けられるものでもない。 811号発明等についてア発明の特徴的部分において判示したところに照らすと,811号発明等は,HIPEの安定性を損なわず,かつ非常に短時間でHIPEを重合させるFAMの製造方法を提供することを目的とし,その手法として,HIPEの臭素価が2 5%以下となるまで前段重合をし,その後に活性エネルギー線又は前段重合より高温で後硬化をし,その時間を10秒ないし30分の範囲とする方法を採用するというものである。そして,前段重合及び後硬化を行うこと並びにこの場合に後者を前者よりも高温とすること自体は知られており(乙8,5頁10欄13行目以下),このような手法を用いることにより数時間程度まで重合時間を短縮できることも知られていた (甲3【0006】参照)。そうすると,811号発明の特徴的部分は,上記の各公知技術より短時間で,かつ安定性を損なわずにHIPEの重合を可能にするという技術的課題を解決すべく,そのために①どの程度まで前段重合を行うかの分岐点を,その測定方法も含めて明らかにし,②後硬化における加熱以外の具体的な硬化手段及び後硬化を行う時間を特定した点にあると認められる。 イ各共同発明者の関与の内容上記アの①については,前記において認定したところに照らすと,原告が,臭素付加の方法,具体的にはPSDB法を用いることにより,前段重合後に残存するペンダント二重結合を定量化できることを見いだしたのであるから,どの程度まで前段重合を行うかの分岐点の測定手法の部分について原告が相応の貢献をしたという DB法を用いることにより,前段重合後に残存するペンダント二重結合を定量化できることを見いだしたのであるから,どの程度まで前段重合を行うかの分岐点の測定手法の部分について原告が相応の貢献をしたという べきである。他方で,同において認定したところに照らすと,Bが,前段重合の重 合率が90%以下の状態でエネルギーを照射し,急速に加熱することは望ましくないことを見いだしたものである。そして,この内容が811号特許に係る明細書の発明の詳細な説明の【0065】の記載に符合することや,上記の点を記載したBの発明ノートが811号発明の発明届に記載されていることからしても,Bが,どの程度まで前段重合を行うかについての分岐点の把握の点について相応の貢献をしたと認め られる。 上記アの②については,において認定したところに照らすと,G及びEが,811号特許等の特許請求の範囲に含まれる時間内の活性エネルギー線(紫外線及び電子線)の照射を行っており,Gのした実験の内容を記載した実験ノート(乙89)が発明届に記載されていることに照らすと,G及びEが相応の貢献をしたと認 められる。他方,原告も,発明届に記載はないものの,同において認定したとおり,上記のG及びEによる検討の後ではあるが,平成11年3月には,811号特許等の特許請求の範囲に含まれ,かつGやEが検討したものとは異なるマイクロ波照射による後硬化実験を行っているのであるから,原告も一定の貢献をしたと認められる。 ウ小括 以上によれば,811号発明等の発明者は,原告,G,E及びBの4名であり,原告は,811号発明等における前記ア認定の課題の解決のいずれにも貢献し,取り分け,ペンダント二重結合の定量化を行うことにより,どの程度まで前段重合を行うかの分岐点の測定 G,E及びBの4名であり,原告は,811号発明等における前記ア認定の課題の解決のいずれにも貢献し,取り分け,ペンダント二重結合の定量化を行うことにより,どの程度まで前段重合を行うかの分岐点の測定手法の部分について相応の貢献をしていることに照らすと,原告の811号発明等に係る共同発明者としての貢献度は,他の発明者の平均的な貢献度より もやや高いというべきであって,5分の2と認めるのが相当である。 エ原告の主張について原告は,上記アにおいて認定したところに加え,①FAM研究に関わったこれまでの知見からFAM製造における重合時間の短縮を課題として認識しており,平成8年7月26日までに,反応条件を厳しくしてもエマルション構造が壊れないところ まで前段重合をマイルドな条件で行い,以後,反応条件を厳しくし後硬化をすること により,全体として反応時間が短縮できることを見いだし,そのことは特開平10-36411号公報(甲10)に記載されており,その後,平成10年6月から8月にかけて,HIPEへのマイクロ波照射実験を繰り返し行い,前段重合の条件を厳しくすると,水が沸騰してしまい,エマルションが壊れ,均一な細孔分布を持つFAMを生成できないことを突き止め,重合途中に,重合は完結していないが,水の沸騰には 耐えられるまでに重合したタイミングで反応条件を厳しくすれば,エマルションの破壊を回避して全体の重合時間を短縮できるのではないかと考えるに至ったこと,②平成10年4月頃までには,高分子の活性エネルギー線,コーガアイソトープや日新ハイボルテージを利用すればよいという点を想起していたほか,平成11年9月にペンダント二重結合の定量を可能にした後,原告は,実験を繰り返し,最終的に前段重合 と後硬化のタイミングについて, 新ハイボルテージを利用すればよいという点を想起していたほか,平成11年9月にペンダント二重結合の定量を可能にした後,原告は,実験を繰り返し,最終的に前段重合 と後硬化のタイミングについて,前段重合の条件として臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させるのが最も好ましいことを見いだし,811号特許の請求項1記載の発明をおおむね完成させ,さらに,マイクロ波等を用いた後硬化の実験を行い,811号発明等の最終的な完成に寄与したこと,③Bの行った実験(乙60)は,通常の重合を行ったものに電子レンジを用いてマイクロ波を照射したというにすぎず, 上記の811号発明等の特徴的部分とは何ら関係がなく,また,Gの行った実験(乙61)は,前段重合の条件を定めずに行ったものであって,811号発明等の特徴的部分とは何ら関係がないし,仮に関連性があるとしても,811号特許等の下位の請求項に関連する実験を行った程度であって,811号発明等に貢献したと評価されるものではないこと,④811号特許の明細書原案を作成しているほか,811号特許 の願書において,発明者の中で筆頭者として記載されていることから,自らの共同発明者間の貢献度が90%を超える旨主張する。 しかしながら,次のとおり,原告の指摘する事情は,認めることができないか,共同発明者間での原告の貢献度の高さを示すものとまではいえないのであって,前記ウの判断を左右し得ず,原告の主張を採用することはできない。 すなわち,①については,のとおり,原告を共同発明者の一人とする平 成8年の各特許出願の明細書には,後硬化を前段重合よりも高温で行うことが好ましいこと,特開平10-36411号公報(甲10),40℃で2.5時間から3時間重合し,更に60℃で3時間重合して,W/O比が 8年の各特許出願の明細書には,後硬化を前段重合よりも高温で行うことが好ましいこと,特開平10-36411号公報(甲10),40℃で2.5時間から3時間重合し,更に60℃で3時間重合して,W/O比が40以上のFAMが得られたとの実施例が開示されている(【0040】~【0044】)ものの,上記各特許出願に係る発明には,原告のみならずM及びNも関与している上に,上記 実施例はNの実験に基づくものであると認められ,かつ,Mが,「重合をよりつめるため硬化後後加熱することがよさそうであった」などと実験ノートに記載していることが認められる(乙18,108,109)一方で,原告が平成8年6月5日にW/O比が37のFAMを作製した際に,後硬化を行ったか否かは実験ノートの記載からは明らかではない。そうすると,上記公報の記載を根拠として,原告が,反応条件を厳 しくしてもエマルション構造が壊れないところまで前段重合をマイルドな条件で行い,以後,反応条件を厳しくし後硬化をすることにより,全体として反応時間が短縮できることを見いだしたとは認められず,他にこれを裏付ける的確な証拠はない。