- 1 -平成19年1月31日判決言渡平成17年第14734号損害賠償請求事件()ワ判決主文 被告らは、原告に対し、連帯して165万4435円及びこれに対する平成17年7月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用はこれを3分し、その2を原告の、その余を被告らの負担とする。 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求被告らは、原告に対し、連帯して435万4509円及びこれに対する平成17年7月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要事案の要旨 原告は、平成12年6月28日、被告財団法人Aが設置経営するB病院形成外科を受診し、診察を担当した被告C医師に対して両側季肋部の突出を訴えたところ、手術を行うとの方針が示され、同年8月11日、原告に対してプレートを入れて胸郭を挙上する等の内容の手術が実施された。 このことについて、原告は、上記手術によっても季肋部が突出した外見が改善されなかったものであるところ、この点については、被告C医師には、季肋部の突出解消法の選択に関する義務ないし情報提供義務に違反しており、同義務が果たされていれば原告は上記手術を受けなかったし、同医師は上記手術中に手術操作上の誤りを犯したばかりか、上記手術後に季肋部の改善をする義務にも違反したなどと主張し、被告らに対し、診療契約上の債務不履行又は不法- 2 -行為(被告財団法人Aに対しては、使用者責任)に基づき、損害賠償及びこれに対する平成17年7月30日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した前提と 償及びこれに対する平成17年7月30日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した前提となる事実証拠のページ番号を〔〕内に示す)。 当事者( )ア原告原告は、昭和35年6月18日生まれの女性である(甲A2〔1、弁〕論の全趣旨。 )イ被告ら被告財団法人A(以下「被告A」という)は、東京都千代田区ab丁。 目c番d号所在のB病院(以下「被告病院」という)を設置経営してい。 る財団法人である。被告C(以下「被告C医師」という)は、平成10。 年1月から平成14年7月15日まで被告病院形成外科の常勤医であり、翌日からは同科の非常勤にとなるとともに、平成15年8月31日までは訴外クリニックの院長を勤め、その後同年11月には自ら「Dクリニック」を開設、経営している(争いのない事実、乙A8、弁論の全趣旨)。 診療経過の概略( )ア原告は、平成12年6月28日、被告病院形成外科を外来受診した。当初はE医師が原告を診察したが、同医師は原告の担当を被告C医師に引き継いだ。同医師による診察の結果、原告に対してプレートを入れて胸郭を挙上し、季肋部の肋軟骨の突出を軽減するために肋軟骨を一部削り取る内容の手術(以下「本件手術」という)を行うとの方針が原告に対して示。 され、原告はこれに同意した(以下、本件手術等の診療を行う合意を「本件診療契約」という(争いのない事実、弁論の全趣旨)。)。 イ同年8月11日、原告は被告病院形成外科に入院し、同日、被告C医師- 3 -の執刀により、本件手術を受け、同月23日に退院した(争いのない事実。 ) 争点 本件診療契約が季肋部の整容を主目的としていたか否か( ) 季肋部 に入院し、同日、被告C医師- 3 -の執刀により、本件手術を受け、同月23日に退院した(争いのない事実。 ) 争点 本件診療契約が季肋部の整容を主目的としていたか否か( ) 季肋部の突出解消に対する療法選択についての義務違反及び情報提供義務( )違反の有無 法及び季肋部肋軟骨形成術における手技上の過失の有無( )Nuss 季肋部の修正義務(フォロー義務)の有無( ) 手術による季肋部の改善の有無( ) 損害額( )争点についての当事者の主張 別紙「主張要約書」記載のとおりである(この「主張要約書」は、平成18年7月11日の本件第7回弁論準備手続期日において両当事者が陳述した内容に、その後の主張をふまえて修正を加えたものである。 。)第3当裁判所の判断事実認定 証拠によれば、次の事実が認められる(認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した証拠のページ番号を〔〕内に示す。以下同じ。 。) 被告病院を受診し、被告C医師の診察を受けるに至る経緯( )ア原告は、20歳ころ(昭和55年ころ)に風邪で訴外医院を受診した際、医師から原告が漏斗胸である旨指摘されていたところ、30歳ころ(平成2年ころ)から肋骨の最下部が徐々に突出してきたことを自覚し、35歳ころ(平成7年ころ)には、服を着ていても同部分が目立つようになり、その状態を不満に思うようになった。その後も特に健康上の支障は生じないものの、同部分の突出傾向が収まらなかったため、原告は、手術によってその状態の改善ができるか否かを考え始め、被告病院の存在を調べた上- 4 -で、平成12年6月28日、被告病院形成外科を受診した(甲A17。 〔1、乙A1の1〔2)〕〕イ被告病院形成外科において原告の診察を担当したE医師に対し 、被告病院の存在を調べた上- 4 -で、平成12年6月28日、被告病院形成外科を受診した(甲A17。 〔1、乙A1の1〔2)〕〕イ被告病院形成外科において原告の診察を担当したE医師に対し、原告は、20歳ころに医師から自分が漏斗胸であると指摘されたこと、中心部が凹んでいるというよりは、肋骨の最下部の両側、特に左側が突出していて、その突出が30歳ころから始まって悪化してきたこと、35歳ころから服を着ていても目立つようになったことを述べ、手術による治療を希望した。 これに対し、同医師は、漏斗胸の診察が被告C医師の担当であることを指摘し、診察を被告C医師に引き継いだ(甲A17〔1、2、乙A1の1。 〕〔2、A7〔1)〕〕 被告C医師による診察及び説明( )ア原告は、被告C医師に対しても、E医師に対して述べたことを繰り返すとともに、胸の左側のところが出っ張ってみえるので直したいと訴えた。 これに対し、被告C医師は、原告を診察した上、原告の胸部が凹んでいることから、原告の胸部の状態が漏斗胸であり、その程度は、直ちに手術をしなければ健康上の支障が生ずるほどのものではないものの、手術適応にならないほど軽度ではなく標準的なものであると判断した。また、原告が季肋部の突出を指摘している点については、季肋部が人の標準的状態に比べて突出しているのではなく、胸部が凹んでいるために季肋部が突出しているように見えているので、漏斗胸を改善することで原告の訴えに対応した治療をすることができると判断した。もっとも、漏斗胸を改善しても季肋部の突出が改善しない場合もあり得るし、その点は手術をした後に初めて判明することであったが、被告C医師は、それらの説明はしなかった。 また、漏斗胸を改善しても腹部と季肋部との関係には何ら影響がないが、被告C医師は、その 場合もあり得るし、その点は手術をした後に初めて判明することであったが、被告C医師は、それらの説明はしなかった。 また、漏斗胸を改善しても腹部と季肋部との関係には何ら影響がないが、被告C医師は、そのことも説明しなかった(乙A1の1〔3、A7。 