主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求経済産業大臣が、令和2年9月4日付けで九州電力送配電株式会社(以下「九州電力送配電」という。)に対して行った託送料金単価を変更する旨の託送供給等約款の認可決定(以下「本件処分」という。)を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の骨子⑴ 原告は、小売電気事業者であり、平成28年6月30日、一般送配電事業者であった九州電力株式会社(以下「九州電力」という。)との間で、九州電力の定める託送供給等約款に基づき接続供給兼基本契約(以下、その契約の有効期間を問わず、「本件接続供給契約」という。)を締結し、小売供給を受けようとする者に対し、電気の供給をしていた。 経済産業大臣は、平成29年9月、一般送配電事業託送供給等約款料金算定規則(以下、後記の改正後、令和3年経済産業省令第22号による改正前のものを「本件算定規則」という。)を改正して、一般送配電事業者が、一般送配電事業を運営するに当たって必要であると見込まれる営業費として、賠償負担金相当金及び廃炉円滑化負担金相当金(以下「賠償負担金相当金等」という。)の額を算定しなければならない旨の規定(本件算定規則4条2項)等を設け、また、電気事業法施行規則(以下、後記の改正後、令和4年経済産業省令第24号による改正前のものを「本件施行規則」という。)を改正して、①一般送配電事業者が経済産業大臣の通知に従い賠償負担金及び廃炉円滑化負担金(以下「賠償負担金等」という。)をその接続供給の相手方から回収しなければならない旨(本件施行規則45条の21の2及び45条の21 の5)及び②原子力発電事業者が賠償負担金等の額について経済産業大臣の承認を受けなけれ 。)をその接続供給の相手方から回収しなければならない旨(本件施行規則45条の21の2及び45条の21 の5)及び②原子力発電事業者が賠償負担金等の額について経済産業大臣の承認を受けなければならない旨(本件施行規則45条の21の3及び45条の21の6)の規定等を設け(なお、本件施行規則は、平成30年3月にも更に所要の改正がされた。)、これらの改正後の規定を令和2年4月1日に施行した。 九州電力送配電は、令和2年4月、九州電力から一般送配電事業等を承継し、同年7月28日、経済産業大臣に対し、本件算定規則4条2項に規定された賠償負担金相当金等の額を営業費として算定し、これに基づいて託送料金単価を変更する旨の託送供給等約款の変更認可の申請をしたところ、同年9月4日付けで、経済産業大臣から、上記申請に係る託送供給等約款の変更を認可する旨の処分(本件処分)を受けた。 ⑵ 本件は、原告が、経済産業大臣の九州電力送配電に対する託送料金単価を変更する旨の託送供給等約款の変更認可処分(本件処分)について、①本件算定規則4条2項は、電気事業法(令和2年法律第49号による改正前のもの。以下「法」という。)の委任に基づくことなく又は法の委任の範囲を越えて、賠償負担金相当金等の額の算定を規定するもので違憲・違法である、②本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5は、法律の委任に基づくことなく、接続供給の相手方の一般送配電事業者に対する賠償負担金等の支払義務を課すもので違憲であるとして、上記各規則に基づいてされた本件処分は違法・無効であると主張し、被告を相手に、本件処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め別紙2のとおり。 3 前提事実(当事者間に争いがないか、各項掲記の証拠及び 主張し、被告を相手に、本件処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め別紙2のとおり。 3 前提事実(当事者間に争いがないか、各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、証拠番号は特記なき限り枝番を含む。)別紙3記載のとおり(以下、この事実を別紙3の項番号等により「前提事実 1⑴」等と略称して引用する。)。 4 争点及び争点に関する当事者の主張本件の争点は、次のとおりであり、これに関する当事者の主張は、別紙4記載のとおりである。 本案前の争点原告適格の有無(争点1)本案の争点ア行政事件訴訟法10条1項による主張制限の有無(争点2)イ本件算定規則4条2項の合憲性及び適法性(争点3)ウ本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5の合憲性(争点4)第3 当裁判所の判断 1 争点1(原告適格の有無) 判断枠組み行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして、処分の相手方以外の者について上記の法律上保護 に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして、処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては、当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し、この場合におい て、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては、当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項、最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 ⑵ 検討上記の見地に立って、原告が本件処分の取消しを求める原告適格を有するか否かについて検討する。 ア法は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的として、電気事業について規制を定めている(1条)。 一般送配電事業者は、①その申請が「その一般送配電事業の開始がその供給区域における需要に適合すること」等の要件のいずれにも適合していると認められる場合(法5条)に経済産業大臣の許可(法3条)を受けた上、経済産業大臣が指定する期間内に、その事業を開始しなければならず(法7条1項)、②その供給区域における託送供給 れにも適合していると認められる場合(法5条)に経済産業大臣の許可(法3条)を受けた上、経済産業大臣が指定する期間内に、その事業を開始しなければならず(法7条1項)、②その供給区域における託送供給等に係る料金その他の供給条件について、経済産業省令で定める期間ごとに、経済産業省令で定めるところにより、託送供給等約款を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならず(法18条1項前段)、③②の認可を受けた託送供給等約款(同条5項若しくは8項の規定による変更の届出があったとき、又は法19条2項の規定による変更があったときは、その変更後のもの)以外の供給条件により託送供給等を行ってはならない(法18条2項)とされてい る。 上記②の経済産業大臣の認可は、㋐料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること(法18条3項1号)、 ㋑当該認可の申請に係る託送供給等約款により電気の供給を受ける者が託送供給等を受けることを著しく困難にするおそれがないこと(同項2号)、㋒料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていること(同項3号)、㋓一般送配電事業者及び当該認可の申請に係る託送供給等約款により電気の供給を受ける者の責任に関する事項並びに電気計器及び工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められていること(同項4号)、㋔特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと(同項5号)、㋕㋐~㋔に掲げるもののほか、公共の利益の増進に支障がないこと(同項6号)が要件とされている。また、経済産業大臣は、上記②の認可をしようとするときは、あらかじめ、電力・ガス取引監視等委員会(これは、法律、経済、金融又は工学に関して専門的な知識と経験を有し、その職務に関し公正かつ中立な判断をすることができる者である委員長及 をしようとするときは、あらかじめ、電力・ガス取引監視等委員会(これは、法律、経済、金融又は工学に関して専門的な知識と経験を有し、その職務に関し公正かつ中立な判断をすることができる者である委員長及び委員をもって組織される。法66条の5、66条の7参照)の意見を聴かなければならない(法66条の11第1項5号)とされている。 そして、一般送配電事業者は、④経済産業省令で定める期間中において、これを変更しようとするときは、料金を引き下げる場合その他の電気の使用者の利益を阻害するおそれがないと見込まれる場合として経済産業省令で定める場合(法18条4項参照。この場合は、変更後の託送供給等約款を経済産業大臣に届け出なければならない〔同条5項〕。)を除き、上記②の認可を得なければならない(同条1項後段)とされている。 イ法は、託送供給制度等の導入経緯(前提事実1⑵ア・⑷ア)に照らすと、電気料金を最大限抑制する観点から、小売分野の全面自由化により電気事業者間の競争を促進する一方で、一般送配電事業者の制度的独占 の弊害から電気の使用者の利益を保護し、一般送配電事業者の供給区域における託送供給等に係る料金その他の供給条件の適正性や事業者間の実質的公平性を確保する観点から、一般送配電事業者に対して託送供給等約款の設定義務を課した上、その託送供給等約款の設定又は変更については、原則として上記ア㋐~㋕の事項を要件とする経済産業大臣の認可を要するものとしている(上記ア②・④)。このように、一般送配電事業については、電気事業者間の競争を促進しつつ、一般送配電事業者と電気の供給を受ける者との間の供給条件となる託送供給等約款の設定又は変更について、料金の額又はその算出方法の適正性に加え、当該託送供給等約款により電気の供給を受ける者が託 しつつ、一般送配電事業者と電気の供給を受ける者との間の供給条件となる託送供給等約款の設定又は変更について、料金の額又はその算出方法の適正性に加え、当該託送供給等約款により電気の供給を受ける者が託送供給等を受けることを著しく困難にするおそれがないこと等の認可要件に関する経済産業大臣の判断を通じて、電気の供給を受ける者(個々の小売電気事業者)において適正な市場競争を営むことができるよう、料金その他の供給条件の適正性や事業者間の実質的公平性を確保する仕組みが設けられているものといえる。 そして、一般送配電事業者の託送供給等約款の設定又は変更に係る経済産業大臣の認可が、電気事業を取り巻く国内外の社会情勢、経済状況、自然環境、国民生活や経済活動への影響その他の諸事情を踏まえた上で、当該一般送配電事業者の供給区域における供給条件が電気の供給を受ける者(小売電気事業者)において適正な市場競争を営むことができるものであることについての適切な考慮を欠くものであるならば、当該供給区域における料金その他の供給条件の適正性や事業者間の実質的公平性が損なわれ、電気の供給を受ける者(小売電気事業者)がこのような供給条件を強いられ(上記ア③参照)、ひいては、電気の使用者の利益の保護及び電気事業の健全な発達が害されるおそれが生じ得るものといえる。 そうすると、法は、上記のようなおそれが生ずることを避けるため、前 記のような一般送配電事業の供給条件に係る規制の仕組みを設けているのであるから、上記認可の判断に当たっては、その事柄の性質上、経済産業大臣に一定の裁量が与えられていると解されるものの、上記のような事項を適切に考慮することが求められるものというべきである。 ウ以上のような一般送配電事業の供給条件に係る規制の仕組み及び内容、そ に一定の裁量が与えられていると解されるものの、上記のような事項を適切に考慮することが求められるものというべきである。 ウ以上のような一般送配電事業の供給条件に係る規制の仕組み及び内容、その規制に係る法の趣旨及び目的、一般送配電事業者の託送供給等約款の設定又は変更に係る経済産業大臣の認可の性質及び内容等を総合考慮すると、法は、一般送配電事業者の供給区域における料金その他の供給条件の適正性や事業者間の実質的公平性が損なわれることにより、電気の使用者の利益の保護及び電気事業の健全な発達が害されるおそれが生ずることを防止するため、上記イのような規制を設け、一般送配電事業者からの託送供給等約款の設定又は変更の申請に対して経済産業大臣が上記イのような事項を考慮してその許否を判断することを通じて、当該供給区域における電気事業者間の適正な市場競争を確保する上でその基盤となるものとして、個々の電気の供給を受ける者(小売電気事業者)の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。 したがって、当該託送供給等約款の定める供給条件により電気の供給を受ける者(小売電気事業者)は、一般送配電事業者に対してされた当該託送供給等約款の変更に係る経済産業大臣の認可処分について、その取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 エこれを本件についてみると、前提事実によれば、原告は、九州電力送配電との間で、本件接続供給契約を締結し、九州電力送配電の託送供給等約款の定める供給条件により電気の供給を受ける者であり(前提事実2⑵)、本件処分は、九州電力送配電の申請に係る当該託送供給等約款の変更(託送料金単価を変更する旨のもの)を認可する旨のものである(前提事実2 供給条件により電気の供給を受ける者であり(前提事実2⑵)、本件処分は、九州電力送配電の申請に係る当該託送供給等約款の変更(託送料金単価を変更する旨のもの)を認可する旨のものである(前提事実2 ⑶)。