令和4(ワ)32087 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月19日 東京地方裁判所
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判決文本文12,242 文字)

令和7年2月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4年(ワ)第32087号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和6年11月15日判決 主文 1 被告は、原告に対し、22万円及びこれに対する令和4年12月19日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、これを50分し、その49を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、1100万円及びこれに対する令和4年12月19日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、宗教法人である原告が、西東京市議会議員選挙の候補者であった被告による同選挙期間中の街頭演説において、原告の名誉を毀損する発言をされたと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、1100万円及びこれに対 する上記演説が行われた日(不法行為の日)である令和4年12月19日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実当事者間に争いがないか、後掲の証拠(特に断らない限り枝番号を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実は以下のとおりである。 ⑴ 当事者 ア原告は、昭和27年9月8日に設立された宗教法人である。 イ被告は、令和4年12月25日に行われた西東京市議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)に立候補した者であり、本件選挙における当選人となって現在は西東京市議会議員を務めている。 被告の両親は原告に入会しており、被告自身も平成2 行われた西東京市議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)に立候補した者であり、本件選挙における当選人となって現在は西東京市議会議員を務めている。 被告の両親は原告に入会しており、被告自身も平成24年に脱会するまでは原告 の会員であった。 ⑵ 被告による街頭演説被告は、令和4年12月19日、支援者らと共に、西武鉄道田無駅(以下「田無駅」という。)北口の路上において、マイクとスピーカーを使用して街頭演説を行った(以下「本件演説」という。)。 本件演説は、最初に被告が演説した後、被告以外の7名による応援演説を挟み(なお、各応援演説の間には、被告がそれぞれ数分間程度のコメントをしている。)、最後に再び被告が演説するものであり、計70分ほど行われた。 また、5人目の応援演説者であるA(以下「A」という。)による演説が終わった後、被告及び支援者らは、本件演説を一時中断して約30メートル先の場所に移 動し、6人目の応援演説者から本件演説が再開された。本件演説が中断していた時間は、約3分30秒であった。 被告は、同日午後2時45分頃、7名による応援演説が全て終わった後の自身の演説において、別紙記載の発言(以下「本件発言」という。)をした。 (以上につき、甲5、11、乙2) ⑶ 平成7年に発生したF市議会議員の転落死F市議会議員であったB(以下「B」という。)は、平成7年9月1日、F駅前のビルから転落し、その後死亡した(以下、同事案のことを「Bの転落死」という。)。 Bの転落死を捜査した警視庁F警察署(以下「F署」という。)は、同年12月22日、東京地方検察庁八王子支部(当時)に事件を送致し、後にBの転落死に事件 性はないとして捜査は終結した。 ⑷ 本件訴えの提起原告は、本件選挙期間中である令和 は、同年12月22日、東京地方検察庁八王子支部(当時)に事件を送致し、後にBの転落死に事件 性はないとして捜査は終結した。 ⑷ 本件訴えの提起原告は、本件選挙期間中である令和4年12月20日、本件訴えを提起した。 3 争点及び争点に関する当事者の主張⑴ 本件発言による摘示事実の内容及び社会的評価の低下の有無(争点①)(原告の主張) ア被告は、本件発言において、Bの転落死が他殺であること、Bの上腕下部の皮下出血は第三者が圧力を加えた際にできたものであることを断定した上で、Bが人に持ち上げられて落とされたと述べ、これに続けて、「こういうようなことをですね、平気で行ってきたのが、創価学会でございます」と発言している。