平成10(オ)331 取立債権請求事件

裁判年月日・裁判所
平成13年11月27日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 平成9(ネ)1596
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判決文本文2,204 文字)

主    文              本件上告を棄却する。        上告費用は上告人の負担とする。          理    由  第1 上告人及び上告補助参加代理人島田信治,同西村健,同増田勝洋の上告理由第一点 の三ないし八について  1 本件は,上告人に本件預託金を預託し,その経営に係るゴルフ場及びその附帯施設 の優先的利用権を内容とする本件ゴルフクラブ会員権を取得した訴外会社に対する 滞納処分として,本件ゴルフクラブ会員権の差押えをした被上告人が,本件預託金 の返還事由の発生後,上告人に対してその支払を求めるものであり,本件ゴルフク ラブ会員権につき譲渡の予約をした上告補助参加人が被上告人の差押えに先立って 予約完結権を行使したことによる譲渡の効力をもって被上告人に対抗し,本件預託 金の返還請求権が上告補助参加人に帰属することを主張することができるかが争点 となっている。  2 原審が適法に確定した事実関係等は,次のとおりである。  (1) 訴外会社は,昭和59年7月2日,上告人に対して本件預託金を預託し ,本件ゴルフ会員権を取得した。  (2) 訴外会社と上告補助参加人とは,同月3日,訴外会社が上告補助参加人 に対して負担する債務の担保として本件ゴルフクラブ会員権を上告補助参加人に譲 渡することを予約し,同債務につき訴外会社に不履行があったときは,上告補助参 加人の予約完結の意思表示により本件ゴルフクラブ会員権譲渡の本契約を成立させ ることができる旨の合意(以下「本件譲渡予約」という。)をし,そのころ,上告 - 1 - 人は,確定日付のある証書により,本件譲渡予約を承諾した。  (3) 上告補助参加人は,平成3年10月5日,訴外会社に対し,本件譲渡予 約を完結する旨の意思表示をしたが,これによる本件ゴルフクラブ会員権の譲渡に ついて,確定日付のある証書 譲渡予約を承諾した。  (3) 上告補助参加人は,平成3年10月5日,訴外会社に対し,本件譲渡予 約を完結する旨の意思表示をしたが,これによる本件ゴルフクラブ会員権の譲渡に ついて,確定日付のある証書による上告人への通知又は上告人の承諾はされていな い。  (4) 被上告人は,平成3年10月9日,訴外会社に対する滞納処分として本 件ゴルフクラブ会員権を差し押さえ,同日,差押通知書を上告人に送達した。  (5) 本件預託金の据置期間が経過し,平成8年6月1日訴外会社が解散して 本件ゴルフクラブの会員資格を喪失したことから,訴外会社は,本件預託金の返還 請求権を取得した。  3 民法467条の規定する指名債権譲渡についての債務者以外の第三者に対す る対抗要件の制度は,債務者が債権譲渡により債権の帰属に変更が生じた事実を認 識することを通じ,これが債務者によって第三者に表示され得るものであることを 根幹として成立しているところ(最高裁昭和47年(オ)第596号同49年3月 7日第一小法廷判決・民集28巻2号174頁参照),指名債権譲渡の予約につき 確定日付のある証書により債務者に対する通知又はその承諾がされても,債務者は ,これによって予約完結権の行使により当該債権の帰属が将来変更される可能性を 了知するに止まり,当該債権の帰属に変更が生じた事実を認識するものではないか ら,【要旨】上記予約の完結による債権譲渡の効力は,当該予約についてされた上 記の通知又は承諾をもって,第三者に対抗することはできないと解すべきである。  これを本件についてみると,本件譲渡予約については確定日付ある証書により上 告人の承諾を得たものの,予約完結権の行使による債権譲渡について第三者に対す る対抗要件を具備していない上告補助参加人は,本件ゴルフクラブ会員権の譲受け を被上告人に対抗することはできないと 書により上 告人の承諾を得たものの,予約完結権の行使による債権譲渡について第三者に対す る対抗要件を具備していない上告補助参加人は,本件ゴルフクラブ会員権の譲受け を被上告人に対抗することはできないといわなければならない。 - 2 - 以上と同旨に帰する原審の判断は是認することができ,その過程に所論の違法はな い。所論引用の判例のうち,最高裁昭和42年(オ)第250号同43年8月2日 第二小法廷判決・民集22巻8号1558頁は,本件と事案を異にし適切ではなく ,その余の判例は,上記判断と異なる解釈を採るものではない。論旨は,独自の見 解に立って原判決を論難するものに帰し,採用することができない。  第2 その余の上告理由について 所論の点に関する原審の事実認定は,原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに 足り,同事実関係の下においては,所論の点に関する原審の判断は,正当として是 認することができる。原判決に所論の違法はない。論旨は,原審の専権に属する証 拠の取捨判断,事実の認定を非難するか,又は独自の見解に立って原判決を論難す るものに帰し,採用することができない。  第3 結論 以上によれば,本件上告は棄却すべきであるから,裁判官全員一致の意見で,主文 のとおり判決する。 (裁判長裁判官 奥田昌道 裁判官 千種秀夫 裁判官 金谷利廣 裁判官 濱田 邦夫) - 3 -

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