1 被告は,Aに対し4万7250円及びこれに対する平成15年9月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 訴訟費用は,被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,埼玉県北埼玉郡北川辺町(以下「北川辺町」という。)の住民である原告が,北川辺町長のAが町議会議員らに対していわゆるお中元として缶ビールセットを配付したことは,公職選挙法199条の2第1項等に反する違法なものであり, また,上記缶ビールセット15セットの代金(合計4万7250円)を北川辺町が交際費として支出したこと(以下「本件支出」という。)は,行政の公正性,中立性を害するものであること等から違法なものであり,それらの違法行為の結果,北川辺町は上記缶ビールセット代金相当額の損害を被ったと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,当時北川辺町長の職にあったAに上記缶ビールセット代金に相当する4万7250円の損害賠償の請求をするように求めた住民訴訟である。 2 基本的事実関係(当事者間に争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者等ア原告は,北川辺町の住民である。 イ Aは,平成11年10月に北川辺町長に就任し,現在に至るまで北川辺町長の職にある。 (2) 缶ビールセットの購入及び配付北川辺町は,平成15年6月末ころ,1セット3150円(消費税を含む。)の缶ビール15セット(合計4万7250 円分)を町内の業者に発注し,同年7月初旬に,町長であるAが上記業者から上記缶ビールセットを受け取り,同月26 セット3150円(消費税を含む。)の缶ビール15セット(合計4万7250 円分)を町内の業者に発注し,同年7月初旬に,町長であるAが上記業者から上記缶ビールセットを受け取り,同月26 日,Aは,上記業者に対し,上記缶ビールセット代金合計4万7250円を北川辺町に立て替えて支払った。 Aは,平成15年7月ころ,北川辺町議会議員14名(共産党議員を除く全議員)及び区長会長1名の合計15名(以下,併せて「議員等」という。)に対し,それぞれの議員等の居宅を訪問し,上記缶ビールのセットをそれぞれ配付した。 (3) 交際費の支出北川辺町においては,上記缶ビールセット代金合計4万7250円について支出負担行為及び支出命令が行われた。それに基づき,北川辺町は,平成15年9月10日,平成15年度一般会計予算総務費,総務管理費,一般管理費,交際費から,Aに対し,Aが立て替えて支払った缶ビールセット代金合計4万7250円を支払い,支出を執行した(本件支出)。 なお,北川辺町において,本件と同様に各議員等に対して中元贈答品として缶ビールセット等が贈られ,それが町長交際費の中から支出された記録としては,平成14年8月のものと平成15年9月のものの2回しか存在しない。 (4) 本件訴訟に至る経緯ア原告は,平成16年3月18日,北川辺町監査委員に対し,Aの缶ビールセット配付行為は公職選挙法に抵触する違法な行為であり,缶ビールセット代金を北川辺町の交際費から支出した本件支出は違法であるとして,北川辺町へ缶ビールセット代金相当額を返還する措置を求めて,監査請求を行った。しかし,同監査委員は,本件支出は,時代の趨勢,経費節減等を勘案し ら支出した本件支出は違法であるとして,北川辺町へ缶ビールセット代金相当額を返還する措置を求めて,監査請求を行った。しかし,同監査委員は,本件支出は,時代の趨勢,経費節減等を勘案し,今後の執行については取りやめる等の配慮をする必要があることを付言したものの,上記缶ビールセット配付行為及び本件支出は違法ではないとして,同年5月17日付けで,上記監査請求を棄却した。 イそこで,原告は,平成16年6月16日,本件訴えを提起した。 3 争点本件の争点は,北川辺町の4万7250円の支出(本件支出)が違法な公金の支出に当たるかどうかであり,具体的には, 缶ビールセット配付行為が公職選挙法199条の2第1項等に反するかどうか及び本件支出が交際費の支出として相当なものかどうかである。 4 当事者の主張(1) 原告の主張ア Aは,平成11年10月に北川辺町長に当選したが,その後の平成11年12月と平成12年から平成14年までの各年の7月と12月の2回ずつ贈答品を議員等に配付しており,それらの贈答品には,短冊等により北川辺町からの贈答品であることを示すものは何もつけられていなかった。 そして,平成15年7月の缶ビールセットの配付についても何ら短冊のない缶ビール入りの包みを議員等に配付しており,かつ,北川辺町としての贈答品であることの説明もなく,北川辺町の贈答品とは認められない状態であって,Aの個人としての配付行為というべきである。 