平成13(行コ)97 審査決定取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成10年(行ウ)第72号)

裁判年月日・裁判所
平成13年12月26日 東京高等裁判所 租税
ファイル
hanrei-pdf-15457.txt

判決文本文6,562 文字)

主文 1 本件控訴に基づき原判決中主文第1項を次のとおり変更する。 (1) 控訴人が被控訴人Aに対し平成10年1月28日付けでした原判決別紙目録一1記載の土地に係る平成9年度固定資産課税台帳の登録価格についての審査申出に対する決定のうち、上記土地の価格が8421万9370円を超える部分の審査の申出を棄却した部分を取り消す。 (2) 同被控訴人のその余の請求を棄却する。 2 その余の本件控訴を棄却する。 3 訴訟費用のうち控訴人と被控訴人Aとの間に生じたものは第1、2審を通じてこれを10分し、その1を同被控訴人の、その余を控訴人の負担とし、被控訴人Bに対する控訴費用は全部控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求める裁判 1 控訴人(1) 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 (2) 被控訴人らの上記部分に係る請求を棄却する。 (3) 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人らの負担とする。 2 被控訴人ら本件控訴をいずれも棄却する。 第2 事案の概要次のとおり付け加えるほかは原判決「事実及び理由」中の「第二事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、不服申立てのない本件決定二及び同四に関する部分を除く。)。 1 控訴人の補充主張(1) 本件土地一における画地認定について評価基準等は、原則として土地課税台帳等に登録された一筆の土地を一画地とし、例外的に一筆の土地の一部分が他の部分と用途地区が相違していて原則どおりに評価をすれば著しい不均衡が生じ特に不適当と認められる場合に限って、現実の利用状況等により画地を認定すべきと定めているが、本件土地一はこの例外の場合に当たらない。 (2) 本件決定一の取消しの範囲について本件訴訟は、被控訴人A(納税者)が登録価格(土地課税台帳に登録された価格)は適正な を認定すべきと定めているが、本件土地一はこの例外の場合に当たらない。 (2) 本件決定一の取消しの範囲について本件訴訟は、被控訴人A(納税者)が登録価格(土地課税台帳に登録された価格)は適正な時価を上回るとして行った審査申出に対し控訴人(固定資産評価審査委員会)がした本件決定一(申出棄却の審査決定)の取消しを求めるものである。 控訴人は本件決定一において本件土地一の価格を9709万4170円と認定し、原判決はこれを8421万9370円であると判断したが、このよう場合裁判所は本件決定一のうち適正な時価を超えると判断した部分だけを取り消す判決(以下「一部取消判決」という。)をすれば足り、同決定の全部を取り消す判決(以下「全部取消判決」という。)をする必要はない。行政事件訴訟法33条は一部取消判決を否定するものではなく、行政庁は一部取消判決の確定後にその判断内容を尊重した処分を行うことが許される(最高裁判所昭和50年11月28日判決・民集29巻10号1797頁参照)のであり、東京都知事は同条1項所定の関係行政庁であって取消判決があれば同旨の審査決定があった場合と同様の措置を採ることが義務付けられているから、控訴人は改めて審査申出に対する決定をする必要はない。このような場合に全部取消判決をし判決理由に従って審査申出に対する評定のやり直しを命ずると、事件が裁判所と同委員会との間を往復することになって迂遠であり、判決理由中の認定額に不服のある納税者は再度の審査決定があるまで不服の機会が引き延ばされ、紛争が永続化されることになるのであって、反復される固定資産税評価に対する不服申立方法として機能的でなく、安易に全部取消判決がされると是正すべき評定方法が一義的に明らかにならず紛争の抜本的解決を図ることができなくなることもある。なお、一部取消判決に基 資産税評価に対する不服申立方法として機能的でなく、安易に全部取消判決がされると是正すべき評定方法が一義的に明らかにならず紛争の抜本的解決を図ることができなくなることもある。なお、一部取消判決に基づき東京都知事が価格を修正した場合にこれに対する審査申出をすることはできない。 (3) 本件土地三における画地認定について評価基準等は、二筆以上の土地が一体として利用されている場合につき当該画地全体を一画地として評価することとしているが、これは各筆が単独で利用される場合に比較して面積、形状及び接道状況等の点で使用・収益価値が増大し、各筆の個別利用を前提とした評価額の合計より客観的価値が上回るからである。本件土地三は隣接する二筆の土地からのみ出入りが可能でこれと一体として利用されることにより無道路地ではなくなり、かつ、資材置場として隣接地と一体的に利用されることにより隣接地上にある建物の維持又は効用を果たすために必要な土地となっているのであるから、本件土地三はその形状及び利用状況等からみて隣接地と合わせて一画地と認定すべきである。