平成12(行ウ)146 過少申告加算税賦課処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成13年2月27日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文14,511 文字)

-- 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求被告が原告に対し平成9年12月19日付けでした過少申告加算税賦課決定及び重加算税賦課決定をいずれも取り消す。 第2事案の概要本件は,被告が原告の平成2年分の所得税について平成9年12月19日付けで行った過少申告加算税賦課決定及び重加算税賦課決定に対し,原告が,同年分の所得税についての賦課決定は国税通則法(以下「通則法」という)70条4項。 の期間制限以後に行った点において違法であり,また,原告が隠ぺい仮装の行為を行った事実もないから重加算税の課税要件も具備していないなどと主張して,各賦課決定の取消しを求めている事案である。 法令の定め(1)過少申告加算税の課税要件等ア期限内申告書が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において,通則法66条1項ただし書の規定の適用があるときを含む)において,。 修正申告書の提出又は更正があったときは,当該納税者に対し,その修正申告又は更正に基づき通則法35条2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。 (通則法65条1項)イ通則法65条1項の規定に該当する場合において,同項に規定する納付すべき税額(同項の修正申告又は更正前に当該修正申告又は更正に係る国税について修正申告書の提出又は更正があったときは,その国税に係る累積-- 増差税額を加算した金額)がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときは,同項の過少申告加算税の額は,同項の規定にかかわらず,同項の規定により計算した金額に,当該超える部分に相当する税額(同項に規定する納付すべき税額が当該超 と50万円とのいずれか多い金額を超えるときは,同項の過少申告加算税の額は,同項の規定にかかわらず,同項の規定により計算した金額に,当該超える部分に相当する税額(同項に規定する納付すべき税額が当該超える部分に相当する税額に満たないときは,当該納付すべき税額)に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。 (通則法65条2項)ウ通則法65条1項又は2項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちにその修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む)の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があ。 ると認められるものがある場合には,これらの項に規定する納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して,これらの項の規定を適用する。 (通則法65条4項)(2)重加算税の課税要件通則法65条1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(同条5項の規定の適用がある場合を除く)において,納税者がその国税の課税標準等又は。 税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは,当該納税者に対し,政令で定めるところにより,過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし,又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは,当該隠ぺいし,又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え,当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相-- 当する重加算税を課する。 (通則法68条1項)(3) より計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え,当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相-- 当する重加算税を課する。 (通則法68条1項)(3)国税の決定の期間の制限ア次の各①に掲げる国税に係る賦課決定は,当該各②に掲げる期限又は日から5年を経過した日以後においては,することができない。 