また,認定のとおり,原告が,平成10年6月から8月にかけて,HIPEへのマイクロ波照射実験を繰り返し行い,HIPEの重合開始時にHIPEにマイ クロ波を照射すると短時間でHIPE中の水分の沸騰が起こることを見いだしたとはいえるものの,それを超えて,重合は完結していないが,水の沸騰には耐えられるまでに重合したタイミングで反応条件を厳しくすれば,エマルションの破壊を回避して全体の重合時間を短縮できるとの点まで見いだしたことや,これを報告したことをうかがわせる的確な証拠はないことに照らすと,原告が,上記時点において,上記方 法による重合時間の短縮方法まで想起してい 体の重合時間を短縮できるとの点まで見いだしたことや,これを報告したことをうかがわせる的確な証拠はないことに照らすと,原告が,上記時点において,上記方 法による重合時間の短縮方法まで想起していたものとは認めるに足りない。 ②については,原告が活性エネルギー線の使用を着想していたことを裏付ける的確な証拠はない。また,前段重合でどの程度までペンダント二重結合の残存量を減らしておけばよいのかとの分岐点の把握それ自体についての原告の貢献については,原告作成に係る811号発明に係る特許出願(特願平11-329349号)の発明届(乙 124)にもこれに対応する記載がなく,他に原告が貢献したことを裏付けるに足り る的確な証拠はない。 ③については,Bのとおりの内容であったことに加え,原告作成の発明届(乙124)にも記載があることからして,原告の主張は採用できない。また,Gの実験についても,確かに,前段重合等の条件は示されていないものの,前記ア認定の811号発明等の特徴的部分に照らすと,後硬化 の手法を見いだしたこと自体も発明に対する貢献と認められ得るものであるし,原告作成の発明届(乙124)にも記載があることからして,原告の主張は採用できない。 ④については,原告が,811号特許の出願に係る願書において筆頭者に記載されていたとしても,被告内において,最も貢献度の高い者を筆頭者とする旨のルールがあったことを示す的確な証拠はないし,そもそも,筆頭者に記載されたからといって, そのことから直ちに原告の貢献度が客観的にみて高いことが根拠付けられるものでもない。 オ被告の主張について被告は,Lが811号発明等に貢献している旨主張する。この点において認定したとおり,811号発明に係る発明届及び811号特許に係る国内 とが根拠付けられるものでもない。 オ被告の主張について被告は,Lが811号発明等に貢献している旨主張する。この点において認定したとおり,811号発明に係る発明届及び811号特許に係る国内書面 にはLが発明者として記載されているが,811号発明等に関するLの関与は,同認定の原告を含む各研究員に対する作業内容の指示にとどまり,その内容も,811号発明等に関しては,原告に対し,同年3月の時点で着目されていたペンダントの二重結合につき,その定量化を指示したというにとどまっており,創作性を有するものとまではいえない。そして,L自身,着任前にこれまでのFAM プロジェクトにおける実験資料や研究員からの聴き取りを基に実験構想を練った,主任研究員として,日々の研究の優先順位付けや進捗の管理が重要な業務であったなどと供述していることや(乙147〔1~2頁〕,証人L〔1頁,6頁〕),その指示内容(乙93~95)に照らしても,上記の指示等を含めた上記のLの関与自体は基本的には管理者としての関与にとどまるものというべきであるし,このほかにLが811 号発明等の特徴的部分に対して具体的な関与をしたことを裏付ける的確な証拠はな い。加えて,L自身が,FAMプロジェクトに参加後,二段重合ではなく,一段重合の実験をしていたなどと述べていること(乙147〔3頁〕,L〔3頁〕)に照らすと,上記のとおり,Lが発明届等において811号発明等の共同発明者のうちの一人として取り扱われているとしても,Lが,811号発明等の特徴的部分に関与したということはできず,Lが811号発明等の共同発明者の一人であるとは認められない。 また,被告は,811号発明等の創作において重要なポイントは,原告の行ったペンダント二重結合の定量化そのものでは うことはできず,Lが811号発明等の共同発明者の一人であるとは認められない。 また,被告は,811号発明等の創作において重要なポイントは,原告の行ったペンダント二重結合の定量化そのものではなく,その前提としての分岐点の把握それ自体であるから,原告の作業の811号発明等への貢献度は大きくない旨主張する。しかし,811号発明等の特許請求の範囲においても,油中水滴型高分散相エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させるなどと数値をもって上記の 分岐点が特定されており,811号発明等において,どの程度まで前段重合を行うかの分岐点を把握するのみならず,それを定量化しない限りは,前段重合を行う程度を具体的に把握して発明を実施することはできないと解されるから,被告の上記主張を採用することはできない。 5 相当の対価の額 以上を前提に相当の対価の額を計算すると次のとおりとなる(いずれも1円未満の端数は切り捨て。)。 ア 144号発明等各発明につきそれぞれ●(省略)●円(●(省略)●円×0. 05×1/4=●(省略)●円)イ 642号発明等各発明につきそれぞれ●(省略)●円(●(省略)●円×0. 05×1/9=●(省略)●円)ウ 811号発明等各発明につきそれぞれ●(省略)●円(●(省略)●円×0. 05×2/5=●(省略)●円) 係る国内出願及び国内特許登録について,同アの規定に従った出願補償金及び登録補償金の支 払をしている国内特許に係る発明に係る相当の対価からこれらを控除 する必要がある。そして,同規定の定めに従えば,原告についての支払額は次のとおりと認められる(1円未満の端数があるものはいずれも切り捨て。)。 ア 144号発明 ●(省略)●円 除 する必要がある。そして,同規定の定めに従えば,原告についての支払額は次のとおりと認められる(1円未満の端数があるものはいずれも切り捨て。)。 ア 144号発明 ●(省略)●円 出願補償金 ●(省略)●円(●(省略)●円×2×1/5=●(省略)●円)(乙114の1,2,乙129) 登録補償金 ●(省略)●円(●(省略)●円×1/5=●(省略)●円)イ 642号発明 ●(省略)●円 出願補償金 ●(省略)●円(●(省略)●円×1/6=●(省略)●円)(乙120の1,乙130) 登録補償金 ●(省略)●円(●(省略)●万円×1/9=●(省略)●円) ウ 811号発明 ●(省略)●円 出願補償金 ●(省略)●円(●(省略)●円×1/5=●(省略)●円)(乙124,131) 登録補償金 ●(省略)●円(●(省略)●円×1/5=●(省略)●円) 国内特許に関し相当の対価 となる。 ア 144号発明 ●(省略)●円(●(省略)●円-●(省略)●円=●(省略)●円)イ 642号発明 ●(省略)●円(●(省略)●円-●(省略)●円=●(省略)●円) ウ 811号発明 ●(省略)●円(●(省略)●円-●(省略)●=●(省略)●円) 以上によれば,相当の対価の額は合計226万4061円である。 