平成9(行ウ)47 法人税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成13年5月18日 大阪地方裁判所 租税
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判決文本文122,115 文字)

主文 1 被告が原告に対して,平成7年6月22日付けでなした原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税の更正のうち,納付すべき税額613億5206万0700円を超える部分の取消しを求める訴えを却下する。 2 被告が原告に対して,平成7年6月22日付けでなした原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税の更正のうち,納付すべき税額160億4396万2000円を超える部分の取消しを求める訴えを却下する。 3 被告が原告に対して,平成9年3月31日付けでなした原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税の更正のうち納付すべき税額614億2232万3300円を超える部分を取り消す。 4 被告が原告に対して,平成7年6月22日付けでなした原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税の過少申告加算税の賦課決定のうち22万6000円を超える部分(平成7年11月8日付け賦課決定で一部取り消された後のもの)を取り消す。 5 被告が原告に対して,平成9年3月31日付けでなした原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税の更正のうち,納付すべき税額162億0751万9800円を超える部分を取り消す。 6 被告が原告に対して,平成7年6月22日付けでなした原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税の過少申告加算税の賦課決定のうち1億3050万9000円を超える部分(平成10年2月25日付け賦課決定処分で一部取り消された後のもの)を取り消す。 7 訴訟費用は3分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求(主位的請求)1(1) 被告が原告に対して,平成7年6月22日付けでなした原 消す。 7 訴訟費用は3分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求(主位的請求)1(1) 被告が原告に対して,平成7年6月22日付けでなした原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税の更正のうち,納付すべき税額613億5206万0700円を超える部分を取り消す。 (2) 被告が原告に対して,平成7年6月22日付けでなした原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税の過少申告加算税の賦課決定のうち22万6000円を超える部分を取り消す。 2(1) 被告が原告に対して,平成7年6月22日付けでなした原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税の更正のうち,納付すべき税額160億4396万2000円を超える部分を取り消す。 (2) 被告が原告に対して,平成7年6月22日付けでなした原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税の過少申告加算税の賦課決定のうち1億3050万9000円を超える部分を取り消す。 (予備的請求)1(1)’ (前記1(1)についての予備的請求)被告が原告に対して,平成9年3月31日付けでなした原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税の更正のうち納付すべき税額614億2232万3300円を超える部分を取り消す。 2(1)’ (前記2(1)についての予備的請求)被告が原告に対して,平成9年3月31日付けでなした原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税の更正のうち,納付すべき税額162億0751万9800円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要第2の1 課税の経緯(争いのない事実) 1 原告は,銀行業を営む法人であるところ,平成3 度の法人税の更正のうち,納付すべき税額162億0751万9800円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要第2の1 課税の経緯(争いのない事実) 1 原告は,銀行業を営む法人であるところ,平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度(以下「平成4年3月期」という。)及び平成4年4月1日から平成5年3月31日までの各事業年度(以下「平成5年3月期」という。「平成4年3月期」と「平成5年3月期」を併せて「本件各事業年度」という。)の法人税につき,青色の確定申告書に,別紙1「平成4年3月期の課税状況表」(以下「別紙1」という。)及び別紙2「平成5年3月期の課税状況表」(以下「別紙2」という。)の「(1)確定申告」欄記載のとおり記載して,各法定申告期限までに被告に申告した。 2 これに対し,被告は,いずれも平成7年6月22日付けで,平成4年3月期の法人税については別紙1「(5)本件原処分」欄記載のとおり,平成5年3月期の法人税については別紙2「(8)本件原処分」欄記載のとおり,法人税につき各更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行った(以下,上記各更正処分をそれぞれ,「本件平成4年3月期原更正処分」「本件平成5年3月期原更正処分」といい,併せて「本件各原更正処分」という。)。 3 原告は,平成7年8月21日,前項の各処分のうち,本件各原更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分の一部につき取消しを求める審査請求を国税不服審判所長に対し行ったが,同所長は平成9年3月25日,同審査請求を棄却する旨裁決し,同裁決は翌4月4日ころに原告に送達された。 4 被告は,いずれも平成9年3月31日付で,平成4年3月期における法人税について,所得金額を金2336億7007万6510円,法人税額を金876億2627万8500円(控除所得税額等259億 た。 4 被告は,いずれも平成9年3月31日付で,平成4年3月期における法人税について,所得金額を金2336億7007万6510円,法人税額を金876億2627万8500円(控除所得税額等259億4861万3937円,差引所得に対する法人税額616億7766万4500円)とする更正処分(以下「本件平成4年3月期再更正処分」という。)及びこれに係る重加算税を金2459万1000円とする加算税賦課決定処分を行い,平成5年3月期における法人税について,同日付けで,所得金額を金1120億3337万4262円,法人税額を金420億1251万5250円(控除所得税額等257億8294万9033円,差引所得に対する法人税額162億2956万6200円)とする更正処分(以下「本件平成5年3月期再更正処分」という。)及びこれに係る重加算税を金5724万2500円とする加算税賦課決定処分を行った。 なお,以下,本件平成4年3月期再更正処分及び平成5年3月期再更正処分を併せて「本件各再更正処分」という。 5 本件各再更正処分の新たな処分理由は,主位的請求として原告が取消しを求める本件各原更正処分の処分理由と全く別のものであり,原告は当該処分理由には異議がなかったので,異議申立あるいは審査請求等の不服申立をしていない。 6 なお,課税の経緯の詳細は,別紙1及び同2記載のとおりである(当事者間に争いがない。)。 第2の2 本案前の争点 1 本件各原更正処分の取消しを求める訴え(主位的請求)が,後に増額更正処分となる本件各再更正処分を経たことにより訴えの利益を欠くに至ったか否か。 2 本件各再更正処分の取消しを求める訴え(予備的請求)が,不服申立手続を経ておらず,国税通則法115条1項に反するか否か。 第2の3 本案の争点原告のニューヨーク支店は,平成3年6月,ア 否か。 2 本件各再更正処分の取消しを求める訴え(予備的請求)が,不服申立手続を経ておらず,国税通則法115条1項に反するか否か。 第2の3 本案の争点原告のニューヨーク支店は,平成3年6月,アメリカ合衆国法人Pepsico,Inc.(以下「ペプシコ社」という。)及びペプシコ社の子会社であるメキシコ国法人Sabritas, S.A. deC.V.(以下「サブリタス社」という。)との間で,ペプシコ社からサブリタス社への手形貸付に伴いサブリタス社が振り出していた約束手形2通を原告が買い取る旨のPURCHASEANDASSINGNMENTAGREEMENT(以下「本件手形買取契約」という。甲1)及びLETTERAGREEMENT(以下「本件覚書」という。甲2)を締結した(以下「ペプシコ事案」という。)。 また,原告のロンドン支店は,平成3年9月,オランダ王国法人RosycoB.V.(以下「ロシコ社」という。)との間で,ロシコ社がその子会社であるオーストラリア国法人CadellaInvestmentPtyLtd. (以下「カデラ社」という。)に対して有する貸付債権の一部を原告が譲り受け,ロシコ社が原告に同額の預金をする旨のAGREEMENT(以下「本件債権譲受・預金契約」という。甲3)を締結した(以下「ロシコ事案」という。)。 そして,原告は,本件手形買取契約及び本件覚書に基づいて平成4年3月期の事業年度中に受領した貸付金利息に対し,メキシコ国において15パーセントの源泉税(3億4813万2871円)を課されたとして(甲4の1),また,本件債権譲受・預金契約に基づいて平成4年3月期と同5年3月期にカデラ社から受領した貸付金利息について,オーストラリア国においてそれぞれ10パーセントの源泉税(3771万9016円と2637 また,本件債権譲受・預金契約に基づいて平成4年3月期と同5年3月期にカデラ社から受領した貸付金利息について,オーストラリア国においてそれぞれ10パーセントの源泉税(3771万9016円と2637万6576円)を課されたとして(甲4の2,3),平成4年6月,同年3月期分の法人税の確定申告に当たり法人税法(以下単に「法」という。)69条,同法施行令(以下単に「施行令」という。)141条2項3号に従い,前記メキシコ国における源泉税のうち税率10パーセント分に相当する2億3208万8580円とオーストラリア国における源泉税3771万9016円の合計金2億6980万7596円の外国税額を控除して所得金額を2327億7932万2970円,納付すべき税額を610億6019万7000円とする確定申告をし,また,平成5年6月,同年3月期分の法人税の確定申告に当たり,同様にオーストラリア国における源泉税2637万6576円の税額控除をして,所得金額を1119億4825万1152円,納付すべき税額を150億7927万1000円とする確定申告をした。 その後,本件各事業年度分の法人税については,更正や更正の請求などがあり,平成7年3月31日付の更正後の所得金額,納付すべき税額及び過少申告加算税は,別表1及び2記載のとおり,平成4年3月期分が2335億2128万6197円,613億5206万0700円及び22万6000円,平成5年3月期が1116億0876万7628円,148億0652万5400円及び676万4000円であった。 このように,原告は,平成4年3月期の事業年度における確定申告において,原告が支払ったメキシコ国における源泉税(以下「メキシコ国源泉税」という。ただし,税率10パーセント部分について。)並びに平成4年3月期及び平成5年3月期の事業 の事業年度における確定申告において,原告が支払ったメキシコ国における源泉税(以下「メキシコ国源泉税」という。ただし,税率10パーセント部分について。)並びに平成4年3月期及び平成5年3月期の事業年度における確定申告において,原告が支払ったオーストラリア国における源泉税(以下「オーストラリア国源泉税」という。なお,以下,メキシコ国源泉税及びオーストラリア国源泉税を併せて「本件源泉税」という。)について法69条に基づき税額控除したものであるが,被告は,これを否認し,以下のような更正処分及び賦課決定処分を行った。 本件における本案の争点は,同否認を前提とする以下の更正処分(再更正処分を含む。)及び賦課決定処分の違法性である。 第2の3の1 平成4年3月期 1 所得金額の計算について(1) 平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2335億2128万6197円(別紙1「(4)更正処分平成7年3月31日」欄の「A所得金額」欄)(2) 租税公課のうち損金の額に算入されない金額2億6980万7596円原告は,当期の確定申告において,メキシコ国源泉税2億3208万8580円及びオーストラリア国源泉税3771万9016円を負担したとして,当期の損金の額に算入している。 しかしながら,被告は,同メキシコ国源泉税及びオーストラリア国源泉税は,法69条の外国法人税に該当せず,当期の損金の額に算入できないとして,これを加算した。 (別紙1「(5)本件原処分平成7年6月22日」欄の「B租税公課のうち損金の額に算入されない金額」欄)(3) 法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額2億6980万7596円原告は,(2)のとお 税公課のうち損金の額に算入されない金額」欄)(3) 法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額2億6980万7596円原告は,(2)のとおり,本件源泉税を損金の額に算入し,さらに,法69条に基づき本件源泉税について外国税額控除を適用し,そのため法41条に基づき,同源泉税を損金不算入額として,申告調整により加算していた。しかしながら,被告は,(2)のとおり,本件源泉税は,法69条の外国法人税に該当しないとして,これを減算した。 (別紙1「(5)本件原処分平成7年6月22日」欄の「F法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額」欄)(4)受取手数料等のうち当期利益から減算する金額3857万6531円原告は,本件約束手形買取契約及び本件覚書に基づきペプシコ社から受け取ったとする受取手数料2734万1066円を計上し,本件債権譲受・預金契約に基づきカデラ社から受け取ったとする貸付金利息3億7719万0606円を当期の受取利息として計上する一方,債権譲受代金として,原告がロシコ社に支払うべき金額をロシコ社からの定期預金として受け入れたとして預金利息3億6595万5141円を当期の支払利息として計上していた。 しかしながら,被告は,右各契約は,ペプシコ社及びロシコ社が負担すべきメキシコ国及びオーストラリア国源泉税を原告が負担したかのようにするために,仮装して作出されたものであって,右各契約書に基づく取引は存在しないものであり,前述した受取手数料,貸付金利息及び預金利息は架空に計上されたものと認められるとして,同受取手数料及び右貸付金利息を減算するとともに,右預金利息を加算した。 (別紙1「(5)本件原処分平成7年6月22日」欄の「G 数料,貸付金利息及び預金利息は架空に計上されたものと認められるとして,同受取手数料及び右貸付金利息を減算するとともに,右預金利息を加算した。 (別紙1「(5)本件原処分平成7年6月22日」欄の「G受取手数料等のうち当期利益から減算する金額」欄)(減算額) (加算額) (差引減算額)(算式)404,531,672-365,955,141=38,576,531円(5) 交際費等の損金不算入額3729万5890円(別紙1「(9)更正処分平成9年3月31日」欄の「C交際費等の損金不算入額」欄)(6) 国外関連者に対する寄附金の損金不算入額1億5096万9697円(別紙1「(9)更正処分平成9年3月31日」欄の「D国外関連者に対する寄附金の損金不算入額」欄)(7) 損金の額に算入した控除対象外消費税額の減少額8万5576円(別紙1「(9)更正処分平成9年3月31日」欄の「E損金の額に算入した控除対象外消費税額の減少額」欄)(8) 繰延消費税額の損金算入額の増加額98万2573円(別紙1「(9)更正処分平成9年3月31日」欄の「H繰延消費税額の損金算入額の増加額」欄)(9) 交際費等の損金不算入額の減少額1746円(別紙1「更正処分平成9年3月31日」欄の「I交際費等の損金不算入額の減少額」欄)(10) 所得金額2336億7007万6510円被告は,上記(1)の平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2335億2128万6197円に,同(2),(5),(6)及び(7)の合計額4億5815万8759 2336億7007万6510円被告は,上記(1)の平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2335億2128万6197円に,同(2),(5),(6)及び(7)の合計額4億5815万8759円を加算し,同(3),(4),(8)及び(9)の合計額3億0936万8446円を減算した金額,すなわち,2336億7007万6510円が調査後の所得金額となる。 (別紙1「(9)更正処分平成9年3月31日」欄の「A所得金額」欄) 2 法人税額について(1) 所得金額に対する法人税額876億2627万8500円被告は,原告の当期の所得金額が,前記1(10)のとおりであるとして,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額2336億7007万6000円に法66条1項(平成10年法律第24号による改正前のもの。以下同じ。)に規定する税率100分の37.5を乗じて計算し,同所得金額に対する法人税額を,876億2627万8500円とした。 (別紙1「(9)更正処分平成9年3月31日」欄の「K差引法人税額」欄)。 (2) 控除税額259億4861万3937円被告は,前記1(3)で述べたとおり,控除対象法人税額が2億6980万7596円減少し,正当額に基づいて法人税額から控除する外国税額を再計算し,法人税額から控除する外国税額が2億6980万7596円減少したとして,平成4年3月期再更正処分と同額である平成4年3月期の法人税に係る平成7年6月22日付け更正処分(以下「平成4年3月期本件原処分」という。)前の原告の控除税額262億1842万1533円(別紙1「(4)更正処分平成7年3月31日」欄の「O控除税額」欄)から右の法人税額から控除する外国税額の減少額2 「平成4年3月期本件原処分」という。)前の原告の控除税額262億1842万1533円(別紙1「(4)更正処分平成7年3月31日」欄の「O控除税額」欄)から右の法人税額から控除する外国税額の減少額2億6980万7596円を差し引いた259億4861万3937円をもって原告の当期の控除税額とした。 (別紙1「(9)更正処分平成9年3月31日」欄の「O控除税額」欄)(3) 差引合計法人税額616億7766万4500円同税額は,前記(1)の所得金額に対する法人税額876億2627万8500円から,同(2)の控除税額259億4861万3937円を減算した金額である(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てた金額)。 (別紙1「(9)更正処分平成9年3月31日」欄の「R差引合計税額」欄) 3 過少申告加算税の賦課決定処分についてよって,被告は,国税通則法65条1項に基づき,本件平成4年3月期原更正処分に基づき納付すべき法人税額2億5534万0000円(616億0740万1900円-613億5206万0700円ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた金額)に100分の10の割合を乗じた金額2553万4000円を過少申告加算税の額とした。 なお,本件平成4年3月期原更正処分において,被告は,過少申告加算税の額を2698万0000円として賦課決定を行っているが(なお,平成7年3月31日付け過少申告加算税賦課決定額22万6000円を変更する形で賦課決定を行っているため,同額が加算されている。),同賦課決定額に計算誤りが認められたので,平成7年11月8日付けの変更決定後の賦課決定処分において,122万円を減額した。 第2の3の2 平成5年3月期 1 所得 いるため,同額が加算されている。),同賦課決定額に計算誤りが認められたので,平成7年11月8日付けの変更決定後の賦課決定処分において,122万円を減額した。 第2の3の2 平成5年3月期 1 所得金額の計算について(1) 平成7年3月31日付け更正処分による所得金額1116億0876万7628円(別紙2「(7)更正処分平成7年3月31日」欄の「A所得金額」欄)(2) 租税公課のうち損金の額に算入されない金額2637万6576円原告は,当期の確定申告において,オーストラリア国源泉税2637万6576円を負担したとして,当期の損金の額に算入している。 しかしながら,被告は,同オーストラリア国源泉税は,法69条の外国法人税に該当せず,原告の当期の損金の額に算入できないとして,これを加算した。 (別紙2「(8)本件原処分平成7年6月22日」欄の「B租税公課のうち損金に算入されない金額」欄)(3) 法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額2637万6576円原告は,上記(2)で述べたとおり,オーストラリア国源泉税を損金の額に算入し,さらに,法69条に基づき,同オーストラリア国源泉税を損金不算入額として,申告調整により加算していた。 しかしながら,被告は,(2)で述べたとおり,同オーストラリア国源泉税は,法69条の外国法人税に該当しないとして,これを減算した。 (別紙2「(8)本件原処分平成7年6月22日」欄の「F法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額」欄)(4) 受取利息のうち当期利益から減算する金額1154万6978円原告は,本件債権譲受・預金 税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額」欄)(4) 受取利息のうち当期利益から減算する金額1154万6978円原告は,本件債権譲受・預金契約に基づき,カデラ社から受け取ったとする貸付金利息2億6376万5958円を当期の受取利息として計上する一方,債権譲受代金として,原告がロシコ社に支払うべき金額をロシコ社からの定期預金として受け入れたとして預金利息2億5221万8980円を当期の支払利息として計上していた。 しかしながら,被告は,同契約は,ロシコ社が負担すべきオーストラリア国源泉税を原告が負担したかのようにするために,仮装して作出されたものであって,右契約書に基づく取引は存在せず,前述した貸付金利息及び預金利息は架空に計上されたものと認められるとして,前記貸付金利息を減算するとともに,右預金利息を加算した。 (別紙2「(8)本件原処分平成7年6月22日」欄の「G受取利息のうち当期利益から減算する金額」欄)。 (減算額) (加算額) (差引減算額)(算式)263,765,958-252,218,980=11,546,978円(5) 交際費等の損金不算入額3億0675万7300円(別紙2「(11)更正処分平成9年3月31日」欄の「C交際費等の損金不算入額」欄)(6) 国外関連者に対する寄附金の損金不算入額1億5000万8953円(別紙2「(11)更正処分平成9年3月31日」欄の「D国外関連者に対する寄附金の損金不算入額」欄)。 (7) 損金の額に算入した控除対象外消費税額の減少額4万1896円(別紙2「(11)更正処分平成9年3 関連者に対する寄附金の損金不算入額」欄)。 (7) 損金の額に算入した控除対象外消費税額の減少額4万1896円(別紙2「(11)更正処分平成9年3月31日」欄の「E損金の額に算入した控除対象外消費税額の減少額」欄)。 (8) 繰延消費税額の損金算入額の増加額92万6530円(別紙2「(11)更正処分平成9年3月31日」欄の「H繰延消費税額の損金算入額の増加額」欄)。 (9) 交際費等の損金不算入額の減少額1207円(別紙2「(11)更正処分平成9年3月31日」欄の「I交際費等の損金不算入額の減少額」欄)。 (10) 事業税の損金算入額1972万6800円被告は,平成4年3月期再更正処分による増加所得に係る事業税1972万6800円を損金の額に算入した(別紙2「(11)更正処分平成9年3月31日」欄の「J事業税の損金算入額」欄)。 (11) 所得金額1120億3337万4262円被告は,前記(1)の平成7年3月31日付け更正処分による所得金額1116億0876万7628円に,同(2),(5)ないし(7)の合計額4億8318万4725円を加算し,同(3),(4),(8)ないし(10)の合計額5857万8091円を減算した金額,すなわち,1120億3337万4262円をもって調査後の所得金額とした。 (別紙2「(11)更正処分平成9年3月31日」欄の「A所得金額」欄) 2 法人税額について(1) 所得金額に対する法人税額420億1251万5250円被告は,原告の当期の所得金額が 処分平成9年3月31日」欄の「A所得金額」欄) 2 法人税額について(1) 所得金額に対する法人税額420億1251万5250円被告は,原告の当期の所得金額が前記1(11)のとおりであるとして,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額1120億3337万4000円に法66条1項に規定する税率100分の37.5を乗じて計算し,同所得金額に対する法人税額を,420億1251万5250円とした。 (別紙2「(11)更正処分平成9年3月31日」欄の「K差引法人税額」欄)(2) 控除税額 257億8294万9033円被告は,前記1(3)に記載した理由により,控除対象法人税額が2637万6576円減少し,また国外所得の金額の計算にも誤りがあったとして,正当額に基づいて法人税額から控除する外国税額を再計算し,法人税額から控除する外国税額が12億6381万3144円減少したとして,平成5年3月期再更正処分と同額である平成5年3月期の法人税に係る本件平成5年3月期更正処分前の原告の控除税額270億4676万2177円(別紙2「(7)更正処分平成7年3月31日」欄の「O控除税額」欄)から上記の法人税額から控除する外国税額の減少額12億6381万3144円を差し引いた257億8294万9033円をもって原告の当期の控除税額とした。 (別紙2「(11)更正処分平成9年3月31日」欄の「O控除税額」欄)。 (3) 差引合計法人税額162億2956万6200円同税額は,前記(1)の所得金額に対する法人税額420億1251万5250円から,同(2)の控除税額257億8294万9033円を減算した金額(国税通則法119条1項 162億2956万6200円同税額は,前記(1)の所得金額に対する法人税額420億1251万5250円から,同(2)の控除税額257億8294万9033円を減算した金額(国税通則法119条1項の規定により100円満の端数金額を切り捨てた金額)である。 (別紙2「(9)更正処分平成9年3月31日」欄の「R差引合計税額」欄) 3 過少申告加算税の賦課決定処分について被告は,国税通則法65条1項に基づき,本件平成5年3月期原更正処分により納付すべき法人税額12億5948万円(160億6600万8400円-148億0652万5400円ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた金額)に100分の10の割合を乗じた金額1億2594万8000円を過少申告加算税の額とした。 なお,本件平成5年3月期原更正処分において,被告は,過少申告加算税の額を1億3271万3000円として賦課決定を行っているが(なお,平成7年3月31日付け過少申告加算税賦課決定額676万4000円を変更する形で賦課決定を行っているため,同額が加算されている。),同賦課決定額に計算誤りが認められたので,平成10年2月25日付けの変更決定後の賦課決定処分において,1000円を減額した。 第2の4 取引の外形的事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実) 1 ペプシコ事案(メキシコ国源泉税)について(1) 米国を納税地とするペプシコ社は,メキシコ国に設立した子会社であるサブリタス社を通じて,メキシコ国に所在するEmpresasGamesasS.A社を買収する際,この資金として,平成2年10月1日に2億4479万6946.71米国ドル(以下「米ドル」という。),平成2年10月5日に2786万9778.40米ドルの合計2億7266万6 S.A社を買収する際,この資金として,平成2年10月1日に2億4479万6946.71米国ドル(以下「米ドル」という。),平成2年10月5日に2786万9778.40米ドルの合計2億7266万6725.11米ドルをサブリタス社に融資した。 サブリタス社は,それぞれ右融資日を振出日とする(原告は,支払期日は平成3年12月31日であると主張する。)右融資額を額面金額とした約束手形をペプシコ社あてに振り出し,その返済に充てることとした。 (2) サブリタス社は,前記(1)のとおり,ペプシコ社から買収資金を調達したが,この場合,ペプシコ社が受け取る貸付金利息に対して,メキシコ国の税制上,源泉税35パーセントが課されることとなっていた。ただし,外国銀行を含む銀行が融資した場合の貸付金利息に対しては源泉税が軽減され,35パーセントが15パーセントとなる。そして,源泉税の税率は,貸付時ではなく金利支払時を基準とするため,金利支払時点までに金融機関が手形を買いとれば,金融機関による貸付とみなされて,税率15パーセントが適用されることとなる。 上記の税制を前提として,ペプシコ社は,原告に対して本件手形買取契約及び本件覚書にかかる取引(以下,ペプシコ事案について論ずる部分では単に「本件取引」という。)を申し出た(乙5)。 (3)そして,原告は,稟議書等を作成しているが,その内容はおおむね次のとおりである。 ア平成2年8月28日付け原告ニューヨーク支店経伺(乙4)(ア) 原告のニューヨーク支店は,ペプシコ社の子会社の原告宛預金を担保とする円建てローン約3000万米ドル相当をペプシコ社に申し出る(1頁「申出内容」)。 (イ) 申出背景として,ペプシコ社は,既に外国税額控除を使い果たした状態となっているが,従来,同社の本邦支店は赤字であったため,同支店あ 0万米ドル相当をペプシコ社に申し出る(1頁「申出内容」)。 (イ) 申出背景として,ペプシコ社は,既に外国税額控除を使い果たした状態となっているが,従来,同社の本邦支店は赤字であったため,同支店あて貸付が無利息であっても本邦で納税の問題は起こらなかった(3頁「申し出背景」)。 しかしながら,今般本邦支店が黒字転換したため,既存の無利息本社借入を一旦返済して,有利息の借入を新たに行い,同支払利息を経費として所得控除の対象にしようとしている(3頁「申し出背景」)。 (ウ) 外国税額控除枠余裕がないため,本邦の実効税率68パーセント分を納税しても米国で還付を受けられない(3頁「申し出背景」)。 イ平成3年5月23日付け原告ニューヨーク支店取引申請書(乙5)(ア) サブリタス社は,平成2年10月メキシコ最大のクッキーメーカーであるEmpresasGamesasS.A社の株式70パーセントを2億7300万米ドルで買収。要資はペプシコ社からの借り入れで賄った(1頁1項)。 (イ) しかし,ペプシコ社としては,源泉税がペプシコ社からの貸付については35パーセントであるのに対し,金融機関からの貸付については15パーセントに止まることに着目して,ストラクチャーによる手形買取方を依頼してきているもの(源泉税の税率は,金利支払時点を基準として決定されるため,同時点までに原告が手形を買い取れば,金融機関の貸付と見なされ,税率は15パーセントとなる)(1頁2項)。 (ウ) 上記買収に当たっては,時間的余裕がなく,ペプシコ社からの借入れで要資を賄ったが,今般,税務上のメリットに気付いて申し出あるもの(1頁2項)。 (エ) ペプシコ社は,メキシコ法上,本件が適法である旨のリーガルオピニオンを提出するとしている(1頁3項)。 (オ) ペプシコ社としては,向こう2ない メリットに気付いて申し出あるもの(1頁2項)。 (エ) ペプシコ社は,メキシコ法上,本件が適法である旨のリーガルオピニオンを提出するとしている(1頁3項)。 (オ) ペプシコ社としては,向こう2ないし3か月中にメキシコ国内にファイナンスカンパニーを設立する予定であり,本件返済原資は同社からの借入れとなる見込み(1頁4項)。 (カ) 本件取引については,メキシコ側当局の了承は取得済みであり,問題ない旨のリーガルオピニオン取得を前提とするとしている(2頁5項)。 (キ) 本邦税務上問題がないかについては,企画部等とも打ち合わせ済みであるとする(2頁5項)。 ウ平成3年6月6日付け原告ニューヨーク支店宛融資承認通知(乙11の1,2)添付の融資承認申請書(ア) 借入人サブリタス社(ペプシコ社の全額出資の子会社)から3億5266万6725.11米ドルの融資申込みがあった。 そのうち,8000万米ドルは既に承認済のつなぎ融資であり,新たに2億7266万6725.11米ドルの融資申込みがあった。 (イ) 2億7266万6725.11米ドルの融資申込みによると次のとおりである。 ① 原告は融資の条件としてメキシコ源泉税15パーセントのうちの10パーセントを吸収することを約する。残り5パーセント(あるいは,仮に15パーセントの税率がメキシコの税務当局によって認められない場合はそれ以上)は借入人が負担する(4丁)。 ② 取引手数料は,総額の0.075パーセントとする(4丁)。 ③ ペプシコ社は,元本と利息の支払を含む借入人の債務を保証するとともに,将来において生じるメキシコ国の債務の再編によって,原告が追加的に資金を支払うという潜在的債務を保証する(4丁)。 ④ 手形に記載された券面利率にかかわらず,原告がペプシコ社に負担させる貸付利率は,LIBOR(Lon メキシコ国の債務の再編によって,原告が追加的に資金を支払うという潜在的債務を保証する(4丁)。 ④ 手形に記載された券面利率にかかわらず,原告がペプシコ社に負担させる貸付利率は,LIBOR(LondonInterbankOfferedRate: ロンドン銀行間資金市場での貸出しレート)+0.65パーセントとする(5丁)。 ⑤ 原告は,両者が合意した利率である,LIBOR+0.65パーセントを超えて受け取る手形券面利率部分をペプシコ社に払い戻す。この払戻額は,メキシコ源泉税を控除する(5丁)。 ⑥ 原告は,手形売買日までの期間に生じた経過利息につき,メキシコ源泉税を差し引いてペプシコ社に渡す(5丁)。 (4) 原告は,ペプシコ社の前記申入れに同意し,平成3年6月6日付けで,原告,ペプシコ社及びサブリタス社3者間で前記(1)のサブリタス社が発行した各約束手形をペプシロ社から買い取る旨の本件約束手形買取契約(甲1)を締結するとともに,本件覚書(甲2)を取り交わした。 本件約束手形買取契約(甲1)及び本件覚書(甲2)の記載内容はおおむね以下のとおりである。 ア平成3年6月6日付け本件約束手形買取契約(甲1)(ア) 原告は,ペプシコ社がサブリタス社に対して,平成2年10月1日に2億4479万6946.71米ドル,平成2年10月5日に2786万9778.40米ドルの合計2億7266万6725.11米ドルの手形貸付を行った際,サブリタス社がその支払のためペプシコ社あてに振り出した約束手形を買い取り,当該手形に基づきペプシコ社が保有する一切の権利を承継する(前文)。 (イ) 原告は,本件約束手形買取契約書の署名及び手交と同時に,ペプシコ社に対して,約束手形買入れの対価として,2億7266万6725.11米ドルをモルガン銀行ニューヨーク支店のペプ する(前文)。 (イ) 原告は,本件約束手形買取契約書の署名及び手交と同時に,ペプシコ社に対して,約束手形買入れの対価として,2億7266万6725.11米ドルをモルガン銀行ニューヨーク支店のペプシコ社の預金口座に平成3年6月6日付けで電信送金を行う。(1項)(ウ) ペプシコ社は,本件約束手形買取契約の契約発効日(平成3年6月6日)に,本件手形を原告に売却し,手形に基づくすべてのペプシコ社の権利を原告に譲渡する(1項)。 (エ) ペプシコ社とサブリタス社は,本件手形の元本と手形貸付利息を,平成3年9月30日又は,それ以前に期限前返済することを合意する(2項a)。 (オ) サブリタス社は,更改継続日に限り,手形金額の全額についてのみ額面金額で,期限前返済を行うことができる(2項a)。 更改継続日は,平成3年7月1日,15日,29日,8月12日,26日,9月9日,23日をいい,9月23日以外のどの更改継続日においても,サブリタス社は,2通の手形の合計額面金額につき,次の更改継続日を期日とする14日間につき更改継続することができる(2項a)。 (カ) サブリタス社は,期日前返済日に本件手形貸付の元本と手形発行日から期限前返済日までの経過利息(年利8.16パーセント)の額から,メキシコ国税法に基づき利払時に源泉される源泉税を差し引いた金額を原告に支払う(2項b)。 (キ) 本件手形の発行日から本件約束手形買取契約の契約発効日に至るまで,ペプシコ社は,本件手形貸付に係るサブリタス社からの貸付利息を一切受領していない(3項c)。 (ク) ペプシコ社は,本件取引に係るサブリタス社のすべての債務につき保証する(4項)。 イ平成3年6月6日付け本件覚書(甲2)(ア) サブリタス社は,契約発効日(平成3年6月6日)から,可及的速やかに,本件約束手形の満期 引に係るサブリタス社のすべての債務につき保証する(4項)。 イ平成3年6月6日付け本件覚書(甲2)(ア) サブリタス社は,契約発効日(平成3年6月6日)から,可及的速やかに,本件約束手形の満期日に支払われる貸付金利息に係るメキシコ国源泉税率が,メキシコ税法により,金融機関に適用される15パーセントの税率となるようメキシコ当局への手続を行う(2項a)。 (イ) サブリタス社は,期限前返済日には,メキシコ税法に基づき,原告に支払う手形貸付利息からメキシコ国源泉税を源泉徴収した上で,メキシコ税務当局に同源泉税の全額を納付し,その納税証明書を原告に手交する(3項a,b)。 (ウ) ペプシコ社は,平成3年7月1日に,原告に対し,本件約束手形の元本(2億7266万6725.11米ドル)につき,契約締結日(平成3年6月6日)から平成3年7月1日まで,年利6.775パーセントで計算した利息を支払い,これに続く各更改継続日において,前14日間の期間につき元本に対して1か月LIBOR+0.65パーセントの金利計算により,利息を支払う(4項)(エ) 原告は,期限前返済日に,次により計算される金額をモルガン銀行ニューヨーク支店のペプシコ社の預金口座に電信送金の方法により支払う。 (①+②-③-④)ただし,原告が次の金額を支払う義務は,サブリタス社が原告に手形の元本と年利8.16パーセントで計算した貸金利息の全額を支払った場合に限り生じる(5項)。 ① 手形振出日から期限前返済日までの間年利8.16パーセントで計算した手形貸付利息金額からメキシコ国源泉税を差し引いた金額(サブリタス社が原告に支払った金額と同一)(5項a)。 ② 手形振出日から期限前返済日までの間の貸付金利息の10パーセント相当額(以下「コミット金額」という。)(5項b,6項)について,期限 た金額(サブリタス社が原告に支払った金額と同一)(5項a)。 ② 手形振出日から期限前返済日までの間の貸付金利息の10パーセント相当額(以下「コミット金額」という。)(5項b,6項)について,期限前返済日から平成4年6月30日までの期間につき,6.8125パーセントの金利で割り引いた額(5項bかっこ書き)。 ③ 手形の元本の合計額2億7266万6725.11米ドルについて生じた期限前返済日直前の更改継続日から期限前返済日までの期間につき,当該更改継続日の2営業日前に決定された1か月LIBOR+0.65パーセントの金利で計算された利息金額(5項c)。 ④ 20万4500米ドルに,契約発効日から期限前返済日までの期間につき,年利6.125パーセントの経過利息を加えた金額(以下「取引手数料」という。)(5項d)。 (オ) 上記(エ)の②の原告の負担するコミット金額は,平成4年3月31日に終了する会計年度において,原告が日本の税法に基づき,外国税額控除を受けることができると判断する金額を限度とする(6項)。(カ) 原告は,平成4年6月30日に,コミット金額につき,平成4年3月期において,日本の税法に基づき外国税額控除の適用を受けることができるか,また適用を受けることができる金額の範囲を決定し,仮に適用ができないと最終決定した場合,平成4年6月30日から可及的速やかに,所定の書面でその適用できるとした金額をペプシコ社に通知する。(7項)(キ) ペプシコ社は,同通知を受領後,原告の預金口座に次により計算される金額を振り込む(8項)。 (①-②-③)① コミット金額と実際の外国税額控除額の差額(以下「負担されなかった金額」という。)② 取引手数料に,負担されなかった金額を分子,コミット金額を分母とした割合を乗じた金額③ 上記②の金額につき, コミット金額と実際の外国税額控除額の差額(以下「負担されなかった金額」という。)② 取引手数料に,負担されなかった金額を分子,コミット金額を分母とした割合を乗じた金額③ 上記②の金額につき,年利6.125パーセントで期限前返済日から平成4年6月30日までの期間につき,実経過日数で計算した金額(5) その後,原告は,平成3年6月6日,本件約束手形買取契約に基づき,買取代金2億7266万6725.11米ドルをペプシコ社に対して支払った。 (6) ペプシコ社は,平成3年7月11日,本件覚書(甲2)に基づき,原告に対し,契約発効日である平成3年6月6日から同年7月1日までの間の手形金額の利息相当額128万1676米ドル(年利6.775パーセントの割合による)を支払った。 (7) サブリタス社は,前記(1)の約束手形の支払期日の前である平成3年7月15日,本件手形買取契約(甲1)に基づき,原告に対し,元本相当額2億7266万6725.11米ドルを支払い,同時に,手形発行日である平成2年10月1日及び平成2年10月5日からそれぞれ平成3年7月15日まで年利8.16パーセントで計算した利息相当額の合計額1746万9972.22米ドルからメキシコ国に納付することとなる源泉税(利息に対して15パーセント)相当額262万0495.83米ドルを控除した,源泉税控除後の残金額1484万9476.39米ドルを支払った。 (8) 原告は,平成3年7月15日,本件覚書に基づき,ペプシコ社に対し,1557万8637.73米ドルを送金した。 その内訳は,サブリタス社から受領した前記(7)に述べた1484万9476.39米ドルに,サブリタス社から原告に支払われることとなる同(7)の利息相当額1746万9972.22米ドル(源泉税控除前)に対する10パーセント相当の 領した前記(7)に述べた1484万9476.39米ドルに,サブリタス社から原告に支払われることとなる同(7)の利息相当額1746万9972.22米ドル(源泉税控除前)に対する10パーセント相当の金額174万6997.22米ドル(原告の外国税額控除適用額)を加算した金額1659万6473.61米ドルから,右の加算した金額である174万6997.22米ドルに対して平成3年7月15日から平成4年6月30日までの間年利6.8125パーセントの割合で計算された割引金額(資金の持ち出しによる資金コスト相当額)10万7132.33米ドル,及び平成3年7月1日から同年7月15日までの間LIBORに0.65パーセントを加算した金利で計算された手形金額の利息相当額70万4899.51米ドル,更に取引実行手数料20万5804.04米ドルを加えた合計額101万7835.88米ドルを控除した金額である。 (9) 本件覚書(甲2)8項によると,上記(8)で述べた原告が受領した取引実行手数料は,原告に本件メキシコ国源泉税に係る外国税額控除が適用されず,原告がそれら外国税額控除に見合う金額をペプシコ社に交付できなかった場合には,その交付できなかった金額に対応する取引実行手数料はペプシコ社に返済することと取り決められている。 (10) サブリタス社は,(7)で述べた貸付金利息を原告に支払う際,源泉徴収した262万0495.83米ドルをメキシコ政府に納付し,原告は,その納税証明書を右サブリタス社から入手した。 (11) 原告は,平成4年3月期の法人税の確定申告において,本件取引に伴いメキシコ国で源泉徴収された15パーセントの外国税額262万495.83米ドルのうち,10パーセント相当額174万6997. 22米ドル(2億3208万8580円)が法69条1項の外国税額に該当 伴いメキシコ国で源泉徴収された15パーセントの外国税額262万495.83米ドルのうち,10パーセント相当額174万6997. 22米ドル(2億3208万8580円)が法69条1項の外国税額に該当するとして,当該事業年度の納付すべき法人税額から控除した。 なお,右確定申告の際,原告は,法69条1項の規定により,本件取引に係る外国税額のうち右の10パーセント相当額が税額控除の控除限度額となるため,これを上回る5パーセント相当額すなわち87万3498.61米ドルについては,当該事業年度の損金の額に算入した。 2 ロシコ事案(オーストラリア国源泉税)について(1) 訴外HolderbankFinaniereGlarisLimited(スイスのセメントメーカー,以下「ホルダーバンク社」という。)は,平成2年10月,訴外QueenslandCementLimited社(オーストラリアのセメントメーカー,以下「クゥィーンズランドセメント社」という。)を買収するに当たり,オランダにおいてロシコ社を,オーストラリアにおいてカデラ社をそれぞれ設立した上,クゥィーンズランドセメント社の買収資金として,ロシコ社を経由してカデラ社に1億6400万オーストラリアドル(以下「AUドル」という。)を送金し支払った。その際ホルダーバンク社からロシコ社に対しては全額を貸付金とし,ロシコ社からカデラ社へは,そのうちの1億2340万AUドルを貸付金としたものである(乙6)。 (2) カデラ社は,前記(1)のとおり,ロシコ社経由でホルダーバンク社から資金調達を行った。このときロシコ社が右カデラ社から受け取るべき貸付金利息に対して,オーストラリア国の源泉税10パーセントが課されるが,ホルダーバンク社は,オーストラリアにおける源泉税を外国税額の控除を利用することのでき ときロシコ社が右カデラ社から受け取るべき貸付金利息に対して,オーストラリア国の源泉税10パーセントが課されるが,ホルダーバンク社は,オーストラリアにおける源泉税を外国税額の控除を利用することのできる外国銀行を利用して回収しようと意図して,日本において外国税額控除の適用できる原告に,ロシコ社がカデラ社に対して有する貸付金債権を譲渡する旨を申し出た(乙6ないし8)。 (3) そして,原告は,稟議書等を作成しているが,それには次のような記載がある。 ア平成3年7月26日付け原告ロンドン支店経伺(乙6)(ア) カデラ社から8000万AUドルの融資申込みがあった。 (イ) 貸付に当たり,ロシコ社から対等額の預金担保を差し入れることとし,貸付金利は担保預金金利+0.35パーセントとし,源泉税については10パーセントまでは原告が負担する。 (ウ) 貸付金額については,ロンドン支店が当行外国税額控除余裕枠を関係部より聴取し8000万AUドルでオファーしたいとしている。 イ平成3年7月22日付け原告ロンドン支店取引申請(乙7の1,2)(ア) 債務者をカデラ社(クゥィーンズランドセメント社の持株会社)とする源泉税吸収のためのバック・トゥー・バックローン8000万AUドルの融資承認申請があった。 (イ) 返済資金は,ロシコ社が原告ロンドン支店に担保として差し入れた対応預金とする。 (ウ) 貸付利率は,カデラ社から受け取る利息とロシコ社に支払う利息との差額年利0.35パーセントのマージンとする(1丁「承認申請」欄)。 (エ) カデラ社からロシコ社のような非居住者に支払われる利息はオーストラリア源泉税の対象となりその支払の際にカデラ社が源泉税を控除する必要がある。利息に対する源泉税は,利息の支払総額の10パーセントの定率である。 それゆえ,外国税額控除を利用 払われる利息はオーストラリア源泉税の対象となりその支払の際にカデラ社が源泉税を控除する必要がある。利息に対する源泉税は,利息の支払総額の10パーセントの定率である。 それゆえ,外国税額控除を利用することによってカデラ社が控除した10パーセントのオーストラリア源泉税を取り戻せる銀行に貸付金の一部(8000万AUドル)を譲渡して提案された(2頁第2段落)。 (オ) 融資譲渡後,ロシコ社が原告に8000万AUドルの預金を行っているものとみなし,原告は資金を原告に対して返還義務のない貸付資金として使用する。 資金の交換は行わないことに留意されたい(3頁「2提案取引の仕組み」欄)。 (カ) 原告は10パーセントまでの源泉税を吸収し,総額から原告のマージンを減額した後の金額をロシコ社に支払う(4頁第2段落)。 ウ平成3年7月4日付け公認会計士から借入人への提案レター(乙8の1,2)(ア) このアレンジは,ホルダーバンクグループが,カデラ社からロシコ社へ支払われる利息に係る源泉税についての外国税額控除の利益を確保する手段として,平成3年5月31日の手紙で提案した。 (イ) この提案は,本質的には外国税額控除を利用することができる外国銀行を取引の中間に介在させることによって,その外国税額控除の利益を確保し,少額のマージンの負担のみでロシコ社に渡すことができる。 エ平成3年8月30日付け原告ロンドン支店宛取引承認通知書(乙9の1,2)添付の融資承認申請書(ア) 債務者をカデラ社とする8000万AUドルの融資目的は源泉税吸収にあった(2丁表の目的欄)。 (イ) 右融資の返済資金は,原告に担保として預け入れられているロシコ社の預金とする(2丁右下部分)。 (4) 原告は,前記ホルダーバンク社の前記申入れに対し,原告の外国税額控除の控除余裕枠を予め関係部から聴 融資の返済資金は,原告に担保として預け入れられているロシコ社の預金とする(2丁右下部分)。 (4) 原告は,前記ホルダーバンク社の前記申入れに対し,原告の外国税額控除の控除余裕枠を予め関係部から聴取した上,その控除余裕枠の範囲内である8000万AUドルについて前記ホルダーバンク社の申入れに応じることとし(乙6,7,9),平成3年9月1日付けでロシコ社の有するカデラ社に対する貸付金債権のうち,8000万AUドルを譲り受ける一方,ロシコ社が原告に対して同譲受代金と同額の定期預金を預け入れることとする本件債権譲受・預金契約(甲3)を締結した)。 本件債権譲受・預金契約(甲3)には,次のような記載がある。 アロシコ社は,平成3年9月1日(契約発効日)にカデラ社に対して有する貸付金の一部8000万AUドルを原告に譲渡する(1項)。 イ原告は,契約発効日にロシコ社に対し,8000万AUドルを支払い,ロシコ社は直ちに同額をカデラ社の貸付金に係る借入債務を担保するため原告に預金する。 ただし,これら代金の支払と預金の預入れは,実際の資金移動を省略すなわち相殺して行い,かつ,これらは同時に発生し,不可分一体のものであるため,これらのうちいずれかが発生しない場合は,一切の取引が発生しなかったものとして取り扱われる(2項)。 ウ原告は,ロシコ社の預金について,カデラ社に対する貸付金利息の金利から,年率0.35パーセントの利ざやを差し引いた預金金利を付する。 なお,カデラ社が利払日に貸付金利息を支払わない場合は,その支払不足額は利払日に支払うべく預金利息と相殺され,預金の未払利息も減少するものとする。 (3項,4項)エ原告は,オーストラリア国源泉税についての納税証明書の受領を条件として,貸付金利息の10パーセントまでの源泉税を負担するものとし,ロシコ され,預金の未払利息も減少するものとする。 (3項,4項)エ原告は,オーストラリア国源泉税についての納税証明書の受領を条件として,貸付金利息の10パーセントまでの源泉税を負担するものとし,ロシコ社に対しては,預金利息の支払として,貸付金利息の総額から原告の利ざや部分を控除した金額を,源泉税を一切計算に入れることなく支払うものとする(4項)。 オカデラ社は,平成4年1月31日までの利息計算期間につき年利11.75パーセントで計算した利息を支払うものとし,それ以降は,ロシコ社が原告に通知して定める。ただし,適用金利については,原告の同意を得ることが必要であり,市場実勢レートに基づくものでなければならない。(5項)カ原告は,本契約に関する支払をロシコ社の預金口座に行うこととするが,原告がロシコ社に対し預金利息を支払った後,カデラ社よりの貸付金利息の支払がない場合,ロシコ社は,その金額に原告の調達コストを付して返済する(6項)。 キロシコ社は,カデラ社の原告に対する債務の履行を保証するため,原告に対する預金及び預金の経過利子につき生じる権利を担保とする(7項)。 ク原告は,貸付金に関するカデラ社の債務不履行又は,ロシコ社が変更する金利につき承諾できない場合,ロシコ社及びカデラ社に通知することで預金を充当し,貸付金を消滅させ,貸付金をロシコ社に移管できる。 この場合,原告は,充当した日までの0.35パーセントの報酬を受ける権利のみになる。(8項a)ケ原告は,次の事由が発生した場合,ロシコ社に14日前に事前通知を行うことにより,中途解約を行うことができる(9項a)。 ① 原告が本件貸付金を継続するための実質的なコスト負担が上昇する場合② 適用される源泉税が現行の10パーセント以上に引き上げられる場合③ 本件貸金の金利水準が高くなり,原 ことができる(9項a)。 ① 原告が本件貸付金を継続するための実質的なコスト負担が上昇する場合② 適用される源泉税が現行の10パーセント以上に引き上げられる場合③ 本件貸金の金利水準が高くなり,原告が負担する源泉税のコストが上昇する場合④ 源泉税額につき,原告が日本の外国税額控除を受けることができない場合⑤ 原告が預入を受けた預金利子の支払いにつき,源泉税が課せられることとなった場合コロシコ社は,本件契約につき,原告に14日前に事前通知を行うことにより,中途解約を行うことができる(9項b)。 サ本契約は,中途解約される場合を除き,平成4年8月31日に終了する(9項c)。 シ原告は,本件契約が中途解約される場合,預金を充当して貸付金を相殺し,貸付金をロシコ社に移管し,原告は解約日までの利ざやを受け取る(9項d)。 (5) 上記のとおり,本件債権譲受・預金契約の締結日すなわち代金の決済日である平成3年9月1日当日において,原告とロシコ社間における現実の資金の動きは全くない取引となった。 原告は,これに関する会計処理として,平成3年9月3日に借方をカデラ社に対する貸付金8000万AUドル,貸方をANZBANK 8000万AUドルとし,平成3年9月5日に借方をANZMELBOURNE 8000万AUドル,貸方をロシコ社からの定期預金8000万AUドルとして,それぞれ平成3年9月1日に日付を遡って起票した。 (6) 平成3年9月1日時点においては,契約当事者間においては,本件債権譲受・預金契約に係る必要書類は未完成であり,その翌日である同年9月2日にそれらの書類の完成を待って書類を取り交わした。 (7) カデラ社は,平成4年2月1日,債権譲受・預金契約に基づき,原告に対し,平成3年9月1日から平成4年1月31日まで年利11.75パーセ 9月2日にそれらの書類の完成を待って書類を取り交わした。 (7) カデラ社は,平成4年2月1日,債権譲受・預金契約に基づき,原告に対し,平成3年9月1日から平成4年1月31日まで年利11.75パーセント(貸付金利)で計算した利息額394万0273.97AUドルからオーストラリアにおける源泉税(利息に対して10パーセント)相当額39万4027.40AUドルを控除した金額354万6246.57AUドルを送金し,一方,原告は,同日,右の送金を受けた後,債権譲受・預金契約に基づき,ロシコ社に対し,平成3年9月1日から平成4年1月31日まで年利11.40パーセント(貸付金利から0.35パーセントを引いた利率)の預金利息額382万2904.11AUドルを支払った。 (8) カデラ社は,平成4年8月1日,本件債権譲受・預金契約に基づき,原告に対し,平成4年2月1日から平成4年7月31日まで年利7.995パーセント(貸付金利)で計算した利息額318万9238.36AUドルからオーストラリアにおける源泉税(利息に対して10パーセント)相当額31万8923.84AUドルを控除した金額287万0314.52AUドルを送金し,一方,原告は,同日,右の送金を受けた後,本件債権譲受・預金契約に基づき,ロシコ社に対し,平成4年2月1日から平成4年7月31日まで年利7.645パーセント(貸付金利から0.35パーセントを引いた利率)預金利息額304万9621.92AUドルを支払った。 平成4年7月31日付けで,本件債権譲受・預金契約にかかる預金は中途解約され,本件預金をもって充当して本件貸金は相殺され,貸付金はロシコ社に移管された。 (9) カデラ社は,前記(7)及び(8)で述べた原告に対する貸付金利息の支払額から源泉徴収した39万4027.40AUドル及び31万89 充当して本件貸金は相殺され,貸付金はロシコ社に移管された。 (9) カデラ社は,前記(7)及び(8)で述べた原告に対する貸付金利息の支払額から源泉徴収した39万4027.40AUドル及び31万8923.84AUドルをオーストラリア政府に納付し,原告は,その納税証明書を入手した。 (10) 原告は,平成4年3月期の法人税の確定申告において,本件取引における外国税額控除39万4027.40AUドル(3771万9016円)を,平成5年3月期の法人税の確定申告において,本件取引における外国税額控除31万8923.84AUドル(2637万6576円)を,それぞれ法69条1項に該当するとして税額控除をした。 第3 被告の主張第3の1 本案前の主張 1 原告の主位的請求について更正処分がなされた後に増額再更正処分がなされた場合,更正及び増額再更正ともにそれぞれ別個の処分であることは否定できないが,再更正は当初の更正をそのままにしてこれに脱漏した部分だけを追加するものではなく,再調査により判明した結果に基づいて課税標準等及び税額等を新たに確定するものであるから,増額再更正がなされた場合には,当初の更正は増額再更正に吸収されてその内容となるため,独立の処分としての存在を失うに至り,当初の更正を独立の対象としてその取消しを求める利益はない。 本件各事業年度の課税の経緯については,別紙1及び2記載のとおりであって,原告が取消しを求める本件各原更正処分については,その後,被告において,平成9年3月31日付けで新たに課税標準及び納付すべき税額を増加させる本件各再更正処分を行っている。 したがって,本件各原更正処分は,その後になされた本件各再更正処分に吸収されて独立の処分としての存在を失っており,本件各更正処分を独立の対象としてその取消しを求める利益はない 正処分を行っている。 したがって,本件各原更正処分は,その後になされた本件各再更正処分に吸収されて独立の処分としての存在を失っており,本件各更正処分を独立の対象としてその取消しを求める利益はない。 2 原告の予備的請求について(1) 不服申立前置国税に関する法律に基づく処分で不服申立てをすることができるものの取消を求める訴えは,異議申立てをすることができる処分にあっては異議申立てについての決定を,審査請求をすることができる処分にあっては審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ,提起することができない旨規定されている(国税通則法115条1項)。そして,原告は,青色申告の承認を受けていることから,本件各再更正処分について,不服があれば選択により異議申立てをしないで国税不服審判所長に対して,審査請求をすることもできる(国税通則法75条参照)。 しかし,原告は,本件各再更正処分についての異議申立て又は審査請求のいずれもしておらず,原告の本件各再更正処分の取消しを求める予備的請求は,不服申立ての前置の点においてその要件を満たしていない不適法な訴えである。 (2) 出訴期間の徒過取消訴訟は,処分又は裁決があったことを知った日から3か月以内に提起しなければならない(行政事件訴訟法14条1項)とされ,取消訴訟提起後に訴えの変更がなされた場合,変更後の新請求につき出訴期間が遵守されたかどうかは,訴え変更の時を標準として判断されると解される(最高裁昭和26年10月16日第三小法廷判決,民集5巻11号583頁)。 本件についてみると,被告は,平成9年3月31日,原告に対し,本件各再更正処分の通知の送達を行っていることから,原告は,同日に当該処分を知ったものと推認されるところ,原告は,右再更正処分の送達を受けた後,5か月経過した平成9年9月 年3月31日,原告に対し,本件各再更正処分の通知の送達を行っていることから,原告は,同日に当該処分を知ったものと推認されるところ,原告は,右再更正処分の送達を受けた後,5か月経過した平成9年9月3日に至って初めて,訴えの変更申立書を当裁判所に提出している。 したがって,原告の予備的請求にかかる訴えは,出訴期間を徒過してなされたものであり,不適法な訴えである。 第3の2 本案の主張第3の2の1 租税回避行為の否認(一般論)租税負担回避を目的とした行為に対しては,明文の規定がない場合でも,次のような許容される否認類型が存在し,これらは課税庁の恣意が入り込む余地はなく,租税法律主義の見地からも問題がない。 1 私法上の法律構成による否認(1) 課税は,私法上の行為によって現実に発生している経済効果に則して行われるものであるから,第一義的には私法の適用を受ける経済取引の存在を前提として行われる。 しかしながら,当事者が外形上取引を仮装する場合には,右取引は無効であり,また,当事者間の契約等において,当事者の選択した法形式と当事者間における合意の実質が異なる場合には,取引の経済実体を考慮した実質的な合意内容に従って解釈し,その真に意図している私法上の事実関係を前提として法律構成をしたうえ,課税要件への当てはめを行うべきである。 例えば,裁判所による事実認定の結果として,納税者側の主張と異なる課税要件該当事実を認定し,課税が行われることは当然のことであるし,また,通謀虚偽表示の場合には,当事者の外形的な表示にとらわれず,民法上認定される当事者の真の意思に基づき課税が行われることもあり,結果として当事者が課税を免れるために外形上作り出された表面的な私法上の法律関係は無視されることになるのである。 そして,複数の当事者間で行われた個々の契約が 意思に基づき課税が行われることもあり,結果として当事者が課税を免れるために外形上作り出された表面的な私法上の法律関係は無視されることになるのである。 そして,複数の当事者間で行われた個々の契約が存在するとしても,全体があらかじめ計画された一連のスキームであれば,全体を一体のものとして判断すべきであり,そのような一連の取引は,個々の契約がそのとおり実行されていたとしても,そのことゆえに各契約が各契約書所定の内容のものとして当然有効となるものではない。この点,本件におけるペプシコ事案及びロシコ事案にかかる本件各取引は,全体があらかじめ計画された一連の取引であることから,全体を一体のものとして判断すべきである。 したがって,私法上の法律構成による否認とは,いわば真実の法律関係に基づく課税にすぎない。 (2) なお,私法上の法律構成による否認により租税回避を否認した例としては,カリフォルニア州弁護士HarryMargolisが行った取引がある。 右取引は,タックス・ヘイブン法人間を資金循環(Circu1arFinancing,実体上金銭貸付けの実質がないのに,外観上資金を循環させてあたかも金銭貸付けがあったかのような形式を創り出し,租税負担の回避を図るテクニックである。)させることにより,投資家に多額の費用控除を創り出すという極めて人為的なものであって,資金循環の手法を用いて法人間の貸付けを何度も繰り返し,控除されるべく多額の利子費用を計上したものである。連邦巡回控訴裁判所は,同資金循環の手法を用いた取引による利子については,実際は利子支払ではないから,控除は認められないと判示した(裁判例としてU.S. v. Schulman, 817 F 2d. 1355(9thCir. 1987)がある。)。 (3) 外国税額控除における名義主義 いから,控除は認められないと判示した(裁判例としてU.S. v. Schulman, 817 F 2d. 1355(9thCir. 1987)がある。)。 (3) 外国税額控除における名義主義と実質主義について原告は,法69条10項,同法施行規則29条の2第7号が外国税額控除の適用要件の一つとして,確定申告書に外国法人税を課されたことを証する納税申告書の写し又はこれに代わるべき書類及びその納付事実を証する書類の添付を要求していることを根拠に,法人の納付した外国の税が法人税法にいう外国法人税に当たるか否かは,一義的にその課税の根拠となった現地国の税法に基づいて判断すること,またその税が当該法人に課されたものかどうかも,現地国における課税が誰に対してなされたかという,名義主義によるべきであると主張する。 しかしながら,法69条10項,同法施行規則29条の2第7号が上記の書類の添付を要求していることが,法69条1項にいう「内国法人が(中略)外国法人税を納付することとなる場合」の解釈において,名義主義によることを示したものであるとするのは,明らかに論理の飛躍があり,法11条が採用する法人税法適用における実質所得者課税の原則を前提とするならば,外国税額控除の適用においても,名義のみによって判断するのではなく,課税の経緯を踏まえてケースバイケースで判断する余地があるのであり,現地国の課税の証明書類の添付があることをもって,一義的に課税当局が拘束されることはないというべきである。 2 課税減免規定の限定解釈による否認(1) 課税減免規定とは,課税要件を定める規定のうち,政策的に一定の趣旨及び目的を達成するため課税の減免を内容として制定された規定である。 そして,課税減免規定については,その趣旨及び目的にかなう事業活動が行われ,それにより政 件を定める規定のうち,政策的に一定の趣旨及び目的を達成するため課税の減免を内容として制定された規定である。 そして,課税減免規定については,その趣旨及び目的にかなう事業活動が行われ,それにより政策目的が実現されることを前提として制定されたのであるから,当該規定の趣旨及び目的に合致しない行為に対してまで課税の減免を認めなければならない理由はない。そもそも当事者が課税減免規定の適用を受けることのみを目的として行った取引は,事業目的を欠いた不自然な取引として当該課税減免規定の適用の射程外であり,課税減免規定を適用することはできない。 したがって,課税減免規定の限定解釈による否認は,課税減免規定の目的的解釈及び適用の一場面として租税回避取引の否認と同様の効果を得ることができるのである。 (2) 課税減免規定の限定解釈による否認により租税回避を否認したのと同様の効果を認めた例としてアメリカ合衆国のグレゴリー事件がある。 同連邦最高裁判所の判決(Gregoryv. Helvering, 3 U.S. 465(1935))は,課税減免規定の趣旨及び目的から事業目的(businesspurpose)の基準を導き出し,形式上は当該取引が法の規定する要件に該当するように見えたとしても,当該取引が租税回避のみを目的としたもので事業目的がないことを理由に,それは立法者の予定するものではなく,課税減免規定の適用を受け得ないとしたのである。すなわち,同判決は,課税減免規定の立法目的に照らして,その適用範囲を限定的にあるいは厳格に解釈することにより,同立法目的と無縁な租税回避のみを目的とする行為を同適用範囲から除外するという解釈方法をとったのである。同解釈方法は,法を拡大解釈するものではなく,法の趣旨目的に従って合理的かつ客観的に解釈するものであり,我が 無縁な租税回避のみを目的とする行為を同適用範囲から除外するという解釈方法をとったのである。同解釈方法は,法を拡大解釈するものではなく,法の趣旨目的に従って合理的かつ客観的に解釈するものであり,我が国においても十分に採用可能な法解釈の手法である。 (3) 租税法律主義課税減免規定の限定解釈による否認は,租税法律主義の見地から特に問題となることはない。 すなわち,立法に当たって,あらゆる事態を想定して,個別具体的に明文規定を設けることは不可能であり,したがって,租税法律主義の原則も,当然に法条の厳格解釈を要求するものではなく,法律上の概念又は用語は,それぞれの法律の規定の趣旨目的に添うよう合目的的に解釈すべきである。 租税法規の解釈適用に当たっては,もとより法の文言を重視すべきことはいうまでもないが,租税法規は,究極的には租税正義の実現を図ろうとするものであるから,租税の公共性,公平負担の原則等租税法の基本原則を踏まえつつ,法規の目的に照らし,その経済的,実質的意義を考慮して,合理的,客観的に解釈すべきである。 また,粗税法律主義は,国民の経済活動の予測可能性を担保することを目的とするところ,本件のような取引には外国税額控除制度を適用することができないと解することは,なんら国民の経済活動の予測を超えた解釈ということはできない。すなわち,学説上も本件のような場合の外国税額控除に否定的な見解を示されているところであり(乙10),現に本件においても契約上原告が外国税額の控除を受けられない場合に備えての条項も設けられていたのであるから(本件覚書6項,本件債権譲受・預金契約9項),これらの事情からすれば,法69条1項につき,本件のような場合に外国税額控除を受けられないとの解釈をなしたとしても,原告にとって経済活動の予測可能性は担保されており ,本件債権譲受・預金契約9項),これらの事情からすれば,法69条1項につき,本件のような場合に外国税額控除を受けられないとの解釈をなしたとしても,原告にとって経済活動の予測可能性は担保されており,租税法律主義に反しないものと解される。 