平成13(ワ)825 精算金請求反訴

裁判年月日・裁判所
平成14年1月17日 名古屋地方裁判所
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判決文本文8,167 文字)

(なお,本訴事件(平成12年(ワ)第4018号債務不存在確認請求事件)は,取下げにより終了した。以下,反訴原告を「原告」といい,反訴被告を「被告」という。) 主文 1 被告は,原告に対し,1503万8100円及び内6万6150円に対する平成11年11月1日から,内177万6600円に対する平成12年2月1日から,内230万2650円に対する平成12年5月1日から,内177万3450円に対する平成12年8月1日から,内210万1050円に対する平成12年11月1日から,内221万4450円に対する平成13年2月1日から,内270万9000円に対する平成13年5月1日から,内209万4750円に対する平成13年8月1日から,各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 事案の概要 1 前提事実(争いのない事実並びに証拠(乙4号証)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告及び被告は,いずれも通信機器販売等を業とする会社である。 (2) 原告は,ジェイフォン東海株式会社(前商号株式会社東海デジタルホン。以下「ジェイフォン」という。)から,同社が需要者に提供する携帯電話・自動車電話等のサービス(以下「移動電話サービス」という。)について,需要者からの加入契約締結申出の受付及びこれに伴う費用の回収等の業務を委託された第一次受託業者である(以下「本件委託契約」という。)。 (3) 原告は,本件委託契約による受託業務の一部を,被告,株式会社f等の複数の第二次受託業者に再委託しており,第二次受託業者が需要者からジェイフォンの移動電話サービスの加入申込を受け付け,その加入契約が締結されたときは,ジェイフォンと原告との間では,原告が本件委託契約による受託業務 託業者に再委託しており,第二次受託業者が需要者からジェイフォンの移動電話サービスの加入申込を受け付け,その加入契約が締結されたときは,ジェイフォンと原告との間では,原告が本件委託契約による受託業務を実行したこととなって,ジェイフォンが原告に本件委託契約に基づく手数料を支払い,原告と第二次受託業者との間では,第二次受託業者が再委託契約による受託業務を実行したこととなって,原告が第二次受託業者に再委託契約に基づく手数料を支払うことになる。 (4) 被告は,原告と前項の再委託契約を結んだ第二次受託業者であった(以下「本件再委託契約」という。)が,本件再委託契約については,成約手数料,プラン別手数料,継続手数料,長期継続手数料,買取インセンティブ,ボリュームインセンティブ,特定機種支援,クレジットカード取扱手数料といった多項目の手数料が合意されていた。 (5) ジェイフォンと第一次受託業者である原告との間でも,同様に多項目の手数料が合意されていたが,平成10年1月1日以降,3か月ごとに1期と区分して,各期末の原告が取り扱った移動電話サービス加入契約の累計稼働回線数(原告の第二次受託業者らが取り扱った移動電話サービス加入契約の累計稼働回線数の合計)が,前期末に比し増加したときは,ジェイフォンは,原告に対し,増加した台数について,1台当たり5000円のピュアインセンティブを支払うこととされた(すなわち,仮に,前期末の稼働回線数が1万台であり,当期の新規契約台数が3000台,解約台数が500台で,当期末に稼働回線数が1万2500台になったとすると,当期の稼働回線数の純増分である2500台についてピュアインセンティブが支払われることとなる。なお,ジェイフォンと原告との間のピュアインセンティブの額(以下「ジェイフォンピュアインセンティブ」という。)は, 働回線数の純増分である2500台についてピュアインセンティブが支払われることとなる。なお,ジェイフォンと原告との間のピュアインセンティブの額(以下「ジェイフォンピュアインセンティブ」という。)は,平成10年10月1日以降は1台当たり3000円とされた。)。 (6) 原告と被告とは,平成10年3月26日,上記(5)のジェイフォンピュアインセンティブに関連して,原告と被告との間におけるピュアインセンティブに関する合意がなされた(なお,合意内容については,後記のとおり争いがあり,本件の争点である。)。 (7) 原告と被告とは,平成12年10月31日,本件再委託契約を合意解除した(以下「本件解除契約」という。)