- 1 -主文被告人を無期懲役に処する。 未決勾留日数中540日をその刑に算入する。 A高等裁判所で保管中の筋引包丁1本(平成17年領第935号符号12,洋出刃包丁1本(同号符号13,出刃包丁1本))(同号符号1)及び果物ナイフ2本(同号符号10,21)を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,Bを殺害して金品を強取しようと企て,C及びDと共謀の上第1平成17年3月7日午後2時30分ころから同日午後2時45分ころまでの間,神戸市E区F町a番b号Gc号室において,被告人及びCが,上記Bに対し,ひそかに睡眠薬を混入しておいたアイスティーを飲ませた上,同日午後4時45分ころ,Cが,ソファー上に眠り込んでいた上記B(当時32歳)に対し,殺意をもって,所携の筋引包丁(刃体の長さ約22センチメートル。平成17年領第935号符号12)で同人の腹部を1回突き刺し,さらに,そのころから同日午後5時50分ころまでの間,所携の出刃包丁(刃体の長さ約18センチメートル。平成17年領第935号符号1)等を用いて同人の胸腹部,頚部等を多数回突き刺すなどし,よって,そのころ,同所において,同人を左腎臓及び右鎖骨下動脈刺創並びに右内頚静脈切損等に基づく失血により死亡させて殺害した上,同所にあった同人所有の現金約300万円等在中のセカンドバック1個を強取した第2業務その他正当な理由による場合でないのに,上記日時場所において,上記筋引包丁,上記出刃包丁及び洋出刃包丁(刃体の長さ約15センチメートル。 平成17年領第935号符号13)各1本並びに果物ナイフ2本(刃体の長さ各約10センチメートル。平成17年領第935号符号10,同号符号21)- 2 -を携帯したものである。 (証拠の標目)―括弧内の甲,乙に続く数字は検察官請求証拠番号―省略( 2本(刃体の長さ各約10センチメートル。平成17年領第935号符号10,同号符号21)- 2 -を携帯したものである。 (証拠の標目)―括弧内の甲,乙に続く数字は検察官請求証拠番号―省略(事実認定の補足説明) 本件各犯行について,弁護人は,被告人としては,実行犯であるCがまさか本当に被害者を殺害するとは思わず,適当に話を合わせていただけであるから,故意及びそれを前提とする共謀がなく無罪であると主張し,被告人も,当公判廷において,これに沿う弁解をしているので,当裁判所が判示各事実を認めた理由について補足説明する。 関係各証拠によれば,被告人においてもおおむね争わない動かし難い事実として,以下の各事実を認めることができる。 ( )被告人は,被害者の金融業を手伝うなどする中で,同人から借り入れた借 金の返済や転借していた事務所の家賃の支払等に追われていたが,被害者から使用人扱いされたり売春していることを理由に笑いものにされたりしたとして被害者に恨みを抱いていたCから被害者の殺害をほのめかされるや,これに同調するとともに,同じく被害者の言動等への対応に困り果てこれを疎ましく思っていたDにこのようなCの意向を伝えるなどしていたところ,被害者との間で仕事上の紛争が生じ,その際被告人の内妻を風俗に売れなどと言われたことから,被告人自身も被害者に強い憤りを覚えるに至っていたこと,( )被告人,C及びDは, 2回にわたって会合を持ったが,その場では,被害者に対する各自の不満,その殺害方法,Cが被害者を殺害した後のCへの援助等が話題に上っており,その後も,被告人とCとは,そこで話し合われたスタンガン,サバイバルナイフ及び睡眠薬等の使用方法やその威力などについて携帯電話でメールを交換していたほ,,「。 か被告人からCに送信されたメー その後も,被告人とCとは,そこで話し合われたスタンガン,サバイバルナイフ及び睡眠薬等の使用方法やその威力などについて携帯電話でメールを交換していたほ,,「。 か被告人からCに送信されたメールには考えれば考えるほど殺したいよな早くやらないと金の面でもキツイしな。Dさんとも話してたけど後の君の面倒は- 3 -見るから「今週準備して来週頭に決行しよ」というものがあったこと,( )被。」, 告人及びCは,睡眠薬を準備したほか,Dから提供された資金で判示の包丁やスタンガン等を購入し,スタンガンを実際にCの身体に試してその威力を確認し,それをDに伝えるなどした上,犯行前日には被告人からCに対し「明日で必ずケリつけような」というメールが送信され,Cから「はい」というメールが返信。 。 され,さらに,被告人から「ビビって出来ませんは無いよな」というメールが送信された後,Cから「ないです」というメールが返信されたこと,( )本件犯行 当日,被告人は,その自宅などにおいてCと共に睡眠薬を水に溶かし,犯行現場においてこれを混入した飲物を被害者に飲ませて眠り込ませるなどした上,Cと共に同所を離れたが,ビニールテープを購入した後に1人で同所に戻ったCから睡眠薬の効き目などを始めとする被害者の様子について携帯電話のメールで何度も報告を受け,被告人からも「出来るか,失敗はあかんぞ」というメールをC。 