平成26(ワ)7681 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年9月27日 大阪地方裁判所
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判決文本文17,267 文字)

主文 1 被告らは,原告に対し,連帯して77万円及びこれに対する平成26年9月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の本訴請求をいずれも棄却する。 3 被告らの反訴請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,本訴反訴を通じてこれを10分し,その3を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。 5 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 本訴被告らは,原告に対し,連帯して550万円及びこれに対する平成26年9月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 反訴(1) 原告は,被告Y1に対し,550万円及びこれに対する平成27年6月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 原告は,被告Y2に対し,550万円及びこれに対する平成27年6月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要(1) 本訴請求は,在日朝鮮人のフリーライターである原告が,被告らに対し,被告Y1(権利能力なき社団)の代表であった被告Y2が,原告の記者としての資質や容姿等に関し名誉毀損及び侮辱並びに脅迫及び業務妨害に当たる発言を行ったなどと主張して,被告Y2に対しては不法行為(民法709条)に基づく損害賠償として,被告Y1に対しては不法行為(民法709条)又は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(〔以下「一般社団法人 法」という。〕78条類推適用)に基づく損害賠償として,550万円及びこれに対する最終の不法行為の後である平成26年9月3日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案 適用)に基づく損害賠償として,550万円及びこれに対する最終の不法行為の後である平成26年9月3日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。 (2) 反訴請求は,被告らが,原告に対し,原告が各被告について名誉毀損及び侮辱に当たる発言を行ったと主張して,不法行為(民法709条)に基づく損害賠償として,それぞれ550万円及びこれに対する最終の不法行為の後である平成27年6月20日(反訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲各証拠(いずれも枝番を含む)及び弁論の全趣旨によって容易に認められる。 (1) 原告は,在日朝鮮人(朝鮮半島にルーツを持つ民族及びその子孫のうち日本で生活する者を指す。以下同じ)の女性であり,インターネットニュースを中心に記事を提供する記者である。 被告Y1は,平成18年12月2日に創設された「在日問題を広く一般に提起し,在日を特権的に扱う,いわゆる在日特権をなくすこと」を目的とする団体であり,団体としての組織を備え,多数決の原理が行われ,構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定している,いわゆる権利能力なき社団である(甲1)。 被告Y2は,平成26年11月30日まで被告Y1の代表者である会長を務めていた者である。被告Y2の退任後は,Zが被告Y1の会長を務めている。 (2) 被告Y2の発言(以下では,インターネット上の投稿を含めて「発言」という。) ア被告Y2は,A(インターネット上の生中継動画配信サービス)を利用して,被告Y めている。 (2) 被告Y2の発言(以下では,インターネット上の投稿を含めて「発言」という。) ア被告Y2は,A(インターネット上の生中継動画配信サービス)を利用して,被告Y1の会長として放送を実施していた。その一環として,被告Y2は,別紙1の各「発言日」欄記載の年月日に,「内容」欄記載のとおりの発言を行った。 イ被告Y1は,平成25年5月5日,神戸市内のB駅付近(商店街であるB’の東端)で街頭宣伝活動(街宣活動)を行った。 その際,被告Y2は,被告Y1の会長として,別紙2の各「内容」欄記載のとおりの発言を行った。 ウ被告Y2は,「C」というユーザー名でD(140文字以内の「D’」と称される短文を投稿できるインターネット上の情報サービスである。)を利用している。その中で,被告Y2は,被告Y1の会長として,別紙3の各「日時」欄記載の日時に,同「D’内容」欄記載のとおりの投稿を行った(以下,被告Y2による上記アないしウの各発言を併せて「本件被告発言」という。)。 (3) 原告の発言原告は,Dを利用しており,その中で,別紙4及び5の各「D’内容」欄記載のとおりの投稿を行った(以下,別紙4の各投稿を「本件原告発言1」と,別紙5の各投稿を「本件原告発言2」といい,これらの発言を併せて「本件原告発言」という。また,別紙1ないし5記載の各投稿を,各別紙の「番号」欄に対応して,「別紙1番号1の発言」などということがある。)。 3 争点及び争点に関する当事者の主張当事者の主張は次のとおりであり,本件被告発言及び本件原告発言に関する個別の主張は,別紙1ないし5の「原告の主張」又は「被告らの主張」欄に記載のとおりである。 (1) 本訴関係ア名誉毀損に係る不法行為について (ア) 原告 び本件原告発言に関する個別の主張は,別紙1ないし5の「原告の主張」又は「被告らの主張」欄に記載のとおりである。 (1) 本訴関係ア名誉毀損に係る不法行為について (ア) 原告の社会的評価の低下の有無(争点1(ア))(原告の主張)被告Y2の本件被告発言のうち別紙1番号1及び4並びに別紙3番号1,7及び9の各発言は,原告が虚偽の記事を書く記者であること,原告が被告Y2を脅迫していることなどを内容とするものであり,原告の社会的評価を低下させる。 (被告らの主張)被告Y2の上記各発言は,相互に相手方を批判してきた表現者同士の間の悪口雑言の中でなされたものであり,原告の社会的評価を低下させるような内容のものではない。 (イ) 公正な論評の法理による違法性阻却の有無(争点1(イ))(被告らの主張)被告Y2の上記各発言は,被告Y1の外国人参政権反対等の政策に関する主張に関係するものや,原告の被告Y1に対する誹謗中傷に対する反論としてされたものであって,公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に該当する。そして,被告Y2の意見ないし論評である同発言の前提としている事実は,重要部分について真実であるから,上記各発言は,公正な論評として違法性が阻却される。 上記各発言の中に,多少言い過ぎとみられる内容の発言があるとしても,原告と被告Y2の間において言論の応酬がなされていた過去の経緯に鑑みれば,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての範囲を逸脱しているとはいえない。 (原告の主張)被告Y2の上記各発言は,朝鮮人に対する差別行為を正当化する目的で行われているものであって,公共の利害に関する事実ではなく,その 目的が専ら公益を図る いるとはいえない。 (原告の主張)被告Y2の上記各発言は,朝鮮人に対する差別行為を正当化する目的で行われているものであって,公共の利害に関する事実ではなく,その 目的が専ら公益を図ることにあったともいえないし,その内容が真実であるとも認められない。 その上,原告に対する人身攻撃の域に及ぶなど,意見ないし論評の範囲を逸脱するものであるから,公正な論評には当たらない。 なお,被告Y2は,原告と被告Y2の間に言論の応酬という状況があるというが,そのような状態にはなく,被告Y2が一方的に原告に対する不当な攻撃を繰り返していたものである。 イ侮辱に係る不法行為の成否(争点2)(原告の主張)被告Y2の本件被告発言は,原告の容姿を揶揄し,在日朝鮮人である原告が嫌韓感情を日本で広めているなどと揶揄し,執拗に原告を誹謗中傷するものであって,社会通念上許容される範囲を超えた侮辱として原告に対する不法行為を構成する。 (被告らの主張)否認ないし争う。 原告と被告Y2の間には,言論の応酬といえる状態があり,互いに批判しあう関係であったことを前提として,本件被告発言がされたものであることに鑑みれば,本件被告発言によって原告の名誉感情が害されることがあったとしても,受忍すべき範囲内のものであり,不法行為は成立しない。 ウ業務妨害及び脅迫に係る不法行為の成否(争点3)(原告の主張)(ア) 本件被告発言のうち別紙1番号5,別紙2番号2並びに別紙3番号3及び7は,原告が記事に虚偽を記載し,また偏向的な内容の記事を書くという趣旨の記載であり,これらの記載によって,原告の記者としての業務が違法に妨害された。 (イ) 本件被告発言のうち別紙1番号6は,原告の友人が逮捕されたこ とにつき,原告に 事を書くという趣旨の記載であり,これらの記載によって,原告の記者としての業務が違法に妨害された。 (イ) 本件被告発言のうち別紙1番号6は,原告の友人が逮捕されたこ とにつき,原告にも責任があるかのように述べることにより,Dによる非難を原告に集中して原告を精神的に追い詰めることを煽り立てるものであり,原告に対する脅迫行為にあたる。 (ウ) したがって,被告Y2の同発言は業務妨害及び脅迫として原告に対する不法行為を構成する。 (被告らの主張)否認ないし争う。 (ア) 原告が公に掲載した記事に対して批判的な評価をしたことにより,原告の記者としての社会的評価が低下する結果になったとしても,公正な論評によるものであって,違法な業務妨害とはいえず,不法行為は成立しない。 (イ) 原告が脅迫と主張する発言(別紙1番号6)については,原告に対して具体的な害悪を告知するものではなく,脅迫に当たらない。 