が,本件解除契約では,後記争点に関する本件の裁判所の判断(確定判決の主旨)に従い,原告の主張が認められた場合は,被告は,原告に対し,同年10月31日までは従前と同様の算定基礎により同日現在の減少した稼働回線数を確定し,同年11月1日以降は被告が取り扱った回線の内本件解除契約で原告の保有回線と定められた回線数を基礎として減少した稼働回線数を計算し,これを当該精算のときの1台当たりのジェイフォンピュアインセンティブの額に乗じ,消費税を加算した額を支払うことが合意された。 (8) 被告が本件再委託契約に基づき原告の第二次受託業者として取り扱った移動電話サービス加入契約の稼働回線数は,平成11年6月末日までの期は一貫して増加していたが,その後の各期には,以下のとおり減少した(ただし,平成12年10月1日以降については,本件解除契約に従い,同月31日現在で従前と同様の回線数を基礎とした同日現在の稼働回線数で計算した減少台数を確定し,同年11月1日以降は,本件解除契約で原告の保有回線と定められた回線数を基礎として計算した台数である。そのため,平成12 前と同様の回線数を基礎とした同日現在の稼働回線数で計算した減少台数を確定し,同年11月1日以降は,本件解除契約で原告の保有回線と定められた回線数を基礎として計算した台数である。そのため,平成12年12月末日(F期)の減少数703台は,上記計算方法による同年10月31日現在の減少数169台と同年11月1日から同年12月末日までの減少数534台の合計である。以下,これら各期を以下のとおり「A期」ないし「H期」という。)。 A期平成11年9月末日同年6月末日に比し21台B期同年12月末日同年9月末日に比し564台C期平成12年3月末日平成11年12月末日に比し731台D期同年6月末日同年3月末日に比し563台E期同年9月末日同年6月末日に比し667台F期平成12年12月末日同年10月末日に比し703台G期平成13年3月末日平成12年12月末日に比し860台H期同年6月末日同年3月末日に比し665台(9) 上記(8)の各期における1台当たりのジェイフォンピュアインセンティブの額は,いずれも3000円である。 2 本件は,原告が,被告に対し,原告と被告とは,平成10年3月26日,前記1(5)のジェイフォンピュアインセンティブに関連して,原告と被告との間におけるピュアインセンティブについて下記のとおり合意した旨主張して,前記1(8)の各期の減少台数を1台当たりのジェイフォンピュアインセンティブの額3000円に乗じ,消費税を加算した額について,合計1503万8100円(A期分6万6150円,B期分177万6600円,C期分230万2650円,D期日分177万3450円,E期分210万1050円,F期分221万4450円,G期分270万9000円,H期分209万47 期分6万6150円,B期分177万6600円,C期分230万2650円,D期日分177万3450円,E期分210万1050円,F期分221万4450円,G期分270万9000円,H期分209万4750円)の支払及び各支払期(各期末の翌月末日)の翌日である各期末の翌々月1日から支払済みまで商事法定利率(年6分の割合)による遅延損害金の支払を求めている事案である。 記① 原告は,被告に対し,平成10年1月以降,3か月ごとに1期と区分して,各期末の被告が取り扱った移動電話サービス加入契約の累計稼働回線数が前期末に比して増加したときは,増加1台につきジェイフォンピュアインセンティブの額と同額で算定した金額を,翌月末日限り支払う(以下「本件ピュアインセンティブ」という。)。 ② 被告は,原告に対し,上記①の累計稼働回線数が前期末に比して減少したときは,減少1台につきジェイフォンピュアインセンティブの額と同額で算定した金額を翌月末日限り支払う(以下「本件マイナスピュアインセンティブ」という。)。 3 これに対し,被告は,前記2①の本件ピュアインセンティブの合意はなされたが,2②の本件マイナスピュアインセンティブの合意はなされていない旨主張して争っている。 4 争点本件マイナスピュアインセンティブの合意があったか。 第3 争点に関する判断 1 前記前提事実に証拠(甲2号証,4号証の1ないし4,6号証,7号証,乙3号証,7号証ないし9号証,証人a,同b,被告代表者c。ただし,甲6号証(cの陳述書)及びcの供述については,後記採用しない部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の各事実が認められる。 (1) 原告は,本件再委託契約を含む第二次受託業者に対する再委託契約についての手数料の原資を,本件委託契約によりジェイフォンから を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の各事実が認められる。 (1) 原告は,本件再委託契約を含む第二次受託業者に対する再委託契約についての手数料の原資を,本件委託契約によりジェイフォンから原告に支払われる手数料に求めていた。 (2) ジェイフォンと原告との本件委託契約では,ジェイフォンから原告に支払われる手数料について,原告がその内どれだけを被告等の第二次受託業者に支払うかについての取決めはなく,原告は,第二次受託業者との間で,手数料の支払いについて自由に交渉ないし取決めをすることができた。 (3) ジェイフォンから原告に支払われるジェイフォンピュアインセンティブは,第一次受託業者ごとに,当該第一次受託業者の稼働回線数の純増分に対して支払われるもので,仮に原告傘下の第二次受託業者である被告についての稼働回線数の純増が1000台であったとしても,他の原告傘下の第二次受託業者らについての稼働回線数の純減が500台であったとすると,原告は,ジェイフォンから500台分のジェイフォンピュアインセンティブしか支払を受けることができないし,さらに他の原告傘下の第二次受託業者らについての稼働回線数の純減が1000台であったとすると,原告は,ジェイフォンから全くジェイフォンピュアインセンティブの支払を受けることができないものである。 (4) 原告と被告との間では,ピュアインセンティブに関し,書面での合意ないし確認はなされていない。 (5) 平成9年12月,ジェイフォンから原告に,1台当たり5000円のジェイフォンピュアインセンティブを支払う旨の通知があった。 (6) 原告は,原告中部支社内で,上記ジェイフォンピュアインセンティブに関し,傘下の第二次受託業者に対しては,1台当たりジェイフォンピュアインセンティブの6割である3000円を支払うことに決め 。 (6) 原告は,原告中部支社内で,上記ジェイフォンピュアインセンティブに関し,傘下の第二次受託業者に対しては,1台当たりジェイフォンピュアインセンティブの6割である3000円を支払うことに決め,原告中部支社通信事業課参事aは,被告商品管理課長dとの交渉において,原告から被告に支払うピュアインセンティブについて,1台あたり3000円とする案を提示したが,その際は,被告側から特に異論はなかった。 (7) 平成10年3月26日,原告中部支社通信事業課長b及びaが被告本社に出向き,被告代表者c及び被告商品管理課長e(dの後任者)と,従前からの懸案事項であった継続手数料についての交渉が行われたが,この日の交渉も決着が付かずに終わった。 上記交渉の際,ピュアインセンティブに関し,cは,原告がジェイフォンから受け取る額と同額の1台あたり5000円のピュアインセンティブを原告が支払うよう主張した。 これに対し,aは,他の第二次受託業者がマイナスになった場合,原告がそのマイナス分を負担することになってしまうので,1台あたり3000円としたい旨返答した。 しかし,cは,他の第二次受託業者のことまで面倒を見ることはできない旨述べ,マイナスが出たら,「マイナスした代理店から手数料を引けばいいじゃないか」などと述べた(なお,これについて,cは,陳述書(甲6号証)に「回線減少分へのマイナス請求の話は一切出ていなかったと記憶しています。」と記載し,被告代理人の質問に対し,問い「ただ,あなたの言わんとするところは,自分の所さえもらえればいいと,そういうことですか。」,答え「そうです。」,問い「よそのことはもう干渉しないという趣旨なんですか。」,答え「そうです。」,・・・問い「逆に今度は,じゃあ,あなたの所が減った場合にはマイナス請求するという話は出ましたか ,答え「そうです。」,問い「よそのことはもう干渉しないという趣旨なんですか。」,答え「そうです。」,・・・問い「逆に今度は,じゃあ,あなたの所が減った場合にはマイナス請求するという話は出ましたか。」,答え「出てません。」,問い「もしマイナス請求なんていう話があったら,その5,000円でやるということであなたは通しました?」,答え「ペーパーで落としたと思います。」,問い「うん?」,答え「ペーパーで落とすというか,きっちりもう少し話になったんじゃないだろうかと思います。」などと述べている。しかし,cは,原告代理人の「マイナスの二次店があれば,そこから取ればいいんじゃないかということはおっしゃいませんでしたか。」という質問に対し,「マイナスがあるというか,増えただけしかお金もらってませんので,3か月のキャンペーンなので,3か月の間の計算になりますので。」と述べて正面から質問に答えず,さらに,原告代理人の「それはほかの,それはマイナスを出した所からその分を取ればそれで解決できるとおっしゃったんじゃないですか。」という質問に対しても,「度々マイナスと言われるんですけれども,私の解釈の中では,マイナスという言葉は当てはまらないんですが。」と答えてはぐらかし,これに対する原告代理人の「マイナス,じゃあ,減少でもいいですよ。」という質問に対しても,「プラスになったものしかお金をもらってませんので。」と述べて結局質問に答えなかったものであり,上記陳述書(甲6号証)の記載及びcの供述は採用できず,a及びbが証言するとおり,cは,「マイナスした代理店から手数料を引けばいいじゃないか」と述べたものと認められる。)。 