平成10(ワ)1019 慰謝料等請求(甲事件),損害賠償請求(乙事件),損害賠償請求(丙事件),損害賠償請求(丁事件),損害賠償等請求(戊事件)

裁判年月日・裁判所
平成14年6月14日 岡山地方裁判所
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判決文本文63,084 文字)

主文 甲事件被告は,甲事件原告に対し,金283万円及びこれに対する平成10年5月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。戊事件における甲事件被告の訴えのうち,乙事件被告に対して,別紙訴訟事件目録記載の各訴訟事件において,甲事件被告の名誉を毀損するような訴訟活動をしてはならない旨の判決を求める部分を却下する。甲事件原告のその余の請求,甲事件被告の乙事件・丙事件・丁事件における各請求,戊事件におけるその余の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は,甲事件原告に生じた分を10分し,その1を甲事件原告の負担とし,その余を甲事件被告の負担とし,乙事件被告及び甲事件被告に生じた分を甲事件被告の負担とし,甲事件被告補助参加人に生じた分を甲事件被告補助参加人の負担とする。この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。事実 及び理由第1請求 甲事件甲事件被告は,甲事件原告に対し,金689万5750円及びこれに対する平成10年5月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。乙事件乙事件被告は,甲事件被告に対し,金9000万円及びこれに対する平成12年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。丙事件甲事件原告は,甲事件被告に対し,金1億5000万円及びこれに対する平成12年7月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。丁事件乙事件被告は,甲事件被告に対し,金1500万円及びこれに対する平成13年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。戊事件(1) 乙事件被告は,甲事件被告に対し,金1000万円及びこれに対する平成13年6月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(2) 乙事件被告は,甲事件被告に対し,別紙訴 戊事件(1) 乙事件被告は,甲事件被告に対し,金1000万円及びこれに対する平成13年6月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 13年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。戊事件(1) 乙事件被告は,甲事件被告に対し,金1000万円及びこれに対する平成13年6月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(2) 乙事件被告は,甲事件被告に対し,別紙訴 戊事件(1) 乙事件被告は,甲事件被告に対し,金1000万円及びこれに対する平成13年6月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(2) 乙事件被告は,甲事件被告に対し,別紙訴訟事件目録記載の各訴訟事件において,医療法人A歯科医院が平成10年7月1日付けで厚生大臣から受けた保険医療機関指定の取消処分及び甲事件被告が同日付けで厚生大臣から受けた保険医登録の取消処分並びにこれらに至る行政指導,監督について主張・立証・尋問する等の訴訟活動をして甲事件被告の名誉を毀損してはならない。第2事案の概要 各事件の請求の内容(1) 甲事件歯科医師である甲事件被告から歯科治療を受けた甲事件原告が,甲事件被告の治療行為に関し,債務不履行,不法行為がある旨を主張して,甲事件被告に対し,損害賠償を求める事案である。なお,付帯請求は,甲事件被告が最後に甲事件原告から歯科治療を受けた日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金である。(2) 乙事件甲事件における甲事件原告の請求は根拠を欠く不当請求であり,乙事件被告は,甲事件を提起するにあたって,弁護士として当然に尽くすべき注意義務を果たさなかった旨を主張する甲事件被告が,乙事件被告に対し,不法行為による損害賠償を求める事案である。なお,付帯請求は,乙事件の訴状送達の日(乙事件は,当初,名古屋地方裁判所に提起された)の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合に。よる遅延損害金である。(3) 丙事件甲事件における甲事件原告の請求は根拠を欠く不当請求である旨を主張する甲事件被告が,甲事件原告に対し,不法行為による損害賠償(一部請求)を求める事案である。なお,付帯請求は,丙事件の訴状送達の日(丙事件は,当初,名古屋地方裁判所に提起された)の翌日から支払済 する甲事件被告が,甲事件原告に対し,不法行為による損害賠償(一部請求)を求める事案である。なお,付帯請求は,丙事件の訴状送達の日(丙事件は,当初,名古屋地方裁判所に提起された)の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合に。 甲事件原告に対し,不法行為による損害賠償(一部請求)を求める事案である。なお,付帯請求は,丙事件の訴状送達の日(丙事件は,当初,名古屋地方裁判所に提起された)の翌日から支払済 する甲事件被告が,甲事件原告に対し,不法行為による損害賠償(一部請求)を求める事案である。なお,付帯請求は,丙事件の訴状送達の日(丙事件は,当初,名古屋地方裁判所に提起された)の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合に。よる遅延損害金である。(4) 丁事件甲事件における甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告が,代理人の地位を濫用して故意に甲事件の訴訟遅延を図った旨を主張する甲事件被告が,乙事件被告に対し,不法行為による損害賠償請求を求める事案である。なお,付帯請求は,丁事件の訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金である。(5) 戊事件甲事件における甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告が,代理人の地位を濫用して違法な主張・立証活動を行い,もって,甲事件被告の名誉や人格を侵害した旨を主張する甲事件被告が,乙事件被告に対し,不法行為による損害賠償請求を求めるとともに,人格権に基づき,同種行為の将来の不作為を求める事案である。なお,損害賠償請求の付帯請求は,戊事件の訴状送達の日(戊事件は,当初,名古屋地方裁判所に提起された)の翌日から支払済みまで民法所定の。年5分の割合による遅延損害金である。当事者間に争いのない事実(1) 甲事件被告は,岡山市ab丁目c番d号において「A歯科医院」を開設,し(ただし,後に,開設主体は,甲事件被告が理事長を務める「医療法人A歯科医院」となった,歯科医師として,歯科医療にあたっていた。。)そして,甲事件原告は,平成9年6月11日から平成10年5月15日まで,甲事件被告による歯科治療を受けた。(2) 甲事件被告は,次に記載する年月日に,甲事件原告の歯に対して抜髄処置(歯髄を除去する処置)を施し,その後,歯冠修復処置(歯冠を削り,その上から歯冠補 で,甲事件被告による歯科治療を受けた。(2) 甲事件被告は,次に記載する年月日に,甲事件原告の歯に対して抜髄処置(歯髄を除去する処置)を施し,その後,歯冠修復処置(歯冠を削り,その上から歯冠補填物を装着する処置)を施した。ア初診日である平成9年6月11日,左下5番,6番,7番の各歯。イ同年7月22日,左上2番,右上2番の各歯。 去する処置)を施し,その後,歯冠修復処置(歯冠を削り,その上から歯冠補 で,甲事件被告による歯科治療を受けた。(2) 甲事件被告は,次に記載する年月日に,甲事件原告の歯に対して抜髄処置(歯髄を除去する処置)を施し,その後,歯冠修復処置(歯冠を削り,その上から歯冠補填物を装着する処置)を施した。ア初診日である平成9年6月11日,左下5番,6番,7番の各歯。イ同年7月22日,左上2番,右上2番の各歯。ウ同年8月,右下1番,2番,3番の各歯(日については当事者の主張が異なる。。)エ平成10年5月11日,左上3番,4番,5番の各歯。(3) その後,甲事件原告は,(2)記載の甲事件被告の抜髄処置・歯冠修復処置が債務不履行・不法行為に該当する旨を主張して,甲事件被告に対し,損害賠償を求める訴訟を提起した(甲事件。)なお,乙事件被告は弁護士であり,当初から,甲事件における甲事件原告の訴訟代理人である。争点 各事件の主要な争点は,次のとおりである。(1) 甲事件の争点ア甲事件における甲事件原告の主張,特に,次の争点2に関し,甲事件被告のどのような具体的行為が債務不履行,不法行為に該当するかに関する主張が,時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきかどうか(争点1。)イ甲事件被告による甲事件原告に対する歯科治療の中に,債務不履行・不法行為と目されるべき行為があるか(争点2。)ウ仮に,争点2において,甲事件被告に債務不履行・不法行為と目されるべき行為があるとされた場合,甲事件原告に生じた損害額(争点3。)(2) その余の事件の争点ア甲事件における甲事件原告の請求は,不当訴訟として,不法行為を構成するか(争点4。乙事件・丙事件。。)イ甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告が甲事件を提起した行為に関し,乙事件被告に,弁護士として当然に尽くすべき注意義務を果たさなかった過 法行為を構成するか(争点4。乙事件・丙事件。。)イ甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告が甲事件を提起した行為に関し,乙事件被告に,弁護士として当然に尽くすべき注意義務を果たさなかった過失があるか(争点5。乙事件。。)ウ甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告が,故意に甲事件の訴訟遅延を図るという違法な訴訟活動をしたか(争点6。丁事件。。)エ甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告が,甲事件被告の名誉・人格を誹謗・中傷するような違法な主張・立証活動をしたか(争点7。 代理人である乙事件被告が甲事件を提起した行為に関し,乙事件被告に,弁護士として当然に尽くすべき注意義務を果たさなかった過失があるか(争点5。乙事件。。)ウ甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告が,故意に甲事件の訴訟遅延を図るという違法な訴訟活動をしたか(争点6。丁事件。。)エ甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告が,甲事件被告の名誉・人格を誹謗・中傷するような違法な主張・立証活動をしたか(争点7。戊事件。。)オ仮に,争点4ないし7において,甲事件原告,乙事件被告に不法行為と目されるべき行為があるとされた場合,甲事件被告に生じた損害額(争点8。乙事件・丙事件・丁事件・戊事件。。)カ乙事件被告に対し,将来にわたって,甲事件被告の名誉・人格を誹謗・中傷するような行為の不作為を求める法的根拠・必要性(争点9。戊事件。。) 争点に関する当事者の主張各争点に関する当事者の主張は,別紙争点に関する当事者の主張記載のとおりである。口頭弁論の終結の日本件の口頭弁論の終結の日は平成14年1月21日である。第3当裁判所の判断 争点1(時機に後れた攻撃防御方法)争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に関する甲事件原告の主張に関し,甲事件被告は,甲事件原告は立証責任を果たしておらず,これが時機に,,,後れた攻撃防御方法であって却下されるべきである旨を主張するのでまずこれを検討する。(1) 甲事件の審理の進行に関し,次に判示する事項は,甲事件の記録から当裁判所に顕著である。ア甲事件原告は,乙事件被告を訴訟代理人として,平成10年10月22日,岡山地方裁判所に,甲事件を提起した。そして,当裁判所は,同月2,。9日第1回 ,甲事件の記録から当裁判所に顕著である。ア甲事件原告は,乙事件被告を訴訟代理人として,平成10年10月22日,岡山地方裁判所に,甲事件を提起した。そして,当裁判所は,同月2,。9日第1回口頭弁論期日を同年12月14日午後1時10分と指定したなお,甲事件原告は,訴状においては,左上1番,2番,右上1番,2番,右下1番,2番,3番の各歯に対する甲事件被告の歯科治療について。,,問題点がある旨を主張していたそしてこれらの治療の時期については訴状では必ずしも特定されていないが,後に,平成9年8月までであることが明らかにされている。また,訴状における請求金額は,慰謝料450万円,弁護士費用50万円の合計500万円とこれに対する遅延損害金であった。 ,甲事件原告は,訴状においては,左上1番,2番,右上1番,2番,右下1番,2番,3番の各歯に対する甲事件被告の歯科治療について。,,問題点がある旨を主張していたそしてこれらの治療の時期については訴状では必ずしも特定されていないが,後に,平成9年8月までであることが明らかにされている。また,訴状における請求金額は,慰謝料450万円,弁護士費用50万円の合計500万円とこれに対する遅延損害金であった。イ甲事件の訴状及び第1回口頭弁論期日の呼出状は,同年11月6日,甲事件被告に送達された。そして,甲事件被告は,B弁護士外8名に甲事件の訴訟代理を委任し,委任状及び甲事件被告の訴訟代理人である同弁護士ら作成の答弁書が,同年12月10日,当裁判所に提出された。なお,同答弁書の内容は,甲事件原告の請求を棄却するとの判決を求め,請求原因については追って認否するというものであった。ウ同年12月14日午後1時10分の第1回口頭弁論期日に,乙事件被告が甲事件原告の訴訟代理人として出頭し,訴状を陳述した。また,上記答弁書は陳述されたものと擬制された。そして,当裁判所は,同口頭弁論期日において,次回口頭弁論期日を平成11年2月8日午後1時10分と指定した。エ平成11年2月5日,甲事件被告の訴訟代理人であるB弁護士の名で,口頭弁論期日の変更申立てがされた。その理由は,同代理人が病気のため出廷できないというものである。なお,この日までに,請求原因に対する認否が記載された準備書面は,甲事件被告か あるB弁護士の名で,口頭弁論期日の変更申立てがされた。その理由は,同代理人が病気のため出廷できないというものである。なお,この日までに,請求原因に対する認否が記載された準備書面は,甲事件被告から提出されなかった。そして,当裁判所は,同年2月8日,次回口頭弁論期日を同年3月29日午後1時10分と変更した。オ同年2月25日,B弁護士外8名は,甲事件被告の訴訟代理人を辞任する旨の辞任届を,当裁判所に提出した。その後甲事件被告はC弁護士外2名に甲事件の訴訟代理を委任し実,,(際の担当はD弁護士,その委任状が,同年3月25日,当裁判所に提出)された。カ同年3月29日午後1時10分の第2回口頭弁論期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告と,甲事件被告の訴訟代理人であるD弁護士が出頭した。そして,D弁護士は,請求原因に対する認否を記載した同日付け準備書面を陳述した。 る旨の辞任届を,当裁判所に提出した。その後甲事件被告はC弁護士外2名に甲事件の訴訟代理を委任し実,,(際の担当はD弁護士,その委任状が,同年3月25日,当裁判所に提出)された。カ同年3月29日午後1時10分の第2回口頭弁論期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告と,甲事件被告の訴訟代理人であるD弁護士が出頭した。そして,D弁護士は,請求原因に対する認否を記載した同日付け準備書面を陳述した。,,,,,なおこの準備書面には甲事件被告が甲事件原告の左上1番2番右上1番,2番,右下1番,2番,3番の各歯に対して歯科治療をしたことを認める旨の記載があるが,これらの歯に対する治療内容に関する具体的な主張はない。また,当裁判所は,同口頭弁論期日において,甲事件を弁論準備手続に付する旨を決定し,次回弁論準備手続期日を同年6月2日午後1時10分と指定した。,,キ同年5月26日甲事件被告の訴訟代理人であるC弁護士外2名作成の同日付け準備書面が提出された。そして,この準備書面ではじめて,平成9年6月11日から同年10月13日までの甲事件被告による甲事件原告に対する歯科治療の内容が具体的に明らかにされた。ただし,この準備書面には,それよりも後の歯科治療の内容は記載されていない。ク平成11年6月2日午後1時10分の第1回弁論準備手続期 よる甲事件原告に対する歯科治療の内容が具体的に明らかにされた。ただし,この準備書面には,それよりも後の歯科治療の内容は記載されていない。ク平成11年6月2日午後1時10分の第1回弁論準備手続期日(甲事件被告訴訟代理人のD弁護士は,民事訴訟法170条3項所定のいわゆる電話会議の方法により手続を行った)において,キ記載の準備書面が陳述。され,乙第1号証(甲事件原告の初診時における問診票)が提出された。ケ同年7月7日午後1時10分の第2回弁論準備手続期日(甲事件被告訴訟代理人のD弁護士は,いわゆる電話会議の方法により手続を行った)。において,甲事件被告から,乙第2ないし第5号証(平成9年6月分から12月分までと平成10年6月分のカルテ)が提出された。コ平成11年9月21日午後2時の第3回弁論準備手続期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告と,甲事件被告の訴訟代理人であるD。,,弁護士が出頭したそして両当事者による格別の主張・立証活動はなく当裁判所は和解を勧告し,和解は続行となった。 電話会議の方法により手続を行った)。において,甲事件被告から,乙第2ないし第5号証(平成9年6月分から12月分までと平成10年6月分のカルテ)が提出された。コ平成11年9月21日午後2時の第3回弁論準備手続期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告と,甲事件被告の訴訟代理人であるD。,,弁護士が出頭したそして両当事者による格別の主張・立証活動はなく当裁判所は和解を勧告し,和解は続行となった。サ同年10月27日午後2時の第4回弁論準備手続期日(甲事件被告訴訟代理人のD弁護士は,いわゆる電話会議の方法により手続を行った)に。