- 1 -主文 原判決中,控訴人ら関係部分を取り消す。 被控訴人は,第1事件控訴人らに対し,それぞれ別紙請求金額目録1「差額として控除された金額」欄記載の各金員及びこれに対する平成14年12月11日から支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 ,,「」 被控訴人は第2事件控訴人らに対しそれぞれ別紙請求金額目録2控除合計額欄記載の各金員及びこれに対する平成15年12月11日から支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 訴訟費用は,第1,2審を通じて,被控訴人の負担とする。 この判決は,第2項及び第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び 理由 第1控訴の趣旨第1,2事件(以下「両事件」という)。 主文同旨第2事案の概要 本件は,私立学校を経営する学校法人である被控訴人と労働契約を結んでいる教職員である控訴人らが,被控訴人に対し,被控訴人が平成14年12月10日及び平成15年12月10日に支給すべき期末勤勉手当を,いずれも違法に減額し,一部しか支払わなかったとして,その差額と遅延損害金の支払を求めた事件(平成14年関係が第1事件,平成15年関係が第2事件)である。 ,,原審が5月に開催された理事会での議決では未だ具体的請求権は発生しておらず11月の理事会で,人事院勧告に基づき調整した金額を支給すると議決したことでその請求権が発生したものであり,その決定額全額が支払われたのであるから,未払いはないとして,控訴人らの請求を棄却したので,控訴人らが控訴した。ただし,原審両事件原告P1,同P2は,控訴を取り下げたので,原判決が確定した。なお,原判,「」「」「」,決中には期末勤勉手当期末手当勤勉手当などの用語が用いられているが「」「」「」。 期末勤勉手当と は,控訴を取り下げたので,原判決が確定した。なお,原判,「」「」「」,決中には期末勤勉手当期末手当勤勉手当などの用語が用いられているが「」「」「」。 期末勤勉手当とは期末手当及び勤勉手当からなるものであると解される 争点についての当事者の主張(1)控訴人らア(ア)被控訴人は,平成14年度については同年5月30日に,平成15年度については同年5月28日に,それぞれ開催された理事会(以下,あわせて「5月理事会」という)において,期末勤勉手当の算定基礎額(その年の。 人事院勧告による改訂額を基準とする)と乗率とを議決したから,控訴人らは,その決定に従った支給額による期末勤勉手当の具体的な請求権を取得した。また,控訴人らは,従来から,その計算方法による額の賞与の支給を受けて来ており,その信頼と期待利益は,労働法上保護するに値する。 なお,上記5月理事会の決定には,各年の11月に開催される理事会(以下「11月理事会」という)で正式に決定するとの付記があるが,11月。 理事会は,従来から人事院勧告の数値を当てはめる以外の決定はしていないのであるから,このような付記があるという理由だけで,11月理事会の決- 2 -定があるまでは具体的請求権が発生しないと考えるのは,極めて形式的,非現実的な判断で,不当である。 (イ)被控訴人は,平成14年6月20日,上記5月理事会の決定を,控訴人らに通知しているから,それは賞与支給の申し込みに当たり,控訴人らがそれに対し,黙示の承諾をしたので,その時点で,具体的請求権を取得した。 ,,,。 またその信頼期待利益は上記と同様に労働法上保護されるべきであるウ被控訴人は11月理事会平成14年度については同年11月14日,(),(平成15年度については同 した。 ,,,。 またその信頼期待利益は上記と同様に労働法上保護されるべきであるウ被控訴人は11月理事会平成14年度については同年11月14日,(),(平成15年度については同年11月10日にそれぞれ開催)において,上記のとおり具体的に発生した期末勤勉手当の支給額から,平成14年度,平成15年度改定後給与規程による給与の改定を各年4月に遡らせたため生じた差額を控除する旨決定した。かかる決定は,控訴人らの権利の一方的不利益変更にあたるから,違法,無効である。 イ(ア)労働条件の不利益変更の遡及適用は違法,無効である(具体的に発生した賃金請求権を,事後に変更された就業規則の遡及適用で変更することは出来ないとする最判平成8年3月26日・民集50巻4号1008頁参照。 )被控訴人が期末勤勉手当の支給額決定にあたって基準とする人事院勧告は,基本給にあたる俸給表等を引き下げた上で,改定実施時期について,当該年度の12月期の期末勤勉手当の額について,当該年度の4月から改定の実施の前日までの間の給与について調整措置を講ずることとするものであるから,被控訴人が,11月理事会において決定した期末勤勉手当の支給額算定方法も,その実質は当該年度の11月に行った給与を減額する改定を4月に遡及して適用するというものであり,違法,無効である。 (イ)そして,上記給与の減額を内容とする給与規程の改定につき控訴人らの同意はなく,また,被控訴人と控訴人らの間において,控訴人らの俸給を公務員の人事院勧告に倣って決定するとの慣行も存在しない。 (ウ)なお,被控訴人は,11月理事会で調整した賞与額を支払ったと弁解するが,11月理事会では,5月理事会で決定した算定基礎額や乗率を変更していないし,単に平成14,15年度改訂給与表に基づいて算出した期末勤勉 控訴人は,11月理事会で調整した賞与額を支払ったと弁解するが,11月理事会では,5月理事会で決定した算定基礎額や乗率を変更していないし,単に平成14,15年度改訂給与表に基づいて算出した期末勤勉手当額から「調整」と称して,4月から11月までの給与減額分の合計,。 ,,,額を控除しただけであるこれは全額を支給して差額を別途徴収すると労働条件不利益遡及禁止,賃金全額払いの原則に明らかに反するから脱法的に考えられたもので,許されない。 ウ被控訴人は,平成14年度及び平成15年度のいずれも,同年4月から11月までの給与の過払分を控除したとして,5月理事会において決定した支給金額の一部を支払わないから,労働基準法24条1項に違反する。 (2)被控訴人の主張ア(ア)被控訴人は,5月理事会においては,いずれも期末勤勉手当の乗率を決定したにすぎず,具体的な支給額は人事院勧告を待ってその額により決定することとしていたから,それらの理事会において,控訴人らに対する期末勤勉手当の支給額が決定していたとはいえない。 - 3 -(イ)被控訴人は,11月理事会において,初めて当該年度の12月10日に支給する期末勤勉手当の支給額を,人事院勧告に倣って具体的に決定したものである。既に決まっていた支給額を減額するという決定をしたものではない。仮にその結果が事前に予測出来るものであっても,学校法人の意思決定は,理事会の議決によらなければならないのは当然であり,その議決がない以上,控訴人らに具体的請求権が発生することはない。なお,人事院は,期末手当の支給について,単に給与額に一定の乗率を掛けるだけではなく,得られた額にさらに「調整(改定給与に支給乗率を掛けて算出した期末手当」額から,4月に遡って算出した既に支払った給与と改定給与額との差額を控除して て,単に給与額に一定の乗率を掛けるだけではなく,得られた額にさらに「調整(改定給与に支給乗率を掛けて算出した期末手当」額から,4月に遡って算出した既に支払った給与と改定給与額との差額を控除して得られた額を,期末手当とするという内容の)をすることまで勧告し,,。 ており11月理事会の議決はこの部分も含めてそれに倣ったものである(),,イア被控訴人は人事院勧告に倣って給与を支給するという慣行に基づいて期末勤勉手当の金額を決定したものであるが,人事院勧告は物価などの変動に応じて実質的に前年度と等価を支給するために額の修正を行うものであるから,数額が減額となっても,実質的には等額に修正されるだけであり,何ら不利益な取扱をするものではない。むしろ,人事院勧告に従いながら,その適用を次年度からとした場合には,昇給勧告があった年に退職する場合の退職金の算定に昇給が反映されない等の不利益を考慮すれば,当年度から適用するのが,相当といえる。 また,被控訴人の収入の大部分は,生徒の保護者からの校納金と福岡県及び福岡市から支給される補助金であり,被控訴人のような教育機関は市場原理の働きにくい業務であるので,人事院勧告に倣って給与を決定することには,必要性,合理性があり,人事院勧告の内容も社会的に相当と承認されている。 したがって,人事院勧告に倣った給与の減額,期末勤勉手当の支給は有効である。 (イ)被控訴人は,昭和50年ころから,職員の給与を人事院勧告に倣って決定することとしており,それは労使慣行になっていたといえる。 ウ被控訴人の給与規程において,期末勤勉手当の額は,その都度理事会で定める金額を支給するとされており,被控訴人はこの規程に従って,平成14年度及び平成15年度のいずれも,11月理事会において,期末勤勉手当の額を決定して, いて,期末勤勉手当の額は,その都度理事会で定める金額を支給するとされており,被控訴人はこの規程に従って,平成14年度及び平成15年度のいずれも,11月理事会において,期末勤勉手当の額を決定して,その決定に従って期末勤勉手当を支給したものであり,支給すべき金額の全額を支払っている。 