平成16(行コ)122 青色申告取消処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成9年(行ウ)第239号)

裁判年月日・裁判所
平成18年1月24日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文50,087 文字)

- 1 -主文 原判決を取り消す。 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人主文同旨 被控訴人(1)本件控訴を棄却する。 (2)控訴費用は控訴人の負担とする。 第2事案の概要 事案の要旨本件は,被控訴人が平成4年12月21日に,海外の子会社に対し25億6000万円を送金し,これを特別損失として確定申告を行ったことについて,麻布税務署長が,同送金は,寄附金であるのに計画的に取引を仮装し,海外投資特別損勘定により処理したもので,法人税法127条1項3号に該当する仮装行為を行ったものであるとして,平成6年3月28日付けで,被控訴人の平成4年1月1日から同年12月31日までの事業年度(以下「平成4年12月期」という。)以降の法人税の青色申告承認取消処分(以下「本件取消処分」という。)を行うとともに,同事業年度における法人税及び法人特別税についてそれぞれ更正処分(以下あわせて「本件各更正処分」という。)及び重加算税賦課決定(以下,本件各更正処分とあわせて「本件各更正処分等」という。)をしたことから,被控訴人が同送金は寄附金課税の対象となる寄附金ではなく,取引を仮装した事実もないから違法であるとして,本件取消処分及び本件各更正処分等の各取消しを求めたものである。なお,被控訴人は,平成1- 2 -1年6月25日,本店を神戸市α3番4号に移転し,被控訴人の納税地を所轄する税務署長が麻布税務署長から控訴人となり,訴訟が承継された。 原審は,控訴人が,被控訴人が法人税法127条1項3号に該当する具体的事実を主張していないから,青色申告承認取消処分は違法であり,その結果,理由附記をしないままなされた本件各更正処分は違法なもの 。 原審は,控訴人が,被控訴人が法人税法127条1項3号に該当する具体的事実を主張していないから,青色申告承認取消処分は違法であり,その結果,理由附記をしないままなされた本件各更正処分は違法なものとなり,重加算税賦課決定処分も違法なものとしていずれも取消しを免れないとして,被控訴人の請求を認容したことから,控訴人が控訴した。 前提となる事実(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない事実である。)(1)当事者被控訴人は,平成4年12月期当時,東京都港区β2番39号に本店を置き,貿易及び機械製造業を営む法人であった。被控訴人の商号は,平成4年3月31日まではP1株式会社であったが,同年4月1日以降はP2株式会社に,平成7年4月13日からP3株式会社に,平成11年8月1日からP4株式会社に,平成12年7月1日以降はP5株式会社に,平成13年10月1日以降,現商号にそれぞれ変更されている。 (2)被控訴人の関連会社被控訴人は,企業グループであるP6グループに属し,平成3年12月末当時の関連する会社は,別紙「本件に関係する被控訴人会社関連会社名の略称等一覧表」に記載のとおりであり(以下,会社名を同表の「会社略称」で表示する。),平成3年9月当時,被控訴人の親会社はP7で,祖父会社はP8であり,被控訴人の曾祖父会社はP9であった。そして,P10は,P7の子会社(被控訴人の兄弟会社)であり,スウェーデン,フィンランド,ノルウェー及びデンマークでのP11株式会社(以下「P11」という。)の製品等の販売等の事業(以下「北欧事業」ということがある。)をする子会社としてP12,P13,P14,P15,P16,P17の6社(以下- 3 -「本件子会社6社」という。)及び,P13の子会社(P10の孫会社)としてP18,P19の2社(以下,本件 )をする子会社としてP12,P13,P14,P15,P16,P17の6社(以下- 3 -「本件子会社6社」という。)及び,P13の子会社(P10の孫会社)としてP18,P19の2社(以下,本件子会社6社と併せて「本件子会社8社」という。)があった。 (3)損失負担金支出に至る経緯アP20の子会社化被控訴人が,平成3年9月26日,休眠会社であったP8の子会社P21(資本金5万クローネ)を資本金と同額で買い取って自己の海外子会社とし,商号を変更したのがP20である。被控訴人は,同年11月1日,P22銀行(当時。以下同じ。)γ支店から,株式取得代金5万クローネ及び増資払込金4995万クローネの合計5000万クローネ(10億6000万円)をP23のP20の口座(以下「本件P20口座」という。)に送金した。 また,被控訴人は,同年12月3日,P20に対し5億円を貸し付け,2225万1891.42クローネ(5億円)をP24銀行δ支店から本件P20口座に送金した。 イP20の子会社買収等(ア)P20は,同月10日,本件子会社6社をP10から簿価の3479万9000クローネで買収した。P10は,同日,1450万クローネをP12へ送金するなど本件子会社6社に合計2600万クローネを送金し,子会社へのコントリビューション(スウェーデンにおける親子会社間の損益通算制度によるもの。)として処理し,各社の損失補填に充てた。 (イ)また,P20は,同月13日,P13からその子会社(P10の孫会社)であるP18,P19の2社を簿価の142万5000クローネで買収した。 (ウ)P20は,同月20日,P10がP13の株式を取得した際に旧株- 4 -主に支払を約束していた利益の分配金(P13が利益の3分の2を旧株主に支払うことを約束していたところ ネで買収した。 (ウ)P20は,同月20日,P10がP13の株式を取得した際に旧株- 4 -主に支払を約束していた利益の分配金(P13が利益の3分の2を旧株主に支払うことを約束していたところ,平成元年ないし平成3年分につき未払であった。)794万4000クローネ(約1億7000万円)を負担した。 ウP25の設立等(ア)P10は,平成3年前半までP26との取引につき,在庫を抱え,さらに同社との契約による一定量の発注義務を負っていたところ,この解決策として,同年10月1日,次の内容を含む契約書を交わした(乙14)。①P10は,平成3年10月1日に2400万クローネをP26に支払う。②両社各50パーセントの出資による合弁会社(新たな販売会社。資本金2000万クローネ)を設立する。設立に際し,P10は600万クローネを現金で,400万クローネを特約店契約に従い商品で提供する。P26は,両者で新たに締結する契約に従って独占販売権を付与することにより,株式資本として1000万クローネを提供する。 (イ)上記契約に基づき,P10は,P26に①の2400万クローネを支払ったが,②による合弁会社は設立されなかった。しかし,これに代えて,同年12月16日,P20は,P26の100パーセント出資の子会社であるP27と共同出資をしてP25を設立し,P20が600万クローネを現金で,400万クローネをP10から取得した商品で提供し,P27は,100万クローネを技術で提供して設立された。 エP20は,平成4年5月から6月にかけて,以下のとおり,本件子会社8社のうち5社に,キャピタルインジェクションとして合計1199万6000クローネ(約2億5000万円)を支払った。 ①P14225万5000クローネ②P16269万6000クローネ 会社8社のうち5社に,キャピタルインジェクションとして合計1199万6000クローネ(約2億5000万円)を支払った。 ①P14225万5000クローネ②P16269万6000クローネ- 5 -③P13238万2000クローネ④P1766万3000クローネ⑤P19400万0000クローネオP20は,エのキャピタルインジェクションの後,本件子会社8社のうちのP12を除く7社の株式を,同7社の代表者等にほぼ無償で売却した。 P20は,同年9月1日,P25の出資持分のすべてをP27に100万クローネで売却し,900万クローネの株式売却損を平成4年12月期に計上した。 カP20及びP12が同年10月末日での仮決算を行ったところ,P20が6858万7000クローネ,P12が5118万8000クローネ,両者合わせて1億1977万5000クローネの損失を計上した(乙17)。 キ被控訴人は,同年12月15日,P7に対しP20の全株式50万株を5000万クローネ(約10億円)で売却した。 ク被控訴人は,同月21日,P20の仮決算の上記損失を理由にキャピタルインジェクションとしてP20へ25億6000万円を送金し,全額を仮払金勘定に計上した(以下,この金員を「本件損失負担金」という。)。 P20は,同月22日,被控訴人に対し,被控訴人が平成3年12月3日に貸し付けた5億円を返済し,新たにP7に対し10億円を貸し付け,従来の借入金の返済として利息を含めて約10億6000万円を使用した。 また,P7は,同日,被控訴人に対し,P20の株式売買代金として10億円,平成元年にした借入金の返済であるとして10億円及びその利息として5273万9721円を送金した。 ケ被控訴人は,平成4年12月31日,仮払金勘定に計上した25億60 売買代金として10億円,平成元年にした借入金の返済であるとして10億円及びその利息として5273万9721円を送金した。 ケ被控訴人は,平成4年12月31日,仮払金勘定に計上した25億6000万円について,特別損失勘定に振り替えた。 コ平成4年度12月期の決算において,P20は,株式の売却損等746- 6 -9万9000クローネ(約15億円),P12は,5293万7000クローネ,両者合わせて1億2790万6000クローネの損失を計上したが,被控訴人から上記のキャピタルインジェクション及びP9からの7309万8000クローネのコントリビューションを得た結果,前年繰越損失を控除後のP20の損益は1億2003万6000クローネの利益となり,P20は,1億1003万6000クローネをP7へ配当した。 (4)本件各更正処分等平成4年12月期の法人税の更正処分等に至る経緯は,原判決添付別表1に,平成4年12月期の法人特別税の更正処分等に至る経緯は同別表2に,本件取消処分に至る経緯は同別表3に,各記載のとおりであり,その計算関係は当事者間に争いがない。 争点 (1)本件損失負担金が寄附金に該当するか(争点1)(2)被控訴人が法人税法127条1項3号(青色申告承認取消し)の要件に該当する仮装を行ったといえるか(争点2) 争点1に関する当事者の主張(1)控訴人ア被控訴人の本件一連の行為(ア)P10及び本件子会社8社は,経営が危機的状態にあり,多額の損失及び借入金などの債務が生じていたところ,事業の整理・撤退が必要となったが,P10の親会社であるP7及び祖父会社であるP8がその資金負担に応じないことから,P6グループ内において資金力を有していた被控訴人が負担することとなった。 (イ)被控訴人は,P10の兄弟会社であり, 10の親会社であるP7及び祖父会社であるP8がその資金負担に応じないことから,P6グループ内において資金力を有していた被控訴人が負担することとなった。 (イ)被控訴人は,P10の兄弟会社であり,直接この資金を負担すると,経済的・社会的に責任を負う立場にないことから,この負担は,租税特- 7 -別措置法66条の4第3項でいう「法人が各事業年度において支出した寄附金の額(法人税法第37条第7項に規定する寄附金の額をいい,同条第1項の規定の適用を受けたものを除く。)のうち当該法人に係る国外関連者に対するもの(同法141条第1号から第3号までに掲げる外国法人に該当する国外関連者に対する寄附金の額で当該外国関連者の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されるものを除く。)」に該当し,被控訴人の事業年度の所得金額の計算上,損金の額に算入しない扱いとなることを承知していた。 (ウ)そこで,被控訴人は,本件損失負担金を損金とするために,休眠会社であるP20を買い取り,これに多額の資金投資・貸付けを行い,P20を介してこの資金により本件子会社8社を高額で買い取るなどの取引をし,適正な取引であるかのように糊塗するための事業計画・収益予想などの工作を行った上,前記第2の2(3)のとおり一連の行為をしたものである。 (エ)このことは,次の書簡やイ以下に記載の経緯から明らかである。 aP10の社長であるP28が,平成3年9月13日,当時の被控訴人の代表取締役であるP29に宛てた書簡(乙2。以下「書簡1」という。)によれば,被控訴人がP10の子会社を買い取るに当たり,その数か月後にこれらの子会社を売却する際,税務上損失として認められる額が最高となるような額で買い取ることを検討していたことが明らかである。 b被控訴人のグループコントローラー(グ 取るに当たり,その数か月後にこれらの子会社を売却する際,税務上損失として認められる額が最高となるような額で買い取ることを検討していたことが明らかである。 b被控訴人のグループコントローラー(グループ関連統括責任者)の職にあったP30が,平成3年9月17日,P28及びP29に宛てた書簡(乙3。以下「書簡2」という。)において,P10には,損益計算書上の膨大な損失とP8からの多額の借入金の問題があること,P10の損失補填の方策としてP10の子会社の株式を被控訴人が高- 8 -額で取得することが考えられるが,この方法によると両者が資本系列上のグループ内にあることから,株式の高額取得の理由を我が国の税務当局に説明するために適当な理由,すなわち将来的な収益力・事業計画を備えなければならないことなどを検討していたことが判明する。 cP30が同月21日,P8の副社長P31及びP29に宛てた書簡(乙4。以下「書簡3」という。)によれば,被控訴人がP10の子会社を買い取り,その後1ないし2か月後にさらに資本投入による損失補填の方法をとると,関係当局に対する増資の理由説明が不可能であり,さらに翌年に被控訴人が子会社を売却すると,我が国の税務当局が,海外の損失を日本に移転し,被控訴人の利益を圧縮したと判断し,税務上の罰則を科すおそれがあることから,被控訴人がP8の休眠会社を取得するか又は新会社を設立して,これに多額の資本投入及び貸付けをし,この資金を基にP10が負担しているP13の旧株主への未払金を払うとともに,新会社がP10の子会社を買い取り,子会社の損失を補填する方法を検討していたことが明らかである。 dまた,P10のP32が同月25日にP30に宛てた書簡(乙5。 以下「書簡4」という。)