〕〔1、被告C医師本人〔2、3、24、25、27、28、31~3〕- 5 -4)〕イそこで、被告C医師は、原告に対し、漏斗胸の治療法としてプレートを挿入して胸骨を挙上する手術(法)があり、プレートは2年程度でNuss抜去する例が多いこと、手術によって胸の骨だけを持ち上げると一緒に季肋部も持ち上がること、手術後時間が経つと子供は季肋部が下がるが大人は下がらないので季肋部にも操作を加える必要があることを説明し、さらに、手術事例の写真が掲載されたアルバム(以下「本件アルバム」という)を原告に示した(乙A7〔1、被告C医師本人〔22。 。 〕〕)本件アルバムには、季肋部だけが出ている男性や、手術当時図書館に勤務していたとされる女性らの手術前後における写真が掲載されており、被告C医師は、これらの写真を原告に見せながら、手術の際の皮膚切開位置及び切開による傷の位置について説明をし(被告C医師本人〔18、1 、原告の身体を手で押して術後に痛む場所を示し、痛みの程度が相当〕)重いこともを説明した(被告C医師本人〔20。 〕)以上の説明を聞いた原告は、自分の胸部の凹みを上記手術によって矯正することにより、季肋部の突出も改善すると理解し(原告本人〔16、〕)かつ、7月中に心電図検査等の検査を受け、8月8日に呼吸機能検査及び 検査を受け、同月10日に入院して翌11日に手術を受けるとのD-CT予定についても確認した上、上記手術を受けることに同意した(甲A17〔4、乙A1の1〔3、4 け、8月8日に呼吸機能検査及び 検査を受け、同月10日に入院して翌11日に手術を受けるとのD-CT予定についても確認した上、上記手術を受けることに同意した(甲A17〔4、乙A1の1〔3、4。 〕〕)ウ上記手術の具体的手技内容については、同年8月8日に被告C医師から原告に対して説明がされ、原告は、これに対して手術を受けることを最終的に同意した(甲A17〔4、乙A2〔23。 〕〕) 本件手術の施行( )ア原告は、平成12年8月10日、被告病院形成外科に入院した(乙A2〔36。 〕)- 6 -イ原告は、同月11日8時10分に手術室に入室し、9時35分から14時25分にかけて、被告C医師の執刀により、法による胸骨挙上術Nuss及び肋骨修正術(前出の「本件手術」を指す)を受けた。その際、原告。 は、胸椎5番と6番の間に硬膜外麻酔を施行されており、術中の出血量は少量で、合計3000の輸液(ヴィーンF、フィジオ70及び生理食ml塩水)が行われたが、輸血は行われなかった(乙A2〔20、39)。 〕ウ原告に対しては、本件手術後、疼痛に対する治療等を受け、同月23日、被告病院を退院した(乙A2。 ) 被告病院退院後の経緯( )ア退院後の外来受診原告は、被告病院を退院した後も、平成12年9月9日から同年中は同日を含めて6回外来受診した。同年10月4日、原告が本件手術後にしゃっくりが出るようになったと訴えたため、被告C医師は、同月18日に呼吸機能検査及び検査を施行し、それ以後の診察日においても、原告のCT身体状態の経過を確認した。原告は、しゃっくりの回数は同年10月21日の診察日においては、1時間当たり7ないし12回であると訴えていたが、同年12月16日には、6時30分から11時30分の間に20回程 体状態の経過を確認した。原告は、しゃっくりの回数は同年10月21日の診察日においては、1時間当たり7ないし12回であると訴えていたが、同年12月16日には、6時30分から11時30分の間に20回程度であると述べ、平成13年6月13日の診察日には、しゃっくりがでる日と出ない日とがあると述べた(乙A1の1〔6~10、11-1・。 4、A1の2〔2)〕〕イ訴外F病院における再手術原告は、平成16年5月13日、訴外F病院(以下単に「F病院」という)を初めて外来受診し、漏斗胸術後のプレート抜去と軟骨の変形を修。 正することを希望した(甲A2〔16。診察の結果、原告は、同年7月〕)27日の外来受診の際、同年8月5日に入院して翌6日に手術を受けることになった(甲A2〔19。 〕)- 7 -原告は、同年8月5日、上記病院に入院した。原告は、入院時に「肋骨下縁角の突出、特に左側のそれが気になる。反り返りと2つになっている凸変形が気になる。手術によるは気にしないので、術後合併症がなscarく良好な結果が得られるようにしてほしい」旨の希望を述べた(甲A2。 。 〔15、A3〔17。なお、は「傷跡」の意)〕〕。 scar原告に対しては、8月6日に、先に挿入されたプレートの抜去と肋軟骨形成の手術が施行され(甲A3〔1、17、23、原告は、同月12日〕)に退院した(甲A2〔15。 〕)ウ再手術後の原告の状態等平成17年2月7日に実施された胸部3検査の結果、原告の胸郭D-CTについてはほとんど漏斗の陥没はみられなくなっているとの所見が得られた(甲A2〔20、21頁の後ろ3枚目。 〕)平成18年9月7日にF病院のG医師が作成した原告についての診断書には、病名として「漏斗胸、附記として」「上記にて他院手術後に来院 の所見が得られた(甲A2〔20、21頁の後ろ3枚目。 〕)平成18年9月7日にF病院のG医師が作成した原告についての診断書には、病名として「漏斗胸、附記として」「上記にて他院手術後に来院。漏斗胸にて挿入された金属板(法Nussによるもの、および両側胸郭突出、陥凹変形を認めた。 )2004年8月5日より入院にて金属板の抜去、胸郭変形部の修正を行った。術後経過良好にて同年8月12日退院した。突出、陥凹変形した胸郭は修正された。 その後約1年間経過観察し手術痕の安定を確認して2005年8月23日終診となった」。 と記載されている(甲A18。 ) 原告の胸部の形状に関する変化( )ア外見上の変化原告の胸部は、平成12年8月8日撮影の写真によれば、両乳房の間に挟まれた部分(正中部)が、同部分の上下に比べて凹んだ状態になってお- 8 -り、両乳房の直下において季肋部が突出していることが目視できる(乙A3。 )これに対し、平成13年8月29日撮影の写真によれば、両乳房の間の凹みは解消されているが、季肋部の突出は、平成12年8月8日の写真の状態に比べて特段の変化はみられないように見える(乙A3。 )また、平成16年7月12日撮影の写真によれば、原告の両乳房直下にある季肋部の突出が確認できるほか、左側季肋部の突出部分の上下方向の中心部分に凹みがみられ、結果として上端と下端に2つの丘状突出が見える状態になっていることが確認できる(甲A14。これに対し、平成1)7年12月7日撮影の写真によれば、季肋部の上記丘状突出は解消されており、両側季肋部の突出の程度が減少しているように見える(甲A8。 )イ写真上の変化CT写真上、胸骨の劔状突起部は、平成12年8月8日検査時と平成1CT5年6月16日検査時の写真を比較すると、前 、両側季肋部の突出の程度が減少しているように見える(甲A8。 )イ写真上の変化CT写真上、胸骨の劔状突起部は、平成12年8月8日検査時と平成1CT5年6月16日検査時の写真を比較すると、前者においては腹側正中部にくぼんだ部分がみられるのに対し、後者においてはそれがみられなくなっている(乙A3、A5、A6の1・2。 )医学的知見 証拠によれば、次の医学的知見が認められる。 漏斗胸について( )ア漏斗胸とは、肋骨及び肋軟骨の成長が背中側に向かった結果、胸郭の骨が背中側に落ち込み、前胸壁が漏斗状に凹んだ状態をいう(甲B4、被告C医師本人〔2。 〕)イ漏斗胸の矯正は手術による。漏斗胸により心肺機能に異常がある場合は手術の絶対的適応になるが、無症状の場合には美容形成的理由から手術を行うことになる(甲B4~9)。 ウ漏斗胸に対する手術の標準術式として、ナス()法が登場するまでNuss- 9 -はラヴィッチ()法及び胸骨翻転法があった(甲B11。 Ravitch) 法について( )Nussア法は、平成10年にナス医師らにより報告された漏斗胸に対するNuss手術法で、その方式は、金属プレートを胸骨下に挿入して胸骨を挙上するというものである(甲B2〔67。 