主文 1 第1審原告の控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。 (1) 第1審被告は,別紙1費用弁償一覧表の「議員名」欄記載の各人に対し,同表の「議員名」欄記載の各人に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれらに対する各請求日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 第1審原告のその余の請求をいずれも棄却する。 2 第1審被告の控訴を棄却する。 3 訴訟費用は,第1・2審を通じて,第1審被告の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 第1審原告(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 第1審被告は,別紙1費用弁償一覧表の「議員名」欄記載の各人に対し,同表の「議員名」欄記載の各人に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれらに対する平成14年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (3) 第1審被告は,P1に対し,112万円及びこれに対する平成14年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (4) 第1審被告は,P2に対し,112万円及びこれに対する平成14年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員の賠償を命令せよ。 2 第1審被告(1) 原判決中,第1審被告敗訴部分を取り消す。 (2) 第1審原告の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 事案の要旨(1) 本件は,尼崎市の住民である第1審原告が,一部事務組合である阪神水道企業団(以下「企業団」という。)において,法定外の議員協議会等に出席した企業団議会議員(以下「企業団議員」という。)に対してされた,1日当たり1万4000円の費用弁償の支給が,法律及び条例上の根拠を欠く違法な支給であったとして,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基 下「企業団議員」という。)に対してされた,1日当たり1万4000円の費用弁償の支給が,法律及び条例上の根拠を欠く違法な支給であったとして,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,第1審被告(企業団企業長)に対し,① 企業団企業長であるP1に対する不法行為に基づく同費用全額及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成14年11月14日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の賠償請求及び企業団総務部庶務課課長であるP2に対する不法行為に基づく同費用全額及びこれに対する同様の遅延損害金の賠償命令をするよう求めると共に,② 費用弁償の支給を受けた企業団議員らに対し,不当利得に基づき,各人の受給額及びこれに対する同様の遅延損害金の返還請求をするよう求めた事案である。 (2) 原審は,法定外の議員協議会等に出席した企業団議員に費用弁償を支給したこと自体は適法であるとしながら,費用弁償金のうち,1日当たり7000円を超える部分の支給については,企業団議会の裁量権の逸脱・濫用があるとして,第1審原告の請求のうち,費用弁償の支給を受けた企業団議員に対する不当利得に基づく同費用のうち,1日当たり7000円を超える部分及びこれに対する各企業団議員に対する請求日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の返還請求をするよう求める限度で認容したが,P1及びP2には不法行為責任が認められないとして,その余の請求はいずれも棄却した。 第1審原告及び第1審被告は,いずれも自己の敗訴部分の取消しを求めて控訴した。 2 前提事実(証拠の記載がない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア第1審原告は,尼崎市の住民である。 イ企業団は,神戸市,尼崎市,西宮市及び芦屋市の各市をもって組織され,上水道事務の一 事実(証拠の記載がない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア第1審原告は,尼崎市の住民である。 イ企業団は,神戸市,尼崎市,西宮市及び芦屋市の各市をもって組織され,上水道事務の一部を共同処理することを目的とする特別地方公共団体である一部事務組合である(乙2)。 企業団議会は,各市の議会から選出される議員並びに各市の市長,神戸市の助役,同市及び尼崎市の水道局長の29人の議員で構成されている(乙2)。 ウ P1は,遅くとも平成13年8月から現在まで,企業団の企業長の職にあるものである。 エ P2は,遅くとも平成13年8月から現在まで,企業団の総務部庶務課課長の職にあり,後記(3)の本件費用弁償の専決権者である。 (2) 初議会前の協議会の開催企業団では,平成13年度及び平成14年度において,各年度で初めて招集される企業団議会の臨時会(以下「初議会」という。)の開催に先立ち,別紙2の協議会等一覧表記載のとおりの各会議が開催され,それぞれ同表「支給人数」欄記載の人数の企業団議員が出席した。 以下,同表1ないし4及び7ないし11の各会議を「本件協議会等」といい,同5及び6の各会議を「個別事情による協議会」という。 (3) 費用弁償の支給ア P2は,別紙1費用弁償一覧表記載のとおり,本件協議会等に出席した企業団議員に対し,同表の「支払日」欄記載のころ,阪神水道企業団報酬並びに費用弁償に関する条例(以下「本件条例」という。)3条1項に基づく費用弁償として,1回の会議出席につき1万4000円を支給する旨の命令をし,上記各議員に対して同額が支給された(以下これらを「本件費用弁償」という。)。 企業団議員が本件費用弁償によって支給を受けた金額の合計は,同表各「合計」欄記載のとおりであり,全議員に対する支給額の合計は,112万円である。 支給された(以下これらを「本件費用弁償」という。)。 企業団議員が本件費用弁償によって支給を受けた金額の合計は,同表各「合計」欄記載のとおりであり,全議員に対する支給額の合計は,112万円である。 イまた,P2は,個別事情による協議会に出席した企業団議員に対しても,上記と同様に費用弁償を行い,上記各議員に対して合計12万6000円が支給された。 (4) 監査請求及び本件訴えの提起ア第1審原告は,平成14年8月16日付けで,企業団監査委員に対し,上記(3)ア・イの費用弁償がいずれも違法であるとして,住民監査請求を行った。 