平成15(ワ)14 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年5月25日 山形地方裁判所 鶴岡支部 その他
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判決文本文37,935 文字)

- 1 -主文 被告は,原告Aに対し,79万5233円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告有限会社ディバイスに対し,34万3191円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告Aに生じた費用の10分の9と被告に生じた費用の100分17を原告Aの負担とし,原告有限会社ディバイスに生じた費用の100分の99と被告に生じた費用の100分の80を原告有限会社ディバイスの負担とし,その余の費用を被告の負担とする。 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 原告Aの関係,「,」㨯被告は釣り具の仕掛けに用いられる釣り具用の釣り糸ハリス連結具である,釣り糸の幹糸とハリスを連結するためにその中心付近を縦穴と横穴が交差するようにして,かつ,縦穴と横穴が接しない構造にしたビーズに,「クロスビーズ」という商標又はそれに類似する商標を付けたビーズや,これらの商標を用いた仕掛け等を製造し,譲渡し,引渡し,譲渡若しくは引渡しのため展示してはならない。 㨯被告は,原告Aに対し,836万2270円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 原告有限会社ディバイス(以下「原告ディバイス」という)の関係。 㨯(主位的請求)被告は,原告ディバイスに対し,2951万7730円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 - 2 -㨯(予備的請求)被告は,原告ディバイスに対し,3651万7730円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みま 平成14年9月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 - 2 -㨯(予備的請求)被告は,原告ディバイスに対し,3651万7730円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は「クロスビーズ」の商標権者である原告Aが,被告に対し,被告が,その商品である釣り仕掛けに付した標章が原告Aの有する登録商標と同一であり,当該商品を販売する行為等が原告Aの商標権を侵害しているとして,商標権に基づき,商標法36条による販売行為等の差止め並びに不法行為による損害賠償(商標使用許諾料相当損害金(ただし,予備的に商標法38条による損害賠償,調査費用,慰謝料,弁護士費用)及び遅延損害金(商事法定利率年)6分)の支払いを,また,当該商標について原告Aから独占的通常使用権の設定を受けたとする原告ディバイスが,被告に対し,被告の前記行為がこの使用権を侵害しているとして,独占的通常使用権に基づき,主位的に不法行為による損害賠償(販売減少損害金,調査費用,慰謝料,弁護士費用)及び遅延損害金(商事法定利率年6分)の支払いを,原告Aの前記商標使用許諾料相当損害金が認められなかった場合には,予備的に商標法38条による商標使用権許諾料相当損害金を含めた前記損害賠償及び遅延損害金(商事法定利率年6分)の支払いを,それぞれ求めた事案である。 争いのない事実等(証拠により認定した事実は,証拠を挙げる)。 㨯原告Aは,従前「A商店」の商号で釣り具の開発・製造及び卸売を行っ,ていたところ,平成11年4月30日,原告ディバイスを設立し,代表取締役となった。 原告ディバイスは,山形県鶴岡市に本店を置く,釣り具の製造,販売,輸出入等を目的とする有限会社であり,A商店の営業を引き継いだ。 被告は,兵庫県 30日,原告ディバイスを設立し,代表取締役となった。 原告ディバイスは,山形県鶴岡市に本店を置く,釣り具の製造,販売,輸出入等を目的とする有限会社であり,A商店の営業を引き継いだ。 被告は,兵庫県西脇市に本店を置く,釣り針,釣り具の製造販売等を目的とする株式会社である。 - 3 -,(,「」,㨯原告Aは以下の商標権以下これらを一括して本件商標権といいこれら登録商標を一括して「本件商標」という)を有している(甲1の1。 及び2。 )①本件商標①登録番号登録第4241276号登録商標クロスビーズ出願番号平成8年商標登録願第57765号登録年月日平成11年2月19日商品の区分第28類指定商品遊戯用器具,将棋用具,おもちゃ,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具②本件商標②登録番号登録第4241277号登録商標別紙1記載のとおり出願番号平成8年商標登録願第57766号登録年月日平成11年2月19日商品の区分第28類指定商品遊戯用器具,将棋用具,おもちゃ,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具㨯原告Aは,平成11年5月1日,原告ディバイスとの間で,本件商標に関し,以下の内容で使用許諾契約(以下「本件使用許諾契約」という)を締。 結した(甲2。 )使用商標本件商標使用期間平成11年5月1日から2年間。ただし,相互に異議がないときは自動更新により継続する。 許諾料別途定める- 4 -(なお,ここでいう使用権の内容が,通常使用権であるのか独占的通常使用権であるのかについては,後記のとおり争いがある)。 㨯被告は,平成11年2月19日から,少なくとも平成13年9月末日までの間「クロスビーズ」の標章(以下「被告標章」という)を付した釣り, 使用権であるのかについては,後記のとおり争いがある)。 㨯被告は,平成11年2月19日から,少なくとも平成13年9月末日までの間「クロスビーズ」の標章(以下「被告標章」という)を付した釣り,。 仕掛け商品(以下「被告商品」という)を製造販売した(ただし,製造販。 売の終期については後記のとおり争いがある。また,被告は,被告が発。)行するカタログ「(以下「被告カタログ」といMarufujiFISHINGTACKLE」う)の2001年(平成13年)版及び2002年(平成14年)版に,。 被告標章の付された被告商品の写真を掲載したり,説明文章に被告標章を用いた上で,これらを顧客に頒布した。 㨯被告標章と本件商標①は,双方ともクロスビーズの名称であり,同一である。 争点(㨯ないし㨯は侵害論について,㨯ないし㨯は損害論等について)㨯原告ディバイスの本件商標の使用権原及び損害賠償請求の可否㨯被告は,本件商標の指定商品に被告標章を商標として使用しているか㨯被告が被告標章を使用した期間㨯被告の過失の有無(抗弁)㨯原告Aの差止請求の可否㨯原告Aの被った損害の内容及び額㨯原告ディバイスの被った損害の内容及び額㨯損害の填補の有無(抗弁)㨯消滅時効の成否(抗弁) 当事者の主張の骨子㨯争点㨯(原告ディバイスの本件商標の使用権原及び損害賠償請求の可否)について(原告ディバイス)- 5 -ア原告ディバイスは,原告Aとの間で,平成11年5月1日,本件商標に関し,原告ディバイスの本件商標権使用に関して,原告Aは,本件商標権に基づく権利行使をしない,原告Aは,本件商標権の使用を,原告ディバイス以外の第三者に許諾しないとの約定を結んだ。 イ原告ディバイスは,原告Aが個人で行っていた営業が法人成りしたものであ 件商標権に基づく権利行使をしない,原告Aは,本件商標権の使用を,原告ディバイス以外の第三者に許諾しないとの約定を結んだ。 イ原告ディバイスは,原告Aが個人で行っていた営業が法人成りしたものであり,本件商標を使用して営業するため,独占的通常使用権を与えられた。 ウ原告Aが,Bに対して本件商標の使用を許諾したのは,平成元年から平成8年までであり,原告ディバイスの独占的通常使用権に影響はない。 エCが,本件ビーズを製造したのは,原告ディバイスが手形不渡りを出して営業活動ができなくなったため,原告ディバイスとCとの間で口頭契約,。 ,したことによるものであり原告Aとの間でなされたものではないまたCが,本件商標を使用したビーズないし釣り仕掛けを第三者に販売することは,あくまで原告ディバイスの委託及び許諾を受けたものである。したがって,原告ディバイスの独占的通常使用権に何ら影響はない。 オ独占的通常使用権者は,当該商標権の侵害者に対し,当該独占的通常使用権を被侵害利益として,損害賠償請求できる。 (被告)ア原告Aと原告ディバイスとの間で締結された商標実施許諾書(甲2)の,,記載内容からは本件商標の使用権が独占的通常使用権であるとは読めず原告ディバイスが有する権限は通常使用権に過ぎない。 イ原告Aが経営していたA商店が法人成りした原告ディバイスが承継したのは,東北と信越地区で独占的に販売する権利であり,北海道,北陸と関東,中部と関西,中国と四国,九州については独占販売権は承継していない。そして,原告ディバイス以外の会社が,本件商標を使用して,ビーズ単体及びビーズを使用した釣り仕掛けを販売することが計画されていた。 - 6 -このことからすれば,原告Aとしても,原告ディバイスに独占的通常使用権を付与することは考えていなかったと認め て,ビーズ単体及びビーズを使用した釣り仕掛けを販売することが計画されていた。 - 6 -このことからすれば,原告Aとしても,原告ディバイスに独占的通常使用権を付与することは考えていなかったと認められる。 ウ原告Aは,Bに対し,平成元年に,北海道地域におけるクロスビーズ商品の独占的販売権とクロスビーズの商標使用の許諾を与えている。 エ平成13年5月以降,Cが本件ビーズの製造販売業務を行い,同年8月に原告ディバイスが釣り具の販売を再開したが,本件ビーズはCが制作供給している。そして,現在も,Cが本件ビーズの製造販売をしており,原告ディバイスに対し,本件ビーズ1個につき,金型使用料0.3円,製品マージン1円を支払っている。このことからすれば,Cも,制作した本件ビーズにクロスビーズという本件商標を付けて販売することの承諾を得ていることになる。 オ通常使用権者は,当該商標の侵害者に対し,損害賠償請求を有しない。 仮に,原告ディバイスが独占的通常使用権を有しているとしても,商標法上,損害賠償請求権を付与されているのは,商標権者及び専用使用権者のみであり,独占的通常使用権には債権的効力しかないから,損害賠償請求権を持つものではない。 㨯争点㨯(被告は,本件商標の指定商品に被告標章を商標として使用しているか)について(原告ら)ア被告は,平成11年2月19日以降,少なくとも平成14年8月31日までの間,被告標章であるクロスビーズの名称を付して釣り具である釣り糸絡み防止用のビーズを装着した釣り仕掛けを全国的に販売し,また,被告カタログ2001年版(平成13年1月ころ発行)及び同2002年版(平成14年1月ころ発行)に,クロスビーズの名称を用いて本件ビーズを装着した釣り仕掛けを掲載し,これらカタログを全国的に頒布した。 