〕)イB病院では、平成11年5月から漏斗胸の手術法として法を導入Nussした(甲B1〔926、被告C医師本人〔13、14。 法は、平〕〕)Nuss成17年12月11日当時において、東海大学、獨協大学及び大阪大学のウェブサイト上において紹介されているほか(甲B4、B5、B7、順)天堂大学のウェブページにおいて「現在当科で行っている標準的な術式は法というものです」とされている(甲B6。また、滋賀医科大学附Nuss)属病院作成のパン ているほか(甲B4、B5、B7、順)天堂大学のウェブページにおいて「現在当科で行っている標準的な術式は法というものです」とされている(甲B6。また、滋賀医科大学附Nuss)属病院作成のパンフレット(2002年8月1日付け19号)には漏斗胸について記載され、手術法については、過去には過大な侵襲のある手術があったが法により短期間の入院及び少ない侵襲で確実な効果を得るNussことができるようになっていると指摘した上、法の具体的手技が紹Nuss介されている(甲B9。 )他方、成田赤十字病院のウェブサイト上には、漏斗胸に対する手術法としては胸肋挙上術(長すぎる肋軟骨を切除再縫合する術式)を採用していること、法は、6歳未満や成人には適応が限られていること、術後Nuss入院期間が胸肋挙上術と変わらないこと、異物除去のため再手術が必須なことなどが欠点であると考えていることが記載されている(甲B23。 )争点1 (本件診療契約が季肋部の整容を主目的としていたか否か)について ( ) 原告は、前記11 アのとおり、両側季肋部の突出を気にしていたものであ( )( )るが、それは健康上の支障が生じていることによるものではなく、もっぱら外見上好ましくないとの考えによるものであり、被告病院の初診時においても、同2 アのとおり、中心部が凹んでいるというよりは季肋部、特に左側が( )- 10 -突して見えるので直したいと被告C医師に対して述べているから、原告の目的が季肋部の突出という外見の整容にあることが被告C医師に対して明示されているということができる。また、被告C医師は、上記原告の主訴に対し、前記12 アのとおり、漏斗胸自体は直ちに手術をしなくても健康上の支障は( )ないものの、原告が問題とする季肋部の突出は胸部正中部の凹み いうことができる。また、被告C医師は、上記原告の主訴に対し、前記12 アのとおり、漏斗胸自体は直ちに手術をしなくても健康上の支障は( )ないものの、原告が問題とする季肋部の突出は胸部正中部の凹みによるものであり、その凹みを矯正すれば原告の悩みは解消する旨判断し、これを前提として、漏斗胸の手術法である胸骨挙上術の施行を提案し、かつ、同術に加えて、季肋部を削ることも提案しているのであるから、同医師は、原告の上記主訴内容を理解した上で、それに対する治療方法として漏斗胸の手術を提示したものというべきである。 そうすると、原告は、季肋部の突出という外見を問題とし、被告C医師はそのことを理解していたのであって、この点において意思内容が合致しているから、本件診療契約は、健康の維持改善を直接的な目的とするものではなく、季肋部の突出という外見の整容を目的とするものであると認められる。 これに対して、被告らは、本件診療契約の目的が漏斗胸の治療を目的とす( )るものであると主張する。しかし、上記のとおり、漏斗胸自体は直ちに手術をしなくても健康上の支障がない程度のものであり、被告C医師も、原告の季肋部の突出の原因が胸部の凹み、すなわち漏斗胸にあると判断したものの、原告が目的としているのが季肋部の突出の解消であることを理解しており、そのことは被告C医師も自認するところである(被告C医師本人〔3。そ〕)うすると、漏斗胸の治療は上記目的を達成するための手段であるというべきであるから、上記被告らの主張は、目的と手段とを混同するものであるといわざるを得ず、採用できない。 争点2 (季肋部の突出解消に対する療法選択についての義務違反及び情報提 ( )供義務違反の有無)について 患者は、医師から診察及び治療を受けるに当たり、治療を受けるか否かに( ) ない。 争点2 (季肋部の突出解消に対する療法選択についての義務違反及び情報提 ( )供義務違反の有無)について 患者は、医師から診察及び治療を受けるに当たり、治療を受けるか否かに( )- 11 -ついて判断することが出来るものであるところ、患者は自らの病態及び行うべき治療内容等、医療全般に対する正確な知識を欠くのが通常である。したがって、医師は、患者の判断に資するため、患者と診療契約を締結するに当たり、患者に対し、患者の病態、治療内容及び治療結果の見込み等について説明をする義務を負うというべきである。 そうすると、本件診療契約は、上記3において認定説示したとおり、季肋( )部の突出の整容を目的としたものであるから、医師は、患者に対し、患者の季肋部の突出状態について説明した上、その目的を達するための治療の内容や、その治療によって季肋部の突出状態がどの程度改善できるかに関する見込みについても説明をしなければならないというべきである。 ところで、前記12 ア及びイにおいて認定したところによれば、被告C医( )師は、原告の季肋部の突出が胸部正中部の凹みを原因とするものであると判断し、治療法として漏斗胸の手術をするが、胸骨を持ち上げると季肋部も上がるので季肋部に操作を加える必要があることをそれぞれ説明しているものの、手術をしても季肋部の突出が改善されない場合もあり得ると認識していたにもかかわらず、その点については、手術症例をまとめた本件アルバムを見せたにとどまり、何ら説明していない。そして、本件アルバムの内容について検討するに、本件アルバムは数次に渡り更新されているために平成12年6月当時のものとは断定できないが、同一である可能性が高いと主張して被告らが提出する説明用冊子(乙A9)に掲載された写真を見ても、その大半が男性の アルバムは数次に渡り更新されているために平成12年6月当時のものとは断定できないが、同一である可能性が高いと主張して被告らが提出する説明用冊子(乙A9)に掲載された写真を見ても、その大半が男性のものであり、手術前において胸部正中部の陥凹の程度が原告に近いものは認められないほか、季肋部の突出が原告のように目立つものは「7 「79」及び「82」と記載されたものなどごく少数にとどまると認め」、られるところ、これらの事例においては手術後に季肋部の突出の程度が相当程度軽減したものと認められる。そうすると、本件アルバムと上記説明用冊子(乙A9)が同一のものであって、かつ、被告C医師が原告に対してアル- 12 -バム掲載の写真を全て見せたとしても、原告の状態に類似した事例はほとんどないのであるから、客観的に見ると、季肋部の突出の改善の程度がいかなる範囲に収まるのかについての見通しを立てることは困難であるし、敢えて類似する事例のみに着目すると、手術によって季肋部の突出は確実に改善されるものとの誤った認識を持ちかねないといわざるを得ない。なお、上記説明用冊子には「68「69「72」及び「73」と記載された写真も、」、」、あり、これらによれば手術前に比べて季肋部の突出が目立つようになっているものと認められるから、原告がこれらの写真を注視すれば季肋部の突出の改善の程度について判断し得たと考えられないでもない。しかしながら、これらの写真はいずれも男性のものであって、しかも手術前の状態は原告の手術前の状態とは異なるものであるから、原告がこの点を考慮して自らの手術後の状態を想定するのは困難である。 