そうすると、原告は、九州電力送配電に対してされた本件処分について、その取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有するものと認められる。 ⑶ 被告の主張についてこれに対し、被告は、別紙4の⑴(被告の主張)イのとおり主張するが、次の点に照らし、被告の上記主張を採用することはできない。 ア法は、その目的として、「電気の使用者の利益」の保護及び「電気事業の健全な発達」を図ることを掲げているところ(1条)、前記⑵において説示したような一般送配電事業の供給条件に係る規制の仕組み及び内容等に照らすと、「電気の使用者の利益の保護」と「電気事業の健全な発達」のいずれの点についても、電気の供給を受ける者(小売電気事業者)を含む電気事業者間の適正な競争の促進が前提となっているから、電気の供給を受ける者(小売電気事業者)の個別的利益を保護することをその目的とすることを否定するものではないと解される。 イ前記⑵のような法が規定する一般送配電事業の供給条件に係る規制の仕組み及び内容は、一般送配電事業者の託送供給等約款の設定又は変更に係る経済産業大臣の認可を通じて、事業許可制の下で自らの供給区域において地域独占的立場を有する一般送配電事業者が、その独占的地位を利用して託送供給等に係る料金その他の供給条件について恣意的に定めたり、託送供給等を受ける事業者間で不当な差別的取扱いをしたりすることを防止することにより、最終的に電気の使用者の利益を保護し、電気事業の健全な発達を図ることを目的とするも 条件について恣意的に定めたり、託送供給等を受ける事業者間で不当な差別的取扱いをしたりすることを防止することにより、最終的に電気の使用者の利益を保護し、電気事業の健全な発達を図ることを目的とするものである。これは、当該供給区域における電気事業者間の適正な市場競争を確保する上でその基盤となるものとして、託送供給等約款に基づき託送供給等を受ける事業者である個々の小売電気事業者の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解すべきである。 ウ仮に、一般送配電事業者の託送供給等約款の設定又は変更に係る経済産業大臣の認可が前記⑵イのような適切な考慮を欠くものであれば、当該一般送配電事業者から託送供給等を受ける個々の小売電気事業者は、当該託送供給等約款に係る当該供給区域における料金その他の供給条件の適正性や事業者間の実質的公平性を損なうような供給条件を強いられ、適正な条件の下で託送供給等を受けるという具体的利益を害されるおそれがあることに照らせば、小売電気事業者の上記具体的利益は、重要であり、一般的公益の中に吸収解消させることは困難であるというべきである。 そうすると、法が、このような重要な具体的利益を侵害するような当該託送供給等約款に係る供給条件を強いられることとなる小売電気事業者が、当該認可処分の違法性を直接争うことを許容していないものとは解されない。 2 争点2(行政事件訴訟法10条1項による主張制限の有無)⑴ 被告は、原告が、本案の違法事由として、託送料金の原価に賠償負担金相当金等を算入したことについて、法の委任の範囲を超えた違法があるとして、法18条3項1号に係る違法事由を主張するにとどまるから、原告の上記主張は、自己の法律上の利益に関係のない違法をいうものであり、行政事件訴訟法10条1項によりそ 委任の範囲を超えた違法があるとして、法18条3項1号に係る違法事由を主張するにとどまるから、原告の上記主張は、自己の法律上の利益に関係のない違法をいうものであり、行政事件訴訟法10条1項によりその主張が制限される旨を主張する。 ⑵ しかしながら、原告が本件処分の違法事由として具体的に主張するところは、いずれも本件処分の根拠規定である、①本件算定規則4条2項が、法の委任に基づくことなく又は法の委任の範囲を越えて、賠償負担金相当金等の額の算定を規定するもので違憲・違法である、②本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5が、法律の委任に基づくことなく、接続供給の相手方の一般送配電事業者に対する賠償負担金等の支払義務を課すもので違憲であるというものである。そして、前記1イにおいて説示したとおり、法18条3項1号は、本件処分の根拠規定であって原告適格を基礎付ける規定 の一つであるところ、①本件算定規則4条2項は、後記3において説示するとおり、法18条3項1号に関連するものであることが明らかであり、②本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5は、後記4において説示するとおり、本件算定規則4条2項を前提とするものであるから、ひいては法18条3項1号に関連する規定であるというべきである。 したがって、上記のような本件処分の違法事由に関する原告の主張は、自己の法律上の利益に関係のない違法をいうものであるとはいえない。 よって、被告の上記主張は、採用することができない。 3 争点3(本件算定規則4条2項の合憲性及び適法性) 本件算定規則4条2項の合憲性及び適法性についてア法は、「一般送配電事業者は、その供給区域における託送供給及び電力量調整供給に係る料金その他の供給条件について、経済産業省令で定めるとこ 本件算定規則4条2項の合憲性及び適法性についてア法は、「一般送配電事業者は、その供給区域における託送供給及び電力量調整供給に係る料金その他の供給条件について、経済産業省令で定めるところにより、託送供給等約款を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない」旨(18条1項)を規定するほか、一般送配電事業者の託送供給等約款の設定又は変更に係る経済産業大臣の認可の要件として、料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること(同条3項1号)等を規定している。これらの規定を受けて本件算定規則は、①一般送配電事業者が、託送等供給約款料金を算定しようとするときは、原価算定期間(4月1日又は10月1日を始期とする1年間を単位とした将来の合理的な期間)を定め、当該原価算定期間において一般送配電事業等を運営するに当たり必要と見込まれる原価に利潤を加えて得た額(原価等)を算定しなければならず(3条1項)、②原価等は、4条により算定される営業費、5条により算定される事業報酬及び6条により算定される追加事業報酬の合計額から7条により算定される控除収益の額を控除して得た額とし(3条2項)、③その営業費の具体的内容及び算定方法(4条)を規定している。 上記のような文言で規定された法18条1項は、託送供給等約款の定め方に加え、その対象となる「託送供給及び電力量調整供給に係る料金その他の供給条件」に関する細目について経済産業省令に委任する規定であることが明らかであり、その趣旨は、料金を能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものとするためにどのような原価等の算定方法を定めるのが相当であるかの判断には、前記1⑵イにおいて説示したような専門技術的検討に加え、そのような検討を踏まえた政策的判断も な原価に適正な利潤を加えたものとするためにどのような原価等の算定方法を定めるのが相当であるかの判断には、前記1⑵イにおいて説示したような専門技術的検討に加え、そのような検討を踏まえた政策的判断も要することから、これを経済産業省令に委任したものというべきである。したがって、経済産業省令においていかなる原価等の算定方法を定めるかについては、法の委任の趣旨を逸脱しない範囲内において、電気エネルギー政策の所管行政庁である経済産業大臣に専門技術的かつ政策的な観点からの一定の裁量権が認めているものと解するのが相当である。そして、法の改正経緯及びその立法過程における議論(前提事実1⑵ア・⑷ア参照)に照らすと、法は、託送供給制度を導入した平成11年改正当初から、託送供給制度において、電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する費用を回収することを想定しており、小売分野の全面自由化に伴う平成26年改正後も、その仕組みに変化が生じたものとは認められないから、託送供給制度において、電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する費用を託送料金として回収することを許容するものであると解される。 そうすると、経済産業大臣が経済産業省令において原価等の算定方法を定めるに当たり、託送供給制度において、電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する費用を託送料金として回収することを前提とすること(本件に則していえば、託送供給等に係る供給条件の一つである料金に係る原価等の構成要素である営業費の算定に当たり、電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する 費用を含めること)も、法の委任の趣旨の範囲内であると解するのが相当である。 イ以上の見地から本件算定規則4条2項をみると の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する 費用を含めること)も、法の委任の趣旨の範囲内であると解するのが相当である。 イ以上の見地から本件算定規則4条2項をみると、同項は、「一般送配電事業者は、前項の規定により算定した合計額のほか、営業費として、賠償負担金及び廃炉円滑化負担金の額を算定しなければならない。」旨を規定する。 このうち、①賠償負担金は、原子力発電事業者の運用する原子力発電工作物及び廃止した原子力発電工作物に係る原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律2条2項に規定する原子力損害及びこれに相当するものをいう。)の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力発電事業者が平成23年3月31日以前に原価として算定することができなかったものであり(本件施行規則45条の21の3第1項)、内閣が閣議決定した「原子力災害からの福島復興の加速のための基本方針」(乙39)において、国民全体で福島を支える観点から、福島第一原子力発電所の事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについてのみ、広く需要家全体の負担とし、そのために必要な託送料金の見直し等の制度整備を行うとして、本来納付されておくべきであった過去(原子炉運転当初から)の原子力損害の賠償への備えの不足分の費用(約3.8兆円から令和元年度分までの推定類型納付額約1.3兆円を控除した約2.4兆円)について、需要家への負担を求めるために40年度程度にわたって回収していくものである(前提事実1⑶ア参照)。このような賠償負担金は、原子力発電という国のエネルギー・電気事業政策を進める上で、原子力の損害賠償に対処するために必要な費用であり、過去に安価な原子力発電による電気を等しく利用してきたにもかかわらず、原子力発電事業者から契約を切り替えた需 のエネルギー・電気事業政策を進める上で、原子力の損害賠償に対処するために必要な費用であり、過去に安価な原子力発電による電気を等しく利用してきたにもかかわらず、原子力発電事業者から契約を切り替えた需要家は負担せず、引き続き原子力発電事業者から電気の供給を受ける需要家のみが全てを負担することは、需要家間の公平性の観点から適当ではなく、こうした需要家間の格差を解消し、公平性を確保するためには、全需 要家が等しく受益していた過去分について、託送料金を通じて、原子力発電の利益を受けた全ての需要家から公平に回収すること適当である旨の専門家の意見(貫徹小委員会中間とりまとめ)を踏まえ(前提事実1⑷ア)、国会審議においても、託送料金によって賠償負担金相当金を回収することの必要性等につき議論がされた上で(前提事実1⑷ア参照)、本件算定規則4条2項の改正により導入されたものである(前提事実1⑷イ参照)。 また、②廃炉円滑化負担金は、特定原子力発電事業者が受けた所定の承認に係る原子力発電工作物の廃止を円滑に実施するために必要な資金であり(本件施行規則45条の21の6第1項)、平成26年の小売全面自由化以前から、原発依存度の低減という国のエネルギー政策における基本方針の中、原子力発電事業者が会計上の理由から廃炉判断を躊躇することや廃炉の円滑な実施に支障を来すことがないよう措置された廃炉会計制度を継続するためのものである(前提事実1⑶イ)。