平成17(ネ)10061

裁判年月日・裁判所
平成17年6月30日 知的財産高等裁判所 4部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 平成15(ワ)24414
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平成17年(ネ)第10061号不正競争防止法に基づく差止請求控訴事件平成17年5月12日口頭弁論終結(原審・東京地方裁判所平成15年(ワ)第24414号,平成16年12月10日判決)判決控訴人株式会社シガドライセンター訴訟代理人弁護士松江康司,須賀一晴被控訴人株式会社ママショップ加納訴訟代理人弁護士船橋茂紀 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴人の求めた裁判 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,商品(控訴人の製造又は販売に係る商品を除く。)を販売,譲渡又は貸与するに際し,「スーパーフレックス」の名称を使用してはならない。 第2 事案の概要 1 手続の経過(1) 控訴人は,原審において,被控訴人が,控訴人の販売するベッドマット(以下「控訴人商品」という。)の商品等表示として需要者の間に広く認識されている「スーパーフレックス」の表示を使用して,控訴人商品とは別個のベッドマット(以下「被控訴人商品」という。)を販売,貸与等し,これにより,控訴人商品と混同を生じさせたと主張して,不正競争防止法3条,2条1項1号に基づき,被控訴人に対し,商品(控訴人商品を除く。)の販売等に際して「スーパーフレックス」の名称を使用することの差止めを求めた。 (2) 原審は,「スーパーフレックス」の名称が控訴人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているとは認められず,また,被控訴人が被控訴人製品を販売するに際して「スーパーフレックス」の表示を使用していたとも認められないと判示して,控訴人の差止請求を棄却すべきものとした。 (3) 控訴人は,原判決を不服として控訴した。 2 前提となる事実,争点等前提となる事実,争点及び争点に 示を使用していたとも認められないと判示して,控訴人の差止請求を棄却すべきものとした。 (3) 控訴人は,原判決を不服として控訴した。 2 前提となる事実,争点等前提となる事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の「2 前提となる事実」及び「3 争点」並びに「第3 争点に関する当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 当審における当事者の主張(1) 控訴人ア争点1(「スーパーフレックス」が控訴人の商品等表示として周知性を有するか)について本件製品は,もともとその需要者が長期入院患者をかかえた病院,老人福祉施設,老人介護施設などに限られているから,一般的にテレビコマーシャルや新聞広告などで頻繁に宣伝広告をするものではない。しかし,褥瘡学会など多数の医療機関や介護施設などにおいては,防菌の問題を解決することが切実な要請であったから,控訴人製品のような褥瘡防止効果の高いベッドは,それらの施設に高く注目され,だからこそ,控訴人は,これらの施設に対して数々の展示会を開催し,関東圏だけでも,200件の病院に控訴人製品を納入しているのであって,控訴人製品は,このような需要者から高い評価を得ているのである。被控訴人は,控訴人の販売特約店として上記事実を知り,これを利用しない手はないと考え,まさに控訴人製品の高い評価にただ乗りして被控訴人製品を控訴人の販売先に秘密裡に売りこもうと考えたのである。 「周知性」は,ただ乗りの誘因となったか否かという観点からも検討されるべきであるところ,「スーパーフレックス」の名称を冠した控訴人製品は,需要者の間にその性能,効能の優秀性が認識され,それでなければ買い入れないという強い信用を勝ち得ていたものであって,上記のように,被控訴人が ところ,「スーパーフレックス」の名称を冠した控訴人製品は,需要者の間にその性能,効能の優秀性が認識され,それでなければ買い入れないという強い信用を勝ち得ていたものであって,上記のように,被控訴人が,控訴人製品の高い評価にただ乗りしようと考えたことからすれば,控訴人製品は,上記のようなマットを必要とする需要者の間に広く認識されていると十分に認められる。 イ争点2(被控訴人が被控訴人製品を貸与等する際に「スーパーフレックス」の表示を使用した事実の有無)について(ア) 被控訴人は,被控訴人製品の商品名を「リリーフケア」としながら,パンフレットのその他の諸要素である掲載写真,実験データ,グラフ,イメージ写真などについて,控訴人のパンフレットに掲載されたものと同一のものをそのまま使用し,商品名を除いて,控訴人のパンフレットとほぼ同一のものを作成した。被控訴人が,パンフレットに「リリーフケア」の名称を表示したのは,単に表面を取り繕っているだけであり,被控訴人製品を控訴人製品と同一のものとして販売したいという意図が明らかにうかがえるから,パンフレットの表示が異なるだけの理由で,「スーパーフレックス」の表示を使用していないというのは,あまりに短絡的である。 (イ) 「使用」は,商品名の表示が異なるというだけでなく,被控訴人の行動全般を不正競争防止法の目的から総合的に評価して判断されるべきであるところ,被控訴人は,被控訴人製品を販売等するに当たり,従前納品していた控訴人製品と異なる旨の明確な説明をしていないのであって,このことは,被控訴人製品が控訴人製品と同一又は密接な関連があることを顧客に印象づけ,誤認混同を生じさせて,被控訴人製品を売り込もうとしたものであり,このような誤認行動を生じさせる行為は,「スーパーフレックス」の表示を使用する行為に 品と同一又は密接な関連があることを顧客に印象づけ,誤認混同を生じさせて,被控訴人製品を売り込もうとしたものであり,このような誤認行動を生じさせる行為は,「スーパーフレックス」の表示を使用する行為に当たるものである。 (ウ) 原判決は,Mの陳述書(甲14,24)及びNの陳述書(甲20)について,「両者の内容は食い違っており(・・・),それぞれ,裏付けとなる客観的な証拠もなく,信用することができない。」と判断したが,これらの陳述書においては,被控訴人に在籍していたM及びNが,被控訴人がいかにアンフェアなやり方で「リリーフケア」を販売したかという実態に着目すべきである。 (2) 被控訴人ア争点1(「スーパーフレックス」が控訴人の商品等表示として周知性を有するか)に対してベッドマットには,イェルベン社製のもの,ボディドクター社製のもの,富士メディカル社製のもの,DSR社製のもの,中島化成社製のものなど多数あり,その中で,控訴人製品が高い評価を得ているという事実はない。 「周知性」は,ただ乗りの誘因となったか否かという観点でなく,不正競争防止法による保護に値するか否かという観点から規定されているのであるし,「スーパーフレックス」の表示は,需要者の間に広く認識されていなかったから,そもそもただ乗りの誘因とはならなかったものである。 イ争点2(被控訴人が被控訴人製品を貸与等する際に「スーパーフレックス」の表示を使用した事実の有無)に対して被控訴人が「スーパーフレックス」の表示にただ乗りしようとするのであれば,被控訴人製品やそのパンフレットにこれを使用するのが常識的であると考えられるから,被控訴人製品の商品名を「リリーフケア」とし,パンフレットに「リリーフケア」を表示しているということは,被控訴人が「スーパーフレックス」の表示にただ これを使用するのが常識的であると考えられるから,被控訴人製品の商品名を「リリーフケア」とし,パンフレットに「リリーフケア」を表示しているということは,被控訴人が「スーパーフレックス」の表示にただ乗りしていないことを端的に物語っている。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は,2において,当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」の「第4 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから(ただし,原判決10頁7行目の「17,19」を「17ないし19」に改める。),これを引用する。 2 当審における控訴人の主張について(1) 争点1(「スーパーフレックス」が控訴人の商品等表示として周知性を有するか)についてア確かに,上記引用に係る原判決の認定判示によれば,控訴人は,平成11年7月から平成15年までの間に,看護フェアや国際モダンホスピタルショウ,日本褥瘡学会等で,「スーパーフレックス」の表示を掲示して,控訴人製品の展示会を開催してきており,また,関東圏だけでも,約200施設に控訴人製品を納入しているものである。しかしながら,原判決が上記認定判示で指摘するように,控訴人製品のようなマットレスは,耐久年数が比較的長いことから,取引は数年に1度程度であると推認され,また,使用期間中もシーツに覆われており,関東圏において200件の病院に納入実績があるとしても,「スーパーフレックス」の表示が使用者等の目に触れることは少ないものと認められることなどの事情にかんがみれば,「スーパーフレックス」が,控訴人の商品等表示として需要者の間で広く認識されているとは認めることができない。 イ控訴人は,被控訴人が,控訴人製品の高い評価にただ乗りして被控訴人製品を控訴人の販売先 スーパーフレックス」が,控訴人の商品等表示として需要者の間で広く認識されているとは認めることができない。 イ控訴人は,被控訴人が,控訴人製品の高い評価にただ乗りして被控訴人製品を控訴人の販売先に秘密裡に売り込もうと考えたものであって,控訴人製品は,このようにただ乗りの誘因となったのであるから,マットを必要とする需要者の間に広く認識されていると認められると主張するが,被控訴人は,後記(2)に判示するように,被控訴人製品を貸与等する際に「スーパーフレックス」の表示を使用したものではなく,被控訴人が「スーパーフレックス」との控訴人の商品等表示にただ乗りしようとしたというものではないから,控訴人の上記主張は,その前提を欠くものである。 (2) 争点2(被控訴人が被控訴人製品を貸与等する際に「スーパーフレックス」の表示を使用した事実の有無)についてア甲2,17,18によれば,被控訴人は,被控訴人製品のパンフレット(甲17)において,文言,写真,実験データ,グラフ及びイメージ写真等は,控訴人製品のパンフレット(甲2,18)に掲載されたものと同一又はほぼ同一のものをそのまま掲載したものの,商品名としては「リリーフケア」と記載し,「スーパーフレックス」とは記載しなかったことが認められるから,被控訴人製品のパンフレットに接した需要者が,その記載から「スーパーフレックス」を連想するとは,通常考え難い。そうであれば,被控訴人製品のパンフレットに「スーパーフレックス」の表示を使用したということはできない。 