によれば,P10の子会社には多額の損失があり,この損 の損失を補填する方法を検討していたことが明らかである。 dまた,P10のP32が同月25日にP30に宛てた書簡(乙5。 以下「書簡4」という。)によれば,P10の子会社には多額の損失があり,この損失は,子会社を売却する前にP10がこれを補填する必要があるが,P8にはこの資金を提供する意思がなく,被控訴人がこの資金を提供した後,P10が子会社を清算した場合,被控訴人においてこの資金提供が損金として認められるかが問題となることなどを検討していたことが明らかである。 被控訴人は,迂回措置を講じて,P10の損失の持ち込みを図ったことを自認しているのである。 イ被控訴人には正当な事業目的がなかったこと(ア)被控訴人がP20を子会社とした目的- 9 -a被控訴人は,本件子会社8社には買収価格に見合う価値がないばかりか最終的には総額1億1203万クローネの損失を受けることを予想した上,その損失を本来負担すべきP10に代わって負担する意図の下に行ったものである。このことは,被控訴人の税務関連事項について指導助言すべき立場にあったP33事務所税理士のP34が被控訴人の事業管理部長P35に宛てた平成4年8月28日付け書簡(乙6。以下「書簡5」という。)において明らかにしている。書簡5によれば,被控訴人は,P20を買い取りその後の一連の取引により総額1億1200万クローネの損失を被ることを予測し,この損失をそのまま被控訴人の投資損失として計上すると,我が国の税務当局から,当該損失はグループ内取引で生じた損失であり,取得前から予想していたものであるから損金とならないと指摘されると考え,この投資損失について寄附の意図ではなかったことを立証するための証拠書類を準備する必要があると考えたこと,P33事務所は,この損失を損金とすることは困難と承知しなが 金とならないと指摘されると考え,この投資損失について寄附の意図ではなかったことを立証するための証拠書類を準備する必要があると考えたこと,P33事務所は,この損失を損金とすることは困難と承知しながらも,損金とするための工作資料の提供を求めたことが判明する。 b被控訴人は,事前に事業計画を検討し,収益予測をすべきであるが,全くこのような検討をしていなかった。また,P20は,平成3年及び平成4年の「請求済売上高」が0であり,事業活動をしていなかった。 本件子会社8社の資本総額は952万4000クローネにすぎず,純資産額は少額であるのに,P20をして4416万8000クローネという高額で買い取らせた。 cP20の経営担当取締役がP10のP32であり,また,同社の税務申告書の署名欄に同人と並んでP28の名前もみられ,P32は,書簡4の発信人であり,後記のような各書簡の受信人であり,いずれ- 10 -も当該一連の行為の関係者であり,P20はこのような関係者により運営されていた。 dさらに,P20は,本件子会社8社のうちP12を除いた7社を取得後半年余りで無償に近い金額で売却した。 e上記を合わせ考えると,被控訴人は,P20を通して本件子会社8社の健全な事業経営を目指していたとは考えられず,むしろP20が本件子会社8社の株式を取得した当初から,本件子会社8社の事業を整理することを目的としていた。被控訴人は,P20を資金援助の窓口及び本件損失負担金の支出先として利用する以外に取得の必然性は見い出し難く,当初P10に対する資金援助を意図していたところ,スウェーデンのコントリビューション制度を利用しようとする場合,スウェーデン法人ではない被控訴人が直接資金援助したのでは制度の対象とならないが,スウェーデン法人であれば事業会社でなくともその ろ,スウェーデンのコントリビューション制度を利用しようとする場合,スウェーデン法人ではない被控訴人が直接資金援助したのでは制度の対象とならないが,スウェーデン法人であれば事業会社でなくともその対象となることから,P20にP10等の損失を集結させれば,個々の子会社等に発生した損失事由との関係が薄くなるとともに損失額も多額になり,税務当局に対する説明が容易になることや,P20を介して資金を注入すれば,個々の子会社に資金を直接注入するよりも資金の流れを曖昧にできるというメリットがあることも考慮したものであった。 (イ)P26との合弁会社(P25)設立についてa書簡1によれば,P10は,P26との契約解消・変更につき,「1000万クローネの一括払い契約を締結するが,金額の一部を金銭ではなく,当社の在庫商品で受け取ることを含める。」「P26が取引を拒否した場合には,P10は清算し,P10内の金銭で全債務を手当てする」としており,P10は清算を覚悟していたものであり,P20がP8に宛てた平成3年11月22日付け通信文(甲7)にお- 11 -いて,P20が販売会社に参加するとしており,この時点でP20の参加が確認されたものである。 b上記のように,P26との共同事業が将来性のある事業とは考えられず,P10において「合弁会社の設立は招来に向けた通常の事業投資ではなく,契約解除のための義務」とされていたのであり(乙15。 P25の設立の約2か月後である平成4年2月6日,P28ほか2名によりP25設立の趣旨が上記のものであることが確認されている。),P25の事業も順調ではなかった(乙14)。 cP25の設立が通常の投資であれば,P20及び被控訴人において,将来の収益性等を検討し,事業計画書,目論見書等の立案計画書が存在してしかるべきである ,P25の事業も順調ではなかった(乙14)。 cP25の設立が通常の投資であれば,P20及び被控訴人において,将来の収益性等を検討し,事業計画書,目論見書等の立案計画書が存在してしかるべきであるが,被控訴人の税務を担当したP36作成の陳述書(甲28)において,代表者であるP29の申立てを引用した部分で,P29が「十分な時間がなかったことから関連書類が作成されなかった」と上記のような書面が作成されなかったことを認めており,税務調査の過程でも,この投資につき取締役会議事録等の意思決定文書の提出もされなかった。 dしたがって,P20は,P10とP26との取引の後始末のため,将来性のない事業に多額の投資を行ったもので,この点においてもP20に正当な事業目的があったとは認められない。 (ウ)P11との事業提携についてaP6グループは,P11との間で,北欧でP11製品を販売するとの契約を結んでいたが,業績が上がらないことから,平成3年10月時点で,事業の撤退を計画し,合弁案か買い取り案を提案し,受け入れられない場合,第三者に売却することを考えていた(乙49)。 bそして,その後も業績は改善されず,P6側がP11に対し,早期の合弁ないし買い取りを迫り(乙50,51),平成4年2月,P1- 12 -1側が契約が終了する平成5年1月には,P6の事業を引き継ぎ,従業員を雇い入れる可能性を示唆したが,P6側はより早期の買い取りを求めた(乙52)。 c上記から明らかなように,P6側がP11に対し早期の買い取りを求め,撤退を図ろうとしていたのであり,この事業に収益性,将来性がなかったことが明らかである。 d前記のとおり,P33会計事務所のP34がP35に宛てた書簡5によれば,被控訴人は,一連の取引により総額1億1200万クローネの損失を被るこ 事業に収益性,将来性がなかったことが明らかである。 d前記のとおり,P33会計事務所のP34がP35に宛てた書簡5によれば,被控訴人は,一連の取引により総額1億1200万クローネの損失を被ることを予測し,この損失をそのまま被控訴人の投資損失として計上すると,税務当局から損金とならないと指摘されると考え,この投資損失について寄附の意図ではなかったことを立証するための証拠書類を準備する必要があると考えたこと,またP33事務所は,この損失を損金とすることは困難と承知しながらも,損金とするための工作資料の提供を求めたことが判明しているが,事業計画書(甲13)は,被控訴人が平成4年8月まではこれを保管していなかったこと(甲11)からすると,上記工作資料にあたるものというべきである。 ウP20の損失について(ア)P20は,前記のとおり,平成4年12月期の株式売却損等7469万7000クローネ(約15億円)の特別損失を計上しているが,その内訳は以下のとおりである。 a本件子会社8社のうちP12を除く7社の株式の売却損として5204万3000クローネ(約11億1000万円)投資総額が5204万3000クローネとなっているところ,この株式を無価値として売却したことによる損失である。 bP25株式売却損として900万クローネ(約1億9000万円)- 13 -cP12株式評価損として358万クローネ(約8000万円)P12への投資が412万1000クローネと計上されているところ,54万1000クローネと評価して差額の358万クローネを評価損として計上したものである。 d営業休止費用として1007万4000クローネ(約2億2000万円)(イ)P20は,前記のように,P26関連事業及びP11関連事業がいずれも収益性がなく,P6グループ て計上したものである。 d営業休止費用として1007万4000クローネ(約2億2000万円)(イ)P20は,前記のように,P26関連事業及びP11関連事業がいずれも収益性がなく,P6グループにおいてその継続を意図していたのではなく,損失が改善されることがないことを予測しながら,殊更に高額で買い取ることにより本件子会社8社を取得し,うち7社を6か月余りでほとんど無償で売却するなどし,P10の損失を持ち込んだものである。 (ウ)P25株式売却損についてP25の設立は,前記のように,将来に向けた通常の事業投資ではなく,P10及びP26が契約解除をするためのP10の義務であり条件とみなされるべきものであり,P20は,P10がP26に負っている契約解除のための解決金をP10に代わってP25設立・投資という仮装行為により支出したものであり,何らの経済的合理性がないのになされたものである。 エ本件損失負担金について(ア)本件損失負担金25億6000万円は,P20に対し,名目上は増資資金及び事務所経費として送金されているが,それらはいずれも単に名目的なものにすぎず,しかも,送金時の相場ではない相場を用いて過大な額を送金している。この点につき,P35が平成4年11月23日,P32に宛てた書簡(乙9。以下「書簡8」という。)において,P20の損失を手当てするための資金が多額にのぼることを問題とした中で- 14 -指摘していることで明らかである。 (イ)P20は,被控訴人から受領した本件損失負担金25億6000万円について,受領直後にP7に20億5273万9721円を,被控訴人に借入金の返済として5億0783万8114円をそれぞれ送金し,また,P7は,P20から受領したのと同時に被控訴人への借入金10億円(利息5273万9721円)の 億5273万9721円を,被控訴人に借入金の返済として5億0783万8114円をそれぞれ送金し,また,P7は,P20から受領したのと同時に被控訴人への借入金10億円(利息5273万9721円)の返済及びP20株式購入代金10億円として送金し,被控訴人に還流させている。P7のした返済は,平成5年3月31日に返済されることが決定されていたのを繰り上げ返済され,契約書上は配当と相殺すべきであるのに,利息を現金で支払ったものである。この還流が計画的であることは,平成4年12月18日付け被控訴人の財務経理室長P37作成の文書(乙59)から明らかである。P37は,本件P20口座への本件損失負担金の送金をするにあたり,「同日に,P38(P39をいう。)へ送金し戻して下さい。」と指示し,送金前に還流されることについて被控訴人とP20は示し合わせていたのである。 (ウ)P20の債務返済について被控訴人は,P9グループの金融部門であるP9トレジャリーセンター(以下「トレジャリーセンター」という。)がP12に対し約10億6000万円の債権を有し,P20がその返済をしたと主張するが,当初は,上記金額が被控訴人のP7からの短期借入金であると主張していたものであり,損失の内容も検討せずにその負担をしたことが明らかである。P20の損失負担に際して,被控訴人とトレジャリーセンターとの間で,合理的な再建計画が策定されていたことはないし,被控訴人のみがP20の債務全てを負担し,しかも,その中にはP20のトレジャリーセンターに対する約10億6000万円の負担も含まれていたというのであって,このような損失負担が「やむを得ず」行われたものとは- 15 -到底いえないし,これについて「相当な理由」があるともいえない。 オ被控訴人のP20に係る損失の損金算入について というのであって,このような損失負担が「やむを得ず」行われたものとは- 15 -到底いえないし,これについて「相当な理由」があるともいえない。 オ被控訴人のP20に係る損失の損金算入について(ア)まず,法人税法33条1項は,株式評価損の損金算入を原則として禁じつつ,同条2項で例外的に損金算入を許す場合を定めている。これを受けて,同法施行令68条,法人税基本通達(以下「法基通」という。)9-1-9,9-1-10等に具体的基準が定められ,これらによると,P20株式の消却損を損金に算入し得るか否かは,平成4年末の時点において,その価額が帳簿価額の概ね50パーセント相当額を下回り,かつ,近い将来その価額の回復が見込まれない状況であったか否かによることとなる。 P20の純資産額は,当初を大幅に下回っているものの,P20が1億0944万クローネの資産を有していることからすると,同社の資産状態が著しく悪化したといえるかは疑問があり,たとえ資産状態が帳簿価額の50パーセントを下回っていても,新設法人において営業の1年目に赤字になったからといって,その状態が継続するものとはいえず,近い将来にその回復が見込まれないとの要件に該当しない。したがって,被控訴人は,P20への出資金自体を平成4年末の時点で償却して損金処理することはできない状態にあった。 (イ)次に,貸付金につき貸倒損失として損金算入しうるか否かは,法基通9-6-1及び9-6-2が定め,全額回収不能の状態が生じていることが必要とされている。しかし,P7については,そのような状況が生じていないことはもちろん,P20について債務超過状態ではあるものの貸金全額の回収が不能であったとは認め難いから,両社への貸付金を平成4年末の時点で貸倒損失として損金処理することはできなかったといわざるを得 ことはもちろん,P20について債務超過状態ではあるものの貸金全額の回収が不能であったとは認め難いから,両社への貸付金を平成4年末の時点で貸倒損失として損金処理することはできなかったといわざるを得ない。 (ウ)また,P20に対する貸付金については,子会社等を整理する場合- 16 -の損失負担金に関する法基通9-4-1の適用が問題となるが,被控訴人がこの貸付金を放棄することは,同通達にいう「やむを得ず,その負担又は放棄するに至った」ものとはいえず,損金の額には算入されない。 カ本件損失負担金の寄附金該当性(ア)寄附金とは,金銭等の資産の無償譲渡又は経済的利益の無償供与であるが,損失を負担しなければより大きな損失を被ることが明らかであるため,やむを得ず負担を行う場合等,その経済的利益の供与につき経済取引として十分首肯し得る合理的理由がある場合には寄附金には当たらないと解されている。しかしながら,事業関連性のない寄附金は,そもそも所得の処分というべきものであり,これを寄附金に該当しないものとすることは,恣意的な処分を許すことになるから許されず,上記合理的な理由の判断は,寄附行為それ自体ではなく,寄附に至る全過程を検討してなされるべきである。 (イ)被控訴人は,正当な事業目的がないまま,多額の損失を進んで負担し,その負担を後日に損金処理することによって,税務上控除を受けることを意図し,本件損失負担金を支出したものであり,その全過程を総合してみた場合,被控訴人は,恣意的に損失を持ち込んでこれを補填したものであり,経済的な合理性がないことが明らかである。 (ウ)本件損失負担金につき,子会社等を整理する場合の法基通9-4-1の適用が問題となるが,以下のとおり,同通達にいう「その損失が負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになるこ かである。 (ウ)本件損失負担金につき,子会社等を整理する場合の法基通9-4-1の適用が問題となるが,以下のとおり,同通達にいう「その損失が負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかと認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当の理由がある」との要件は,事業関連性,直接性,明白性及び非裁量性の要件を示すものであるところ,本件損失負担金については,これらの要件を満たすものではないa「子会社等の解散,経営権の譲渡等」(子会社からの撤退)につい- 17 -て,被控訴人は,P20の株式を売却したものの,売却先は被控訴人の親会社であるP7であり,P20は現在も被控訴人と同じグループの法人として存在しているのであるから,実質的にみれば,本件損失負担金の支出が子会社からの撤退に伴って行われたものであるとはいえない。 当該譲渡は,被控訴人とP7が同一グループに属する別法人であることを利用して,法基通9-4-1の適用を受けるために,子会社の経営権を譲渡したという形式を整えたものにすぎず,そもそも法基通9-4-1の適用外である。 bこの点,被控訴人は,P20は,P7の完全子会社となったことによってスウェーデン法人となり,P9よりコントリビューションを受けられるようになったのであるから,被控訴人からP7への譲渡には意味がある旨主張する。 しかしながら,P20がそもそも実体のない休眠会社であり,譲渡時も休業中であったことからすれば,P7にとって,P20を取得しなければならない理由はない。被控訴人は,欧州には休眠会社が多数存在し,休眠会社の売買は日常茶飯事であると主張するものであるから,P20も休眠会社としておけば足りたはずである。 このように,被控訴人及びP7が,P20を休眠会社のまま 人は,欧州には休眠会社が多数存在し,休眠会社の売買は日常茶飯事であると主張するものであるから,P20も休眠会社としておけば足りたはずである。 このように,被控訴人及びP7が,P20を休眠会社のままににしておくという最も簡便な方法を採らなかったことは非裁量性の要件を欠くことになるし,わざわざ被控訴人にP20の損失補填をさせ,これを取得するという迂遠な方法を選択したのは,被控訴人に税務上の損失を発生させること及び資金循環によりP7の被控訴人に対する借入金を消滅させる目的であったと推認され,事業関連性の要件も満たさないというべきである。 c「その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ること」に- 18 -ついては,本件損失負担金の支出時において,既に本件子会社8社のうち7社は売却され,P12は休業状態にあったのであり,このような状況において,被控訴人に将来いかなる損失が発生する見通しであったか不明である。そもそも,P20は従業員もいない持株会社であり(甲40。ただし,平成4年には2名従業員がいる。),従業員の整理等の負担がなく,新たな資金注入の必要がなかったのである。また,譲渡先が同一グループに属する別法人であり,直ちに赤字を穴埋めする必要もなかったのである。将来のより大きな損失を避けるため,やむを得ずとった処置とは考えられない。 d被控訴人は,強制解散を避けるためやむを得なかったと主張するが,P20が平成4年12月期には利益配当をしたことなどからすれば,強制解散を念頭に置くべき状況は生じておらず,しかも,この制度が会社債権者を保護する制度で,株主総会か取締役会の申請により開始するものであり(甲43),P20が被控訴人の100パーセント子会社であること,会社債権者もP6グループ以外には存在しないことからすると,解散命令の申 する制度で,株主総会か取締役会の申請により開始するものであり(甲43),P20が被控訴人の100パーセント子会社であること,会社債権者もP6グループ以外には存在しないことからすると,解散命令の申請や発動がなされるものとは考えがたい。 仮に解散命令を受けるおそれがあるというなら,その回避のためP20を清算すれば良いのである。 キ 結論 したがって,被控訴人の一連の行為は,P10の子会社の損失を持込んだものであり,正当な事業目的によるものではなく,本件損失負担金は,より大きな損失を回避するためやむを得ずなされたものとはいえず,その使途からみても,被控訴人の負担すべきものではないことが明らかであるから,寄附金であって損金として扱えないものである。 (2)被控訴人の主張ア被控訴人がP20を立ち上げた経緯及びP20の事業- 19 -(ア)被控訴人の事業目的等についてa被控訴人の兄弟会社であるP10グループは,北欧においてP11の移動電話機など電子機器を輸入し販売する等の事業を行っていた。 この事業は,昭和63年までは順調かつ好調であったが,平成元年に新規に取扱いを始めた商品が不成功に終わり,また,移動電話機の販売実績も形式の陳腐化などにより利益が上がらなくなり,さらに,北欧地域の経済事情が悪化したため急速に業績が悪化に転じた。このような状況から,P6グループは,平成3年6月の時点において,事業の再編を迫られることになった。 bP6グループは,各社の事業内容を洗い直し,選別再編し,不採算部門を切り捨て,採算の合う部門を残すこととし,被控訴人は,移動電話機について,P11と苦境打開のための協議を重ねていたため,グループ再編構想の中で被控訴人による事業投資が行われることとなった。また,同時に不採算部門は切り捨てられ,移動電話,電子機器 ,移動電話機について,P11と苦境打開のための協議を重ねていたため,グループ再編構想の中で被控訴人による事業投資が行われることとなった。また,同時に不採算部門は切り捨てられ,移動電話,電子機器部品,データ周辺機器等は将来利益を上げる可能性のある事業として残され,現に生じている損失については親会社であるP10において損失を補填し,新たに被控訴人がP20を立ち上げ,これに事業を集約させることになった。 cそこで,当時,景気の先行きは持ち直すであろうとの見通しがなされており(甲16の1,2),また,P11の画期的な小型移動電話機器が,平成3年末か遅くとも平成4年に入って間もなく市場に投入されることが予定されていたことから,被控訴人は,以下の条件で企画を立て,これが受け入れられた。 ①被控訴人は,P10グループの親会社となる。親会社として利益を享受することもあるし,逆にリスクを負うこともある。 ②P10グループ8社(本件子会社8社)について,それぞれ展開- 20 -している事業部門を分析し,収益の上がる見込みのない事業部門は切り捨ててP10の下に残すこととし,有望と思われる事業部門のみを抽出し,被控訴人がこれを買収する。 ③8社の買収価格はP10の簿価とする。ただし,その簿価が正当な取引価格を下回っている場合は,P10はその差額をグループコントリビューションにより各社に提供する。 d被控訴人は,本件子会社8社のうち有望事業部門のみを買収したものであり,次のような方法がとられた。 ①被控訴人は,スウェーデンにおける休眠会社(P20)を買収しその社名を変更し,増資資金として10億6000万円を出資提供し子会社とする。そして,P20に5億円を貸し付け,合計15億6000万円の資金を提供し,これを用いてP20は本件子会社8社の株式を しその社名を変更し,増資資金として10億6000万円を出資提供し子会社とする。そして,P20に5億円を貸し付け,合計15億6000万円の資金を提供し,これを用いてP20は本件子会社8社の株式を取得し,P20を通じ被控訴人の支配下に置く。 ②被控訴人が,スウェーデンに所在する管理統括持株会社P20によるP10の子会社に対する間接支配の手段を取ることにより,スウェーデン税制,すなわち同国のグループ内の損益通算を認める規定によってグループ間の損益通算が利用可能となった。 e被控訴人は,このようにスウェーデンにおける事業を再編し,平成3年11月1日に発足したP20は,本件子会社8社を実働部隊として事業を開始し,平成3年11月1日から同年12月31日までの財務諸表(甲12)が作成された。また,平成4年から平成6年までの事業計画書(甲13)がP11の主導で作成され,実行予算を組み(甲14。実行予算書),それを基にして北欧における統括会社として事業展開をした(甲15)。P6側とP11との協議が重ねられ,平成4年1月29日に会議が開かれ(その議事録が甲31),事業計画の完成目標が同年3月16日とされ,同月24日に出来上がったも- 21 -のが,事業計画書(甲13)において,[1992年3月24日追加部分]とされているものである。 (イ)P10の本件子会社8社に対する損失補填及びP20の買入価格aP10が行った損失補填P10は,P20との間で,子会社を売却するに当たり2600万クローネの損失補填を合意し,実行している。P10がこの金額を了承したのは,P10の子会社が平成2年末までは業績が順調であり,各社にかなりの内部留保があったものの,急激に不況が進行したため,平成3年(同年1月から12月まで)の予想損失について,同年11月20日ころ のは,P10の子会社が平成2年末までは業績が順調であり,各社にかなりの内部留保があったものの,急激に不況が進行したため,平成3年(同年1月から12月まで)の予想損失について,同年11月20日ころその額を推定し,これが2600万クローネであったため,その額の填補を合意したものである。 P10は,2600万クローネを子会社に填補してからP20に簿価で売却したから,簿価から2600万クローネ値引きして売却したのと同じである。 bP20が行った本件子会社8社の取得が高額買取りではないこと株式の価格は,企業の純資産価額と連動して動くものではなく,その決定要因は企業の将来性の予想に基づくものであり,被控訴人は,将来の収益獲得を目的に取得するのであるから,その買入価格の評価は収益還元価値によるべきである。 また,株価の評価は,特定の価格というよりも合理的な範囲の幅に含まれる価額というべきであり,常に相対的な評価額である。この観点からすれば,本件子会社8社の株式の評価額は合理的な範囲に含まれ,適正な評価額といえるものである。 平成3年11月22日に,本件子会社6社の売却条件が合意されたが,この合意によれば,売買の金額はP10の簿価とし,ただし,平成3年度の子会社に発生した損失をP10が補填して適正とみなされ- 22 -る価額まで復元したものをP20に買い取らせるというものである。 すなわち,P6グループ相互間では,株式移転は売買時の簿価で行うという制約があるため,P10の子会社の株式の簿価を減額して買い取ることをせずに,P10が損失を補填することで問題を解決したのである。被控訴人は,買入価格を公認会計士と念入りに討議し決定したものであり(甲26,36),加えて本件子会社8社の株式評価についての会計処理は,会計士検査(甲12)によって,正当性を承 解決したのである。被控訴人は,買入価格を公認会計士と念入りに討議し決定したものであり(甲26,36),加えて本件子会社8社の株式評価についての会計処理は,会計士検査(甲12)によって,正当性を承認されている。 (ウ)P25の設立についてaP10は,P26との間で,代理店取引契約の解除のための合意において2400万クローネを支払うことになり,これを自ら支払った。また,その合意において合弁会社設立に関する権利を留保していたが,その権利を行使するか否かは全く自由であった。P10は子会社設立による事業継続は行わず,その権利をP20に委ねた。 bP20は,平成3年10月,今後経済が回復する見通しのもと,P26の電信事業部門が有望であると考え,P10から合弁設立に関する権利を無償で譲り受け,合弁会社P25の設立に参加した。P20の出資は1000万クローネ(現金600万クローネ,商品400万クローネ)で,P20は,こうしてP25の共同経営に乗り出した。 cP20がP25の共同経営に参加するにあたっては,収益性を検討するため計算書類を作成し(甲48には,「平成4年度予算書」の語句がある。),監査人(公認会計士)の助言を得ながら判断をし,取締役会決議を経ているものであり,被控訴人が税務調査において,提出を求められながらその資料を提出しなかったという事実はなかった(甲58)。 イ本件損失負担金について- 23 -(ア)本件損失負担金は,P20が仮決算において多額の損失を算定され,強制解散の規定に抵触することを避けるために法人税基本通達9-4-1による損失負担として支出したものである。 (イ)P20が損失を被るに至った経緯aP20グループは再編時のもくろみに反して,平成4年夏ごろまでの短期間に多額の損失が見込まれることとなった。すな 1による損失負担として支出したものである。 (イ)P20が損失を被るに至った経緯aP20グループは再編時のもくろみに反して,平成4年夏ごろまでの短期間に多額の損失が見込まれることとなった。すなわち,他社の移動電話が北欧市場を席巻し,P11製品が性能面でも劣っていたことに加えて,北欧特にスウェーデン経済が大混乱に陥り,被控訴人が本腰を入れて取り組んだ北欧事業は壊滅的な打撃を受けることとなった。そして,P11との合弁計画も失敗に終わった。 