本件発言を聴いた一般聴衆は、「こういうようなこと」の意味について、Bを持ち上げて転 落死させたことを指すと理解するのは明らかである。 そして、被告は、本件発言において、Bの転落死が他殺であり、それに原告が関与していることを断言しており、「疑いがある」といった発言はしていないから、原告がBの殺害に関与した事実(以下「本件事実」という。)を摘示したものである。 イ被告は、「こういうようなこと」は、原告と行政との癒着や、原告による違法な勧誘行為、教育方針を指していると主張する。 しかし、本件演説の文脈からすると、本件発言における「武蔵村山市の闇」が、被告の実家における勧誘行為や、武蔵村山市議会議員であった被告の父と行政との癒着を指している一方で、「F市の闇」がBの転落死を指していることは明らかで ある。被告は、本件演説の冒頭では、捜査機関による捜査に対する疑問や原告による勧誘方針等に触れていたが、本件発言においては全く触れていないし、本件発言において言及された「健康登り棒」 らかで ある。被告は、本件演説の冒頭では、捜査機関による捜査に対する疑問や原告による勧誘方針等に触れていたが、本件発言においては全く触れていないし、本件発言において言及された「健康登り棒」の話も、前記皮下出血が第三者によって生じたものである旨を強調するものであった。 そして、各応援演説は、基本的に各人の演説ごとに完結したものであること、1 人目の応援演説者であるC(以下「C」という。)による演説において、警察、検 察の捜査の瑕疵に言及されているものの、それと本件発言との間には6名による応援演説が行われている上、本件発言は、Cによる応援演説の場所から約30メートル移動した場所で、しかも移動の際には本件演説を約3分30秒の間中断しているなど、時間的にも場所的にもCの演説と本件発言とは隔たりがあることに加えて、聴衆の大多数は本件発言に先立つ応援演説者らの演説を聴いていないことなどから すると、一般聴衆が応援演説者らの演説を前提として本件発言を聴くことはないから、被告の主張は理由がない。 (被告の主張)ア本件演説は、応援演説も含めて一体のものであるから、本件発言という一部分を切り取るのではなく、本件演説全体が一般聴衆にどのように受け止められるか により、名誉毀損該当性を判断すべきである。 本件発言に先立ち、Cが応援演説においてBの転落死が他殺であり当時の捜査担当者が原告の会員であった旨を指摘していること、Aが応援演説において原告と行政との癒着をうかがわせる発言をしていること、被告がAの応援演説を受けて原告の不正を暴いていく旨の発言をしていること、被告が本件演説において原告の会員 である父の下での教育や勧誘行為に対する批判をしていることなどからすると、本件演説の聴衆らは、本件演説が、原告と行政との癒 を暴いていく旨の発言をしていること、被告が本件演説において原告の会員 である父の下での教育や勧誘行為に対する批判をしていることなどからすると、本件演説の聴衆らは、本件演説が、原告と行政との癒着や原告による違法な勧誘行為、教育方針を解明するためのものであると理解することができる。 また、本件発言中において、被告が「他殺」と発言してから、「こういうようなこと」と発言するまでの間に、「健康登り棒」の話をして捜査機関による捜査に対 する疑問を呈していることや、西東京市議会の議事録に載せるといった本件事実とは無関係なはずの発言をしていることなど、「こういうようなこと」というフレーズが、捜査機関に対する疑問等に立て続けに出てきたことにも留意が必要である。 以上によれば、本件発言は、CやAなどによる応援演説を受ける形で被告の上記政治姿勢に即した内容、つまり、原告と行政との癒着の問題性を告発して忖度なく 徹底的に明らかにしていくことを表明するものであり、Bの転落死が自殺として処 理されたことを一例とする原告と行政との癒着を指摘するものにすぎないから、原告がBの殺害に関与したことを意味する発言ではなく、本件演説の聴衆らも、このような内容として理解していたものである。 仮に被告が本件発言において、原告がBの殺害に関与したことについて言及したものであると解される場合であっても、それは飽くまでも、Bの左右の上腕内側部 分に複数の皮膚変色部が存在する事実、それにもかかわらず捜査機関が自殺と判断した事実及びBが反創価学会活動を行っていた事実を前提として、原告がBの殺害に関与した疑いがあると論評したにすぎない。 そして、論評の前提としている事実につき、真実性又は真実相当性が認められるから、免責事由が認められる。 イ Bが転 を前提として、原告がBの殺害に関与した疑いがあると論評したにすぎない。 そして、論評の前提としている事実につき、真実性又は真実相当性が認められるから、免責事由が認められる。 