おいて,両当事者による格別の主張・立証活動はなく,当裁判所は和解を打ち切った。なお,当裁判所は,次回弁論準備手続期日を,同年12月1日午後4時30分と指定した。シ甲事件被告は,同年11月29日,甲事件の訴訟代理を委任していたC弁護士外2名を解任し,同年12月1日,その旨を通知する甲事件被告作成の通知書及びC弁護士外2名作成の上申書が,当裁判所に提出された。スシ記載の甲事件被告による訴訟代理人の解任により,同年12月1日午後4時30分の第5回弁論準備手続期日の時点では,甲事件被告には訴訟代理人 びC弁護士外2名作成の上申書が,当裁判所に提出された。スシ記載の甲事件被告による訴訟代理人の解任により,同年12月1日午後4時30分の第5回弁論準備手続期日の時点では,甲事件被告には訴訟代理人がいないという状態になった。そして,第5回弁論準備手続期日は,甲事件被告本人が名古屋市千種区の自宅からいわゆる電話会議の方法により手続を行った。また,この期日において,当裁判所は,甲事件被告に対し,乙第2ないし第5号証(カル),テの反訳書及びレントゲンフィルムを提出していただきたい旨を釈明しこの釈明は同日の弁論準備手続調書に明記された。セその後甲事件被告はE弁護士外8名に甲事件の訴訟代理を委任し実,,(際の担当はF弁護士,その委任状が,同年12月14日,当裁判所に提)出された。ソ同年12月17日午後3時30分の第6回弁論準備手続期日(甲事件被告訴訟代理人のF弁護士は,いわゆる電話会議の方法により手続を行った)において,当裁判所は,甲事件被告に対し,前回弁論準備手続と同。様の事項を改めて釈明し,この釈明は同日の弁論準備手続調書に明記された。タ平成12年1月8日,甲事件被告訴訟代理人のF弁護士外作成の,告知人を甲事件被告,被告知人を甲事件被告補助参加人とする訴訟告知書が,当裁判所に提出された。 後3時30分の第6回弁論準備手続期日(甲事件被告訴訟代理人のF弁護士は,いわゆる電話会議の方法により手続を行った)において,当裁判所は,甲事件被告に対し,前回弁論準備手続と同。様の事項を改めて釈明し,この釈明は同日の弁論準備手続調書に明記された。タ平成12年1月8日,甲事件被告訴訟代理人のF弁護士外作成の,告知人を甲事件被告,被告知人を甲事件被告補助参加人とする訴訟告知書が,当裁判所に提出された。チ同年2月2日午後1時10分の第7回弁論準備手続期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告,甲事件被告本人,甲事件被告の訴訟代理人であるF弁護士が当裁判所に出頭し甲事件被告は乙第6号証平,,,(成9年7月22日分のカルテの反訳書)を提出した。なお,これは,ス記載の第5回弁論準備手続期日,ソ記載の第6回弁論準備手続期日における当裁判所から甲事件被告に対する釈明に応じたものであるが,裁判所の釈明が,乙第2ない カルテの反訳書)を提出した。なお,これは,ス記載の第5回弁論準備手続期日,ソ記載の第6回弁論準備手続期日における当裁判所から甲事件被告に対する釈明に応じたものであるが,裁判所の釈明が,乙第2ないし第5号証(平成9年6月分から12月分までと平成10年6月分のカルテ)の反訳書の提出を要請するものであったのに対し,平成9年7月22日分のカルテの反訳書のみが提出され,甲事件被告は,これ以外のカルテの反訳書を提出する予定はない旨の意向を示した。また,同弁論準備手続期日において,当裁判所は,甲事件原告に対し,準備書面の提出期限を平成12年4月7日までと定めた。ツ甲事件被告は,E弁護士外8名に加え,G弁護士外1名に甲事件の訴訟代理を委任し,その委任状が,同年3月1日,当裁判所に提出された。また,同年3月10日,甲事件被告補助参加人は,当裁判所に,補助参加の申立書を提出した。テ同年4月14日午後3時の第8回弁論準備手続期日(ここで担当裁判官が交代し,以後,弁論終結まで担当裁判官の交代はない)には,甲事件。原告の訴訟代理人である乙事件被告,甲事件被告本人,甲事件被告の訴訟代理人であるF弁護士,G弁護士,甲事件被告補助参加人の訴訟代理人であるH弁護士が出頭し,甲事件原告の同年4月13日付け準備書面2通,甲事件被告の同年4月14日付け準備書面がそれぞれ陳述された。そして,甲事件原告の上記準備書面の中で,甲事件原告は,甲事件被告がすべてのカルテを任意に提出するよう強く求めるとともに,甲事件原告は,甲事件被告の歯科治療全般を問題にしていること,請求の趣旨を拡張する予定であることに言及した。 士,G弁護士,甲事件被告補助参加人の訴訟代理人であるH弁護士が出頭し,甲事件原告の同年4月13日付け準備書面2通,甲事件被告の同年4月14日付け準備書面がそれぞれ陳述された。そして,甲事件原告の上記準備書面の中で,甲事件原告は,甲事件被告がすべてのカルテを任意に提出するよう強く求めるとともに,甲事件原告は,甲事件被告の歯科治療全般を問題にしていること,請求の趣旨を拡張する予定であることに言及した。なお,甲事件原告は,この弁論準備手続期日の前日である同月13日,甲事件被告作成による甲事件原告の治療に関するレントゲン写真を含むすべての記録について,文書提出 拡張する予定であることに言及した。なお,甲事件原告は,この弁論準備手続期日の前日である同月13日,甲事件被告作成による甲事件原告の治療に関するレントゲン写真を含むすべての記録について,文書提出命令の申立て(当裁判所平成12年(モ)第276号)をした。ト上記弁論準備手続期日に先立つ同年4月12日,甲事件被告の訴訟代理人であるF弁護士は,民事訴訟法92条所定の訴訟記録閲覧等制限の申立てをした(当裁判所平成12年(モ)第271号。)これに対し,当裁判所は,同年5月17日,歯科医師の職務の公共性に照らすと,歯科医師の治療に関する事項は民事訴訟法92条1項1号にいう「当事者の私生活についての重大な秘密」には該当しないこと,第三者が甲事件の記録の閲覧等を行うことにより,甲事件被告が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることは疎明されていないことなどを理由として,その申立てを却下する旨の決定をした。ナ甲事件被告の訴訟代理人であるF弁護士は,同年5月17日,テ記載の甲事件原告の文書提出命令の申立てには理由がない旨の意見書を,当裁判所に提出した。これに対し,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告は,翌18日,「意見書に対する反論」と題する書面を,当裁判所に提出した。ニ同年6月2日午後4時30分の第9回弁論準備手続期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告,甲事件被告本人,甲事件被告の訴訟代理人であるF弁護士,甲事件被告補助参加人の代理人であるH弁護士が出頭し,甲事件原告の同年5月25日付け準備書面,甲事件被告の同年6月2日付け準備書面がそれぞれ陳述された。また,甲事件原告は,甲第1ないし第5号証(新聞記事)を提出した。 題する書面を,当裁判所に提出した。ニ同年6月2日午後4時30分の第9回弁論準備手続期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告,甲事件被告本人,甲事件被告の訴訟代理人であるF弁護士,甲事件被告補助参加人の代理人であるH弁護士が出頭し,甲事件原告の同年5月25日付け準備書面,甲事件被告の同年6月2日付け準備書面がそれぞれ陳述された。また,甲事件原告は,甲第1ないし第5号証(新聞記事)を提出した。そして,甲事件原告の上記準備書面の中で,甲事件原告は,甲事件被告の歯科治療の問題点について具体的に け準備書面がそれぞれ陳述された。また,甲事件原告は,甲第1ないし第5号証(新聞記事)を提出した。そして,甲事件原告の上記準備書面の中で,甲事件原告は,甲事件被告の歯科治療の問題点について具体的に主張している。ヌ同年6月7日,G弁護士外1名は,甲事件被告の訴訟代理人を辞任する旨の辞任届を,当裁判所に提出した。また,甲事件被告は,E弁護士外8名に加え,I弁護士に甲事件の訴訟代理を委任し,その委任状が,同年6月8日,当裁判所に提出された。ネ同年6月21日,当裁判所は,甲事件原告からの文書提出命令の申立てについて,甲事件被告に対し,甲事件原告にかかる平成10年1月分から4月分までの各診療録(これに添付された付属書類があるときは,付属書類を含む)の提出を命令し,同申立てのうち,甲事件原告にかかる平成。9年6月分から12月分まで,及び,平成10年5月分の各診療録の提出を求める部分を棄却し(一部棄却の理由は,当該各診療録は乙第2ないし第5号証としてすでに提出されており,文書提出命令の必要性がないというものである,レントゲン写真等の提出を求める部分は判断を留保す。)る旨の一部決定をした。そして,当裁判所は,その理由中で,次のような判示をした(以下の引用の中で「相手方」とあるのは,甲事件被告を指す。。)「なお,本案事件において,相手方は,乙第2ないし第5号証(前記各診療録)を任意に提出したものの,平成10年1月分から4月分までの各診療録を任意に提出しない。しかし,乙第2ないし第5号証は,その内容の多くが相手方の主張に副うものであり,なぜ,平成10年1月分から4月分までの各診療録を任意に提出しないのか明らかではない。また,患者と歯科医師との間の診療契約においては,その契約の当然の内容として,患者は,医療記録に基づいた正確な説明 は,乙第2ないし第5号証(前記各診療録)を任意に提出したものの,平成10年1月分から4月分までの各診療録を任意に提出しない。しかし,乙第2ないし第5号証は,その内容の多くが相手方の主張に副うものであり,なぜ,平成10年1月分から4月分までの各診療録を任意に提出しないのか明らかではない。また,患者と歯科医師との間の診療契約においては,その契約の当然の内容として,患者は,医療記録に基づいた正確な説明 ぜ,平成10年1月分から4月分までの各診療録を任意に提出しないのか明らかではない。また,患者と歯科医師との間の診療契約においては,その契約の当然の内容として,患者は,医療記録に基づいた正確な説明を受ける権利を有するというべきである。したがって,平成10年1月分から4月分までの各診療録を任意に提出しない相手方の応訴態度は,いたずらな訴訟遅延を招きかねないものであって,信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない当事者の責務(民事訴訟法2条)に反するとの批判を免れえない。」ノ甲事件被告は,甲事件の訴訟代理を委任していたE弁護士外8名を解任し,平成12年6月26日,その旨の解任届が,当裁判所に提出された。これにより,甲事件被告の訴訟代理人はI弁護士のみとなり,以後,I弁護士が甲事件を担当することとなる。ハネ記載の文書提出命令の申立てについての決定は即時抗告されることな,,,,く確定し同年7月1日当裁判所は甲事件被告からI弁護士を通じて甲事件原告にかかる平成10年1月分から4月分までの診療録の原本の送付を受けた。ヒ同年9月4日午後4時30分の第10回弁論準備手続期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告,甲事件被告本人,甲事件被告補助参加人の訴訟代理人であるH弁護士が出頭し,甲事件被告の訴訟代理人であるI弁護士は,いわゆる電話会議の方法により手続を行った。そして,甲事件被告は,同年8月7日付け準備書面,同年9月4日付け「訴訟進行に関する意見書」を陳述した。なお,甲事件被告の準備書面は,甲事件原告の同年5月25日付け準備書面に対する詳細な反論である。フ同年11月7日午後3時の第11回弁論準備手続期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告,甲事件被告本人,甲事件被告の訴訟代理人であるI弁護士, 日付け準備書面に対する詳細な反論である。フ同年11月7日午後3時の第11回弁論準備手続期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告,甲事件被告本人,甲事件被告の訴訟代理人であるI弁護士,甲事件被告補助参加人の訴訟代理人であるH弁護士が出頭し,甲事件原告の同年10月31日付け準備書面,甲事件被告の同年11月7日付け準備書面がそれぞれ陳述された。 件被告本人,甲事件被告の訴訟代理人であるI弁護士, 日付け準備書面に対する詳細な反論である。フ同年11月7日午後3時の第11回弁論準備手続期日には,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告,甲事件被告本人,甲事件被告の訴訟代理人であるI弁護士,甲事件被告補助参加人の訴訟代理人であるH弁護士が出頭し,甲事件原告の同年10月31日付け準備書面,甲事件被告の同年11月7日付け準備書面がそれぞれ陳述された。また,これに先立つ同年10月31日,甲事件原告から甲事件原告の本人尋問の申し出があり,この弁論準備手続期日に,甲事件被告から甲事件被告の本人尋問の申し出があり(これ以前には,両当事者は人証の申し出をしていない,当裁判所は,両名を採用し,次回口頭弁論期日に両者。)を取り調べる旨を決定した上で,弁論準備手続を終結した。なお,同弁論準備手続期日において,当裁判所は,上記文書提出命令の申立てのうち,判断を留保していたレントゲン写真等の提出を求める部分について,その存在が明らかではないことを理由として,これを棄却する旨の決定をした。ヘ平成13年2月2日午後2時の第3回口頭弁論期日,同年2月16日午後2時の第4回口頭弁論期日,同年5月21日の第5回口頭弁論期日に,いずれも,甲事件原告及び甲事件被告の各本人尋問が実施された。なお,当初の予定では,2期日で甲事件原告及び甲事件被告の各本人尋,,問を終了する予定であったが尋問が予定時間内では終了しなかったため3期日にわたったものである。また,第3回口頭弁論期日において丙事件が,第4回口頭弁論期日において乙事件が,それぞれ併合された(いずれも,名古屋地方裁判所から移送されてきたものである。。)ホ同年7月9日午後3時の第6回口頭弁論期日に,乙事件被告の本人尋問が実施された。,,マ同年9月17日午後1時30分の第7回口頭弁論期日に 地方裁判所から移送されてきたものである。。)ホ同年7月9日午後3時の第6回口頭弁論期日に,乙事件被告の本人尋問が実施された。,,マ同年9月17日午後1時30分の第7回口頭弁論期日に甲事件原告は同年8月28日付け「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面を陳述した。そして,同年11月2日午後1時15分の第8回口頭弁論期日を経て,平成14年1月21日午後1時30分の第9回口頭弁論期日に,当裁判所は,弁論を終結した。,,,なお第8回口頭弁論期日に丁事件が第9回口頭弁論期日に戊事件がそれぞれ併合された(戊事件は,名古屋地方裁判所から移送されてきたものである。 第7回口頭弁論期日に甲事件原告は同年8月28日付け「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面を陳述した。そして,同年11月2日午後1時15分の第8回口頭弁論期日を経て,平成14年1月21日午後1時30分の第9回口頭弁論期日に,当裁判所は,弁論を終結した。,,,なお第8回口頭弁論期日に丁事件が第9回口頭弁論期日に戊事件がそれぞれ併合された(戊事件は,名古屋地方裁判所から移送されてきたものである。。)(2) 民事訴訟において,立証責任とは,ある要件事実の存在が真偽不明に終わったために,当該要件事実にかかる法律効果の発生が認められないという不利益を受ける地位のことをいう。そして,甲事件被告は「甲事件原告は立証責任を果たしていない」旨を,。指摘するが,ここでいう「立証責任」の語が,上記の意味で使われていないことは明らかであり,その意味するところは,民事訴訟の当事者には,信義に従い誠実に民事訴訟を追行する義務がある(民事訴訟法2条)ところ,甲事件原告は,この義務に違反して,なすべき主張活動・立証活動をしないというところにあると思われる。しかし,次に判示するとおり,甲事件被告のこの主張は,到底採用の限りではない。ア甲事件被告が指摘するとおり,甲事件原告が甲事件を当裁判所に提起したのは平成10年10月22日であり,次に,甲事件原告が準備書面(2通)を提出したのは,平成12年4月13日のことであった。また,甲事件被告の行為を特定して,ある程度具体的な主張をした準備書面を提出したのは,同年5月25日のことであった。しかし,(1)で認定したところか 出したのは,平成12年4月13日のことであった。また,甲事件被告の行為を特定して,ある程度具体的な主張をした準備書面を提出したのは,同年5月25日のことであった。しかし,(1)で認定したところから明らかなとおり,この間,甲事件被告が,甲事件原告に対する歯科治療に関する具体的な主張を行ったのは,平成11年5月26日付け準備書面のみであり,これに関する具体的な立証を行ったのは,乙第1ないし第5号証のみであった。しかも,甲事件原告が,甲事件被告のすべての歯科治療について問題にしていたことが明らかであったにもかかわらず,甲事件被告の主張・立証活動が対象としている期間は,甲事件被告が甲事件原告の治療を行った全期間ではなく,一部にすぎなかった。また,甲事件被告は,乙第2ないし第5号証(平成9年6月分から12月分までと平成10年6月分のカルテ)の反訳書の提出を求める当裁判所の要請に対し,平成12年2月2日にようやく,乙第6号証(平成9年7月22日分のカルテの反訳書)のみを提出し,その余の反訳書を,結局,提出しなかった。 甲事件被告の主張・立証活動が対象としている期間は,甲事件被告が甲事件原告の治療を行った全期間ではなく,一部にすぎなかった。また,甲事件被告は,乙第2ないし第5号証(平成9年6月分から12月分までと平成10年6月分のカルテ)の反訳書の提出を求める当裁判所の要請に対し,平成12年2月2日にようやく,乙第6号証(平成9年7月22日分のカルテの反訳書)のみを提出し,その余の反訳書を,結局,提出しなかった。さらに,甲事件被告は,文書提出命令を受けて,平成12年7月1日に,はじめてすべての診療録を提出した。したがって,(1)ネにおいて判示した上記文書提出命令の申立てに対する同年6月21日付け一部決定にもあるとおり,少なくとも平成12年7月1日にすべての診療録が提出される時点までの甲事件の訴訟手続の空転は,その多くの部分が甲事件被告の側の事情によるものというべきであって,甲事件原告が,信義に従い誠実に民事訴訟を追行する義務に違反したとすることはできない。イ(1)で認定判示したところからも明らかなとおり,同年7月1日に甲事件被告から診療録の提出があった後,2回の弁論準備手続期日を経て,甲事件の弁論準備手続は終結した。そして,甲事 とはできない。イ(1)で認定判示したところからも明らかなとおり,同年7月1日に甲事件被告から診療録の提出があった後,2回の弁論準備手続期日を経て,甲事件の弁論準備手続は終結した。