イ被告標章と本件商標① 成13年1月ころ発行)及び同2002年版(平成14年1月ころ発行)に,クロスビーズの名称を用いて本件ビーズを装着した釣り仕掛けを掲載し,これらカタログを全国的に頒布した。 イ被告標章と本件商標①は同一であり,本件商標権の指定商品であって,- 7 -実際に原告ディバイスが本件商標権を使用して製造・販売している釣り具商品と,被告が被告標章を使用した絡み防止用ビーズを装着して製造・販売している釣り仕掛けは,同一ないし極めて類似している。 ウ㨯釣り仕掛けにおいて,ビーズは集魚効果用として用いられることがほとんどであるため,より戻し効果のあるビーズないしそれを装着した仕掛けについては,本来,そのビーズの機能と効果を,図解と併せて詳細に説明しなければ消費者に理解されない。ところが,釣り糸の幹糸とハリスを連結するためにその中心付近を縦穴と横穴が交差するようにし,,(「」てかつ縦穴と横穴が接しない構造にしたビーズ以下本件ビーズという)ないしこれを用いた釣り仕掛けについては,本件商標を表示。 するだけで,表示された製品の機能と効用が明確に理解できるほど周知されており,本件商標は,本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛け商品を示す標章として釣り愛好家の間で圧倒的な認識を得ている。 㨯本件ビーズは,釣り仕掛けの絡み防止性能を著しく向上させ,簡便軽量なより戻し具として釣り愛好家の間で人気が高く,大きな顧客吸引力を有しており,釣り仕掛けの消費者にとっては,本件ビーズを使った仕掛けか否かという点が商品選択の判断基準として大きな役割を果たしている。 㨯被告商品においては,商品パッケージ中央の魚の顔の拡大画が一番目立つように印刷され,そのすぐ下に,赤い四角の地に大きく「クロスビーズ付」と書かれており,被告商品を一瞥する消費者は,クロスビーズ 㨯被告商品においては,商品パッケージ中央の魚の顔の拡大画が一番目立つように印刷され,そのすぐ下に,赤い四角の地に大きく「クロスビーズ付」と書かれており,被告商品を一瞥する消費者は,クロスビーズの表示を印象的に感得し,一見して当該商品が人気商品である本件ビーズを使った釣り仕掛けであることを認識できる。これに対し,当該商品の製造販売元が被告であることの表示は,製品上部の一部と台紙の最下部に細字のアルファベット表記で被告のロゴマークが印刷されているにすぎず,クロスビーズの表示が示す印象に比べ著しく見劣りがする。 - 8 -㨯本件ビーズを使った釣り仕掛け商品が原告らの製造販売であることについては,後述㨯(原告ら)の主張で述べるように,原告らの宣伝,営業活動の結果,全国的に周知性が認められる。 㨯以上の諸事情にかんがみると,クロスビーズの標章は,全国的に周知されており,被告が本件商標を使用することにより,市場における取引者の間に,被告商品が原告らの製造販売する製品であるとの混同誤認のおそれを生じさせていること,すなわち被告商品において被告標章が自他商品の識別機能を有していることは明らかである。 エ被告は,ビーズが釣り仕掛け商品の付属品にすぎない旨主張するが,本件ビーズは,釣り仕掛け商品の不可分的な構成要素であり,単なる付属品ではない上,他の商標による打ち消し表示もない。 オよって,被告は,本件商標の指定商品に被告標章を商標として使用している。 (被告)ア商標法上にいう商標の使用は,自他商品の識別機能を果たす態様での使用,すなわち自他商品の混同誤認を生じさせるような態様での使用(商標的使用)をいう。 被告商品は,魚釣り用の釣り仕掛け商品であるところ,その中に用いられるビーズは,釣り糸の幹糸とハリスを連結するための連結具であり,主体 混同誤認を生じさせるような態様での使用(商標的使用)をいう。 被告商品は,魚釣り用の釣り仕掛け商品であるところ,その中に用いられるビーズは,釣り糸の幹糸とハリスを連結するための連結具であり,主体である釣り仕掛けの付属品というべきものである。被告商品は,仕掛け,,,釣りのセットを袋詰めにした上で別紙2のとおりその包装の正面には冒頭に「」との表示及び被告のシンボルマークを記載し,裏面にMarufujiも同様の表示を用いており,被告の顧客は,いずれも「」の仕掛Marufujiけ商品を特定して購入している「クロスビーズ付」との表示は,絡み,。 よりを防ぐためクロスした穴のあるビーズを使用した商品であることを示すに留まり,商標として使用したものではなく,説明的記述と評価しうる- 9 -ものである。また,釣り仕掛け商品の購入者は,ビーズに限らず,よりをとる部品が装着されていれば問題なく購入するのであり,クロスビーズという表示に特別の顧客吸引力があるわけではない。現に,本件ビーズと同様の機能効果を持ったビーズは多種類市場に出回っており,図解と併せた詳細な説明などなくても,消費者はビーズの機能を理解し購入している。 ,,,さらに原告らが主張する雑誌の販売やチラシの頒布の地域は主に東北北海道,新潟に偏っており,平成11年当時,本件商標の周囲性は低かった。 イしたがって,被告が被告商品に被告標章を使用したことによって,商品の出所の混同を生じるおそれはないから,前記使用は必ずしも商標権の侵害に当たらない。 㨯争点㨯(被告が被告標章を使用した期間)(原告ら)ア被告は,平成11年2月19日以降,少なくとも平成14年8月31日までの間,前記㨯(原告ら)アのとおり,本件商標①と同一である被告標章を使用した。 イ被告は,被告標章を平 た期間)(原告ら)ア被告は,平成11年2月19日以降,少なくとも平成14年8月31日までの間,前記㨯(原告ら)アのとおり,本件商標①と同一である被告標章を使用した。 イ被告は,被告標章を平成13年9月末までしか使用していない旨主張する。しかし,その主張は,被告カタログ2002年版(平成14年1月ころ発行)の存在や,平成14年3月4日及び同年4月16日,被告が,釣り具問屋シモヤマを経由してフィッシングストア-カトウに対し,本件ビーズの付いた商品を販売していることに照らし信用できない。 (被告)ア被告は,平成11年2月19日以前から平成13年3月2日まで,株式会社富士ベイト製作所(以下「富士ベイト」という)から本件ビーズを。 購入し,これを資材の一部として釣り針の仕掛けを製造し,販売していたところ,当時,富士ベイトからの納品書の表示に従い,当該ビーズをクロ- 10 -スビーズと表示していた。なお,業界では,一般的に,穴がクロスしているビーズをクロスビーズと呼んでいた。 富士ベイトは,平成12年1月7日付けの納品書でビーズの商品名の表示を「くるくるビーズ」と変更したが,被告はこれに気づかず「クロス,ビーズ」と表示したままであった。 被告は,平成13年3月6日以降,ビーズの仕入れ先をユマックトレーディング(以下「ユマック」という)に変更した。ユマックから仕入れ。 たビーズを用いた仕掛けは「からまーずびーず」という名称であったことから,被告は,商品の台紙の「クロスビーズ」という記載の上に,前記名称に対応した「回転するから,からまず釣れる」と記載されたシールをはり「クロスビーズ」という表示が見えないようにした。 ,被告は,ビーズの仕入れ先をユマックに変更後も,富士ベイトから購入した本件ビーズの在庫を使用して仕掛けを製造していたため と記載されたシールをはり「クロスビーズ」という表示が見えないようにした。 ,被告は,ビーズの仕入れ先をユマックに変更後も,富士ベイトから購入した本件ビーズの在庫を使用して仕掛けを製造していたため,同年9月末日までクロスビーズの名称を変更することなく表示していた。しかし,本件ビーズの在庫のなくなった同年10月ころからは,ユマックから仕入れたビーズのみを使用するようになり,被告標章を使用する必要は全くなくなった。 イ平成14年に用いられる被告カタログ2002年(平成14年)版に,。 ,,,一部被告標章が残ったことは認めるただし被告は平成13年秋ころ同カタログについて印刷業者と打ち合わせを行っているところ,すでにクロスビーズの名称を使用しなくなった後であったので,使用する必要はなかったものの,クロスビーズという表示の変更方法については,掲載商品の色刷り部分を変更すると完成時期が遅れることから,2002年版については変更を見送り,変更の容易な説明印刷部分のみ「ヨリトラービーズ付」と変更するにとどめた。しかし,確認不足のため,説明部分にも一部クロスビーズの表示が残ってしまったものである。 - 11 -また,カタログを見て商品を注文する顧客は,一般的に,商品写真の小さな文字ではなく,商品の説明部分の記載から品質や機能を見て注文する,,ものでありカタログの商品写真中に写っている被告標章は非常に小さく意識して読もうとしない限り読むことはできない。 さらに,店頭で商品を購入する顧客は,カタログではなく,実際に商品を見て購入する。そうすると,平成13年10月以降,被告商品に被告標章は使用されていなかったのであるから,被告カタログ2002年版に被告標章が残っていても,被告商品の販売には影響しない。 ウ原告が指摘する釣り具問屋シモヤマ ,平成13年10月以降,被告商品に被告標章は使用されていなかったのであるから,被告カタログ2002年版に被告標章が残っていても,被告商品の販売には影響しない。 ウ原告が指摘する釣り具問屋シモヤマを経由しての販売については,在庫の返品商品に「クロスビーズ付」のシールが貼ってあり,それをはがさずに出荷してしまったものと思われる。 エ以上のとおり,被告が被告標章を使用していたのは,平成13年9月末日までである。 㨯争点㨯(被告の過失の有無)について(被告)ア富士ベイトは,平成12年1月7日まで,本件ビーズにクロスビーズという名称を付して販売していた。被告は,富士ベイトから本件ビーズを購入しており,同日までは,富士ベイトの納品書の表示に従ってクロスビーズの表示をしていたにすぎず,同日以後は,納品書の表示が「くるくるビーズ」となっていることに気づかず,同日以後も被告標章を使用していたにすぎない。その後,被告は,平成13年6月5日ころ,原告らの依頼を受けたと思われるCから同日付けの書面を受け取り,初めて,本件商標権侵害の可能性を知ったのであり,この書面を受け取るまで,富士ベイトがクロスビーズの製造販売につき正当な権利を有していると信じていた。 なお,被告は,前記書面を受け取った後,富士ベイトに対し,本件商標について問い合わせたが,富士ベイトは,被告に対し,富士ベイトの問題- 12 -であり自社で解決する,被告には迷惑をかけない旨回答した。 イ本件商標の周知性については否認する。 原告らが主張する原告らの販売活動は客観的裏付けを欠き,信用することができない。また,原告らの主張を前提にしても,原告らの周知性は東北地区を出るものではない。 (原告ら)アCは,昭和63年ころ,本件ビーズを開発し,同年2月8日,特許庁に,,。 ,対し とができない。また,原告らの主張を前提にしても,原告らの周知性は東北地区を出るものではない。 (原告ら)アCは,昭和63年ころ,本件ビーズを開発し,同年2月8日,特許庁に,,。 ,対し実用新案登録を出願し平成元年8月17日出願公開されたCはこのころ,本件ビーズをDと共同で商品化し,これにクロスビーズの標章を付け,山形県,秋田県,新潟県を中心に販売を開始した。 