平成23(行ウ)764 障害厚生年金支給停止処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年5月27日 東京地方裁判所 その他
ファイル
hanrei-pdf-86446.txt

判決文本文38,138 文字)

平成28年5月27日判決言渡平成23年(行ウ)第764号障害厚生年金支給停止処分取消請求事件 主文 1 本件訴えのうち,金員の支払の義務付けを求める部分を却下する。 2 処分行政庁が平成22年7月15日付けで原告に対してした厚生年金保険法に基づく障害厚生年金の支給を停止する旨の処分を取り消す。 3 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第2項と同旨 2 被告は,原告に対し,金319万3101円及びこれに対する平成25年7月6日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え(以下,この請求に係る訴えを「本件義務付けの訴え」という。)。 第2 事案の概要本件は,右脛腓骨開放性粉砕骨折の負傷による障害につき厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)47条所定の障害等級(以下「障害等級」という。)3級(厚生年金保険法施行令(以下「厚年令」という。)別表第一)に該当する旨の認定を受け,平成19年12月以降厚年法による障害厚生年金(以下「障害厚生年金」という。)の支給を受けていた原告が,厚生労働大臣から原告の障害の状態が障害等級3級に該当しなくなったとして,平成22年7月15日付けで,同年6月から障害厚生年金の支給を停止する処分(以下「本件処分」という。)を受けたところ,原告の障害の状態は障害等級3級に該当するものであるから本件処分は違法であるとしてその取消しを求め,また,本件処分が取り消されたとして支払われるべき金員の支払の義務付けを求める事案で ある。 1 関係法令の定め⑴ 障害厚生年金の受給権者についてア厚年法47条1項本文は,障害厚生年金は,疾病にかかり,又は負傷し,その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以 事案で ある。 1 関係法令の定め⑴ 障害厚生年金の受給権者についてア厚年法47条1項本文は,障害厚生年金は,疾病にかかり,又は負傷し,その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であった者が,当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。以下同じ。)があるときは,その日とする。)において,その傷病により同条2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に,その障害の程度に応じて,その者に支給する旨を定め,同条2項は,障害等級は,障害の程度に応じて重度のものから1級,2級及び3級とし,各級の障害の状態は,政令で定めるものとしている。 イ厚年令3条の8は,厚年法47条2項に規定する障害等級の各級の障害の状態は,1級及び2級についてはそれぞれ国民年金法施行令別表に定める1級及び2級の障害の状態とし,3級については厚年令別表第一に定めるとおりとする旨を定めている。 ウ厚年令別表第一には,障害等級3級に該当する程度の障害の状態として,以下のとおりの定めがある。 (ア) 一下肢の三大関節のうち,二関節の用を廃したもの(6号)(イ) 長管状骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの(7号)(ウ) 身体の機能に,労働が著しい制限を受けるか,又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(12号)(エ) 精神又は神経系統に,労働が著しい制限を受けるか,又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(13号) (オ) 傷病が治らないで,身体の機能又は精神若しくは神経系 (エ) 精神又は神経系統に,労働が著しい制限を受けるか,又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(13号) (オ) 傷病が治らないで,身体の機能又は精神若しくは神経系統に,労働が制限を受けるか,又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって,厚生労働大臣が定めるもの(14号)(なお,上記「厚生労働大臣が定めるもの」については,昭和61年3月29日厚生省告示第66号「厚生年金保険法施行令別表第一の第14号の規定による障害厚生年金を支給すべき程度の障害の状態を定める件」により定められているが,下肢に係る障害については「結核性疾患及びけい肺以外の傷病」に該当する。)。 ⑵ 障害厚生年金の支給停止について厚年法54条2項本文は,障害厚生年金は,受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは,その障害の状態に該当しない間,その支給を停止する旨を定め,同法36条2項は,年金は,その支給を停止すべき事由が生じたときは,その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は,支給しない旨を定める。 ⑶ 障害の現状に関する届出について厚生年金保険法施行規則(以下「厚年法施行規則」という。)51条の4第1項は,障害厚生年金の受給権者であって,障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは,指定日までに,指定日前1月以内に作成された障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を提出しなければならない旨を定める。 2 前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。ただし,⑵スの事実は当裁判所に顕著である。)⑴ 行政通達の定め厚生労働大臣による厚年令別表第一に規定する障害の程度の認定は,「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の改正について に争いがない。ただし,⑵スの事実は当裁判所に顕著である。)⑴ 行政通達の定め厚生労働大臣による厚年令別表第一に規定する障害の程度の認定は,「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の改正について」(平成14年3月15日庁保発第12号社会保険庁運営部長通知)により定められた国民年金・厚 生年金保険障害認定基準(以下「障害認定基準」という。)によって行われている。障害認定基準のうち,本件に関係する部分の概要は,以下のとおりである(乙11)。 ア傷病が治った状態「傷病が治った状態」とは,器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合は,医学的に傷病が治ったとき,又は,その症状が安定し,長期にわたってその疾病の固定性が認められ,医療効果が期待し得ない状態で,かつ,残存する病状が自然経過により到達すると認められる最終の状態(症状が固定)に達したときをいう。 イ認定の方法障害の程度の認定は,診断書及びX線フィルム等の添付資料により行う。 ただし,提出された診断書等のみでは認定が困難な場合又は傷病名と現症あるいは日常生活等との間に医学的知識を超えた不一致の点があり整合性を欠く場合には,再診断を求め又は療養の経過,日常生活状況等の調査,検診,その他所要の調査等を実施するなどして,具体的かつ客観的な情報を収集した上で,認定を行う。 また,原則として,本人の申立て等及び記憶に基づく受診証明のみでは判断せず,必ず,その裏付けの資料を収集する。 ウ障害等級3級の障害の程度障害等級3級の障害の状態の基本は,労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。 また,「傷病が治らない」ものにあっては,労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。(「傷病が治らないも 働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。 また,「傷病が治らない」ものにあっては,労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。(「傷病が治らないもの」については,障害認定基準第3の第1章に定める障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても障害等級3級に該当する。) エ下肢の障害についての認定基準(ア) 「一下肢の三大関節のうち,二関節の用を廃したもの」(厚年令別表第一の6号)について「関節の用を廃したもの」とは,関節の自動可動域が健側の自動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば,常時固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいう。 (イ) 「長管状骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」(厚年令別表第一の7号)について「長管状骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」とは,以下のいずれかに該当するものをいう(偽関節は,骨幹部又は骨幹端部に限る。)。 a 大腿骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すものb 脛骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すものオ肢体の機能の障害の認定基準「身体の機能に,労働が著しい制限を受けるか,又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」(厚年令別表第一の12号)について下肢の機能の障害は,原則として,障害認定基準の「下肢の障害」に示した認定要領に基づいて認定を行うが,脳卒中等の脳の器質障害,脊髄損傷等の脊髄の器質障害,多発性関節リウマチ,進行性筋ジストロフィー等の多発性障害の場合には,関節個々の機能による認定によらず,関節可動域,筋力,日常生活動作等の身体機能を総合的に認定する。 