第3当裁判所の判断 争点についての判断の前提となる事実は原判決2頁2行目から3頁23行目までのとおりであり,この前提事実に加えて,証拠により認められる事実及び当該証拠については原判決6頁5行目から8頁22行目までに摘示のとおりである(ただし,2頁18行目,3頁10行目に「期末勤勉手当」とあるのを「期末手当」と,3頁9行目に「甲5の1ないし33」とあるのを「甲14の1ないし33(ただし,4,5,17,22,32を除く)の各3,控訴人P3,P4,P5関係で弁論の全趣旨」。 )- 4 -とそれぞれ改め,7頁21行目に「前記第2の2(3」とあるのは「前記第2の1)()」,「()」「()」 の8頁21行目に前記第2の3 とあるのは前記第2の1 のいずれも誤記であるから,その旨訂正する。 。) 上記認定事実に基づき,控訴人らが主張するアについて判断すれば,両年度の12月期の期末勤勉手当が,これに先立つ5月理事会において具体的な支給額まで決定したということはできず,これが決定されたのは11月理事会においてであることは,原判決が8頁23行目から10頁4行目までに説示するとおりである。 そうすると,控訴人らの主張アは採用することができない。 3(1)しかしながら,既に認定したところに照らせば,被控訴人においては,昭和,,51年以来長きにわたって給与規程を人事院勧告に従って改定してきたことしたがって各年度の12月期の期末勤勉手当 3(1)しかしながら,既に認定したところに照らせば,被控訴人においては,昭和,,51年以来長きにわたって給与規程を人事院勧告に従って改定してきたことしたがって各年度の12月期の期末勤勉手当もその都度の人事院勧告に準拠して支給してきたこと,そのようなところから,平成14年度及び平成15年度については人事院勧告の内容がいわゆるマイナス勧告であったにもかかわらず,従前同様に同勧告に従って,給与規程を減額改定した上,それを4月期に遡って実施することとして,12月期の期末勤勉手当においてそのための「調整」をした結果,両年度の12月期の期末勤勉手当について減額支給したものであること,そのためにそのような減額支給は認められないとする控訴人らとの間で本件紛争が生じたものであることが明らかである。 このような観点からすれば,双方の主張イこそが本件の核心的な争点というべきものである。 (2)ところで,原判決は,この点につき「控訴人らの当該主張は,控訴人らが,期末手当等の具体的な請求権を有していることが前提となるところ,控訴人らはそのような請求権を有しているとはいえないから,当該主張はその前提を欠いている」かのようにいい,或いは,期末勤勉手当の支給額の決定は専ら被控訴人の理事会の裁量に委ねられているとした上で,11月理事会における期末勤勉手当の支給額の決定をもって裁量を逸脱する違法,無効なものとはいえないと結論しているが,これらについてはたやすく同意することができない。 (3)思うに,賞与もまた本質的には月払いの賃金と同様に労働者に対する賃金にほかならないと解すべきであり,したがって,賞与の支給の有無及びその支給額は,労働契約の重要な内容をなすものというべきである。 この点を本件について見るに,被控訴人の給与規程では,期末勤勉手当の支給について ないと解すべきであり,したがって,賞与の支給の有無及びその支給額は,労働契約の重要な内容をなすものというべきである。 この点を本件について見るに,被控訴人の給与規程では,期末勤勉手当の支給について「6月30日,12月10日,及び3月15日にそれぞれ在職す,る職員に対して,その都度理事会が定める金額を支給する」と定められているだけであるが(第4条,ここにいう期末勤勉手当とは賞与にほかならず,ま)た,ここでは期末勤勉手当が支給されること自体は当然の前提とされているのである。しかも,被控訴人は,私立学校の運営という社会の経済状況に左右されにくい事業を営んでおり,それに勤務する控訴人らを含む教職員の業績にも大きな較差はないことから,原則として同一の条件での支給が継続されているという実情もあるのである。そうであれば,12月期に期末勤勉手当が支給されることは,被控訴人と控訴人らとの労働契約の重要な内容となっているもの- 5 -といわなければならない。