原告Aは,平成元年ころ,Dが転業したことから,Cの許諾を得て,本件ビーズを独占的に製造販売することとなり,従前どおり,本件ビーズの商品名をクロスビーズとし,本件ビーズとそれを使用した釣り仕掛けを,新たにディバイスのブランド名を用いて販売した。 イ原告A及びCは,昭和63年9月から平成8年6月までの間,東北地方を中心に販売された釣り専門雑誌「釣り東北「クロダイ東北」に本件」,ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛け商品の宣伝広告を少なくとも延べ20回行い,平成元年以降「クロスビーズ仕掛け」と大書したチラシ,ポス,ター合計1万1000枚を東北,北海道,大阪,石川,長野及び富山各県の釣具店,釣り具製造メーカーに配布し,平成6年8月から平成7年5月までの間,釣り専門雑誌「自然倶楽部」に本件ビーズ及びこれを用いた釣,,,り仕掛け商品の宣伝広告を行い平成6年ころ新潟県の釣り具量販店が新潟,富山,石川,山形及び長野各県の釣り愛好家に向けて発行した「年間潮見表(発行部数約2万部)に本件ビーズを使用した釣り仕掛け商品」の宣伝広告をし,平成2年から平成11年まで,年1回千葉県の幕張メッセ等で行われる大規模な展示会に本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛け- 13 -商品を展示して宣伝し,平成3年ころ「クロスビーズ仕掛け」の標章を,,。 プリントしたジャンパーTシャツ約200 セ等で行われる大規模な展示会に本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛け- 13 -商品を展示して宣伝し,平成3年ころ「クロスビーズ仕掛け」の標章を,,。 プリントしたジャンパーTシャツ約200着を釣り具小売店に配布したウ原告Aは,平成2年以降,商品の包装材に,ブランド名であるディバイスの表示,原告Aの本店所在地,電話番号等を明記し,本件ビーズをクロスビーズの商品名で販売しているのが原告Aであることを明示していた。 原告Aによる本件ビーズの年間販売個数は,平成5年ころ100万個を越え,平成6年ころ200万個を越え,平成8年ころ300万個を越え,国内有力の釣り具メーカー「株式会社がまかつ「森源釣漁具株式会社」」,をはじめとする約10社のメーカー,全国的に有名な大手釣り具問屋である「ミツワ釣具株式会社「株式会社竿好」などの釣り具商店15社,」,全国的小売店チェーンを展開する「上州屋」をはじめとする全国500店の小売店に販売することで,売上高は約6000万円に達していた。 平成7年ころから,クロスビーズの標章を原告Aに無断で使用する者が現れ始め,平成8年9月ころ,その動きがますます活発化したため,原告Aは,このころ,本件商標の登録出願を行った。 原告Aの本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛け商品の売上げはその後,。 も向上し平成13年にはこれら商品を扱う小売店は1000店を越えたエ釣り具販売においては釣り具問屋間において直接商品を流通させる仲,「間取引」と呼ばれる取引も盛んに行われている。原告Aも,本件ビーズ及,,びこれを用いた釣り仕掛け商品を販売するに当たって平成元年当初より,,問屋間の仲間取引を行い本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛け商品はクロスビーズの商品名及びディバイスのブランド名と共に全国の釣り愛好家等に 釣り仕掛け商品を販売するに当たって平成元年当初より,,問屋間の仲間取引を行い本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛け商品はクロスビーズの商品名及びディバイスのブランド名と共に全国の釣り愛好家等に急速に浸透した。 オ釣り具業界は,釣具メーカー,問屋,小売販売店をすべて数えても3000軒程度の極めて狭い社会であり,業者が新規に開発した商品情報が業界関係者に急速に周知されやすい環境である。 - 14 -カ以上のとおり,本件商標は,原告Aが使用する商標であることは,遅くとも平成11年2月ころには全国的に周知されていたものである。なお,平成15年1月22日現在,インターネット検索によっても187件のヒットがあり,本件ビーズと同種の機能を有するビーズに他者がつけた商品名を検索すると「回転ビーズ」で37件ヒットするにすぎず,その他の名称では数件ヒットするにとどまる。 キCは,平成10年7月及び同年8月,被告に対し,本件ビーズに関し知的所有権を侵害している旨の事実を伝えている。また,富士ベイトは,本,,件商標権侵害を理由に刑事告訴されており遅くとも平成12年ころには取引先であった被告に対し,納品書の商品名を「くるくるビーズ」に変更したことからも明らかなように,本件商標を使用しないよう注意喚起していた。原告ディバイスは,同年1月,富士ベイトを被告として,本件商標権侵害を理由とする訴訟(東京地方裁判所平成12年㨯第11304号不正競争差止等請求事件。以下「別件訴訟」という)を提起し,Cを通じ。 て,平成13年6月5日,別件訴訟の事実を被告に通知している。 クしたがって,被告は,平成11年2月19日当時から,原告Aが本件商標権を有していたことを知っていたことは明らかである。 㨯争点㨯(原告Aの差止請求の可否)について(原告A)被告は,現在 る。 クしたがって,被告は,平成11年2月19日当時から,原告Aが本件商標権を有していたことを知っていたことは明らかである。 㨯争点㨯(原告Aの差止請求の可否)について(原告A)被告は,現在も,本件商標権侵害行為を継続している。 よって,原告Aは,被告に対し,商標法36条に基づき,本件商標権の侵害行為の差止めを求める。 (被告),,被告はビーズ単体にクロスビーズ又はこれに類似する商標を付して製造譲渡,引渡し及び展示をしていない。 また,被告は,平成13年10月1日以降,釣り仕掛け商品についても,- 15 -クロスビーズ又はこれに類似する商標を付して製造,譲渡,引渡し及び展示をしていない。 よって,原告Aの差止請求には理由がない。 㨯争点㨯(原告Aの被った損害の内容及び額)について(原告A)ア本件商標使用許諾料相当損害金:700万円原告Aは,専ら,原告Aが製造する本件ビーズを販売し,その代金に本件商標の使用許諾料分を含める形で販売価格を設定して本件商標権使用許諾料を徴収しており,その許諾料は,製品の小売価格の約4パーセントと計算していた(なお,本件商標だけを使用する使用許諾料を設定したことはない。 。)ところで,森源釣漁具株式会社(以下「森源」という)は,被告と同。 様兵庫県に本社を置き,業態も会社規模も被告と同程度の会社であるところ,平成10年,原告Aは,森源に対し,約161万個の本件ビーズを販売し,同社は,約30パーセントを小袋に詰めたビーズ単品として,約70パーセントを釣り仕掛けに用いて販売していたので,約112万7000個を釣り仕掛けに用いて販売したことになる。釣り仕掛け1枚に用いるビーズの数は平均6個であり,森源が本件ビーズを用いて製造販売した釣り仕掛けの数は,約18万7800枚となる。釣り仕掛けの平均小 0個を釣り仕掛けに用いて販売したことになる。釣り仕掛け1枚に用いるビーズの数は平均6個であり,森源が本件ビーズを用いて製造販売した釣り仕掛けの数は,約18万7800枚となる。釣り仕掛けの平均小売価格,,は700円であり森源が小売店に釣り仕掛けを卸販売する場合の価格は平均して小売価格の約45パーセントであるから,釣り仕掛け1枚当たり。 ,,の卸売価格は約315円となるしたがって森源の釣り仕掛け販売高は前記販売枚数に卸売価格を乗じた額である5915万7000円となる。 そして,本件商標の使用許諾料はその4パーセントであるから,年間236万6280円となったはずである。 以上によれば,原告Aが,平成10年ころ,森源と経営規模を同じくす- 16 -る被告に対し,本件商標の使用許諾料を請求した場合,その額は年間200万円を下ることはなく,平成11年2月19日から平成14年8月18日までの使用許諾料は,計算上700万円(200万円×3.5年)となる。 イ調査費用:70万円原告Aは,本件訴訟提起に当たり,弁理士,業界関係者等に調査を依頼し,70万円の費用を要した。 ウ慰謝料:11万0380円原告らは,被告による本件商標権侵害により,自己が開発,製造,販売してきた商品に対する信用を毀損され,その回復に苦慮するなど,著しい精神的苦痛を被ったところ,それを慰謝するには50万円を下ることはない。原告らの損害額の比で按分すると,原告Aに対する慰謝料は,11万0380円を下らない。 エ弁護士費用:55万1890円原告らは,本件解決のため,弁護士に事件処理を委任し,そのため弁護士費用250万円の支出を余儀なくされたところ,原告らの損害額の比で按分すると,原告Aが被った損害額は,55万1890円である。 オよって,原告Aは,被告に対し,民法 事件処理を委任し,そのため弁護士費用250万円の支出を余儀なくされたところ,原告らの損害額の比で按分すると,原告Aが被った損害額は,55万1890円である。 オよって,原告Aは,被告に対し,民法709条に基づく損害賠償請求として,836万2270円及びこれに対する不法行為の後の日である平成14年9月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 (被告)ア原告Aは,被告の所為と原告Aの損害の発生,その相当因果関係を明確に特定しておらず,主張自体失当である。 イ商標使用許諾料相当損害金について㨯商標使用許諾料相当損害金は,民法709条に基づき請求することの- 17 -できる損害ではない。 㨯森源と被告は,営業形態等が全く異なり,両社を比較対照すること自体に合理性がない。なお,被告が,平成11年2月から平成13年3月の間に富士ベイトから購入した本件ビーズの個数は合計6万1900個であり,被告標章を付して販売した商品は,平成11年4月から平成13年8月まで,合計1万1090枚の釣り仕掛けのみであり,使用したビーズは6万4180個にすぎない。 㨯本件商標権使用許諾料が製品の小売価格の約4パーセントであることは否認する。本件ビーズの使用許諾料を,ビーズ以外の様々な部品からなる釣り仕掛けの価格の何パーセントと定めることは不合理である。仮に,釣り仕掛けの価格に対する割合で定めるとしても,ビーズが釣り仕掛け等の製品において占める役割にかんがみれば,1パーセントを超えることはないし,原告Aの小売価格ではなく被告の小売価格に対しての割合で定めるべきである。 また,原告Aの主張する計算方法によれば,原告Aの釣り仕掛け1枚当たりの卸売価格は315円となり,その4パーセントである12.6円が商標使用許諾料となる 小売価格に対しての割合で定めるべきである。 また,原告Aの主張する計算方法によれば,原告Aの釣り仕掛け1枚当たりの卸売価格は315円となり,その4パーセントである12.6円が商標使用許諾料となるという。しかし,ビーズ販売単価は,1個3ないし4円であり,釣り仕掛けにビーズ6個を使用したとしても,ビーズ価格は18ない24円であることからすると,計算上導き出される使用許諾料が現実の商品価格より高額になるなど,明らかに論理的におかしい。 ウ調査費用,慰謝料及び弁護士費用は否認する。 