平成24(ワ)237 特許権侵害損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年8月2日 東京地方裁判所
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判決文本文119,743 文字)

- 1 -平成25年8月2日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成24年(ワ)第237号特許権侵害損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成25年5月22日判決東京都大田区<以下略>原告株式会社DAPリアライズ大阪市<以下略>被告シャープ株式会社東京都新宿区<以下略>被告 KDDI株式会社東京都港区<以下略>被告ソフトバンクモバイル株式会社上記三名訴訟代理人弁護士生田哲郎同佐野辰巳同中所昌司同補佐人弁理士松本雅利東京都千代田区<以下略>被告株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ同訴訟代理人弁護士大野聖二同小林英了同訴訟代理人弁理士鈴木 守 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 - 2 - 1 被告シャープ株式会社(以下「被告シャープ」ともいう。)は,原告に対し,2000万円及びこれに対する平成24年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告KDDI株式会社(以下「被告KDDI」ともいう。)は,原告に対し,400万円及びこれに対する平成24年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告ソフト 払え。 2 被告KDDI株式会社(以下「被告KDDI」ともいう。)は,原告に対し,400万円及びこれに対する平成24年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告ソフトバンクモバイル株式会社(以下「被告SBM」ともいい,上記2社と併せて「被告シャープら」という。)は,原告に対し,900万円及びこれに対する平成24年9月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告エヌ・ティ・ティ・ドコモ株式会社(以下「被告ドコモ」ともいい,上記3社と併せて「被告ら」という。)は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成24年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,名称を「携帯情報通信装置,携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム及び携帯情報通信装置用外部入出力ユニット」とする発明についての特許権(特許第3872502号)を有する原告が,被告らに対し,被告シャープが業として製造・販売する別紙イ号物件目録ないし別紙ヌ号物件目録各記載の製品(以下,それぞれの符号に従い「イ号製品」などといい,イ号製品ないしヌ号製品を併せて「被告各製品」という。),被告KDDIが業として販売するロ号製品及びハ号製品,被告SBMが業として販売するニ号製品ないしヌ号製品及び被告ドコモが業として販売するイ号製品がそれぞれ上記特許権の技術的範囲に属すると主張して,特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償金として,被告シャープに対し2000万円及びこれに対する平成24年1月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済み - 3 -まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,被告KDDIに対し400万円及びこれに対する平成24年1月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みま (訴状送達の日の翌日)から支払済み - 3 -まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,被告KDDIに対し400万円及びこれに対する平成24年1月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,被告SBMに対し900万円及びこれに対する平成24年9月21日(訴えの変更申立書送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,及び被告ドコモに対し100万円及びこれに対する平成24年1月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。 2 前提事実(証拠を掲げていない事実は当事者間に争いがない。以下,証拠の番号の掲記に当たり,枝番の表示を省略することがある。)(1) 当事者ア原告は,各種情報処理・通信システムなどの開発を業とする株式会社である。〔弁論の全趣旨〕イ被告シャープは,電機メーカーであり,スマートフォンを始めとする携帯情報通信装置の企画・製造・販売を行う株式会社である。 ウ被告KDDI,被告SBM及び被告ドコモは,それぞれ,電気通信事業者であり,スマートフォンを始めとする携帯情報通信装置の企画・販売及び携帯情報通信装置に対するサービスの提供を行う株式会社である。 (2) 原告の有する特許権原告は,次の内容の特許権(以下,この特許権を「本件特許権」といい,同特許権に係る特許を「本件特許」という。また,本件特許に係る明細書及び図面を「本件明細書等」といい,その内容は別紙特許公報写し(甲2)のとおりである。)の特許権者である。 特許番号第3872502号発明の名称携帯情報通信装置,携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム及び携帯情報通信装置用 - 4 - である。)の特許権者である。 特許番号第3872502号発明の名称携帯情報通信装置,携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム及び携帯情報通信装置用 - 4 -外部入出力ユニット原出願日平成17年12月21日(特願2005-367373の分割)分割出願日平成18年2月27日優先日平成16年12月24日(優先権主張番号:特願2004-372558)優先日平成17年7月28日(優先権主張番号:特願2005-218159)登録日平成18年10月27日移転登録日平成20年6月5日訂正請求日平成23年4月26日訂正登録日平成23年11月2日(3) 本件特許に係る特許請求の範囲本件特許の特許請求の範囲における請求項の数は23であるが,そのうち請求項3の記載は,別紙特許公報写しの特許請求の範囲【請求項3】記載のとおりである(以下,請求項3記載の特許発明を「本件発明」という。)。 (4) 構成要件の分説本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれの記号に従い「構成要件A」などという。)。 A ユーザーがマニュアル操作によって入力したデータを後記データ処理手段に送信する入力手段と,B 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信するとともに,後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と,C 後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と, - 5 -D 前記入力手段から送信されたデータ及び前記記憶手段に格納されたプログラムに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル 理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と, - 5 -D 前記入力手段から送信されたデータ及び前記記憶手段に格納されたプログラムに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号及び/又は前記記憶手段から読み出したデータに必要な処理を行って,デジタル表示信号及びその他のデジタル信号を生成して送信するデータ処理手段と,E 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段と,F 外部ディスプレイ手段を含む周辺装置,又は,外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号を送信するインターフェース手段A1と,G を備えるとともに,前記データ処理手段と前記インターフェース手段A1とが相俟って,該インターフェース手段A1から,高解像度デジタル外部表示信号を送信する機能を実現する携帯情報通信装置であって,H 前記無線通信手段と前記データ処理手段とが相俟って,ユーザーエージェント情報を含みインターネットプロトコルに準拠した無線信号を送信する機能と,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信することにより,インターネットに接続したウェブサーバからデータファイルを取得する機能と,を実現するとともに,I 前記データ処理手段は,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像デー - 6 -タファイルをリアルタイムで処理す するとともに,I 前記データ処理手段は,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像デー - 6 -タファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,前記画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成する機能を有するJ ことを特徴とする携帯情報通信装置。 (5) 原告による訂正審判請求原告は,本件特許について,平成24年5月1日付けの審判請求書(甲11)により,請求項3のうち「前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって」とあるのを,「前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって」と訂正する旨の訂正審判請求をしている(以下,訂正後の請求項3を「本件訂正発明」といい,本件訂正発明の上記訂正部分に係る構成要件を「構成要件I’」という。)。 (6) 被告らの行為ア被告シャープの行為被告シャープは,イ号製品ないしヌ号製品を,業として製造し,販売している。 イ被告KDDIの行為被告KDDIは,ロ号製品及びハ号製品を業として販売している。 ウ被告SBMの行為被告SBMは,ニ号製品ないしヌ号製品を業として販売している。 エ被告ドコモの行為被告ドコモは,イ号製品を業として販売している。 (7) 被告各製品の構成アイ号製品は,本件特許に関係する範囲で,別紙イ号物件目録記載の「イ - 7 -号物件説明書」の「(4) 本件発明の構成要件に対応させて表現したイ号製品の構成」の (7) 被告各製品の構成アイ号製品は,本件特許に関係する範囲で,別紙イ号物件目録記載の「イ - 7 -号物件説明書」の「(4) 本件発明の構成要件に対応させて表現したイ号製品の構成」の項記載の構成を有している。 ロ号製品ないしヌ号製品は,それぞれ,本件特許に関係する範囲で,各製品に係る別紙物件目録記載の物件説明書の構成を有している。 イイ号製品は,いわゆるスマートフォンといわれる高機能携帯電話機であって,入力手段としてのタッチパネルと,無線通信手段としての無線通信用のメインアンテナ及び無線送受信ICと,記憶手段としての内部メモリ及び出し入れ可能な外部メモリであるmicroSDカードと,データ処理手段としてのモバイルプロセッサMSM8255と,ディスプレイ手段である液晶ディスプレイパネルと液晶コントローラICと,インターフェース手段としてのHDMI送信IC及びmicroSDカード端子を備え,MSM8255からの制御信号に基づいて,メインアンテナ及び無線送受信ICが,ユーザーエージェント情報を含みインターネットプロトコルに準拠した無線信号を送信する機能と,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信することにより,インターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルを取得する機能とを実現するものである。 よって,イ号製品は,本件発明の構成要件AないしF,H及びJをそれぞれ充足する。 また,ロ号製品ないしヌ号製品は,各製品に係る別紙物件目録中物件説明書記載のとおり,一部においてイ号製品と構成を異にする(例えば,ロ号及びハ号製品は,モバイルプロセッサMSM8655を搭載している。)ものの,本件発明との対比に関する限りイ号製品と同じ構成を有しており,いずれも,本件発明の構成要件AないしF,H及びJをそれぞれ充足す ハ号製品は,モバイルプロセッサMSM8655を搭載している。)ものの,本件発明との対比に関する限りイ号製品と同じ構成を有しており,いずれも,本件発明の構成要件AないしF,H及びJをそれぞれ充足する。 3 争点(1) 被告各製品は本件発明及び本件訂正発明の技術的範囲に属するか - 8 -ア構成要件Iの充足性イ構成要件Gの充足性(2) 本件発明及び本件訂正発明に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるかア無効理由1の1(乙イ4を主引用例とする進歩性欠如)イ無効理由1の2(乙イ4を主引用例とし,乙イ19を副引用例とする進歩性欠如)ウ無効理由2(乙イ13を主引用例とする進歩性欠如)エ無効理由3(乙イ14を主引用例とする進歩性欠如)オ無効理由4(乙イ15を主引用例とする進歩性欠如)(3) 損害発生の有無及びその額第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)ア(構成要件Iの充足性)について〔原告の主張〕(1) 構成要件Iの意義構成要件Iは,データ処理手段が,画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,二つの機能,すなわち,①データ処理手段の基本処理機能である「前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する」機能と,②データ処理手段の本件付加機能である「前記画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成する」機能を実現することを特定している。 一般に,画像データファイルや表示信号は,「ディスプレイ手段の画面に表示される画像」に対応するものと解されるから,「前記画像データファイルの本来画像の全 する」機能を実現することを特定している。 一般に,画像データファイルや表示信号は,「ディスプレイ手段の画面に表示される画像」に対応するものと解されるから,「前記画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号」とは,「前記画像データファ - 9 -イルの本来画像の全体画像に対応するデジタル表示信号」と解される。 画像データファイルを処理するデータ処理手段の能力が不十分であったり,表示信号を受信するディスプレイ手段の画面解像度が低すぎたりすると,「ディスプレイ手段の画面に表示される画像」は「画像データファイルや表示信号が本来対応する画像」とは異なってしまう。これは,画像データファイルに不適切な処理がされてディスプレイ手段の画面に表示される場合に当たる。ここで「不適切な処理」を具体的にいうと,まず,ディスプレイ手段の画像解像度が画像データファイルの本来解像度よりも小さい場合において,画像データファイルが本来有している色情報の情報量を減少させて画像表示が行われて,「論理的な画素ごとの論理的な色情報」が「ディスプレイ手段の画面を構成する物理的な画素の色表示」として不十分に現実化する,あるいは,「論理的な画素」と「表示される画像の画素」が1対1で対応しているが,その余の範囲では「論理的な画素」が対応する「表示される画像の画素」が存在しないこととなる。 ほかに,ディスプレイ手段の画面解像度が画像データファイルの本来解像度よりも大きい場合において,データ処理手段によって画素を補間する処理が行われ,画像データファイルが本来有している色情報の情報量を増加させて画像表示が行われて,「論理的な画素ごとの論理的な色情報」を「ディスプレイ手段の画面を構成する物理的な画素の色表示」として過剰に現実化することとなる。 これに対して,ディスプレ 情報量を増加させて画像表示が行われて,「論理的な画素ごとの論理的な色情報」を「ディスプレイ手段の画面を構成する物理的な画素の色表示」として過剰に現実化することとなる。 これに対して,ディスプレイ手段の画面解像度が画像データファイルの本来解像度よりも大きい場合であっても,ディスプレイ手段の画面を構成する物理的な画素のうち隣接する複数のもので同一の色を表示させたり,ディスプレイ手段の画面の中央部だけに画像を表示させたりすることによって,「論理的な画素ごとの論理的な色情報」が「表示される画像の画素」と一つ一つ個別に対応して現実化すれば,画像データファイルが本来有していた色 - 10 -情報の情報量が増加も減少もすることなく画像表示が行われることになる。 構成要件Iのうちデータ処理手段の本件付加機能を定義する「画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成する」との記載は,「データ処理手段の本件付加機能」によって生成されるデジタル表示信号が上記のように適切に処理されることによって,「画像データファイルの本来画像の全体画像」と「ディスプレイ手段に表示される画像」とが同一であることを特定するものと解される。そして,「適切に処理する」とは,「高解像度ディスプレイ手段(すなわち,十分な水平画素数と垂直画素数を有するディスプレイ手段),又は,データ処理手段及び高解像度ディスプレイ手段が,表示信号,画像データファイル・・・に含まれている画素ごとの論理的な色情報を,ディスプレイ手段の画面を構成する物理的な画素の色表示として過不足なく現実化すること」をいうものと解される。 そして,構成要件Iの「前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも」との記載は,「前記画像データファイルの本来解像 すること」をいうものと解される。 そして,構成要件Iの「前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも」との記載は,「前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい・或る場合」を意味すると解すべきである。 (2) 本件発明に関する被告各製品の構成要件充足性本件各製品はいずれも,そのディスプレイパネルAの画面解像度がHD(1280×720)よりも低い。したがって,本件各製品はいずれも,「画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,『データ処理手段の本件付加機能』を実現している」ことになる。 また,被告各製品に使用されているモバイルプロセッサのパンフレット(乙イ18)をみても,本件各製品はいずれも,データ処理手段が,ダウンロードした画像データファイルの本来解像度がHD未満である場合に,画素を補間してHDの表示信号を生成しているとは認められない。すなわち,上 - 11 -記乙イ18の記載のうち,外部への画像(映像)出力の仕様に係る「ビデオ」の欄の記載には,「HD720p」とあるが,これは,出力できる表示信号の本来解像度の物理的な限界を定めるものであり,実際に出力される画像の解像度がHDであることを示すものではない。したがって,ダウンロードした画像データファイルの本来解像度がHD未満である場合において,「本来解像度がHDの表示信号を生成している」,すなわち,「画素を補間してHDの表示信号を生成している」と結論づけることはできない。 したがって,本件各製品はいずれも,画像データファイルの本来解像度がHD未満の場合において,「データ処理手段の本件付加機能」が実現していないとは認められるべきではなく,画像 づけることはできない。 したがって,本件各製品はいずれも,画像データファイルの本来解像度がHD未満の場合において,「データ処理手段の本件付加機能」が実現していないとは認められるべきではなく,画像データファイルの本来解像度がHD未満の場合においては「データ処理手段の本件付加機能」が実現していると認められるべきである。 よって,本件各製品はいずれも,本件発明の構成要件Iを充足する。 (3) 本件訂正発明に関する被告各製品の構成要件充足性また,本件訂正発明についてみても,前記(1)と同様の理由により,本件各製品はいずれも,本件訂正発明の構成要件Iを充足する。 〔被告らの主張〕(1) 構成要件Iの意義構成要件Iの意義は,構成要件Iのうち「前記データ処理手段は,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,・・・・処理することによって,前記画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成する機能を有する」の部分の解釈の問題となる。そして,本件明細書等の段落【0032】には,データ処理手段が行う「適切な処理」や,画像データファイルの「本来画像」についての意義に関する記載があり,これらの定義記載を併せ考慮すると,構成要件Iの「前記データ処理手段は,前記画像データファイルの本来解像 - 12 -度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,・・・・処理することによって,前記画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成する機能を有する」の構成におけるデータ処理手段が有すべき「処理することによって」及び「生成する機能」とは,本件発明の携帯情報通信装置が,ダウンロードする「画像データファイルを,画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素 データ処理手段が有すべき「処理することによって」及び「生成する機能」とは,本件発明の携帯情報通信装置が,ダウンロードする「画像データファイルを,画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりしないで,表示される本来解像度を有する全体画像のデジタル表示信号を生成する機能」を意味すると解される。 (2) 本件発明に関する被告各製品の構成要件充足性イ号製品においては,そのデータ処理手段であるMSM8255からインターフェース手段A1であるHDMI送信ICに送信される表示信号の画素数は,ダウンロードした画像の画素数(本来解像度)に関わりなく,一律にHD(1280×720)の画素数である。すなわち,イ号製品のデータ処理手段であるMSM8255では,ダウンロードした画像データファイルの画素数が,FHDのような高解像度(高画素数)の画像ファイルのように,その画素数(本来解像度)がHDを超える場合には,データ処理手段で,これをHDの画素数となるように画素を間引いて表示画像の解像度を小さくして表示信号を生成しており,また,ダウンロードした画像データファイルの画素数が,HD未満である場合には,これをHDの画素数となるように画素を補間して表示画像の解像度を大きくしている。 したがって,イ号製品は,構成要件Iの「処理することによって」及び「生成する機能」,すなわち,「画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりしない」との要件を充足しない。 また,ロ号製品ないしヌ号製品も,各製品に係る別紙物件目録中物件説明書記載のとおり,一部においてはイ号製品と構成を異にするが,本件発明と - 13 -の対比に関する部分においてはイ号製品と同じ構成を有するから,イ号製品 製品も,各製品に係る別紙物件目録中物件説明書記載のとおり,一部においてはイ号製品と構成を異にするが,本件発明と - 13 -の対比に関する部分においてはイ号製品と同じ構成を有するから,イ号製品と同様,構成要件Iを充足しない。 (3) 本件訂正発明に関する被告各製品の構成要件充足性本件訂正発明の構成要件I’は本件発明の特許請求の範囲の減縮に該当するものであるから,前記(2)と同様の理由により,イ号製品ないしヌ号製品はいずれも構成要件I’を充足しない。 2 争点(1)イ(構成要件Gの充足性)について〔原告の主張〕(1) 構成要件Gの意義本件明細書等の段落【0032】の記載が,本来解像度が画像データファイルの属性ではなく表示信号の属性でもあることを明らかにしており,構成要件Gの「高解像度デジタル外部表示信号」とは,「外部表示信号の属性である本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい」ことを特定するものと解される。 (2) 本件発明に関する被告各製品の構成要件充足性イ号製品においては,少なくとも,画像データファイルの本来解像度がHD,又はHD未満であって,ディスプレイパネルA(液晶ディスプレイパネル)の画面解像度(QHD(960×540))より大きい場合には,データ処理手段(MSM8255)からインターフェース手段A1(HDMI送信IC)に対して,本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい表示信号が送信される。そして,HDMI送信ICにおいて本来解像度の減少は生じないから,インターフェース手段A1(microHDMI端子)からは,本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きいデジタル外部表示信号が送信されることになる。 構成要件Gの「高解像度デジタル外部信号」とは本来解像度が画面解像 icroHDMI端子)からは,本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きいデジタル外部表示信号が送信されることになる。 構成要件Gの「高解像度デジタル外部信号」とは本来解像度が画面解像度より大きいデジタル外部表示信号であるから,被告各製品はいずれも,「デ - 14 -ータ処理手段とインターフェース手段A1とが相俟って,インターフェース手段A1から,高解像度外部表示信号を送信する機能を実現する」,すなわち,構成要件Gを充足する。 (3) 本件訂正発明に関する被告各製品の構成要件充足性本件訂正発明においては,構成要件I’以外の構成要件は全て本件発明と同じであるから,前記(1)と同様の理由により,被告各製品は本件訂正発明の構成要件Gを充足する。 〔被告らの主張〕(1) 構成要件Gの意義構成要件Gは,「インターフェース手段A1から,高解像度デジタル外部表示信号を送信する機能を実現する」との用語を含んでおり,その「高解像度デジタル外部表示信号」は,「高解像度外部表示信号」のうちデジタル信号であるものをいうものと解される。そして,本件明細書等の段落【0032】では,「『高解像度外部表示信号』とは,本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい外部表示信号を意味し」と定義されており,「高解像度外部表示信号」の定義に「本来解像度」という用語が用いられているところ,さらに同段落には,「『本来解像度』とは,表示信号,画像データファイル又は動画信号を,高解像度ディスプレイ手段,又は,データ処理手段及び高解像度ディスプレイ手段が適切に処理することにより表示される本来の解像度を意味する。」と定義されており,前記のとおり,「適切に処理する」は,「より具体的には,物理的な現実化にあたって画素を間引いて表示画像の解像度 イ手段が適切に処理することにより表示される本来の解像度を意味する。」と定義されており,前記のとおり,「適切に処理する」は,「より具体的には,物理的な現実化にあたって画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりしない」という意義を有する。 したがって,「高解像度デジタル外部表示信号」とは,ダウンロードされる画像データファイルの画素を間引いたり補間したりされていない外部表示信号を意味するものと解される。 - 15 -(2) 本件発明に関する被告各製品の構成要件充足性イ号製品のデータ処理手段は,ダウンロードした画像データファイルの解像度(画素数)がHDを超える場合には画素を間引き,HD未満の場合には画素を補間しているから,イ号製品の外部出力信号は,構成要件Gにおける「高解像度デジタル外部表示信号」に当たらない。 したがって,イ号製品は構成要件Gを充足しない。 また,ロ号製品ないしヌ号製品も,各製品に係る別紙物件目録中物件説明書記載のとおり,一部においてはイ号製品と構成を異にするが,本件発明との対比に関する部分においてはイ号製品と同じ構成を有するから,イ号製品と同様,構成要件Gを充足しない。 (3) 本件訂正発明に関する被告各製品の構成要件充足性本件訂正発明においては,構成要件I’以外の構成要件は全て本件発明と同じであるから,前記(1)と同様の理由により,被告各製品は本件訂正発明の構成要件Gを充足しない。 3 争点(2)ア(無効理由1の1〔乙イ4を主引用例とする進歩性欠如〕)について〔被告らの主張〕(1) 本件発明は,本件特許の優先日(平成18年2月27日)より前に頒布された刊行物である特開2004-214766号公報(乙イ4。平成16年7月29日公開。以下「乙イ いて〔被告らの主張〕(1) 本件発明は,本件特許の優先日(平成18年2月27日)より前に頒布された刊行物である特開2004-214766号公報(乙イ4。平成16年7月29日公開。以下「乙イ4文献」という。)に記載の発明(以下「乙イ4発明」という。)に,周知技術(乙イ5~12)を適用することによって,当業者が容易に発明することができたものであるから,本件特許は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明であり,特許無効審判によって無効にされるべきものである。 (2) 本件発明と乙イ4発明との対比本件発明と乙イ4発明とを対比すると,次のとおりである。 - 16 -ア発明の構成の異同(ア) 構成要件A乙イ4発明の操作部14は,ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備えた入力デバイスであり(段落【0016】),ダイヤルキーやブラウザ操作キーは,ユーザーがマニュアル操作によって入力するためのキーであることが自明である。 また,乙イ4文献の図1では,操作部14と制御部10が結ばれており,操作部14で入力されたデータが,制御部10(本件発明の「データ処理手段」に相当する。)に送信されていることが記載されている。 したがって,乙イ4発明の「操作部14」と本件発明の「入力手段」とは相違点がなく,構成要件Aについて,本件発明と乙イ4発明は同一である。 (イ) 構成要件B乙イ4発明の送受信部11は,送信回路と受信回路を有して成り,アンテナ11aを介して電波を送受信することで,基地局(不図示)との双方向通信を行う(段落【0016】)ための手段である。電波を受送信することで基地局との双方向通信を行っているのであるから,乙イ4発明の送受信部11は無線信号を受送信していることが自明である。 また 方向通信を行う(段落【0016】)ための手段である。電波を受送信することで基地局との双方向通信を行っているのであるから,乙イ4発明の送受信部11は無線信号を受送信していることが自明である。 また,制御部10はCPU等からなる(段落【0016】)から,制御部10に送られる信号はデジタル信号に変換されていることは技術常識に照らして明らかである。同様に制御部10から送受信部11に送られる信号もデジタル信号であることは技術常識に照らして明らかである。 したがって,乙イ4発明の「送受信部11」と本件発明の「無線通信手段」とは相違点がなく,構成要件Bについて,本件発明と乙イ4発明は同一である。 (ウ) 構成要件C - 17 -乙イ4発明の記憶部16は,ROMやRAMから成る情報格納手段である(段落【0016】)。制御部を動作させるプログラムをROM(readonlymemory)に格納することは技術常識に照らして自明であり,記憶部16は「データ処理手段を動作させるプログラムを格納する記憶手段」に該当する。 また,乙イ4文献の段落【0018】には「制御部10は,記憶部16から所望の情報を読み出して」と記載されていることから,記憶部16は「データ処理手段で処理可能なデータファイルを格納する記憶手段」にも該当する。 したがって,乙イ4発明の「記憶部16」と本件発明の「記憶手段」とは相違点がなく,構成要件Cについて,本件発明と乙イ4発明は同一である。 (エ) 構成要件D乙イ4発明の制御部10は,送受信部11を介して指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得して画像出力部17に送出し,該情報を外部出力するように要求する(段落【0020】)。乙イ4発明の制御部10は,送受信部11(本件発明の無線通信手段と同じ)を介してWebコ ebコンテンツ情報を取得して画像出力部17に送出し,該情報を外部出力するように要求する(段落【0020】)。乙イ4発明の制御部10は,送受信部11(本件発明の無線通信手段と同じ)を介してWebコンテンツ情報を取得して画像出力部17に送信していることから,無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行ってデジタル表示信号を送信している点で,本件発明と乙イ4発明とは同じである。そして,技術常識に照らして,乙イ4発明の制御部10がデジタル表示信号以外のデジタル信号(その他のデジタル信号)を生成していないとは考えられないから,その他のデジタル信号を生成していることも明らかである。 また,乙イ4発明の制御部10は,「指定」サーバから「所望」のWebコンテンツ情報を取得しているが,取得すべき情報の選択はユーザ - 18 -がマニュアル操作によって入力されたデータに基づいて行われることが自明であり,CPUはROM等に格納されたプログラムに基づいて動作することが自明である。したがって,入力手段から送信されたデータ及び記憶手段に格納されたプログラムに基づいて処理されている点で,本件発明と乙イ4発明とは同じである。 したがって,乙イ14発明の「制御部10」と本件発明の「データ処理手段」とは相違点がなく,構成要件Dについて,本件発明と乙イ4発明とは同一である。 (オ) 構成要件E乙イ4発明の表示部12は,液晶ディスプレイ等から成る情報表示手段である(段落【0016】)。液晶ディスプレイ装置が,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示する液晶パネルと,前記液晶パネルの画面を構成している各々の画素を駆動する制御手段とから構成されていることは技術常識であるから,乙イ4発明の「表示部12」と本件発明の「ディスプレイ手段」とは を表示する液晶パネルと,前記液晶パネルの画面を構成している各々の画素を駆動する制御手段とから構成されていることは技術常識であるから,乙イ4発明の「表示部12」と本件発明の「ディスプレイ手段」とは,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと,前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成される点で一致する。 また,本件発明では,ディスプレイ制御手段が「前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき」と規定されているが,内部ディスプレイの制御手段が,データ処理手段が生成した表示信号に基づいて制御されることは技術常識に照らして明らかであるから,この点においても乙イ4発明と本件発明の相違はない。 