そして,甲事件原告は,この診療録の提出前に同年5月25日付け準備書面を,提出後に同年10月31日付け準備書面を提出しており,その内容は,いずれも,甲事件被告による甲事件原告に対する歯科治療の問題点を具体的に指摘しており,弁論準備手続の終結の時点では,本件の争点は十分に整理されていた。また,(1)フで認定判示したとおり,第11回弁論準備手続期日を迎えて,ようやく,双方から人証の申し出があったため,当裁判所は,甲事件原告及び甲事件被告の各本人尋問を採用した上,弁論準備手続を終結したものである。なお,(1)で認定判示した経緯に照らすと,弁論準備手続の終結が,ことさらに遅滞したわけではない。ウ(1)マで認定判示したとおり,平成13年9月17日午後1時30分の第7回口頭弁論期日に,甲事件原告は,同年8月28日付け「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面を陳述した。そして,その内容は,それまでの甲事件原告の主張を集大成し,それまでの証拠調べ,特に,甲事件原告及び甲事件被告の各本人尋問の結果を検討した結果であることが明らかであり,かつ,これにより,訴訟の完結を遅延させることとなった(民事訴訟法157条1項)わけではない。 3年9月17日午後1時30分の第7回口頭弁論期日に,甲事件原告は,同年8月28日付け「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面を陳述した。そして,その内容は,それまでの甲事件原告の主張を集大成し,それまでの証拠調べ,特に,甲事件原告及び甲事件被告の各本人尋問の結果を検討した結果であることが明らかであり,かつ,これにより,訴訟の完結を遅延させることとなった(民事訴訟法157条1項)わけではない。なお,(1)で認定判示した経緯に照らすと,口頭弁論の終結が,ことさらに遅滞したわけではない。(3) したがって,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に関する甲事件原告の主張が,時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである旨の甲事件被告の主張を採用することはできない。争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)(1) 認 ・不法行為)に関する甲事件原告の主張が,時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである旨の甲事件被告の主張を採用することはできない。争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)(1) 認定事実ア歯科医療に関する初歩的な基礎知識甲第25号証,第42ないし第48号証,第64号証,第189号証,乙第7ないし第10号証,第17ないし第21号証,第23号証,第25ないし第36号証,第41,第42号証,第45,第46号証,第53号証の1ないし7,第56ないし第59号証,弁論の全趣旨によると,本件を判断するために必要な歯科医療に関する初歩的な基礎知識に関する事項として,次の事実を認めることができる。(ア) ヒトの永久歯は32本存在する。歯科医療では,これを一般に,上顎と下顎とに分け,これをさらに正中線(身体の前面,背面の中央を縦に通る垂直線)により左右に区分して,正面から奥に向かって1番から8番までの数字を付して「左上1,」,(,番のようにして個々の歯を区別して表す当事者の主張においても個々の歯を特定するときにはこの方法によっている。。)また,それぞれ,1番から3番の各歯が前歯,4番から8番の各歯が臼歯である。(イ) 歯は,硬組織であるエナメル質,象牙質,セメント質と,軟組織である歯髄で構成されている(別図参照。なお,別図は,前歯の模式図である。。)歯のうち,歯肉から露出している部分を歯冠,歯肉に埋没している部分を歯根といい,歯冠と歯根との境界部を歯頸部という。 者の主張においても個々の歯を特定するときにはこの方法によっている。。)また,それぞれ,1番から3番の各歯が前歯,4番から8番の各歯が臼歯である。(イ) 歯は,硬組織であるエナメル質,象牙質,セメント質と,軟組織である歯髄で構成されている(別図参照。なお,別図は,前歯の模式図である。。)歯のうち,歯肉から露出している部分を歯冠,歯肉に埋没している部分を歯根といい,歯冠と歯根との境界部を歯頸部という。また,正常な歯では,歯冠の表面はエナメル質で,歯根の表面はセメント質でそれぞれ覆われ,その内部に象牙質がある。歯髄は,象牙質に囲まれた歯髄腔という空洞部分に充たされている神経や血管に富んだ部分であり,歯冠に相当する部分を髄質,歯根に相当する部 の表面はセメント質でそれぞれ覆われ,その内部に象牙質がある。歯髄は,象牙質に囲まれた歯髄腔という空洞部分に充たされている神経や血管に富んだ部分であり,歯冠に相当する部分を髄質,歯根に相当する部分を根管という。そして,根管の先端は,歯根の先端にある根端孔を通じて,体内の神経や血管と通じている。なお,1本の歯に1つの根管だけがあるとは限らず,その本数には個人差がある。特に,臼歯においては1本の歯に複数の根管があるのが一般である。また,歯の周りの組織を歯周組織という。歯周組織には,歯根膜,歯槽骨,歯肉があり,歯を支えている。(ウ) 齲蝕(むし歯)は,細菌が,エナメル質,象牙質,歯髄を順次犯していくことにより進行する。そして,病変がエナメル質にとどまっている段階のものをC1,象牙質まで進行した段階のものをC2,歯髄まで進行した段階のものを段のものをC3,歯髄のほとんどが崩壊した段階のものをC4という。なお,エナメル質,象牙質は,一定の硬度があるため,齲蝕の進行の度合いは非常にゆっくりとしたものである。ただし,エナメル質,象牙質には神経は走っていないため,歯髄に進行するまでは痛みはない。(エ) 歯髄の疾患の多くは齲蝕によるが,このほかに,歯周組織の疾患により生じるものがある。歯髄がひとたび疾患に冒されたときは,薬剤または自然治癒力による治癒を期待することはできない。したがって,その主な治療の内容は,歯髄内の細菌や歯髄の壊疽組織などの感染源を除去し,消毒・清掃などにより,未感染部分の清潔を保った上,除去部分に充填作業を施して,再感染を防ぐというものとなる。 進行するまでは痛みはない。(エ) 歯髄の疾患の多くは齲蝕によるが,このほかに,歯周組織の疾患により生じるものがある。歯髄がひとたび疾患に冒されたときは,薬剤または自然治癒力による治癒を期待することはできない。したがって,その主な治療の内容は,歯髄内の細菌や歯髄の壊疽組織などの感染源を除去し,消毒・清掃などにより,未感染部分の清潔を保った上,除去部分に充填作業を施して,再感染を防ぐというものとなる。また,歯髄の損傷や炎症が歯冠部歯髄(髄室)に限局していて,根部歯髄(根管)が健康な状態を保っている場合には断髄法がとられるのに対し,根部歯髄まで病変が拡延している場合には,歯髄の いうものとなる。また,歯髄の損傷や炎症が歯冠部歯髄(髄室)に限局していて,根部歯髄(根管)が健康な状態を保っている場合には断髄法がとられるのに対し,根部歯髄まで病変が拡延している場合には,歯髄の全部を除去する抜髄法がとられる。ところで,根管の先端は,歯冠部からはもっとも離れた位置にあり,かつ,非常に細いものである。また,前記のとおり,1本の歯に1つの根管だけがあるとは限らず,その本数には個人差がある。したがって,目視のみによって,歯髄の損傷がどの程度まで進行しているかを判定するのは非常に困難であり,治療に先立ってレントゲン撮影をすることによって,適切な治療方法の選択が行われるのが一般である。断髄法のうち根部歯髄の生活力を保つ生活断髄法(甲事件原告の多くの歯にとられた処置は生活断髄法である)では,歯冠部歯髄を除去し。て,根管口部で歯髄を切断した後,髄室内の清掃・洗浄・止血・乾燥,覆髄剤の貼付,髄室窩洞充填が行われ,多くの場合,術後相当期間を経,,過した後レントゲン撮影などで根部歯髄の生活力の保持を確認した上永久充填が行われる。これに対し,抜髄法では,根部歯髄の除去の後,根管長の測定,根管拡大・形成,根管清掃,根管貼薬の一連の作業が行われる。このうち,根管長の測定は,根尖最狭窄部までの長さの測定であり,臨床上,この長さを正確に測定することが以後の作業の前提となる。また,根管拡大・形成は,リーマー,ファイルと呼ばれる器具が用いられ,細い号数のものから順次太いものを使用し,号数の順番を飛ばさないこととされている。また,一般には,これらの作業の後,仮封がされて,後日,同一の作業が何回か繰り返され,レントゲン撮影などで症状の回復が確認された後に,根管充填,歯冠形成が行われる。 窄部までの長さの測定であり,臨床上,この長さを正確に測定することが以後の作業の前提となる。また,根管拡大・形成は,リーマー,ファイルと呼ばれる器具が用いられ,細い号数のものから順次太いものを使用し,号数の順番を飛ばさないこととされている。また,一般には,これらの作業の後,仮封がされて,後日,同一の作業が何回か繰り返され,レントゲン撮影などで症状の回復が確認された後に,根管充填,歯冠形成が行われる。なお,断髄法,抜髄法において,事後にレントゲン撮 これらの作業の後,仮封がされて,後日,同一の作業が何回か繰り返され,レントゲン撮影などで症状の回復が確認された後に,根管充填,歯冠形成が行われる。なお,断髄法,抜髄法において,事後にレントゲン撮影がされる目的は,1つの歯に1つの根管だけがあるとは限らないことから,歯科医師が,ある歯に対する治療を終えたつもりであっても,常に,損傷を受けながら治療がまだされていない根管の存在を否定することができないためである。そして,断髄法においても,抜髄法においても,充填作業の完了により患部は完全な無菌状態となり,再び齲蝕が進行するのは,充填材の脱落による場合がほとんどである。イ甲事件原告の歯の状態甲第32ないし第40号証,第155,第156号証,第182号証,乙第1ないし第6号証,甲事件原告及び甲事件被告の各本人尋問の結果,弁論の全趣旨によると,甲事件原告が甲事件被告の治療を受ける前後の甲事件原告の歯の状態に関し,次の事実を認めることができる。(ア) 甲事件原告の祖父は,岡山市内で歯科医をしていた。そして,昭和59年ころ,甲事件原告(昭和39年生まれ)は,階段からすべって手すりにぶつかるという事故で左上1番,右上1番の各歯を破折し,祖父の手により,差し歯にしてもらった。(イ) 甲事件原告は,平成4年10月5日,J歯科医院を訪れて,治療を受。,(),けた同歯科医院における治療内容は左上8番の歯親不知の抜歯左上4番,5番の各歯に対する鋳造歯冠修復,右下8番の歯の智歯周囲炎についての消毒・洗浄などで,実通院日数は4日である(甲第32号証は平成5年1月9日以降のカルテであり,以上の事実は,甲第182号証により認められる。。)(ウ) 甲事件原告は,平成7年2月13日,K歯科医院を訪れて治療を受けた。同歯科における治療内容は 証は平成5年1月9日以降のカルテであり,以上の事実は,甲第182号証により認められる。 4番,5番の各歯に対する鋳造歯冠修復,右下8番の歯の智歯周囲炎についての消毒・洗浄などで,実通院日数は4日である(甲第32号証は平成5年1月9日以降のカルテであり,以上の事実は,甲第182号証により認められる。。)(ウ) 甲事件原告は,平成7年2月13日,K歯科医院を訪れて治療を受けた。同歯科における治療内容は 証は平成5年1月9日以降のカルテであり,以上の事実は,甲第182号証により認められる。。)(ウ) 甲事件原告は,平成7年2月13日,K歯科医院を訪れて治療を受けた。同歯科における治療内容は,左下8番の歯に対する屯薬の投与であり,実通院日数は1日である(甲事件原告の本人尋問の中には,消毒の治療を受けた旨,実通院日数が2日である旨の部分があるが,甲第33,,,。)。号証第182号証により上記の治療内容実通院日数が認められる(エ) 当事者間に争いのない事実(1)記載のとおり,甲事件原告は,平成9年6月11日から平成10年5月15日まで,甲事件被告の治療を受けた。そして,最後に受診した平成10年5月15日の3,4日後の次の予約日に,甲事件原告がA歯科医院に赴いたところ,A歯科医院は閉められており,それ以後,同歯科医院は再開されることはなく,甲事件原告に対する甲事件被告の治療は,自然に終了した。なお,同年6月8日,岡山県知事に対し,同月4日をもって医療法人A歯科医院を休止する旨の医療法所定の届出がされた(甲第155号証。)(オ) 甲事件原告は,平成10年6月10日から同年10月6日まで,M歯科において,治療を受けた。同歯科における主な治療内容は次のとおりである。ⅰ左上4番の歯平成10年6月10日にレントゲン撮影の上,即日充填処置。同月17日に歯冠形成。ⅱ左上5番の歯同月10日にレントゲン撮影の上,根管開放,根管治療。同月17日,24日にそれぞれ根管治療。7月1日に根管充填。8月26日に歯冠形成。ⅲ右上8番の歯同年6月24日,9月2日に単純治療。ⅳ左下7番の歯同年7月1日に根管開放,根管治療。同月6日,15日,22日,29日にそれぞれ根管治療。8月5日に根管充填。同月26日に歯冠形成。ⅴ左上3番の 6月24日,9月2日に単純治療。ⅳ左下7番の歯同年7月1日に根管開放,根管治療。同月6日,15日,22日,29日にそれぞれ根管治療。8月5日に根管充填。同月26日に歯冠形成。 月26日に歯冠形成。ⅲ右上8番の歯同年6月24日,9月2日に単純治療。ⅳ左下7番の歯同年7月1日に根管開放,根管治療。同月6日,15日,22日,29日にそれぞれ根管治療。8月5日に根管充填。同月26日に歯冠形成。ⅴ左上3番の 6月24日,9月2日に単純治療。ⅳ左下7番の歯同年7月1日に根管開放,根管治療。同月6日,15日,22日,29日にそれぞれ根管治療。8月5日に根管充填。同月26日に歯冠形成。ⅴ左上3番の歯同年8月26日にレントゲン撮影の上,根管開放,9月2日に根管治療。同月16日に根管充填。10月6日にセメント充填。(カ) 甲事件原告は,平成10年10月9日から,岡山大学歯学部附属病院において,治療を受けた。甲事件原告は,右上8番の歯の痛みを訴えたところ,同病院第二口腔外科の医師は,この歯が齲触症であると診断し,同月12日,これを抜歯し,同月28日,甲事件原告の歯周疾患の治療のため,同病院の予防歯科に引き継いだ。そして,同病院の予防歯科の医師は,甲事件原告のすべての歯(右上8番,左上8番,左下8番は抜歯済み)につき,歯槽膿漏との診断をし,ブラッシングなどの指導にあたった。(キ) 甲事件原告は,同年11月24日から同月30日まで,L歯科において,治療を受けた。同歯科における主な治療内容は,左上3番,右下5番の各歯の根管治療であったが,実通院日数3日で,甲事件原告は,ここへの通院を中止した。なお,甲事件原告が,L歯科への通院を短期間で中止したのは,甲事件原告が,同歯科の医師から,他にも10本くらい治療を要する歯があり,それらには保険がきかないとの説明を受け,甲事件原告が,これに納得できなかったという事情があった。,,,,(ク) そして甲事件原告は岡山大学歯学部附属病院において左上3番右下5番の各歯,及び,他に治療を要する歯の治療を希望した。その後の同病院における主な治療内容は次のとおりである。なお,次の治療のうち,感染根管処置,根管貼薬処置,根管充填は第一保存科によるもので,その後の歯冠修復に関する処置は第二補綴科によ を希望した。その後の同病院における主な治療内容は次のとおりである。なお,次の治療のうち,感染根管処置,根管貼薬処置,根管充填は第一保存科によるもので,その後の歯冠修復に関する処置は第二補綴科によるものである。ⅰ左上3番,右下5番の各歯同年12月7日,同病院の医師は,これらの歯が歯根膜炎であると診断し,複数回の感染根管処置,根管貼薬処置を経て,平成11年1月19日,根管充填を行った。 第二補綴科によ を希望した。その後の同病院における主な治療内容は次のとおりである。なお,次の治療のうち,感染根管処置,根管貼薬処置,根管充填は第一保存科によるもので,その後の歯冠修復に関する処置は第二補綴科によるものである。ⅰ左上3番,右下5番の各歯同年12月7日,同病院の医師は,これらの歯が歯根膜炎であると診断し,複数回の感染根管処置,根管貼薬処置を経て,平成11年1月19日,根管充填を行った。また,同年5月20日,右下5番の歯に全部鋳造冠が装着された。ⅱ右下6番の歯平成10年12月21日,同病院の医師は,右下6番の歯が歯根膜炎であると診断し,鋳造歯冠を除去した上,複数回の感染根管処置,根管貼薬処置を経て,平成11年2月26日,根管充填を行った。また,同年5月20日,5分の4冠が装着された。ⅲ左上2番の歯同年2月26日,同病院の医師は,左上2番の歯が歯根膜炎であると診断し,複数回の感染根管処置,根管貼薬処置を経て,同年3月15日,根管充填を行った。また,同年4月16日,硬質レジンジャケット冠が装着された。ⅳ右上2番の歯同年3月23日,同病院の医師は,右上2番の歯が歯根膜炎であると診断し,複数回の感染根管処置,根管貼薬処置を経て,同年4月9日,根管充填を行った。また,同年4月16日,左上2番の歯とともに,硬質レジンジャケット冠が装着された。ⅴ左下5番,6番の各歯同年4月16日,同病院の医師は,左下5番,6番の各歯につき,,,鋳造歯冠脱離による歯根膜炎であると診断し複数回の感染根管処置根管貼薬処置を経て,同年6月22日,根管充填を行った。また,同年10月1日,左下5番の歯にインレーが,左下6番の歯に全部鋳造冠がそれぞれ装着された。ⅵ左下7番の歯同年6月22日,同病院の医師は,左下7番の歯につき,歯根膜炎である 充填を行った。また,同年10月1日,左下5番の歯にインレーが,左下6番の歯に全部鋳造冠がそれぞれ装着された。ⅵ左下7番の歯同年6月22日,同病院の医師は,左下7番の歯につき,歯根膜炎であると診断し,複数回の感染根管処置,根管貼薬処置を経て,同年7月16日,根管充填を行った。また,同年12月3日,全部鋳造冠が装着された。ⅶ左下1番の歯甲事件原告は,平成12年の間は,ほぼ1か月に1度の割合で岡山大学歯学部附属病院の予防歯科に通院し,ブラッシングの指導等を受けていた。 6番の歯に全部鋳造冠がそれぞれ装着された。ⅵ左下7番の歯同年6月22日,同病院の医師は,左下7番の歯につき,歯根膜炎であると診断し,複数回の感染根管処置,根管貼薬処置を経て,同年7月16日,根管充填を行った。また,同年12月3日,全部鋳造冠が装着された。ⅶ左下1番の歯甲事件原告は,平成12年の間は,ほぼ1か月に1度の割合で岡山大学歯学部附属病院の予防歯科に通院し,ブラッシングの指導等を受けていた。そして,平成13年3月7日,同病院の医師は,左下1番の歯につき,歯根膜炎であると診断し,鋳造冠を除去した上,複数回の感染根管処置,根管貼薬処置を経て,同年5月2日,根管充填を行った。(2) 甲事件被告が作成したカルテの記載内容とその信用性ア甲第34号証,乙第2ないし第5号証によると,甲事件被告が作成したカルテには,甲事件原告の治療内容として,次のような記載があることが認められる。(ア) 左下5番,6番,7番の各歯平成9年6月11日,左下5番,6番,7番の各歯につき,抜髄処置がとられた(当事者間に争いがない。。)同月13日,左下5番の歯につき根管充填がされ,左下6番,7番の各歯につき,根管治療がされた。