なるほど,上記のとおり,給与規程では「その都度理事会が定める金額を支給する」と規定されており,12月期の期末勤勉手当については11月理事会の決定により支給額が決定されることとされていたことは既に認定したとおりであるが,それだからといって,具体的な支給額が決まらなければ,期末勤勉手当の請求権が発生しないというものではない。このことは,偶々11月理事会において具体的な支給額が決定されなかったというような場合を考えて見れば明々白々である。そのような場合においても,控訴人らが12月期の期末勤勉手当の請求権を有していること自体に疑問を差し挟む余地はないのである。したがって,前記(2)で見た原判決の説示を採用することができないことは明らかである。 (4)ところで,上記のように,11月理事会において具体的な ていること自体に疑問を差し挟む余地はないのである。したがって,前記(2)で見た原判決の説示を採用することができないことは明らかである。 (4)ところで,上記のように,11月理事会において具体的な支給額が決定されなかった場合における12月期の期末勤勉手当については従前の支給実績具,(体的には前年の支給額ということになろう)に基づいて請求権が発生するも。 のと解するのが相当である。それは,毎年度の期末勤勉手当の支給実績がその都度個別の労働契約の中に取り込まれ,労働契約の要素と化しているものと解されるからである。 そうだとすると,11月理事会において従前の実績を下回る支給額が決定された場合においても,それは労働契約の内容を労働者に不利に変更するものにほかならないから,それが効力を有するためには原則として個別に労働者側の同意があることを要するものというべきである。したがって,労働者側の個別の同意がない場合において,当該決定が有効であるといえるためには,その減額が必要やむを得ないものであるなど合理的な理由があり,かつ相当であるなど,特段の事情が認められなければならない(5)平成14年度及び平成15年度の12月期の期末勤勉手当について,11月理事会における決定に基づいて控訴人らに支給された額は,前記原判決第2の1(3)及び(4)のとおりであって,いずれも従前の実績を下回るものであるところ,そのことについて前記のような労働者側の明示の同意があったとは認められない。もっとも,弁論の全趣旨によれば,控訴人らは,両年度の人事院勧告の内容に従った給与規程の減額改定自体は,これをやむを得ないものとして受け容れていることが認められるから,これについては黙示の同意があったものとみなされる。また,そうであれば,両年度の12月期の期末勤勉手当が減額改定さ の減額改定自体は,これをやむを得ないものとして受け容れていることが認められるから,これについては黙示の同意があったものとみなされる。また,そうであれば,両年度の12月期の期末勤勉手当が減額改定された給与規定に基づいて算定されることについても,同様に黙示の同意をしているものと認めて差し支えない。控訴人らが,本件訴訟で請求しているのは上記「調整」による減額分のみであり,また,別紙請求金額目録1の基になった控訴人ら作成の同目録においても「本来支給されるべき金額」,という欄が設けられ,そこには人事院勧告に従って減額改定された給与規定に基づいて算定された期末勤勉手当額が掲げられていることも,そのことを裏付けるものというべきである。 これに対し,控訴人らが「調整」による減額について同意をしていないことは明白である。 - 6 -そうすると,本件においては「調整」による減額について,労働者側の個,別の同意がないにもかかわらず,なおその効力を肯定すべき特段の事情が認め,,,られるか否かのみを判断すれば足りることになるが以下においては便宜上上記両年度の12月期の期末勤勉手当の支給額の決定そのものにつきそのような特段の事情が認められるか否かを含めて検討することとする。 (6)上記のとおり,被控訴人においては,昭和51年以来,長きにわたって給与規程を人事院勧告に倣って改定してきたこと,したがって各年度の12月期の期末勤勉手当もその都度の人事院勧告に準拠して支給してきたこと,そのようなところから,平成14年度及び平成15年度については人事院勧告の内容がいわゆるマイナス勧告であったにもかかわらず,従前同様に同勧告に従って,両年度期末勤勉手当についても減額支給したものである。 しかしながら,同じく人事院勧告に倣うといっても,その勧告内容の如何によって わゆるマイナス勧告であったにもかかわらず,従前同様に同勧告に従って,両年度期末勤勉手当についても減額支給したものである。 しかしながら,同じく人事院勧告に倣うといっても,その勧告内容の如何によっては労働者側にとっては大きな差が出現することになるのは見易いところである。