同年5月から6月にかけて,スウェーデンの電話通信部門の在庫品及び設備をP11に売却したものの,同年10月の時点で,P20は,そのまま推移すれば損失がますます拡大するおそれが生じ,結局P20を整理することがこれを回避する最善の措置であると判断され,P20及びその子会社P12の整理を行うこととした。 また,P20は,電信事業を行うべくP25の共同経営に乗り出したが,スウェーデンの経済恐慌に見舞われ,同年9月に至り,P20としては,そのまま経営を続けては損害が重なるだけであると判断し,その出資権1000万クローネを100万クローネで共同出資者であるP27に譲渡せざるを得なくなり,900万クローネの損切りをした。 bその結果,P20は,同年10月31日の仮決算時においては,25億6000万円(1億1977万クローネ)の欠損金を計上せざるを得ない状況に陥った。 cスウェーデン商法は,会社の純資産が払込資本金の半分以下になって猶予期間内に回復しない場合には,強制解散の規定(甲6の1ない- 24 -し3,43)が適用されることとなり,これを避ける方法としてキャピタルインジェクションを行うのが通常であるから,被控訴人もこれによってP20の強制解散を回避した上,P20をP7に譲渡することで整理を終結した。 適用されることとなり,これを避ける方法としてキャピタルインジェクションを行うのが通常であるから,被控訴人もこれによってP20の強制解散を回避した上,P20をP7に譲渡することで整理を終結した。 d被控訴人は,上記P20の仮決算に基づき,その際に計上された損失予想額である25億6000万円を子会社等の整理について負担する損失として支出し,平成4年12月期の損金としたものである。この送金額は,仮決算で算定された同年10月末の為替レートで固定されたものであり,送金時のレートでは損失補填が不足するためであった。 e控訴人は,被控訴人の会社幹部間で交わされた書簡が証拠であるとして,その記載内容から過少申告を行うための仮装行為の故意が存在すると主張するが,その内容を誤認するばかりか,あくまで書簡であって,意思決定に至る以前の検討過程を示すにすぎないことを看過するものである。また,書簡1ないし4は,北欧事業についての意見交換に関する書面で,書簡1,2は受取人の賛同が得られず,その後に書簡3,4で意見が集約され,結論(甲7。P31宛てのP28ら作成の書簡に記載。)をみるに至ったものである。書簡5,6及び9は,平成4年8月当時,財務担当職員として赴任してきたP35とP34との間で取り交わされた書簡及びP35が作成した書簡で,P35は,赴任直後で,経理状況・財務内容に対する理解が十分ではなく,事情がよくわからない間に取り交わされた文書にすぎない。 fまた,控訴人は,本件損失負担金支出に至る経緯において通常存在する取締役会決議等の資料を被控訴人が提出しなかったかのように主張するが,被控訴人は,P29をチューリッヒから呼び寄せ,P35が出頭して口頭で説明するなど税務調査に最大限の協力をし,必要な- 25 -書類を提出している(甲28)。 (ウ) かったかのように主張するが,被控訴人は,P29をチューリッヒから呼び寄せ,P35が出頭して口頭で説明するなど税務調査に最大限の協力をし,必要な- 25 -書類を提出している(甲28)。 (ウ)本件損失負担金の使途等aP9トレジャリーセンターに対する債務弁済本件損失負担金の使途は,第2の2(3)クに記載のとおりであるが,P20が返済した10億6000万円は,P12がトレジャリーセンターから借り入れたものであり,P12がP20の子会社となったことから,P20グループの負担となったものである。 このように被控訴人が損失を負担したことについては,P20設立時にP12を買収した当時からP12がすでに負担していた債務であるから,親会社である被控訴人が弁済しなければならないことは当然である。P20を立ち上げ,それによって獲得される利益はすべて被控訴人が取得しながらリスクは負わないということは許されないからである。P12は,買収時には,資産が負債を超過し,純資産55万8000クローネを有しており,P20の管理下で債務が残ってしまったのであるから,その負担をするのは相当である。 bP20は,P25の出資権を共同出資者であるP27に譲渡せざるを得なくなり,900万クローネの損切りをしたが,P10は,契約解除料2400万クローネの支払義務を負い,その履行をしており,P27との合弁会社への出資の損切りはP20の損失であり,負担すべきは当然であり,P10の損失を負担したものではない。 c株式売却損について被控訴人は,P20株を額面5000万クローネで売却し,10億円を回収し,そのため投資株式の額10億6000万円との差額6000万円を株式売却損として計上した。これは,投資時と売却時の為替レートの差による為替差損と見るべきものであり,これも海外投 し,10億円を回収し,そのため投資株式の額10億6000万円との差額6000万円を株式売却損として計上した。これは,投資時と売却時の為替レートの差による為替差損と見るべきものであり,これも海外投資特別損(特別損失)として良かったものである。 - 26 -d控訴人は,被控訴人からP20へ,P20からP7を経由して被控訴人に還流させたと主張するが,P7が返済したのは平成元年の借入金10億円であり,本件損失負担とは別個の事柄である。また,P20から10億円の貸付がなされ,P7がその資金を株式購入資金に使用したものであり,通常の金銭消費貸借取引や契約による売買取引が行われたのであり,これら取引は正しく記帳され,それに基づいて財務諸表(甲40,46)が作成されている。 また,控訴人は,通信文(乙59)の記載を計画的な還流の証拠と主張するが,これは,P20宛の文書ではなく,P32宛のものであり,折り返し送金するように依頼したものであり,送金したものをそのまま返金するように指示したものではない。 争点2(法人税法127条1項3号の事由の存在)に関する当事者の主張(1)控訴人ア青色申告制度と取消事由(ア)法人税法121条1項は,内国法人は,納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には,中間申告書,確定申告書及び清算事業年度予納申告書並びにこれらの申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができるとするが,これは,納税者の自主的かつ公正な申告により納税義務の確定及び課税の実現を確保するため,法規の定めに従い誠実かつ信頼性のある記帳を約した納税義務者には,特別に青色による申告書の提出を認め,白色申告者に比べて種々の特典を与えるものである。 (イ)同法127条1項は,同法121条1項(青色申告)の承認を受けた内国法人につき を約した納税義務者には,特別に青色による申告書の提出を認め,白色申告者に比べて種々の特典を与えるものである。 (イ)同法127条1項は,同法121条1項(青色申告)の承認を受けた内国法人につき次の各号のいずれかに該当する事実がある場合には,納税地の所轄税務署長は,当該各号に掲げる事業年度までさかのぼって,その承認を取り消すことができ,この場合において,その取消しがあっ- 27 -たときは,当該事業年度開始の日以後その内国法人が提出したその承認に係る青色申告書(納付すべき義務が同日前に成立した法人税に係るものは除く。)は,青色申告書以外の申告書とみなすと定め,各号の三として,「その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し,その他その記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること」とし,同号の事業年度として当該事業年度を掲げている。 (ウ)同号の前段でいう「隠ぺい・仮装」は,積極的に帳簿を操作し,欺罔しようとするものであるから,その違法の程度や改善の可能性にかかわらず,青色申告制度の前提となる信頼関係を毀損する行為として抑制される必要がある。また,同号後段である「記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由がある」というのは,隠ぺい・仮装のような積極的な作為は必要なく,これが認められなくても,帳簿の随所に脱漏や過誤があるなど,記帳能力や記帳意欲不足から帳簿全体が信頼性に欠ける場合を意味するものと解される。 (エ)そして,同号前段でいう取引とは,いわゆる簿記上の取引をいうものと解され,適正な勘定科目に仕訳することも納税者の記帳義務に含まれると解されることからすれば,前提となる取引事実を隠ぺい,仮装したりした上,これに基づいて帳簿記載をする場合に限らず,帳簿上の殊更な と解され,適正な勘定科目に仕訳することも納税者の記帳義務に含まれると解されることからすれば,前提となる取引事実を隠ぺい,仮装したりした上,これに基づいて帳簿記載をする場合に限らず,帳簿上の殊更な虚偽記載,たとえば,本来付すべき勘定科目を故意に別の勘定科目に虚偽記載することや,取引自体に関する帳票は保管していてそれ自体隠ぺいしなくとも,故意にその取引を記載しないという帳簿操作自体も帳簿上の隠ぺい・仮装に当たると解される。すなわち,同号の文言上も,「一定の私法上の取引事実自体を隠ぺい仮装し,これに基づいて帳簿書類上に記載ないし記録する」とは規定しておらず,解釈上も私法上の取引事実を隠ぺい仮装して記載することまでは要件とされず,端的に帳簿- 28 -書類の虚偽記載が含まれるものと理解すべきである。 イそして,被控訴人は,①本件損失負担金が寄附金であることを知りながら,あえて別科目である特別損失に記載して損金処理をしようとしたこと,②簿記会計上真実の取引の内容にあえて合致しない取引を帳簿記載したことにおいて,上記「仮装」があるというべきである。 本件において,被控訴人は,P10が本来負担すべき費用を肩代わりした場合,本件一連の行為が行われなければ被控訴人に租税特別措置法66条の4により課税関係が生じるところ,被控訴人の税負担を回避ないし軽減するために,グループ企業内における資金の移転や企業の譲渡が融通無碍になし得ることを利用し考案した一連の取引を実行し,帳簿書類にその事実を記帳して法基通9-4-1に合致させ,課税要件の充足を免れようとしたものであり,国税庁長官が国税局長らに宛てた平成12年7月3日付け「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」(以下「事務運営指針」という。)の第1賦課基準の1(2)②の「帳簿書類の改ざん(偽造 あり,国税庁長官が国税局長らに宛てた平成12年7月3日付け「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」(以下「事務運営指針」という。)の第1賦課基準の1(2)②の「帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。),帳簿書類への虚偽記載,相手方との通謀により虚偽の証ひょう書類の作成,帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の処理を行っていること」に該当する。 ウすなわち,被控訴人は,本件損失負担金が,前記のとおり,正当な事業目的がなく,P10の損失を持ち込んだ上行われたものであり,より大きな損失を回避するためのやむを得ない支出ではなく,貸倒損失,株式評価損も認められず,寄附金から除外される支出に当たらないことを知って,あえて損金処理すべく,特別損失に計上し,その所得金額から本件負担金額を控除し,所得金額を過少にし法人税を免れようと企て,平成4年12月31日の仕訳において,借方寄附金25億6000万円,貸方仮払金25億6000万円と記載すべきを,借方特別損失25億6000万円,貸方仮払金25億6000万円と仕訳を行い,帳簿上に故意に虚偽記載を行- 29 -ったものであり,これが帳簿操作に当たり,法人税法127条1項3号に該当する。 エ被控訴人が上記認識を持っていたことは,4(1)ア(エ)に記載した書簡2ないし4において,被控訴人が迂回措置を講じて,P10の損失の持ち込みを図ったことから明らかであるほか,以下の書簡から明らかである。 (ア)前記のとおり,P34は,平成4年8月28日付け書簡5において投資損失(P20の投資を償却する案)について税務上の控除を受けることは難しいとの認識を示し,P35は,同年9月14日付けのP9のP40宛の書簡(乙7。以下「書簡6」という。)では,日本の税務当局はこのコストを費用と認定 償却する案)について税務上の控除を受けることは難しいとの認識を示し,P35は,同年9月14日付けのP9のP40宛の書簡(乙7。以下「書簡6」という。)では,日本の税務当局はこのコストを費用と認定するとは思われないとの意見を表明していたのである。 (イ)そして,P37がP35に充てた同日付け書簡(乙60。以下「書簡13」という。)によれば,被控訴人において同年中に1億5000万クローネ(約34億5000万円)を特別損失として計上する予定であることを知らされたことに関し,P7に対する貸付金10億円,P20に対する資本投資10億6000万円及び貸付金5億円を除いた残額約8億9000万円についてはどのような取引をあてるか,損失の計上時期をいつにするか等を明確にするよう指示を求めたことが明らかであり,不明の損失まで税務上損金処理しようとしていたのである。 (ウ)被控訴人の財務部から,同年10月12日,P35に宛てた書簡(乙8。以下「書簡7」という。)によれば,被控訴人がP20への長期貸付金及び資本投資の計1億2000万クローネについて特別損失として計上する予定であるとし,特別損失1億2000万クローネは,損金とならないと考えていたことが明らかとなる。 (エ)P35は,同年11月23日,P32に書簡8を宛て,これによれば,被控訴人としては,P20の損失を手当てするための資金が多額に- 30 -のぼることを問題としながら,さらにこの時点でP10等の損失補填については,すでに多すぎるほどの問題点が山積していることを指摘していることが明らかとなる。 (オ)また,P34は,同年12月1日付けP35宛の書簡(乙10。以下「書簡9」という。)では,P20を清算することが前提とされ,P20を存続させたままでは貸倒損失の計上は困難と判断し,P35は, (オ)また,P34は,同年12月1日付けP35宛の書簡(乙10。以下「書簡9」という。)では,P20を清算することが前提とされ,P20を存続させたままでは貸倒損失の計上は困難と判断し,P35は,同月4日付けP9のP41に宛てた書簡(乙11.以下「書簡10」という。)