エなお,原告Aが原告ディバイスに対し独占的通常使用権を設定したのであれば,原告Aは,被告に対する損害賠償請求権を行使することはできないはずである。 㨯争点㨯(原告ディバイスの被った損害の内容及び額)について- 18 -(原告ディバイス)ア販売減少損害金㨯(主位的主張)民法709条による損害:2688万円a原告Aは,平成9年ころ,本件ビーズを年間367万個発注していたところ,うち約20パーセントの約73万4000個を釣り仕掛け部品として用い,残りの80パーセントの約293万6000個をビーズ単体として販売していた。釣り仕掛け1個当たりの単価は480円,売上高は1か月約489万3000円,本件ビーズ1個当たりの平均単価が5円,売上高は1か月約122万3000円であった。その営業利益は,下記計算式のとおり,釣り仕掛け商品につき293万5000円,ビーズにつき80万2400円であった。 ビーズ単体:卸価格122万3000円-原価22万円(1個平均単価0.9円×24万4660個)-販売費用・一般管理費用(粗利の20%)=80万2400円釣り仕掛け商品:卸価格489万3000円×75%(小売価格が製造原価の3分の4であるため)-販売費用・一般管理費用(粗 4万4660個)-販売費用・一般管理費用(粗利の20%)=80万2400円釣り仕掛け商品:卸価格489万3000円×75%(小売価格が製造原価の3分の4であるため)-販売費用・一般管理費用(粗利の20%)=293万5000円したがって,原告Aが得ていた営業利益は,1か月約373万円であったところ,原告ディバイスは,平成11年5月1日,本件使用許諾契約により,原告Aから本件商標権の独占的通常使用権を取得し,以後,原告Aの本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛け商品の製造,販売事業を全面的に承継した。しかし,原告ディバイスの売上げは,被告による本件商標権侵害行為が開始された平成11年2月以降,1か月289万円に落ち込み,1か月84万円の得べかりし営業利益を失うことになった。よって,平成11年5月1日から平成14年8月,()31日までの40か月の損害は3360万円84万円×40か月- 19 -となる。 b本件ビーズの装着の有無は,顧客吸引力に非常に大きな影響を与えていることにかんがみれば,本件商標権の商品売上げに対する寄与率は,80パーセントを下らない。 cしたがって,原告らが被った損害は,前記3360万円の80パーセントに当たる2688万円を下らないところ,平成11年5月1日から平成14年8月31日までの本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛け商品の販売主体は原告ディバイスであったから,前記損害額は,原告ディバイスが被った損害額となる。 㨯(予備的主張)商標法38条1項類推適用による販売減少損害額の推定:1168万9786円a商標法38条1項は,独占的通常使用権を有する者の被った損害についても類推適用されると解すべきである。 独占的通常使用権の侵害に対しては,同権利が不動産の債権的利用権と類似し,物権的性格が強いことなどを理 38条1項は,独占的通常使用権を有する者の被った損害についても類推適用されると解すべきである。 独占的通常使用権の侵害に対しては,同権利が不動産の債権的利用権と類似し,物権的性格が強いことなどを理由として,損害賠償請求が認められている以上,損害賠償請求における損害額の立証の困難性を救済するという商標法38条の趣旨も当てはまるはずである。 b被告は,本件ビーズ類似のビーズを,ユマックから,平成13年3月6日1万個,同月23日10万個,同年5月9日2万個仕入れており,富士ベイトから,平成11年2月10日から平成13年3月2日までの間に合計6万1900個仕入れている。したがって,被告は,平成11年2月10日から平成13年5月までの間に,少なくとも合計19万1900個のビーズを仕入れ,釣り仕掛け商品製造に用いたと推測することができる。そして,被告が製造する釣り仕掛け1個に用いられるビーズの数は約6個であるから,被告が前記期間に製造し,,。 た釣り仕掛け商品の数は計算上少なくとも3万1983個となる- 20 -釣り仕掛け商品の小売単価は平均800円,卸価格はその約6割にあたる480円,製造原価は114.5円(甲11)であるので,営業利益は,釣り仕掛け1個につき平均365.5円となる。 したがって,原告ディバイスの被った販売減少損害金は,計算上,1168万9786円(3万1983個×365.5円)となる。 c原告Aは,平成9年当時,1か月1万0194個の釣り仕掛けを販売しており,これは,被告の釣り仕掛け商品の譲渡数量(1か月1184個。3万1983個÷27か月)を大きく上回っている。原告ディバイスは,平成11年5月1日,原告Aの従前の営業をそのまま引き継いだから,原告ディバイスの独占的通常使用権の使用能力は,被告のそれを大きく上回って 83個÷27か月)を大きく上回っている。原告ディバイスは,平成11年5月1日,原告Aの従前の営業をそのまま引き継いだから,原告ディバイスの独占的通常使用権の使用能力は,被告のそれを大きく上回っていたといえる。 原告Aは,平成9年以降,本件ビーズの生産を岡山樹脂工業株式会社に委託していたところ,同社では,1台につき1日3万個の本件ビーズ製作が可能な機械が7台設置され,年間3000万個以上の本件ビーズ製作が可能であり,釣り仕掛けについては,国内では年間27万個,中国に委託すれば更に安価に大量の釣り仕掛けを製作することが可能であった。原告ディバイスは,原告Aの営業を承継しているので,その使用能力に問題はない。 dよって,商標法38条1項により推定される原告ディバイスの販売減少損害金は,少なくとも1168万9786円である。 㨯(予備的主張)商標法38条2項類推適用による販売減少損害額の推定:1817万5584円a商標法38条2項は,独占的通常使用権を有する者の被った損害についても類推適用されると解するべきであり,その根拠は,前記㨯aと同様である。 b前記㨯bのとおり,被告は,平成11年2月10日から平成13年- 21 -5月までの間に,少なくとも3万1983個の釣り仕掛け商品を製造していた。被告が得ていた被告商品1個当たりの利益額を原告Aと同じ365.5円と考えると,被告が得ていた利益額は,1か月当たり43万2752円(1184個×365.5円)となる。 そして,被告が本件商標権を侵害していたのは平成11年2月19日から平成14年8月31日までの42か月であるから,被告の本件商標権侵害行為により原告ディバイスが被った販売減少損害金として商標法38条2項により推定される損害額は,計算上,1817万5584円(43万2752円×42 日までの42か月であるから,被告の本件商標権侵害行為により原告ディバイスが被った販売減少損害金として商標法38条2項により推定される損害額は,計算上,1817万5584円(43万2752円×42か月)となる(裁判所注:原告。 ディバイスは,平成11年4月30日に設立されているので,原告ディバイスに対する侵害の開始期間は同日以降になるから,42か月の主張は誤りと思われるが,そのまま記載する)。 イ説明費用:30万円原告ディバイスは,被告による本件商標権の不正使用により生じた業界内の混乱を収束し,原告ら販売商品に対する信用を回復するため,全国の取引先等に紛争の実情を説明せねばならず,また,本件訴訟のための資料収集を行う必要に迫られた。これらの作業のため,原告ディバイスは,30万円の費用を要した。 ウ慰謝料:38万9620円原告らは,被告による本件商標権侵害により,自己が開発,製造,販売してきた商品に対する信用を毀損され,その回復に苦慮するなど,著しい精神的苦痛を被ったところ,それを慰謝するには50万円を下ることはな。 ,,い原告らの損害額の比で按分すると原告ディバイスに対する慰謝料は38万9620円を下らない。 エ弁護士費用:194万8110円原告らは,本件解決のため,弁護士に事件処理を委任し,そのため弁護- 22 -士費用250万円の支出を余儀なくされたところ,原告らの損害額の比で按分すると,原告Aが被った損害額は,194万8110円である。 オ(予備的請求)商標法38条3項適用ないし類推適用による使用許諾料相当損害金:700万円仮に,原告Aに対して,本件商標の使用許諾料相当損害金の請求が認められない場合,原告ディバイスは,前記独占的通常使用権に基づき,使用許諾料相当損害金700万円の支払いを求める。 原告ディバイス 万円仮に,原告Aに対して,本件商標の使用許諾料相当損害金の請求が認められない場合,原告ディバイスは,前記独占的通常使用権に基づき,使用許諾料相当損害金700万円の支払いを求める。 原告ディバイスは,事実上原告Aの個人経営であり,商品の製造はすべて外注であり,原告Aが法人成りした原告ディバイスが本件商標の使用許諾を行っていたとも説明できることからすれば,原告らは事実上同一の法,(),,人格であるというべきであり前記㨯原告Aア記載の主張はすべて原告ディバイスによる本件請求にも当てはまる。 カよって,原告ディバイスは,被告に対し,主位的請求として,民法709条に基づく損害賠償請求として,販売減少損害金(前記ア㨯,説明費)用(前記イ,慰謝料(前記ウ,弁護士費用(前記エ)の合計2951))万7730円(販売減少損害金について,予備的に商標法38条に基づく損害賠償請求として,1168万9786円(前記ア㨯,あるいは18)17万5584円(前記ア㨯)を請求,原告Aに対する使用許諾料相当)損害金の請求が認められない場合の予備的請求として,商法38条3項に基づく損害賠償として700万円(前記オ)を含めた損害賠償3651万7730円並びにこれらに対する不法行為の後の日である平成14年9月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 (被告)ア原告ディバイスと被告との間には,需要者が侵害品を購入しなかった場合に商標権者の商品を購入するであろうという相互補完関係がないから,- 23 -被告が富士ベイトからビーズを仕入れて販売しても,原告ディバイスに損害は生じない。なお,原告ディバイスは,前記相互補完関係の有無を判断するために必要な資料(販売している釣り仕掛け製品の種類,製品の販売先,販 ベイトからビーズを仕入れて販売しても,原告ディバイスに損害は生じない。なお,原告ディバイスは,前記相互補完関係の有無を判断するために必要な資料(販売している釣り仕掛け製品の種類,製品の販売先,販売数量,製品の単価)を一切明らかにしていない。 イ原告ディバイスは,平成9年当時の原告Aの釣り仕掛けの販売数を主張しているだけであり,時期が不適切である。また,原告ディバイスは,一時期倒産しており,販売活動を再開したとはいえ,その後のビーズ購入個数,釣り仕掛け製作数に関する客観的資料はない。これらのことからすれば,原告ディバイスの本件商標の使用能力について,立証されていないことになる。 ウ販売減少損害金について㨯主位的主張(民法709条)について原告ディバイスの主張する本件ビーズ生産量,販売実績,販売減少額等はいずれも客観的証拠を欠き,信用することができない。 