ア 144号発明等 ●(省略)●円(●(省略)●円+●(省略)●円×3=●(省略)●円) イ 642号発明等 ●(省略)●円(●(省略)●円+●(省略)●円×5=● (省略)●円)ウ 811号発明等 ●(省略)●円(●(省略)●円+●(省略)●円×2=●(省略)●円)エアないしウの合計 226万4061円 円+●(省略)●円×5=● (省略)●円)ウ 811号発明等 ●(省略)●円(●(省略)●円+●(省略)●円×2=●(省略)●円)エアないしウの合計 226万4061円第4 結論 よって,原告の請求は相当の対価226万4061円及びこれに対する平成29年5月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その限度でこれを認容し,その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 山田真紀 裁判官 神谷厚毅 裁判官 西山芳樹 (別紙1)特許目録 1 144号特許及びこれに対応する外国特許日本(甲1) ア特許番号第4406144号イ発明の名称多孔質材料の製造方法ウ出願番号特願2000-73788エ出願日平成12年3月16日オ優先日平成11年4月14日,特願平11-107295 平成11年4月14日,特願平11-107296カ登録日平成21年11月13日キ発明者原告,省略ク特許請求の範囲の記載【請求項1】 油中水滴型高分散相エマルショ 1年4月14日,特願平11-107296カ登録日平成21年11月13日キ発明者原告,省略ク特許請求の範囲の記載【請求項1】 油中水滴型高分散相エマルションを形成して多孔質材料を製造するに際し,該製造工程で得た廃水を該製造工程のいずれかで再使用することを特徴とする多孔質材料の製造方法。 【請求項2】該廃水を該油中水滴型高分散相エマルションの形成に再使用することを特徴とする 請求項1記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項3】下記第1工程から第3工程を含み,該第3工程で得た廃水の少なくとも一部を再使用するものである多孔質材料の製造方法。 第1工程;分子中に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体および分子中に少な くとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体からなる単量体成分,界面活性剤, 重合開始剤および水を必須成分とする油中水滴型高分散相エマルションを形成する工程,第2工程;該油中水滴型高分散相エマルションに含有される単量体成分を重合して多孔質架橋重合体を重合する工程,第3工程;該多孔質架橋重合体の圧縮または脱水により廃水と多孔質材料とを得る工 程。 【請求項4】該多孔質材料を洗浄した後に圧縮または脱水により廃水を得る第4工程を含み,該第3工程及び/又は該第4工程で得た廃水の少なくとも一部を再使用するものである請求項3記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項5】第4工程に次いで,多孔質材料の湿潤化処理,乾燥,切断,薬剤含浸加工のいずれか1以上の処理工程である第5工程を行うことを特徴とする請求項4記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項6】 該廃水を該第1工程で再使用するものである請求項3~5のいずれかに記載の多孔質材料の 以上の処理工程である第5工程を行うことを特徴とする請求項4記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項6】 該廃水を該第1工程で再使用するものである請求項3~5のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項7】該廃水に含まれる不純物を除去した後に再使用する事を特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項8】該不純物の除去がろ過,遠心分離または蒸留によるものである請求項7記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項9】該不純物の除去が,連続遠心分離によるものである請求項7記載の多孔質材料の製造 方法。 【請求項10】該廃水のpHを7以上に調整した後に再使用する事を特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項11】該廃水のpHを9~12に調整した後に再使用する事を特徴とする請求項10記載 の多孔質材料の製造方法。 【請求項12】該廃水の再使用時の温度が,25~100℃であることを特徴とする,請求項1~11のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項13】 該廃水の再使用時の温度が,廃水温度と再使用時の温度差が20℃以内であることを特徴とする,請求項1~11のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項14】第1工程において,該油中水滴型高分散相エマルションが更に湿潤剤を含有することを特徴とする請求項3~13のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項15】該湿潤剤が,アルカリ金属またはアルカリ土類金属と,塩酸,硫酸または硝酸との水溶性塩であることを特徴とする請求項14記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項16】第1工程において,油中水滴型高分散相エマルションを架橋重合して多孔 ルカリ土類金属と,塩酸,硫酸または硝酸との水溶性塩であることを特徴とする請求項14記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項16】第1工程において,油中水滴型高分散相エマルションを架橋重合して多孔質架橋重合 体を得て多孔質材料を製造するに際し,該架橋重合後の反応液をpH4~9とすることを特徴とする請求項3~15のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 【請求項17】該多孔質材料の形態が,圧縮体であることを特徴とする請求項1~16のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 米国(甲16の1,2) ア特許番号第6166097号イ発明の名称多孔質材料の製造方法ウ出願番号 09/548934エ出願日平成12年4月13日オ外国出願優先権データ平成11年4月14日,日本,11-107295 平成11年4月14日,日本,11-107296平成12年3月16日,日本,12-73788カ特許日平成12年12月26日キ発明者原告,省略ク特許請求の範囲の記載 1.油中水滴型高分散相エマルションを形成して多孔質材料を製造するに際し,該製造工程で得た廃水を該製造工程のいずれかで再使用することを特徴とする多孔質材料の製造方法。 2.該廃水を該油中水滴型高分散相エマルションの形成に再使用することを特徴とするクレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 3.下記第1工程から第3工程を含み,該第3工程で得た廃水の少なくとも一部を再使用するものである多孔質材料の製造方法。 第1工程;分子中に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体および分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性 3工程で得た廃水の少なくとも一部を再使用するものである多孔質材料の製造方法。 第1工程;分子中に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体および分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体からなる単量体成分,界面活性剤,重合開始剤および水を必須成分とする油中水滴型高分散相エマルションを形成す る工程,第2工程;該油中水滴型高分散相エマルションに含有される単量体成分を重合して多孔質架橋重合体を重合する工程,第3工程;該多孔質架橋重合体の圧縮または脱水により廃水と多孔質材料とを得る工程。 4.