それにもかかわらず,被控訴人と控訴人らとの間に,勧告内容がどうであれ,常に毎年毎の人事院勧告に従って給与規程が改定され,12月期の期末勤勉手当の支給額もこれに基づいて算定されるということについて明示又は黙示の合意があったとまでは認められない。むしろ,昭和51年以来,人事院は一貫していわゆるプラス勧告をしてきたのであり,同勧告の直接の対象である一般職国家公務員はもとより,労働者側,使用者側,さらには国民一般にお。 ,いてもそのこと自体を疑うようなことは絶えて無かったのであるしたがって上記両年度のように,いわゆるマイナス勧告がなされるというような事態はおよそ想定されていなかったものと言わなければならない。そうであれば,被控訴人において,長年にわたって上記のような運用をし,これが当然の如くに被控訴人の職場に受け容れられてきたという事実があるからといって,それは勧告内容がいわゆるプラス勧告であり,労働者側にとって相応の利益になるものであったが故に,たまたま労働者側の個別の同意を得るまでもなかったというに過ぎず,上記両年度のようにいわゆるマイナス勧告がなされた場合についてまで,安易にこれと同視することは許されない。 もっとも,人事院勧告は,物価の変動や一般職国家公務員給与の民間企業におけるそれとの格差の有無・程度などの諸事情を勘案してなされるものであるから,その勧告内容は相応の客観的な根拠を有するものと評価することができるが,それだからといって,被控訴人の給与規程などが常に人事院 るそれとの格差の有無・程度などの諸事情を勘案してなされるものであるから,その勧告内容は相応の客観的な根拠を有するものと評価することができるが,それだからといって,被控訴人の給与規程などが常に人事院勧告に倣った内容に改定されなければならないという必然性はないし,また,その旨の労使間の協定や合意があったともいえない以上,この点をもって前記判断を左右することはできない。 (7)さらに,被控訴人が人事院勧告に倣ったと強調する「調整」については,法律(一般職の職員の給与に関する法律)で,その支給すべき俸給等が定められる一般職国家公務員の場合には,その改定時期をいつからと定めるかは,国会の法律案の議決で決められるが,民間給与を決定する場合にも,それが当然合理性を持ちうることにはならない。この場合には,労働条件を遡って不利益に- 7 -変更出来るかという問題に直面せざるを得ず,しかも,その金額自体は全体の額からすれば僅少にしかならないことからすれば,そのような調整をすることが許されるためには,さらに特段の事情が必要であると考えられる。 然るに,被控訴人は,人事院勧告に倣ったということ以上には何ら特段の事情を主張せず,それだけでは上記のような「調整」を合理的なものであるとすることができないことは,前記(6)で判断したとおりである。 (8)以上によれば,平成14年度及び平成15年度の12月期の期末勤勉手当の支給は,控訴人らの個別の同意を得ることもないまま,また,そのような結果もやむを得ないとするだけの特段の事情も認められないにもかかわらず,平成14年度及び平成15年度の人事院勧告に従って,給与規程に基づく給与の減額改定をした上,さらにはそれを4月に遡らせるという労働者にとって不利益(減額)をもたらす結果となる内容の両年度の人事院勧告に漫然と従って「 平成15年度の人事院勧告に従って,給与規程に基づく給与の減額改定をした上,さらにはそれを4月に遡らせるという労働者にとって不利益(減額)をもたらす結果となる内容の両年度の人事院勧告に漫然と従って「調整」をして支給したという点において違法であり,その限りにおいて無効であるものと言わなければならない。 そうすると,その余の控訴人らの主張(労働基準法24条1項違反)については判断するまでもなく,上記両年度の12月期の期末勤勉手当のうち,上記のとおり違法・無効とされる減額部分の支払いを求める控訴人らの請求は理由があることになる。 そして,第1事件関係の控訴人らの平成14年度改定後給与規程による改定前の給与等の算定基礎額を基にした平成14年度における12月期の期末手当,勤勉手当の合計額は別紙請求金目録1の本来支給されるべき金額欄記載のとおりであり甲,「」(4,5の1ないし4,6ないし31,33,弁論の全趣旨,その金額から,平成1)4年度改定後給与規程に基づいて,同年4月に遡って再計算した給与減額分の総額から,給与が減額されたことによる公租公課の減額分を加算した差額分(上記甲5各証のベア差額欄の額を控除したのが平成14年度の12月期の期末勤勉手当同「」),(別紙「実際に支給された金額」欄記載の額)であるから,同別紙「差額として控除された金額」欄記載の額が未払となっており,被控訴人は同額及びそれに対する支給日の翌日から民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。 