これらの事実関係からすると、被告C医師としては、アルバムの写真を示すのみではなく、その内容を踏まえ、原告が季肋部の突出をどの程度解消し得るか及びそ て自らの手術後の状態を想定するのは困難である。 これらの事実関係からすると、被告C医師としては、アルバムの写真を示すのみではなく、その内容を踏まえ、原告が季肋部の突出をどの程度解消し得るか及びその困難の程度について補足的に説明をすることが必要であったといわざるを得ず、この点についての具体的説明を欠いた結果、あたかも原告にその目的が必ず達成できるかのような誤解を与えることとなったと認められる。したがって、被告C医師の説明は、この点において少なくとも不十分なものであり、原告に対する説明義務に違反したといわざるを得ない。 その上、被告C医師は、原告の季肋部の突出は漏斗胸により胸部正中部が( )凹んでいることによるものであり、腹部との関係では特に突出しているものではないとの認識を前提として、治療方針を定め、かつ、それを原告に説明している(被告C医師本人〔57~61。しかし、一般に季肋部の突出は〕)漏斗胸のみによって生ずるものではないところ(被告C医師本人〔26~2 、術前における原告の季肋部の状況を前記説明用冊子(乙A9)に掲載〕)された他の漏斗胸患者のそれと対比すると、原告の季肋部の突出は、その外- 13 -見上、一般的な漏斗胸患者のそれとは異なり、かなり目立つものである上に、腹部との関係においても突出していること、後記のとおり、現に被告病院における手術後もその状況にそれほどの改善が見られなかったことなどからすると、原告の季肋部の突出は漏斗胸のみによるものではないと認めるのが相当であり、しかも、そのことは術前に原告の季肋部を冷静に観察すれば容易に判断し得たものと認められる。 そうすると、被告C医師は、術前に十分な観察を怠ったために原告の季肋部突出の原因につき誤った判断に至り、それを前提に誤った説明をしたこととなるから、この 察すれば容易に判断し得たものと認められる。 そうすると、被告C医師は、術前に十分な観察を怠ったために原告の季肋部突出の原因につき誤った判断に至り、それを前提に誤った説明をしたこととなるから、この点においても原告に対する説明義務違反が認められる。 なお、原告は、漏斗胸に対する手術について、法が平成12年当時( )Nussにおいて試行的な術式であるにとどまっていたことを前提として、同法以外の術式についても説明すべきである旨主張するも、前記22 において認定し( )たところを総合すれば、法が本件手術当時において試行的な術式にとNussどまるとは認められないから、原告の主張は前提を欠く。 争点3 (法及び季肋部肋軟骨形成術における手技上の過失の有無)に ( )Nussついて原告は、本件手術中に被告C医師が手術操作上の誤りを犯したと主張するが、そのような手術操作上の誤りを推認させる事情としては、本件手術によっても原告が主訴とする季肋部の突出が改善しなかったとの結果のみを挙げるにとどまる。 しかし、前記のとおり、法等の治療によって外見が改善するとは必ずNussしもいえないことに照らせば、手術の結果如何をもって直ちに手術操作上の誤りがあったと推認することはできないといわざるを得ず、その他に手術操作上の誤りがあったと推認させる事情は見当たらない。なお、前記14 アのとおり、( )本件手術後、原告にしゃっくりが発生した事実が認められ、その原因が本件手術にある可能性はあるが、さらに進んで本件手術操作に何らかの誤りがあった- 14 -ことを認めるに足りる証拠はないから、このことをもって手術操作上の誤りがあったと認めることもできない。 争点4 (季肋部の修正義務(フォロー義務)の有無)について ( )Nusこの点に関する ことを認めるに足りる証拠はないから、このことをもって手術操作上の誤りがあったと認めることもできない。 争点4 (季肋部の修正義務(フォロー義務)の有無)について ( )Nusこの点に関する原告の主張は、本件手術の結果が手技上の過失ないしは法を施行したことによって不適切な結果が生じたことを前提とし、本件診療s契約の目的である季肋部の突出の解消のため、医師が再手術の施行や、他の医師の紹介等の便宜を図る義務を負うというものである。 しかしながら、上記5で説示したとおり、被告C医師が本件手術操作において何らかの過りを犯した事実が認められないし、手術後の状態は、前記のとおり術前の説明に問題があったことはともかくとして、法を施行したことNussによって通常生じるものと認めることができ、これを改善する適切な方法も見当たらないことからすると、医師に再手術の施行や他の医師を紹介する義務があったとは認められない。したがって、この点に関する原告の主張は前提を欠き、理由がない。 争点5 (手術による季肋部の改善の有無)について ( ) 原告の胸部に関する本件手術前と本件手術後の状態を比較検討するのに、( )本件診療契約の目的は、前記3において認定説示したとおり、季肋部の突出に関する整容であるから、本件診療契約において達成すべきことは、季肋部が突出してみえるという外見を変更し、季肋部の突出の程度が緩和された外見にすることにある。したがって、その成否に関する評価は、原則として外見上の変化によって行うべきものである。 ところで、前記15 イのとおり、写真上は、胸骨の劔状突起部が、平( )( )CT成12年8月8日検査時と平成15年6月16日検査時の写真を比較すると、前者においては腹側正中部にくぼんだ部分がみられるのに対し、後者におい 、写真上は、胸骨の劔状突起部が、平( )( )CT成12年8月8日検査時と平成15年6月16日検査時の写真を比較すると、前者においては腹側正中部にくぼんだ部分がみられるのに対し、後者においてはそれがみられなくなっているから、原告の漏斗胸については改善したものと認められる。しかしながら、前記15 アのとおり、外見上は、原告の胸( )- 15 -部は、本件手術前には両乳房の間に挟まれた部分(正中部)が、同部分の上下に比べて凹んだ状態になっており、両乳房の直下において季肋部が突出していることが目視できるのに対し、本件手術後には、両乳房の間の凹みは解消されているが、季肋部の突出は、本件手術前に比べて特段の変化はみられないように見え、その状態が本件手術後4年弱の期間が経過しても変化がないことが認められる。そうすると、外見上の評価としては、季肋部に変化が見られない以上、季肋部の突出が改善したと認めることはできないものといわざるを得ない。 これに対し、被告らは、本件手術によって原告の状態が改善した旨主張するが、その根拠とするところが画像にある以上、上記において説示したCTとおり、評価基準を誤るものといわざるを得ない。他方、原告は、本件手術によって外見上も乳房の状態に変化が生じたとか、プレートが挿入された左右の皮切位置付近に凹みが出現したなどと主張するも、本件において提出された写真上、原告の上記主張に対応する状態が明らかに生じたものとは認め難いから、この点に関する原告の主張は採用できない。 争点6 (損害額)について ( ) 以上によれば、原告の主張する過失のうち、争点2 (季肋部の突出解消に( )( )対する療法選択についての義務違反及び情報提供義務違反の有無)のみが認められることになる(以下これを「本件説明義務違反」と れば、原告の主張する過失のうち、争点2 (季肋部の突出解消に( )( )対する療法選択についての義務違反及び情報提供義務違反の有無)のみが認められることになる(以下これを「本件説明義務違反」という。そこで、。)原告に発生した権利侵害の内容及び同権利侵害とかかる過失行為との因果関係、並びに権利侵害により通常生ずべき損害について順次判断する。 