このような廃炉円滑化負担金は、廃炉会計制度が、原発依存度の低減という国のエネルギー政策に沿って措置されたものであり、小売全面自由化においてもその政策に変わりがないことから、制度を継続することが適当であり、そのために必要となる着実な費用回収の仕組みについては、小売全面自由化の下でも原発依存度低減や廃炉の であり、小売全面自由化においてもその政策に変わりがないことから、制度を継続することが適当であり、そのために必要となる着実な費用回収の仕組みについては、小売全面自由化の下でも原発依存度低減や廃炉の円滑な実施等のエネルギー政策の目的を達成するために例外的な措置として、規制料金として残る託送料金の仕組みを利用することが妥当である旨の専門家の意見(貫徹小委員会中間とりまとめ)も踏まえ(前提事実1⑷ア参照)、国会においても、託送料金によって廃炉円滑化負担金(相当金)を回収することの必要性等につき議論された上で(前提事実1⑷ア)、本件算定規則4条2項の改正により導入されたものである(前提事実1⑷イ参照)。 以上に加え、国の電気・エネルギー事業に係る政策と密接に関わる①原子力損害の賠償への備えや②廃炉会計制度の継続に必要な費用の回収の在 り方及びその仕組みの構築は、その性質上、専門技術的・政策的な領域に属するものであることを踏まえると、賠償負担金(賠償負担金相当金)及び廃炉円滑化負担金(廃炉円滑化負担金相当金)は、電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する費用であるといえ、これらを託送供給等約款料金に係る原価等(具体的には営業費)の構成要素とした本件算定規則4条2項の規定は、法の委任の趣旨及び所管行政庁である経済産業大臣の裁量権の範囲を逸脱するものとはいえない。 ⑵ 原告の主張についてアこれに対し、原告は、要旨次の点を主張する。 ① 本件算定規則4条2項は、法18条3項1号に規定する「適正な原価」、すなわち「一般送配電事業を営むために必要な費用」の具体的な細目を明示し、その算定方法を示すためのものであるところ、法は、「一般送配電事業を営むために必要な費用」以外のものを託送料等として算定する なわち「一般送配電事業を営むために必要な費用」の具体的な細目を明示し、その算定方法を示すためのものであるところ、法は、「一般送配電事業を営むために必要な費用」以外のものを託送料等として算定することや供給条件を定めることを省令に委任しているわけではなく、法18条1項は、認可申請の手続のみを定めることを省令に委任する規定である。 ② 原告は、本件算定規則4条1項が規定する「営業費」は、同項に列挙された細目の内容が一般送配電事業を営むために必要な費用であることや、小売電気事業が全面自由化されてからは一般送配電事業を営むために必要な費用以外のものを託送料金の原価に含ませることはできなくなったというべきであることを前提として、本件施行規則における賠償負担金等の定め方、賠償負担金等の用語の定義、賠償負担金相当金等は発電事業に関連する費用で原子力発電事業者が負担すべきものであることを踏まえると、賠償負担金等は、一般送配電事業を営むために必要な費用ではなく、「営業費」にも、法18条3項1号が規定する「適正な原価」に該当しない。 ③ 営業費や事業報酬、控除収益は、いずれもその概念が明確であって専門的・技術的知見が入り込む余地はなく、接続供給料金に含めてコスト回収すべき設備や関連するサービスは具体的かつ明確に特定されなければならないのであるから、そこに経済産業大臣の裁量はない。 ④ 託送料金の原価に公益的課題に要する費用を含むことができるとしても、託送料金で回収できるのはあくまで「託送業務に係る費用」に限定されており、託送業務に係る費用ではなく、一般送配電事業を営むための費用である賠償負担金等を含めることはできない。 イ原告の主張①について法18条1項が託送供給等に係る料金その ており、託送業務に係る費用ではなく、一般送配電事業を営むための費用である賠償負担金等を含めることはできない。 イ原告の主張①について法18条1項が託送供給等に係る料金その他の供給条件等に関する細目について定めることを経済産業省令に委任する規定であることは、前記⑴において説示したとおり、文理上明らかであり、本件算定規則4条2項がこのような法18条1項の委任を受けて規定されたものであることは、前記⑴において説示したとおりである。 したがって、原告の主張①は、独自の見解を述べるものにすぎず、採用することができない。 ウ原告の主張②について法が、託送供給制度を導入した平成11年改正当初から、託送供給制度において、電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する費用を回収することを想定し、小売分野の全面自由化に伴う平成26年改正後も、その仕組み自体に変化が生じたものとは認められないことは、前記⑴において説示したとおりである。廃炉円滑化負担金については、本来、発電事業部門で負担すべき費用であり、発電事業、送配電事業、小売事業の各事業が峻別された自由化の下では、発電に係る費用回収のために託送料金の仕組みを利用することの妥当性が問題となることは否定できないが(乙37【25頁】)、前記⑴で指摘したよう な専門家の意見や国会における議論も踏まえて導入されたものであることに照らすと、この点のみをもって法の委任の趣旨又は経済産業大臣の裁量権の範囲を逸脱するものとはいえない。 したがって、原告の主張②は、その前提を欠き、採用することができない。 エ原告の主張③について法は、「原価」の構成要素である「営業費」等について明確に定義をしておらず したがって、原告の主張②は、その前提を欠き、採用することができない。 エ原告の主張③について法は、「原価」の構成要素である「営業費」等について明確に定義をしておらず、経済産業省令においていかなる原価等の算定方法を定めるかについては、法の委任の趣旨を逸脱しない範囲内において、電気エネルギー政策の所管行政庁である経済産業大臣に専門技術的かつ政策的な観点からの一定の裁量権が認めていることは、前記⑴において説示したとおりである。このように解すべきことは、現に、本件算定規則やその前身である一般電気事業託送供給約款算定規則等において、「営業費」等として算定すべき細目が随時変更されていること(乙16、17、53~56)からも裏付けられる。 したがって、原告の主張③は、独自の見解を述べるものにすぎず、採用することができない。 オ原告の主張④について経済産業大臣が原価等の算定方法を定める経済産業省令において、「託送供給等に係る供給条件の一つである料金に係る原価等の構成要素である営業費の算定に当たり、電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する費用を含む」とすることが、法の委任の趣旨の範囲内であることは、前記⑴において説示したとおりである。そして、ここでいう電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する費用が、託送業務に係る費用に限定されているとはいえないことは、前記⑴において説示したところに照らして明らかである。 したがって、原告の主張④は、採用することができない。 ⑶ 小括以上によれば、本件算定規則4条2項について、法の委任を欠き、又はその委任の範囲を超えるものとして無効であるとはいえない。 4 争点4(本件施行規則45条 ない。 ⑶ 小括以上によれば、本件算定規則4条2項について、法の委任を欠き、又はその委任の範囲を超えるものとして無効であるとはいえない。 4 争点4(本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5の合憲性及び適法性)⑴ 前記3⑴において説示したとおり、本件算定規則4条2項は、法18条1項等の委任を受けて、賠償負担金(賠償負担金相当金)及び廃炉円滑化負担金(廃炉円滑化負担金相当金)を託送供給等約款料金に係る原価等(営業費)の構成要素として定めたものであり、同項の規定は、法律の委任の趣旨及び所管行政庁である経済産業大臣の裁量権の範囲を逸脱するものとはいえない。 そうすると、一般送配電事業者は、本件算定規則4条2項に適合する料金を定めた託送供給等約款に従って、電気の供給を受ける者から賠償負担金相当金等を回収することとなるところ、本件施行規則45条の21の2~45条の21の7は、原子力発電事業者・一般送配電事業者間、一般送配電事業者・小売電気事業者間の契約関係が存在することを前提として、原子力発電事業者が賠償負担金等を託送料金の仕組みの中で広く全ての需要家から回収するための一連の手続を規定したものであり、法の規定(強いていえば、本件算定規則4条2項に係る法の委任規定等である法18条1項、同条3項等)を実施するための執行命令として定められたものというべきである。 したがって、本件施行規則45条の21の2~45条の21の7は、接続供給の相手方に賠償負担金等の支払義務を課し、一般送配電事業者にその回収権限を付与する規定とはいえず、また、法の委任を欠くものとはいえない。 よって、本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5について、法の委任を欠くものとして、憲法41条に反し、無効であるとはいえない。 る規定とはいえず、また、法の委任を欠くものとはいえない。 よって、本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5について、法の委任を欠くものとして、憲法41条に反し、無効であるとはいえない。 ⑵ これに対し、原告は、本件施行規則45条の21の2及び45条の21の 5が、一般送配電事業者の接続供給の相手方に対し、賠償負担金等の支払義務を課すものであり、また、一般送配電事業者について、賠償負担金等の回収権限を定めるものであるところ、接続供給の相手方に対して賠償負担金等の支払義務を課すことや一般送配電事業者の回収権限を定めることについて規則に委任する規定は、法に存在しないとして、違憲であり無効である旨を主張する。 しかしながら、前記⑴において説示したところに照らし、原告の上記主張は、採用することができない。 5 結論以上の次第で、原告の請求は、理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第1民事部 裁判長裁判官林史高 裁判官柴田啓介 裁判官本城伶奈 (別紙1) 当事者目録掲載省略(別紙2) 関係法令掲載省略 (別紙3)前提事実 1 託送供給等に関する制度⑴ 小売電気事業者、一般送配電事業者及び発電事業者の概要ア小売電気事業者小売電気事業者とは、一般の需要に応じ電気を供給する小売供給を行う事業を営むことについて経済産業大臣の登録を受けた事業者をいう(法2条1項1~3号)。 イ一般送配電事業者一般送配電事業者 電気事業者とは、一般の需要に応じ電気を供給する小売供給を行う事業を営むことについて経済産業大臣の登録を受けた事業者をいう(法2条1項1~3号)。 イ一般送配電事業者一般送配電事業者とは、自らが維持し、及び運用する送電用及び配電用の電気工作物によりその供給区域において託送供給及び電力量調整供給を行う事業を営むことについて経済産業大臣の許可を受けた事業者をいう(法2条1項8号及び9号)。 一般送配電事業者は、一般送配電事業の事業を開始すべき義務(法7条)、事業の休止及び廃止並びに法人の解散における経済産業大臣の許可を受けるべき義務(法14条)、託送供給義務等(法17条)、最終保障供給義務(法20条及び17条3項)、離島供給義務(法21条及び17条3項)、電圧及び周波数維持義務(法26条)を負うものとされている。 ウ発電事業者発電事業者とは、自らが維持し、及び運用する発電用の電気工作物を用いて、小売電気事業、一般送配電事業等の用に供するための電気を発電する事業を営むことについて経済産業大臣に対する届出をした事業者をいう(法2条1項14号及び15号)。 ⑵ 託送供給制度及び託送供給約款認可の仕組みについてア託送供給制度 託送供給制度についてa 小売分野の部分自由化に伴う法の平成11年改正において、新規参入者が需要家に対して電気を供給するために、旧一般電気事業者の送配電設備を利用することが不可欠となることから、送配電設備を有する旧一般電気事業者と送配電設備を持たない新規参入者との対等な競争関係を確保する上で、送配電設備の利用に関するルールを透明で客観的なものとして定めることが必要となり、託送供給制度が新しく創設された(乙14【7頁】)。 規参入者との対等な競争関係を確保する上で、送配電設備の利用に関するルールを透明で客観的なものとして定めることが必要となり、託送供給制度が新しく創設された(乙14【7頁】)。 b 電気事業審議会基本政策部会は、平成9年7月に設置され、託送供給制度については、経済効率性の向上を図るための小売供給の部分自由化と、供給の信頼度や望ましい電源構成の維持という公益的課題を両立させるため、旧一般電気事業者、新規参入者、行政、需要家の適切な役割等を検討してきた。同部会は、平成11年1月21日付けで、①託送ルールの在り方について、託送の利用条件に関しては、電力会社の応諾要件、託送料金、接続に当たっての技術的要件及び公益的課題との両立のための必要事項について、公平・公正・透明という原則の下、明確化する必要があること、②公益的課題達成のための必要事項については、公益的課題のうち、供給信頼度の確保、エネルギーセキュリティ・環境保全に関する事項に関しては、いずれもネットワークを保有する電力会社の給電指令によって担保されるものであること等を踏まえ、旧一般電気事業者は新規参入者に対して託送約款に基づく給電指令を適切に行うことを通じて公益的課題を達成すること、行政はその公益的課題の内容設定等を行うこと、需要家は公益的課題の成果を享受する主体として、そのために必要な負担について、全ての 需要家が公平に負うこと等を内容とする報告書(乙14)を提出した。 (乙14【1、7~10頁】)c 政府は、電気事業審議会基本政策部会の上記意見を踏まえ、法の改正案を提出し、平成11年改正時の国会審議においても、電気事業の公益的課題に対応する必要性等が議論された上(別紙3の2(第1項)は、その一部である。)、小売分野の部分自由化に伴 意見を踏まえ、法の改正案を提出し、平成11年改正時の国会審議においても、電気事業の公益的課題に対応する必要性等が議論された上(別紙3の2(第1項)は、その一部である。)、小売分野の部分自由化に伴う託送供給制度の導入を内容とする法の平成11年改正が行われた。 d 電力システム改革小委員会は、総合資源エネルギー調査会(経済産業大臣の諮問機関)の下に設置され、その作業部会である制度設計ワーキンググループにおいて、小売分野の全面自由化に伴う法の平成26年改正に際し、旧一般電気事業者が独占的に維持管理してきた送配電設備が一般送配電事業者に引き継がれることを踏まえ、電気の全需要家が公平に負担すべき費用の回収を検討し、「小売全面自由化後の託送制度においても、電気の全需要家が公平に負担すべき費用については、負担の公平性や事業者間の競争条件の確保を前提に、託送料金で回収できる仕組みとすることが必要ではないか。」との提言をした(乙20【33頁】)。 e 政府は、上記dのような専門家の意見も踏まえ、法の改正案を提出し、平成26年改正時の国会審議においても、託送料金によって電気の全需要家が公平に負担すべき費用、すなわち、電気事業の公益的課題に対応する費用を回収していくことの必要性につき議論された上(別紙3の2(第2項)は、その一部である。)、小売分野の全面自由化を内容とする法の平成26年改正が行われた。 託送供給等託送供給とは、振替供給及び接続供給をいう(法2条1項6号)。 振替供給とは、他の者から受電した者が、その受電した場所以外の場 所において、当該他の者にその受電した電気の量に相当する量の電気を供給することをいう(法2条1項4号)。 接続供給とは、①小売供給を行う事業を営む他の者から受電した者が した場所以外の場 所において、当該他の者にその受電した電気の量に相当する量の電気を供給することをいう(法2条1項4号)。 接続供給とは、①小売供給を行う事業を営む他の者から受電した者が、同時に、その受電した場所以外の場所において、当該他の者に対して、当該他の者のその小売供給を行う事業の用に供するための電気の量に相当する電気の量を供給すること(法2条1項5号イ)、②電気事業の用に供する発電用の電気工作物以外の発電用の電気工作物(非電気事業用電気工作物)を維持し、及び運用する他の者から当該非電気事業用電気工作物の発電に係る電気を受電した者が、同時に、その受電した場所以外の場所において、当該他の者に対して、当該他の者があらかじめ申し出た量の電気を供給することをいう(法2条1項5号ロ)。 託送供給義務一般送配電事業者は、その供給区域における託送供給に関する事業を事実上独占することになるが(法3条、5条5号参照)、託送供給は、需要家に対する電力の供給についての基盤となる業務でもある。そこで、法は、一般送配電事業者の制度的独占の弊害から電気の使用者の利益を保護する観点から、一般送配電事業者は、正当な理由がなければ、その供給区域における託送供給を拒んではならない旨を規定している(法17条1項)。 イ託送供給等約款の認可に係る仕組み一般送配電事業者は、上記アで述べた一般送配電事業者の制度的独占の弊害から電気の使用者の利益を保護する観点から、その供給区域における託送供給等に係る料金その他の供給条件について、経済産業省令で定めるところにより、託送供給等約款を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならず(これを変更しようとするときも同様である。法18条1項)、一般送配電事業者は、認可を受けた供給約款以外の 産業省令で定めるところにより、託送供給等約款を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならず(これを変更しようとするときも同様である。法18条1項)、一般送配電事業者は、認可を受けた供給約款以外の供給条件により、電気 の供給を行うことはできない(法18条2項)とされている。 また、託送供給等約款の適正性を担保する観点から、経済産業大臣は、法18条3項各号所定の要件(1号「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」、2号「第1項の認可の申請に係る託送供給等約款により電気の供給を受ける者が託送供給等を受けることを著しく困難にするにするおそれがないこと」、3号「料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていること」、4号「一般送配電事業者及び第1項の認可の申請に係る託送供給等約款により電気の供給を受ける者の責任に関する事項並びに電気計器及び工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められていること」、5号「特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと」、6号「前各号に掲げるもののほか、公共の利益の増進に支障がないこと」)にいずれも適合していると認めるときは、認可をしなければならないとされている(法18条3項)。 また、託送供給等約款は、小売電気事業者等に対し、一律に適用される供給条件を定めた定型約款であり、小売電気事業者等は当該約款に拘束されることとなることから、一般送配電事業者は、託送供給等約款の認可(変更認可も含む。)を受けたときは、経済産業省令で定めるところにより、その託送供給等約款を公表しなければならないとされている(法18条12項)。 ⑶ 賠償負担金等についてア賠償負担金(原子力事故の賠償の備えの不足分として必要な費用)賠償負担金とは、原子力発電事 款を公表しなければならないとされている(法18条12項)。 ⑶ 賠償負担金等についてア賠償負担金(原子力事故の賠償の備えの不足分として必要な費用)賠償負担金とは、原子力発電事業者の運用する原子力発電工作物及び廃止した原子力発電工作物に係る原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律2条2項に規定する原子力損害及びこれに相当するものをいう。)の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力発電事業者が平成23年3月31日以前に原価として算定することができなか ったものをいう(本件施行規則45条の21の3第1項)。 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成23年法律第94号。以下「原賠機構法」という。)は、平成23年3月に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「福島第一原発事故」という。)後、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図るとともに、廃炉等の適切かつ着実な実施の確保を図ること等を目的として制定され、原子力事業者が、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。)に対し、毎事業年度、機構の業務(所定の原子力損害が生じた場合における当該原子力事業者が損害を賠償するために必要な資金の交付その他の業務)に要する費用に充てるための負担金を納付することを義務付ける一般負担金制度(同法38条1項)が新たに導入された。 上記制度の導入後における一般負担金の納付額は、平成23年から令和元年度分までの累計で約1.3兆円であったところ、仮に原子力発電所が運転開始した昭和41年から一般負担金制度による納付が行われていれば、福島第一原発事故当時には相応の賠償への備え(約3.8兆円)があったと見込まれた。 内閣は 円であったところ、仮に原子力発電所が運転開始した昭和41年から一般負担金制度による納付が行われていれば、福島第一原発事故当時には相応の賠償への備え(約3.8兆円)があったと見込まれた。 内閣は、平成28年12月、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(乙39)を閣議決定した。この中で、被災者・被災企業への賠償については、電力自由化が進展する環境下における受益者間の公平性や競争中立性の確保を図りつつ、国民全体で福島を支える観点から、福島第一原発事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについてのみ、広く需要家全体の負担とし、そのために必要な託送料金の見直し等の制度整備を行うとして、約2.4兆円を令和2年度以降、40年程度にわたって回収していくものとされた(乙39【26頁】)。 本件施行規則45条の21の3第1項にいう賠償負担金は、上記のよ うに本来納付されておくべきであった過去の原子力損害の賠償への備えの不足分の費用(約3.8兆円から令和元年度分までの推定累計納付額約1.3兆円を控除した約2.4兆円)について、需要家への負担を求めることとされたものである(乙37【18~21頁】)。 イ廃炉円滑化負担金(廃炉に関する会計制度継続のために必要な費用)廃炉円滑化負担金とは、特定原子力発電事業者が受けた所定の承認に係る原子力発電工作物の廃止を円滑に実施するために必要な資金をいう(本件施行規則45条の21の6第1項)。 福島第一原発事故後、全国の原子力発電所が長期にわたり稼働停止になるとともに、「原子力依存度の低減」がエネルギー政策の基本方針となった。 このような状況の下で、電気事業会計規則(昭和40年通商産業省令第57号)は、平成25年10月及び平成27年3月の2回にわたり、原子力発電事業者が会 の低減」がエネルギー政策の基本方針となった。 このような状況の下で、電気事業会計規則(昭和40年通商産業省令第57号)は、平成25年10月及び平成27年3月の2回にわたり、原子力発電事業者が会計上の理由から廃炉判断を躊躇することや原子力発電事業者による廃炉の円滑な実施に支障を来すことがないよう、設備の残存簿価等を廃炉後も分割して償却するとの廃炉会計制度等を定める旨の改正がされた(乙40、41)。 廃炉会計制度は、資産の償却費が廃炉後も着実に回収される料金上の仕組みを伴うことを前提としており、廃炉後も資産計上して償却を継続するという会計処理を行うには、計上する資産が収益獲得能力を有していることが必要であるため、小売規制料金の原価に廃炉後の償却費を含めることを認め、規制料金による費用回収を担保する措置を講じていた。 しかし、小売規制料金の撤廃後は着実な費用回収の前提がなくなり、制度が成り立たなくなるため、将来に向けて廃炉会計制度を継続する上で、着実な費用回収を担保する措置を講じる必要が生じ、その仕組みとして、小売全面自由化以降も規制料金として残る託送料金の仕組みの中で回収 する措置を講ずることとした。 本件施行規則45条の21の6第1項にいう廃炉円滑化負担金は、託送料金を通じて回収する廃炉会計制度の継続のために必要な費用である。 (乙37【24~26頁】、41、42)⑷ 原価算入するための制度改正等ア改正前の議論等 内閣は、平成25年4月、平成23年3月に発生した東日本大震災を踏まえ、①広域系統運用の拡大、②小売及び発電の全面自由化、③法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保を柱とする電力システム改革につき、3段階に分け、各段階で課題克服のための十分な検証を行い、その結果を踏まえた 拡大、②小売及び発電の全面自由化、③法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保を柱とする電力システム改革につき、3段階に分け、各段階で課題克服のための十分な検証を行い、その結果を踏まえた必要な措置を講じながら実行する旨の「電力システムに関する改革方針」を閣議決定した(乙1)。 さらに、内閣は、原子力発電を含むエネルギー政策について、平成26年4月、福島の復興・再生を全力で成し遂げることや、震災前に描いてきたエネルギー戦略は白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減すること等を示した「第4次エネルギー基本計画」を閣議決定した(乙36【4頁】)。 また、法の平成26年改正前の電力システムにおいては、家庭等の需要家への電気の供給に係る一般電気事業者の制度的独占が担保され、原子力発電設備の長期停止や燃料コストの増加等による電気料金の上昇圧力がある中、電気事業者間の競争を促進することにより、電気料金を最大限抑制することが重要であると考えられたことを踏まえ、電気の小売業への参入の全面自由化を内容とする電気事業法等の一部を改正する法律(平成26年法律第72号。以下「平成26年改正法」という。)が成立した(乙11【16~19頁、42~45頁】)。 平成28年4月、平成26年改正法の施行により電力の小売全面自由 化が実現されたが、料金規制の撤廃に伴い、旧一般電気事業者である原子力発電事業者が、これまで規制料金の下で保証されてきた確実な原価回収が見込めなくなるという新たな課題が生じた(需要家が電力の供給者である小売電気事業者を自由に選択できるようになったため、何らの措置も講じないとすると、新電力に切り替えた需要家は公益的課題を達成するための費用を負担せず、原子力発電事業者から供給を受ける需要 者である小売電気事業者を自由に選択できるようになったため、何らの措置も講じないとすると、新電力に切り替えた需要家は公益的課題を達成するための費用を負担せず、原子力発電事業者から供給を受ける需要家のみが負担することになる。)