a①課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出がなかったもの②当該申告書の提出期限b①課税標準申告書の提出を要しない賦課課税方式による国税②その納税義務の成立の日(通則法70条4項)イ偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ,若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む)についての更正決定等又は偽りその他不正の行。 為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額(当該金額に関し更正があった場合には,当該更正後の金額)についての更正は,通則法70条1項ないし4項の規定にかかわらず,次の各①に掲げる更正決定等の区分に応じ,当該各②に掲げる期限又は日から7年を経過する日まで,することができる。 a①更正又は決定②その更正又は決定に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書に係る更正については,当該申告書を提出した日)b①課税標準申告書の提出を要する国税に係る賦課決定②当該申告書の提出期限c①課税標準申告書の提出を要しない賦課課税方式による国税に係る賦-- 課決定②その納税義務の成立の日(通則法70条5項) 前提となる事実(各項末尾掲記の証拠等によって認定した)。 (1)原告の平成2年分の所得 ない賦課課税方式による国税に係る賦-- 課決定②その納税義務の成立の日(通則法70条5項) 前提となる事実(各項末尾掲記の証拠等によって認定した)。 (1)原告の平成2年分の所得税の申告の経緯等ア原告は,昭和62年10月1日に,株式会社Aから,川崎市α所在の土地(以下「本件土地」という)を代金6836万5000円で買い受け,平成2年9。 月5日,これを株式会社Bに対し,代金1億3000万円で譲渡する旨の売買契約を締結し,同月19日,譲渡代金を受領して本件土地を引き渡した。 (乙8)イ原告は,平成3年3月3日,税理士Cに,原告の平成2年分の所得税の確定申告手続を委任し,同年3月6日,Cに対し,現金1805万円を支払った。 (甲1ないし同3,乙5,同7)ウ原告の平成2年分の所得税の確定申告書は,平成3年3月16日,被告に提出された。 同申告書によれば,総合課税の所得金額は999万3048円,納付すべき税額7100円とされていたが,本件土地に係る譲渡所得については記載がなかった。 (乙8,弁論の全趣旨)エ渋谷税務署の係官が,平成9年12月12日,原告に対し,平成2年分の所得税の修正申告のしょうようをしたところ,原告は,同日,総合課税の所得金額1036万5148円,分離課税の短期譲渡所得金額4882万2934円とする修正申告書(以下「本件修正申告書」という)を提出した。 。 本件修正申告書には,当初申告においては申告されていなかった本件土地の譲渡に係る所得などが加えられた。 そして,原告は,本件修正申告書の提出により,新たに納付すべき税額-- 2528万6500円のうち,原告の平成8年分所得税の還付金により充当された21万9300円を除く2506万7200円については,平成9年12月24日に160万円,平成10 付すべき税額-- 2528万6500円のうち,原告の平成8年分所得税の還付金により充当された21万9300円を除く2506万7200円については,平成9年12月24日に160万円,平成10年1月23日に400万円,同年2月5日に400万円,同月6日に1546万7200円と,4回に分けてこれを納付した。 (甲8,同10の1ないし4,同12,同13,乙10)(2)アa譲渡所得のうち,不動産譲渡に係る所得については,各税務署の資産税担当者があらかじめ事績書等の課税資料を作成し,さらに,譲渡者名簿に譲渡所得を生じた納税義務者の氏名等を登載し,同名簿に基づき各納税義務者に申告書用紙等を郵送して確定申告を促して徴税を図っているところ,納税義務者が所轄税務署の管外に転居すると,それに伴って事績書等の課税資料も,東京国税局内部の集配送システム等を利用して転居先の所轄税務署に送付されることになるが,その際,両税務署間で課税資料の受領の有無を確認する手続はとられていなかった。 bそのため,脱税に協力する税務署の職員を確保した上で,納税義務者がこの脱税協力者の勤務する税務署の管内に転居した旨の虚偽の連絡を,当該納税義務者の所轄税務署に行い,納税義務者の課税資料を所轄税務署から脱税協力者の勤務先税務署に送付させ,同資料に基づき納税義務者が「譲渡者名簿」に登載される前に,脱税協力者に同資料を抜き取って隠匿,廃棄させ,譲渡所得の存在を税務署が把握することを事実上不可能にし,無申告のまま譲渡所得に係る所得税の納税を免れるという方法で脱税を図ることが可能となる(以下,上記の方法による脱税工作を「本件脱税工作」という。 。)(乙3,同6)イCは,昭和44年,45年ころから,顧客の依頼を受けて,上記の方法による譲渡所得に係る所得税の脱税行為を繰り返し 以下,上記の方法による脱税工作を「本件脱税工作」という。 