- 1 -主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,Aに対し,1万5800円及びこれに対する平成18年3月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を,白山市に対して支払うよう請求せよ。 第2事案の概要等 本件は,白山市長Aが,同市の職員を同行して,B神社御鎮座二千百年式年大祭奉賛会発会式に出席して祝辞を述べたところ,当該行為は,特定の宗教を助長,援助,促進する効果があり,政教分離原則に違反し違憲であるとして,,,出席に伴う公金支出相当額につき原告が白山市の執行機関である被告に対し地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,Aに対する損害賠償を請求することの義務付けを求めた住民訴訟である。 前提事実(争いがないか,証拠(各項末尾記載)及び弁論の全趣旨により明らかに認められる)。 ( )当事者等 ア原告は,白山市の住民である。 イ被告は,白山市の執行機関である。 ウAは,平成17年3月6日から白山市長の職にある。 エB神社は,白山市内に所在する(甲5の5,17の2の1)。 ( )本件発会式への参加 Aは,平成17年6月25日,白山市αの「β」で開催されたB神社御鎮座二千百年式年大祭奉賛会以下大祭奉賛会という発会式以下本(「」。)(「件発会式」という)に来賓として招かれ,白山市の職員を伴い,同市の公。 - 2 -用車を使用して参加し,白山市長として祝辞を述べた。 ( )本件に関する財務会計行為 ア(ア)白山市の主務課長は,専決により,平成17年6月分の市長ら特別職の給与として,同年6月15日付けで242万円の支出命令をした。 (イ)白山市の主務課長は,専決により,平成17年6月分の一般職員の給与として, 務課長は,専決により,平成17年6月分の市長ら特別職の給与として,同年6月15日付けで242万円の支出命令をした。 (イ)白山市の主務課長は,専決により,平成17年6月分の一般職員の給与として,同年6月15日付けで2億8387万2582円の支出命令をした。 (ウ)白山市の主務課長は,専決により,平成17年6月分の職員手当等,。 として同年6月15日付けで4372万4265円の支出命令をした(甲7の1~3,8の1)イ白山市の主務課長は,専決により,平成17年7月分の職員手当等として,同年7月14日付けで3828万8490円の支出命令をした(甲。 7の4,8の1)ウ(ア)白山市の主務課長は,専決により,平成17年12月分の市長ら特別職の賞与として,同年12月6日付けで727万1600円の支出命令をした。 (イ)白山市の主務課長は,専決により,平成17年12月分の一般職員の賞与として,同年12月6日付けで7億1003万5650円の支出命令をした。 (甲6の1・2,8の1)エ白山市の主務課長は,専決により,平成17年6月分の市長車のガソリン代として,同年7月8日付けで2万8088円の支出命令をした(甲。 4の2)(以下,これらの支出命令を併せて「本件各財務会計行為」という)。 ( )原告による住民監査請求 原告は,Aの本件発会式出席に伴う白山市の支出が憲法20条1項,3項- 3 -及び同89条に違反するとして,平成17年12月13日,白山市監査委員に対し,地方自治法242条1項に基づく住民監査請求をしたが,平成18年2月6日,白山市監査委員は,上記監査請求は理由がないとの判断を原告に通知した(甲1,2)。 争点及び当事者の主張(,( )Aの本件発会式出席に関する公金支出が政教分離原則憲法20条1項 日,白山市監査委員は,上記監査請求は理由がないとの判断を原告に通知した(甲1,2)。 争点及び当事者の主張(,( )Aの本件発会式出席に関する公金支出が政教分離原則憲法20条1項 3項,89条)に違反するか。 ア原告の主張,(),Aが本件発会式に大祭奉賛会の顧問役員として白山市民を代表し職員を随行し市の公用車を使用して出席し,祝辞を述べたことは,次の理由から特定の宗教であるB神社の宗教活動を助長,援助,促進する効果が極めて高いものであり,また,他方において,神道に馴染まない白山市の住民及び神道以外の信仰をする住民の信仰の自由を圧迫する効果があるから,憲法の定める政教分離原則に違反する。 したがって,本件各財務会計行為のうち,Aの本件発会式出席に関する公金支出は違憲である。 