該多孔質材料を洗浄した後に圧縮または脱水により廃水を得る第4工程を含み,該第3工程及び/又は該第4工程で得た廃水の少なくとも一部を再使用するもので あるクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 5.第4工程に次いで,多孔質材料の湿潤化処理,乾燥,切断,薬剤含浸加工のいずれか1以上の処理工程である第5工程を行うことを特徴とするクレーム4記載の多孔質材料の製造方法。 6.該廃水を該第1工程で再使用するものであるクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 7.該廃水に含まれる不純物を除去した後に再使用する事を特徴とするクレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 8.該不純物の除去がろ過,遠心分離または蒸留によるものであるクレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 9.該不純物の除去が,連続遠心分離によるものであるクレーム1記載の多孔質材料 の製造方法。 10.該廃水のpHを7以上に調整した後に再使用する事を特徴とするクレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 11.該廃水のpHを9~12に調整した後に再使用する事を特徴とするクレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 12.該廃水の再使用時の温度が,25~1 レーム1記載の多孔質材料の製造方法。 11.該廃水のpHを9~12に調整した後に再使用する事を特徴とするクレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 12.該廃水の再使用時の温度が,25~100℃であることを特徴とする,クレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 13.該廃水の再使用時の温度が,廃水温度と再使用時の温度差が20℃以内であることを特徴とする,クレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 14.第1工程において,該油中水滴型高分散相エマルションが更に湿潤剤を含有する ことを特徴とするクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 15.該湿潤剤が,アルカリ金属またはアルカリ土類金属と,塩酸,硫酸または硝酸との水溶性塩であることを特徴とするクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 16.第1工程において,油中水滴型高分散相エマルションを架橋重合して多孔質架橋重合体を得て多孔質材料を製造するに際し,該架橋重合後の反応液をpH4~9とす ることを特徴とするクレーム3のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 17.該多孔質材料の形態が,圧縮体であることを特徴とするクレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 18.該廃水を該第1工程で再使用するものであるクレーム4記載の多孔質材料の製造方法。 19.該廃水を該第1工程で再使用するものであるクレーム5記載の多孔質材料の製造 方法。 20.該廃水に含まれる不純物を除去した後に再使用する事を特徴とするクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 21.該不純物の除去がろ過,遠心分離または蒸留によるものであるクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 22.該不純物の除去が,連続遠心分離によるものであるクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 23.該廃水のpHを7以上に たは蒸留によるものであるクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 22.該不純物の除去が,連続遠心分離によるものであるクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 23.該廃水のpHを7以上に調整した後に再使用する事を特徴とするクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 24.該廃水のpHを9~12に調整した後に再使用する事を特徴とするクレーム3記 載の多孔質材料の製造方法。 25.該廃水の再使用時の温度が,25~100℃であることを特徴とする,クレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 26.該廃水の再使用時の温度が,廃水温度と再使用時の温度差が20℃以内であることを特徴とする,クレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 27.該多孔質材料の形態が,圧縮体であることを特徴とするクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 欧州(効力を有するのはベルギー(BE10450001)及びドイツ(DE60015840)である。)(甲17の1,2)ア特許番号第1045001B1号 イ発明の名称多孔質材料の製造方法 ウ出願番号 00302940.2エ出願日平成12年4月7日オ優先権平成11年4月14日,JP10729599平成11年4月14日,JP10729699カ登録日平成16年11月17日 キ発明者原告,省略ク特許請求の範囲の記載1.油中水滴型高分散相エマルションを形成して多孔質材料を製造するに際し,該製造工程で得た廃水を該製造工程のいずれかで再使用することを特徴とする多孔質材料の製造方法。 2.該廃水を該油中水滴型高分散相エマルションの形成に再使用することを特徴とするクレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 程のいずれかで再使用することを特徴とする多孔質材料の製造方法。 2.該廃水を該油中水滴型高分散相エマルションの形成に再使用することを特徴とするクレーム1記載の多孔質材料の製造方法。 3.下記第1工程から第3工程を含み,該第3工程で得た廃水の少なくとも一部を再使用するものである多孔質材料の製造方法。第1工程;分子中に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体および分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する 架橋性単量体からなる単量体成分,界面活性剤,重合開始剤および水を必須成分とする油中水滴型高分散相エマルションを形成する工程,第2工程;該油中水滴型高分散相エマルションに含有される単量体成分を重合して多孔質架橋重合体を重合する工程,第3工程;該多孔質架橋重合体の圧縮または脱水により廃水と多孔質材料とを得る工程。 4.該多孔質材料を洗浄した後に圧縮または脱水により廃水を得る第4工程を含み,該第3工程及び/又は該第4工程で得た廃水の少なくとも一部を再使用するものであるクレーム3記載の多孔質材料の製造方法。 5.第4工程に次いで,多孔質材料の湿潤化処理,乾燥,切断,薬剤含浸加工のいずれか1以上の処理工程である第5工程を行うことを特徴とするクレーム4記載の多 孔質材料の製造方法。 6.該廃水を該第1工程で再使用するものであるクレーム3~5のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 7.