。)(乙3,同6)イCは,昭和44年,45年ころから,顧客の依頼を受けて,上記の方法による譲渡所得に係る所得税の脱税行為を繰り返していたが,昭和49年ころから,Dに上記の脱税協力行為を依頼するようになった。 -- (乙3,同5)ウDは,平成2年7月10日から平成3年7月9日までは,荻窪税務署の資産税担当特別国税調査官の職務に従事していた。 (乙1)(3)アDは,平成3年2月中旬ころから同年3月上旬ころにかけて,前後7回にわたり,荻窪税務署において,各所轄税務署から転送されてきたEほか6名の平成2年分の譲渡所得に係る課税資料をそれぞれ抜き取って隠匿,廃棄し,上記の者らが譲渡所得を税務署長に申告ぜず,これに係る所得税を免れることが発覚しないよう取り計らい,一連の課税資料の隠匿,廃棄の謝礼として供与されるものであることを知りながら,平成3年3月4日ころから同年5月8日ころまでの間,前後5回にわたり,Cから,現金合計850万円を賄賂として収受し,もって,職務上不正な行為をしたことに関して賄賂を収受したとして,平成10年7月3日,○の罪により○の有罪判決を受けたが,Dが課税資料を抜き取った7名の中には原告に係る課税資料が含まれていた。 (乙1,同3,弁論の全趣旨)イCは,上記アの事実について,起訴されてはいないものであるが,この一連の事実が発覚した時点ではこれに関する○罪及び○法違反については公訴時効が完成していた。 (弁論の全趣旨) 本件処分に至る経緯(当事者間に争いがない事実)(1)被告は,平成9年12月19日,原告に対し,過少申告の額1万1000円とする過少申告加算税(以下「本件過少申告加算税賦課決定処分」という)及び。 重加算税の額880万9500円 がない事実)(1)被告は,平成9年12月19日,原告に対し,過少申告の額1万1000円とする過少申告加算税(以下「本件過少申告加算税賦課決定処分」という)及び。 重加算税の額880万9500円とする重加算税賦課決定処分をした(以下「本,件重加算税賦課決定処分」といい,本件過少申告加算税賦課決定処分と併せて「本件各賦課決定処分」という。 。)-- (2)これに対し,原告は,平成10年2月12日付けで,被告に対し,異議申出をしたが,被告は,平成10年5月22日,この異議申出を棄却する旨の決定をした。 (3)原告は,この棄却決定に対し,平成10年6月19日,国税不服審判所長に対し,審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成12年3月16日,この審査請求を棄却する旨の裁決をした。 当事者双方の主張(被告の主張)(1)本件各賦課決定処分の根拠本件において,原告は,Cが原告の所得税をほ脱させることを認容した上で,Cにその具体的方法を委ね,その脱税報酬を含めてあるいはその全額がCの報酬に充てられても異存はないとの意思の下に,同人の要求に従って,合計1805万円を供与し,Cが本件土地の譲渡所得金額の記載のない原告の平成2年分の所得税の確定申告書を提出したものであって,原告は,当初から所得を過少に申告することを意図した上で,その意図を外部からも窺い得る特段の行動をしたものというべきであるから,原告は「隠ぺい又は仮装」,の行為によって,本件土地の譲渡に係る所得税を免れたものというべきである。 そうすると,原告は,通則法68条1項に定める「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していた」ものとして,同条項の規定に基づき める「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していた」ものとして,同条項の規定に基づき,重加算税が賦課されることとなる。 また,原告は,平成2年分の所得税の確定申告において,事業所得の金額の計算上,収入を過少に申告するとともに必要経費を過大に計上することにより事業所得の金額を過少に申告していたものであり,通則法68条1項に規定する事実を隠ぺいし,又は仮装したところに基づき事業所得を過少に申告-- していたとまではいえないものの,事業所得の金額が過少申告となったこと,について通則法65条4項に規定する正当な理由があるとは認められないから通則法65条1項の規定により過少申告加算税が賦課されることとなる。 (2)本件各賦課決定処分の適法性ア本件修正申告書の提出により,原告に対し賦課される加算税の額は次のa及びbのとおりとなる。 