エ被告らの不法行為責任の有無(争点4)(原告の主張)(ア) 被告Y2による本件被告発言は,上記ア~ウのとおり,名誉毀損,侮辱,業務妨害又は脅迫として原告に対する不法行為を構成するから,被告Y2は,原告に対し,不法行為(民法709条)に基づき原告が被った損害を賠償する責任を負う。 (イ) 被告Y2の上記不法行為は,いずれも,被告Y1の団体としての活動といえるから,被告Y1も,被告Y2と同様,不法行為責任(民法709条)を負う。 また,被告Y2の上記不法行為は,いずれも,当時被告Y1の代表者であった被告Y2が,その職務を行うについてしたものであるから,被告Y1は,一般社団法人法78条の類推適用により損害賠償責任を負う。 (被告らの主張) いずれも争う。 オ原告が被った損害額(争点5)( 務を行うについてしたものであるから,被告Y1は,一般社団法人法78条の類推適用により損害賠償責任を負う。 (被告らの主張) いずれも争う。 オ原告が被った損害額(争点5)(原告の主張)(ア) 慰謝料本件被告発言は,在日朝鮮人に対する人種差別に該当するものであり,「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(以下「人種差別撤廃条約」という。)の趣旨に照らしてもその悪質性は明らかである上,原告が女性であることにも着目してなされた行為であって女性差別にも該当する。被告らの不法行為がこのような複合差別に当たることは,在日朝鮮人の女性である原告に与えた精神的苦痛の大きさという観点から,慰謝料額の算定において十分に考慮されるべきである。 また,本件被告発言は,少なくとも平成25年1月18日から平成26年7月20日までという長期間にわたって繰り返し行われていたこと,別紙1及び別紙3の各発言はインターネット上におけるものであり,拡散性が極めて高いこと,別紙2の発言は,多数の公衆を前にして,原告の面前で行われたものであることなどといった事情からすれば,被告らの不法行為は極めて悪質である。 実際に,原告は,被告Y2の上記のような差別的言動により,不安や不眠,うつ状態に陥ったり,過呼吸を起こしたり,食欲不振,吐き気,自傷行為などを繰り返し,また,ストレスにより突発性難聴も発症したりするなどしており,原告の受けた精神的打撃は重大である。 かかる不法行為により原告が受けた精神的苦痛を金銭的に評価すれば500万円を下らない。 (イ) 弁護士費用原告は,被告らによる不法行為の結果,弁護士に委任して本件訴訟を追行することを余儀なくされた。本件訴訟追行のための弁護士費用とし て,被告らの不法行為と相当因 。 (イ) 弁護士費用原告は,被告らによる不法行為の結果,弁護士に委任して本件訴訟を追行することを余儀なくされた。本件訴訟追行のための弁護士費用とし て,被告らの不法行為と相当因果関係のある損害は50万円である。 (ウ) 原告が被告らの不法行為によって被った損害額は,上記(ア)及び(イ)の合計550万円である。 (被告らの主張)否認ないし争う。 人種差別撤廃条約における人種差別からは,締結国が市民としての法的地位に基づいてする区別が明文で除外されているところ,被告らが主張する「外国人参政権反対」「在日朝鮮人生活保護反対」「特別永住者制度廃止」といった政策スローガンは,国籍に基づく合理的な区別に関する主張であるといえ,人種差別撤廃条約にいう人種差別には当たらない。そして,本件被告発言も,かかる政策スローガンの表明の際に行われたものであるから,人種差別に当たらない。 (2) 反訴関係ア本件原告発言1が被告Y2に対する不法行為(名誉毀損又は侮辱)を構成するか(争点6)(被告Y2の主張)(ア) 被告Y2は,原告の本件原告発言1により,その社会的評価を低下させられ,また名誉感情を傷つけられた。 (イ) いわゆる公正な論評の法理により違法性が阻却されるとの原告の主張は争う。 (原告の主張)否認ないし争う。 (ア) 原告の本件原告発言1は,全て被告Y2以外の者のD’に対する応答としてなされたものであり,被告Y2の社会的評価を低下させるものではなく,また名誉感情を傷つけるものでもない。 被告らは,京都朝鮮学校襲撃事件(第一審:京都地裁平成25年10 月7日判決・判例時報2208号74頁,控訴審:大阪高裁平成26年7月8日判決・判例時報2232 ものでもない。 被告らは,京都朝鮮学校襲撃事件(第一審:京都地裁平成25年10 月7日判決・判例時報2208号74頁,控訴審:大阪高裁平成26年7月8日判決・判例時報2232号34頁)において悪質な不法行為を行ったと裁判所に認められ,被告Y1の会員は同事件において有罪判決を受けているほか,被告Y2はEから人権侵犯事件として勧告を受けており,被告らの街宣行為等に対する「弱い者いじめ」「嫌がらせ」「レイシスト」などといった評価はすでに社会的に広く認められたものである。 そうすると,原告が,本件原告発言1の各発言をしても,被告Y2の社会的評価を低下させることはなく,また,被告Y2の名誉感情を害することもない。 (イ) 仮に,本件原告発言1が被告Y2の社会的評価を低下させるとしても,被告らが行っている街宣行為等の社会的活動はヘイトスピーチとして既に社会問題化しており,本件原告発言1は,公共の利害に関する事実に係るものであるし,被告Y2の街宣行為等について「弱い者いじめ」などと評価するのは,専ら公益を図る目的でなされたものである。 