固定資産評価は短期間に大量の土地について行われるものであるから、控訴人に具体的な占有権原の内容を逐一確認すべき義務を課すことは不当であり、本件土地三の賃貸借契約が一時使用を目的とするか否かは重視されるべきではない。 2 被控訴人らの反論控訴人の主張はいずれも争う。 (1) 本件土地一における画地認定について評価基準等は用途地区の相違を前提とするものではなく、画地認定を実態としての利用区分に応じて行うべきとしているのであって、これを東京都知事の自由裁量としているものでもない。東京都知事は本件土地一を調査して二画地と認定したが、現状をみればこれが五画地であることを容易に認識し得たはずであり、大量処理を理由として調査 て、これを東京都知事の自由裁量としているものでもない。東京都知事は本件土地一を調査して二画地と認定したが、現状をみればこれが五画地であることを容易に認識し得たはずであり、大量処理を理由として調査確認の怠慢を容認することは許されない。 (2) 本件決定一の取消しの範囲について具体的土地に対する評価の決定は当該土地の基準年度における適正な評価を目指して行われる一個の処分行為であるから、それが違法である場合は全部取消判決がされれば足りる。原判決において本件決定一は画地の認定自体に誤りがあって違法とされているのであるから、控訴人は単なる数値の当てはめだけではなく改めて不整形地の補正の必要性などを含めて検討しなければならず、このことは控訴人内部の事務手続が煩瑣になるかどうかとは無関係である。また、一部取消判決に基づき東京都知事が価格等を修正した場合であっても納税者は控訴人に対し審査申出ができるとされており(固定資産価格等修正通知書における教示事項の記載)、一部取消判決によって紛争が終了するものではない。 (3) 本件土地三における一画地認定について本件土地三は一時使用を目的とする賃貸借契約に基づいて使用されており、評価基準等は所有者が異なる隣接地と一体として利用されている土地につき隣接地と同時に処分しなければ得られないような限定的な価格をもって通常の処分価格としているものではない。 第3 証拠関係本件訴訟記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。 第4 当裁判所の判断次のとおり付け加えるほかは原判決「事実及び理由」中の「第三当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、不服申立てのない本件決定二及び同四に関する部分を除く。)。 1 原判決書76頁3行目末尾の次に行を改めて次のとおり加え、同6行目 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、不服申立てのない本件決定二及び同四に関する部分を除く。)。 1 原判決書76頁3行目末尾の次に行を改めて次のとおり加え、同6行目の「生じる」の次に「(本件土地一の価格は、前者によると8421万9370円(土地⑪ないし⑮の価格の合計額。原判決「事実及び理由」第三の二4(一)ないし(七)))となるが、後者によると9709万4170円(本件土地Ⅰと同Ⅱの価格の合計額。同第二の三1)であって著しく異なる。)」を加える。 「 控訴人は本件土地一を非課税地部分を除き更に土地⑪ないし⑮の五区画に分割するには各区画間で用途地区が相違していることが必要であると主張する。しかし、評価基準等において一筆の宅地を分割して評価するために用途地区が相違していることを要求する規定は存在しない上、前記のような評価基準の趣旨からすれば一筆一画地の原則を機械的に適用して評価することが特に不適当と認められる場合には実際の利用区分ごとに一筆の土地の一部分を一画地として評価するのが必要かつ相当であることになる。取扱要領第九節第3が「普通商業地区等で、宅地の形状・利用状況等からみて、一筆一画地で評価することが特に不適当と認められるものについては、それぞれの利用区分をもって一面地とすることができる。」等と定めているのもこの趣旨に基づくもので、「普通商業地区等」とされているのは特に不適当と認められる事態が生ずる場合を例示するにすぎないと解されるから、この規定をもって用途地区が相違する場合に限って一筆の土地の一部分を一画地として評価することが許されるとする根拠とすることはできない。控訴人の主張は採用できない。」 2 同97頁1行目冒頭から101頁3行目末尾までを次のとおり改める。 「(八) 前記のとおり登録価格の評定が して評価することが許されるとする根拠とすることはできない。控訴人の主張は採用できない。」 2 同97頁1行目冒頭から101頁3行目末尾までを次のとおり改める。 「(八) 前記のとおり登録価格の評定が評価基準に適合しない場合にはその登録価格の決定は法に反するものというべきである。 ところで、登録価格を不服とする審査申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消訴訟において、取消事由として主張された違法があるとして審査決定を取り消すべき場合、その判決は、一般の行政処分の取消判決の場合と同様、審査決定の全部を取り消すのが原則である。その結果、同委員会は判決の趣旨に従い改めて審査申出に対する決定をし(行政事件訴訟法33条2項)、これにより原処分は是正されることになる(法432条12項、435条の適用を受ける場合である。)。 