このような行為は公職選挙法199条の2第1項の寄附行為の禁止に該当する違法な行為である。 イ仮に,北川辺町を代表する町の行為であったとしても,北川辺町として,議員等に対し,円滑な議会 このような行為は公職選挙法199条の2第1項の寄附行為の禁止に該当する違法な行為である。 イ仮に,北川辺町を代表する町の行為であったとしても,北川辺町として,議員等に対し,円滑な議会運営,調整のためという抽象的理由で贈答品を贈与することは,行政の公正性,中立性を害するおそれがあり許されない。また,北川辺町の町長選挙は,平成15年10月に行われることとなっており,その町長選挙の3か月前に,北川辺町の町長が,議員等に対し,缶ビールセットを配付する行為は,公私混同の疑いを強く抱かせる行為であり,行政の公正性,中立性を害するおそれがあり許されない。 また,Aが町長当選以降行ってきた贈答品の配付のうち,平成12年と平成13年の各7月と12月の分,平成14年 12月分については,北川辺町からの出費はなく,かつそれらの贈答品に北川辺町からとする短冊等の表示がなかったことも併せ考えると,A個人としての贈答品といわざるを得ず,それ以降町長の交際費から出費する特段の必要性は認められない。 したがって,交際費としての出費は許されないものである。 ウ以上のとおりであり,本件支出は違法である。 (2) 被告の主張ア公職選挙法には,公職の候補者等(公職にある者を含む。)の寄附の禁止について規定する。 公職選挙法199条の2第1項及び第2項は「公職の候補者等」がいろいろな名義をもって行う寄附や公職の候補者等を名義人とする寄附の禁止を規定したものである。 本件では,町長が,町の予算である交際費に基づき,町を代表して儀礼として行ったもので,個人的な行為ではない。 また,これは,今までの町長の 附の禁止を規定したものである。 本件では,町長が,町の予算である交際費に基づき,町を代表して儀礼として行ったもので,個人的な行為ではない。 また,これは,今までの町長の時代からずっとお中元時に定期的に行われてきたものである。相手方は町議会議員と区長会長である。農村社会において,慣例的に行われてきたもので,町長が日ごろから町政について尽力していただいていることに対する儀礼として,個々の宅へ出向き,行政の話をし,町政に対する理解と協力をお願いし,留守宅には名刺と贈答品を置いてきたものである。このように,町の予算に基づき,町を代表して行ったものであり,町そのものの行為であって,他人の名義(町長の名義)を借りた個人的な寄附(公職選挙法199条の2第1項)ということは考えられず,公職の候補者等を名義人とする寄附(同条第2項)とも認められない。 また,同法199条の3についても,この団体には,地方自治法232条の2の関係からも,地方公共団体は含まれないと解されており,この規定の適用もない。 また,公職選挙法199条の4についても,「当該選挙に関し」てのものであり,本件はこれにも該当しない。 したがって,いずれも公職選挙法違反の問題は生じない。 なお,このことについては,刑事被疑事件においても起訴猶予ではなく嫌疑不十分となっていることからも明らかである。 イまた,本件支出が交際費の支出として社会通念を著しく逸脱した裁量権の濫用に当たるような違法な支出といえるかどうかであるが,当該地域の風土や慣例,相手方,金額,時期等を総合的に考えて判断すべきである。 そして,今までの人情に厚い農村社会の慣行として行われ に当たるような違法な支出といえるかどうかであるが,当該地域の風土や慣例,相手方,金額,時期等を総合的に考えて判断すべきである。 そして,今までの人情に厚い農村社会の慣行として行われてきたことから,前例踏襲的に行われたものであることや, 1人当たり3000円程度など金額が極めて低く社会通念上も相当の範囲内であり,総体としても4万7250円であること,町政運営に対し,助言,協力,指導等を期待できる者に対し,町政への理解や人間関係を深める上で必要であると判断して行ったものであることなど,諸事情を総合的にみれば,本件支出は社会通念上許容される範囲内の行為であり, 裁量権の濫用があったとはいえない。 ウしたがって,本件支出は適法である。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記認定事実に加え,証拠(甲2,4,5,10,11,乙1ないし6)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 Aは,平成11年10月に北川辺町長に就任したが,平成11年12月,平成12年,13年の各年7月と12月,平成1 4年の7月にそれぞれ贈答品(缶ビールのセットや海苔のセット)を議員等に配付していた(Aは,平成14年暮れは議会内に対立があったため,贈答を取りやめた旨供述している。