なお,被告は,本件発会式に参加することが住民福祉に資すると主張するが,住民福祉とは,市民に対する幸福の向上のための満足すべき生活環,,境に資することであり多様な国籍者を含む住民は多様な信仰をしており市長が住民の福祉のケアのためと称して,市の公金を使用して,特定の宗教であり,かつては明治政府以来昭和20年まで国家の管理下にあり,国民に国家神道を強制的に信仰させて,神札を受けない神道以外の国民は弾圧を受けた歴史がある国弊神社であったB神社の50年ないし100年に一回の大祭という歴史的な宗教次式に参加することは,住民にかつての信仰の自由が制限された恐怖を思い起こさせるものであるから,住民の福祉に反するものである。 - 4 -(ア)大祭奉賛会の性質大祭奉賛会は,祭神鎮座二千百年式年大祭記念事業として,大祭の斎行,禊場,遊神殿の新増築,社史の編纂等を予定し,その予算5億円のうち2億円は神社の資金,3億円は会員の奉納する奉賛金によって賄 の性質大祭奉賛会は,祭神鎮座二千百年式年大祭記念事業として,大祭の斎行,禊場,遊神殿の新増築,社史の編纂等を予定し,その予算5億円のうち2億円は神社の資金,3億円は会員の奉納する奉賛金によって賄うというものである。この大祭記念事業は,山岳信仰の修行の場として,また,日本における神仏習合の草分け的存在として,B神社の祭神大神を宣揚し,もって来訪する信者その他の人及び青少年に心身修行の信仰の場を提供しようとするものである。 したがって,本件発会式は純然たる宗教儀式である。 (イ)大祭奉賛会とB神社との関係大祭奉賛会は,B神社の50年に一度の神事に賛同して金品及び役務を奉納することを目的とする暫定的な会であるが,一般の奉賛会は氏子及び信者によって結成されるのに対し,大祭奉賛会は,B神社の神主であり筆頭宮司であるCがすべての役員を統括する最高責任者の地位にあり,事務局の役割を担う幹事はD宮司以下B神社の職員であり,役員の委嘱はB神社の宮司の裁量の範囲により行われ,奉賛される奉納金はすべてB神社に奉納されることから,大祭奉賛会は,事実上B神社と一体関係にあり,実質的には同神社の特別会計というべきである。 (ウ)白山市長が大祭奉賛会の役員に就任することの効果Aは,白山市長として,大祭奉賛会の役員に就任し,石川県知事らに次いで大祭奉賛会入会趣意書に名を連ねた。この趣意書は,大祭奉賛会の事業に対する新米や金品の奉賛を募るために,白山市内の神社総代から同市内の氏子に配布されている。 ,,したがってAが白山市長として大祭奉賛会の役員に就任したことは大祭奉賛会を主宰する特定の宗教であるB神社を助長,援助,促進するものであり,また,同神社を信仰しない市民の信仰の自由を圧迫するも- 5 -のである。 国及び地方自治体の首長(総理大臣,県知事,市長 祭奉賛会を主宰する特定の宗教であるB神社を助長,援助,促進するものであり,また,同神社を信仰しない市民の信仰の自由を圧迫するも- 5 -のである。 国及び地方自治体の首長(総理大臣,県知事,市長,町長,村長)が公人としてその役員に就任している大祭奉賛会は,50年に一度の一大宗教儀式の実行委員会であり,その事務局をB神社を代表する宮司が主宰していることからも,大祭奉賛会は任意団体であっても憲法89条にいう宗教上の組織に相当するものであり,自治体の長であるAが白山市民を代表して主要な役員に就任することは,政教分離原則に違反していることは明らかである。 (エ)白山市とB神社との関係白山市の平成17年度予算に関する説明書(甲11)によれば,財団法人E協会(以下「E協会」という)に対する負担金として288万。 円が計上されている。また,白山市は,平成17年度の観光推進費から国立公園等管理費として50万円を,白山観光パンフレット協賛金として66万円をE協会の事業に出捐している。 また,E協会は,大祭奉賛会に500万円以上の奉賛金を納めた名誉会員とされている。 そうすると,同協会は,白山市からの出捐金を含めた事業運営により得た収益の中から500万円を大祭奉賛会に支出したのであるから,白山市が同協会を通じて大祭奉賛会を支援したことになる。 また,白山市長であるAは同協会の副理事長に就任しており,それに加えて同協会の設立目的が信仰の場として歴史ある白山を多くの人々に活用してもらうこと等であること,同協会の事務局はB神社の境内にあること及び下界から展望する白山が全てB神社の所有する境内でもあり白山それ自体が信仰の場であることにかんがみれば,白山市が同協会に負担金を支出することは,B神社への信仰に繋がるものとして,宗教活動にあたり,白山市長がそのよ 白山が全てB神社の所有する境内でもあり白山それ自体が信仰の場であることにかんがみれば,白山市が同協会に負担金を支出することは,B神社への信仰に繋がるものとして,宗教活動にあたり,白山市長がそのような団体の役員に就任することは政教分- 6 -離の原則に反することになる。 