- 1 - 主文 原決定を取り消す。 本件を福岡高等裁判所に差し戻す。 理由 本件抗告の趣意のうち、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反の主張であって、刑訴法433条の抗告理由に当たらない。 所論に鑑み、職権で判断する。 記録によると、同法316条の26第1項に基づく弁護人からの本件証拠開示命令請求を棄却した原々決定の謄本は、主任弁護人には令和6年8月30日に、被告人本人には同年9月3日にそれぞれ送達され、同決定に対して、弁護人から同月5日に即時抗告の申立てがされたことが明らかである。原決定は、本件において、同法422条に定める3日の即時抗告の提起期間は主任弁護人に原々決定の謄本が送達された日から進行すると解し、同申立ては提起期間経過後にされたものであって不適法であるとして、これを棄却した。 しかしながら、弁護人からの証拠開示命令請求を棄却した決定に対しては、弁護人は、検察官又は被告人以外の者で決定を受けたものとして即時抗告をすることができるほか、被告人のため即時抗告をすることもできる。そして、弁護人が被告人のため即時抗告をする場合、その提起期間は、証拠開示命令請求を棄却した決定の謄本が被告人本人に送達された日から進行する。そうすると、弁護人からの証拠開示命令請求を棄却した決定の謄本が先に弁護人に送達され、その後に被告人本人に送達された場合において、弁護人が同決定に対して即時抗告をするときは、その提令和6年(し)第761号証拠開示に関する裁定請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件令 被告人本人に送達された場合において、弁護人が同決定に対して即時抗告をするときは、その提令和6年(し)第761号証拠開示に関する裁定請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件令和6年11月15日第三小法廷決定- 2 -起期間は、同決定の謄本が被告人本人に送達された日から進行するものと解すべきである。 したがって、本件即時抗告の申立ては、同法422条に定める即時抗告の提起期間内にされたものであって、適法であり、これを不適法とした原決定には、同法358条、422条の解釈適用を誤った違法があり、これが決定に影響を及ぼし、原決定を取り消さなければ著しく正義に反すると認められる。 よって、同法411条1号を準用して原決定を取り消し、同法434条、426条2項により本件を福岡高等裁判所に差し戻すこととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官林道晴裁判官宇賀克也裁判官渡辺惠理子裁判官石兼公博裁判官平木正洋)
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