ただし,この根管治療については,カルテの中に保険点数の記載がない。同月14日,左下6番,7番の各歯につき,根管治療がされた。ただし,この根管治療については,カルテの中に保険点数の記載がない。同月16日,左下7番の歯につき,根管充填がされた。また,同月20日,左下6番の歯につき,根管充填がされた。そして,同月23日,左下7番の歯につき,同月28日,左下5番,6番の各歯につき,鋳造歯冠の装着がそれぞれされた。なお,左下7番の歯については,同年8月6日に, 下6番の歯につき,根管充填がされた。そして,同月23日,左下7番の歯につき,同月28日,左下5番,6番の各歯につき,鋳造歯冠の装着がそれぞれされた。なお,左下7番の歯については,同年8月6日に,感染根管処置がさ,,,,,。れ同月8日12日18日19日にそれぞれ根管治療がされたただし,これらの根管治療については,カルテの中に保険点数の記載がない。そして,左下7番の歯につき,同月25日,根管充填がされた。さらに,左下7番の歯につき,同年10月4日,根管処置がされた。,,。ただしこの根管処置についてはカルテの中に保険点数の記載がない(イ) 右下5番,6番,7番の各歯同年6月13日,右下6番,7番の各歯につき,生活断髄法がとられた。 12日18日19日にそれぞれ根管治療がされたただし,これらの根管治療については,カルテの中に保険点数の記載がない。そして,左下7番の歯につき,同月25日,根管充填がされた。さらに,左下7番の歯につき,同年10月4日,根管処置がされた。,,。ただしこの根管処置についてはカルテの中に保険点数の記載がない(イ) 右下5番,6番,7番の各歯同年6月13日,右下6番,7番の各歯につき,生活断髄法がとられた。また,同年8月8日,右下5番,6番の各歯につき,生活断髄法がとられ,同月19日,右下7番の歯につき,生活断髄法がとられた。(ウ) 右下8番の歯同年6月25日,右下8番の歯につき,生活断髄法がとられた。(エ) 左上6番,7番の各歯,,,。同年7月1日左上6番7番の各歯につき生活断髄法がとられたまた,同月16日,鋳造歯冠の装着がされた。なお,左上6番の歯につき,同年8月1日,生活断髄法がとられ,同月5日,鋳造歯冠の装着がされた。(オ) 右上5番,6番,7番の各歯,,,。同年7月7日右上6番7番の各歯につき生活断髄法がとられたまた,同年8月12日,右上5番,6番の各歯につき,生活断髄法がとられた。さらに,同月19日,右上7番の歯につき,生活断髄法がとられた。(カ) 左上1番,2番,右上1番,2番の各歯同年7月22日,左上1番,2番,右上1番,2番の各歯につき,抜髄処置がとられた(左上2番,右上2番の各歯については,当事者間に争いがない。。)同 (カ) 左上1番,2番,右上1番,2番の各歯同年7月22日,左上1番,2番,右上1番,2番の各歯につき,抜髄処置がとられた(左上2番,右上2番の各歯については,当事者間に争いがない。。)同月23日,左上1番,2番,右上1番,2番の各歯につき,根管充填がされた。同月25日,左上1番,2番,右上1番,2番の各歯につき,鋳造歯冠の装着がされた。(キ) 右下1番,2番,3番の各歯同年8月26日,右下1番,2番,3番の各歯につき,抜髄処置がとられた(具体的な日については争いがあるものの,このころ,これらの各歯について抜髄処置がとられたことは,当事者間に争いがない。。),,,,,,,,また同月27日30日9月1日2日3日右下1番2番3番の各歯につき,それぞれ根管治療がされた。さらに,同月12日,17日,右下1番,2番の各歯につき,それぞれ根管治療がされた。 番,2番,3番の各歯同年8月26日,右下1番,2番,3番の各歯につき,抜髄処置がとられた(具体的な日については争いがあるものの,このころ,これらの各歯について抜髄処置がとられたことは,当事者間に争いがない。。),,,,,,,,また同月27日30日9月1日2日3日右下1番2番3番の各歯につき,それぞれ根管治療がされた。さらに,同月12日,17日,右下1番,2番の各歯につき,それぞれ根管治療がされた。ただし,これらの根管治療については,カルテの中に保険点数の記載がない。そして,同月5日,右下3番の歯につき,根管充填がされ,同月17日,右下3番の歯につき,鋳造歯冠が装着された。,,,,。また同月30日右下1番2番の各歯につき根管充填がされた(ク) 左下8番の歯同年9月3日,左下8番の歯につき,抜髄処置がとられた。また,同月5日,左下8番の歯につき,根管治療がされた。ただし,この根管治療については,カルテの中に保険点数の記載がない。そして,同月9日,左下8番の歯が抜歯された。(ケ) 左上3番,4番,5番の各歯平成10年5月11日,左上3番,4番,5番の各歯につき,抜髄処置がとられた(当事者間に争いがない。。)そして,同月12日,左上3番の歯につき,同月15日,左上4番,5番の各歯につき,それぞれ根管充填がされた。なお 上3番,4番,5番の各歯につき,抜髄処置がとられた(当事者間に争いがない。。)そして,同月12日,左上3番の歯につき,同月15日,左上4番,5番の各歯につき,それぞれ根管充填がされた。なお,(ク)記載の平成9年9月9日から,左上3番,4番,5番の各,,歯につき抜髄処置がとられた平成10年5月11日まで甲事件原告は1月に数度の割合で甲事件被告の治療を受けているものの,甲事件原告の各歯に関して,抜本的な内療が行われた痕跡はない。イアで認定判示した甲事件被告が作成した甲事件原告のカルテの記載内容は,おおむね甲事件被告の主張に合致する。そこで,これらのカルテの記載内容が,信用するに値するものであるか否かを検討する。(ア) 歯科医師法1条は,歯科医師の任務として「歯科医師は,歯科医療,及び保健指導を掌ることによって,公衆衛生の向上及び増進に寄与し,もって国民の健康な生活を確保するものとする」旨を規定する。。また,同法23条1項は「歯科医師は,治療をしたときは,遅滞な,く診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」と規定し,。 そこで,これらのカルテの記載内容が,信用するに値するものであるか否かを検討する。(ア) 歯科医師法1条は,歯科医師の任務として「歯科医師は,歯科医療,及び保健指導を掌ることによって,公衆衛生の向上及び増進に寄与し,もって国民の健康な生活を確保するものとする」旨を規定する。。また,同法23条1項は「歯科医師は,治療をしたときは,遅滞な,く診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」と規定し,。この義務及び同条2項の定める診療録の保存義務に違反した者に対しては,罰則が科せられる(同法31条。)さらに,同法施行規則22条は,診療録に記載すべき項目として,診療を受けた者の住所,氏名,性別および年齢,病名および主要症状,治療方法(処方および処置,治療の年月日を定めている。)そして,これらの規定によると,歯科医師が作成すべきものとされている診療録は,患者と歯科医師との間の診療契約に基づき,その治療過程を歯科医師に記載させ,もって,診療の適正を期する目的を有するものであるというべきである。また,診療録は,医事紛争に備えて記載したり,他人に自分の歯科医学の知識を見せるために記載したりす 治療過程を歯科医師に記載させ,もって,診療の適正を期する目的を有するものであるというべきである。また,診療録は,医事紛争に備えて記載したり,他人に自分の歯科医学の知識を見せるために記載したりするものではなく,あくまでも適切な治療を行うための科学的な内容,具体的には,患者の自覚的な訴え,歯科医師の観察しえた情報,これらを総合して下した判断あるいは思考過程,治療方針の決定,予後に対する患者への説明などを,患者のもつ問題点ごとに記載することが望ましい(なお,このような記載方法が,「POMR(ProblemOrientedMedicalRecord )と呼ばれて,現在」の医学教育,歯科医学教育の中で,広くその有用性が認められ,推奨されている記載方法であることは,当裁判所に顕著である。。)また,健康保険による診療制度の下では,歯科医師が記載した治療方法に対して,医療事務従事者が,対応する社会保険歯科診療報酬点数を記載し,患者の自己負担分の治療費を直ちに請求することができるとい,,,う一面後日社会保険診療報酬の請求を受けた診療報酬審査委員会が当該治療が適切な治療であったかどうかの審査をすることができるという一面も,軽視することはできない。 載方法であることは,当裁判所に顕著である。。)また,健康保険による診療制度の下では,歯科医師が記載した治療方法に対して,医療事務従事者が,対応する社会保険歯科診療報酬点数を記載し,患者の自己負担分の治療費を直ちに請求することができるとい,,,う一面後日社会保険診療報酬の請求を受けた診療報酬審査委員会が当該治療が適切な治療であったかどうかの審査をすることができるという一面も,軽視することはできない。(イ) ところで,甲事件被告が作成した甲事件原告の診療録の中で,初診日である平成9年6月11日のほかに,7月22日,8月26日,9月2日,同月9日,10月4日,平成10年1月21日,5月11日の記載は,相当の分量にのぼっており,多忙をきわめる歯科治療の合間を縫って書かれたものとは考えづらい。また,その内容は,科学的な内容というよりも,甲事件被告の主観的な感想に終始している。なお,甲事件原告が,訴状において問題にしていたのは,左上1番,2番,右上1番,2番,右下1番,2番,3番の各歯に た,その内容は,科学的な内容というよりも,甲事件被告の主観的な感想に終始している。なお,甲事件原告が,訴状において問題にしていたのは,左上1番,2番,右上1番,2番,右下1番,2番,3番の各歯に対する甲事件被告の歯科治療についてであるが,これは,上記の平成9年7月22日,8月26日の治療に対応する。(ウ) 甲第12号証,弁論の全趣旨によると,甲事件被告は,甲事件原告に対する診療に関し,甲事件原告が加入する健康保険の保険者である民間放送健康保険組合に対し,平成9年6月分から9月分までと,平成10年5月分の治療についての診療報酬を請求しているものの,平成9年10月分から平成10年4月分までの診療報酬を請求していることを認めるに足りる証拠はなく,甲事件被告も,この点に関しては何の主張もしない。したがって,甲事件被告は,上記保険者に対し,上記期間にかかる診療報酬を請求していないとみるのが相当である。また,甲第65ないし第152号証,第162号証,弁論の全趣旨によると,平成10年初めころ,甲事件被告が理事長を務める医療法人A歯科医院からの社会保険診療報酬請求に関し,不正請求の疑いが生じたこと,これに対し,岡山県は,同年1月から3月まで3回にわたり,甲事件被告に対して,個別指導の実施通知をしたが,甲事件被告は,正当な理由もなくいずれも出席しなかったこと,そこで,岡山県は,同年5月,3回にわたり,甲事件被告に対して,監査の実施通知をしたが,甲事件被告は,いずれも正当な理由なく,これを拒否したこと,これにより,岡山県は,同年7月1日,医療法人A歯科医院の保険医療機関指定と,甲事件被告の保険医登録を取り消したことが認められる。 3月まで3回にわたり,甲事件被告に対して,個別指導の実施通知をしたが,甲事件被告は,正当な理由もなくいずれも出席しなかったこと,そこで,岡山県は,同年5月,3回にわたり,甲事件被告に対して,監査の実施通知をしたが,甲事件被告は,いずれも正当な理由なく,これを拒否したこと,これにより,岡山県は,同年7月1日,医療法人A歯科医院の保険医療機関指定と,甲事件被告の保険医登録を取り消したことが認められる。(エ) 甲第34号証によると,平成10年に入っても,甲事件原告の口腔内の状態は相当ひどいものであった旨の記載があるこ 医院の保険医療機関指定と,甲事件被告の保険医登録を取り消したことが認められる。(エ) 甲第34号証によると,平成10年に入っても,甲事件原告の口腔内の状態は相当ひどいものであった旨の記載があることが認められる。具体的には,同年4月11日には,右上3番,右下1番,2番,3番,4番の各歯につき,C3の状態にあると記載され,4月17日には,左下1番,2番,3番,左上3番,4番,5番の各歯につき,C3の状態にあると記載されている。そして,同年5月11日,左上3番,4番,5番の各歯については,抜髄処置がとられたが,他の歯については,抜本的な処置はとられていない。他方,甲事件被告による治療が終了した後,甲事件原告が治療を受けた,M歯科,岡山大学歯学部附属病院,L歯科における原告に対する治療内容は,(1)イの(オ)から(ク)までで認定判示したとおりであり,甲第36,第37号証,第39号証,第178,第179号証,第199号証,第202号証,弁論の全趣旨によると,右上3番,左下1番,2番,3番の各歯には,齲蝕,齲蝕に対する処置のいずれも存在しないことが認められる。なお,これらの歯に関しては,甲事件被告は,本件の争点となる歯とは異なるとして,積極的な主張・立証を行っていない。しかし,他の歯の治療内容についての検討は,争点となっている歯についての甲事件被告の治療内容を立証するもっとも有力な証拠と考えられる甲事件被告が作成したカルテの信用性に直結するものであり,甲事件被告による主張・立証の懈怠による不利益は,当然に,甲事件被告に帰せられるべきものである。(オ) 甲第178,第179号証,第199号証,第202号証,弁論の全趣旨によると,甲事件被告が作成したカルテに生活断髄法をとったとされている右上6番,7番,右下7番,8番,左上6番,7番の各 件被告の治療内容を立証するもっとも有力な証拠と考えられる甲事件被告が作成したカルテの信用性に直結するものであり,甲事件被告による主張・立証の懈怠による不利益は,当然に,甲事件被告に帰せられるべきものである。(オ) 甲第178,第179号証,第199号証,第202号証,弁論の全趣旨によると,甲事件被告が作成したカルテに生活断髄法をとったとされている右上6番,7番,右下7番,8番,左上6番,7番の各 。(オ) 甲第178,第179号証,第199号証,第202号証,弁論の全趣旨によると,甲事件被告が作成したカルテに生活断髄法をとったとされている右上6番,7番,右下7番,8番,左上6番,7番の各歯について,生活断髄法をとった痕跡が存在しないことが認められる。他方,甲事件被告が作成したカルテには,生活断髄法を複数回とった歯が存在する。しかし,生活断髄法の技法については,(1)ア(エ)で認定判示したとおりであり,複数回にわたって生活断髄法をとることは考えづらい。なお,これらの歯に関しては,甲事件被告は,本件の争点となる歯とは異なるとして,積極的な主張・立証を行っていない。しかし,これによる不利益を当然に甲事件被告が負担すべきことは,(エ)で判示したのと同様である。(カ) (1)ア(エ)で認定判示したとおり歯髄の損傷や炎症が歯冠部歯髄髄,(室)に限局していて,根部歯髄(根管)が健康な状態を保っている場合には断髄法がとられるのに対し,根部歯髄まで病変が拡延している場合には,歯髄の全部を除去する抜髄法がとられる。ところで,甲事件被告が作成したカルテによっても,断髄法と抜髄法とのいずれの技法を選択したかの根拠となるべきものは何も記載されていない。特に,断髄法の場合には,根部歯髄(根管)が健康な状態を保っているとの判断が不可欠であるところ,レントゲン写真を撮らずにこのような判断ができたとは解しえない。,,,(キ) (1)ア(エ)で認定判示したとおり抜髄法では根部歯髄の除去の後根管長の測定,根管拡大・形成,根管清掃,根管貼薬の一連の作業が,数日間にわたって繰り返される。現に,(3)のオ,クで認定判示したとおり,M歯科,岡山大学歯学部附属病院では,そのような治療方法がとられている。しかし,(2)アで認定判示したとおり, 連の作業が,数日間にわたって繰り返される。現に,(3)のオ,クで認定判示したとおり,M歯科,岡山大学歯学部附属病院では,そのような治療方法がとられている。 根管長の測定,根管拡大・形成,根管清掃,根管貼薬の一連の作業が,数日間にわたって繰り返される。現に,(3)のオ,クで認定判示したとおり,M歯科,岡山大学歯学部附属病院では,そのような治療方法がとられている。しかし,(2)アで認定判示したとおり, 連の作業が,数日間にわたって繰り返される。現に,(3)のオ,クで認定判示したとおり,M歯科,岡山大学歯学部附属病院では,そのような治療方法がとられている。しかし,(2)アで認定判示したとおり,甲事件被告が作成したカルテには,複数回の根管治療の記載があるものの,保険点数の記載がない。ウそして,アで認定判示した各事実によると,甲事件被告が作成した甲事件原告のカルテ(甲第34号証,乙第2ないし第5号証)は,そもそもが治療実態を反映しない不正確なものであったところ,後日,その内容がさらに改ざんされた疑いがきわめて強く,この2つの理由において,その記載内容を信用することはできない。(3) 右下1番,2番,3番の各歯の抜髄の日右下1番,2番,3番の各歯の抜髄の日について,甲事件原告は,平成9年8月19日である旨を主張し,甲事件被告は,同月26日である旨を主張する。そして,この点に関する甲事件原告の本人尋問の結果が,家族旅行の前日という具体的な特定の日と関連づけてなされており,十分信用するに足りると考えられること,これに対し,(2)で認定判示したとおり,甲事件被告が作成した甲事件原告のカルテの記載内容を信用することができないこと,特に,右下1番,2番,3番の各歯に対する治療は,甲事件の訴状において問題にされていたところ,甲事件被告が作成した甲事件原告のカルテのうち,平成9年8月26日の記載は他の日と比較しても異常であり,後日の人為的な操作を推認させるに十分であることなどに照らすと,平成9年8月19日,甲事件原告の右下1番,2番,3番の各歯に対して抜髄の措置がとられたと認めることができる。(4) 甲事件被告の債務不履行・不法行為ア序,,医療行為特に本件において問題となっているような抜髄という行為は他人の身体に対する侵襲行為という 抜髄の措置がとられたと認めることができる。(4) 甲事件被告の債務不履行・不法行為ア序,,医療行為特に本件において問題となっているような抜髄という行為は他人の身体に対する侵襲行為という側面を否定することはできない。 抜髄の措置がとられたと認めることができる。(4) 甲事件被告の債務不履行・不法行為ア序,,医療行為特に本件において問題となっているような抜髄という行為は他人の身体に対する侵襲行為という 抜髄の措置がとられたと認めることができる。(4) 甲事件被告の債務不履行・不法行為ア序,,医療行為特に本件において問題となっているような抜髄という行為は他人の身体に対する侵襲行為という側面を否定することはできない。したがって,資格を有する歯科医師が,患者の客観的な病状に対応して,医学的に認められた方法,技術水準をもってこれにあたったときに限り,正当な業務行為となるべきものである。