本件説明義務違反によって生じた権利侵害について( )前記のとおり、原告は、被告C医師からの説明を受けて、本件手術を受けることに同意したものであるのに対し、本件手術によっても季肋部の突出の程度が緩和されない可能性があることを説明されていれば、本件手術を受けなかった趣旨の供述をするところ(原告本人〔3、原告は数年来、両側季〕)- 16 -肋部の突出の程度を問題視して悩んでおり、その程度の緩和を望んでいたものであることに加え、上記の悩みが解消しなければ治療を受ける意味がないと考えるのが通常であることに照らせば、原告の上記供述どおり、上記の説明を受けていれば本件手術を受けることを同意しなかったものと認めるべきであって、これに反する証拠はない。 そうすると、本件説明義務違反がなければ、本件手術を受け、その結果、上記7において認定説示したとおり季肋部の突出の程度が緩和されなかった結果に至ることもなかったことになるから、この点に関する精神的苦痛及び財産的出捐が原告についての権利侵害であることになる。 損害額について( )アそこで、このような権利侵害によって通常生ずべき損害について判断すると、損害額は、次の合計165万4435円であると認められる。 治療費50万4435円()ア被告病院形成外科において原告が受けた本件手術は本来受けるものでなかったことになるし、法の手術においては 害額は、次の合計165万4435円であると認められる。 治療費50万4435円()ア被告病院形成外科において原告が受けた本件手術は本来受けるものでなかったことになるし、法の手術においては、手術後一定期間経Nuss過後にプレートを抜去することが必要となることが通常であることを前提とすれば、F病院においてプレートを抜去する必要に迫られたと認められるから、これらに関連する財産的出捐、すなわち被告病院(50万1095円)及びF病院(41万9740円)における通院治療に関する費用及び入院治療に関する費用の合計から両病院入院中の差額ベッド代金(計41万6400円)を除く額、並びにこれらの病院に対する通院交通費は通常生ずべき損害というべきであって、その額は、弁論の全趣旨に照らし、上記額であると認められる。 これに対し、原告は、被告病院及びF病院以外の病院の治療費及び通院交通費も損害額に含まれる旨主張するが、他の病院に関する治療費及び通院交通費については、その関連性が明らかでない。したがって、こ- 17 -れらは、いずれも本件において認められる通常生ずべき損害であると認めることはできない。 慰謝料100万0000円()イ本件説明義務違反によって、原告は、自分の悩みが解消することへの期待感を得たものであるのに、同違反によって本件手術を受けることとなり、それ自体によって2週間の入院を余儀なくされた上、手術後の疼痛に悩み、さらには手術の結果、原告の目的を達成できず、しかもプレート抜去のためにも8日間の入院を要したものであって、本件手術前の原告の悩みの程度からして、期待を裏切られたこと及び無益な手術と入院を2回も行わざるを得なかったことによる原告の精神的苦痛が決して軽いとはいえないことなど本件に顕れた全事情を総合考慮すると、原告に 原告の悩みの程度からして、期待を裏切られたこと及び無益な手術と入院を2回も行わざるを得なかったことによる原告の精神的苦痛が決して軽いとはいえないことなど本件に顕れた全事情を総合考慮すると、原告に生じた精神的苦痛を慰謝するには、100万円を以て相当と認められる。 弁護士費用15万0000円()ウ本件提訴のために要した弁護士費用については、本件訴訟の経過に鑑み、15万円の限度で被告らに負担させるべき損害と認める。 イこれに対し、被告らは、本件手術後、現在は季肋部の突出等が改善しているものと主張する。 しかしながら、前記14 イ及び5 アにおいて認定したとおり、現在の状( )( )態はF病院における再手術後の状態であって、かつ、上記再手術前の状態に比べて現在の状態においては季肋部の突出の程度が軽減していると認められるものの、少なくとも外見上は本件手術前に比べて明らかな改善があったとは認められない。そうだとすれば、被告らの主張は前提を欠くし、仮に改善があったものとしても、それは、F病院の再手術によって生じたものであると推認すべきであるから、本件説明義務違反によって本件手術を受けることになったことによる損害が発生したこととは無関係である。 - 18 -したがって、被告らの主張は採用できない。 結論 以上によれば、原告の診療契約上の債務不履行に基づく請求及び不法行為に基づく請求のうち、後者については、主文第1項掲記の限度で理由があるから、その限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第34部裁判長裁判官藤山雅行裁判官金光秀明裁判官萩原孝基- 19 -(別紙)主張要約書第1本件診療契約が季肋部の整容を主目的としていたか否か(争点1 )( ) 第34部裁判長裁判官藤山雅行裁判官金光秀明裁判官萩原孝基- 19 -(別紙)主張要約書第1本件診療契約が季肋部の整容を主目的としていたか否か(争点1 )( )()原告の主張 原告の主張原告としては、主に季肋部の突出を解消することを希望し、外観を良くするという整容目的で本件手術を受けたものである。 看護予診には「主訴」として「外観気になる「現病歴」として「H7、」、年頃より季肋部の突出が目立つようになる。外観気になるため希望してopeいた」とそれぞれ記載されている。 。 なお、原告の漏斗胸の認識については、正式に漏斗胸の診断を受けた訳ではなく、1980年頃、原告が風邪のため近所の医院に行ったところ、医師に「あなたは漏斗胸だなあ」と言われただけである。もっとも、当時季肋部は突出しておらず、訴状に記載したとおり、その後肋骨の1番下の部分が目立ってきて、35歳頃には洋服の上からも季肋部の突出が目立つようになってきた(診療録(乙A1〔2)には「季肋部の突出(これは5年位前から目立つよ〕うになってきた」との記載がある。 )。)原告は、被告病院で、季肋部の突出について被告Cに相談し、胸骨の凹みと季肋部の突出をひっくるめて漏斗胸であると初めて診断されたのである。 整容目的でも健康保険が適用されることこの点について、被告らは、本件手術に健康保険が適用されているから整容目的ではないなどと主張する。 - 20 -確かに、美容目的又は整容目的とは「身体機能上、健康上の支障はないが、外観を良くする目的」であるが、このような整容目的の手術でも、形成外科では健康保険が適用される。 また、小児外科2003年6月号「成人漏斗胸患者への法手術適応」Nuss(甲B14)で、被告らは「機能障害を伴わ 目的」であるが、このような整容目的の手術でも、形成外科では健康保険が適用される。 また、小児外科2003年6月号「成人漏斗胸患者への法手術適応」Nuss(甲B14)で、被告らは「機能障害を伴わない漏斗胸手術が社会的に許容されるかどうか、手術全般が持つリスク、手術を施行した場合の合併症や入院期間を患者が受容しうるかどうかということが成人の場合には重要な因子になると考えられる」と記載し、機能障害がないのに(整容目的であるのに)漏斗胸の手術を行っていることを自ら認めている。 更に、被告Cは、平成13年の日本美容外科学会総会で「美容外科におけるNuss漏斗胸手術に対する一考察」という演題で、15歳以上の漏斗胸患者に法を行った例について発表しているが、被告らの主張のように漏斗胸治療が、あくまで病気の治療であり美容でないなら「美容外科学会」で発表できるは、ずがない。 