イこれに対し,同監査委員は,平成14年10月10日付けで,上記請求のうち,個別事情による協議会への出席についてした費用弁償(請求額合計12万6000円)に関する部分は理由があるものと認め,第1審被告に対して別紙3記載のとおり勧告したが,本件費用弁償に関する部分は第1審原告の請求(請求額合計112万円)を棄却し,そのころ,第1審原告に対し,その旨通知した。 ウその結果を受け,企業団は,上記監査結果に従い,個別事情による協議会への出席者に支給された費用弁償合計12万6000円については,企業団議員に返還を請求して,その全額につき返還を受けた。 エそこで,第1審原告は,平成14年11月8日,上記棄却部分を不服として,本件訴えを提起した。 (5) 関係法令の定めア議員に対する費用弁償について(ア) 法の定め普通地方公共団体の議会の議員は,職務を行うため要する費用の弁償を受けることができるが(法203条3項),その額及びその支給方法は,条例で定めなければならず(同条5項),法律又はこれに基づく条例に基づかずに費用弁償を行うことは許されない(法204条の2)。 そして,これらの規定は,いずれも一部事務組合の議員につい 支給方法は,条例で定めなければならず(同条5項),法律又はこれに基づく条例に基づかずに費用弁償を行うことは許されない(法204条の2)。 そして,これらの規定は,いずれも一部事務組合の議員についても準用される(法292条)。 (イ) 条例の定め企業団においては,法203条5項の規定を受けて,本件条例が制定されており,同条例第3条1項は,費用弁償に関し,「議長,副議長及び議員並びに監査委員が公務に従事したときは,費用弁償として1日について1万4000円を支給する。」と定めている。 イ費用弁償の支給に関する権限関係(ア) 企業団では,企業長の権限に属する事務処理として,企業団総務部庶務課の担当する事務の一つとして,「議会に関すること。」が規定されている(乙8・阪神水道企業団分課規程1条,7条)。 (イ) そして,企業長の権限に属する事務のうち,「給料の支給に関すること。」,「諸手当の認定及び支給に関すること。」及び「旅費の支給に関すること。」は,総務部庶務課長の専決事項とされている(乙9・阪神水道企業団決裁規程6条)。 3 争点(1) 本件費用弁償の適法性ア費用弁償自体の適否イ費用弁償額の適否(2) P1及びP2の責任 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)ア(本件費用弁償の適法性~費用弁償自体の適否)について〔第1審原告〕本件協議会等は,法及び条例上の根拠を有しておらず,実質的な観点からも法定外の会議への出席についての費用弁償が正当化され得るものではないから,本件協議会等への企業団議員の出席は,本件条例3条1項の「公務」(法203条3項の「職務」と同義に解することは争わない。)に当たらず,本件費用弁償は違法である。その理由は,次のとおりである。 ア議員の公務性の判断基準企業団は,費用弁償の対象となる職務 務」(法203条3項の「職務」と同義に解することは争わない。)に当たらず,本件費用弁償は違法である。その理由は,次のとおりである。 ア議員の公務性の判断基準企業団は,費用弁償の対象となる職務ないし公務の範囲を決するについて裁量権を有するものではなく,会議への議員の出席について費用弁償が認められるのは,当該会議が法律上の根拠を有する場合に限られると解すべきである。すなわち,(ア) 法204条の2は,報酬・給与等の支給について条例決定主義を定め,議員等に対して支給し得る報酬・給与等の種類,額及び支給方法を法定し,地方公共団体の条例による自主決定の余地を限定している。 (イ) 法は,議会制度の組織・運営に関しては,法定主義を採用し,特別地方公共団体の議会の活動の強化・効率化などを図るために,常任委員会,議会運営委員会,特別委員会を設置できるとしているものの,委員会制度についても議会にすべてを委ねずに,その設置,その数,委員の選任,権限などを法で定める法定主義を採用しており,議会は上記3種類の委員会以外の委員会や会議を設置する権限を有しないのであり,この点に関し,議会の裁量の余地はない。 しかも,議員は,公共団体の政策を決定し,かつ執行機関の監視・批判などを使命とする議会の構成員として,これらの使命を達成できるよう懸命に努力することが求められており,このような職責を全うするためには,単に議会・委員会などに出席するだけでは足りず,住民との対話,調査研究,議員間や執行機関との討論など,すべきことが無数に存在しており,協議会などへの出席もこれら諸活動のひとつにすぎないのであるが,法は,これらの経費すべてを支払うとの立場を採っておらず,職務に要した経費に対してのみ実費弁償し,それ以外の自主的活動の経費に対しては報酬によって賄うことにしているので ひとつにすぎないのであるが,法は,これらの経費すべてを支払うとの立場を採っておらず,職務に要した経費に対してのみ実費弁償し,それ以外の自主的活動の経費に対しては報酬によって賄うことにしているのである。 したがって,上記の法の精神からすると,法律上の根拠を有しない協議会などが委員会と同種の目的のために開催されたとしても,それはあくまで議員の自主的活動として評価されるべきであるから,協議会等への出席が公務ないし職務となることはない。 (ウ) 行政実例でも,地方議会議員に対する費用弁償について,法定外の会議への出席につき費用弁償を支給すべきでないとされている。 (エ) 第1審被告は,議員活動の職務性の判断については,最高裁判所昭和63年3月10日第1小法廷判決・判例時報1270号73頁(以下「昭和63年判決」という。)において地方公共団体の裁量権が認められていると主張する。 しかし,昭和63年判決は,当該行為が議員の職務に該当するか否か自体が問題となったものではないし,議員の海外派遣が職務ないし公務に該当し適法とされる場合があるとしたにすぎず,いずれにしても,議会の権能・権限に関する問題に関する判例にすぎず,議会の組織・運営に関するものではないから,本件とは事案を異にし,第1審被告の上記主張は失当である。なお,議員の海外出張等を議会の裁量により行うことは何ら法で禁じられていないのに対し,委員会については,上記のように法定主義を採用しており,その点においても全く異なるのであって,法定の委員会以外の協議会等を裁量で設置し,費用弁償ができると解することはできない。 イ本件についての検討(ア) 本件協議会等の法的性格阪神水道企業団議会委員会条例では,企業団議会に議会運営委員会(1条1項)と特定の事件を審査する必要がある場合において議会の議決 できない。 イ本件についての検討(ア) 本件協議会等の法的性格阪神水道企業団議会委員会条例では,企業団議会に議会運営委員会(1条1項)と特定の事件を審査する必要がある場合において議会の議決で置く特別委員会(2条1項)を設置するものとされているが,それ以外の委員会や協議会の設置は予定されておらず,本件協議会等は,何ら法及び条例上の根拠を有しておらず,議員の事実上の集会にすぎない。 (イ) 実質的検討本件協議会等への企業団議員の出席を費用弁償の対象とすることは,実質的な観点からも,次のとおり正当性を有しない。 