該廃水に含まれる不純物を除去した後に再使用する事を特徴とする上記クレームのいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 8.該不純物の除去がろ過,遠心分離または蒸留,好ましくは連続遠心分離によるも のであるクレーム7記載の多孔質材料の製造方法。 9.該廃水のpHを7以上に,好ましくは9~12に調整した後に再使用する 該不純物の除去がろ過,遠心分離または蒸留,好ましくは連続遠心分離によるも のであるクレーム7記載の多孔質材料の製造方法。 9.該廃水のpHを7以上に,好ましくは9~12に調整した後に再使用する事を特徴とする上記クレームのいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 10.該廃水の再使用時の温度が,25~100℃であることを特徴とする,上記クレームのいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 11.該廃水の再使用時の温度が,廃水温度と再使用時の温度差が20℃以内であることを特徴とする,上記クレームのいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 12.第1工程において,該油中水滴型高分散相エマルションが更に湿潤剤を含有することを特徴とするクレーム3~11のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 13.第1工程において,該油中水滴型高分散相エマルションが更に,アルカリ金属ま たはアルカリ土類金属と,塩酸,硫酸または硝酸との水溶性塩を含有することを特徴とするクレーム3~12記載の多孔質材料の製造方法。 14.第1工程において,油中水滴型高分散相エマルションを架橋重合して多孔質架橋重合体を得て多孔質材料を製造するに際し,該架橋重合後の反応液をpH4~9とすることを特徴とするクレーム3~13のいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 15.該多孔質材料の形態が,圧縮体であることを特徴とする上記クレームのいずれかに記載の多孔質材料の製造方法。 2 642号特許及びこれに対応する外国特許日本(甲2)ア特許番号第4749642号 イ発明の名称多孔質架橋重合体の製造方法 ウ出願番号特願2001-522287エ出願日平成12年9月6日オ優先日平成11年9月8日,特 イ発明の名称多孔質架橋重合体の製造方法 ウ出願番号特願2001-522287エ出願日平成12年9月6日オ優先日平成11年9月8日,特願平11-254063平成11年11月4日,特願平11-314397カ登録日平成23年5月27日 キ発明者省略,原告,省略ク特許請求の範囲の記載【請求項1】油中水型高分散相エマルションを重合して多孔質架橋重合体を製造する方法において, 該エマルションの外表面部を,酸素量低減手段により,周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態とし,かつ該エマルションの供給から重合までを連続して行うことを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法であって,水平に設置されたコンベアまたは帯状プレート上を走行するシート材を該エマルシ ョンの駆動搬送手段として設けてなる重合装置を用いて,該エマルションの供給から重合までを水平(横型)方式で連続して行うことを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法。 【請求項2】前記エマルションの外表面部の酸素量低減手段が, (A)周囲空気よりも酸素含有量の低い気体で,前記エマルションの外表面部と接触する周囲空気の一部または全部を置換することで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断する気体を使った酸素量低減手段,(B)重合に影響しない液体で,前記エマルションの外表面部に液体層ないし液状膜を形成することで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断する液体 を使った酸素量低減手段,および (C)接触酸素量を低減ないしカットするシートで,前記エマルションの外表面部にシート層を設けることで,周囲空気の前記エマルションへの接 る液体 を使った酸素量低減手段,および (C)接触酸素量を低減ないしカットするシートで,前記エマルションの外表面部にシート層を設けることで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断するシートを使った酸素量低減手段,の少なくとも1種を用いてなることを特徴とする請求項1に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。 【請求項3】前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として前記エマルションの外表面部に設けるシート層の通気性が,100cm3/cm2・s以下である請求項2に記載の製造方法。 【請求項4】 前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として前記エマルションの外表面部に使用するシートが,(i)フィルム,不織布および織物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種のシート材,(ii)金属製および/または樹脂製のエンドレスベルトおよび/または帯状プレート,(iii)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した金属製のエンドレスベルトおよび/または帯状プレート,(iv)前記シ ート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した樹脂製のエンドレスベルトおよび/または帯状プレートのいずれかを単独であるいは2種以上を併用したものである請求項2または3に記載の製造方法。 【請求項5】前記シートが,フッ素樹脂,シリコン樹脂,耐熱性樹脂,熱可塑性ポリエステル樹脂, 熱可塑性ポリエステル系エラストマー樹脂よりなる群(I)から選ばれた少なくとも1種の材料で作られているもの,および/または前記群(I)から選ばれた少なくとも1種の材料で被覆されているものであることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項6】 前記油中水滴型高分散相エマルションに含まれる (I)から選ばれた少なくとも1種の材料で被覆されているものであることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項6】 前記油中水滴型高分散相エマルションに含まれる単量体組成物が,(メタ)アクリル 酸エステルを必須成分として含むものであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。 