a過少申告加算税の額1万1000円本件修正申告書の提出により納付すべきこととなった税額のうち,隠ぺいし又は仮装されていない事実として認められる事業所得の申告もれの事実に基づく税額については,過少申告加算税が賦課されることとなるところ,隠ぺいし又は仮装されていない事実として認められる事業所得の申告もれの事実のみに基づいて修正申告書の提出があったものとした場合において,その申告に基づき通則法35条2項の規定により納付すべきこととなる税額(過少申告加算税の額の計算の基礎となる税額)を計算すると11万1800円(別表の④の金額)となり,本件修正申告書の提出により納付すべきこととなった税額2528万6500円(別表の①-③の金額)のうち11万1800円については,同法65条1項の規定により,その金額( 円(別表の④の金額)となり,本件修正申告書の提出により納付すべきこととなった税額2528万6500円(別表の①-③の金額)のうち11万1800円については,同法65条1項の規定により,その金額(ただし,同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の10の割合を乗じて計算した金額である1万1000円の過少申告加算税が賦課される。 b重加算税の額880万9500円本件修正申告書の提出により納付すべきこととなった税額のうち,aの過少申告加算税の額の計算の基礎となる税額11万1800円を控除した税額については,重加算税が賦課されることになるところ,重加算税の額は,本件修正申告書の提出により納付すべきこととなった税額2528万6500円(別表の①-③の金額)から過少申告加算税の額の計算の基礎とな-- る税額11万1800円(別表の④の金額)を控除した金額である2517万4700円(別表の⑤の金額,ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)に100分の35の割合を乗じて計算した金額である880万9500円となる。 イしたがって,a及びbの金額と同額の加算税を賦課決定した本件各賦課決定処分は適法である。 (3)加算税の賦課決定の期間制限違反のないことについて通則法70条5項は,偽りその他不正の行為によりその全部又は一部の税額を免れた国税に係る加算税の賦課決定はその納税義務の成立の日から7年を経過する日まですることができる旨規定しているところ,本件は同条項が適用される場合に当たるというべきである。 すなわち,本件においては,原告は,Cが原告の所得税をほ脱させることを認容した上で,Cにその具体的方法を委ね,その脱税報酬を含めてあるいはその全額がCの報酬に充てられても異存は るというべきである。 すなわち,本件においては,原告は,Cが原告の所得税をほ脱させることを認容した上で,Cにその具体的方法を委ね,その脱税報酬を含めてあるいはその全額がCの報酬に充てられても異存はないとの意思の下に,同人の要求に従って,合計1805万円を供与し,Cが本件土地の譲渡所得金額の記載のない原告の平成2年分の所得税の確定申告書を提出することにより本件土地の譲渡に係る所得税を免れたものであり,原告は,当初から所得を過少に申告することを意図した上で,その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものというべきである。そして,原告から平成2年分の所得税の確定申告の依頼を受けたCは,Dの協力の下,不正行為を行って原告の所得税を免れさせたものであるから,原告が「偽りその他不正の行為」によって本件土地の譲渡に係る税額を免れたことは明白である。 したがって,原告の平成2年分所得税の加算税の賦課決定は,加算税の納税義務成立の日である法定申告期限の経過の時(通則法15条2項15号)から7年を経過する日まですることができるから,それ以前になされた本件各賦課決定処分は適法である。 -- (原告の主張)(1)原告は,Cに対し,平成2年分の所得税の申告及び納付を委任するとともに,現金1800万円を預けたが,Cは,Dと結託して,共謀の上,原告の住所地を荻窪税務署の管轄する杉並区とする旨の偽造の転入届を作成し,Cの作成した原告の平成2年分の所得税の申告書を渋谷税務署から荻窪税務署に転送させ,これをDが税金申告書綴りから抜き取って廃棄することにより,原告の所得税申告を,原告が不知のうちに妨害し,原告から預かった1800万円を横領したものである。原告は,C及びDの不法行為に巻き込まれ,濡れ衣を着せられたものであって,原告には,脱税をする違法の意思 告の所得税申告を,原告が不知のうちに妨害し,原告から預かった1800万円を横領したものである。原告は,C及びDの不法行為に巻き込まれ,濡れ衣を着せられたものであって,原告には,脱税をする違法の意思や脱税のための積極的な行為はない。 したがって,原告が通則法70条5項に規定する「偽りその他不正の行為に,よりその全部又は一部の税額を免れた」事実はないから,同条4項に基づき納税義務の成立の日から5年を経過した平成8年3月16日以後においては,原告の平成2年分の所得税に係る加算税の賦課決定を行うことは許されない。 (2)そして,原告は,重加算税の課税要件である課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺい,仮装したりした事実はないから,この点からも,本件重加算税賦課決定処分は違法である。 