さらに,訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであり,その判定は,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし,かつ,それで足りるものである(最高裁昭和48年(オ)第517号同50年10月24日第二小法廷判決・民集29巻9号1417頁,最高裁平成8年(オ)第2043号同11年2月25日第一小法廷判決・民集53巻2号235頁参照。)これによると,歯科医師のとった治療法が,患者の客観的な病状に対応していない,あるいは,医学的に認められた方法,技術水準をもってしたのではないことについて,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得る程度の立証がされれば,歯科医師の債務不履行・不法行為責任は認められるというべきである。,,そこで甲事件原告の症状が医学的に抜髄を要するものであったか否か甲事件被告が行った抜髄が,医学的な技術水準をもってされたか否かについて,検討する。イ甲事件原告の症状が医学的に抜髄を要するものであったか(ア) 乙第12号証の1,第14ないし第16号証,第22号証,第44号証,第47号証の1,第60号証の1の中には,それぞれ,甲事件原告の症 イ甲事件原告の症状が医学的に抜髄を要するものであったか(ア) 乙第12号証の1,第14ないし第16号証,第22号証,第44号証,第47号証の1,第60号証の1の中には,それぞれ,甲事件原告の症状が医学的に抜髄を要するものであったとする見解に一致する部分がある。しかし,これらの内容及び甲第175,第176号証を検討すると,これらは,結局は,初診時に甲事件被告が撮った甲事件原告の1枚のオルトパントグラフから,その可能性がないわけではないことを指摘するものにすぎない。 12号証の1,第14ないし第16号証,第22号証,第44号証,第47号証の1,第60号証の1の中には,それぞれ,甲事件原告の症状が医学的に抜髄を要するものであったとする見解に一致する部分がある。しかし,これらの内容及び甲第175,第176号証を検討すると,これらは,結局は,初診時に甲事件被告が撮った甲事件原告の1枚のオルトパントグラフから,その可能性がないわけではないことを指摘するものにすぎない。そして,甲事件被告が作成したカルテの記載内容を信用することができないことに照らすと,これらによって,甲事件原告の症状が医学的に抜髄を要するものであったことについては,いまだ認めることはできない。,,,(イ) ところで当事者間に争いのない事実(2)エ記載のとおり左上3番4番,5番の各歯について抜髄がされたのは,甲事件原告が甲事件被告のもとで治療を開始してから約11か月を経た後のことである。そして,これよりも前に,これらの各歯について治療を要する状態であったことを認めるに足りる証拠はなく,甲事件被告が作成したカルテによると,(2)アで認定判示したとおり,左下8番の歯が抜歯された平成9年9月9日から,左上3番,4番,5番の各歯につき抜髄処置がとられた平成10年5月11日まで,甲事件原告は,1か月に数度(もっとも少ない月で1か月に3度)の割合で甲事件被告の治療を受けているものの,甲事件原告の各歯に関して,抜本的な内療が行われた痕跡はない。そして,齲蝕は,細菌が,エナメル質,象牙質,歯髄を順次犯していくことにより進行すること,その進行の度合いは非常にゆっくりとしたものであること,抜髄法は,根部歯髄まで病変が拡延している場合に選択される治療法であること,診療に従事 質,象牙質,歯髄を順次犯していくことにより進行すること,その進行の度合いは非常にゆっくりとしたものであること,抜髄法は,根部歯髄まで病変が拡延している場合に選択される治療法であること,診療に従事する歯科医師は,診療治療の求めがあった場合には,正当な事由がなければ,これを拒んではならない(歯科医師法19条1項)とされていることに照らすと,左上3番,4番,5番の各歯は,抜髄を要するものではなかったというべきである。なお,理屈の上では,甲事件被告が,甲事件原告の左上3番,4番,5番の各歯につき,抜髄法で対処しなければならない程度にまで齲蝕が進行することを黙認していたということもありえないわけではない。 医師は,診療治療の求めがあった場合には,正当な事由がなければ,これを拒んではならない(歯科医師法19条1項)とされていることに照らすと,左上3番,4番,5番の各歯は,抜髄を要するものではなかったというべきである。なお,理屈の上では,甲事件被告が,甲事件原告の左上3番,4番,5番の各歯につき,抜髄法で対処しなければならない程度にまで齲蝕が進行することを黙認していたということもありえないわけではない。しかし,これは,余りにも不自然・不合理な状況であり,考慮する必要はない。(ウ) さらに,左上2番,右上2番の各歯に抜髄処置がとられたのは平成9年7月22日であり,右下1番,2番,3番の各歯に抜髄処置がとられたのは同年8月下旬のことである。,,,これに対し甲事件被告が作成したカルテによるとこれらに先立ち同年6月13日には右下6番,7番の各歯につき,同月25日には右下8番の歯につき,同年7月1日には左上6番,7番の各歯につき,同月7日,右上6番,7番の各歯につき,生活断髄法がとられたという。また,右下1番,2番,3番の各歯に抜髄処置がとられたのに先立ち,同年8月1日には左上6番の歯につき,同月8日には右下5番,6番の各歯につき,同月19日には右下7番の歯につき,同年8月12日には右上5番,6番の各歯につき,同月19日には右上7番の歯につき,生活断髄法がとられたという。そして,早急に治療を要する歯をどのような基準で選択したのかを認めるに足りる証拠はないことに照らすと,齲蝕の進行している歯から順次治療にあたったと認めるのが合理的であっ 活断髄法がとられたという。そして,早急に治療を要する歯をどのような基準で選択したのかを認めるに足りる証拠はないことに照らすと,齲蝕の進行している歯から順次治療にあたったと認めるのが合理的であって,左上2番,右上2番,右下1番,2番,3番の各歯が,抜髄を要するものではなかったことを優に推認することができる。(エ) なお,左下5番,6番,7番の各歯については,抜髄を要するものであったと認めるに足りる証拠はないが,抜髄を要するものではなかったことを推認させるに足りる証拠もない。したがって,この点の不利益は,甲事件原告が負うべきである。ウ甲事件被告が行った抜髄と医学的な技術水準,,,(ア) (1)ア(エ)で認定判示したとおり抜髄法では根部歯髄の除去の後根管長の測定,根管拡大・形成,根管清掃,根管貼薬の一連の作業が行われる。 5番,6番,7番の各歯については,抜髄を要するものであったと認めるに足りる証拠はないが,抜髄を要するものではなかったことを推認させるに足りる証拠もない。したがって,この点の不利益は,甲事件原告が負うべきである。ウ甲事件被告が行った抜髄と医学的な技術水準,,,(ア) (1)ア(エ)で認定判示したとおり抜髄法では根部歯髄の除去の後根管長の測定,根管拡大・形成,根管清掃,根管貼薬の一連の作業が行われる。また,一般には,これらの作業の後,仮封がされて,後日,同一の作業が何回か繰り返され,レントゲン写真などで症状の回復が確認された後に,根管充填,歯冠形成が行われる。したがって,これらの一連の作業をふむことが,現時点における医学的な技術水準であるということができる。(イ) このうち,根管長の測定は,それぞれの患者に対して適切な治療を行うための前提であり,これなくしては,適切な抜髄法がとりえるとは解しえない。また,根管拡大・形成は,リーマー,ファイルと呼ばれる器具を用いてされるが,細い号数のものから順次太いものを使用することとされており,順番を飛ばさないこととされている。ところで,甲事件被告が作成したカルテには,根管長の測定に関する記録,リーマー,ファイルの号数に関する記載はまったくない。これに関し,甲事件被告の本人尋問の結果の中には,甲事件被告は,診療録とは別に検査結果をまとめた記録を有している旨の部 根管長の測定に関する記録,リーマー,ファイルの号数に関する記載はまったくない。これに関し,甲事件被告の本人尋問の結果の中には,甲事件被告は,診療録とは別に検査結果をまとめた記録を有している旨の部分がある(平成13年5月21日の本人調書の7頁,8頁,36頁。)しかし,争点1(時機に後れた攻撃防御方法)に対する判断の(1)ネで判示した当裁判所の文書提出命令の申立てに対する一部決定は,診療録に添付された付属書類があるときは,付属書類を含むものとして提出を命令したものであり,甲事件被告が本人尋問の中でいうような検査結果をまとめた記録が存在するとは解されない。(ウ) (1)イの(オ),(ク)で認定判示したとおり,甲事件被告が抜髄の処置を講じた多くの歯について,後日,M歯科,岡山大学歯学部附属病院において,根管開放,根管治療の措置が講じられている。このうち,上記判示によると,甲事件被告が平成10年5月11日に抜髄の処置を講じた左上3番の歯については同年8月26日に,左上5番の歯については同年6月10日に,それぞれ,M歯科において,根管開放,根管治療の措置が講じられている。 (オ),(ク)で認定判示したとおり,甲事件被告が抜髄の処置を講じた多くの歯について,後日,M歯科,岡山大学歯学部附属病院において,根管開放,根管治療の措置が講じられている。このうち,上記判示によると,甲事件被告が平成10年5月11日に抜髄の処置を講じた左上3番の歯については同年8月26日に,左上5番の歯については同年6月10日に,それぞれ,M歯科において,根管開放,根管治療の措置が講じられている。ところで,(1)ア(エ)で認定判示したとおり,抜髄法においては,充填作業の完了時に患部が完全な無菌状態になることが,現時点における医学的な技術水準であるというべきである。したがって,甲事件被告が充填処置を講じた後,わずか1ないし3月余りで他医が根管開放,根管治療の措置が講じられたこれらの歯については,甲事件被告による充填作業の完了時に完全な無菌状態を保っていなかったことは明らかである。(エ) そして,甲事件被告が,根管長を測定したこと,根管の拡大・形成を行ったこと,複数回の根管清掃を行ったこと,レントゲン写真などで症状の回復を確認したことを認めるに足りる証拠はまった である。(エ) そして,甲事件被告が,根管長を測定したこと,根管の拡大・形成を行ったこと,複数回の根管清掃を行ったこと,レントゲン写真などで症状の回復を確認したことを認めるに足りる証拠はまったくない。したがって,甲事件被告が行った抜髄はすべて,現時点における医学的な技術水準をもってしたものではなかったというべきである。エまとめ,,,以上の検討によると甲事件被告は甲事件原告に生じた損害に対して債務不履行・不法行為による損害賠償責任を負担すべきである。争点3(甲事件原告の損害額)(1) 治療費23万円甲事件原告が,左上2番,右上2番,右下1番,2番,3番の各歯に自費によるかぶせ処置を受けたこと,このうち,左上2番,右上2番の各歯につき各7万円,右下1番,2番,3番の各歯につき各3万円の費用を要したことは当事者間に争いがない。そして,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に対する判断で判示したところに照らすと,これらは,甲事件被告の債務不履行,不法行為と相当因果関係にある損害であるというべきである。なお,甲事件原告は,左上2番,右上2番の各歯につき各8万円の費用を要した旨を主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。 歯につき各7万円,右下1番,2番,3番の各歯につき各3万円の費用を要したことは当事者間に争いがない。そして,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に対する判断で判示したところに照らすと,これらは,甲事件被告の債務不履行,不法行為と相当因果関係にある損害であるというべきである。なお,甲事件原告は,左上2番,右上2番の各歯につき各8万円の費用を要した旨を主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。したがって,治療費としては,合計23万円を認めることができる。(2) 休業損害認めない甲事件原告は,甲事件被告及びその後の他医による治療時間,待ち時間に相当する休業損害として,33歳の女子の平均給与額である1月あたり29万1500円の半月分にあたる14万5750円の休業損害を主張する。ところで,甲事件原告が主婦であり,就労していたわけではないことは,甲事件原告自らが主張するところである。したがって,甲事件原告には,得ることができたはずの収入を現実に得ることができなかったという損害が発生したわ 原告が主婦であり,就労していたわけではないことは,甲事件原告自らが主張するところである。したがって,甲事件原告には,得ることができたはずの収入を現実に得ることができなかったという損害が発生したわけではない。また,甲事件被告及びその後の他医による治療のため,甲事件原告が,現実に家事に支障をきたし,あるいは,そのために格別の費用を要したことを認めるに足りる証拠もない。したがって,甲事件原告の主張する休業損害を認めることはできない。(3) 慰謝料200万円争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に対する判断で判示したとおり,甲事件被告がした抜髄は,甲事件原告の客観的な病状に対応してされたこと,医学的な技術水準をもってされたことのいずれについても,甲事件被告の主張を認めることはできず,甲事件原告が,これにより精神的損害を受けたことは明らかである。他方,甲事件原告に生じた損害は,生命の喪失や身体に対する重大な侵害というような性質のものではない。したがって,甲事件原告の側にも,甲事件被告に対して必要な説明を求める機会や,歯科医師を変える機会が十分にあったというべきである。そして,これらのこととともに本件に現れた一切の事情を考慮すると,甲事件原告に生じた精神的損害に対する慰謝料を200万円とするのが相当である。 的損害を受けたことは明らかである。他方,甲事件原告に生じた損害は,生命の喪失や身体に対する重大な侵害というような性質のものではない。したがって,甲事件原告の側にも,甲事件被告に対して必要な説明を求める機会や,歯科医師を変える機会が十分にあったというべきである。そして,これらのこととともに本件に現れた一切の事情を考慮すると,甲事件原告に生じた精神的損害に対する慰謝料を200万円とするのが相当である。(4) 弁護士費用60万円甲事件原告が,甲事件の訴訟の遂行のために弁護士を依頼したことは当裁判所に顕著であり,上記認容額,本件事案の内容,訴訟の審理経過等一切の事情を勘案すると,甲事件被告が負担すべき弁護士費用を金60万円とするのが相当である。(5) 合計以上の(1)から(4)までの合計は283万円である。争点4(甲事件の不当訴訟性)訴えの提起は,提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根 が相当である。(5) 合計以上の(1)から(4)までの合計は283万円である。争点4(甲事件の不当訴訟性)訴えの提起は,提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものである上,同人がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて提起したなど,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り,相手方に対する違法な行為となる(最高裁昭和60年(オ)第122号昭和63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁。)すなわち,同判決が判示するとおり,法的紛争の当事者が当該紛争の終局的解決を裁判所に求めうることは,法治国家の根幹にかかわる重要な事柄であるから,裁判を受ける権利は最大限尊重されなければならず,不法行為の成否を判断するにあたっては,いやしくも裁判制度の利用を不当に制限する結果とならないよう慎重な配慮が必要とされることは当然のことである。したがって,,,法的紛争の解決を求めて訴えを提起することは原則として正当な行為であり提訴者が敗訴の確定判決を受けたことのみによって,直ちに当該訴えの提起をもって違法ということはできない。そして,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に対する判断で判示したとおり,甲事件被告は,甲事件原告に対して,債務不履行・不法行為による損害賠償責任を負担するから,甲事件原告による甲事件の提起が,甲事件被告に対する不法行為となることはない。 を求めて訴えを提起することは原則として正当な行為であり提訴者が敗訴の確定判決を受けたことのみによって,直ちに当該訴えの提起をもって違法ということはできない。そして,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に対する判断で判示したとおり,甲事件被告は,甲事件原告に対して,債務不履行・不法行為による損害賠償責任を負担するから,甲事件原告による甲事件の提起が,甲事件被告に対する不法行為となることはない。争点5(訴訟提起にあたる弁護士としての注意義務)上記最高裁昭和63年1月26日判決の判示するところは,当事者のみならず,訴訟代理人である弁護士にもそのままあてはまるということができる。そして,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に対する判断で判示したとおり,甲事件被告は,甲事件原告 ころは,当事者のみならず,訴訟代理人である弁護士にもそのままあてはまるということができる。そして,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に対する判断で判示したとおり,甲事件被告は,甲事件原告に対して,債務不履行・不法行為による損害賠償責任を負担するから,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告による甲事件の提起が,甲事件被告に対する不法行為となることはない。なお,甲事件被告は,弁護士の使命を強調し,弁護士が,依頼者を代理して訴訟を提起する際には,依頼者の主張が真実か,またそれを証明する証拠が存在するか否かを調査すべき義務があり,特に,本件のような医療過誤を理由とする損害賠償請求訴訟を提起するにあたっては,自ら又は依頼者をして,他の医師などの医学的専門知識を有する第三者に対し,依頼者の主張が医学的に立証できる可能性があるか否かを調査する義務があるというべきである旨を主張する。しかし,医療過誤を理由とする損害賠償請求訴訟であっても,まず,当事者から提出された証拠により具体的な事実を確定し,同様に当事者から提出された証拠により認められる医学的な技術的水準に照らし,この具体的な事実に対して債務不履行・不法行為という法的評価が成立しうるか否かを検討するという判断過程そのものは,一般の債務不履行・不法行為に基づく損害賠償請求訴訟と異なるところはまったくない。