第3の2の2 私法上の法律構成による否認(主位的主張)第3の2の2の1 主張の許容性審査裁決では,本件取引が仮装取引である旨の被告の主張が退けられているが,国税通則法102条1項の「裁決は関係行政庁を拘束する」との規定は,裁決によって原処分が取消しないし変更された場合には,原処分庁を含む関係行政庁は,同一の事情下でその裁決で排斥された原処分の理由と同じ理由で同一人に対し同一内容の処分をすることが許されないというにとどまり,処分を維持した裁決の結果になお不服があるとして提起された処分取消訴訟において,処分庁が処分を根拠付けるためにする主張が裁決の理由中の判断と同一でなければならないことまで要求するものではない。 第3の2の2の2 ペプシコ事案(メキシコ国源泉税にかかる取引)について 1 本件取引の内容(1) 動機・目的原告は,平成2年8月のペプシコ社との取引に際し,平成2年8月28日付け原告ニューヨーク支店経伺(乙4)を作成し,その中でペプシコ社については,外国税余裕枠がないことを取引の動機としている。 この点,乙第4号証は,本件取引の時点である平成3年6月とは年度の違う取引に関するものであり,ペプシコ社において,平成3年度の外国税額控除余裕枠の多寡は明らかではないが,乙第4号証の記載からしても,ペプシコ社が,平成2年8月において外国税額控除余裕枠がないとし,源泉税吸収を目的として,原告との取引を考慮していたことは明らかである。 そして,これらの事情に,本件覚書(甲2),平成3年6月6日付け原 コ社が,平成2年8月において外国税額控除余裕枠がないとし,源泉税吸収を目的として,原告との取引を考慮していたことは明らかである。 そして,これらの事情に,本件覚書(甲2),平成3年6月6日付け原告ニューヨーク支店融資承認通知(乙11)で取り決められた,原告とペプシコ社間の外国税額適用に関する条項の存在を併せ考えれば,本件取引においても,外国税額控除余裕枠が検討対象とされ,ペプシコ社において,外国税額控除余裕枠がすでになかったことが本件取引をなす要素となったことは容易に推測し得る。 また,平成3年5月23日付け原告ニューヨーク支店取引申請書(乙5)によれば,サブリタス社がメキシコのクッキー会社を買収する買収資金について,時間的余裕がなかったため,当初ペプシコ社からの借入れで要資を賄ったが,その後,税務上のメリットに気づいて,原告に本件取引を依頼してきたことが明らかである。 (2) 資金の流れア本件約束手形買取契約(甲1)によると,原告は,ペプシコ社がサブリタス社に行った手形貸付けに関し,その当該手形に基づきペプシコ社が保有する一切の権利を承継するとされ,サブリタス社において,原告に対し,平成3年9月30日又はそれ以前の日(期限前返済日)に,手形元本2億7266万6725.73米ドル及び年利8.16パーセントの額の利息金を支払う(前文)が,その際,同利息金からメキシコ源泉税が差し引かれる旨規定されている(2項b)。 ところが,本件覚書(甲2)によれば,原告は,期限前返済日に,前記のとおりメキシコ源泉税が控除された利息金全額,及び原告が我が国から10パーセント分の外国税額控除を受けることを前提として,その10パーセント分の外国税額控除分相当額を,ペプシコ社に支払う旨合意されているのである(5項)。さらに,平成3年6月6日付け原告ニュー ら10パーセント分の外国税額控除を受けることを前提として,その10パーセント分の外国税額控除分相当額を,ペプシコ社に支払う旨合意されているのである(5項)。さらに,平成3年6月6日付け原告ニューヨーク支店融資承認通知(乙11)も「原告は,手形売買日までの期間に生じた経過利息につき,メキシコ源泉税を差し引いてペプシコ社に渡す。」としている(乙11,5丁5号)。 このように,原告は,約束手形買取契約上,手形貸付に基づく利息金につき,メキシコ源泉税の控除分を除き,その利息金をいったん全額取得するかのようであるが,実際には覚書の合意により,この利息金は直ちにそっくり全額,ペプシコ社に還流される契約内容になっているのである。 イー方,平成3年6月6日付け原告ニューヨーク支店融資承認通知(乙11)によれば,「手形に記載された利率にかかわらず,原告がペプシコ社に負担させる貸付利率は,LIBOR+0.65パーセント」であると取り決められているが(5丁2項),このことは,原告からペプシコ社に対しては,手形金元本に相当する額が貸し付けられ,その貸付利率が定められたことを前提とするものであり,原告はペプシコ社を債務者であると認識していたことがうかがえる。そうだとすると,平成3年6月6日付けで原告からペプシコ社に実際に支払われている2億7266万6725.11米ドルは,原告からペプシコ社への貸付金であると解され,他方,原告とペプシコ社グループ間では,手形買取契約の内容である買取代金の支払はされていないことになる。このように手形買取契約における重要な要素である代金支払という一方当事者の債務の履行が現実にされていないのは,そもそも本件手形を売買する旨の当事者の効果意思を欠いていたからにほかならない。 ウ原告は,本事案においては,予想される源泉税15パーセント 払という一方当事者の債務の履行が現実にされていないのは,そもそも本件手形を売買する旨の当事者の効果意思を欠いていたからにほかならない。 ウ原告は,本事案においては,予想される源泉税15パーセントのうち10パーセントは原告が負担することになったので,代金の精算の際には,これに伴う調整も必要となり,甲第2号証5項aとbにおいて所要の措置が定められたと主張する。 しかし,前述のとおり,通常の取引においては,手形債権の売買時点において,金融情勢を勘案した上,利息等については調整金を支払うことにより,すべてを精算するものであり,後日,利息や外国源泉税の授受をすることはない。 ペプシコ社は,原告の外国税額控除余格枠を利用するため,原告をペプシコ社とサブリタス社の取引に介在させ,ペプシコ社に課されたメキシコ国源泉税を,原告に課されたかのように仮装・作出したものであるから,甲第2号証5項aとbのような精算のための措置が定められたといえる。 (3) 原告が外国税額控除を受けられない場合の処理本件覚書6項によると,利息額の10パーセント相当額,すなわちコミット金額(本件覚書5項bにおける金額を指す)は,原告が外国税額控除の適用を受けられない場合には,外国税額控除を受けられる金額を限度として原告が負担することとなる旨取り決められている。 結局,本件においては,上記(2)のとおり,外国税額控除の適用分相当額すべてを原告がペプシコ社に交付することを取り決めるとともに,原告が外国税額控除の適用を受けることができなければ,その適用の受けられない部分は,原告からペプシコ社に対して支払う必要がない旨取り決められているのであり,外国税額控除の可否ないし適用金額そのものが,原告の支払義務ないし支払金額に直接的に影響を及ぼす内容となっており,ひいては,その適否及び適 シコ社に対して支払う必要がない旨取り決められているのであり,外国税額控除の可否ないし適用金額そのものが,原告の支払義務ないし支払金額に直接的に影響を及ぼす内容となっており,ひいては,その適否及び適用金額が,ペプシコ社の受け取るべき金額となっている。 (4) 手形売買としての不合理性ア手形代金の定め方手形債権の売買であるのであれば,特段の事情がない限り,債権譲受け時の経過利息を加味した金額に基づく時価で売買されるものであるから,その時点での金利情勢を勘案して手形債権額の評価をしてすべてを決済するのが通常の取引である。 原告は,本件手形買取契約の契約内容に従うと本件取引のような決済方法でしか処理できないとの主張をしているが,貸付けを本業とし,利息収入が本来の収益となる原告が,手形売買を行うに当たって,利息収入が得られないこともある早期返済を認めるような返済期限の不確定な約束手形の買取契約を何らのペナルティー条項を定めずに行うことは不合理である。 原告は,本件契約が特異准形態を採った理由について,債権の譲渡時に,譲渡代金を一義的に確定することが不可能であったことによるとするもののようである。 しかし,本件取引につき,「手形の譲渡時に支払う代金額は手形の元本金額とし,その余は後日精算ということにした」ことと,「満期日以前にいつでも全額又は一部を期限前返済することができる旨の特約があること,又は,ペプシコ社と原告との間で,LIBORに応じて変動する利率を設定した」ことは論理必然の関係にはない。 すなわち,債権譲受時の手形の客観的価値は,元本額に約束手形の振出日から,原告が手形債権を譲り受けるまでの期間の利息が加算されたものであり,この利息分については,右譲受け時点で確定していたものであるから,その時点で決済が可能であり,代金額に反映され 束手形の振出日から,原告が手形債権を譲り受けるまでの期間の利息が加算されたものであり,この利息分については,右譲受け時点で確定していたものであるから,その時点で決済が可能であり,代金額に反映されてよいはずのものである。それにもかかわらず,原告は右確定利息についても手形債権譲受代金に含めていない。 なるほど,この確定利息も含めて,更改継続日に精算されているのであれば,後日利息額が確定した時点で精算する意図であった旨の原告の主張も一理あろうが,本件では,債権譲受後,平成3年7月1日までの利息については,本件の更改継続日である同年7月15日以前の同年7月11日付けで別途ペプシコ社から原告に支払われており(別紙3【仮装・作出した取引】(5)),一括精算はされていないのである。右の点からしても,本件契約が特異な形態を採った合理的理由はないと考えられる。 イさらに,通常の利息計算においては,当事者間で決定した利率が適用されるのが通常であるが,本件取引においては,原告が日本国でメキシコ国源泉税について外国税額控除ができない場合,最終的な受渡金額に変更が生じるなど,通常の手形買取契約と異なっている。 ウ通常の手形売買取引において手形債権を譲り受けた場合,譲受け時の金利情勢に基づく割引率で手形金額及び経過利息を割り引いて決済金額を算定することは当然なことであるが,その場合,手形債権の譲受人は,割引利率に基づく利息を受け取ることとなるが,併せて手形債権を譲り受けたことにより,譲受け日以降における金利変動に伴う利益又は損失(変動金利が低下した場合は,約束手形の価値が上がり,逆に変動金利が上昇した場合には,約束手形の価値が下がる。)を受けるという危険負担も負うこととなるところ,本件契約においては,原告が,約束手形を譲り受けたとしながら,手形の利息はすべ 価値が上がり,逆に変動金利が上昇した場合には,約束手形の価値が下がる。)を受けるという危険負担も負うこととなるところ,本件契約においては,原告が,約束手形を譲り受けたとしながら,手形の利息はすべてペプシコ社に渡し,別途,ペプシコ社からLIBOR+0.65パーセントの利率で利息を受け取ることとなっており,約束手形を譲り受けたことによる危険負担を負わない内容となっており,不合理である。 (5) より直截な取引の存在ペプシコ社が資金を必要とし,原告がLIBOR+0.65パーセントの経済的利益を得ることを目的として取引するのであれば,わざわざペプシコ社から約束手形を譲り受ける必要がなく,単に,ペプシコ社にLIBOR+0.65パーセントで貸し付ければ済むのである。そうすれば,法律的にも経済的にも受取利息の額が一致した取引となるとともに,原告に対する外国源泉税及び取引実行手数料等の支払を考慮しなければ,ペプシコ社及びサブリタス社にとっても,本件取引と同一の支払額となる。 それにもかかわらず,ペプシコ社及び原告がこのような法律的,経済的に単純な取引を行わず,本件取引のように迂回した取引を行ったことは,専ら原告の外国税額控除余裕枠を利用して,ペプシコ社が負担すべきメキシコ国源泉税を回収するために行われたものである。 (4) 取引手数料本件では,取引手数料が存在しているが,同手数料は何の対価であるのか不明であり,異例のものである。 実質金利の一形態として諸種の手数料を銀行が収受することもあるが,原告の挙げる例は,いずれも,本件の取引手数料を正当化するものではない。 すなわち,総借入可能額を設定し,借入可能期間終了までの間に,未借入残高に対して一定の料率で借主が手数料を支払うとの契約もみられるが(甲13,63頁),これは,貸主が借主の要求に応 ものではない。 すなわち,総借入可能額を設定し,借入可能期間終了までの間に,未借入残高に対して一定の料率で借主が手数料を支払うとの契約もみられるが(甲13,63頁),これは,貸主が借主の要求に応じて貸付を実行するのに必要な資金を確保するためのコストをまかなうものであり,原告が手形債権を譲り受けた本件取引とは事情が異なる。 また,取引に伴い発生する外国源泉税の多寡にかかわらず,当事者間で貸主の税引手取金額を確定させておく,いわゆる「税引手取契約」という契約形態もあるが(甲18),これは取引に伴い発生する外国源泉税はすべて借主が負担する契約である。同契約では,貸主である銀行の利息の税引手取金額が一定金額として確定的に決定されているため,銀行が外国源泉税を負担することとなった場合,右約定に従い銀行が外国源泉税相当額を借主から受け取ることとなるのは当然である。翻って,本件取引に係る契約中には,原告が,外国源泉税の多寡にかかわらず,一定の確定金額を受領する旨の税引手取契約に該当する条項はないのであるから,同契約が本件の参考となる余地はない。 さらに,銀行がタックス・アプソープションについて,一定率のフィーを徴求する場合もあるが(甲18,34頁),同フィーは,外国税額控除の制度により銀行がタックス・クレジットを受けることができる場合でも,実際にタックス・クレジットの利益を受ける時期は源泉徴収税を納付した時期よりかなり遅れることが普通であるので,フィーの徴求はこれによる損失を填補する意味で支払われるものである。本件取引においても,既にこの趣旨で外国税額立替利息10万7132.33米ドルが原告に支払われているのである。 2 当事者の意思の解釈(1) 本件取引は,別紙3【本来の取引】に示したように,当初,ペプシコ社及びサブリタス社のグループ法人間 立替利息10万7132.33米ドルが原告に支払われているのである。 2 当事者の意思の解釈(1) 本件取引は,別紙3【本来の取引】に示したように,当初,ペプシコ社及びサブリタス社のグループ法人間における融資取引であったが,同グループ間で取引を実行すると貸付金利息に対するメキシコ国源泉税相当分が資金調達コストに上乗せされることとなるため,それらグループ法人が右の資金調達コストの軽減を図ることを意図して,前記第2の4,1のとおり,ペプシコ社のサブリタス社に対する貸付実行日である平成2年10月1日及び平成2年10月5日からおよそ8か月余りを経過した平成3年6月6日に至って,原告の日本国における外国税額控除余裕枠を利用して,源泉税を吸収することを目的とし,原告においても,その外国税額控除余裕枠を提供して,対価を得ることを目的としてなされた。 (2) 原告がサブリタス社から受け取る本件手形買取契約に定める金利率8.16パーセントにより計算される利息部分と,原告がペプシコ社に支払う約6.7パーセントの金利率により計算される利息部分との差額については,本来,手形債権の譲受人である原告がその利益を享受すべきである。 また,日本国における外国税額控除に係る利益も,その法令の適用を受けた原告において享受すべきである。ところが,前記第2の4,1のとおり,原告は,サブリタス社から原告に支払われた利息相当額1746万9972.22米ドルに対する10パーセント相当の金額174万6997.22米ドル(原告の外国税額控除適用額相当額)を,本件覚書に基づき,ペプシコ社に支払っている。 これにより,ペプシコ社は,全手形期間(約10か月)に係る利息につき,本来,35パーセントの源泉税が課税されるはずであったにもかかわらず,原告が1か月余りの期間本件手形債権を保有する形 っている。 これにより,ペプシコ社は,全手形期間(約10か月)に係る利息につき,本来,35パーセントの源泉税が課税されるはずであったにもかかわらず,原告が1か月余りの期間本件手形債権を保有する形態を採ったことにより,これを15パーセントに圧縮した上,その圧縮した源泉税のうちの大半(10パーセント部分,ただし,原告の外国税額控除の適用できる10パーセントを超過する5パーセント部分はペプシコ社の法人グループの負担となる)を原告の外国税額控除等を通じて日本国から回収していることになるのである。 そして,別紙3【本来の取引】であれば,ペプシコ社は,本来,平成3年7月15日にサブリタス社からメキシコ国における源泉税控除後の貸付金利息として1135万5481.95米ドルを受領するにすぎないはずが,原告を介在させた結果,別紙3【仮装・作出した取引】のとおり,源泉税を圧縮する効果を生じ,平成3年7月15日に受領できる金員は1557万8637.73米ドルと大幅に増額する仕組みとなる。 (3) 以上によれば,本件手形買取契約及び本件覚書は,ペプシコ社がサブリタス社に対する貸付金利息を収受するに当たり,ペプシコ社がメキシコ国において課される源泉税の回収ないし軽減を図りつつ,右貸付金利息に係る実質的利益の大半を受領できるようにする意図の下に,原告との間で交わされたものであり,原告は,日本国において外国税額控除の適用を得るため,あたかも契約当事者であるかのような外形を作出すべく取引に介在したにすぎないものであって,これら一連の行為は,ペプシコ社,サブリタス社及び原告のいずれもが租税負担の軽減を図ろうとする認識の下に取引を仮装したものといえる。 結局,本件取引は,ペプシコ社が,実質的にサブリタス社に対する貸付金利息を収受する権利を保持しながら日本国の租税収 告のいずれもが租税負担の軽減を図ろうとする認識の下に取引を仮装したものといえる。 結局,本件取引は,ペプシコ社が,実質的にサブリタス社に対する貸付金利息を収受する権利を保持しながら日本国の租税収入を不当に侵す形で得られる利益をも自社に還流させるべく行ったものであり,原告は,ペプシコ社の右意図を知りながら,外国税額控除余裕枠提供の対価を得る目的でペプシコ社らグループ法人の企図に積極的に加担したのであり,本件手形売買契約及び本件覚書は,手形売買契約としては通謀虚偽表示として無効である。 また,通謀虚偽表示として無効ではないとしても,契約当事者の真の意思は,原告が,我が国における外国税額控除の余裕枠をペプシコ社に提供し,これに対して,ペプシコ社が対価を支払うことを内容とする合意をしたものであると認めるのが合理的であり,同合意内容からすると,いわゆる外国税額控除の余格枠に関する売買契約であり,サブリタス社がペプシコ社に対して負っていた貸付金利息を原告を介して,ペプシコ社が取得するということであると解するのが相当である。 したがって,いずれにしても,本件取引に基づく利息収入はペプシコ社が得たものであり,本件メキシコ国源泉税も原告ではなくペプシコ社が納付したものであって,本件メキシコ国源泉税は,法69条に定める原告の外国法人税に該当せず,平成4年3月期における法人税において,メキシコ国源泉税につき,法69条1項が定める外国税額控除の適用を受けることはできない。 第3の2の2の3 ロシコ事案(オーストラリア国源泉税)について 1 本件取引の内容(1) 動機・目的ア稟議書等の記載(ア) 平成3年7月22日付け原告ロンドン支店取引申請(乙7の1,2)によれば,「提案取引の仕組み」欄によると,融資譲渡後,ロシコ社が原告に8000万AUドルの預金を行 ・目的ア稟議書等の記載(ア) 平成3年7月22日付け原告ロンドン支店取引申請(乙7の1,2)によれば,「提案取引の仕組み」欄によると,融資譲渡後,ロシコ社が原告に8000万AUドルの預金を行っているものとみなし,原告は資金を原告に対して返還義務のない貸付資金として使用する。資金の交換は行わないことに留意されたい旨取り決められている(2項)。 (イ) 平成3年7月4日付け公認会計士から借入人への提案レター(乙8の1,2)によれば,本件取引につき,ホルダーバンクグループが,カデラ社からロシコ社へ支払われる源泉税についての外国税額控除の利益を確保する手段として提案され,本質的には外国税額控除を利用することができる外国銀行を取引の中間に介在させることによって,その外国税額控除の利益を確保し,少額のマージンの負担のみでロシコ社に渡すことができる旨の記載がある。 また,平成3年7月26日付原告ロンドン支店経伺(乙6)によれば,原告は,原告の外国税額控除余裕枠を関係部から聴取した上で取引金額を決定していることが明らかである。 (ウ) 平成3年8月30日付け原告ロンドン支店取引承認申請書(乙9の1,2)によれば,債務者をカデラ社とする8000万AUドルの融資目的は源泉税吸収にあった(2丁表目的欄)旨の記載がある。 イ本件取引の経済的側面,ロシコ社及びカデラ社の目的このような内容の契約を締結する経済的利益の面から考察すると,カデラ社,ロシコ社のグループ法人においては,カデラ社のオーストラリアにおけるクゥィーンズランドセメント社株式取得のための資金を得るために,ロシコ社から貸付けを受けたのであり,右資金調達の目的は既に達成されていた。 そして,グループ法人において,オーストラリア源泉税の吸収以外に原告を介入させるメリットが何もなかったことは明ら ために,ロシコ社から貸付けを受けたのであり,右資金調達の目的は既に達成されていた。 そして,グループ法人において,オーストラリア源泉税の吸収以外に原告を介入させるメリットが何もなかったことは明らかであり,原告も当然,その意図を十分了解した上で,本件取引を行ったものである。 ウこの点につき,原告は,「(本件取引は)預金担保により債権が保全されている原告から見れば適正な利ざやが確保できる」ものであり,粗税回避目的のみで行った取引ではなく,また,経済的な意義や目的がある旨主張する。 しかしながら,前記公認会計士から借入人への提案レター(乙8の1,2)によれば,「この提案は,本質的には外国税額控除を利用することができる外国銀行を取引の中間に介在させることによって,その外国税額控除の利益を確保し,少額のマージンの負担のみでロシコ社に渡すことができる。」とされている。つまり,原告とグループ法人は,債権譲受・預金契約の形式を採り,あたかも「利ざや」を得るという法形式を作出しているが,両者が真実合意するところは,グループ法人が原告の有する我が国における外国税額控除枠を利用して,我が国から控除を受けた外国税額をグループ法人が取得し,その報酬として原告が少額のマージンを得るという合意なのである。 このことは,本件債権譲受・預金契約においても,貸付金に関するカデラ社の債務不履行又はロシコ社が変更する金利につき,原告が承諾できない場合,本契約は原告がロシコ社及びカデラ社に通知することで預金を充当して貸付金を消滅させ,貸付金をロシコ社に移管する日をもって終了し,原告が終了日までの0.35パーセントの報酬を受ける権利のみになる旨取り決められており(8項),原告らは,本件取引において原告の受け取るべき金額を,貸付金利と預金金利の利ざやというよりも,役務提供の 告が終了日までの0.35パーセントの報酬を受ける権利のみになる旨取り決められており(8項),原告らは,本件取引において原告の受け取るべき金額を,貸付金利と預金金利の利ざやというよりも,役務提供の対価すなわち報酬として認識していたことが明らかである。 エ原告は,原告とロシコ社との契約の核心は,8000万AUドルを預金担保,利ざや0.35パーセントの条件でロシコ社に貸し付けることにあったと主張する。 しかし,原告とロシコ社との債権譲受・預金契約は,原告の外国税額控除に余裕枠がなく,オーストラリア国源泉税の税額控除が受けられない場合,ロシコ社等のグループ法人にとっては,原告に0.35パーセントの利ざや分を支払う損失が生じるだけの取引であり,我が国における税の減収の犠牲の下に,オーストラリア国源泉税をロシコ社等の外国法人が取り戻すことを意図した以外には,経済的利益や経済的目的が全くない取引といえる。よって,原告の経済的な核心は8000万AUドルを預金担保,利ざや0.35パーセントの条件で貸し付けることにあったとする主張には理由がない。 (2) 資金の流れロシコ社と原告との取引においては,原告は,本件債権譲受・預金契約(甲3)上の債権譲受けにより,カデラ社からの利息を受け取り,オーストラリア国源泉税を負担することとなっているが,実際には,ロシコ社への預金利息の支払により,カデラ社から受け取った税引き後の利息のみならず原告が外国税額控除として受ける利益をも,直ちにロシコ社に還流することとなっている。 (3) 契約終了段階の関係本件債権譲受・預金契約(甲3)によれば,ロシコ社は,平成3年9月1日にカデラ社に対して有する貸付金の一部8000万AUドルを原告に譲渡するとされている(1項)。しかし他方,右契約は,中途解約される場合を除き,平成4年 (甲3)によれば,ロシコ社は,平成3年9月1日にカデラ社に対して有する貸付金の一部8000万AUドルを原告に譲渡するとされている(1項)。しかし他方,右契約は,中途解約される場合を除き,平成4年8月31日に終了するものとされ(9項c),その場合や中途解約の場合には,原告は,預金を充当して貸付金を相殺し,貸付金をロシコ社に移管し,原告は解約日までの利ざやを受け取るとされている(9項d)。 そして,実際,右契約は平成4年8月1日に中途解約され,カデラ社に対する貸付金はロシコ社に移管され,法律関係は,契約前の状態に戻されている。 (4) ロシコ社による金利通知の不自然性ア本件債権譲受・預金契約5項によると,原告がカデラ社に対して有する貸付金の利率について,平成4年2月1日以降の金利をロシコ社が原告に通知する旨取り決められているが,債権者でないロシコ社がどのような理由で原告に金利を通知し,決定権を持つのかその権利関係において疑問である。 イ原告は,本件債権譲渡は,債権の一部譲渡であるところ,譲渡された債権とロシコ社に残された債権とで利率が違うことになるのは不自然,不合理であるから両債権の利率を揃える必要があったと主張する。 しかし,貸付金の利率は,債権者の資金事情等に左右されるものであり,譲渡債権と残債権とで利率が異なっても何ら不合理ではない。本件においても,原告に譲渡された債権とロシコ社に残された債権の利率が異なることは,債権者が異なる以上当然である。 ウ原告は,ロシコ社の通知する利率は原告の同意を得たものでなければならず,ロシコ社が自由に,あるいは一方的に決定し得るものではなかったと主張する。 しかし,本件は原告の貸付金なのであるから,貸付金の利率の決定に原告の意思が入ることは当然のことである。本件利率は原告が借主であるカデラ社と ,あるいは一方的に決定し得るものではなかったと主張する。 しかし,本件は原告の貸付金なのであるから,貸付金の利率の決定に原告の意思が入ることは当然のことである。本件利率は原告が借主であるカデラ社と協議して決定すべきものであり,ロシコ社が決定する理由はない。 エ原告は,ロシコ社の通知する利率いかんにかかわらず,原告の得る利ざやは確保されていたから,同利率の決定について真に利害関係を有しているのはロシコ社であると主張する。 しかし,本件利率について真に利害関係を有しているのがロシコ社である事実そのものが,本件取引をして,原告の外国税額控除余裕枠を利用するために仮装・作出された取引であることを物語る一証左である。 2 当事者の真意(1) 本件取引は,別紙4【本来の取引】に示したように,ホルダーバンク社のグループ法人間であるロシコ社からカデラ社への融資取引であったが,同グループ法人間で取引を実行(貸付金利息の支払)すると右貸付金利息に対するオーストラリアにおける源泉税が資金調達コストに上乗せされることとなるため,それらグループ法人が右の資金調達コストの軽減を図る目的をもって,原告の日本国における外国税額控除余裕枠を利用して,源泉税を吸収することを意図した上,原告においても,その外国税額控除余裕枠を提供して,対価を得ることを目的としてなされた。 (2) また,原告は,債権譲受・預金契約(甲3)を締結するに当たり,原告の外国税額控除の適用によるオーストラリア源泉税の吸収可能な範囲を原告の関係部から聴取した上で,その範囲内である債権譲渡価額8000万AUドルを決定しており,原告が外国税額控除を回収することによって手数料を得る目的で,本件取引に介在したことは明らかである。 (3) 原告のカデラ社に対する貸付金は,ロシコ社の定期預金によって担保され ドルを決定しており,原告が外国税額控除を回収することによって手数料を得る目的で,本件取引に介在したことは明らかである。 (3) 原告のカデラ社に対する貸付金は,ロシコ社の定期預金によって担保されており,また,原告のロシコ社に対する預金利息の支払も,カデラ社からの右貸付金に係る利息が収受できなければ支払わなくてもよいなど,原告にとって本件取引に係るリスクはなく,さらに,本件取引における原告の収益は,カデラ社の貸付金利息及びロシコ社からの定期預金の利率の変動要因と無関係に一定の利ざや(0. 35パーセント)として確実に保障されているなど,通常の合理的な経済取引とは認められない。 (4) 原告は,平成4年3月期及び平成5年3月期において,外国税額控除を適用しその利益を享受しているかのごとくみえるものの,本件取引のその実質的な資金の流れをみると,別紙4【仮装・作出した取引】に示したとおり,原告を介在したカデラ社に対する貸付金8000万AUドルの元本相当額は,原告のカデラ社に対する貸付金をロシコ社に移管する代わりに,原告のロシコ社から受け入れていた定期預金をその代金として充当することにより,本来の取引における債権者がロシコ社及び債務者がカデラ社といった本件取引前の状態に復元するかたちとなる。また,貸付金利息についても,カデラ社から原告を経由した後,それらは定期預金利息としてロシコ社に還流していることになる。 (5) 別紙4【本来の取引】であれば,ロシコ社は,カデラ社からオーストラリア国における源泉税控除後の貸付金利息として,平成4年2月1日に354万6246.57AUドル,平成4年8月1日に287万0314. 52AUドルの合計額641万6561.09AUドルを受領するにすぎないはずが,原告を介在させた結果,別紙4【仮装・作出した取引】のとおり,そ 46.57AUドル,平成4年8月1日に287万0314. 52AUドルの合計額641万6561.09AUドルを受領するにすぎないはずが,原告を介在させた結果,別紙4【仮装・作出した取引】のとおり,その資金は原告を介して一巡することにより,源泉税を圧縮する効果を生じ,それぞれ受領した金員は,平成4年2月1日に382万2904,11AUドル,平成4年8月1日に304万9621.92AUドルの合計額687万2526.03AUドルと大幅に増額できる仕組みとなっている。 (6) 以上によれば,本件債権譲受・預金契約は,ロシコ社がカデラ社からの貸付金利息を収受するに当たり,オーストラリア国において課される源泉税の軽減を図りつつ,右貸付金利息に係る実質的利益の大半を受領できるようにする意図の下に,原告との間で交わされたものであり,原告は,日本国において外国税額控除の適用を得るためあたかも契約当事者かのように介在したにすぎないものであって,これら一連の行為は,ロシコ社及び原告のいずれもが租税負担の軽減を図ろうとする認識の下に取引を仮装したものということができる。 結局,本件取引は,ロシコ社が,実質的にカデラ社に対する貸付金利息を収受する権利を保持しながらも,日本国の租税収入を不当に侵す形で得られる利益をも自社に還流させるべく行ったものであり,原告は,ロシコ社の同意図を知りながら,外国税額控除余裕枠提供の対価を得る目的でロシコ社グループ法人の企図に積極的に加担したのであり,本件債権譲受・預金契約は,債権譲受・預金契約としては通謀虚偽表示として無効である。 また,通謀虚偽表示として無効でないとしても,契約当事者の真の意思は,原告が,我が国における外国税額控除の余裕枠をロシコ社に提供し,これに対して,ロシコ社が対価を支払うことを内容とする合意をしたものであ ,通謀虚偽表示として無効でないとしても,契約当事者の真の意思は,原告が,我が国における外国税額控除の余裕枠をロシコ社に提供し,これに対して,ロシコ社が対価を支払うことを内容とする合意をしたものであると認めるのが合理的であり,同合意内容からすると,いわゆる外国税額控除の余格枠に関する売買契約であり,カデラ社がロシコ社に対して負っていた貸付金利息を,原告を介して,ロシコ社が取得するということであると解するのが相当である。 したがって,いずれにしても,本件取引に基づく利息収入はロシコ社が得たものであり,本件オーストラリア国源泉税も原告ではなくロシコ社が納付したものであって,本件オーストラリア国源泉税は,法69条に定める原告の外国法人税に該当せず,平成4年3月期及び平成5年3月期における法人税において,オーストラリア国源泉税につき,いずれも法69条1項が定める外国税額控除の適用を受けることはできない。 第3の2の3 法69条の限定解釈による否認(予備的主張) 1 外国税額控除制度の特質(1) 外国税額控除の政策性外国税額控除制度は,確立された国際ルールを基に我が国企業の海外経済活動の振興を図るという政策的要請の下で整備されたものであり,国際的二重課税を防止して我が国企業の国際的取引に伴う税制上の障害を排除することを目的とする。つまり,外国税額控除制度は,我が国企業の国際的経済活動に対して,税制がそれを阻害することなく,租税以外の考慮のみによって取引やその形態が決定されるべきとする経済的中立性の維持を目的とするのであり,特に国内企業又は居住者がその投資を国内で行うか国外で行うかの選択に影響を与えないという資本輸出中立性(capitalexportnuetrality)を保つ観点から規定するのである。 そもそも国家の課税に関する立法管轄 投資を国内で行うか国外で行うかの選択に影響を与えないという資本輸出中立性(capitalexportnuetrality)を保つ観点から規定するのである。 そもそも国家の課税に関する立法管轄権には,国際法的な制限が余り存在せず,各国家は比較的自由にそれを行使することができるのであり,居住者の全世界所得に課税することを制約する原則は存在しない。日本を含む多くの国家は,内国法人について,全世界所得に課税する方式を国内法において採用している。これは,日本が居住地管轄に基づいて課税管轄権を行使する場合においては,日本の内国法人が外国で得た利益をも日本国内で得た利益と同じように課税しなければ課税の公平を維持できないという考慮に基づくものである。 他方で,全世界所得に課税する方式を採用した場合に生ずる国際的な二重課税について,多くの国家は,外国税額控除制度によりこれを排除している。これは,要するに日本の課税権に関する限り国外で得た所得について課税を軽減するものであって,外国政府に支払った税額を自国の税額より控除することを認めるということであるから,我が国の課税権の譲歩にほかならない。国際的に租税法上,国家は,その立法において課税権を広く行使することが認められているにもかかわらず,国際的二重課税を排除するという課税権の調整のため,外国税額控除という国際課税特有の措置を採用したのは,国外投資促進のためのインセンティブや国際競争力の確保といった政策的理由があったのであり,国際的二重課税を排除するか否かは各国家の政策的判断により決定される事項にほかならない。 すなわち,ある国家が内国法人の全世界所得に課税する方式を採用する場合であっても,外国税額控除を認めることは当該国家の義務ではなく,国家は,一定の政策的考慮に基づき,外国税額控除を認めること い。 すなわち,ある国家が内国法人の全世界所得に課税する方式を採用する場合であっても,外国税額控除を認めることは当該国家の義務ではなく,国家は,一定の政策的考慮に基づき,外国税額控除を認めることも認めないこともできるし,外国税額控除を認める場合であってもそれに一定の制限を付することが可能である。 (1) 外国税額控除の選択適用(損金経理との選択可能性)法は,外国税額の損金算入について,「内国法人が第六十九条第一項(外国税額の控除)に規定する控除対象外国法人税の額につき同条(中略)の規定の適用を受ける場合には,当該控除対象外国法人税の額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない」と規定し(法41条),国内法上,外国税額は損金に算入されることが原則で,外国税額控除制度の適用は納税者の選択によるものとしている(法69条7項参照)。すなわち,外国税は,第一義的に経費として扱われるのであって,法69条の趣旨,目的に沿って外国税額の特典を受けることを選択した納税者に恩恵的に与えられるものにほかならない。 このように,法69条に規定する外国税額控除の適用は納税者の選択によること及び外国法人税を納付した者が外国税額を控除できることからすれば,外国における通常の業務により発生した所得が法的に帰属し,その発生した所得に対する適正な外国税額の法的な意味における納税者が外国税額控除の適用を受け得るのであって,外国税額の形式的帰属によって判断することは認められない。 (3) 外国税額控除限度額の意義我が国は,外国税額控除の控除限度額に関して一括限度額方式を採用している。 このように,外国税額控除の控除限度額制度の存在それ自体が,外国税額控除による政策的恩恵を政策的見地から制限していることを考慮すれば,一定の場合において,課税減免 して一括限度額方式を採用している。 このように,外国税額控除の控除限度額制度の存在それ自体が,外国税額控除による政策的恩恵を政策的見地から制限していることを考慮すれば,一定の場合において,課税減免規定の限定解釈による否認を行うことは当然に許される。 なお,一括限度額方式は,外国から生じた所得に対応するものとして,国別に分けずに国外所得を一括し総額をもって計算する方式であり,計算が比較的簡便である反面,我が国よりも税率の高い国で支払った外国税額の控除限度額超過部分を,我が国よりも税率の低い国における控除限度額の余裕枠でもって吸収するという控除限度額の彼此流用の問題を生じさせた。 (4) OECDモデル条約について我が国はOECDモデル条約23条に賛同し採択することとしたにせよ,国際的二重課税の排除措置が,居住国による源泉地国への課税管轄の譲歩という側面を有することはいうまでもない。また,OECDモデル条約コンメンタリーでも,「租税回避及び租税ほ脱―条約の不正利用」として,「OECD租税委員会は,租税条約の不正利用や国際的租税ほ脱についても検討を続けている。これらの問題はいくつかの条項のコンメンタリー中で触れている。特に26条のコンメンタリーは,これらの濫用事例に対処するために締約国の情報交換につき詳述している」としているところであり,このことからも,同条が納税者に外国税額控除による便益を「権利」として与えたものでないことは明らかである。 2 法69条の限定解釈(1) 法69条の限定解釈可能性外国税額控除制度は,前記のとおり,国際的二重課税排除を目的として設けられたものであり,資本輸出中立性の確保等の政策目的実現のために課税を減免する国家による一方的な恩恵的措置であり,いわゆる課税減免規定にほかならない。 課税減免規定は,一般の課 排除を目的として設けられたものであり,資本輸出中立性の確保等の政策目的実現のために課税を減免する国家による一方的な恩恵的措置であり,いわゆる課税減免規定にほかならない。 課税減免規定は,一般の課税根拠規定と異なり,特有の趣旨目的を有するものとして制定されたものであるから,その立法趣旨に従って解釈するのは当然のことであり,当該規定の趣旨目的に反する行為又は当該規定が本来予定していないような当該規定の射程範囲外にある行為についてまで課税の減免を認めなければならない理由はない。また,同解釈は,法律解釈の方法としていわば当然のことであり,かかる解釈を個別的な法律規定が存在しない場合に行うとしても租税法律主義には反しない。 換言すれば,法69条は,同条が内包する趣旨,目的から,その控除されるべき源泉税が当然に予定されており,同条の趣旨に反する取引には同条の適用は認められず,当該規定の射程範囲の外にある行為についてまで課税の減免を認めなければならない理由はないのである。 (2) 法69条の課税減免要件ア法69条1項の「納付することとなる場合」の限定解釈法69条の限定解釈につき更に具体的にみると,同条が国際的二重課税を排除して,我が国企業の国際取引に伴う課税上の障害を取り除き,事業活動に対する税制の中立性を確保することを目的とすることから,法69条は,内国法人が客観的にみて正当な事業目的を有する通常の経済活動に伴う国際的取引から必然的に外国税を納付することとなる場合に適用され,かかる場合に外国税額控除が認められ,かつその場合に限定されるというべきである。 そこで,法69条1項の「納付することとなる場合」とは,内国法人が正当な事業目的(businesspurpose)を有する通常の経済活動に伴う国際的取引から必然的に外国税を納付すること である。 そこで,法69条1項の「納付することとなる場合」とは,内国法人が正当な事業目的(businesspurpose)を有する通常の経済活動に伴う国際的取引から必然的に外国税を納付することとなる場合をいい,右事業目的のない取引から生じた「納付」は,そもそも法69条1項の「納付することとなる場合」には当たらないものと解されるのである。 例えば,①当該取引から得られる利益が名目的なものにとどまり,外国税額控除を得ることのみを目的とした取引と認められる場合,換言すれば,租税に関する利益ないし租税回避のみを目的としたと認められる場合や,②当該取引から得られる利益と,外国税額控除から得られる利益とを比較した場合に前者が後者に比べて著しく少ない場合には,正当な事業目的を有せず,法69条1項の「納付することとなる場合」には当たらないものと解される。 これらの取引は,一般的に期待される外国税額控除による課税上の利益と比較してほとんどあるいは全く経済的利益を生み出さないように構築されており,外国税額控除が前提とする事業活動がない取引にほかならない。 また,前記①及び②の各場合に外国税額控除による利益を与えることは,低税率で課された国外源泉所得に対する我が国の課税を減少させるために開発された濫用的取引から生じる外国税について税額控除を認めることになり,一括限度額方式を採用した我が国の外国税額控除制度の趣旨に明らかに矛盾し,法律の目的が害されることになる。当該取引から得られる外国税額控除の利益は,実質的には,低税率ないし無税の地域で活動し所得を得ている納税者に対する補助金の性質を有することとなり,当該取引を国際金融の手段を通じて他国の法人に供与することは外国税額控除余裕枠の売買であり認められない。 したがって,法69条の趣旨及び目的から,前記① 税者に対する補助金の性質を有することとなり,当該取引を国際金融の手段を通じて他国の法人に供与することは外国税額控除余裕枠の売買であり認められない。 したがって,法69条の趣旨及び目的から,前記①及び②の要件に該当するような場合には,そもそも同条の与える恩恵は及ばず,当該取引から生じた外国源泉所得税について外国税額控除は認められないと解されるのである。 イ正当な事業目的の有無に関する具体的判断基準当該取引が正当な事業目的を有するか否かについて具体的な判断をするに当たっては,後記のような諸事情が考慮されなければならない。 なお,当該取引が正当な事業目的を有するか否かを判断するに当たっては,当該取引が複数の個々の取引により構成される一連の取引であると認められる場合には,当該一連の取引を全体的に考察して,右取引から得られる利益及び外国税額控除により得られる利益を評価することが右各利益を適正に評価することになるのは当然である。 (ア) 取引開始前に検討されるべき事項① 事業の目的及び取引に至る経緯当該取引が正当な事業目的を有するというためには,その取引が,専ら租税に関する利益又は租税回避を目的として開始される取引ではないことはもちろん,取引それ自体が企業の通常の事業目的と適合したものであるべきであり,事業利益の創出に役立つものであることが必要である。その判断については,企業が行う事業目的として妥当であるかのみならず,当該取引に至る経緯を通じて合理性が判断される。 ② 取引の種類「納付」は,企業が通常行う取引から必然的に生じるものであり,故意に「納付」を作出する取引は通常の取引とはいえず,このような取引は正当な事業目的を有するとはいえない。当該取引の通常性は,当該企業の業種及び業態により判断される。 ③ 契約内容の妥当性正当な事 に「納付」を作出する取引は通常の取引とはいえず,このような取引は正当な事業目的を有するとはいえない。当該取引の通常性は,当該企業の業種及び業態により判断される。 ③ 契約内容の妥当性正当な事業目的があるというためには,当該取引の締結を示す契約書等における当事者間の合意内容が適正なものでなければならない。特にリスクの分担及び租税負担の配分は経済的に合理的なものでなければならない。 ④ 予定される決済の妥当性正当な事業目的があるというためには,右事業目的を達成するために必要かつ合理的な決済方法が予定されるべきであり,合理的な理由もなく決済手段を迂回するような取引は,事業目的に背理した取引であると考えられる。 ⑤ 期待利益の妥当性正当な事業目的があるというためには,当該取引を実行する上で,しかるべき利益が得られるものでなければならない。 なお,外国税額控除の利益に比べて名目的な利益しか生じない取引及び合理的な理由もなく取引の遂行により損失を生み出す取引は,経済的に合理的な取引とは認められず,事業目的を有するとはいえない。 ⑥ 利益の帰属正当な事業目的があるというためには,当該取引から生ずる取引利益の帰属主体及びその金額について合理的と判断されるものでなければならない。 ⑦ 既存取引参画の合理性一定の経済的目的実現のために既に取引が行われ,同取引によってその目的が達成し得ると認められる場合に,同取引に参画して新たな取引を行う場合には,同参画によって付加される利益があり,かつ同参画の理由が合理的なものでなければ,その新たな取引は正当な事業目的を有するものとはいえない。 (イ) 取引開始後に検討されるべき事項① 取引内容の妥当性正当な事業目的があるというためには,前記アの事業目的要件が合理的に遂行されていることが必要である。 業目的を有するものとはいえない。 (イ) 取引開始後に検討されるべき事項① 取引内容の妥当性正当な事業目的があるというためには,前記アの事業目的要件が合理的に遂行されていることが必要である。 ② 資金の流れ正当な事業目的の有無の判断においては,資金の決済が契約で締結した内容と合致するか及び事業目的遂行の上で,採用された決済方法が妥当かが検討されなければならない。現実に金銭の移動がない取引は一般に資金決済として不適当である。 ③ リベート等収入の有無取引に係わることに関して実質的にリベートを与え,又は与えられる取引で,リベートなしには取引そのものが行われないようなものは,本来の事業目的とは異なる目的を有するからにほかならず,事業目的を有する取引として不適当である。 (ウ) 当該取引が正当な事業目的を有し当該取引から生じる外国税の納付が法69条1項に規定する「納付することとなる場合」に該当するか否かについては,前記(ア)及び(イ)の検討すべき事項を総合的に検討の上,判断されなければならない。 2 本件取引への当てはめ2の1 ペプシコ事案(メキシコ国源泉税にかかる取引)について(1) 具体的要件の検討原告とペプシコ社及びサブリタス社の3者間で締結された本件契約および本件覚書に基づく手数料等に関する契約は,一連の契約により同時に発生し,不可分一体となっている。したがって,本件取引は,本件手形買取契約と右覚書に基づく契約とは,複数の別個の取引ではなく,一連の取引であることは明らかで,正当な事業目的の有無は,同取引を全体的に考察して判断されるべきである。 ア取引開始前に検討されるべき事項① 事業の目的及び取引に至る経緯ペプシコ社は,外国税額控除余裕枠がなく,また金融機関からの貸付けについてはメキシキ国源泉税が35パーセントから15 きである。 ア取引開始前に検討されるべき事項① 事業の目的及び取引に至る経緯ペプシコ社は,外国税額控除余裕枠がなく,また金融機関からの貸付けについてはメキシキ国源泉税が35パーセントから15パーセントになるため,原告に取引を申し込んでいる。これに対し原告は,自己の外国税額控除余裕枠を利用してメキシコ国源泉税を吸収し,同源泉税をペプシコ社に還流することを約し,役務提供の対価として取引手数料を得ることを目的に取引の申込みに応じている。したがって,本件取引が,専ら外国税額控除を得ることを目的として開始された取引であることは明白である。 また,同目的に適合させるため,本件取引は,あたかもペプシコ社がサブリタス社に有している本件約束手形及び貸付金に関する一切の権利を原告に譲渡する形式を採りながら,実質的には,サブリタス社がペプシコ社に対して負っていた貸付金利息を,原告を介して,ペプシコ社が取得するものとなっている。したがって,本件取引は,取引それ自体が企業の通常の事業目的として適合したものであるとは到底いえない。 ② 取引の種類本件取引は,取引の全体を観察すれば,原告において故意に外国税額の「納付」を作出した取引であり,正当な事業目的を有するとはいえない。 すなわち,本件覚書第5項bによると,原告は,ペプシコ社に対し,本件約束手形の振出日から,期限前返済日までの本件手形貸付けに係る経過利息の10パーセント相当額の源泉税の現在価値を支払う旨取り決められている。 一方,本件覚書第6項によると,利息額の10パーセント相当額,すなわちコミット金額(本件覚書第5項bにおける金額を指す)は,原告が外国税額控除の適用を受けられない場合には,外国税額控除を受けられる金額を限度として原告がペプシコ社に支払う旨取り決められている。 結局,本件において 本件覚書第5項bにおける金額を指す)は,原告が外国税額控除の適用を受けられない場合には,外国税額控除を受けられる金額を限度として原告がペプシコ社に支払う旨取り決められている。 結局,本件においては,外国税額控除の適用分相当額すべてを原告がペプシコ社に交付することを取り決めるとともに,原告が外国税額控除の適用を受けることができなければ,その適用を受けられない部分は,原告からペプシコ社に対して支払う必要がない旨取り決められているのであり,外国税額控除の適用の可否ないし適用金額そのものが,原告の支払義務ないし支払金額に直接的に影響を及ぼす内容となっており,その可否及び適用金額が,ペプシコ社の受け取るべき金額となっている。 したがって,本件取引が原告の外国税額控除余裕枠利用を目的として故意に作出された取引であることは明らかであり,正当な事業目的を有しているとはいえない。 ③ 契約の妥当性先に述べたとおり,正常な事業目的があるというためには,当該取引の締結を示す契約書等における当事者間の合意内容が適正なものではければならず,特にリスクの分担及び租税負担の配分は経済的に合理的なものでなければならないところ,ペプシコ社は原告に対し,本件取引に係るサブリタス社のすべての債務につき保証しており,原告には貸付金に係るリスクがない。また,サブリタス社がメキシコ国で納付した源泉税は,原告の外国税額控除額のいかんにかかわらず,いずれの場合においても,ペプシコ社が負担する契約になっている。 つまり,本件取引は,原告が自己の外国税額控除余裕枠の役務提供をするだけのものであり,右に述べたように原告がリスクを負っていないことからしても,この合意内容が適正なものとはいえない。 ④ 予定される決済の妥当性上記①のとおり,本件取引においては,原告の外国税額控除余裕 ものであり,右に述べたように原告がリスクを負っていないことからしても,この合意内容が適正なものとはいえない。 ④ 予定される決済の妥当性上記①のとおり,本件取引においては,原告の外国税額控除余裕枠を利用することを目的として,原告はペプシコ社から手形債権を譲り受けている。本来はペプシコ社とサブリタス社の取引であるにもかかわらず,原告が介在し決済を迂回させることにより,原告に外国源泉税を発生させる取引を作出したものである。このような決済は正当なものとはいえない。 ⑤ 期待利益の妥当性本件取引は,ペプシコ社がサブリタス社に対して有していた本件約束手形及び貸付金に関する一切の権利を原告が譲り受けたのであるから,そこから生じる利息は本来原告の期待利益となるはずである。ところが,本件においては,実質的には,サブリタス社がペプシコ社に対して負っていた貸付金利息をペプシコ社が取得するものとなっている。したがって,本件取引は,取引を実行する上でしかるべき利益が得られない異常な取引形態をとっている。 そしてまた,別紙3【本来の取引】では,ペプシコ社の負担する源泉税は611万4490.27米ドルであるのに対し,【仮装・作出した取引】では,ペプシコ社の負担はメキシコ国源泉税のうち未控除額(5パーセント部分)87万3498.61米ドルと取引手数料20万5804.04米ドルの計107万9302. 65米ドルとなる。このように,ペプシコ社の利益は611万4490.27米ドルと107万9302.65米ドルの差額503万5187.62米ドルとなるのに対し,原告は取引手数料20万5804.04米ドルを得るだけであり,原告は外国税額控除の利益と比較して名目的な利益しか得ていない。 さらに,原告は,メキシコ国源泉税につき原告において外国税額控除を受け得る金額に応じて, 20万5804.04米ドルを得るだけであり,原告は外国税額控除の利益と比較して名目的な利益しか得ていない。 さらに,原告は,メキシコ国源泉税につき原告において外国税額控除を受け得る金額に応じて,取引手数料を受け取ることとされており,原告がメキシコ国源泉税につき全く外国税額控除を受けられない場合には,原告の受け取る取引手数料が零となる。この場合,原告にとって本件取引は同額の金員が通過するだけの取引となる。このように外国税額控除余裕枠の提供ができない場合には,原告の取引手数料という名目的な利益さえ生じない取引となるのであり,このような取引が経済的に合理的な取引とは認められず,正当な事業目的があるとはいえない。 ⑥ 利益の帰属本件約束手形及び貸付金に関する一切の権利は原告に譲渡されているのであるから,本来その取引利益は原告がその全額を取得すべきである。しかるに,実質的には,サブリタス社がペプシコ社に対して負っていた貸付金利息全額を,原告を介して,ペプシコ社が取得する契約内容となっており,本件において,取引利益の帰属及びその金額が合理的なものとはいえない。 ⑦ 既存取引参画の合理性原告が取引に介在した場合,サブリタス社は,原告が取引に介在しない場合と比較して支払利息の金額は同一であり,ペプシコ社は取引手数料20万5804.04米ドルが増加することとなる。 他方,ペプシコ社等の法人グループは,手形債権利息に課されるメキシコ国の源泉税率が35パーセントから15パーセントに軽減され,原告の外国税額控除余裕枠の利用によって,手形債権利息に課されるメキシコ国の源泉税の10パーセント相当額が回収できる。 このように,ペプシコ社等の法人グループにとって,原告の外国税額控除余裕枠を利用し,メキシコ国源泉税を軽減する以外に,原告が本件取引に介在する理 シコ国の源泉税の10パーセント相当額が回収できる。 このように,ペプシコ社等の法人グループにとって,原告の外国税額控除余裕枠を利用し,メキシコ国源泉税を軽減する以外に,原告が本件取引に介在する理由が存在しない。 本件取引は,原告が,サブリタス社の納付したメキシコ国の源泉税につき原告の外国税額控除余裕枠を利用して外国税額控除を受けられない場合,原告においてはペプシコ社とサブリタス社との取引でそれぞれ同額の受取利息と支払利息が発生し,結局,同一額の金員が通過するだけのものとなる。 以上からすれば,ペプシコ社等の法人グループは,原告の外国税額控除余裕枠を利用させ,メキシコ国源泉税を吸収する目的以外に,原告を本件取引に参画させる合理的理由がない。 イ取引開始後に検討されるべき事項① 内容の妥当性本件取引は,原告の外国税額控除余裕枠を利用する目的で本件約束手形買取契約が締結され,その目的のために取引が行われたとみるべきものである。このような取引は,正当な事業目的のために合理的に遂行された取引とは認められない。 ② 資金の流れ本件取引は,手形債権の譲受契約であるから,その譲受けの際に,その時点の金利情勢を総合勘案して,当事者間で手形債権の売買代金として元本及び利息の額を適正に算定し授受すべきものである。ところが,原告は,サブリタス社の納付したメキシコ国源泉税を原告の外国税額控除余裕枠を利用して控除した上,当該源泉税をペプシコ社に還流するために,ペプシコ社とサブリタス社との取引に介在して,原告がサブリタス社から利息を受け取り,同額をペプシコ社に還流したものであり,このような取引は合理的な取引とはいえない。 ③ リベート等収入の有無本件取引は,ペプシコ社から原告に対する取引手数料が支払われることとなっている。しかし,ア⑤で述べたとおり 還流したものであり,このような取引は合理的な取引とはいえない。 ③ リベート等収入の有無本件取引は,ペプシコ社から原告に対する取引手数料が支払われることとなっている。しかし,ア⑤で述べたとおり,当該取引手数料は,原告がメキシコ国源泉税を外国税額控除で吸収できる金額に応じて変動することとされ,原告がメキシコ国源泉税を全く外国税額控除ができない場合においては,取引手数料は零となる。取引手数料の授受が原告の外国税額控除額の多寡に係るものであることが明らかであり,本来の事業目的を有する取引とはいえない。 (2) まとめ上記(1)ア⑤で述べたとおり,本件取引を行うことにより,ペプシコ社の利益が503万5187.62米ドルとなるのに対し,原告は取引手数料20万5804.04米ドルを得るだけであり,また,実際に原告が外国税額控除の適用を受け,ペプシコ社に還流した金額174万6997.22米ドルと比較しても,原告の取引手数料20万5804.04米ドルは少額である。 このように本件取引は,原告が本件取引から得られる利益が,外国税額控除から得られる恩典に比較して著しく少ない取引である。 上記(1)ア①で述べたとおり,本件取引の目的は原告の外国税額控除余裕枠を利用したメキシコ国源泉税の吸収である。また,同③のとおり,原告は本件取引によるリスクもメキシコ国源泉税の負担も負っていないものである。原告は,形式的にペプシコ社とサブリタス社の取引に介在したにすぎない。 以上のとおり,形式的な取引によって原告に生じたメキシコ国源泉税を外国税額控除の対象とすることは,そもそも外国税額控除制度の趣旨及び目的からみて,認められないものである。 2の2 ロシコ事案(オーストラリア国源泉税にかかる取引)について(1) 具体的要件の検討原告とロシコ社及びカデラ社との本 もそも外国税額控除制度の趣旨及び目的からみて,認められないものである。 2の2 ロシコ事案(オーストラリア国源泉税にかかる取引)について(1) 具体的要件の検討原告とロシコ社及びカデラ社との本件債権譲受・預金契約は,一連の契約により同時に発生し,不可分一体となっており,一方の取引のみで存在することはない。 したがって,本件債権譲受・預金契約は,複数の別個の取引ではなく,一連の取引であることは明らかで,正当な事業目的の有無は,本件債権譲受・預金契約を全体的に考察して判断されるべきである。 ア取引開始前に検討されるべき事項① 事業の目的及び取引に至る経緯ロシコ社は,オーストラリア国源泉税の外国税額控除が受けられないことから,原告による外国税額控除の吸収を目的として原告に取引を申し込んできたものである。これに対し,原告は,オーストラリア国源泉税を吸収することを約し,役務提供の対価を得ることを目的に取引の申し込みに応じている。 さらに,原告が外国税額控除を受けることができない場合には,ロシコ社の預金をカデラ社の貸付金に充当することによって消滅させることができるとされ,原告は解約されるまでの利ざやを報酬として受け取ることができるなど,原告の役割は外国税額控除の適用による税の取戻しであることが明らかである。 したがって,本件取引の目的が,原告の外国税額控除を利用した外国源泉税の吸収にあったことが明らかであり,通常の融資を目的とした取引とはいえない。 ② 取引の種類上記①のとおり,本件取引は取引の目的から判断して,原告とロシコ社等の法人グループとの取引は,通常の取引とはいえず,故意に原告の「納付」を創出したものである。 すなわち,本件債権譲受・預金契約書(甲3)によれば,本件取引は,ロシコ社は,平成3年9月1日にカデラ社に対して有する貸 の取引は,通常の取引とはいえず,故意に原告の「納付」を創出したものである。 すなわち,本件債権譲受・預金契約書(甲3)によれば,本件取引は,ロシコ社は,平成3年9月1日にカデラ社に対して有する貸付金の一部8000万AUドルを原告に譲渡するとされている。しかし,右契約は,中途解約される場合を除き,平成4年8月31日に終了するものとされ(甲3,9項c),その場合や中途解約の場合には,原告は,預金をもって充当して貸付金を相殺し,貸付金をロシコ社に移管し,原告は解約日までの利ざやを受け取るとされている(甲3,9項d)。そして,実際,右契約は平成4年8月1日に中途解約され,カデラ社に対する貸付金はロシコ社に再譲渡され,法律関係は,契約前の状態に戻されている。 このように,ロシコ社のカデラ社に対する債権を原告にいったん譲渡し,これをまたロシコ社に再譲渡させる内容の本件債権譲受・預金契約は,専ら我が国の外国税額控除制度を利用し,我が国へ本来納付すべき税を減少させることによりオーストラリア国において源泉徴収された源泉税をロシコ社等の外国法人が取り戻すことを狙った以外には,契約当事者間に経済的利益や経済的目的はないといえる。 したがって,本件取引は,故意に原告の「納付」を創り出した取引と認められる。 ③ 契約の妥当性ロシコ社は,原告のカデラ社への貸付金に対応する同額の預金を担保提供し,原告のロシコ社への預金利息の支払は,原告がカデラ社への貸付金に係る利息の受け取りがない場合,支払う必要がないなど,原告には,本件取引において貸付金に係るリスクがないこととなる(甲3)。また,カデラ社がオーストラリア国で納付した源泉税を,原告が外国税額控除を受けられない場合,原告は本件債権譲受・預金契約を中途解約できることとされている(甲3,9項a)。その場合,原告 なる(甲3)。また,カデラ社がオーストラリア国で納付した源泉税を,原告が外国税額控除を受けられない場合,原告は本件債権譲受・預金契約を中途解約できることとされている(甲3,9項a)。その場合,原告は,0.35パーセントの利ざやを受けることとされており(甲3,8項a),原告は外国源泉税を負担する契約になっていない。 このように,原告は,ロシコ社等の法人グループに自己の外国税額控除余裕枠を提供するだけであり,取引を通常行う際に負うリスクを負担していないことから,本件取引は,合意内容が適正なものとはいえない。 ④ 予定される決済の妥当性上記①のとおり,原告の外国税額控除余裕枠を利用することを目的として,原告はロシコ社及びカデラ社との間に債権譲受・預金契約を締結し,決済を迂回させることにより,原告に外国源泉税が発生する取引としたものである。 また,貸付金の支払と預金の預入は,実際には資金の移動を省略すなわち相殺して行う(甲3,2項)とするなど,合理的な決済とはいえない。 ⑤ 期待利益の妥当性前記②で述べたとおり,原告は,ロシコ社のカデラ社に対する債権を譲り受けたのであるから,カデラ社からの貸付金利息を原告が収受し得るはずであるのに,実質的にはロシコ社が収受する異例の取引形態となっている。 そしてまた,別紙4【本来の取引】では,ロシコ社の負担はオーストラリア国源泉税71万2951.24AUドルであるのに対し,【仮装・作出した取引】では,ロシコ社の負担は原告に支払う0.35パーセントの利ざや25万6986. 3AUドル(カデラ社の支払利息712万9512.33AUドルとロシコ社の受け取る預金利息687万2526.03AUドルの差額。)となる。これにより,本件取引によるロシコ社の利益は71万2951.24AUドルから25万6986.3AUドル 12.33AUドルとロシコ社の受け取る預金利息687万2526.03AUドルの差額。)となる。これにより,本件取引によるロシコ社の利益は71万2951.24AUドルから25万6986.3AUドルを差し引いた45万5964.94AUドルとなるのに対し,原告は0.35パーセントの利ざや25万6986.3AUドルを得るだけである。また,原告は外国税額控除の利益71万2951.24AUドルと比較しても少額の利益しか得ていない。 ⑥ 利益の帰属前記⑤のとおり,原告は自己が取得すべき外国税額控除によるオーストラリア国源泉税をロシコ社に渡しながら,利ざやという名目で少額の利益を得るものであり,その利ざやも原告が外国税額控除ができない事由が発生した場合,全く得られない可能性もある。このような契約は,合理的なものとはいえない。 ⑦ 既存取引参画の合理性カデラ社,ロシコ社のグループ法人においては,カデラ社のオーストラリアにおけるクゥイーンズランドセメント社株式取得のための資金を得るために,ロシコ社から貸付けを受けたのであり,右資金調達の目的は既に達成されていた。 グループ法人において,オーストラリア国源泉税の取戻し以外に原告を介入させるメリットが何もなかったことは明白である。 また,原告が取引に介在した場合,カデラ社は,原告が取引に介在しない場合と比較して支払利息の金額は同一であり,ロシコ社は0.35パーセントの利息負担が増加するだけである。また,ロシコ社とカデラ社の資金は相殺することとされていることから,当事者間に資金の移動もなく,ロシコ社に資金需要があったとは認められない。さらに,原告は,原告がカデラ社の納付したオーストラリア国の源泉税を外国税額控除余裕枠を利用して外国税額控除ができない場合,それは契約の解約原因となっており,原告は,解約日ま ったとは認められない。さらに,原告は,原告がカデラ社の納付したオーストラリア国の源泉税を外国税額控除余裕枠を利用して外国税額控除ができない場合,それは契約の解約原因となっており,原告は,解約日までの0.35パーセントの利ざやのみを受け取る立場になる。 このことから,ロシコ社等の法人グループ及び原告にとって,原告の外国税額控除余裕枠を利用させオーストラリア国源泉税を吸収する目的以外に,原告が取引に参画する合理的理由がない。 イ取引開始後に検討されるべき事項① 内容の妥当性本件取引は,原告の外国税額控除余裕枠を利用する目的で本件債権譲受・預金契約が締結され,その目的のために取引が行われたとみるべきものである。このような取引は,事業目的のために合理的に遂行された取引とは認められない。 ② 資金の流れ本件取引は,本件債権譲受・預金契約において,債権の貸付けと預金の預入れは,貸付先と預金の預入者とで取引相手が異なるにもかかわらず,実際の資金の移動を省略すなわち相殺して行っており,合理的な資金決済とは認められない。 ③ リベート等収入の有無本件取引は,原告のカデラ社に対する貸付利率とロシコ社の預金利率の差が,原告に対する0.35パーセントの利ざやとして支払われることとなっている。しかし,前記ア⑦で述べたとおり,原告が,オーストラリア国源泉税について外国税額控除できない場合,契約の解約原因とされていることから,利ざやがほとんど生じない場合もある。このように,利ざやが原告による外国税額控除余裕枠を利用してオーストラリア国源泉税を吸収することを目的としていることが明らかであり,このような場合,本来の事業目的を有する取引とはいえない。 ウ本件取引のストラドル性について本件原告とロシコ社との取引は,原告がロシコ社からカデラ社への債権を譲り 的としていることが明らかであり,このような場合,本来の事業目的を有する取引とはいえない。 ウ本件取引のストラドル性について本件原告とロシコ社との取引は,原告がロシコ社からカデラ社への債権を譲り受けると同時に,ロシコ社との預金契約をしており,債権と預金とが両建てとなったストラドル的取引である。 原告は,ロシコ社と本件債権譲受・預金契約というリスクのない契約を締結することによって,自己にオーストラリア国源泉税を生じさせ,外国税額控除余裕枠を提供し,その利益をロシコ社に還流しているものであり,本件においては,カデラ社への貸付取引とロシコ社からの預金取引を一体としてみれば,結局原告は何もしていないのと同じであって,外国税額控除を受けるためだけに行われた取引ということができる。 このようなストラドル的債券先物取引について判断された事例としては,次のような裁決例がある。すなわち,期末の直前において相反する同数量,同金額の売建て玉と買建て玉とを設定し,次いで損失の発生している一方の建て玉を手仕舞いして名目上の損失を確定させるとともに,新たに同方向の建て玉を同数量設定することにより,常に売建て玉と貿建て玉を均衡させ,最終的には,これら建て玉の差金決済日を翌期首とする反対売買によりその損益を確定させた事例において,国税不服審判所長は,このような一組の売建て玉と買建て玉は,もともと一方に利益があれば他方に損失が生じる仕組みのものであって,一方に生じるかもしれない損失を他方の利益によって補てんすることを目的として設定されるべきものとみられるから,売建て玉と買建て玉とが同時に手仕舞いされて初めて意味のある取引であり,損益の認識も両者を総合して行うべきものであるとしている(平成2年12月18日裁決.裁決事例集40号104ペ一ジ)。 この事例においては 買建て玉とが同時に手仕舞いされて初めて意味のある取引であり,損益の認識も両者を総合して行うべきものであるとしている(平成2年12月18日裁決.裁決事例集40号104ペ一ジ)。 この事例においては,実際には損失が存在しないにもかかわらず,債券先物取引を行うことにより,先行して損失を計上し,課税所得を減少させようとした点が重視され,損失の計上はあるものの損失に見合う利益も生じていることから,実質的な損失は生じていないと判断されたのであり,本件に類似した裁決事例ということができる。 一方,原告は,ストラドル的取引の事案について,値下がりしている保有株式を売却すると同時に同一銘柄の株式を同株数,同価額で購入する取引(以下「株式の入替取引」という。)による損失を認めた裁決例(平成2年4月19日付け裁決. 裁決事例集39号106頁)を掲げ,「正反対のポジションを取ることで実際はなにもしないのと同じ」との理由で,ストラドル的取引を否認するわけにはいかないと主張するが,原告の引用した裁決は,株式の入替取引を,それのみを理由として不合理,不自然なものとして否定することはできないとしたものである。右裁決に係る事案は期間損益の帰属が問題となったものであるが,本件は実質的受取利息の発生の有無が問題となる事案であり,問題の所在が明らかに異なる。すなわち,右裁決に係る事案は,自己が保有する株式の簿価が時価より低く含み損が生じていたため,同一銘柄の株式を同株数,同価額で売買することによって当該含み損を実現したものであり,裁決においては,それが含み損か実現損かの違いはあるにしても,損失が発生していることが明らかである点を重視して,損失実現の手法に多少の疑問はあるが,損失計上が認められるとしたものである。 (2) まとめア前記(1)ア⑤で述べたとおり,本件取引を行 しても,損失が発生していることが明らかである点を重視して,損失実現の手法に多少の疑問はあるが,損失計上が認められるとしたものである。 (2) まとめア前記(1)ア⑤で述べたとおり,本件取引を行うことにより,ロシコ社の利益が45万5964.94AUドルとなるのに対し,原告は利ざや25万6986. 3AUドルを得るだけである。また,原告が本件取引により受けた外国税額控除額71万2951.24AUドルと比較して,原告の利ざやは少額である。このような取引は,外国税額控除を受けるために仕組まれた取引であり,外国税額控除が前提とする事業活動がある取引には該当しない。 イ前記(1)ア①で述べたとおり,本件取引の目的は原告の外国税額控除余裕枠を利用したオーストラリア国源泉税の吸収である。また,同③のとおり,原告は本件取引によるリスクもオーストラリア国源泉税の負担も負っていないものである。 原告は,ロシコ社カデラ社の取引に形式的に介在したものである。 ウ以上のとおり,形式的な取引によって原告に生じたオーストラリア国源泉税を外国税額控除の対象とすることは,外国税額控除制度の趣旨及び目的からみて認められないものである。 3 まとめ以上のとおり,本件取引がその内容からみて法69条の趣旨及び目的を著しく逸脱していることは明らかである。したがって,本件契約に基づき行われた取引によって原告に生じたメキシコ国源泉税及びオーストラリア国源泉税に,同条の適用はなく,外国税額控除は認められない。 第3の2の4 損金処理の可否(予備的主張の場合) 1 損金に該当しないこと等(1) 被告の主張原告の負担したと主張する外国法人税に係る金員については,次の(2)から(4)までに主張するとおり,①契約書上,外国法人からの取戻しが可能であって,仮払金であり,②仮にそうでないと ) 被告の主張原告の負担したと主張する外国法人税に係る金員については,次の(2)から(4)までに主張するとおり,①契約書上,外国法人からの取戻しが可能であって,仮払金であり,②仮にそうでないとしても,契約書上の権利関係からみて,損金算入時期は平成5年3月期以降であり,さらに③そもそも原告は外国税額控除を選択しているから,右金員は損金とはなり得ないものである。 そして,右のいずれの場合であっても,原告の本件各事業年度の所得金額等は本件各更正処分等の範囲内であって,右各処分は適法である。 (2) 外国法人税相当額は仮払金となることアメキシコ国源泉税に係るペプシコ社との本件覚書(甲2)の6項には,本件取引によりペプシコ社へ還流させる外国税額控除(コミット金額)について,「本条項6の前2文にかかわらず,住友銀行は『コミット金額』については1992年3月31に終了する会計年度において,住友銀行が日本の税法に基づき外国税額控除を受けることが出来ると判断する場合に限り,かつ税額控除を受けられると住友銀行が判断する金額を限度として負担するものとする。」と記載されており,原告は外国税額控除を受けられると判断する金額を限度として負担すればよいという約定になっている。そして,原告とペプシコ社との覚書7項には,原告が外国税額控除を受けることができないと最終決定する場合においては,原告は平成4年6月30日から可及的速やかに,外国税額控除を受けることができると最終決定した金額をペプシコ社に通知するとされている。 すなわち,原告は,外国税額控除を受けられない場合には,外国法人税を負担する義務を負わず,ペプシコ社らに対し,その償還を求めることが契約上可能である。したがって,法69条の限定解釈により外国税額控除が否定された場合,原告としては,再度ペプシコ社らと ,外国法人税を負担する義務を負わず,ペプシコ社らに対し,その償還を求めることが契約上可能である。したがって,法69条の限定解釈により外国税額控除が否定された場合,原告としては,再度ペプシコ社らと交渉し,各当事者間でその負担を協議し,又は協議が整わなければ,訴訟を提起するなどしてその償還を求めることができるのであって,仮に右債権がその後回収不能になったとしても,そのことを原告が主張.立証しない限り,損金に算入できないし,その時期についても,実際に外国税額相当額が回収不能となった時点で損金に算入すべきこととなるのである。 同様に,オーストラリア国源泉税に係るロシコ社との債権譲受・預金契約(甲3)には,「iv 源泉税額につき,住友銀行が日本の外国税額控除を受けることができない(省略)といった事由が発生した場合においては,住友銀行はロシコ社に14日前に事前通知を行うことにより,契約の中途解約を行うことができる」(9項a)とし,「abcの条項を採用して解約する場合,住友銀行は『預金』を充当して『貸付金』を相殺し,条項8aに定める要領で『貸付金』をロシコ社に移管し,住友銀行は解約日までの利鞘を受け取ることとなる。」(9項d)と記載されている。債権譲受・預金契約は,平成4年8月31日に終了することとなっている(9項c)が,前記記載のとおり,外国税額控除が受けられないリスクを原告が負わないものとされており,外国税額控除を受けられない場合には,原告が外国法人税を負担するものではない。そして,原告は,本判決確定後,外国税額控除を受けることができないことが確定した段階で,再度ロシコ社と交渉する余地があるものと認められ,交渉の結果,外国税額相当額が回収できないことが判明した時点で損金に算入することとなるのである。 したがって,オーストラリア国源泉税相当 した段階で,再度ロシコ社と交渉する余地があるものと認められ,交渉の結果,外国税額相当額が回収できないことが判明した時点で損金に算入することとなるのである。 したがって,オーストラリア国源泉税相当額も,仮払金として処理すべきものである。 このようなペプシコ社及びロシコ社との右各契約内容は,まさに,原告が外国税額控除制度を利用して,外国源泉税をペプシコ社及びロシコ社に交付する代わりに,直接当該外国税額控除制度適用による利益を享受しない原告が不測の損害を被ることのないよう,原告の利益保護のための条項であることは明らかであり,右に照らせば,本件契約の不可欠の条件となる外国税額控除の適用が認められないとされた場合,原告は何らかの補償が受けられると解することが本件契約の解釈として相当である。仮にそうでないとすれば,外国税額控除の適用は本件各契約の重要な要素であるから,原告は外国法人に対し,錯誤無効を理由とした外国法人税相当額の償還請求も可能であるはずである。 イこの場合の,原告の本件各事業年度の所得金額等は以下のとおりとなり,その範囲内で行われた被告の本件各更正処分等は適法である。 (ア) 平成7年6月22日付け更正処分平成4年3月期更正処分の内訳は,別紙5「平成4年3月期の課税状況表」の(2)予備的主張その1内訳の●予備的主張に基づく本件原処分の被告主張額欄のとおりである。 平成5年3月期更正処分の内訳は,別紙6「平成5年3月期の課税状況表」の(2)予備的主張その1内訳の●予備的主張に基づく本件原処分の被告主張額欄のとおりである。 (イ) 平成9年3月31日付け更正処分平成4年3月期更正処分の内訳は,別紙5「平成4年3月期の課税状況表」の(2)予備的主張その1内訳の●予備的主張に基づく更正処分の被告主張額欄のとおりである。 平成5 9年3月31日付け更正処分平成4年3月期更正処分の内訳は,別紙5「平成4年3月期の課税状況表」の(2)予備的主張その1内訳の●予備的主張に基づく更正処分の被告主張額欄のとおりである。 平成5年3月期更正処分の内訳は,別紙6「平成5年3月期の課税状況表」の(2)予備的主張その1内訳の●予備的主張に基づく更正処分の被告主張額欄のとおりである。 (3) 損金算入時期が平成5年3月期以降であることアメキシコ国源泉税について,仮に,原告のペプシコ社への請求が現在では行えないとしても,本件覚書の7項には,「住友銀行があらゆる合理的な努力の結果として,『コミット金額』と等しい金額についての外国税額控除を受けることが出来ない,と最終決定する場合においては,住友銀行は,1992年6月30日から可及的速やかに(省略)ペプシコ社に通知する必要がある」と記載されており,少なくとも平成4年6月30日までは,外国税額控除相当額の取戻しは可能であったと解される。したがって,法69条の限定解釈により否認された場合の損金算入時期は,平成4年6月30日を含む平成5年3月期となるのであるから,平成4年3月期においては,損金算入できない。 同様に,オーストラリア国源泉税についても,仮に,原告のロシコ社への請求が現在では行えないとしても,債権譲受・預金契約によれば,「本契約は1992年8月31日に終了する」(9項c)と記載されており,少なくとも平成4年8月31日までは,外国税額控除相当額の取戻しは可能であったと解される。 したがって,法69条の限定解釈により否認された場合の損金算入時期は,平成4年8月31日を含む平成5年3月期となるのであるから,平成4年3月期においては,損金算入できない。 また,この場合,平成5年3月期に全額損金算入できることとなるが,差引合計税 金算入時期は,平成4年8月31日を含む平成5年3月期となるのであるから,平成4年3月期においては,損金算入できない。 また,この場合,平成5年3月期に全額損金算入できることとなるが,差引合計税額に増減はない。 イこの場合の原告の本件各事業年度の所得金額等は以下のとおりとなり,その範囲内で行われた被告の本件各更正処分等は適法である。 (ア) 平成7年6月22日付け更正処分平成4年3月期更正処分の内訳は,別紙5「平成4年3月期の課税状況表」の(3)予備的主張その2内訳の●予備的主張に基づく本件原処分の被告主張額欄のとおりである。 平成5年3月期更正処分の内訳は,別紙6「平成5年3月期の課税状況表」の(3)予備的主張その2内訳の●予備的主張に基づく本件原処分の被告主張額欄のとおりである。 (イ) 平成9年3月31日付け更正処分平成4年3月期更正処分の内訳は,別紙5「平成4年3月期の課税状況表」の(3)予備的主張その2内訳の●予備的主張に基づく更正処分の被告主張額欄のとおりである。 平成5年3月期更正処分の内訳は,別紙6「平成5年3月期の課税状況表」の(3)予備的主張その2内訳の●予備的主張に基づく更正処分の被告主張額欄のとおりである。 (4) 原告が外国税額控除を選択したことア外国法人税は,我が国の国内法上,損金に算入されることが原則であるところ,法は,外国税額の損金算入について「内国法人が第69条第1項(外国税額の控除)に規定する外国法人税の額につき同条(中略)の規定の適用を受ける場合には,当該外国法人税の額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない」と規定し(法41条),納税者が外国税額控除制度を選択する場合には,外国法人税の全部について損金の額に算入しないとしている。 すなわち,法41条は, 年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない」と規定し(法41条),納税者が外国税額控除制度を選択する場合には,外国法人税の全部について損金の額に算入しないとしている。 すなわち,法41条は,我が国の外国税額控除制度が一括限度額方式を採用し,外国税額控除の適用を受けるかどうかの選択が事業年度を単位として行われ,各事業年度において納付することとなる外国法人税を一括して計算することから,納税者が法69条に定める外国税額控除を選択するときには,控除額計算の基礎となった外国法人税額の全額について損金算入しないことを明記している。 したがって,外国法人税を納付する内国法人は,各事業年度ごとに,納付することとなった外国法人税の全部について,税額控除の適用を受けるか損金に算入するかを選択することになるのであって,法人が各事業年度において納付した外国法人税の一部についてだけ,法69条1項に規定する税額控除の適用をし,他の外国法人税について同条の規定を適用しないで損金に算入した場合には,その事業年度において納付する外国法人税は,すべて税額控除を選択したものとみなされ,その事業年度に納付する外国法人税の全額が所得の金額の計算上損金の額に算入されないこととなる(法人税基本通達16-3-1)。 本件においても,法69条の趣旨目的から外国税額控除の適用を排除されるとしても,原告がメキシコ国及びオーストラリア国へ外国法人税を納付したのは事実であり,原告が外国税額控除の方法を選択し,平成4年3月期においては136億9483万8680円,平成5年3月期においては118億1572万4507円の外国税額控除の適用を受けている以上は,法41条及び法人税基本通達16-3-1により控除対象外国法人税額の全額を損金算入することはできないのである。 イこの場合の原告の本件各 1572万4507円の外国税額控除の適用を受けている以上は,法41条及び法人税基本通達16-3-1により控除対象外国法人税額の全額を損金算入することはできないのである。 イこの場合の原告の本件各事業年度の所得金額等は以下のとおりとなり,その範囲内で行われた被告の本件各更正処分等は適法である。 (ア) 平成7年6月22日付け更正処分平成4年3月期更正処分の内訳は,別紙5「平成4年3月期の課税状況表」の(4)予備的主張その3内訳の●予備的主張に基づく本件原処分の被告主張額欄のとおりである。 平成5年3月期更正処分の内訳は,別紙6「平成5年3月期の課税状況表」の(4)予備的主張その3内訳の●予備的主張に基づく本件原処分の被告主張額欄のとおりである。 (イ) 平成9年3月31日付け更正処分平成4年3月期更正処分の内訳は,別紙5「平成4年3月期の課税状況表」の(4)予備的主張その3内訳の●予備的主張に基づく更正処分の被告主張額欄のとおりである。 平成5年3月期更正処分の内訳は,別紙6「平成5年3月期の課税状況表」の(4)予備的主張その3内訳の●予備的主張に基づく更正処分の被告主張額欄のとおりである。 第4 原告の主張第4の1 本案前の主張 1 主位的請求について(更正と再更正の関係について)(1) 国税通則法の考え方決定・更正の係争中にさらに税額を減額又は増額する更正等があった場合の争訟の処理につき,少なくとも争訟の対象に関する限り,国税通則法がいわゆる併存説を採用していることは,次の諸点に照らして明らかである。 ア国税通則法90条2ないし4項は,更正決定等につき異議申立て中に,再更正等があり審査請求がなされたときには,前者の申立書等を国税不服審判所長に送付し,それをもって審査請求(書)とみなすとともに,同送付の事実を異議申立人 し4項は,更正決定等につき異議申立て中に,再更正等があり審査請求がなされたときには,前者の申立書等を国税不服審判所長に送付し,それをもって審査請求(書)とみなすとともに,同送付の事実を異議申立人に通知する書面には,異議申立てに係る処分の理由がすでに通知されている場合を除き,その処分の理由を付記しなければならないと定めている。 これは,異議申立てに係る処分についても実体的審理を進めるための必要に基づくものであって,もし,再更正等により更正決定等が独立の存在を失い,異議申立ては却下を免れないものであれば,前記送付の通知書面に更正決定等の処分理由を付記することは全く無意味である。 イ国税通則法104条1項は,数個の不服申立ての併合等について規定しており,不服審査基本通達(異議申立関係)(昭和48年11月1日直審1-10ほか国税庁長官通達)の国税通則法関係の104-1には,併合に適する最も典型的な例として,「同一年分または同一事業年度分の更正または決定についての異議申立てと再更正についての異議申立て」が挙げられているが(同基本通達(審査請求関係)の104-1も,同旨),これはいうまでもなくいわゆる併存説を前提としたものである。 そして,右基本通達の104-3は,併合審理をした場合の決定書には,「それぞれの主文を併記」する旨を定めている(審査請求関係の104-4も,同旨)。 ウ国税通則法104条2項は,同一の国税について更正と再更正があるときの「あわせ審理」に関して定めているが,これは,同条1項の場合(更正と再更正のそれぞれについて不服申立てがなされている場合など)とは異なり,更正と再更正のいずれか一方についてのみ不服申立てがなされている場合に,両処分の牽連性に鑑み,納税者の手間を極力軽減するとともに,2つの処分に対する判断の矛盾,抵触 されている場合など)とは異なり,更正と再更正のいずれか一方についてのみ不服申立てがなされている場合に,両処分の牽連性に鑑み,納税者の手間を極力軽減するとともに,2つの処分に対する判断の矛盾,抵触を避けながら権利救済の目的を達成しようとした規定にほかならない。 換言すれば,同条項は,不服申立てがなされていない他の処分についてまで審理の範囲を拡大する趣旨の規定であり,更正についての不服申立中に再更正がなされても,改めて再更正について不服申立てをやり直す必要はなく,当初更正についての不服申立てにより再更正についてもあわせ審理がされることになるのであって,そこでは,再更正についての不服申立てへの申立ての交換的変更の必要や当初更正についての不服申立ての却下などは全く想定されていない。 現に,不服審査基本通達の104-2は,「同一の課税標準等または税額等についてされた次に掲げるような複数の処分のいずれか一方について異議申立てがされている場合には,異議申立てがされていない他の処分(既に不服申立ての決定または裁決(却下の決定または裁決を除く。)がされているものを除く。)について,法第104条第2項または第4項の規定によるあわせ審理を行なうものとする」と定め,その「1」に「更正または決定と再更正」を掲記している(審査請求関係の104-3も,同旨)。 しかも,ここで重要なことは,再更正に対する不服申立てにおいて更正もあわせて審理しうるというのではなく,更正に対する不服申立てにおいて再更正もあわせて審理することが明定されていることである。これは,判例のいう吸収説とは相容れず,いわゆる併存説か後続の再更正が当初の更正に吸収されるとする逆吸収説でないと説明ができない。 (2) 吸収説による説明の困難さらに,次のような諸問題は,いわゆる併存説では何の矛盾 説とは相容れず,いわゆる併存説か後続の再更正が当初の更正に吸収されるとする逆吸収説でないと説明ができない。 (2) 吸収説による説明の困難さらに,次のような諸問題は,いわゆる併存説では何の矛盾や苦労なしに説明できるが,被告主張のような説では,合理的説明が困難である。 ア青色申告書にかかる更正後に再更正があり,再更正の通知書に付記された理由には不備がなかったが,更正通知書のそれには不備があった場合の処理(更正通知書の理由不備を理由に再更正を取り消すことはできるか,また,再更正には理由不備はないのだから,再更正の取消しはできないとしたら,結局更正の理由不備は再更正の結果として不問ということになるのか。)。 イ上記アとは逆に,更正通知書には理由不備はなかったが,再更正の通知書に理由の不備があった場合,その手続的違法を理由とする再更正の取消しの範囲。 ウ更正により申告が吸収されるとしても,更正がなされた機会に納税者が申告額を下廻る額を主張できるようになるのか否か(主張できるとするのは不自然であるが,その理由・根拠及び国税通則法29条3項の趣旨如何。なお,この問題は,更正の請求に対し更正すべき理由がない旨の通知があった後,増額更正がなされた場合に一層顕在化する。)。 同様に,更正を争っていなかった納税者が,たまたま再更正がなされた機会に,更正額を下廻る額を主張しうるか否か。 エ減額再更正の場合には,判例(最判昭和46年3月25日・訟務月報17春8号1348頁など)は,減額再更正による減額(更正の一部取消)部分を除く残余の当初更正の取消しを求める訴えは適法で,減額再更正の取消しを求める訴は不適法としているが,同じ再更正であるにもかかわらず,それが増額再更正であるか減額再更正であるかにより,このような大きな差異が生ずる理由・根拠。 オ更 訴えは適法で,減額再更正の取消しを求める訴は不適法としているが,同じ再更正であるにもかかわらず,それが増額再更正であるか減額再更正であるかにより,このような大きな差異が生ずる理由・根拠。 オ更正及び再更正と同時に賦課決定がなされた附帯税の税目が異なる時の取り扱い。 (3) 最高裁昭和55年11月20日判決の事情ア事案この事案では,原告は,更正と再更正の双方について,本問以外の点では適法な訴を提起していて,併合審理となっていたから,更正取消の訴えは却下されても,原告に格別の不利益はなく重要な争点ではなかった。 また,同最判自身も,ただ「本件更正処分がされたのちこれを増額する再更正処分がされたことにより,当初の更正処分の取消を求める訴の利益が失われたとしてこれを却下すべきものとした原審の判断は正当」というのみで,その理由.根拠については何の説明もしていない。 イ当時の実務上の背景事情当時は,中小企業では記帳が慣行化しておらず,一部には,計算の根拠を全く示さずに,少額の税額だけの申告をし,当局の調査にも容易に応じないような者もいた。こうした中で,課税当局は対応に苦慮し,とりあえず入手した数少ない資料を基にした推計により一旦更正を行なったうえ,後日,追加資料が得られれば,それを基にしてより適正と思われる再計算(推計)をして改めて再更正を行い,したがって,更正時と再更正時とでは,同じ事業所得に関する認定でありながら,推計の方法も違っているという例が少なくなかった。 したがって,主としてかかる事案を取り扱っていた当時の裁判所の実務感覚としては,前記最判のように,(増額)再更正後は再更正の是非のみを審理判断すれば足りると考えたのも一理なしとしないが,このような推計のやり直しのような事例のみを念頭において,更正と再更正の関係に関する一 ては,前記最判のように,(増額)再更正後は再更正の是非のみを審理判断すれば足りると考えたのも一理なしとしないが,このような推計のやり直しのような事例のみを念頭において,更正と再更正の関係に関する一般論を組み立てるのは極めて問題であるといわなければならない。 再更正は更正または必ずしも課税標準等全体を見直すものとはいえず,ことに青色申告書に係る更正や再更正の場合には,推計課税は許されておらず,課税当局も全般的には納税者の記帳が適正になされていることを認め,原則的にはその記帳に依拠しながら,否認等毎に理由を付記して特定の出金の必要経費(損金)への算入否認等を行うものであるから(所得税法155,156条,法人税法130,131条),再更正は更正または課税標準等全体を見直すものとはいえず,本件のように,納税者には再更正を争う意思はなく,したがって争点には何の変更もない場合にまで,訴の対象をただ単に形式上の理由で更正から再更正に変更させなければならない必然性は何もない。 のみならず,自らは今日でもいわゆる併存説を前提にして不服申立ての処理を行っている国税当局が,他方不服申立てと一連の争訟手続を構成している行政事件訴訟においては,平然と更正取消請求の却下を主張し続けるのは,「悪しき当事者主義」といわれても仕方がないし,国税通則法の規定内容も充分検討しないまま,右のような行政庁側の主張を容認してきた裁判所の態度にも問題なしとしない。 2 予備的請求について本訴予備的請求が,国税通則法115条1項及び行政事件訴訟法14条1ないし3項所定の訴訟要件を欠くものではない。 第4の2 本案の主張第4の2の1 原告の主張メキシコ国源泉税及びオーストラリア国源泉税が,施行令141条所定の外国法人税に該当することは明らかであり,結局本件における唯一の争点は のではない。 第4の2 本案の主張第4の2の1 原告の主張メキシコ国源泉税及びオーストラリア国源泉税が,施行令141条所定の外国法人税に該当することは明らかであり,結局本件における唯一の争点は,原告が右両税を納付することとなるか否か,ひいては右両税の課税原因となる利息収入を得た者は原告か否かである。 そして,原告がペプシコ社及びロシコ社からの譲受けにより,サブリタス社及びカデラ社に対する貸付債権(手形債権)を取得し,サブリタス社及びカデラ社から利息の支払を受け,その利息収入を課税標準とする源泉税をメキシコ国及びオーストラリア国に納付したことは明白であり,原告が右外国税額を控除し得ることに疑問の余地はない。 第4の2の2 私法上の法律構成による否認について第4の2の2の1 被告の主張の非許容性 1 仮装取引との主張について(国税通則法102条)被告は,平成9年3月25日付け審査裁決(甲6の2)において,本件取引は仮装取引である旨の主張が斥けられたにもかかわらず,本訴においてまた同旨の主張を繰り返している。 しかし,この被告の主張は,国税通則法115条1項が国税に関する法律に基づく処分について不服申立て前置の制度を採用した趣旨,目的,ならびに同法102条1項の規定に反するので,許されるべきではない。 すなわち,国税通則法が不服申立ての前置主義を採用した趣旨,目的は,訴訟に先立って行政内部で見直しを行うことにより,税務行政の統一的運用を図るとともに訴訟に移行した場合の事実関係の明確化に資することにあるが,新しい証拠により別の処分事由が発見された訳でもないのに,明らかに審査裁決の内容に反する事実主張が許されるというのでは,行政判断に分裂が生じて統一的な運用が図れないばかりではなく,不服申立て前置の制度は,事実関係の明確化には役立た された訳でもないのに,明らかに審査裁決の内容に反する事実主張が許されるというのでは,行政判断に分裂が生じて統一的な運用が図れないばかりではなく,不服申立て前置の制度は,事実関係の明確化には役立たず,徒らに納税者に過重な負担を課するだけに終わらざるをえない。 また,国税通則法102条1項の解釈として,拘束力を棄却及び却下の裁決に限定するのは狭きに失する。すなわち,上記国税通則法の規定は,行政不服審査法43条1項に対応する規定であるところ,行政不服審査法は行政事件訴訟法と並行して立案,審議され,同時に(昭和37年10月1日)施行された法律であるにもかかわらず,行政事件訴訟法の33条1項は「処分又は裁決を取り消す判決は」と規定して,拘束力のある判決を取消判決に限定しているのに対し,行政不服審査法及び国税通則法は,行政の一体性,意思統一の必要性から,単に「裁決は」と規定していて,拘束力を有する裁決を取消の裁決に限定せず,裁決後の取消訴訟等においては,裁決で修正・整理された理由の当否が争われるようにして,訴訟の簡明化と迅速化を図っていると解されるからである。 仮に,棄却及び却下の裁決には拘束力がないのが原則であるとしても,本件裁決は,審査請求以来一年半余にわたる慎重な審理の結果下された税務当局としては最終的な結論であり,しかも事実関係に関しては原告の主張をほぼ全面的に認めた実質的には一部取消の裁決であるから,かかる裁決は取消の裁決に準ずるものとして,拘束力を認められて然るべきである。 2 時機に後れた攻撃防禦方法被告は,平成12年6月30日に陳述された被告第10準備書面において,被告第7準備書面の第1の1項を補充するとして,「私法上の法律構成による否認」を主張する。 しかし,右第7準備書面の記載は,次項の「課税減免規定の限定解釈による否 された被告第10準備書面において,被告第7準備書面の第1の1項を補充するとして,「私法上の法律構成による否認」を主張する。 しかし,右第7準備書面の記載は,次項の「課税減免規定の限定解釈による否認」を主張するための導入的記述としての一般論にすぎず,本件課税処分の処分理由として主張されたものではなく,被告の第10準備書面における右主張は,従前にはなかった新しい主張であると認められる。しかも,それは,本訴提起から約3年を経過し,弁論終結を目前に控えて初めてなされたものであるから,被告が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃防禦方法で,これにより訴訟の完結を遅延させることとなるものといわざるをえない。 したがって,被告の同主張は,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法157条の規定により却下されるべきでる。 第4の2の2の2 被告主張への反論(一般論) 1 表面上の法律行為が真実でないならば,課税は別に存在する真実の法律行為に基づいて行うべきである。これは,いわば当然のことであるが,この理が適用されるためには,証拠によって,真実の法律行為の存在が認定されなければならない。 2 しかるに,被告は,原告主張の手形買取契約等に代わって次の2つを真実の法律行為と主張するが,いずれも本件課税を正当化しうるものではない。 (1) 本来内国法人のための制度である外国税額控除の「残余枠」を国際取引の対象とし,実質的に外国法人たるペプシコ社あるいはロシコ社に「売却」して,この制度による利益を外国法人たるペプシコ社あるいはロシコ社に不正に享受させようとした法律行為(以下「残余枠売却説」という)(2) 本件各取引の当事者間の経済実体を考慮した実質的な合意内容に従って認定されるところの真に意図している私法上の事実関係は,サブリタス社がペプシコ社に対して負ってい 以下「残余枠売却説」という)(2) 本件各取引の当事者間の経済実体を考慮した実質的な合意内容に従って認定されるところの真に意図している私法上の事実関係は,サブリタス社がペプシコ社に対して負っていた貸金利息あるいはカデラ社がロシコ社に対して負っていた貸金利息を,原告を介して,ペプシコ社あるいはロシコ社が取得する法律行為(以下「利息還流説」という) 3 すなわち,まず残余枠売却説から検討すると,そのような残余枠の売買という法律行為や法律構成はそもそも制度上あり得ない。 4 次に,利息還流説は,原告の主張する債権譲渡の経済的実質を言い得ているだけで,原告主張と何ら矛盾するものではない。 すなわち,債権譲渡の経済的意義は,譲渡人にとっては貸付金の早期回収であり,譲受人にとっては割引利息や利ざやの獲得である。さらに譲渡人にとっては,利息をも回収するに等しい効果のある。 したがって,原告が獲得した割引利息や利ざやを捨象していえば,「サブリタス社がペプシコ社に対して負っていた貸付金利息を,原告を介して,ペプシコ社が取得する」ことや,「カデラ社がロシコ社に対して負っていた貸付金利息を,原告を介して,ロシコ社が取得する」ことは,債権譲渡の経済的実質そのものであって,何ら異とするに足りない。 5 また,利息還流説を法律的に表現すると,原告らの行った債権譲渡取引は債権の取立委任を仮装したものということにならざるを得ないであろうが,それが失当なことは次の2点を考えてみても明らかである。 (1) 経済取引においてリスクとリターンは表裏一体の関係にあり,結果はそのいずれかが実現したものである。したがって,真実の合意の事後的な探究は,実際には実現しなかった他の可能性(例えば損失の発生)とも整合させなければならない。 その観点から本件取引における貸倒れリスクにつ れかが実現したものである。したがって,真実の合意の事後的な探究は,実際には実現しなかった他の可能性(例えば損失の発生)とも整合させなければならない。 その観点から本件取引における貸倒れリスクについて検討してみると,ロシコ事案では預金を担保とすることによりリスクは極小化されているけれども,ペプシコ事案には貸倒れリスクがあることは誰の目にも明らかであり,本件取引を取立委任行為にすぎないとみる見方は,この貸倒れリスクを無視するものであって失当である。 (2) 取引類型の選択に当たって,税負担は主要な判断要素の一つであり,他に理由がないのに税負担の多い取引形式を選択するなどはあり得ないことであるから,真実の合意を事後的に探究する際に,税負担を度外視すれば誤った結論を導くことになる。 その点,税負担まで考慮して債権譲渡と取立委任を比較すると,ペプシコ社及びロシコ社にとっては債権譲渡の方が断然有利であることは疑いの余地がなく,両社が経済合理性を無視して原告に債権の取立委任をするなどということは到底考えられないことである。 6 いずれにしても,通謀の痕跡がなく,客観的事実も揃っている本件のようなケースにおいて,契約文言や外観から判明する法律行為を否定して,真実の合意は他にあると認定するためには確かな証拠が必要である。 そのようなことが許される場面とは,当事者が為したとする法律行為とは異なるなんらかの外観や性質が観測されたか,あるいは,当事者は当該法律行為を遂行する能力を欠いているために,類似の他の法律行為を為したとしか解釈する以外にない場面であるが,被告はこの点につき具体的な主張をしない。 7 また,当事者が選択した取引形式を否定し他の取引形式を真実のものとして置き換える場合のその取引形式は,一般に知られている取引類型でなければならない。いまだ 告はこの点につき具体的な主張をしない。 7 また,当事者が選択した取引形式を否定し他の取引形式を真実のものとして置き換える場合のその取引形式は,一般に知られている取引類型でなければならない。いまだ誰もが採用したことのない新奇な取引形式を真実のものであると主張しても,それは当事者の想像を超えたものであるから,当事者の真の合意の裏付けがあるとはいえないであろう。 8 本件各取引は,外国税額控除の要件である以前に申告所得の発生要件である。 しかるに,被告が一方では貸付利息を原告の益金としながら,他方で,本件各取引の無効を主張するのは背理である。 第4の2の2の3 ペプシコ事案について 1 本件取引の内容について(1) 関係当事者は,①一流会社であるペプシコ社の保証の存在,②手形表面金利(年8.16パーセント)と買取時の金利水準(年6.775パーセント)の格差,③原告の源泉税負担率10パーセント等の諸条件を勘案して,合理的な取引条件の設定を行い,お互いにメリットを享受する経済的合理性のある取引をしたのであり,そのさいに当事者が税というコストの負担を勘案するのは,至極当然のことであり,経済取引の常識と言ってよい。 より具体的には,本件取引は,ペプシコ社及びサブリタス社からグループ全体ではLIBOR+0.65パーセントの金利負担条件での融資申込があり,同金利条件は短期の保証付案件としては満足のゆくものであったばかりではなく(国際金融取引における貸付利率は,相手方の信用度(格付け)等によりかなりの巾があり,右条件はもとよりその巾の範囲内にあるが,ペプシコ社の信用度からみれば,好条件の方に属する。),本件取引は米国の一流企業であるペプシコ社との取引を拡大するチャンスでもあったところから,原告が右申込を応諾することにより成立した与信取引であり,被告が不 信用度からみれば,好条件の方に属する。),本件取引は米国の一流企業であるペプシコ社との取引を拡大するチャンスでもあったところから,原告が右申込を応諾することにより成立した与信取引であり,被告が不当であると主張の計算関係は関係する3当事者間において右金利条件を実現するための調整計算にすぎない。 (2) なお,ペプシコ社のような多国籍企業の経営者や従業員が,各国の税制度を調査研究して国際税務戦略をたて,租税負担を全世界規模で最少化するための努力を行うことは,決して脱税として非難されることではなく,むしろ経済人としては当然の責務に属する。 また,外国税額控除制度が国外所得を一括して控除限度額を算出するいわゆる一括限度額方式を採っている限り,控除余裕枠の彼此流用の余地は完全に排除することはできない。すなわち,制度自体に内包された問題であって,別途明文をもって設けられた制限に反しない限り,違法とすることはできない。そのことは,累次の税法改正の経緯に照らしても明白なところである。 そこで,国際融資契約では,源泉税をどちらがabsorbするかが必ず取り決められ,外国税額控除余裕枠を有する金融機関等は,余裕枠の範囲内で源泉税をabsorbする取引を行うことが可能となるのである。 そして,本事案においては,予想される源泉税15パーセントのうち10パーセントは原告が負担することになったので,割引代金の精算の際には,これに伴う調整も必要となり,甲第2号証の5項aともにおいて所要の措置が定められた次第である。 