平成19(行コ)405 健康保険受給権確認請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第124号)

裁判年月日・裁判所
平成21年9月29日 東京高等裁判所 その他
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判決文本文43,539 文字)

- 1 -主文 原判決を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は,1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨主文と同旨第2事案の概要 健康保険法(以下「法」といい,特に断らない限り,保険外併用療養費制度を導入した平成18年法律第83号による改正同年10月1日施行以下平(。 「成18年改正」という)後のものをいう)は,保険医療機関等が健康保険。 。 の被保険者の疾病又は負傷に対して行う通常の診療を,健康保険の保険者が被保険者に対して行う「療養の給付」と定め(法63条1項,被保険者は,こ)のような「療養の給付」に該当する診療(保険診療)を受けた場合,それに要した費用の一部のみを一部負担金として負担すれば足りる旨を定めている(法74条1項)ところ,本件は,被控訴人が,本来は「療養の給付」に該当する診療(保険診療。インターフェロン療法)と「療養の給付」に該当しない診療(自由診療。活性化自己リンパ球移入療法の一種である後記LAK療法)を併用する診療(いわゆる混合診療)を受けることについて,インターフェロン療法についても「療養の給付」に該当せず,当該療法に係る診療に要する費用,,,についても自由診療として全額を負担すべきものとされたため控訴人に対しこのような取扱いは法に違反するか,憲法に違反するとして,上記のような混合診療を受けた場合であっても,本来法が定める「療養の給付」に該当する診療(インターフェロン療法)については,法に基づく「療養の給付」を受けることができる権利を有することの確認を求める事案行政事件訴訟法4条の公(「法上の法律関係に関する確認の訴え)である。 」- 2 -控訴人は,①本来は「療養の給付」に該当する診療であっても「療養の給,付」に該当しな ことの確認を求める事案行政事件訴訟法4条の公(「法上の法律関係に関する確認の訴え)である。 」- 2 -控訴人は,①本来は「療養の給付」に該当する診療であっても「療養の給,付」に該当しない診療と併用された場合には,全体として「療養の給付」に該当しない,②保険外併用療養費制度について定めた法86条の解釈によって,同制度に該当するもの以外の混合診療については,本来保険診療に相当するも,「」,,のも含めてすべて療養の給付に該当しないと主張したのに対し原審は控訴人の上記主張はいずれも採用することができず,被控訴人は,法及びその委任を受けた厚生労働省告示等によって「療養の給付」に含まれるインター,フェロン療法を受けることのできる権利を有する以上,これと「療養の給付」に含まれない活性化自己リンパ球移入療法が併用された場合であっても,インターフェロン療法については法の適用があり,被保険者から「療養の給付」として当該療養を受けることができる権利を有すると解すべきであるとして,被控訴人の請求を認容した。そこで,控訴人は,これを不服として控訴した。 法令の定め(1)法52条は,健康保険の保険者(健康保険組合等)が被保険者に対して行う「保険給付」として「療養の給付「保険外併用療養費の支給」等を,」,定め,また,法61条は,被保険者にはこれらの保険給付を保険者から受ける権利があることを前提とする定めを置いている。 そして,法63条1項本文は「被保険者の疾病又は負傷に関しては,次,に掲げる療養の給付を行う」とし,その「療養の給付」の内容として,診。 察(同項1号,薬剤又は治療材料の支給(同項2号,処置,手術その他))の治療(同項3号,居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話そ)の他の看護(同項4号,病院又 付」の内容として,診。 察(同項1号,薬剤又は治療材料の支給(同項2号,処置,手術その他))の治療(同項3号,居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話そ)の他の看護(同項4号,病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話)その他の看護(同項5号)を掲げている。また,法74条1項は,被保険者は,保険医療機関等から「療養の給付」を受ける(現物給付)際,その費用の一部(一定割合)についてのみ一部負担金として保険医療機関等に支払う旨定め,法76条1項は「療養の給付」に関する費用は,保険者が,保険,- 3 -医療機関等に対し,上記一部負担金に相当する額を控除した額を支払う旨定めている。 (2)このように,被保険者が法に基づき原則として受けることのできる通常の診療(療養)の範囲は,法52条,63条1項にいう「療養の給付」に含まれるか否かによって決せられることになるが,法は,何が「療養の給付」に該当するかを直接明らかにすることなく,その具体的内容は,法の委任を受けた規則等(下位規範)に委ねている。 すなわち,①法72条1項は,保険医療機関において診療に従事する保険医(保険医療機関において健康保険の診療に従事する厚生労働大臣の登録を受けた医師又は歯科医師。法64条)等は「厚生労働省令で定めるところ,により,健康保険の診療又は調剤に当たらなければならない」と定め,こ。 の委任を受けた「保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生」省令第15号。以下「療担規則」という。乙10)18条は「保険医は,,特殊な療法又は新しい療法等については,厚生労働大臣の定めるもののほか行ってはならない」と定めている。また,②法76条2項は「療養の給。 ,付に要する費用の額は,厚生労働大臣が定めるところにより,算定するものとする」と定め, いては,厚生労働大臣の定めるもののほか行ってはならない」と定めている。また,②法76条2項は「療養の給。 ,付に要する費用の額は,厚生労働大臣が定めるところにより,算定するものとする」と定め,この委任を受けて「診療報酬の算定方法(診療報酬点。 」数表。平成20年厚生労働省告示第59号。2年ごとに改定されており,同制定前は,平成18年厚生労働省告示92号。乙38の4)が定められ,さらに,③保険医が「療養の給付」として用いることができる医薬品の品目及びその価格については,法72条1項の委任を受けた療担規則19条1項本文が「保険医は,厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を患者に施用し,又は処方してはならない」と定め,さらにこれを受けた「療担規則及び薬。 担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成1」8年厚生労働省告示第107号。乙11)第六によって,一部品目を除き,「使用薬剤の薬価(薬価基準。平成18年厚生労働省告示第95号)の別」- 4 -表に収載されている医薬品である旨が明らかにされている。 ,,「」()(3)他方被保険者は保険者から療養の給付に該当しない診療療養に係る給付を原則として受けることができない結果,当該診療に要する費用は,自由診療として,全額自らが負担しなければならないことになるが,法は「療養の給付」に含まれない療養のうち,特に,食事療養(法63条2,項1号,生活療養(同項2号,評価療養(同項3号)及び選定療養(同))),,項4号に係る給付についてはこれらの療養に要した費用の一部についてそれぞれ,食事療養については入院時食事療養費(法85条,生活療養に)ついては入院時生活療養費(法85条の2,評価療養又は選定療養につい)ては保険外併用療養費(法86条) した費用の一部についてそれぞれ,食事療養については入院時食事療養費(法85条,生活療養に)ついては入院時生活療養費(法85条の2,評価療養又は選定療養につい)ては保険外併用療養費(法86条)を支給する旨を定めている。 (4)保険外併用療養費制度は,平成18年改正により導入されたものであるところ,保険外併用療養費は「評価療養又は選定療養を受けたときは,そ,の療養に要した費用について」支給するものとされ(法86条1項,そ,)の額は「当該療養…につき第76条第2項の定めを勘案して厚生労働大臣,が定めるところにより算定した費用の額…から,その額に第74条第1項各号に掲げる場合の区分に応じ,同項各号に定める割合を乗じて得た額…を控除した額」等とされている(同条2項1号。控除する額は「療養の給付」,におけるのと同じ被保険者の一部負担金である。 。)これを受けて「保険外併用療養費に係る療養についての費用の額の算定,方法(平成18年厚生労働省告示第496号,平成20年厚生労働省告示」第66号。乙38の1・3)は,法86条1項に規定する療養についての費用の額の算定については「診療報酬の算定方法(診療報酬点数表。平成,」20年厚生労働省告示第59号。乙38の4)の例によると規定している。 保険外併用療養費は,上記のとおり,現物給付である「療養の給付」と異なり,現金給付(償還払い)とされているが,実際の支給に当たっては,保険者が被保険者に代わって直接医療機関に対して支払うものとされ(法86- 5 -条4項,85条5項,6項,法施行規則63条,現物給付と同様の取扱い)がされている。 そして,保険医療機関は,評価療養又は選定療養に関し,当該療養に要する費用の範囲内において,上記により算定される保険外併用療養費の額を超える金額(療 3条,現物給付と同様の取扱い)がされている。 そして,保険医療機関は,評価療養又は選定療養に関し,当該療養に要する費用の範囲内において,上記により算定される保険外併用療養費の額を超える金額(療養の給付」に相当しない診療に係る費用)の支払を受けるこ「とができるものとされる(療担規則5条2項。 )(5)保険医療機関は,当該保険医療機関において診療に従事する保険医に,,,「」厚生労働省令で定めるところにより診療に当たらせるほか療養の給付を担当し(法70条1項,また,保険外併用療養費に係る療養(評価療養)及び選定療養)等を担当することとされている(同条2項。 )保険外併用療養費制度における評価療養とは「厚生労働大臣が定める高,度の医療技術を用いた療養その他の療養であって,前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて,適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの」であり(法63条2項3号,評価療養に係る給付は,前記のとおり食事療養,生活療養)及び選定療養に係る給付と共に「療養の給付」に含まれないとされる(同項柱書き。 )そして,療担規則18条を受けた「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第」107号。乙11)の「第五療担規則第18条及び療担基準第18条の特殊療法に係る厚生労働大臣が定める療法等」では,療担規則18条の「厚生労働大臣の定めるもの」について「厚生労働大臣の定める評価療養及び選,定療養(平成18年厚生労働省告示第495号)第1条各号に掲げる評価療養」と規定している。 この「厚生労働大臣の定める評価療養及び選定療養(乙3)1条柱書き」は「健康保険法…第63条第2項第3号…に規定する評価療 年厚生労働省告示第495号)第1条各号に掲げる評価療養」と規定している。 この「厚生労働大臣の定める評価療養及び選定療養(乙3)1条柱書き」は「健康保険法…第63条第2項第3号…に規定する評価療養は,次の各,- 6 -号に掲げるものとする」と定め,同条1号は「別に厚生労働大臣が定め。 ,る先進医療(先進医療ごとに別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する病院又は診療所において行われるものに限る」と規定しており,保険医。)が行うことのできる評価療養の一つに先進医療を挙げている。 これを受けて,保険医が行うことのできる評価療養である先進医療について「厚生労働大臣の定める先進医療及び施設基準(平成20年厚生労働省」告示第129号。同制定前は,平成18年厚生労働省告示第574号。乙25)が具体的に規定しており,先進医療としての評価療養は,同告示の要。 件を満たす保険医療機関(届出制)において受けるものとされている。 (6)保険外併用療養費制度は,昭和59年法律第77号による法改正(以下「昭和59年改正」といい,同改正後,平成18年改正前の法を「旧法」という。う。