イ被告の主張Aは,本件発会式に来賓として招かれ,随行職員1名とともに公用車にて出席し,地元市長として祝辞を述べたが,それは,以下の理由から特定の宗教を援助,助長及び促進するものではなく,政教分離原則に違反しないことは明らかである。 また,市長の職務は,地方自治法149条では「概ね」と規定されているところからして,一般職員のそれとは異なり,一般的に多種多様で広範囲に亘るものであるところ,地方自治の本旨たる住民福祉の向上に資するため,市民や各種団体と接し,地域の状況などを知ることは,適切に行政を執行する上で欠くことのできないものである。 ,,,こうしたことのために市長は自らの裁量により本件発会式に出席し祝辞を述べたものであり,公用車使用と職員の随行は,職務を遂行する上で当然のことというべきである。 (ア)大祭奉賛会の性質及び本件発会式について大祭奉賛会は,B神社御鎮座二千百年式年大祭斎行,青少年育成や滝行の場として禊場の造成,奉納された絵馬を一堂に掲載するなど施設としての遊神殿(仮称)の新築や,B神社史の発刊などを事業目的として設立された団体であり,特定の宗教の信仰,礼拝又は普及などの宗教活動を行うものであることは否定できない。 しかし,本件発会式そのものは,その式次第においても,特に宗教的儀式又は順序作法に則ったものとは認められず,一般によく見られる各種団体における設立次第と変わるものではなく,淡々と進められ,短時間で終了したものである。 Aは,本件発会式 第においても,特に宗教的儀式又は順序作法に則ったものとは認められず,一般によく見られる各種団体における設立次第と変わるものではなく,淡々と進められ,短時間で終了したものである。 Aは,本件発会式に来賓の一人として招かれ,地元市長として,社会的儀礼の範囲内で祝辞を述べたものである。 - 7 -(イ)大祭奉賛会とB神社との関係大祭奉賛会は,B神社御鎮座二千百年の祭礼行事を執行すること,この祭礼行事の執行についての記念事業として規約(乙1)第7条に定める事業を行うことを目的とすることに奉賛し,この事業に助力するために不特定多数の者からの寄附を募ることを目的とする一過性,暫定的な任意の団体である。また,大祭奉賛会はB神社の外郭団体であり,その管理運営に関し規約(乙1)を定め,B神社との関係を明らかにしている。 したがって,大祭奉賛会が宗教法人であるB神社と一体の関係にあるとか,B神社の特別会計であるということはない。 (ウ)白山市長が大祭奉賛会の役員に就任することの効果Aは,白山市を代表して大祭奉賛会の目的に奉賛して役員に就任したものではなく,A個人として役員に就任したものであって,就任した当時の地位が白山市長であったに過ぎない。 また,全国的に見れば,公務員と神社や寺院の代表役員を兼職している例は相当多数にのぼっているはずである。神社や寺院の代表役員を務める国会議員が閣僚を務めた例もあるが,政教分離は問題とされていない。しかして,大祭奉賛会は宗教法人ではなく,任意団体であるから,白山市長であるAが大祭奉賛会の役員(顧問)に就任しても,憲法上の政教分離の問題は生じない。 ちなみに,宗教法人は,民法上公益法人の中に含まれるから,知事や地方自治体の長が慣例上他の公益法人,例えば財団法人,社団法人,学校法人,社会福祉法人等あるいは任意団体 の政教分離の問題は生じない。 ちなみに,宗教法人は,民法上公益法人の中に含まれるから,知事や地方自治体の長が慣例上他の公益法人,例えば財団法人,社団法人,学校法人,社会福祉法人等あるいは任意団体等の要請に応じてその役員に就任することはままあるが,政教分離の上で何ら問題とはならない。 (エ)白山市とB神社との関係aE協会は,霊峰白山の優れた観光資源を保護開発するとともに,観- 8 -光諸施設の整備を図り,白山観光を通して国民文化及び厚生の向上発展に寄与し,併せて国際観光の発展に貢献することを目的として設立された財団である。 このように同協会は,その目的からも明らかなように,B神社とは直接の関係はなく,また大祭奉賛会とも直接の関係がない別法人であるが,事業遂行上の便宜からたまたま事務所をB神社に置いているに過ぎない。 そして,同協会の事業は,上記目的を達成するため,白山国立公園の推進,白山における観光資源の保護及び開発,登山及び観光施設の整備,維持管理及び運営,国内外に対する白山観光の宣伝及び紹介,白山に関する研究・調査及び資料保存等の何ら宗教的色彩のない事業を行う財団である。 