カ神経系統の障害の認定基準「精神又は神経系統 行性筋ジストロフィー等の多発性障害の場合には,関節個々の機能による認定によらず,関節可動域,筋力,日常生活動作等の身体機能を総合的に認定する。 カ神経系統の障害の認定基準「精神又は神経系統に,労働が著しい制限を受けるか,又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」(厚年令別表第一の13号)について 疼痛は,原則として認定の対象とならないが,四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛,脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛,根性疼痛,悪性新生物に随伴する疼痛等の場合は,疼痛発作の頻度,強さ,持続時間,疼痛の原因となる他覚的所見等により,次のように取り扱う。 (ア) 軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは,障害等級3級と認定する。 (イ) 一般的な労働能力は残存しているが,疼痛により時には労働に従事することができなくなり,就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるものは,障害手当金に該当するものと認定する。 ⑵ 本件訴訟に至る経緯ア原告は,平成18年6月3日,建設工事現場において,鳶工として作業中に転落したことにより,右足首を強打し,右脛腓骨開放性粉砕骨折の傷害(以下「本件傷病」という。)を負い,P1病院において診療を受けた(乙1,17)。 イ原告は,平成20年7月1日,社会保険庁長官に対し,本件傷病による障害を理由として,同年6月20日付けP2整形外科P3医師作成の診断書(乙2。以下「平成20年診断書」という。)及び原告作成の「病歴・就労状況等申立書」(乙16。以下「病歴等申立書」という。)を提出して,厚年法33条の規定により,厚年法47条1項の規定に基づく障害厚生年金給付の裁定を請求した(乙3)。 ウ社会保険庁長官は,平成20年11月20日,原告に対し,障害等 申立書」という。)を提出して,厚年法33条の規定により,厚年法47条1項の規定に基づく障害厚生年金給付の裁定を請求した(乙3)。 ウ社会保険庁長官は,平成20年11月20日,原告に対し,障害等級3級(厚年令別表第一の7号(長菅状骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの))の障害の状態にあるとして,平成19年12月3日を受給権発生日とする障害厚生年金の裁定(以下「本件裁定」という。)をした(乙4)。 エ平成22年1月1日に日本年金機構法(平成19年法律第109号)が施行されたことに伴い,従来,国(社会保険庁)が行っていた事業のうち,政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業に関し,厚年法及び国民年金法の規定に基づく業務等を行うため,日本年金機構が設立され,社会保険庁は,平成21年12月31日をもって廃止された(日本年金機構法附則70条及び72条)。 これに伴い,従前,社会保険庁長官に属していた厚生年金保険の保険給付に係る処分権限が,平成22年1月1日以降は厚生労働大臣に属することとなった(厚年法33条,54条2項等。なお,日本年金機構法附則73条2項参照)。 オ日本年金機構は,平成22年1月28日,原告を含む▲月生まれの者に対し,障害状態確認届(診断書)を送付した(乙5)。 カ原告は,平成22年2月22日,日本年金機構に対し,厚年法施行規則51条の4第1項の規定に基づく障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書として,同年1月21日の現症が記載された同年2月16日付けP3医師作成の診断書(乙6。以下「平成22年診断書」という。)を提出した。 キ日本年金機構は,平成22年診断書の「傷病名」欄に「右下腿骨々折偽関節」との記載があったことから,平成22年4月9日,P3医師に対し,上記「右下腿骨々折偽関節 診断書」という。)を提出した。 キ日本年金機構は,平成22年診断書の「傷病名」欄に「右下腿骨々折偽関節」との記載があったことから,平成22年4月9日,P3医師に対し,上記「右下腿骨々折偽関節」に関し,同年1月21日現症時点で偽関節の状態か否かにつき照会をし,P3医師は,同年5月11日付けで「平成22年1月21日現症時点で偽関節の状態である。(右腓骨)」と記載した書面(以下「P3医師回答書」という。)により回答した(乙7)。 ク厚生労働大臣は,平成22年診断書及びP3医師回答書を審査するなどした結果,原告の障害の状態が障害等級3級に該当しなくなったとして,平成22年7月15日,原告に対し,厚年法54条2項の規定に基づき, 障害厚生年金の支給を同年6月から停止する旨の処分(本件処分)をした(乙8,弁論の全趣旨)。 ケ原告は,平成22年7月20日,本件処分を不服として,関東信越厚生局社会保険審査官に対し,審査請求をした(乙9)。 コ関東信越厚生局社会保険審査官は,平成22年11月15日,原告の「傷病の障害の状態は,3級の障害厚生年金が支給される程度(中略)に該当すると認めることはできない」として,上記ケの審査請求を棄却する決定をした(甲1)。 