そして,本件原告発言1は意見ないし論評の域を逸脱したものではない。 したがって,いわゆる公正な論評の法理により違法性が阻却される。 イ本件原告発言2が被告Y1に対する不法行為(名誉毀損又は侮辱)を構成するか(争点7)(被告Y1の主張)(ア) 原告の本件原告発言2により,被告Y1は,その社会的評価を低下させられ,また名誉感情を傷つけられた。 (イ) いわゆる公正な論評の法理により違法性が阻却されるとの原告の主張は争う。 (原告の主張)否認ないし争う。 (ア) 原告の本件原告発言2は,そもそも被告Y1を特定する内容の発 言ではない上,全て被告Y1以 性が阻却されるとの原告の主張は争う。 (原告の主張)否認ないし争う。 (ア) 原告の本件原告発言2は,そもそも被告Y1を特定する内容の発 言ではない上,全て被告Y1以外の者のD’に対する応答としてなされたものであるから,被告Y1の社会的評価を低下させるものではなく,また名誉感情を傷つけるものでもない。 被告らは,上記朝鮮学校襲撃事件において悪質な不法行為を行ったと裁判所に認められ,被告Y1の会員は同事件において有罪判決を受けているほか,被告Y1はFから「極端な民族主義・排外主義的主張に基づき活動する右派系市民グループ」と評価されており,被告らの街宣行為等に対する「弱い者いじめ」「嫌がらせ」「レイシスト」などといった評価はすでに社会的に広く認められたものである。そうすると,原告が,本件原告発言2の各発言をしても,被告Y1の社会的評価を低下させることはなく,また名誉感情を害することもない。 (イ) 仮に,本件原告発言2が被告Y1の社会的評価を低下させるとしても,被告Y1が行っている街宣行為等の社会的活動はヘイトスピーチとしてすでに社会問題化しており,本件原告発言2は,公共の利害に関する事実に係るものであるし,被告Y1の街宣行為等について「弱い者いじめ」などと評価するのは,専ら公益を図る目的でなされたものである。そして,本件原告発言2は意見ないし論評の域を逸脱したものではない。したがって,いわゆる公正な論評の法理により違法性が阻却される。 ウ被告らが被った損害額(争点8)(被告Y2の主張)(ア) 被告Y2が本件原告発言1により社会的評価を低下させられ,また名誉感情を傷つけられたことにより被った精神的苦痛を慰謝するための金額は,500万円を下らない。 (イ) 原告の不法行為により,被告 被告Y2が本件原告発言1により社会的評価を低下させられ,また名誉感情を傷つけられたことにより被った精神的苦痛を慰謝するための金額は,500万円を下らない。 (イ) 原告の不法行為により,被告Y2は,弁護士に委任して本件訴訟を追行することを余儀なくされた。弁護士費用として原告の不法行為と 相当因果関係のある損害額は,50万円である。 (ウ) よって,被告Y2が原告の不法行為により被った損害の額は上記(ア)及び(イ)の合計550万円である。 (被告Y1の主張)(ア) 被告Y1が本件原告発言2により社会的評価を低下させられ,また名誉感情を傷つけられたことにより被った精神的苦痛を慰謝するための金額は,500万円を下らない。 (イ) 原告の不法行為により,被告Y1は,弁護士に委任して本件訴訟を追行することを余儀なくされた。弁護士費用として原告の不法行為と相当因果関係のある損害額は,50万円である。 (ウ) よって,被告Y1が原告の不法行為により被った損害の額は上記(ア)及び(イ)の合計550万円である。 (原告の主張)いずれも否認し又は争う。 第3 争点に対する判断 1 本訴について(1) 名誉毀損に係る不法行為についてア原告の社会的評価の低下の有無(争点1(ア))について(ア) 一般に,名誉毀損の成否が問題とされている表現が,証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を明示的または黙示的に主張するものと理解されるときは,当該表現は,上記特定の事項についての事実を摘示するものであり,そのような証拠等による証明になじまない物事の価値,善悪,優劣についての批評や論議などは,意見ないし論評の表明に属するというべきである(最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決・民 摘示するものであり,そのような証拠等による証明になじまない物事の価値,善悪,優劣についての批評や論議などは,意見ないし論評の表明に属するというべきである(最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804頁,最高裁平成16年7月15日第一小法廷判決・民集58巻5号1615頁参照)。そし て,そのいずれであるかは,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準として判断すべきものである(最高裁平成10年1月30日第二小法廷判決・集民187号1頁参照)。 また,人の社会的評価を低下させる表現は,事実の摘示であるか,又は意見ないし論評の表明であるかを問わず,人の名誉を毀損するというべきところ,ある表現における事実の摘示又は意見ないし論評の表明が人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは,当該表現についての一般の読者の普通の注意と読み方を基準としてその意味内容を解釈し判断すべきである(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)。 (イ) 本件被告発言のうち原告の社会的評価を低下させると主張されている発言(別紙1番号1及び4並びに別紙3番号1,7,9)についてみるに,このうち,原告が虚偽の事実を垂れ流しているなどという表現(別紙1番号1及び別紙3番号1)は,一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば,原告が,被告Y1が主催したデモについて,被告Y1側の者が中学生のキーホルダーを踏みつぶしたなどの記載のある記事を掲載したとの事実を摘示した上,これらの記事の記載内容が虚偽であるとの意見を表明したものということができるところ,かかる表現は,一般の読者をして,原告が真実と異なる虚偽の内容の記事を執筆掲載しているとの印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものといえる。 たものということができるところ,かかる表現は,一般の読者をして,原告が真実と異なる虚偽の内容の記事を執筆掲載しているとの印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものといえる。 (ウ) 他方,別紙1番号4についてみるに,原告は,同発言をもって,原告が被告Y2を脅迫したとの事実を摘示して原告の社会的評価を低下させると主張するけれども,同発言は,「ちょっと脅されただけで,あ~怖い,とか言ってね」「おめーらこそ,人をね,いったい今までいくつ脅してきたよ。」「脅迫のたぐいだったら,もう何十回と受けてんですよ, こっちは」などというもので,原告が被告Y2を脅迫したとの事実を具体的に摘示したものではなく,別紙1番号4の発言を全体としてみても,一般の読者をして,原告が違法な脅迫行為を行ったとの印象を与えてその社会的評価を低下させるものとまでいうことはできない。 また,フィギュアスケートの選手であるGに関しHの壁は越えられなかったなどと評する韓国メディアを紹介した原告の記事を引用した上,原告が嫌韓感情を広げるのに協力してくれるなどとする発言(別紙3番号7)や,原告が韓国で韓日友好パレードを行い,その際,(韓国の人間からすると)意味不明の日本語横断幕をもってどんちゃん騒ぎを行ったという発言(別紙3番号9)については,原告を揶揄する表現ではあるが,一般の読者の普通の注意と読み方を基準としてみても,これらが原告の社会的評価を低下させるものとまでは認められない。 (エ) したがって,本件被告発言のうち別紙1番号1及び別紙3番号1については,意見の表明により原告の社会的評価を低下させる発言であると認められるが,その余の発言については,原告の社会的評価を低下させるものではなく,名誉毀損を構成するとはいえない。 イ 号1については,意見の表明により原告の社会的評価を低下させる発言であると認められるが,その余の発言については,原告の社会的評価を低下させるものではなく,名誉毀損を構成するとはいえない。 イ公正な論評の法理による違法性阻却の有無(争点1(イ))について(ア) 一般に,意見ないし論評の表明による名誉毀損の不法行為については,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合で,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての範囲を逸脱しているものでない限り,上記行為は違法性を欠くというべきである(最高裁昭和62年4月24日第二小法廷判決・民集41巻3号490頁,最高裁平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2252頁参照)。 (イ) 別紙1番号1の発言についてみるに,同発言は,被告Y2が原告 から取材要請を受けたが,これを断ったことに関するものであるところ,同発言中,取材を断った理由に関し,「被告Y1が主催したデモに関して,あなた(原告)が垂れ流した嘘ですね」,「キーホルダーをね,こちら側の人間が踏みつぶしたとかなんとかってね」「完全にこれ,虚偽ですのでね」「でたらめな情報を流して申しわけありませんでしたと,これから入らなきゃいけない」などとする発言は,それのみでは,いまだ原告に対する人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての範囲を逸脱するものとまでは認められない。しかしながら,被告Y2は,同発言の中で,「こいつら平気でうそを垂れ流してね。」,「いけしゃーしゃーと取材要請しましたって。馬鹿か,お前らってね。」などと述べた上,原告の容姿について,「立てば大根,座ればどてかぼちゃ は,同発言の中で,「こいつら平気でうそを垂れ流してね。」,「いけしゃーしゃーと取材要請しましたって。馬鹿か,お前らってね。」などと述べた上,原告の容姿について,「立てば大根,座ればどてかぼちゃ,歩く姿はドクダミ草」,「ひげの生えた女性,世にもめずらしい女性でございますのでね」などと侮辱的な表現で揶揄し,また,別紙3番号1では,「鮮人記者」が「撒き散らしている虚言」などと不穏当な表現をした上,「結果として不逞鮮人への嫌悪感がより広がっているように思います。」