昭和40(行ツ)13 町議会議員当選の効力に関する裁決取消請求

裁判年月日・裁判所
昭和40年5月20日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 福岡高等裁判所 昭和38(ナ)11
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人川野浩、同川野次郎の上告理由(一)(イ)について。  論旨は、所論の

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判決文本文2,104 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人川野浩、同川野次郎の上告理由(一)(イ)について。 論旨は、所論の「木田」なる投票を本田の誤記と認定判断した原判決には採証法則違反、経験則違反の違法があるという。 しかし、選挙人が候補者氏名を自署する投票方式をとる現行選挙法のもとにおいては、候補者の表示に誤字、脱字その他不明確な記載の投票があることは避け難いところであるから、かかる不明確な投票については、代表制民主主義の根本理念に照らして、無効投票の規定に反しない限り、その記載された文字の全体的考察により当該選挙人の意思がいかなる候補者に投票したかを判断しうる以上、これを有効投票として選挙人の投票意思を尊重すべきであり、その投票の記載をそのような誤記または脱字をしたものと認定するためには、当該選挙における具体的事情、ことに各候補者の氏名、通称等の文字、読み方、選挙人一般の教養程度、当該投票の記載体様等よりこれを推認すべきものと解するを相当とする(昭和二四年(オ)第二七号同二五年七月六日最高裁判所第一小法廷判決、民集四巻七号二六七頁参照)。 原判決は右と同趣旨の見解の上に立ち、証拠及び弁論の全趣旨を綜合して、本件選挙における「木田」なる投票は、その記載の文字の配置、運筆の稚拙等から平素文字を書くことに親しまない者の投票と推認し、そのような者は文字を書き慣れている者より誤記の可能性が多いこと、ことに投票所内における緊張感からそのような者は平常より誤記することが多いこと、本件選挙においては「木田」なる姓の候補者は存在せず、これに近似する姓の候補者は本田D及び木場田Eの両名であるところ、本件「木田」なる投票は、木場田候補の姓の脱字と見るより、本田候補の姓の- 1 本件選挙においては「木田」なる姓の候補者は存在せず、これに近似する姓の候補者は本田D及び木場田Eの両名であるところ、本件「木田」なる投票は、木場田候補の姓の脱字と見るより、本田候補の姓の- 1 -字画の遺脱と見る方が自然であることを認定判断して、右「木田」なる投票は、平素比較的文字を書くことに親しまない選挙人が「本田」と書く意思で「本」の字中一画を遺脱して「木田」と記載したものと認めるのを相当とすると判断したことは、原判文上明らかである。その判断は、原判決の判示する当事者間に争なき事実、投票検証の結果に照らし、経験則の適用によりこれを是認できる。従つて、原判決には所論違法はなく、論旨は採用できない。 同(一)(ロ)(1)について。 論旨は、所論「。本ンダ」なる投票について、原判決がその「。本」を「ポ」と混同して記載したものと推認したのは、経験則に違反し、ことに、同じく稚拙な文字で書かれた投票でありながら、前記「木田」なる投票については点画を遺脱することは稀でないとしながら、「。本ンダ」なる投票については、「。」を附加したものを「ポ」の誤記と判断したのは矛盾であり、経験則違反であるという。 しかし、原判決は、所論「。本ンダ」なる投票は、稚拙な文字で漢字と片仮名を混用して記載されており、その「。」が「本」の字に半濁音符を付したと見られる位置形状を具えていることから見て、右投票は漢字の「本」と片仮名の「ホ」を混同して記載されたものと推定され、「。」なる記載も、「ポンダ」を本田候補の愛称として一部の選挙人が用いる事実が認められから、有意の他事記載とは認められないとし、右「。本ンダ」なる投票は、本田候補に投票する意思でなされた有効投票であると認定判断しているのである。その認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できないものではない。 とは認められないとし、右「。本ンダ」なる投票は、本田候補に投票する意思でなされた有効投票であると認定判断しているのである。その認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できないものではない。原判決は「。」の附記を誤記と認めていないのであるから、これを前記「木田」なる投票についての判示と矛盾がある如くいう論旨はあたらない。従つて、原判決には所論違法は認められず、論旨は採用できない。 同(一)(ロ)(2)及び(二)について。 - 2 -論旨は、原判決が本田候補を「ポンダ先生」または「ポンダさん」と愛称する一部の選挙人があることを認め、前記「。本ンダ」なる投票または「ポンダ」と記載された投票を同候補の得票としたのは、証拠に基づかない事実の認定であるという。 しかし、本田候補を一部の選挙人が「ポンダ先生」または「ポンダさん」と愛称していた旨の原審の認定は、前叙のとおり原判決挙示の証拠により首肯できないことはないのであるから、原判決には所論違法は認められない。論旨は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、採用できない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官長部謹吾裁判官入江俊郎裁判官松田二郎裁判官岩田誠- 3 -

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