2 被告の主張する取引の内審への反論(1) 手形売買としての不合理性についてア被告は,手形売買としての不合理性を強調するが,本件手形は,わが国で一般に流通している手形とは異なり,利付の,しかも期限前返済の可能な手形であったから,その買取契約がわ としての不合理性についてア被告は,手形売買としての不合理性を強調するが,本件手形は,わが国で一般に流通している手形とは異なり,利付の,しかも期限前返済の可能な手形であったから,その買取契約がわが国における典型的な割引契約とは異なる約定を含んでいるのは当然である。 イ手形の価値(ア) 手形の価値(時価)は,その手形に基づき,何時,いくらの支払が見込まれるかによって決まる。価値の最大値は支払見込金額であるが,支払期日が遠くなるに従って価値は減じてゆき,実際には手形割引利率による割引計算によって価値が算定される。 そして,利付手形における支払見込金額は,元本(手形金額)と利息(譲渡時点までの経過利息とそれ以降の未経過利息をあわせた利息全部)の合計額で,利付手形は利付でない手形より支払見込金額が多いから価値が高く,同じ利付手形でも利率の高い方が価値が高くなるのは理の当然である。 いずれにしても,利付手形は,付帯する利息についての対価をも支払わずには取得し得ないものである。 (イ) 手形を買い取った後の収益は,支払期日における受取金額から譲受代金を差引いたものであるから,「債権譲受時の手形の客観的価値は,元本額に約束手形の振出日から(中略)譲り受けるまでの期間の利息が加算されたものであるとの被告の見解に従うと,譲渡日以降の期間に属する年率8.16パーセントの手形利息がそのまま原告の収益になっていないとおかしいとの理解に帰着せざるを得ないが,実際には手形の譲受による利益はいわゆる割引料収入として実現するものであって,手形利率(8.16パーセント)でもって収益が実現することはあり得ない。 敷衍すると,取引実務上譲渡対価は経過利息とその余に分けて決済され,経過利息は「前払金」勘定に,その余は「債権」勘定に区分して経理される。 このように区 でもって収益が実現することはあり得ない。 敷衍すると,取引実務上譲渡対価は経過利息とその余に分けて決済され,経過利息は「前払金」勘定に,その余は「債権」勘定に区分して経理される。 このように区分して経理された債権勘定の額と実際の元本額(手形金額)との関係は,手形利率と手形割引利率との関係によって左右され,手形利率が手形割引利率を上回っている場合には,債権勘定は元本額を上回り,その超過額は企業会計上(税務上も)時の経過にあわせて償却してゆく。 収入(手形利息)から償却費を差引いたネットの収益を年率換算すると,手形割引利率と一致する。手形利率が手形割引利率を下回る場合も同様である。 以上要するに,法律上利息支払請求権を取得することと,その利息収入をそのまま経済上享受しうることとは別の事柄であって,利付手形の譲渡が行われた場合には,譲受人は法律的には利息請求権を含めた手形上の全権利を取得するが,だからと言って経済的な収益がその手形利率をもって実現することはあり得ないのである。 (ウ) 関連して被告は,原告が法律上自己の権利として取得した利息収入をそのまま経済的利益として享受していないことを理由に,本件「取引の実質は,ペプシコ社がサブリタス社に対して有する手形債権を原告に譲渡したものではな」く,「契約時からサブリタス社による手形債権の実際の返済日までの間の,原告によるペプシコ社へのLIBOR+0.65パーセントの利率による貸付け行為にすぎない」と主張するが,この主張が手形割引(売買)の法律的側面と経済的側面とを意識的にか無意識的にか混淆した謬論であることは前述の説明から明白である。 すなわち,「手形の表面利率によって算出される利息額」から「譲渡人の既得権が市場実勢を上回る有利な部分」を控除したネットの収益を,年率換算したものが手形の割引 あることは前述の説明から明白である。 すなわち,「手形の表面利率によって算出される利息額」から「譲渡人の既得権が市場実勢を上回る有利な部分」を控除したネットの収益を,年率換算したものが手形の割引利率に一致することは,前にも述べたとおり,債権取引上当然である。 本件において,実質的な利息収入がLIBOR+0.65パーセントの割合になっていることは,原告とペプシコ社の合意の内容が正に右利率による手形の割引であったことを正当に反映したものである。ペプシコ社の保証付きの手形債権を譲り受けることによってLIBOR+0.65パーセントの収益をあげることは,市場実勢を反映した合理的な経済的取引に外ならないのであって,右実質論は,何ら本件取引の異常性,仮装性を示すものではない。 換言すれば,原告がLIBOR+0.65パーセントの経済的利益を得たという本件取引の経済的側面と,本件手形売買により原告が法律上本件手形に付利された利息全部の支払請求権を取得し,その支払に当たってメキシコ国の源泉税を納付すべき納税者となったという本件取引の法律的側面とは何ら矛盾するものではない。 ウ手形代金の定め方(ア) 本事案において,原告とペプシコ社が契約により達成しようとした内実を一言で表現すれば,それはペプシコ社が有していた手形債権を,LIBOR+0.65パーセント+手数料率という割引率で割引計算(支払期までの中間利息を控除)した時価で売買すること,すなわち手形債権の時価売買であった。 ただ,その手形債権は,わが国で一般に流通している約束手形等とは異なり,次の約定を含むものであったため(甲11,12),代金決済の仕方がそれに応じて複雑になっているにすぎない。 ① サブリタス社は,ペプシコ社に対し,支払日(1991年12月31日)に元本金額と年利8.16パーセントで計 であったため(甲11,12),代金決済の仕方がそれに応じて複雑になっているにすぎない。 ① サブリタス社は,ペプシコ社に対し,支払日(1991年12月31日)に元本金額と年利8.16パーセントで計算した貸金利息の全額を一括して支払うという利付約定② この約束手形は,借入(振出)人の選択により,満期日以前に何時でも(全額または一部を)期限前返済することができる旨の特約(イ) 上記①及び②の約定は,当然割引代金額及びその決済方法の決定に影響を及ぼすが,特に重要なのは,②の特約であった。 同特約の下では,この手形に基づいて,何時,いくらの支払がなされるのか一義的に確定することはできず,かくてはその債権の譲渡時に,譲渡代金を一義的に確定することも不可能であり,結局この場合には一旦代金を仮払いとし,後日返済日が決まった段階で精算をするしか適当な方法がないからである。 そこで,本事案では,手形の譲渡時に支払う代金額は手形の元本金額のみとし,その余は後日精算ということにしたのである(甲1,1項)。(ウ) そして,本事案においては,手数料率を含まない割引(貸付)利率はLIBOR+0.65パーセントと合意されていたが,LIBORは一定不変ではなく,その時々の経済情勢に応じて変動するものであるうえ,手形の支払期も特定されていなかったため,LIBORを譲渡時点のレートでもって固定してしまうのは合理的ではなく,適当な機会毎に見直しうるようにしておく方がはるかに合理的である。 そこで,本事案においては,元利金の最終返済期限を1991年9月30日とし,期限前返済ができる日を同年7月1日から2週間毎の特定の日(これを「更改継続日」という)に限ることにしたうえで(甲1,2項),元金額が大きくてわずかの利率の変動も無視し難いため,更改継続日毎に2週間分の割引利率を きる日を同年7月1日から2週間毎の特定の日(これを「更改継続日」という)に限ることにしたうえで(甲1,2項),元金額が大きくてわずかの利率の変動も無視し難いため,更改継続日毎に2週間分の割引利率を見直すことにした。 本件覚書(甲2)の4項がそのことを定めた条項で,そこでは通常譲渡代金から差し引かれる割引利息が次のように後日譲渡人から譲受人に支払われることになっている。 ① 1991年6月6日の譲渡日から同年7月1日までの利率は,譲渡時のLIBORに0.65パーセントを加えた6.775パーセントで,その利息は,同年7月1日に支払う。 ② 同年7月1日以降の2週間毎の利率は,各更改継続日の2営業日前に決定されるLIBOR+0.65パーセントとし,その利息は各更改継続日,すなわち2週間毎に支払う。 (エ) ところで,前記(ア)の手形に付加された利息は,手形が譲渡され,譲受人である原告が手形上の権利者となった以上,一旦全額が原告の収入とならざるをえないので,その収入に対して課される源泉税の納付者が原告であることは疑う余地がない。 これに対して,利付手形の割引のさいには,手形の譲渡代金が手形の元本額を超えることが当然ありうるが,その場合の差益は資産の譲渡による所得,すなわち譲渡所得となるのであって,利子所得ではない。 しかし,本事案において原告が手形割引(金銭の貸付)の対価として得ようと望み,ペプシコ社が支払を応諾したのは,前述の利息と手数料だけであり,その利息,手数料は別途支払われることになっているから,それが約定どおり支払われた場合には,手形に付加された利息に相当する額を精算金としてペプシコ社に支払うことになるのは計算上当然のことである。 甲第2号証の5項aはそのことを定めたものであるにすぎない。 (オ) なお,代金額の決め方及び後日の 付加された利息に相当する額を精算金としてペプシコ社に支払うことになるのは計算上当然のことである。 甲第2号証の5項aはそのことを定めたものであるにすぎない。 (オ) なお,代金額の決め方及び後日の精算方法にはいろいろなやり方が考えられるが,原告も本件で採られた方法が唯一の方法であったと主張している訳ではなく,本件ではありうべき複数の選択肢のなかから,最もわかりやすい方法が当事者の合意によって採用された(契約自由の原則)にすぎない。 また,被告は,前引用の如く振出から譲受時までの期間の利息が「代金額に反映されてよいはず」とも主張しているが,清算してはじめて全額決済となる以上,仮渡しするにすぎない譲渡時の代金額に何々を含めるか(反映させるか)は,本質的な問題ではない。また,合意した条件が経済的合理性を欠くというならともかく,そうでない以上,多様な組み合わせのうち,どれを採用しようと,それによって取引が異常であるとか,譲渡がなかったなどと認定することはできない。 エ返済期限が不確定であることによるペナルティーの不存在早期返済時に適用されるペナルティー条項は,繰上返済の場合,返済された資金は,もはや返済時点での市中金利でしか運用できないから,約定金利と返済時点の市中金利の格差に応じて課されるものである。 しかるところ,本件契約において原告,ペプシコ社,サブリタス社の3者が合意したのは,期日を平成3年7月1日と定め,もし必要ならその期日を2週間単位で順次延長し,遅くとも同年9月30日までには手形を決済するというものであり(期日延長の技法を用いて期日が不確定な手形を譲渡が可能な状態に変換した。),そして,延長金利は各時点の金融情勢に即応したLIBOR+0.65パーセントと決めたから,ペナルティー条項は必要でなかった。 オ外国税額控除ができ 日が不確定な手形を譲渡が可能な状態に変換した。),そして,延長金利は各時点の金融情勢に即応したLIBOR+0.65パーセントと決めたから,ペナルティー条項は必要でなかった。 オ外国税額控除ができない場合の譲受金の変更について被告は,原告が外国税額控除できない場合,最終的な譲受代金が変更されることが不自然であると主張するが,本件覚書(甲2)6項は一般に許容されている貸付時の源泉税の負担に関する約定の一種にすぎず,何ら非難されるべき点はない。 すなわち,貸付契約では必ずと言ってよい位に源泉税を誰が負担するかの取り決めがなされる。ある場合には全額借主の負担とされ,またある場合には全額貸主の負担とされるほか,その中間的な取り決めもある。そのいずれを選択するかは,当事者の交渉に委ねられるが,当然のことながら貸主の外国税額控除の能否にも左右される。 ペプシコ事案では,源泉税15パーセントのうち5パーセントはペプシコ社が負担し,残りの10パーセントは原告が外国税額控除を受けられることを条件として原告が負担すること,万一外国税額控除ができない場合の原告からペプシコ社への通知期限等を定めているが,これらは手形の譲渡に当り必要かつ合理的な取り決めである。特に貸主である原告にとっては,単純に一定額を貸主が負担する約定より望ましい取り決めである。 カ危険の負担がないこと(ア) 程度の差はあるが,あらゆる金融商品にはリスクが内在しており,手形といえどもその例外ではない。 債権にあってはリスクの最たるものは債務不履行のリスク(信用リスク)であり,金利変動のリスクがこれに次ぐ。 リスクは債権の価格に反映されるから,債権を譲渡すれば内在していたリスクが損失となって実現する(利益になる場合もある)。逆に譲渡をしなければ,リスクは内在したままで実現することはな がこれに次ぐ。 リスクは債権の価格に反映されるから,債権を譲渡すれば内在していたリスクが損失となって実現する(利益になる場合もある)。逆に譲渡をしなければ,リスクは内在したままで実現することはなく,債権を満期まで保有していて,償還が無事なされれば,内在していたリスクは解消する。 本件手形は満期まで保有し,期日に滞りなく支払いがなされたから,内在していたリスクは解消したのである。 (イ) 本件取引では,ペプシコ社が保証をしたほか,譲渡代金を仮渡しとし,残余はその後の金利に基づいて精算することとしたので,リスクは確かに減殺された。 しかし,そのことと,手形に内在するリスク(信用リスク及び金利変動リスク)がペプシコ社から原告に移転したかどうかは別の問題である。 手形に内在するリスクは,譲渡によってペプシコ社から原告に移転したが,リスクは債務の履行によって解消したのである。 (2) 稟議書の記載について被告は,原告社内における稟議書(乙4)に,ペプシコ社が取引を申し出た背景として,同社に外国税額控除余裕枠がないことが記載されていることを指摘する。しかし,被告が指摘する同稟議書は,本件取引(平成3年6月6日買取)の前年に行われた別途の取引に関するもの(日付が平成2年8月28日付文書である)で,これを本件取引の申出背景とすることには無理がある。むしろ,本件取引に関する稟議書(乙5)には,この種の記載がない。さらに,被告は,原告の稟議書を入手し,その社内意思決定過程で交換された本音にかかる文書まで見ているはずであるが,そこには「真実は原告のペプシコ社に対する貸付であるが」,何らかの理由で「契約書面上だけ手形の譲受けの形式とする」といったような被告主張を裏付けるやり取りは一切見受けられない。 また,稟議書等に税額控除の適用に関する記載があるこ に対する貸付であるが」,何らかの理由で「契約書面上だけ手形の譲受けの形式とする」といったような被告主張を裏付けるやり取りは一切見受けられない。 また,稟議書等に税額控除の適用に関する記載があること自体は,課税の有無,控除の有無がネットの収益に影響する以上,経済人として考慮するのは当然であり,何ら異常視すべきものではない。 (3) 取引実行手数料について原告は,被告が本件取引が通常の貸付取引であるならば,取引実行手数料が支払われるべき根拠が見当たらないと主張するが,欧米には諸種の手数料が存在し,金融取引においても,当事者が自己の収益を最大にするため,金利や手数料に工夫をこらすのは当然の事理であり,また,商取引は自由に行いうるものであるから,同種,同性質の事柄でも常に同じ外観を備えているとは限らないのであって,完全に一致する取引手数料が存在しなくても,そのこと故に本件の取引手数料が根拠のないものとはいえない。 (4) より直截な取引の存在について(取引選択の自由)企業が必要資金を調達する方法は,金融機関からの借入れ以外にも,不動産,株式等の有価証券の売却,増資,社債の発行などさまざまな方法があり,そのいずれを選ぶかはその企業の自由な選択に委ねられている。 しかも,右各方法の相互間には,いずれを原則とし他は例外という関係や優先順位というようなものはなく,その選択に当たって,企業が税負担の有無や多寡をも考慮して方法を決定することは,当然許容されている。 ペプシコ社は,こうした選択権を行使した結果,約束手形の譲渡という資金調達の方法を選んだのであり,原告としては,その申込に応ずるか否かの選択の自由はあるものの,ペプシコ社が望んでいない貸付の方法を選択して,これをペプシコ社に押し付け得る立場にはない。 (4) 資金の流れ・源泉税がペプシ であり,原告としては,その申込に応ずるか否かの選択の自由はあるものの,ペプシコ社が望んでいない貸付の方法を選択して,これをペプシコ社に押し付け得る立場にはない。 (4) 資金の流れ・源泉税がペプシコ社に還流したとの主張について我が国から外国税額控除を受けながらこれを自己が取得するのではなく,ペプシコ社に還流する合意をした旨の被告の非難は理由がない。 ア貸付利息に外国で源泉税が課される場合,貸付契約でその源泉税を誰が負担するのかの取り決めがなされるが,借主・貸主のどちらの負担であっても外国税額控除の適用があることは被告も認めているところである。 イところで,利付手形の譲渡代金は,手形金額に利息(経過利息だけではなく,期日までの全額である)を加えたものから割引利息を差し引いた金額となるから,その関係は次のように表すことができる。 譲渡代金=手形金額+利息-割引利息ウ右利息に源泉税が課される場合においても,貸主がその全額の負担を約し,譲受人がそれをそのまま引き継ぐときには,譲渡代金には何の変更もないから,右の式は源泉税貸主負担の取引にも妥当する。 しかして,利息は源泉税差し引き後の正味の利息と源泉税に分けることができるから,右の式は次のようにも表すことができる。 譲渡代金=手形金額+正味利息+源泉税-割引利息エしかるに,手形支払人からは手形金額と正味利息しか払われてこないから,源泉税貸主負担の債権を譲渡する取引においては,譲受人がそれに源泉税を上乗せして譲渡代金を支払っていることがこの式から判明する。 したがって,被告の論法に従うなら,源泉税貸主負担の契約は,債権が譲渡されるか否かに関わりなく,例外なく「外国税額控除を受けながらこれを自己が取得するのではなく(中略)還流する合意」を含んでいるので,外国税額控除を否認され うなら,源泉税貸主負担の契約は,債権が譲渡されるか否かに関わりなく,例外なく「外国税額控除を受けながらこれを自己が取得するのではなく(中略)還流する合意」を含んでいるので,外国税額控除を否認されることとなってしまう。 オ以上要するに,ペプシコ事案では,譲渡代金を手形金額,正味利息,源泉税,割引利息の4つ(手数料と立替コストを加えると6つ)に分離して計算ないし決済されたから,源泉税の貸主負担に伴う決済関係が目立つ結果となっているだけのことである。 第4の2の2の4 ロシコ事案について 1 本件取引の内容について本件取引は,ホルダーバンク社がCoopersandLybrand公認会計士事務所より「節税効果を最大限に享受できる」スキームとしてアドバイスを受けて提案し,原告としては提案の「背景となる制度の詳細は披瀝」がないため良くわからないまま(乙6),「銀行に事実上リスクのない,そして自己資本比率面でのリスクのない契約で,大変良好な利益を得られるすばらしい機会である」と判断して応諾した(乙7の1,2),当事者の真意に基づく法的にも有効な契約である。 また,被告は,外国税額控除の適用が受けられなければ,原告は本件取引によって損失を被ることを理由に,本件取引は「経済的合理性に欠ける取引である」というが,海外における貸付により金融機関が資金調達コスト差引後に得る利益は,0.5パーセント前後にすぎないから,受取利息につき10パーセントあるいはそれ以上もの源泉税が課され,しかも税額控除等の措置が講じられなければ,金融機関は存立してゆくことができない。 原告とロシコ社との契約は,ロシコ社の「提案」を原告が応諾して成立したものであるが(甲3,前文),その契約内容の概要は前記第2の4,2(4)のとおりで,その経済的な核心は,8000万AUドルを 。 原告とロシコ社との契約は,ロシコ社の「提案」を原告が応諾して成立したものであるが(甲3,前文),その契約内容の概要は前記第2の4,2(4)のとおりで,その経済的な核心は,8000万AUドルを預金担保,利ざや0.35パーセントの条件でロシコ社に貸し付けることにあった。 なお,本件債権譲受・預金契約(甲3)7項は,預金担保に関する約定であって,保証の趣旨を含むものではない。 2 被告の主張する本件取引の内容への反論(1) ロシコ社による金利の通知ロシコ社により金利を通知することは,次の諸点に鑑みれば,なんら不合理ではない。 ア本件債権譲渡は,債権の一部譲渡であり,ロシコ社は,本件債権譲渡後も4337万9000AUドルの貸金の債権者であり,譲渡された債権と残債権とで利率が違うことになるのは不自然,不合理であるので,両債権の利率を揃える必要があった。 なお,貸付金の利率は,債権者の資金事情等だけで決まるものではなく,本件のように2人以上の債権者が共同して融資する場合には,シンジケートローンに代表されるように利率が揃っているのが普通である。 イロシコ社の通知する利率は,市場実勢レートに基づくとともに,原告の同意を得たものでなければならず,ロシコ社が自由に,あるいは一方的に決定しうるものではなかった。 ウロシコ社の通知する利率如何にかかわらず,原告の得る利ざや(0.35パーセント)は確保されていたから,同利率の決定について真に利害関係を有しているのはロシコ社であった。 第4の2の3 法69条の限定解釈について 1 限定解釈の非許容性(1) 租税法律主義違反原告も「特定の概念又は用語に伴なう予測可能性の限界を超え」ない範囲内において,税法上の「概念又は用語」を立法の趣旨目的にそうように合目的的に解釈すべき場合があることまで否定す 租税法律主義違反原告も「特定の概念又は用語に伴なう予測可能性の限界を超え」ない範囲内において,税法上の「概念又は用語」を立法の趣旨目的にそうように合目的的に解釈すべき場合があることまで否定するつもりはない。 しかし,本件において被告が主張しているのは,「特定の概念又は用語」の解釈ではなく,法の概念や用語を全く無視した法の適用拒否である。 換言すれば,法の成文においては,立法趣旨に合致する概念や用語が選択されて法律上の要件が構成されているはずであるから,納税者はその概念や用語を介して自己の納税義務の存否を予測すれば足り,かりに右概念や用語の選択に誤りがあり,立法趣旨にそぐわない点があったとしても,その拙劣さについて責任を負うべきは課税もしくは立法当局者であって,納税者ではなく,その誤りは法の改正によって将来に向かって是正さるべきものである。 また,本件覚書(甲2)6項や本件債権譲受・預金契約(甲3)9項があり得るかもしれない事態として想定しているのは,制度,殊に限度額の計算に関する法律の改正や予期しない事情で余裕枠が足りなくなる可能性であって,被告主張のような税法解釈の可能性でないことは,右両項の表現自体からみてもあきらかである。 したがって,被告の法69条の限定解釈の主張は,租税法律主義に反することとなる。 (2) 非課税規定についてのみ限定解釈を認める不合理性そもそも,非課税規定かどうかで違った解釈の仕方を採用するのは合理的ではない。 (3) グレゴリー判決の理解アグレゴリー事件のアメリカ合衆国連邦最高裁判決は,税法の解釈というよりは事実認定の問題として,いわゆる仮装行為(隠匿行為)を認定した一事例にすぎない。 同判決は,その理由中で,「租税に関する動機の問題はさておき,一連の行為の性格を実際に生じたことによって決定 よりは事実認定の問題として,いわゆる仮装行為(隠匿行為)を認定した一事例にすぎない。 同判決は,その理由中で,「租税に関する動機の問題はさておき,一連の行為の性格を実際に生じたことによって決定すると,何を見出すであろうか。単に,事業目的ないし会社の目的(businessorcorporatepurpose)をもたない取引を見出すのみである。それは,その真の性格を隠ぺいするための仮装として法人の組織変更の形式をまとった計画にすぎず,その唯一の目的と成果は,事業を再組織することではなく,一群の株式を原告に移転するという,あらかじめ考えられた計画の達成であった。(中略)行為の全体は,B号の規定にしたがって行なわれたが,実際は,法人の組織変更の仮面をかぶった,入念で遠廻りの資産の移転の形式にすぎず,それ以上の何物でもない」と述べていることからも明らかである。 イグレゴリー事件の判決が,許容された手段を用いて租税を回避・軽減する権利を承認していることからするならば,同判決が確立したという「事業目的の原理」も,あくまでも「組織変更」という「特定の概念又は用語」の意味内容ないしは外延を確定するための解釈手法に止まるべきであって,租税回避行為を封殺するための新しい一般的な原理としてむやみに一般化することは厳に慎むべきであろう。 また,グレゴリー事件の判決で問題となった税法上の概念は,もともと事業経営に直結した「組織変更」という概念であったから,判決にいうようにその意義を事業目的を有するものに限るという限定解釈もありえないことではなかったが,わが法人税法69条において問題になっているのは「納付」という事業とは直接関係のない概念であるから,その意義を事業目的の有無によって限定するというのはそもそも無理な話である。 (4) 国際的二重課税防止の 人税法69条において問題になっているのは「納付」という事業とは直接関係のない概念であるから,その意義を事業目的の有無によって限定するというのはそもそも無理な話である。 (4) 国際的二重課税防止の要請企業の活動がグローバル化した今日,国際的な二重課税を排除する措置を講ずることは,最早国際租税法の常識であるばかりではなく,わが国はOECDの構成国であり,モデル条約23条の留保もしていないから,税額控除方式を採るか免除方式を採るかは別として,国際的二重課税を放置することは許されない。 換言すれば,外国税額控除制度は,国際的二重課税を排除するための国際的に承認された,選択の余地のない制度であり,納税者が優遇措置として例外的に享受することができる課税減免規定には該当しない。 (5) 被告の限定解釈の手法の不当性被告は,外国税額控除制度の適用範囲から,「外国税額控除を得ることのみを目的とした」「事業目的のない不自然な取引」を消極的に除外しようとするのではなく,「外国税額控除制度は,(中略)租税以外の考慮のみによって取引やその形態が決定されるべきとする経済的中立性の維持を目的とする」ものであるとの理解を前提にして,逆に同制度の積極的な適用条件として「正当な事業目的(businesspurpose)」の存在を要求し,「当該取引から得られる利益が名目的なものにとどまり,外国税額控除を得ることのみを目的とした取引と認められる場合,換言すれば租税回避のみを目的としたと認められる場合」のみならず,「当該取引から得られる利益と,外国税額控除から得られる利益とを比較した場合に前者が後者に比べて著しく少ない場合」も税額控除は認められないと主張しており,不当である。 (6) 被告が定立した具体的基準の不当性被告が定立する具体的な判断基準が,課税庁が否認し を比較した場合に前者が後者に比べて著しく少ない場合」も税額控除は認められないと主張しており,不当である。 (6) 被告が定立した具体的基準の不当性被告が定立する具体的な判断基準が,課税庁が否認したいと望む「取引」,すなわち租税回避行為の否認に関する一般的な基準であって,法69条にいう「納付」等の特定の用語または概念の意味内容に係るものでないことは明らかである。 また,被告が主張している具体的判断基準はいずれも明確とは言い難く,かかる複雑で微妙かつ困難な判断には課税庁の恣意が入りやすい。 (7) 被告の「外国税額控除制度は,(中略)租税以外の考慮のみによって取引や取引形態が決定されるべきとする経済的中立性の維持を目的とする」との主張は,「税負担の最も少ない取引形式を選択する」自由と相容れるものではない。 (8) 租税法律主義から要請される解釈ア税法の解釈においては,法文からはなれた自由な解釈は許されない。もし法文からはなれた自由な解釈が許されるとすると,それは帰するところ法律によらない課税を容認することになって,租税については法律でこれを定めるとする租税法律主義の原則が税法の解釈を通じてくずれていくことになるからである。 その意味で,税法の解釈においては,基本的に厳格な解釈が要請され,法規の法文や文言がまず重要視されなければならず,当該法条の趣旨・目的を参酌して法規の文言や法文を通常の用語例よりも拡張したり縮小したりする拡張解釈や縮小解釈は,文言だけからは幾つかの解釈の可能性があってきめ手を導き出せない場合に限って許されるべきである。 イしかるところ,「納付」とは「官に納め入れること」を意味する言葉であり(広辞苑第5版2083頁),法人税法69条所定の外国税額控除の要件は,納税者が外国で納税義務を負担し,外国の税を支払うことに尽き かるところ,「納付」とは「官に納め入れること」を意味する言葉であり(広辞苑第5版2083頁),法人税法69条所定の外国税額控除の要件は,納税者が外国で納税義務を負担し,外国の税を支払うことに尽き,その税を誰が最終的に負担するかは関係がない。 現に,国際金融においては,貸付契約のなかで貸付利息に課される源泉税を貸主と借主のいずれが負担するかについて取り決めがなされるのが通例であるが,そのいずれの場合にも源泉税を納付した貸主が外国税額の控除をなし得ることに異論はなく,貸主負担とされた場合には,当該源泉税の対象となった所得に対する日本の法人税率がマイナスになることあるが,そのために外国税額の控除が否認されるものではない。 (9) 添付書類法69条10項,同法施行規則29条の2第7号は,外国税額控除の適用要件の1つとして,確定申告書に外国法人税を課されたことを証する納税申告書の写し又はこれに代わるべき書類及びその納付事実を証する書類を添付することを要求している。 これは,法人の納付した外国の税が法人税法にいう外国法人税に当るかどうかは,一義的にその課税の根拠となった現地国の税法に基づいて判断すること,またその税が当該法人に課されたものであるかどうかも,現地国における課税が誰に対してなされたかという,いわゆる名義主義によることを示したものである。 換言すれば,この種の特定の税制を適用する上での要件とされる証明書類の添付は,当該税制の前提となる要件事実の存在を担保するものであると同時に,その限りにおいて課税当局をも拘束するものであるから,そのことを無視して,課税当局が自在にその要件事実の存在を否認することは許されない。 (10) 被告の主張する限定解釈の不当性次の各点からすると,被告の主張は,法の解釈の域を越え,租税回避行為に対する新しい 無視して,課税当局が自在にその要件事実の存在を否認することは許されない。 (10) 被告の主張する限定解釈の不当性次の各点からすると,被告の主張は,法の解釈の域を越え,租税回避行為に対する新しい否認類型を創設するものである。 ア外国税額控除の規定を課税減免規定の一つとみるか否かは別論としても,各課税減免規定の立法趣旨はそれぞれ異るから,立法趣旨を勘案しながら各課税減免規定中の文言の意義を解明しようとすれば,当然その作業は個々の課税減免規定の個々の文言ごとになされなければならず,すべての課税減免規定に共通して当てはまるような解釈などはありえない。しかし,被告の「当事者が課税減免規定の適用を受けることのみを目的として行った取引は,事業目的を欠いた不自然な取引として,課税減免規定がその適用の射程内においておらず,課税減免規定を適用することができない」旨の主張は,各課税減免規定の立法趣旨やその文言の個別性を無視している。 イしかるところ,グレゴリー事件では,法令上の用語である「組織変更」について事業目的の有無が問題にされているのに対し,被告は,右に引用した主張からも明らかなとおり,「当事者が課税減免規定の適用を受けることのみを目的として行った取引」,または「事業目的を欠いた不自然な取引」という形で,専ら法令上の用語ではない「取引」の目的を問題にしており,その目的ないしは事業目的の有無は,法69条中の用語である「納付」について語られているわけではない。言い換えれば,「組織変更」の場合とは異なり,「納付」については事業目的のあるそれと事業目的のないそれとを区別することはできない。 ウ手形割引または預金担保の金銭消費貸借について事業目的の有無を論ずるとすれば,それは割引料収入または利ざやの有無以外にはありえない。 しかして,原告は,ペプシコ事 れとを区別することはできない。 ウ手形割引または預金担保の金銭消費貸借について事業目的の有無を論ずるとすれば,それは割引料収入または利ざやの有無以外にはありえない。 しかして,原告は,ペプシコ事案では,LIBOR+0.65パーセント+手数料という適正かつ標準的な割引料収入を,ロシコ事案では0.35パーセントのこれまた適正かつ標準的な利ざやをそれぞれ得ており,事業目的を欠く行為とはいえない。 エ当該取引から得られる利益被告は,「事業目的の原理の判断要素の1つとして,『当該取引から得られる利益』を吟味する」というが,外国源泉税の実効税率は100パーセントを超えることが少なくない実情に照らすと,「当該取引から得られる利益と外国税額,外国税控除から得られる利益とを比較した場合に前者が後者に比べて著しく少ない場合」との基準がいかに現実離れをした危険なものであるかは明らかである。 (11) 被告の「外国税額控除制度は,(中略)租税以外の考慮のみによって取引やその形態が決定されるべきとする経済的中立性の維持を目的とするものであり,特に国内企業又は居住者がその投資を国内で行うか国外で行うかの選択に影響を与えないという資本輸出中立性(capitalexportneutrality)を保つ観点から規定するのである」との主張の前半部分が誤りであることは前述したが,その後半部分も正確ではない。 すなわち,国内投資と国外投資とを税制面で差別せず,資本の効率性を追求する資本輸出中立性の立場からは,外国税額は一切制限されることなく,完全に控除できる仕組みが望ましい。完全控除が保証されてはじめて,企業は投資を国内で行うか国外で行うかの選択に当って税負担を考慮しないですむからである。 しかし,外国税額控除制度をデザインする際のコンセプトとして資本輸出中立性 い。完全控除が保証されてはじめて,企業は投資を国内で行うか国外で行うかの選択に当って税負担を考慮しないですむからである。 しかし,外国税額控除制度をデザインする際のコンセプトとして資本輸出中立性があるということと,実際にできあがった同制度の中にそのコンセプトがどこまで生かされているかということとは自ら別の問題であり,現行の外国税額控除制度には,資本輸出中立性を阻害する面も存在する。 控除限度額を定めた諸規定(高率な外国法人税の高率とされる部分を控除の対象外とする制限を含む)や外国で納付していない税額を納付したものとみなして税額控除の対象とするいわゆるみなし税額控除がそれである。 (12) 被告は,「事業目的を有した取引であれば(中略)取引から得られる利益が外国税額控除による利益より著しく少ない状況にはならないと考えられる」と主張するが,これは源泉税が実効税率でみると極めて高い税率である場合が多いことを無視した謬論である。 すなわち,投資所得に対する源泉徴収所得税は支払額に対して課されるので,費用を差し引いたネットの所得額に対する税率と比べると,極めて高い税率である場合が少なくなく,その場合に外国税額控除が認められると,日本の法人税率がマイナスの税率になる(源泉税の実効税率が法人税率を上回る)ことも起こりうる。 