【請求項7】前記シートが,フッ素樹脂,シリコン樹脂,ポリイミド,ポリフェニレンサルファイド,ポリサルフォン,ポリエーテルサルフォン,ポリエーテルイミド,ポリエーテル エーテルケトン;ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリブチレンナフタレート,ポリシキロヘキサンテレフタレート;ステンレススチールよりなる群(II)から選ばれた少なくとも1種の材料で作られているもの,または前記群(II)から選ばれた少なくとも1種の材料で被覆されているものであることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項8】前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として,(1)前記エマルションの外表面部に使用するシートが,(i)エンドレスベルト,(ii)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した金属製ま たは樹脂製のエンドレスベルト,のいずれかを単独であるいは2種以上を併用したものであって,(2)エンドレスベルトが温水シャワーによって温度調節されていることを特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項9】 重合により得られた多孔質架橋重合体を連続的にスライスすることをさらに含む請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。 米国(甲18の1,2)ア特許番号第63622 重合により得られた多孔質架橋重合体を連続的にスライスすることをさらに含む請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。 米国(甲18の1,2)ア特許番号第6362243B1号イ発明の名称多孔質架橋ポリマーの製造方法 ウ出願番号 09/658171 エ出願日平成12年9月8日オ外国出願優先権データ平成11年9月8日,日本,11-254063平成11年11月4日,日本,11-314397カ特許日平成14年3月26日キ発明者省略,原告,省略 ク特許請求の範囲の記載1.油中水型高分散相エマルションを重合して多孔質架橋重合体を製造する方法において, 該エマルションの外表面部を,酸素量低減手段により,周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態とし,かつ該エマルションの供給から重合までを連続して行うことを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法。 2.前記エマルションの外表面部の酸素量低減手段が,(A)周囲空気よりも酸素含有量の低い気体で,前記エマルションの外表面部と接触する周囲空気の一部または全部を置換することで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断する気体を使った酸素量低減手段,(B)重合に影響しない液体で,前記エマルションの外表面部に液体層ないし液状 膜を形成することで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断する液体を使った酸素量低減手段,および(C)接触酸素量を低減ないしカットするシートで,前記エマルションの外表面部にシート層を設けることで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断するシートを使った酸素量 減手段,および(C)接触酸素量を低減ないしカットするシートで,前記エマルションの外表面部にシート層を設けることで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断するシートを使った酸素量低減手段,の少なくとも1種を用いてなることを特徴とす るクレーム1に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。 3.前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として前記エマルションの外表面部に設けるシート層の通気性が,100cm3/cm2・s以下であるクレーム2に記載の製造方法。 4.前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として前記エマルションの外表面部 に使用するシートが,(i)フィルム,不織布および織物よりなる群から選ばれてなる 少なくとも1種のシート材,(ii)金属製および/または樹脂製のエンドレスベルトおよび/または帯状プレート,(iii)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した金属製のエンドレスベルトおよび/または帯状プレート,(iv)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した樹脂製のエンドレスベルトおよび/または帯状プレートのいずれかを単独であるいは2種以上を併用した ものであるクレーム2記載の製造方法。 5.前記シートが,フッ素樹脂,シリコン樹脂,耐熱性樹脂,熱可塑性ポリエステル樹脂,熱可塑性ポリエステル系エラストマー樹脂よりなる群(I)から選ばれた少なくとも1種の材料で作られているもの,および/または前記群(I)から選ばれた少なくとも1種の材料で被覆されているものであることを特徴とするクレーム2記載 の製造方法。 6.油中水滴型高分散相エマルションを重合して連続気泡を有する多孔質架橋重合体を製造する方法において,重合装置の油中水滴型高分散相エマルションと接触する部分 るクレーム2記載 の製造方法。 6.油中水滴型高分散相エマルションを重合して連続気泡を有する多孔質架橋重合体を製造する方法において,重合装置の油中水滴型高分散相エマルションと接触する部分が,フッ素樹脂,シリコン樹脂,ポリイミド,ポリフェニレンサルファイド,ポリサルフォン,ポリエーテルサルフォン,ポリエーテルイミド,ポリエーテルエーテル ケトン;ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリブチレンナフタレート,ポリシキロヘキサンテレフタレート;ステンレススチールからなる群から選ばれた少なくとも1種の材料で作られていること,および/またはこれら少なくとも1種の材料で被覆されていることを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法。 7.前記油中水滴型高分散相エマルションに含まれる単量体組成物が,(メタ)アクリ ル酸エステルを必須成分として含むものであることを特徴とするクレーム6記載の製造方法。 8.前記シートが,フッ素樹脂,シリコン樹脂,ポリイミド,ポリフェニレンサルファイド,ポリサルフォン,ポリエーテルサルフォン,ポリエーテルイミド,ポリエーテルエーテルケトン;ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポ リブチレンナフタレート,ポリシキロヘキサンテレフタレート;ステンレススチール よりなる群(II)から選ばれた少なくとも1種の材料で作られているもの,または前記群(II)から選ばれた少なくとも1種の材料で被覆されているものであることを特徴とするクレーム2記載の製造方法。 9.前記エマルシヨンの供給から重合までを水平(横型)方式で連続して行うことを特徴とするクレーム1記載の製造方法。 10.前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として,(1)前記エマルションの マルシヨンの供給から重合までを水平(横型)方式で連続して行うことを特徴とするクレーム1記載の製造方法。 10.前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として,(1)前記エマルションの外表面部に使用するシートが,(i)エンドレスベルト,(ii)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した金属製または樹脂製のエンドレスベルト,のいずれかを単独であるいは2種以上を併用したも のであって,(2)エンドレスベルトが温水シャワーによって温度調節されていることを特徴とするクレーム2記載の製造方法。 