また,原告ディバイスは,平成11年5月1日以降に営業を行っているので,それ以前の営業はなく,販売減少損害金が存することはない。 さらに,平成7年以降,ビーズ製品は大量に市場に出回っており,原,,告Aの本件ビーズの生産個数は原告ディバイス提出の証拠によっても平成10年から減少しているのであるから,原告Aを承継した原告ディバイスの本件ビーズや本件ビーズを用いた釣り仕掛けの販売が,平成11年以降減少したとしても,それは被告が被告標章を付した釣り仕掛けを販売したこととは無関係な事情によるものであり,すでに原告ディバイスの生産量は低下していたことになる。 㨯予備的主張(商標法38条1項の類推適用)についてa原告ディバイスは,通常使用権しか有していない以上,商標法38条1項は類推適用されない。 - 24 -,,,b仮に商標法38条1項を類推適用した場合①被告の販売数量に②侵 用)についてa原告ディバイスは,通常使用権しか有していない以上,商標法38条1項は類推適用されない。 - 24 -,,,b仮に商標法38条1項を類推適用した場合①被告の販売数量に②侵害行為がなければ原告ディバイスが販売できた物の単位数量当たりの利益の額を乗じた額を,③原告ディバイスの使用の能力に応じた額を超えない限度において,損害額を算定することができ,原告ディバイスが販売できない事情がある場合は,当該事情に相当する数量に応じた額が損害額となる。①の点については,被告が被告標章を付して販売した商品は,平成11年4月から平成13年8月まで,合計1万1090枚の釣り仕掛けのみである。原告ディバイスの主張は,製造過程で紛失するビーズの存在,サイズにより製品が異なること等の事実を無視して被告の製作した釣り仕掛け商品の個数を推測している点,譲渡数量と生産数量の差を無視している点,商品ごとに単価が異なる点を無視して利潤を推定している点等において,合理性を欠く。 ②及び③の点については,原告ディバイスは「被告の侵害行為がな,ければ原告ディバイスが販売することのできた物の単位数量当たりの利益額」も「原告ディバイスの使用能力」についても客観的証拠によって立証をしていない。なお,被告は,被告商品を製造販売するに当たり,針の選択,特定の魚皮,夜光フラッシャーの付加等,独自の工夫をして販売努力をしており,被告の販売した全数量を原告ディバイスが当然に販売できたわけではない。 㨯予備的主張(商標法38条2項の類推適用)について,,。 a前記㨯同様本件において商標法38条2項は類推適用されないb商標法38条2項は,被告が販売により得た利益を損害額と推定する規定である。仮に,同項が類推適用されるならば,被告の販売数量及び粗利益は,別紙3 様本件において商標法38条2項は類推適用されないb商標法38条2項は,被告が販売により得た利益を損害額と推定する規定である。仮に,同項が類推適用されるならば,被告の販売数量及び粗利益は,別紙3のとおり,合計95万8760円であり,利益は,粗利益から一般経費を控除した額であり,一般経費は,粗利益の20パーセントであるから,被告の利益は76万7008円(95万- 25 -8760円×0.8)となる。 また,釣り仕掛けにおいて,より,絡み防止用小物が果たす役割は小さく,購入者が購入を決める要因としては二次的なものであり,本件商標によって認識するのは,せいぜい,当該釣り仕掛けにより,絡み防止用ビーズが付いていることだけである。本件商標が示しているのは,このようなビーズの出所だけであり,釣り仕掛け販売による利益の実現に対する寄与は非常に小さい。他方,被告の製造販売する釣り仕掛けには,被告を意味するシンボルマーク及び「」の標Marufuji章が付されており,顧客は「被告の仕掛け」を購入しているほか,被告は,前記㨯bのとおり,様々な工夫を凝らし,その他カタログの製作配布,積極的なセールス活動等にも多くの資本を投下している。 このように,前記被告の利益のすべてが本件商標権侵害によりもたらされたものではなく,損害と推定するべき金額は,前記利益額の1パーセントを超えるものではない。 エ説明費用,慰謝料及び弁護士費用はいずれも否認する。 オ予備的請求(商標法38条3項の類推適用)について前記㨯同様,本件において,商標法38条3項は類推適用されない。 㨯争点㨯(損害の填補の有無)について(被告)原告ディバイスは,平成14年9月4日,別件訴訟において,富士ベイトと訴訟上の和解をし,富士ベイトから解決金を受領した。原告Aは原告ディバイスの代表者 争点㨯(損害の填補の有無)について(被告)原告ディバイスは,平成14年9月4日,別件訴訟において,富士ベイトと訴訟上の和解をし,富士ベイトから解決金を受領した。原告Aは原告ディバイスの代表者として前記和解に関与している。原告ディバイスは,別件訴訟において,富士ベイトが「クロスビーズ」という表示で本件ビーズを販売したことが違法である旨主張しており,本件商標権侵害も請求の基礎となっていたのであるから,前記和解により,本件商標権侵害による損害賠償問題も解決した。つまり,和解金の授受により,原告ディバイスはもとより,本- 26 -件商標権侵害を理由とする原告Aの富士ベイトに対する損害賠償請求権はなくなったのである。 ところで,被告は,富士ベイトから本件ビーズを購入し,本件ビーズを用いた釣り仕掛けに被告標章を付して販売したのであるから,仮に富士ベイトに本件商標権侵害の不法行為があるのであれば,被告の前記販売行為は,富士ベイトとの共同不法行為に当たり,原告らに対する損害賠償債務は不真正連帯債務になる。原告らは,前記和解により,共同不法行為者である富士ベイトから解決金を受領することで損害の填補を受け,富士ベイトに対する損害賠償請求権を失ったのであるから,被告に対する関係でも,損害賠償請求権は存在しないというべきである。 (原告ら)原告ディバイスと富士ベイトが別件訴訟においてした和解に,請求放棄条項条項は存在するが,仮に富士ベイトと被告が不真正連帯債務者の関係に立つとしても,被告に効力を生じる条項ではない。 また,被告の権利侵害行為は,本件ビーズを使用し本件商標①と同一の被告標章を付した釣り仕掛けを製造販売したというものであるのに対し,富士ベイトの権利侵害行為は本件ビーズそのものを販売したというものであり,富士ベイトとの前記和解により被告の 用し本件商標①と同一の被告標章を付した釣り仕掛けを製造販売したというものであるのに対し,富士ベイトの権利侵害行為は本件ビーズそのものを販売したというものであり,富士ベイトとの前記和解により被告の行為により生じた損害まで填補されたということはできない。 なお,原告Aは,別件訴訟の当事者ではなく,前記和解に拘束されることはない。 㨯争点㨯(消滅時効の成否)について(被告)ア原告らの本訴提起は平成15年3月24日であり,同日時点において,平成12年3月23日以前の原告らの損害賠償請求権はいずれも発生から3年を経過していた。 - 27 -イ被告は,平成18年5月16日第17回弁論準備手続期日において,前記各消滅時効を援用した。 (原告ら)ア被告による本件商標権侵害行為は,継続的不法行為であり,個々の販売等の被告の個別的行為ごとに損害賠償請求権が発生すると解して消滅時効を議論することは適当ではない。本件における消滅時効は,いずれも,最後の侵害行為が終了した時から起算されると解するべきである。 イ原告らが,被告による本件商標権侵害について,損害及び加害者を知った時,すなわち,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに,その可能な程度にこれを知った時は,故意あるいは過失に基づき本件商標権侵害を知った時である平成13年6月5日であり,その時から時効は進行する。 第3当裁判所の判断 争点㨯(原告ディバイスの本件商標の使用権原及び損害賠償請求の可否)について㨯本件商標の使用権原についてア争いのない事実等,証拠(甲2,10の2,原告ディバイス代表者兼原告本人)によれば,以下の事実が認められる。 㨯原告Aと原告ディバイスとの間において,平成11年5月1日付けで「商標実施許諾書」が交わされた。同許諾書には,下記のおとり記載さ 告ディバイス代表者兼原告本人)によれば,以下の事実が認められる。 㨯原告Aと原告ディバイスとの間において,平成11年5月1日付けで「商標実施許諾書」が交わされた。同許諾書には,下記のおとり記載されている。 記私が権利を有する特許庁登録の商標登録書登録第4241276号の『クロスビーズ』及び商標登録書登録第4241277号の『クロスビーズの標章』に関し平成11年5月1日より,その実施を許諾する。 - 28 -許諾期間は2年間とするが相互に異議なき場合は自動更新により継続するものとする。 許諾料とその支払い方法については別途定めるものとし,本日許諾書を作成する。 㨯原告Aは,平成元年ころ,Bに対し,Bの営業地区である北海道における独占的販売を前提に,本件ビーズを用いた「クロスビーズ」の商品の販売及び「クロスビーズ」の商標使用の許諾を与えた。その後,平成8年ころ,原告Aは,Bから,本件商標の使用許諾の更新を求められた際,許諾料を2年間で100万円とする旨提示した。しかし,そのころ本件商標を付した模造品が出始めたことから,Bは,Aに対し,模造品の販売問題が解決しない間は,本件商標関連の卸販売に支障が生じるばかりでなく,信用問題に関わることになるので,許諾料の支払いは保留する旨回答した。その結果,原告Aは,Bの申し出を了承し,Bから使用許諾料を徴収しなかった。その後平成13年4月ころまで,原告AとBとの取引関係は継続し,その間原告Aは,Bに対し,本件商標の使用を許諾したものの,許諾料が支払われることはなかった。 イ以上の事実によれば,原告Aは,Bに対し,平成元年から平成13年4月まで,北海道における本件商標の使用を許諾していたこと,原告Aと原告ディバイスとの間の本件商標の使用許諾契約は書面によりなされているものの,その記載内容から は,Bに対し,平成元年から平成13年4月まで,北海道における本件商標の使用を許諾していたこと,原告Aと原告ディバイスとの間の本件商標の使用許諾契約は書面によりなされているものの,その記載内容からは,原告ディバイスに対し,本件商標の使用を独占的に認めたことを読み取ることはできないことが認められる。このことからすれば,原告ディバイスが有する本件商標の使用権限は,独占的通常使用権ではなく,通常使用権にすぎない。 ウところで,原告ディバイスは,原告Aと原告ディバイスとの間で,本件商標に関し,原告ディバイスの本件商標使用に関し,原告Aは,本件商標権に基づく権利行使はしない,原告Aは,本件商標権の使用を,原告ディ- 29 -バイス以外の第三者に許諾しないとの約定を締結した,原告AがBに本件商標の使用を許諾したのは平成8年までであった旨主張する。しかし,契約内容を定めるに際し,前記許諾書を作成しているにも関わらず,同書面にはその旨の記載は全くなされていないことからすれば,書面に記載された以外の内容の合意がなされたとは考えがたい。また,Bに対する本件商標の使用については,原告A自身が平成13年4月までは許諾していた旨供述している(原告ディバイス代表者兼原告本人。これらのことからす)れば,原告らの主張を採用することはできない。 㨯損害賠償請求の可否について原告ディバイスの本件商標についての使用権原は,通常使用権であるところ,通常使用権の法的性格は,物権ではなく,債権である。