控訴人は,被控訴人がパンフレットに「リリーフケア」の名称を表示したのは,単に表面を取り繕っているだけであって,被控訴人製品を控訴人製品と同一のものとして販売したいという意図が明らかにうかがえるから,パンフレットの表示が異なるだけの理由で,「スー の名称を表示したのは,単に表面を取り繕っているだけであって,被控訴人製品を控訴人製品と同一のものとして販売したいという意図が明らかにうかがえるから,パンフレットの表示が異なるだけの理由で,「スーパーフレックス」の表示を使用していないというのは,あまりに短絡的であると主張するが,仮に被控訴人製品を控訴人製品と同一のものとして販売したいという内心的な意図があったとしても,その発現された外観の態様を問わず,これをもって,被控訴人製品のパンフレットに,「スーパーフレックス」の表示を使用したということになるわけではないことは明らかであり,被控訴人製品のパンフレットには,商品名として「リリーフケア」と記載し,「スーパーフレックス」と記載していない以上,被控訴人製品のパンフレットに「スーパーフレックス」の表示を使用したということはできない。 イ控訴人は,被控訴人は,被控訴人製品を販売等するに当たり,従前納品していた控訴人製品と異なる旨の明確な説明をしていないのであって,このことは,被控訴人製品が控訴人製品と同一又は密接な関連があることを顧客に印象づけ,誤認混同を生じさせて,被控訴人製品を売り込もうとしたものであり,「スーパーフレックス」の表示を使用する行為に当たると主張する。 しかし,被控訴人が被控訴人製品を販売等するに当たり控訴人製品と異なる旨の明確な説明をしていなかったとしても,このことから,直ちに,被控訴人が「スーパーフレックス」の表示を使用したということになるわけではない。また,仮に被控訴人製品が控訴人製品と同一又は密接な関連があることを顧客に印象づけ,誤認混同を生じさせて,被控訴人製品を売り込もうとしたとしても,その際に「スーパーフレックス」の表示を使用していないのであれば,不正競争防止法2条1項1号の「使用」行為には当たらないとこ 印象づけ,誤認混同を生じさせて,被控訴人製品を売り込もうとしたとしても,その際に「スーパーフレックス」の表示を使用していないのであれば,不正競争防止法2条1項1号の「使用」行為には当たらないところ,本件においては,被控訴人が被控訴人製品を販売等するに当たり「スーパーフレックス」の表示を使用したとの事実を認めるに足りる証拠はないのである(なお,控訴人は,Pの苦情書(甲16の1)が如実に被控訴人の営業形態を示していると主張するが,上記苦情書は,内容が簡易かつ抽象的であって,これをもって,被控訴人が被控訴人製品を販売等するに当たり「スーパーフレックス」の表示を使用したと認めることはできない。)。 ウまた,控訴人は,Mの陳述書(甲14,24)及びNの陳述書(甲20)においては,被控訴人に在籍していたM及びNが,被控訴人がいかにアンフェアなやり方で「リリーフケア」を販売したかという実態に着目すべきであると主張する。 しかし,被控訴人がアンフェアなやり方で「リリーフケア」を販売したとしても,このことが,「スーパーフレックス」の表示を使用したことを意味するわけではない。しかも,上記陳述書は,「シガドライマットの実験データや製品カタログ等多数の資料を用いて,何ら機能のない擬い品が如何にも機能があるような説明をして,医療関係者を信じ込ませて擬い品を販売したり貸与したのです。」,「擬い品は,シガドライマットレスと寸法も色彩も質感も全く同じで,一見しただけでは判別することは困難なほど良く似せて作られていました。製品に貼付された品質表示のシールも全く同じものにママショップが付けた商品名が印刷され使用するほどの手の込みようです。」(甲14),「Qは,・・「最初に納品された「スーパーフレックス」と同じ物が,その後も継続して入っているものと思っていました。途 マショップが付けた商品名が印刷され使用するほどの手の込みようです。」(甲14),「Qは,・・「最初に納品された「スーパーフレックス」と同じ物が,その後も継続して入っているものと思っていました。途中でどのようにして違う物に入れ替わって入っていたのか分かりません。」・・という歯切れの悪いお答えでした。」,「途中からスーパーフレックスに似たものと,擦り替った経緯についてお聴きしましたのでご報告します。「元々スーパーフレックスで契約していたが,いつの間にか違うものと擦り替っていた。・・」」(甲24),「販売の方法は「スーパーフレックス」と同一製品であると説明せよとのことでした。色が違うだけで中身は全く同一のものだと言って販売するようにと言われました。」,「会社では「スーパーフレックス」の注文を㈱シガドライへせず,商品の一切を自社製の「リリーフケア」にしてこれを販売先へ納付していったのです。」(甲20),などという内容であって,商品名の表示としては「リリーフケア」の表示を使用していたというものであるから,これらの陳述書によっては,被控訴人が被控訴人製品を販売等するに当たり「スーパーフレックス」の表示を使用したと認めることはできない。 第4 結論以上のとおりであって,「スーパーフレックス」の表示が控訴人の商品等表示として需要者の間で広く認識されているとは認められず,被控訴人が被控訴人製品を販売するに際して「スーパーフレックス」の表示を使用していたとも認められないから,控訴人の請求は理由がない。 したがって,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,棄却されるべきである。 知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官塚 本件控訴は理由がないから,棄却されるべきである。 知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官塚原朋一裁判官塩月秀平裁判官髙野輝久

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