11.重合により得られた多孔質架橋重合体を連続的にスライスすることをさらに含むクレーム1記載の製造方法。 欧州(効力を有するのは,ベルギー(BE1211262),英国(GB1211262),ドイツ(DE60028213),イタリア(IT1211262)である。)(甲19の1,2)ア特許番号第1211262B1号イ発明の名称多孔質架橋ポリマーの製造方法 ウ出願番号 00956963.3エ出願日平成12年9月6日オ優先権平成11年9月8日,JP25406399平成11年11月4日,JP31439799カ登録日平成18年5月24日 キ発明者省略,原告,省略 ク特許請求の範囲の記載1.油中水型高分散相エマルションを重合して多孔質架橋重合体を製造する方法において,該エマルションの外表面部を,酸素量低減手段により,周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態とし,かつ該エマルションの供給から重合までを連続して行うことを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法。 2.前記エマ 部を,酸素量低減手段により,周囲空気よりも酸素含有量の低い雰囲気ないし状態とし,かつ該エマルションの供給から重合までを連続して行うことを特徴とする多孔質架橋重合体の製造方法。 2.前記エマルションの外表面部の酸素量低減手段が,(A)周囲空気よりも酸素含有量の低い気体で,前記エマルションの外表面部と接触する周囲空気の一部または全部を置換することで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断する気体を使った酸素量低減手段,(B)重合に影響しない液体で,前記エマルションの外表面部に液体層ないし液状 膜を形成することで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断する液体を使った酸素量低減手段,および(C)接触酸素量を低減ないしカットするシートで,前記エマルションの外表面部にシート層を設けることで,周囲空気の前記エマルションへの接触を抑制ないし遮断するシートを使った酸素量低減手段,の少なくとも1種を用いてなることを特徴とす るクレーム1に記載の多孔質架橋重合体の製造方法。 3.前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として前記エマルションの外表面部に設けるシート層の通気性が,100cm3/cm2・s以下であるクレーム2に記載の製造方法。 4.前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として前記エマルションの外表面部 に使用するシートが,(i)フィルム,不織布および織物よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種のシート材,(ii)金属製および/または樹脂製のエンドレスベルトおよび/または帯状プレート,(iii)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した金属製のエンドレスベルトおよび/または帯状プレート,(iv)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した樹脂製のエ ト,(iii)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した金属製のエンドレスベルトおよび/または帯状プレート,(iv)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した樹脂製のエンドレスベ ルトおよび/または帯状プレートのいずれかを単独であるいは2種以上を併用した ものであるクレーム2または3に記載の製造方法。 5.前記シートが,フッ素樹脂,シリコン樹脂,耐熱性樹脂,熱可塑性ポリエステル樹脂,熱可塑性ポリエステル系エラストマー樹脂よりなる群(I)から選ばれた少なくとも1種の材料で作られているもの,および/または前記群(I)から選ばれた少なくとも1種の材料で被覆されているものであることを特徴とするクレーム2~4 のいずれか1項に記載の製造方法。 6.前記油中水滴型高分散相エマルションに含まれる単量体組成物が,(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として含むものであることを特徴とするクレーム1~5のいずれか1項に記載の製造方法。 7.前記シートが,フッ素樹脂,シリコン樹脂,ポリイミド,ポリフェニレンサルフ ァイド,ポリサルフォン,ポリエーテルサルフォン,ポリエーテルイミド,ポリエーテルエーテルケトン;ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリブチレンナフタレート,ポリシキロヘキサンテレフタレート;ステンレススチールよりなる群(II)から選ばれた少なくとも1種の材料で作られているもの,または前記群(II)から選ばれた少なくとも1種の材料で被覆されているものであること を特徴とするクレーム2~5のいずれか1項に記載の製造方法。 8.前記エマルシヨンの供給から重合までを水平(横型)方式で連続して行うことを特徴とするクレーム1~7のいずれか1項に記載の製造方法。 9.前記 クレーム2~5のいずれか1項に記載の製造方法。 8.前記エマルシヨンの供給から重合までを水平(横型)方式で連続して行うことを特徴とするクレーム1~7のいずれか1項に記載の製造方法。 9.前記(C)のシートを使った酸素量低減手段として,(1)前記エマルションの外表面部に使用するシートが, (i)エンドレスベルト,(ii)前記シート材をエマルションの外表面部に接する面に使用した金属製または樹脂製のエンドレスベルト,のいずれかを単独であるいは2種以上を併用したものであって,(2)エンドレスベルトが温水シャワーによって温度調節されていることを特徴と するクレーム2~5,7,または8のいずれか1項に記載の製造方法。 10.重合により得られた多孔質架橋重合体を連続的にスライスすることをさらに含むクレーム1~9のいずれか1項に記載の製造方法。 3 811号発明及びこれに対応する外国特許日本(甲3)ア特許番号第4766811号 イ発明の名称多孔質架橋ポリマー材料の製法ウ出願番号特願2001-540165エ出願日平成12年11月15日オ優先日平成11年11月19日,特願平11-329349カ登録日平成23年6月24日 キ発明者原告,省略ク特許請求の範囲の記載【請求項1】油中水滴型高分散相エマルションを重合して多孔質架橋ポリマー材料を製造する方法において,油中水滴型高分散相エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線 または重合温度より高温で後硬化する工程を含み,前記後硬化の時間は10秒~30分の範囲である, 価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線 または重合温度より高温で後硬化する工程を含み,前記後硬化の時間は10秒~30分の範囲である,多孔質架橋ポリマー材料の製法。 【請求項2】重合と後硬化を連続的に行う請求項1記載の製法。 【請求項3】 油中水滴型高分散相エマルションを加熱して,臭素価が加熱前油中水滴型高分散相エマルションの臭素価の25%の値以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料に重合開始剤を添加してから活性エネルギー線または重合温度より高温で処理する請求項1または2記載の製法。 【請求項4】 異なる2種以上の重合開始剤を用いて油中水滴型高分散相エマルションから多孔質 架橋ポリマー材料を製造する請求項1~3のいずれかに記載の製法。 