また,上記各贈答の中で町長交際費の中から支出された記録としては平成14年7月のものしか北川辺町には残っていない。)。 そして,町長であるAは,平成15年7月も従前と同様に,贈答品として缶ビールのセットを議員等15名に対し配付することとした。そこで,北川辺町は,平成15年6月末ころ,3150円(消費税を含む。)の缶ビールのセット15セットを業者に発注し,同年7月初旬に,町長である のセットを議員等15名に対し配付することとした。そこで,北川辺町は,平成15年6月末ころ,3150円(消費税を含む。)の缶ビールのセット15セットを業者に発注し,同年7月初旬に,町長であるAが上記業者から缶ビールセットを受け取り,同月26日,Aは,上記業者に対し,上記缶ビール代金合計4万7250円を北川辺町に立て替えて支払った。その後,北川辺町は,平成15年9月10日, 平成15年度一般会計予算総務費,総務管理費,一般管理費,交際費から,Aに上記4万7250円を支払った。 Aは,議員等の自宅に赴いて議員等に缶ビールセットを直接手渡し,議員等が不在の場合は缶ビールセットを議員等の家族に渡し,議員等の家族も不在の場合には缶ビールセットを議員等の玄関に置くなどして配付した。その際,上記缶ビールセットは紙で包装されていたものののし紙等はつけずにそのまま配付された。 なお,本件以降は,本件訴訟の提起もあって議員等に対する中元等の配付は行われなくなった。 2 缶ビールセット配付行為の公職選挙法違反の有無まず,原告は,本件における缶ビールセットの配付行為が,公職選挙法199条の2等の規定に違反するものであると主張する。 公職選挙法199条の2第1項,第2項の規定は,公職にある者を含む公職の候補者等が行う寄附あるいは上記公職の候補者等を寄附の名義人とする寄附を禁止する規定であることは,その文言から明らかである。 そこで,本件をみると,缶ビールセットに「北川辺町長A」と表示したのし紙もその他何らかの表示もないところから,公職選挙法199条の2第1項違反の疑いが全くないわけではない。しかしながら,本件は,北川辺町が町として缶ビールセットを注文し,町長であるAが議 のし紙もその他何らかの表示もないところから,公職選挙法199条の2第1項違反の疑いが全くないわけではない。しかしながら,本件は,北川辺町が町として缶ビールセットを注文し,町長であるAが議員等の自宅を訪問して贈答し,受け取る側もA個人ではなく北川辺町代表者町長としてのAからの中元との認識の可能性が全くなかったとはいえないこと,その支出は北川辺町の予算に基づきなされたものであること等の事情に鑑みると,本件の缶ビールセットの贈答は,A個人を名義人として行われたというよりむしろ北川辺町長をその名義人として行ったものとみられないでもなく,公職にあるAが行ったとか同人を名義人として行われたとまで断ずることはできない。 そうすると,下記に述べるように交際費の支出として許容されるかは別論として,本件の缶ビールセット配付行為自体をもって公職選挙法199条の2第1項,第2項にいう寄附行為に該当する違法なものということはできない。 また,同法199条の3についても,同条の「団体」には,地方公共団体は含まれないと解され,本件缶ビールセットの配付行為において上記規定が適用されるものではない。 したがって,本件缶ビールセットの配付行為が直ちに公職選挙法に抵触し本件支出が違法な公金の支出であるということはできない。 3 交際費支出の違法の有無次に,原告は,本件支出は違法な交際費の支出であると主張する。 (1) 地方自治法232条1項は,普通地方公共団体は,当該普通地方公共団体の事務を処理するために必要な経費その他法律又はこれに基づく政令により当該普通地方公共団体の負担に属する経費を支弁するものと規定しているところ,普通地方公共団体の長又は執行機関が,当該普通地方公共団 するために必要な経費その他法律又はこれに基づく政令により当該普通地方公共団体の負担に属する経費を支弁するものと規定しているところ,普通地方公共団体の長又は執行機関が,当該普通地方公共団体の事務を遂行し対外的折衝等を行う過程において,社会通念上儀礼の範囲にとどまる程度の接遇や交際を行うことは,当該普通地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動している以上,上記事務に随伴するものとして,許容されるものというべきである。