a 法的根拠のない会議への出席に公務性を認めれば,費用弁償の対象が,本会議の準備のための議員同士の打合せ会などにも際限なく広がり,多大な弊害をもたらすことになる。 b 他の地方公共団体をみても,議員協議会等への企業団議員の出席を費用弁償の対象とする例は稀有であり,現在では,議会や委員会への費用弁償も支給していない例が次第に増加している。 (ウ) まとめ以上のとおり,本件協議会等は,法及び条例上の根拠を有しておらず,実質的な観点からも法定外の会議への出席についての費用弁償が正当化され得るものではないから,本件協議会等への企業団議員の出席は,本件条例3条1項の「公務」に当たらず,本件費用弁償は違法である。 〔第1審被告〕本件協議会等への企業団議員の出席は,本件条例3条1項の「公務」(法203条3項の「職務」と同義である。)に当たり,企業団が,本件協議会等に出席した企業団議員に対し,費用弁償をしたことは違法ではない。その理由は,次のとおりである。 ア議員活動の公務性の判断基準(ア) 企業団の裁量権企業団は,特別地方公共団体として普通地方公共団体の地方議会と同様に自律権を有しており,その判断が明らかに不合理でない限り, とおりである。 ア議員活動の公務性の判断基準(ア) 企業団の裁量権企業団は,特別地方公共団体として普通地方公共団体の地方議会と同様に自律権を有しており,その判断が明らかに不合理でない限り,裁量権を逸脱・濫用する違法があるとはいえないと解すべきである。 (イ) 議員活動の公務性についてa 確かに,地方議会議員に対する費用弁償については,第1審原告主張のとおり,法定外の会議への出席につき費用弁償を支給すべきでないとする行政実例が存在する。 b しかし,最高裁判所は,市議会議員の海外派遣旅費の支出を適法とし(昭和63年判決),また,費用弁償の支給事由及び額の決定が地方議会の裁量判断に委ねられるものと判断している(最高裁判所平成2年12月21日第2小法廷判決・民集44巻9号1706頁〈以下「平成2年判決」という。〉)。 このように,最高裁判所は,議員の活動が議会の権能を果たすために合理的な必要性を有するものである限り,議会の裁量によって当該活動を議員の職務とすることができるものとしているのである。 仮に,第1審原告が主張するように,法が組織・運営については法定主義を採用しているとしても,法定された会議以外の開催が禁止されているわけではなく,同会議に出席した議員に対し,費用弁償をすべきか否かは,結局,議員の海外派遣と同様に,当該職務が公務かどうかによるのであるから,昭和63年判決の論理は,本件協議会等への出席の場合にも適用があるものである。 c したがって,企業団においても議員活動についての上記裁量権は認められるべきであり,職務性ないし公務性が欠けるのは,議員の当該活動につき,目的の正当性,又は目的と手段との関連性のいずれかが認められない場合に限られるとすべきである。 イ本件についての検討(ア) 本件協議会等の法的性格本件協議会 欠けるのは,議員の当該活動につき,目的の正当性,又は目的と手段との関連性のいずれかが認められない場合に限られるとすべきである。 イ本件についての検討(ア) 本件協議会等の法的性格本件協議会等は,いずれも法及び条例上の根拠はないが,企業団議会議長の開催通知によって開かれ,その開催に当たっては,企業団議会書記が出席する等関与しており,また,企業団議長の要請によって企業長らの幹部職員も出席しており,単に企業団議員が事実上参集して開催したものではなく,企業団議会の正当な意思に基づく会議である。 (イ) 実質的検討a 企業団議会における特殊事情企業団議会としては,新年度のできるだけ早い時期に初議会を開催し,議会運営委員会委員及び監査委員の選出を行う必要がある。しかし,初議会の開催に当たっては,毎年改選される各市議会選出の企業団議員の改選時期が各市ごとに異なること,各市の議会日程を勘案して初議会の開催時期を決定せざるを得ないことから,数日間の会期で開催するのは非常に困難であり,会期は1日とならざるを得ない状況となっている。 そこで,企業団議会では,初議会を円滑かつ効率的に運営するため,事前に本件協議会等を開催してきた。 したがって,本件協議会等への企業団議員の出席は,目的の正当性も目的と手段との関連性も認められる。 b 議員の海外派遣等の事例との比較昭和63年判決においては,濫用の危険が高いとみられる議員の海外派遣等の場合ですら,違法とされるのは例外的な場合にすぎない。それゆえ,本件協議会等への企業団議員の出席は,企業団議会の前記特殊事情,本件協議会等と正規の議会活動との密接性,金額が予想できる範囲のもので濫用の危険性も少ないことなどの点にかんがみ,一層職務性ないし公務性が認められてしかるべきである。 c 他の地方公共団体との比較 ,本件協議会等と正規の議会活動との密接性,金額が予想できる範囲のもので濫用の危険性も少ないことなどの点にかんがみ,一層職務性ないし公務性が認められてしかるべきである。 c 他の地方公共団体との比較について第1審原告は,議員協議会への企業団議員の出席を費用弁償の対象としている地方公共団体が稀有であると主張するが,かかる主張は,企業団の上記特殊事情を無視するものであり,失当である。 なお,近時,兵庫県議会では,費用弁償制度が見直され,条例改正案が提案されているところ,法や条例に規定されていないにもかかわらず費用弁償の支給対象となっていた各会派代表者会議や政務調査会長会などについても,引き続き支給対象となるものとされている。 (ウ) まとめよって,本件協議会等への企業団議員の出席は,本件条例3条1項の「公務」に当たり,企業団が,本件協議会等に出席した企業団議員に対し,費用弁償をしたこと自体に違法はない。 (2) 争点(1)イ(本件費用弁償の適法性~費用弁償額の適否)について〔控訴人〕仮に,費用弁償をしたこと自体が違法ではないとしても,次のとおりの事情からすると,その支給額は,1日当たり3000円が限度であり,それを超える金額の支給は裁量権の濫用である。 すなわち,企業団での職務場所である神戸市αは,企業団議員の本来の職務場所である各市役所に近接しており,鉄道交通の便も非常に良く,交通費もわずかな金額で済み,宿泊は不要であること,企業団議員は,本来所属している地方公共団体から相当額の議員報酬(もしくは市長給与)及び期末手当を受領しており,更に企業団からも議員報酬を受領していること,企業団議員の職務は,議会運営委員会委員を除けば,年間11日の公式会議に出席するほか,本件協議会等に各1回出席するだけであり,本件協議会等は,企業団事業の に企業団からも議員報酬を受領していること,企業団議員の職務は,議会運営委員会委員を除けば,年間11日の公式会議に出席するほか,本件協議会等に各1回出席するだけであり,本件協議会等は,企業団事業の概要説明や提案予定議案の事前説明等が行われるだけであって,中味も乏しく短時間で終了すること,その他,他の地方公共団体においては,本件協議会等のような法的根拠を有しない会議への議員の出席を費用弁償の支給対象としている例は稀有であること,証人等への旅費,日当との対比,各市及び企業団の財政状況,市民感情等からすると,議員の自宅から企業団までの交通費の平均額1000円と4市における証人等に対する日当の平均額500円の合計1500円の倍額の3000円が裁量の限度であると解すべきである。 