したがって,構成要件Eについて,本件発明と乙イ4発明は同一である。 (カ) 構成要件F - 19 -a 乙イ4発明の画像出力部17は,入力された情報を外部表示装置2で読取可能な画像信号形式に変換して出力するインターフェイス部である(段落【0016】)。外部表示装置2が,外部ディスプレイ手段を含む周辺装置又は外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置に該当することは自明である。また,要求を受けた画像出力部17は,制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力する(段落【0020】)。 したがって,乙イ4発明の「画像出力部17」と本件発明の「インターフェース手段A1」とは,外部ディスプレイ手段を含む周辺装置,又は,外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記「データ処理手段」から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段である点で一致する。 b 他方で,本件発明ではインター 辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記「データ処理手段」から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段である点で一致する。 b 他方で,本件発明ではインターフェース手段から外部ディスプレイ装置に送信する信号が「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ4発明にはそのような限定がない点で一応は相違する。 (キ) 構成要件Ga 乙イ4発明の画像出力部17(前記のとおり,本件発明の「インターフェース手段A1」に相当する。)は,制御部10(前記のとおり,本件発明の「データ処理手段」に相当する。)からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力することによって,携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが可能となる機能を有している(段落【0020】)。 他方で,本件明細書等の段落【0006】では,パソコン向けウェ - 20 -ブページが多くの携帯電話機で閲覧できなかった理由の一つとして,携帯電話機の付属ディスプレイの画面解像度が小さいためにフルスペックのHTMLで記述されたウェブページを正しく表示できないことを挙げている。また,本件明細書等の段落【0092】では,ウェブページやコンテンツファイルに対応する画像を,高解像度外部ディスプレイ手段の画面で,高解像度画像を表示できることを発明の効果として挙げている。すなわち,本件発明では,多くの携帯電話機で閲覧できなかったWebコンテンツを正常に表示するために,高解像度外部ディスプレイ手段を利用して高解像度画像を表示しているものと解される。 したがって,乙イ4発明と本件発明とは,インターフェース手段A1から,携帯電話機で テンツを正常に表示するために,高解像度外部ディスプレイ手段を利用して高解像度画像を表示しているものと解される。 したがって,乙イ4発明と本件発明とは,インターフェース手段A1から,携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツを正常に表示するための信号を送信する機能を実現する携帯情報通信装置である点で一致する。 また,本件発明における「前記データ処理手段と前記インターフェース手段A1とが相俟って」の意義が不明瞭であるものの,少なくとも乙イ4発明では,画像出力部17は制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施している点で,「相俟って」処理しているといえる。 b 他方で,乙イ4発明では,「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示する」と抽象的に表現されているのに対し,本件発明では,「高解像度デジタル外部表示信号を送信する」と具体的に記載されている点で相違する。 (ク) 構成要件H乙イ4発明では,制御部10は,送受信部11を介して指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得する機能を有する(段落【002 - 21 -0】)。Webコンテンツ情報を送受信する際には,インターネットプロトコルに準拠した信号を送受信することは技術常識に照らして明らかである。 また,上記(イ)に記載のとおり,送受信部11は無線信号を送受信している。 さらに,「所望」のWebコンテンツ情報を取得するためには,ユーザーエージェント情報を含む信号をサーバに送信する必要があること及びWebコンテンツ情報の中には画像データファイルが含まれることは技術常識に照らして明らかである。 したがって,構成要件Hについて,本件発明と乙イ4発明とは相違点がなく,同一である。 ( こと及びWebコンテンツ情報の中には画像データファイルが含まれることは技術常識に照らして明らかである。 したがって,構成要件Hについて,本件発明と乙イ4発明とは相違点がなく,同一である。 (ケ) 構成要件Ia 乙イ4発明では,外部表示装置2として表示部12より大型のモニタ装置を用いれば,携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが可能となるという機能を有する(段落【0020】)。他方,前記(キ)で述べたとおり,本件発明では,多くの携帯電話機で閲覧できなかったWebコンテンツを正常に表示するために,高解像度外部ディスプレイ手段を利用して高解像度画像を表示しているものと解されるから,本件発明と乙イ4発明とでは,多くの携帯電話機で閲覧できなかったWebコンテンツを正常に表示するための機能を有する点で一致する。 なお,画像データファイルの処理は,リアルタイムで行うか,データを記憶手段に一旦格納し,その後データを読み出して処理するか,のいずれかしかありえないので,結局,乙イ4発明と本件発明とは,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの - 22 -画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,外部表示装置に,画像を正常に表示させる機能を有する点で一致する。 b 他方で,外部表示装置に送信する画像について,本件発明では「前記画像データファイルの本来画像の全体画像」と特定されているのに対し,乙イ4発明では「正常に表示」としか特定されていない点で,形式的に一応相違する。 (コ) 送信する画像について,本件発明では「前記画像データファイルの本来画像の全体画像」と特定されているのに対し,乙イ4発明では「正常に表示」としか特定されていない点で,形式的に一応相違する。 (コ) 構成要件J乙イ4発明は携帯電話機に関する発明であり(段落【0001】),構成要件Jについて,本件発明と乙イ4発明は同一である。 (サ) 小括以上のとおり,本件発明と乙イ4発明の構成は,次の相違点ア~ウで相違し,その余は同一である。したがって,乙イ4発明には,本件発明の構成要件AないしE,H及びJの全てが,また,本件発明の構成要件F,G及びIの一部が開示されている。 〔相違点ア〕(構成要件Fで)本件発明では「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ4発明にはそのような限定がない点〔相違点イ〕(構成要件Gで)本件発明では「高解像度デジタル外部表示信号を送信する」と具体的に記載されているのに対し,乙イ4発明では「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツを表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示する」との抽象的な記載しかない点 - 23 -〔相違点ウ〕(構成要件Iで)外部表示装置に送信する画像について,本件発明では「前記画像データファイルの本来画像の全体画像」と特定されているのに対し,乙イ4発明では「正常に表示」としか特定されていない点イ発明の作用効果の異同(ア) 本件発明の作用効果本件発明の作用効果は,本件明細書等の段落【0092】に記載のとおりである。すなわち,「携帯情報通信装置はインターネットに接続したウェブサーバにおけるウェブページを,従来通り,付属ディスプレイパネル閲覧することに加えて,携帯情報通信装置のインターフェース手段A りである。すなわち,「携帯情報通信装置はインターネットに接続したウェブサーバにおけるウェブページを,従来通り,付属ディスプレイパネル閲覧することに加えて,携帯情報通信装置のインターフェース手段A1に接続された周辺装置における高解像度外部ディスプレイ手段の画面において閲覧することができる。また,携帯情報通信装置はウェブサーバから画像ファイルやゲームプログラム等のコンテンツファイルを取得したりした上で,該ウェブページやコンテンツファイルに対応する画像を,従来通り,付属ディスプレイパネルにおいて表示することに加えて,高解像度外部ディスプレイ手段の画面において表示することができる。しかも,その際,付属ディスプレイパネルの画面解像度の制約を受けることなく,該付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を表示することができる。」というものである。 (イ) 乙イ4発明の作用効果乙イ4文献の段落【0020】には,「外部表示装置2として表示部12より大型のモニタ装置を用いれば,携帯電話機1本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性を向上させることが可能となる。また,携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが - 24 -可能となる。」と記載されている。 すなわち,乙イ4発明の作用効果は,①携帯電話機本体の携帯性を損なうことなく視認性を向上させること,②携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツを携帯電話機本体の表示部の解像度に依存することなく正常に表示すること,の二つである。 (ウ) 本件発明と乙イ4発明の作用効果の対比a 本件発明と乙イ4発明とは,いずれも,「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテ 度に依存することなく正常に表示すること,の二つである。 (ウ) 本件発明と乙イ4発明の作用効果の対比a 本件発明と乙イ4発明とは,いずれも,「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツ」(=「高解像度画像」)を,外部表示装置の大型のモニタ(=高解像度外部ディスプレイ手段の画面)に,表示部(=付属ディスプレイパネル)の解像度に依存することなく表示できる点で一致する。 b 他方で,本件発明では「付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を表示する」と具体的に記載しているのに対し,乙イ4発明では「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示する」と抽象的な記載である点で相違する(相違点エ)。 (3) 相違点の容易想到性についてア相違点ア(構成要件F)について(ア) 本件特許の優先日(平成18年2月27日)より前に頒布された刊行物には,特開平11-311969号公報(乙イ5。平成11年11月9日公開。以下「乙イ5文献」という。),特開2001-228841号公報(乙イ6。平成13年8月24日公開。以下「乙イ6文献」という。),特開2004-208162号公報(乙イ7。平成16年7月22日公開。以下「乙イ7文献」という。),特開2001-313130号公報(乙イ8。平成13年11月9日公開。以 - 25 -下「乙イ8文献」という。),特開2002-14664号公報(乙イ9。平成14年10月25日公開。以下「乙イ9文献」という。),中華人民共和国実用新案出願公告CN2641944Y(乙イ10。 平成16年(2004年)9月15日公告。以下「乙イ10文献」という。),「NHKデジタルテレビ技術教科書」241ないし2 という。),中華人民共和国実用新案出願公告CN2641944Y(乙イ10。 平成16年(2004年)9月15日公告。以下「乙イ10文献」という。),「NHKデジタルテレビ技術教科書」241ないし242頁(乙イ11。平成19年(2007年)第1刷発行。以下「乙イ11文献」という。),及びJEIDA規格「デジタルモニタインタフェース標準」(乙イ12。平成11年2月制定。以下「乙イ12文献」という。)といったものがある。 (イ) これらの公知文献の記載によれば,本件特許出願(優先日)前において,画像信号を送信する信号規格として,TMDS方式が当業者に広く知られていたことは明らかである。 また,①乙イ8文献に,外部にTMDS方式の信号を伝送することができるコネクタを備えた携帯電話機が記載されていること,②乙イ9文献に,携帯端末がインターネットやPCとの間で通信を経由して画像の取得をする機会が増えていることを指摘した上で,外部ディスプレイに伝送する信号としてTMDS方式が挙げられていること,③乙イ10文献に,スマートフォンに外部ディスプレイを接続した発明において,TMDS方式でデータを外部ディスプレイに伝送した実施例が具体的に記載されており,携帯電話機に外部表示装置を接続して外部表示装置にWebコンテンツを表示させることを目的とする乙イ4発明においても,外部表示装置に送信する信号にTMDS方式を採用する動機が示唆されている。 そうすると,相違点アについて,乙イ4発明の画像出力部17(本件発明の「インターフェース手段A1」に相当する。)から外部表示装置2に送信する信号をTMDS方式のデジタル信号とすることは, - 26 -周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 イ相違点イ(構成要件G)について乙イ4文献の段落【 示装置2に送信する信号をTMDS方式のデジタル信号とすることは, - 26 -周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 イ相違点イ(構成要件G)について乙イ4文献の段落【0020】の記載から,乙イ4発明における「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツ」は,携帯電話機の表示部のサイズや解像度の制約によって携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツであることが示唆されている。 また,上記段落に「表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示する」と記載されていることから,乙イ4発明において「正常に表示」されないとは,携帯電話機の表示部12のサイズや解像度に依存するためにWebコンテンツ本来のサイズや解像度で表示できないことをいうものと解される。その反対解釈により,乙イ4発明において「正常に表示する」とは,「Webコンテンツ本来のサイズや解像度で表示すること」と解される。 さらに,乙イ9文献の段落【0012】に記載されているように,パソコン(PC)用に制作されたWebコンテンツの本来の解像度は「高解像度」であることが明らかである。 以上のことから,乙イ4発明の画像出力部17が備えている「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツを正常に表示する」ための信号を送信する機能は,本件発明の構成要件Gの「高解像度デジタル外部表示信号」を送信する機能と実質的に差違がない。 ウ相違点ウ(構成要件I)について前記イのとおり,乙イ4発明における「正常に表示する」とは,「Webコンテンツ本来のサイズや解像度で表示すること」と解される。 また,乙イ4発明には「本来画像の全体画像」を表示するためのデジタル表示信号を生成することに限定されていないが,乙イ4発明では「携帯電話機での閲覧 本来のサイズや解像度で表示すること」と解される。 また,乙イ4発明には「本来画像の全体画像」を表示するためのデジタル表示信号を生成することに限定されていないが,乙イ4発明では「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部 - 27 -12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示する」ことができるのであるから,「本来画像の全体画像」以外の画像を表示しなければならない理由はなく,「本来画像の全体画像」を表示することは自明である。 エ相違点エ(作用効果の相違点)について前記イのとおり,乙イ4発明における「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示する」とは,携帯電話機の表示部の解像度より高解像度で表示することと解されるから,本件発明と乙イ4発明の作用効果には実質的な差違はない。 (4) 本件訂正発明も進歩性を欠くことア本件訂正発明と乙イ4発明を対比すると,相違点は前記(2)ア(サ)の三つの相違点のほか,次の一点である。 すなわち,本件訂正発明では「前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,」と特定されているのに対し,乙イ4発明ではそのような明示の記載がない点である。 イこの相違点についてみると,①リアルタイムで処理する方法と,②画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する方法,のいずれを選択するかは,当業者の単なる設計事項にすぎない。また,乙イ4文献の段落【0018】には,記憶部16の格納情報を外部表示装置に出力する場合が記載されており,表示しようとうするデータを記憶手段に一旦格納後処理する方法が示唆されている。したがって,当該相違点は当 献の段落【0018】には,記憶部16の格納情報を外部表示装置に出力する場合が記載されており,表示しようとうするデータを記憶手段に一旦格納後処理する方法が示唆されている。したがって,当該相違点は当業者にとって容易に想到できたものであるといえる。 そして,前記(2)ア(サ)の三つの相違点が当業者にとって容易に想到できたものであることは前記(3)のとおりである。 (5) 原告の主張に対する反論原告は,構成要件Gに係る相違点の容易想到性について,乙イ4文献に記 - 28 -載された文言を論理操作するだけでは本件発明の構成要件Gは導き出せない,また,乙イ4発明の構成を特定する際には,乙イ4文献に記載された作用化のみから特定してはならない旨主張する。しかし,特許・実用新案審査基準第Ⅱ部第2章1.5.3(3)①によれば,特許法29条1項3号における「刊行物に記載された発明」の解釈に当たっては,本願出願時における技術常識を参酌することにより当業者が当該刊行物に記載されている事項から導き出せる事項(「刊行物に記載されているに等しい事項」)も,刊行物に記載された発明の認定の基礎とすることができるから,原告の上記主張は失当である。 また,本件明細書等の記載内容は本件の特許出願人である原告の主観的な認識を記載したものにすぎず,優先日当時の当業者の技術常識の客観的な事実が記載されているわけではない。 さらに,特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」の解釈において,作用効果の記載を排除して発明の構成を把握しなければならないという法的根拠はない。 よって,原告の上記主張はいずれも失当である。 (6) まとめ以上のとおり,本件発明及び本件訂正発明と乙イ4発明とは,その構成の相違点は,実質的な差違がないか,又は,周知技術に照らして当 い。 よって,原告の上記主張はいずれも失当である。 (6) まとめ以上のとおり,本件発明及び本件訂正発明と乙イ4発明とは,その構成の相違点は,実質的な差違がないか,又は,周知技術に照らして当業者が容易に想到できたものである。かつ,その作用効果の相違点にも実質的な差違がない。したがって,本件発明及び本件訂正発明は,乙イ4発明及び周知技術から当業者が容易に発明できたものである。 よって,本件発明及び本件訂正発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,特許無効審判により無効にされるべきものと認められる。 〔原告の主張〕 - 29 -(1) 乙イ4発明の特定ア乙イ4文献の段落【0004】ないし【0007】並びに【0026】及び【0202】の記載によれば,本件発明と対比されるべき乙イ4発明の解決課題は,本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性や臨場感を向上させることが可能な携帯電話機を提供することであり,作用効果は,本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性や臨場感を向上させることが可能になること,及び携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが可能となることであると判断される。 イそして,乙イ4文献の段落【0008】ないし【0025】の記載によれば,乙イ4発明における制御部10の技術的特徴は,CPU等から成り,上記各部11ないし17を含む装置全体の動作を制御すること,記憶部16から所望の情報を読み出して画像出力部17に送出し,該情報を外部出力するように要求すること,通話相手から送られてくる画像情報を画像出力部17に送出し,画像出力部17に対して該画像情報を外部出力するように要求すること,送受信 画像出力部17に送出し,該情報を外部出力するように要求すること,通話相手から送られてくる画像情報を画像出力部17に送出し,画像出力部17に対して該画像情報を外部出力するように要求すること,送受信部11を介して指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得して画像出力部17に送出し,該情報を外部出力するように要求すること,送受信部11を介して指定サーバから所望のストリーミング機能を取得しながら,該ストリーミング情報に含まれる画像情報を画像出力部17に送出し,画像出力部17に対して該画像情報を外部出力するように要求することが,また,画像出力部17の技術的特徴は,入力された情報(静止画や動画,文字など)を外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば,ビデオ信号形式)に変換して出力すること,制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力することがそれぞれ記載されているに止まっている。 (2) 乙イ4発明との対比 - 30 -これに対して本件発明の構成要件Gの技術的意義は,本件発明の課題を解決するために,インターフェース手段A1から送信される外部表示信号について,「外部表示信号の本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度よりも大きい」と特定することにある。また,本件発明の構成要件Iの技術的意義は,本件発明の課題を解決するために,前記「データ処理手段」が「ウェブサーバから取得した画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,該画像データファイルをその後読み出した上で処理することによって,表示信号を生成する」という基本処理の機能を有することを特定した上で,「生成される表示信号は,画像データファイルの本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,画像データファイルの本来画像の全体画像の表示信号 処理の機能を有することを特定した上で,「生成される表示信号は,画像データファイルの本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,画像データファイルの本来画像の全体画像の表示信号である」と特定することにある。 以上を前提に本件発明と乙イ4発明を対比すると,本件発明と乙イ4発明とは,少なくとも,構成要件G及びIに関して,次の相違点がある。 〔相違点④g〕インターフェース手段A1から送信される外部表示信号について,本件発明では,その本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度よりも大きいと特定されているのに対し,乙イ4発明では,外部表示信号の本来解像度に関する特定を欠いている点〔相違点④i-1〕データ処理手段について,本件発明では,「ウェブサーバから取得した画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,該画像データファイルをその後読み出した上で処理することによって,表示信号を生成する」機能を有すると特定されているのに対し,乙イ4発明では,そのような特定を欠く点〔相違点④i-2〕データ処理手段が生成する表示信号について,本件発明では,「画像データファイルの本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場 - 31 -合でも,画像データファイルの本来画像の全体画像の表示信号である」と特定されているのに対し,乙イ4発明では,そのような特定を欠く点(3) 構成要件Gに係る相違点について被告らの認定が誤っていること被告らは,構成要件Gの相違点に関し,本件発明と乙イ4発明とは実質的な差異がない旨主張する。 しかし,被告らの主張は,乙イ4文献の段落【0020】の「表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示すること」を「Webコンテンツ本来のサイズや解像度で表示すること」と解釈することに立脚し かし,被告らの主張は,乙イ4文献の段落【0020】の「表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示すること」を「Webコンテンツ本来のサイズや解像度で表示すること」と解釈することに立脚しているが,画面解像度と本来解像度及び画像の解像度の関係とは異なる対象の属性であるから,単に「画面解像度に依存しない」ことを述べるだけでは,「本来解像度」と「画像の解像度」の関係に至る論理はない。 また,「正常に表示する」ことが「Webコンテンツ本来のサイズや解像度で表示すること」を意味することは,少なくとも本件発明の原出願日当時の当業者にとって技術常識ではなかったのであり,むしろ,外部ディスプレイ手段に「本来の解像度」で表示されないことが通常であった。したがって,被告らの主張は,論理的正当性を欠いている。 さらに,被告らの主張は,乙イ4文献の段落【0020】の記載のみをもって,乙イ4発明の画像出力部17が備えている機能を特定しようとするものであるが,当該記載は乙イ発明の作用効果を説明するものであるから,発明の構成要件を,その構成要件がもたらす作用効果のみによって特定しようとするものであり,目的(結果)と手段を混同しており,失当である。また,刊行物に構成要件が記載されておらず,構成要件を充足していれば実現されるであろう作用効果だけが記載されている場合に,当該構成要件が記載されていると主張するには,記載されている作用効果から当該構成要件が導き出されるのに十分な「参酌すべき本願出願時における技術常識」を明示する必要がある。しかし,被告らの主張は,「参酌すべき本願出願時における技術 - 32 -常識」の必要性を考慮していない。加えて,特許・実用新案審査基準には,作用効果について,進歩性判断の根拠となる論理付けに関連する記載はあるが,引用発明 すべき本願出願時における技術 - 32 -常識」の必要性を考慮していない。加えて,特許・実用新案審査基準には,作用効果について,進歩性判断の根拠となる論理付けに関連する記載はあるが,引用発明が特定の構成要件を充足するか否かの認定に作用効果の記載を考慮すべきことを規定する記載はない。 したがって,被告らの主張は論理が失当であるから,構成要件Gに係る相違点について被告らの認定は誤っている。 (4) 構成要件Gに係る相違点の容易想到性について一般に,発明の進歩性を否定するためには,当該発明と主たる引用発明(主引用例)との間の相違点を的確に把握した上で,主引用例に「従たる引用発明」や「文献に記載された周知の技術」等を適用することによって,当該相違点に係る構成に到達することが容易であったとの論理付けを行うことが求められる。 しかし,被告らは,相違点について実質的な差異がないと誤った認定をしているから,相違点の容易想到性について論理付けが全く不十分であるといわざるを得ない。 よって,被告らの主張は失当である。 (5) 構成要件Iに係る相違点について被告らの認定が誤っていること被告らは,本件発明と乙イ4発明とは,その構成の相違点は,実質的な差異がないか,又は,周知技術に照らして当業者が容易に想到できたものである旨主張する。 しかし,被告らの主張は,乙イ4文献の段落【0020】に記載された「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが可能となる」ことのみを根拠とするものである。その論理が失当であることは,前記(3)のとおりである。 したがって,構成要件Iに係る相違点について被告らの認定は誤っている。 - 33 -(6) 構成要件Iに係る相 を根拠とするものである。その論理が失当であることは,前記(3)のとおりである。 したがって,構成要件Iに係る相違点について被告らの認定は誤っている。 - 33 -(6) 構成要件Iに係る相違点の容易想到性について被告らの前記主張は,実質的な差異がないとするが,これに至る論理が失当であるから,相違点の容易想到性の論理付けは全く不十分といわざるを得ない。 また,被告らは,構成要件Iに関して,画像データファイルの処理は,リアルタイムで行うか,データを記憶手段に一旦格納し,その後データを読み出して処理するか,のいずれかしかあり得ないとし,これを前提に,乙イ4発明と本件発明とは,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,外部表示装置に,画像を正常に表示させる機能を有する点で一致しており,①リアルタイムで処理する方法と,②画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する方法のいずれを選択するかは当業者の設計事項にすぎないと主張する。しかし,「設計事項」とされるものは,引用発明に係る方法のある仕様項目に対してあらかじめ特定されている仕様を他の仕様に変更することをいうが,被告らの主張は,設計変更の対象となるべき引用発明を想定しないで一般命題として主張するものである。また,被告らの主張は,上記方法①と②に該当する仕様項目に対して何らかの仕様があらかじめ特定されていない場合においても,上記方法のいずれかを選択することを「設計事項」とする点において,上記の「設計事項」の意義から大きく逸脱している。 (7) 様項目に対して何らかの仕様があらかじめ特定されていない場合においても,上記方法のいずれかを選択することを「設計事項」とする点において,上記の「設計事項」の意義から大きく逸脱している。 (7) 本件訂正発明と乙イ4発明との対比について被告らは,構成要件Iが構成要件I’に訂正されるとしても,本件訂正発明の当該構成要件に係る相違点は当業者にとって容易に想到できると主張するが,乙イ4文献の第1の具体例において格納情報として例示されている - 34 -「アドレス帳や電子メールの内容等」はテキストデータであり,本件訂正発明の構成要件I’で特定される前記「データ処理手段」が処理する「ウェブサーバから取得した画像データファイル」とは,その種類も情報量も全く異なるから,両者を処理するデータ処理手段の機能は全く異なる。したがって,本件訂正発明に乙イ4発明を適用するには阻害要因が存在するといわざるを得ない。 よって,被告らの主張は失当である。 (8) 小括以上のとおり,被告らの主張は容易想到性について論理付けがされているとはいえないから,乙イ4発明から本件発明及び本件訂正発明を容易想到であるということはできない。 よって,本件特許は特許無効審判によって無効にされるべきものとはいえない。 4 争点(2)イ(無効理由1の2〔乙イ4を主引用例とし,乙イ19を副引例とする進歩性欠如〕)について〔被告らの主張〕(1) 本件発明は,乙イ4文献に記載の乙イ4発明に,本件特許の優先日(平成18年2月27日)より前に頒布された刊行物である特開2004-128587号公報(乙イ19。平成16年4月22日公開。以下「乙イ19文献」という。)に記載の発明(以下「乙イ19発明」という。)に,周知技術(乙イ5~7,9,10,21ないし26)を適用することに 28587号公報(乙イ19。平成16年4月22日公開。以下「乙イ19文献」という。)に記載の発明(以下「乙イ19発明」という。)に,周知技術(乙イ5~7,9,10,21ないし26)を適用することによって,当業者が容易に発明することができたものであるから,本件特許は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明であり,特許無効審判によって無効にされるべきものである。 以下(2)以降については,本件訂正発明について主張するものであるが,訂正は特許請求の範囲の減縮であるから,本件訂正発明が進歩性を欠くもの - 35 -であれば,必然的に訂正前のものである本件発明についても本件訂正発明と同じ理由から進歩性を欠くものであることは明らかである。 (2) 対比・判断本件訂正発明と乙イ4発明とを対比する。 アまず,乙イ4発明の「携帯電話機1」は,電話通信のみならず「所望のWebコンテンツ情報」も取得,表示可能であるから情報通信を行う装置であって,本件訂正発明の「携帯情報通信装置」である。 また,乙イ4発明の「ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備えた入力デバイスである操作部14」において,「入力デバイスである操作部14」は「入力手段」といえるものであって,具体的な入力手段である「ダイヤルキーやブラウザ操作キー等」が,「ユーザー」による「マニュアル操作」によって「データ」を入力するのに用いられるものであることも技術常識であり,後記「データ処理手段」(制御部10)が「CPU等から成り,装置全体の動作を制御する」ものである以上,入力された「データ」が該「データ処理手段」(制御部10)に送信されるのも,乙イ4文献の図1の接続関係からも明らかな当然の動作である。 結局,乙イ4発明の「ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備え ,入力された「データ」が該「データ処理手段」(制御部10)に送信されるのも,乙イ4文献の図1の接続関係からも明らかな当然の動作である。 結局,乙イ4発明の「ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備えた入力デバイスである操作部14」は,本件訂正発明の「ユーザーがマニュアル操作によって入力したデータを後記データ処理手段に送信する入力手段」に相当する。 イ乙イ4発明の「送信回路と受信回路を有して成り,アンテナを介して電波を送受信することで,基地局との双方向通信を行う送受信部11」において,乙イ4発明の「送受信部11」は「アンテナを介して電波を送受信する」のであるから,「無線信号」を送受信(通信)する手段であって,本件訂正発明の「無線通信手段」にあたり,後記「データ処理手段」(制御部10)は「CPU等」から成るから,基本的に「デジタ - 36 -ル信号」の形式でデータを処理するものであって,「無線通信手段」(送受信部11)との間でやり取りされる信号は,「アンテナ」との間では「無線信号」であり,後記「データ処理手段」(制御部10)との間では「デジタル信号」となるので,送受信の方向別にみれば,受信回路において「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信する」とともに,送信回路において「後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する」こととなるのも当然のことである。 