イ Bが転落死したのは約30年前であること、Bの転落死が他殺であってそれに原告が関与している可能性があることについては既に世間に広く知れ渡っていることからすると、本件発言による原告の社会的評価の低下はない。 ⑵ 真実相当性の抗弁の成否(争点②)(被告の主張) ア公共性、公益目的性本件事実は、国政政党である公明党と密接な関係のある原告が行政と癒着関係にあることを利用して犯罪事件をもみ消したという議論につながるものであり、公共の利害に関する事実である。 また、被告は、原告と行政との癒着関係を明らかにするという目的で上記の事実 摘示をしており、専ら公益を図る目的に出たものである。 イ真実相当性被告は、本件演説に先立ち、D(以下「D」という。)及びBの娘であるE(以下「E」という。)から、Bの司法解剖鑑定書には左右の上腕内側部分に複数の皮膚変色部が存在する旨が記載されていること、Bは反創価学会活動を行っており、 原告の関係者から嫌がらせ等を受けていたこと、Bの転落死については他殺を疑わ せる客観的な事情があったにもかかわらず、捜査を担当していたF署はBが自殺したとみられる旨を発表したこと等の事実を聞かされるなどしていた。また、被告は、Eから上記司法解剖鑑定書等を渡されていた。 被告は、以上の取材に基づいて、Bの転落死は自殺ではなく他殺であり、Bの原告に対する活動に反感を持った原告がBの殺害に関与し、それを捜査への関与によ って隠ぺいしたと考えたのであり、真実と信じるについて相当な理由があるといえる。 (原告の はなく他殺であり、Bの原告に対する活動に反感を持った原告がBの殺害に関与し、それを捜査への関与によ って隠ぺいしたと考えたのであり、真実と信じるについて相当な理由があるといえる。 (原告の主張)DやEはこれまで原告を批判してきた人物であるところ、被告は、原告がBの転落死に関与していない旨の報道があることも認識していたのであるから、Bの転落 死に関するDやEの見解が信用できる根拠等について吟味する必要があった。しかし、被告は、それらの信憑性に関する裏付け調査を十分に行っていない。 Bの左右の上腕内側部分に複数の皮膚変色部が存在することからいえることは、単に当該箇所に外圧が加わったということだけであり、それが人為的なものであると直ちに断定することはできないし、それが他殺を基礎付ける事実となることもな い。また、仮に被告の挙げる根拠が真実であるとしても、それらから原告がBの殺害に関与したことを認めることはできない。 加えて、被告自身、本人尋問において原告がBの転落死に関与している旨の話が真実であるとは信じていないと供述しており、真実相当性の法理を適用する前提を欠いている。 したがって、真実相当性は認められない。 ⑶ 正当業務行為の抗弁の成否(争点③)(被告の主張)地方議会議員は住民の代表として選出される存在であり、その活動を保障することが地方自治の本旨や国民主権に適うことからすると、地方議会議員の候補者の言 動が名誉毀損に当たる場合であっても、正当業務行為として一定の要件の下に違法 性が阻却されるべきである。 本件演説は、住民の利益を図る目的でなされ、住民の利害に関する事柄を扱い、法益均衡の観点からも妥当であって、手段、方法として相当であるから、正当業務行為として違法性は阻却される。 るべきである。 本件演説は、住民の利益を図る目的でなされ、住民の利害に関する事柄を扱い、法益均衡の観点からも妥当であって、手段、方法として相当であるから、正当業務行為として違法性は阻却される。 (原告の主張) 本件演説当時の被告は本件選挙の候補者にすぎず、議員としての活動を観念する余地はない。 本件発言は、従前から原告に批判的であった被告が、西東京市の市政とは何の関連性もないBの転落死の事案を持ち出し、選挙運動にかこつけて原告に対する攻撃を行ったものであり、正当業務行為として違法性が阻却される余地はない。 ⑷ 損害の発生及び額(争点④)(原告の主張)ア本件発言により原告の名誉は毀損されたのであり、その損害を回復するには1000万円を下回らない。 イまた、相当因果関係を有する弁護士費用は、100万円である。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点①(本件発言による摘示事実の内容及び社会的評価の低下の有無)について ⑴ ある表現が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは、当該表現が演説であれば、一般の聴衆の普通の注意と聴き方を基準として解釈した意味内容に従って判断すべきである(最高裁昭和29年(オ)第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)。 ⑵ 本件発言による摘示内容 ア本件発言は、被告において、Bが過去に「謎の転落死」をしたことに言及し、 「これはもう他殺ですよ」と述べて、当該転落死が他殺であるとした上で、Bの上腕部に皮下出血があった点に触れて、「持ち上げて落とそうとした人がいたということでございます」と述べて、Bを故意に転落させるという殺害の方法を特定し、更に自殺であれば皮下出血が生じるはずがないという点 部に皮下出血があった点に触れて、「持ち上げて落とそうとした人がいたということでございます」と述べて、Bを故意に転落させるという殺害の方法を特定し、更に自殺であれば皮下出血が生じるはずがないという点を強調した上で、「こういうようなことをですね、平気で行ってきたのが、創価学会でございます」と発言し たものである。 これらの本件発言の内容を聴いた一般の聴衆の普通の注意と聴き方によれば、本件発言は、Bの転落死が他殺であり、同人の上腕部に皮下出血が認められたという根拠を挙げて、同人を持ち上げて転落死させた者がいるという内容であると理解されるから、上記「こういうようなこと」とは、Bを持ち上げて転落死させたことを 指すというべきである。 イこの点に関し、被告は、「こういうようなこと」とは、本件演説で被告及び応援演説者らが言及した原告と行政との癒着等を指すものであって、原告がBの殺害に関与したことを意味するものではないなどと主張する。 この点について、証拠(甲11、乙2)によれば、本件演説では、被告の本件発 言に至るまでの間に、被告及び応援演説者らが原告と行政との癒着等に関する内容に言及していること、特に1人目の応援演説者であるCは、Bの転落死に関して、皮下出血という他殺の疑いを示す資料があったにもかかわらず、警察がいち早く自殺として処理したことや、原告の会員が同事件の捜査を担当していたことを指摘した上で、これと同様に、全国各地において原告と行政との癒着が発生しているとい う趣旨の発言をしている。これらに加えて、本件発言は、本件演説において応援演説が全て終わった後の終盤に行われたものであり、本件演説の全体の内容を総括する意味合いもあったと認められることも踏まえると、被告における本件発言の意図として、上記「こういうようなこと において応援演説が全て終わった後の終盤に行われたものであり、本件演説の全体の内容を総括する意味合いもあったと認められることも踏まえると、被告における本件発言の意図として、上記「こういうようなこと」には、本件発言までに被告及び応援演説者らが言及した原告と行政との癒着等に関する指摘が含まれていた余地があることは否 定できない。 しかし、前記アのとおり、被告は、本件発言においては、Bの転落死が他殺であり、同人の上腕部に皮下出血があったことを根拠に挙げて、Bを持ち上げて落とそうとした人がいた旨述べているが、この件に関して捜査機関が自殺と判断したことに対する問題性や、本件演説で言及されてきたBの転落死の件以外の原告と行政との癒着等に関する点には言及していない。加えて、市議会議員選挙の候補者による 街頭演説の聴衆については、演説者等によって状況は異なり得るとはいえ、一般には、演説を聴くことを目的として参集して長時間にわたり聴く者よりも、演説場所付近の駅や周辺施設等の利用者など、通行中や待ち時間等に短時間聴くにとどまる者の方が相当の多数を占める場合が多いと考えられるところ、本件演説に関しても、これと異なる状況が生じていたとは証拠上認められないことからすると、本件発言 を聴いた聴衆の多数は、本件発言以前に言及された原告と行政との癒着等に関する演説を聴いているものではないと推認される。そうすると、上記「こういうようなこと」について、一般の聴衆の普通の注意と聴き方を基準とすれば、本件発言の前に他の応援演説者らが言及していた原告と行政との癒着に関する指摘等のことを想起するということはできない。 以上の点をおいて、仮に本件演説の全体又は大部分を聴いていた聴衆の存在を前提として、上記「こういうようなこと」の中に、原告と行政 の癒着に関する指摘等のことを想起するということはできない。 以上の点をおいて、仮に本件演説の全体又は大部分を聴いていた聴衆の存在を前提として、上記「こういうようなこと」の中に、原告と行政との癒着等に関する内容が含まれると考えたとしても、前述した本件発言の内容に照らすと、本件発言で被告が述べた、Bを持ち上げて転落死させた行為が含まれないと理解することは困難である。 ウまた、被告は、本件発言における「F市の闇」は、原告と行政との癒着を問題視する内容のCによる応援演説を受けたものであるから、やはり「このようなこと」とは、原告と行政との癒着をいうものであるなどと主張する。 しかし、前記イで述べたことに加えて、街頭演説は聴き返しが想定されないという意味でも一過性を有するものであり、一般の聴衆の普通の注意と聴き方を基準と する以上、ある発言部分について、演説内容全体を振り返って、使用された語句を 事後的に詳細に検討した上で、その意味内容を確定する手法は、通常相当ではないというべきである。