しかし,それが公共的存在である普通地方公共団体により行われるものであることに鑑みれば,事務遂行の過程や対外的折衝等をする際に行われた接遇や交際であっても, 社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものである場合には,当該接遇ないし交際は普通地方公共団体の事務に当然伴うものとはいえず,これに要した費用を公金により支出することは許されないというべきである(最高裁平成元年9月5日判決,判例時報1337号43頁参照)。 そして,地方公共団体の執行機関と議会は,相互に牽制し合う立場にある反面,町政の円滑な運営のために,日ごろから十分な意思の疎通や意見の交換を図るべき必要があることも否定できないところであり,町長は,町政の執行上必要と認められる場合には,町議会議員等との間で,社会通念上相当と認められる範囲内の接遇や交際を行い,そのために儀礼の範囲内として相当な程度の公金を交際費から支払うことも,許されないではない。しかし,その反面,その接遇,交際等の趣旨,内容,支出額等に照らし社会通念上地方公共団体の行う交際等の範囲とはいえないと認められるときは,そのための支出を公金から行うことは許されないものと解される。 (2) これを本件についてみるに,A 額等に照らし社会通念上地方公共団体の行う交際等の範囲とはいえないと認められるときは,そのための支出を公金から行うことは許されないものと解される。 (2) これを本件についてみるに,Aは,平成11年12月以降,平成12,13年の夏と冬,平成14年の夏に各議員等に缶ビールセット等を贈ってきたが,平成15年夏もこれまでと同様,中元の趣旨で各議員等に缶ビールセットを贈答したことが認められる。しかし,これらの贈答のうち町長交際費の中から支出された形跡が認められるのは平成14年夏と本件平成15年夏の2回にとどまるのであり,町の交際費をもって各議員等に歳暮や中元を贈ることが町の慣例となっていたとまでは本件証拠上認めがたい。 また,本件缶ビールセットの配付は,町長であるAが,各議員等の自宅を訪れ,各議員等に手渡すか,議員等が不在の場合には家族に渡すか若しくは家族等の不在の場合には玄関に置くなどして配付したものであり,その配付は,一部の議員等を除く議員等全員に配付したものであることが認められる。ところで,我が国の一般社会では,中元品や歳暮品の授受を通じて相互の友好増進や人間関係の密を図る趣旨で中元や歳暮の風習があり,これが民間ばかりでなく公共団体の間でもこれまで比較的広く行われてきたことは公知の事実である。しかし,民間の場合であればともかく,地方公共団体がそのようなことを公金をもってすべきかどうかは議論の存するところであり,まして町の行政の円滑な遂行等の観点から対外的な交際等のために行うのではなく,町長が町の内部機関である議会の議員等に対して公金である交際費の中から支出して中元や歳暮を贈ることは,今日のように税金の使い道に対して国民から厳しい監視の目を向けら 等のために行うのではなく,町長が町の内部機関である議会の議員等に対して公金である交際費の中から支出して中元や歳暮を贈ることは,今日のように税金の使い道に対して国民から厳しい監視の目を向けられている折柄,その額のいかんに関わらず,その相当性,必要性に関しては疑問があるといわざるを得ない。 このことは,平成15年4月1日から実施されている「北川辺町交際費執行基準」(甲5)に照らしてもいえることである。すなわち,北川辺町では,平成15年4月1日から「北川辺町交際費執行基準」(甲5)が実施されていることが認められるところ,それによれば,交際費は,町長等が行政執行等のため,町を代表して外部と公の交渉をするために要する経費で,執行に当たっては,社会通念上妥当と認められる範囲で,必要最小限にとどめるべきものであるとされている(北川辺町交際費執行基準1条)。そして,その支出の範囲は,①祝金,②香料・供花・生花,③見舞金,④関係団体への会費, ⑤懇談会費,⑥贈答品,⑦その他とされており(同3条),贈答品以外についてはその別表1で標準的な適用範囲が定められていて,いずれも原則として特別の必要がある場合に限るとされている。贈答品については標準的な適用範囲の定めはないが,上記基準の趣旨からして,町長交際費からの贈答品の支出は無制限ではなく,特別の功労や一定の記念行事,祝い事等に際して功労者,関係者らに町を代表して町長からの贈答品を贈るのに合理的理由が認められる場合等,特別の必要がある場合に行われることが予定されているというべきである。本件のように特別の機会でもないのに,単に議員等に対する中元の趣旨で交際費を用いて缶ビールセット等を贈答することは,上記交際費執行基準上予定されている ることが予定されているというべきである。