以上のように、本件手術に健康保険が適用されるから整容目的ではないということにはならず、被告ら自身、文献等でこの点認めている。 なお、原告は、本件は見た目を良くする手術なので自費かもしれないと考えていたが、初診時、被告Cに保険が使えるか否か確認したところ、被告Cは、「僕は使っている。あと○年位は使えると思う」と答えた。原告としては、季肋部突出が解消されれば自費でも構わないと考えていたが、被告Cが保険を使用すると判断しそれを実行したのである。 漏斗胸手術の大多数は整容目的であること漏斗胸の場合、手術の動機が心肺機能の異常という理由であることは稀で、殆どの場合は、美容整容的理由から手術が実施されている。実際、数多くの文献でこの点が指摘されている。 そして、本件で原告の季肋部が変形していても機能上・健康上の問題がない- 21 -ことは明白で、季肋部肋軟骨の手術が整容目的であること 実施されている。実際、数多くの文献でこの点が指摘されている。 そして、本件で原告の季肋部が変形していても機能上・健康上の問題がない- 21 -ことは明白で、季肋部肋軟骨の手術が整容目的であることは明らかである。以上により、整容目的でも保険は適用されまた漏斗胸治療の大多数の場合は整容目的なのであるから、被告らの主張する「漏斗胸の治療を目的とする診療契約」と「整容(美容)目的の契約」は別物であるという主張は失当である。 季肋部の突出解消が目的であること被告らは「季肋部の肋軟骨の切除は漏斗胸の治療に付随する手術として行、われた」と主張しているが「入院診療計画書・手術・検査説明書」には、病、名は「漏斗胸+胸部変形、術式内容は「胸骨挙上術(法、肋軟骨形成」)Nuss術」と記載されている。また、麻酔科医の手術記録には「法+肋軟opeNuss骨修正」と記載されており、被告C及び麻酔科医共に、胸部の中心の凹みの治療のみではなく季肋部突出の解消を付随的ではなく積極的に行うことを認識していた。 被告らが「胸骨が挙上されれば季肋部も目立たなくなる「出っ張った肋軟、」骨を削っても凹んでいる胸自体を持ち上げないと平らにはならない」と主張しているように、季肋部肋軟骨の突出解消は肋軟骨形成術(肋軟骨修正)だけでは不可能で、胸骨挙上術(法)は季肋部肋軟骨突出の解消のための手段Nussとして行われた。 被告らが、本件診療(手術)契約は、季肋部の整容を主目的としたものではなく、あくまで漏斗胸の治療を目的としたものであると主張するならば、原告の本件手術への合意は錯誤により無効となり、本件手術の実施は違法ということになる。 ()被告らの主張 本件において原・被告病院間に締結された契約は、漏斗胸の治療を目的とする診療契約である。 本件手術への合意は錯誤により無効となり、本件手術の実施は違法ということになる。 ()被告らの主張 本件において原・被告病院間に締結された契約は、漏斗胸の治療を目的とする診療契約である。 すなわち、原告は、被告病院受診前に既に漏斗胸であるとの診断を受けており、自分が漏斗胸であることを明らかに認識していた(これは原告が自認する- 22 -ところである。そして、原告は、上記前医の診断に基づき、漏斗胸を主訴と。)して、被告病院を受診したのである。しかも、被告Cは、初診時に、漏斗胸に伴う胸骨の陥没によって季肋部の突出が強調されていると考えられること、したがって出っ張った肋軟骨を削っても凹んでいる胸自体を持ち上げないと平らにはならないため、まず胸を持ち上げることが必要であると考えられることを説明した上、他の症例の写真も見せながら、プレートを入れて胸郭を挙上すること、プレートは2年程度で抜去する例が多いこと等、漏斗胸の治療を行うことについて詳細に説明をした(上記の説明があったことは争いない。そして、。)その治療について健康保険が適用されることも原告は当然知っていた。 以上のような事実関係のもとでは、原告の動機や期待といった内心は格別、原告が、本件診療が漏斗胸の治療目的で行われるという認識を有していたことは明らかであって、この点で被告らと原告との意思に相違はないのであるから、本件について、漏斗胸の治療を目的とする診療契約が成立していたことは明らかである。 これに対し、原告はあくまで審美目的の、いわゆる美容整形の契約が成立していたと強弁するが、以上の事実からして到底認められないところである。のみならず、原告は本件診療以前にも美容整形を行っており、美容整形の場合には健康保険が適用されないことを十分に知っていた。したがって、美容整形 するが、以上の事実からして到底認められないところである。のみならず、原告は本件診療以前にも美容整形を行っており、美容整形の場合には健康保険が適用されないことを十分に知っていた。したがって、美容整形の契約が成立していたという原告の主張は全く信用できない。 第2季肋部の突出解消に対する療法選択についての義務違反及び情報提供義務違反の有無(争点2 )( )()原告の主張 療法選択義務違反 本件で、被告Cは、原告に対し、法を実施する必要性はなかった。 ( )Nuss まず、漏斗胸による胸部の凹みがあっても、機能上・健康上の支障が生じ( )るものではないので、機能上、健康上の観点から、法を実施する必然Nuss- 23 -性はない。 また、季肋部突出を主訴とする原告に対し、手術後も季肋部突出は解消さ( )れなかった。むしろ、乳房が潰れたような形になったり、プレート挿入部分に指先が入るような凹みが出現するなど法を実施していなかったならNuss生じなかったであろう被害が生じてしまった。さらに、法実施後の長Nuss期間継続した激痛や1日何千回もでるしゃっくりについても法を実施Nussしなければ被らなかった苦痛であった。したがって、季肋部突出を解消するという整容上の観点からも、法を実施する必要性はなかった。 Nussこの点については、被告C自身、漏斗胸患者のホームページの掲示板への実名での投稿で「肋軟骨の一番下が出っ張っている場合には、直上を切開、させていただいています。この部分の修正でしたら、法を行ったときNussほど痛みは残らないと思うのですが」と記載している。 。 他方、被告病院形成外科訴外吉村圭医師は、別の男性患者に対し、季肋部( )肋軟骨形成術のみを行ったこともある。よって、漏斗胸手術 Nussほど痛みは残らないと思うのですが」と記載している。 。 他方、被告病院形成外科訴外吉村圭医師は、別の男性患者に対し、季肋部( )肋軟骨形成術のみを行ったこともある。よって、漏斗胸手術を行わずに肋軟骨形成術のみを行ったからといって、支障が生じるわけではない。 さらに、漏斗胸手術を受けることにより、体内で癒着(肺と胸膜の癒着な( )ど)が起こり、将来胸部外科手術を受けることがあれば、その癒着をはがす際出血が増える、胸腔鏡の使用が困難になる可能性があるなどの危険も生じた。 ちなみに、原告にとって胸部上部が若干凹んでいることによる支障は、ブ( )ラジャーのアンダーバストにあたる位置がへこんでいるせいで合う下着がないということであったが、この位置のへこみは法によって解消しないNussNussNuのであるから、法により胸骨が挙上されたとしても、原告にとって法を受けたメリットは何もなかった。 ss 被告Cは、論文や学会発表等で、小児を対象として考案された法を( )Nuss成人に適用することは、本来の適応を逸脱したものであり「今後、長期的、- 24 -な、特にプレート抜去後の経過観察が必要であるが、その結果によっては、本法が、漏斗胸治療の一術式になりえるものと考える「法では未だ。」、Nuss十分な術後経過が報告されておらず、手術結果に対する評価も定まっていない」と報告しており、被告C自身が「法は、経過のわからない、評価。 