そして、前述したとおり、Cによる応援演説では、原告と行政との癒着を述べる中でBの転落死に言及されているものの、同演説が行われたのは本件演説の序盤であり、本件発言との間には他の6名の応援演説者がそれぞれの応援演説をしていること、途中で本件演説が一時中断し、演説の場所が約30メート ル移動した後に本件発言がされたことなども考慮すると、一般の聴衆の普通の注意と聴き方を基準として、「F市の闇」及び「こういうようなこと」について、原告と行政との癒着のみを指すものであるという意味内容として理解することはできない。 エそのほかにも、被告は、本件発言において、西東京市議会の議事録に載せる 旨の本件事実とは無関係なはずの発言をして との癒着のみを指すものであるという意味内容として理解することはできない。 エそのほかにも、被告は、本件発言において、西東京市議会の議事録に載せる 旨の本件事実とは無関係なはずの発言をしていることを根拠に、「こういうようなこと」はBの殺害への関与を意味しないと主張する。しかし、本件発言を聴いた一般の聴衆が、西東京市議会の議事録に本件事実に関する内容を載せることができるか否かを判断することは困難であるから、上記発言を根拠として、「こういうようなこと」がBの殺害への関与を意味しないとする被告の主張は採用できない。 オまた、被告は、仮に本件発言が、原告がBの殺害に関与したことに言及するものであるとしても、Bの左右の上腕内側部分に複数の皮膚変色部が存在する事実、それにもかかわらず捜査機関が自殺と判断した事実及びBが反創価学会活動を行っていた事実を前提として、原告がBの殺害に関与した疑いがあると論評したものにすぎないなどと主張する。 しかし、本件発言の内容は、原告がBの殺害行為に関与したという事項を指摘したものであり、このことは証拠等をもってその存否を決めることが可能な事項であるから事実の摘示であって、論評ということはできない。しかも、被告は、本件発言において、Bに皮下出血が存在したことを根拠に挙げた上で「これはもう他殺ですよ」、「こういうようなことをですね、平気で行ってきたのが、創価学会でござ います」などと、原告の殺害への関与を断定する形で発言しており、本件事実の存 在が疑われるという限度での発言と認められるような事情が見当たらないことからすれば、本件発言は、本件事実が存在する疑いがあると論評したものではなく、本件事実そのものを摘示したものというべきである。 カ以上によれば、本件発言は、原告がB るような事情が見当たらないことからすれば、本件発言は、本件事実が存在する疑いがあると論評したものではなく、本件事実そのものを摘示したものというべきである。 カ以上によれば、本件発言は、原告がBの殺害に関与した事実(本件事実)を摘示したものと認められる。 ⑵ 社会的評価の低下の有無について原告が、原告に反対する活動を行っていた人物の殺害に関与したという事実が摘示されれば、原告の宗教法人としての社会的評価が低下することは明らかである。 この点に関し、Bの転落死以降、Bは他殺であり、原告がBの殺害に関与したのではないかといった意見が書籍や週刊誌等によりある程度公にされていたとはいえ、 本件発言当時、そのような疑い自体を認識していない者も多数存在すると考えられる上、これが選挙の演説という形で一般聴衆に広まることにより、原告の更なる社会的評価の低下を招くことは明らかである。したがって、被告の主張する事情を考慮しても、本件事実が摘示されたことによって、原告の社会的評価が低下したことが認められる。 2 争点②(真実相当性の抗弁の成否)について被告は、Bは他殺であり、原告がBの殺害に関与したことが真実であると信じたことについて相当な理由があるとして、真実相当性の抗弁を主張する。 しかし、被告の本人尋問における供述によれば、本件演説当時、被告は、原告がBの殺害に関与したとは信じていなかったことが認められる。真実相当性の抗弁は、 発言者に故意及び過失がないことに係る主張であるところ、被告は本件事実につき真実であると信じていたとは認められないのであるから、同抗弁が成立する前提を欠いていると解される。 この点をおくとしても、被告の主張を踏まえても、被告が本件発言に当たり依拠した情報は、主にBの遺族であるE及び原告に対す とは認められないのであるから、同抗弁が成立する前提を欠いていると解される。 この点をおくとしても、被告の主張を踏まえても、被告が本件発言に当たり依拠した情報は、主にBの遺族であるE及び原告に対する反対活動を行っていたDから もたらされた情報に基づいている一方で、当時存在していたBの死因に関する異な る見解又はこれに関連する裁判例を確認するなど、その信憑性が十分に検討されたとは認められない。