では,P33事務所から提言があり,これに従うと従前の戦略を完全に変更することとなるとし,P34は,同月8日,P35に宛てた書簡(乙12。以下「書簡11」という。)において,P20が存続すると,我が国の税務当局は財務状態が好転する可能性があるとして貸倒損失を認めないと思われるので,P20を清算すべきであること,被控訴人のP20への追加投資(P7から貸付金を移転することによる)は,それがP20の清算に関連して,被控訴人のP20への投資による追加損失に歯止めをかけるためのものであるならば損金として認められる可能性があるが,追加投資が別の関係会社に補償するためのものであれば,貸付金の移転は税務上認められないこと等を検討していたことがうかがわれる。 (カ)P35は,平成5年1月12日,P9のP42他に宛てた書簡(乙13。以下「書簡12」という。)において,被控訴人はP20を買い取った後の一連の取引により,平成4年末において総額2090万米ドルの損失が生じるという複雑な税務問題を抱えており,これを特別損失として計上していること,我が国の国税局が税額計算にこのような控除を認めるとは思えないこと,この金額の申告について悩んでいることを述べている。 オ個々の取引の仕訳においても,被控訴人は,真実の取引に合致しない取- 31 -引を帳簿記載している。 (ア)5億円は,自ら資金を出してその返済を受けたもので,P20への債権放棄であり,P20への貸付金を消滅させ(貸付金の貸方計上), ,真実の取引に合致しない取- 31 -引を帳簿記載している。 (ア)5億円は,自ら資金を出してその返済を受けたもので,P20への債権放棄であり,P20への貸付金を消滅させ(貸付金の貸方計上),債権放棄という寄附をした(寄附金の借方計上)との経理処理をすべきであった。 (イ)また,10億円分は,送金翌日にP20からP7に貸し付けられ,被控訴人に還流している。被控訴人は,送金時に10億円を仮払金とし,その翌日に仮払金を消去し,平成4年12月31日,投資有価証券を貸方計上し(P20株式という資産が減少),10億円の仮払金を借方に復活させ,その上で仮払金をその他特別損失に振替処理した。しかし,わずか2日間で資金流入がなされ,グループ企業間での取引であり,被控訴人がP20の使途を承知していたと認められることからすれば,P7にP20株を無償譲渡したという実質的に行われた取引,すなわち,P20株をP7に寄附したとする取引に合致する処理をしなければならなかった。 (ウ)以上のとおり,15億円分の取引につき,真実に合致しない取引を帳簿上記載したものであり,被控訴人は,課税庁の信頼を損ない,青色申告制度の秩序を害する行為に及んだと見るべきである。 カまた,上記「隠ぺい・仮装」の意義は,重加算税の場合のそれと同義であると解されるところ,最高裁判所平成7年4月28日判決の判示に従えば,重加算制度の趣旨に照らし,「納税者が,当初から所得を過少申告することを意図し,その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上,その意図に基づく過少申告をしたような場合には,重加算税の賦課要件が満たされるものと解すべきである。」というのであり,当初から意図された過少申告行為であり,その意図が行動によって外部からもうかがい得るような場合には,隠ぺい仮装と評価すべき行 ,重加算税の賦課要件が満たされるものと解すべきである。」というのであり,当初から意図された過少申告行為であり,その意図が行動によって外部からもうかがい得るような場合には,隠ぺい仮装と評価すべき行為が存在するものとして重加- 32 -算税の賦課要件が満たされるのであり,計画的な故意ある過少申告行為のうちの計画性を示す行為をも「隠ぺい・仮装」に含める趣旨と理解できる。 したがって,法人税法127条1項3号の適用においても,過少申告の意図を実現するための特段行動があり,その行動によってその意図が外部からもうかがい得るような場合には,当該行動をもって隠ぺい・仮装と評価することができ,これが帳簿上に記載されていれば,同号の要件を満たすのであり,帳簿書類に記載された行為の私法上の効力の有無は問題とならないというべきである。 (2)被控訴人の主張ア前記のとおり,被控訴人の行為計算は適正であり,仮装はない。したがって,法人税法127条1項3号に該当する行為は存在せず本件取消処分は違法であり,それを前提にした本件各更正処分等も違法である。 すなわち,本件損失負担金は,P20の仮決算で算定された損失金そのものであり,「強制解散」という将来の大きな不利益を回避するためなされたやむを得ない支出であり,その内訳は次の損失である。 a貸倒損失P20に対する債権譲渡(貸倒損金)5億円b株式評価損P20の株式の評価損10億円6000万円は株式売却損として別途計上。 c寄附金P12のトレジャリーセンターへの借入金弁済を親会社責任により負担。 イ仮に,被控訴人の行為計算が適正を欠くものであったとしても,被控訴人の行為は私法上有効であり,その取引内容が記帳されているのであり,控訴人は,被控訴人の一連の行為につき行為の効力が否定されるとの主張,立証を行 人の行為計算が適正を欠くものであったとしても,被控訴人の行為は私法上有効であり,その取引内容が記帳されているのであり,控訴人は,被控訴人の一連の行為につき行為の効力が否定されるとの主張,立証を行っていないこと,帳簿の記帳が一連の取引行為と異なる記載ではないことからすれば,法人税法127条1項3号の「隠ぺい又は仮装」に該当する行為が存したとはいえないことが明らかである。 - 33 -すなわち,納税者が行った経済取引(簿記会計上の取引)について,取引の事実をありのままに簿記会計の原則に沿って帳簿上に記帳されている限りは,帳簿上に「隠ぺい仮装」はないとされる一方,取引そのものが過少申告を意図し「隠ぺい仮装した取引」であった場合には,その取引のありのままを記帳したとしても,「帳簿の記載事実は真実の取引とは異なるものであり,隠ぺい仮装した」と認められるのである。更には,取引自体に隠ぺい仮装の事実がなく,過少申告を意図した取引ではなくとも,帳簿等記載時に,過少申告を行うという確定的な意図のもとに取引事実と異なる「虚偽表示記載」を行う行為があった場合にも「隠ぺい仮装」が認められる。被控訴人が上記のような行為を行っていないことは明らかである。 ウ青色申告法人は,法令及び施行規則等の定めるところにより,一切の取引行為につき,複式簿記の原則に従い,勘定科目を用い一切の取引内容を記載することとされ,取引実態に即した勘定科目の利用は当然であるが,仮勘定といわれる「仮払金」や「仮受金」といった経理処理がなされ,最終経理処理として各勘定科目への振替処理がなされ,確定決算が行われることもあり,それまでは一時的な勘定科目を用いることが問題とされることはない。被控訴人は,争点となった一連の取引につき,資金の移動の都度,適切に勘定科目を用い仕訳処理をし,最終的な経 決算が行われることもあり,それまでは一時的な勘定科目を用いることが問題とされることはない。被控訴人は,争点となった一連の取引につき,資金の移動の都度,適切に勘定科目を用い仕訳処理をし,最終的な経理処理を判断し,法人税基本通達9-4-1による損失負担として確定決算を行ったものであり,課税庁と損金算入時期や損失処理について解釈の違いが生ずるとしても,上記経理処理が「真実の取引に合致しない取引として帳簿記載した事実」にあたるとはいえない。 また,寄附金は,法人税法37条7項において,寄附金,拠出金,見舞金,その他いずれの名義をもってするかを問わず,内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合における当該金銭の額と規定し,その金額を経済的な利益の実態で判断するとされており,- 34 -寄附金の損金不算入の適用にあっても,課税庁側と納税者で解釈違いを生ずることが多いのであり,「寄附金」という科目で仕訳を行わず,他科目費用と解釈する余地のある「特別損失」という科目で行ったからといって,虚偽の帳簿記載に該当するとの見解は採用される余地のないものである。 エ事務運営指針(甲27)において,これまで具体的な例示がなかった「隠ぺい・仮装」についての取扱基準の整備を行い,「交際費又は寄附金のように損金算入について制限のある費用を単に他の科目費用に計上している場合には,帳簿書類の隠匿,虚偽記載等に該当しない」と明記している。さらに,平成12年7月3日付けの国税庁の職員宛の配付資料(質疑応答集。甲59)には,「交際費を単に他の科目費用に計上している場合には,原則として帳簿書類の隠匿,虚偽記載等はないものとして取り扱うが,内部資料その他のものによって,帳簿書類へ意図的に事実と異なる記載をしていることが明らかであるということであ に計上している場合には,原則として帳簿書類の隠匿,虚偽記載等はないものとして取り扱うが,内部資料その他のものによって,帳簿書類へ意図的に事実と異なる記載をしていることが明らかであるということであれば,不正事実に該当する」としているが,被控訴人には寄附金課税を免れるための確定的な意図や故意は存在しないことが明らかであり,これに該当するものでもない。 オ控訴人が根拠にあげる被控訴人の幹部間での書簡は,以下のとおりの単なる書簡にすぎず,指示事項を示すものではなく,これが上記内部資料に当たらないことも明らかである。 (ア)書簡5,9及び11は,平成4年8月,財務担当職員として赴任してきたP35とP34との間で取り交わされた書簡であるが,P35は,赴任直後で,被控訴人会社の経理状況・財務内容に対する理解が十分ではなかったし,加えてP20に関する資料はスウェーデンにあり,その資料のうちどの部分を送付するかについても意見の齟齬をきたすことが多く,前後の事情がよくわからない間に取り交わされた文書である。 控訴人は,書簡5にもとづき,P34が既に損金として処理すべきでないものであるとの認識を持ちながら,損金を装うための工作をしよう- 35 -としていたかのように主張するが,同書簡の文面からは少なくともそのように理解することはできず,むしろ,P34は,適切な資料がなければ損金とはみなされないとの専門家として当然の意見を述べているにすぎない。 (イ)書簡6P35は,当時(平成4年8月),被控訴人の財務・経理状況がよくわからず,P20の北欧事業での損失に関し,いかに経理処理するかについて,P34や経理担当者からの度重なる状況の説明の要請や資料の提出に苦労を重ねており,そのような状況を報告し,今後の方針について承認を受けようとしたのが本書面である。 し,いかに経理処理するかについて,P34や経理担当者からの度重なる状況の説明の要請や資料の提出に苦労を重ねており,そのような状況を報告し,今後の方針について承認を受けようとしたのが本書面である。「日本の税務当局が,我々のコストを税務上許される費用と認めるとは到底思われません」というのは,説明資料が不足している状況を前提として,P9本部や被控訴人会社の上層部に問題の提起と注意の喚起を行ったにすぎない。 (ウ)書簡7被控訴人がP20を立ち上げ,引き受けた後,同社について生じた北欧事業の損失についてどのように報告するかとの点で,P35から質問を受けたことに対して,レポートシステムの担当者であるP43が返答しているファックス文書の一部である。P35に対しては,損失の具体的内容とその基になる資料を入手するよう要請しており,それらの資料が揃わない限り税務上損金として計上できない旨を常に注意してきており,そのような状況での文書である。その内容は,資料が揃わない限りは特別損失120百万クローネが損金とならないということを意味するにすぎず,損金にならないと考えていたと断定するのは誤りというほかない。 (エ)書簡8本書簡の中でP35は「ノルディックの経営については,すでに多す- 36 -ぎるほどの問題が山積しています」と記載しているが,これは,P10の損失補填について言及したものではなく,被控訴人によるP20の経営のことを述べたものであり,被控訴人はP10の損失補填は行っていない。 (オ)書簡10書簡9の提案を受け,P35がP9スウェーデンのP41に宛てた文書であるが,清算など考えていなかったP35が「この提案に従うと,従前の戦略を完全に変更することになる」と述べているのであり,結果としてP20にキャピタルインジェクションを行い,簿価で 1に宛てた文書であるが,清算など考えていなかったP35が「この提案に従うと,従前の戦略を完全に変更することになる」と述べているのであり,結果としてP20にキャピタルインジェクションを行い,簿価でP7を売却し代金を得るという方法を採り,清算をせず売却処分をして,問題に決着をつけたものである。 (カ)書簡12本書簡の宛先は,P9の中核に位置しているが被控訴人の税務問題等には知識も関心もない者であり,P35がいわば責任逃れ・保身のために作成した色彩の強い書簡というべきである。 (キ)控訴人は,P37の書簡13をあげるが,これは,平成4年度期末の決算の予想を出す作業において作成されたものであり,会計記帳に関するものではない。 第3当裁判所の判断 争点1について(1)前提となる事実に証拠(甲1ないし4,7,9,11,13,17,18,25,28,29,31,37,38,40,45,48,58,60,62の1,68の1ないし3,乙14,15,17,21,23,26の1,2,29の1ないし3,30の1ないし3,31の1,2,35の1,2,36,37の1,2,38の1,2,39ないし54,59,証人P36)を総合すれば,P20の事業及び本件損失負担金の支出の経緯等に関し,次- 37 -のとおり認められる。 アP6グループの北欧事業についてP6グループのP10を中心とするグループは,北欧における電気通信機器の販売等の事業において,P11との間で同社製品を販売するとの契約を結び,上記販売事業を行うほか,P44社製品の販売をしていたが,業績が悪化し,平成元年から種々の対策を講じたものの,新製品の導入が遅れ,特に,移動式電話機の発売の遅れ,その性能に関し競争力の欠如が主要因となって,平成2年も業績が下降し,平成3年には極端な低下が認め 悪化し,平成元年から種々の対策を講じたものの,新製品の導入が遅れ,特に,移動式電話機の発売の遅れ,その性能に関し競争力の欠如が主要因となって,平成2年も業績が下降し,平成3年には極端な低下が認められたことから(甲9,13),事業が再検討され,P11との間で検討を重ね,平成3年10月ころには,P11に対し,合弁会社による事業継続案かP11による買い取り案を提案し,受け入れられない場合には第三者に売却することをも考慮に入れていた(乙49)。 