結局,乙イ4発明の「送信回路と受信回路を有して成り,アンテナを介して電波を送受信することで,基地局との双方向通信を行う送受信部11」は,本件訂正発明の「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信するとともに,後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段」に相当す 」は,本件訂正発明の「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信するとともに,後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段」に相当する。 ウ乙イ4発明の「ROMやRAMから成る情報格納手段である記憶部16」において,「記憶部16」は「情報格納手段」であるから「記憶手段」であり,前述のように後記「データ処理手段」(制御部10)は「CPU等」から成るから,通常その外部に,該CPUを動作させるための「プログラム」や,データ処理の対象となる「データファイル」を格納するための「ROMやRAM」のような「情報格納手段」(記憶手段)を有するのも技術常識である。 結局,乙イ4発明の「ROMやRAMから成る情報格納手段である記憶部16」は,本件訂正発明の「後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段」に相当する。 エ乙イ4発明の「CPU等から成り,装置全体の動作を制御する制御部 - 37 -10」は,前述のように,「CPU等」から成るから,基本的に0/1で表象される「デジタル信号」の形式でデータを処理する「データ処理手段」であって,外部に,該「データ処理手段」を動作させるための「プログラム」や,データ処理の対象となる「データファイル」を格納するための「ROMやRAM」のような「情報格納手段」(記憶手段)を有して,必要に応じて読み出し処理するのも技術常識である。 そして,乙イ4文献の段落【0020】前段の記載や,乙イ4文献の図1の接続関係からも明らかなように,「操作部14」(入力手段),「記憶部16」(記憶手段),「送受信部11」(無線通信手段)と接続されて,必要なデータ,プログラム,信号のやり取りを行い,データ の図1の接続関係からも明らかなように,「操作部14」(入力手段),「記憶部16」(記憶手段),「送受信部11」(無線通信手段)と接続されて,必要なデータ,プログラム,信号のやり取りを行い,データとして処理して,「表示部12」や「画像出力部17」ほかに宛てて「デジタル表示信号及びその他のデジタル信号」を生成,出力する。 結局,乙イ4発明の「CPU等から成り,装置全体の動作を制御する制御部10」は,本件訂正発明の「前記入力手段から送信されたデータ及び前記記憶手段に格納されたプログラムに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号及び/又は前記記憶手段から読み出したデータに必要な処理を行って,デジタル表示信号及びその他のデジタル信号を生成して送信するデータ処理手段」に相当する。 オ乙イ4発明の「液晶ディスプレイ等から成る情報表示手段である表示部12」において,「表示部12」は,「液晶ディスプレイ」等から成る「情報表示手段」であるから,「ディスプレイ手段」であり,「液晶ディスプレイ」が「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネル」を有するのは技術常識であり,そのような画素を駆動するための駆動回路(制御手段)をも有することも同様であって,乙イ4文献の図1の接続関係からも明らかなように,「データ処理手段」(制御部10)に接続されて,「デジタル表示信 - 38 -号」を受信しているから,「前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段」をも有するものである。 結局,乙イ4発明の「液晶ディスプレイ等から成る情報表示手段である表示部12」は,本件訂正発明の「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示する 手段」をも有するものである。 結局,乙イ4発明の「液晶ディスプレイ等から成る情報表示手段である表示部12」は,本件訂正発明の「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段」に相当する。 カまた,乙イ4発明の「入力された情報(静止画や動画,文字など)を外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば,ビデオ信号形式)に変換して出力するインターフェイス部である画像出力部17」において,「外部表示装置2」は「外部ディスプレイ手段を含む周辺装置」であり,「画像出力部17」は「インターフェイス部」であるから,「インターフェース手段A1」ということができ,これも乙イ4文献の図1の接続関係から明らかなように,該「インターフェース手段A1」(画像出力部17)は,前記「外部ディスプレイ手段を含む周辺装置」(外部表示装置2)に接続されている。 そして,乙イ4文献の段落【0020】前段の記載にあるように,前記「データ処理手段」(制御部10)から「デジタル表示信号」を受信して「外部表示信号」(「外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば,ビデオ信号形式)」の信号)に変換して送信していると認められる。 結局,乙イ4発明の「入力された情報(静止画や動画,文字など)を外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば,ビデオ信号形式)に変換して出力するインターフェイス部である画像出力部17」は, - 39 -「TMDS方式で伝送されるデジタル」の点を除き,択一的構成として「外部ディスプレイ手段を含む周辺装置,又は,外部ディスプレイ手段が接 インターフェイス部である画像出力部17」は, - 39 -「TMDS方式で伝送されるデジタル」の点を除き,択一的構成として「外部ディスプレイ手段を含む周辺装置,又は,外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1」の点で本件訂正発明と一致する。 キまた,前述の「データ処理手段」(制御部10)及び「インターフェース手段A1」(画像出力部17)の認定,乙イ4文献の段落【0020】前段の記載をみれば,乙イ4発明の「携帯電話機1」は,「高解像度デジタル」の点を除き,「前記データ処理手段と前記インターフェース手段A1とが相俟って,該インターフェース手段A1から,外部表示信号を送信する機能を実現する携帯情報通信装置」の点で本件訂正発明と一致する。 ク乙イ4発明の「データ処理手段」(制御部10)は,「送受信部11を介して指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得」するから,「無線通信手段」(送受信部11)とも相俟って動作するものであり,いわゆる「Web」(ウェブ)が,通常インターネット上で「インターネットプロトコル」によりアクセスされるものであり,「Webコンテンツ情報」を保持する「サーバ」が「インターネットに接続したウェブサーバ」であって,「Webコンテンツ情報」には通常「画像データファイル」が含まれるなどの情報通信の分野における技術常識を勘案すれば,結局,「指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得」する乙イ4発明は,「ユーザーエージェント情報を含み」の点を除き,要求信号として「インターネットプロトコルに準拠した無線信号を送信する機能」と,応答信号として「インターネットプロトコルに準拠した無線 る乙イ4発明は,「ユーザーエージェント情報を含み」の点を除き,要求信号として「インターネットプロトコルに準拠した無線信号を送信する機能」と,応答信号として「インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信することにより,インターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルを取得する機能」を実現する点で本件訂正発明と - 40 -一致する。 ケしたがって,乙イ4発明と本件訂正発明とは,以下の点で一致し,また相違する。 〔一致点〕「ユーザーがマニュアル操作によって入力したデータを後記データ処理手段に送信する入力手段と,無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信するとともに,後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と,後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と,前記入力手段から送信されたデータ及び前記記憶手段に格納されたプログラムに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号及び/又は前記記憶手段から読み出したデータに必要な処理を行って,デジタル表示信号及びその他のデジタル信号を生成して送信するデータ処理手段と,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段と,外部ディスプレイ手段を含む周辺装置,又は,外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手 イ手段を含む周辺装置,又は,外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1と,を備えるとともに,前記データ処理手段と前記インターフェース手段A1とが相俟って, - 41 -該インターフェース手段A1から,外部表示信号を送信する機能を実現する携帯情報通信装置であって,前記無線通信手段と前記データ処理手段とが相俟って,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を送信する機能と,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信することにより,インターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルを取得する機能と,を実現する携帯情報通信装置。」〔相違点1〕「インターフェース手段」から送信される「外部表示信号」に関し,本件訂正発明では「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」,「高解像度デジタル外部表示信号」であるのに対し,乙イ4発明では「外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば,ビデオ信号形式)」の信号である点〔相違点2〕送信される「インターネットプロトコルに準拠した無線信号」に関し,本件訂正発明では「ユーザーエージェント情報を含みインターネットプロトコルに準拠した無線信号」であるのに対し,乙イ4発明では,単に「指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得」するための要求信号である点〔相違点3〕本件訂正発明は,「前記データ処理手段は,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,前記画像データファ データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,前記画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成する機能」を有する - 42 -のに対し,乙イ4発明は,そのような構成要件はない点(3) 相違点の容易想到性についてアまず,上記相違点1の「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」,「高解像度デジタル外部表示信号」について検討する。 乙イ5文献,乙イ6文献,乙イ7文献,特開2004-304220号公報(乙イ21。平成16年10月28日公開。以下「乙イ21文献」という。),特開2004-88272号公報(乙イ22。平成16年3月18日公開。以下「乙イ22文献」という。),乙イ9文献及び乙イ10文献の記載によれば,「外部ディスプレイ装置に送信される外部表示信号をTMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号とすること」は周知技術である。また,一般に「外部ディスプレイ装置」のほうが,携帯機器本体の有するディスプレイ手段よりも「高解像度」であるのも普通のことである。 したがって,乙イ4発明に該周知技術1を適用し,乙イ4発明の「外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば,ビデオ信号形式)」の信号(外部表示信号)を,「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」,「高解像度デジタル外部表示信号」とすることは当業者であれば容易に想到し得たものであり,相違点1は格別のことではない。 イ次に,相違点2の「ユーザーエージェント情報を含みインターネットプロトコルに準拠した無線信号」について検討する。 「インターネットプロトコルに準拠した信号がユーザーエージェント情報を含 イ次に,相違点2の「ユーザーエージェント情報を含みインターネットプロトコルに準拠した無線信号」について検討する。 「インターネットプロトコルに準拠した信号がユーザーエージェント情報を含むこと」は周知技術であるから,乙イ4発明に該周知技術を適用し,送信される「指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得」するための要求信号(インターネットプロトコルに準拠した無線信号)を「ユーザーエージェント情報」を含むものとすることは当業者であれば容易に想到し得たものであり,相違点2も格別のことではない - 43 -ウ最後に,相違点3の「デジタル表示信号を生成する機能」について検討する。乙イ19発明の構成は次のとおりである。 「撮像素子によって被写体を撮影する撮像手段を有するデジタルカメラであって,前記撮像素子から得られる画像を表示する表示手段と,前記撮像素子から得られる画像を記録する記録手段と,前記表示手段よりも高解像度の外部表示装置を接続可能な接続手段と,前記撮像素子から得られる画像データに対して所定の解像度変換を行う解像度変換部と,を備え,前記解像度変換部は,前記撮像手段の生成する画像データの本来解像度が前記表示手段の画面解像度より大きい場合に,前記接続手段に対して前記外部表示装置が接続された場合,前記外部表示装置の表示解像度に適合させて表示用画像データを生成するように構成されるデジタルカメラ」そして,乙イ19発明は,本願出願前公知のものである。 一般に携帯電話機などの「携帯情報通信装置」にカメラ機能も設けることは本願出願前に既に広く知られた技術であるが,乙イ4発明にも「撮像部15」として開示のあることであり,乙イ4発明の携帯電話機もデジタルカメラとしても機能するのは明らかであって技術分野は も設けることは本願出願前に既に広く知られた技術であるが,乙イ4発明にも「撮像部15」として開示のあることであり,乙イ4発明の携帯電話機もデジタルカメラとしても機能するのは明らかであって技術分野は共通するものである。 また,乙イ4発明の携帯電話機も乙イ19発明のデジタルカメラも,いずれも本体側の表示手段の他に外部にも表示装置を接続して画像を出力可能としたものである点において,基本的な構成と課題も共通する。 したがって,乙イ4発明に乙イ19発明を適用するのに特段の阻害要因はない。 - 44 -そして,本体のカメラ機能により撮影した画像データであろうと,インターネットから取得した画像データファイルであろうと,画像データとしての表示のための課題や手段に変わりがないのは自明なことにすぎず,データファイルを記憶手段に格納後,読み出し処理するのは,特に例示するまでもなく情報処理技術における周知慣用の手法である。また,画像データファイルの処理を「データ処理手段」において行うこと,「本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成する」ことなども必要に応じてなし得る適宜のことである。 したがって,「前記データ処理手段は,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,前記画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成する機能」を有するものとする相違点3も,当業者であれば乙イ4発明に乙イ19発明を適用することにより容易になし得たことにすぎない。 エそして,本件訂正発明が奏する作用効果についてみても,乙イ4発明,乙イ19発明及び周知技術から,当業者が予測しうる程度のものである。 オ 適用することにより容易になし得たことにすぎない。 エそして,本件訂正発明が奏する作用効果についてみても,乙イ4発明,乙イ19発明及び周知技術から,当業者が予測しうる程度のものである。 オよって,本件訂正発明は,乙イ4発明,乙イ19発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許無効審判によって無効とされるべきものであるから,特許法104条の3により権利行使できないものである。 〔原告の主張〕(1) 乙イ4発明との対比被告らが主張する前記相違点1は,次の二つの独立した内容のものに分けられる。 〔相違点1-1〕 - 45 -本件訂正発明では,インタフェース手段から「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」が送信されるのに対し,乙イ4発明では,「TMDS方式で伝送されるデジタル」外部表示信号を出力することについて特定されない点〔相違点1-2〕本件訂正発明では,インタフェース手段から「高解像度外部表示信号」が送信されるのに対し,乙イ4発明では,「高解像度」外部表示信号を出力することについて特定されない点また,被告らが主張する前記相違点3は,次の二つの独立した内容のものに分けられる。 〔相違点3-1〕データ処理手段について,本件訂正発明では,「ウェブサーバから取得した画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,前記画像データファイルをその後読み出した上で処理することによって,表示信号を生成する」機能を有すると特定されているのに対し,乙イ4発明では,そのような特定を欠く点〔相違点3-2〕データ処理手段について,本件訂正発明では,「ウェブサーバから取得した画像データファイルの本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度よ 4発明では,そのような特定を欠く点〔相違点3-2〕データ処理手段について,本件訂正発明では,「ウェブサーバから取得した画像データファイルの本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルの本来画像の全体画像の表示信号を生成する」と特定されるのに対し,乙イ4発明では,そのような特定を欠く点(2) 相違点1-2の容易想到性についてまず,本件特許の優先日以前において,一般に,外部ディスプレイ装置のほうが携帯機器本体の有するディスプレイ手段よりも高解像度であることについては,何ら立証されていない。 - 46 -この点を措くとしても,被告らの主張は,相違点1-2の容易想到性について論理付けができていない。すなわち,本件明細書等において,「ディスプレイパネル又はディスプレイ手段」の属性である「画面解像度」と,「画像データファイル又は信号」の属性である「本来解像度」とは,属性を異にして明確に区別されるべきものである。被告らの主張は,属性を異にするものに基づいて相違点の容易想到性を論理付けしようとしており,失当である。 また,本件特許の優先日以前の技術水準をみると,「外部ディスプレイ装置の画面解像度」が「携帯情報通信装置が備えているディスプレイ手段の画面解像度」より大きいとしても,「外部ディスプレイ装置に表示される画像の解像度」が「携帯情報通信装置が備えているディスプレイ手段に表示される画像の解像度」と同じであることは普通であった。そうすると,「外部ディスプレイ装置に送信される外部表示信号の本来解像度」が「携帯情報通信装置が備えているディスプレイ手段の画面解像度」と同じであることに帰結する。被告らは,本件特許の優先日以前において前者が後者より大きいことが普通であったと主張するが, の本来解像度」が「携帯情報通信装置が備えているディスプレイ手段の画面解像度」と同じであることに帰結する。被告らは,本件特許の優先日以前において前者が後者より大きいことが普通であったと主張するが,この被告らの主張は事実に反するものであり,失当である。 したがって,被告らの主張は,相違点1-2の容易想到性が論理付けされていない。 (3) 相違点3-1の容易想到性について相違点3-1は,「ウェブサーバから取得した画像データファイル」の処理に関するものであるが,周知技術とされるデータファイルの種類が限定される可能性が否定できないから,容易想到性が論理付けされていない。 被告らは,ウェブサーバから取得した画像データファイルを記憶手段に格納後,読み出し処理する手法を周知技術と主張するようである。しかし,周知技術は,本件訂正発明や乙イ4発明の技術分野における周知技術に限定されるべきであるところ,被告らは当該技術分野における周知技術を主張立証 - 47 -していない。 また,「ウェブサーバから取得した画像データファイル」は,テキストデータなどと異なって情報量が大きく,それを「記憶手段に格納後,読み出し処理する」ためには,高機能のデータ処理手段や大容量の記憶手段を必要とする。しかし,乙イ4発明は携帯性が重視されるためにサイズに制約があり,本件特許の優先日以前においてプロセッサ等の素子の小型化が十分に進んでいなかったなかでは,高機能のデータ処理手段や大容量の記憶手段を備えることには阻害要因が存在した。 したがって,被告らの主張は,相違点3-1の容易想到性が論理付けされていない。 (4) 相違点3-2の容易想到性について乙イ19発明は「デジタルカメラ」に係る発明であるが,乙イ4発明の携帯電話機も「撮影部15」として開示されている 1の容易想到性が論理付けされていない。 (4) 相違点3-2の容易想到性について乙イ19発明は「デジタルカメラ」に係る発明であるが,乙イ4発明の携帯電話機も「撮影部15」として開示されているとおり,デジタルカメラとしても機能するものであるから,乙イ4発明に乙イ19発明が適用されるとして,適用されるのは,乙イ4発明のデジタルカメラ機能に対してである。 そうすると,当該適用によって当業者が想到可能なのは,「前記撮像素子から得られる画像データに対して所定の解像度変換を行う解像度変換部を備え,前記解像度変換部は,前記撮像素子の生成する画像データの本来解像度が前記表示手段の画面解像度より大きい場合に,前記外部表示装置の表示解像度に適合させて表示用画像データを生成する」という構成である。そして,乙イ19発明の「前記撮像素子から得られる画像データ」は,「撮像素子が被写体像を撮影して生成される電子的な画像信号」を意味するが,乙イ4発明の「ウェブサーバから取得される画像データファイル」や「指定サーバから取得されるWebコンテンツ情報」とは異なる処理対象から,当業者の通常の創作能力を発揮したとしても,相違点3-2を想到するには至らない。 したがって,被告らの主張は,相違点3-2の容易想到性が論理付けされ - 48 -ていない。 (5) 小括以上のことから,乙イ4発明を主引用例とし,乙イ19発明を副引用例として当業者が想到することは困難である。 よって,本件特許は特許無効審判によって無効にされるべきものとはいえない。 5 争点(2)ウ(無効理由2〔乙イ13を主引用例とする進歩性欠如〕)について〔被告らの主張〕(1) 本件発明は,特開2001-197167号公報(乙イ13。平成13年7月19日公開。以下「乙イ13文献」という。)に記 〔乙イ13を主引用例とする進歩性欠如〕)について〔被告らの主張〕(1) 本件発明は,特開2001-197167号公報(乙イ13。平成13年7月19日公開。以下「乙イ13文献」という。)に記載の発明(以下「乙イ13発明」という。)に,周知技術(乙イ5~12)を適用することによって,当業者が容易に発明することができたものであるから,本件発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明であり,特許無効審判により無効にされるべきものである。 (2) 本件発明と乙イ13発明との対比本件発明と乙イ13発明とを対比すると,次のとおりになる。 ア発明の構成の異同(ア) 構成要件A乙イ13発明の操作部20は,テンキーやファンクションキーから構成され,各種の機能データを入力可能にしている(段落【0010】)から,マニュアル操作によって入力する機能を備えている。また,操作部10で入力されたデータはCPU11に送信されている(乙イ13文献の図1)。 したがって,乙イ13発明の「操作部20」と本件発明の「入力手段」とは相違点がなく,構成要件Aについて,本件発明と乙イ13発明 - 49 -とは同一である。 (イ) 構成要件B乙イ13発明の通信部12は,アンテナ12aを有し,送信信号の変調及び受信信号の復調機能を有する(段落【0008】)。すなわち,通信部12は,デジタル信号を受信して無線信号に変換する機能(送信信号の変調機能)及び無線信号を受信してデジタル信号に変換する機能(受信信号の復調機能)を有する。また,図1から,通信部12が無線信号を受信し変換したデジタル信号はCPU11に送信され,CPU11から送信されたデジタル信号は通信部12で無線信号に変換されて送信されていることは明らかで 有する。また,図1から,通信部12が無線信号を受信し変換したデジタル信号はCPU11に送信され,CPU11から送信されたデジタル信号は通信部12で無線信号に変換されて送信されていることは明らかである。 したがって,乙イ13発明の「通信部12」と本件発明の「無線通信手段」とは相違点がなく,構成要件Bについて,本件発明と乙イ13発明とは同一である。 (ウ) 構成要件C乙イ13発明のROM14は,CPU11が実行する送信や着信の各種電話機能プログラムなどを格納している(段落【0009】)。また,乙イ第13文献の段落【0011】には,「表示制御回路21は,CPU11の制御下で,入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに,該画像メモリ22に記憶させた表示データを電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23に表示させる。」と記載されており,乙イ13発明の画像メモリ22はデータファイルを格納する記憶手段に該当する。 したがって,乙イ13発明の「ROM14及び画像メモリ22」は本件発明の「記憶手段」と相違点がなく,構成要件Cについて,本件発明と乙イ13発明とは同一である。 (エ) 構成要件D - 50 -a 乙イ13発明の表示制御回路21は,CPU11の制御下で,入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに,該画像メモリ22に記憶させた表示データを電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23に表示させる(段落【0011】)から,表示制御回路21及びCPU11は,入力手段から送信されたデータに基づいてデジタル表示信号を生成させる手段である。 また,CPU等がROMに格納されたプログラムに基づいて処理を行うことは技術常識に照らして明らかである。 さらに,乙イ13文献の 信されたデータに基づいてデジタル表示信号を生成させる手段である。 また,CPU等がROMに格納されたプログラムに基づいて処理を行うことは技術常識に照らして明らかである。 さらに,乙イ13文献の段落【0013】】(3頁右欄1~15行)には,「表示制御回路21は,……,外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く,簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データにあっては,つまり表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応しない場合には,画面表示領域の大きいCRT表示器24に表示できるように,その表示データ(ドットデータ)をモニタ端子25へ同期信号と共に送出する。」と記載されている。すなわち,乙イ13発明の表示制御回路21及びCPU11は,外部から取り込んだ画像情報などのデータ量が多い表示データを外部CRT表示器で表示できるような表示信号を生成している。 したがって,乙イ13発明の「表示制御回路21およびCPU11」と本件発明の「データ処理手段」とは,入力手段から送信されたデータ及び記憶手段に格納されたプログラムに基づき,外部から取り込んだ画像情報などのデータに必要な処理を行って,デジタル表示信号を生成して送信する点で一致する。そして,技術常識に照らして,デジタル表示信号以外のデジタル信号(その他のデジタル信号)を生成していないとは考えられないから,その他のデジタル信号を生成し - 51 -ていることは自明である。 b 他方で,本件発明では「前記無線通信手段から受信したデジタル信号」と特定されているのに対し,乙イ13発明では「外部から取り込んだ画像情報など」としか特定されていない点で一応は相違する。 (オ) 構成要件E乙イ13発明では,携帯電話機本体に簡易型液晶表示パネル23が されているのに対し,乙イ13発明では「外部から取り込んだ画像情報など」としか特定されていない点で一応は相違する。 (オ) 構成要件E乙イ13発明では,携帯電話機本体に簡易型液晶表示パネル23が設けられている(段落【0010】,【0011】及び図1)。液晶ディスプレイ装置が,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示する液晶パネルと,前記液晶パネルの画面を構成している各々の画素を駆動する制御手段とから構成されていることは技術常識であるから,乙イ13発明の「簡易型液晶表示パネル23」と本件発明の「ディスプレイ手段」とは,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと,前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成される点で一致する。 また,本件発明では,ディスプレイ制御手段が「前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき」と明記されているが,データ処理手段によって生成されたデジタル表示信号に基づいて内部ディスプレイが制御されることは技術常識に照らして明らかであるから,この点でも本件発明と乙イ13発明とは相違がない。 したがって,構成要件Eについて,本件発明と乙イ13発明とは同一である。 (カ) 構成要件Fa 乙イ13発明の表示制御回路21は,外部から取り込んだ画像情報などのデータ量の多い表示データを,画面表示領域の大きいCRT表示器24に表示できるように,その表示データ(ドットデータ)をモ - 52 -ニタ端子25へ同期信号と共に送出する機能を有している(段落【0013】(3頁右欄1~15行))。 したがって,乙イ13発明の「表示制御回路21及びモニタ端子」と本件発明の「インターフェース手段A1」とは,外部ディスプレイ に送出する機能を有している(段落【0013】(3頁右欄1~15行))。 したがって,乙イ13発明の「表示制御回路21及びモニタ端子」と本件発明の「インターフェース手段A1」とは,外部ディスプレイ手段を含む周辺装置に対して,前記「データ処理手段」から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信する手段である点で一致する。 なお,乙イ13発明の「CPU11及び表示制御回路21(の一部)」が本件発明の前記「データ処理手段」に対応し,乙イ13発明の「表示制御回路21(の他の一部)及びモニタ端子25」が本件発明の「インターフェース手段A1」に対応することになる。 b 他方で,本件発明ではインターフェース手段から外部ディスプレイ装置に送信する信号が「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ13発明にはそのような限定がない点で一応は相違する。 (キ) 構成要件Ga 乙イ13発明では,外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く,簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ(ドットデータ)を,表示制御回路21からモニタ端子25へ同期信号と共に送出し,CRT表示器24で表示させている(段落【0013】(3頁右欄8-15行)。 したがって,乙イ13発明と本件発明とは,少なくとも「データ処理手段」とインターフェース手段A1とが関与して,インターフェース手段A1から外部表示装置に表示信号を送信する機能を有する点で一致する。 b 他方で,本件発明では,「高解像度デジタル外部表示信号を送信す - 53 -る」と特定しているのに対し,乙イ13発明では「外部から取り込んだ画像情報などの,データ量が多く簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」と特定してい 表示信号を送信す - 53 -る」と特定しているのに対し,乙イ13発明では「外部から取り込んだ画像情報などの,データ量が多く簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」と特定している点で一応は相違する。 (ク) 構成要件Ha 乙イ13発明では,外部から取り込んだ画像情報を表示させることが想定されており(段落【0013】(第3頁右欄8-9行)),乙イ13発明と本件発明とは,外部から画像データファイルを取得する機能を有する点で一致する。 b 他方で,本件発明は,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を送受信することによりインターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルを取得することが特定されているのに対し,乙イ13発明では,単に「外部」としか特定されていない点で相違する。 (ケ) 構成要件Ia 乙イ13発明では,外部から取り込んだ画像情報などのデータ量が多いために簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータを,画面表示領域の大きいCRT表示器24で表示できるように表示データをモニタ端子25へ送出している(段落【0013】(3頁右欄8-15行))。 したがって,乙イ13発明の「表示制御回路21」と本件発明の前記「データ処理手段」とは,内部ディスプレイでは明瞭に表示できない画像データを,外部ディスプレイ装置で表示できるような表示信号を生成する機能を有する点で一致する。 b 他方で,乙イ13発明と本件発明とは,構成要件Iについて,次の2点で相違する。 ① 本件発明では「画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合」と特定しているのに対 - 54 -し,乙イ13発明では「データ量が多いために簡易型液晶表示パネル23では明瞭に データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合」と特定しているのに対 - 54 -し,乙イ13発明では「データ量が多いために簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ,つまり表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応しない場合」と特定している点② 本件発明では,生成する表示信号を「本来画像の全体画像のデジタル表示信号」と特定しているのに対し,乙イ13発明ではそのような特定がない点(コ) 構成要件J乙イ13発明は携帯電話機に関する発明であり,構成要件Jについて,本件発明と乙イ13発明は同一である。 (サ) 小括以上のとおり,本件発明と乙イ13発明の構成は,次の相違点アないしカで相違し,その余は同一である。したがって,乙イ13発明には,本件発明の構成要件AないしC,E及びJの全てが,また,本件発明の構成要件D,F,G,H及びIの一部が開示されている。 〔相違点ア〕(構成要件Dで)本件発明では「前記無線通信手段から受信したデジタル信号」と特定されているのに対し,乙イ13発明では「外部から取り込んだ画像情報など」としか特定されていない点〔相違点イ〕(構成要件Fで)本件発明ではインターフェース手段から外部ディスプレイ装置に送信する信号が「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ13発明にはそのような限定がない点〔相違点ウ〕(構成要件Gで)本件発明では「高解像度デジタル外部表示信号を送 - 55 -信する」と特定されているのに対し,乙イ13発明では「外部から取り込んだ画像情報などの,データ量が多く簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」と特定されている点〔相違点エ〕(構成要件Hで)本件発 ているのに対し,乙イ13発明では「外部から取り込んだ画像情報などの,データ量が多く簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」と特定されている点〔相違点エ〕(構成要件Hで)本件発明では,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を送受信することによりインターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルを取得することが特定されているのに対し,乙イ13発明では,単に「外部」としか特定されていない点〔相違点オ〕(構成要件Iで)本件発明では「画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合」と特定されているのに対し,乙イ13発明では「データ量が多いために簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ,つまり表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応しない場合」と特定されている点〔相違点カ〕(構成要件Iで)本件発明では生成する表示信号を「本来画像の全体画像のデジタル表示信号」と特定されているのに対し,乙イ13発明ではそのようには特定されていない点イ発明の作用効果の異同(ア) 本件発明の作用効果前記のとおり,本件発明は「高解像度外部ディスプレイ手段の画面において,付属ディスプレイパネルの画面解像度の制約を受けることなく,該付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を表示することができる」との作用効果を奏する。 (イ) 乙イ13発明の作用効果 - 56 -乙イ13文献の段落【0016】には,「携帯電話機に固有の簡易型液晶表示パネルでは細部まで表示できなかったすべての表示データも,CRT表示器を表示制御回路に接続するだけで分り易く表示できるという効果が得られる。」と記載されている。 (ウ) 本件 固有の簡易型液晶表示パネルでは細部まで表示できなかったすべての表示データも,CRT表示器を表示制御回路に接続するだけで分り易く表示できるという効果が得られる。」と記載されている。 (ウ) 本件発明と乙イ13発明の作用効果の対比a 本件発明と乙イ13発明とは,携帯情報通信装置に固有の表示パネルでは明瞭に表示できなかった表示データを外部表示器に分かり易く表示できる作用効果を奏する点で一致する。 b 他方で,本件発明では「高解像度画像を表示することができる」と特定されているのに対し,乙イ13発明では「細部まで表示できなかったすべての表示データ」を「分かり易く表示できる」と特定されている点で一応は相違する(相違点キ)。 (3) 相違点の容易想到性についてア相違点ア(構成要件D)について乙イ13発明は,無線通信手段である通信部12を備えており,また,ウェブサイトから特定の画面を取り込むことが示唆されている(段落【0003】)から,乙イ13発明の「外部から取り込んだ」とは,通信部12を通じてウェブサイトから画面を取り込んだことと解される。したがって,本件発明と乙イ13発明とは,実質的な差違はない。 イ相違点イ(構成要件F)について前記1(3)アのとおり,本件特許の優先日前には,外部ディスプレイ装置に送信される信号をTMDS方式のデジタル信号とすることは周知技術であったから,乙イ13発明のモニタ端子からのデータ伝送方式としてTMDS方式を採用することは,当業者が容易に想到できたことである。 ウ相違点ウ(構成要件G)について乙イ13発明では「データ量が多く簡易型液晶表示パネル23では明瞭 - 57 -に表示できないデータ」と特定され,高解像度デジタル表示信号に限定されていないが,「データ量が多く」,「簡易型液 乙イ13発明では「データ量が多く簡易型液晶表示パネル23では明瞭 - 57 -に表示できないデータ」と特定され,高解像度デジタル表示信号に限定されていないが,「データ量が多く」,「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない」とのキーワードから,高解像度デジタル外部表示信号が,乙イ13発明の「データ量が多く簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」に該当することは自明である。 したがって,本件発明と乙イ13発明とは,実質的な差違はない。 エ相違点エ(構成要件H)について乙イ13文献の段落【0003】には,従来の技術の説明の中で,「ウェブサイトから特定の画面を取り込んで,」との記載があることから,画像データファイルの取得先の「外部」としてウェブサイトを選択することが教示ないし示唆されている。そして,ウェブサーバと無線通信手段で受送信するときにはインターネットプロトコルに準拠した無線信号を用いることは技術常識に照らして明らかである。 したがって,本件発明と乙イ13発明とは,実質的な差違はない。 オ相違点オ(構成要件I)について「画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルA(=内部ディスプレイ)の画面解像度より大きい場合」は,「表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応しない場合」の典型的なケースである。 したがって,本件発明と乙イ13発明とは,実質的な差異はない。 カ相違点カ(構成要件I)について乙イ13文献の段落【0014】には,「…CRT表示器24を使うことで必要とする表示データのすべてを欠落なく表示でき,従来のように,スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる。」との記載があり,また乙イ13文献の【発明の効果】の欄には,「携帯電話機に固有の とで必要とする表示データのすべてを欠落なく表示でき,従来のように,スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる。」との記載があり,また乙イ13文献の【発明の効果】の欄には,「携帯電話機に固有の簡易型液晶表示パネルでは細部まで表示できなかったすべての表示データも, - 58 -CRT表示器を表示制御回路に接続するだけで分り易く表示できる」と記載されていることから,乙イ13発明でも「全体画像」の表示信号を生成しているものと解される。そして,乙イ13発明において,表示データを,画素を間引いたり,画素を補間したりしていないため,「本来画像」の外部表示信号が生成されていると解される。したがって,本件発明と乙イ13発明とは,実質的な差違はない。 キ相違点キ(発明の作用効果)について「簡易型液晶表示パネルでは細部まで表示できなかったすべての表示データ」が分かり易く表示できるのであれば,高解像度画像を表示できるはずであるから,本件発明と乙イ13発明の作用効果は,単に表現が異なるだけであり,実質的な差違はない。 (4) 本件訂正発明も進歩性を欠くことア本件訂正発明と乙イ13発明を対比すると,相違点は前記(2)ア(サ)の六つの相違点のほか,次の一点である。 すなわち,本件訂正発明では「前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,」と特定されているのに対し,乙イ13発明ではそのような明示の記載がない点である。 イこの相違点についてみると,①リアルタイムで処理する方法と,②画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する方法,のいずれを選択するかは,当業者の単なる設計事項にすぎない。また,乙イ4文献の段落【0018】には,記憶部16の格納情報を外部表 タファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する方法,のいずれを選択するかは,当業者の単なる設計事項にすぎない。また,乙イ4文献の段落【0018】には,記憶部16の格納情報を外部表示装置に出力する場合が記載されており,表示しようとうするデータを記憶手段に一旦格納後処理する方法が示唆されている。したがって,当該相違点は当業者にとって容易に想到できたものであるといえる。 そして,前記(2)ア(サ)の六つの相違点が当業者にとって容易に想到でき - 59 -たものであることは前記(2)ア(サ)のとおりである。 (5) 原告の主張に対する反論ア原告は,構成要件Gに係る相違点の容易想到性について,乙イ13文献に記載されている「一度に表示すべきデータ量が多く,簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない」のは,画像データファイルであり,外部表示信号とは別の対象であること,乙イ13文献には,「解像度」や「画素数」等の用語が記載されておらず,「明瞭に表示できない」等の基準が明確ではないと主張する。 しかし,乙イ13文献には,モニタ端子25にデータを送信する目的が画面表示領域の大きい外部表示装置に表示できるようにすることであることが示唆されている。また,当業者であれば,表示させようとする画像情報の画素数が簡易型液晶表示パネルの画素数より大きい場合が「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない場合」の典型的な場合でると容易に理解できる。 したがって,当業者であれば乙イ13発明に基づいて相違点を容易に想到できたものであることは左右されるものではない。 イまた,原告は,構成要件Iに係る相違点の容易想到性について,乙イ13文献には,画像データから表示信号の生成に至る処理については何ら示唆がされていないと主張し, ことは左右されるものではない。 イまた,原告は,構成要件Iに係る相違点の容易想到性について,乙イ13文献には,画像データから表示信号の生成に至る処理については何ら示唆がされていないと主張し,ほかに,乙イ13文献には,「解像度」や「画素数」等の用語が一切記載されていないこと,乙イ13発明の作用効果によって乙イ13発明の構成を特定するのは不当であること,「画像情報のモニタ端子25への送出」という単なる「情報の受け渡し」に関する特定は,「画像データファイルの処理」に関する特定を含意していない旨主張する。 しかし,特許法29条1項3号における「刊行物に記載された発明」の解釈に当たっては,刊行物に文字どおりに記載された事項のみならず, - 60 -「刊行物に記載されているに等しい事項」も刊行物に記載された発明の認定の基礎とすることができるのであり,乙イ13発明においては,モニタ端子25から外部表示装置24に送出される信号は外部表示信号であることは自明であるから,乙イ13文献に記載されていないからといって,乙イ13発明が画像データファイルを処理していないということにはならない。 また,乙イ13文献に「解像度」や「画素数」が明示されていなくとも,本件優先日前に当業者は構成要件Iに係る相違点を容易に想到することはできる。 そして,特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」の解釈において,作用効果の記載を排除して発明の構成を把握しなければならないという法理はない。 さらに,乙イ13文献では,「画素を間引いたり,画素を補間したりする」データ処理が行われていないことから,乙イ13文献において「画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号」を生成することが示されている。 以上のとおり,原告の前記主張はいずれも失当である ータ処理が行われていないことから,乙イ13文献において「画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号」を生成することが示されている。 以上のとおり,原告の前記主張はいずれも失当である。 (6) まとめ以上のとおり,本件発明及び本件訂正発明と乙イ13発明とは,その構成の相違点は,実質的な差違がないか,又は,周知技術に照らして当業者が容易に想到できたものであり,その作用効果の相違点は,実質的な差違がないものである。したがって,本件発明及び本件訂正発明は,乙イ13発明及び周知技術から当業者が容易に発明できたものである。 よって,本件発明及び本件訂正発明は,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものであり,無効審判により無効にされるべきものである。 - 61 -〔原告の主張〕(1) 乙イ13発明の特定乙イ13文献の段落【0004】,【0005】,【0014】及び【0016】の記載によれば,本件発明と対比されるべき乙イ13発明の解決課題は,表示すべき表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネルに表示しきれない場合には,外部接続されたCRT等の大型ディスプレイにより全ての表示データを拡大して分かり易く表示することができる携帯電話機を提供することであり,作用効果は,携帯電話機に固有の簡易型液晶表示パネルでは細部まで表示できなかったすべての表示データも,CRT表示器を表示制御回路に接続するだけで分かり易く表示できること,及び画像を形成する画面上の表示データ量が多い場合であって,簡易型液晶パネル23では表示内容が明瞭でない場合には,CRT表示器24を使うことで必要とする表示データの全てを欠落なく表示でき,従来のように,スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなることであると判断される。 そ 示内容が明瞭でない場合には,CRT表示器24を使うことで必要とする表示データの全てを欠落なく表示でき,従来のように,スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなることであると判断される。 そして,乙イ13文献の段落【0006】並びに【0008】ないし【0014】の記載によれば,乙イ13発明におけるCPU11の技術的特徴については,電話機能プログラムを実行することにより,携帯電話機各部の動作を制御すること,通話前において,RAM13に登録してある通話相手の電話番号や氏名,あるいはメッセージ等を読み出し,表示制御回路21へ出力することが記載されているに止まっている。 また,乙イ13文献の上記記載によれば,表示制御回路21の技術的特徴については,①表示制御回路21は液晶表示パネルの表示モードのほかCRT表示装置の表示モードを持つこと,②上記液晶表示パネルの表示モードの機能として,CPU11の制御下で,入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに,該画像メモリ22に記憶させた表示デ - 62 -ータを電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23に表示させること,表示制御回路21は,CPU11の制御下で,入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに,該画像メモリ22に記憶させた表示データを電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23に表示させること,表示すべき表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応する場合(電話番号や簡単なメッセージなどのように表示すべき情報量が少なく,全てを同時に表示できる場合),又は,表示データの送出先が簡易液晶表示パネル23を指示する場合には,該簡易型液晶表示パネル23に表示データを送って表示させること,③上記CRT表示装置の表示モードの機能については,表示すべき表 ,又は,表示データの送出先が簡易液晶表示パネル23を指示する場合には,該簡易型液晶表示パネル23に表示データを送って表示させること,③上記CRT表示装置の表示モードの機能については,表示すべき表示データを外部に接続させる大型表示装置に送出可能であること,表示すべき表示データのコンテンツがモニタ端子25に接続されたCRT表示器24に対応する場合(外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く,簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データにあっては,つまり表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応しない場合),又は,表示データの送出先がCRT表示器24を指示する場合には,画面表示領域の大きいCRT表示器24に表示できるように,その表示データ(ドットデータ)をモニタ端子25へ同期信号と共に送出することが記載されているに止まっている。 さらに,乙イ13文献の上記記載によれば,モニタ端子25の技術的特徴については,表示すべき表示データを外部に接続される大型表示装置に送出可能であることが記載されているに止まっている。 もっとも,以上記載された技術的特徴をみても,そのうち技術的意義を有する可能性のあるものは,「表示制御回路が外部から取り込んだ画像情報をモニタ端子25へ同期信号と共に送出する」との記載のみとなる。しかし,この記載においても,「同期信号と共に」の部分は,「同期信号」 - 63 -の技術的内容が一切特定されていない。結局,乙イ13発明の技術的意義は,表示制御回路の機能として「外部から取り込んだ画像情報をモニタ端子25へ送出する」ことを特定したことにある。 (2) 乙イ13発明との対比以上を前提に本件発明と乙13発明を対比するが,乙イ13発明における「表示制御回路12およびCPU だ画像情報をモニタ端子25へ送出する」ことを特定したことにある。 (2) 乙イ13発明との対比以上を前提に本件発明と乙13発明を対比するが,乙イ13発明における「表示制御回路12およびCPU11」が本件発明の前記「データ処理手段」に対応し,「モニタ端子25」だけが「インターフェース手段A1」に対応することは疑いの余地がない。 したがって,本件発明と乙イ13発明とは,少なくとも,構成要件Gに関して,次の相違点がある。 〔相違点⑬g〕インターフェース手段A1から送信される外部表示信号について,本件発明では,その本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度よりも大きいと特定されているのに対し,乙イ4発明では,外部表示信号の技術的特徴の特定を一切欠いている点〔相違点⑬i-1〕データ処理手段について,本件発明では,「ウェブサーバから取得した画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,該画像データファイルをその後読み出した上で処理することによって,表示信号を生成する」機能を有すると特定されているのに対し,乙イ13発明では,そのような特定を欠く点〔相違点⑬i-2〕データ処理手段が生成する表示信号について,本件発明では,「画像データライスの本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,画像データファイルの本来画像の全体画像の表示信号である」と特定されているのに対し,乙イ13発明では,そのような特定を欠く点 - 64 -(3) 構成要件Gに係る相違点について被告らの認定が誤っていること被告らは,本件発明と乙イ4発明とは,構成要件Gに係る相違点は実質的な差異がない旨主張する。この点,被告らの主張は,本件発明の高解像度デジタル外部表示信号が,乙イ13文献の段落【0013】の「外部から取り込んだ画像情報 イ4発明とは,構成要件Gに係る相違点は実質的な差異がない旨主張する。この点,被告らの主張は,本件発明の高解像度デジタル外部表示信号が,乙イ13文献の段落【0013】の「外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く,簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ」に該当すると解釈することに立脚するものと解される。 しかし,そもそも,「一度に表示すべきデータ量が多く,簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない」のは「外部から取り込んだ画像情報などの表示データ」,すなわち,「画像データファイル」なのであって,(モニタ端子25に対応する)インターフェース手段A1から送信される「外部表示信号」とは全く別の対象である。したがって,被告らの主張は,異なる対象を混同しており,失当である。 また,本件発明の「高解像度外部表示信号」とは,「本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい外部表示信号」を意味するが,乙イ13文献には,一度に表示すべきデータ量が多いか少ないか,及び簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できるかできないかについて,その判断基準が示されていない。もとより,乙イ13文献には,「解像度」や「画素数」等の用語が一切記載されていない。被告らの主張は,「一度に表示すべきデータ量が多く,簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない」との記載を「本来解像度」と結び付けて前記被告らの主張における解釈をするものであるが,これは典型的な後知恵による解釈である。 以上のとおり,被告らの前記主張は論理が失当であるから,構成要件Gに係る相違点について被告らの認定は誤っている。 (4) 構成要件Gに係る相違点の容易想到性について - 65 -被告らは,相違点について実質的な差異はないと誤っ 失当であるから,構成要件Gに係る相違点について被告らの認定は誤っている。 (4) 構成要件Gに係る相違点の容易想到性について - 65 -被告らは,相違点について実質的な差異はないと誤った認定をしているから,相違点の容易想到性について論理付けが全く不十分であるといわざるを得ない。 また,構成要件Gは,「インターフェース手段A1から送信される外部表示信号の本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい」ことを特定しているところ,被告らは,画像データを外部表示信号に変換すること,及び「画像データファイルの画素数が簡易型液晶表示パネルの画素数より大きい場合」が「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないこと」の典型的な場合であることを根拠として,相違点の容易想到性を主張する。 しかし,これらの事項は外部表示信号の本来解像度には直接関係するものではないから,容易想到性の判断において無関係なものである。 さらに,被告らが容易想到性の根拠とする後者の主張については,「明瞭に表示」との記載を,画像データファイルや表示信号の本来解像度,ディスプレイパネルAの画面解像度などと結び付けて解釈することは,典型的な後知恵による解釈である。 よって,被告らの上記主張は失当である。 (5) 構成要件Iに係る相違点について被告らの認定が誤っていること被告らは,本件発明と乙イ13発明とは,その構成の相違点は実質的な差異がない旨主張する。被告らの主張は,乙イ13発明の「表示制御回路21」と本件発明の前記「データ処理手段」とが,内部ディスプレイでは明瞭に表示できない画像データを,外部ディスプレイ装置で表示できるような表示信号を生成する機能を有する点で一致するとみることを根拠とする。しかし,上記の「内部ディスプレイでは明瞭に表示できない画 は明瞭に表示できない画像データを,外部ディスプレイ装置で表示できるような表示信号を生成する機能を有する点で一致するとみることを根拠とする。しかし,上記の「内部ディスプレイでは明瞭に表示できない画像データを,外部ディスプレイ装置で表示できるような表示信号を生成する機能」は,日本語として意味をなしていないし,乙イ13文献には,表示制 - 66 -御回路21がそのような機能を有するとする記載がない。そして,乙イ13文献の段落【0013】の記載をみても,乙イ13発明は「表示制御回路が外部から取り込んだ画像情報をモニタ端子25へ送出する」以上の技術的意義は記載されておらず,画像データから表示信号の生成に至る処理については何ら示唆がされていない。したがって,被告らの前記主張は,意味不明のものであるか,後知恵による解釈に基づくものであるといえる。 また,被告らの前記主張は,「画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合」は,「表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応しない場合」の典型的なケースであるとみることを根拠とする。しかし,このことは,画像データファイルの属性として本来解像度が定義されて初めていえることであるところ,乙イ13文献には,「解像度」や「画素数」等の用語は一切記載されていない。したがって,被告らの前記主張は,典型的な後知恵による解釈に基づくものといわざるを得ない。 さらに,被告らの前記主張は,乙イ13発明でも「全体画像」の表示信号を生成していると解されることを根拠とするが,この解釈は発明の構成要件を,その構成要件がもたらす作用効果によって特定しようとするものであり,目的と手段を混同するものであり,失当である。また,刊行物に構成要件が記載されておらず,構成要件を充足してい 釈は発明の構成要件を,その構成要件がもたらす作用効果によって特定しようとするものであり,目的と手段を混同するものであり,失当である。また,刊行物に構成要件が記載されておらず,構成要件を充足していれば実現されるであろう作用効果だけが記載されている場合に,当該構成要件が記載されていると主張するには,記載されている作用効果から当該構成要件が導き出されるのに十分な「参酌すべき本願出願時における技術常識」を明示する必要があるが,被告らの主張は,「参酌すべき本願出願時における技術常識」を十分に示していない。 そして,被告らの前記主張は,「表示データを,画素を間引いたり,画素を補間したりしていないため,本来画像の外部表示信号が生成されてい - 67 -ると解される」と解釈することを根拠とするが,乙イ13発明は,「表示制御回路が外部から取り込んだ画像情報をモニタ端子25へ送出する」以上の技術的意義を有しないのであるが,「表示制御回路による画像情報のモニタ端子25への送出」という単なる「情報の受け渡し」に関する特定が,「画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号の生成」という「画像データファイルの処理」に関する特定を含意するものではない。 以上のとおり,被告らの前記主張は論理が失当であるから,構成要件Iに係る相違点について被告らの認定は誤っている。 (6) 構成要件Iに係る相違点の容易想到性について被告らの前記主張は,実質的な差異がないとするが,これに至る論理が失当であるから,相違点の容易想到性の論理付けは全く不十分といわざるを得ない。 また,被告らは,構成要件Iに関して,画像データファイルの処理は,リアルタイムで行うか,データを記憶手段に一旦格納し,その後データを読み出して処理するか,のいずれかしかあり得ないとし,これ ない。 また,被告らは,構成要件Iに関して,画像データファイルの処理は,リアルタイムで行うか,データを記憶手段に一旦格納し,その後データを読み出して処理するか,のいずれかしかあり得ないとし,これを前提に,乙イ13発明と本件発明とは,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,外部表示装置に,画像を正常に表示させる機能を有する点で一致しており,いずれの方法を選択するかは当業者の設計事項であると主張するが,その主張が失当であることは乙イ4発明について述べたとおりである。 (7) 本件訂正発明と乙イ13発明との対比について被告らは,構成要件Iが構成要件I’に訂正されるとしても,本件訂正 - 68 -発明の当該構成要件に係る相違点は当業者にとって容易に想到できると主張する。 しかし,乙イ13文献の段落【0010】の記載によれば,段落【0011】の「入力された表示データ」が「『0』~『9』のテンキーやファンクションキー等から構成される操作部20によって入力される電話番号や各種の機能データ」,すわなち,テキストデータや数値データであり,本件発明の構成要件I’で特定されるデータ処理手段が処理する「ウェブサーバから取得した画像データファイル」とは,その種類も情報量も全く異なるから,両者を処理するデータ処理手段の機能は全く異なる。 したがって,本件訂正発明に乙イ13発明を適用するには阻害要因が存在するといわざるを得ない。 よって,被告らの主張は失当である。 なお,乙イ13文献は,本件明細書等の段落【0030】において「特許文 がって,本件訂正発明に乙イ13発明を適用するには阻害要因が存在するといわざるを得ない。 よって,被告らの主張は失当である。 なお,乙イ13文献は,本件明細書等の段落【0030】において「特許文献12」として引用されているが,同段落【0027】及び【0028】において,本件発明において設定された課題を解決するものではない旨を記載している。また,乙イ13発明は,本件明細書等の末尾には,「参考文献」として乙イ13文献が引用されており,特許庁審査官が特許査定を下す際に,乙イ13文献を考慮に入れていたことが明記されている。 (8) 小括以上のことから,本件発明及び本件訂正発明は,乙イ13発明を主引用例として当業者が想到することは困難である。 よって,本件特許は特許無効審判によって無効にされるべきものとはいえない。 6 争点(2)エ(無効理由3〔乙イ14を主引用例とする進歩性欠如〕)について〔被告らの主張〕 - 69 -(1) 本件発明は,本件特許の優先日(平成18年2月27日)より前に頒布された刊行物である特開2002-207650号公報(乙イ14。平成14年7月26日公開。以下「乙イ14文献」という。)に記載の発明(以下「乙イ14発明」という。)に,周知技術(乙イ5~12)を適用することによって,当業者が容易に発明できたものであるから,本件発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明であり,特許無効審判により無効にされるべきものである。 (2) 本件発明と乙イ14発明との対比本件発明と乙イ14発明とを対比すると,次のとおりになる。 ア発明の構成要件の異同(ア) 構成要件A乙イ14文献の段落【0006】には「移動通信端末では入力操作が容易ではないため」と記載されており,乙イ14発明の移 比すると,次のとおりになる。 ア発明の構成要件の異同(ア) 構成要件A乙イ14文献の段落【0006】には「移動通信端末では入力操作が容易ではないため」と記載されており,乙イ14発明の移動通信端末は入力操作を行うことが前提とされている。また,携帯電話機などの移動通信端末では入力手段を備えるのが通常であり,乙イ14文献の図1には,「移動通信端末 MS」としてテンキーを備えた携帯電話機の絵が描かれている。 また,入力手段から入力されたデータがCPUなどのデータ処理手段に送信されることは,技術常識である。 したがって,構成要件Aについて,本件発明と乙イ14発明とは同一である。 (イ) 構成要件B乙イ14発明の「データ受送信部11」は,マルチメディア情報サーバMISに接続し,ユーザ認証情報,端末プロファイル,情報取得のリクエストを送信し,マルチメディア情報サーバMISからのデータを受信する(段落【0019】)。移動通信端末は,有線ではなく - 70 -無線でデータの受送信を行っているから,乙イ14発明の「データ受送信部11」には,無線信号を受信し送信する機能を有する手段を含むことが明らかである。 また,乙イ14発明の「データ受送信部11」には,受信したデータをデータ表示部12に送る機能(段落【0025】(4頁右欄5-7行))と受信したデータを外部端末制御部13に送る機能(同段落(4頁右欄35-37行))があるから,本件発明の後記「データ処理手段」を兼ね備えている。 さらに,CPU等で扱われる信号がアナログ信号ではなくデジタル信号であることは,技術常識である。 したがって,乙イ14発明の「データ受送信部11」は,無線信号を受信してデジタル信号に変換の上でデータ処理手段に送信する機能と,デー ログ信号ではなくデジタル信号であることは,技術常識である。 したがって,乙イ14発明の「データ受送信部11」は,無線信号を受信してデジタル信号に変換の上でデータ処理手段に送信する機能と,データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する機能とを有しており,構成要件Bについて,本件発明と乙イ14発明とは同一である。 (ウ) 構成要件C乙イ14文献には記憶手段が明記されていないが,移動通信端末が,CPU等のデータ処理手段を動作させるためのプログラムを格納するROM等の記憶手段と,データファイルを一時保管するためのRAM等の記憶手段とを備えることは,技術常識であり,構成要件Cについて,本件発明と乙イ14発明との間に実質的な差違はない。 (エ) 構成要件D前記(イ)のとおり,乙イ14発明の「データ受送信部11」は,受信したデータをデータ表示部12に送る機能と受信したデータを外部端末制御部13に送る機能を備えているから,「無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行って,生成したデジタル表示信 - 71 -号を送信する手段」である点で,本件発明の構成要件Dと一致する。 そして,技術常識に照らして,デジタル表示信号以外のデジタル信号(その他のデジタル信号)を生成していないとは考えられないから,その他のデジタル信号を生成していることは自明である。 また,CPU等のデータ処理手段がROM等の記憶手段に格納されているプログラムに基づいて必要な処理を行っていることは,技術常識であるから,この点でも本件発明と乙イ14発明とは差違がない。 したがって,構成要件Dについて,本件発明と乙イ14発明とは相違点がなく,同一である。 (オ) 構成要件E乙イ14発明の「データ表示 点でも本件発明と乙イ14発明とは差違がない。 したがって,構成要件Dについて,本件発明と乙イ14発明とは相違点がなく,同一である。 (オ) 構成要件E乙イ14発明の「データ表示部12」は,マルチメディア情報サーバから受信したマルチメディア情報を表示する機能があり(段落【0020】),「表示画素数」(段落【0025】(4頁左欄46行),図3,4)が観念できる表示手段であるから,各々の画素を駆動する制御手段によって画像を表示するタイプの表示手段であることは明らかである。 したがって,乙イ14発明の「データ表示部12」と本件発明の「ディスプレイ手段」とは,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと,前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成される点で一致する。 また,本件発明では,ディスプレイ制御手段が「前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき」と明記されているが,データ処理手段が生成したデジタル表示信号に基づいて内部ディスプレイが制御されることは技術常識に照らして明らかであるから,この点でも本件発明と乙イ14発明とは差違がない。 - 72 -したがって,構成要件Eについて,本件発明と乙イ14発明とは同一である。 (カ) 構成要件Fa 乙イ14発明の「外部端末制御部13」は,データ受送信部11からデータを受信して,接続しているビューア端末VSにデータを送信する機能を有する(段落【0025】(4頁右欄34-37行))。また,ビューア端末VSは,マルチメディア情報再生部2があり,マルチメディア情報を受信し,表示する機能がある端末であるから(段落【0022】),外部ディスプレイ手段を含む周辺装置に該当する 行))。また,ビューア端末VSは,マルチメディア情報再生部2があり,マルチメディア情報を受信し,表示する機能がある端末であるから(段落【0022】),外部ディスプレイ手段を含む周辺装置に該当する。 したがって,乙イ14発明の「外部端末制御部13」と本件発明の「インターフェース手段A1」とは,外部ディスプレイ手段を含む周辺装置に対して,前記「データ処理手段」から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段である点で一致する。 b 他方で,本件発明ではインターフェース手段から外部ディスプレイ装置に送信する信号が「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ14発明にはそのような限定がない点で一応は相違する。 (キ) 構成要件G乙イ14文献の段落【0012】ないし【0027】(3頁右欄18行から5頁左欄4行)には実施例1が記載されている。実施例1では,移動通信端末MSの端末プロファイルデータベースの例が図3に示され(段落【0024】(4頁左欄42-43行)),ビューア端末VSの端末プロファイルデータベースの例が図4に示されている(段落【0025】(4頁右欄23-24行))。そして,図3及び - 73 -図4のユーザID”0”欄に記載された具体例では,移動通信端末MSの表示画素数が「96×120」(図3)であり,ビューア端末VSの表示画素数が「120×256」(図4)となっている。すなわち,乙イ14文献に記載された実施例1のうち,図3,図4のユーザID”0”欄に記載された具体例では,外部ディスプレイ手段の解像度が,移動通信端末の内部ディスプレイよりも高解像度になっている。 そして当該実施例では,マルチメディア情報サーバMISは,ユーザの端末プロフ ”欄に記載された具体例では,外部ディスプレイ手段の解像度が,移動通信端末の内部ディスプレイよりも高解像度になっている。 そして当該実施例では,マルチメディア情報サーバMISは,ユーザの端末プロファイル情報から送信するマルチメディア情報の品質を決定し,移動通信端末MSのデータ送受信部11はそのデータを外部端末制御部13に送り,外部端末制御部13はデータを接続しているビューア端末VSに送信する(段落【0025】(4頁右欄30-37行))。したがって,外部端末制御部13からビューア端末VSに送信されるデータは,ビューア端末の端末プロファイル情報によって決定されるマルチメディア情報の品質,すなわち,内部ディスプレイよりも高解像度の画像データである。 また,本件発明における「前記データ処理手段と前記インターフェース手段A1とが相俟って」の意義が不明瞭であるものの,少なくとも乙イ14発明ではデータ処理手段(データ送受信部11)とインターフェース手段(外部端末制御部13)が関与して高解像度のデータを送信しているから,「相俟って」処理しているといえる。 したがって,構成要件Gについて,本件発明と乙イ14発明とは差違がない。 (ク) 構成要件H乙イ14発明では,データ送受信部11(本件発明の「無線通信手段」及び「データ処理手段」に相当する。)からマルチメディア情報サーバMISにユーザ認証情報,端末プロファイルデータ(本件発明 - 74 -の「ユーザーエージェント情報」に相当する。)を送信し(段落【0024】(4頁左欄31行),【0025】(4頁右欄18-19行)),データ送受信部11はマルチメディア情報を受信する(段落【0025】(4頁右欄5-6行,同欄30-37行))。 また,乙イ14発明では,マルチメディア情報サーバがウェブサー 右欄18-19行)),データ送受信部11はマルチメディア情報を受信する(段落【0025】(4頁右欄5-6行,同欄30-37行))。 また,乙イ14発明では,マルチメディア情報サーバがウェブサーバである場合が含まれており(図1,図5),マルチメディア情報サーバがウェブサーバである場合には,情報の受送信がインターネットプロトコルに準拠した無線信号で行われることは技術常識に照らして明らかである。さらに,乙イ14発明では動画像などの画像データを取得する場合が含まれている(段落【0027】(5頁左欄6-8行))から,画像データファイルを取得する機能を有することが明らかである。 したがって,構成要件Hについて,本件発明と乙イ14発明とは同一である。 (ケ) 構成要件Ia 乙イ14発明では,前記(キ)のとおり,データ受送信部11(本件発明の「データ処理手段」に相当する。)が,移動通信端末の内部ディスプレイの解像度よりも高解像度の画像データを外部端末制御部13に送信している。 また,乙イ14発明のデータ受送信部11は,マルチメディア情報サーバMISから受信した高解像度の画像データを,画素を間引いたり画素を補間したりすることなく,外部端末制御部13に送っているから,画像データファイルの本来画像のデジタル表示信号を生成している。 なお,画像データファイルの処理は,リアルタイムで行うか,データを記憶手段に一旦格納し,その後データを読み出して処理する - 75 -か,のいずれかしかありえないので,結局,本件発明と乙イ14発明とは,「データ処理手段が,画像データファイルの本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記画像データファイルを前記記憶 段が,画像データファイルの本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,前記画像データファイルの本来画像のデジタル表示信号を生成する機能を有する」点で一致する。 b 他方で,本件発明では,生成するデジタル表示信号が「本来画像の全体画像」と特定されているが,乙イ14発明では「全体画像」との特定がない点で一応は相違する。 (コ) 構成要件J乙イ14発明の移動通信端末MSは携帯情報通信装置に含まれるから(図1,図5を参照),構成要件Jについて,本件発明と乙イ14発明とは同一である。 (サ) 小括以上のとおり,本件発明と乙イ14発明の構成は,次の相違点ア及びイで相違し,その余は同一である。したがって,乙イ14発明には,本件発明の構成要件AないしE,G,H及びJの全てが,また,本件発明の構成要件F及びIの一部が開示されている。 〔相違点ア〕(構成要件Fで)本件発明では「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ14発明にはそのような限定がない点。 〔相違点イ〕(構成要件Iで)本件発明では,データ処理手段が生成する信号が - 76 -「全体画像」に特定されているが,乙イ14発明にはそのような記載がない点。 イ発明の作用効果の異同(ア) 本件発明の作用効果前記1(3)イ(ア)のとおり,本件発明は,「高解像度外部ディスプレイ手段の画面において,付属ディスプレイパネルの画面解像度の制約を受けることなく,該付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を表示することができ 高解像度外部ディスプレイ手段の画面において,付属ディスプレイパネルの画面解像度の制約を受けることなく,該付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を表示することができる」との作用効果を奏する。 (イ) 乙イ14発明の作用効果乙イ14文献の段落【0032】ないし【0034】には,【発明の効果】として次の記載がある。 「以上述べた様に,本発明によれば,接続されている外部周辺機器によって無線通信端末の入力機能を拡張,あるいは変更する手段を具備することにより,外部周辺機器を小型化することが可能となるという効果が得られる。」(段落【0032】)「また,複数の外部周辺機器と同時に通信し,動的に入力機能を切り替えることが可能となる。」(段落【0033】)「さらに,着信信号受信時において,一時的に無線通信端末の入力機能を非接続時の状態に変更することが可能となる。」(段落【0034】)(ウ) 本件発明と乙イ14発明の作用効果の対比本件発明では,外部ディスプレイに,付属ディスプレイパネルの画面解像度の制約を受けることなく,付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度の画像を表示できるという効果を奏するが,乙イ14発明には,【発明の効果】の欄にそのような効果が明記されて - 77 -いない点で相違する(相違点ウ)。 (3) 上記相違点の容易想到性についてア相違点ア(構成要件F)について前記1(3)アのとおり,本件特許の優先日前には,外部ディスプレイ装置に送信される信号をTMDS方式のデジタル信号とすることは周知技術であったから,乙イ14発明の外部端末制御部13からビューア端末VSに送信するデータ伝送方式としてTMDS方式を採用することは当業者が容易に想到でき をTMDS方式のデジタル信号とすることは周知技術であったから,乙イ14発明の外部端末制御部13からビューア端末VSに送信するデータ伝送方式としてTMDS方式を採用することは当業者が容易に想到できたことである。 イ相違点イ(構成要件I)について乙イ14発明では,外部ディスプレイで全体画像を表示させることは明記されていないが,全体画像を表示できない又は表示させない特段の理由もないことから,乙イ14発明において,外部ディスプレイに全体画像を表示させることは,当業者の通常の創作能力でなし得る設計事項にすぎず,相違点ウは当業者が容易に想到できたことである。 ウ相違点ウ(作用効果の相違点)について乙イ14文献の【発明の効果】の欄には明記されていないが,実施例1の図3,図4のユーザID”0”欄に記載された具体例では,外部ディスプレイに付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度の画像を表示させているから,乙イ14発明が本件発明の作用効果を奏することを当業者であれば容易に理解することができる。 したがって,本件発明と乙イ14発明とは,発明の作用効果の点で実質的な差違はない。 (4) 本件訂正発明も進歩性を欠くことア本件訂正発明と乙イ14発明を対比すると,相違点は前記(1)ア(サ)の三つの相違点のほか,次の一点である。 すなわち,本件訂正発明では「前記画像データファイルを前記記憶手 - 78 -段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,」と特定されているのに対し,乙イ14発明ではそのような特定がない点である。 イこの相違点についてみると,①リアルタイムで処理する方法と,②画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する方法,のいずれを選択するかは,当業 な特定がない点である。 イこの相違点についてみると,①リアルタイムで処理する方法と,②画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する方法,のいずれを選択するかは,当業者の単なる設計事項にすぎない。また,乙イ14文献では,①リアルタイムで処理する方法が示唆されているとしても,②画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することは,①リアルタイムで処理することと比較して,短時間での処理が必要でなく技術的に困難でないことは自明のことであるから,特段の阻害事由がない限り,①リアルタイムで処理する方法を②記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する方法に変更することは,当業者が技術常識に基づいて容易になし得たことである。 そして,前記(1)ア(サ)の三つの相違点が当業者にとって容易に想到できたものであることは前記(1)ア(サ)のとおりである。 (5) まとめ以上のとおり,本件発明及び本件訂正発明と乙イ14発明とは,その構成の相違点は,実質的な差違がないか,又は,周知技術に照らして当業者が容易に想到できたものである。かつ,その作用効果の相違点は,実質的な差違がない。したがって,本件発明及び本件訂正発明は,乙イ14発明及び周知技術から当業者が容易に発明できたものである。 よって,本件発明及び本件訂正発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,特許無効審判により無効にされるべきものである。 〔原告の主張〕 - 79 -(1) 乙イ14発明の特定乙イ14文献の段落【0005】ないし【0008】,【0026】及び【0032】ないし【0034】の記載によれば,本件発明と対比されるべき乙イ14発明の解決課題は,マルチメディア情報を表示する端末を切 14文献の段落【0005】ないし【0008】,【0026】及び【0032】ないし【0034】の記載によれば,本件発明と対比されるべき乙イ14発明の解決課題は,マルチメディア情報を表示する端末を切り替える際に,移動通信端末と表示端末間,さらに,端末とサーバ間において端末情報を通信することによって,容易に表示端末を切り替えることができるマルチメディア情報表示方式を提供することであり,作用効果は,ビューア端末VSに表示を切り替える際に,ユーザが再度ユーザ認証情報を入力したり,切り替えるための処理を行ったりする手順を省くことができること,外部周辺機器を小型化することが可能となること,複数の外部周辺機器と同時に通信し,動的に入力機能を切り替えることが可能となること,着信信号受信時において,一時的に無線通信端末の入力機能を非接続時の状態に変更することが可能となることであると判断される。 そして,乙イ14文献の段落【0009】ないし【0011】,【0018】,【0019】,【0021】,【0024】,【0025】及び【0030】の記載によれば,乙イ14発明におけるデータ送受信部11の技術的特徴については,マルチメディア情報サーバMISに接続すること,認証情報や送信要求の送信に関わる機能として,マルチメディア情報サーバMISに「マルチメディア情報の送信要求(情報取得のリクエスト)」又は「外部端末制御部13が受信したビューア端末VSからのマルチメディア情報取得のリクエスト」を送信すること,マルチメディア情報サーバMISに「移動通信端末MSのユーザ認証情報(端末プロファイル情報)又は「外部端末制御部13が取得したビューア端末VSの端末プロファイル(外部端末の端末情報)」を送信すること,ユーザ認証情報は,ユーザによって入力された情報を送信する,あるい 端末プロファイル情報)又は「外部端末制御部13が取得したビューア端末VSの端末プロファイル(外部端末の端末情報)」を送信すること,ユーザ認証情報は,ユーザによって入力された情報を送信する,あるいは,移動通信端末MSの情報を取得して自動的に送信することが記載されているに止まっている。 - 80 -また,乙イ14文献の上記記載によれば,外部端末制御部13については,ビューア端末VSの外部接続部21と接続し,通信を行うこと,認証情報や送信要求の送信に関わる機能として,ビューア端末VSの接続を受け付けると,ビューア端末VSの端末プロファイルを取得すること,マルチメディア情報の受信・送信に関わる機能として,データ送受信部11から送られたマルチメディア情報データをビューア端末VSに送信することが記載されているに止まっている。 (2) 乙イ14発明との対比以上を前提に本件発明と乙イ14発明を対比する。 本件発明と乙イ14発明は,解決課題又は作用効果に関して,次の相違点がある。 〔相違点⑭0〕本件発明は,「外部ディスプレイ手段において,付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示する」という課題を解決する,又は作用効果を実現して,「信号変換に伴う画像の劣化を回避することができる」という作用効果を実現するのに対し,乙イ14発明にはそのような解決課題又は作用効果が特定されていない点また,本件発明と乙イ14発明は,少なくとも,構成要件F,G,Iに関して,次の相違点がある。 〔相違点⑭f〕本件発明ではインターフェース手段から外部ディスプレイ装置に送信する信号が「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ14発明にはそのような限定がない点〔相違点⑭g〕 ンターフェース手段から外部ディスプレイ装置に送信する信号が「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ14発明にはそのような限定がない点〔相違点⑭g〕インターフェース手段A1から送信される外部表示信号について,本件発明では,その本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度よりも大 - 81 -きいと特定されているのに対し,乙イ14発明では,外部表示信号の本来解像度に関する特定を欠いている点〔相違点⑭i-1〕データ処理手段について,本件発明では,「ウェブサーバから取得した画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,該画像データファイルをその後読み出した上で処理することによって,表示信号を生成する」機能を有すると特定されているのに対し,乙イ14発明では,そのような特定を欠く点〔相違点⑭i-2〕データ処理手段が生成する表示信号について,本件発明では,「画像データファイルの本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,画像データファイルの本来画像の全体画像の表示信号である」と特定されているのに対し,乙イ14発明では,そのような特定を欠く点(3) 作用効果に係る被告らの認定が誤っていること被告らは,本件発明と乙イ14発明とは,発明の作用効果の点で実質的な差異はない旨主張する。被告らの上記主張の根拠は,乙イ14文献の実施例1の【図3】,【図4】のユーザID“0”欄に記載された具体例のみであり,この具体例を「外部ディスプレイに付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度の画像を表示させている」と解釈することによるものである。 しかし,乙イ14文献には,上記解釈を示唆する記載はなく,「ユーザID」についても独立の説明がされていない。した 画面解像度より大きい解像度の画像を表示させている」と解釈することによるものである。 しかし,乙イ14文献には,上記解釈を示唆する記載はなく,「ユーザID」についても独立の説明がされていない。したがって,「実施例1の図3,図4のユーザID“0”欄に記載された具体例」がどのような端末に対応するのか全く不明である。結局,被告らの上記主張は,独自の解釈によるものというほかないが,その解釈を支える根拠が不十分である。 - 82 -また,【図3】,【図4】に記載されている「表示画素数」は「画面解像度」に対応し,「付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度の画像」という言明は「画像の解像度」について特定している。したがって,「実施例1の図3,図4のユーザID“0”欄に記載された具体例」がどのように解釈されようとも,この「画面解像度」を示すだけの「具体例」から,「画像の解像度」についての特定が導かれる道理がない。 したがって,被告らの上記主張は,発明の作用効果の点で実質的な差異がないとする根拠において論理が失当であるから,発明の作用効果に係る相違点について被告らの認定は誤っている。 (4) 構成要件Fに係る相違点の容易想到性について一般に,対象発明の構成要件の容易想到性を,主引用例に対して周知技術を適用することによって論理付けする場合,主引用例に対して当該周知技術を適用することが容易であるとの判断が前提となり,さらに,適用の容易性の判断に際しては,主引用例の解決課題又は作用効果と周知技術によってもたらされる作用効果との共通性が斟酌されなければならない。 しかし,乙イ14発明における解決課題又は作用効果は,「マルチメディア情報を表示する端末を切り替える際の利便性の向上」に主眼が置かれているのに対し,被告らが周知技術とするものには ければならない。 しかし,乙イ14発明における解決課題又は作用効果は,「マルチメディア情報を表示する端末を切り替える際の利便性の向上」に主眼が置かれているのに対し,被告らが周知技術とするものには,かかる作用効果は一切認識されていない。 したがって,乙イ14発明に被告らが周知技術とするものを適用する動機付けが存在するとはいえず,構成要件Fに係る相違点の容易想到性は十分に論理付けされたとはいえない。 (5) 構成要件Gに係る相違点について被告らの認定が誤っていること被告らは,構成要件Gについて,本件発明と乙イ14発明とは,差異がないと主張する。 この点,被告らの前記主張は,乙イ14文献に記載された実施例1のう - 83 -ち,実施例1の図3,図4のユーザID“0”欄に記載された具体例では,ビューア端末VSの解像度が移動通信端末MSの内部ディスプレイよりも高解像度になっているとみることを根拠とするが,乙イ14文献を見ても「ユーザID“0”欄に記載された具体例」に対する明確な解釈を可能にするような記載はない。 また,乙イ14文献の段落【0025】,【0030】の記載から,「マルチメディア情報」が本件発明の「画像データファイル」に対応するとしても,その「品質」については,段落【0015】の記載に,「サーバはこの端末プロファイルを元に提供するマルチメディア情報の画面の大きさ,色数,動画像ならばその再生ビットレート等,品質を変えることによって,表示する端末に適したデータを送信することができることになる」と例示をするだけで,「本来解像度」との関係が明らかにされていない。 さらに,被告らの解釈を前提とすると,上記段落【0030】の「マルチメディア情報サーバMISは,・・・,ユーザの端末プロファイル情報から送信するマルチメディア情報の 関係が明らかにされていない。 さらに,被告らの解釈を前提とすると,上記段落【0030】の「マルチメディア情報サーバMISは,・・・,ユーザの端末プロファイル情報から送信するマルチメディア情報の品質を決定し」の記載を「外部ディスプレイ手段の画面解像度に基づいて,画像データファイルの本来解像度を決定する」と読み替えることになるが,かかる読替をしても,「外部ディスプレイ手段」や「画像データファイル」とは属性を異にする「外部表示信号」の属性(本来解像度)についてまで論理付けされる道理はない。 以上のとおり,被告らの前記主張は論理が失当であるから,構成要件Gに係る相違点について被告らの認定は誤っている。 (6) 構成要件Gに係る相違点の容易想到性について被告らは,相違点について差異がないと誤った認定をしているから,相違点の容易想到性について論理付けが全く不十分であるといわざるを得ない。 - 84 -(7) 構成要件Iに係る相違点について被告らの認定が誤っていること被告らは,構成要件Iについて,本件発明と乙イ14発明とは,実質的な差異がないと主張する。 しかし,前記(5)と同じく被告らの主張は論理付けがされていない。また,被告らの前記主張は,「表示データを,画素を間引いたり,画素を補間したりしていないため,本来画像の外部表示信号が生成されていると解される」と解釈することを根拠とするが,かかる解釈は後知恵による解釈にすぎない。 したがって,被告らの前記主張は論理が失当であるから,構成要件Iに係る被告らの認定は誤っている。 (8) 構成要件Iに係る相違点の容易想到性について被告らは,相違点について誤った認定をしているから,相違点の容易想到性について論理付けが全く不十分であるといわざるを得ない。 また,被告らは,構成要件Iに 成要件Iに係る相違点の容易想到性について被告らは,相違点について誤った認定をしているから,相違点の容易想到性について論理付けが全く不十分であるといわざるを得ない。 また,被告らは,構成要件Iに関して,画像データファイルの処理は,リアルタイムで行うか,データを記憶手段に一旦格納し,その後データを読み出して処理するか,のいずれかしかあり得ないとし,これを前提に,乙イ14発明と本件発明とは,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,外部表示装置に,画像を正常に表示させる機能を有する点で一致しており,いずれの方法を選択するかは当業者の設計事項であると主張するが,その主張が失当であることは乙イ4発明について述べたとおりである。 (9) 本件訂正発明と乙イ14発明との対比について被告らは,構成要件Iが構成要件I’に訂正されるとしても,本件訂正 - 85 -発明の当該構成要件に係る相違点は当業者にとって容易に想到できると主張する。 しかし,無効理由1及び2において反論したのと同様に容易想到性の論理付けが不十分である。 よって,被告らの上記主張は失当である。 (10) 小括以上のことから,乙イ14発明を主引用例として当業者が想到することは困難である。 よって,本件特許は特許無効審判によって無効にされるべきものとはいえない。 7 争点(2)オ(無効理由4〔乙イ15を主引用例とする進歩性欠如〕)について〔被告らの主張〕(1) 本件発明は,本件特許の優先日(平成18年2月27日)より前に頒布された刊行物である 。 7 争点(2)オ(無効理由4〔乙イ15を主引用例とする進歩性欠如〕)について〔被告らの主張〕(1) 本件発明は,本件特許の優先日(平成18年2月27日)より前に頒布された刊行物である特開2000-13776号公報(乙イ15。平成12年1月14日公開。以下「乙イ15文献」という。)に記載の発明(以下「乙イ15発明」という。)に,周知技術(乙イ5~12)を適用することによって,当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明であり,特許無効審判により無効にされるべきものである。 (2) 本件発明と乙イ15発明との対比本件発明と乙イ15発明とを対比すると,次のとおりになる。 ア発明の構成要件の異同(ア) 構成要件A乙イ15文献の段落【0052】には,「操作入力部31は,複数のキースイッチ等の操作デバイスを有しており,この操作デバイスを操作 - 86 -してなされるユーザの指示入力を受付け,その指示入力の内容を主制御部21に通知する。」と記載されており,乙イ15発明の「操作入力部31」と本件発明の「入力手段」は同一である。 (イ) 構成要件Ba 乙イ第15文献の段落【0043】には,「マルチメディア通信モードのとき多重分離部25は,映像エンコーダ29から同期バス38を介して与えられる符号化画像データ……を,所定の多重化方式……で多重化する。そして,これにより得られる伝送データを無線端末インタフェース部26へと与える。またマルチメディア通信モードのとき多重分離部25は,無線端末インタフェース部26から与えられる伝送データから符号化画像データ……をそれぞれ分離し,これらの各データを映像デコーダ22……へと与える。」と記載されている。また,段落【0 重分離部25は,無線端末インタフェース部26から与えられる伝送データから符号化画像データ……をそれぞれ分離し,これらの各データを映像デコーダ22……へと与える。」と記載されている。また,段落【0046】には,「無線端末インタフェース部26には,PHS端末用コネクタを介してPHS端末PSiが接続される。そして無線端末インタフェース26は,PHS端末PSiとの間で各種の情報を授受することで,PHS端末PSi及びPHSを含む公衆網を介してデータ通信を実現する。」と記載されている。 したがって,乙イ15発明の「無線端末インタフェース部26及びPHS端末PSi」は,本件発明の「無線通信手段」と同じ機能を奏する。 b 他方で,本件発明では単に「無線通信手段」と表現されているのに対し,乙イ15発明の実施形態では,「無線端末インタフェース部26」と「PHS端末PSi」で無線通信手段が実現されている点で相違する。 (ウ) 構成要件C乙イ15発明の主制御部21は,CPU,ROM及びRAM等を有し - 87 -てなるものである(段落【0040】)。すなわち,乙イ15発明の「主制御部21」は本件発明の「データ処理手段(の一部)」と「記憶手段」とを合わせたものに相当し,本件発明の構成要件Cの「記憶手段」は,乙イ15発明の「主制御部21」を構成しているROM及びRAM等に相当する。 したがって,構成要件Cについて,本件発明と乙イ15発明は同一である。 (エ) 構成要件D乙イ15発明の主制御部21は,マルチメディア通信端末装置HS1の各部を総括制御することで,マルチメディア通信のための所定の動作を実現するものであり(段落【0040】),映像デコーダ22は,符号化映像データのデコードを行い,再生した映像データを表示制御部23へと 部を総括制御することで,マルチメディア通信のための所定の動作を実現するものであり(段落【0040】),映像デコーダ22は,符号化映像データのデコードを行い,再生した映像データを表示制御部23へと与えるものである(段落【0041】)。そして,「符号化映像データ」は,無線端末インタフェース部26から映像デコーダ22に与えられるデータである(段落【0043】)。 すなわち,乙イ15発明の「主制御部21(の一部)及び映像デコーダ22」は,無線通信手段(無線端末インターフェース26)から受信したデジタル信号(符号化映像データ)に必要な処理を行ってデジタル表示信号(映像データ)を生成,送信しており,この点では本件発明の「データ処理手段」と相違がない。そして,技術常識に照らして,デジタル表示信号以外のデジタル信号(その他のデジタル信号)を生成していないとは考えられないから,その他のデジタル信号を生成していることは自明である。 したがって,構成要件Dについて,本件発明と乙イ15発明とは同一である。 (オ) 構成要件E - 88 -乙イ15発明の表示制御部23は,映像デコーダ22から与えられる画像データが示す画像を表示するべく内部表示器24を制御するものであるから(段落【0041】),本件発明の構成要件Eのディスプレイ制御手段Aと同一である。 また,乙イ15発明の内部表示器24は,「例えば,QCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)を有している」ものであるから(段落【0041】),各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルであることが明らかである。したがって,乙イ15発明の内部表示器24は,本件発明のディスプレイパネルAと同一である。 したがって,乙イ15発明の「表示制御部23及び内部表示器24」 ィスプレイパネルであることが明らかである。したがって,乙イ15発明の内部表示器24は,本件発明のディスプレイパネルAと同一である。 したがって,乙イ15発明の「表示制御部23及び内部表示器24」は,本件発明のディスプレイ手段と同一である。 (カ) 構成要件Fa 乙イ15発明の外部モニタ接続端子36には外部テレビジョンモニタVM(本件発明の「外部ディスプレイ手段を含む周辺装置」に相当する。)が接続されている(段落【0054】)。したがって,乙イ15発明の「外部モニタ接続端子36」は本件発明の「インターフェース手段A1」に相当する。 b 他方で,本件発明ではインターフェース手段から外部ディスプレイ装置に送信する信号が「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ15発明では伝送方式が限定されていない点で相違する。 (キ) 構成要件G乙イ15発明の第1の実施形態では,内部表示器24の画素数はQCIF(180×144)であり(段落【0041】),外部テレビジョンモニタVMに表示する上で適切なフォーマットはCIF(360×2 - 89 -88;乙イ15の図11参照)となっている(段落【0060】)。また,乙イ15発明では,外部テレビジョンモニタVMが接続されているときには,CIFを指定するための要求情報を生成し(段落【0060】),コンテンツ・サーバTSはマルチメディア通信端末装置HS1が要求したフォーマット(すなわちCIF)で動画像を送信する(段落【0063】)。 そして乙イ15文献の段落【0064】,【0067】の記載によると,乙イ15発明では,外部テレビジョンモニタVM(外部ディスプレイ手段を含む周辺装置)が接続されているときには,外部モニタ接続端子36(外部インターフェース手段)か 4】,【0067】の記載によると,乙イ15発明では,外部テレビジョンモニタVM(外部ディスプレイ手段を含む周辺装置)が接続されているときには,外部モニタ接続端子36(外部インターフェース手段)から,CIFの動画像データ(高解像度デジタル外部表示信号)を送信しており,本件発明と相違しない。 したがって,構成要件Gについて,本件発明と乙イ15発明とは同一である。 (ク) 構成要件H乙イ15発明では,マルチメディア通信端末装置HS1からコンテンツ・サーバTSへ要求情報を送信し(段落【0061】),コンテンツ・サーバTSからマルチメディア通信端末装置HS1に動画像の符号化データが送信される(段落【0064】)。そして,コンテンツ・サーバがウェブサーバである場合にはインターネットプロトコルに準拠した信号で送受信することは,技術常識に照らして明らかであるから,構成要件Hについて,本件発明と乙イ15発明は同一である。 (ケ) 構成要件I乙イ15発明では,「マルチメディア通信端末装置HS1に外部テレビジョンモニタVMが接続されているときには,コンテンツ・サーバTSからこの外部テレビジョンモニタVMへの表示に適したCIFの動画像データが送られ・・・る。このため,受信側のマルチメディア通信端 - 90 -末装置HS1では,外部テレビジョンモニタVMを使用する場合でも,・・・受信した動画像データをフォーマット変換することなくそのまま表示することができる」(段落【0067】)のであるから,「本来画像の全体画像のデジタル表示信号」が生成されて外部テレビジョンモニタVMに送信されているものと解される。 したがって,構成要件Iについて,本件発明と乙イ15発明とは同一である。 (コ) 構成要件J乙イ15発明は,「通信回線を介して動画像を伝送 ビジョンモニタVMに送信されているものと解される。 したがって,構成要件Iについて,本件発明と乙イ15発明とは同一である。 (コ) 構成要件J乙イ15発明は,「通信回線を介して動画像を伝送する動画像通信システム及び動画像通信装置に関し,さらに動画像のフォーマットを表示に適した形態に変換するための画像フォーマット変換方法に関するものである」(段落【0001】)と記載されているが,段落【0003】に「その一つとして可搬使用を可能とした小型の動画像通信装置が注目を集めている。」と記載されていることから,乙イ15発明の通信装置は可搬使用できる小型の通信装置であると解される。したがって,構成要件Jについて,本件発明と乙イ15発明は同一である。 (サ) 小括以上のとおり,本件発明と乙イ15発明の構成要件は,次の相違点ア及びイで相違し,その余は同一である。したがって,乙イ15発明には,本件発明の構成要件A,CないしE及びGないしJの全てが,また,本件発明の構成要件B及びFの一部が開示されている。 〔相違点ア〕(構成要件Bで)本件発明では単に「無線通信手段」と表現されているのに対し,乙イ15発明の実施形態では「無線端末インタフェース部26」と「PHS端末PSi」で無線通信手段が実現されている点〔相違点イ〕 - 91 -(構成要件Fで)本件発明ではインターフェース手段から外部ディスプレイ装置に送信する信号が「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ15発明では伝送方式が限定されていない点イ発明の作用効果の異同(ア) 本件発明の作用効果前記1(3)イ(ア)のとおり,本件発明は「高解像度外部ディスプレイ手段の画面において,付属ディスプレイパネルの画面解像度の制約を受け 発明の作用効果の異同(ア) 本件発明の作用効果前記1(3)イ(ア)のとおり,本件発明は「高解像度外部ディスプレイ手段の画面において,付属ディスプレイパネルの画面解像度の制約を受けることなく,該付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を表示することができる」との作用効果を奏する。 (イ) 乙イ15発明の作用効果乙イ15文献の段落【0093】には,「・・・外部表示手段及び内部表示手段を適切に使い分けて動画像を表示することができ,・・・常に適切な動画像表示を可能にした動画像通信システム及び動画像通信装置を提供することができる」との記載がある。 (ウ) 本件発明と乙イ15発明の作用効果の対比a 本件発明と乙イ15発明の作用効果は,内部ディスプレイと外部ディスプレイとを使い分けることによって適切な画像を表示することができる点で共通する。 b 他方で,本件発明では「高解像度画像を表示することができる」と記載されているのに対し,乙イ15発明では「適切な動画像表示を可能にした」と記載されている点で,形式的な相違がある(相違点ウ)。 (3) 相違点の容易想到性についてア相違点ア(構成要件B)について乙イ15文献の段落【0089】の記載によると,乙イ15発明はPHS端末を利用した実施形態に限定されておらず,「無線端末インターフェ - 92 -ース26及びPHS端末PSi」からなる無線通信手段は実施形態の一例にすぎない。 したがって,乙イ15発明の無線通信手段と本件発明の無線通信手段とは実質的な相違点がないと解される。 イ相違点イ(構成要件F)について前記1(3)アのとおり,本件特許の優先日前には,外部ディスプレイ装置に送信される信号をTMDS方式のデジタル信号とすることは周 的な相違点がないと解される。 イ相違点イ(構成要件F)について前記1(3)アのとおり,本件特許の優先日前には,外部ディスプレイ装置に送信される信号をTMDS方式のデジタル信号とすることは周知技術であったから,乙イ15発明のマルチメディア通信端末装置HS1から外部テレビジョンモニタVMへのデータ伝送方式をTMDS方式とすることは,格別困難なものではなく,当業者が容易に想到できたことである。 ウ相違点ウ(作用効果)について乙イ15発明の第1の実施形態では,内部ディスプレイの解像度がQCIF(180×144),外部テレビジョンモニタVMの解像度がCIF(360×288)とされているから,外部テレビジョンモニタVMにおける「適切な表示」には高解像度画像の表示が含まれる。 したがって,相違点ウは,表現上の相違にすぎず,本件発明と乙イ15発明とは作用効果において差違がない。 (4) 本件訂正発明も進歩性を欠くことア本件訂正発明と乙イ15発明を対比すると,相違点は前記(1)ア(サ)の二つの相違点(相違点ア及び相違点イ)のほか,次の一点である。 すなわち,本件訂正発明では「前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,」と特定されているのに対し,乙イ15発明ではそのような特定がない点である。 イこの相違点についてみると,①リアルタイムで処理する方法と,②画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する方法,のいずれを選択するかは,当業者の単なる設計事項にすぎない。ま - 93 -た,乙イ15文献では,①リアルタイムで処理する方法が示唆されているとしても,②画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することは,①リアルタイムで処理す - 93 -た,乙イ15文献では,①リアルタイムで処理する方法が示唆されているとしても,②画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することは,①リアルタイムで処理することと比較して,短時間での処理が必要でなく技術的に困難でないことは自明のことであるから,特段の阻害事由がない限り,①リアルタイムで処理する方法を②記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理する方法に変更することは,当業者が技術常識に基づいて容易になし得たことである。 そして,その余の二つの相違点が当業者にとって容易に想到できたものであることは前記(1)ア(サ)のとおりである。 (5) まとめ以上のとおり,本件発明及び本件訂正発明と乙イ15発明とは,その構成の相違点は,実質的な差違がないか,又は,周知技術に照らして当業者が容易に想到できたものであり,その作用効果の相違点は,実質的な差違がないものである。したがって,本件発明及び本件訂正発明は,乙イ15発明及び周知技術から当業者が容易に発明できたものである。 よって,本件発明及び本件訂正発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,特許無効審判により無効にされるべきものである。 〔原告の主張〕(1) 乙イ15発明の特定乙イ15文献の段落【0001】,【0005】ないし【0007】,さらに【0091】ないし【0093】の記載によれば,本件発明と対比されるべき乙イ15発明の解決課題は,ユーザが動画像表示に関する設定を特に行わなくても外部表示手段及び内部表示手段を適切に使い分けて表示が行われるようにし,これにより面倒な操作が不要で,かつ常に適切な動画像表示を可能にした動画像通信装置を提供することであり,作用効果は,ユーザが - 94 -動画像表示に を適切に使い分けて表示が行われるようにし,これにより面倒な操作が不要で,かつ常に適切な動画像表示を可能にした動画像通信装置を提供することであり,作用効果は,ユーザが - 94 -動画像表示に関する設定を特に行わなくても,外部表示手段及び内部表示手段を適切に使い分けて動画像を表示することができ,これにより面倒な操作が不要で,かつ常に適切な動画像表示を可能にした動画像通信装置を提供することであると判断される。 そして,乙イ15文献の段落【0039】ないし【0042】,【0054】,【0056】,【0057】及び【0064】の記載によれば,乙イ15発明における主制御部21,映像デコーダ22,表示制御部23及び外部モニタ接続端子36の技術的特徴については,それらについて共通するものとして,主制御部21,映像デコーダ22,表示制御部23,多重分離部25,無線端末インタフェース部26,音声コーデック27,カメラインタフェース部28,映像エンコーダ29,操作入力部31又は電源部32は,主バス37を介して互いに接続されていること,映像デコーダ22,多重分離部25,音声コーデック27及び映像エンコーダ29は,同期バス38を介して互いに接続されていることが記載されている。 また,乙イ15文献の上記記載によれば,主制御部21の技術的特徴についてはCPU,ROM及びRAM等を有して成ること,マルチメディア通信端末装置HS1の各部を統括制御することで,マルチメディア通信のための所定の動作を実現すること,多重分離部25の三つの動作モード(マルチメディア通信モード,音声通話モード,データ通信モード)を指定すること,センサIF部33から転送されたインピーダンス測定信号又は手持ち検出器35の検出信号をもとに,外部モニタ接続端子36に外部テレビジョンモニタV ド,音声通話モード,データ通信モード)を指定すること,センサIF部33から転送されたインピーダンス測定信号又は手持ち検出器35の検出信号をもとに,外部モニタ接続端子36に外部テレビジョンモニタVMが接続されているか否か(接続の有無)を判定すること,外部テレビジョンモニタVMの接続の有無の判定結果をもとに,表示手段として外部テレビジョンモニタVMを使用するか内部表示器24を使用するかを判定し,この使用する表示手段に適した画像フォーマットを指定するためのフォーマット指定情報を生成し,このフォーマット指定情報をPHS端末PSiから - 95 -公衆網INWを介して通信相手のサーバ装置に送ることが記載されている。 さらに,映像デコーダ22の技術的特徴については,コンテンツ・サーバTSから送られた符号化データを元の動画像データに復号(デコード)して表示制御部23に入力することが,表示制御部23の技術的特徴については,外部テレビジョンモニタVMの接続の有無に応じて表示手段として外部テレビジョンモニタVMを使用するか,内部表示器24を使用するかを決定し,この決定した表示手段へ上記復号された動画像データを供給して表示させることが,外部モニタ接続端子36の技術的特徴については,外部テレビジョンモニタVMが着脱自在に接続されることがそれぞれ記載されている。 そして,上記技術的特徴のうち,技術的意義を有するのは,主制御部21の機能及び表示制御部23の機能に対する次の三つの特定のみである。すなわち,①主制御部21の機能の特定として,センサIF部33から転送されたインピーダンス測定信号又は手持ち検出器35の検出信号をもとに,外部モニタ接続端子36に外部テレビジョンモニタVMが接続されているか否か(接続の有無)を判定すること,②主制御部21の機能の特定と たインピーダンス測定信号又は手持ち検出器35の検出信号をもとに,外部モニタ接続端子36に外部テレビジョンモニタVMが接続されているか否か(接続の有無)を判定すること,②主制御部21の機能の特定として,外部テレビジョンモニタVMの接続の有無の判定結果をもとに,表示手段として外部テレビジョンモニタVMを使用するか内部表示器24を使用するかを判定し,この使用する表示手段に適した画像フォーマットを指定するためのフォーマット指定情報を生成し,このフォーマット指定情報をPHS端末PSiから公衆網INWを介して通信相手のサーバ装置に送ること,③表示制御部23の機能の特定として,外部テレビジョンモニタVMの接続の有無に応じて表示手段として外部テレビジョンモニタVMを使用するか内部表示器24を使用するかを決定し,この決定した表示手段へ上記復号された動画像データを供給して表示させることのみである。 (2) 乙イ15発明との対比ア以上を前提に本件発明と乙イ15発明とを対比すると,少なくとも,構 - 96 -成要件B,F及びIに関して,次の相違点がある。 〔相違点⑮f〕本件発明ではインターフェース手段から外部ディスプレイ装置に送信する信号が,「TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号」に限定されているのに対し,乙イ15発明では伝送方式が限定されていない点〔相違点⑮i-1〕データ処理手段について,本件発明では,「ウェブサーバから取得した画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,該画像データファイルをその後読み出した上で処理することによって,表示信号を生成する」機能を有すると特定されているのに対し,乙イ15発明では,そのような特定を欠く点イさらに,乙イ15発明は,「無線端末インタフェース部26及びPHS端末PSi」が組み合わさ 表示信号を生成する」機能を有すると特定されているのに対し,乙イ15発明では,そのような特定を欠く点イさらに,乙イ15発明は,「無線端末インタフェース部26及びPHS端末PSi」が組み合わさってはじめて本件発明の「無線通信手段」と同じ機能を実現することから,本件発明と乙イ15発明を対比すると,構成要件B及びJに関しても,次の相違点がある。 〔相違点⑮b〕「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信するとともに,後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する」機能について,本件発明では,「無線通信手段」によって実現されると特定されているのに対し,乙イ15発明では,「無線端末インタフェース部26及びPHS端末PSi」が組み合わさってはじめて実現される点〔相違点⑮j〕本件発明は,「一体的に構成されたハンドヘルド型の情報通信装置」であると特定されているのに対し,乙イ15発明では,「マルチメディア通信端末装置HS1をPHS端末に接続することで構成した動画像通信装 - 97 -置」である点ウ加えて,乙イ15発明は,コンテンツ・サーバTSが送信する「動画像の符号化データ(符号化動画像データ)」を,PHS端末PSiと無線端末インタフェース部26とが相俟って受信し,映像デコーダ22がデコードを行った上で,「再生した映像データ(復号された動画像データ)」を表示制御部23へと与える機能を有することから,本件発明と乙イ15発明を対比すると,構成要件Hに関しても,次の相違点がある。 〔相違点⑮h〕本件発明では,前記無線通信手段と前記データ処理手段とが相俟って,インターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルを取得する機能を実現するのに対して,乙イ15発明ではそのような特 ⑮h〕本件発明では,前記無線通信手段と前記データ処理手段とが相俟って,インターネットに接続したウェブサーバから画像データファイルを取得する機能を実現するのに対して,乙イ15発明ではそのような特定がない点(3) 構成要件Fに係る相違点の容易想到性について乙イ15発明は,「テレビジョン電話やテレビジョン会議」を主たる用途として想定しており,「通信回線の伝送容量が小さい」という制約を強く意識しており,動画像符号化方式として,「DDITT(国際電信電話諮問委員会)勧告のH.261方式」を採用している。これに対して,TMDS方式は,PCとデジタルディスプレイ間のなどの画像(表示)信号の伝送用に開発されたものであり,両者は,変換後の画素数を全く異にしており,乙イ15文献には,乙イ15発明に被告らが周知技術とするもの(外部ディスプレイ装置に送信される信号をTMDS方式のデジタル信号とすること)を適用することを阻害する要因が存在する。 したがって,構成要件Fに係る相違点を容易に想到することは困難である。 (4) 構成要件Iに係る相違点の容易想到性について被告らは,構成要件Iに関して,画像データファイルの処理は,リアルタイムで行うか,データを記憶手段に一旦格納し,その後データを読み出して処理するか,のいずれかしかあり得ないとし,これを前提に,乙イ15発明 - 98 -と本件発明とは,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,外部表示装置に,画像を正常に表示させる機能を有する点で一致しており,いずれの方法を選択するかは当業者 ,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,外部表示装置に,画像を正常に表示させる機能を有する点で一致しており,いずれの方法を選択するかは当業者の設計事項であると主張するが,その主張が失当であることは乙イ4発明について述べたとおりである。 相違点⑮i-1は,本件発明の前記「データ処理手段」が有する「ウェブサーバから取得した画像データファイルを記憶手段に一旦格納し,該画像データファイルをその後読み出した上で処理することによって,表示信号を生成する」という処理の機能に関わる相違点であるが,この処理においては,ウェブサーバから画像データを取得後,多かれ少なかれタイムラグをおいて処理することが本質的な特徴となっている。しかし,乙イ15発明は,その構成上,動画像データの受信処理と表示処理との間にタイムラグが存在すると,乙イ15発明で期待された前記の作用効果が実現せず,ひいては乙イ15発明がもともと設定していた前記の課題を解決することができない結果となる。 したがって,乙イ15発明がタイムラグ処理機能を備えることには阻害要因が存在すると判断される。 (5) 構成要件B及びJに係る相違点について被告らの認定が誤っていること被告らは,乙イ15発明の無線通信手段(無線端末インタフェース部26及びPHS端末PSi)と本件発明の無線通信手段とは実質的な差異がない旨主張する。 しかし,乙イ15文献の段落【0089】の記載をみると,この記載は,PHS端末の代わりに携帯電話端末が使用できることを開示するものであり,「無線通信手段が一体的に構成された動画像通信装置」を開示するものでは - 99 -ない。 したがって,被告らの上記主張は失当である。 (6) 構成要件B及びJに係る相違点の容易想到性に り,「無線通信手段が一体的に構成された動画像通信装置」を開示するものでは - 99 -ない。 したがって,被告らの上記主張は失当である。 (6) 構成要件B及びJに係る相違点の容易想到性について「マルチメディア通信端末装置とPHS端末とから別体的に構成された動画像通信装置」を一体化して「ハンドヘルド型の情報通信装置」とするためには,PHS端末PSiの内部にマルチメディア通信端末装置HS1を構成する要素を組み込むこととなるが,乙イ15文献の【図1】や【図3】で示唆される両者のサイズの大きさや機能の複雑さを考慮すると,上記のように組み込むことは極めて困難といわざるを得ない。 したがって,当業者が上記の一体化を想到することには明確な阻害要因が存在する。 (7) 構成要件Hに係る相違点の容易想到性について被告らは,構成要件Hに係る相違点を看過しており,相違点の容易想到性について論理付けがされていない。 (8) 小括以上のことから,乙イ15発明を主引用例として当業者が想到することは困難である。 よって,本件特許は特許無効審判によって無効にされるべきものとはいえない。 8 争点(3)(損害発生の有無及びその額)について〔原告の主張〕(1) 被告シャープに対する損害賠償請求についてアイ号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成23年5月20日から同年12月31日まで,イ号製品を平均単価5万円で少なくとも35万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告 - 100 -がその実施に対して受けるべき金銭の額は,8億5000万円を下るものではない。 イロ号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成23年3月10日から同年12月31日まで,ロ号製 がその実施に対して受けるべき金銭の額は,8億5000万円を下るものではない。 イロ号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成23年3月10日から同年12月31日まで,ロ号製品を平均単価5万円で少なくとも65万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,16億2500万円を下るものではない。 ウハ号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成23年6月29日から同年12月31日まで,ハ号製品を平均単価5万円で少なくとも30万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,7億5000万円を下るものではない。 エニ号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成22年12月17日から平成23年12月31日まで,ニ号製品を平均単価5万円で少なくとも80万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,20億円を下るものではない。 オホ号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成23年2月25日から同年12月31日まで,ホ号製品を平均単価5万円で少なくとも25万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,6億2500万円を下るものではない。 カヘ号製品の実施料相当額について - 101 -被告シャープは,遅くとも平成23年6月4日から同年12月31日まで,ヘ号製品を平均単価5万円で少なくとも20万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告 -被告シャープは,遅くとも平成23年6月4日から同年12月31日まで,ヘ号製品を平均単価5万円で少なくとも20万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,5億円を下るものではない。 キト号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成23年6月17日から同年12月31日まで,ト号製品を平均単価5万円で少なくとも25万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,6億2500万円を下るものではない。 クチ号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成23年7月22日から同年12月31日まで,チ号製品を平均単価5万円で少なくとも5万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,1億2500万円を下るものではない。 ケリ号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成23年9月9日から同年12月31日まで,リ号製品を平均単価5万円で少なくとも1万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,2500万円を下るものではない。 コヌ号製品の実施料相当額について被告シャープは,遅くとも平成23年2月18日から同年12月31日まで,ヌ号製品を平均単価5万円で少なくとも10万個販売した。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告 - 102 -がその実施に対して受けるべき金銭の額は,2億5000万円を下るものではない。 サまとめ以上から,被告シャープが原告に賠償すべ 少なくとも5パーセントが相当であり,原告 - 102 -がその実施に対して受けるべき金銭の額は,2億5000万円を下るものではない。 サまとめ以上から,被告シャープが原告に賠償すべき損害の額は合計74億円を下るものではないが,その一部請求として,原告は,被告シャープに対し,2000万円の支払を求める。 (2) 被告KDDIに対する損害賠償請求についてアロ号製品の実施料相当額について被告KDDIは,遅くとも平成23年3月10日から同年12月31日まで,ロ号製品を少なくとも65万個販売し,ロ号製品の使用の対価として,1個当たり平均4万円の収入を得た。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,13億円を下るものではない。 イハ号製品の実施料相当額について被告KDDIは,遅くとも平成23年6月29日から同年12月31日まで,ハ号製品を少なくとも30万個販売し,ハ号製品の使用の対価として,1個当たり平均2万5000円の収入を得た。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,3億5000万円を下るものではない。 ウまとめ以上から,被告KDDIが原告に賠償すべき損害の額は合計16億7500万円を下るものではないが,その一部請求として,原告は,被告KDDIに対し,400万円の支払を求める。 (3) 被告SBMに対する損害賠償請求についてアニ号製品の実施料相当額について - 103 -被告SBMは,遅くとも平成22年12月17日から平成23年12月31日まで,ニ号製品を少なくとも80万個販売し,ニ号製品の使用の対価として,1個当たり平均5万円の収入を得た。 上記につい 3 -被告SBMは,遅くとも平成22年12月17日から平成23年12月31日まで,ニ号製品を少なくとも80万個販売し,ニ号製品の使用の対価として,1個当たり平均5万円の収入を得た。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,20億円を下るものではない。 イホ号製品の実施料相当額について被告SBMは,遅くとも平成23年2月25日から同年12月31日まで,ホ号製品を少なくとも25万個販売し,ホ号製品の使用の対価として,1個当たり平均4万円の収入を得た。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,5億円を下るものではない。 ウヘ号製品の実施料相当額について被告SBMは,遅くとも平成23年6月4日から同年12月31日まで,ヘ号製品を少なくとも20万個販売し,ヘ号製品の使用の対価として,1個当たり平均2万5000円の収入を得た。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,2億5000万円を下るものではない。 エト号製品の実施料相当額について被告SBMは,遅くとも平成23年6月17日から同年12月31日まで,ト号製品を少なくとも25万個販売し,ト号製品の使用の対価として,1個当たり平均2万5000円の収入を得た。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,3億1250万円を下るものではない。 オチ号製品の実施料相当額について - 104 -被告SBMは,遅くとも平成23年7月22日から同年12月31日まで,チ号製品を少なくとも5万個販売し,チ号製品の使用の対価として, ない。 オチ号製品の実施料相当額について - 104 -被告SBMは,遅くとも平成23年7月22日から同年12月31日まで,チ号製品を少なくとも5万個販売し,チ号製品の使用の対価として,1個当たり平均2万円の収入を得た。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,5000万円を下るものではない。 カリ号製品の実施料相当額について被告SBMは,遅くとも平成23年9月9日から同年12月31日まで,リ号製品を少なくとも1万個販売し,リ号製品の使用の対価として,1個当たり平均1万5000円の収入を得た。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,750万円を下るものではない。 キまとめ以上から,被告SBMが原告に賠償すべき損害の額は合計31億2000万円を下るものではないが,その一部請求として,原告は,被告SBMに対し,900万円の支払を求める。 (4) 被告ドコモに対する損害賠償請求について被告ドコモは,遅くとも平成23年5月20日から同年12月31日まで,イ号製品を少なくとも35万個販売し,イ号製品の使用の対価として,1個当たり平均3万円の収入を得た。 上記について,実施料率は少なくとも5パーセントが相当であり,原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は,5億2500万円を下るものではない。 以上から,被告ドコモが原告に賠償すべき損害の額は合計5億2500万円を下るものではないが,その一部請求として,原告は,被告ドコモに対し, - 105 -100万円の支払を求める。 〔被告シャープらの主張〕否認ないし争う。 〔被告ドコモの主張〕不知,否認ないし争う。 その一部請求として,原告は,被告ドコモに対し, - 105 -100万円の支払を求める。 〔被告シャープらの主張〕否認ないし争う。 〔被告ドコモの主張〕不知,否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明の意義等(1) 本件明細書等の記載本件明細書等(甲2。別紙特許公報写し参照)には,次の記載がある。 【技術分野】・「本発明は,携帯電話機などの携帯情報通信装置,携帯情報通信装置とともに用いる接続ユニット,及び携帯情報通信装置とともに用いる外部入出力ユニットに関する。」(段落【0001】)【背景技術】・「ところが,このような方法において使用されるパソコンは,通常は,携帯情報通信装置で行われる電子メールの送受信やウェブページの閲覧等に限定されない汎用的な用途に使用できるように設計されているため,携帯情報通信装置自体のデータ処理手段よりも高機能であるCPU(CentralProcessingUnit)等のプロセッサを有している。その上,ハードウェアを起動させるためには,別途,OS(OperatingSystem)等のソフトウェアも準備しなければならないため,パソコンを所有するために要するコストは,携帯電話機をはじめとする携帯情報通信装置自体を所有するために要するコストより,通常は大きい。 このため,データ通信やデータ処理のニーズが電子メールの送受信やウェブページの閲覧等に限られるような多数のユーザーにとって,上記のように,長文の電子メールを読んだり,パソコン向けウェブページを閲覧し - 106 -たりする際の,付属ディスプレイの画面サイズ・解像度が小さいことに起因する不便さを解消するためだけに別途パソコンを所有することは,経済的に不合理である。 一方,携帯情報通信装置 - 106 -たりする際の,付属ディスプレイの画面サイズ・解像度が小さいことに起因する不便さを解消するためだけに別途パソコンを所有することは,経済的に不合理である。 一方,携帯情報通信装置のデータ処理手段は,汎用的な用途には必ずしも向いていないとは言え,付属ディスプレイに画像を表示するための表示データ処理機能については,表示画面が小さいということを除けば,パソコンにおけるCPU等のプロセッサの機能に匹敵する。それにもかかわらず,上記のようなパソコンと携帯情報通信装置との使い分けを行うとすれば,同種のものに二重投資を行うことになり,結果として少なくとも一方の稼働率の低下をもたらすため,資源の効率的な利用の観点からも好ましくない。」(段落【0010】)・「現在のところ,『TV出力機能』又は『AV出力機能』によってテレビモニタに表示されるのは,撮影した静止画や動画,又は一部のゲームに限られているが,仮に,これらの携帯電話機が『フルブラウザ機能』又は『PCサイトビュー機能』を有し,閲覧したパソコン向けウェブページをテレビモニタで閲覧できるようになったとしても,それはあくまでも付属ディスプレイに表示される画面イメージを拡大表示するだけであって,画面イメージの解像度が増えるわけではない。したがって,ウェブページの作成者が本来意図したはずの,パソコンの画面イメージとして実現されるレイアウトでの表示が,テレビモニタにおいて実現できるわけではない。 また,仮に,これらの携帯電話機がテレビチューナ機能を有し,受信した映像をテレビモニタに出力できたとしても,テレビ放送における本来画像がテレビモニタに表示されるわけではない。」(段落【0021】)・「したがって,上記の課題を解決するためには,『TV出力機能』又は『AV出力機能』を有する携帯電話 ても,テレビ放送における本来画像がテレビモニタに表示されるわけではない。」(段落【0021】)・「したがって,上記の課題を解決するためには,『TV出力機能』又は『AV出力機能』を有する携帯電話機のように,ただ単に付属ディスプレイに表示される画像を大画面外部ディスプレイ装置に拡大表示するという - 107 -機能を有するに留まらず,付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を大画面外部ディスプレイ装置に表示する機能を有する携帯情報通信装置を提供することが必要である。 これにより,付属ディスプレイでは自らの画面解像度に相当する部分だけを切り出した部分画像しか表示できなかったり,画素を間引くことによって画質を落とした全体画像しか表示できなかったりした画像を,大画面外部ディスプレイにおいては,その本来の解像度のままの全体画像として表示できるようになる。また,特に,水平方向の画素数が付属ディスプレイの画面水平解像度より大きい画像を大画面外部ディスプレイ装置に表示する機能を有する場合には,一行あたりに表示できる文字数を増やすことができ,その結果,長文の電子メールであっても,何行にもわたって表示され,垂直スクロールを何度も繰り返さなければならないということはなくなる。また,それらの効果が総合されることにより,パソコン向けウェブページも,大画面外部ディスプレイ装置において,パソコンの画面イメージとして実現されるレイアウトで閲覧できるようになる。」(段落【0022】)【発明が解決しようとする課題】・「本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,携帯電話機やPDAをはじめとする携帯情報通信装置に大画面外部ディスプレイ装置を接続することにより,より一般的には,携帯情報通信装置に大画面ディスプレイ なされたものであり,その目的とするところは,携帯電話機やPDAをはじめとする携帯情報通信装置に大画面外部ディスプレイ装置を接続することにより,より一般的には,携帯情報通信装置に大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置,及び/又は,大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続することにより,該大画面外部ディスプレイ手段において,付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示すること,特に,長文の電子メールについては,垂直スクロールを繰り返すことなく読めること,パソコン向けウェブページについては,パソコンでの画面イメージに近いレイアウトで表示し,し - 108 -かも水平スクロールを繰り返すことなく閲覧できること,テレビ番組については,テレビ放送における本来画像を表示することを,該大画面外部ディスプレイ手段向けの専用の表示データ生成手段を,付属ディスプレイに画像を表示するためにもともと必要である表示データ生成手段(以下,付属表示データ生成手段と略記する)とは別個に使用することなく,大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置,及び/又は,大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置と間のインターフェース手段の追加と,付属表示データ生成手段への若干の機能追加だけで実現する携帯情報通信装置を提供する点にある。また,携帯情報通信装置及び大画面外部ディスプレイ装置とともに用いられ,該大画面外部ディスプレイ装置の画面に,付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示するための接続ユニットを提供する点にある。さらに,携帯情報通信装置とともに用いられ,自らに付属する大画面外部ディスプレイパネルに,該携帯情報通信装置の付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示する外部入出力ユニットを提供する点にある。」(段落【00 もに用いられ,自らに付属する大画面外部ディスプレイパネルに,該携帯情報通信装置の付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示する外部入出力ユニットを提供する点にある。」