本件のように特別の機会でもないのに,単に議員等に対する中元の趣旨で交際費を用いて缶ビールセット等を贈答することは,上記交際費執行基準上予定されている範囲とは必ずしも認めがたい。 (3) さらに,本件缶ビールセット配付行為は前記2で述べたように町長としての行為と評価し得ないでもないから直接公職選挙法の規定に抵触すると断定はできないが,公職選挙法199条の2は,選挙地盤の培養に結びつく行為を禁止し,選挙の公正を確保するとともに,候補者の出費の増大を防止するという趣旨を有しているものである。そして,平成15年10 月には北川辺町の町長選挙が行われたことは公知の事実であるところ,本件は,上記町長選挙を約3か月後に控えた平成1 5年7月の時点において,公職にある町長が,缶ビールセットを紙で包装しただけで北川辺町長Aであることを示したのし紙等を貼ることもなく議員等に贈答したものであり,その態様は,個別に議員等の自宅を訪問し,共産党議員を除く議員等一人一人に対し配付したというのであるから,上記行為は公職選挙法が選挙地盤の培養に結びつく行為を防止し選挙の公正を確保しようとした趣旨にそぐわない面があるともいい得るのであり,行政に要求される信用保持,中立性等の観点からも,上記贈答費用を公金から支出することは,その相当性に疑問がある。 (4) 以上を総合すると,本件各議員等に対する中元品の贈答は,町長が公金をもって行い得る社会通念上相当と認められる儀礼の範囲を超えるものというべきであり,町長交際費として公金を支出するにつき許容される裁量の範囲を逸脱し,違法なものと認められる。 被告は,本件贈与のような議員等に対する中元は 儀礼の範囲を超えるものというべきであり,町長交際費として公金を支出するにつき許容される裁量の範囲を逸脱し,違法なものと認められる。 被告は,本件贈与のような議員等に対する中元は,これまで歴代の町長も行ったきたことで,そうした慣行に従ったにすぎないと答弁するが,仮にそうしたことが過去に行われてきたことがあったとしても,本件支出を正当化するものではない。 4 Aの責任及び損害以上のとおり,本件支出は違法であるところ,Aは,町長として,缶ビールセットの購入に係る支出負担行為及び支出命令を行う本来的権限を有しているものである。 そして,本件では,これまでの認定事実から明らかなように,A自らが缶ビールセットの引渡しを受け,業者に立替払を行い,本件缶ビールセットの配付を行っており,Aは,本件缶ビールセットの配付及び本件支出の趣旨・内容を十分認識していたと認められるところ,近年の公費の厳格な執行が求められる時代の趨勢や前記北川辺町交際費執行基準に照らせば,本件缶ビールセットの配付及び交際費からの支出はその相当性を欠くものと判断し得る余地は十分あったというべきである。しかるに,町長であるAは,本件缶ビールセット配付行為及び本件支出に関する交際費からの支出負担行為及び支出命令については,過去の例等を根拠にその相当性,必要性等について十分検討することもないまま行っているもので,本件支出が違法に行われたことについてAには少なくとも過失があったものと認められる[なお,支出負担行為及び支出命令について,専決により処理していたとしても,長は,専決に係る補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により上記補助職員が財務会計上の違 命令について,専決により処理していたとしても,長は,専決に係る補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により上記補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときには,上記補助職員がした財務会計上の違法行為により当該普通地方公共団体が被った損害につき責任を負うものと解され(最高裁平成3年12月20 日判決・民集45巻9号1455頁参照),上記のような事情に鑑みると本件においてはAが違法な本件支出に係る支出負担行為及び支出命令につき指揮監督上の義務に反することも明らかである。]。 そうすると,本件支出は違法というべきであるから,本件缶ビールセット代金総額4万7250円が北川辺町の損害というべきであり,Aは,缶ビールセット代金(合計4万7250円)の支出負担行為及び支出命令により北川辺町が被った損害について賠償責任を負うものである。 5 結論以上の次第で,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 さいたま地方裁判所第4民事部裁判長裁判官豊田建夫裁判官富永良朗裁判官松村一成
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