なお,以下の旧法の条文数は,昭和59年改正時のものでなく,平成14年法律第102号による改正後のものである)により創設された。 ,,特定療養費制度を引き継いだものであるところ特定療養費制度においては高度先進医療(高度の医療技術を用いた療養)については,特定承認保険医療機関(学校教育法に基づく大学の附属施設である病院その他の高度の医療を提供するものとして厚生労働省令で定める要件に該当する病院又は診療所であって厚生労働大臣の承認を受けたもの)において受けるものとされ(旧法86条1項1号,その療養に要した費用について,特定療養費を支給す)ることとされていた。その額につい に該当する病院又は診療所であって厚生労働大臣の承認を受けたもの)において受けるものとされ(旧法86条1項1号,その療養に要した費用について,特定療養費を支給す)ることとされていた。その額についての定め,具体的な算定方法及び支給方法並びに特定承認保険医療機関が上記療養に関し特定療養費の額を超える金額の支払を受けることができることは,前記(4)の保険外併用療養費についての取扱いと同じであった(旧法86条2項ないし4項,旧法施行規則63条「健康保険法第86条第1項に規定する療養についての費用の額の算定,方法(昭和59年厚生省告示第148号「健康保険法の規定による療養」),に要する費用の額の算定方法(平成6年厚生省告示第54号,平成18」)- 7 -年厚生労働省令第157号による改正前の療担規則5条の2第2項(乙2の1・2。また「病院又は診療所は,同時に特定承認保険医療機関及び保)),険医療機関であることはできない(旧法86条7項)とされ,特定承認。」保険医療機関が保険医療機関の指定を受けたときは,特定承認保険医療機関の承認を辞退したものとみなし(同条8項,保険医療機関が特定承認保険)医療機関の承認を受けたときは,保険医療機関の指定を辞退したものとみなし(同条9項,本来「療養の給付」を行うものとされる旧法63条3項2)号又は3号に掲げる病院又は診療所(いわゆる事業主病院等)が特定承認保険医療機関の承認を受けたときは,当該病院又は診療所においては「療養,の給付」は行わないものとされた(旧法86条10項。さらに,厚生労働)大臣は,高度の医療を提供する病院又は診療所の要件を定める厚生労働省令,(「」。)を定めようとするときは中央社会保険医療協議会以下中医協というに諮問するものとされ(同条11項,高度先 )大臣は,高度の医療を提供する病院又は診療所の要件を定める厚生労働省令,(「」。)を定めようとするときは中央社会保険医療協議会以下中医協というに諮問するものとされ(同条11項,高度先進医療及び特定承認保険医療)機関の施設基準については「厚生労働大臣の定める高度先進医療及び施設,基準(平成17年厚生労働省告示第384号。乙14)が具体的に規定し」ていた(同告示においては,高度先進医療として,3号から111号まで列挙されていた。 。)(7)そして,特定療養費制度が平成18年改正により保険外併用療養費制度に引き継がれた際,特定承認保険医療機関の制度は廃止され,先進医療は,評価療養の一つとして,前記のとおり保険医療機関(届出制)において受けるものとされた。 特定療養費制度においても,特定療養費の支給対象として,上記高度先進医療のほか,保険医療機関等から受ける選定療養が規定されていた(旧法86条1項2号。選定療養に係る給付は,食事療養に係る給付と共に「療養の給付」に含まれないものとされた。旧法63条2項)ところ,保険外併用療養費制度に引き継がれた際,評価療養のうちの先進医療に,高度先進医療の- 8 -ほか,必ずしも高度でない先進医療技術(平成17年から選定療養として規定されていた)が加えられ,特定療養費制度において特定療養費の支給対。 象とされていた療養は,将来保険を導入するかどうかの評価を行う療養を評価療養とし,保険導入を前提としない療養を選定療養とする内容に再構成された。 前提事実(当事者間に争いがないか,括弧書きした証拠及び弁論の全趣旨により認められる)。 (1)被控訴人は,健康保険の被保険者であるところ,保険医療機関であるP1センターにおいて,○の治療のため,当時の主治医から,インターフェロン療法に た証拠及び弁論の全趣旨により認められる)。 (1)被控訴人は,健康保険の被保険者であるところ,保険医療機関であるP1センターにおいて,○の治療のため,当時の主治医から,インターフェロン療法に加えて,高度先進医療であるインターロイキン2を用いた活性化自己リンパ球移入療法(以下「LAK療法」という)を併用する旨の提案を。 受け,平成13年9月から,両療法を併用する治療を受けていた。 (2)インターフェロン療法は「療養の給付」に該当するが,LAK療法を,含む活性化自己リンパ球移入療法は「療養の給付」に該当しない。 ,(3)一般に「療養の給付」に該当する診療(保険診療)と,これに該当し,ない診療(自由診療)を併用することを混合診療というところ,厚生労働省は,法における「療養の給付」の取扱いにつき,混合診療としての先進医療が行われた場合には,旧法施行当時は,前記のとおりの特定療養費制度の枠組みの下で,その療養に要した費用について特定療養費を支給すべき要件を満たした場合を除き,また,現行法の下では,評価療養の一つとしての先進医療に該当する場合を除いて,自由診療分はもとより,本来「療養の給付」に該当する保険診療相当分についても,保険給付を受けられなくなる旨(これを「混合診療禁止の原則」という)解釈し,これに基づき健康保険行政。 を執行し,医療機関等に対して行政指導を行ってきている。 (4)厚生労働省が採用する上記解釈によれば,被控訴人が,インターフェロン療法に加えてLAK療法を受けると,被控訴人は,LAK療法に要する費- 9 -用はもとよりインターフェロン療法に要する費用についても保険給付療,,(養の給付)を受けることができず,費用の全額を負担すべきことになる。 (5)P1センターは,特定療養費制度の適用を受ける特定承認保険医 インターフェロン療法に要する費用についても保険給付療,,(養の給付)を受けることができず,費用の全額を負担すべきことになる。 (5)P1センターは,特定療養費制度の適用を受ける特定承認保険医療機関の承認は受けていなかったが,前記のとおり,被控訴人に対して,インターフェロン療法とLAK療法を併用する治療を行い,前者について「療養の給」(),,,付保険診療をし後者についてはその併用は混合診療に当たるためその治療費を被控訴人に対して請求していなかったところ,平成17年10月,厚生労働省の上記解釈に従い,両療法を併用する治療を続けることはできないとしたため,被控訴人は,同センターにおいてLAK療法を受けることを断念した。その際,同センターは,被控訴人に対して,引き続きLAK療法を受けることを希望するのであれば,特定承認保険医療機関又は自由診療(自費診療)の民間医院を紹介すると説明したが,被控訴人は,これを断り,厚生労働省の上記解釈は誤っているとして,同センターにおいて従前どおりインターフェロン療法とLAK療法を併用した治療を受けることを希望して,平成18年3月24日,本訴を提起した。 (6)LAK療法を含む活性化自己リンパ球移入療法(がん性の胸水又は腹水に係るものに限る)は,平成17年8月当時,特定療養費の支給対象とな。 る高度先進医療として定められていた(厚生労働大臣の定める高度先進医療及び施設基準22号。乙14)ので,これを特定承認保険医療機関において受ければ,特定療養費が支給されたが,P1センターは,前記のとおり,特定承認保険医療機関ではなかった。 (7)LAK療法は,平成18年1月,高度先進医療専門家会議により,活性化自己リンパ球移入療法が高度先進医療に適用された当初(平成8年11月1日)から実施されてい 定承認保険医療機関ではなかった。 (7)LAK療法は,平成18年1月,高度先進医療専門家会議により,活性化自己リンパ球移入療法が高度先進医療に適用された当初(平成8年11月1日)から実施されているが,有効性が明らかでないため,高度先進医療としての承認を取り消すことが適当であると判断されて,これが中医協に報告され(乙15,20,これを受けて,同年3月「厚生労働大臣の定める),- 10 -高度先進医療及び施設基準」が改正(同年4月1日から適用)されて,特定療養費制度の対象となる高度先進医療からLAK療法を含む活性化自己リンパ球移入療法が除外され(同基準22号削除,活性化自己リンパ球移入療)法のうち「自己腫瘍(組織)を用いた活性化自己リンパ球移入療法(がん性の胸水,腹水又は進行がんに係るものに限る」及び「自己腫瘍(組織)。)及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法(がん性の胸水,腹水又は進行がんに係るものに限る」が高度先進医療として規定された(同基。)準112号及び113号。乙16。 )(8)そして,同年10月から施行された保険外併用療養費制度においても,上記2つの活性化自己リンパ球移入療法は評価療養の対象となる先進医療として規定されている(厚生労働大臣の定める先進医療及び施設基準(同年厚生労働省告示第574号)2項73号及び74号。乙25)ので,同療法とインターフェロン療法を併用する診療を同評価療養を実施する保険医療機関で受けることはできるが,被控訴人は,あくまでもLAK療法を従前どおりP1センター(同センターは,先進医療として規定された活性化自己リンパ。)(,球移入療法を実施する保険医療機関ではないにおいて受けること月12回)を希望して,本訴を維持している。 本件の争点控訴人は,インターフェロ 医療として規定された活性化自己リンパ。)(,球移入療法を実施する保険医療機関ではないにおいて受けること月12回)を希望して,本訴を維持している。 本件の争点控訴人は,インターフェロン療法をLAK療法と併用して行う場合には,LAK療法だけでなく,インターフェロン療法も「療養の給付」に該当せず,法による保険給付を受けられないと解すべきであると主張する。 その理由として,控訴人は,①複数の医療行為が行われる場合には,それらの複数の医療行為を併せて不可分一体の1つの医療行為であるとして「療養の給付」が予定したものに該当するかどうかを検討すべきであり,個別的には保険診療に該当するものであっても,これに保険診療に該当しないものが加わって一体として「療養の給付」に該当しないことになれば,前者についても保険- 11 -給付は受けられないと解すべきである,②保険外併用療養費制度について定めた法86条は,保険診療と自由診療が混在する混合診療のうち,健康保険によ,,り保険給付すべきものを限定的に掲げたものであるからその反対解釈により混合診療のうちこの保険外併用療養費制度に該当しないものについては,すべ「」(),て療養の給付に当たらないと解されるべきであり混合診療禁止の原則本来保険診療に相当するものについても「療養の給付」を受けることはできないと解されると主張する。これに対して,被控訴人は,控訴人主張のように解すべき理由はないとするほか,控訴人主張のように,混合診療においては,保険診療に相当する部分についても「療養の給付」に当たらず,保険給付を受けられなくなると解することは,憲法(14条,25条,29条,84条)に違反すると主張する。 そこで,本件の争点は,上記①又は②の控訴人の主張の当否(法が混合診療禁止の原則をとってい ,保険給付を受けられなくなると解することは,憲法(14条,25条,29条,84条)に違反すると主張する。 そこで,本件の争点は,上記①又は②の控訴人の主張の当否(法が混合診療禁止の原則をとっているか。具体的には,インターフェロン療法をLAK療法と併用して行う場合には,インターフェロン療法も「療養の給付」に当たらないと解されるか,③被控訴人の憲法違反の主張の当否(控訴人主張のよう。),,,。)。 に解すること又はそのように解される法は憲法に違反するかである 争点についての当事者の主張(1)争点1(複数の医療行為が行われる場合には,それらを不可分一体の1つの医療行為とみて「療養の給付」に該当するか否かを判断すべきである,と解すべきか)について。 原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要」4(1)記載のとおりであるから,これを引用する。 (2)争点2(保険外併用療養費制度について定めた法の解釈によって,同制度に該当するもの以外の混合診療については,本来保険診療に相当するものも含めて,すべて「療養の給付」に当たらず,保険給付を受けられないと解すべきか)について。 - 12 -(控訴人の主張)ア法令におけるLAK療法の位置付け療担規則18条等の前記法令の定めによれば,保険医は,現行の保険外併用療養費制度における評価療養として厚生労働大臣が定めるもの以外の療法は「特殊な療法又は新しい療法」に該当するため,保険医の立場で,行うことは許されないことになる。