サ原告は,平成22年11月29日,上記決定を不服として,社会保険審査会に対し,再審査請求をした(乙10)。 シ社会保険審査会は,平成23年6月30日,上記サの再審査請求を棄却する裁決をした(甲2)。 ス原告は,平成23年12月27日,本件訴えを提起した。 3 争点本件の主な争点は,①本件処分の適法性(原告の障害の程度が平成22年5月において障害等級3級に該当しなくなったといえるか否か)(争点1),②本件義務付けの訴えの適法性(争点2)である。 4 争点に関する当事者の は,①本件処分の適法性(原告の障害の程度が平成22年5月において障害等級3級に該当しなくなったといえるか否か)(争点1),②本件義務付けの訴えの適法性(争点2)である。 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(本件処分の適法性(原告の障害の程度が平成22年5月において障害等級3級に該当しなくなったといえるか否か))について(原告の主張の要旨)ア本件処分の違法姓本件処分時点での原告の障害の程度は,後記イのとおり,障害等級3級のうち厚年令別表第一の6号,7号,12号,13号及び14号(以下,厚年令別表第一の各号については,単に「6号」等,各号のみの表記とする。)にそれぞれ該当する。しかるに,処分行政庁は,以下のと おり,調査義務を果たさずに審査を行い,誤った判断をして,障害厚生年金の支給を停止する旨の本件処分を行ったものであるから,本件処分には,著しい権限の逸脱,濫用があり,重大な違法がある。 (ア) 特に,本件処分がされるに当たり,原告の治療を行っている医師並びに平成22年診断書及びP3医師回答書を作成したP3医師からの聞き取りが行われていない。しかも,平成22年診断書及びP3医師回答書の空欄部分等についても確認すべきであるのにされず,その内容についてすら十分な検討・評価が行われていない。 障害認定基準によれば,「提出された診断書等のみでは認定が困難な場合又は傷病名と現症あるいは日常生活等との間に医学的知識を超えた不一致の点があり整合性を欠く場合には,再診断を求め又は療養の経過,日常生活等の調査,検診,その他所要の調査等を実施するなどして,具体的かつ客観的な情報を収集した上で認定を行う。また原則として,本人の申立等及び記憶に基づく受診証明のみでは判断せず,必ずその裏付けの資料を収集する。」と記載されているところ, 実施するなどして,具体的かつ客観的な情報を収集した上で認定を行う。また原則として,本人の申立等及び記憶に基づく受診証明のみでは判断せず,必ずその裏付けの資料を収集する。」と記載されているところ,原告の症状を把握するために必要な調査を怠ったことは,この認定方法に違反している。 また,障害等級に該当する旨の認定がされている以上,受給資格の該当性を判断する際には,処分当時の現症を記載した診断書の記載のみに基づいて判断するのではなく,その前後の期間における自覚症状,他覚所見,検査成績,一般状態の推移のほか,その前後における治療及び病状の経過,具体的な日常生活状況等をも考慮して,総合的に判断する必要があった(東京地裁平成20年10月22日判決同旨)。 しかるに,処分行政庁は,本件処分を行うに当たり,原告の障害について,神経系統の障害に思い至らず,本件裁定が理由とした障害等級3級7号の偽関節について,腓骨が偽関節であるとのP3医師回答 書(乙7)のみをもって障害厚生年金の支給を停止した。 処分行政庁は,平成22年診断書(乙6)に,「右下腿痛,右足間接痛は残存し,10分間続けて立っていられない。長時間の歩行で痛みが増強する等の症状が残存」と記載されていたのであるから,この点について十分に調査を尽くすべきであった。また,症状固定後の継続する疼痛について,直ちに骨折部の疼痛と判断することはできない以上,整合性を確認するために調査を行うべきであった。 (イ) 仮に,処分行政庁が原告が提出した平成20年診断書(乙2)のみにより判断を行うとしても,同診断書及び病歴等申立書(乙16)において,原告がP4病院に通院していることが分かるのであるから,原告の症状について把握し,障害認定に関する判断を行うため,当然に,P4病院への調査を行うべきであった 断書及び病歴等申立書(乙16)において,原告がP4病院に通院していることが分かるのであるから,原告の症状について把握し,障害認定に関する判断を行うため,当然に,P4病院への調査を行うべきであった。 さらに,平成20年診断書には,「㉒階段昇降以外の屋内移動は支障はないが,屋外での移動歩行は約10分程度で創部に痛みが出現する。デスクワークであれば可能か。」,「㉓徐々にではあるが仮骨の形成が見られる為,骨癒合は期待できると考えるが,骨の変形治療は残存する。また,将来的に右足関節の変形性関節症へ移行する可能性大。」,「⑲△箇所」等により,原告の身体の機能に労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残し,軽労働以外の労働ができないことから,「労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」に該当し,障害等級3級に該当することは明らかである。 結局,処分行政庁は,平成20年診断書の診断書を前提とする原告の症状すら見逃し,また,原告がP4病院に通院していることを認識しながら,調査すら行わず,偽関節は腓骨であるとの1点のみをもって本件処分を行ったものである。 