例えば,貸付利率5パーセント,源泉税率10パーセントとすると,間接経費を度外視しても利ざやが0.5パーセント未満なら実効税率は100パーセントを越えるのであるが,優良企業に貸し付ける場合,0.5パーセントは決して少くない利ざやである(甲20)。 さらに,貸付利率は市中の金利の変動に敏感に反応するが,利ざやは一定である傾向が強いから,例えば貸付金利が8パーセントに上昇したにもかかわらず,利ざやは依然として0.5パーセントのまま 甲20)。 さらに,貸付利率は市中の金利の変動に敏感に反応するが,利ざやは一定である傾向が強いから,例えば貸付金利が8パーセントに上昇したにもかかわらず,利ざやは依然として0.5パーセントのままということもごく普通に出現し,この場合の源泉徴収税率10パーセントの実効税率は,160パーセント(8パーセント×0.1/0.5)にも達する。 こうした実情に照らすと,多くの源泉税貸主負担の契約は「取引から得られる利益と外国税額控除から得られる利益を比較した場合に前者が後者に比べて著しく少ない場合」に該当する。 しかし,だからと言って,それらの契約すべてを事業目的のない取引と判定し,外国税額控除を認めないという結論を導くことは,わが国の法人税率がマイナスになるという理由では外国税額控除を否認されることはないという被告の釈明とも矛盾する。 2 予備的主張に基づく所得金額及び税額について(1) 損金処理被告は,本件各原更正処分において,本件各契約は仮装・無効と認定し,本件メキシコ国源泉税及びオーストラリア国源泉税は原告が負担すべきものでないとの理由で,平成4年3月期で2億6980万7596円,平成5年3月期で2637万6576円の損金算入を否認して,これを所得金額に加算しているが,本件各契約が有効と認められた場合には,右両源泉税の損金支出を否認する理由はもはやない。したがって,本件各契約が有効であることを前提とする予備的主張においては,前記加算は取消されるべきである。 したがって,被告の予備的主張が認められた場合の正当額は,別紙7記載のとおりである。 (2) 本件メキシコ国及びオーストラリア国源泉税の損金性ア外国税額控除の適用を否認された結果発生する原告の損失を,ペプシコ社及びロシコ社が補償しなければならないのは,仮装取引の主張が成立する 。 (2) 本件メキシコ国及びオーストラリア国源泉税の損金性ア外国税額控除の適用を否認された結果発生する原告の損失を,ペプシコ社及びロシコ社が補償しなければならないのは,仮装取引の主張が成立する場合は別として,本件の如き欧米諸国との国際取引においては,すべての取引条件は予め契約書に明定しておくべきであって,契約書に記載のないことは主張できないというのが一般常識であるのだから,損失補償契約があらかじめ結ばれているか,両社に何らかの損害賠償責任がある場合しか考えられない。 ところが,原告とペプシコ社及びロシコ社との間に損失補償契約はなく,また,本件各契約は有効に成立していることが予備的主張の前提であるから,両社に損害賠償責任もないことは明らかであり,当事者間で源泉税の負担を協議する余地はない。 なお,本件メキシコ国源泉税(10パーセント相当額)は,本件手形買取契約において,原告の負担とされているうえ,本件覚書においては,原告が外国税額控除の対象とならないと判断した場合には,同税相当額をペプシコ社に返還請求ができることとなっているけれども,その期限は当該事業年度の確定申告書の提出期限(平成4年6月30日)迄と定められており,原告は,同期限までに返還請求をしなかった。 したがって,仮に本件メキシコ国源泉税及びオーストラリア国源泉税が外国法人税として税額控除できないものであるとしても,これに係る支出は,本件メキシコ国源泉税の5パーセント相当額と同様に,原告の損金に該当することは明らかであり,所得の計算上損金に算入されるべきである。 イまた,原告がメキシコ国及びオーストラリア国で源泉税を納付したことと,ペプシコ社及びロシコ社から損失の補償を受け得ることとは,全く別の事情である。 したがって,源泉税の損金計上時期と損失補償金の益金計上時期 告がメキシコ国及びオーストラリア国で源泉税を納付したことと,ペプシコ社及びロシコ社から損失の補償を受け得ることとは,全く別の事情である。 したがって,源泉税の損金計上時期と損失補償金の益金計上時期とは別々に検討する必要があり,外国源泉税は納付することが確定した事業年度に,損失補償金はその受領が確定した事業年度に,それぞれ計上することになるのである。 そして,メキシコ国の15パーセントの源泉税は平成4年3月期に,オーストラリア国の10パーセントの源泉税は平成4年3月期と平成5年3月期にそれぞれ納付したから,当該源泉税は同格年度の損金として計上できることに疑問の余地はない。 ウ仮に判決確定後に協議の余地があるとの被告主張に従うとしても,当事者の協議による場合には,同協議で合意に達した時が損失補償金を受領することが確定した時であるから,合意の成立までは損失補償金の益金計上はできない。 エ法人税基本通達は2-1-37で損害賠償金の帰属の時期を解説しており,損害賠償金の起因となった損害に係る損失はその損害の発生した日の属する事業年度の損金に計上できると断った上で,「他の者から支払いを受ける損害賠償金(中略)の額は,その支払いを受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが,法人がその損害賠償金の額について実際に支払いを受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には,これを認める」と宣明している。 そして,これは損害賠償の請求をしょうとする者の担税力から考えても当然の結論であろう。すなわち,相手方が認めているわけでも裁判で確実に勝訴する保障があるわけでもないのに,賠償請求の可能性がある(と課税庁が主張している)というだけで課税を認めるのは納税者にとってあまりにも酷なことであるからである。 本事案はこれと同 も裁判で確実に勝訴する保障があるわけでもないのに,賠償請求の可能性がある(と課税庁が主張している)というだけで課税を認めるのは納税者にとってあまりにも酷なことであるからである。 本事案はこれと同一の事例ではないけれども,損失と損失補償金は別個のものであり,別々に計上時期を検討すべきで,損失補償金の益金計上の時期はそれが支払われることが確定した日とすべきであるとする原告主張の正当性を裏付ける一証左である。 オ源泉税借手負担の取扱いも原告主張の正当性を証明する。すなわち,源泉税を借主が負担する場合でも貸主に外国税額控除の適用があるのは,源泉税を納付することとその補償を借主より受けることとは別の事柄であるからにほかならないからである。 カ被告主張の不当性は企業会計原則からも導くことができる。 企業会計原則はその第2,損益計算書原則の1Aで「すべての費用及び収益は,その支出及び収入に基づいて計上し,その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない」(発生主義の原則)とし,1Bで「費用及び収益は総額によって記載することを原則とし,費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない」(総額主義の原則)としている。 被告主張の仮払金処理は,損失と損失補償金とを自ずから相殺する取扱いとなる点で総額主義の原則に反し,損失を実際に発生した時期から繰り延べる点で発生主義の原則に反する。 (3)法41条との関係について被告は,原告の損金算入の「主張は,要するに,本件取引で原告が納付したとする外国法人税について,法人税法69条の適用が排除された場合でも原告において外国法人税を納付したことにかわりがないとするもののようであり」と解釈し,「仮にそうだとすると,法人税法41条により,本件取 外国法人税について,法人税法69条の適用が排除された場合でも原告において外国法人税を納付したことにかわりがないとするもののようであり」と解釈し,「仮にそうだとすると,法人税法41条により,本件取引で原告が納付したとする外国法人税の全額が損金に算入できないことになる」と主張する。 しかし,原告の主張は当該源泉税が法69条にいう外国法人税に当たらないことを前提にしたものであるから,同源泉税が法41条にいう「控除対象外国法人税」に当たらないことは自明のことであり,被告の右主張は詭弁も甚だしい。 なお,源泉税が控除対象外国法人税に当たらない場合に損金計上を認められることは,源泉税のうち高率部分に外国税額控除の適用がない例を持ち出すまでもなく明らかなことである。 第5 当裁判所の判断第5の1 本案前の主張について 1 主位的請求について(1) 更正処分と増額再更正処分との関係について更正処分がなされた後に増額再更正処分がなされた場合,更正及び増額再更正ともにそれぞれ別個の処分であることは明らかであるが,両者の関係について,主として,増額再更正は更正・決定を白紙に戻したうえで,あらためて税額を全体として確定し直す行為であるから,当初の更正・決定は増額再更正の内容としてこれに吸収されて一体となり,その外形が消滅して,独立の存在を失うとする見解(以下「吸収説」という。)と,増額再更正は更正・決定とは別個・独立の行為であり,更正・決定によって確定した税額に一定の税額を追加するにすぎず,当初の更正と増額再更正の両者によって1個の納税義務が確定されるとする見解(以下「併存説」という。)とが対立しているところ,国税通則法は,更正処分と増額再更正処分との関係について,いずれの見解をとるかを抽象的一般的に宣明するものではない。 しかしながら,増額再更正は 解(以下「併存説」という。)とが対立しているところ,国税通則法は,更正処分と増額再更正処分との関係について,いずれの見解をとるかを抽象的一般的に宣明するものではない。 しかしながら,増額再更正は当初の更正・決定をそのままにしてこれに脱漏した部分だけを追加することに限定されるものではなく,課税標準の内容の変更をも許容するものであるから,本質的には,増額再更正は,再調査により判明した結果に基づいて課税標準等及び税額等を新たに確定するものとする吸収説が正当であり,その結果,増額再更正がなされた場合には,当初の更正は増額再更正に吸収されてその内容となり独立の処分としての存在を失うに至り,更正を独立の対象としてその取消しを求める利益はなくなるものといわなければならない(最高裁昭和55年11月20日第一小法廷判決・裁判集民事131号135頁)。 原告は,吸収説の不合理性をるる主張するが,国税通則法は,これらの不合理は,個別規定による解決を図るとの立法政策を取ったものと解され,原告が併存説の根拠とする国税通則法の各規定もこれらの立法政策に基づく規定と解される。すなわち,原告が指摘する国税通則法29条の規定は,吸収説に立った場合の手続の安定性,すなわち,更正を前提とする諸手続が,更正が再更正されることにより遡及的に消滅することを防ぐための規定との理解もできるし,同法90条及び104条の各規定は,当初の更正・決定と増額再更正とは本来性質上吸収関係にある両処分ではあるが,不服審判所においては訴訟におけるような判断の抵触のおそれがないし,課税庁に再考の機会を与え,納税者に簡易・迅速な解決の道を残しておくという見地から,不服申立ての段階においては,各処分ごとに別個に争う方法を残すことにした規定ととらえることができる。 しかるところ,国税通則法は,増額再更 ,納税者に簡易・迅速な解決の道を残しておくという見地から,不服申立ての段階においては,各処分ごとに別個に争う方法を残すことにした規定ととらえることができる。 しかるところ,国税通則法は,増額再更正がなされた場合の更正の取消訴訟の訴えの利益につき,これを直接律する規定を設けておらず,したがって,この問題については,増額再更正の本質にもどって検討しなければならず,前記のとおり,増額再更正がなされた場合は,更正を独立の対象としてその取消しを求める利益はなくなるもの解される。 (2) 本件各原更正処分の取消しを求める訴えの利益本件各事業年度の課税の経緯については,別紙1及び2記載のとおりである。原告が取消しを求める本件各原更正処分については,その後,被告は,平成9年3月31日付けで新たに課税標準及び納付すべき税額を増加させる本件各再更正処分が行われている。 したがって,本件各原更正処分は,その後になされた本件各再更正処分に吸収されて独立の処分としての存在を失い,本件各原更正処分を独立の対象としてその取消しを求める利益はなく,原告の前記第1,1(1)及び同2(1)の請求にかかる訴えは不適法である。 2 予備的請求について(1) 不服申立前置国税に関する法律に基づく処分で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは,異議申立てをすることができる処分にあっては異議申立てについての決定を,審査請求をすることができる処分にあっては審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ,提起することができない旨規定されている(国税通則法115条1項)。そして,原告は,青色申告の承認を受けていることから,本件各再更正処分について,不服があれば選択により異議申立てをしないで国税不服審判所長に対して,審査請求をすることもできる(国税通則法75条参 )。そして,原告は,青色申告の承認を受けていることから,本件各再更正処分について,不服があれば選択により異議申立てをしないで国税不服審判所長に対して,審査請求をすることもできる(国税通則法75条参照)。 しかし,原告が本件各再更正処分についての異議申立て又は審査請求のいずれも経ていないことは明らかである。 ところで,国税通則法115条1項2号によれば,更正決定等の取消しを求める訴えを提起した者が,その訴訟の係属している間に当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等の取消しを求めようとするときは,他の更正決定等につき異議申立てや審査請求を経る必要のない旨規定されている。しかるところ,本件各原更正処分に対する審査請求の裁決は,平成9年3月25日付でなされ同年4月4日ころに原告にその裁決書が送達されたものであり,一方,本件各再更正処分は本件各更正処分に対する審査請求につき裁決がなされ,その裁決書が送達されるまでの間である平成9年3月31日付けでなされたものであり,上記規定が直接適用される場合ではない。しかし,本件のように,更正に対する不服申立手続きが履践され審査庁による判断が出された後に,再更正がされた場合には,当該再更正に対しても所定の不服申立手続を経由することを要求することは,更正に対する所定の不服申立手続を経由し出訴の要件を備えた納税者に対して,さらに煩雑な手続の履践を強制することとなり,本来課税庁の知識経験を生かして,簡易迅速な方法で納税者の救済を図ることを目的とする不服申立前置の制度趣旨にもとり不合理である。 しかも,前記のとおり,原告が本件各原更正処分及び本件各再更正処分を通じて主張する違法事由は共通であり,本件各再更正処分について独立に不服申立手続を経由しても異なる判断を得る可能性は低いとい る。 しかも,前記のとおり,原告が本件各原更正処分及び本件各再更正処分を通じて主張する違法事由は共通であり,本件各再更正処分について独立に不服申立手続を経由しても異なる判断を得る可能性は低いといわざるを得ない。 そうであるならば,本件各再更正処分については,国税通則法115条1項3号後段にいう「その他その決定又は裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき」に該当し,不服申立手続きを経ずに訴えを提起することができると言うべきである。 (2) 出訴期間の徒過取消訴訟は,処分又は裁決があったことを知った日から3か月以内に提起しなければならない(行政事件訴訟法14条1項)とされるところ,取消訴訟提起後に訴えの追加的併合がなされた場合,追加的に併合された新請求につき出訴期間が遵守されたかどうかは,併合時を標準として判断されると解される(最高裁昭和26年10月16日第三小法廷判決・民集5巻11号583頁)。 これを本件についてみると,被告は,平成9年3月31日に原告に対し本件各再更正処分の送達を行っていることから,原告はそのころ当該処分を知ったものと推認されるが,原告が予備的請求を追加的に併合したのは,それから約5か月経過した平成9年9月3日であるから,同予備的併合が出訴期間を徒過してなされたものであることは明らかである。 しかしながら,旧請求と新請求との間に訴訟物の同一性が認められるときや,両者の間に存する関係から,新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情がある場合には,旧訴の提起によって新訴も提起されてていたものとみることが可能である(最高裁判所昭和61年2月24日第二小法廷判決・民集40巻1号69頁)。 これを本件についてみると,新請求に係る訴えと当 場合には,旧訴の提起によって新訴も提起されてていたものとみることが可能である(最高裁判所昭和61年2月24日第二小法廷判決・民集40巻1号69頁)。 これを本件についてみると,新請求に係る訴えと当初の訴えに係る請求は対象とする処分を異にするのであるから,訴訟物が同一であるということはできないが,前記のとおり,更正は増額再更正によってその独立の存在を失い増額再更正に吸収されると解されること,原告が主張する処分の違法事由は主位的請求及び予備的請求を通じて同一であることにかんがみると,両訴えには,請求の基礎が同一で密接な関連性を有するものと認めることができる。したがって,本件各再更正処分の取消しを求める訴えについては,出訴期間に関し,当初の訴えが提起された時に提起されたものと同視することができる特段の事情が存在するものと認めるのが相当であり,出訴期間の遵守につき欠けるところはない。 3 まとめしたがって,原告の請求中,前記第1のうち,1(1)及び2(1)にかかる訴えは不適法であるが,1(2),2(2),1(1)’及び2(1)’にかかる訴えは適法である。 第5の2 本案について本件の争点は,本件源泉税を法69条に基づき税額控除することの可否であるが,被告は,本件源泉税の発生の前提となる本件各取引を,主位的には,私法上の法律構成による否認によって,予備的には,法69条の限定解釈による否認によって否認し得ると主張するので,以下,被告の各主張につき判断する。 第5の2の1 私法上の法律構成による否認について第5の2の1の1 総論 1 被告の主張の許容性(1) 時機に後れた攻撃防禦方法原告は,被告の私法上の法律構成による否認について,訴え提起後約3年を経た平成12年6月30日の本件第16回口頭弁論期日において陳述された被告第10準備書面に 性(1) 時機に後れた攻撃防禦方法原告は,被告の私法上の法律構成による否認について,訴え提起後約3年を経た平成12年6月30日の本件第16回口頭弁論期日において陳述された被告第10準備書面において,初めて主張されたものであり,時機に後れた攻撃防禦方法として却下されるべきであると主張するが,被告の上記主張は,従前の主張の根拠を法律的に明確にし,かつ,平成12年1月18日に言い渡された大阪高等裁判所の判決を引用して自己の主張を補充するものであるから,これを時機に後れた攻撃防禦方法として却下すべきであるとの原告の主張は採用することができない。 仮装取引との主張が国税通則法102条に反するか国税不服審判所長は,本件処分の審査請求の裁決書において,原処分庁が主張する本件各取引が仮装取引であるとの主張を退ける判断をしている。 そして,国税通則法102条1項は「裁決は,関係行政庁を拘束する。」と規定するところ,原告は,被告の本件各取引が仮装取引であるとの主張が同規定に違反すると主張する。 しかし,同規定は,裁決によって原処分が取消しないし変更された場合には,原処分庁をも含む関係行政庁は,同一の事情下でその裁決で排斥された原処分の理由と同じ理由で同一人に対して同一内容の処分をすることが許されないというにとどまり,もとより行政処分の審査請求手続と行政処分の取消訴訟手続とは全く別個の手続きであるから,処分を維持した裁決の結果になお不服があるとして提起された処分の取消訴訟において,処分庁が処分を根拠づけるためにする主張が裁決の理由中の判断と同一でなければならないものではなく,裁決はそのような意味での拘束力を持つとは解されない。 また,原告は,被告の同主張は国税通則法が不服申立前置主義(国税通則法115条1項)を採用した趣旨,目的に違反するとも主張 らないものではなく,裁決はそのような意味での拘束力を持つとは解されない。 また,原告は,被告の同主張は国税通則法が不服申立前置主義(国税通則法115条1項)を採用した趣旨,目的に違反するとも主張する。 確かに,不服申立の前置を要求するのは,訴訟に先立って行政内部で見直しを行うことにより,税務行政の統一的運用を図るとともに訴訟に移行した場合の事実関係の明確化に資することにあり,被告が裁決庁により排斥された主張を処分の取消訴訟で主張することは,行政の統一的運用に反する面があるが,国税通則法は,前記102条の規定を超えてこれを禁ずる規定をおいておらず,不服申立前置主義もこれを禁ずるものではないと解される。また,訴訟に移行した場合に上記のような主張がなされても事実関係の明確化に反するものとはいえない。 以上のとおり,本件において,被告が本件各取引が仮装取引である旨の主張を行うことは何ら違法ではない。 2 私法上の法律構成による否認(1) 本件における規範構造及び準拠法ア法69条1項は,「外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるもの)を納付することとなる場合」に外国税額控除を認めるが,同条の委任を受けた施行令141条1項は,「外国法人税」を「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」と定義づけている。 本件では,本件源泉税に法69条1項の適用があるか否かが問題となっているが,本件源泉税が「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により」法人である原告がサブリタス社及びカデラ社から得たとされる利息額を「課税標準として課される税」であることは当事者間に争いがないのであるから,結局,本件においては,原告がサブリタス社及びカデラ社から得たとされる利息が利子所得に当たるか ラ社から得たとされる利息額を「課税標準として課される税」であることは当事者間に争いがないのであるから,結局,本件においては,原告がサブリタス社及びカデラ社から得たとされる利息が利子所得に当たるか否かが問題となる。 イところで,「所得」は我が国租税法固有の概念であり,その「所得」に該当するか否かを判断するために準拠すべき法は我が国租税法であることは疑いがない。一方,「所得」は通常ある特定の私法上の権利又は法律関係を前提としているのであるから,当該法律関係の効力が問題となる余地もある。 そして,租税法の適用上,本件各取引の私法上の効力が問題となる場合には,本件各取引は,ニューヨーク州法を準拠法としているのであるから(甲2,3),その効力の有無についてはニューヨーク州法を準拠法とすべきとの考え方もあり得るところである(もっとも,租税訴訟で問題となるのは,我が国租税法規に定められた積極的・消極的課税要件を充足する事実の存否であり,認定された事実が課税要件に該当するか否かの法的判断の場面においては,課税の前提として当事者間の私法上の権利又は法律関係が問題とされることがあるとしても,直接に問題となるのは納税者と課税庁との間における租税法規に基づく法律関係である。そして,我が国租税法規の固有概念は我が国私法を前提として規定されたものであり,納税者と課税庁との租税法規に基づく法律関係の前提をなす当事者間の権利又は法律関係についても,我が国の私法を前提として,これに相当する経済的効果をもたらす事実関係といえるか否かを評価すれば足りるのであるから,当事者間の契約に定められた準拠法によらなければならないとする必然性はない。そして,租税法規が当該契約等の準拠法のいかんにかかわらず自国で適用されなければならない強い政策的目的を持つ法規であって,同一の経済 契約に定められた準拠法によらなければならないとする必然性はない。そして,租税法規が当該契約等の準拠法のいかんにかかわらず自国で適用されなければならない強い政策的目的を持つ法規であって,同一の経済的効果について準拠法の指定を異ならせることのみによって我が国の租税法規の適用を異ならせることができるとするような解釈は相当ではないことからすると,この場合も我が国私法を前提とするのが相当である。)。 しかし,所得に対する課税は,所得自体に担税力を認めて課税するものであるから,その原因行為の私法上の効力は原則として問題となる余地がなく,「所得」とみられる利得が,利得者が私法上有効に保有し得る場合のみでなく,私法上無効であっても,それが現実に利得者の管理支配のもとに入っている場合には,課税の対象となると解すべきである(最高裁昭和38年10月29日第三小法廷判決・集民68号529頁,最高裁昭和46年11月9日判決・民集25巻8号1120頁)。 したがって,私法上の法律構成による否認においては,契約の有効無効を判断すること自体は無意味であり,真実利得が確保されているのか否か,それが当事者の真意として利子所得に該当するのか否かが判断されなければならない。 上記判断は,結局のところ事実認定の問題に帰着し,事実認定の問題は法廷地法によるべきであり,本件においては,準拠法を問題とする余地はない。 (2) 私法上の法律構成による否認の可能性ア所得に対する課税は,私法上の行為によって現実に発生している経済効果に則して行われるものであるから,第一義的には私法の適用を受ける経済取引の存在を前提として行われる。 しかしながら,その経済取引の意義内容を当事者の合意の単なる表面的,形式的な意味によって判断するのは相当ではなく,裁判所による事実認定の結果として,納税 ける経済取引の存在を前提として行われる。 しかしながら,その経済取引の意義内容を当事者の合意の単なる表面的,形式的な意味によって判断するのは相当ではなく,裁判所による事実認定の結果として,納税者側の主張と異なる課税要件該当事実を認定し,課税が行われることは当然のことであるといえる。 イ仮装取引すなわち,当事者が外形上取引を仮装し,同外形に応じた経済的効果は発生していない場合には,これをもって課税要件を充足したものと解することができないのは明らかである(なお,通謀虚偽表示の結果,当該契約が無効とされ,結果として課税要件を充たさない場合があり得るが,これは,前記(1)イのとおり,通謀虚偽表示により契約が無効となるか否かが問題となるのではなく,その結果として,当事者間で利得の保有が確保されなくなる場合に問題になるにすぎない。したがって,私法上の契約の効力自体が直接問題となるものではない。)。 ウ真実の法律関係また,当事者間の契約等において,当事者の選択した法形式と当事者間における合意の実質が異なる場合には,取引の経済実体を考慮した実質的な合意内容に従って解釈し,その真に意図している私法上の事実関係を前提として法律構成をして課税要件への当てはめを行うべきである。 ただし,上記の解釈は,要件事実の認定に必要な法律関係については,表面的に存在するように見える法律関係に即してではなく,真実に存在する法律関係に即して要件事実の認定がなされるべきことを意味するに止まり,真実に存在する法律関係から離れて,その経済的成果や目的に即して法律要件の存否を判断することを許容するものではない。 この限度で,かかる解釈も,租税法律主義が要請する法的安定性,予測可能性を充足するものである。 エなお,上記イあるいはウの判断にあたっては,複数の当事者間で行 断することを許容するものではない。 この限度で,かかる解釈も,租税法律主義が要請する法的安定性,予測可能性を充足するものである。 エなお,上記イあるいはウの判断にあたっては,複数の当事者間で行われた個々の契約が存在するとしても,全体があらかじめ計画された一連のスキームであるならば,全体を一体のものとして判断すべきであり,そのような一連の取引は,個々の契約がそのとおり実行されていたとしても,そのことゆえに各契約が各契約所定の内容のものとして当然有効となるものではない。 第5の2の1の2 ペプシコ事案について 1 前記第2の4,1の事実によれば,次の各点を指摘することができる。 (1) 本件取引に際して原告内部で作成された書類(乙5,11の1,2)の記載によれば,ペプシコ社は,メキシコ国源泉税を軽減化する目的で本件取引に原告を介在させ,原告もこれを認識していたことが認められる。 (2) そして,本件取引に関しては,本件手形買取契約書(甲1)及び本件覚書(甲2)の合意に従って資金移動は次のとおり行われた。 ア原告は,平成3年6月6日,本件約束手形買取契約に基づき,額面金額である買取代金2億7266万6725.11米ドルをペプシコ社に対して支払った。 イペプシコ社は,平成3年7月11日,本件覚書に基づき,原告に対し,契約発効日である平成3年6月6日から同年7月1日までの間の手形金額の利息相当額128万1676米ドルを支払った。 ウサブリタス社は,約束手形の支払期日の前である平成3年7月15日,本件手形買取契約に基づき,原告に対し,元本相当額2億7266万6725.11米ドルを支払い,同時に,手形発行日である平成2年10月1日及び平成2年10月5日からそれぞれ平成3年7月15日まで年利8.16パーセントで計算した利息相当額の合計額1746万9 6万6725.11米ドルを支払い,同時に,手形発行日である平成2年10月1日及び平成2年10月5日からそれぞれ平成3年7月15日まで年利8.16パーセントで計算した利息相当額の合計額1746万9972.22米ドルからメキシコ国に納付することとなる源泉税(利息に対して15パーセント)相当額262万0495.83米ドルを控除した,源泉税控除後の残金額1484万9476.39米ドルを支払った。 エ原告は,平成3年7月15日,本件覚書に基づき,ペプシコ社に対し,1557万8637.73米ドルを送金した(その内訳は,サブリタス社から受領した前記ウの1484万9476.39米ドルに,サブリタス社から原告に支払われることとなる利息相当額1746万9972.22米ドル(源泉税控除前)に対する10パーセント相当の金額174万6997.22米ドル(原告の外国税額控除適用額)を加算した金額1659万6473.61米ドルから,同加算した金額である174万6997.22米ドルに対して平成3年7月15日から平成4年6月30日までの間年利6.8125パーセントの割合で計算された割引金額(資金の持ち出しによる資金コスト相当額)10万7132.33米ドル,及び平成3年7月1日から同年7月15日までの間LIBORに0.65パーセントを加算した金利で計算された手形金額の利息相当額70万4899.51米ドル,更に取引実行手数料20万5804.04米ドルを加えた合計額101万7835.88米ドルを控除した金額である。)。 これらの資金の流れ及びその定め方からすると,原告とペプシコ社との間では,手形の代金を算定するにあたって,ペプシコ社が,サブリタス社から原告に支払われる利息を,5パーセントの率による源泉税部分を除き回収し,原告に実質的に資金需要が生じた平成3年6月6日から との間では,手形の代金を算定するにあたって,ペプシコ社が,サブリタス社から原告に支払われる利息を,5パーセントの率による源泉税部分を除き回収し,原告に実質的に資金需要が生じた平成3年6月6日から平成3年7月15日まで,一定の対価を支払うという点に主眼が置かれて定められたと解するのが相当である。 (3) さらに,本件覚書6項によると,利息額の10パーセント相当額,すなわちコミット金額(本件覚書5項bにおける金額を指す)は,原告が外国税額控除の適用を受けられない場合には,外国税額控除を受けられる金額を限度として原告が負担することとなる旨取り決められている。 2 検討上記の点からすると,原告は,ペプシコ社がメキシコ国源泉税を軽減する目的で原告の外国税額控除の余裕枠を利用するために本件手形買取契約・本件覚書を締結したことを理解し,そのための対価を得ることを目的として,本件手形買取契約及び本件覚書を締結したものと認められる。 しかしながら,当事者らは,本件取引により,所期の目的を達成するために,本件取引の形式を選択し,それに応じた法的効果を意図して本件手形買取契約・本件覚書を締結したのであり,しかも,同契約に応じた現実の資金移動も行われているのであるから,これをもって,仮装行為であると解することはできない。 次に,真実の法律関係について検討するが,ここでの真実の法律関係は,原告との関係で問題となるのであるから,原告を含めた当事者間で,その経済的目的を実現するための真実の法律関係を探求すべきである。被告は,このような意味でいかなる法律関係が真実の法律関係であると主張するのか必ずしも明確ではないが,当事者が求めた経済的目的は,ペプシコ社にとっては,サブリタス社へより低いコストで融資を行うため,原告を介して,その外国税額控除の余裕枠を利用してメ 関係であると主張するのか必ずしも明確ではないが,当事者が求めた経済的目的は,ペプシコ社にとっては,サブリタス社へより低いコストで融資を行うため,原告を介して,その外国税額控除の余裕枠を利用してメキシコ国源泉税を軽減することであり,原告にとっては,外国税額控除の余裕枠を提供し,利得を得ることにあるのである。このように,当事者の経済的目的を法律関係として端的に構成すると原告からペプシコ社への役務の提供契約ということができるが,この場合の「役務」は単なる事実行為ではなく,何らかの法律関係を介在して行う役務である。 そして,原告及びペプシコ社は,この役務を実現するための法律関係として本件取引及びその結果として生ずる原告によるメキシコ国源泉税の納付を選択したものであり,この法律関係が,例えば,サブリタス社からのペプシコ社への貸金の返済のための送金事務の提供とみることは擬制にすぎ,原告及びペプシコ社の選択した法律関係が当事者の真実の法律関係ではないとすることは相当ではない。 第5の2の1の3 ロシコ事案について 1 前記第2の4,2の事実によれば,次の各点を指摘することができる。 (1) 本件取引に際して原告内部で作成された書類や原告が公認会計士から入手した文書(乙7ないし9)の記載,さらには,原告も自らの外国税額控除の余裕枠を確認した上で,本件債権譲受・預金契約を締結した事情からすると,ロシコ社は,オーストラリア国源泉税を軽減化する目的で本件取引に原告を介在させ,原告もこれを認識していたことが認められる。 (2) そして,本件取引に関しては,本件債権譲受・預金契約(甲3)の合意に従って資金移動は次のとおり行われた。 ア本件債権譲受・預金契約の締結日,すなわち代金の決済日である平成3年9月1日当日には,原告とロシコ社との間に現実の資金の動きは全くな 預金契約(甲3)の合意に従って資金移動は次のとおり行われた。 ア本件債権譲受・預金契約の締結日,すなわち代金の決済日である平成3年9月1日当日には,原告とロシコ社との間に現実の資金の動きは全くないが,それに関する会計処理として,原告は,平成3年9月3日に借方をカデラ社に対する貸付金8000万AUドル,貸方をANZBANK 8000万AUドルとし,平成3年9月5日に借方をANZMELBOURNE 8000万AUドル,貸方をロシコ社からの定期預金8000万AUドルとして,それぞれ平成3年9月1日に日付を遡って起票した。 