と述べるなどしており,これらを全体としてみると,被告Y2の別紙1番号1及び別紙3発言1は,原告の記載した記事の真偽とは何ら関係のない原告の容姿を侮辱的な表現で揶揄したり,その人格を不穏当な表現で執拗に攻撃したりするものであって,原告の記事の真偽に関する意見表明に仮借して,いたずらに原告を誹謗中傷することを主たる目的として行われたものと認めるのが相当である。 したがって,被告Y2による別紙1番号1及び別紙3番号1は,その目的が専ら公益を図ることにあったとは認められず,また,原告に対する人身攻撃に及ぶものであって,意見ないし論評の域を逸脱したものと認められる。 (ウ) これに対し,被告らは,原告と被告Y2の間には言論の応酬が繰 り広げられていたとして,被告Y2の発言が意見・論評としての域を逸脱するものではないと主張する。しかし,原告が被告Y2に対し,人身攻撃に及ぶような誹謗中傷を繰り返していたなどの事実を認めるに足りる証拠はなく,その他,被告らが主張する言論の応酬が繰り広げられていたとの事実自体が認められないから,被告らの上記主張は,失当である。 (エ) よって,被告Y2の別紙1番号1及び別紙3番号1の発言が,いわゆる公正な論評の法理により違法性が阻却される 広げられていたとの事実自体が認められないから,被告らの上記主張は,失当である。 (エ) よって,被告Y2の別紙1番号1及び別紙3番号1の発言が,いわゆる公正な論評の法理により違法性が阻却されるとの被告らの主張は,理由がない。 (2) 争点2(侮辱に係る不法行為の成否)についてア本件被告発言のうち,B駅付近での街宣活動においてなされた発言(別紙2番号2ないし4)は,神戸市a区bの商店街入口付近において,すぐ近くで被告Y2らの街宣活動を見ていた原告を指して,「みなさん,ここにいる朝鮮人のババアね,反日記者でしてね」,「日本が嫌いで嫌いで仕方ないババアは,そのピンク色のババアです」(別紙2番号2),「このピンクのババアのおかげで」(同番号3),「プデチゲみたいな顔をしてこっち睨むんじゃないよ」などというものであったと認められる(甲4)。被告Y2の上記発言は,歩行者が数多く往来する繁華街において,その場に来ていた原告を名指し,拡声器を用いて,公衆に向かって「朝鮮人のババア」,「ピンク色のババア」,「プデチゲみたいな顔」などと執拗に侮辱的表現を繰り返して原告を攻撃したものであって,その態様や表現内容に照らせば,かかる発言は,社会通念上許容される限度を超える侮辱行為であり,原告の人格権を違法に侵害するものというべきである。 また,被告Y2は,不特定多数の者が閲覧可能なインターネット上において(被告Y2が別紙1の発言を行った生中継動画配信サービスによる動画は,実際に相当多数の者が閲覧している。甲2),原告を名指しで,「立 てば大根,座ればどてかぼちゃ,歩く姿はドクダミ草」(別紙1番号1),「(ある男性を)塗りたくって,サングラスかけてカツラかぶせたら(原告と)うり二つ」(同番号3),「お前の顔の方がよっぽど怖いよ,バカた 根,座ればどてかぼちゃ,歩く姿はドクダミ草」(別紙1番号1),「(ある男性を)塗りたくって,サングラスかけてカツラかぶせたら(原告と)うり二つ」(同番号3),「お前の顔の方がよっぽど怖いよ,バカたれが」(同番号4),「朝鮮ババア」(同番号5)などとその容姿や人格を貶める表現を用いたほか,原告の名前と「どぶ」を掛けて「I」と連呼し(同番号6,別紙3番号8ないし16及び18),更には「差別の当たり屋」などと原告を揶揄する(別紙3番号11)など,執拗に原告を貶める表現を繰り返して誹謗中傷しており,これらの発言も,その態様及び発言内容に照らし,社会通念上許される限度を超える侮辱行為であり,原告の人格権を違法に侵害するものというべきである。 したがって,被告Y2の上記各発言(以下「本件侮辱発言」という。)は,原告の名誉感情を害し,その人格権を違法に侵害したものとして,原告に対する不法行為を構成する。 イこれに対し,原告が侮辱と主張するその他の発言(別紙1番号2,別紙2番号1,5ないし8並びに別紙3番号2ないし7及び17)は,これらの各発言中に原告の名誉感情を害するものが含まれるとしても,いまだ社会通念上許される限度を超える侮辱行為とまでは認めることができない。 (3) 業務妨害及び脅迫に係る不法行為の成否(争点3)についてア原告は,被告Y2が,原告について虚偽や反日に偏った記事を書く記者であるなどと発言したこと(別紙1番号5,別紙2番号2並びに別紙3番号3及び7)をもって,原告の記者としての業務を妨害する行為であると主張する。 しかし,原告が主張する業務妨害の内容は,要するに,被告Y2の上記発言により原告の社会的評価ないし信用が低下するというものであって,名誉毀損による不法行為の結果に過ぎず,被告Y2がこれとは別に独立し しかし,原告が主張する業務妨害の内容は,要するに,被告Y2の上記発言により原告の社会的評価ないし信用が低下するというものであって,名誉毀損による不法行為の結果に過ぎず,被告Y2がこれとは別に独立して原告に対する業務妨害と評価すべき行為を行ったとは認められない。