イP20の取得,子会社化(ア)被控訴人は,明治40年創業の産業用機械の輸入,製造,販売を業とする会社であり(甲68の1ないし3),平成4年当時,資本金28億円,年間売上げ400億円,従業員約650名の規模であった(甲28)。 (イ)被控訴人は,平成3年9月26日,P8の子会社で休眠会社であった会社(P45。資本金5万クローネ)を資本金と同額で買い取って海外子会社(本店はスウェーデンのストックホルム)とし,翌27日に同社の取締役会で同社の商号を改め(P20とし),資本金を5000万クローネに増資すること等を決議し,同年10月22日,被控訴人の取締役会でこの買収,P20の資本金を5000万クローネに増資すること及び商号変更を承認可決した(甲28,62の1。乙19)。 (ウ)被控訴人は,同年11月1日,P22銀行γ支店から,株式取得代金5万クローネ及び増資払込金4995万クローネの合計5000万ク- 38 -ローネ(10億6000万円)を,本件P20口座に送金した。 ウP20の本件子会社8社の取得(ア)被控訴人は,同年12月3日,P20に対し,返済期日を平成8年12月31日として5億円を貸し付ける金銭消費貸借契約を締結し(乙21),2225万1891.42クローネ(5億円)をP24銀行δ支 )被控訴人は,同年12月3日,P20に対し,返済期日を平成8年12月31日として5億円を貸し付ける金銭消費貸借契約を締結し(乙21),2225万1891.42クローネ(5億円)をP24銀行δ支店から本件P20口座に送金した。 (イ)P20は,同月10日,P10から本件子会社6社の全株式をその簿価である3479万9000クローネで買い取り買収した(乙23)。 P10は,同日,1450万クローネをP12へ,合計1150万クローネをP14,P15,P16,P17の4社に送金し(甲20),合計2600万クローネを子会社へのコントリビューションとして補填し,各社の損失補填に充てた。また,P20は,同月13日,P13からその子会社(P10の孫会社)であるP18,P19の2社の全株式を簿価である142万5000クローネで買い取り買収をした(乙26の1,2)。 (ウ)P20は,同月20日,P10がP13の株式を取得した際に旧株主に支払を約束していた利益の分配金(P13が利益の3分の2を旧株主に支払うことを約束していたところ,平成元年ないし平成3年分につき未払であった。)794万4000クローネ(約1億7000万円)を負担し,上記各買収価格との合計は4416万8000クローネに及んだ。本件子会社8社の資本金合計は,598万8000クローネであり,これを含む本件子会社8社の平成3年12月31日現在の資本勘定の合計は952万4000クローネであった(甲28。弁論の全趣旨)。 エP25の設立(甲48,58,60,乙14,15)(ア)P10は,P26との間で,同社製品(データ伝送,ファクシミリ通信を暗号化するシステム)を5年間販売するとの契約を締結し,製造- 39 -業者への投資サポートのため,一定量の製品の発注義務を負っていたところ,平成3年前 ,同社製品(データ伝送,ファクシミリ通信を暗号化するシステム)を5年間販売するとの契約を締結し,製造- 39 -業者への投資サポートのため,一定量の製品の発注義務を負っていたところ,平成3年前半までに在庫を多数抱え,この解決策として,同年10月1日,次の内容を含む契約書を交わした(乙14)。 aP10は,平成3年10月1日に2400万クローネをP26に支払う。 b両社各50パーセントの出資による合弁会社(新たな販売会社。資本金2000万クローネ)を設立する。設立に際し,P10は600万クローネを現金で,400万クローネを特約店契約に従い商品で提供する。P26は,両者で新たに締結する契約に従って独占販売権を付与することにより,株式資本として1000万クローネを提供する。 cP10が平成3年12月1日までにbの資本を提供しなかった場合には,P26は,特約店契約の対象となっている商品を新しい販売会社で意図したテリトリーである北欧において自らマーケティングと販売を開始する権利を有し,P10がその時点で有する商品の在庫を販売する権利を直ちに失う。 (イ)上記契約に基づき,P10は,P26に上記2400万クローネを支払ったが,P10は営業から撤退する意向であり,上記による合弁会社は設立されなかった。そのことでP10が在庫商品を販売する権利を失うことから,P20は,同年12月16日,P26の100パーセント出資の子会社であるP27と共同出資をしてP25を設立し,P20が600万クローネを現金で,400万クローネをP10から取得した商品で提供し,P27は,100万クローネを金銭等の経済的出資ではなく技術を提供するものとして設立された。 (ウ)P20は,本件子会社8社及びP25の親会社として,北欧における上記各事業を統括する地位に就いた。 P27は,100万クローネを金銭等の経済的出資ではなく技術を提供するものとして設立された。 (ウ)P20は,本件子会社8社及びP25の親会社として,北欧における上記各事業を統括する地位に就いた。 オP20の事業からの撤退- 40 -(ア)P20は,平成4年5月21日,P11との間で契約していた代理店契約を解約し,P12を除く子会社7社の在庫資産を売却した。また,P12については,整理が進められ,休業状態にあり,平成5年1月21日にP11製品販売権がなくなることから,いずれもP11が販売事業を引き継ぐことになった。 (イ)P20は,平成4年5月から6月にかけて,以下のとおり,本件子会社8社のうち5社に,キャピタルインジェクションとして合計1199万6000クローネ(約2億5000万円)を支払った。 aP14225万5000クローネbP16269万6000クローネcP13238万2000クローネdP1766万3000クローネeP19400万0000クローネ(ウ)P20は,上記キャピタルインジェクションの後,本件子会社8社のうちのP12を除く7社の株式を,同7社の代表者等にほぼ無償で売却した。 (エ)P20は,平成4年9月1日,P25の出資持分のすべてをP27に100万クローネで売却し,900万クローネの株式売却損を平成4年12月期に計上した。 カ被控訴人によるP20の処分(ア)P20が同年10月末日での仮決算を行ったところ,P20が6858万7000クローネ,100パーセント子会社であるP12が5118万8000クローネ,両者合わせて1億1977万5000クローネの損失を計上した。 (イ)被控訴人は,同年12月15日,P7に対しP20の全株式50万株を5000万クローネ(約10億円)で売却した 万8000クローネ,両者合わせて1億1977万5000クローネの損失を計上した。 (イ)被控訴人は,同年12月15日,P7に対しP20の全株式50万株を5000万クローネ(約10億円)で売却した。 - 41 -(ウ)被控訴人は,同月21日,キャピタルインジェクションの対象としてP20の仮決算の損失1億1977万5000クローネを取り上げ,仮決算時での為替レート(1クローネ約21.37円。ただし,平成4年12月21日当時の円換算レートは1クローネ18.76円。乙29の3)でこれに相当する25億6000万円をP20へ送金し(P24銀行δ支店から10億6000万円,P39銀行ε支店から5億円,P46銀行から10億円。乙29の1,2,30の1ないし3,31の1,2),全額を仮払金勘定に計上した。そして,P20は,為替レートの関係で1億1928万3000クローネで入金処理した(甲40)。 (エ)P20は,同月22日,被控訴人に対し,借り入れていた5億円及びその利息返済のため,被控訴人宛てに5億0783万8114円を送金し,その他に10億円及び10億5273万9721円の合計25億6057万7835円が被控訴人に送金された(甲28,乙17,35の1,2,36,37の1,2,38の1,2)。P20は,本件損失負担金を上記借入金の返済のほかP7分の貸借関係の清算に使用し,これは,P12のトレジャリーセンターに対する借入金の返済であり,利息を含めて約10億6000万円を使用したとするものであるが,この借入につきP7やP20がトレジャリーセンターに保証責任を負うものではなかった(甲37,45)。また,P20は同日資金のないP7に10億円を貸し付け,P7は,同日,上記送金により,被控訴人に対し,P20の株式売却代金として10億円を支払った。また, 任を負うものではなかった(甲37,45)。また,P20は同日資金のないP7に10億円を貸し付け,P7は,同日,上記送金により,被控訴人に対し,P20の株式売却代金として10億円を支払った。また,P7は,上記送金により平成元年に被控訴人から借り入れた10億円及びその利息5273万9721円を返済した。この返済は,平成5年3月31日を期限とし,利息債務は被控訴人からの配当金と相殺できるとの約定があったものを繰り上げて返済したものである。 キ被控訴人は,前記のとおり,平成4年12月21日,25億6000万- 42 -円の送金について仮払金として仕訳処理し借方に計上し,同月22日の入金の仕訳において,P20からの5億円分,P7からの10億円分について,借方計上した仮払金を消去し,10億円につき貸付金の返済として処理した。そして,被控訴人は,同月31日,5億円を仮払金(反対科目が貸付金),10億円を仮払金(反対科目が投資有価証券)と振替仕訳をした上,仮払金勘定に計上された25億6000万円を,その他特別損失に振り替え計上(反対科目は仮払金)した。被控訴人は,平成4年12月期の損益計算書に特別損失(海外投資当別損)として上記25億6000万円を記載した。 ク平成4年度12月期の決算において,P20は,株式の売却損等7469万9000クローネ(約15億円),P12は,5293万7000クローネ,両者合わせて1億2790万6000クローネの特別損失を計上した。P20に生じた株式売却損等7469万7000クローネ(約15億円)の内訳は,①本件子会社8社のうちP12を除く7社の株式の売却損として5204万3000クローネ(約11億1000万円),②P25株式売却損として900万クローネ(約1億9000万円),③P12株式評価損として358万ク 社のうちP12を除く7社の株式の売却損として5204万3000クローネ(約11億1000万円),②P25株式売却損として900万クローネ(約1億9000万円),③P12株式評価損として358万クローネ(約8000万円),P12への投資が412万1000クローネと計上されているところ,54万1000クローネと評価して差額の358万クローネを評価損として計上したもの,④営業休止費用として1007万4000クローネ(約2億2000万円)である。 P20は,被控訴人から上記のキャピタルインジェクション及びP9からの7309万8000クローネのコントリビューションを得た結果,前年繰越損失を控除後の損益は1億2003万6000クローネの利益となり,1億1003万6000クローネをP7へ配当した。 その後,P20は休眠会社となった。 - 43 -(2)被控訴人の事業目的についてア被控訴人が,P20を持株会社として子会社を統括させ,その経営に当たるとする再編計画は,P20と子会社がスウェーデンの会社相互間におけるコントリビューション制度の利用ができるなど合理性を有するものといえるが,他方,日本の会社である被控訴人が親会社となることで,親会社からの上記制度が利用できないことからすれば,被控訴人が資金を有することが上記計画の理由となったと考えられる。そして,P10グループの北欧事業は業績が相当に悪化し,しかも改善策が功を奏していなかったのであり,その再編には多額の資金を要するものであるから,上記のような被控訴人が事業に参加するにあたっては,P11等との十分な協議を行い,詳細かつ具体的な事業計画が立案された上で実行されるはずのものということができる。 しかし,P6グループは,平成3年11月当時,北欧における通信機器の販売事業につき,P11に対し合 分な協議を行い,詳細かつ具体的な事業計画が立案された上で実行されるはずのものということができる。 しかし,P6グループは,平成3年11月当時,北欧における通信機器の販売事業につき,P11に対し合弁案か買い取り案を示し,P11がこれを受け入れない場合はP8が事業を売却して撤退する意向であるとして検討をし,同年12月5日には,P8の社長のほかP29も加わり協議し,事業内容につきワーキンググループを結成し検討するとともに,ビジネスプランの中間報告をし,特に緊急を要する技術問題を解決するために平成4年1月29日に協議を継続し(乙50,51),そのプランが同年1月にでき,最終的な事業計画の完成は同年3月16日が予定されていたのであり(甲31),同年3月に予算を改訂し,平成5年には新機種が導入され,利益を予想したというのである(甲28)。 イそうすると,被控訴人がP20を通じて事業を統括することが決定された平成3年10月当時は,P11との協議はその途上にあり,目途がついていたとはいえず,事業再編の具体像は形成されていなかったというほかはない。他方,P11に対し上記のような提案がなされたものの,P11- 44 -は,合弁案を受け入れる余地はなく,平成4年2月27日の協議において,別途組織する販売拠点でP11製品を販売することを考えている旨表明し,その場合,在庫の買取りや社員の雇用の可能性があることが提案され(乙52),その後撤退に向け協議が重ねられ,同年5月21日,代理店契約が解約され,従業員が引き取られ,在庫商品が処分されることが決定されている。その経緯からすれば,有望な部門を残すことで事業の再編計画が立案されたが,経済不況の推移につき見通しを誤ったため撤退に至ったとするのは不自然というべきである。被控訴人は,事業予算や計画が立てられた その経緯からすれば,有望な部門を残すことで事業の再編計画が立案されたが,経済不況の推移につき見通しを誤ったため撤退に至ったとするのは不自然というべきである。被控訴人は,事業予算や計画が立てられたが,想定外の不況により事業を断念したというが,多額の資金を投下して始めたにしては,計画の達成に向けての活動が乏しく,撤退が迅速に過ぎ,上記のプランや予算は再編案協議の過程で案文として作成されたにすぎないものというべきである。 スウェーデンにおいては,平成2年末から急激に不況が進行し,その実質経済成長率が平成2年(1990年)が2パーセント強であったのに,平成3年,4年,5年と各年マイナス2パーセントと経済が停滞し,平成6年に至ってプラス2パーセント強に回復したのが実績であった(甲32)。