令和4(ネ)10077 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和5年4月19日 知的財産高等裁判所 3部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 令和2(ワ)33192
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令和5年4月19日判決言渡令和4年(ネ)第10077号損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和2年(ワ)第33192号)口頭弁論終結日令和5年2月20日判決 控訴人 X 被控訴人株式会社講談社 同訴訟代理人弁護士弘中惇一郎同弘中絵里同大木勇同品川潤同白井徹 同竹崎裕同水野遼太 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、100万円及びこれに対する平成29年8月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要⑴ 本件は、控訴人が、被控訴人に対し、被控訴人の発行する雑誌(本件雑誌)に掲載された記事(本件記事)のうち、原判決別紙記事目録記載1ないし4の各記載(本件記載1ないし4)は、控訴人の社会的評価を低下させる事実を公然と摘示したものであるから、同各記載の掲載は名誉毀損に当たり、原 判決別紙写真目録写真1ないし4の各写真(本件写真)は、いずれも、控訴人の容ぼうが写っ 、控訴人の社会的評価を低下させる事実を公然と摘示したものであるから、同各記載の掲載は名誉毀損に当たり、原 判決別紙写真目録写真1ないし4の各写真(本件写真)は、いずれも、控訴人の容ぼうが写っており、控訴人が著作権を有するものであるから、同各写真の掲載は、控訴人の肖像権及び著作権を侵害するとして、不法行為に基づき、損害賠償金及び上記雑誌の発行日である平成29年8月17日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分 の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 ⑵ 原審が控訴人の請求を棄却したため、控訴人は、これを不服として、本件控訴を提起した。 ⑶ なお、控訴人は、原審においては合計660万円(名誉毀損につき400万円、肖像権侵害及び著作権侵害につき各100万円、弁護士費用60万円) の損害賠償金を請求していたが、当審において、この請求額を合計100万円(名誉毀損につき70万円、肖像権侵害及び著作権侵害につき各15万円)に減縮した。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、後記3のとおり当審にお ける補充主張を付加するほかは、原判決「事実及び理由」の第2の2及び3並びに第3(原判決2頁7行目ないし12頁9行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。 3 当審における補充主張〔控訴人の主張〕 ⑴ 本件記事の掲載は、長年にわたって控訴人及び同人が経営する会社に対し て嫌がらせ行為を続けている者が被控訴人の記者と手を組んで行った誹謗中傷行為であり、中立的な報道ではない。 ⑵ Aは、同人の息子外1名と共に控訴人が経営する会社を訪れたと供述しているが、Aは来社しておらず、虚偽の供述である。こ 訴人の記者と手を組んで行った誹謗中傷行為であり、中立的な報道ではない。 ⑵ Aは、同人の息子外1名と共に控訴人が経営する会社を訪れたと供述しているが、Aは来社しておらず、虚偽の供述である。このことは、乙5の1の音声ファイルにAの声が録音されていないことや、Aの息子が机をひっくり 返すなどして暴れた様子を撮影した動画及び静止画が存在することなどからも明らかである。 ⑶ Aは、控訴人から本件写真を交付されたと供述しているが、控訴人がAに本件写真を交付した事実はなく、虚偽の供述である。原判決別紙写真目録写真1、3及び4の各写真は、控訴人のデジタルカメラ又はスマートフォンで 撮影されたものであり、写真として現像されたことはないので、交付などできるわけがない。また、同目録写真2の写真は、古いポラロイド写真であり、控訴人が経営する会社が乗っ取られた際に持ち出された可能性が高い。 〔被控訴人の主張〕⑴ 控訴人の主張⑴に対し 本件記事は、社会的地位を有していた控訴人が社会的に強い非難の対象とされる行為をしたという社会的関心の高い事実を報じたものであり、公益を図る目的で掲載されたものである。また、被控訴人は、本件記事の作成に当たって、控訴人への出資者であるA本人に取材し、Aから提供された客観的資料及び取材結果を照合して、その信用性及び正確性を吟味した上で記事を 作成した。 このような本件記事の掲載目的や作成経過等に照らすと、本件記事が正当な目的の下に行われた公正な報道であることは明らかである。 ⑵ 控訴人の主張⑵に対しAの供述は、同人が現に体験した事実について述べたものであり、その内 容は自然かつ合理的である上、客観的証拠とも符合しており、信用性を否定 すべき事情は存しない。 控訴人の主張⑵に対しAの供述は、同人が現に体験した事実について述べたものであり、その内 容は自然かつ合理的である上、客観的証拠とも符合しており、信用性を否定 すべき事情は存しない。また、そもそも、Aが同席していたか否かにより、乙5の1の音声記録における控訴人の発言の存否や意味内容が左右されるものではない。 ⑶ 控訴人の主張⑶に対し本件写真を控訴人から交付されたとするAの供述の信用性を否定すべき 事情や、Aが本件写真を盗んだと認められるような事情は存しない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1ないし3(名誉毀損、肖像権侵害及び著作権侵害の各成否)について⑴ 当裁判所も、原審と同様に、被控訴人が本件記載1ないし4を本件雑誌に掲載した行為は名誉毀損として不法行為を構成するものとはいえず、また、 被控訴人が本件写真を本件雑誌に掲載した行為は控訴人の肖像権及び著作権を侵害するものとはいえないと判断する。 ⑵ その理由は、次のとおり原判決を補正するほかは、原判決の説示(原判決12頁11行目ないし23頁23行目)のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)原判決23頁4行目ないし5行目の「原告のブログで公開されていた写真であったという事情も考慮すれば、」を「また、控訴人によれば、本件写真はいずれも控訴人のブログにおいて公開されていたと思われるとのことであり、そうであれば、本件写真の内容は相当程度の範囲の者に知られていたものと いえる上、控訴人も本件写真が広く公開されることを許容していたものといえることからすれば、本件写真が本件雑誌に掲載されることにより、」に改める。 2 当審における控訴人の補充主張に対する判断⑴ 前記第2の3〔控訴人の主張〕⑴について ものといえることからすれば、本件写真が本件雑誌に掲載されることにより、」に改める。 2 当審における控訴人の補充主張に対する判断⑴ 前記第2の3〔控訴人の主張〕⑴について ア控訴人は、本件記事の掲載は長年にわたって控訴人及び同人が経営する 会社に対して嫌がらせ行為を続けている者が被控訴人の記者と手を組んで行った誹謗中傷行為であり、中立的な報道ではない旨主張する。 しかしながら、控訴人の上記主張は客観的な証拠による裏付けを欠くものであり、控訴人が主張するような誹謗中傷行為の存在を認めることはできない。そして、本件記載1ないし4が、当時社会的地位を有していた控 訴人が社会的に強い非難の対象とされる行為を犯したことに関連する事情を摘示するものであり、公共の利害に関する事実に係り専ら公益を図る目的で掲載されたものであると認められることは、原判決が説示するとおりである。 イしたがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑵ 同〔控訴人の主張〕⑵についてア控訴人は、Aの息子外1名と共に控訴人が経営する会社を訪れたとするAの供述は虚偽である旨主張する。 そこで検討するに、確かに、乙5の1の音声ファイルにはAの声が録音されていない。しかしながら、原判決が説示するとおり、控訴人の事務所 における話合いにおいて、Aの息子が暴れている様子はうかがわれず、かえって、資料を示しながら控訴人に事実関係を確認していることが認められる(乙5の1及び2)ことからすれば、控訴人との話合いは息子に任せていた旨のAの供述(証人A〔反訳書1ないし2頁〕)が不自然な内容であるとはいえず、このほか、上記の話合いの状況に係るAの供述の信用性を 疑うべき事情は存しない。他方で、Aの 合いは息子に任せていた旨のAの供述(証人A〔反訳書1ないし2頁〕)が不自然な内容であるとはいえず、このほか、上記の話合いの状況に係るAの供述の信用性を 疑うべき事情は存しない。他方で、Aの息子が机をひっくり返すなどして暴れていた旨の控訴人の供述は、客観的証拠である上記音声ファイルの内容に反するものであり、信用することができない。そうすると、上記の話合いの状況に係るAの供述は、全体として信用することができるから、控訴人の上記主張は採用することができない。 なお、仮に、Aが上記の話合いに同席していなかったとしても、控訴人 は、Aの代わりに話合いに臨んだAの息子を通じて、Aに対して本件記載4に係る発言をしたといえるのであるから、いずれにせよ、本件記載4に係る前記の判断が左右されるものではないというべきである。 イしたがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑶ 同〔控訴人の主張〕⑶について ア控訴人は、控訴人が本件写真をAに交付した事実はない旨主張する。 しかしながら、本件写真が撮影された状況や本件写真の内容等を考慮すると、被控訴人が本件写真を控訴人に無断で本件雑誌に掲載する行為が控訴人の肖像権を侵害するものであるということはできないことは、前記のとおり補正して引用する原判決の説示のとおりであり、この判断は、Aが 控訴人から本件写真を交付されたか否かによって左右されるものではないというべきである。 イしたがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑷ その他の主張についてこのほか、控訴人は縷々主張するが、いずれも前記の判断を左右するもの ではない。 3 結論以上によれば、控訴人の請求をいずれも棄却した原審の判断は相当である。 よって 他の主張について このほか、控訴人は縷々主張するが、いずれも前記の判断を左右するものではない。 3 結論 以上によれば、控訴人の請求をいずれも棄却した原審の判断は相当である。よって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 都野道紀 裁判官中平健は、転補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官 東海林保

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