〔被控訴人〕前記のとおり,平成2年判決は,費用弁償の支給事由及び額の決定が地方議会の裁量判断に委ねられると判断しており,費用弁償の額をいくらにするかについては,自律した民主的な機関である議会が国家機関の不当な干渉を受けずに,民主的な手続の過程の中で,十分な情報収集をした上,種々の事情を考慮して決すべきものであり,その性質上,広範な裁量権が認められてしかるべきであり,したがって,目的の正当性及び目的と手段の関連性の点からみて著しく不合理であることが明白であり,裁量権の逸脱・濫用とみられるものでない限り,地方自治体の議会の自律的判断が尊重されるべきであり,民主的な基盤が希薄である上,地方自治につき判断能力も責任もない国家機関である裁判所が介入し,金額が高額すぎるなどと決めつけることは極力差し控えられるべきである。 本件においては,前記のとおり,本件協議会等への出席に費用弁償すること自体違法ではないこと,数市にまたがる企業団よりも範囲の限られた市ですら,一律に1日当たり ことは極力差し控えられるべきである。 本件においては,前記のとおり,本件協議会等への出席に費用弁償すること自体違法ではないこと,数市にまたがる企業団よりも範囲の限られた市ですら,一律に1日当たり1万円以上の費用弁償をしているところが多数存在すること,議員の負担する実費は交通費だけではないし,しかもその交通費についても電車の利用しか考慮しないのは不当であり,タクシー利用を考慮すると,交通費自体相当高額になること,企業団議員に役徳があるかのような認識は誤解であり,企業団議員の職責は重大であること等からすると,1日当たり1万4000円の費用弁償が企業団議会の裁量権を逸脱・濫用したものとはいえないのは明らかである。 仮に,1日当たり1万4000円という金額が不相当であったとしても,いかなる時期にいかなる内容に条例を是正すべきかについては企業団議会に広範な裁量権が認められていると解されるから,平成15年4月1日以降1万1000円に減額され,本件協議会等への出席に対する費用弁償が廃止されたことにより,合理的な期間内での是正がされたことになり,裁量権の逸脱・濫用はなかったと解すべきである。 (3) 争点(2)(P1及びP2の責任)について〔第1審原告〕議員に対する費用弁償については,法定外の会議への出席につき費用弁償を支給すべきでないとする行政実例が存在し,実際にも,他の地方公共団体においては本件費用弁償のような支出をしていないのが通例である。 これらの点からすれば,P2には,本件費用弁償を行ったことにつき故意又は重大な過失があり,P1には,P2の上記行為を阻止しなかったことにつき故意又は過失がある。 〔第1審被告〕仮に本件費用弁償の全部又は一部が違法であったとしても,その違法は明白かつ重大なものとはいえず,P1及びP2は,飽くまで従前か 記行為を阻止しなかったことにつき故意又は過失がある。 〔第1審被告〕仮に本件費用弁償の全部又は一部が違法であったとしても,その違法は明白かつ重大なものとはいえず,P1及びP2は,飽くまで従前からの慣行に従い,支出を行い又はこれを容認したものであって,事実上これを拒否する自由もなかった。 したがって,P2が本件費用弁償の全部又は一部を行ったことにつき,故意又は重過失はなく,また,P1がP2の上記行為を阻止しなかったことにつき,故意又は過失はない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実及び証拠(甲3ないし23,25の1・2,26,27,29,34,35,乙1ないし3,5,11の1ないし3,13ないし17,23,24)並びに弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 (1) 企業団議会の構成等企業団は,神戸市,尼崎市,西宮市及び芦屋市の各市をもって組織され,上水道事務の一部を共同処理することを目的としており,企業団議会は,上記各市の議会から選出される議員並びに各市の市長,神戸市の助役,同市及び尼崎市の水道局長の29人の議員で構成され,議長には神戸市長が就任することになっている。 このうち,各市の議会議員から選出される企業団議員は,全員が毎年改選され,その改選時期は,各市の議会ごとに異なり,毎年6月下旬から7月中旬にかけてである。 企業団議会は,標準的な年間日程(甲26)によれば,8月上旬に第1回臨時会(初会議)を開催して,監査委員等を選任し,11月下旬に第2回定例会,翌年2月下旬に第1回定例会を開催し,その間に各委員会が開催されることなっているが,新年度に改選された企業団議員による初会議は,上記のような改選状況と各市の議会との関係から例年8月上旬に1日しか開催できない。そのため企業団ではかねてから初会議前に本件協 催されることなっているが,新年度に改選された企業団議員による初会議は,上記のような改選状況と各市の議会との関係から例年8月上旬に1日しか開催できない。そのため企業団ではかねてから初会議前に本件協議会等を開催して,新議員に対する説明等を行ってきている。 (2) 本件協議会等の内容ア各市別議員協議会各市別議員協議会は,個別事情による協議会を除き,初議会の開催に先立ち,各市議会から企業団議員が選出された後,順次,各市別に企業団議員が出席して開催され,各議員に対して企業団の規約,議会委員会条例,議会会議規則,議会運営委員会の決定事項等の説明,及び各市で決定する必要がある企業団の議会運営委員会委員の就任予定者の選出が行われた。 イ議員協議会代表者会議議員協議会代表者会議は,初議会の開催に先立ち,各市別議員協議会で選出された議会運営委員会委員の就任予定者10人が出席して開催され,初議会付議案件,全体議員協議会及び初議会の日程調整,議事運営等について協議が行われた。 ウ全体議員協議会全体議員協議会は,初議会の開催に先立ち,企業団議員が出席して開催され,各議員に対する企業団事業についての概要説明及び初議会付議案件の説明,付議案件中の人事案件についての事前協議,浄水場等の施設視察が行われた。 エ本件協議会等の性質本件協議会等は,いずれも,企業団の議長からの開催通知により実施され,企業団からは企業長以下の幹部職員及び議会書記が出席しており,単に議員が事実上参集して開催したものではない。しかし,正式な議事録が作成されるようなことはない。 (3) 議会,委員会等の設置に関する憲法,法及び条例の定めア日本国憲法は,地方自治に関し,以下のとおり定めている。 92条地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基づいて,法律でこ 議会,委員会等の設置に関する憲法,法及び条例の定めア日本国憲法は,地方自治に関し,以下のとおり定めている。 92条地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基づいて,法律でこれを定める。 