しかし,債権侵害についても,民法709条の不法行為は成立するのであるから,損害が生じた場合には当然に損害賠償請求権は発生する。 よって,通常使用権についても損害賠償請求を認めることができるので,被告の主張は採用できない。 争点㨯(被告は,本件商標の指定商品に被告標章を商 が生じた場合には当然に損害賠償請求権は発生する。 よって,通常使用権についても損害賠償請求を認めることができるので,被告の主張は採用できない。 争点㨯(被告は,本件商標の指定商品に被告標章を商標として使用しているか)について㨯争いのない事実等,証拠(甲5,6,7の1及び2,8の1及び2,9の,,,,(),1及び2 18ないし5556ないし71各枝番1及び273ないし86,111,112,乙1ないし6,16,17,22,証人C,原告ディバイス代表者兼原告本人,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア本件ビーズは,釣り具の連結具であり,胴付き仕掛けに用いられることが多く,球型,楕円型,砲弾型等の,主にプラスチック製のビーズに,釣り糸を通すための縦穴と横穴が接しない形でクロス状に穴をあけ交差させた構造を持ち,この穴に幹糸とハリスをそれぞれ通し,それぞれの片方に- 30 -穴より大きめのコブ結びを作り,ビーズを固定することにより,ハリスが外れないようにし,これにより,幹糸とハリスがそれぞれ自由に回転できるため,幹糸やハリスが絡まったり,よじれたりすることを最小限に抑えることが可能になったという特徴を持つ。 イCは,釣具店の経営者であったが,昭和62年ころ,本件ビーズの構造を考案し,本件ビーズあるいは本件ビーズを用いた釣り仕掛けを個人で販売するようになり,昭和63年ころから,Dと共に「クロスビーズ」の,名称で山形県,秋田県及び新潟県を中心とする地域で販売するようになった。 ウ原告Aは,平成元年ころ,Dが営業を止めるのを機に,同人に代わってCと共に,本件ビーズ及び本件ビーズを用いた釣り仕掛けの製造,販売を行うようになった。原告Aらは,当初は本件ビーズの特徴を表す「十字ビーズ は,平成元年ころ,Dが営業を止めるのを機に,同人に代わってCと共に,本件ビーズ及び本件ビーズを用いた釣り仕掛けの製造,販売を行うようになった。原告Aらは,当初は本件ビーズの特徴を表す「十字ビーズ」の名称を用いていたが,同じ意味を持つ「クロスビーズ」の方が親しみ易いということで,発売後まもなくクロスビーズの名称を用いるよう。 ,「」,になった原告Aは当時自分が経営していた釣具店A商店の名称で東北地方や新潟県を中心に販売されている釣り雑誌「釣り東北「クロ」,ダイ東北」等に,平成8年6月までの間,クロスビーズの名称で本件ビーズ及び本件ビーズを用いた釣り仕掛けの広告を出し,前記アのような機能を図解入りで説明したり,チラシやポスターを作成して釣り具製造メーカーに配るなどして本件ビーズをクロスビーズの名称で宣伝した。 また,原告Aは,平成11年ころまで,千葉県の幕張メッセ等で開催されたフィッシングショーに本件ビーズを用いた商品を出品するなどして,クロスビーズの名称を用いた商品の宣伝をしていた。 さらに,本件ビーズ及び本件ビーズを用いた釣り仕掛けは,釣り問屋間での売買(いわゆる仲間取引)がなされていた。 エ平成7ないし8年ころから,本件ビーズと同様の機能を持った釣り仕掛- 31 -け用ビーズが多種類市場に出回るようになったことから,原告Aは,平成8年ころ,本件商標登録を出願した。 オ被告は,釣り針,釣り仕掛けを製造し,釣具店へ販売する株式会社である。被告は,東北を含めた全国に製品を販売しているが,中心は関西地方及び東海地方である。 被告は,被告カタログに掲載しているだけでも200種類を超える多種類の釣り仕掛けを製造販売しているところ,被告が製造販売する釣り仕掛けについては,いずれも,当該商品を包装するビニール袋の上部に,同一 被告は,被告カタログに掲載しているだけでも200種類を超える多種類の釣り仕掛けを製造販売しているところ,被告が製造販売する釣り仕掛けについては,いずれも,当該商品を包装するビニール袋の上部に,同一の被告のシンボルマーク及び「」の表示を,一見して目立つようMarufujiに印刷している。また,縦に長く台紙に様々なイラストや宣伝文言を印刷している台紙を使用するときは,その表裏両面の下部に,前記と同じ被告のシンボルマーク及び「」あるいは「まるふじ」の表示をしていMarufujiる。 カ被告が,本件ビーズを使用して製造販売した釣り仕掛け商品は,舟カレイ用舟カレイハナダイ用の胴突仕掛けハナダイ仕掛け3本針ハ「」,「」,「ナダイ仕掛け4本針,アジ用の胴突仕掛け「東北アジ仕掛,ソイ・タ」」ラ・ホッケ用「サバ皮オーロラ夜光,宗八カレイ用「サバ皮夜光オーロ」ラフラッシャー「宗八カレイ仕掛け,東北メバル用「東北メバルサバ」,」皮オーロラ「東北メバルナマズ皮(白・金茶フラッシャー,同(グ」,」)リーンフラッシャー「東北メバル(サバ皮・ハゲ皮,同(孔雀毛,),」))メバル用「メバル仕掛け」であり,いずれも船釣り用の仕掛けである。 ハナダイ用の胴突仕掛け「ハナダイ仕掛け3本針」及び同「ハナダイ仕掛け4本針」は,縦25センチメートル,横6センチメートルの長方形の台紙に,大きな魚の顔のイラスト,商品名,宣伝文言が印刷され,台紙中央よりやや下の部分に,縦1.5センチメートル,横5センチメートルの長方形,濃いピンク色に黒字で「クロスビーズ付」と印刷したシールが張- 32 -られている。 「」,,,舟カレイ用舟カレイについては長方形の台紙に白地の円の中に円周に沿うように「クロスビーズで「よく釣 字で「クロスビーズ付」と印刷したシールが張- 32 -られている。 「」,,,舟カレイ用舟カレイについては長方形の台紙に白地の円の中に円周に沿うように「クロスビーズで「よく釣れる」と黒字で記載され」,たものが印刷されている。 その余の商品については,長方形の台紙に,魚のイラストが印刷され,,,「」,その下部に円形で黄色地に黒字で円周に沿うようクロスビーズで「よく釣れる」と書かれたシールが貼られている。 本件ビーズを用いたこれら商品についても,包装及び台紙には前記オ記載のとおり,被告の表示がされていた。 キまた,被告カタログ2001年(平成13年)版では,前記カの各商品の写真を掲載しその下に針の数釣り糸の全長等のデータと共にク,,,,「」,,ロスビーズ付との文言を入れ釣り仕掛け全体の構造を説明する図解に「クロスビーズ」と図示した。 被告カタログ2002年(平成14年)版では,胴突仕掛け「ハナダイ仕掛け」以外の商品説明文言を「ヨリトラービーズ付」に変更したが,前記仕掛けについては説明文言も「クロスビーズ付」のままであり,また,前記各商品の写真は「クロスビーズ付」のまま掲載されていた。 ク被告が,本件ビーズを,ビーズ単体として製造販売したことはない。 㨯以上認定した事実によれば,平成8年ころ以降,クロスビーズの標章の付された本件ビーズは,釣り針,釣り仕掛けを取り扱う企業間において,原告Aあるいは原告ディバイスの商品であるということは周知されていたと認めることができ,被告も同様の認識をしていたと認められる。その上で,被告は,原告Aないし原告ディバイスの商品ではない本件ビーズを用いた釣り仕掛けにクロスビーズの標章を付し,当該商品を被告カタログに掲載したというのであるから,被告による被 たと認められる。その上で,被告は,原告Aないし原告ディバイスの商品ではない本件ビーズを用いた釣り仕掛けにクロスビーズの標章を付し,当該商品を被告カタログに掲載したというのであるから,被告による被告標章の使用は,本件ビーズの出所について混同誤認を生じさせるものであったというべきである。もっとも,本件ビー- 33 -ズは釣り仕掛けの連結具であって,数種類の釣り仕掛けの部品のごく一部であり,被告の釣り仕掛け自体には被告の標章が数か所にわたり目立つように明示されており,消費者は「クロスビーズ付」との表示によって仕掛け全,体が原告ディバイスの製造と考えるとは思えず,仕掛けについては「クロスビーズ付」との表示の存在により,釣り仕掛け自体の出所を混同させるものということはできない。 㨯ところで,被告は,本件ビーズは,釣り仕掛けの幹糸とハリスを連結するための連結具であり,主体である仕掛けの付属品であるし「クロスビーズ,付」の表示は,単に絡み,よりを防ぐためにクロスした穴のあるビーズを使用していることを示しているにすぎず,商標として使用したものではなく,説明的記述としてなされたものであると主張する。しかし,本件ビーズの特徴は,釣り糸を通すための縦穴と横穴が接しない形でクロス状に穴をあけ交差させた構造を持ち,その結果,絡み,よりを防止することにあるところ,仕掛けが威力を発揮するか否かは,絡みやよりが起こらないことが不可欠であると考えられることからすれば,連結具としての本件ビーズの存在は、重要であるといえ,仕掛けにおける単なる付属品と認めることはできない。また,前述したとおり,本件ビーズの特徴からすれば,まさに,クロスビーズという言葉自体が,本件ビーズの前記特徴を端的に言い表していると評価でき「クロスビーズ」の表示が単なる説明的記述とはいえない 。また,前述したとおり,本件ビーズの特徴からすれば,まさに,クロスビーズという言葉自体が,本件ビーズの前記特徴を端的に言い表していると評価でき「クロスビーズ」の表示が単なる説明的記述とはいえない。 ,よって,被告の主張を採用することはできない。 争点㨯(被告が被告標章を使用した期間)について㨯被告は,平成11年2月10日から平成13年9月末日までの間,富士ベイトから本件ビーズを購入し,本件ビーズを用いた被告商品に被告標章を付して販売していたこと,平成14年3月4日及び同年4月16日,釣り具問屋シモヤマを経由してフィッシングストア-カトウに対し,本件ビーズの付いた商品を販売しているところ,被告は,在庫の返品商品に「クロスビーズ- 34 -付」のシールが貼ってあり,それをはがさずに出荷してしまったこと,被告カタログ2002年(平成14年)版の一部に被告標章が使用されていたことは,当事者間に争いがない。 㨯以上の事実によれば,被告が被告標章を使用した始期は,原告Aが本件商標登録をした翌日の平成11年2月19日,終期は,被告商品について平成14年4月中旬ころまで,被告カタログについては,平成14年度中は使用されていたと認められるところ,原告らが主張する範囲である平成14年8月末日まで使用されていたというべきである。 なお,被告は,被告カタログへの記載は,被告商品の売上げと連動するものではない旨主張するが,カタログへの記載それ自体も商標の使用に当たるというべきであるから(商標法2条3項8号,被告の主張は失当である。 ) 争点㨯(被告の過失の有無)について㨯被告は,平成13年6月5日,Cから別件訴訟の事実の通知を受けたことで初めて本件商標権侵害の可能性を知ったのであり,それまでは,富士ベイトがクロスビーズの製造販売につき正当な権 の有無)について㨯被告は,平成13年6月5日,Cから別件訴訟の事実の通知を受けたことで初めて本件商標権侵害の可能性を知ったのであり,それまでは,富士ベイトがクロスビーズの製造販売につき正当な権利を有していたと信じていた旨主張し,それに沿う証拠(乙22,被告代表者)を挙げる。 