な お,別紙3番号3の発言は,「ライターとして反日記事を垂れ流し」,「日本人の神経を逆撫でする発言を繰り返して」など,記者としての原告を揶揄するものではあるが,かかる発言によって直ちに原告の記者としての業務が妨害されたとは認められず,他に,被告Y2の行為によって原告の業務が妨害されたとの事実を認めるに足りる証拠はない。 イまた,原告は,被告Y2の別紙1番号6の発言が,原告に対する脅迫に当たると主張する。 しかし,同発言中には,「追い詰めなきゃいけない。徹底的にです」との表現があるにとどまり,これをもって,原告に対し害悪を加えることを告知するものとまでは認められない。 そして,他に,被告Y2が原告に対し害悪を加えることを告知して原告を脅迫したとの事実を認めるに足りる証拠はない。 ウしたがって,業務妨害及び脅迫に係る不法行為に関する原告の主張は,採用できない。 (4) 被告らの不法行為責任の有無(争点4)についてア以上によれば,被告Y2の本件被告発言のうち,別紙1番号1及び別紙3番号1の発言は名誉毀損として,別紙1番号1,3ないし6,別紙2番号2ないし4並びに別紙3番号1,8ないし16及び18の発言(本件侮辱発言)は侮辱として,原告に対する不法行為を構成するから,被告Y2は,不法行為(民法709条)に基づき,これにより原告に生じた損害を賠償すべき責任を負う。 イまた,被告Y2による上記不法行為(名誉毀損及び侮辱)は,いずれも被告Y 行為を構成するから,被告Y2は,不法行為(民法709条)に基づき,これにより原告に生じた損害を賠償すべき責任を負う。 イまた,被告Y2による上記不法行為(名誉毀損及び侮辱)は,いずれも被告Y1の活動の一環として行ったものと認められ,被告Y1の代表者である被告Y2がその職務として行ったものといえるから,被告Y1は,一般社団法人法78条の類推適用により,被告Y2と連帯して,被告Y2の上記不法行為により原告に生じた損害を賠償すべき責任を負う。 (5) 原告に生じた損害額(争点5)についてア慰謝料被告Y2による上記不法行為(名誉毀損及び侮辱)は一連の行為として行われたものと認められるから,名誉毀損と侮辱とを区別することなく,以下のとおり諸般の事情を考慮して慰謝料額を算定する。 (ア) 被告Y2による上記不法行為のうち名誉毀損行為は,原告が内容虚偽の記事を掲載しているというものであるから,記者である原告に与える影響は看過し難いものというべきである。もっとも,被告Y2の上記発言中には原告の記事が虚偽であることの具体的な根拠は示されておらず,同発言が原告の社会的評価を低下させる程度は比較的小さいものと考えられる。 (イ) 被告Y2による本件侮辱発言は,無用に原告の容姿や人格を攻撃し,原告を「I」や「差別の当たり屋」などと侮辱的な表現で揶揄するものであり,かつ,これらの侮辱行為は,繰り返し執拗に行われたものであって,原告の名誉感情を害する程度は甚だしいものと認められる。 (ウ) そして,上記名誉毀損行為及び侮辱行為は,多数の者が閲覧ないし閲覧可能なインターネット上においてなされるか(別紙1及び3),又は,人通りの多い繁華街の路上での街宣活動において,その場に来ていた原告を名指ししてなされたも 為及び侮辱行為は,多数の者が閲覧ないし閲覧可能なインターネット上においてなされるか(別紙1及び3),又は,人通りの多い繁華街の路上での街宣活動において,その場に来ていた原告を名指ししてなされたもの(別紙2)であり,その行為態様は悪質というべきである。 (エ) これらに加えて,被告Y2が代表を務める被告Y1は,韓国人ないし朝鮮人による犯罪行為を周知喧伝するなどして日本における嫌韓感情を広めることや,在日朝鮮人を日本から排斥することを目的して活動している団体であるところ(被告Y2本人),被告Y2は,本件被告発言においても,「在日は日本から出ていけ」などと,韓国人ないし朝鮮人を嫌悪する発言を繰り返していることが認められる。そして,被告 Y2による上記不法行為(名誉毀損及び侮辱)を構成する各発言も,その発言内容や経緯に照らせば,原告を含む在日朝鮮人を我が国の社会から排斥すべきであるといった被告ら独自の見解に基づき,在日朝鮮人に対する差別を助長し増幅させることを意図して行われたものであることが明らかである。人種差別を撤廃すべきとする人種差別撤廃条約の趣旨及び内容(人種差別撤廃条約2条1項柱書,6条)に照らせば,被告Y2の上記不法行為(名誉毀損及び侮辱)が上記のような同条約の趣旨に反する意図を持って行われたものである点も,慰謝料額の算定において考慮されなければならない。 (オ) 上記(ア)~(エ)の事情に加えて,その他本件に顕れた一切の事情を総合して考慮すると,被告らの上記不法行為(名誉毀損及び侮辱)により原告が被った精神的苦痛を慰謝するための金額としては,70万円が相当である。 イ弁護士費用原告は,上記不法行為により,弁護士に依頼して本件訴訟の提起を余儀なくさせられたところ,認容額,事案の難易その 神的苦痛を慰謝するための金額としては,70万円が相当である。 イ弁護士費用原告は,上記不法行為により,弁護士に依頼して本件訴訟の提起を余儀なくさせられたところ,認容額,事案の難易その他本件に顕れた諸事情を総合勘案し,弁護士費用として7万円を同不法行為と相当因果関係のある損害と認める。 