しかして,E協会は,その目的の達成に資するとして,いろいろの事業の中から生まれた運用資産から大祭奉賛会に500万円を支出しているが,この支出は,白山市という公の団体と直接関係のない別法人のE協会が同協会の事業遂行のために有益であるとしてなしたものであり,その結果により同協会が大祭奉賛会規約第5条に基づき名誉会員とされているに過ぎない。 したがって,E協会が大祭奉賛会へ出捐した金員が,白山市がE協会に支出した金員から支出されたという原告の主張は理由がない。 なお,上記500万円の支出は,白山の観光資源の保護開発,観光諸施設の整備等の財団の目的のためになされ 賛会へ出捐した金員が,白山市がE協会に支出した金員から支出されたという原告の主張は理由がない。 なお,上記500万円の支出は,白山の観光資源の保護開発,観光諸施設の整備等の財団の目的のためになされたもので,宗教的意図でなされたものではない。 b白山市は,E協会に原告主張のように毎年288万円を出捐してはいない。 E協会は,白山市から美化事業費(道路清掃事業の人夫費用)とし- 9 -て,平成17年度に45万円を受領しているに過ぎず,平成18年度は未だ受領していない。 c確かに,B神社は,一宗教団体ではあるが,同神社は,全国的に名前が広まっている神社であり,その神社の大祭の実行は,一宗教団体の儀式というにとどまらず,白山市の観光イベントとして,白山市もその実行に関わりのある立場にある。 白山市は,上記の範囲で関わりがあるに過ぎず,それ以上に一宗教団体に不当に肩入れをしているというわけではない。 ( )白山市長は財務会計上の違法行為を阻止すべき指揮監督上の義務に違反 したか。 ア原告の主張白山市長であるAは,白山市の予算を執行する権限を有していた者であり,たとえ,その権限に属する財務会計上の行為をあらかじめ特定の補助職員に専決させることとしている場合であっても,当該補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務を負う。 Aは,本件発会式に参加することが,政教分離原則に違反することを認識すべき立場にありながら,B神社から大祭奉賛会役員として本件発会式への参加の招聘があるやそれに応じ,自ら本件発会式に参加し,かつ補助職員を随行させた。 このように,Aは,本件各財務会計行為のうち,本件発会式に関する公金支出が違法であることを認識しえたにもかかわらず,これを阻止しなかったものであるから,指揮監督上の責任がある。 イ 員を随行させた。 このように,Aは,本件各財務会計行為のうち,本件発会式に関する公金支出が違法であることを認識しえたにもかかわらず,これを阻止しなかったものであるから,指揮監督上の責任がある。 イ被告の主張Aが本件発会式に公用車を使用し,職員を随行して出席した行為は,前記のとおり,政教分離原則に違反する行為ではないから,自ら参加することを中止したり,職員に対し,随行させることを阻止すべき義務はなく,- 10 -ゆえに,指揮監督上の義務違反も認められない。 ( )損害 ア原告の主張本件各財務会計行為により支出された公金のうち,Aの本件発会式出席のために支出されたということができる金額は,以下のとおりである。これらの支出については,前記( )アのとおり違法性が認められ,白山市が 被った損害と評価できる。 (ア)白山市長の報酬費の支出8800円(イ)随行秘書課長給料支出4000円(ウ)公用車運転職員給料支出2000円(エ)公用車燃料等の費用1000円合計1万5800円イ被告の主張原告の主張は否認する。また,その損害額を争う。 第3当裁判所の判断 争点( )(Aの本件発会式出席に関する公金支出が政教分離原則(憲法20 条1項,3項,89条)に違反するか)について( )証拠(各項末尾記載)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められ る。 ア大祭奉賛会について(ア)大祭奉賛会の規約には,以下のことが定められている。 a目的(第2条)大祭奉賛会は,B大神の御神徳を敬仰して,B神社の式年大祭斎行の諸事業を奉賛することを以て目的とする。 b事務局(第3条)大祭奉賛会の事務局は石川県白山市γB神社内に置く。 - 11 -c事業の内容(第7条)大祭奉賛会は前記aの目的を達成するため,以下の 諸事業を奉賛することを以て目的とする。 b事務局(第3条)大祭奉賛会の事務局は石川県白山市γB神社内に置く。 - 11 -c事業の内容(第7条)大祭奉賛会は前記aの目的を達成するため,以下の事業を行う。 (a)御鎮座二千百年式年大祭斎行(b)禊場造成及び付帯工事(井戸掘削)(c)齋館移築及び車道新設工事(d)手水舎新築工事(e)仮称遊神殿新築工事(f)B神社史発刊(g)その他付帯事業d事業予算(第8条)事業の予算は5億円とし,募財3億円及び自己資金2億円をそれに充てる(内訳は以下のとおり。 。)(a)御鎮座二千百年式年大祭6000万円(b)禊場造成並びに付帯工事1億円(c)齋館移築並びに車道新設工事4000万円(d)手水舎新築工事4000万円(e)仮称遊神殿新築工事1億5000万円(f)B神社史発刊6000万円(g)その他付帯事業5000万円e顧問に関する定め(第9条及び第11条)大祭奉賛会には,顧問若干名が置かれ,顧問は会長の諮問に応じ,又は会長の要請により会議に出席して意見を述べることができる。 f会計(第17条)大祭奉賛会の会計は,会員の奉賛金及びその他の収入を以てし,必要経費を支弁の上,前記aの目的達成のため,B神社に奉納するものとする。 - 12 -(イ)上記(ア)c(a)の御鎮座二千百年式年大祭は,平成20年にB神社の鎮座2100年となることを記念して,同年10月8日から同月12日まで行われる予定の祭事である。 (ウ)大祭奉賛会の役員名簿には,B神社の宮司であるCが,宮司という肩書きで挙げられている。また,大祭奉賛会の顧問の一人としてAが就任している。 (甲5の3,5の4,10の1~3,乙1~3)イ本件発会式の内容(ア)本件発会式は,平成 司であるCが,宮司という肩書きで挙げられている。また,大祭奉賛会の顧問の一人としてAが就任している。 (甲5の3,5の4,10の1~3,乙1~3)イ本件発会式の内容(ア)本件発会式は,平成17年6月25日,白山市α所在の「β」において,以下の式次第によって行われた。 a開会の辞b会長(F)挨拶c来賓(役員)祝辞d役員紹介e来賓紹介f事業計画説明g宮司(C)御礼の言葉h乾杯並びに挨拶i閉会の辞(イ)本件発会式は,関係者約120名が出席し,約40分ほどで終了した。 (甲2,5の2,5の5,乙2,3)ウE協会についてE協会は,霊峰白山のすぐれた観光資源を保護開発するとともに,観光諸施設の整備を図り,白山観光をとおして国民文化及び厚生の向上発展に寄与し,併せて国際観光の発展に貢献することを目的とする財団法人であ- 13 -る(乙4・5)。 ( )原告は,Aが本件発会式に大祭奉賛会の顧問として白山市民を代表して 出席し,祝辞を述べたことは,憲法の定める政教分離原則に違反する旨主張するので検討する。 憲法20条1項後段,3項及び89条は,いわゆる政教分離の原則を規定しているところ,政教分離原則は,国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが,国家が宗教とのかかわり合いを持つことを全く許さないとするものではなく,宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ,そのかかわり合いがわが国の社会的文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである。 よって,憲法20条3項にいう「宗教的活動」とは,国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いが上記にいう相当とされる限度を超えるもの,す,,,なわち当該行為の目的が宗教的意義をもちその効 る。 よって,憲法20条3項にいう「宗教的活動」とは,国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いが上記にいう相当とされる限度を超えるもの,す,,,なわち当該行為の目的が宗教的意義をもちその効果が宗教に対する援助,,。 助長促進又は圧迫干渉等になるような行為をいうものと解すべきであるそして,ある行為が「宗教的活動」に該当するかどうかを検討するにあたっては,当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく,当該行為の行われる場所,当該行為に対する一般人の宗教的評価,当該行為者が当該行為を行うについての意図,目的及び宗教的意義の有無,程度,当該行為の一般人に与える効果,影響等,諸般の事情を考慮し,社会通念に従って,客観的に判断しなければならない(最高裁昭和52年7月13日大法廷判決・民集31巻4号533頁参照。 )これを本件についてみるに,前記認定事実によれば,大祭奉賛会は,B大神の御神徳を敬仰して,B神社の式年大祭斎行等の諸事業を奉賛することを目的として設立された団体であり,特定の宗教とかかわり合いを有するものであることは否定できない。 - 14 -しかし,前記認定のとおり,本件発会式は,B神社の境内ではなく,同神社外の一般施設で行われたこと,また,その式次第は,前記イ(ア)に認定のとおりであって,同発会式が神道の儀式や祭事の形式に基づいていたとは認められないことにかんがみると,本件発会式自体の宗教的色彩は希薄であったといえる。 そして,このような本件発会式にB神社の所在する白山市の市長としてAが出席し,祝辞を述べることは,社会的儀礼の範囲内の行為であると評価でき,これは一般人から見てもそのように理解されるものということができるから,Aの上記行為が,一般人に対して,白山市が特定の宗教団体であるB神社を特別に支援しているという印 範囲内の行為であると評価でき,これは一般人から見てもそのように理解されるものということができるから,Aの上記行為が,一般人に対して,白山市が特定の宗教団体であるB神社を特別に支援しているという印象を与えることはなく,また,他の宗教を抑圧するという印象を与えることもないというべきである。 したがって,Aの上記行為は,その目的が宗教的意義をもち,その効果がB神社あるいは神社神道を援助,助長又は促進するような行為にあたるとは認められないから,憲法20条3項により禁止される宗教的活動にはあたらない。 以上の認定判断は,Aが大祭奉賛会の役員である顧問に就任していることによっても左右されない。 また,上記の判断に照らせば,Aが本件発会式に出席したことは,憲法20条1項後段で禁止されている,宗教団体が国から特権を受けることにはあたらず,憲法89条で禁止している公金その他の公の財産を宗教上の組織又は団体の使用,便益又は維持のために支出すること又はその利用に供することにも該当しない。 なお,原告は,大祭奉賛会はB神社と実質的には一体であり,同神社の特別会計というべきである旨主張する。 確かに,前記認定事実によれば,大祭奉賛会の活動による終局的利益はB,,神社に帰属するということはできるものの大祭奉賛会は独自の規約を定め- 15 -B神社とは別個の組織を有していることが認められるので,大祭奉賛会をもって同神社と実質的に一体であるとか,同神社の特別会計であるということはできず,原告の主張は採用できない。 ( )また,原告は,白山市長たるAが大祭奉賛会の顧問に就任すること自体 が政教分離原則に違反する旨主張する。 しかし,本訴訟で問題となっているのは,Aが本件発会式に出席したこと,,に関する公金の支出の違憲・違法性であるところAが本件発会式に出席 就任すること自体 が政教分離原則に違反する旨主張する。 しかし,本訴訟で問題となっているのは,Aが本件発会式に出席したこと,,に関する公金の支出の違憲・違法性であるところAが本件発会式に出席し祝辞を述べたことは憲法20条1項,同条3項及び同89条に違反せず,この結論はAが大祭奉賛会の顧問であるか否かによって異なるものではないことは前記判断のとおりであり,原告の主張は理由がない。 さらに,原告は,E協会が500万円以上の奉賛金を納めて大祭奉賛会の名誉会員になっていること及び白山市からE協会に負担金等の名目で公金が支出されていること等から,実質的には白山市が同協会を通じて大祭奉賛会に公金を支出したものと評価すべきである旨主張し,また,白山市長がこのようなE協会の役員に就任していることは政教分離に反するとも主張する。 しかし,上記主張の当否と,Aが職員を同行して本件発会式に出席し,祝辞を述べたことに関する白山市の公金支出が政教分離原則に違反するか否かということとは関連性があるとは認められず,原告の主張は失当というほかない。 ( )よって,Aが本件発会式に白山市の補助職員を同行して出席し,祝辞を 述べたこと及びこれらに関してなされた公金支出は政教分離原則に違反しない。 結論 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないので,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 金沢地方裁判所第二部- 16 -裁判長裁判官倉田慎也裁判官水野正則裁判官北川幸代
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