に送信したこと,( )Cは,上記メールを受けた直後に被害者の殺害行為に着手 し,1時間余りかかって被害者を殺害したこと,( )被告人は,Cから殺害の実 行に着手した旨のメールを受信し,その後も何度か連絡を取り合ったが,Cの話が要領を得なかったことから,本件各犯行翌日の午前零時30分ころDと落ち合い,Cに被害者の遺体の状況等の写真データを携帯電話 行に着手した旨のメールを受信し,その後も何度か連絡を取り合ったが,Cの話が要領を得なかったことから,本件各犯行翌日の午前零時30分ころDと落ち合い,Cに被害者の遺体の状況等の写真データを携帯電話で送信させてその死亡を確認した上,Dと共にCと落ち合い,Cが持ち出してきた判示セカンドバッグを受け取り,Cに対して被告人及びDが本件に無関係であると念押しして口止めを行ったほか,Cの今後の面倒を見ることなどを口にしたこと,( )Cは,本件各 犯行の翌々日の午前零時30分ころH警察署に出頭し,単独犯行による単純な殺人である旨供述したことなどの事情が認められる。 以上のように,被告人が,本件各犯行を実行したCとの間で,殺害の手口や時期などを具体的に話し合い,実行を促すような内容のメールを多数回にわたって送信していたことに加え,そのメールに沿うかのように,同女と行動を共にしつつ凶器の入手などの準備を進め,殺害の実行に着手する直前まで被害者の様子の- 4 -報告を受け,犯行後においては,被害者の遺体の写真データを送信させてCが被害者を殺害したことの確証を得た上で,何らためらうことなく被害金品を取得するなどした被告人の行動は,Cらと本件について謀議を遂げていたことを前提にしてこそ無理なく理解できるものであることなどを併せ考慮すると,上記の動かし難い事実関係だけによっても,被告人がCらと本件各犯行について共謀を遂げていたことが強く推認される。 そして,本件の実行犯であるCは,前記会合における話し合い及び被告人との電話やメールによる連絡などを通じて,被告人及びDとの間で,Cが実行犯となって被害者を殺害した上で,金品を持ち出し,その後はCが単独犯として出頭する,その後のCの面倒は被告人及びDが見る旨の犯行計画を立て,それに従って本件を敢行したなどと供 びDとの間で,Cが実行犯となって被害者を殺害した上で,金品を持ち出し,その後はCが単独犯として出頭する,その後のCの面倒は被告人及びDが見る旨の犯行計画を立て,それに従って本件を敢行したなどと供述する。そこで,その信用性について見ると,犯行に至る経緯,謀議を重ねた様子及び犯行状況等について,上記2で判示した各事実の流れに沿って,誠に自然で,具体的かつ詳細な供述をしていること,しかも,その根幹部分については,犯行現場及び遺体の状況等や,被告人との間で交換されたメールの内容による強固で客観的な裏付けを有するものであることに照らし,高度の信用性が認められる。 ,,次に同じくCらとの共謀を認めている被告人の捜査段階供述について見ると犯行当時の被告人の心情を織り込んだ自然な内容のものである上,前記の動かし難い事実関係によく符合するとともに,信用性の高いC供述とよく合致していることなどに照らし,これまたその信用性は十分である。 これに対し,被告人は,当公判廷において,おおむね上記の外形的な事実を認めるものの,Cからの借金返済等を当てにしていたため,Cが被害者や被告人の下から勝手に逃げ出すことのないよう,適当に話を合わせながら被害者の殺害をあきらめるようなだめており,Cが被害者を殺害することはないだろうとたかをくくっていた,また,殺害行為の着手直前である午後4時33分にCに対し携帯電話で「とにかくまたチャンスがあるから,そのときまで待つよう」などと言っ- 5 -たことにより,Cは殺害を断念したと思ったなどと弁解する。しかし,( )上記 信用性の高いC供述に反するものであること,( )そもそもCに話を合わせるだ けであれば被告人がCと共に本件犯行の準備等に奔走する必要もないこと( ),,3被告人とCとの間のメールには,被告人がCの犯 高いC供述に反するものであること,( )そもそもCに話を合わせるだ けであれば被告人がCと共に本件犯行の準備等に奔走する必要もないこと( ),,3被告人とCとの間のメールには,被告人がCの犯行を止めようとした形跡が全くないばかりか,むしろ,前記のように,被告人がCに対し殺害の実行を促すものが多く含まれていること,( )被告人の上記携帯電話による発言についても,既 に被害者に睡眠薬を混入した飲み物を飲ませて眠らせた上,犯行現場に1人戻ったCが殺害の実行に及ぶタイミングを見計らっていた段階のことである上,その直前には,被告人からCに対し「出来るか?失敗はあかんぞ」という犯行を促。 す内容と解し得るメールが送信されていることなどに照らし,甚だ不自然,不合理というほかなく,到底措信できない。 