そして,上記最高裁判決の判示するところに照らすと,甲事件被告の主張に関し,弁護士倫理の問題として議論するのであれば格別,不法行為の成否に関して,上記最高裁判決の判示するのとは異なる基準を定立する必要を認めることはできない。 実に対して債務不履行・不法行為という法的評価が成立しうるか否かを検討するという判断過程そのものは,一般の債務不履行・不法行為に基づく損害賠償請求訴訟と異なるところはまったくない。そして,上記最高裁判決の判示するところに照らすと,甲事件被告の主張に関し,弁護士倫理の問題として議論するのであれば格別,不法行為の成否に関して,上記最高裁判決の判示するのとは異なる基準を定立する必要を認めることはできない。争点6(乙事件被告による甲事件の訴訟遅延)争点1(時機に後れた攻撃防御方法)において認定判示したとおり,乙事件被告が,訴訟代理人の地位を濫用して故意に甲事件の訴 る必要を認めることはできない。争点6(乙事件被告による甲事件の訴訟遅延)争点1(時機に後れた攻撃防御方法)において認定判示したとおり,乙事件被告が,訴訟代理人の地位を濫用して故意に甲事件の訴訟遅延を図ったと認めることはできない。争点7(乙事件被告による不当な主張・立証活動)(1) 甲事件被告は,乙事件被告による不当な主張・立証活動として,乙事件被告の様々な行為を指摘する。そして,これらは,その性質上,甲事件被告に対する客観的な社会的評価を低下させるといういわゆる「名誉毀損行為」と,甲事件被告に対して主観的に不愉快な感情を抱くことを余儀なくさせるといういわゆる「侮辱行為」とに分けることができる。,,,,,また文書による名誉毀損行為は問題とされる表現が人の品性徳行名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させるものであれば,これが事実を摘示するものであるか,意見あるいは論評を表明するものであるかを問わず,成立しうる(最高裁昭和60年(オ)第1274号平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2252頁,最高裁平成6年(オ)第978号平成9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804頁参照。)そして,事実を摘示しての名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的がもっぱら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,その行為には違法性がなく,仮にその事実が真実であることの証明がないときにも,行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される。一方,ある事実を基礎としての意見あるいは論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関 つ,その目的がもっぱら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,その行為には違法性がなく,仮にその事実が真実であることの証明がないときにも,行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される。一方,ある事実を基礎としての意見あるいは論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関 行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される。一方,ある事実を基礎としての意見あるいは論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的がもっぱら公益を図ることにあった場合に,当該意見あるいは当該論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見あるいは論評としての域を逸脱したものでない限り,その行為は違法性を欠き,仮に当該意見あるいは当該論評の前提としている事実が真実であることの証明がないときにも,行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される(前記最高裁平成9年9月9日判決参照。)したがって,意見あるいは論評の表明による名誉毀損にあって,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的がもっぱら公益を図ることにあった場合には,意見あるいは論評が正当なものであるか,不当なものであるかは,名誉毀損の成否とは無関係である。,,,(2) なお民事訴訟における主張・立証は当事者の自主的な活動に委ねられ裁判所は,これを判断する立場にある。また,主張・立証活動は,第一次的には受訴裁判所に対してされる行為であり,社会一般に向けて行われる行為ではない。そして,これらに照らすと,民事訴訟における主張・立証活動が当事者の社会的評価を低下させるか,その目的がもっぱら公益を図ることにあるかなどの判断にあたっては,いやしくも裁判制度の利用を不当に制限する結果とならないよう慎重な配慮が必要とされることは当然のことである。(3) そこで,これらを前提に,甲事件被告が指摘する乙事件被告の訴訟活動について検討する。ア甲事件被告が保険医登録を取り消された とならないよう慎重な配慮が必要とされることは当然のことである。 動が当事者の社会的評価を低下させるか,その目的がもっぱら公益を図ることにあるかなどの判断にあたっては,いやしくも裁判制度の利用を不当に制限する結果とならないよう慎重な配慮が必要とされることは当然のことである。(3) そこで,これらを前提に,甲事件被告が指摘する乙事件被告の訴訟活動について検討する。ア甲事件被告が保険医登録を取り消された とならないよう慎重な配慮が必要とされることは当然のことである。(3) そこで,これらを前提に,甲事件被告が指摘する乙事件被告の訴訟活動について検討する。ア甲事件被告が保険医登録を取り消されたこと等を主張・立証する行為歯科医師法1条は,歯科医師の任務として「歯科医師は,歯科医療及,び保健指導を掌ることによって,公衆衛生の向上及び増進に寄与し,もって国民の健康な生活を確保するものとする」旨を規定する。そして,こ。れに照らすと,甲事件被告が保険医登録を取り消されたことは,公共の利害に関する事実にかかる。また,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)について認定判示したとおり,この争点を判断するにあたっては,甲事件被告が作成したカルテの内容の信用性の検討が必要不可欠であり,乙事件被告の主張・立証活動は,もっぱら,公正な裁判の実現という公益を図る目的にあったというべきである。,,そして甲事件被告が保険医登録を取り消されたことは真実であるから乙事件被告の行為は違法性を欠く。イ甲事件被告に対する意見・論評甲事件被告が指摘する乙事件被告の行為のうち乙事件被告の用いた被,「告の行為は・・・まともではない「被告は,人の話しに耳を貸さな,。」,いようである「水増請求,二重請求はいずれも刑法の詐欺罪に該当す。」,。,」,「,るこのようなことをする者は・・・カルテを改ざんしたか否かは被告の人間性に関する事柄である。前記各事実は,被告の人間性を判断する間接事実である「Aは,上記尋問において『我々の家族全部があな。」,たたちに人生をメチャメチャにされとるわけだから,忘れるなよ』と脅。迫しました「Aの威圧的で横柄な答え方自体が・・・「緻密で誠。」,,」,実な人格とは程遠い人格である「CKをセットし たたちに人生をメチャメチャにされとるわけだから,忘れるなよ』と脅。迫しました「Aの威圧的で横柄な答え方自体が・・・「緻密で誠。」,,」,実な人格とは程遠い人格である「CKをセットしながらFCKの点数。 族全部があな。」,たたちに人生をメチャメチャにされとるわけだから,忘れるなよ』と脅。迫しました「Aの威圧的で横柄な答え方自体が・・・「緻密で誠。」,,」,実な人格とは程遠い人格である「CKをセットし たたちに人生をメチャメチャにされとるわけだから,忘れるなよ』と脅。迫しました「Aの威圧的で横柄な答え方自体が・・・「緻密で誠。」,,」,実な人格とは程遠い人格である「CKをセットしながらFCKの点数。」,で保険請求するような芸の細かいことを行ってきた被告が・・・「裁,」,判官の説得を聞かず,岡山県の指導と監査に従わない被告の横柄な姿勢には歯科医師として最小限度必要な常識さえ欠けている「大胆不敵な犯。」,罪である「大胆不敵としか言いようのない犯罪である「信用を逆。」,。」,手に取った極めて悪質な犯罪である「計画的で悪質である」という。」,。,,,。表現はいずれも事実の摘示ではなく意見あるいは論評の表明であるそして,これらの意見あるいは論評の基礎となるべき事実は,ア記載の甲事件被告が保険医登録を取り消された事実及び当裁判における甲事件被告の言動であり,公共の利害に関する事実である。また,これらは,公正な裁判の実現という公益を図る目的によることが認められ,その基礎となるべき事実は真実である。なお,(1)記載のとおり,これらの意見あるいは論評が正当なものであるか,不当なものであるかは,名誉毀損の成否とは無関係である。また,争点1(時機に後れた攻撃防御方法)で判示した甲事件の審理の経過,当裁判所に顕著な当事者の訴訟活動の内容に照らすと,これらの意見あるいは論評の表明が,民事訴訟手続の中にあって,侮辱行為として許されないものであるとまでは認めることができない。ウ従前の弁論準備手続に関する虚偽の内容の主張甲事件被告は,乙事件被告が,従前の弁論準備手続に関して虚偽の内容を主張した旨を主張する。しかし,このこと自体は,甲事件被告の社会的評価を低下させるものではない。また,裁判所は,記録 内容の主張甲事件被告は,乙事件被告が,従前の弁論準備手続に関して虚偽の内容を主張した旨を主張する。しかし,このこと自体は,甲事件被告の社会的評価を低下させるものではない。また,裁判所は,記録にとどめられていない訴訟手続に関し,両当事者から異なる主張がされた場合には,争点に直接関係するものでない限り,いずれの主張が正しいかを判断することはない。 会的評価を低下させるものではない。また,裁判所は,記録 内容の主張甲事件被告は,乙事件被告が,従前の弁論準備手続に関して虚偽の内容を主張した旨を主張する。しかし,このこと自体は,甲事件被告の社会的評価を低下させるものではない。また,裁判所は,記録にとどめられていない訴訟手続に関し,両当事者から異なる主張がされた場合には,争点に直接関係するものでない限り,いずれの主張が正しいかを判断することはない。したがって,仮に,乙事件被告の主張が虚偽であったとしても,甲事件被告には,損害は生じていない。(4) 結局,甲事件被告が指摘する乙事件被告の訴訟活動の中に,甲事件被告に対する不法行為となるものは存在しない。争点8(甲事件被告の損害額)争点4ないし争点7に関する甲事件被告の主張は理由がないから争点8甲,(事件被告の損害額)については判断する必要がない。争点9(名誉毀損行為の不作為請求)(1) 甲事件被告は,戊事件の請求の趣旨(2)において,乙事件被告に対し,別紙訴訟事件目録記載の各訴訟事件において,甲事件被告の名誉を毀損するような訴訟活動をしてはならない旨の判決を求める。しかし,この部分は,次に述べるとおり不適法な訴えであり,却下を免れない。(2) 別紙訴訟事件目録記載1から3までの事件は,順に,甲事件,乙事件,丙事件である(ただし,同目録記載3の事件の事件番号の「平成12年(ワ)第e号」は,丙事件が当初提起された名古屋地方裁判所の事件番号であり,岡,,「」山地方裁判所における事件番号は頭書のとおり平成13年(ワ)第f号である。。)また,同目録4から9までに記載の各訴訟事件がいずれも岡山地方裁判所に係属していること,乙事件被告が,これらの事件について,甲事件被告と相対立する当事者の訴訟代理人であることは,当事者間に争いがない。ところで,民事訴訟においては, 訴訟事件がいずれも岡山地方裁判所に係属していること,乙事件被告が,これらの事件について,甲事件被告と相対立する当事者の訴訟代理人であることは,当事者間に争いがない。ところで,民事訴訟においては,利害の対立する当事者が,さまざまの主張・立証活動を行うが,訴訟の適正・公平・迅速な進行のため,受訴裁判所には,訴訟指揮権が与えられている。ただし,実際上の必要から,合議体による審理の場合には,特に裁判所の権限と定められている事項を除き,裁判長が訴訟指揮権を行使する。 告が,これらの事件について,甲事件被告と相対立する当事者の訴訟代理人であることは,当事者間に争いがない。ところで,民事訴訟においては,利害の対立する当事者が,さまざまの主張・立証活動を行うが,訴訟の適正・公平・迅速な進行のため,受訴裁判所には,訴訟指揮権が与えられている。ただし,実際上の必要から,合議体による審理の場合には,特に裁判所の権限と定められている事項を除き,裁判長が訴訟指揮権を行使する。そして,甲事件被告が求めているような相手方当事者の訴訟活動の制限は,その性質上,訴訟指揮権に属する事項である。そして,各裁判所(訴訟法上の受訴裁判所)は,それぞれが独立してその職務にあたるのであるから,別紙訴訟事件目録記載4から9までに記載の各訴訟事件において,当事者の主張活動,立証活動を制限することができるのは,それぞれの受訴裁判所のみであり,当裁判所にはその権限はない。(3) これに対し,別紙訴訟事件目録1から3までの事件は,当裁判所に係属しており,当事者の訴訟活動の制限は,当裁判所の訴訟指揮権に属する事項であった。しかし,訴訟指揮権の行使は,法律上明文の規定があるものを除き,受訴裁判所の合目的的な裁量に委ねられているのであって,相手方当事者の主張活動を制限するような訴訟指揮権の行使に関し,当事者には申立権はない。なお,別紙訴訟事件目録1から3までの事件が,控訴・上後の手続も含むものであるとすれば,(2)で判示したことがそのまま当てはまり,これらの手続を含まないものであるとすれば,口頭弁論終結後に,当事者が主張・立証活動をすることはありえないから,このような判決を求める訴えの利益は存在しない。補足判示なお,乙事件,丙事件,丁事件,戊事件は,甲事件の提起後,それぞれ 口頭弁論終結後に,当事者が主張・立証活動をすることはありえないから,このような判決を求める訴えの利益は存在しない。補足判示なお,乙事件,丙事件,丁事件,戊事件は,甲事件の提起後,それぞれ別個に提起されたものであり,後に,いずれも甲事件及びそれまでに甲事件に併合されていた事件に併合された。また,各事件において提出されたそれぞれの委任状による訴訟代理権の授権の範囲は,この判決の頭書の当事者欄に記載したとおりである。ただし,弁論併合の決定により,当然に,それまでの口頭弁論,証拠調べの,()。結果は各事件の訴訟資料・証拠資料となる民事訴訟法152条2項参照そして,弁護士に訴訟代理権を授権する場合には,その訴訟代理権を制限することができない(同法55条3項)から,結局,各訴訟代理人は,すべての事件についての訴訟代理権を有するというべきである。 訟代理権の授権の範囲は,この判決の頭書の当事者欄に記載したとおりである。ただし,弁論併合の決定により,当然に,それまでの口頭弁論,証拠調べの,()。結果は各事件の訴訟資料・証拠資料となる民事訴訟法152条2項参照そして,弁護士に訴訟代理権を授権する場合には,その訴訟代理権を制限することができない(同法55条3項)から,結局,各訴訟代理人は,すべての事件についての訴訟代理権を有するというべきである。第4 結論 よって,甲事件原告の請求は,主文第1項記載の限度で理由があるからこの範囲で認容し,その余は理由がないから棄却し,戊事件における甲事件被告の訴えのうち,乙事件被告に対して,別紙訴訟事件目録記載の各訴訟事件において,甲事件被告の名誉を毀損するような訴訟活動をしてはならない旨の判決を求める部分は,当裁判所が判決をする権限のない事項に関するものであるから訴えを却下し,甲事件被告の乙事件・丙事件・丁事件における各請求,戊事件におけるその余の請求はいずれも理由がないから棄却し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文,66条を,仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。岡山地方裁判所裁判官永吉孝夫訴訟事件目録以下省略争点に関する当事者の主張第1争点1(時機に後れた攻撃防御方法) 甲事件被告の主張(1) 甲 のとおり判決する。岡山地方裁判所裁判官永吉孝夫訴訟事件目録以下省略争点に関する当事者の主張第1争点1(時機に後れた攻撃防御方法) 甲事件被告の主張(1) 甲事件が提起されたのは,平成10年10月22日である。そして,甲事件原告は,それから平成12年4月13日まで何の主張もせず,同年6月2日まで何の証拠も提出しなかった。ちなみに,初めて提出された証拠は,争点とは関係がなく,証拠価値を有さない新聞記事(甲第1ないし第5号証)にすぎなかった。また,甲事件原告が,甲事件被告の債務不履行・不法行為に該当する行為として具体的な請求原因事実を特定したのは,平成12年10月31日付けの準備書面においてである。(2) その後,甲事件原告は,甲事件の審理の中で,甲事件被告の名誉や人格を誹謗・中傷するだけの主張・立証活動を執拗に行うようになり,審理を混乱させ,甲事件の進行をいっそう遅延させた。(3) そして,甲事件原告は,平成13年8月28日付けで「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面を提出し,何ら裏付ける証拠がないにもかかわらず,新たな主張を提出した。 2年10月31日付けの準備書面においてである。(2) その後,甲事件原告は,甲事件の審理の中で,甲事件被告の名誉や人格を誹謗・中傷するだけの主張・立証活動を執拗に行うようになり,審理を混乱させ,甲事件の進行をいっそう遅延させた。(3) そして,甲事件原告は,平成13年8月28日付けで「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面を提出し,何ら裏付ける証拠がないにもかかわらず,新たな主張を提出した。(4) これらの経緯に照らすと,後記の争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に関する甲事件原告の主張は,時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。甲事件原告の主張(1) 甲事件被告の主張のうち,甲事件原告が甲事件を提起した年月日,準備書面及び「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面を提出した年月日は認める。(2) 甲事件の審理は,甲事件被告が裁判所の訴訟指揮に従わない上に,甲事件被告の訴訟代理人が辞任したり,甲事件被告によって解任されたために,初期の段階で,多くの時間にわたって空転した。