この点は,旧法下においても同様で,昭和59年改正に合わせて,療担規則18条が特定承認保険医療機関において行う高度先進医療を除外する例外規定(同条ただし書)を置いたことから,保険医は,特定療養費制度における高度先進医療以外の療法については「特殊な療法又は ,療担規則18条が特定承認保険医療機関において行う高度先進医療を除外する例外規定(同条ただし書)を置いたことから,保険医は,特定療養費制度における高度先進医療以外の療法については「特殊な療法又は新しい療法」に該当するため行うことが許されないこととなったものである。 そして,評価療養としての先進医療を厚生労働大臣が定め,かつ,保険医療機関において実施するための要件を整理すると,まず,厚生労働大臣が設置する,先進医療に係る専門的学識経験を有し,かつ,保険診療に精通した者により構成される先進医療専門家会議において,療法の妥当性が検討されることが必要である。これは,当該療法について,一定程度の先進性並びに有効性及び安全性が認められることのほか,保険医療機関が当該療法を安全に実施することができるだけの能力が必要とされるためである。こうした制度趣旨にかんがみれば,法及び療担規則が,評価療養として厚生労働大臣が定めるもの以外を特殊療法等として,保険医による実施を一律禁止するのは,一般に安全性及び有効性が確認されていないため,その実施を許すと,安全性及び有効性が確立し全国的に普及している医療を平等に提供しようとする法の趣旨が貫徹されなくなるからであると解される。この点は,旧法下においても同様で,高度先進医療の実施医療機関である特定承認保険医療機関として承認を受けるための要件を整理すると,まず,保険医療機関に係る基準として,病床数や常勤医師数が一定程- 13 -度確保され,かつ,当直及び看護体制が整備されていること等のほか,当該病院に,高度先進医療について審査,評価及び指導を実施するための専門委員会が設置され,十分機能していること等が必要である(昭和60年2月25日厚生省保険局長通知「特定承認保険医療機関及び特定承認療養取扱機関の取扱いについて て審査,評価及び指導を実施するための専門委員会が設置され,十分機能していること等が必要である(昭和60年2月25日厚生省保険局長通知「特定承認保険医療機関及び特定承認療養取扱機関の取扱いについて。また,高度先進医療そのものについても,」)当該療法の安全性及び有効性が確立されているが,その実施についてはいまだ一般に普及するには至っていないものであり,当該医療が一般に普及し,保険に導入されるまでの間,特定療養費制度の対象とするものについて,厚生大臣が中医協の意見を聴いて定めるものとし,中医協には,高度先進医療に係る専門的学識経験者により構成される高度先進医療専門家会議を置き,専門的事項についての検討に当たらせることとしていたのであって,当該療法について,一定程度の先進性並びに有効性及び安全性が必要とされていたことは明らかである。 ところで,LAK療法は,前記前提事実(7)及び(8)のとおり,平成18年4月から,高度先進医療から除外されたものであり,現在,評価療養である先進医療として認められていないから,法及び療担規則並びに前記各告示の規定に基づけば,保険医療機関及び保険医は,評価療養である先進医療として,LAK療法を実施することはできないことになる。 イ特定療養費制度創設の経緯及び趣旨(ア)昭和59年改正前の法及び療担規則の規定昭和59年改正前には特定療養費制度及び保険外併用療養費制度以,(下,併せて「特定療養費制度等」という)類似の制度は存在しなかっ。 た。 そして,昭和59年改正前の療担規則では,特殊療法等については18条で「保険医は,特殊な療法又は新しい療法等については,厚生大,臣の定めるもののほか行つてはならない」と規定し,使用医薬品及び。 - 14 -歯科材料については19条で「保険医は,厚生大臣の定める医薬 保険医は,特殊な療法又は新しい療法等については,厚生大,臣の定めるもののほか行つてはならない」と規定し,使用医薬品及び。 - 14 -歯科材料については19条で「保険医は,厚生大臣の定める医薬品以,外の医薬品を患者に施用し,又は処方してはならない「歯科医師で。」,ある保険医は,厚生大臣の定める合金以外をインレー及び補てつにおいて使用してはならない」と規定していた。 。 特殊療法等に関していえば,昭和59年改正前の法上「厚生大臣の,定めるもの」は存在しなかったため,結局,保険医は,昭和59年改正前の法の定める「療養の給付」以外については,基本的に特殊療法等に該当するとして,その実施は許されていなかった。 そして,特殊療法等を行った混合診療の場合には,それに要した費用は,全額自己負担とされていた。 他方,使用医薬品及び歯科材料に関していえば,厚生大臣の定めがあり,その定めに含まれない医薬品及び歯科材料の使用はできなかった。 ただし,当時の厚生省は,歯科診療の過程で,本来,使用が許されない歯科材料を用いた場合であっても,診療に要した費用を全額自己負担とはせず,保険診療相当部分については保険診療とし,保険医による使用が許されていない歯科材料の費用を患者の自己負担とする取扱い(以下,このような取扱いを「差額徴収」という)をある時期通達により。 認めていたことがある。 (イ)歯科材料に関する差額徴収制度の沿革と特定療養費制度との関係厚生省は昭和30年8月19日保発第53号厚生省保険局長通知歯,「科補てつにおいて金合金を使用した場合の特例について」をもって,歯科治療の過程において,本来であれば使用が許されない金合金を用いた場合に差額徴収の取扱いを認めた。 しかし,その後,患者の自己負担額が高騰し,弱い立場の患者が差額徴収を事実上強 ついて」をもって,歯科治療の過程において,本来であれば使用が許されない金合金を用いた場合に差額徴収の取扱いを認めた。 しかし,その後,患者の自己負担額が高騰し,弱い立場の患者が差額徴収を事実上強要されるような事態が生じ,昭和50年ころにはこのことが社会問題化するに至った。このように差額徴収が社会問題化した背- 15 -景には,上記保険局長通知では「金合金使用による冠及び鈎の料金」,,,について差額徴収を認めているもののそれが金属の材料費に限るのか冠等の作成費や技術料も含むのかが明確でなかったため,医療機関が歯科材料費差額だけでなく技術料差額も含めて患者から徴収することが慣行化し,患者の自己負担額が高騰する一方,患者側ではその区別が必ずしも明らかでなかったため,求められるままに応じざるを得なかったという事情があった。 こうした問題を受けて,厚生大臣は,昭和49年10月9日,保険診療における歯科領域の差額徴収について,中医協に諮問したところ,中医協は,昭和51年3月,差額徴収は歯科材料費のみに限ること,従前の差額徴収に関する局長通達は廃止し,新たな取扱いを通達すること等を答申した。厚生省は,この答申を受けて,昭和51年6月29日保発第37号厚生省保険局長通知「歯科領域における差額徴収について」により,従来の歯科領域における差額徴収に係る通知を同年7月31日限りすべて廃止した。その後,厚生省は,昭和53年2月1日から,前歯部における鋳造歯冠修復について,材料費に限って差額徴収の取扱いを復活させた(同年1月28日保発第7号厚生省保険局長通知「歯科領域における差額徴収について,同日保険発第10号厚生省保険局歯科医」療管理官通知「歯科領域における差額徴収について。上記取扱いは,」)保険給付を行う際に,前歯部の鋳造歯冠修復に関し 知「歯科領域における差額徴収について,同日保険発第10号厚生省保険局歯科医」療管理官通知「歯科領域における差額徴収について。上記取扱いは,」)保険給付を行う際に,前歯部の鋳造歯冠修復に関し,患者が希望して金合金及び白金加金を使用する場合に限り,その治療について患者が材料費の差額を負担してもよいこととしたもので,同時に,差額徴収治療が適正に行われるよう,保険医療機関に対し,差額徴収治療に関するポスター等の掲示,患者に対する治療内容,負担金額等の事前の説明及び同意につき十分指導を行うことが通達された。さらに,厚生省は,昭和56年6月1日から,前歯部における歯冠継続歯についても,同様に材料- 16 -費の差額を徴収の対象とし(同年5月29日保発第41号厚生省保険局長通知「歯科領域における差額徴収について,差額徴収を認める範」)囲を拡大した。 こうした経過を経て,昭和59年改正により特定療養費制度が導入されたわけであるが,特定療養費の支給対象となるのは,被保険者が高度先進医療を受けた場合と厚生大臣の定めた療養を受けた場合とされているところ,後者の「厚生大臣の定め」が「健康保険法第43条第1項及び国民健康保険法第36条第1項の規定に基づく厚生大臣の定める療養を定める件(昭和59年9月12日厚生省告示第147号)であり,」これにより,従前,差額徴収を認めていた「前歯部の鋳造歯冠修復又は歯冠継続歯に使用する金合金又は白金加金の支給」等が特定療養費の支給対象として,旧法上,明確に位置付けられることとなった。 このように,特定療養費制度が創設された趣旨は,歯科診療における歯科材料の分野から検討すると,従前は,原則として混合診療を認めないという立場の下,通達により,歯科診療のごく一部についてだけ,差額徴収という名目で例外的に認めていた された趣旨は,歯科診療における歯科材料の分野から検討すると,従前は,原則として混合診療を認めないという立場の下,通達により,歯科診療のごく一部についてだけ,差額徴収という名目で例外的に認めていたが,認める範囲があいまいであったことから,旧法上,差額徴収を認める範囲を明確にするため,特定療養費の支給対象として明確に位置付け,法律による適正な規制の下に運用しようというものであったということができる。 (ウ)特殊療法等と特定療養費制度との関係他方,特殊療法等の混合診療については,歯科材料の分野の混合診療のように,通達による一部解禁措置や全面禁止措置といったような経緯はなく,昭和59年改正前は全面的に保険医による実施が禁止されてきた。 こうした状況下で,昭和59年改正により特定療養費制度が創設されたが,特定療養費制度における高度先進医療とは,正に特殊療法等の混- 17 -合診療として例外的に実施が認められる療法のことである。 そして,高度先進医療(特殊療法等の混合診療)の一部に特定療養費を支給することとした趣旨は,正に混合診療の問題に正面から取り組んだものであり,特殊療法等の混合診療の全面禁止と全面解禁のそれぞれの長所,短所を考慮してこれらの調和を図ろうとするものであった。 そして,その調和の結果として,日々の医療の進歩に伴って生じる様々な特殊療法等のうち,普及にまでは至っていないものの,安全性及び有効性が確認できた特殊療法等を個別に高度先進医療として認定することとしたものである。 したがって,特定療養費制度を創設した趣旨は,特殊療法等の分野から検討すると,従前は,原則として混合診療を認めないこととしていたが,医療の発展を促し,患者のニーズに応えるべきという要請と,安全性及び有効性の確保された医療を平等に給付すべきという要請との調和を ら検討すると,従前は,原則として混合診療を認めないこととしていたが,医療の発展を促し,患者のニーズに応えるべきという要請と,安全性及び有効性の確保された医療を平等に給付すべきという要請との調和を図るため,いわば玉石混淆の様々な特殊療法等のうちから,安全性及び有効性が確認できる特殊療法等を限定的に抽出し,その基礎的診療部分に特定療養費を支給することによって患者の自己負担を軽減し,その結果,安全で有効な医療を提供するという旧法の趣旨・目的を阻害しない範囲で,医療の発展や患者のニーズに応えようとしたものであり,旧法上,許される高度先進医療を特定療養費の支給対象として明確に位置付け,法律による適正な規制の下に運用しようというものであった。 ウ特定療養費制度等の沿革及び趣旨を踏まえた法の解釈(ア)特定療養費制度を創設した旧法は混合診療を原則として禁止する趣旨を明確にしたこと以上のとおり,特定療養費制度が創設されるに至った趣旨は,昭和59年改正前の法の下において,特殊療法等の分野における混合診療を禁,,止する実務上の運用がされていたものの新しい医療技術の出現に伴い- 18 -医療の発展や患者のニーズの多様化に対応する必要が生じたことから,安全性及び有効性の確認できる特殊療法等に限り例外的にその混合診療の実施を可能とし,基礎的診療部分に特定療養費を支給して限定的に許容し,その反面,高度先進医療として認められた特殊療法等以外の,安全性や有効性も確認できないような様々な特殊療法等については,引き続きその混合診療を禁止することにある。 したがって,こうした特定療養費制度創設の経緯や趣旨にかんがみれば,少なくとも旧法は,原則として混合診療を禁止し,安全性及び有効性が確認できた一部の特殊療法等についてのみ例外的に混合診療を許容する趣旨を明確に こうした特定療養費制度創設の経緯や趣旨にかんがみれば,少なくとも旧法は,原則として混合診療を禁止し,安全性及び有効性が確認できた一部の特殊療法等についてのみ例外的に混合診療を許容する趣旨を明確にしたものであると解すべきである。 (イ)保険外併用療養費制度は,特定療養費制度の趣旨を引き継いだものであり,例外的に混合診療を許容する趣旨を明確にした制度であること特定療養費制度の下では,高度な医療技術を要する高度先進医療について,一定の要件を満たす限りで保険診療との併用を認めることとしていたが,必ずしも高度ではないが先進医療である場合にも一定の要件を満たす限りで保険診療との併用を認めることが国民の医療ニーズにかなうとして,平成17年の旧法下における改正により,一定の要件を満たした先進医療につき「選定療養」として保険診療との併用が認められ,ることとなった。そして,平成18年改正では,高度先進医療も,必ずしも高度ではない先進医療も,将来的に保険導入の可能性があり,導入の可否について評価を行うべきものであるという点で共通していることから,高度先進医療と選定療養中の先進医療に分かれていたものを「評価療養として一本化して再編することとしたのでありその結果選」,,「定療養」は保険導入を前提としないものとして位置付けられることとされた。 このように,保険外併用療養費制度は,特定療養費制度の下で高度先- 19 -進医療と選定療養とに分けられていた先進医療技術につき将来の保険導入の可否を検討するための評価を行うという観点から,技術的に「評価療養」に整理したものの,その根本である制度趣旨・目的は,特定療養費制度のそれをそのまま引き継いだものである。 (ウ)被控訴人の特定療養費制度等の理解は失当であることa保険診療と自由診療との組合せが全 に整理したものの,その根本である制度趣旨・目的は,特定療養費制度のそれをそのまま引き継いだものである。 (ウ)被控訴人の特定療養費制度等の理解は失当であることa保険診療と自由診療との組合せが全面的に許容され,保険診療部分が「療養の給付」として現物給付されるというのであれば,わざわざ特定療養費制度等を創設,制定し,先進性等の観点から一部の特殊療法等を抽出し,その混合診療のうち保険診療に相当する部分に費用を支払うこととする制度上の実益は全くない。したがって,被控訴人の特定療養費制度等についての主張に理由があるとすれば,特殊療法等の混合診療の保険診療相当部分についてではなく,本来であれば自由診療とされる特殊療法等に対して費用が支払われる場面に限局されるが,それは,そもそも特殊療法等について費用が支払われるというのは特定療養費制度等についての正しい理解を前提とするものとはいえないから,失当である。 b被控訴人の主張は,要するに混合診療禁止をいう明文の規定や特定療養費制度についての所管大臣の発言がないことを主要な論拠とするものであるが,混合診療の問題を法上の問題に引き直せば,特殊療法等の混合診療についてどのように保険給付との調整を図るかということに帰着するのであるから,厚生大臣の「新しい医療技術の出現や患者の欲求の多様化等に対応し,高度医療や特別のサービス等について保険給付との調整を図るため,療養費制度を改正する」との趣旨説明は,正に混合診療の問題点を特定療養費制度との関係において正面から説明したものであり,本来,特殊療法等の混合診療が実施された場合には原則として全額患者の自己負担となるが,新しい医療技術の出- 20 -現に伴い患者のニーズに応えるためには,許される範囲で混合診療を認め,保険診療に相当する部分については特定療養費を れた場合には原則として全額患者の自己負担となるが,新しい医療技術の出- 20 -現に伴い患者のニーズに応えるためには,許される範囲で混合診療を認め,保険診療に相当する部分については特定療養費を支給することによって新しい医療技術を受けやすくしたということであって,そこでは,混合診療を原則として禁止するとの法上の解釈が当然の前提とされているのである。 c法86条1項は,前提として評価療養等を受けた場合としているところ,例えば評価療養として先進医療を受けるといっても,具体的な医療を受けるに当たっては診察等の基礎的診療行為(いわゆる保険診),「」療部分が不可避的に伴うものであるからその療養に要した費用と規定した部分の「その療養」とは,評価療養そのものだけを指すわけではない。この点で,被控訴人のいう同条項の文理から導かれる解釈は,同条項の解釈に当たり前提として必要な評価療養等の理解を誤るものであって,失当である。 そして法86条2項を読めば明らかなとおり同条1項のいうそ,,「の療養に要した費用」のうち,どの診療行為に幾ら支払うかについては,前記法令の定め(4)のとおり,具体的な費用の額の算定については診療報酬の算定方法(診療報酬点数表)の例によることとなり,その結果「その療養」に要した費用として保険外併用療養費が支払わ,れるのは,行われた診療行為のうち評価療養等を除く,診察や検査といった,いわゆる診療報酬の算定方法で保険点数が定められた保険診療に相当する基礎的診療行為であることが文理上も明らかである。 d特定療養費制度等が原則として混合診療を禁止し,安全性及び有効性が確認できた一部の特殊療法等についてのみ例外的に混合診療を許容する趣旨を明確にしたものであることは上記のとおりであるから,被控訴人の予備的主張もとり得る 則として混合診療を禁止し,安全性及び有効性が確認できた一部の特殊療法等についてのみ例外的に混合診療を許容する趣旨を明確にしたものであることは上記のとおりであるから,被控訴人の予備的主張もとり得る余地はない。 エ以上,詳述したとおり,特定療養費制度等の創設の経緯及び趣旨にかん- 21 -がみれば,本件で問題となっている,有効性も確認されておらず,高度先進医療又は評価療養として保険医が実施することもできないようなLAK療法の混合診療がされた場合に,保険診療に相当する部分(LAK療法と),併用されるインターフェロン療法についてこれを保険診療とすることは法の解釈上,許されないというべきである。 (被控訴人の主張)ア特定療養費制度の創設の最大の動機は,医療機関が乱発する差額徴収による患者負担の不当な増大に対し,差額徴収(混合診療)を法制度に取り入れることで原則を持たせ,規定によって固定化することであり,その一環として一定の先進医療も特定療養費に組み入れたが,その他の先進医療を積極的に一律禁止することは行われなかったものであり,特定の療養以外の自由診療については保険に収載される可能性はないが,その併用を禁止するとも黙認するとも明文の規定をせず,いわば旧法は関知しないという態度をとっているものであり,特定療養費制度の規定は,保険診療と自由診療の併用が可能であることを確認的に規定しているのみであって,それ以外の混合診療を禁止している趣旨は含まれていないと解される。特定療養費制度創設時の所管大臣の説明,答弁にも,混合診療禁止が原則であるという趣旨のものはどこにもない。 イ旧法86条1項は,特定承認保険医療機関による療養(高度先進医療)及び選定療養「を受けたときは『その療養に要した費用』について,特,定療養費を支給する」と定めており「そ のものはどこにもない。 イ旧法86条1項は,特定承認保険医療機関による療養(高度先進医療)及び選定療養「を受けたときは『その療養に要した費用』について,特,定療養費を支給する」と定めており「その療養」とは,直前の文言を。 ,指すものであることは疑いようのないところであるから「その療養に要,した費用」とは文言上当然に「高度先進医療及び選定療養に要した費用」を指すものと考えるほかはない。 また,仮に,上記のように解されないとしても,昭和59年改正により特定療養費制度を創設し,新たに保険給付の対象としたのは,高度先進医- 22 -療行為に付随し高度先進医療行為の一部をなす基礎的診療行為の部分診,(,,)(),,察画像診断検査等であり予備的主張その制定の前後を問わず通常の保険診療について保険が適用され「療養の給付」がされることに,変わりない。 ウ以上のことは,特定療養費制度を引き継いだ保険外併用療養費制度においても同様であり,法86条1項は「評価療養又は選定療養を受けたと,きは,その療養に要した費用について,保険外併用療養費を支給する」。 と規定しており,この規定から導かれることは,評価療養又は選定療養を受けた際に支払われる保険外併用療養費の支給対象となる療養は「評価療養又は選定療養」そのものであり,評価療養についていえば,①告示により定められた先進医療等の評価療養がされた場合には当該先進医療に対して費用が支払われるという制度であり,②評価療養に併用して行われるインターフェロン療法等の本来「療養の給付」に該当する診療に関しては同制度が言及していない以上,評価療養が行われた際にも依然として「療養の給付」の対象であるということである。そして,評価療養が行われた場合の保険外併用療養費の支給対象が評価療養た する診療に関しては同制度が言及していない以上,評価療養が行われた際にも依然として「療養の給付」の対象であるということである。そして,評価療養が行われた場合の保険外併用療養費の支給対象が評価療養たる先進医療そのものである以上,その額の計算方法たる「診療報酬の算定方法」は,評価療養たる先進医療が保険外併用療養費の支給対象であることを前提として規定されるべきであり,下位規範(診療報酬の算定方法)に評価療養(先進医療)に関する定めがないことが不当であり,その内容を改めるべきであり,同定めがないことをもって文理に反するような法解釈を行うことは全くの本末転倒である。 エ仮に評価療養である先進医療の報酬算定方法を定めていない現行の算,「」,,,定方法を前提としても保険外併用療養費制度は以下に述べるとおり混合診療禁止の根拠たり得ない(予備的主張。 )「」法86条1項が保険外併用療養費を支給すると規定しているその療養- 23 -に,先進医療とは別個のインターフェロン療法等の本来「療養の給付」に該当する保険診療を含める解釈はあり得ないところ,先進医療にもその実施に必要不可欠な診察,検査といった基礎的診療部分は存在することからすれば,当該基礎的診療部分に対して診療報酬の算定方法(診療報酬点数表)を適用し,自己負担部分を控除した額を保険外併用療養費として支給するという解釈の余地はあり,ここで,保険外併用療養費の支給対象となる「療養の給付」類似部分というのは,インターフェロン療法のように,先進医療を行わなくとも必要となる本来的な「療養の給付」は含まず,当該先進医療に付随し,これに必要不可欠な基礎的診療部分に限られる。したがって,現行の「算定方法」を前提とした上記解釈によっても,インターフェロン療法のように本来的「療養の給付」は保険外併 含まず,当該先進医療に付随し,これに必要不可欠な基礎的診療部分に限られる。したがって,現行の「算定方法」を前提とした上記解釈によっても,インターフェロン療法のように本来的「療養の給付」は保険外併用療養費制度の枠外であり「療養の給付」として保険給付の対象であることは,前記ウ,(主位的主張)と同様である。 特定療養費制度創設時の厚生省保険局長の国会答弁すなわち法(旧法)の趣旨は,特定療養費は認められた保険外診療の基礎的診療部分に支給されるのであって,保険診療全体に支給されるのではない。そして,特定療養と認められた先進医療の基礎的診療部分は併用する保険診療の同様な基礎的診療部分と重なるから結果的に保険診療に特定療養費が支給されると解釈することができても,支給はあくまで保険外診療の基礎的診療部分に対してのみで,インターフェロン療法という固有技術部分には支給されないということである。 (3)争点3(保険外併用療養費制度に該当するもの以外の混合診療については,保険診療に相当する部分についても「療養の給付」に当たらず,保険給付を受けられないと解すること,又は,そのように解される法は,憲法に違反するか)。 (被控訴人の主張)- 24 -ア憲法14条違反保険外併用療養費制度で認められる先進医療から漏れる特殊な療法(LAK療法等)と保険診療(インターフェロン療法等)を併用した場合に,保険診療部分を「療養の給付」として保険給付しないとすることは,保険診療のみを受けた者又は保険外併用療養費制度で認められる先進医療を受けた者に保険給付を行うこととの関係で,不合理,不平等な差別であり,憲法14条に違反する。 先進医療として認められていない治療行為にも様々なものが存するところ,保険外併用療養費制度はそれらを何ら区別することなく,すべて同じく取り扱 で,不合理,不平等な差別であり,憲法14条に違反する。 先進医療として認められていない治療行為にも様々なものが存するところ,保険外併用療養費制度はそれらを何ら区別することなく,すべて同じく取り扱っている点において余りに不合理であるといわざるを得ない。LAK療法は,その治療行為の有効性,安全性が確認されているのに,これを併用すれば保険診療部分もすべて自由診療となるということは,その患者に死を選べと法が強要していることになり,余りに不合理な差別であることが明らかである。 