そこで,以上を前提に故意及びそれを前提とする共謀の成否について検討すると,前述した動かし難い事実関係に加えて,信用性十分なC供述及び被告人の捜査段階供述によれば,被告人とCらは,会合や連絡等を重ねながら具体的な犯行計画を練り,最終的には被害者を殺害してその金品を強取する旨の謀議を遂げたと認められる上,Cは,それに従って被害者を殺害して判示金品を強取したものと優に認めることができる。被告人は,実行犯役のCと共に凶器等を準備し,Cに対し本件犯行の指示や助言を与えていたほか,強取した金員の大部分を取得し,,ているのであって本件において不可欠で重要な役割を果たしたものというべく本件各犯行について共同正犯の罪責を免れないことは明らかである。 したがって,弁護人の主張は採用できない。 (法令の適用)省略(量刑の理由)本件は,貸金業を営んでいた被害者との間で仕事上のつながりを有していた被告人ら3人による強盗殺人及びその際の銃刀法違反各1件からなる事案 人の主張は採用できない。 (法令の適用)省略(量刑の理由)本件は,貸金業を営んでいた被害者との間で仕事上のつながりを有していた被告人ら3人による強盗殺人及びその際の銃刀法違反各1件からなる事案である。 - 6 -被告人らは,それぞれ被害者と仕事上のかかわりなどを持つ中で,被害者のことを疎ましく思うに至り,Cが被害者の殺害をほのめかすや,被告人らも直ちに同調して,これを機会に被害者の金品を強取することを企てた上,強盗殺人の犯行に及んだものであって,本件犯行は,短絡的で自己中心的かつ利欲的な犯行である。また,被告人らは,殺害方法や犯行後の隠ぺい工作を含む入念な謀議を重ね,スタンガンや判示の包丁等の凶器を用意し,睡眠薬入りの飲物を飲ませて被害者を眠り込ませた上,多数回にわたり包丁等で突き刺すなどして被害者を殺害するなどしたものであって,本件犯行は,周到かつ綿密な計画に基づく,執よう,残忍かつ冷酷な犯行というほかない。 また,犯行の結果も誠に重大である。信頼を寄せていた被告人らに裏切られ,十分な抵抗をすることも,妻や幼い子供らと別れの言葉を交わすこともできず,1時間余りにわたって執ような攻撃を受け無惨にも生命を奪われた被害者の心身の苦痛や無念の情は,誠に察するに余りある。一家の大黒柱を失った妻や被害者の実母など遺族の悲しみは深く,その憤りもまた峻烈であって,処罰感情には誠に厳しいも。 ,,のがあるまた被害者から奪った金品も合計約300万円もの多額に達しており財産的被害も相当に大きい。しかるに,被告人からは,積極的な慰藉や被害回復の措置は何ら講じられていない。 被告人は,Cと共に凶器等を準備し,被害者が多額の現金を所持している日をねらって犯行日を決めるなどした上,実行犯であるCの決意を固めさせるとともに,携帯電話で随時犯行の指示や助言を じられていない。 被告人は,Cと共に凶器等を準備し,被害者が多額の現金を所持している日をねらって犯行日を決めるなどした上,実行犯であるCの決意を固めさせるとともに,携帯電話で随時犯行の指示や助言を与えていたほか,強取した金員のほとんどを取得していたもので,実行行為そのものは行っていないとはいえ,本件をCと共に主導していたと認められ,その果たした役割には極めて大きいものがある。そして,犯行後には,自らの関与を隠ぺいするために,Cを単独犯として出頭させるなどしており,捜査機関においてCとのメール等の解析がなされるまでは,被告人らの真相隠ぺい工作が成就する可能性もあり得たのであって,犯行後の事情も甚だ芳しくない。また,当公判廷においては,捜査段階の供述を翻して本件の責任をCに転嫁- 7 -する不合理な弁解に終始しており,十分な反省の態度は見受けられない。しかも,被告人にあっては,平成16年3月に道路交通法違反,有印私文書偽造,同行使罪により懲役2年6月,5年間執行猶予(保護観察付)に処せられたのに,わずか1年で本件各犯行に及んでいるのであって,規範意識の希薄さもうかがわれる。 これらの諸事情に照らすと,被告人の刑責は極めて重大であるといわざるを得ない。 他方では,被害者の殺害を最初に口にし,実行犯役を引き受けたCの言動が本件各犯行の発端となっていること,生命を奪われるほどのものとはいえないものの,被告人らを追い詰めるような被害者の言動等にも不注意な面があったことは否定できないことなど,被告人のために酌むべき事情も認められるが,酌量減軽をするに足りる格別の情状が存するとまでいうことはできず,被告人に対しては,無期懲役に処してしょく罪の日々を送らせるのが相当といわざるを得ない。 よって,主文のとおり判決する。 平成19年5月15日神戸地方裁判所 格別の情状が存するとまでいうことはできず,被告人に対しては,無期懲役に処してしょく罪の日々を送らせるのが相当といわざるを得ない。 よって,主文のとおり判決する。 平成19年5月15日神戸地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官的場純男裁判官西野吾一裁判官三重野真人
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