。 電力システム改革貫徹のための政策小委員会(以下「貫徹小委員会」という。)は、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に設置され、エネルギー政策を進める上で対応が必要とされた福島の復興・再生や原発依存度の低減という新たな課題を含め、これまで原子力発電を進めてきたことに伴う公益的課題に対処する上で、小売全面自由化の下での原子力事故に係る賠償への備えに関する負担や廃炉に係る会計制度の在り方に関して検討し、平成29年2月、中間とりまとめ(以下「貫徹小委員会中間とりまとめ」という。乙37)を公表した。 貫徹小委員会中間とりまとめは、賠償負担金及び廃炉円滑化負担金について、次のa・bのとおり整理した。 a 賠償負担金について平成28年4月に小売が全面自由化され、新電力への契約切替えにより一般負担金を負担しない需要家が増加していることを踏まえ、需要家間の公平性等の観点から、福島第1原発事故前に確保されておくべきであった賠償への備え(過去分)の負担に在り方について検討を行った。過去分を小売料金のみで回収するとした場合、過去に安価な原子力発電による電気を等しく利用してきたにもかかわらず、原子力発電事業者から契約を切り替えた需要家は負担せず、引き続き原子力発電事業者から電気の供給を受ける需要家のみが全てを負担すること になるが、こうした需要家間の格差を解消し、公平性を確保するためには、全需要家が等しく受益していた過去分について、託送料金を通じて、原子力発電の利 を受ける需要家のみが全てを負担すること になるが、こうした需要家間の格差を解消し、公平性を確保するためには、全需要家が等しく受益していた過去分について、託送料金を通じて、原子力発電の利益を受けた全ての需要家から公平に回収することが適当であり、福島の復興にも資する。過去分の回収方法としては、電源構成に占める原子力の割合は供給区域ごとに異なる一方で、過去分の負担は過去の原子力の電気の利用に応じて行うべきものであることや、現状、一般負担金は小売規制料金に含まれ、供給区域ごとに異なる水準となっていること等を踏まえると、過去分を国民全体で負担するに当たっては、特定の供給区域内の全ての需要家に一律に負担を求める託送料金の仕組みを利用することが適当と考えられる。また、回収期間を40年(年間回収額600億円)とすることが妥当と考えられる(乙37【18~22頁】)。 b 廃炉円滑化負担金について廃炉会計制度創設の経緯・趣旨を踏まえれば、廃炉会計制度は、原発依存度の低減という我が国のエネルギー政策に沿って措置されたものであり、小売全面自由化においてもその政策に変わりがないことから、制度を継続することが適当と考えられる。廃炉会計制度を継続するために必要となる着実な費用回収の仕組みについては、小売全面自由化の下でも規制料金として残る託送料金の仕組みを利用することが妥当である(ただし、発電、送配電、小売の各事業が峻別された自由化の環境下で、発電に係る費用の回収に託送料金の仕組みを利用することは、原発依存度低減や廃炉の円滑な実施等のエネルギー政策の目的を達成するために講ずる例外的な措置と位置付けられるべきである。乙37【24~26頁】)。 平成29年の国会においても、貫徹小委員会中間とりまとめ等を踏まえ 施等のエネルギー政策の目的を達成するために講ずる例外的な措置と位置付けられるべきである。乙37【24~26頁】)。 平成29年の国会においても、貫徹小委員会中間とりまとめ等を踏まえ、託送料金によって賠償負担金相当金等を回収することの必要性等に つき議論された(別紙3の2(第3項)は、その一部である。乙34)。 イ制度改正経済産業大臣は、平成29年9月、一般送配電事業託送供給等約款料金算定規則を改正し、一般送配電事業者は、一般送配電事業を運営するに当たって必要であると見込まれる営業費として、賠償負担金相当金等の額を算定しなければならない旨の規定(4条2項)等を設けるとともに、必要となる料金算定の方法を規定した。 また、経済産業大臣は、平成29年9月、電気事業法施行規則を改正し、①一般送配電事業者は、経済産業大臣の通知に従い、賠償負担金等をその接続供給の相手方から回収しなければならない旨(45条の21の2第1項、45条の21の5第1項)、②一般送配電事業者は、所定の原子力発電事業者ごとに賠償負担金相当金等を払い渡さなければならない旨(45条の21の2第2項、45条の21の5第2項)、③原子力発電事業者は、賠償負担金等の額について、経済産業大臣の承認を受けなければならない旨(45条の21の3、45条の21の6)を設けた(更に、電気事業法施行規則は、平成30年3月、45条の21の6の規定について所要の改正がされた。)。 一般送配電事業託送供給等約款料金算定規則(本件算定規則)及び電気事業法施行規則(本件施行規則)の上記改正規定は、令和2年4月1日に施行された。(乙44、46)ウ原価算入の実際の流れ 賠償負担金原子力発電事業者は、賠償負担金を、一般送配電事業者の行 則)の上記改正規定は、令和2年4月1日に施行された。(乙44、46)ウ原価算入の実際の流れ 賠償負担金原子力発電事業者は、賠償負担金を、一般送配電事業者の行う接続供給によって回収しようとするときは、賠償負担金の額について、5年ごとに、経済産業大臣の承認を受けなければならない(本件施行規則45条の21の3第1項)。 経済産業大臣は、上記の承認をしたときは、各一般送配電事業者に対し、回収すべき賠償負担金の額、回収の期間等を通知するものとされ(本件施行規則45条の21の4第1項)、当該通知を受けた一般送配電事業者は、当該通知に従い、賠償負担金をその接続供給の相手方から回収し(本件施行規則45条の21の2第1項)、各原子力発電事業者ごとに賠償負担金相当金を払い渡さなければならない(同条2項)。 この場合、一般送配電事業者は、原則として託送供給等約款の条件により供給を行わなければならないため(法18条2項)、賠償負担金をその接続供給の相手方から回収するためには、託送供給約款を変更しなければならず、当該変更について、経済産業大臣の認可を受けなければならない(同条1項)。 廃炉円滑化負担金特定原子力発電事業者は、廃炉円滑化負担金を一般送配電事業者の行う接続供給によって回収しようとするときは、廃炉円滑化負担金の額について、経済産業大臣の承認を受けなければならない(本件施行規則45条の21の6第1項)。 経済産業大臣は、上記の承認をしたときは、各一般送配電事業者に対し、回収すべき廃炉円滑化負担金の額、回収の期間等を通知するものとされ(本件施行規則45条の21の7第1項)、当該通知を受けた一般送配電事業者は、当該通知に従い、廃炉円滑 は、各一般送配電事業者に対し、回収すべき廃炉円滑化負担金の額、回収の期間等を通知するものとされ(本件施行規則45条の21の7第1項)、当該通知を受けた一般送配電事業者は、当該通知に従い、廃炉円滑化負担金をその接続供給の相手方から回収し(本件施行規則45条の21の5第1項)、特定原子力発電事業者ごとに廃炉円滑化負担金相当額を払い渡さなければならない(同条2項)。 この場合、一般送配電事業者は、原則として託送供給等約款の条件により供給を行わなければならないため(法18条2項)、廃炉円滑化負担金をその接続供給の相手方から回収するためには、託送供給約款を変更 しなければならず、当該変更について経済産業大臣の認可を受けなければならない(同条1項)。 2 本件処分に関する事実関係 当事者ア原告(甲1)原告(令和2年3月25日付け商号変更前の商号は、一般社団法人グリーン・市民電力である。)は、自然エネルギーによる発電事業と社員に対する電力供給事業、またそれらの事業の普及を目的とし、その目的に資するために、自然エネルギーによる発電事業、電力の供給事業、それらの普及、開発・研究に関する事業等を行う目的とする一般社団法人である。 原告は、法2条3号所定の小売電気事業者として、平成28年5月12日、経済産業大臣の登録(法2条の2)をし、大阪府、広島県、福岡県等の1府13県の区域の小売供給を受けようとする者(法2条の13)に対し、電気の供給をしている。 イ九州電力送配電株式会社(九州電力送配電)九州電力送配電は、平成31年4月1日に設立された、電気事業等を目的とする株式会社であり(甲2)、法2条9号所定の一般送配電事業者である。 ⑵ 本 力送配電株式会社(九州電力送配電)九州電力送配電は、平成31年4月1日に設立された、電気事業等を目的とする株式会社であり(甲2)、法2条9号所定の一般送配電事業者である。 ⑵ 本件接続供給契約の締結ア原告は、平成28年6月30日、九州電力株式会社(九州電力)との間で、九州電力の託送供給等約款(同年4月1日実施)に基づき、契約の有効期間を同年7月1日から平成29年3月31日とする、接続供給兼基本契約(本件接続供給契約)を締結した。 本件接続供給契約には、要旨次の①・②のような定めがあった。 ① 九州電力が託送供給等約款を変更する場合は、変更後の託送供給等約款によるものとし、必要に応じて、本件接続供給契約を改定する(46 条)。 ② 本件接続供給契約に記載されていない事項については、本件接続供給契約に附帯して締結する契約書等によるほか、託送供給等約款による(47条)。(甲5)イ経済産業大臣は、平成29年3月1日、九州電力の申請に係る託送供給等約款(平成29年4月1日実施。甲4)につき、法18条1項に基づき認可した。 ウ原告は、九州電力との間で、平成29年及び平成30年、契約の有効期間を更新する趣旨で本件接続供給契約を締結し、令和元年9月30日、九州電力の託送供給等約款(平成30年10月1日実施)に基づき、契約の有効期間を令和元年10月1日から令和2年9月30日とする本件接続供給契約(甲6)を締結した。 本件接続供給契約には、要旨次の①・②のような定めがあった。 ① 九州電力が託送供給等約款を変更する場合は、変更後の託送供給等約款によるものとし、必要に応じて、本件接続供給契約を改定する(46条)。 ② 本件接続供給契約に記載されていない事項につい ① 九州電力が託送供給等約款を変更する場合は、変更後の託送供給等約款によるものとし、必要に応じて、本件接続供給契約を改定する(46条)。 ② 本件接続供給契約に記載されていない事項については、本件接続供給契約に附帯して締結する契約書等によるほか、託送供給等約款による(47条)。 エ九州電力送配電は、その完全親会社である九州電力との間で、一般送配電事業及び離島における発電事業等を承継すること等を内容とし、令和2年4月1日を効力発生日とする吸収分割契約を締結し、同年3月13日付けで、経済産業大臣から法に基づく会社分割の認可を受けた。(甲2、7)オ九州電力送配電は、令和2年4月1日、九州電力から、上記エの吸収分割契約の定めに従い、一般送配電事業及び離島における発電事業を承継した。なお、九州電力は、以後、発電事業及び小売電気事業等のみを担うこ とになった。(甲7)⑶ 本件処分に至る経緯ア経済産業大臣は、令和2年7月22日、原子力発電事業者からの申請を受けて本件施行規則45条の21の3及び45条の21の6の各規定に基づく各承認をした。 また、経済産業大臣は、令和2年7月22日付けで、九州電力送配電に対して、①本件施行規則45条の21の4に基づき、接続供給の相手方である小売電気事業者から回収すべき賠償負担金の額、回収の期間等についての通知を、②本件施行規則45条の21の7に基づき、接続供給の相手方である小売電気事業者から回収すべき廃炉円滑化負担金の額、回収の期間等についての通知をした。 イ九州電力送配電は、令和2年7月28日、経済産業大臣に対し、本件算定規則4条2項に規定された賠償負担金相当金等の額を営業費として算定した上、託送供給等約款の変更認可の申請をした。 ウ経済産業大臣 九州電力送配電は、令和2年7月28日、経済産業大臣に対し、本件算定規則4条2項に規定された賠償負担金相当金等の額を営業費として算定した上、託送供給等約款の変更認可の申請をした。 ウ経済産業大臣は、令和2年9月4日付けで、九州電力送配電に対し、その申請に係る託送供給等約款の変更を認可する旨の本件処分(甲3)をした。 エ本件処分前後の託送供給等約款における託送料金単価の変更内容は、別紙3の3のとおりである。 以上 (別紙3の2)国会審議の状況について 第1 平成11年改正時における国会審議について1【平成11年4月20日の衆議院商工委員会】通商産業大臣「電気事業というのは二つ視点がございまして、日本人が経済活動をしていく上で、効率性の高い事業として一定の競争力のある電気料金で電気を供給するということの他に、やはり供給義務を初めとするいくつかの公益的な使命が実はございます。今回の制度改正に当たりましては、現在の日本の経済の厳しい状況を克服するために、高コスト構造の是正が経済構造改革の主要課題として認識されている中で、電気及びガス事業に対しさらなる効率化が要請されていること、これが第一点です。第二点は、電気及びガスは、ユニバーサルサービスの達成、これは供給義務といってもいいんですが、それから安定供給の維持、エネルギーセキュリティーの確保、地球環境の保全などの公益的課題への対応、こういうことが要請されております。これらの要請を今回の法律改正は基本的な認識としているわけでございます。このような認識に基づきまして、公益的な課題との両立を図りながら、さらなる競争原理の導入等によって国際的に遜色のないコスト水準を目指し、我が国 回の法律改正は基本的な認識としているわけでございます。