Nussの定まらない、漏斗胸治療の一術式となりえていない術式」と考えていながら、術後形態について未知である法を実施したら季肋部突出は解消さNussれると判断した被告Cの療法選択は間違っていたのである。 以上から、法は実施せず、季肋部肋軟骨形成術のみを実施するとい( 術後形態について未知である法を実施したら季肋部突出は解消さNussれると判断した被告Cの療法選択は間違っていたのである。 以上から、法は実施せず、季肋部肋軟骨形成術のみを実施するとい( )Nussう選択肢もあった。 もっとも、被告Cが実施した季肋部肋軟骨形成術は、手技ミスにより、突出形態の解消はされておらず、肋軟骨を削ったり切除した部分は二つの突起状の局所変形が生じてしまった。 療法選択に関する説明義務違反 胸郭変形は形態異常であり、その治療の最大目的は形態を普通の人のよう( )にすることである。 そのため、手術時間、傷の大きさや程度、止血面が従来法よりも優れているかどうかよりも、どれだけ普通の形態に近づけ患者の満足を得られるか、プレート抜去後どれくらい普通の形態を保持し続けることができるかで術式の優劣は決定される。 法の歴史は浅く、プレート抜去後も形態を保持しうるかは、原告のNuss手術時はもちろん不明であったし、現在においても長期経過・抜去後のデータは蓄積中であり、評価は定まっていない。 原告の手術当時、日本国内で抜去した患者はおらず、法が考案されNussた米国でも法を行った成人患者についての報告はなく、抜去後の長期Nuss経過についての報告も日本国外のどこにもなかった。このような状態で、被告らが法は従来法よりも非常に優れた術式であると断定することはでNuss- 25 -きない。 しかも、被告C自身、既述のホームページでの投稿で「法だけでは、Nuss細かな修正は難しいと思います。その点、法の方が自由度が高く、Ravitch細かな修正が可能な術式です。……中略……もちろん、胸骨にねじれがある場合や、一部分出っ張っている場合など、法の方が優れていると考Ravitchえていますし、今でも希 度が高く、Ravitch細かな修正が可能な術式です。……中略……もちろん、胸骨にねじれがある場合や、一部分出っ張っている場合など、法の方が優れていると考Ravitchえていますし、今でも希にですが、内視鏡を使った法を行っていまRavitchす」と記載し、法よりも従来法の方が優れた点もあると認めている。 Nuss 被告Cは、まだ、やレントゲンを撮っておらず、実物の胸も服を着た( )CTままの状態でちらっとしか見ていないにもかかわらず、他の術式との比較しながらの説明もせず「胸の上部を持ち上げれば相対的に下方の突出も目立、たなくなる」と原告に説明した。そのため、原告は、原告がもっとも気に。 NussNusしている季肋部突出の解消には、法を受けるしかないのだと信じ、法実施に同意したのである。 sこの点については、被告病院入院カルテの入院診療計画書・手術・検査説明書において「考えられる他の方法との比較」欄が空白になっていること、は、被告Cは、法を他の手術方法と比較説明しなかったことの証左でNussある。 何に利点をおくかは個人の価値判断によるものであり、とりわけ、本件は、整容目的で緊急性がなく、患者としても、手術の美容的効果、つまり、手術後の形状を最も重視するのであるから、この点を詳細に説明し、予測がつかない部分についても、予測がつかない旨を説明し、さらに、本件で実施された法は、本件手術当時、成人への導入が間もない試行的術式であったNussのだから、被告Cは法と他の方法(法を主とする従来法、もしNussRavitchくは漏斗胸手術は行わず肋軟骨形成術のみを行う)を提示し、それぞれのメリットとデメリットを十分説明し、原告が決定できるための情報を提供し、原告に選択権を与えるべきであった。本件手術のよ avitchくは漏斗胸手術は行わず肋軟骨形成術のみを行う)を提示し、それぞれのメリットとデメリットを十分説明し、原告が決定できるための情報を提供し、原告に選択権を与えるべきであった。本件手術のような整容目的手術の治療- 26 -方法は、医学的ないし医師の専門的判断のみによって一義的に決定されるような性質のものではなく、患者自身の意思が大きく診療方針を決定づけるものである。 ()被告らの主張 療法選択義務違反について前記第1において主張したとおり、原告は、漏斗胸を主訴として被告病院を受診したのであって、しかも、漏斗胸が、もう一つの主訴である季肋部突出の原因になっていたことから、被告C医師は、原告の了解を得て、漏斗胸の治療を実施したのである。そして、その結果、漏斗胸は明らかに改善され、季肋部の突出も外見上明らかに改善したのであるから、漏斗胸手術を実施する必要性もメリットも優に認められるところである。 よって、原告の主張には何ら理由がない。 説明義務違反について そもそも、本件においては手技上のミスは一切認められないのであるから、( )それを前提とする説明義務違反の主張は無意味である。 もっとも、本件でC医師は、術前に十分な説明をしており、その意味でも( )説明義務違反はない。すなわち、本件においては漏斗胸という、明らかな疾患(形態異常)が認められており、そのため、C医師は治療を提案したものの、他方で漏斗胸は治療をしなくても生命予後には影響しない疾患であるため、C医師は、術前に考え得る可能性を十分に説明し、治療するのかどうかよく検討するよう説明している。 また、法が試行的治療方法などといえないことは既述のとおりであNuss、るが、C医師は、法についても、それ以前の手術方法より、手術時間Nuss傷の大きさや よく検討するよう説明している。 また、法が試行的治療方法などといえないことは既述のとおりであNuss、るが、C医師は、法についても、それ以前の手術方法より、手術時間Nuss傷の大きさや程度、出血等の面からも非常に優れた術式であることからその点について時間を割いて詳しく説明を行った。 したがって、被告らに説明義務違反は何ら認められない。 - 27 -第3法及び季肋部肋軟骨形成術における手技上の過失の有無(争点3 )Nuss( )()原告の主張 被告Cによる法及び季肋部肋軟骨形成術の後、原告には次の結果が生Nussじた。これらのうち、訴外F病院での手術後、下記1 ア及び2 アについては改( )( )善されたが、その他については残存している。 被告Cの手術が不十分であったことによるもの( )ア季肋部の突出具合が改善されていないイプレート位置より上(首側)の凹みが解消していないウプレートと季肋部の間(季肋部上部)の凹みが解消していない 被告Cの手術による積極的損害( )ア季肋部肋軟骨に2つの突出が生じ、ゴツゴツした形になり、手術前と比べて奇異な外観となったイ乳房、特に右乳房がつぶれたような形になって脇側に広がったウ肋軟骨を切ったり削ったりした季肋部の直下(腹側)が凹んだエプレートが挿入された左右の皮切位置あたりに指先が入るような凹みが出現した 上記結果からすれば、被告Cが治療方針の立て方を誤り、しかも選択した治療方法が不十分であったために、原告の胸部には上記の被害が生じてしまったことが明らかである。 ()被告らの主張 次に述べるとおり、そもそも手術により損害は生じていない。 1 ア「季肋部の突出」については、既述のとおり、漏斗胸の治療のために( )( )胸部を挙上す らかである。 ()被告らの主張 次に述べるとおり、そもそも手術により損害は生じていない。 1 ア「季肋部の突出」については、既述のとおり、漏斗胸の治療のために( )( )胸部を挙上するに伴い季肋部も上がる可能性があることから、C医師は季肋部の肋軟骨を可能な範囲で切除しており、十分に改善している。