特に,甲事件被告が作成した甲事件原告の 件被告が裁判所の訴訟指揮に従わない上に,甲事件被告の訴訟代理人が辞任したり,甲事件被告によって解任されたために,初期の段階で,多くの時間にわたって空転した。特に,甲事件被告が作成した甲事件原告のカルテは,甲事件被告の訴訟代理人が提出を約束していたにもかかわらず,その一部を除いて甲事件被告自身が提出を拒んだため,文書提出命令を経て裁判所に提出されたという経緯がある。(3) なお,甲事件原告の平成12年10月31日付け準備書面は,争点整理手,。続きの中で訴状の請求原因を敷衍して具体的な主張にしたものにすぎないまた,甲事件原告の平成13年8月28日付け「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面は,甲事件原告及び甲事件被告の各本人尋問の結果を踏まえて,最終的に主張を整理したものにすぎない。そして,これらによって訴訟が遅延をしたことはないから,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に関する甲事件原告の主張が時機に後れた攻撃防御方法である旨の甲事件被告の主張は失当である。第2争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為) 甲事件原告の主張(最終的に甲事件原告の主張をまとめたと考えられる平成13年8月28日付け「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面によった)。 したものにすぎない。そして,これらによって訴訟が遅延をしたことはないから,争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為)に関する甲事件原告の主張が時機に後れた攻撃防御方法である旨の甲事件被告の主張は失当である。第2争点2(甲事件被告の債務不履行・不法行為) 甲事件原告の主張(最終的に甲事件原告の主張をまとめたと考えられる平成13年8月28日付け「請求の趣旨及び請求の原因の変更」と題する書面によった)。(1) 本件において,甲事件原告が,甲事件被告の債務不履行・不法行為であると主張する行為は,当事者間に争いのない事実(2)記載の合計11本の歯の抜髄処置,歯冠修復処置である。なお,右下1番,2番,3番の各歯について抜髄処置がとられたのは,平成9年8月19日である。(2) 抜髄された合計11本の甲事件原告の各歯は,いずれも抜髄の必要性がなかった。すなわち,抜髄という治療方法がとられるのは,齲蝕が進行し,歯髄部分(),,まで達しているときC3である 2) 抜髄された合計11本の甲事件原告の各歯は,いずれも抜髄の必要性がなかった。すなわち,抜髄という治療方法がとられるのは,齲蝕が進行し,歯髄部分(),,まで達しているときC3であるが甲事件原告の上記11本の各歯はこのような程度には達していなかった。また,歯科医師が,治療の際に抜髄の必要性の有無を判断するにあたっては,デンタル撮影を行って齲蝕の程度を確認するのが一般であるが,甲事件被告は,まったくデンタル撮影を行っていない。(3) さらに,甲事件原告による合計11本の抜髄処置,歯冠修復処置は,医学的な技術水準をもってなされたものではなかった。すなわち,本来であれば,抜髄後,根管長の測定を行い,根管内の清掃,消毒,根管充填を行い,最終的にデンタル撮影を行って施術の結果を確認するのが一般であるが,甲事件被告は,根管長の測定,デンタル撮影を行っていない。このため,甲事件原告の各歯の歯髄腔及び根尖部は細菌に感染し,他医による再治療を余儀なくされた。(4) これらに加えて,甲事件被告は,甲事件原告に対し,抜髄及び歯冠部分を削る旨の説明をしておらず,したがって,甲事件原告が,これを承諾したこともない。,,,(5) 結局甲事件被告は甲事件原告との歯科治療に関する診療契約に基づき適正かつ適切な治療・説明をすべき義務があるところ,これを怠り,抜髄する必要のない歯髄を抜髄し,削る必要のない歯を削り,さらに,不十分な根管治療のため,抜髄後の歯髄腔を細菌に感染させた。 らに加えて,甲事件被告は,甲事件原告に対し,抜髄及び歯冠部分を削る旨の説明をしておらず,したがって,甲事件原告が,これを承諾したこともない。,,,(5) 結局甲事件被告は甲事件原告との歯科治療に関する診療契約に基づき適正かつ適切な治療・説明をすべき義務があるところ,これを怠り,抜髄する必要のない歯髄を抜髄し,削る必要のない歯を削り,さらに,不十分な根管治療のため,抜髄後の歯髄腔を細菌に感染させた。そして,甲事件被告のこれらの行為は,甲事件原告との診療契約の債務不履行に該当するとともに,不法行為に該当するから,甲事件被告は,甲事件原告に対し,民法415条,709条により,損害賠償責任を負う。甲事件被告の主張(1) 右下1番,2番,3番の各歯について 履行に該当するとともに,不法行為に該当するから,甲事件被告は,甲事件原告に対し,民法415条,709条により,損害賠償責任を負う。甲事件被告の主張(1) 右下1番,2番,3番の各歯について抜髄処置がとられたのは,甲事件原,。告が主張する平成9年8月19日のことではなく同月26日のことである(2) 抜髄された合計11本の甲事件原告の各歯は,いずれも抜髄の必要性があったからこそ,抜髄処置がとられたものである。甲事件被告は,初診時,甲事件原告に対する問診,歯周組織や歯の状態の視診,根尖部や歯茎の触診,口腔内全体のパノラマ写真の撮影などにより,齲蝕の進行状態を判断した。そして,甲事件原告が主張するデンタル撮影に及ぶまでもなく,数多くの歯が歯髄炎,歯周炎の状態であり,特に,当事者間に争いのない事実(2)記載の合計11本の各歯については齲蝕が歯髄部分まで達していることが明らかであったため,いずれも,最終的に抜髄処置を施したものである。なお,甲事件被告が,甲事件原告に対して行った歯科治療は,上記11本の歯の抜髄処置,歯冠修復処置にとどまらず,その内容は後記(5)のとおりである。(3) 甲事件被告の抜髄処置,歯冠修復処置は,適正な処置であり,その内容に非難を受けるべきところはない。なお,甲事件原告が主張する根管充填後のデジタル撮影は,一般的にとられている措置というわけではない。,,,ちなみに前記のとおり甲事件原告の数多くの歯は歯髄炎の状態にありその後の甲事件原告による歯の管理の劣悪さから,甲事件原告は他医による治療を要する状態になったものであると考えられる。 とおりである。(3) 甲事件被告の抜髄処置,歯冠修復処置は,適正な処置であり,その内容に非難を受けるべきところはない。なお,甲事件原告が主張する根管充填後のデジタル撮影は,一般的にとられている措置というわけではない。,,,ちなみに前記のとおり甲事件原告の数多くの歯は歯髄炎の状態にありその後の甲事件原告による歯の管理の劣悪さから,甲事件原告は他医による治療を要する状態になったものであると考えられる。(4) 甲事件被告は,いずれの歯についても抜髄処置を施すに先立ち,甲事件原告に手鏡を持たせ,それぞれの歯の状態を確認させた上で,その現状及び必要な治療内容を説明し,その たものであると考えられる。(4) 甲事件被告は,いずれの歯についても抜髄処置を施すに先立ち,甲事件原告に手鏡を持たせ,それぞれの歯の状態を確認させた上で,その現状及び必要な治療内容を説明し,その承諾を得た上で,治療にあたったものである。(5) 前記のとおり,ほとんどすべての歯について歯髄炎,歯周炎がみられた。そして,当事者間に争いのない事実(2)の合計11本の歯の抜髄処置,歯冠修復処置のほかに,甲事件被告は,甲事件原告に対して,次のような治療行為を行った。ア右下6番,7番の各歯明らかな歯髄炎であったため,平成9年6月13日,断髄処置(生活断髄法)を行い,同日,充填処置を施した。イ右下8番の歯同月25日,断髄処置を行い,同日,充填処置を施した。ウ左上6番,7番,右上6番,7番の各歯同年7月1日,左上6番,7番の各歯に断髄処置を行い,左上7番の歯には同日,左上6番の歯には同月16日に,それぞれ充填処置を施した。また,同月7日,右上6番,7番の各歯に断髄処置を行い,同月9日,それぞれ充填処置を施した。エ左上1番,右上1番の各歯甲事件被告による初診時,甲事件原告の左上1番,右上1番の各歯は,,,差し歯の状態であったが根管治療がきちんと行われていなかったために。,,歯髄が腐ってたれ流しの状態になっていたそしてこれらの歯の膿胞が左上2番,右上2番の歯まで拡がって,これら4本の歯は,抜歯しなければならない可能性もあった。しかし,甲事件原告は,抜歯することを希望しなかったため,甲事件被,,,,,,告は同年7月22日左上1番2番右上1番2番の各歯について抜髄をするとともに,根管治療を施した(左上2番,右上2番の各歯のみを治療した旨の甲事件原告の主張は不十分,不正確である。 腐ってたれ流しの状態になっていたそしてこれらの歯の膿胞が左上2番,右上2番の歯まで拡がって,これら4本の歯は,抜歯しなければならない可能性もあった。しかし,甲事件原告は,抜歯することを希望しなかったため,甲事件被,,,,,,告は同年7月22日左上1番2番右上1番2番の各歯について抜髄をするとともに,根管治療を施した(左上2番,右上2番の各歯のみを治療した旨の甲事件原告の主張は不十分,不正確である。。)オ右上7番,右下 日左上1番2番右上1番2番の各歯について抜髄をするとともに,根管治療を施した(左上2番,右上2番の各歯のみを治療した旨の甲事件原告の主張は不十分,不正確である。。)オ右上7番,右下7番の各歯同年8月19日,断髄処置を行った。なお,甲事件被告は,この日に右下1番,2番,3番の抜髄を行った旨主張するが,この日にされたのは右上7番,右下7番の各歯の断髄処置である。第3争点3(甲事件原告の損害額) 甲事件原告の主張(1) 甲事件原告に生じた損害は,次の合計689万5750円である。ア治療費25万円甲事件原告は,左上2番,右上2番,右下1番,2番,3番の各歯に,自費によるかぶせ処置を受け,甲事件被告に25万円を支払った(左上2番,右上2番が各8万円,右下1番,2番,3番が各3万円)。そして,抜髄し,歯冠を削る必要がないのに,これらの処置がされ,その後,かぶせ処置を受けたのであるから,上記25万円は甲事件原告に生じた損害である。イ休業損害14万5750円甲事件原告は,昭和39年生まれの主婦であり,甲事件被告の治療を受け始めた時には満33歳であった。そして,甲事件被告及びその後の他医による治療回数は合計75回であり,1回平均の待ち時間,治療時間の合計は1時間20分である。これらを考慮すると,甲事件原告は,33歳の女子の平均給与額である1月あたり29万1500円の半月分にあたる14万5750円の休業損害を被ったというべきである。ウ慰謝料550万円甲事件原告は,抜髄する必要のない歯髄を抜髄され,再生が不可能な歯,,。,冠を削られたのでありこれにより回復しがたい損害を被ったそしてこれにより甲事件原告に生じた精神的損害を慰謝するには,少なくとも450万円を下ることはない。また,甲事件原告は ,,。,冠を削られたのでありこれにより回復しがたい損害を被ったそしてこれにより甲事件原告に生じた精神的損害を慰謝するには,少なくとも450万円を下ることはない。 件原告は,抜髄する必要のない歯髄を抜髄され,再生が不可能な歯,,。,冠を削られたのでありこれにより回復しがたい損害を被ったそしてこれにより甲事件原告に生じた精神的損害を慰謝するには,少なくとも450万円を下ることはない。また,甲事件原告は ,,。,冠を削られたのでありこれにより回復しがたい損害を被ったそしてこれにより甲事件原告に生じた精神的損害を慰謝するには,少なくとも450万円を下ることはない。また,甲事件原告は,甲事件被告の不適切な根管治療により,他医による治療を余儀なくされ,その期間は,3年を超えている。そして,この通院に対する慰謝料は,少なくとも100万円を下ることはない。したがって,甲事件原告は,慰謝料として550万円を請求する。エ弁護士費用100万円甲事件原告は,甲事件を弁護士に依頼し,弁護士費用の負担を余儀なくされた。そして,医療過誤訴訟という甲事件の性質に鑑みると,これも甲事件原告に生じた損害である。このうち,甲事件被告が負担すべき弁護士費用は,100万円とするのが相当である。(2) よって,甲事件原告は,甲事件被告に対し,債務不履行による損害賠償請求権,不法行為による損害賠償請求権に基づき,上記689万5750円及びこれに対する甲事件被告が最後に甲事件原告から歯科治療を受けた日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。甲事件被告の主張甲事件原告の主張(1)アのうち,甲事件原告がその主張の各歯に,自費によるかぶせ処置を受けたことのみ認め,その費用が甲事件原告の損害であることは争う。なお,左上2番,右上2番のかぶせ処置に要した費用は各7万円である。甲事件原告の主張(1)のイ,ウ,エはすべて争う。第4争点4(甲事件の不当訴訟性) 甲事件被告の主張(1) 甲事件原告は,平成10年10月22日,岡山地方裁判所に対し「甲事,件被告は,甲事件原告が何ら不自由を感じていないにもかかわらず,いきなり,甲事件原告の承諾を得ないで,健康な歯である左上1番,2番,右上1番,2番,右下1番,2番, ,岡山地方裁判所に対し「甲事,件被告は,甲事件原告が何ら不自由を感じていないにもかかわらず,いきなり,甲事件原告の承諾を得ないで,健康な歯である左上1番,2番,右上1番,2番,右下1番,2番,3番の各歯を削り,差し歯とした」旨の虚偽の事実を主張して,甲事件被告に対して損害賠償を求める訴訟(甲事件)を提起した。 事件原告の承諾を得ないで,健康な歯である左上1番,2番,右上1番,2番,右下1番,2番, ,岡山地方裁判所に対し「甲事,件被告は,甲事件原告が何ら不自由を感じていないにもかかわらず,いきなり,甲事件原告の承諾を得ないで,健康な歯である左上1番,2番,右上1番,2番,右下1番,2番,3番の各歯を削り,差し歯とした」旨の虚偽の事実を主張して,甲事件被告に対して損害賠償を求める訴訟(甲事件)を提起した。(2) しかし,次に述べるとおり,甲事件原告による甲事件の提起は,不当訴訟であり,甲事件被告の名誉・信用を毀損する不法行為である。ア甲事件原告の上記主張自体が,まったく事実無根である。イ争点1(時機に後れた攻撃防御方法)に関して主張したとおり,甲事件原告は,甲事件の提起から1年8か月を経過しても,一向に主張・立証活動をしようとはせず,平成12年6月になって,それ自体何ら証拠価値のない,しかも甲事件とはまったく関係のない甲事件被告を中傷する新聞記事(甲第1ないし第5号証)を証拠として提出したのみである。ウ甲事件の提起に先立つ平成10年8月25日,甲事件被告のもとで治療を受けていたほかの患者が甲事件被告に対して損害賠償請求訴訟を提起したことが新聞により報じられた。そして,甲事件原告は,これを見て,何の主張・立証上の検討を経ないままに,これを追随・模倣して甲事件を提起した。甲事件原告・乙事件被告の主張甲事件被告の主張(1)は認める。甲事件被告の主張(2)については,イのうち甲事件原告が新聞記事(甲第1ないし第5号証)を証拠として提出したこと,ウのうち甲事件被告が主張するような新聞報道があったことのみ認め,その余はすべて否認する。甲事件の提起は正当な権利行使であり,不法行為との評価を受けるようなものではない。第5争点5(訴訟提起にあたる弁護士としての注意義務) 甲事件被告の主張乙事件被告は,甲事件における甲 する。甲事件の提起は正当な権利行使であり,不法行為との評価を受けるようなものではない。第5争点5(訴訟提起にあたる弁護士としての注意義務) 甲事件被告の主張乙事件被告は,甲事件における甲事件原告の訴訟代理人であるが,甲事件を提起するにあたって,弁護士として当然に尽くすべき注意義務を果たさなかった。すなわち,弁護士は,基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命とする(弁護士法1条1項)ところ,この使命に基づき,誠実にその職務を行い,社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない(同条2項。 あたる弁護士としての注意義務) 甲事件被告の主張乙事件被告は,甲事件における甲事件原告の訴訟代理人であるが,甲事件を提起するにあたって,弁護士として当然に尽くすべき注意義務を果たさなかった。すなわち,弁護士は,基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命とする(弁護士法1条1項)ところ,この使命に基づき,誠実にその職務を行い,社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない(同条2項。)そして,弁護士の職務の公共性,専門性に照らすと,例えば,訴訟を提起するにあたっては,依頼者の主張が真実か,またそれを証明する証拠が存在するか否かを調査すべき義務があるというべきである。特に,本件のような医療過誤を理由とする損害賠償請求訴訟を提起するにあたっては,自ら又は依頼者をして,他の医師などの医学的専門知識を有する第三者に対し,依頼者の主張が医学的に立証できる可能性があるか否かを調査する義務があるというべきである。ところが,乙事件被告は,甲事件原告の訴訟代理人として甲事件を提起するにあたり,上記注意義務をまったく果たしていない。のみならず,甲事件は,平成10年8月25日に,甲事件被告のもとで治療を受けていたほかの患者が甲事件被告に対して損害賠償請求訴訟を提起したことが新聞により報じられた後,主張・立証上の検討を経ないままに,これを追随・模倣して提起されたことが明らかである。したがって,乙事件被告が甲事件原告の訴訟代理人として甲事件を提起した行為は,甲事件被告に対する不法行為にあたる。乙事件被告の主張,,甲事件被告の主張のうち弁護士の一般的使命に関して論及する部分は認めその余は否認する。第6争点6 として甲事件を提起した行為は,甲事件被告に対する不法行為にあたる。乙事件被告の主張,,甲事件被告の主張のうち弁護士の一般的使命に関して論及する部分は認めその余は否認する。第6争点6(乙事件被告による甲事件の訴訟遅延) 甲事件被告の主張(1) 争点1(時機に後れた攻撃防御方法)に関してすでに主張したとおり,乙事件被告は,甲事件原告の訴訟代理人の地位を濫用して故意に甲事件の訴訟遅延を図った。ここに改めて,この主張をまとめる。ア甲事件が提起されたのは,平成10年10月22日である。そして,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告は,それから平成12年4月13日まで,何の主張もせず,同年6月2日までは何の証拠も提出しなかった。 被告の主張(1) 争点1(時機に後れた攻撃防御方法)に関してすでに主張したとおり,乙事件被告は,甲事件原告の訴訟代理人の地位を濫用して故意に甲事件の訴訟遅延を図った。ここに改めて,この主張をまとめる。ア甲事件が提起されたのは,平成10年10月22日である。そして,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告は,それから平成12年4月13日まで,何の主張もせず,同年6月2日までは何の証拠も提出しなかった。