このような認識に基づきまして、公益的な課題との両立を図りながら、さらなる競争原理の導入等によって国際的に遜色のないコスト水準を目指し、我が国の産業活動や国民生活に強靱な活力を生み出すことが可能となるよう、本制度の改正を行おうとしているところでございます。」(乙57【17頁4段目】)。 2【平成11年5月13日の参議院経済産業委員会】資源エネルギー庁長官「公益的課題といった場合に代表的にありますものは、例えば環境問題あるいは原子力の増設等々を考えたときのために、電源開発促進税というものを自由 化された部分についても押しなべて負担するというような形を考えてございます。また他方で、この自由化をいたしましたときに、原子力、水力あるいはその他環境問題のためにその供給のありようをいろいろ議論するところがございますが、その場合に電力会社の給電指令に従うような仕組みを、例えば託送の分野でありますとか、そういうところに十分に盛り込んでいく、そういった配慮をしながらこの制度設計をしているところでございます。」(乙24【3頁4段目】)「今回の制度改正は、競争の導入によりまして効率化を進めることを目的としたものでございますが、あわせて、この際にエネルギーセキュリティー、地球環境の保全のために必要な電源構成のベストミックスの実現という公益的課題に配慮することは当然の前提でございます。具体的な方式としては、電源開発促進税につきましては、これは電力小売分野に新規に参入する者が供給する電力につきましてもほかと同様に課税をする。あるいは、原子力、水力などのエネルギーセキュリティー、環境上すぐれた電源の供給力を確保するための給電ルールに新規参入者が従う。かような一般的ルールによりま 力につきましてもほかと同様に課税をする。あるいは、原子力、水力などのエネルギーセキュリティー、環境上すぐれた電源の供給力を確保するための給電ルールに新規参入者が従う。かような一般的ルールによりまして公益的課題の達成に支障が生じないような制度設計を行うことといたしてございます。」(乙24【11頁1段目】)。 第2 平成26年改正における国会審議について【平成26年5月14日衆議院経済産業委員会】資源エネルギー庁電力・ガス事業部長「システム改革の進捗に合わせまして、今、一般電気事業者の経費に係っているものについてどのような費用で回収するかということでございますけれども、基本的には、託送につきましては、託送業務に係る費用を回収するということでございます。先ほど申し上げましたとおり、全需要家が公平に負担するべき費用として、負担の公平性あるいは事業者間の競争条件の確保を前提に、託送料金で回 収すべきものがあるかどうか、これについては必要に応じて検討していくということでございまして、今現状は発電費に入っておりますけれども、今後については、もしそういう必要があれば検討していくということでございます。」(乙58【37頁1段目】)。 第3 平成29年の制度改正に係る国会審議について1【平成29年2月22日の衆議院予算委員会第七分科会】経済産業大臣「電気事業法上、送配電網の維持管理にかかる費用などに加えて、それ以外、ユニバーサルサービス料金など、全ての消費者が広く公平に負担すべき費用を託送料金により回収できる、その中身は経済産業大臣が認可することで決められるという形になっているわけであります。どうしてそうなったかというと、現行の託送料金に関する電気事業法の規定は、2000年に電力の小売が部分的に自由化され 中身は経済産業大臣が認可することで決められるという形になっているわけであります。どうしてそうなったかというと、現行の託送料金に関する電気事業法の規定は、2000年に電力の小売が部分的に自由化された際に設けられました。これは、当時、審議会の報告書で、供給信頼度や望ましい電源構成の維持など、公益的課題への対応に必要な負担については、全ての需要家が公平に負うことを原則とするとされたことを踏まえたものである。」(乙31【29頁2段目】。なお、平成29年3月9日の参議院経済産業委員会【乙32】においても同趣旨の説明がされている。) 2【平成29年4月12日衆議院経済産業委員会】●民進党議員「電力自由化が完全に実施されますと、小売料金も発電料金も自由競争になりますので、規制料金というのは送配電網の託送料金だけになるわけでございます。ですから、公益的な費用だからということで追加するとしたら、この送配電網の託送料金にどんどん追加されることもあり得るわけでございます。今、電カシステム改革や電気料金のあり方の見直しを担当している大臣として、託 送料金に今後も追加する上でのルールや歯どめというのはしっかりとやっているんでしょうか。」●経済産業大臣「まさに、今御指摘の言葉の中に歯どめがかかっているんですね。全ての消費者が広く公平に負担すべき費用を託送料金により回収できる、これが電気事業法の解釈であります。その根源は、2000年に電力小売を部分的に自由化したときに、やはりそういった費用が取れなくなっていく可能性があるということで、当時、審議会で議論をしていただいて、託送料で回収をするというメカニズムを入れていったわけであります。ただ、それは、常に全ての需要家が公平に負うことを原則とする、このことが大前提になるわけであります。現在 審議会で議論をしていただいて、託送料で回収をするというメカニズムを入れていったわけであります。ただ、それは、常に全ての需要家が公平に負うことを原則とする、このことが大前提になるわけであります。現在も、例えば離島の発電費用とか、こういうユニバーサルサービスコスト、こういったものは託送料金にいただいています。ただ、特定の会社が何かちょっと経営が苦しいからとか、そういうことで託送料に上乗せをするなんということは基本的にできませんし、当然、全ての消費者が本当に広く公平に負担すべき費用なのかどうかというのは、これは経済産業大臣が認可をすることになるわけですから、その際に厳しく査定をしていきたいというふうに思いますし、どんどん何でもかんでもここへ盛り込んでいけば、それはすなわち消費者の電気料金の値上がりということにもつながるわけですから、そこをのべつ幕なしにやるということは、これは政策的なスタンスとして、やることはない。厳しく査定をして、全ての人が負担すべき費用をここで回収するしかないという限定的な場合にのみ託送料金に乗せていくということになろうかと思います。」(乙33【17頁2段目】) 3【平成29年4月25日参議院経済産業委員会】●経済産業大臣「まず、考え方をちょっと御説明させていただきたいと思っていますけれども、 今回、福島の原発事故以前には原賠機構法が措置されていなかったものですから、いわゆる原発事故の賠償への備えが不足をしていた、これを現行の原賠機構法の一般負担金の算定方式を前提に算定をしていったということであります。 具体的には、現行制度では、各原子力事業者が納付する一般負担金の額は各事業者が保有する原子力発電所の設備容量などを基準に決定をされていることを踏まえて、現在の一般負担金の設備容量当たりの単価を す。 具体的には、現行制度では、各原子力事業者が納付する一般負担金の額は各事業者が保有する原子力発電所の設備容量などを基準に決定をされていることを踏まえて、現在の一般負担金の設備容量当たりの単価を1070キロワットと算出した上で、これに原賠機構法成立以前の全事業者の設備容量の累計である35億キロワットを乗じることで、福島事故前に確保すべきであったと考えられる額の総額を3.8兆円とさせていただきました。その上で、現行の機構法において費用の発生が明らかになった時点で、その時点の料金原価に算入をして、全ての消費者から公平に回収するという規制料金の考え方を前提として、一般負担金というのは備えの不足分も含めたものとなっていたわけであります。 こうした経緯も踏まえた上で、全ての消費者に負担を求めるという観点から、最も保守的な考え方に立って、託送制度を利用した回収を開始する2020年までの間、回収開始を2020年と想定をして、2011年から19年までの間に納付されると想定される一般負担金の総額1.3兆円をあえて全て備えの不足分と整理をして、それを控除して2.4兆円と算定をさせていただいたわけであります。」(乙34【30・31頁】)「御指摘の解体引当金の未引き当て分については、現在、解体引当金省令に基づいて原子力事業者が原則50年掛けて自ら積み立てる、引き当てるという形になっているわけであります。小売部門の規制料金が撤廃をされた場合は、廃炉を決めた時点で、廃炉時点で引き当てが完了していない分、すなわち未引き当て分ということになりますが、これを一括して費用認識する必要が出てきます。ただ、こういった費用認識が生じることによって、事業者が、それだったら、本来はもう廃炉をしたいんだけれども廃炉はやめておこうかなというようなことで判断がゆがむ可能性がある 認識する必要が出てきます。ただ、こういった費用認識が生じることによって、事業者が、それだったら、本来はもう廃炉をしたいんだけれども廃炉はやめておこうかなというようなことで判断がゆがむ可能性がある、円滑な廃炉に支障を来すことがあり得 る、これは我々も原発依存度を下げていくという政策を持っているわけですから、適切ではないということで、一括で費用認識を求められる未引き当て分に限定して託送制度を利用して回収することで費用を分割して計上する仕組みとしたわけであります。託送を使うということは、みんなで負担するのが適当だということでありますが、これはやはり廃炉を、しっかりと適切な廃炉判断を事業者に行わせるという公益上の明確な理由があると考えております。」(乙34【31、32頁】)以上 (別紙3の3)掲載省略 (別紙4)争点に関する当事者の主張 争点1(原告適格の有無)(原告の主張)ア本件処分の法的効果により直接権利の制限を受ける者に当たること小売電気事業者は、法17条1項、18条1項の規定により、経済産業大臣の認可を受けた託送供給等約款のとおりの内容の託送供給を受ける権利又は法的地位を保障されており、その権利又は法的地位は、経済産業大臣が託送供給等約款の変更を認可した場合に変動する。 一般送配電事業者は、賠償負担金等を回収する義務を負うところ(本件施行規則45条の21の2第1項及び本件施行規則45条の21の5第1項)、経済産業大臣から回収すべき賠償負担金等の額等に関する通知を受け、賠償負担金等を回収する義務が具体化した場合には(本件施行規則45条の21の4第1項の通知及び本件施行規則45 条の21の5第1項)、経済産業大臣から回収すべき賠償負担金等の額等に関する通知を受け、賠償負担金等を回収する義務が具体化した場合には(本件施行規則45条の21の4第1項の通知及び本件施行規則45条の21の7第1項)、託送供給等約款料金のうちの営業費として、賠償負担金相当金等として算定し(算定規則4条第2項、3条)、その料金変更を含む託送供給等約款の変更の認可を受けることとなり、その認可によって、小売電気事業者の賠償負担金相当金等の支払義務が具体化する。よって、小売電気事業者の賠償負担金相当金等の支払義務が具体的に発生するのは、本件処分の法的効果である。 したがって、原告は、処分の名宛人以外の者ではあるが、処分の法的効果による権利の制限を受けるので、本件処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者にあたり、行政事件訴訟法9条2項を持ち出すまでもなく、原告には原告適格が認められる。 イ行政事件訴訟法9条2項による検討 根拠法令の趣旨及び目的a 法の目的について本件処分の根拠となる法は、その目的について、「電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめること」を通して「電気の使用者の利益を保護」するとともに、「電気事業の健全な発達を図る」ことする(法1条)。 法の平成26年改正による電力小売事業の全面自由化により、電気事業者間の競争を促進することが採用され、電気事業の構造は、従前の「一般電気事業者及び需要者」という2当事者構造から、「小売電気事業者、一般送配電事業者及び需要者」という3当事者構造に変化し、平成27年改正においても一般送配電事業者に対して小売電気事業又は発電事業の兼業を禁止し行為規制の強化を行うことで、上述の電気事業者間の競争促進を確保することが強化された。そのため、平成26年改正以降 27年改正においても一般送配電事業者に対して小売電気事業又は発電事業の兼業を禁止し行為規制の強化を行うことで、上述の電気事業者間の競争促進を確保することが強化された。そのため、平成26年改正以降の法においては、上記3当事者構造のもと、電気事業者間の適正な競争環境が確保され、終局的に「電気の使用者の利益の保護」と「電気事業の健全な発達」が図られることを目的としている。 また、法が、一般送配電事業者と小売電気事業者の間の規律である託送供給等約款に関して経済産業大臣が審査をする認可制度(法18条)を設けた趣旨は、一般送配電事業者がその供給区域における一般送配電事業について実質的な制度的独占が担保された事業者であるため、このような制度的独占の弊害からの保護を目的としたものであること、当該弊害の不利益を直接被るのは、一般送配電事業者と直接的に対している小売電気事業者であることを踏まえれば、法は、経済産業大臣による託送供給等約款に対する認可制度を採用することにより、小売電気事業者の保護を図り、最終的に「電気の使用者の利益の保護」と「電気事業の健全な発達」を実現しようとしたというべきである。 