93条1項地方公共団体には,法律の定めるところにより,その議事機関として議会を設置する。 2項地方公共団体の長,その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は,その地方公共団体の住民が,直接これを選挙する。 94条地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる。 イ上記憲法の規定を受けて,法は,議会の組織(89条ないし95条),権限(96条ないし100条),招集及び会期(101条ないし108条)を規定するとともに,会議(112条ないし123条)の規定において,定足数,議事の公開の原則,表決の方法,会議録の記載等厳格な法的手続を規定するとともに,委員会については,常任委員会(109条),議会運営委員会(109条の2)及び特別委員会(110条)につき,その数,委員の選任,権限などにを法定しているが,これらの委員会も必置ではなく,条例による任意設置とされており,上記以外には,法上,議会内の委員会等を設置することができる旨の定めは存在しない。 法は,上記委員会の規定を292条により,一部事務組合の議会に準用している。 ウ更に,上記の法の規定を受けて,阪神水道企業団議会委員会条例は,企業団議会に議会運営委員会を置くと規定するほか,特定の事件を審査する必要がある場合には,議会の議決をもって特別委員会を設置することと規定している(乙2・同条例1条1項,2条1項)。 (4) 議員に対する費用弁償に関する行政実例の存在行政実例においては,地方議会議員に対する費用弁償に関 会の議決をもって特別委員会を設置することと規定している(乙2・同条例1条1項,2条1項)。 (4) 議員に対する費用弁償に関する行政実例の存在行政実例においては,地方議会議員に対する費用弁償に関して,次のとおりの見解が示されている(甲3,以下これらを「本件行政実例」という。)。 ア ① 議会閉会中の審査の付託がなされていない場合に,常任委員会が委員長の招集により開かれ,それに出席した議員,② 議会開会前,予算及び条例の内示等のため,市長からの要請に基づく委員長の招集により常任委員会に出席した場合,③ 議会閉会中,市長の要請又は議会の必要に基づき議員協議会(全員)に出席し又は議長が各党代表と協議するため参集を求めたので出席した場合には,いずれも費用弁償を支給すべきでない(昭和27年4月24日地自行発第111号小樽市議会事務局長宛行政課長回答)。 イ条例で設置された議会運営委員会が,議会開会の前日に委員長により招集され,翌日の議会運営事項について協議決定された場合に,同委員会に出席した議員に対する費用弁償の支給は違法である(平成27年12月26日自行行発第193号鹿児島県総務部長宛行政課長回答)。 ウ議会の閉会中に,議決に基づかないで招集された,① 議会運営委員会(申合せによるもの),② 各党代表者会議,③ 全員協議会に出席した議員に対して費用弁償を支給することは,法204条の2に抵触する(昭和33年5月7日自丁行発第81号群馬県議会事務局長宛行政課長回答)。 (5) 他の地方公共団体における費用弁償の実施状況ア他の地方公共団体においては,法的根拠を有しない会議(議員の全員協議会,代表者会議や議員協議会等)への議員の出席を費用弁償の支給対象としている自治体は極めてわずかであり,現在では,議会や委員会への議員の出席についても,費 は,法的根拠を有しない会議(議員の全員協議会,代表者会議や議員協議会等)への議員の出席を費用弁償の支給対象としている自治体は極めてわずかであり,現在では,議会や委員会への議員の出席についても,費用弁償の支給対象としない自治体が多く,また,その数は次第に増えてきている(第1審被告もこの事実を認めている〈第1審被告の平成15年10月3日付け準備書面第2の1参照〉。)。 イ他方,兵庫県議会では,法的根拠のない各会派代表者会議や政務調査会長会などについても,1日当たり一律1万6500円の金額の費用弁償を支給する制度が設けられている。そして,兵庫県議会では,平成15年9月26日に開会された県議会に条例改正案が提案され,その支給方法,支給金額の改正が提案されたが,同条例改正案でも,上記法的根拠のない各会議について,引き続き支給対象となるものとされている(乙11の1ないし3)。 (6) 本件条例の改正本件条例3条1項は,その後改正され,平成15年4月1日からは,費用弁償の対象としては,「公務に従事したとき」ではなく,「定例会,臨時会及び阪神水道企業団議会委員会条例に規定する委員会の会議に出席したとき」とされ,費用弁償の額も1日当たり1万1000円とされた。 2 争点(1)(本件費用弁償の適法性)について(1) 費用弁償自体の適否(争点(1)ア)ア憲法及び法の趣旨上記のとおり,憲法自体,地方公共団体の組織及び運営に関しては,法定主義を宣言し,議事機関としては,住民の直接選挙により選ばれた議員による議会の設置を義務づけており,それを受けて,法は,議会の運営について,公開の原則をはじめその他各種の厳格な法的手続を規定し,委員会についても必置ではなく任意の機関とし,しかもその種類,数,権限等についても詳細に規定しているのであるから,憲法ないし法 の運営について,公開の原則をはじめその他各種の厳格な法的手続を規定し,委員会についても必置ではなく任意の機関とし,しかもその種類,数,権限等についても詳細に規定しているのであるから,憲法ないし法の趣旨としては,地方公共団体の意思決定方法につき,可能な限り議事機関である議会が法定の方法による議決をもって行うものとし,その運営のために必要であると議会が判断した場合に限り,条例により,常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会のみを設置することができると規定しているものと解され,このような憲法ないし法の趣旨からすれば,地方公共団体の議会は,法の規定している3種の委員会以外の委員会や会議を設置することはできないものというべきである。 すなわち,地方公共団体の議会が法定の委員会以外の会議を設置することができるものとすると,当該会議には法の規制が及ばず,法定外の会議において上記の法の厳格な手続によらないで実質的に審理・議決がされ,それが議会や委員会の審理・議決と同視されたり,また,それに代替的役割が与えられる危険性が生じかねず,ひいては法の規定する議会制度の趣旨が潜脱されるおそれがある。また,法定外の会議を許すとすると,その範囲が際限なく広がる危険性があるし,合理的な範囲に限定するとしても,その判断は不明確なものとならざるを得ず,上記の弊害を防止できないことは明らかであるから,この面からみても法定外の会議を許容するのは相当ではない。 したがって,地方公共団体の議会が議会ないし上記委員会の運営を円滑かつ効率的に行うためとはいえ,上記の委員会以外の会議を正規の会議として設置運営することは,上記の法の趣旨に反し,議会の決議につき厳格な法的手続を定める法を潜脱するものとして許されないものと解される。 