イカデラ社は,平成4年2月1日,原告に対し,平成3年9月1日から平成4年1月31日まで年利11.75パーセント(貸付金利)で計算した利息額394万0273.97AUドルからオーストラリアにおける源泉税(利息に対して10パーセント)相当額39万4027.40AUドルを控除した金額354万6246.57AUドルを送金し,一方,原告は,同日,右の送金を受けた後,本件債権譲受・預金契約に基づき,ロシコ社に対し,平成3年9月1日から平成4年1月31日まで年利11.40パーセント(貸付金利から0.35パーセントを引いた利率)の預金利息額382万2904.11AUドルを支払った。 ウカデラ社は,平成4年8月1日,本件債権譲受・預金契約に基づき,原告に対し,平成4年2月1日から平成4年7月31日まで年利7.995パーセント(貸付金利)で計算した利息額318万9238.36AUドルからオーストラリアにおける源泉税(利息に対して10パーセント)相当額31万8923.84AUドルを控除した金額287万0314.52AUドルを送金し,一方,原告は,同日,右の送金を受けた後,本件債権譲受・預金契約に基づき,ロシコ社に対し,平成4年2月1 ト)相当額31万8923.84AUドルを控除した金額287万0314.52AUドルを送金し,一方,原告は,同日,右の送金を受けた後,本件債権譲受・預金契約に基づき,ロシコ社に対し,平成4年2月1日から平成4年7月31日まで年利7.645パーセント(貸付金利から0.35パーセントを引いた利率)預金利息額304万9621.92AUドルを支払った。 エ平成4年7月31日付けで,本件債権譲受・預金契約にかかる預金は中途解約され,本件預金をもって充当して本件貸金は相殺され,貸付金はロシコ社に移管された。 これらの資金の流れ及びその定め方からすると,原告とロシコ社との間では,ロシコ社への預金利息の支払により,カデラ社から受け取った税引き後の利息のみならず原告が外国税額控除として受ける利益をも支払い,原告は,貸付金額に対し年0.35パーセントの割合による率の対価の支払いを受けるという点に主眼が置かれて定められたと解するのが相当である。 (3) 本件債権譲受・預金契約9項aには,原告が外国税額控除を受けられない時は,中途解約を行うことができる旨取り決められている。 2 検討上記の点からすると,原告は,ロシコ社がオーストラリア国源泉税を軽減する目的で原告の外国税額控除の余裕枠を利用するために本件債権譲受・預金契約を締結したことを理解し,そのための対価を得ることを目的として,本件債権譲受・預金契約を締結したものと認められる。 しかしながら,当事者らは,本件取引により,所期の目的を達成するために,本件取引の形式を選択し,それに応じた法的効果を意図して本件手形買取契約・本件覚書を締結したのであり,原告がロシコ社から譲り受けた貸付債権の代金については,実際の資金移動を省略することが合意されているものの,これはロシコ社が原告に同額の預金を設定することが 買取契約・本件覚書を締結したのであり,原告がロシコ社から譲り受けた貸付債権の代金については,実際の資金移動を省略することが合意されているものの,これはロシコ社が原告に同額の預金を設定することが合意されているため,現実の資金移動を省略したにすぎず,一方,前記のとおり,本件債権譲渡・預金契約に基づく履行が現実になされているのであるから,これをもって,仮装行為であると解することはできない。 次に,真実の法律関係について検討するが,前記ペプシコ事案と同様の観点からすると,当事者が求めた経済的目的は,ロシコ社にとっては,カデラ社へより低いコストで融資を行うため,原告を介して,その外国税額控除の余裕枠を利用してオーストラリア国源泉税を軽減することであり,原告にとっては,外国税額控除の余裕枠を提供し,利得を得ることにあるのである。すなわち,ここでも,当事者の経済的目的を法律関係として端的に構成すると原告からロシコ社への役務の提供契約ということができるが,原告及びロシコ社は,この役務を実現するための法律関係として本件取引及びその結果として生ずる原告によるオーストラリア国源泉税の納付を選択したものであり,原告及びロシコ社の選択した法律関係が当事者の真実の法律関係ではないとすることは相当ではない。 第5の2の1の4 小括以上のとおり,被告の私法上の法律構成による否認の主張は採用することができない。 第5の2の2 法69条の限定解釈について 1 課税減免規定の限定解釈の許容性前記第5の2の1の判断のとおり,本件取引から利子所得を得て,本件各外国源泉税を納付したのは法律的には真実原告であるといわざるを得ないが,以下法69条1項を限定解釈し,原告が同条項にいう本件各外国源泉税を納付したものではないとの認定判断が可能か否か検討する。 ところで,租税法律 したのは法律的には真実原告であるといわざるを得ないが,以下法69条1項を限定解釈し,原告が同条項にいう本件各外国源泉税を納付したものではないとの認定判断が可能か否か検討する。 ところで,租税法律主義の見地からすると,租税法規は,納税者の有利・不利にかかわらず,みだりに拡張解釈したり縮小解釈することは許されないと解される。 しかし,税額控除の規定を含む減免規定は,通常,政策的判断から設けられた規定であり,その趣旨・目的に合致しない場合を除外するとの解釈をとる余地もあり,また,これらの規定については,租税負担公平の原則から不公平の拡大を防止するため,解釈の狭義性が要請されるものということができる。 したがって,租税法律主義によっても,かかる場合に課税減免規定を限定解釈することが全く禁止されるものではないと解するのが相当である。 ところで,具体的にどのような限定解釈が可能であるかは,各課税減免規定を通じて一般化することはできず,各法規の文言,関連規定の定め方,制度の趣旨等から,当該課税減免規定から要請される解釈を探るべきである。 2 法69条(外国税額控除制度)そこで,上記観点に立ち,法69条(外国税額控除制度)の趣旨を検討する。 (1) 外国税額控除制度の創設の趣旨,改正経緯我が国の法人税法は,法人の国内所得と国外所得を含めた所得全体(全世界所得)を課税対象としており,海外支店の事業所得,本店が海外に投資を行うことから生じる利子,配当,使用料等の法人が国外で得た所得(国外所得)についても,国内で得た所得と同様に課税されることとなる。 しかし,国外所得に関しては,各国が独自に発達されてきた租税制度の下に固有の課税権を排他的,普遍的に行使しており,日本国の課税権の行使される範囲が,他国の行使する課税権の範囲と重複,競合する場合が生じ得る。 国外所得に関しては,各国が独自に発達されてきた租税制度の下に固有の課税権を排他的,普遍的に行使しており,日本国の課税権の行使される範囲が,他国の行使する課税権の範囲と重複,競合する場合が生じ得る。また,所得の源泉地である外国が課税権を行使することは,国際的に認められていることから,同一の所得(課税物件)に対して,我が国と外国の双方の課税権が重複,競合する問題が生じるところとなる。 外国税額控除制度は,このような国際間の二重課税を排除するため昭和28年に創設されたものであり,我が国法人の海外支店等の所得に対し,外国で我が国の法人税に相当する課税を受けた場合には,当該外国で課された所得に対して我が国で法人税を課する際にその国外所得に対する我が国の法人税額の限度内で,外国で課税された税額を控除できることとなった。 ところで,国際二重課税を排除する方法としては,外国税額控除のほかに,国外所得免除方式があるが,我が国が外国税額控除制度を採用したのは,内外投資の中立性,すなわち,国内企業が国外進出を選択することが,国内活動をするより不利に扱われないということを重視したものである。これは,企業の海外進出に伴う経済のグローバル化と国際的な資本移動の自由化が進むなかで,我が国企業の海外活動を容易にし,活発な資本交流を維持,促進し,世界的な経済資源の効率的配分に資するとともに,我が国経済の長期的発展を支えるという政策を重視していたからに他ならない。なお,国外所得免除方式は,企業の居住地国において,国外所得に対する課税権を放棄するというものであり,この方式の下では,外国での課税額が少なければ少ない分だけ,企業の税負担は小さくなり,その意味で内外投資への中立性は確保されない。 そして,この外国税額控除制度は,昭和30年代後半には,我が国企業の海外事業活動 ,外国での課税額が少なければ少ない分だけ,企業の税負担は小さくなり,その意味で内外投資への中立性は確保されない。 そして,この外国税額控除制度は,昭和30年代後半には,我が国企業の海外事業活動の活発化に即応し,昭和37年及び同38年の改正を通じて,従前の控除すべき限度額の計算を所得の生じた当該外国ごとに行う国別限度額方式から,国外所得全体として一括して限度額の計算をする一括限度額方式を採用する等大幅な拡充整備が行われてきた。 しかし,この一括限度額方式は,控除限度額の計算が比較的簡明であるといった利点がある反面,軽課税国又は非課税国の国外所得から創出される控除限度額を利用して,我が国の実効税率を超える高率で課された外国税についてまで我が国で控除され得るため,結果として国際二重課税の排除という制度本来の趣旨を超えた控除が行われることとなるほか,高税率で課された外国の租税を控除できるようにするため,高率課税国に進出している企業が,控除枠をつくるためだけのために軽課税又は非課税国に投資を行うなど,企業が控除枠の創出を目的とした投資行動をとる誘因となるといった制度の趣旨に反する問題が生じた(「昭和63年改正税法のすべて」(乙3)383頁以下及び昭和61年10月税制調査会答申(乙15)参照)。 このような制度の趣旨に反する問題をできる限り除去し,制度の本来の趣旨に沿って所要の措置を講じたのが,昭和63年12月の改正である。同改正では,①控除限度額計算上の国外所得から当該非課税国外源泉所得に係る所得の2分の1に相当する金額を控除することとされ,また,②外国において50パーセントを超える税率で課される外国法人税のうち50パーセントを超える部分を控除対象外国法人税額から除くこととし(法施行令142条の2),さらに,金融業等利子収入割合の高い法 ,②外国において50パーセントを超える税率で課される外国法人税のうち50パーセントを超える部分を控除対象外国法人税額から除くこととし(法施行令142条の2),さらに,金融業等利子収入割合の高い法人の所得率が10パーセント以下の場合は利子等の収入金額の10パーセントを超える部分,所得率が10パーセントを超え20パーセント以下の場合は利子等の収入金額の15パーセントを超える部分を控除対象外国法人税の額から除外することとし(同条2項),③これまで5年間の控除繰越しが認められていた控除余裕枠及び控除限度超過外国税額について,その繰越期間をいずれも3年に短縮した。 (2) 外国税額控除制度の内容についてア控除限度額外国税額控除の制度については,法69条1項において「内国法人が各事業年度において外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものをいう。)を納付することとなる場合には,当該事業年度の所得の金額につき66条1項から3項まで(各事業年度の所得に対する法人税の税率)の規定を適用して計算した金額のうち,当該事業年度の所得でその源泉が国外にあるものに対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を限度として,その外国法人税の額(その所得に対する負担が高率な部分として政令で定める金額を除く。)を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する」旨規定している。 このように,外国税額控除は,外国に租税を納付したからといって,無制限にその納付した金額について税額控除を認められるのではなく,次の①の額又は計算式②で算出される額のうち,いずれか少ない金額を限度として控除を認められている(法69条1項,法施行令142条1項,なお,計算式②の括弧書きの割合は,平成4年3月期は,2分の1(平成4年3月31日政令第85号に れる額のうち,いずれか少ない金額を限度として控除を認められている(法69条1項,法施行令142条1項,なお,計算式②の括弧書きの割合は,平成4年3月期は,2分の1(平成4年3月31日政令第85号による改正前のものが適用される。),平成5年3月期は,12分の7(平成4年改正法施行令(平成4年3月31日政令第85号)附則5条)となっている)。 (計算式)①各事業年度において納付することとなる外国法人税の額②各事業年度の全世界所得に対する日本の法人税の額当該事業年度の国外所得金額(外国で非課税とされる所得の3分の2を除く)当該事業年度の全世界所得イ控除余裕枠及び控除限度超過外国税額についての繰越期間法69条2項及び3項においては,外国税額控除の限度額が当該事業年度に課された外国税額よりも大きく,限度額に余裕が生じた場合には,その余裕の範囲内で当該事業年度前3年以内の事業年度中に課された外国税額で,それらの年度の限度額を超えるため控除しきれなかった部分の外国税額を当期に繰り越して控除できること,反対に,当該事業年度に課された外国税額がその控除の限度額を超え十分控除しきれないときは,当該事業年度前3年以内の事業年度における控除限度額に余裕がある場合に,当該事業年度の限度額に右に述べた余裕額を加えた範囲内で,その当期の外国税額を控除することができることを規定している。 これは,我が国における所得計算が,発生主義を基調として行われており,外国における課税は必ずしもその課税原因となった国外源泉所得の発生に対応する我が国の課税年度中に行われるわけではなく,また,現行の外国税額控除制度が個々の国外源泉所得とそれに対応する外国法人税額を個別的に対応させて控除するのではなく,当期において納付することとなった外国法人税額を控除限度額の範囲内で控除す なく,また,現行の外国税額控除制度が個々の国外源泉所得とそれに対応する外国法人税額を個別的に対応させて控除するのではなく,当期において納付することとなった外国法人税額を控除限度額の範囲内で控除することとなっているために,前後3年間の期間を通じて対応させ,国外源泉所得の発生時期と外国法人税額とのずれを調整するものである。 なお,余裕枠の繰越しについては,経過規定により平成元年4月1日から平成6年3月31日までの間に開始する事業年度については,従前の前5年の事業年度からの繰越限度額及び繰越外国法人税額の適用を認めている(昭和63年改正法(昭和63年12月30日法第109号)附則18条1項)。 ウ控除対象外国法人税法69条1項(外国税額の控除)に規定する外国の法令により課される法人税に相当する税とは,外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税(以下「外国法人税」という。)であることが要件とされており(施行令141条1項),また,法人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で,法人の特定の所得につき,徴税上の便宜のため,所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの等が外国法人税に含まれることとされている(施行令141条2項3号)。 さらに,法69条1項は,その所得に対する負担が高率な部分として政令で定める金額を除くとしているが,具体的には,負担が高率な部分として,外国において50パーセントを超える税率で課される外国法人税のうち50パーセントを超える部分(法施行令142条の2)がこれに当たるとされ,さらに,原告のように金融業を主として営む内国法人が納付することとなる所得税法23条1項(利子所得)に規定する利子等の収入金額を課税標準として源泉徴収の方法に類する 42条の2)がこれに当たるとされ,さらに,原告のように金融業を主として営む内国法人が納付することとなる所得税法23条1項(利子所得)に規定する利子等の収入金額を課税標準として源泉徴収の方法に類する方法により課される外国法人税については,所得率が10パーセント以下の場合は利子等の収入金額の10パーセントを超える部分,所得率が10パーセントを超え20パーセント以下の場合は利子等の収入金額の15パーセントを超える部分を控除対象外国法人税の額から除外することとされている(施行令142条の3第2項1号)。 3 限定解釈の可能性被告は,法69条1項の「納付することとなる場合」を限定解釈し,本件各取引における原告の外国源泉税の納付がこれに当たらないと主張するので,以下,前記1,2を前提に同文言の限定解釈の可能性を検討する。 (1) まず,同条の文言は,「納付することとなる場合」と一義的な規定をしており,「納付」自体は,租税債務の弁済であり,「納付」は我が国租税法上の固有概念であるところ,我が国の租税法上は,第三者の納付も許容されており(国税通則法41条),その文言自体から,例えば,真実経済的に外国法人税を負担する者による納付に限定することはできず,解釈の幅は極めて狭いといえる。 (2) つぎに,制度趣旨の点から検討するに,前記2の認定事実から明らかなように,外国税額控除制度は,結局のところ,同一の所得に対する国際二重課税を排斥し,かつ,資本輸出中立性を担保しようとする極めて合理的な政策目的に基づくものである。 ところで,昭和63年の抜本的な改正時には立法者によって,外国税額控除枠のいわゆる彼此流用の問題(一括限度額方式の下で,我が国の実効税率を超える高率で課された外国税が,他の軽課税ないし非課税とされた国外所得から生じる控除枠を利用して控除され 者によって,外国税額控除枠のいわゆる彼此流用の問題(一括限度額方式の下で,我が国の実効税率を超える高率で課された外国税が,他の軽課税ないし非課税とされた国外所得から生じる控除枠を利用して控除されてしまうという問題)は認識されていた。かかる彼此流用の結果,国際二重課税の制度趣旨を超えて内国法人に税額控除の利益を与えることもあり,控除枠を創出するために,軽課税国ないし非課税国へ投資するという傾向が強まるという資本移動のゆがみが生ずることも認識されていた。 ところが,昭和63年12月の法改正は,これを一般的に禁止することはせず,控除限度額の枠の管理を強化したり,高率部分を控除対象外国法人税に含めないとすることによって対応することを明らかにしたものであると解され,彼此流用については,その限度で許容するという割り切った立法政策を採ったものと解される。 したがって,内国法人が控除限度枠をみずからの事業活動上の能力,資源として利用することを一般的に禁ずることはできないといわなければならない。 (3) しかしながら,本件各取引の問題は,同一法人内の彼此流用の問題ではなく,当事者の経済的な真意として,外国法人に控除枠を利用させて,その対価を得る取引が問題となっているのであるから,別途の考察が必要である。 そこで検討するのに,上記(1)のとおり,文言上は限定解釈の余地は極めて狭く,また,上記(2)のとおり,外国税額控除の制度趣旨である,国際二重課税の排斥及び資本輸出中立性の確保も一定後退せざるを得ない。しかし,その根底には,あくまでも内国法人の海外における事業活動を阻害しないという政策があるのであるから,およそ正当な事業目的がなく,税額控除の利用のみを目的とするような取引により外国法人税を納付することとなるような場合には,納付自体が真正なものであった 活動を阻害しないという政策があるのであるから,およそ正当な事業目的がなく,税額控除の利用のみを目的とするような取引により外国法人税を納付することとなるような場合には,納付自体が真正なものであったとしても,法69条が適用されないとの解釈が許容される余地がある。 4 具体的な判断基準そこで,法69条の「納付することとなる場合」に該当しないとする具体的な判断基準について,検討する。 この点について,被告は,法69条1項の「納付することとなる場合」とは,内国法人が正当な事業目的を有する通常の経済活動に伴う国際取引から必然的に外国税を納付することとなる場合をいうと主張し,当該取引が正当な事業目的を有し,当該取引から生じる外国税の納付が法69条1項の「納付することとなる場合」に該当するか否かについては以下の具体的判断基準,すなわち,取引開始前に検討されるべき事項として,(1)事業の目的及び取引に至る経緯,(2)取引の種類,(3)契約内容の妥当性,(4)予定される決済の妥当性,(5)期待利益の妥当性,(6)利益の帰属,(7)既存取引参画の合理性,取引開始後に検討されるべき事項として,(8)取引内容の妥当性,(9)資金の流れ,(10)リベート等収入の有無を総合的に検討の上,判断されなければならないとしている。しかしながら,被告の主張する上記判断基準は,以下に述べる理由により,採用することはできない。 すなわち,被告の主張する判断基準は,グレゴリー事件の判決において示された,当時の歳入法の組織変更規定の趣旨・目的(立法意図)から事業目的の基準を導き出し,当該取引は,形の上では組織変更の定義に該当するとしても,租税回避のみを目的とするもので,事業目的を持っていないことを理由に,それは立法者の予定している組織変更には当らず,したがって,非課税規定の適 当該取引は,形の上では組織変更の定義に該当するとしても,租税回避のみを目的とするもので,事業目的を持っていないことを理由に,それは立法者の予定している組織変更には当らず,したがって,非課税規定の適用を受け得ない,と解することによって,租税回避行為の否認を認めたのと同じ結果に到達した解釈技術,すなわち,非課税規定の立法目的にてらして,その適用範囲を限定的にあるいは厳格に解釈し,その立法目的と無縁な租税回避のみを目的とする行為をその適用範囲から除外するという解釈技術を本件事案に導入したものと考えられる。しかしながら,前述のとおり,法69条1項の「納付することとなる場合」という文言は,その「納付」という概念自体及び我が国租税法上第三者の納付も許容されていることにかんがみ,限定解釈する余地が極めて狭い上,上記グレゴリー事件判決において確立されたといわれる「事業目的の原理」と同趣旨の概念である「正当な事業目的」を用いて「納付」の意味・内容を限定することには無理があり,困難であるといわざるを得ない。しかも,「正当な事業目的」か否かを判断するために総合考慮されるべき要素の大半は「妥当性」という判断と結びつけられていて,結局,被告のいう「正当な事業目的」か否かは,事業を全体としてみて妥当なものか否かという判断に帰着することとなるのは明らかであって,かかる判断自体客観性に問題があり,国民の経済活動の予測可能性を害する危険をはらんでいると評価せざるを得ない。のみならず,正当な事業目的を認定するには,事業目的の多様性,私的自治の原則,経済的合理人として租税の軽減を図ることは一般的に許容されていること,営利法人にとって最大の関心事は,税引き後利益であり,税を企業経営若しくは投資その他の利潤追求行動上のコストの一つとして認識することは当然であること,さらに, を図ることは一般的に許容されていること,営利法人にとって最大の関心事は,税引き後利益であり,税を企業経営若しくは投資その他の利潤追求行動上のコストの一つとして認識することは当然であること,さらに,前記のとおり,税額控除の枠を自らの事業活動上の能力,資源として利用することを法が一般に禁じているとは解されないことなどに留意する必要があり,かつ,租税法律主義から要請される基準の明確性からもきわめて問題があるといわなければならない。 これらの点に鑑みるならば,取引各当事者に,税額控除の枠を利用すること以外におよそ事業目的がない場合や,それ以外の事業目的が極めて限局されたものである場合には,「納付することとなる場合」には当たらないが,それ以外の場合には「納付することとなる場合」に該当するという基準が採用されるべきである。 具体的には,内国法人が預金利息に源泉税が課されない国の支店を通じて,利息等の収入金額に高率の源泉税を課す国の外国法人に融資を行うと同時に,当該外国法人から同額の預金を受け入れるといった事案においては,融資の利息に課された源泉税を納付しても,法69条1項の「納付することとかる場合」に該当しないこととなろう。 5 本件各取引へのあてはめこれを本件についてみると,本件においては,ペプシコ社にはサブリタス社を通じてメキシコ国の企業の株式を取得するという事業目的があり,原告の有する控除枠を利用するのは,あくまでも,メキシコ国への投資の総合的コストを低下させるための手段と位置づけることが可能であり,同様に,ロシコ社もカデラ社を通じてオーストラリア国の企業の株式を取得するという事業目的があり,原告の有する控除枠を利用するのは,あくまでも,オーストラリア国への投資の総合的コストを低下させるための手段と位置づけることが可能である。 原告 リア国の企業の株式を取得するという事業目的があり,原告の有する控除枠を利用するのは,あくまでも,オーストラリア国への投資の総合的コストを低下させるための手段と位置づけることが可能である。 原告は,金融機関として,ペプシコ社及びロシコ社の意図を認識した上で,自らの外国税額控除枠を利用して,よりコストの低い金融を提供し,その対価として,ペプシコ事案では0.65パーセントの,ロシコ事案では0.35パ一セントの利ざやを得る取引を行ったと解することができる。 原告は,自らの金融機関としての業務の一環として,自らの外国税額控除枠を利用してコストを引き下げた融資を行ったのであり,これらの行為が事業目的のない不自然な取引であると断ずることはできない。 そして,原告の0.65パーセントあるいは0.35パーセントの利ざやを得る取引を行うとの事業目的は,当時の金利水準からして必ずしも不自然なものではなく(甲20の1ないし3),極めて限局された事業目的であるとも断ずることはできない。 6 小括以上のとおり,被告の法69条の限定解釈による否認の主張も採用することはできない。 第5の2の3 まとめ,税額以上のとおり,本件源泉税については法69条が適用されるべきであり,これに反する被告の本件各再更正処分,過少申告加算税賦課決定処分は違法であり,取消しを免れない。 そこで,以下正当な税額及び過少申告加算税を検討する。 第5の2の3の1 平成4年3月期 1 所得金額の計算について(1) 平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2335億2128万6197円(2) 交際費等の損金不算入額3729万5890円(3) 国外関連者に対する寄附金の損金不算入額 335億2128万6197円(2) 交際費等の損金不算入額3729万5890円(3) 国外関連者に対する寄附金の損金不算入額1億5096万9697円(4) 損金の額に算入した控除対象外消費税額の減少額8万5576円(5) 繰延消費税額の損金算入額の増加額98万2573円(6) 交際費等の損金不算入額の減少額1746円(7) 所得金額2337億0865万3041円被告は,上記(1)の平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2335億2128万6197円に,同(2)ないし(4)の合計金額1億8835万1163円を加算し,同(5)及び(6)の合計額98万4319円を減算した金額,すなわち,2337億0865万3041円が所得金額となる。 2 法人税額について(1) 所得金額に対する法人税額876億4074万4875円被告は,原告の当期の所得金額が,前記1(7)のとおりであるとして,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額2337億0865万3000円に法66条1項に規定する税率100分の37.5を乗じて計算した876億4074万4875円を同所得金額に対する法人税額とした。 (2) 控除税額262億1842万1533円争いのない控除税額259億4861万3937円に,本件取引から生じた控除対象外国法人税合計額2億6980万7596円を加算した金額をもって控除税額 262億1842万1533円争いのない控除税額259億4861万3937円に,本件取引から生じた控除対象外国法人税合計額2億6980万7596円を加算した金額をもって控除税額とした。 (1) 差引合計法人税額614億2232万3300円同税額は,前記(1)の所得金額に対する法人税額876億4074万4875円から,同(2)の控除税額262億1842万1533円を減算した金額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたもの)である。 したがって,平成4年3月期再更正処分のうち,納付すべき税額が614億2232万3300円を超える部分は違法である。 3 過少申告加算税賦課決定について平成4年3月期にかかる平成7年6月22日付過少申告加算税賦課決定による税額のうち,本件取引が違法に否認されたことによって増加した税額を検討する。 すなわち,平成4年3月期再更正処分で新たに加減算された項目を除外し,平成4年3月期原更正処分で本件源泉税が違法に否認されたことによって増加した税額を検討するに,それは,前記第2の3の1の事実によれば,原更正処分において差引合計税額とされた616億0740万1900円から,直前の平成7年3月31日付更正処分における,差引合計税額613億5206万0700円を控除した2億5534万0000円(国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた金額)であり,この100分の10に相当する2553万4000円が違法な過少申告加算税であると認められる。 したがって,本件過少申告加算税賦課決定処分のうち,平成7年11月8日に変更された過少申告加算税2576万0000円から上記2553万4000円を控除した差額である22万60 であると認められる。 したがって,本件過少申告加算税賦課決定処分のうち,平成7年11月8日に変更された過少申告加算税2576万0000円から上記2553万4000円を控除した差額である22万6000円を超える部分は違法であると認められる。 第5の2の3の2 平成5年3月期 1 所得金額の計算について(1) 平成7年3月31日付け更正処分による所得金額1116億0876万7628円(2) 交際費等の損金不算入額3億0675万7300円(3) 国外関連者に対する寄附金の損金不算入額1億5000万8953円(4) 損金の額に算入した控除対象外消費税額の減少額4万1896円(5) 繰延消費税額の損金算入額の増加額92万6530円(6) 交際費等の損金不算入額の減少額1207円(7) 事業税の損金算入額1972万6800円(8) 所得金額1120億4492万1240円被告は,前記(1)の平成7年3月31日付け更正処分による所得金額1116億0876万7628円に,同(2)ないし(4)の合計金額4億5680万8149円を加算し,同(5)ないし(7)の合計額2065万4537円を減算した金額,すなわち,1120億4492万1240円をもって所得金額とした。 2 法人税額について(1) 所得金額に対する法人税額420億1684万5375円被告は,原告の当期の所得金額が前記1(8) 1240円をもって所得金額とした。 2 法人税額について(1) 所得金額に対する法人税額420億1684万5375円被告は,原告の当期の所得金額が前記1(8)のとおりであるとして,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額1120億4492万1000円に法66条1項に規定する税率100分の37.5を乗じて計算し,同所得金額に対する法人税額を,420億1684万5375円とした。 (2) 控除税額258億0932万5609円争いのない控除税額257億8294万9033円に本件取引により生じた控除対象外国法人税額2637万6576円を加算して求めた。 (3) 差引合計法人税額162億0751万9700円同税額は,前記(1)の所得金額に対する法人税額420億1684万5375円から,同(2)の控除税額258億0932万5609円を減算した金額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたもの)である。 したがって,平成5年3月期再更正処分のうち,納付すべき税額が162億0751万9700円を超える部分は違法である。なお,原告は,162億0751万9800円を超える部分の取消しを求めている。 3 過少申告加算税平成5年3月期にかかる平成7年6月22日付過少申告加算税賦課決定処分による税額のうち,本件取引が違法に否認されたことによって増加した税額を検討する。 すなわち,平成5年3月期再更正処分で新たに加減算された項目を除外し,平成5年3月期原更正処分で本件源泉税が違法に否認されたことによって増加した税額を検討する(すなわち,平成5年3月期原更正処分で本件取引が否認されなかった 再更正処分で新たに加減算された項目を除外し,平成5年3月期原更正処分で本件源泉税が違法に否認されたことによって増加した税額を検討する(すなわち,平成5年3月期原更正処分で本件取引が否認されなかった場合の税額を検討する。)。 前記第2の3の2の事実によれば,上記金額は次のように計算される。 (1) 所得金額の計算について平成7年3月31日付け更正処分による所得金額1116億0876万7628円(2) 法人税額についてア所得金額に対する法人税額418億5328万7625円上記(1)の金額から国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額1116億0876万7000円に法66条1項に規定する税率100分の37.5を乗じた金額。 イ控除税額258億0932万5609円控除税額と認められた金額である257億8294万9033円に否認された控除対象法人税額が2637万6576円を加算した金額。 ウ差引合計法人税額160億4396万2000円上記アからイの金額を控除した金額(国税通則法119条1項の規定により100円満の端数金額を切り捨てたもの)である。 以上からすると,本件取引が違法に否認されたことによって増加した税額は,原更正処分において差引合計税額とされた160億6600万8400円から上記金額を控除した2204万6400円であり,これを国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた金額である2204万0000円の100分の10に相当する220万4000円が違法な過少申告加算税であると認められる。 したがって,本件過少申告加算税賦課決定処分 り1万円未満の端数金額を切り捨てた金額である2204万0000円の100分の10に相当する220万4000円が違法な過少申告加算税であると認められる。 したがって,本件過少申告加算税賦課決定処分の税額1億3271万3000円から平成10年2月25日付け賦課決定処分で一部取り消された1000円を減額した1億3271万2000円から上記220万4000円を控除した金額である1億3050万8000円を超える部分は違法であると認められる。なお,原告は,1億3050万9000円を超える部分の取消しを求めている。 第6 結論以上のとおり,前記第1のうち,1(1)及び2(1)の請求に係る訴えはいずれも不適法であるから却下することとし,その余の請求はいずれも理由があるから認容することとし,主文のとおり,判決する。 大阪地方裁判所第二民事部裁判長裁判官三浦潤裁判官林俊之裁判官徳地淳

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