また,申告が過少となったのは,前記のとおり,C及びDが原告の申告を妨害したためであって,そのことには,被告の行政処理や指導に的確性を欠くことに起因する点があったものであり,納税者のみにその責を帰することは酷であり,このような事情は,通則法65条4項に規定する「正当な理由」その他の真にやむを得ない事情がある場合に該当するというべきであるから,原告に対して過少申告加算税を課すことも許されないというべきである。 争点 したがって,本件の争点は,次の各点である。 (1)原告が「隠ぺい又は仮装」の行為によって,本件土地の譲渡に係る所,-- 得税を免れた事実があるか否か。 (争点1)(2)原告が所得金額を過少に申告したことについて,通則法65条4項に規定する正当な理由があるか否か。 (争点2)(3)原告が,通則法70条5項に規定する偽りその他不正の行為によって,税額を免れた事実があるか否か。 (争点3)第3当裁判所の判断 各項末尾掲記 する正当な理由があるか否か。 (争点2)(3)原告が,通則法70条5項に規定する偽りその他不正の行為によって,税額を免れた事実があるか否か。 (争点3)第3当裁判所の判断 各項末尾掲記の証拠によれば,以下の各事実が認められる。 (1)平成2年分の譲渡所得に係る所得税の脱税に係るCの供述Cは,東京地方検察庁検察官検事に対し,次のとおり供述した。 アCが原告と知り合ったのは,平成3年2月下旬ころのことであり,Fの紹介によるものであった。 Cは,Fと一緒に,原告の研究所を訪ね,原告と会い,原告から,本件土地の譲渡に係る所得税の確定申告について,納税額を正規の金額より安くしてほしいという意味の依頼を受けた。その際,C及びFが,原告から示された本件土地の購入関係,譲渡関係の書類や,原告から聞かされた購入,譲渡の内容などを基にして本件土地譲渡に係る税額を試算したところ,約2600万円の税金を納めなければならないことが分かったため,Cは,原告に対し「本当なら2600万円くらいの税金を払わなければいかんが,税,金分,手数料などすべて含めて1800万円で手続してあげますよ」と言っ。 た。 なお,Cとしては,本件脱税工作を行えば,結局,全く譲渡所得に係る所得税を納付しなくともすむことから,原告から預かった1800万円については,これを自己が取得するつもりであった。 -- これに対し,原告は,Cに「先生,申告の件ですが,1800万円でお願いします」などと言って,平成2年分の所得税の不正な申告を依頼した。 。 イ原告は,Cに対し,平成3年3月6日,同人の指示に従い,現金1800万円を支払った。このほかに,原告は,Cに対し,これとは別に5万円を交付しているところ,Cは,これをなぜ交付されたかについては思い出せなかったが,金額からみて,相 日,同人の指示に従い,現金1800万円を支払った。このほかに,原告は,Cに対し,これとは別に5万円を交付しているところ,Cは,これをなぜ交付されたかについては思い出せなかったが,金額からみて,相談料,書面の書き料といった名目で支払われたのではないかと思われた。 ウCは,原告のほか,4名の納税義務者から平成2年分の不動産の譲渡所得,の脱税を請け負い,そのうち,原告を含む4名から報酬を受け取り,かつCに関係する譲渡所得についても脱税を企図し,Dに対し,原告ほか6名の納税義務者に係る脱税協力行為を行うことを依頼することとした。 Dが,Cからの原告ら7名分の脱税に係る依頼を,前年までと同様,承諾したことから,Cは,各所轄の税務署に対し,原告ら7名が荻窪税務署管内に転居したとの虚偽の通知をするとともに,Dに対しては,平成3年3月から5月にかけて,順次,5回にわたり,脱税協力に対する謝礼として,合計850万円の金員を交付した。 (乙3,同4)(2)平成2年分の譲渡所得に係る所得税の脱税に係るDの供述Dは,東京地方検察庁検察官検事に対し,次のとおり供述した。 アDは,平成2年分の所得税に関し,Cからの依頼に応じて,原告を含む7名分の事績書を抜き取り,これを破棄しているが,原告に係る事績書の抜取り及び破棄の依頼を受けたのは,平成3年2月24日のことであった。 ,イCは,Dに対し,原告を含む7名分の脱税協力行為に対する報酬として合計850万円を,平成3年3月4日から同年5月8日にかけて,順次5回に分けて交付した。 (乙5ないし同7)-- (3)平成2年分の譲渡所得に係る所得税の脱税に係る原告の供述ア原告は,東京地方検察庁において,原告の所得税法違反被疑事件の被疑,者として取調べを受け,平成3年11月30日,担当の検察官検事が作 3)平成2年分の譲渡所得に係る所得税の脱税に係る原告の供述ア原告は,東京地方検察庁において,原告の所得税法違反被疑事件の被疑,者として取調べを受け,平成3年11月30日,担当の検察官検事が作成した次のとおりの内容の供述調書に,署名,指印をした。なお,原告は,同月13日から同月30日まで,身柄を拘束されることなく,約6,7回にわたる取,調べを受けたものであり,1日当たりの取調時間は,長いときで3,4時間短いときは2時間程度というものであった。 