そして,初めて提出された証拠は,争点とは関係がなく,証拠価値を有さない新聞記事(甲第1ないし第5号証)にすぎなかった。また,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告が,甲事件被告の債務不履行・不法行為に該当する行為として,具体的な請求原因事実を特定したのは,平成12年10月31日付けの準備書面においてである。イその後,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告は,甲事件の審理の中で,争点とは関係のない甲事件被告の名誉や人格を誹謗・中傷するだけの主張・立証活動を繰り返し執拗に行うようになり,審理を混乱させ,甲事件の進行をいっそう遅延させた。ウそして,甲事件原告の訴訟代理人である乙事件被告は,平成13年8月「」,28日付けで請求の趣旨及び請求の原因の変更と題する書面を提出し何ら裏付ける証拠がないにもかかわらず,新たな主張を提出した。(2) 甲事件被告は,一日でも早く甲事件に勝訴して,不当におとしめられた名誉を回復するという法的利益を有するところ,乙事件被告のこれらの行為により,甲事件被告の名誉回 らず,新たな主張を提出した。(2) 甲事件被告は,一日でも早く甲事件に勝訴して,不当におとしめられた名誉を回復するという法的利益を有するところ,乙事件被告のこれらの行為により,甲事件被告の名誉回復の時期は遅延させられており,多大の精神的苦痛を被った。したがって,乙事件被告のこれらの行為は,違法な訴訟活動として不法行為を構成する。乙事件被告の主張甲事件被告の主張(1)のうち,乙事件被告が甲事件原告の訴訟代理人として甲事件を提起した年月日,準備書面及び「請求の趣旨及び請求の原の変更」と題する書面を提出した年月日は認め,その余はすべて否認する。甲事件被告の主張(2)は争う。第7争点7(乙事件被告による不当な主張・立証活動) 甲事件被告の主張乙事件被告は,甲事件原告の訴訟代理人として,甲事件において次のような主張・立証活動を行っているが,これらは,甲事件の争点とは関係がなく,甲事件被告の名誉・人格を誹謗・中傷するものにすぎない。 年月日,準備書面及び「請求の趣旨及び請求の原の変更」と題する書面を提出した年月日は認め,その余はすべて否認する。甲事件被告の主張(2)は争う。第7争点7(乙事件被告による不当な主張・立証活動) 甲事件被告の主張乙事件被告は,甲事件原告の訴訟代理人として,甲事件において次のような主張・立証活動を行っているが,これらは,甲事件の争点とは関係がなく,甲事件被告の名誉・人格を誹謗・中傷するものにすぎない。したがって,乙事件被告のこれらの行為は,甲事件被告の名誉を侵害する不法行為である。(1) 乙事件被告は,甲事件において,甲事件被告が保険医登録を取り消されたこと等を報じる新聞記事4種類を甲第1ないし第4号証として,また,甲事件被告が他の患者から訴えられたことを報じる新聞記事を甲第5号証として,証拠提出した。(2) 乙事件被告は,甲事件において,担当の裁判官及び書記官が人事異動で交替したのを奇貨として,従前の弁論準備手続の中で,D愛知県の歯科大学教授を証人申請する予定です。右教授がおかしい治療だという意見を出されたら,早期和解を希望します。裁判官東京医科歯科大学関係者の回答はありましたか。Dありました。被告に不利です。被告がそれに納得していません。出身大学の教授の意見なら納得するかもしれま 見を出されたら,早期和解を希望します。裁判官東京医科歯科大学関係者の回答はありましたか。Dありました。被告に不利です。被告がそれに納得していません。出身大学の教授の意見なら納得するかもしれません。というやりとりがあった旨を,また,平成11年9月21日の弁論準備手続で「和解金額について話し合い。次回に被告において和解金額提示できるか,もしれない」というやりとりがあった旨を,それぞれ主張した(平成12年。4月13日付け準備書面。)なお,ここで「D」とは,甲事件被告の当時の訴訟代理人であり「被告」,,とは甲事件被告のことを指す。しかし,これらのやりとりがあったことはまったくなく,乙事件被告が,裁判を有利にするためにでっち上げたものである。(3) 乙事件被告は,甲事件において「岡山県は,患者28人の治療に,おいて二重の保険請求か水増し請求などにより診療報酬175万円を不正に受け取ったとして,A医院の保険医療機関指定と保険医登録を平成10年7月1日から2年間取り消している(甲1乃至4「被告の行為は・・・)。 被告のことを指す。しかし,これらのやりとりがあったことはまったくなく,乙事件被告が,裁判を有利にするためにでっち上げたものである。(3) 乙事件被告は,甲事件において「岡山県は,患者28人の治療に,おいて二重の保険請求か水増し請求などにより診療報酬175万円を不正に受け取ったとして,A医院の保険医療機関指定と保険医登録を平成10年7月1日から2年間取り消している(甲1乃至4「被告の行為は・・・)。」,,まともではない「被告は,県の指導,監査要求を拒否したために,平成。」,10年7月2日被告の保険医登録を取り消されている甲1乃至4被()。」,「告は,人の話しに耳を貸さないようである」という主張をした(平成12。年5月25日付け準備書面。)(4) 乙事件被告は,甲事件において「被告は・・・水増請求,二重請求した,,として,平成10年7月22日,2年間,保険医を取り消されている。女性患者(56歳)に対する歯冠修復などの治療で二重に保険請求したのをはじめ,平成9年1月から平成10年3月にかけて,28人の患者に対して,不正請求していたとのことである。しかも,岡山県の3回の個別指導要求,3回の監 対する歯冠修復などの治療で二重に保険請求したのをはじめ,平成9年1月から平成10年3月にかけて,28人の患者に対して,不正請求していたとのことである。しかも,岡山県の3回の個別指導要求,3回の監査請求をいずれも拒否していた(甲1乃至甲4「水増請求,二)。」,重請求はいずれも刑法の詐欺罪に該当する。このようなことをする者は・,・・「カルテを改ざんしたか否かは,被告の人間性に関する事柄である。」,前記各事実は,被告の人間性を判断する間接事実である」という主張をし。た(平成12年5月25日付け準備書面。)(5) 乙事件被告は,甲事件において,甲事件被告らの尋問が終わった後,わざわざ「Aは,上記尋問において『我々の家族全部があなたたちに人生をメ,チャメチャにされとるわけだから,忘れるなよ』と脅迫しました「A。。」,の威圧的で横柄な答え方自体が・・・「緻密で誠実な人格とは程遠い人,」,格である」という内容の書面(平成13年2月21日付け上申書)を提出。した。(6) 乙事件被告は,平成13年5月,甲事件において,合計88通に及ぶ書証(甲第65ないし第152号証)を提出した。これらは,甲事件被告が,行政庁から指導,監査を経て,処分を受けた際の記録であり,甲事件における争点とはまったく関係がないものばかりである。 ,の威圧的で横柄な答え方自体が・・・「緻密で誠実な人格とは程遠い人,」,格である」という内容の書面(平成13年2月21日付け上申書)を提出。した。(6) 乙事件被告は,平成13年5月,甲事件において,合計88通に及ぶ書証(甲第65ないし第152号証)を提出した。これらは,甲事件被告が,行政庁から指導,監査を経て,処分を受けた際の記録であり,甲事件における争点とはまったく関係がないものばかりである。(7) 乙事件被告は,甲事件において「岡山社会保険事務局の監査資料で明ら,かになった」として,その内容を主張し「被告の虚言癖」と題して「C,,KをセットしながらFCKの点数で保険請求するような芸の細かいことを行ってきた被告が・・・」などと,甲事件被告を侮辱する表現を用いて,争,点と関係のない行政処分の話を持ち出し,行政処分を報じる新聞記事の内容を改めて引用し「裁判官の説得を聞かず,岡山県の指導と監 行ってきた被告が・・・」などと,甲事件被告を侮辱する表現を用いて,争,点と関係のない行政処分の話を持ち出し,行政処分を報じる新聞記事の内容を改めて引用し「裁判官の説得を聞かず,岡山県の指導と監査に従わない,。」被告の横柄な姿勢には歯科医師として最小限度必要な常識さえ欠けている,「」,,と甲事件被告を侮辱し岡山県による監査と題してその内容を主張しその資料を準備書面の末尾に添付した(平成13年5月14日付け準備書面。)(8) 乙事件被告は,甲事件において,(6)記載の証拠の内容を主張するだけの準備書面を提出し,その中で「大胆不敵な犯罪である「大胆不敵とし,。」,か言いようのない犯罪である「信用を逆手に取った極めて悪質な犯罪で。」,ある「計画的で悪質である」などと,甲事件被告を繰り返し罵倒してい。」,る(平成13年5月18日付け準備書面。) 乙事件被告の主張甲事件被告の主張のうち,乙事件被告が甲事件において行った主張活動,立証活動については認め,これらが甲事件の争点とは関係がないこと,甲事件被告の名誉・人格を誹謗・中傷するものにすぎないこと,乙事件被告のこれらの行為が甲事件被告の名誉を侵害する不法行為であることは,いずれも争う。第8争点8(甲事件被告の損害額) 甲事件被告の主張(1) 乙事件ア甲事件被告は,乙事件被告が甲事件原告の訴訟代理人としてした不当訴,,,訟の提起という不法行為により人権を踏みにじられ生活権を侵害され歯科医院の休診を続けることを余儀なくされ,歯科医師としてこれまで築き上げてきた信用を失墜した。 ものにすぎないこと,乙事件被告のこれらの行為が甲事件被告の名誉を侵害する不法行為であることは,いずれも争う。第8争点8(甲事件被告の損害額) 甲事件被告の主張(1) 乙事件ア甲事件被告は,乙事件被告が甲事件原告の訴訟代理人としてした不当訴,,,訟の提起という不法行為により人権を踏みにじられ生活権を侵害され歯科医院の休診を続けることを余儀なくされ,歯科医師としてこれまで築き上げてきた信用を失墜した。そして,これらによる甲事件被告の精神的苦痛を評価すると,これに対する慰謝料は,少なくとも3000万円を下回ることはない。さらに,乙事件被告は,歯科医師としての信用を き上げてきた信用を失墜した。そして,これらによる甲事件被告の精神的苦痛を評価すると,これに対する慰謝料は,少なくとも3000万円を下回ることはない。さらに,乙事件被告は,歯科医師としての信用を失墜したが,今後,この信用を回復するには少なくとも10年を要する。そして,この10年間の逸失利益を算定すると,合計6000万円を下回ることはない。イよって,甲事件被告は,乙事件被告に対し,乙事件被告による不当訴訟の提起・維持という不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき,金9000万円及びこれに対する乙事件の訴状送達の日(乙事件は,当初,名古屋地方裁判所に提起された)の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の。割合による遅延損害金の支払を求める。(2) 丙事件ア甲事件被告は,1日に80人ほどの患者が訪れていた人気のある歯科医院であったが,甲事件原告が甲事件を提起し,これがマスコミで実名報道されるなどしたため,甲事件被告があたかも治療ミスを犯したかのような誤解が広く世間に流布された。また,これにより,甲事件被告は,歯科医師としての名誉及び信用を著しく害され,到底業務を継続しえない状況に陥った。そして,甲事件原告の不法行為により甲事件被告に生じた損害は,次の合計3億2700万円である。(ア) 不当訴訟に対する応訴費用200万円甲事件被告は,甲事件原告が提起した不当訴訟に応訴を余儀なくされているが,これに要する費用は200万円を下回ることはない。(イ) 休業損害500万円甲事件被告は,甲事件原告の不法行為により,歯科医師としての社会,。的信用を著しく失墜させられ歯科医院を休業するまでに追い込まれたそして,甲事件原告の不当訴訟が,甲事件被告の実名入りで新聞報道された日の翌日である平成11年2月12日から,丙事件を提起した平成1 被告は,甲事件原告が提起した不当訴訟に応訴を余儀なくされているが,これに要する費用は200万円を下回ることはない。(イ) 休業損害500万円甲事件被告は,甲事件原告の不法行為により,歯科医師としての社会,。的信用を著しく失墜させられ歯科医院を休業するまでに追い込まれたそして,甲事件原告の不当訴訟が,甲事件被告の実名入りで新聞報道された日の翌日である平成11年2月12日から,丙事件を提起した平成1 的信用を著しく失墜させられ歯科医院を休業するまでに追い込まれたそして,甲事件原告の不当訴訟が,甲事件被告の実名入りで新聞報道された日の翌日である平成11年2月12日から,丙事件を提起した平成12年7月5日まで,歯科医院を休業したことにより甲事件被告が被,。った休業損害は一般診療分に限っても500万円を下回ることはない(ウ) 逸失利益3億円甲事件被告が,今後,歯科医院を再開して,甲事件原告の不法行為により不当に害された信用を回復し,従前の歯科医院の業績水準まで回復させるためには,少なくとも10年間を要する。そして,この10年間の平均減収は,年間3000万円を下回ることはないから,合計3億円の将来得べかりし利益を失ったこととなる。(エ) 慰謝料1000万円甲事件原告の不法行為により,甲事件被告は,社会的信用・地位を一気に失墜させられ,地元にいることさえできなくなった。このように,甲事件被告及びその家族が被った精神的苦痛は筆舌に尽くしがたいものであるが,あえて慰謝料として評価すると,1000万円を下回ることはない。(オ) 弁護士費用1000万円丙事件の提起にあたり,甲事件被告は,弁護士を依頼したが,その性質上,これも甲事件原告の不法行為と相当因果関係のある損害であるというべきである。そして,このうち,甲事件原告が負担すべき弁護士費用は,1000万円とするのが相当である。イよって,甲事件被告は,甲事件原告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,上記損害のうち1億5000万円及びこれに対する丙事件(,,。)の訴状送達の日の翌日丙事件は当初名古屋地方裁判所に提起されたの翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。(3) 丁事件ア甲事件の提起は,新聞紙上,甲事件被告の実名 状送達の日の翌日丙事件は当初名古屋地方裁判所に提起されたの翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 に基づき,上記損害のうち1億5000万円及びこれに対する丙事件(,,。)の訴状送達の日の翌日丙事件は当初名古屋地方裁判所に提起されたの翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。(3) 丁事件ア甲事件の提起は,新聞紙上,甲事件被告の実名 状送達の日の翌日丙事件は当初名古屋地方裁判所に提起されたの翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。(3) 丁事件ア甲事件の提起は,新聞紙上,甲事件被告の実名を挙げて報道され,甲事件被告は,A歯科医院を閉鎖することを余儀なくされた。そして,これによって,甲事件被告が被った経済的・精神的損害ははかりしれない。このため,甲事件被告は,一日でも早く甲事件に勝訴して,不当におとしめられた名誉を回復したいと切望している。ところが,乙事件被告の前記訴訟遅延行為により,甲事件被告は,名誉回復の時期を遅延させられており,多大の精神的苦痛を被った。そして,これを評価すると,甲事件被告の受けた精神的損害に対する慰謝料は,1500万円を下回ることはない。イよって,甲事件被告は,乙事件被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,前記1500万円及びこれに対する丁事件の訴状送達の日の翌日である平成13年9月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。(4) 戊事件ア甲事件被告は,争点7(乙事件被告による不当な主張・立証活動)に関する甲事件の主張記載の乙事件被告の一連の名誉毀損行為により,多大の精神的苦痛を被った。そして,これを評価すると,甲事件被告の受けた精神的損害に対する慰謝料は,1000万円を下回ることはない。イよって,甲事件被告は,乙事件被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,前記1000万円及びこれに対する戊事件の訴状送達の日の翌日である平成13年6月30日(戊事件は,当初,名古屋地方裁判所に提起された)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損。害金の支払を求める。甲事件原告・乙事件被告の主張甲事件被告の主張はすべて否認する。なお, 事件は,当初,名古屋地方裁判所に提起された)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損。害金の支払を求める。甲事件原告・乙事件被告の主張甲事件被告の主張はすべて否認する。なお,甲事件被告が主張する休業損害,逸失利益に関し,甲事件被告が歯科医院を継続することができなくなったのは,甲事件原告が甲事件を提起したか,,,らではなくこれに先立ち甲事件被告の保険診療の不正請求の事実が発覚しその結果,平成10年7月1日付けで,医療法人A歯科医院が厚生大臣から保険医療機関指定の取消処分を受け,甲事件被告が厚生大臣から保険医登録の取消処分を受け,このころ,これらが新聞報道されたからである。 事件被告が主張する休業損害,逸失利益に関し,甲事件被告が歯科医院を継続することができなくなったのは,甲事件原告が甲事件を提起したか,,,らではなくこれに先立ち甲事件被告の保険診療の不正請求の事実が発覚しその結果,平成10年7月1日付けで,医療法人A歯科医院が厚生大臣から保険医療機関指定の取消処分を受け,甲事件被告が厚生大臣から保険医登録の取消処分を受け,このころ,これらが新聞報道されたからである。第9争点9(名誉毀損行為の不作為請求) 甲事件原告の主張ア乙事件被告は,別紙訴訟事件目録記載の各訴訟事件において,甲事件被告と相対立する当事者の訴訟代理人となっている。そのため,これらの訴訟でも,乙事件被告が,甲事件被告が平成10年7月1日付けで受けた保険医療機関指定及び保険医登録の各取消処分及びそれに至る行政指導,監督について主張・立証・尋問する等の訴訟活動をして,甲事件被告の名誉を侵害する可能性がきわめて高い。イよって,甲事件被告は,乙事件被告に対し,人格権に基づき,戊事件における請求の趣旨(2)記載のとおりの特定をもって,甲事件被告の名誉を侵害する行為の将来の不作為を求める。乙事件被告の主張甲事件原告の主張のうち,乙事件被告が,別紙訴訟事件目録記載の各訴訟事件において,甲事件被告と相対立する当事者の訴訟代理人となっていることのみ認め,その余はすべて否認する。み認め,その余はすべて否認する。

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