したがって、法1条は、「電気の使用者の利益の保護」と「電気事業 の健全な発達」を図ることを最終的な目的としつつ、その前提条件として小売電気事業者にとっての「電気事業の運営」が「適正かつ合理的」に実現されることもまた当然の目的としており、一般送配電事業者から小売電気事業者に対する不適正な託送料金の請求からの保護を目的としている。 b 処分基準(法18条3項)について「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」(1号)とは、「料金の妥当性を担保する」ことを目的とする規定であり、具体的には、一般送配電事業者が、 3項)について「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」(1号)とは、「料金の妥当性を担保する」ことを目的とする規定であり、具体的には、一般送配電事業者が、独占的及び優越的な地位を濫用し妥当性のない料金を小売電気事業者に対し設定し、小売電気事業者が事業継続のために支払わざるを得ない事態を避けることを目的としている。また、「第1項の認可の申請に係る託送供給等約款により電気の供給を受ける者が託送供給等を受けることを著しく困難にするおそれがないこと」(2号)とは、託送供給等約款により電気の供給を受ける者に対して提示される料金水準が不当に高いものではないこと等を求めるものとされており、託送料金が不当に高いものとなると、小売電気事業者の健全な経営の維持に支障をきたし、市場競争の基盤が害されることから、法は、電気の使用者の利益を最終的に保護する前提として、小売電気事業者の健全な経営を確保するために、適正な託送料金の実現を図ることを、当該認可制度によって実現することとしている。また、「料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていること」(3号)も、小売電気事業者間の公平性が確保され、市場における健全な競争を確保することを目的としており、電気の使用者の利益を最終的に保護する前提として、小売電気事業者の利益を保護するものである。 このように、法は、一般送配電事業者によって託送条件が託送供給 等約款によって歪められないよう、電気の需要者の利益を最終的に保護する前提として、小売電気事業者の利益も保護している。 当該処分において考慮されるべき利益の内容及び程度a 上記ア記載のとおり、経済産業大臣の託送供給等約款の変更に係る認可があった時点で、託送供給等約款の変更の効果が発生し、当該一般送 。 当該処分において考慮されるべき利益の内容及び程度a 上記ア記載のとおり、経済産業大臣の託送供給等約款の変更に係る認可があった時点で、託送供給等約款の変更の効果が発生し、当該一般送配電事業者との間で従前から託送供給契約を締結していた小売電気事業者は、変更後の託送供給等約款がただちに適用されるため、託送供給等約款の変更認可処分がなされることによって必然的に賠償負担金等を課せられる地位に立たされる。 b 仮に本件施行規則45条の21の4及び同45条の21の7が法に基づかないのであれば、そもそも託送供給等約款の変更認可処分が違法であり、原告を含めた小売電気事業者は法律の根拠を有しないにもかかわらず、規則により直接的に賠償負担金等を課せられる地位に継続的に立たされる。そして、その利益の侵害態様は深刻である。また、仮にこれを当事者訴訟や債務不存在確認訴訟の手段によって問うことがあったとしても、それを行う場合には、賠償負担金等を課せられる地位に立たされる小売電気事業者とそうでない者とが混在し、法が想定する「電気事業の運営を適正かつ合理的」にすることは図られないのであるから、当該地位は変更認可処分を取り消さない限り、その権利を救済する手段はなく、法も処分の取消訴訟によってその救済を図ることを想定している。 以上のとおり、法は、小売電気事業者が適正な託送料金で託送供給を受ける利益を個別的利益として保護しており、小売電気事業者である原告は、託送供給等約款の変更認可処分の取消しを求めるにつき、法律上の利益を有する。 (被告の主張)ア本件処分の法的効果により直接権利の制限を受ける者に当たらないこと託送供給等約款の変更認可の小売電気事業者への影響は、同認可の法的効果に基づくものではなく、一 (被告の主張)ア本件処分の法的効果により直接権利の制限を受ける者に当たらないこと託送供給等約款の変更認可の小売電気事業者への影響は、同認可の法的効果に基づくものではなく、一般送配電事業者と小売電気事業者との合意によるものである。すなわち、託送供給等約款の認可に関する法18条の趣旨は、許可制の下で自らの供給区域において地域独占的な供給を行う公共事業たる一般送配電事業については、その託送供給等に係る料金その他の供給条件について恣意の排除や、託送供給等を受ける事業者間の取扱いの公平のため、定型約款として託送供給等約款の設定義務を一般送配電事業者に課すとともに、当該約款につき、経済産業大臣の認可にかからしめることでその適正を担保することとされたものである。 また、経済産業大臣は、託送供給等約款の認可に際して、一般送配電事業者と小売電気事業者の間において締結する契約を個別に審査しているのではなく、事前規制の一種として、一般送配電事業者に対し、今後、当該約款を用いた契約締結を許容できるかという観点から、約款に記載されている託送料金等が適正か否かを審査しているにすぎず、託送供給等約款の認可処分の法的効果は、一般送配電事業者に対し、認可された託送供給等約款を用いて託送供給を行うことができる地位を与えるということにとどまり、同認可処分は小売電気事業者に対して何らの法的効果を及ぼすものではない。 約款を契約の内容とするためには、その旨の合意が必要と解され、事業者が用いる約款が変更されたとしても、変更された約款が当然かつ直接的に契約の内容となるわけではない。一般送配電事業者と原告のような小売電気事業者の間で締結される契約や約款において、供給条件等につき、託送供給等約款を適用する旨の定めが更に置かれていること自体 直接的に契約の内容となるわけではない。一般送配電事業者と原告のような小売電気事業者の間で締結される契約や約款において、供給条件等につき、託送供給等約款を適用する旨の定めが更に置かれていること自体、託送供給等約款の変更認可の法的効果が直接的に一般送配電事業者であ る九州電力送配電と原告との間に及ぶものではないことを示すものである。このように、約款について変更認可処分があった場合に小売電気事業者に与える影響は、飽くまで、本件接続供給契約という、一般送配電事業者と小売電気事業者である原告との間での、私人間の合意の存在及びその効力によって、変更認可された託送供給等約款の内容が当該当事者間の契約内容になるにすぎず、変更認可処分が及ぼす法的効果ではない。 本件処分による託送料金の変更は、飽くまでも安価で安定した電力を需要家に供給するという一般的公益のために、一定の地域の小売電気事業者に一律に同じ内容の同料金を設定することによって、小売電気事業者間に公平な競争条件を設定し、市場競争の基盤を確保するという制度の下で、その競争条件を変更するものにすぎず、託送供給等約款の変更認可による小売電気事業者への影響は、小売電気事業者の何らかの個別的な権利が制限されたとみることはできない。 原告主張に係る①託送供給の料金に賠償負担金相当金等を上乗せされないという権利又は②託送供給の料金を当初の契約で合意した金額で固定して変更されないか、少なくとも値上げする方向で変更されないという権利は、電気事業法を含め、およそ実体法上保護されるようなものではなく、実体法上の権利としての「財産権」とはいえない。 以上より、原告は、本件処分の法的効果により直接権利の制限を受ける者に当たらない。 イ行政事件訴訟法9条2項による うなものではなく、実体法上の権利としての「財産権」とはいえない。 以上より、原告は、本件処分の法的効果により直接権利の制限を受ける者に当たらない。 イ行政事件訴訟法9条2項による検討 法令の趣旨及び目的a 法は、1条において、「この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用 を規制することによつて、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。」と規定しており、飽くまでも、需要家の保護を目的として掲げる一方で、原告の主張するような小売電気事業者の保護をも目的とするとは掲げていない。本件処分における根拠法令である法は一般的公益である総体としての需要家全体の利益を保護するものであるとみるほかなく、同法が小売電気事業者の個別的利益を保護する目的を有するものとみることはできない。 b 法18条の各規定についても、小売電気事業者の利益を保護する趣旨が含まれるとはいえない。すなわち、同条3項1号(料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること)は、一般送配電事業者が本件算定規則に基づいて算定した料金が、効率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであるかどうかを審査するもので、個々の、託送供給等約款により電気の供給を受ける者の利益を個別的利益として保護することを目的とするものではない。同項2号(「第一項の認可の申請に係る託送供給等約款により電気の供給を受ける者が託送供給等を受けることを著しく困難にするおそれがないこと。」は、不当な条件が設定されることにより、小売電気事業者といった託送供給等を受けようとする事業者が一般的に託送供 より電気の供給を受ける者が託送供給等を受けることを著しく困難にするおそれがないこと。」は、不当な条件が設定されることにより、小売電気事業者といった託送供給等を受けようとする事業者が一般的に託送供給等を受けることを著しく困難にし、その結果として、需要家が電気の供給を受けられないなどの事態が発生するなどを防止するものであり、電力取引における市場競争の基盤を確保することにより、電気の安定供給を図り、総体としての電気の使用者(需要家)の利益を保護することを目的としているのであって、個々の小売電気事業者の個別的利益が害されないようにすることを目的とするものではない。 同項3号(料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていること)は、仮に、託送供給等を利用する者が託送供給等を受けた量等を基に 支払うべき料金を算出することが困難である場合などにおいては、実質的にも公平を阻害されることになりかねないため、これを基準とするものであって、個々の小売電気事業者の個別の利益の保護を目的とするものではない。同条3項の他の規定や同条4項の規定についても、個々の小売電気事業者の個別の利益の保護を目的とするものではない。 c 経済産業大臣が、託送供給等約款を認可するに当たり、特に託送供給を受ける者の意見を聞く等の手続関与の規定は設けられておらず、法に、小売電気事業者の個別的利益を保護する趣旨を読み取ることができる規定は存在しない。 当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質賠償負担金相当金等は、もともと原子力発電によって利益を受けた需要家から公平に回収することが想定されており、小売電気事業者は、託送料金の増額分を小売電気料金に転嫁することが可能な制度となっている。小売電気事業者は、託送料金の増額分を小売電気料金に転嫁せず た需要家から公平に回収することが想定されており、小売電気事業者は、託送料金の増額分を小売電気料金に転嫁することが可能な制度となっている。小売電気事業者は、託送料金の増額分を小売電気料金に転嫁せず、自ら負担することとした場合であっても、それを他の小売電気事業者と比較したときの顧客誘引力の強化につなげることができるから、その経営判断の適切な行使によって、自らの利益へ誘導する余地と機会があり、託送料金の増額が直ちに小売電気事業者の利益を害することになるものではなく、また、その増額による影響の程度も小さい。 以上のとおり、託送供給等約款の認可制度を置いている法の規定は、飽くまで需要家全体の利益を一般的公益として保護する趣旨であり、小売電気事業者の個別的利益を保護する趣旨を含むとはいえないから、原告に本件訴訟の原告適格を認めることはできない。 争点2(行政事件訴訟法10条1項による主張制限の有無)(被告の主張)原告は、本案の違法事由として、託送料金の原価に賠償負担金相当金等を 算入したことについて、法の委任の範囲を越えた違法があるとして、法18条3項1号に係る違法事由を主張するにとどまるから、仮に、原告が同項2号又は3号によって本件処分の取消しを求める原告適格を有するとしても、原告の上記主張は、自己の法律上の利益に関係のない違法をいうものであり、行政事件訴訟法10条1項によりその主張が制限されるというべきである。 (原告の主張)本件では、原告は、行政事件訴訟法9条1項によって原告適格を認められるのであるから、全ての違法事由を主張でき、同法10条1項の適用は問題とならない。 また、仮に、行政事件訴訟法9条2項によって原告適格を認められるとしても、法18条3項2 原告適格を認められるのであるから、全ての違法事由を主張でき、同法10条1項の適用は問題とならない。 また、仮に、行政事件訴訟法9条2項によって原告適格を認められるとしても、法18条3項2号、3号と同項1号は、密接に関係しているので、「自己の法律上の利益に関係のない主張」とはならない。 