また,第2事件関係の控訴人らの平成14年度改定後給与規程による算定基礎額を基にした平成15年度における期末手当,勤勉手当の合計額から,平成14年度分の金額と平成15年度改定後給与規程に基づく平成15年度分のそれの差額割合である較差の率1. 07パ 与規程による算定基礎額を基にした平成15年度における期末手当,勤勉手当の合計額から,平成14年度分の金額と平成15年度改定後給与規程に基づく平成15年度分のそれの差額割合である較差の率1. 07パーセントを同年4月から11月までの8か月分給与及び6月の期末勤勉手当の支給総額に乗じた額(別紙請求金目録2の「控除合計額」欄記載の額)を控除したうえで平成15年度の12月期の期末勤勉手当を支給しただけであるから同別紙控,,「除合計額」欄記載の額が未払となっており,被控訴人は同額及び上記と同様の遅延損害金の支払義務がある。 然るに,原判決は,これと異なり,控訴人らの請求を理由がないものとして棄却しているから,取消しを免れない。 よって,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第3民事部- 8 -裁判長裁判官西理裁判官有吉一郎裁判官吉岡茂之- 9 -別紙請求金額目録 本来支給実際に支給差額として氏名されるべき金額された金額控除された金額 1,386,9561,301,03085,926P6 1,397,6301,311,70485,926P7 1,378,2291,293,24584,984P8 1,352,6521,269,56383,089P3 1,346,0761,250,78495,292P9 1,185,0381,112,33672,702P10 1,244,9131,154,45190,462P11 1,372,4031,289,35183,052P12 1,299,8541,207,38292,472P13 1,230,7771,155,23875,539P14 1,158,6481,088,15 ``` 83,052 1,299,854 1,207,382 92,472 1,230,777 1,155,238 75,539 1,158,648 1,088,151 70,497 1,269,662 1,192,406 77,256 1,278,214 1,202,675 75,539 1,318,353 1,226,891 91,462 1,271,596 1,181,134 90,462 1,328,170 1,233,727 94,443 1,209,109 1,135,456 73,653 1,273,206 1,194,830 78,376 1,129,782 1,044,373 85,409 1,079,111 993,702 85,409 1,056,433 988,321 68,112 1,095,327 1,025,803 69,524 1,177,161 1,097,577 79,584 1,185,038 1,112,336 72,702 1,343,108 1,262,846 80,262 1,184,270 1,111,845 72,425 1,155,648 1,085,151 70,497 930,593 872,356 58,237 1,016,477 951,322 65,155 698,730 663,103 35,627 783,482 738,872 44,610 2,388,685 ``` 主文 別紙請求金額目録 控除合計額 54,483 54,739 54,284 53,615 54,084 47,756 52,007 56,981 51,216 49,971 45,826 49,841 55,352 51,805 52,408 55,028 50,274 51,914 44,930 40,989 41,851 44,071 45,914 48,604 55,297 47,482 45,634 38,523 39,812 28,656 45,511 1,508,858
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