平成3年時点の予測を見ても,スウェーデンの産業団体の発行する「北欧経済展望」では,平成3年6月時点で,同年の北欧地域全体における国内需要合計の変化率がマイナス1.0パーセント,国内総生産がマイナス0.2パーセント,スウェーデンにおける国内需要がマイナス0.8パーセント,国内総生産がマイナス1.1パーセントと予測され,翌平成4年の北欧地域全体における国内需要合計の変化率がプラス0.6パーセント,国内総生産がプラス0.9パーセント,スウェーデンにおける国内需要がプラス0.7パーセント,国内総生産がマイナス0.5パーセントと予測されており,平成3年12月の時点では,同年の北欧地域全体における国内需要合計の変化率がマイナス2.0パーセント,国内総生産がマ- 45 -イナス0.9パーセント,スウェーデンにおける国内需要がマイナス1. 5パーセント,国内総生産がマイナス1.4パーセントと予測され,翌4年の北欧地域全体における国内需要合計の変化率がマイナス0.9パーセン 0.9パーセント,スウェーデンにおける国内需要がマイナス1. 5パーセント,国内総生産がマイナス1.4パーセントと予測され,翌4年の北欧地域全体における国内需要合計の変化率がマイナス0.9パーセント,国内総生産が0.0パーセント,スウェーデンにおいて国内需要がマイナス1.7パーセント,国内総生産がマイナス1.4パーセントと予測されていた(甲16の1,2)。 このように,スウェーデンにおいては平成3年,4年,5年と経済不況が続いていたもので,平成3年前半の時点で,同年の北欧全体及びスウェーデンのマイナス成長は予測されており,平成4年についてはプラス成長が予測されていたが,平成3年後半には,それらの予測は下方修正され,平成4年についてもマイナス成長が予測されるに至っている。こうしてみると,スウェーデンにおいては,平成4年は平成3年に続いて経済不況であったが,そのことは平成3年後半には予測されていたものであり,前記のように再建に乗り出しながら短期間に方向を転じたのは平成4年の景気動向について見通しを誤っていたことが理由であったというのは不自然である。 ウまた,P25の設立は,同一グループに属するP10が在庫を多数抱え採算がとれないとして撤退する事業につき,合弁会社を設立することでP10の在庫が処理できることから,P20が1000万クローネもの出資をしP25を設立し,その事業を承継しようとしたものであり,P20が事業の採算性につきP10と異なる判断をすることに合理的な理由があるとは思えず,同社の事業が有望で存続を図るべきものであったことを裏付ける事情は見あたらず,本件全証拠によってもこの事実を認めることはできない。被控訴人は撤退の理由としてスウェーデン経済の不況をあげるが,上記と同様にこれを撤退の理由とするのは不自然である。 そうすると, 事情は見あたらず,本件全証拠によってもこの事実を認めることはできない。被控訴人は撤退の理由としてスウェーデン経済の不況をあげるが,上記と同様にこれを撤退の理由とするのは不自然である。 そうすると,被控訴人は,経済的な合理性に基づく正当な事業目的を有- 46 -していたと認めることは困難である。 (3)本件子会社8社の取得についてア前記のとおり,P20は,本件子会社6社の全株式をP10から3479万9000クローネで,P18とP19の2社の全株式をP13から142万5000クローネでそれぞれ買い取り,本件子会社8社を自らの子会社とし,P10がP13の株式を旧株主から取得した際に旧株主に支払いを約束した利益分配金を794万4000クローネを負担し支払っている。 以上によれば,P20が本件子会社8社を子会社とするために実質的に負担し,他方でP10が得た金額は,3479万9000クローネと794万4000クローネの合計4274万3000クローネである。上記の142万5000クローネは,P10から買収した子会社であるP13に対して支払われたものであり,すでに孫会社となっていた本件子会社2社を子会社とするために子会社に支払われたものであるから,P20が要した費用ではあるものの,P10との関係における本件子会社の取得代金として算入するのは適切とはいえない。 そして,P10は,P12等子会社に合計2600万クローネをコントリビューションとして補填を行っている。 イ他方,当時の本件子会社8社の資本勘定の合計は952万4000クローネである。そして,後記のとおり,P32がP30との間で交わした書簡(書簡4)においては,本件子会社8社の適正な金額が平成3年9月においても約1500万クローネであり,損失補填額は2100万クローネとされていた。また, のとおり,P32がP30との間で交わした書簡(書簡4)においては,本件子会社8社の適正な金額が平成3年9月においても約1500万クローネであり,損失補填額は2100万クローネとされていた。また,平成4年1月末の本件子会社8社の純資産額は,P12が△636万9000クローネ,P47が245万3000クローネ,P48が38万7000クローネ,P49が△3000クローネで,P13が144万0000クローネ,P18が280万8000クローネ,P- 47 -17が38万8000クローネ,P19が△13万3000クローネであり,合計97万1000クローネであった(甲15の1)。 ウそうすると,P10からの2600万クローネの損失補填を前提としても,上記のような純資産,本件子会社8社の資本勘定の総額が952万4000クローネであることからすれば,P20の本件子会社8社の実質的な取得価格4274万3000クローネは会社の価値に見合った価格でなされたものとは評価しがたいといわざるを得ない。純資産額が企業の実際の価値や株式価格を直接示すものでないとしても,本件子会社8社は営業不振により事業再編の渦中にある会社であることも斟酌すべきであって,平成3年12月の時点では,仮に損失補填分2600万クローネを加えたとしても上記取得価格の価値があったとは考え難く,P20の買取価格が適正であったみることは困難である。 (4)P20の本件損失負担金の使途についてP20は,本件損失負担金の送金を受け,平成4年12月22日,被控訴人に対し,平成3年12月3日に借り入れた5億円の返済のため5億0783万8114円を使用し,新たにP7に対し10億円を貸し付け,これがP7によりP20株式買い取りに使用された。また,P20はP12のトレジャリーセンターに対する借入金10億 円の返済のため5億0783万8114円を使用し,新たにP7に対し10億円を貸し付け,これがP7によりP20株式買い取りに使用された。また,P20はP12のトレジャリーセンターに対する借入金10億6000万円を返済した。もっとも,被控訴人の財務経理部門を担当していたP36は,当初,P20は,P7がP20株式を購入する資金10億円,P7がP20の分を立て替えていた分,あるいは貸し付けていた分の清算として10億6000万円をP7に送金したと説明し,この返済はP7とP20間の短期債権債務勘定として処理されていたというのである(甲28,証人P36)。そして,同日,P7は,被控訴人に対し,P20の株式売却代金として10億円を支払い,平成元年にした借入金10億円及びその利息として5273万9721円を返済したとしており,被控訴人がP20に送金した本件損失負担金と同額が被控訴人の- 48 -元へ送金されたのである。したがって,被控訴人がした本件損失負担金の送金額と同額が被控訴人のもとへ送金された結果となっている。 (5)書簡について,証拠(甲9ないし11,47,乙2ないし13,60)によれば,次のとおり認められる。 アP10の社長であるP28は,平成3年9月13日,被控訴人の代表取締役であるP29に宛て書簡1を発し,P10の全子会社を公正な市場価格(約5000万クローネ)で評価すること(担当は,P30),この子会社が被控訴人から売却された時に,被控訴人が損失を税務上控除できるように,子会社を最高価額で被控訴人に譲渡すること,平成4年初頭に子会社を売却した場合,日本の税務当局が認める最高額を被控訴人が計上できる損失額(課税控除額)と対比させて調べるように指示した。 イそして,P30は,同月17日,P28及びP29に書簡2を発し,P10には,損 した場合,日本の税務当局が認める最高額を被控訴人が計上できる損失額(課税控除額)と対比させて調べるように指示した。 イそして,P30は,同月17日,P28及びP29に書簡2を発し,P10には,損益計算書上の膨大な損失とP8及びP7からの多額の借入金の問題があること,解決策として,①親会社からの資本投入及び②P10の株式を高額で被控訴人に譲渡することが考えられるが,いずれも推奨できないこと,②に対するコメントとして,P6グループ内での譲渡について日本の税務当局に説明するための適切な理由,例えば今後の事業計画に沿って被控訴人のもとで事業活動を集中させるというものが必要であること,被控訴人は,株式を2,3年は保有する必要があり,平成3年にグループ取引として高額で買い取り,平成4年早期にこれより低額(市場価額)で処分することはできないこと,2,3年たてば,被控訴人所有の下に譲渡価格の根拠(事業計画)が被控訴人のものと認識されるであろうことを伝えた。 ウまた,P30は,同月21日,P8の副社長P31及びP29に書簡3を発し,被控訴人がP10の子会社を買い取り,1,2か月後に資本投入する方法は,関係当局に増資の理由を説明することが不可能であり,さら- 49 -に平成4年に被控訴人が子会社を売却すると,罰則を伴う税務上の問題が生ずることから,この方法ではなく,今後の処理が容易な次の代案を提案すること,すなわち,「被控訴人がP8の休眠会社を取得し総額4500万クローネの資本投下を行うか又は新会社を設立して,この会社がP10の子会社を3500万クローネで買い取り,平成4年早期にTH株式につき残り1000万クローネを支払うとともに,被控訴人がこの会社に貸付を行い,この会社が子会社に出資して損失を補填し,これによる損失がこの会社の資本金の50パー で買い取り,平成4年早期にTH株式につき残り1000万クローネを支払うとともに,被控訴人がこの会社に貸付を行い,この会社が子会社に出資して損失を補填し,これによる損失がこの会社の資本金の50パーセントを超える場合,被控訴人は保証をする」との案につき承認を強く求めた。 エまた,P10のP32が同月25日にP30に書簡4を発し,P10の子会社にある2100万クローネにのぼる損失は,子会社を売却する前にP10が補填すること,この補填のためにP10は2100万クローネの資金提供を受けなければならないこと,P8はP10へこの融資をする意思がなく,被控訴人が承諾すれば10パーセントの利率で被控訴人がこの融資をするが,P10は返済できそうもなく,P10が清算した場合,これが控除される費用になるか検討すべきこと,また,子会社を提案どおり5600万クローネ(現在の価額3500万クローネ+損失補填2100万クローネ)で買い取っても,監査人P50は子会社の株式に5600万クローネの価値があるとは認めないこと,P32が資本金と非課税引当金から繰延税を差し引いて計算したところでは,価額は約1500万クローネであることを伝えた。 オ以上の書簡1ないし4からすると,P6グループにおいて,平成3年9月にはP10の子会社を整理するにあたり,被控訴人を関与させることで税務上有利になるよういくつかの方策を検討し,このような検討を経て,P20の取得を始めとする一連の取引が始められた。これらの書簡中には,書簡1のようにP10の子会社を被控訴人が取得するが,平成4年初頭に- 50 -これを売却すること,その際に被控訴人に損失が発生することを前提として,その損失を税務上控除できるようにするよう明言するなど,それら子会社の事業のうち将来の見込みのあるものを被控訴人が引き取 0 -これを売却すること,その際に被控訴人に損失が発生することを前提として,その損失を税務上控除できるようにするよう明言するなど,それら子会社の事業のうち将来の見込みのあるものを被控訴人が引き取って再編する方策の提案とはとうてい考えられないもの,書簡2,3のように早期に売却するのは税務上問題があることを指摘するなど,いずれは子会社を売却すること,その際損失が発生することを前提とするものがあった。 カそして,P34は,平成4年8月28日付け書簡5において,同月25日の会議で協議した日本の税務案件についてお知らせするとして,被控訴人の財務経理本部長であるP35に対し,P20に資本投入を行った後に売却する等の一連の取引で被控訴人が被る損失総額が1億1200万クローネになると思われること,この損失を補填する方法として二つの案が提案されているが(案1が被控訴人がP7に配当を行い,P7がP20の損失を補填するもの,案2が被控訴人が総額1億1200万クローネとなるP20の投資を償却するというもの。),案2による投資損失は,税務上,外国関連者への控除対象とならない寄附金として処理されるかも知れないこと,税務当局は,子会社の取得価格が独立当事者間の取引価格を超えたものではないか,子会社の被ったかなりの損失額が取得前に予想されていたかについて調査すると思われること,税務面で恩恵を受けるには,同投資がP10や他の関連会社に対し寄附する意図ではなかったことを正当化する明確な説明と証拠書類が必要であること,控除を受けることは客観的に言って難しいかもしれないが,投資等の詳細等を提供してもらえればリスク評価する手伝いができると伝えた。 キP35は,同年9月14日付けのP9のP40宛に書簡6を発し,バンコックでの協議のとおり,P51の意向は,取引を日本で保持 資等の詳細等を提供してもらえればリスク評価する手伝いができると伝えた。 キP35は,同年9月14日付けのP9のP40宛に書簡6を発し,バンコックでの協議のとおり,P51の意向は,取引を日本で保持することにより,P20子会社の売却による税金効果を最大限にしようとすることで,これが日本のP9に大きな結果をもたらし,資金面では大きな負担になる- 51 -こと,日本の税務当局はこのコストを費用と認定するとは思われないこと,P33事務所と連絡を取り,意見と提案を受け,その提案に従うつもりであること,これらの取引が1年前に行われた時点では,少なくとも商業的に健全で独立当事者間の取引であったことを税務当局に説明する必要があること,関連事実をまとめる過程に着手したことを伝えた。 クそして,P37は,P35に充てた同日付け書簡13において,CFC(財務経理本部)は1億5000万クローネ(約34億5000万円)を平成4年度の特別損失として計上することに関し,P7に対する貸付金10億円,P20に対する資本投資10億6000万円及び貸付金5億円を除いた残額約8億9000万円についてどのような取引内容であるか,前記の特別損失をいつ記帳するか等を明確にするよう指示を求めた。 ケ被控訴人の財務部(P52)から,同年10月12日,P35に宛てた書簡(乙8。以下「書簡7」という。)