これは写真(乙A3)からも明らかであるし、術前(乙A4①)と術後(乙A4②)の切断面の画像を比較しても明らかである。 - 28 -なお、甲A5〔2〕は、上段が右側方の透視像、下段が切断面の透視像であって、全く異なるレベルの画像であるため、それらの比較は意味がないばかりか、誤導を生ぜしめる所作である(また、原告の主張によれば、現在は改善されているというのであるから、そもそも損害賠償請求の対象となる損害が存在しないこと自体について争いはない。 。) 1 イ「プレートより上部の凹み」が全く認められないことは、術後の各写( )真から明らかである。 1 ウ「プレートと季肋部間の凹み」も全く認められない。 ( ) 2 ア「季肋部の2つの突出」も、写真からも明らかなように「手術前と比( )( )べて奇異な外観となった」などという事実はない(また、この点についても、現在は改善されているというのであるから、そもそも損害が認められない。 。) 2 イ「乳房の広がり」も、全く認められない。 ( ) 2 ウ「季肋部の下の凹み」も、上記同様、全く認められない。 ( ) 2 エ「プレート挿入部位の凹み」は、胸郭挙上術において必然的に生じる( )ものであって、手技ミスなどというものではない(本件で採用した法Nussに件う凹みは、従前の法によるものより著しく軽度である。 Ravitch)そもそも、外観上全く見分けることができず、機能上の問題も全 、手技ミスなどというものではない(本件で採用した法Nussに件う凹みは、従前の法によるものより著しく軽度である。 Ravitch)そもそも、外観上全く見分けることができず、機能上の問題も全くないのであるから、このような凹みを主張することに如何なる意味があるのか全く不明である。 以上のとおり、本件において、手技上のミスは一切認められない。 第4季肋部の修正義務(フォロー義務)の有無(争点4 )( )()原告の主張 被告Cの手技上の過失(上記第3)により、1 アないしウ及び2 アないしエ( )( )の状態が生じてしまったのだから、被告Cとしては、これを修正する義務があり、自分で手術をすることができなければ、しかるべき医師や医療機関を紹介- 29 -すべきであった。 仮に、上記1 イ・ウ、2 イ・エが法を実施すると不可避的に生じる形( )( )Nuss状であったとしても、法を成人に対して適用することは、その本来の適Nuss応を逸脱したものであり、まさに試行的な適用なのであり、それを、40歳を過ぎた原告に適用したのだから、被告Cは、長期にわたり、プレート抜去後も、患者の体調や胸郭の形状について相談にのりフォローすべきである。 また、一般的に手術の実施=治癒であるが、法の場合は、歯の矯正とNuss同じようなもので、手術は矯正金具を設置したにすぎず、手術が治療のスタートなのである。よって、他の疾患や手術と異なり、法手術を行った後のNussフォロー義務は非常に大きい。 にもかかわらず、被告Cは、原告が平成15年12月に修正手術を申し込んだのに対し、4か月後の平成16年4月に「自分ができるのはプレート抜去のみ。法的手段をおとり下さい」と連絡してきたのみで、その後のいかなる手。 段のコミュニケーションも 年12月に修正手術を申し込んだのに対し、4か月後の平成16年4月に「自分ができるのはプレート抜去のみ。法的手段をおとり下さい」と連絡してきたのみで、その後のいかなる手。 段のコミュニケーションも拒絶し、他の医師や医療機関を紹介することすらしなかった。 したがって、被告Cには、この点についても注意義務違反(フォロー義務違反)がある。 仮に、被告Cに、この点について注意義務違反があるとはいえないとしても、被告Cのかかる不誠実な対応は、慰謝料算定の際に考慮すべき事情である。 ()被告らの主張 前記第3で主張したとおり被告Cには手技ミスがないのであるから、それを前提とする「フォロー義務」の問題は全く生じようがない。 他方、原告は、平成15年12月に手術を申し込んだのに、平成16年4月、突然、C医師は法的手段を取るように連絡したかのような主張をする。しかし、原告は、平成15年12月18日、平成16年3月11日、同年3月16日、同年4月26日にDクリニックを訪れており、その都度、C医師は約1時間か- 30 -けて説明をしている。また、同年1月22日、同年4月1日、同年5月16日にはメールでも説明をしている。 また、既述のとおり、平成14年夏ころから、原告は、自分は鬱病であるなどと理解不能な主張をするようになったが、C医師は、その後2年間にわたり合計で数十時間かけて、現実に可能な修正法について原告と話し合いの機会を持った。しかし、原告の訴えが非現実的であるため、C医師はプレート抜去のみの手術しか責任を持ってできないことを伝えたのである。そうしたところ、平成16年4月になると、原告から多数回の電話があり、自分の思うとおりの修正をしてくれないのであれば訴訟を起こすとの主張がなされたのである。これに対し、その都度、C医師は、訴訟を起こ うしたところ、平成16年4月になると、原告から多数回の電話があり、自分の思うとおりの修正をしてくれないのであれば訴訟を起こすとの主張がなされたのである。これに対し、その都度、C医師は、訴訟を起こしても利益にはならないと説得を試みたものの、原告は、法的手段をとれば患者の思いどおりの治療を医者にさせることができると法律家からアドバイスをもらったと述べるに至ったため、これ以上の医学的な説得は無理と判断し、それならば法的手段をとって頂いて結構ですと伝えたのである。 そのような経緯からしても、原告主張の「フォロー義務違反」は一切認められない。 第5手術による季肋部の改善の有無(争点5 )( )()原告の主張前記第3(原告の主張)1において主張したとおり。 ()被告らの主張前記第3(被告らの主張)において主張したとおり。 第6損害額(争点6 )( )()原告の主張被告らの上記債務不履行及び不法行為により生じた原告の損害は、次のとおりである。 なお、被告らは、現在改善されているのであるから、そもそも損害賠償請求- 31 -の対象となる損害が存在しないと主張するが、仮に、F病院での手術で、季肋部の突出が及び二つの山が改善されたとしても、それは、F病院で改善されたのであって、被告らの債務不履行責任及び不法行為責任がなくなることはなく、慰謝料やF病院での治療費等の損害が存在することは当然のことである。 治療費92万0065円 被告病院48万8245円( ) F病院41万9740円( ) H医大220円( ) I綜合病院7890円( ) J医療センター3970円( ) 通院交通費3万8580円上記1 から5 までの医療機関への通院交通費である。 ( )( ) 慰謝料300万00 I綜合病院7890円( ) J医療センター3970円( ) 通院交通費3万8580円上記1 から5 までの医療機関への通院交通費である。 ( )( ) 慰謝料300万0000円原告が被告らの債務不履行及び不法行為により被った精神的損害は、300万円を下らない。 小計395万8645円 弁護士費用39万5864円本件は、原告が弁護士に依頼しないと被告らの責任追及は困難な事案であるので、被告らの注意義務違反と弁護士費用との間に因果関係がある。 合計435万4509円()被告らの主張原告は、季肋部の突出が現在は改善されていることを前提として、損害費目として慰謝料等を主張する。しかしながら、改善がされている以上、慰謝料の対象となる後遺障害等が存在しないのであるから、原告の主張には全く理由がない。
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