- 1 -主文 被告人Xを懲役8年に、被告人Y及び被告人Zをそれぞれ懲役6年に処する。 未決勾留日数中、被告人Xに対し210日を、被告人Y及び被告人Zに対し各240日を、それぞれその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人3名は、K及び氏名不詳者らと共謀の上、金品を強取しようと考え、令和6年9月18日午前0時25分頃、さいたま市内(住所省略)の被害者方に、1階北東側勝手口ドアのガラスを手に持ったハンマーで叩き割り、同勝手口の施錠を外して侵入し、その頃から同日午前2時3分頃までの間に、同所2階において、A(当時65歳)に対し、「金を出せ。」などと言い、同人の頬及び頭部を手のひらで数回叩き、同人の身体を手で押さえつけて床上に座らせた上、同人の両手を後ろ手にして粘着テープで縛り、同人の口に粘着テープを貼り付けて塞ぐなどの暴行を加え、さらに、同所1階において、B(当時87歳)に対し、「財布はどこだ。」などと言い、同人の口に粘着テープを貼り付けて塞ぎ、同人の両手を粘着テープで縛る暴行を加え、両名の反抗をそれぞれ抑圧した上、A及びB所有又は管理の現金合計約10万8000円並びに財布1個等127点(時価合計約3万9100円相当)を強取し、その際、前記一連の暴行により、Aに加療約14日間を要する急性腰痛症の傷害を、Bに加療約7日間を要する右母指皮下出血の傷害をそれぞれ負わせた第2 被告人Xは、他人の親族等になりすまして、その親族が現金を至急必要としているかのように装って現金をだまし取ろうと考え、氏名不詳者らと共謀の上、同年9月12日、氏名不詳者らが、複数回にわたり、埼玉 - 2 -県秩父市(住所省略)所在のC方に電話をかけ、同人(当時82歳)に対し、電話の 金をだまし取ろうと考え、氏名不詳者らと共謀の上、同年9月12日、氏名不詳者らが、複数回にわたり、埼玉 - 2 -県秩父市(住所省略)所在のC方に電話をかけ、同人(当時82歳)に対し、電話の相手が同人の息子等であり、Cの息子が現金を至急必要としているので、同人のために代わりに行くオカダに現金を渡してもらいたい旨嘘を言い、さらに、同日、被告人Xが、C方において、同人に対し、オカダになりすまし、Cを、電話の相手方が同人の息子等であり、Cの息子が現金を至急必要としており、被告人XがCの息子のために現金を預かるものと誤信させ、よって、その頃、同所において、Cから現金120万円の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させた。 (量刑の理由)強盗致傷についてみると、氏名不詳者から多額の現金等を持ち逃げした者の家から金品を奪うなどと伝えられ、ハンマー等の用具を準備した上、これを用いて4人で侵入し、3人が電話による指示を受けながら実行したもので、綿密ではないが、相応に準備して行われた計画的な犯行であり、犯罪組織の関与もうかがえる。 凶器を用いたり、殴るなどの強度な暴行を加えておらず、各被害者の傷害も比較的軽微なものにとどまっている。しかしながら、用具を持参し、AについでBをテープで縛ったり、暗証番号を言うように平手で叩くなどした態様は悪質であり、Aらの抵抗次第ではさらに危険な事態に発展する可能性もあった。そして、被害者方に長くとどまり、広く被害者方を物色し、多数の金品を持ち出しているので、高額の金品を奪ったとはいえないが、犯行が失敗に終わったなどとはいえない。深夜自宅に押し入られ縛られるなどされた高齢の被害者両名に対し強い恐怖・精神的苦痛を与え、事件後も不安を感じさせている。 被告人らはいずれも指示役に個人情報を握られ報復等を恐れ などとはいえない。深夜自宅に押し入られ縛られるなどされた高齢の被害者両名に対し強い恐怖・精神的苦痛を与え、事件後も不安を感じさせている。 被告人らはいずれも指示役に個人情報を握られ報復等を恐れて従ったなどと述べている。しかし、勧誘のされ方等に差異はあるが、いずれも報酬を得ることを目当てに加わったといえ、そもそもが相当怪しい仕事であっ - 3 -た上侵入強盗をすると分かったのであれば警察に頼るなどして思いとどまるべきであった。いずれも、指示側を怖いと感じた点や経緯を特に酌むことはできず、指示を受ける立場とはいえ、侵入強盗の仕事に安易に加わる決断をしたことには、各被告人に対し厳しい非難を向けることができる。 被告人Yは、用具購入、それを用いた被害者方侵入、物色など事前の準備から犯行全体にわたり関与した。犯行当時20歳であったが、被告人Yの関与の状況からして他の共犯者に比して格別非難を下げるべきではない。 被告人XはAの指を折るよう指示されても従わなかったが、道具で叩く指示があることはAに伝え、暗証番号を聞き出そうとし、1階や2階で動いて物色するなどの関与をしている。被告人Zは、物色等に加わっていない時間が若干あったとうかがえるが、共犯者の動きにならい自らの判断で2階に上がり物色を行うなどしている。他の共犯者に比してやや寄与が少ない面があるが、被告人Zも侵入強盗の現場に入り物色等も行っている以上、その責任に格別差を設けるべきではない。 加えて、被告人Xは、闇金への返済が滞ったことで自ら受け子を希望して特殊詐欺事件に加わり120万円を受け取る役割をし、間を置かず本件強盗致傷に及んでいるので一層強い非難に値する。 以上を前提に検討すると、同種事犯(共犯(実行共同正犯を含む)による侵入強盗類型の強盗致傷既遂1件、傷害の程度は2週間 取る役割をし、間を置かず本件強盗致傷に及んでいるので一層強い非難に値する。 以上を前提に検討すると、同種事犯(共犯(実行共同正犯を含む)による侵入強盗類型の強盗致傷既遂1件、傷害の程度は2週間以内、前科なし)の量刑傾向の中で、被告人Y及び同Zの犯情は中程度、被告人Xの犯情はそれよりやや重いと位置づけられる。なお、SNS等を介して集められた実行役らが住居等に押し入り金品を奪う強窃盗や詐欺に加わるいわゆる闇バイトの事犯が多発し社会における不安も高まっており、一般予防の観点も無視できない。 その上で、各被告人は、それぞれ事実を認め反省の弁を述べるとともに、被害者へ謝罪文を作成し、いずれも受領を拒否されているが相応の金員を - 4 -準備(被告人Yは20万円、被告人Zは相応額、被告人Xは40万円(詐欺事件の被害者への弁償も含む。))し被害弁償の提案をしている。今後の更生環境について、被告人Xは長年の友人、被告人Yはその母親、被告人Zはその父親が公判廷で社会復帰後の支援を誓約している。 そこで、これらの事情を踏まえ、被告人らを主文の刑に処することが相当であると判断した。 (求刑被告人Xについて懲役12年、被告人Y及び同Zについてそれぞれ懲役9年、弁護人の科刑意見被告人X及び同Zについて懲役4年、被告人Yについて懲役5年)(さいたま地方裁判所第5刑事部裁判長裁判官小池健治裁判官並河浩二裁判官志村塔子)
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