a原告は,本件土地を売却したことから,平成2年分の譲渡所得に係る所得税の確定申告について,これをどのようにすべきかを考えていたところ,原告の知り合いであったFからCを紹介され,βに所在する原告の研究所事務所でCと会った。 bこの際,Cは,原告に対し,概算の税額等につき,用紙に数額等をメモしながら説明し(以下,このメモを「本件メモ」という,本来納。)めるべき税額は2310万円であると説明した。その算定に際して,経費に加えられた紹介料356万円,草刈費用600万円については,実際に支払ったことがなかったにもかかわらず,税額の計算に加えられていた。 cそして,Cは「全部で1800万円でやってあげます」などと言って,,。 概算で算出した税額2310万円よりもさらに安い1800万円の金額で平成2年分の譲渡所得に係る所得税の納税が全て済むようにするとの趣旨の話をし,また「800万円くらい得をしますよ」といった話をした。 ,。 原告は,具体的にどのようにして税金を安くすることができるのかまでは分からなかったが,税金のプロである税理士だからこそ,何かうまい手を使って税金を安く済ませることができるのだと思った。しかも,もともと支払っていない虚偽の費用を計算に入れて税額を計算したうえ,その税額よ なかったが,税金のプロである税理士だからこそ,何かうまい手を使って税金を安く済ませることができるのだと思った。しかも,もともと支払っていない虚偽の費用を計算に入れて税額を計算したうえ,その税額よりもさらに800万円も安く済ませると言っていたことから,税務署に分からないように虚偽の費用を計算に盛り込むなどして虚偽の-- 申告を行い,不正に税金を安く済ませるのだということは,原告にも理解できた。 原告は,その際,不正に税金を免れたことが税務署に発覚した場合のことを考えて,Cに依頼することに躊躇し「考えさせて下さい」と,。 言って返答を留保したが,後日,Cに申告を全て任せようと決意し,電話でCに対して「申告の件をよろしくお願いします」などと言って,,。 申告をCに依頼した。 dそして,原告は,平成3年3月6日,Cから,前記の1800万円に加えて「確定申告の手数料として5万円払って下さい」と言われたことから,。 現金1805万円をCに支払った。 eその後,平成3年3月15日をすぎてしばらくたった後,原告は,無事に申告が済んだのかが心配になり,原告の妻に電話をさせて,Cに尋ねたところ,原告の妻は,Cから申告はきちんと済んでいると言われたとのことであった。 イ原告は,上記の取調期間中である平成3年11月21日に,原告の当時の住所地における東京国税局職員の事情聴取に対し,Cが,私にまかせてもらえれば1800万円に安くしてくれると話したことから,これに乗ってしまったものであり「Cに税金が安くなるともちかけられそれにのり不正な申,告をしたことは私の不徳の致すところで非常に申訳なく思っています」と述べた。 (乙8,同9)(4)本件メモの記載内容ア本件メモの最上部には「平成2年9月19日「売却◎130,000」との,」, ことは私の不徳の致すところで非常に申訳なく思っています」と述べた。 (乙8,同9)(4)本件メモの記載内容ア本件メモの最上部には「平成2年9月19日「売却◎130,000」との,」,記載がある。 また,そのすぐ下には「購入△69,000」との記載があるほか,購入に係る費用として「登記 「印紙100」等の記載があり,その合,」,-- 計「△2,470」との記載があり,さらに,売却に係る費用として「草刈, 「印紙100」などの記載があり,その合計として「△4,660」」,と記載されている。なお,その上段には「内紹介料356万・・・G有限,会社」と付記されている。 そして,以上の金額の合計として「76,130」との記載がされ,差引,額として「54,000」と記載されている。 ,イ上記の差引額の下には「地方税8%,国税40%」との記載があり,そ,の右には「48%」と記載され,その真下に「25,920 ,さらには「18,0」00」と記載されている。 ウそして,その記載の左側には「54000-780=4620「4620×1=23,」,/10」との記載があり「2310」の右には「正」を丸で囲った記載がある。 ,,「正」を丸で囲った部分からは矢印が伸びており,その矢印の先は,前記の「18,000」との記載を指している。 (乙8) 争点1及び3について(1)1記載の各証拠の内容に照らすと,原告は,Cに,平成2年分の所得税の納税申告を依頼すれば,正規の納税額に比べて少ない金額である1800万円で済ませることができると言われたことから,正規の納税額との差額については正確な金額を把握してはおらず,また,いかなる方法によるかについても理解してはいなかったものの,自己の納付すべき 1800万円で済ませることができると言われたことから,正規の納税額との差額については正確な金額を把握してはおらず,また,いかなる方法によるかについても理解してはいなかったものの,自己の納付すべき税額の一部について免れる意図で,Cに平成2年分の所得税の申告及び脱税工作を依頼したものと認めるのが相当である。 (2)これに対し,原告は,Cから本来ならば2300万円余かかるが,法律による節税で所得税が1800万円になると聞かされたことから,Cを信頼して申告を依頼し,現金1800万円を預け,税務代理報酬として5万円を支払ったものであって,原告には脱税の意図はなかったと主張し,これに沿う原告の本人-- の陳述書(甲20,同21)及び原告本人の供述等がある。 しかし,これは,前記の取調時における原告自身の供述とも全く反するものであるところ,①取調時における原告の供述には,特段,不合理な点も認められず,その供述の内容は,前記のC供述の内容ともおおむね符合するものであること,②原告自身の供述によっても,Cが示した1800万円という金額は,全くの概算であることが前提となったものであるところ,原告のCに対する依頼の内容が原告主張のとおりであるとすれば,申告期限後において,Cに対しては納税が済んだか否かの確認を原告の妻に電話で尋ねさせたのみで,それ以上の確認をしておらず,実際の納付税額について,1800万円で足りなかったか,あるいは,1800万円では多すぎたのではないかなどの点について,何らの注意を払ったことが認められないことは,不自然かつ不合理であるといわざるを得ないこと,③本件メモによれば,Cが原告に対して述べたとされる所得税額2310万円に係る「2310」の記載の右には「正」を丸で囲った記載が付記されているところ,これは,法律に従って算定し いわざるを得ないこと,③本件メモによれば,Cが原告に対して述べたとされる所得税額2310万円に係る「2310」の記載の右には「正」を丸で囲った記載が付記されているところ,これは,法律に従って算定した場合の納付すべき税額であることを示すために,記載されたものとみるのが自然であること,④原告は,東京地方検察庁における取調期間中に行われた,原告の居宅における東京国税局職員の事情聴取に対し「Cに税金が安くなるとも,ちかけられそれにのり不正な申告をしたことは原告の不徳の致すところである」として,原告自身が不正な申告に関与したことを認める旨答えていることなどの各点からして,法律による節税で所得税が1800万円になると聞かされたものであって,脱税をしようとしたものではない旨の原告の供述等は,これをたやすく信用することができない。 (3)原告は,東京地方検察庁における取調時の供述調書は,原告の供述を歪曲したものであり,原告が取調担当検事に対して訂正を求めても応じなかったものであると主張する。 しかし,当時,原告は,大学教授の地位にあったものであるところ(乙-- 8 ,原告に対する取調べは,約2週間余の期間に6,7回行われたもので,1)日当たりの取調時間も長いときで3,4時間程度というものであり,身柄を拘束された状態ではなかったことからすれば,原告の主張するように,過酷な取調べが行われたために,虚偽の内容の供述調書に署名,指印をさせられたものとは,容易に認め難く,他にこれを覆すに足る証拠は見出せない。 (4)以上のとおり,原告は,Cに,平成2年分の所得税の申告を委任する際に,同税の納付すべき税額の一部を免れるよう脱税工作を行うことを依頼したものと認められ,その結果,CがDに協力を依頼して,前記のとおりの脱税工作を敢行したものであると認め の所得税の申告を委任する際に,同税の納付すべき税額の一部を免れるよう脱税工作を行うことを依頼したものと認められ,その結果,CがDに協力を依頼して,前記のとおりの脱税工作を敢行したものであると認められる。 (5)そうであるとすれば,原告のこのような行為は,同人の平成2年度の所得税について,通則法68条1項所定の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の隠ぺい又は仮装に当たるいうべきであるから,本件重加算税賦課決定処分が課された限度においては重加算税の課税要件が具備しているというべきであり,かつ,かかる行為は,通則法70条5項に規定する偽りその他不正の行為により税額を免れた行為にも当たるというべきであるから,本件各賦課決定処分が処分の期間制限に違反してされたものともいえない。 争点2について,原告は,平成2年度の原告の所得金額が過少申告となったのは,C及びDが原告の申告を妨害するなどしたためであり,被告の行政処理や指導に的確性を欠いたためであるから,通則法65条4項に規定する「正当な理由」その他の真にやむを得ない事情がある場合に該当すると主張するが,隠ぺい仮装されていない原告の事業所得の申告もれについて,本件の証拠によって,正当な理由があると認めるに足る部分はないから,納付すべき税額から控除すべき金額があるとは認められない。 結論 したがって,本件各賦課決定処分に違法はないから,原告の本訴請求はいず-- れも理由がない。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官市村陽典裁判官阪本勝裁判官村松秀樹

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