そのため,b及びaは,cの要求を受け入れることとした。 (8) その後,平成10年5月8日にも,cは,aに対し,ピュアインセンティブに関し,他 けばいいじゃないか」と述べたものと認められる。)。 そのため,b及びaは,cの要求を受け入れることとした。 (8) その後,平成10年5月8日にも,cは,aに対し,ピュアインセンティブに関し,他の第二次受託業者のことまで面倒を見ることはできず,マイナスが出たら,マイナスが出たところから手数料を引けばよい旨,上記(7)と同趣旨の発言をした。 (9) 被告は,原告に対し,A期について平成11年10月29日,B期について平成12年1月31日,C期について同年4月28日,それぞれ本件マイナスピュアインセンティブに相当する金額を支払ったが,被告は,その後,同年6月,原告に支払うべき機器売買代金から上記3回分の本件マイナスピュアインセンティブに相当する金額を控除した上,D期以降の分も含め,原告からの本件マイナスピュアインセンティブ支払の要求を拒否している。 2 以上によれば,cは,原告に対し,ジェイフォンピュアインセンティブと同額のピュアインセンティブを支払い,累計稼働回線数が前期末に比して減少した第二次受託業者については,減少1台につきジェイフォンピュアインセンティブの額と同額で算定した金額を支払わせるよう提案し,原告は,これを承諾したのであり,被告も第二次受託業者であるから,この例外であるとすることはできず,原告主張のとおり,原告と被告とは,平成10年3月26日,前記第2,2①の本件ピュアインセンティブの合意とともに,同②の本件マイナスピュアインセンティブの合意をし,いずれも支払期は各期末の翌月末日と合意したものと認められる。 なお,証拠(甲10号証,11号証の1ないし3,被告代表者c)によれば,被告は,平成10年1月5日,静岡市を本店とする有限会社gを設立して,同月22日付け契約(甲10号証)に基づき,ジェイフォンの第一次受託業者としての業務 11号証の1ないし3,被告代表者c)によれば,被告は,平成10年1月5日,静岡市を本店とする有限会社gを設立して,同月22日付け契約(甲10号証)に基づき,ジェイフォンの第一次受託業者としての業務を行わせ,被告は,gを通じてジェイフォンの第一次受託業者が取得する手数料等の情報を得ており,cは,被告もジェイフォンの第一次受託業者にしたいという希望を持ち始めていたことが認められ,これに対し,本件マイナスピュアインセンティブの合意は,被告が原告から独立してジェイフォンの第一次受託業者になろうとする場合,その障害となる可能性のあるものである。しかし,当時,被告は,gと被告との関係を対外的に明らかにしようとしてはいなかったのであるし(少なくとも,ジェイフォンは,原告に対し,被告とgとの関係を認めていなかった。証人b),原告と被告との本件再委託契約では,被告が他社と類似契約を締結しようとするときは,事前に原告に書面により通知するものとされており(乙2号証),一般的には,第二次受託業者が第一次受託業者になることは必ずしも容易なものではなく,cが,平成10年3月26日当時,「マイナスした代理店から手数料を引けばいいじゃないか」などと発言することにつき,被告が原告から独立してジェイフォンの第一次受託業者になろうとする場合への影響等についてまで配慮していたことを窺わせるような事情はなく,上記各事実の存在は,前記認定を覆すに足りるものではない。 そうすると,被告が原告に支払うべき各期の本件マイナスピュアインセンティブの額及び各支払期は以下のとおりとなる(合計1503万8100円)。 (1) A期(支払期は同年10月31日)3000×21×1.05=6万6150円(2) B期(支払期は平成12年1月31日)3000×564×1.05=177万6600円( 3万8100円)。 (1) A期(支払期は同年10月31日)3000×21×1.05=6万6150円(2) B期(支払期は平成12年1月31日)3000×564×1.05=177万6600円(3) C期(支払期は同年4月30日)3000×731×1.05=230万2650円(4) D期(支払期は同年7月31日)3000×563×1.05=177万3450円(5) E期(支払期は同年10月31日)3000×667×1.05=210万1050円(6) F期(支払期は平成13年1月31日)3000×703×1.05=221万4450円(7) G期(支払期は同年4月30日)3000×860×1.05=270万9000円(8) H期(支払期は同年7月31日)3000×665×1.05=209万4750円 3 よって,原告の請求は理由があり,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事7部裁判官長谷川恭弘

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