もっとも、この訴訟についてはいわゆる裁決主義が採られており(法432条1項、434条)、原告は審査決定固有の瑕疵だけでなく原処分である登録価格の決定自体の違法をも主張することができるから、登録価格が適正な価格を超えていることを理由に登録価格の決定が違法とされこれを相当とした審査決定が取り消されることがある。この場合裁判所が適正な価格として具体的金額を認定し登録価格がこれを超えることを理由にその決定を違法とするときは、その超える部分についてのみ審査決定を取り消すいわゆる一部取消判決をするのが相当であると考えられる。一般の行政処分の多くが数量的に可分な一部を特定して違法と観念する余地がないのに対し、登録価格の決定については、適正な価格を超える部分についてのみ違法と評価することが可能であり、取消しの範囲は一義的に明白である上、決定を全部取り消すべきものとすると、同委員会としては改めて審査することになるが、判決の趣旨に従わ な価格を超える部分についてのみ違法と評価することが可能であり、取消しの範囲は一義的に明白である上、決定を全部取り消すべきものとすると、同委員会としては改めて審査することになるが、判決の趣旨に従わなければならないことからして判決において適正な価格として認定された金額をもって登録価格とするしかなく、改めて審査申出について審査させる実益がなく、しかも取消訴訟の原告である納税者に重ねて同じ手続に服することを強いるとともに紛争の司法的解決を遅らせることになって相当でないと考えられるからである。そしてこのような一部取消判決も、その拘束力は関係行政庁である市町村長に及ぶのであるから(行政事件訴訟法33条1項)、法が432条、434条とは別に一部取消判決があった場合の手続に関する規定を置いていないことをもって上記判断を左右するものとはいえない。 なお、登録価格の決定が違法とされる場合でも、客観的に適正とされる価格を認定し判断するためには訴訟手続内の資料では足りずそのため裁判所として具体的な金額を認定判断することができないときは、同委員会に改めて判決の趣旨に従いこれについての審理をさせるのが相当であると考えられる。このことは、裁判所と同委員会の機能の差異からする要請でもあるといえる。この場合には原則どおり同委員会の決定を全体として取り消すことになる。 そうすると、被控訴人Aの審査申出を棄却した本件決定一については前記本件土地一の適正な時価8421万9370円を超える部分を違法として取り消すべきである。 被控訴人らは本件決定一に対する取消判決がされた場合は同委員会は改めて不整形地の補正の必要性などを含めて検討しなければならない等と主張するが、被控訴人Aは本件決定一の取消訴訟において不整形地の補正の必要性があること等も主張しているところ、前記のように 委員会は改めて不整形地の補正の必要性などを含めて検討しなければならない等と主張するが、被控訴人Aは本件決定一の取消訴訟において不整形地の補正の必要性があること等も主張しているところ、前記のようにそれらの主張は理由がないのであるからその点についての検討を加えるために同委員会の決定を介在させる必要はなく(行政事件訴訟法33条2項参照)、また、確定した一部取消判決に基づき東京都知事が登録価格を修正した場合にこれに対し同被控訴人が本件訴訟におけると同様の主張をして改めて審査申出ができるとする必要があるとも解されない(甲63の2、乙33、34及び弁論の全趣旨によると、一部取消判決が確定し東京都知事がこれに基づいて登録価格の修正をした場合につき納税者に対する固定資産価格等修正通知書には「この修正した価格に不服がある場合は固定資産評価審査委員会に審査申出ができる。」旨の教示事項が記載されているが、この記載の妥当性には疑問がある。)から、上記に反する被控訴人らの主張は採用することができない。 3 同114頁12行目末尾の次に「このことは本件土地三への出入りが隣接する二筆の土地からだけ可能であること等によって左右されるものではないし、控訴人及び東京都知事は本件土地三が隣接する二筆と所有者を異にすることを認識していた上、高栄建設株式会社の本件土地三に対する具体的な占有権原及びその内容を確認することにさほどの困難があったとも考えられないから、登録価格の評定が大量の土地につき人的及び時間的制約の下で行われなければならないといった事情により影響を受けるものではなく、これに反する控訴人の主張は失当である。」を、同115頁7行目末尾の次に「そして本件土地三についてはこれを独立した一画地とした上で評価基準等に基づいて適正な時価を算定しなければならないが、本件全証 これに反する控訴人の主張は失当である。」を、同115頁7行目末尾の次に「そして本件土地三についてはこれを独立した一画地とした上で評価基準等に基づいて適正な時価を算定しなければならないが、本件全証拠によってもこれを具体的に算定することはできない。この点については控訴人に上記趣旨に従い改めて審査させるのが相当であるから、本件決定三は全部取り消すべきである。」をそれぞれ加える。 第5 結論よって、本件控訴に基づき本件決定一につき上記と異なる原判決を変更し、その余の本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法67条、61条、64条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第17民事部裁判長裁判官新村正人裁判官藤村啓裁判官笠井勝彦

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る