によれば,被控訴人が同年12月15日付けでP20への長期貸付金及び資本投資の計1億2000万クローネについて特別損失として計上する予定であるとし,特別損失1億2000万クローネは,税金の控除とならないとした。 コP35は,同年11月23日,P32に書簡8を発し,P35は,すべての取引が混同される状況にあること,P20の損失を整理するために,P7のローンや配当を取扱い,異なる為替相場 とならないとした。 コP35は,同年11月23日,P32に書簡8を発し,P35は,すべての取引が混同される状況にあること,P20の損失を整理するために,P7のローンや配当を取扱い,異なる為替相場を適用し,これにより被控訴人がP20のために被る損失がさらに増大すること等を心配していること,税務当局が認識する上で大きな問題となるような構造を構築しつつあるような気がすることを伝えた。 サまた,P34は,同年12月1日付けP35宛の書簡9において,P34は被控訴人のP20への投資につき助言し,税務当局の質問に対処するため,追加情報が必要な場合はその情報をできるだけ早く入手できるようにすべきであること,P20に関連する全ての取引及び結果としての損失- 52 -は事業上の観点から立証されるであろうこと,上記に関し,日本の税務上,貸付金や投資の償却にかかる損失を現実化するためには,P20株式を無価値で他社に売却するより,平成4年末までにP20を清算することを強く推奨した。 シP35は,同月4日付けP9のP41に宛てた書簡10において,P33事務所から提言があり,これに従うと従前の戦略を完全に変更することとなるとし,P34は,同月8日,P35に宛てた書簡11において,P20が存続すると,我が国の税務当局は財務状態が好転する可能性があるとして貸倒損失を認めないと思われるので,P20を清算すべきであること,被控訴人のP20への追加投資(P7から貸付金を移転することによる。)は,それがP20の清算に関連して,被控訴人のP20への投資による追加損失に歯止めをかけるためのものであるならば正当化されるかもしれないこと,しかし,追加投資が別の関係会社に補償するためのものであれば,貸付金の移転は税務上認められないこと等を伝えた。 スP35は,平成5年1月 をかけるためのものであるならば正当化されるかもしれないこと,しかし,追加投資が別の関係会社に補償するためのものであれば,貸付金の移転は税務上認められないこと等を伝えた。 スP35は,平成5年1月12日,P9のP42他に宛てた書簡12において,被控訴人はP20を買い取った後の一連の取引により,P20の損失総額が平成4年度末において約2090万米ドルで,被控訴人が支払い,特別損失として計上したが,日本の国税局が税額計算においてこのような控除を認めるとは思えないこと,税金を納付すると,その税額が約1210万米ドルとなり,相当な金額になること,この金額の申告について悩んでいることを述べ,助言を求めた。 (6)本件損失負担金の寄附金該当性ア上記の事実によれば,P10及び本件子会社8社は,北欧における電気通信機器の販売等の事業において,業績が悪化し,多額の損失及び借入金などの債務が生じ,事業の整理・撤退が必要となったが,P10の親会社であるP7や祖父会社であるP8がその資金負担に応じないことから,被- 53 -控訴人が負担をすることとなり,この負担が税務上控除の対象となるような方法につき検討がなされ,被控訴人は,経済的な合理性に基づく正当な事業目的を遂行するためではなく,上記負担をするため,上記のとおり,休眠会社であるP20を買い取り,これに多額の資金投資・貸付けを行い,P20を介してこの資金により本件子会社8社を適正ではないより高額な価格で買い取るなどの取引をし,P20に負担を転嫁し,事業を清算することで被控訴人が損失を最終的に負担することとし,前記認定の一連の行為を行ったものというべきである。被控訴人は,正当な事業目的がなく,多額の損失を負担し,その負担を後日に損金処理することによって税務上控除を受けることを意図し,本件損失負担金 し,前記認定の一連の行為を行ったものというべきである。被控訴人は,正当な事業目的がなく,多額の損失を負担し,その負担を後日に損金処理することによって税務上控除を受けることを意図し,本件損失負担金を支出したものである。 したがって,本件損失負担金につき,子会社等を整理する場合の法基通9-4-1の適用が問題となるが,同通達にいう「その損失が負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかと認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当の理由がある」との要件を満たすものではない。 イまた,被控訴人は,平成3年9月,P8の子会社の休眠会社を買い取り,P20と商号を変更し,増資,キャピタルインジェクションをしたが,結局,平成4年12月,P20の株式を売却したが,売却先は被控訴人の親会社であるP7であり,P20は現在も被控訴人と同じグループの休眠法人として存在しているのであるから,実質的にみれば,本件損失負担金の支出が子会社からの撤退に伴って行われたものであるとはいえないし,被控訴人からの借入金の返済,P12のトレジャリーセンターに対する債務の返済,P7への貸付けというP20における本件損失負担金の使途から見ても,親会社であるからといって直ちに損失を填補する必要もなかったのである。そして,P20がそもそも実体のなかった休眠会社であり,持株会社として事業を統括すべき地位に就いたとしても,短期間のうちに北- 54 -欧事業から撤退することが決定され,本件損失負担金の支出時においては,既に本件子会社8社のうち7社は売却され,P12は休業状態にあったのであるから,その被る損失はすでに予測され,実現したものにすぎず,被控訴人に将来それ以上に損失が発生するものではなかったのであるから,本件損失負担 社のうち7社は売却され,P12は休業状態にあったのであるから,その被る損失はすでに予測され,実現したものにすぎず,被控訴人に将来それ以上に損失が発生するものではなかったのであるから,本件損失負担金の支出が将来のより大きな損失を避けるためやむを得ずとった処置ということもできない。 この点,被控訴人は,強制解散を避けるためやむを得なかったと主張するが,P20は上記のように自らそのような事態を招くよう取引をしたもので,これをもってやむを得ない事態とはいえないし,強制解散制度が会社債権者を保護する制度で,株主総会か取締役会の申請により開始するものであり(甲6の3,43),P20が被控訴人の100パーセント子会社であること,会社債権者もP6グループ以外には存在しないことからすると,解散命令の申請や発動がなされるべき状況にあったともいいがたいのである。 したがって,本件損失負担金は,より大きな損失を回避するためやむを得ずなされたものとはいえず,被控訴人の負担すべきものではないことが明らかであるから,寄附金であって損金として扱えないものである。 争点2について(1)青色申告の取消事由についてア法人税法127条1項は,同法121条1項(青色申告)の承認を受けた内国法人につき,次の各号のいずれかに該当する事実がある場合には,納税地の所轄税務署長は,当該各号に掲げる事業年度までさかのぼって,その承認を取り消すことができると定め,3号として,「その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し,その他その記載事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること」を掲げている。 - 55 -イ同号の前段でいう取引の全部又は一部を「隠ぺいし又は仮装し」というのは,青色申告制度の前提となる信頼関係を毀損する行為と の真実性を疑うに足りる相当の理由があること」を掲げている。 - 55 -イ同号の前段でいう取引の全部又は一部を「隠ぺいし又は仮装し」というのは,青色申告制度の前提となる信頼関係を毀損する行為として,積極的に帳簿を操作し,欺罔しようとするものであり,ここでいう取引とは,いわゆる簿記上の取引をいうものであり,適正な勘定科目に仕訳することも納税者の記帳義務に含まれると解されることからすれば,前提となる取引事実を隠ぺい,仮装したりした上,これに基づいて帳簿記載をする場合に限らず,過少申告を意図して一連の取引行為を行い,本来付すべき勘定科目を故意に別の勘定科目に虚偽記載することも,帳簿上の虚偽記載として「仮装したこと」に当たると解される。 ウそして,前記認定事実によれば,被控訴人は,P10や本件子会社8社に生じた債務を負担することで,被控訴人に租税特別措置法66条の4により課税関係が生じることを認識し,被控訴人の税負担を回避するために,グループ企業内における資金の移転や企業の譲渡が容易になし得ることを利用し,前記認定の一連の取引を実行し,帳簿書類にその事実を記帳し,本件損失負担金が寄附金に当たることを認識しながら,あえて別科目である特別損失に記載して損金処理をしようとしたのであり,この点において上記「仮装」があるというべきである。これが事務運営指針の第1賦課基準の1(2)②の「帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。),帳簿書類への虚偽記載,相手方との通謀により虚偽の証ひょう書類の作成,帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の処理を行っていること」に該当すると認められる。 すなわち,被控訴人は,本件損失負担金が,前記のとおり,正当な事業目的がなく,より大きな損失を回避するためのやむを得ない支出ではなく,寄附金から除外 処理を行っていること」に該当すると認められる。 すなわち,被控訴人は,本件損失負担金が,前記のとおり,正当な事業目的がなく,より大きな損失を回避するためのやむを得ない支出ではなく,寄附金から除外される支出に当たらないことを知りながら,あえて損金処理すべく,特別損失に計上し,その所得金額から本件負担金額を控除し,所得金額を過少にし法人税を免れようとし,平成4年12月31日の仕訳- 56 -において,借方寄附金25億6000万円,貸方仮払金25億6000万円と記載すべきを,借方特別損失25億6000万円,貸方仮払金25億6000万円と仕訳を行い,帳簿上に故意に虚偽記載を行ったものである。 上記の被控訴人の行為は,法人税法127条1項3号に該当するものであり,本件取消処分には理由があるというべきである。 エ被控訴人は,一連の行為につき私法上の効力が否定されるとの主張や立証を控訴人が行っていないこと,被控訴人がした帳簿の記帳が一連の取引行為と異なる記載ではないことからすれば,法人税法127条1項3号の「隠ぺい又は仮装」に該当する行為は存しないことが明らかであると主張する。確かに,被控訴人は,一連の取引を行い,これをそのまま記帳したということもできるが,上記のとおり,その一連の取引自体が,同一グループ企業において生じた損失を填補するにあたり,資金を直接に提供するのでは,租税特別措置法66条の5第3項により損金に算入することができないことから,損金に算入することができるかのように形式をとって行われた過少申告を意図した取引であり,その取引の記帳をしたにすぎないのであるから,そのことから上記認定の仮装がなかったとすることはできない。 また,被控訴人は,寄附金が名義の如何を問わず,金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合にお すぎないのであるから,そのことから上記認定の仮装がなかったとすることはできない。 また,被控訴人は,寄附金が名義の如何を問わず,金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合における当該金銭の額と規定され,その金額を経済的な利益の実態で判断するとされていることから,寄附金の損金不算入の適用にあっても,課税庁側と納税者で解釈違いを生ずることが多く,「寄附金」という科目で仕訳を行わず,他科目費用と解釈する余地のある「特別損失」という科目で行ったからといって,虚偽の帳簿記載には該当しない旨主張する。しかしながら,被控訴人は,上記記載を上記認定の過少申告の意図のもとに行ったのであるから,単なる仕訳記帳上の解釈が被控訴人と控訴人との間で異なり,どちらの解釈も合- 57 -理性があるという問題ではなく,青色申告制度における信頼関係を破壊するに足りる故意行為というべきものであり,「仮装」に当たるというべきである。控訴人がした本件取消処分は理由がある。 (2)被控訴人は,平成4年12月期における法人税の申告において,25億6000万円を海外投資特別損として計上したが,租税特別措置法66条の4第3項に規定する国外関連者に対する寄附金に該当し,控訴人主張のとおり法人税を過少に申告したことに該当する。また,国税通則法68条1項は納税者が「その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」重加算税を課すべきことを定め,上記「隠ぺいし,又は仮装し」の意義は,前記の場合のそれと同義であると解され,被控訴人は,これに該当すると認められる。 そうすると,被控訴人の平成4年12月期の事業年度の申告欠損金額が△4億3309万595 し,又は仮装し」の意義は,前記の場合のそれと同義であると解され,被控訴人は,これに該当すると認められる。 そうすると,被控訴人の平成4年12月期の事業年度の申告欠損金額が△4億3309万5953円(①)であることは当事者間に争いがなく,輸入製品国内市場開拓準備金益金算入額が1億1600万円であるところ,青色申告の承認が取り消されたことにより,措置法54条8項及び措置法施行令32条13項により当期の益金に算入すべき市場開拓準備金の額は2億3200万円となり,1億1600万円(②)が加算漏れとなる。25億6000万円(③)は国外関連者に対する寄附金であって損金に算入できないから,所得金額は22億4290万4047円(①+②+③)であり,これを前提とする計算関係については当事者に争いがなく,控訴人がした本件各更正処分等は理由があり,適法であると認められる。 被控訴人が本件取消処分及び本件更正処分等の各取消しを求めた本訴請求は理由がないものである。 よって,これと異なる原判決を取り消し,被控訴人の請求をいずれも棄却し,主文のとおり判決する。 - 58 -東京高等裁判所第14民事部裁判長裁判官西田美昭裁判官犬飼眞二裁判官小池喜彦

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