㨯しかし,前記認定事実によれば,本件商標を付した商品は,平成11年までの間,東北地方を中心に雑誌による宣伝のほか,千葉県内等で開催されたフィッシングショーなどに出品することにより全国的にも周知性を得てきていた上に,仲間取引によっても流通していたことが認められる。また,証拠(甲5,87,88,乙8)によれば,平成10年7月及び8月,Cは,実用新案の出願者として,被告に対し,クロスビーズの名称を使用し,あるいはこれを用いた釣り仕掛け等を製造販売することが,知的所有権を侵害して,,いることになる旨の警告をしていること被告の取引先である富士ベイトは被告に対し,平成12年1月7日「クロスビーズの名称が変わりました。 ,商品は全く変わっておりませんので,今後共よろしくお願い申し上げます」- 35 -という内容を記載した納品書を送っていること,原告ディバイスは,富士ベイトに対し,同月下旬頃,本件ビーズ(クロスビーズ)及びこれを用いた釣り仕掛けの製造等について,不正競争差止等を求め,訴訟を提起したことも認められる。 これらの事実によれば,本件商標が原告Aに登録された平成11年2月18日時点においては,少なくとも本件商標を原告Aが使用していた事実は周知されたと認めることができ,被告においても,その事実を知っていたと認めることができる。そして,被告は,平成12年1月には,原告ディバイスと富士ベイトとの間の本件ビーズ及びクロスビーズの名称の使用に関する交渉等の結果,富士ベ 被告においても,その事実を知っていたと認めることができる。そして,被告は,平成12年1月には,原告ディバイスと富士ベイトとの間の本件ビーズ及びクロスビーズの名称の使用に関する交渉等の結果,富士ベイトが本件ビーズにクロスビーズの名称を付することを止め,その旨納品書を通じて連絡を受けたことから,改めてクロスビーズの名称の使用が他人の権利を侵害していることを認識したと認めることができる。なお,被告代表者は,この点について,名称変更には気づかなかった旨述べる(被告代表者)ところ,仮に,被告代表者の言うとおりであったとしても,被告としては,富士ベイトの納品書に記載されている名称によって本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛けの名称を決定していたのであり,商品の名称は極めて重要な事柄であるから,この点を見落とし,原告Aが本件商標権を有することを知らずに,本件商標を使用し続けたことには,被告の過失があったと評価できるものである。 よって,被告の主張を採用することはできない。 争点㨯(原告Aの差止請求の可否)について前記3で認定した事実,証拠(乙1ないし7,11ないし13,22,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,被告が,被告標章を付した商品を製造販売したのは,平成14年4月中旬ころまでであること,被告カタログには,2003年(平成15年)版以降,被告標章は使用されていないことが認められる。原告Aは,被告が現在も被告標章を使用していることを前提として差止請- 36 -求をするものの,被告が現在も被告標章を使用していることを認めるに足る証拠はない。また,被告が,今後本件商標を使用するおそれについても,これを認めるに足る証拠はない。 よって,原告Aの差止請求は理由がない。 争点㨯(原告Aの被った損害の内容及び額)について㨯原告Aは,本件商標の 被告が,今後本件商標を使用するおそれについても,これを認めるに足る証拠はない。 よって,原告Aの差止請求は理由がない。 争点㨯(原告Aの被った損害の内容及び額)について㨯原告Aは,本件商標の商標権者として,被告の本件商標権侵害行為によって,現実に被った損害として調査費用,慰謝料,弁護士費用を,得べかりし利益を得られないことによる損害として本件商標使用許諾料相当損害金を主張している。 㨯ところで,被告は,民法709条に基づく請求として本件商標使用許諾料相当損害金の支払いを求めることはできない旨主張する。しかし,原告Aが,,,,求めている本件商標使用許諾料相当損害金は仮に原告Aが被告に対し本件商標の使用を認めた場合に使用許諾料として得られたであろう金員(利益)を請求するものであり,いわゆる逸失利益の請求であるといえるから,民法709条によって請求できるものである。なお,商標法38条3項が,商標権者は,商標権侵害者に対し,その登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金員を,自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができると規定しているのは,損害の額の立証が容易でないことから設けられた規定であり,民法709条に基づく請求を排除するものではない。 よって,被告の主張は採用できない。 㨯本件商標使用許諾料相当損害金についてア原告Aは,被告と同様に兵庫県に本社を置き,業態も会社規模も被告と同程度の会社である森源の販売実績をもとに,本件商標使用許諾料を卸売価格の4パーセントとし,年間の販売高5915万7000円の4パーセント236万6280円を年間の使用許諾料と算出し,少なくとも被告に- 37 -対する許諾料は年間200万円を下ることはない旨主張する。しかし,原告Aの主張する方法により許諾料を算出する 4パーセント236万6280円を年間の使用許諾料と算出し,少なくとも被告に- 37 -対する許諾料は年間200万円を下ることはない旨主張する。しかし,原告Aの主張する方法により許諾料を算出するのであれば,被告の販売実績をもとに計算しないと意味はなく,被告が森源と同程度の会社であることを理由に,森源の販売実績から被告の販売高を導き出すことは相当ではない。また,原告Aは,本件商標使用許諾料を販売高の4パーセントと主張するが,これを認めるに足る客観的証拠はない。かえって,原告Aが,北海道における本件商標の使用権を認めているBに対して,平成8年ころ,2年間で100万円の使用許諾料を求めたというのであるから(甲10の2,原告ディバイス代表者兼原告本人,卸売価格の4パーセントを使用)許諾料としていたという実態があったとは認められない。 よって,原告Aの主張に基づく計算方法を採用することはできない。 イところで,本件商標の使用に関しては,証拠(甲2,10の2,原告ディバイス代表者兼原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。原告Aは,原告ディバイスとの間で本件商標の通常使用許諾契約を交わしているが,許諾料については,別途定めるものと規定(),。 ,する甲2ものの実際には許諾料の取り決めはなされていない一方原告Aは,Bとの間で,平成8年ころ,北海道における本件商標の使用許諾料として,2年間で100万円の提案をした。Bとしては,クロスビーズの名称を付した釣り仕掛け商品については,他の商品の約50パーセント高い値段でも売れるような状況にあったので,原告Aからの申し出は特段異議を感じていなかった。しかし,そのころから,クロスビーズ及びそれを用いた釣り仕掛けの模造品が流通し始めたため,Bとしては,販売先に支障 でも売れるような状況にあったので,原告Aからの申し出は特段異議を感じていなかった。しかし,そのころから,クロスビーズ及びそれを用いた釣り仕掛けの模造品が流通し始めたため,Bとしては,販売先に支障がでるだけでなく,Bの信用問題にも発展しかねない状況にあると判断し,原告Aからの前記使用許諾料の支払いに対して,これを拒否し,原告Aもこれを了承した。原告AとBの取引は平成13年4月ころまで継続したが,その間許諾料の支払いはなされなかった。 - 38 -,,,なおBは平成元年に原告Aと本件商標の使用許諾契約を締結した後許諾料として100万円を支払った旨陳述する(平成15年1月27日付け。甲10の2。しかし,別件訴訟で証拠として提出されたBの陳述書)(平成14年2月15日付け。乙28。本件において弾劾証拠として提出された)によれば,原告Aに支払った100万円は,原告Aが,富士ベ。 イトに支払う本件ビーズを製造するための金型代に充てるために出資した金員である旨述べていることからすれば,100万円を本件商標の使用許諾料として支払った旨の前記陳述内容をそのまま信用することはできない。 ウ以上の事実に,平成11年2月以降も本件ビーズ及びそれを用いた商品の類似品が横行していたことなどの事情があること(甲73ないし85,),,,原告ディバイス代表者兼原告本人を加味すると原告Aが被告に対し仮に本件商標の使用を許諾する場合,1年間30万円の許諾料をもって相当と思料する。 よって,原告Aが主張する平成11年2月19日から平成14年8月18日までの使用許諾料は105万円となる。 30万円×3.5年=105万円㨯調査費用について原告Aは,本件訴訟提起に当たり,弁理士等に調査を依頼し,70万円の費用を要した旨主張し,それに沿う証拠(甲95 の使用許諾料は105万円となる。 30万円×3.5年=105万円㨯調査費用について原告Aは,本件訴訟提起に当たり,弁理士等に調査を依頼し,70万円の費用を要した旨主張し,それに沿う証拠(甲95,107,証人C,原告代表者兼原告本人)を挙げる。 しかし,これらはいずれも客観的な裏付けを欠き,原告Aの主張を裏付ける適確な証拠と評価することはできない。かえって,本件訴訟において提出されている業界関係者の陳述書(甲73ないし85)は,その作成日付から見て,別件訴訟のために用意された資料であることがうかがわれ,これらの事情にもかんがみると,結局,原告Aの主張を裏付ける証拠はなく,これを- 39 -採用することはできない。 㨯慰謝料について原告Aは,被告による本件商標権侵害行為により,自己が開発するなどした商品に対する信用を毀損され,その回復に苦慮するなど著しい精神的苦痛を被った旨主張する。 ところで,本件商標権侵害行為は,財産権侵害行為であり,特段の事情がなければ,財産的損害が賠償されることにより精神的損害についても慰謝されたとみなすべきである。証拠(甲73ないし85,乙1ないし6)及び弁論の全趣旨によると,被告が本件商標を使用した期間が約3年半に及んではいるものの,被告の平成11年度における本件ビーズを使用した仕掛け商品は5種類,販売個数合計2440個,販売金額合計56万8160円,ビーズの使用個数合計1万5578個,平成12年度の同様の仕掛け商品は5種類,販売個数2544個,販売金額合計54万5930円,ビーズ使用個数合計1万6244個,平成13年4月1日ないし同年8月31日の仕掛け商,,,品は12種類販売個数合計5717個販売金額合計107万0910円ビーズ使用個数合計3万4142個であったこと,原告Aの商品以外の本件ビ 平成13年4月1日ないし同年8月31日の仕掛け商,,,品は12種類販売個数合計5717個販売金額合計107万0910円ビーズ使用個数合計3万4142個であったこと,原告Aの商品以外の本件ビーズあるいは本件ビーズ類似の商品は,平成8年ころから多数市場に出回っていたことなどの事情が認められることからすれば,被告の本件商標権侵害行為により,本件標章使用料相当損害金による賠償がなされたたけでは不十分であり,他に原告Aに慰謝料の支払いをもって填補しなければならない特別の事情があるとは認められない。 