イ憲法25条違反保険診療と並行して自由診療を受診した場合にさかのぼって保険診療部分も含めて自由診療となるという混合診療禁止の原則は,難病患者に対する安全性,有効性を確認することができた保険外の自由診療を受ける機会を奪うもので,死を待つことを強要するという余りに残酷な内容を含むものであるから,著しく合理性を欠き,立法府の広範な裁量を逸脱・濫用するものであって,憲法25条に違反する。 ウ憲法29条違反保険受給権は,国民皆保険制度の下,強制徴収される保険料の対価として保険診療を受ける権利であって,国民の重要な財産権であるところ,混合診療禁止の原則は,保険診療を受けている者が並行して保険給付の対象として規定されている先進医療以外の自由診療を受けた場合にさかのぼっ- 25 -てすべての保険診療が自由診療となるものであって,この制度は,すなわち保険受給権を奪うものであるから,そのような制度は,国民の財産権を侵害するもので,憲法29条に違反する。混合診療禁止の原則が「安全,かつ有効で普遍性等の認められる医療を平等に提供するという法の目的を達成する」ために必要かつ合理的な手段ではないことは明らかである。 エ憲法84条違反市町村が賦課徴収する国民健康保険の保険料についても憲 効で普遍性等の認められる医療を平等に提供するという法の目的を達成する」ために必要かつ合理的な手段ではないことは明らかである。 エ憲法84条違反市町村が賦課徴収する国民健康保険の保険料についても憲法84条の趣旨が及ぶとした最高裁平成18年3月1日大法廷判決・民集60巻2号587頁に照らすと,保険料納付の対価として国民が保険診療を受ける権利である保険受給権にも憲法84条の趣旨が及ぶことが明らかであるところ,本件で問題となっている保険受給権は,保険料納付の対価として国民が保険診療を受ける権利であって,保険料と同様に憲法84条の趣旨が及ぶから,法の明文の規定がないにもかかわらず,法が混合診療禁止の原則を採っているとして保険受給権という国民の権利を制限することは,憲法84条の趣旨に反する。 (控訴人の主張)ア憲法14条違反について憲法14条1項は,不均等な法的取扱いの禁止を保障し,合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであるところ,憲法25条の規定の要請にこたえて制定された社会保障法制である法上の混合診療禁止という政策内容について,そこで生じる別異の取扱いが憲法14条1項違反の問題を生じ得る場合は極めて限定され,別異の取扱いをすることが著しく合理性を欠き,明らかな裁量の逸脱・濫用があるような場合に限定されるというべきであるところ,混合診療の禁止は,国民の生命・身体の安全を確保しつつ,国民の税負担により一定水準の医療を平等に給付するため,安全性,有効性,普遍性等を確認することができた医療について「療養の給付」等- 26 -の保険給付を行うとする法の目的を達成するために必要かつ合理的な政策であり,保険診療のみを受けた者と別異の取扱いをすることが著しく合理性を欠き,明らかな裁量の逸脱・濫用があるとはいえないから,憲法14条違反をいう被 する法の目的を達成するために必要かつ合理的な政策であり,保険診療のみを受けた者と別異の取扱いをすることが著しく合理性を欠き,明らかな裁量の逸脱・濫用があるとはいえないから,憲法14条違反をいう被控訴人の主張は理由がない。 イ憲法25条違反について憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は,立法府の広範な裁量に委ねられており,それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用とみざるを得ないような場合を除き,裁判所が審査判断するのに適しないというべきであるところ,保険外併用療養費制度において安全性や有効性を確認することができる診療の場合には保険診療相当部分につき費用を国民の税負担で賄うとして国民の医療ニーズに柔軟にこたえられるよう配慮しつつ,他方,安全性や有効性も確認することができないような診療については,これと併用される保険診療相当部分についても「療養の給付」を行わないとすることは,法の国民の生命・身体の安全を確保しつつ,一定水準の医療を平等に給付するという目的に照らし,合理性が認められるというべきであり,混合診療の禁止は,憲法25条との関係で著しく合理性を欠くとは認められず,立法府の裁量に逸脱・濫用は認められない。 ウ憲法29条違反について,,保険給付を受ける権利は自然権として個人に認められた権利ではなく立法府の広範な裁量の下,憲法25条に基づき社会保障制度の一環として国が定めた健康保険制度により創設された権利であるにすぎないから,同権利が財産権的側面を有するとしても,その範囲や内容は法によって憲法25条の趣旨を踏まえて定められた範囲内において認められるものにすぎないところ,混合診療の禁止を前提とする保険給付を受ける権利について定めた法が憲法25条に反しないことは上記のとおり明らかで て憲法25条の趣旨を踏まえて定められた範囲内において認められるものにすぎないところ,混合診療の禁止を前提とする保険給付を受ける権利について定めた法が憲法25条に反しないことは上記のとおり明らかであるから,- 27 -財産権侵害となることもない。 混合診療禁止は,憲法25条の趣旨を具体化した健康保険制度において広く被保険者に対して安全かつ有効で普遍性等の認められる医療を平等に提供するという法の目的を達成するために行うものであり,これが必要かつ合理的な手段であることは,これまで述べてきたとおりであるから,混合診療を禁止する立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるものでないことは明らかである。 エ憲法84条違反について被控訴人引用の最高裁判決は,市町村が行う国民健康保険の保険料について「租税以外の公課であっても,賦課徴収の強制の度合い等の点にお,いて租税に類似する性質を有するものについては,憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきである」と判示したものであって,国民健康保険の受給権については何ら判断を加えたものではなく,まして,法上の保険受給権とはおよそかかわりがないことが明らかであるから,そもそも本件において憲法84条違反を論じる余地はない。 第3当裁判所の判断 争点2(保険外併用療養費制度について定めた法の解釈によって,同制度に該当するもの以外の混合診療については,本来保険診療に相当するものも含め,「」,。)てすべて療養の給付に当たらず保険給付を受けられないと解すべきかについて(争点1(複数の医療行為が行われる場合には,それらを不可分一体の1つの医療行為とみて「療養の給付」に該当するか否かを判断すべきであると解す,べきか)についての判断をおいて,まず,争点2について判断する)。 。 (1)証拠(認定文中に括弧書きし 不可分一体の1つの医療行為とみて「療養の給付」に該当するか否かを判断すべきであると解す,べきか)についての判断をおいて,まず,争点2について判断する)。 。 (1)証拠(認定文中に括弧書きしたもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア昭和59年改正前には,特定療養費制度等類似の制度は存在せず,療担- 28 -規則は,18条に「保険医は,特殊な療法又は新しい療法等については,厚生大臣の定めるもののほか行つてはならない(厚生大臣の定めるも。」のはなかった)と,19条1項に「保険医は,厚生大臣の定める医薬品。 以外の医薬品を患者に施用し,又は処方してはならない」と,同条2項。 に「歯科医師である保険医は,厚生大臣の定める合金以外をインレー及び。」(),補てつにおいて使用してはならないと規定していた乙28ところ厚生省は,昭和30年8月19日保発第53号厚生省保険局長通知「歯科補てつにおいて金合金を使用した場合の特例について(乙29)をもっ」て,歯科治療の過程において,本来であれば使用が許されない金合金を用(,いた場合に差額徴収の取扱い保険診療相当部分については保険診療とし保険医による使用が許されていない歯科材料の費用を患者の自己負担とする取扱い)をすることを認め,その後もその範囲を拡大した。 ところが,差額徴収について,医療機関が歯科材料費差額だけでなく技術料差額も含めて患者から徴収することが慣行化し,患者側ではその区別が必ずしも明らかでなかったため,求められるままに差額の負担に応じざ,,るを得ないという事情もあり差額徴収による患者の自己負担額が高騰し弱い立場の患者が差額徴収を事実上強要されるような事態が生じ,昭和5()。 0年ころにはこのことが社会問題化するに至った乙30の1ないし ないという事情もあり差額徴収による患者の自己負担額が高騰し弱い立場の患者が差額徴収を事実上強要されるような事態が生じ,昭和5()。 0年ころにはこのことが社会問題化するに至った乙30の1ないし5,,,,こうした問題を受けて厚生大臣は昭和49年10月中医協に対し保険診療における歯科領域の差額問題に関し諮問したところ,中医協は,昭和51年3月,差額徴収は歯科材料費のみに限ること,従前の差額徴収に関する局長等通達は廃止し,新たな取扱いを通達すること等を答申した(乙31)ので,厚生省は,これを受けて,同年6月29日保発第37号厚生省保険局長通知「歯科領域における差額徴収について(乙32)に」より,従来の歯科領域における差額徴収に係る通知を同年7月31日限りすべて廃止した。 - 29 -その後,厚生省は,昭和53年2月以降,前歯部における鋳造歯冠修復について,材料費に限って差額徴収の取扱いを復活させ(同年1月28日保発第7号厚生省保険局長通知(乙33,同日保険発第10号厚生省保)険局歯科医療管理官通知(乙34,さらに,昭和56年6月以降,前))歯部における歯冠継続歯についても差額徴収を認め(同年5月29日保発第41号厚生省保険局長通知(乙35,差額徴収を認める範囲を拡大))した。 また,特別の病室の提供についても,上記歯科材料の支給と共に差額徴収が運用上認められていたところ,この入院料(室料)の差額徴収(差額ベット代の徴収)についても,大きな社会問題となり,厚生省により運用の改善(行政指導)が行われるなどした(乙7。 )イこうした経過を経て,昭和59年改正により特定療養費制度が創設された。その創設の趣旨は,国民の生活水準の向上や価値観の多様化に伴う医療に対する国民のニーズの多様化,医学医術のめざましい進歩に伴 イこうした経過を経て,昭和59年改正により特定療養費制度が創設された。その創設の趣旨は,国民の生活水準の向上や価値観の多様化に伴う医療に対する国民のニーズの多様化,医学医術のめざましい進歩に伴う医療サービスの高度化に対応して,必要な医療の確保を図るための保険の給付と患者の選択によることが適当な医療サービスとの間の適切な調整を図るものとされた(乙7。 ),,まず特定療養費の支給対象とされた厚生大臣の定める選定療養として「特別の病室の提供」と「前歯部の鋳造歯冠修復又は歯冠継続歯に使用する金合金又は白金加金の支給」が定められた(昭和59年厚生省告示第147号。乙36。これらの措置は,従来からの入院料(室料)及び歯科)材料の差額徴収について,法令上明確に位置付け,適正なルールの下に実施することとしたものである(乙8。 )これと同時に,高度先進医療が特定療養費の支給対象とされたところ,特定療養費制度が創設されるまでは,この特殊療法等の混合診療といえる高度先進医療については,歯科材料の分野における混合診療(差額徴収)- 30 -のように,通達による一部解禁措置や全面禁止措置といったような経緯はなく,健康保険行政上,保険の対象外である高度先進医療を一部でも受けた場合には,一般の「療養の給付」に相当する基礎的な部分も含めて,その療養全体が自由診療とされ,保険給付の対象外とする取扱いがされていた(乙7,37。 )そして,特定療養費制度の創設に伴い,療担規則が改正され,18条ただし書に「特定承認保険医療機関において行う第5条の2第2項に規定する厚生大臣の承認を受けた療養については,この限りでない(同療養。」は,高度先進医療を指す)と,19条2項ただし書に「別に厚生大臣が。 定める場合においては,この限りでない」と,同条3項に「保険 る厚生大臣の承認を受けた療養については,この限りでない(同療養。」は,高度先進医療を指す)と,19条2項ただし書に「別に厚生大臣が。 定める場合においては,この限りでない」と,同条3項に「保険医が特。 定承認保険医療機関において行う第5条の2第2項に規定する厚生大臣の承認を受けた療養については,前2項の規定は適用しない」とそれぞれ。 ,,新たに規定され療担規則19条2項ただし書の厚生大臣の定めについて「金合金又は白金加金を前歯部の鋳造歯冠修復又は歯冠継続歯に使用する場合」と定められた(昭和59年厚生省告示第149号。乙36。 )ウ昭和59年改正の法律案の衆議院における同年4月3日の趣旨説明において,厚生大臣は「新しい医療技術の出現や患者の欲求の多様化等に対,,,応し高度医療や特別のサービス等について保険給付との調整を図るため療養費制度を改正するものであります。これは,高度の医療を提供すると認められる特定承認保険医療機関において療養を受けた場合や,保険医療機関において特別の病室の提供等厚生大臣の定める療養を受けた場合に特定療養費を支給するものであります」等と答弁した(甲7。 。 )また,同年5月10日及び同年6月28日の衆議院社会労働委員会において,厚生省保険局長は,従前の保険医療においては,保険診療の範囲内の医療と保険で認められていない医療を同時に行った場合には全額自費診療になるが,今後高度先端医療が出てくる場合に,保険診療で見られる部- 31 -分は保険診療で見て,保険診療に取り入れられていない部分だけは自己負担にすることとし,保険診療で見られる部分は代理請求又は委任払いとい,,,う形で特定療養費制度を設けた旨例えばがんの温熱療法の場合に診察レントゲン診断,検査,処置,手術,投薬をした上で温熱療法をすると こととし,保険診療で見られる部分は代理請求又は委任払いとい,,,う形で特定療養費制度を設けた旨例えばがんの温熱療法の場合に診察レントゲン診断,検査,処置,手術,投薬をした上で温熱療法をするところ,診察料,レントゲン診断,検査,処置,手術,入院料,薬剤料については保険給付をし,温熱療法の部分だけが自己負担になる旨等の説明をした(乙21,22。同年4月12日の衆議院社会労働委員会における審)議では,特定承認保険医療機関の承認を受けない医療機関で高度先進医療の療養を受けた場合には保険給付がされないことを前提に質疑がされ,厚生省保険局長は,高度先進医療の技術水準と設備の水準を持っている特定の大学病院等の医療機関に限って承認するのが妥当と考えたと答弁した(乙37(115~116頁。 ))エ特定承認保険医療機関については,高度先進医療を支える基盤が質・量両面において十分なものとなるようにその承認要件が定められた。また,承認の対象となる高度先進医療は,質的・量的に高水準の医療基盤を有する医療機関において実施する場合にはその安全性及び有効性が確立されているが,その実施についてはいまだ一般に普及するには至っていないものであり,当該医療が一般に普及し,保険に導入されるまでの間,特定療養費制度の対象とするものとされた。そして,特定承認保険医療機関からの高度先進医療に係る承認申請があった場合には,厚生大臣は,中医協の意見を聴くものとされ,このため,中医協に,高度先進医療に関し,専門的分野に係る学識経験を有する専門家により構成される高度先進医療専門家会議を置き,専門的事項についての検討に当たらせるものとされた(昭和60年2月25日保発第19号厚生省保険局長通知「特定承認保険医療機関及び特定承認療養取扱機関の取扱いについて。乙27。 」)オ 会議を置き,専門的事項についての検討に当たらせるものとされた(昭和60年2月25日保発第19号厚生省保険局長通知「特定承認保険医療機関及び特定承認療養取扱機関の取扱いについて。乙27。 」)オ規制改革・民間解放推進会議は,平成16年8月3日付けで「医療・,- 32 -,「」」福祉雇用・労働等の規制改革・民間解放推進に関する中間とりまとめを公表した中で「いわゆる「混合診療(保険診療と保険外診療の併用),」の解禁」として「保険外診療の内容,料金等に関する適切な情報に基づ,いて,患者自らが保険診療に加えて当該保険外診療の提供を選択する場合には「患者本位の医療」を実現する観点から,通常の保険内診療分の保,険による費用負担を認める,いわゆる「混合診療」を全面解禁すべきである」と主張した。 。 これに対し,厚生労働省は,同月5日付けで「我が国の医療保険制度,においては,国民皆保険の下「社会保障として必要十分な医療」は保険,診療として確保することが原則であり,これまでも,科学的根拠に基づいて安全性,有効性が確立した治療法等について,随時保険導入してきたと。 ,,ころである他方患者ニーズの多様化や医療技術の進歩に対応するため適切なルールの下に保険診療と保険外診療の併用を可能とする特定療養費制度が設けられている(昭和59年に創設。このような仕組みによらず)無制限に保険外診療との組み合わせを認めることは,たとえ特定の医療機関に限ったとしても,不当な患者負担の増大を招くおそれや,有効性,安全性が確保できないおそれがあるため,今後とも特定療養費制度の下で対応を図っていくことが適切であると考える。この考え方に基づき,抗がん剤等の適応外使用について,特定療養費制度を活用し,承認前から保険診療と併用できるよう措置したほか,特定療 も特定療養費制度の下で対応を図っていくことが適切であると考える。この考え方に基づき,抗がん剤等の適応外使用について,特定療養費制度を活用し,承認前から保険診療と併用できるよう措置したほか,特定療養費制度における高度先進医療,,について承認の簡素化及び新技術の導入の迅速化を行ったところでありさらに,随時簡素化の対象技術を増加させるなど,対応を図っているところである」との考え方を示した(乙13。 。 )カ厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(規制改革,産業再生機構,行政)改革担当構造改革特区・地域再生担当は平成16年12月15日い,,,「わゆる「混合診療」問題に係る基本的合意(以下「本件合意」という)」。 - 33 -をし,その中で,先進技術への対応について,必ずしも高度でない先進技術を含め,医療技術の保険導入のための手続を制度化するとともに,その迅速化及び透明化を図る,保険診療と保険外診療との併用の在り方について「将来的な保険導入のための評価を行うものであるかどうか」の観点,から現行制度を抜本的に見直し「特定療養費制度」を廃止し「保険導,,入検討医療(仮称(保険導入のための評価を行うもの)と「患者選択)」同意医療(仮称(保険導入を前提としないもの)とに新たな枠組みと)」して再構成する,一定のルールの下に,保険診療と保険外診療との併用を認めるとともに,これに係る保険導入手続を制度化するものであり「必,要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」という国民皆保険制度の理念を基本に据えたものであることなどを確認した(乙17。 )これを受けて,厚生労働省は,同日付けで「いわゆる「混合診療」問,題について」として,保険外の負担の在り方を根本的に見直し,患者の切実な要望に迅速かつ的確に対応できるよう を確認した(乙17。 )これを受けて,厚生労働省は,同日付けで「いわゆる「混合診療」問,題について」として,保険外の負担の在り方を根本的に見直し,患者の切実な要望に迅速かつ的確に対応できるよう,改革を行う,必ずしも高度でない先進技術について,保険導入の前段階として,保険診療との併用を認めるとともに,高度先進医療も含め,保険導入手続の透明化及び迅速化を図る,現行の高度先進医療についての指摘(特定承認保険医療機関の承認要件が厳しく,小規模な医療機関では実施医療機関として承認されない。 実施医療機関として承認された場合であっても,更に個別技術ごとに承認が必要である)についても,医療技術ごとに医療機関に求められる一定。 水準の要件を設定し,該当する医療機関は届出により実施可能な仕組みを新たに設けることにより,対応が可能である「将来的な保険導入のため,」,の評価を行うものであるかどうかの観点から現行制度を抜本的に見直し「特定療養費制度」を廃止し「保険導入検討医療(仮称(保険導入の,)」ための評価を行うもの)と「患者選択同意医療(仮称(保険導入を前)」提としないもの)とに新たな枠組みとして再構成するなどの考え方を示し- 34 -た(乙18。 )キ本件合意に基づき「先進医療への対応として,厚生労働大臣が,保険,医療機関から届出がなされてから原則最長でも3か月以内に,医療技術ごとに実施可能な保険医療機関の要件を設定するため,新規の医療技術について医療技術の科学的評価を行うこと」を目的として「先進医療専門家,会議」が平成17年5月9日(第1回)から定期的に開催されているところ,同会議は,先進医療に係る専門的学識経験を有し,かつ,保険診療に精通した者により構成され,保険医療機関から保険給付との併用の希望があった医療技術につ 9日(第1回)から定期的に開催されているところ,同会議は,先進医療に係る専門的学識経験を有し,かつ,保険診療に精通した者により構成され,保険医療機関から保険給付との併用の希望があった医療技術について,その有効性及び安全性が確保されていることのほか,必ずしも高度である必要はないが,一定程度の先進性があり,効率的であることや社会的に妥当であること等を確認し,併せて,届出により実施可能とする保険医療機関の要件を設定する,保険給付との併用が認め,,られた医療技術について実施保険医療機関からの定期的な報告を踏まえ普及性,有効性,効率性,安全性,技術的成熟度及び社会的妥当性の観点から,保険導入に係る技術的問題について検討を行うこととされた(乙26。 )また,本件合意を受けて,平成17年に,必ずしも高度でない先進的な医療技術(5技術)等についても,選定療養として保険診療との併用を認めることとされた。選定療養は,特定療養費制度創設当初の2種類から,拡大されていき,これにより16種類が定められた(乙4。 )クそして,本件合意に基づいて保険外併用療養費制度が導入され,先進医療(従来の高度先進医療を含む)のほか,従来の選定療養のうち5種類。 を含む6種類が評価療養に,残る10種類が選定療養に再構成された(乙4。 )保険外併用療養費制度を導入する平成18年改正の法律案についての同年5月12日の衆議院厚生労働委員会における質疑において,厚生労働大- 35 -臣は「保険診療と保険外診療との併用について明確なルールを設けつつ,患者の要請にこたえることとしたという意味で,混合診療の実質的解禁と言えるもの」等と答弁した(乙6。 )また,同年6月6日の参議院厚生労働委員会における質疑において,厚生労働省保険局長は,必ずしも高度でない先進的な医療技術に たという意味で,混合診療の実質的解禁と言えるもの」等と答弁した(乙6。 )また,同年6月6日の参議院厚生労働委員会における質疑において,厚生労働省保険局長は,必ずしも高度でない先進的な医療技術についても保険導入の前段階として保険診療との併用を認め,高度で先進的な医療技術,,も含めて保険導入手続を迅速化透明化する改正を平成17年にしたこと改正案について,高度先進医療について手続の簡素化の観点から医療機関と技術の組合せによる承認制を廃止して,将来的な保険導入のための評価を行うものであるかどうかの観点から,高度先進医療と選定療養を再構成して,高度な医療技術や治験中の医薬品等将来的に保険導入のための評価を行うものを評価療養と位置付けて,差額ベッド等保険導入を前提としないものを選定療養とすることとしたこと等の説明をした(乙40。 )(2)そこで,前記法令の定めを含む以上の認定事実に基づいて,まず,保険外併用療養費制度が引き継いだ特定療養費制度について検討する。 ア特定療養費制度の対象とする高度先進医療は,特殊の療法等との混合診療というべきものであるが,同制度は,特定承認保険医療機関において同診療を受けた場合に特定療養費を支給するものとしたところ,高度先進医療を実施する特定承認保険医療機関は「療養の給付」を行わないとされ,ていること,同制度に係る前記法令の定めによれば,特定療養費は「療,養の給付」に要する費用を算定する場合に適用される診療報酬の算定方法(),診療報酬点数表の例によって算定されるとされていることに照らすと特定療養費は,高度先進医療を含む療養が特定承認保険医療機関において行われた場合に,当該診療(混合診療)のうち保険診療(療養の給付)に相当する基礎的診療部分について支給されるものであることが明らかである。 - 高度先進医療を含む療養が特定承認保険医療機関において行われた場合に,当該診療(混合診療)のうち保険診療(療養の給付)に相当する基礎的診療部分について支給されるものであることが明らかである。 - 36 -イこれに対し,被控訴人は,旧法86条1項の規定から特定療養費が支給される「その療養に要した費用」とは高度先進医療自体に要した費用を指すと主張するが,同条項自体,特定療養費の支給対象とされる療養について,特定承認保険医療機関から受けた療養としているものであって,高度先進医療自体としているものではないから,被控訴人の主張は条文の文言にも明らかに反するし,特定承認保険医療機関において高度先進医療を含む混合診療を受ける場合に,高度先進医療自体を除いた基礎的診療行為(療養の給付」に相当するもの)についても,特定承認保険医療機関に「おいて併せて受けることが明らかであるところ,特定承認保険医療機関は「療養の給付」を行わないものとされているのであるから,この高度先進医療を除いた診療の部分が「療養の給付」に当たるものとして保険給付,の対象となるものではないことが明らかであり,特定療養費の支給対象とされなければ,旧法による保険給付を受けることができなくなるが,被控訴人主張のように,上記部分は保険診療として「療養の給付」の対象となり,特定療養費の支給対象にされないとの解釈をとることが特定療養費制度の趣旨に沿わないことは明らかである。そもそも,特定療養費制度は,高度先進医療が一般に普及し,保険に導入されるまでの間,同制度の対象とすることとしたものであって,高度先進医療自体に要した費用について保険給付をする制度でないことは明らかであり,昭和59年改正時の国会の質疑において,厚生省保険局長が,同制度の趣旨について,保険診療で見られる部分は保険診療で見 高度先進医療自体に要した費用について保険給付をする制度でないことは明らかであり,昭和59年改正時の国会の質疑において,厚生省保険局長が,同制度の趣旨について,保険診療で見られる部分は保険診療で見て,特定療養費を支給し,保険診療に取り入れられていない部分(高度先進医療)だけは自己負担にすると説明しているとおりである。したがって,被控訴人の上記主張は採用することができない。 また,被控訴人は,特定療養費制度を創設して保険給付の対象としたのは,高度先進医療行為の一部をなす基礎的診療部分(診察,画像診断,検- 37 -査等)であると主張(予備的主張)するが,診察,画像診断,検査等といった基礎的診療部分は高度先進医療固有の部分といえないことが明らかであるのみならず(被控訴人も,特定療養と認められた先進医療の基礎的診療部分は併用する保険診療の同様な基礎的診療部分と重なることを認めている,また,この点を別としても,特定療養費制度の下では,高度先。)進医療自体に当たらず,これと併用して行われる通常の診療が「療養の,給付」に当たらないことは上記説示のとおりであるから,上記のような被。 ,控訴人の解釈もとることができないことが明らかであるこの点について被控訴人は,特定療養費制度創設時の厚生省保険局長の国会答弁をその主張の根拠とするが,前記(1)ウ後段に認定の厚生省保険局長の説明は,保険給付の対象となる温熱療法を除く診察,レントゲン診断,検査,処置,手術,投薬等について,いずれも温熱療法固有のものとする趣旨でなく,「」,通常の療養の給付に該当する診療を指していることが明らかであって被控訴人の上記主張の根拠となるものでないことが明らかである。したがって,被控訴人の上記主張は採用することができない。 ウそして,保険給付の対象となる高度先進 る診療を指していることが明らかであって被控訴人の上記主張の根拠となるものでないことが明らかである。したがって,被控訴人の上記主張は採用することができない。 ウそして,保険給付の対象となる高度先進医療を含む混合診療を担当する特定承認保険医療機関の承認要件については,高度先進医療を支える基盤が質・量両面において十分な高水準のものとなるように定められ,また,承認の対象となる高度先進医療は,上記医療機関において実施する場合にはその安全性及び有効性が確立されているが,その実施についてはいまだ一般的に普及するには至っていないものであり,高度先進医療に係る承認は,中協医に置かれた高度先進医療専門家会議における検討を経てされるものとされていた。昭和59年改正により特定療養費制度が創設され,上記のように専門的な検討を経て承認された高度先進医療を含む混合診療をこれを実施するにふさわしい医療機関として承認された特定承認保険医療機関において受けた場合に,その保険診療(療養の給付)に相当する基礎- 38 -的診療部分について特定療養費を支給(保険給付)することとした趣旨に照らすと,旧法は,これに該当しない場合,すなわち,高度先進医療を含む混合診療を特定承認保険医療機関以外の医療機関において受けた場合には,保険給付(特定療養費の支給,したがって「療養の給付」に相当す,るもの)をしないものとしたと解するのが相当である。特定療養費制度創設に伴い,療担規則が改正され,同規則18条により,保険医は,特定承認保険医療機関において高度先進医療を行う場合を除いて(同条ただし書,特殊な療法等,すなわち高度先進医療等を行ってはならないとされ)ていたのであり,旧法下では,保険医は,保険医療機関において,高度先進医療を含む混合診療を行うことは認められていなかったものと解さ 書,特殊な療法等,すなわち高度先進医療等を行ってはならないとされ)ていたのであり,旧法下では,保険医は,保険医療機関において,高度先進医療を含む混合診療を行うことは認められていなかったものと解される。仮に,保険医療機関において,高度先進医療を含む混合診療を行った場合には,上記療担規則に違反するものであり,同診療の基礎的診療部分について「療養の給付」に該当するものとして保険給付を行うことは,,特定療養費制度を創設した上記趣旨に反するものであり,許されないものと解すべきである。 エこれに対し,被控訴人は,特定療養費制度の規定は,保険診療と自由診療の併用が可能であることを確認しているのみであって,それ以外の混合診療を禁止している趣旨は含まれていない,特定療養費制度創設時の所管大臣の説明,答弁にも,混合診療禁止が原則であるという趣旨のものはない,その制定の前後を問わず,通常の保険診療について保険が適用されることに変わりないなどと主張する。 しかしながら「療養の給付,特定療養費等の保険給付についての旧,」法の規定(第4章)は,保険給付の内容及び同給付をする要件等について規定(下位規範への委任を含む)しているものであって,これに該当し。 ない場合には,保険給付をしない趣旨を含むことが明らかであり「療養,の給付」を含めて,保険給付をしない場合について,明記しているもので- 39 -はない。したがって,混合診療の場合に保険給付をしない旨の明文の規定がないことから,直ちに混合診療の場合に「療養の給付」としての保険給付が認められているとすることはできない。そして,特定療養費制度の規定は,上記認定説示のとおりで,保険診療と高度先進医療である自由診療が併用された混合診療において,新たに保険給付(特定療養費の支給)がされる場合の要件を限定して できない。そして,特定療養費制度の規定は,上記認定説示のとおりで,保険診療と高度先進医療である自由診療が併用された混合診療において,新たに保険給付(特定療養費の支給)がされる場合の要件を限定して規定したものであり,保険診療と自由診療の併用が可能であることを確認している規定にすぎないと解することは到底できず,保険給付の要件に該当しない上記混合診療については,保険給付をしない趣旨であると解すべきであることが明らかである。仮に,保険医療機関において高度先進医療を含む混合診療をした場合に,高度先進医療を除く基礎的診療部分(療養の給付」に相当する保険診療相当部分)に「ついては「療養の給付」として保険給付がされるというのであれば,旧,法が保険給付の対象となる高度先進医療及びその担当医療機関を限定的に規定して特定療養費制度を創設する理由,必要性は全くないといわざるを得ない。 特定療養費制度を創設した昭和59年改正前の法においては,混合診療における保険給付についての規定はなく,混合診療の場合に保険給付(療養の給付)が認められるか否かについては,運用に委されていた(歯科材料及び入院料については,差額徴収の取扱いがされ,混合診療が認められていた)もので,高度先進医療を一部でも受けた場合には,一般の「療。 養の給付」に相当する基礎的診療部分も含めて,その療養(診療)全体が自由診療とされ,保険給付の対象外とする取扱いがされていたものであり(前記(1)イ,特定療養費制度創設時の厚生大臣の答弁には,混合診療)禁止が原則であるという趣旨の説明はないものの,厚生省保険局長は,従前の保険医療においては上記取扱いがされていたこと(混合診療禁止が原則とされていたこと)を前提として,高度先進医療について保険診療を認- 40 -(),める特定療養費制度を設け 保険局長は,従前の保険医療においては上記取扱いがされていたこと(混合診療禁止が原則とされていたこと)を前提として,高度先進医療について保険診療を認- 40 -(),める特定療養費制度を設けた旨の説明をしていたものであり前記(1)ウこの説明は,昭和59年改正前の法が混合診療禁止の原則を建前としていたかは別として,上記認定説示に係る特定療養費制度創設の趣旨説明に沿うものである。また,特定療養費制度として高度先進医療に係る療養と共に取り入れられた選定療養は,従前は歯科診療(歯科材料)と入院料(室料)について健康保険行政における運用上認められていた差額徴収(混合診療)の取扱いについて,特定療養費として「療養の給付」の対象から除外し現金給付の形式をとることとして,法令上明確に位置付け,適正なルールの下に保険給付を実施することとしたものであり,特定療養費制度創設後の旧法においては,保険診療と自由診療との混在する混合診療は,特(),,定療養費の支給の対象となる療養診療に限られると解せられ旧法は特定療養費制度として,混合診療において保険給付をする場合を明確に規定することにより,これに当たらない場合には,保険給付をしないこととして(ただし,法は,上記のとおり保険給付をしない場合を明記するものではない,混合診療を原則として禁止したものと解するのが相当であ。)る。 (3)次に,現行の保険外併用療養費制度について検討する。 ア保険外併用療養費制度は,特定療養費制度を引き継いだものであり,本件合意に基づき,特定療養費制度を見直し,保険診療と保険外診療(自由診療)との併用を認める療養(診療)について,保険導入のための評価を行う評価療養と,保険導入を前提としない選定療養に再構成したものであり,従前の高度先進医療は,必ずしも高度ではな と保険外診療(自由診療)との併用を認める療養(診療)について,保険導入のための評価を行う評価療養と,保険導入を前提としない選定療養に再構成したものであり,従前の高度先進医療は,必ずしも高度ではない先進医療技術と共に,評価療養のうちの先進医療に分類され,これを実施し得る医療機関について,従前の特定承認保険医療機関の制度を廃止し,厚生労働大臣が定める要件を満たすものとして届け出た保険医療機関において実施し得るものとし,その療養に要した費用について,特定療養費と同様に算定される先進- 41 -医療を除く保険診療(療養の給付)に相当する基礎的診療部分について保険外併用療養費を支給するものである。 特定療養費制度から保険外併用療養費制度への改正に当たっては,混合診療を全面解禁すべきである(患者が選択する混合診療において通常の保険内診療分の保険による費用負担を認める)との意見もあったが,本件。 ,(。),合意においては混合診療の全面解禁は行わず上記意見を採用しないいわば混合診療について要件を限定して一部解禁していた特定療養費制度の根幹は維持することとして,先進医療を受けられる医療機関について要件を緩和してその範囲を拡大し,かつ,保険給付の対象となる混合診療としての先進医療の範囲も拡大し,もって,混合診療を許容する範囲を拡大し,また,先進医療の認定や,その保険導入手続を迅速化するなどの措置を講じたものであり,このようなことから,厚生労働大臣は,平成18年改正案について,混合診療の実質的解禁と言えると趣旨説明したものと認められる。 イそうすると,保険外併用療養費制度を導入した法の下においても,先進医療に係る混合診療については,保険外併用療養費の支給要件を満たす場合に限り,当該混合診療のうち保険診療(療養の給付)に相当する基礎的診療部分 ,保険外併用療養費制度を導入した法の下においても,先進医療に係る混合診療については,保険外併用療養費の支給要件を満たす場合に限り,当該混合診療のうち保険診療(療養の給付)に相当する基礎的診療部分について保険給付(保険外併用療養費の支給)が認められるものであり,これに該当しない場合,すなわち,先進医療を含む混合診療をこれを実施することが認められていない保険医療機関において受けた場合には,保険診療に相当する基礎的診療部分についても「療養の給付」とし,て保険給付を受けることはできないといわざるを得ない。 ,,「,ウこれに対し被控訴人は法86条1項が評価療養…を受けたときはその療養に要した費用について,保険外併用療養費を支給する」と規定。 しているから,評価療養としての先進医療に対して保険外併用療養費が支,「」払われるもので先進医療と併用する通常の診療については療養の給付- 42 -がされると主張するが,特定療養費制度を引き継いだ保険外併用療養費制度は,先進医療が一般に普及し,保険に導入されるまでの間,同制度の対象とすることとしたものであって,先進医療自体に要した費用について保険給付をする制度ではなく当該先進医療と併用して行われる保険診療療,(養の給付)に相当する基礎的診療部分について保険給付(保険外併用療養費の支給)をする制度であることは上記ア及びイにおいて説示したとおりであるから,保険給付がされる「その療養」とは当該先進医療自体を指すものではなく,当該先進医療を併用した療養(混合診療)を指すものと解すべきである。