ウしたがって,被告らが不法行為に基づいて賠償すべき原告の損害額は,合計77万円である。 2 反訴について(1) 被告Y2に対する不法行為(名誉毀損及び侮辱)の成否(争点6)についてア本件原告発言中には,被告Y2について「弱い者いじめが好き」,「あれだけ人の悪意を利用できるのはすごい才能」と評し,また,被告Y2の活動を「嫌がらせ」と表現する部分がある(別紙4番号1,12)。 しかし,かかる発言により,被告Y2の社会的評価が低下することがあったとしても,これらの発言は,被告Y2が在日朝鮮人に対する差別意識を世間に植え付けるため街宣活動等を行っているという事実を基礎とした原告の意見ないし論評にあたるところ,上記基礎事実が真実であることは被告Y2自身が認めるところである。そして,原告の上記発言は,被告らによる在日朝鮮人に対する排斥活動がいわゆるヘイトスピーチ等として社会問題となっていることに関する意見ないし論評であって,公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図る目的にあったと認められる上,その表現内容が人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評の範囲を逸脱するとはいえないから,いわゆる公正な論評として違法性が阻却されるというべきである。 イまた,本件原告発言1のうちその他の発言(別紙4番号2ないし11)は,被告Y2の社会的評価を低下させるものとはいえず,また被告Y2の名誉感情を害するものがあ 性が阻却されるというべきである。 イまた,本件原告発言1のうちその他の発言(別紙4番号2ないし11)は,被告Y2の社会的評価を低下させるものとはいえず,また被告Y2の名誉感情を害するものがあったとしても,社会通念上許される限度を超えた侮辱行為とまでは認めることができない。 ウしたがって,原告の行った本件原告発言1について,被告Y2に対する不法行為は成立しないというべきである。 (2) 被告Y1に対する不法行為(名誉毀損及び侮辱)の成否(争点7)についてア被告Y1が名誉毀損ないし侮辱に当たると主張する本件原告発言2のうち,別紙5番号1,2,4ないし18の各発言については,これらが被告Y1に関して言及したものとは認められないから,被告Y1の上記主張は,失当である。 イ本件原告発言2のうち,被告Y1について,日本社会の差別意識の表面化である(別紙5番号3),在特会の行っていることがヘイトスピーチに当たる(別紙5番号19),差別を扇動しデマをまき散らす(別紙5番号22) などの発言について検討する。 上記のような発言により,被告Y1の社会的評価が低下することがあったとしても,これらの発言は,被告Y1が在日朝鮮人の差別意識を世間に植え付けるための街宣活動等を行っているという事実を基礎とした原告の意見ないし論評にあたるところ,上記の基礎事実が真実であることは被告Y1の代表であった被告Y2自身が認めるところである。そして,原告によるこれらの発言については,上記(1)アに判示したとおり,公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図る目的にあったと認められる上,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評の範囲を逸脱するとはいえないから,いわゆる公正な論評として違法性が阻却される。 ウ本件原告発言2のその他の発 その目的が専ら公益を図る目的にあったと認められる上,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評の範囲を逸脱するとはいえないから,いわゆる公正な論評として違法性が阻却される。 ウ本件原告発言2のその他の発言(別紙5番号20,21,23ないし26)は,被告Y1の社会的評価を低下させるものとは認められず,また被告Y1の名誉感情を害するものがあったとしても,社会通念上許される限度を超えた侮辱行為とまでは認めることができない。 エしたがって,原告の行った本件原告発言2について,被告Y1に対する不法行為は成立しないというべきである。 3 まとめ以上によれば,原告の本訴請求は,被告Y2に対し,不法行為(民法709条)に基づく損害賠償として,被告Y1に対し,一般社団法人法78条類推適用による損害賠償として,77万円及びこれに対する最終の不法行為日の後である平成26年9月3日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり,その余の請求はいずれも理由がなく,被告らの反訴請求は,いずれも理由がない第4 結論以上の次第で,原告の被告らに対する本訴請求は,主文第1項の限度で理由があるから,その限度でこれを認容し,その余の請求は理由がないから,これ らをいずれも棄却することとし,被告らの原告に対する反訴請求は,理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第24民事部 裁判長裁判官増森珠美 裁判官塩原 学 裁判官秋田康博 塩原学 裁判官秋田康博

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