よって,原告Aの主張は採用できない。 㨯まとめ以上によれば,原告Aの損害額は,105万円となる。 争点㨯(原告ディバイスの被った損害の内容及び額)について㨯証拠(甲104ないし106,111)によれば,原告ディバイスは,平- 40 -成11年4月30日の設立以降,A商店の営業を引き継ぎ,本件ビーズの製造販売を行っており,平成13年5月に手形不渡りを出したものの,その後はCに製造販売を委託するなどして平成14年8月までの間営業を継続していたことが認められる。このことからすれば,原告ディバイスには本件商標を使用する能力があったといえる。 㨯販売減少損害金についてア原告ディバイスは,被告の本件商標権侵害により,2688万円の販売減少損害金が生じた旨主張し,これを裏付けるものとして証拠(甲92,94の1ないし60)を挙げる。しかし,これらに基づいて算出された原告Aあるいは原告ディバイスの本件ビーズ及び本件ビーズを用いた釣り仕掛けの販売個数,営業利益の額等は,原告らが製作したビーズの個数だけをもとにビーズ単体による販売と釣り仕掛け製品による販売に振り分け,販売単価,経費,利益率を入れて求めた数値にすぎず,実際のビーズ単体の販売個数と価格 利益の額等は,原告らが製作したビーズの個数だけをもとにビーズ単体による販売と釣り仕掛け製品による販売に振り分け,販売単価,経費,利益率を入れて求めた数値にすぎず,実際のビーズ単体の販売個数と価格,ビーズを使用した釣り仕掛けの製作枚数,販売枚数,価格という客観的証拠によって,裏付けされたとはいえず,信用することはできない。 イところで,被告が,本件商標と同一の被告標章を付して,本件商標の指定商品に該当する本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛けを販売したことにより,原告ディバイスの本件商標を付した本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛けの売上げに影響を与えたことは,これを認めることができる。 そこで,原告ディバイスの販売減少金額を考えるにあたっては,被告が現。 (,に売り上げた金額を基準にして判断することが相当である証拠甲72111,乙1ないし6,14,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,平成11年2月から平成13年8月までの間に,被告が,被告標章を付した釣り仕掛け商品を販売したことにより得た販売額合計は214万2420円(前記6㨯記載の販売金額合計218万5000円から返品分4万2- 41 -580円を控除した額)であること,本件ビーズは釣り仕掛けの多数の構成部品の一つにすぎないこと,本件ビーズの表示を「クロスビーズ」から他のものに変えても,顧客からは何らの問い合わせもなく,被告の売上げに変化もなかったこと,平成8年ころから類似のより戻し機能を有するビーズその他の小物が多数市場に出回っていたこと,そのことにより平成11年以前から原告ディバイスの前身であるA商店の売上げは減少していたこと,被告の売り上げについては被告自身の営業努力があったことが認められる。これらの事情を考え合わせると,原告ディバイスが被告の本件商標権侵害によって被 イスの前身であるA商店の売上げは減少していたこと,被告の売り上げについては被告自身の営業努力があったことが認められる。これらの事情を考え合わせると,原告ディバイスが被告の本件商標権侵害によって被った販売減少損害金は,前記被告の売上げの20パーセントに当たる42万8484円(214万2420円×0.2)と解するのが相当である。 ウなお,原告ディバイスは,商標法38条1項ないし2項の類推適用による損害賠償の支払いを予備的に主張する。しかし,原告ディバイスが有している本件商標の使用権原は通常使用権にすぎず,同条を類推適用する基礎を欠くので,その主張を採用することはできない。 㨯説明費用について原告ディバイスは,被告による本件商標権侵害により,全国の取引先等に事情を説明したり,本件訴訟のための資料収集をするのに30万円の費用を要した旨主張し,それに沿う証拠(甲108号,原告ディバイス代表者兼原告本人)を挙げる。 しかし,これらはいずれも客観的な裏付けを欠き,原告ディバイスの主張を裏付ける適確な証拠と評価することはできない。 よって,原告ディバイスの主張は採用できない。 㨯慰謝料について原告ディバイスは,被告による本件商標権侵害行為により,自己が開発するなどした商品に対する信用を毀損され,その回復に苦慮するなど著しい精- 42 -神的苦痛を被った旨主張す。しかし,これを認めることができないのは,前記6㨯と同様である。 㨯まとめ以上により,原告ディバイスの損害額は,42万8484円となる。 争点㨯(損害の填補の有無)について㨯原告Aについて証拠(乙25)及び弁論の全趣旨によれば,別件訴訟は,平成14年9月,,,3日和解により終了したこと前記和解には原告ディバイスが原告として富士ベイトが被告として,Cが利害関係人として関与 いて証拠(乙25)及び弁論の全趣旨によれば,別件訴訟は,平成14年9月,,,3日和解により終了したこと前記和解には原告ディバイスが原告として富士ベイトが被告として,Cが利害関係人として関与したが,原告Aは当事者となっていないことが認められるから,原告Aが別件訴訟の和解の内容に拘束されることがないことは明らかである。 被告は,原告Aが原告ディバイスの代表者であることを指摘するが,原告らの法人格はもとより別個であり,原告Aが原告ディバイスの代表者であるとの一事をもって,前記和解の効力が原告Aにも及ぶと解することはできない。 よって,原告Aに関する被告の主張は,その余の点を検討するまでもなく失当である。 㨯原告ディバイスについて被告は,被告と富士ベイトが原告ディバイスとの関係では共同不法行為者に当たり,原告ディバイスが別件訴訟の和解により富士ベイトに対する損害賠償請求権を失った以上,被告との関係でも損害が填補された旨主張する。 しかし,被告と富士ベイトが,本件ビーズの販売あるいは本件商標の使用について,原告ディバイスに対し連帯して不法行為責任を負い,富士ベイトからされた損害の填補が当然に被告の損害賠償義務を失わせると解するべき密接な関係に立っていると認めるべき特段の事情は本件訴訟において現れていない。 - 43 -よって,原告ディバイスと富士ベイトとの間でされた前記和解の効力により,本件において被告の責任に影響することはないというべきである。 争点㨯(消滅時効の成否)について㨯原告らが本訴を提起したのが平成15年3月24日であること及び被告が,,原告らに対し平成18年5月16日第17回弁論準備手続期日において3年の消滅時効を援用するとの意思表示をしたことは,いずれも当裁判所に顕著な事実である。 したがって,平成12年 及び被告が,,原告らに対し平成18年5月16日第17回弁論準備手続期日において3年の消滅時効を援用するとの意思表示をしたことは,いずれも当裁判所に顕著な事実である。 したがって,平成12年3月23日以前に発生した原告らの不法行為損害賠償請求権は,時効により消滅したというべきである。 㨯この点,原告らは,被告による本件商標権侵害行為は,継続的不法行為であり,被告による最後の侵害行為が終了した時から起算されると主張する。 しかし,不法行為が継続して行われ,そのために損害も継続して発生する,,場合には損害の継続発生する限り日々新しい不法行為に基づく損害として各損害を知ったときから別個に消滅時効が進行すると解するべきである。本件においては,被告の不法行為が継続することにより原告らの損害が質的に蓄積していくという性質のものではなく,被告による最後の侵害行為終了時点まで消滅時効が進行しないと解するべき特段の事情は認められない。 また,原告らは,原告らが加害者及び損害の発生を知った時とは,被告が本件商標権侵害を知った時期である平成13年6月5日であるから,その時。 ,,から時効は進行する旨主張するしかし平成10年7月にCが被告に対しクロスビーズの名称を使用することが知的所有権を侵害していることになる旨通知しているところ,原告AとCは,共同してクロスビーズの名称で商品を販売しているという密接な関係にあったことからすれば,原告らは,被告が本件商標を使用して本件ビーズ及びこれを用いた釣り仕掛けを販売している事実を把握していたと認めることができる。そうすると,原告ディバイスの代表者であり,原告本人でもある原告Aは,平成11年2月19日に本件- 44 -商標権を取得した時点で,すでに被告による本件商標権の侵害を知っていたと認めることができる うすると,原告ディバイスの代表者であり,原告本人でもある原告Aは,平成11年2月19日に本件- 44 -商標権を取得した時点で,すでに被告による本件商標権の侵害を知っていたと認めることができる。 よって,原告らの主張は採用できない。 㨯消滅時効により消滅した額は,下記計算式のとおり,原告Aについて32万4767円,原告ディバイスについて11万5293円となる。したがっ,(),て原告Aの損害額は72万5233円105万円-32万4767円原告ディバイスの損害額は31万3191円(42万8484円-11万5293円)となる。 原告A105万円×(平成11年2月19日から平成12年3月23日までの399日)(平成11年2月19日から平成14年8月31日ま/での1290日)≒32万4767円(1円未満切り捨て)原告ディバイス42万8484円×(平成11年5月1日から平成12年3月23日までの328日)(平成11年5月1日から平成14年8月31日/までの1219日)≒11万5293円(1円未満切り捨て)㨯弁護士費用原告らの被った損害額,本件訴訟の困難性等諸般の事情にかんがみ,弁護士費用は,損害額の約1割とし,原告Aが7万円,原告ディバイスは3万円とするのが相当である。 㨯まとめ以上により,原告Aの損害額は79万5233円,原告ディバイスの損害額は34万3191円となる。なお,原告らは,遅延損害金の利率を商事法定利率年6分と主張するが,不法行為による損害に対する損害金であることからすれば,民法所定の年5分が相当である。 第4 結論 - 45 -よって,原告Aの本件請求は,79万5233円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で,原告ディバイスの本件請求は, 結論 - 45 -よって,原告Aの本件請求は,79万5233円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で,原告ディバイスの本件請求は,34万3191円及びこれに対する平成14年9月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で,いずれも理由があるから認容し,その余は理由がないからいずれも棄却する。 山形地方裁判所鶴岡支部裁判長裁判官横山巌裁判官武宮英子は転補のため,同藤原典子は転官のため,いずれも署名押印することができない。 裁判長裁判官横山巌

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