【請求項5】該油中水滴型高分散相エマルションを,コンベアーに連続的に供給してシート状に賦形し,油中水滴型高分散相エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度よ り高温で後硬化するものである,請求項1記載の製造方法。 【請求項6】該コンベアーの該油中水滴型高分散相エマルション接触面が,平滑なシートであることを特徴とする,請求項3記載の製造方法。 【請求項7】 該コンベアーのエマルション接触面が,モールドを有し,該モールドに該油中水滴型高分散相エマルションを供給して賦形することを特徴とする,請求項5記載の製造方法。 【請求項8】該油中水滴型高分散相エマルションをモールドに供給し,油中水滴型高分散相エマル ションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋 記載の製造方法。 【請求項8】該油中水滴型高分散相エマルションをモールドに供給し,油中水滴型高分散相エマル ションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化するものである,請求項1記載の製造方法。 【請求項9】油中水滴型高分散相エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合さ せ,得られた多孔質架橋ポリマー材料に含まれる水相の少なくも一部を脱水し,次いで,これを活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化するものである,請求項1記載の製造方法。 【請求項10】該油中水滴型高分散相エマルションが油溶性開始剤を含むものである,請求項9記載 の製造方法。 米国(甲20の1,2)ア特許番号第6274638B1号イ発明の名称多孔質架橋ポリマー材料の製造方法ウ出願番号 09/712557エ出願日平成12年11月14日 オ外国出願優先権データ平成11年11月19日,日本,11-329349カ特許日平成13年8月14日キ発明者原告,省略ク特許請求の範囲の記載1.油中水型エマルションを重合して多孔質架橋ポリマー材料を製造する方法におい て,油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化する工程を含む多孔質架橋ポリマー材料の製法。 2.重合と後硬化を連続的に行うクレーム1記載の製法。 3.油中水型エマルションを加熱して,臭素価が加熱前油中水型エマルションの臭素 高温で後硬化する工程を含む多孔質架橋ポリマー材料の製法。 2.重合と後硬化を連続的に行うクレーム1記載の製法。 3.油中水型エマルションを加熱して,臭素価が加熱前油中水型エマルションの臭素 価の25%の値以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料に重合開始剤を添加してから活性エネルギー線または重合温度より高温で処理するクレーム1記載の製法。 4.異なる2種以上の重合開始剤を用いて油中水型エマルションから多孔質架橋ポリマー材料を製造するクレーム1記載の製法。 5.該油中水型エマルションを,コンベアーに連続的に供給してシート状に賦形し,油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化するものである,クレーム1記載の製造方法。 6.該コンベアーの該油中水型エマルション接触面が平滑なシートであることを特徴 とする,クレーム3記載の製造方法。 7.該コンベアーのエマルション接触面が,モールドを有し,該モールドに該油中水型エマルションを供給して賦形することを特徴とする,クレーム5記載の製造方法。 8.該油中水型エマルションをモールドに供給し,油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化するものである,クレーム1記載の 製造方法。 9.油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させ,得られた多孔質架橋ポリマー材料に含まれる水相の少なくも一部を脱水し,次いで,これを活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化するものである,クレーム1記載の製造方法。 で重合させ,得られた多孔質架橋ポリマー材料に含まれる水相の少なくも一部を脱水し,次いで,これを活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化するものである,クレーム1記載の製造方法。 10.該油中水型エマルションが油溶性開始剤を含むものである,クレーム9記載の製造方法。 欧州(効力を有するのはドイツ(DE60014425)である。)(甲21の1,2)ア特許番号第1237939B1号 イ発明の名称多孔質架橋ポリマー材料の製造方法ウ出願番号 00976263.4エ出願日平成12年11月15日オ優先権平成11年11月19日,JP32934999カ登録日平成16年9月29日 キ発明者原告,省略ク特許請求の範囲の記載1.油中水型エマルションを重合して多孔質架橋ポリマー材料を製造する方法において,油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後 硬化する工程を含む多孔質架橋ポリマー材料の製法。 2.重合と後硬化を連続的に行うクレーム1記載の製法。 3.油中水型エマルションを加熱して,臭素価が加熱前油中水型エマルションの臭素価の25%の値以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料に重合開始剤を添加してから活性エネルギー線または重合温度より高温で処理するクレーム1または2記載の製法。 4.異なる2種以上の重合開始剤を用いて油中水型エマルションから多孔質架橋ポリマー材料を製造するクレーム1~3のいずれかに記載の製法。 5.該油中水型エマルションを,コンベアーに連続的に供給してシート状に賦形し, 上の重合開始剤を用いて油中水型エマルションから多孔質架橋ポリマー材料を製造するクレーム1~3のいずれかに記載の製法。 5.該油中水型エマルションを,コンベアーに連続的に供給してシート状に賦形し,油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化 するものである,クレーム1記載の製造方法。 6.該コンベアーの該油中水型エマルション接触面が平滑なシートであることを特徴とする,クレーム3記載の製造方法。 7.該コンベアーのエマルション接触面が,モールドを有し,該モールドに該油中水型エマルションを供給して賦形することを特徴とする,クレーム5記載の製造方法。 8.該油中水型エマルションをモールドに供給し,油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後,得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化するものである,クレーム1記載の製造方法。 9.油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させ,得ら れた多孔質架橋ポリマー材料に含まれる水相の少なくも一部を脱水し,次いで,これを活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化するものである,クレーム1記載の製造方法。 10.該油中水型エマルションが油溶性開始剤を含むものである,クレーム9記載の製造方法。 別紙2 ●(省略)●省略

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