また、被告が依拠した情報自体も、Bの転落死に原告が関与したことを直接的に示すものではなく、結局のところ、原告が関与する理由や動機があるとか、捜査に不当な影響力を行使した可能性があるといった間接的なものにとどまるし、直接被告が目にしたという司法解剖鑑定書において、Bの両腕に皮下出 血が認められた旨の事実が記載されていることも、直ちに他人に持ち上げられた際にできた傷であると断定できるような事情とまではいえないし、まして、原告の関与に基づく他殺であると断定できるほどの事情とはいえない。 以上によれば、本件事実が真実であると信ずるについての相当な理由があるとはいえないから、被告の主張は理由がない。 3 争点③(正当業務行為の抗弁の成否)について被告は、現職の地方議会議員の言動は特別に保護されるところ、その趣旨は地方議会議員選挙の候補者の言動にも妥当するとして、本件発言は、その目的、内容、手段及び方法等からすると、正当業務行為として違法性が阻却されるなどと主張する。 しかし、地方議会議員はその職責を全うするために自由な発言を保障する必要がある場合があるのに対し、本件演説当時の被告は地方議会議員選挙の候補者にすぎない私人であったことからすると、両者を同列に論ずることはできない。 そして、本件発言が選挙の演説においてなさ 障する必要がある場合があるのに対し、本件演説当時の被告は地方議会議員選挙の候補者にすぎない私人であったことからすると、両者を同列に論ずることはできない。 そして、本件発言が選挙の演説においてなされたものであり、一般的に表現の自由の保障が特に求められる場面であると認められることを踏まえても、本件発言が 原告の社会的評価を低下させるものであり、摘示されている本件事実につき真実であるとの立証がなされていないことなどからすると、選挙の演説としての許容範囲を逸脱していると解するほかはなく、被告の正当業務行為であるとして違法性が阻却されるとは認められない。 4 争点④(損害の発生及び額)について ⑴ Bの転落死の原因が他殺であるか否か、他殺であるとして、それに原告が関 与したか否かといった点に関しては、週刊誌や書籍等においても取り上げられており(乙4~6、10、20)、訴訟においても複数回にわたって争われてきたこと(甲3、4、7~9、乙1、7、21、29)からすると、原告がBの殺害に関与した疑いがあるという見解が存在すること自体は、ある程度公になっていたものと認められる。また、本件発言は、地方議会議員選挙である本件選挙の候補者による 街頭演説の一部分であり、被告の知名度及びマイクとスピーカーが使用されていた点を踏まえても、本件発言を実際に聴いた者は、本件演説を立ち止まって聴いていた者以外では、周囲にいた田無駅の利用者及び通行人等のうちの一定数にとどまると推認される。他方で、本件発言後、原告は、早期に本件訴えを提起して(前記前提事実⑷)、被告が発言した本件事実が事実に反すること及び被告を刑事告訴した ことと併せて公表しており(被告本人、弁論の全趣旨)、被告の発言が事実に反する旨の原告の認識が発信されている。この 提事実⑷)、被告が発言した本件事実が事実に反すること及び被告を刑事告訴した ことと併せて公表しており(被告本人、弁論の全趣旨)、被告の発言が事実に反する旨の原告の認識が発信されている。このほか、本件で認められる一切の事情を考慮すると、上記不法行為(名誉毀損)による原告の損害としては、20万円が相当である。 ⑵ 上記不法行為と相当因果関係を有する弁護士費用の額は、上記認容額の1割 である2万円が相当である。 5 結論以上によれば、原告の請求は、主文第1項の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第16部 裁判長裁判官平井直也 裁判官池田幸司 裁判官北澤陸 別紙 ですから、私も、今ここで言いますけれども武蔵村山市の闇というものに関しても、F市の闇というものに関しても、私は、徹底的に追及します。FのBさんがね、謎の転落死をした。これはもう他殺ですよ。4年後に、皮下出血というような司法 解剖の鑑定書が出てきたっていうことでございますからね。皮下出血があるということは何かしらの、要は人為的な、圧力を加えなければここに出血なんかできないんです。要は簡単に言うと、持ち上げて落とそうとした人がいたということでございます。なんで、自分で死ぬときにここに出血するんだって話ですよ。ね。なんか、健康登り棒とかやったの。ね、普通に、死ぬ前に。死ぬ前に健康登り棒やんないだ ろうっつの。こういうようなことをですね、平気で行ってきたのが、創価学会でございま るんだって話ですよ。ね。なんか、健康登り棒とかやったの。ね、普通に、死ぬ前に。死ぬ前に健康登り棒やんないだ ろうっつの。こういうようなことをですね、平気で行ってきたのが、創価学会でございます。私はこれに関しては議員となったらですね、もう議会の議事録にも載せていきますからね。徹底的にやらせていただきたいと思っております。

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