そうすると,本件協議会等を議会の意思に基づく公式の 規の会議として設置運営することは,上記の法の趣旨に反し,議会の決議につき厳格な法的手続を定める法を潜脱するものとして許されないものと解される。 そうすると,本件協議会等を議会の意思に基づく公式の会議と見ることは相当でない。 そして,法203条3項にいう「職務」や本件条例3条1項にいう「公務」は,正規の会議に出席する場合等に限られるものであるから,本件協議会等が公的な色彩を持つものであったとしても,上記のような法の趣旨からすると,あくまで事実上の集会というほかなく,したがって,これらの会議に出席することも議員の職務ないし公務ということはできない。 イ昭和63年判決について第1審被告は,昭和63年判決を根拠に,地方議会には法定外の本件協議会等を開催する権限があり,したがって,本件協議会等に出席することも公務であると主張している。 しかし,昭和63年判決は,地方議会の権限は,法令上の根拠がある場合に限定されるものではなく,その機能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有しているとして,合理的な必要性があるときは裁量により議員を海外に派遣することができるとしたもので,いわば議会の権能について判断したものであり,上記のとおり,法により定められている地方公共団体の意思決定方法に直接関係する議会・委員会等の地方公共団体の組織・運営に関して判断したものではないから,昭和63年判決が議会により法定外の会議を設けることを容認したものとはいえず,したがって,上記判断は昭和63年判決に抵触するものではない。 ウ本件行政実例について行政実例とは,都道府県,市町村が法令の解釈,運用について疑義が生じた場合に,関係の中央各省庁の見解を文書によって求めるのに対し,照会を受けた各省庁が示した見解であり,行政庁のいわゆる有権解釈ではあるが,一種の行政 道府県,市町村が法令の解釈,運用について疑義が生じた場合に,関係の中央各省庁の見解を文書によって求めるのに対し,照会を受けた各省庁が示した見解であり,行政庁のいわゆる有権解釈ではあるが,一種の行政指導であるから,それ自体に特段法的拘束力があるものではなく,当然のことながら,裁判所が法律等の解釈をするに当たってはこれに拘束されるものでもない。 したがって,本件行政実例があるからといって,そのことだけで,本件協議会等の出席に対する費用弁償が違法となるものではないが,上記で判示した法の趣旨からみて,本件行政実例の解釈は正当であり,昭和63年判決以後もその存在意義を有するものというべきである。 そして,本件行政実例によっても,本件協議会等への企業団議員の出席に対し,費用弁償を行うことができないことは明らかである。 (2) まとめ本件条例3条1項は,法203条5項を受けて制定されたものであるから,本件条例3条1項にいう「公務」とは,その文言に照らし,法203条3項にいう「職務」と同義と解するのが相当である(この点については,当事者間に争いがない。)。 そして,本件協議会等は法令上の根拠のない会議であり,これを公式の会議と見て,これに対する出席を公務ということはできないから,企業団が,本件協議会等に出席した企業団議員に対し,費用弁償をすることは,額のいかんにかかわらず,違法であるというべきである。 3 争点(2)(P1及びP2の責任)について(1) 上記のとおり,本件費用弁償は違法であると認められる。 (2) しかし,公務に対し,1日当たり1万4000円の費用弁償金を支払う制度は,企業団議会で決議された本件条例3条1項に基づくものであり,P2やP1は,企業団議会が定めた条例については,誠実に執行しなければならない義務があること,本件条例3条 0円の費用弁償金を支払う制度は,企業団議会で決議された本件条例3条1項に基づくものであり,P2やP1は,企業団議会が定めた条例については,誠実に執行しなければならない義務があること,本件条例3条1項の「公務」という用語は解釈が一義的に明確とはいい難いこと,兵庫県議会では,法的根拠のない各会派代表者会議や政務調査会長会などについても,1日当たり一律に1万6500円の費用弁償金を支給する制度が設けられていること,本件行政実例は存在するものの,昭和63年判決の趣旨及び当該判断を類推し得る範囲も必ずしも明確とはいえず,したがって,第1審被告のような解釈の余地が認められることに照らせば,P2には,本件費用弁償を行ったことについて,故意又は重過失があったとまでは認めることができず,また,P1にも,P2の上記行為を阻止しなかったことについて,故意又は過失があったとは認めることができない。 4 まとめ(1) 企業団議員に対する不当利得返還請求等ア前記2で判断したとおり,本件費用弁償の支給については違法であるから,企業団議員は,受領した費用弁償金全額について,企業団に対し,不当利得金として返還すべき義務がある。 イ遅延損害金の起算点について,第1審原告は,不当利得金に対する平成14年11月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を,企業団議員に請求するよう,第1審被告に求めているが,企業団の企業団議員に対する不当利得返還請求権は,その性質上期限の定めのない債務であるから,上記遅延損害金の起算点は,企業団の企業団議員に対する不当利得金返還請求日の翌日と解するのが相当である(民法412条3項)。 ウよって,企業団議員に対する不当利得返還請求,及びその遅延損害金請求については,第1審被告に対し,別紙1の費用弁償一 対する不当利得金返還請求日の翌日と解するのが相当である(民法412条3項)。 ウよって,企業団議員に対する不当利得返還請求,及びその遅延損害金請求については,第1審被告に対し,別紙1の費用弁償一覧表「議員名」欄記載の各人に対し,同表「議員名」欄記載の各人に対応する「合計」欄記載の各金員及びこれらに対する各請求日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するよう求める限度で理由があるが,その余は理由がない。 (2) P1に対する賠償請求及びP2に対する賠償命令ア前記3で判断したところによれば,P1及びP2には,企業団に対する不法行為があったと認めることができない。 イよって,第1審原告が第1審被告に対し,同人らに対する賠償請求又は賠償命令をするよう求める請求は,理由がない。 5 結論以上によれば,第1審原告の請求は,上記4(1)ウ認定の限度で理由があり,その余は理由がない。 