仮に「その療養」が評価療養としての先進医療自体を指,すのであれば,評価療養に係る給付について,殊更に「療養の給付」に含まれないと規定(法63条2項)する必要もないのであり,法がこのように規定したの 「その療養」が評価療養としての先進医療自体を指,すのであれば,評価療養に係る給付について,殊更に「療養の給付」に含まれないと規定(法63条2項)する必要もないのであり,法がこのように規定したのは「その療養」が先進医療を併用した療養(混合診療)を,指し,本来「療養の給付」に該当する基礎的診療部分を含むため,この部分について「療養の給付」を行わないことを明らかにした趣旨であると解される。また,保険外併用療養費制度においても,特定療養費制度におけるよりも,医療機関及び対象となる先進医療に係る療養の範囲を拡大したとはいうものの,専門的な検討を経て承認された先進医療に係る療養を,これを実施するにふさわしい医療機関としての要件を満たすものとして届,()出をした保険医療機関において受けた場合にその保険診療療養の給付に相当する基礎的診療部分について保険外併用療養費の支給(保険給付)をすることとしたものであるから,法は,これに該当しない場合,すなわち,保険外併用療養費の支給対象とされていない先進医療に係る療養(混合診療)を受けた場合や,同支給対象とされる先進医療に係る療養(混合診療)をこれを実施し得るものと定められた保険医療機関以外の医療機関において受けた場合には,保険給付をしないものとしたと解するのが相当であることは,旧法の場合と同様であり,したがって,この場合には,当- 43 -該医療機関が保険医療機関であるとしても,当該療養について「療養の給付」を受けることはできないと解すべきであるから,被控訴人の上記主張は採用することができない。 また,被控訴人は,法86条1項により保険外併用療養費として支給されるのは,保険外診療である先進医療固有の基礎的診療部分に限られるから,先進医療と併用する通常の診療については「療養の給付」がされると主 ,被控訴人は,法86条1項により保険外併用療養費として支給されるのは,保険外診療である先進医療固有の基礎的診療部分に限られるから,先進医療と併用する通常の診療については「療養の給付」がされると主張(予備的主張)するが,前記(2)イ後段に説示したとおり,先進医療固有の基礎的診療部分(保険診療相当部分)というものを観念し難いのみならず,保険外併用療養費の支給対象は,本来「療養の給付」に該当する基礎的診療部分に限られるのであるから,元々「療養の給付」に該当しない先進医療固有の部分がその一部分でも上記支給対象に当たることはないというべきである(被控訴人のいう先進医療固有の部分に「療養の給付」に相当する部分が含まれているとすれば,被控訴人のいう当該先進医療自体が混合診療なのである)から,被控訴人の上記主張は採用することが。 できない。 (4)以上のとおりで,保険外併用療養費制度を規定した法の解釈によって,同制度に該当するもの以外の混合診療については,本来保険診療に相当する診療についても,すべて「療養の給付」に当たらず,保険給付を受けられないと解すべきである。 そして,以上の説示によれば,本件訴訟の結論を導くにつき,争点1(複数の医療行為が行われる場合には,それらを不可分一体の1つの医療行為とみて「療養の給付」に該当するか否かを判断すべきであると解すべきか),。 についての判断を要しないことは明らかである。 争点3(保険外併用療養費制度に該当するもの以外の混合診療については,保険診療に相当する部分についても「療養の給付」に当たらず,保険給付を受,,,。)けられないと解すること又はそのように解される法は憲法に違反するか- 44 -について上記のように解される法が憲法に違反しないことは,以下に述べるとおりであり,また,争点2にお ,,,。)けられないと解すること又はそのように解される法は憲法に違反するか- 44 -について上記のように解される法が憲法に違反しないことは,以下に述べるとおりであり,また,争点2において説示したところによれば,法を上記のように解することが憲法に違反する旨の被控訴人の主張は理由がないことが明らかである。 (1)憲法14条違反について憲法14条1項は法の下の平等を定めているが,同規定は合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであって,各人に存する経済的,社会的その他種々の事実関係上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることは,その区別が合理性を有する限り,何ら同規定に違反するものではない。 そこで,これを法が保険外併用療養費制度を設けて保険給付の受給の可否について区別を設けたことについて検討するに,法は,特殊の療法等を含まない通常の診療については「療養の給付」を行うが,特殊の療法等である,先進医療を含む混合診療については,専門的な検討を経て定められた先進医療を含む混合診療をこれを実施するにふさわしい医療機関として定められた施設基準に該当する保険医療機関において受けた場合に限り,その保険診療(療養の給付)に相当する基礎的診療部分について保険外併用療養費を支給(保険給付)することとし,その反面として,これに該当しない場合には,保険給付(療養の給付)をしないこととしたものであるところ,法は,労働者の業務外の事由による疾病等に関して保険給付を行い,もって国民生活の(),,安定と福祉の向上に寄与することを目的とし法1条基本的理念として健康保険制度については,給付の内容及び費用の負担の適正化,国民が受ける医療の質の向上等を総合的に図りつつ,実施されなければならない(法2条)としていること等に照らして,保険により提 本的理念として健康保険制度については,給付の内容及び費用の負担の適正化,国民が受ける医療の質の向上等を総合的に図りつつ,実施されなければならない(法2条)としていること等に照らして,保険により提供する医療について,保険財源の面からの制約や,提供する医療の質(安全性,有効性等)の確保等の観点から,その範囲を限定することは,やむを得ず,かつ,相当なものとい- 45 -わざるを得ないところであり,先進医療に係る保険外併用療養費制度は,保険により提供する医療の質の確保等という観点から,保険給付の受給の可否について上記のような区別を設けたものと認められるのであり,このことには合理性が認められるというべきである。 これに対し,被控訴人は,その希望するLAK療法は治療行為の有効性,安全性が確認されているのに,これが確認されていない先進医療と区別することなく,LAK療法を併用すれば保険診療部分もすべて自由診療になると,,いうことは余りに不合理な差別であると主張するがLAK療法については特定療養費制度の下において高度先進医療として承認されていた時期があったものの,その後に,高度先進医療専門家会議により有効性が明らかでないとして高度先進医療としての承認が取り消されたのであるから,被控訴人の上記主張は,その前提において理由がなく,憲法14条違反をいう被控訴人の主張は,理由がない。 (2)憲法25条違反について被控訴人は,混合診療禁止の原則は難病患者に対する安全性,有効性が確認できた保険外の自由診療を受ける機会を奪うもので,死を待つことを強要するという余りに残酷な内容を含むものであるから,著しく合理性を欠くと主張するが,LAK療法を前提としての被控訴人の上記主張が理由がないことは前記認定説示のとおりである。また,保険外併用療養費制度は,難病患者 りに残酷な内容を含むものであるから,著しく合理性を欠くと主張するが,LAK療法を前提としての被控訴人の上記主張が理由がないことは前記認定説示のとおりである。また,保険外併用療養費制度は,難病患者等に対する先進医療について,安全性,有効性等が先進医療専門家会議において検討,確認されたものについて,これと併用する保険診療相当部分について保険給付(保険外併用療養費の支給)をすることにより,当該先進医療を受けるについての患者の費用負担の軽減を図るものであるし,その制度の実施に当たって,先進医療の認定やその保険導入手続を迅速化するなどの措置が講じられているものである。そして,有効性が明らかにされないとして保険給付の対象から除外されたLAK療法に代わって,別の活性化自己リ- 46 -ンパ球移入療法が先進医療専門家会議により安全性,有効性等が確認されたものとして評価療養(先進医療)として認められているのであるから,被控訴人の上記主張は理由がない。 法は,憲法25条2項の規定に基づき社会保障制度の一環として立法されたものであるところ,保険外併用療養費制度を導入し,混合診療禁止の原則をとって,先進医療等について保険給付の対象となる診療の範囲を限定している(ただし,その例外の範囲は拡大している)ことは,以上に認定説示。 したとおりであるが,これは提供する医療の質(安全性,有効性等)の確保等の観点から行われているものであり,社会保障制度の一環として立法された健康保険の保険給付の制度として合理性を欠くとはいえないから,憲法25条違反をいう被控訴人の主張は,理由がない。 (3)憲法29条違反について保険受給権(法により保険給付を受ける権利)は,憲法25条2項の規定に基づき社会保障制度の一環として立法された健康保険制度により創設された権利であって,その内 ない。 (3)憲法29条違反について保険受給権(法により保険給付を受ける権利)は,憲法25条2項の規定に基づき社会保障制度の一環として立法された健康保険制度により創設された権利であって,その内容は,法によって定められた範囲内において認められるものであり「療養の給付」の範囲も,法の解釈により決定されるもの,である。そして,法が保険外併用療養費制度により一定の保険外診療と併用(),した保険診療相当部分について保険給付保険外併用療養費の支給を認め保険診療と保険外診療を併用した混合診療における保険診療相当部分について「療養の給付」の範囲から除外したことは,前記認定説示のとおりであるところ,法は,これにより,被保険者が本来有していた保険受給権(療養の給付を受ける権利)を奪うものではなく,法が保険給付する範囲について定めた結果にすぎないから,国民の財産権を侵害したものではなく,憲法29条違反の問題は生じない。 (4)憲法84条違反について被控訴人が引用する最高裁平成18年3月1日大法廷判決・民集60巻2- 47 -号587頁は,憲法84条は国民に対して義務を課し又は権利を制限するには法律の根拠を要するという法原則を租税について厳格化した形で明文化したものというべきであるとした上で,市町村が行う国民健康保険の保険料について憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきであると判示したものであるところ,被控訴人は,保険受給権を制限するには上記法原則,したがって,憲法84条の趣旨が及ぶと主張するものであるが,法は,保険給付をする範囲,すなわち保険受給権の内容を定めたものであって,保険受給権を剥奪,制限,,,するものでないことは前記認定説示のとおりであるし法の解釈によって法が混合診療禁止の原則をとっていると認められるものであるから,本件におい 容を定めたものであって,保険受給権を剥奪,制限,,,するものでないことは前記認定説示のとおりであるし法の解釈によって法が混合診療禁止の原則をとっていると認められるものであるから,本件において憲法84条違反を論じる余地はない。 以上のとおりであり,保険外併用療養費制度を規定した法の解釈によって,同制度に該当するもの以外の混合診療については,本来保険診療に相当するものも含めて,すべて「療養の給付」に当たらず,保険給付を受けられないと解すべきである(このように解することは,憲法に違反しない)から,保険外。 併用療養費制度に該当しない混合診療であるインターフェロン療法とLAK療法を併用して行う場合には,LAK療法だけでなく,インターフェロン療法も「療養の給付」に当たらず,法による保険給付を受けられないと解すべきである。 よって,被控訴人の請求は理由がなく,これを認容した原判決は不当であるから,原判決を取り消して,被控訴人の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第7民事部裁判長裁判官大谷禎男- 48 -裁判官杉山正己裁判官相澤哲

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