争点3(本件算定規則4条2項の合憲性及び適法性)(原告の主張)ア法律の委任がないこと本件算定規則4条2項は、法18条3項1号に規定する「適正な原価」すなわち「一般送配電事業を営むために必要な費用」の具体的な細目を明示し、その算定方法を示すためのものであるところ、法は、「一般送配電事業を営むために必要な費用」以外のものを託送料等として算定することや供給条件を定めることを省令に委任しているわけではない。 法18条1項について法18条の各項の内容を踏まえると、法18条3項が託送供給等約款の認可の基準を規定しており、法18条1項は、認可申請の手続に関する規定であると解するのが相当であって、同項所定の経済産業省令は、認可申請の内容をなす託送供給等約款において定めるべき事項と料金の算定計算書の記載事項など、手続的事項を規定するものであり、供給条 件について省令に委任する規定ではない。また、法18条1項は、法18条3項1号に規定する以外のものを「料金」とすることを経済産業省令に委任していない。法は、本件算定規則について、法18条3項1号に規定する「一般送配電事業を営むために必要な費用」の具体的な細目を明示し、その算定方法を示すことのみ予定しているにすぎない。 よって、本件算定規則4条2項は、法律の委任を欠いており、違憲である。 イ法律の委任の範囲を超えていること本件算定規則4条2項の「一般送 を示すことのみ予定しているにすぎない。 よって、本件算定規則4条2項は、法律の委任を欠いており、違憲である。 イ法律の委任の範囲を超えていること本件算定規則4条2項の「一般送配電事業者は、前項の規定により算定した合計額のほか、営業費として、(中略)賠償負担金相当金及び廃炉円滑化負担金相当金の額を算定しなければならない。」と規定する。 しかし、本件算定規則4条1項が規定する「営業費」は、同項に列挙された細目の内容を踏まえると、一般送配電事業を営むために必要な費用であり、法18条3項1号が規定する「能率的な経営の下における適正な原価」に該当するものである。また、競争を通じて電気事業の効率化を図り、電気料金を引下げることを目的とした小売電気事業の全面自由化以降は、一般送配電事業を営むために必要な費用以外のものを託送料金の原価に含ませることはできなくなったというべきである。 ①本件施行規則の章立て及び賠償負担金等に関する規定の位置、②賠償負担金等の用語の定義、③賠償負担金相当金等が回収後に原子力発電事業者に払い渡されるという仕組みを踏まえると、賠償負担金等は、発電事業に関連する費用で原子力発電事業者が負担すべきものであって、一般送配電事業を営むために必要な費用ではなく、「営業費」及び法18条3項1号が規定する「能率的な経営の下における適正な原価」のいずれにも該当しない。競争を通じて電気事業の効率化を図り、電気料金の引下げを目的として、小売電気事業が全面自由化された以降平成28年 4月以降は、一般送配電事業を営むために必要な費用以外のものを託送料金の原価に含ませることはできなくなったというべきである。 よって、本件算定規則4条2項は、法の委任の範囲を超えるものである。 被告の主張について被告は、 ために必要な費用以外のものを託送料金の原価に含ませることはできなくなったというべきである。 よって、本件算定規則4条2項は、法の委任の範囲を超えるものである。 被告の主張について被告は、「適正な原価」であるかといった判断は、専門的・技術的知見を必要とするものであるため、その細目を法律で定めることにはなじまず、当該分野に通暁し、省令を制定することができる経済産業大臣の専門的・技術的な判断を要する事項である旨を主張する。しかし、営業費、事業報酬、控除収益は、会計の諸原則等に照らし、いずれもその概念及び意義内容が明確であって専門的・技術的知見が入り込む余地はないし、接続供給料金に含めてコスト回収すべき設備や関連するサービスは具体的かつ明確に特定されなければならないのであるから、そこに経済産業大臣の裁量はない。 また、被告は、一般送配電事業者の固有のコストに限定されない電気事業に伴う公益的課題に対応することも法の目的に含まれる等と主張するが、託送料金の原価に公益的課題に要する費用を含むことができるとしても、託送料金で回収できるのはあくまで「託送業務に係る費用」に限定されているのであって、公益的課題に要する費用であれば無限定に含められるものでもない。本件算定規則4条1項は、営業費として、一般送配電事業を営むために必要な費用すなわち託送業務に係る費用が規定しているのに対し、賠償負担金等は一般送配電事業を営むための費用、託送業務に係る費用に該当するものではない。 よって、本件算定規則4条2項の規定は、法の委任の範囲を超えるものである。 (被告の主張)ア法律の委任があること法18条1項は、その本文において、「一般送配電事業者は、その供給区域における託送供給及び電力量調整供給(以下この条において「託送供給等 (被告の主張)ア法律の委任があること法18条1項は、その本文において、「一般送配電事業者は、その供給区域における託送供給及び電力量調整供給(以下この条において「託送供給等」という。)に係る料金その他の供給条件について、経済産業省令で定めるところにより、託送供給等約款を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。」と規定しており、委任する規定が存在することは文理上明らかである。さらに、その文理からして、同項の「経済産業省令」として、託送供給等に係る料金その他の供給条件等に関する細目を定めることが想定されていることは明らかである。 イ本件算定規則4条2項が法律の委任の範囲内にあること授権規定の文言授権規定である法18条1項は、その文理からすれば、一般送配電事業者に対する託送供給等約款において定めるべき託送供給等に係る料金その他の供給条件といった細目事項に関して、これを省令に委任するものであるところ、同条の他の項や、その他の法の法文をみても、そのような託送供給等に係る料金その他の供給条件といった細目事項につき、いかなる内容の供給条件を具体的に設定するかどうか、また料金として、具体的にいかなる積算根拠に基づいて設定されるべきかなど、規定上、特段の限定はしていない。 委任の趣旨法18条1項は、一般送配電事業者は、許可制の下で自らの供給区域で地域独占的な供給を行う公益事業であり、その地位を利用して、その託送供給等に係る料金その他の供給条件を恣意的に定めたり、託送供給等を受ける事業者間の取扱いが不公平となることを防止する必要があるため、託送供給等約款の適正を担保すべく経済産業大臣の認可に係らし めたものである。そして、法18条3項によれば、一般送配電事業者が申請をした託送供給等約款 となることを防止する必要があるため、託送供給等約款の適正を担保すべく経済産業大臣の認可に係らし めたものである。そして、法18条3項によれば、一般送配電事業者が申請をした託送供給等約款が経済産業大臣の認可を受けるためには、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」(1号)をはじめとして同項各号のいずれにも適合していなければならないところ、同条1項は、一般配送電事業者に対し、経済産業省令で定めるところにより、託送供給等約款を定めることを要求し、本件施行規則は、託送供給等約款に定める事項の細目を規定して、その一つに「料金」を掲げ(18条2号ロ)、また、本件算定規則は、料金を算定するに当たり、一般送配電事業を一定期間運営するに当たり必要と見込まれる原価に利潤を加えて得た額を算定しなければならないとした上で(3条1項)、算定する原価等の具体的内容(同条2項)、その算定に用いる「営業費」の具体的算定手法(4条1項及び2項)を規定している。このように、法18条1項が、同条3項の認可の条件として「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」に適合することが要求される「料金」の算定につき、経済産業省令である本件施行規則及び本件算定規則に委任したのは、いかなる費用が「適正な原価」であるかといった判断には、社会情勢によって変動する電気事業を取り巻く環境等を踏まえ、国民生活や経済活動への影響等を勘案した上でその判断を行う必要があり、専門的・技術的知見を必要とするものであるため、その細目を法律で定めることにはなじまず、当該分野に通暁し、省令を制定することができる経済産業大臣の専門的・技術的な裁量に委ねる趣旨である。授権規定の立法過程の議論等をみれば、法の経済産業省令への委任の趣 を法律で定めることにはなじまず、当該分野に通暁し、省令を制定することができる経済産業大臣の専門的・技術的な裁量に委ねる趣旨である。授権規定の立法過程の議論等をみれば、法の経済産業省令への委任の趣旨として、経済産業大臣の専門的・技術的な裁量判断において、託送供給等に係る供給条件の一つである料金に係る原価等の構成要素たる営業費の算定に、公益的課題に要する費用を含めることも許容するものであることは明らかである 本件規則が授権法全体の趣旨、目的及び仕組に合致すること一般送配電事業者の固有のコストに限定されない電気事業に伴う公益的課題に対応することも法の目的に含まれ、全需要家が公平に負担すべき費用である賠償負担金等を託送料金の仕組みを用いて、託送料金の原価に算入して回収することは、授権法である法全体の趣旨、目的及び仕組みに正しく合致する。 委任命令によって制限される権利ないし利益の性質等本件算定規則4条が託送料金原価の構成要素である営業費の算定範囲を制限する趣旨は、一般送配電事業者による自由かつ恣意的な料金設定を防止することにあり、法1条に規定する法の目的に合致するものである。また、本件算定規則4条は、小売電気事業者の権利ないし利益を直接的に制限するものではない。 小括法18条1項に基づきなされた本件処分に関し、同項の委任を受けて、賠償負担金相当金等を託送供給等約款における託送供給条件の一つである料金に係る原価等の構成要素である営業費の算定に含めることとした本件算定規則4条2項の規定は、法の授権の趣旨に適合するものであり、経済産業大臣の専門的・技術的な裁量判断の下、法の委任の範囲内にある適法なものである。 争点4(本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5の合憲性)(原告の主張)ア り、経済産業大臣の専門的・技術的な裁量判断の下、法の委任の範囲内にある適法なものである。 争点4(本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5の合憲性)(原告の主張)ア本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5は、接続供給の相手方(託送受給者)に、賠償負担金等の支払義務及を課すものであるから、法規命令である。 しかし、法には、上記のような支払義務を課すことを委任する規定は存在しない。 イ本件施行規則45条の21の2~45条の21の7の規定が、一般送配電事業の原価に関するものであるならば、「第2節一般送配電事業」の中に定められるべきものである。しかし、本件施行規則の上記各規定は、「第5節発電事業」の後に、二つの節を特別に設けて規定められていることからして、一般送配電事業とは独立して規定されたものであり、そのような一般送配電事業の回収権限を定めることを委任する規定は、法に存在しない。 ウしたがって、本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5は、憲法41条に反し、無効である。 (被告の主張)ア本件施行規則45条の21の2~45条の21の7の規定は、法に基づく執行命令として、賠償負担金等の算定及び回収に係る一連の手続を規定したものである。 前記(被告の主張)のとおり、本件算定規則4条2項の営業費に賠償負担金相当金等が含まれる以上、一般送配電事業者が、原子力発電事業者に代わり、託送供給等約款に従って、電気の供給を受ける者からこれらの費用を回収するのは当然であり、法が、一般送配電事業者の賠償負担金等を回収する権限を定めていないから、本件施行規則の上記各規定が法の委任の範囲を超えるというものではない。 イ賠償負担金相当金等は、法18条1項及び同項の委任 、法が、一般送配電事業者の賠償負担金等を回収する権限を定めていないから、本件施行規則の上記各規定が法の委任の範囲を超えるというものではない。 イ賠償負担金相当金等は、法18条1項及び同項の委任を受けた本件算定規則4条2項に基づいて託送供給等約款で定める料金の算定における原価等に含まれるものであるが、本件施行規則45条の21の2~45条の21の7の規定は、原子力発電事業者・一般送配電事業者間、一般送配電事業者・小売電気事業者間の契約関係が存在することを当然の前提に、賠償負担金等を託送料金の仕組みの中で広く全ての需要家から回収するための手続として、①原子力発電事業者から経済産業大臣に対する承認申請及び 同大臣による承認、②経済産業大臣から一般送配電事業者に対する通知及び一般送配電事業者の接続供給による回収、③一般送配電事業者から原子力発電事業者に対する払渡しという一連の手続を規定したものであり、本件施行規則の「回収」という文言も、新たに義務を創設するものとは解し難いものである。 また、一般送配電事業者と原子力発電事業者との間の委託契約関係が存在するのであるから、本件施行規則45条の21の2及び45条の21の5によって一般送配電事業者がこれらの費用を回収する義務を負うものではない。 ウしたがって、原告の主張は、本件施行規則の上記各規定を誤って解釈したことに基づくものであるから、理由がない。 以上
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