よって,第1審原告の控訴に基づき,原判決を上記の趣旨に変更し,第1審被告の控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第14民事部裁判長裁判官井垣敏生裁判官高山浩平裁判官神山隆一(別紙1)費用弁償一覧表┌──┬──────┬────────┬────────┬────────┬────────┬────────┬────────┬────────┬────────┬────────┬─────────┐| |開催日 |H13.7.4 |H13.7.23|H13.8.1|H13.8.3 |H14.7.2 |H14.7.4 |H14.7.16|H14.7.22|H14.7.31| || ├──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼───── 14.7.4 |H14.7.16|H14.7.22|H14.7.31| || ├──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┤ || |支払日 |H13.8.16|H13.8.16|H13.9.17|H13.9.17|H14.8.16|H14.8.16|H14.8.16|H14.8.16|H14.8.16| || ├──────┼────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴────────┤ || | |会議名 | || | ├────────┬────────┬────────┬────────┬────────┬────────┬────────┬────────┬────────┤ ||番号|議員名 |神戸市側議員 |尼崎市側議員 |代表者会議|全体議員協議 |西宮市側議員 |神戸市側議員 |芦屋市側議員 |尼崎市側議員 |代表者会議 |合計 |├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 1|P3 | 14,00 ─────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 1|P3 | 14,000| || 14,000| | | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 2|P4 | 14,000| | 14,000| 14,000| | | || | 42,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 3|P5 | | 14,000|| 14,000| | | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 4|P6 | | | 14,000| 14,000| | | || ┼─────────┤| 4|P6 | | | 14,000| 14,000| | | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 5|P7 | 14,000| || 14,000| | 14,000| || | 42,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 6|P8 | | 14,000|| 14,000| | | |14,000| | 42,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 7|P9 | 14,000| || 14,000| | | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼───── | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 8|P10 | 14,000| | 14,000| 14,000| | | || | 42,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤| 9|P11 | 14,000| || 14,000| | | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|10|P12 | | 14,000| 14,000| 14,000| | | || | 42,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|11|P13 | 14,00 ─────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|11|P13 | 14,000| || 14,000| | 14,000| || 14,000| 56,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|12|P14 | 14,000| | 14,000| 14,000| | | || | 42,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|13|P15 | | || 14,000| | | || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|14|P16 | 14,000| | 14,000| 14,000| | | || ┼─────────┤|14|P16 | 14,000| | 14,000| 14,000| | | || | 42,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|15|P17 | | || 14,000| | | || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|16|P18 | | 14,000|| 14,000| | | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|17|P19 | 14,000| || 14,000| | | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼───── | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|18|P20 | 14,000| | 14,000| 14,000| | | || | 42,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|19|P21 | 14,000| || 14,000| | 14,000| || 14,000| 56,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|20|P22 | | 14,000| 14,000| 14,000| | | || | 42,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|21|P23 | ─────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|21|P23 | | 14,000| 14,000| 14,000| | | |14,000| 14,000| 70,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|22|P24 | | || 