(段落【0031】)【課題を解決するための手段】・「上記目的を達成するために,携帯情報通信装置に係る第1の発明は,ユーザーがマニュアル操作によって入力したデータを後記データ処理手段に送信する入力手段と,無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信するとともに,後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と,後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と,前記入力手段から送信されたデータ及び前記記憶手段に格納されたプログラムに基づき,前記無線通信手段から受信したデジタル信号及び/又は前記記憶手段から読み出したデータに必要な処理を行って,デジタル表示信号及びその他のデジタル信号を生成し - 109 -て送信するデータ処理手段と,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段とを備えた携帯情報通信装置であって,外部ディスプレイ手段を含む周辺装置,又は,外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続し,該周辺装置に対して,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1と,前記データ処理手段で生成されたデジタル表示信号の送信先として,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A たデジタル表示信号に基づき,外部表示信号を送信するインターフェース手段A1と,前記データ処理手段で生成されたデジタル表示信号の送信先として,前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1の少なくともいずれか一方を選択して指定する送信先指定手段とを備えるとともに,前記データ処理手段と前記インターフェース手段A1とが相俟って,前記送信先指定手段がデジタル表示信号の送信先として前記インターフェース手段A1を指定した場合には,該インターフェース手段A1から,高解像度外部表示信号を送信する機能を実現することを特徴とする。 なお,本『明細書』及び『特許請求の範囲』でいう『デジタル表示信号』には,後で詳述する『ビットマップデータ』等のデジタル画像データに直接対応した信号だけでなく,デジタル画像データの生成(描画)を命令する描画命令のデジタル信号も含む。 また,本『明細書』及び『特許請求の範囲』でいう『外部表示信号』とは,周辺装置における高解像度外部ディスプレイ手段がそれを受信して適切に処理することにより画像を表示することが可能であるような信号を意味する。そして,表示信号,画像データファイル又は動画信号を『適切に処理する』とは,高解像度ディスプレイ手段,又は,データ処理手段及び高解像度ディスプレイ手段が,表示信号,画像データファイル又は動画信号に含まれている画素ごとの論理的な色情報を,ディスプレイ手段の画面 - 110 -を構成する物理的な画素の色表示として過不足なく現実化することを意味しており,より具体的には,物理的な現実化にあたって画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりしないことを意味している。 さらに,本『明細書』及び『特許請求の範囲』でいう『高解像度外部表示信号 て画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりしないことを意味している。 さらに,本『明細書』及び『特許請求の範囲』でいう『高解像度外部表示信号』とは,本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい外部表示信号を意味し,また,『高解像度外部ディスプレイ手段』とは,十分な大きさの画面解像度(水平画素数×垂直画素数)を有する外部ディスプレイ手段を意味する。 また,本『明細書』及び『特許請求の範囲』でいう『本来解像度』とは,表示信号,画像データファイル又は動画信号を,高解像度ディスプレイ手段,又は,データ処理手段及び高解像度ディスプレイ手段が適切に処理することにより表示される本来の解像度を意味する。そして,『本来画像』とは,表示信号,画像データファイル又は動画信号を,高解像度ディスプレイ手段,又は,データ処理手段及び高解像度ディスプレイ手段が適切に処理することにより表示される本来解像度を有する画像を意味する。 さらに,本『明細書』及び『特許請求の範囲』においては,『周辺装置における~手段』という表記によって,『周辺装置に含まれた~手段又は周辺装置に接続された~手段』を意味する。」(段落【0032】)【発明の効果】・「第22乃至第24の発明の携帯情報通信装置においては,携帯情報通信装置はインターネットに接続したウェブサーバにおけるウェブページを,従来通り,付属ディスプレイパネル閲覧することに加えて,携帯情報通信装置のインターフェース手段A1に接続された周辺装置における高解像度外部ディスプレイ手段の画面において閲覧することができる。また,携帯情報通信装置はウェブサーバから画像ファイルやゲームプログラム等のコ - 111 -ンテンツファイルを取得したりした上で,該ウ 外部ディスプレイ手段の画面において閲覧することができる。また,携帯情報通信装置はウェブサーバから画像ファイルやゲームプログラム等のコ - 111 -ンテンツファイルを取得したりした上で,該ウェブページやコンテンツファイルに対応する画像を,従来通り,付属ディスプレイパネルにおいて表示することに加えて,高解像度外部ディスプレイ手段の画面において表示することができる。しかも,その際,付属ディスプレイパネルの画面解像度の制約を受けることなく,該付属ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を表示することができる。」(段落【0092】)(2) 本件発明の意義以上の各記載によれば,本件発明は,携帯電話機等の携帯情報通信装置のデータ処理手段が,付属ディスプレイに画像を表示するための表示データ処理機能については,表示画面が小さいということを除けば,パソコンにおけるCPU等のプロセッサの機能に匹敵するにもかかわらず,パソコンと携帯情報通信装置との使い分けを行うことにより,同種のものへの二重投資を行うことになり,結果として少なくとも一方の稼働率の低下をもたらすため,資源の効率的な利用の観点からも好ましくないものであったことから,かかる問題を解消するため,携帯情報通信装置に大画面外部ディスプレイ装置を接続することにより,より一般的には,携帯情報通信装置に大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置により,又は,さらに大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続することによって,パソコン向けウェブページをパソコンでの画面イメージに近いレイアウトで表示して,しかも水平スクロールを繰り返すことなく閲覧すること等ができるようにするために,携帯情報通信装置,携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム及び携帯情報通信 近いレイアウトで表示して,しかも水平スクロールを繰り返すことなく閲覧すること等ができるようにするために,携帯情報通信装置,携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム及び携帯情報通信装置用外部出力ユニットについて,特許請求の範囲【請求項3】に記載された構成を採用したことによって上記課題を解決しようとした発明である,と認められる。 2 争点(1)ア(構成要件Iの充足性)について - 112 -(1) 構成要件Iの「処理する」の意義についてア構成要件Iは,「前記データ処理手段は,前記画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルをリアルタイムで処理することによって,及び/又は,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理することによって,前記画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成する機能を有する」というものである。 この点,本件明細書等の段落【0032】には,「なお,本『明細書』及び『特許請求の範囲』でいう『デジタル表示信号』には,後で詳述する『ビットマップデータ』等のデジタル画像データに直接対応した信号だけでなく,デジタル画像データの生成(描画)を命令する描画命令のデジタル信号も含む。また,本『明細書』及び『特許請求の範囲』でいう『外部表示信号』とは,周辺装置における高解像度外部ディスプレイ手段がそれを受信して適切に処理することにより画像を表示することが可能であるような信号を意味する。」との記載があり,この記載に照らして,構成要件Iの「処理する」とは,本件明細書等の段落【0032】の「適切に処理する」をいうものと解される。 そして,同段落【0032】には,上記の引用部分に続けて,「そして, ,この記載に照らして,構成要件Iの「処理する」とは,本件明細書等の段落【0032】の「適切に処理する」をいうものと解される。 そして,同段落【0032】には,上記の引用部分に続けて,「そして,表示信号,画像データファイル又は動画信号を『適切に処理する』とは,高解像度ディスプレイ手段,又は,データ処理手段及び高解像度ディスプレイ手段が,表示信号,画像データファイル又は動画信号に含まれている画素ごとの論理的な色情報を,ディスプレイ手段の画面を構成する物理的な画素の色表示として過不足なく現実化することを意味しており,より具体的には,物理的な現実化にあたって画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりしないことを意味している。」と記載されている。 - 113 -この記載に鑑みると,「画素を間引」くことや,「画素を補間」することは,「適切な処理」から除外されているものと解される。 以上より,構成要件Iの「処理する」とは,データ処理手段が画像データファイルについて,物理的な現実化にあたって画素数を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりといったことをしない処理をすることをいうものと解される。 よって,構成要件Iは,データ処理手段が画像データファイルについて,物理的な現実化にあたって画素数を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりといったことをしない処理をし,この処理によって画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成すると解釈するのが相当である。 イこの点に関して原告は,「画素ごとの論理的な色情報」と「物理的な画素」との関係について場合分けした上で,「適切に処理する」とは,「高解 像のデジタル表示信号を生成すると解釈するのが相当である。 イこの点に関して原告は,「画素ごとの論理的な色情報」と「物理的な画素」との関係について場合分けした上で,「適切に処理する」とは,「高解像度ディスプレイ手段(すなわち,十分な水平画素数と垂直画素数を有するディスプレイ手段),又は,データ処理手段及び高解像度ディスプレイ手段が,表示信号,画像データファイル・・・に含まれている画素ごとの論理的な色情報を,ディスプレイ手段の画面を構成する物理的な画素の色表示として過不足なく現実化すること」をいうと主張する。 ところで,この「画素ごとの論理的な色情報」と「物理的な画素」の対応関係は,①前者と後者が同数の場合,②後者の数が前者より大きい場合,③前者の数が後者より大きい場合の三つの場合分けが考えられる。 そこで,まず,②の場合について検討すると,この場合にも,「画素ごとの論理的な色情報」と「物理的な画素」とが一対一の関係で対応付けされる場合と,一つの「画素ごとの論理的な色情報」に対して複数の「物理的な画素」とが対応付けされる場合とがあるものと考えられる。そのうち,前者の一対一の関係で対応付けされる場合は,「画素ごとの論理的な色情 - 114 -報」が「物理的な画素」として過不足なく物理的な現実化をするものといえる。しかし,後者の一対複数の関係で対応付けされる場合については,原告の主張によっても「適切に処理」がされた一例を示すにとどまり,いかなる処理がなされるのか,具体的な手法が明らかにされているとはいえない。 次に,①の場合について検討すると,「画素ごとの論理的な色情報」と「物理的な画素」とが一対一の関係で対応付けされるものと考えるのが自然であり,上記②の特殊な場合としてみるのが相当である。 さらに,③の場合について検討すると, ると,「画素ごとの論理的な色情報」と「物理的な画素」とが一対一の関係で対応付けされるものと考えるのが自然であり,上記②の特殊な場合としてみるのが相当である。 さらに,③の場合について検討すると,この場合にも,複数の「画素ごとの論理的な色情報」に対して一つの「物理的な画素」とが対応付けされる場合と,「画素ごとの論理的な色情報」と「物理的な画素」とが一対一の関係で対応付けされる場合とがあるものと考えられる。前者の場合は,複数の「画素ごとの論理的な色情報」と一つの「物理的な画素」とが対応することにより,「画素ごとの論理的な色情報」が物理的な現実化をするに当たって,色情報の情報量を減少させることとなる。後者の場合は,一つの「画素ごとの論理的な色情報」と一つの「物理的な画素」とが対応することにより,「画素ごとの論理的な色情報」がディスプレイ手段上では,「物理的な画素」と対応する限度で物理的な現実化をするにとどまることが考えられる。この場合,ディスプレイ手段上では,表示画面上には全てを表示することができず,例えば,その余の「画素ごとの論理的な色情報」を表示するために画面の縦スクロールや横スクロールを必要とすることになることが考えられるが,本件明細書等を精査しても,具体的にいかなる処理がされるのか明らかにされていないし,その手法も当然ながら明らかにされていない。 したがって,「適切に処理する」の意義については,これを「画素ごとの論理的な色情報」と「物理的な画素」の対応関係から直ちに明らかにす - 115 -ることはできないといわざるを得ず,原告の主張は「適切に処理する」の意義を明らかにするには足りないというべきである。 以上のとおり,原告の上記主張は採用することができない。 (2) 本件発明に関する被告各製品の構成要件充足性について 主張は「適切に処理する」の意義を明らかにするには足りないというべきである。 以上のとおり,原告の上記主張は採用することができない。 (2) 本件発明に関する被告各製品の構成要件充足性についてア前記第2,2(7)のとおり,イ号製品並びにニ号製品ないしヌ号製品は,データ処理手段としてのモバイルプロセッサMSM8255を搭載しており,ロ号製品及びハ号製品は,データ処理手段としてのモバイルプロセッサMSM8655を搭載している。 イこのモバイルプロセッサMSM8255及びモバイルプロセッサMSM8655については,これらが掲載されているパンフレットに(乙イ18)によれば,仕様につき,「ビデオ」の項に「HD720p,30fpsでのビデオ再生,ストリーミング」の旨が記載されており,一方,「ビデオカメラ」の項に「30fps,最大720p(MPEG-4)での録画・再生」の旨が記載されているほか,「液晶ディスプレー・サポート」の項に「最大WXGA(1280x720)」の旨,「オーディオ」の項に「最大128ボイス・ポリフォニー」の旨が記載されていること,モバイルプロセッサMSM8255及びモバイルプロセッサMSM8655はこれらについて共通の仕様であることが認められる。 上記認定した仕様をみると,「ビデオカメラ」や「液晶ディスプレー・サポート」,「オーディオ」の各項には「最大」との表現があるが,これに対して,「ビデオ」の項には「最大」との表現がない。このことから,「ビデオ」の項にはあえて「最大」との表現が用いられていないものと認められるから,各モバイルプルセッサの仕様については,ウェブサーバから取得される画像の画素数(本来解像度)にかかわらず,上記各モバイルプロセッサからインターフェース手段A1であるHDMI送信ICに送信される表示信 モバイルプルセッサの仕様については,ウェブサーバから取得される画像の画素数(本来解像度)にかかわらず,上記各モバイルプロセッサからインターフェース手段A1であるHDMI送信ICに送信される表示信号の画素数が常に一律に,HD(1280×720又は72 - 116 -0p)となるように設計されていると認められる。 したがって,データ処理手段としての上記各モバイルプロセッサは,ウェブサーバからダウンロードした画像データファイルの画素数(本来解像度)がHD未満である場合(低解像度の場合)には,画素を補間してHD の表示信号を生成し,同画像データファイルの画素数(本来解像度)がHDを超える場合(高解像度の場合)には,画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしてHDの表示信号を生成していると認められる。 ウ以上を前提に構成要件Iの充足性について検討する。 (ア) まず,低解像度の場合及び高解像度の場合についてみると,低解像度の場合は「画素を補間」する処理が行われ,高解像度の場合は「画素を間引く処理が行われるから,構成要件Iの「処理する」に該当しないことが明らかである。 (イ) 一方,ウェブサーバからダウンロードした画像データファイルの画素数(本来解像度)がHDと同じ解像度の場合についてみると,証拠(甲4~6,8)によっても,上記各モバイルプロセッサが通信に適したフォーマットから画像表示に適したフォーマットに変換するに当たり,画素を間引いたり補間したりせずに変換処理をしていることについては,これを認めるに足りず,ほかに提出された全証拠を精査しても,これを認めるに足りる的確な証拠がない。 したがって,この場合も,構成要件Iの「処理する」に該当しないといわざるを得ない。 エよって,本件各製品はいずれも,本件発明の構成要件Iを充足 しても,これを認めるに足りる的確な証拠がない。 したがって,この場合も,構成要件Iの「処理する」に該当しないといわざるを得ない。 エよって,本件各製品はいずれも,本件発明の構成要件Iを充足しない。 (3) 本件訂正発明に関する被告各製品の構成要件充足性について本件訂正発明について検討するに,当該訂正は技術的範囲の減縮を目的とするものであり,構成要件I’における「処理する」が構成要件Iの「処理する」と同じ意義であることは明らかであるから,被告各製品はいずれも構 - 117 -成要件I’を充足せず,したがって,本件訂正発明の技術的範囲に属するとは認められない。 3 争点(1)イ(構成要件Gの充足性)について(1) 「高解像度デジタル外部表示信号」の意義について「高解像度デジタル外部表示信号」は,構成要件Gの文言によると,「インターフェース手段A1」から送信されるものであり,この「インターフェース手段A1」は,構成要件Fの文言によると,「デジタル外部表示信号」を送出するものであるから,「高解像度デジタル外部表示信号」と「デジタル外部表示信号」とは同じ信号であると解される。 また,「高解像度デジタル外部表示信号」とは,デジタル表示信号の一つであって,外部ディスプレイ手段を含む周辺装置又は外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置に送信されるデジタル表示信号と解するのが自然である。 この点,前記2のとおり,データ処理手段が,画像データファイルについて,物理的な現実化にあたって画素数を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり,画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりといったことをしない処理をして,この処理によって画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成しているところ,構成要件Fの文言によれば,かか 補間して表示画像の解像度を大きくしたりといったことをしない処理をして,この処理によって画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル表示信号を生成しているところ,構成要件Fの文言によれば,かかるデジタル表示信号がインターフェース手段A1に伝送され,該インターフェース手段A1により外部ディスプレイ手段を含む周辺装置又は外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置に送信されることが認められる。 そして,本件明細書等の段落【0032】には,「『高解像度外部表示信号』とは,本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい外部表示信号を意味し」と記載されている。 そうすると,構成要件Gの「高解像度デジタル外部表示信号」とは,データ処理手段で画素の補間又は間引き処理のされていない最適に処理された外 - 118 -部表示信号であって,本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より大きい外部表示信号を意味するものと解するのが相当である。 また,構成要件Iに「ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも・・・処理する」との文言があることから,それを字義どおりに解釈すると,本来解像度がディスプレイパネルAの画面解像度より小さい場合であっても,画像データファイルが「処理」されるものと解するのが相当であるから,かかる場合であっても,構成要件Gの「高解像度デジタル外部表示信号」とは,データ処理手段で画素の補間又は間引き処理のされていない最適に処理された外部表示信号であるものと解される。 (2) 本件発明に関する被告各製品の構成要件充足性について前記2(2)ア及びイのとおり,被告各製品は,データ処理手段としての共通の仕様のモバイルプロセッサを搭載しており,当該モバイルプロセッサは,ウェブサーバからダウンロードした画像データファイルの画 前記2(2)ア及びイのとおり,被告各製品は,データ処理手段としての共通の仕様のモバイルプロセッサを搭載しており,当該モバイルプロセッサは,ウェブサーバからダウンロードした画像データファイルの画素数(本来解像度)がHD未満である場合には,画素を補間してHDの表示信号を生成し,同画像データファイルの画素数(本来解像度)がHDを超える場合には,画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしてHDの表示信号を生成している。 そうすると,被告各製品において外部ディスプレイに出力される信号は一律にHDに処理された信号であると認められるから,いずれの場合においても,構成要件Gの「高解像度デジタル外部表示信号」に該当しない。 また,ウェブサーバからダウンロードした画像データファイルの画素数(本来解像度)がHDと同じ解像度の場合については,前記2(2)ウ(イ)のとおり,当該モバイルプロセッサが画像データファイルをデジタル外部表示信号に変換するに当たり,画素を間引いたり補間したりせずに変換処理をしていることについては,本件全証拠を精査してもこれを認めるに足りる的確な証拠がないから,この場合における処理されたデジタル外部表示信号が,構成要件Gの「高解像度デジタル外部表示信号」に該当するとはいえない。 - 119 -よって,被告各製品はいずれも本件発明の構成要件Gを充足せず,この点においても,本件発明の技術的範囲に属するとは認められない。 (3) 本件訂正発明に関する被告各製品の構成要件充足性について本件訂正は技術的範囲の減縮を目的とするものであるところ,構成要件Gは訂正されておらず本件発明と同じであるから,前記(1)及び(2)と同様に,本件訂正発明の技術的範囲に属するとは認められない。 4 争点(2)イ(無効理由1の2〔乙イ4を主引用例とし,乙 構成要件Gは訂正されておらず本件発明と同じであるから,前記(1)及び(2)と同様に,本件訂正発明の技術的範囲に属するとは認められない。 4 争点(2)イ(無効理由1の2〔乙イ4を主引用例とし,乙イ19を副引用例とする進歩性欠如〕)について(1) 乙イ4発明についてア乙イ4文献の内容乙イ4文献には次の記載がある。 【発明の属する技術分野】・「本発明は,携帯電話機(通信機能搭載のパームトップPCやPDA〔PersonalDigital/DataAssistant〕などの携帯電子機器を含む)に関するものである。」(段落【0001】)【従来技術】・「従来より,携帯電話機の多くは,各種情報(静止画や動画,文字など)を表示する手段として,数インチの表示部(液晶ディスプレイ)を有して成る。」(段落【0002】)【発明が解決しようとする課題】・「確かに,上記構成から成る携帯電話機は,アドレス帳や電子メールの内容,或いは携帯電話機での閲覧を目的として作成されたWebコンテンツ等を表示部に出力することができるので,ユーザにとって非常に便利である。」(段落【0004】)・「しかしながら,上記構成から成る携帯電話機では,本体の携帯性を考慮して表示部の設置面積を大きくとれないため,表示内容の視認性や臨 - 120 -場感が乏しい上,ユーザの視力低下を招くおそれがあった。また,携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについては,正常に表示することすらできなかった。」(段落【0005】)【課題を解決するための手段】・「上記目的を達成するために,本発明に係る携帯電話機は,入力された情報を外部表示装置で読取可能な画像信号形式に変換して出力する画像出力部を有して成り,前記外部表示装置への情報出力を行う構成として ・「上記目的を達成するために,本発明に係る携帯電話機は,入力された情報を外部表示装置で読取可能な画像信号形式に変換して出力する画像出力部を有して成り,前記外部表示装置への情報出力を行う構成としている。このような構成とすることにより,本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性や臨場感を向上させることが可能となる。」(段落【0008】)・「また,上記構成から成る携帯電話機において,前記外部表示装置に出力される情報は,サーバから取得されたWebコンテンツ情報とすればよい。このような構成とすることにより,外部表示装置には,閲覧中のWebコンテンツ情報が表示されることになるので,携帯電話機本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性を向上させることが可能となる上,携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,正常に表示することが可能となる。また,ユーザは,外部表示装置を通してWebコンテンツ情報を閲覧しながら,携帯電話機本体で良好な音声通話を行うことが可能となる。」(段落【0012】)【発明の実施の形態】・「制御部10は,CPU〔CentralProcessingUnit〕等から成り,上記各部11~17を含む装置全体の動作を制御する。送受信部11は,送信回路と受信回路を有して成り,アンテナ11aを介して電波を送受信することで,基地局(不図示)との双方向通信を行う。なお,アンテナ11aとしては,携帯性や格納性に優れたロッドアンテナを用いるとよい。表示部12は,液晶ディスプレイ等から成る情報表示手段である。 - 121 -音声部13は,マイク13aやスピーカ13bを制御する音声入出力手段である。操作部14は,ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備えた入力デバイスである。撮像部15は,CCDカメラやCMO 121 -音声部13は,マイク13aやスピーカ13bを制御する音声入出力手段である。操作部14は,ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備えた入力デバイスである。撮像部15は,CCDカメラやCMOSカメラから成る画像撮影手段である。記憶部16は,ROMやRAMから成る情報格納手段である。本発明の特徴部分である画像出力部17は,入力された情報(静止画や動画,文字など)を外部表示装置2で読取可能な画像信号形式(例えば,ビデオ信号形式)に変換して出力するインターフェイス部である。」(段落【0016】)・「第1の具体例は,記憶部16の格納情報(アドレス帳や電子メールの内容等)を外部表示装置2に出力する場合である。この場合,制御部10は,記憶部16から所望の情報を読み出して画像出力部17に送出し,該情報を外部出力するように要求する。該要求を受けた画像出力部17は,制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力する。このような動作により,外部表示装置2には,携帯電話機1の記憶部16から読み出された情報が表示されることになる。従って,外部表示装置2として表示部12より大型のモニタ装置を用いれば,携帯電話機1本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性を向上させることが可能となる。」(段落【0018】)・「第2の具体例は,外部表示装置2を用いてテレビ電話を行う場合(すなわち,通話相手から送られてくる画像情報を外部表示装置2に出力しながら該通話相手と音声通話を行う場合)である。この場合,制御部10は,送受信部11を介して通話相手との双方向通信を行い,互いに音声情報及び画像情報の交換を行う。このとき,制御部10は,通話相手から送られてくる音声情報及び画像情報を各々音声部13及び画像出力部17に送出し,画像出力部17に対 手との双方向通信を行い,互いに音声情報及び画像情報の交換を行う。このとき,制御部10は,通話相手から送られてくる音声情報及び画像情報を各々音声部13及び画像出力部17に送出し,画像出力部17に対して該画像情報を外部出力するように要求する。該要求を受けた画像出力部17は,制御部10からの入 - 122 -力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力する。このような動作により,外部表示装置2には,通話相手から送られてくる画像情報が表示されることになる。従って,ユーザは,外部表示装置2を通して通話相手の顔を見ながら,ハンズフリーマイクやヘッドホンを用いることなく,携帯電話機1本体で良好な音声通話を行うことが可能となる。 なお,通話相手から送られてくる画像情報については,制御部10の指示を待つことなく,送受信部11から画像出力部17を介して外部表示装置2に送出する構成としてもよい。このような構成とすることにより,画像出力と音声出力との間にタイムラグが生じるのを防止することが可能となる。」(段落【0019】)・「第3の具体例は,閲覧中のWebコンテンツ情報を外部表示装置2に出力する場合である。この場合,制御部10は,送受信部11を介して指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得して画像出力部17に送出し,該情報を外部出力するように要求する。該要求を受けた画像出力部17は,制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力する。このような動作により,外部表示装置2には,閲覧中のWebコンテンツ情報が表示されることになる。従って,外部表示装置2として表示部12より大型のモニタ装置を用いれば,携帯電話機1本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性を向上させることが可能となる。また,携帯電話機での閲覧が意図さ る。従って,外部表示装置2として表示部12より大型のモニタ装置を用いれば,携帯電話機1本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性を向上させることが可能となる。また,携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについても,表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが可能となる。」(段落【0020】)・「第4の具体例は,閲覧中のWebコンテンツ情報を外部表示装置2に出力しながら音声通話を行う場合である。この場合,制御部10は,送受信部11を介して通話相手との音声情報交換を行う一方,指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得する。このとき,制御部10は, - 123 -得られた音声情報及びWebコンテンツ情報を各々音声部13及び画像出力部17に送出し,画像出力部17に対して該Webコンテンツ情報を外部出力するように要求する。該要求を受けた画像出力部17は,制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力する。このような動作により,外部表示装置2には,閲覧中のWebコンテンツ情報が表示されることになる。従って,ユーザは,外部表示装置2を通してWebコンテンツ情報を閲覧しながら,携帯電話機1本体で良好な音声通話を行うことが可能となる。」(段落【0021】)・「第5の具体例は,再生中のストリーミング画像を外部表示装置2に出力する場合である。この場合,制御部10は,送受信部11を介して指定サーバから所望のストリーミング情報を取得しながら,該ストリーミング情報に含まれる音声情報及び画像情報を各々音声部13及び画像出力部17に送出し,画像出力部17に対して該画像情報を外部出力するように要求する。該要求を受けた画像出力部17は,制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示 を各々音声部13及び画像出力部17に送出し,画像出力部17に対して該画像情報を外部出力するように要求する。該要求を受けた画像出力部17は,制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力する。このような動作により,外部表示装置2には,再生中のストリーミング画像が表示されることになる。従って,外部表示装置2として表示部12より大型のモニタ装置を用いれば,携帯電話機1本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性や臨場感を向上させることが可能となる。なお,ストリーミング音声の出力手段としては,携帯電話機1に内蔵されたスピーカ13bを用いてもよいし,ヘッドホン等を外部接続して用いてもよい。」(段落【0022】)イ乙イ4文献の段落【0020】等のWebコンテンツ情報の取得に関する記載から,指定サーバから所望のWebコンテンツ情報を取得するために,携帯電話機がインターネットに接続されユーザーエージェント情報を含みインターネットプロトコルに準拠した無線信号を送信する機 - 124 -能と,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信する機能を有するものと認められる。 このことと上記アの記載によれば,乙イ4文献には,次の発明(乙イ4発明)が記載されていると認められる。 「ユーザがマニュアル操作によって入力したデータを後記制御部10に送信する操作部14と,電波を受信して制御部10に送信するとともに,後記制御部10から受信した信号を電波に変換して送信する送受信部11と,後記画像出力部17を動作させるプログラムと後記制御部10で処理可能なデータファイルとを格納する記憶部16と,前記操作部14から送信されたデータ及び前記記憶部16に格納されたプログラムに基づき,前記送受信部11から受信した電波及び/又は前記 御部10で処理可能なデータファイルとを格納する記憶部16と,前記操作部14から送信されたデータ及び前記記憶部16に格納されたプログラムに基づき,前記送受信部11から受信した電波及び/又は前記記憶部16から読み出したデータに所定の信号処理を施して,デジタル表示信号及びその他のデジタル信号を生成して送信する制御部10と,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示し,前記制御部10から受信したデジタル表示信号を送信する画像出力部17と,を備えるとともに,前記制御部10と前記画像出力部17とが相俟って,該画像出力部17から,外部表示装置2で読取可能な画像信号形式の信号を送信する機能を実現する携帯電話機であって,前記送受信部11と前記制御部10とが相俟って,ユーザーエージェント情報を含みインターネットプロトコルに準拠した無線信号を送信する機能と,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信することにより,インターネットに接続した指定サーバからWebコンテンツ情報を取得 - 125 -する機能と,を実現するとともに,前記Webコンテンツ情報に所定の信号処理を施すことによって,前記Webコンテンツ情報のデジタル表示信号を生成する機能を有することを特徴とする携帯電話機。」