14,000| | | || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|23|P25 | | | 14,000| 14,000| | | || | 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|24|P26 | | || | | 14,000| || ┼─────────┤|24|P26 | | || | | 14,000| || 14,000| 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|25|P27 | | || | 14,000| | || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|26|P28 | | || | | 14,000| || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|27|P29 | | || | | 14,000| || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼───── 14,000| || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|28|P30 | | || | | 14,000| || 14,000| 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|29|P31 | | || | | 14,000| || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|30|P32 | | || | | 14,000| || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|31|P33 | ─────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|31|P33 | | || | | 14,000| || 14,000| 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|32|P34 | | || | 14,000| | || 14,000| 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|33|P35 | | || | | 14,000| || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|34|P36 | | || | | | |14,000| ┼─────────┤|34|P36 | | || | | | |14,000| | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|35|P37 | | || | | 14,000| || | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|36|P38 | | || | | | |14,000| | 14,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|37|P39 | | || | 14,000| | || 14,000| 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼───── | || 14,000| 28,000|├──┼──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|38|P40 | | || | | | 14,000|| 14,000| 28,000|├──┴──────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼────────┼─────────┤|合計 | 168,000| 84,000| 140,000| 322,000| 42,000| 168,000| 14,000|56,000| 126,000|1,120,000|└─────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴────────┴─────────┘(別紙3)1.勧告下表に記載している2件の会議の出席者に対し,公務に従事したものとして阪神水道企業団報酬並びに費用弁償に関する条例(以下「費用弁償条例」という。)の規定に基づき費用弁償が支給されている。 この2件の会議は,その協議内容からみて重要な会議であったことは理解できるものの,昭和63年3月10日の最高裁判決に照らして判断すると,企業団の議会の権能を果たすためにこれらを開催する合理的な必要性があったとは認められず,費用弁償の支給 要な会議であったことは理解できるものの,昭和63年3月10日の最高裁判決に照らして判断すると,企業団の議会の権能を果たすためにこれらを開催する合理的な必要性があったとは認められず,費用弁償の支給要件に該当しないものと判断される。 よって,平成14年11月11日までに,これらの会議の出席者に支給した126,000円については,返還措置を講ずるよう勧告する。 ┌───────────┬─────────┬──────────┬───────┬───────┐|開催日 |会議の名称 |支給日 |支給人数(人)|支給金額(円)|├───────────┼─────────┼──────────┼───────┼───────┤|平成13年12月20日|尼崎市側議員協議会|平成14年1月16日|6| 84,000|├───────────┼─────────┼──────────┼───────┼───────┤|平成14年6月14日 |西宮市側議員協議会|平成14年7月3日 |3| 42,000|├───────────┴─────────┴──────────┼───────┼───────┤|合計 |9|126,000|└────────────────────────────────┴───────┴───────┘2.要望議員が公務に従事したときは,費用弁償条例第3条の規定により,費用弁償が支給されてきたところであるが,同条には,「公務に従事したとき」と規定されているが,支給基準については明確に定められていない。今後,支給基準を明確にする等,費用弁償の支給に関して市民の疑惑を招くことがないよう, たところであるが,同条には,「公務に従事したとき」と規定されているが,支給基準については明確に定められていない。今後,支給基準を明確にする等,費用弁償の支給に関して市民の疑惑を招くことがないよう,早急に所要の措置を講じられるよう要望する。
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