(2) 本件訂正発明と乙イ4発明との対比便宜上,まず,本件訂正発明と乙イ4発明との対比を検討する。 ア本件訂正発明は前記第2,2(4)及び(5)のとおりであり,これと乙イ4発明とを対比すると,乙イ4発明の「制御部10」,「操作部14」,「電波」,「送受信部11」,「記憶部16」,「データに所定の信号処理を施して」,「外部表示装置2」,「画像出力部17」,「携帯電話機」,「Webコンテンツ情報」,「指定サーバ」は,それぞ 14」,「電波」,「送受信部11」,「記憶部16」,「データに所定の信号処理を施して」,「外部表示装置2」,「画像出力部17」,「携帯電話機」,「Webコンテンツ情報」,「指定サーバ」は,それぞれ,本件訂正発明の「データ処理手段」,「入力手段」,「無線信号」,「無線通信手段」,「記憶手段」,「データに必要な処理を行って」,「ディスプレイ手段」,「インターフェース手段A1」,「携帯情報通信装置」,「画像データファイル」,「Webサーバ」に相当する。 また,乙イ4発明の「外部表示装置2で読取可能な画像信号形式の信号」は表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示することが可能な信号として抽象的に記述されている点で,本件訂正発明の「高解像度デジタル外部表示信号」と「外部表示信号」との点において共通する。 イそうすると,本件訂正発明と乙イ4発明の一致点及び相違点は,次のとおりとなる。 〔一致点〕ユーザがマニュアル操作によって入力したデータを後記データ処理手段に送信する入力手段と,電波を受信してデータ処理手段に送信するとと - 126 -もに,後記データ処理手段から受信した信号を電波に変換して送信する無線通信手段と,後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と,前記入力手段から送信されたデータ及び前記記憶手段に格納されたプログラムに基づき,前記無線通信手段から受信した信号及び/又は前記記憶手段から読み出したデータに必要な処理を行って,デジタル表示信号及びその他のデジタル信号を生成して送信するデータ処理手段と,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示し,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき各々の画素を駆動す 及びその他のデジタル信号を生成して送信するデータ処理手段と,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示し,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき各々の画素を駆動するディスプレイ手段と,外部ディスプレイ手段を接続し,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,デジタル外部表示信号を送信するインターフェース手段と,を備えるとともに,前記データ処理手段と前記インターフェース手段とが相俟って,該インターフェース手段から,外部表示信号を送信する機能を実現する携帯情報通信装置であって,前記無線通信手段と前記データ処理手段とが相俟って,ユーザーエージェント情報を含みインターネットプロトコルに準拠した無線信号を送信する機能と,インターネットプロトコルに準拠した無線信号を受信することにより,インターネットに接続したWebサーバから画像データファイルを取得する機能と,を実現するとともに,前記画像データファイルを処理することによって,前記画像データファ - 127 -イルのデジタル表示信号を生成する機能を有することを特徴とする携帯情報通信装置〔相違点1〕無線通信手段が,本件訂正発明では,「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上,後記データ処理手段に送信するとともに,後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する」のに対し,乙イ4発明では,受信した電波をデジタル信号に変換すること,及びデータ処理手段から受信したデジタル信号を電波に変換することは記載されていない点〔相違点2〕ディスプレイ手段が,本件訂正発明では,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAとデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイ れていない点〔相違点2〕ディスプレイ手段が,本件訂正発明では,画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAとデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるのに対し,乙イ4発明では,そのような構成は記載されていない点〔相違点3〕インターフェース手段が,本件訂正発明では周辺装置に対して,前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき,TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号を送信するのに対し,乙イ4発明では,TMDS方式で伝送される点,及び周辺装置に関する構成は記載されていない点〔相違点4〕外部表示信号が,本件訂正発明では,「高解像度デジタル外部表示信号」であるのに対し,乙イ4発明では,具体的な構成は記載されていない点〔相違点5〕 - 128 -本件訂正発明は,データ処理手段が画像データファイルの本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい場合でも,前記画像データファイルを前記記憶手段に一旦格納し,その後読み出した上で処理し,画像データファイルの本来画像の全体画像のデジタル外部表示信号を生成するのに対し,乙イ4発明にはそのような構成は記載されていない点(3) 相違点についての判断ア相違点1についてデジタルデータの送受信を行う場合,受信した電波の信号をデジタル信号に変換すること,又は,デジタル信号を電波に変換して送信することは,通信技術の分野においては当然に行われるものであって,これをどの手段によって行わせるかは当業者が適宜設計することのできる事項である。 したがって,相違点1において本件訂正発明の構成とすることは当業者によって容易になし得た 行われるものであって,これをどの手段によって行わせるかは当業者が適宜設計することのできる事項である。 したがって,相違点1において本件訂正発明の構成とすることは当業者によって容易になし得たものといえる。 イ相違点2について乙イ4発明の外部表示装置2がディスプレイパネルを備えることは明らかであり,ディスプレイパネルの各画素の表示制御をするための手段を備えることも明らかである。 そうすると,相違点2における本件発明と乙イ4発明の各構成は実質的には表現上の差異にすぎず,仮に表現上の差異とはいえないとしても,乙イ4文献の段落【0002】に,各種情報を表示する手段として液晶ディスプレイが例示されていることからみても,乙イ4発明につき,相違点2において本件訂正発明の構成とすることは当業者にとって容易になし得たものといえる。 ウ相違点3について(ア) 周知技術 - 129 -a 乙イ5文献(平成11年11月9日公開)には,次の記載がある。 ・「液晶ディスプレイ装置を用いて映像や文字を表示するための信号方式の種類としては,各社固有の専用方式以外に,ディスプレイ装置の製造元や型番(モデル)に依存することなく使用できる汎用的な方式として,次の種類の規格がある。 (a)CRT(CathodeRayTube)用アナログRGB方式(b)LVDS(LowVoltageDifferentialSignaling)方式(c)LDI(LVDSDisplayInterface)方式(d)TMDS(TransitionMinimizedDifferentialSignaling)方式(e)GVIF(Giga-bitVideoInterFace)方式」(段落【0007】)・「(d)のTMDS方式と inimizedDifferentialSignaling)方式(e)GVIF(Giga-bitVideoInterFace)方式」(段落【0007】)・「(d)のTMDS方式とは,低電圧振幅差動伝送方式のひとつで,前記のLVDSと基礎的な部分は共通しているが,信号に冗長性を持たせ,伝送線路の前後で符号化,復号化を夫々行い,よりEMI(ElectromagneticInterference)に強くしていることが特徴である。」(段落【0011】)・「以上のように,液晶ディスプレイ装置の一つをとっても,種々の信号方式が存在する。通常はこれらの信号方式のうち,いずれか1つの方式が選定され,ディスプレイ装置が設計及び生産される。・・・」(段落【0013】)b 乙イ6文献(平成13年8月24日公開)には次の記載がある。 ・「・・・一方,昨今では,ホストPCとディスプレイシステムとの間のビデオインターフェイスは,従来のアナログインターフェイスに変わってLVDS(LowVoltageDifferentialSignaling),TMDS(TransitionMinimizedDifferentialSignaling),GVIF - 130 -(GigabitVideoInterFace)といった低電圧作動タイプのデジタルデータ伝送方式を使った,所謂デジタルインターフェイスが広まりつつある。・・・」(段落【0004】)c 乙イ7文献(平成16年7月22日公開)には次の記載がある。 ・「・・・高速ディジタル映像インターフェースの技術として,家庭用機器ではTMDS(TransitionMinimizedDifferentialSignaling)やLVDS(LowVoltageDiff ジタル映像インターフェースの技術として,家庭用機器ではTMDS(TransitionMinimizedDifferentialSignaling)やLVDS(LowVoltageDifferentialSignaling:低電圧差動信号処理)が広く使われている。」(段落【0005】)・「TMDSは,液晶ディスプレイなどに多く使用されているディスプレイ映像信号のデジタル伝送方式であって・・・」(段落【0006】)d 乙イ9文献(平成14年1月18日公開)には次の記載がある。 ・「一方,以前はテレビジョン(TV)受信機とパーソナルコンピュータ(PC)のディスプレイは全くの別物であったが,相互の融合化が進み,PCの画像を表示できるTVや,TVの信号を入力できるPCのディスプレイが現れてきた。」(段落【0003】)・「100は画像表示装置としてのディスプレイ,200,300は画像信号源としてのPCやDVD,デジタルテレビ用チューナー,携帯機器などの画像を出力する装置である。図1のシステムでは,画像信号と音声信号とをそれぞれデジタル信号として伝送する。」(段落【0025】)・「210,310はグラフィック描画部205,305で作成された画像信号と,不図示の音源部で作成された音声信号を,ディスプレイ100に伝送するための画像・音声送信部である。具体的には,ディスプレイの規格化団体DDWG(DigitalDisplayWorking - 131 -Group)が策定したDVI(DigitalVideoInterface)規格などの採用したTMDS規格の伝送素子や,画像信号,音声信号をMPEG方式で圧縮・符号化すると共に部分書き変え信号を作成するエンコード素子とプロトコル信号を伝送するIEEE1394の face)規格などの採用したTMDS規格の伝送素子や,画像信号,音声信号をMPEG方式で圧縮・符号化すると共に部分書き変え信号を作成するエンコード素子とプロトコル信号を伝送するIEEE1394の送信素子などである。」(段落【0031】)e 乙イ10文献(平成16年(2004年)9月15日公告)には次の記載がある。 ・「本実施例において,有線伝送インターフェースの標準はDVIである。DVI(DigitalvisualInterface) は,SiloiconImage社のPanelLink技術を基礎とする高速シリアル通信インターフェースであり,TMDS(TransitionMinimizedDifferentialSignaling)方式でデータをデジタル・フラットパネル・ディスプレーに伝送する。」f 乙イ21文献(平成16年10月28日公開)には次の記載がある。 ・「次に,前述したデジタルインターフェース送信部及びデジタルインターフェース受信部の構成について図4を用いて説明する。前述したように実施の形態1ではデジタルインターフェース送信部及びデジタルインターフェース受信部はHDMIを例にとって説明する。」(段落【0032】)・「・・・HDMIは送信部(トランスミッター),受信部(レシーバー)から成り,送信部はSTBやDVD,VTRまたはパソコンといった映像,音声のソースとなる機器が備えるもので,一方,受信部はテレビ,ディスプレーなどの映像や音声を提示可能な機器が備えるものである。」(段落【0033】)・「401はSTBに備えられたHDMIデジタルインターフェース送信部で映像信号(Y,Pb,Pr)とオーディオ信号(IEC9 - 132 -58)をTMDSエンコードして,高速伝送に適した形 ・「401はSTBに備えられたHDMIデジタルインターフェース送信部で映像信号(Y,Pb,Pr)とオーディオ信号(IEC9 - 132 -58)をTMDSエンコードして,高速伝送に適した形式で受信部402に向けて出力するものである。402はTMDSエンコーダで,映像データについては,8ビットパラレルX3チャンネルの映像データをシリアル10ビットX3チャンネルに変換し,音声データについては,パラレル4ビットの音声データをシリアル10ビットに変換するものである。」(段落【0039】)g 乙イ22文献(平成16年3月18日公開)には次の記載がある。 ・「【発明の属する技術分野】本発明は画像伝送システムに係り,特にハイビジョン方式等の高画質テレビ(HDTV:HighDefinitionTV)の画像以上の画素数を持つ撮像装置を用いて,写真並みの高精細高画質の画像を配列変換しながら高速伝送する画像伝送システムに関する。」(段落【0001】)・「【従来の技術】従来の画像伝送システムとして,フラットパネルモニタ用ディジタル伝送方式を用いた映像伝送システムが提案されている(特開2001-13927号公報)。これはDVI(DigitalVisualInterface)規格によるものである。」(段落【0002】)・「・・・この4組のDVI信号は,TMDS(TransmissionMinimizedDifferentialSignaling)送信機11dに供給され,これより表示装置12に出力されて画像表示される。」(段落【0005】)h 以上の文献にはいずれにも,外部ディスプレイ装置にデジタル画像表示信号を伝送するTMDS方式についての記載がある。そうすると,本件特許出願(優先日)前において,外部ディスプレイ装置に送信 】)h 以上の文献にはいずれにも,外部ディスプレイ装置にデジタル画像表示信号を伝送するTMDS方式についての記載がある。そうすると,本件特許出願(優先日)前において,外部ディスプレイ装置に送信される外部表示信号をTMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号とすることは周知技術であると認められる。 - 133 -(イ) 争点3の容易想到性について上記(ア)hのとおり,外部ディスプレイ装置に送信される外部表示信号をTMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号とすることは周知技術であるといえるから,この周知技術を乙イ4発明に適用して,デジタル外部表示信号をTMDS方式で伝送される構成とすることは,当業者が容易になし得たものといえる。 また,乙イ4発明において,外部表示装置2を含む装置を,例えばパソコンのような周辺装置とすることは,当業者が適宜なし得たものといえるから,周辺装置に関して本件訂正発明の構成とすることも当業者が容易になし得たものである。 したがって,相違点3において本件訂正発明の構成とすることは当業者にとって容易になし得たものといえる。 エ相違点4及び5について(ア) 乙イ19文献の内容a 乙イ19文献(平成16年4月22日公開)には,次の記載がある。 【発明の属する技術分野】・「本発明は,デジタルカメラにおいて画像の表示処理を行う際の画像表示技術に関する。」(段落【0001】)【従来の技術】・「一般に市販されているデジタルカメラには,外部表示装置を接続するための接続端子が設けられているものが多く存在する。この種のデジタルカメラは,電子ビューファインダ(EVF)や表示用の液晶表示部に表示される画像を,外部表示装置にも表示することができるように構成されており,接続端 設けられているものが多く存在する。この種のデジタルカメラは,電子ビューファインダ(EVF)や表示用の液晶表示部に表示される画像を,外部表示装置にも表示することができるように構成されており,接続端子から外部表示装置に対して映像信号(例えばNTSC信号等)が出力される。」(段落【0002】) - 134 -【発明が解決しようとする課題】・「しかしながら,上記従来のデジタルテレビ対応デジタルカメラでは,以下のような課題があった。」(段落【0006】)・「まず,撮影待機状態におけるライブビュー表示においては,デジタルカメラからデジタルテレビに対して従来の映像フォーマットに変換した上で映像出力されるため,依然としてデジタルテレビの表示解像度を活かした高精細な画像表示を行うことができないという問題があった。」(段落【0007】)・「また,撮影によって得られた撮影画像を再生表示する場合,デジタルテレビが接続された際に,撮影画像データに対する縮小処理等を行って再生表示を行うため,再生表示の際の処理効率が悪く,再生指示を行っても直ちに再生表示されないという問題があった。」(段落【0008】)・「すなわち,従来のデジタルテレビ対応デジタルカメラでは,デジタルテレビに対して,デジタルカメラの動作状態等に応じた最適な画像表示を行うことができないという問題があった。」(段落【0009】)・「そこで,本発明は,上記課題に鑑みてなされたものであって,デジタルカメラがデジタルテレビにおいて最適な画像表示を行うことを可能にする技術の提供を目的とする。」(段落【0010】)【課題を解決するための手段】・「上記目的を達成するために,請求項1に記載の発明は,撮像素子に蓄積された電荷を読み出すことにより,画像データを取得するデジタルカメ る。」(段落【0010】)【課題を解決するための手段】・「上記目的を達成するために,請求項1に記載の発明は,撮像素子に蓄積された電荷を読み出すことにより,画像データを取得するデジタルカメラであって,表示装置に対してライブビュー表示を行う表示画像出力手段と,前記表示装置の表示解像度を検知し, - 135 -前記表示解像度に応じて前記撮像素子の読み出し方式を変更する制御手段と,を備えて構成される。」(段落【0011】)・「請求項2に記載の発明は,撮像素子によって被写体を撮影するデジタルカメラであって,前記撮像素子から得られる画像を表示する表示手段と,前記撮像素子から得られる画像のサムネイル画像を生成するサムネイル画像生成手段と,前記サムネイル画像とともに,前記撮像素子から得られる画像を記録する記録手段と,前記表示手段よりも高解像度の外部表示装置を接続可能な接続手段と,を備え,前記接続手段に対して前記外部表示装置が接続された場合,前記外部表示装置の表示解像度に適合させて表示用画像データを生成し,前記サムネイル画像を前記表示手段の表示解像度に適合させて生成するように構成される。」(段落【0012】)・「<1.第1の実施の形態><1-1.撮影システム>図1は本実施形態にかかる撮影システム100の構成例を示す図である。図1に示すように撮影システム100は,デジタルカメラ1と,デジタルテレビ等によって構成される高精細な画像表示が可能な表示装置2とが,データ送信用のケーブル3によって接続された構成となっており,デジタルカメラ1において取得される画像が表示装置2に対して表示可能なように構成される。」(段落【0017】)・「表示装置2は,その映像フォーマット(表示解像度)を変更可能なように構成されており,例えば,52 において取得される画像が表示装置2に対して表示可能なように構成される。」(段落【0017】)・「表示装置2は,その映像フォーマット(表示解像度)を変更可能なように構成されており,例えば,525i,525p,750p,1125i,1125pの5種類の映像フォーマットのうちから一の映像フォーマットを選択設定して画像表示動作を行う - 136 -ように構成される。例えば525i又は525pの映像フォーマットが選択されている場合には,表示装置2における表示解像度は横720×縦480となる。」(段落【0018】)・「また,表示装置2がデジタルカメラ1に接続されている場合,表示装置2はデジタルカメラ1に対して映像フォーマットを伝達するように構成される。」(段落【0019】)・「次に,デジタルカメラ1の内部構成について説明する。図5は,デジタルカメラ1の内部機能を示すブロック図である。」(段落【0029】・「CCD撮像素子20は被写体像を撮影して電子的な画像信号を生成する撮像手段として機能するものであり,例えば横2560×縦1920個の画素を有し,撮影レンズ18によって結像された被写体の光像を,画素毎にR(赤),G(緑),B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。」(段落【0031】)・「解像度変換部26は,CCD撮像素子20から得られる画像データに対して所定の解像度変換を行うものである。例えば,EVF4又はLCD5に対してライブビュー表示を行う場合,解像度変換部26はEVF4又はLCD5の表示画素数に適合した横320×縦240の画素数を有する画像データを生成する。また,デジタルカメラ1に表示装置2が接続されている場合には,表示装置2の表示解像度に適合した画素数 VF4又はLCD5の表示画素数に適合した横320×縦240の画素数を有する画像データを生成する。また,デジタルカメラ1に表示装置2が接続されている場合には,表示装置2の表示解像度に適合した画素数を有する画像データを生成する。」(段落【0039】)・「表示用画像メモリ43はEVF4,LCD5,又は表示装置2に表示されるべき表示用画像データを記憶するメモリであり,表示用画像メモリ43に画像が格納されることにより,EVF4, - 137 -LCD5,又は表示装置2における画像表示が可能になる。」(段落【0042】)・「画像メモリ44は,S2状態に応答して行われる撮影動作によってCCD撮像素子20で取得され,各種画像処理が施された画像データを一時的に記憶するメモリである。画像メモリ44は,少なくとも1フレーム分の記憶容量を有している。そして撮影動作後に画像のアフタービュー表示が行われる場合には,画像メモリ44に格納された画像データからアフタービュー用の画像データが生成され,撮影画像を確認するための画像表示が行われる。 ・・・」(段落【0045】)・「デジタルカメラ1に表示装置が接続されている場合,全体制御部30は表示装置2の映像フォーマットを確認する(ステップS103)。そして表示装置2の映像フォーマットが1125i又は1125pである場合には,CCD読出モードがフルフレームモードに設定される(ステップS104)。また,表示装置2の映像フォーマットが750pである場合には,CCD読出モードが2倍速モードに設定され(ステップS105),525i又は525pである場合は,8倍速モードに設定される(ステップS106)。・・・」(段落【0052】)・「そしてステップS107に進み,全体制御部30は解像度変換部26における処理 ),525i又は525pである場合は,8倍速モードに設定される(ステップS106)。・・・」(段落【0052】)・「そしてステップS107に進み,全体制御部30は解像度変換部26における処理内容を決定する。」(段落【0053】)・「そしてデジタルカメラ1では,ステップS104~S106のいずれかにおいて設定されたCCD読出モードでライブビュー表示用の画像撮影が行われる(ステップS109)。ここで得られた画像データは解像度変換部26に与えられ,ステップS107で決定された解像度変換処理が実行される。」(段落【006 - 138 -0】)・「つまり,映像フォーマットが1125p又は1125iの場合には,フルフレームモードで画像が取得され,横1440×縦1080の画素数を有する表示用画像が生成されることになり,このときのフレームレートは3.75fpsとなる。また,映像フォーマットが750pの場合には,2倍速モードで画像が取得され,横960×縦720の画素数を有する表示用画像が生成され,フレームレートは7.49fpsとなる。また,映像フォーマットが525p若しくは525iの場合には,8倍速モードで画像が取得され,横640×縦480の画素数を有する表示用画像が生成され,フレームレートは29.97fpsとなる。・・・」(段落【0061】)・「このようにして得られる表示用画像は,表示用画像メモリ43に格納される(ステップS111)。これにより,解像度変換によって生成される表示用画像は,EVF4,LCD5又は表示装置2における表示対象画像(ライブビュー画像)となる。」(段落【0062】)・「また,表示装置2が接続されている場合,表示用画像メモリ43に格納されている表示用画像が表示装置2に出力され,デジタルカメラ1の外部 象画像(ライブビュー画像)となる。」(段落【0062】)・「また,表示装置2が接続されている場合,表示用画像メモリ43に格納されている表示用画像が表示装置2に出力され,デジタルカメラ1の外部に設けられた表示装置2でライブビュー表示が行われることになる(ステップS113)。このとき,表示装置2に表示される画像は,表示装置2の映像フォーマットに応じて生成され,表示装置2の表示解像度に適合した画像となっているので,表示装置2において高精細なライブビュー表示を行うことが可能である。 なお,表示装置2の表示解像度が高くなるにつれて,表示フレームレートは低下することになる。」(段落【0064】) - 139 -b 上記段落【0018】,【0019】及び【0064】によると,乙イ19発明は,表示装置2においてフォーマット(表示解像度)が設定されると,これが表示装置2に接続されているデジタルカメラ1に伝達され,フォーマット(表示用画像)に応じて生成された表示用画像が表示用画像メモリ43に格納され,当該表示用画像が表示装置2に出力されるものであるから,かかる乙イ19発明においては,表示装置2の表示解像度が1125p(1125i)に設定され,表示用画像メモリ43に1125p(1125i)のフォーマットで画像データが格納されている場合において,画像データの本来画像の全体画像のデジタル表示信号が生成されていることは明らかである。 そこで,以上の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,乙イ19文献には次の発明が記載されていると認められる。 「撮像素子によって被写体を撮影する撮像手段を有するデジタルカメラであって,前記撮像素子から得られる画像を表示する表示手段と,前記撮像素子から得られる画像を記録する表示用画像メモ められる。 「撮像素子によって被写体を撮影する撮像手段を有するデジタルカメラであって,前記撮像素子から得られる画像を表示する表示手段と,前記撮像素子から得られる画像を記録する表示用画像メモリと,前記表示手段よりも高解像度の外部表示装置を接続可能な接続手段と,前記撮像素子から得られる画像データに対して所定の解像度変換を行う解像度変換部と,を備え,前記解像度変換部は,前記撮像手段が生成し表示用画像メモリに一旦格納させた画像データの本来解像度が前記表示手段の画面解像度より大きい場合に,前記接続手段に対して前記外部表示装置が接続させた場合,前記外部表示装置の表示解像度に適合させて本来画像の表示用画像データを生成するように構成されるデジタルカメラ」 - 140 -(イ) 相違点4及び5の容易想到性についてa 乙イ4発明は,「携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについては,正常に表示することすらできなかった」(段落【0005】)として,Webコンテンツを正常に表示するために,画像処理出力部17が「入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力する」ことで,携帯電話機の「表示部12のサイズや解像度に依存することなく正常に表示する」(段落【0020】)ことが可能になるものである。そうすると,乙イ4発明は,具体的な処理内容が特定されてはいないが,本件訂正発明が問題とする「不合理な二重投資」と「非効率的な資源利用」,すなわち,携帯情報通信装置のデータ処理手段が付属ディスプレイに画像を表示するための表示データ処理機能については,表示画面が小さいということを除けば,パソコンにおけるCPU等のプロセッサの機能に匹敵するにもかかわらず,パソコンと携帯情報通信装置との使い分けを行うことにより,同種のものへの 処理機能については,表示画面が小さいということを除けば,パソコンにおけるCPU等のプロセッサの機能に匹敵するにもかかわらず,パソコンと携帯情報通信装置との使い分けを行うことにより,同種のものへの二重投資を行うことになり,結果として少なくとも一方の稼働率の低下をもたらすため,資源の効率的な利用の観点からも好ましくないこと,という問題を解決するものといえる。 b そして,一般に,携帯電話機等の「携帯情報通信装置」にカメラ機能を設けることは,本件特許出願(優先日)前に既に広く知られた技術であるから,乙イ4発明の携帯電話機がデジタルカメラとしても機能することは明らかであり,乙イ4発明と乙イ19発明とは技術分野を共通にするものといえる。 また,乙イ4発明は,本体の携帯性を損なうことなく,表示内容の視認性や臨場感を向上させることが可能な携帯電話機の提供を目的の一つとして,携帯電話機が入力情報を外部表示装置で読み取り可能な画像信号形式に変換出力する画像出力部を有するものであって,乙イ - 141 -19発明は,デジタルカメラがデジタルテレビ等の表示装置に対して最適な画像表示を行うことを課題として,デジタルカメラに表示装置が接続されると検知回路が表示装置の表示解像度を検出して,その表示解像度に応じてCCD撮像素子の読み出し方式を変更し,CCD方式から得られる画像を解像度変換部において処理し,表示解像度に適合した表示用画像を生成するという発明であるから,乙イ4発明の携帯電話機と乙イ19発明のデジタルカメラのいずれも,備えている表示部では画像データの表示が十分にはできない,最適な表示ができないといった課題があったことから,本体側の表示手段の他に表示装置を接続して外部に画像を出力可能にし,もってかかる課題を解決したものであるという点におい タの表示が十分にはできない,最適な表示ができないといった課題があったことから,本体側の表示手段の他に表示装置を接続して外部に画像を出力可能にし,もってかかる課題を解決したものであるという点において,基本的な構成と課題も共通にするものといえる。 そうすると,乙イ4発明と乙イ19発明が技術分野を共通にし,基本的な構成と課題も共通にすることから,当業者が乙イ4発明に乙イ19発明を適用して,相違点4及び5において本件訂正発明の構成とすることは容易であり,そのことについて阻害要因があるとはいえない。 そして,前記(ア)のとおり,乙イ19文献の段落【0045】に「画像メモリ44に格納された画像データからアフタービュー用の画像データが生成され,撮影画像を確認するための画像表示が行われる。」との記載があり,画像データを記憶手段に一旦格納後処理する方法が記載されていることが認められる。 したがって,乙イ4発明に画像データファイルの処理方法が記載されていなくとも,当業者が通常の創作能力を発揮して,乙19文献に開示された上記処理方法を適用し,相違点4及び5において本件訂正発明の構成とすることを容易に想到することができたものと認められ - 142 -る。 c 原告の主張に対する判断この点に関して原告は,乙イ4発明は携帯性が重視されるためにサイズに制約があることから,本件特許の優先日以前においてプロセッサ等の素子の小型化が十分に進んでいなかったなかでは,高機能のデータ処理手段や大容量の記憶手段を備えることには阻害要因が存在したと主張する。 しかし,本件全証拠を精査しても原告が主張するような技術水準を認めるに足りないから,原告の前記主張は前提を欠き,理由がない。 また,原告は,乙イ4発明に乙イ19発明が適用されるとしても,適用されるのは, ,本件全証拠を精査しても原告が主張するような技術水準を認めるに足りないから,原告の前記主張は前提を欠き,理由がない。 また,原告は,乙イ4発明に乙イ19発明が適用されるとしても,適用されるのは,乙イ4発明のデジタルカメラ機能に対してであるから,当業者が通常の創作能力を発揮したとしても,相違点5を想到するには至らない旨主張する。 しかし,前記bのとおり乙イ4発明と乙イ19発明とは基本的な構成と課題を共通にするところ,課題はデジタルカメラ機能に固有のものではないから,乙イ4発明に乙イ19発明を適用するに当たって,当業者がその創作能力を発揮する範囲がデジタルカメラ機能に限定されるべき理由はない。 さらに,原告は,乙イ19発明の「前記撮像素子から得られる画像データ」は,乙イ4発明の「ウェブサーバから取得される画像データファイル」や「指定サーバから取得されるWebコンテンツ情報」とは異なる処理対象であるから,当業者が通常の創作能力を発揮したとしても,相違点5を想到するには至らない旨主張する。 しかし,乙イ4発明と乙イ19発明はいずれも画像表示装置の制約からくる画像表示の制限を解決する発明であり,処理対象が課題に直接関連するものではないから,原告の前記主張は,容易想到性を肯定 - 143 -する前記認定判断を左右するものではない。 d したがって,相違点4及び5において本件訂正発明の構成とすることは当業者にとって容易になし得たものといえる。 (4) 本件発明と乙イ4発明との対比本件訂正は特許請求の範囲の減縮であるから,上記のとおり本件訂正発明が進歩性を欠くものであれば,必然的に訂正前のものである本件発明についても本件訂正発明と同じ理由から進歩性を欠くものであることは明らかである。 (5) まとめ以上のとおり,本件発明及び本 発明が進歩性を欠くものであれば,必然的に訂正前のものである本件発明についても本件訂正発明と同じ理由から進歩性を欠くものであることは明らかである。 (5) まとめ以上のとおり,本件発明及び本件訂正発明は,乙イ4発明並びに乙イ19発明及び周知技術によって,本件優先日当時,当業者が容易に発明することができたものと認められる。 よって,その余の無効理由について検討するまでもなく,本件発明及び本件訂正発明は,特許無効審判によって無効にされるべきものと認められるから,原告は,特許法104条の3第1項に従い,被告らに対し,本件特許権を行使することができない。 5 結論以上のとおり,被告各製品はいずれも,本件発明及び本件訂正発明の技術的範囲に属するものとは認められず,また,本件特許は,進歩性を欠如し特許無効審判によって無効にされるべきものと認められる。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 - 144 -東海林 保 裁判官 今井弘晃 裁判官 実本滋

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