このことは,処分行政庁が本来原告の症状を把握した上で判断を行うべきであるのに,原告の症状を把握しないまま,本件処分を行ったと評価するべきである。 イ本件処分時点での原告の障害の程度原告の本件処分時点での障害の状態は,以下のとおり,6号,7号,12号,13号及び14号にそれぞれ該当する。 (ア) 6号該当性について6号は,「一下肢の三大関節のうち二関節の用を廃したもの」と定めるところ,原告の脛骨は変形しており,腓骨は偽関節となっているため,関節可動域が制限されており,その障害の状態は,6号に該当する。 (イ) 7号該当性について7号は,「長管 を廃したもの」と定めるところ,原告の脛骨は変形しており,腓骨は偽関節となっているため,関節可動域が制限されており,その障害の状態は,6号に該当する。 (イ) 7号該当性について7号は,「長管状骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」と定める。 下肢の長管状骨とは大腿骨,脛骨及び腓骨をいうところ,原告は,腓骨に偽関節を残している。 そして,原告の症状は,痛みを堪えて「片足で立つ」,「座る」,「歩く」,「立ち上がる」,「階段を上る」,「階段を下りる」というもので,その痛みは激痛であるから,全ての日常生活における動作が非常に困難である。また,原告は,15分程度の歩行ができず,日常生活の大部分において動作を行うことが困難であるから,運動機能に著しい障害を残している。 よって,原告の障害の状態は,7号に該当する。 (ウ) 12号該当性12号は,「前各号に掲げるもののほか,身体の機能に,労働が著しい制限を受けるか,又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」と定める。 原告は,軽作業やデスクワーク以外の労働が制限される状態にあるから,12号に該当することは明らかである。 (エ) 13号該当性a 13号は,「精神又は神経系統に,労働が著しい制限を受けるか,又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」と定める。 本件処分時における原告の症状は,下肢の神経の損傷によって生じる灼熱痛,神経痛,根性疼痛であり,下肢が物に触れる度に強い疼痛が生じ,疼痛の原因となる他覚所見として神経断裂,損傷がある。そして,疼痛発作の頻度,強さ,持続時間,他覚的所見によれば,軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度であるから,13号に該当することは明らかである。 診断書(甲6,7,19,2 裂,損傷がある。そして,疼痛発作の頻度,強さ,持続時間,他覚的所見によれば,軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度であるから,13号に該当することは明らかである。 診断書(甲6,7,19,22,29)には,いずれも原告の疼痛が神経障害性疼痛であると記載されており,原告の疼痛は,ズキンズキンとしたうずく痛みや激痛(電撃痛・灼熱痛)であり,神経障害性疼痛の特徴をよく表しているから,臨床的に見ても神経障害性疼痛であることは間違いない。原告が処方されていた○は,神経障害性疼痛の優先薬であること,原告が平成25年10月に受けた脊髄刺激療法(手術)は,神経障害性難治性疼痛に対して適応のある手術であることから,これらからも,原告の障害が神経障害性疼痛であることは明らかである。 原告の障害は,骨折部の偽関節及び同部位の神経断裂等を原因とした難治性の疼痛が持続するもので,また,持続的な疼痛に加えて,右下肢を床につけることや体重の荷重により激痛が生じるため,軽易な労働以外の労働に常に支障があるというべきである。 b 被告は,原告の疼痛が混合性疼痛であるとし,それが神経障害性 疼痛のみによるものとして神経系統の認定基準による認定の対象とすることはできない旨を主張する。 しかし,侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛は別の疼痛であり,原告の神経障害性疼痛それ自体が重篤な疼痛であることは,P4病院P5医師が原告に施している治療が神経障害性疼痛の治療であることから明らかである(甲41)。また,侵害受容性疼痛であるから神経系統の認定対象にならないという被告の前提自体も誤りである。 なぜなら,侵害受容性疼痛が認定の対象から外れるとすれば,それは,一過性の疼痛である場合のことであり,この疼痛が継続する場合には,これを認定対象から外す理由はないからである。 自体も誤りである。 なぜなら,侵害受容性疼痛が認定の対象から外れるとすれば,それは,一過性の疼痛である場合のことであり,この疼痛が継続する場合には,これを認定対象から外す理由はないからである。 なお,神経系統の障害の認定基準によれば,「四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛,脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛,根性疼痛,悪性新生物に随伴する疼痛等の場合」と記載されており侵害受容性疼痛は特に除外されていない。 (オ) 14号該当性14号は,「傷病が治らないで,身体の機能又は精神若しくは神経系統に労働が制限を受けるか,又は,労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって,厚生労働大臣が定めるもの」と定める。 原告の傷病は,現在もなお継続して改善を試みている状態であり,症状固定したとはいえないから,「傷病が治らない」に該当し,14号に該当する。 (被告の主張の要旨)ア原告の障害の現状を平成22年診断書及びP3医師回答書に基づいて判断したことは相当であること(ア) 障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定した 者は,指定日までに,指定日前1月以内に作成された障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を提出しなければならず(厚年法施行規則51条の4第1項),障害の状態の程度については,指定日前1月以内に作成された診断書に記載されたその時点における状況について診査し,その結果,受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは,その障害の状態に該当しなくなった間,支給が停止される(厚年法54条2項)。 この点,原告から,平成22年診断書の提出を受けた日本年金機構は,同診断書の「傷病名」欄に「右下腿骨々折偽関節」との記載があったことから,同診断書作成医師 支給が停止される(厚年法54条2項)。 この点,原告から,平成22年診断書の提出を受けた日本年金機構は,同診断書の「傷病名」欄に「右下腿骨々折偽関節」との記載があったことから,同診断書作成医師に対し,上記「右下腿骨々折偽関節」が同年1月21日現症時点での状態か否かにつき照会し,同医師から,同年5月13日,P3医師回答書を得た。そして,厚生労働大臣は,上記平成22年診断書及びP3医師回答書を審査した結果,原告の「障害の状態が年金を受給できる程度でなくなったため」として,原告に対し,厚年法54条2項に基づき,障害厚生年金の支給を同年6月から停止するとの本件処分をしたものであるから,同処分の適法性を判断するに当たっては,平成22年診断書記載の平成22年1月21日現症時点で原告の障害が障害等級3級に該当するか否かを判断することとなる。 なお,前提事実⑵ウのとおり,本件裁定は,障害等級3級7号に該当することを理由とするものである。もっとも,7号所定の「長菅状骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」とは,「大腿骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」又は「脛骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」のいずれかに該当するものをいうところ,上記のとおり,原告について偽関節が残っているのは右腓骨であったのであるから,原告の障害は7号には該当し なかったことになるが,他方において,14号に該当していたから,本件裁定時における原告の障害の程度は障害等級3級に該当する程度であり,本件裁定は適法であった。 (イ) また,障害給付は,一定の事由が生じた場合に請求権を有する者の請求に基づいて行われるいわゆる授益処分であり,その給付を受けようとする者が自己に受給資格があることを証明する責任があるというべきであるから,支給 給付は,一定の事由が生じた場合に請求権を有する者の請求に基づいて行われるいわゆる授益処分であり,その給付を受けようとする者が自己に受給資格があることを証明する責任があるというべきであるから,支給要件に係る事実の主張立証責任については,これを争う原告にあると解するのが相当である。 支給要件に係る事実の主張立証責任は原告が負うことからすれば,原告が提出した平成22年診断書及びこの記載では明らかではない部分について調査したP3医師回答書に基づいて原告の障害の現状について判断したことは,適切な調査に基づくもので相当であり,何ら違法はないというべきである。 イ 6号該当性について原告は,脛骨が変形し,腓骨が偽関節であるから,「関節可動域が制限されている」などとして,原告の足関節は「関節の用を廃したもの」と評価すべきである旨を主張する。 しかしながら,下肢の三大関節とは,股関節,膝関節及び足関節を指すところ,平成22年診断書によれば,原告の膝関節及び股関節は正常であると考えられる。その上,原告は,膝関節あるいは股関節が「用を廃した」ことについて何ら具体的な主張をしていないし,甲号証を精査してもそれを看取することはできないから,膝関節あるいは股関節が「関節の用を廃した」と認めることはできない。 そうすると,足関節が「関節の用を廃したもの」に該当するとの原告の主張によっても,1関節のみにしかすぎず,「二関節」ではないから,6号の障害の状態である「一下肢の三大関節のうち,二関節の用を廃し たもの」に該当しない。 ウ 7号該当性についてP3医師回答書によると,原告の右腓骨が偽関節の状態であるところ,腓骨も長管状骨の一つである。 しかしながら,障害認定基準においては,「長管状骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」として, 医師回答書によると,原告の右腓骨が偽関節の状態であるところ,腓骨も長管状骨の一つである。 しかしながら,障害認定基準においては,「長管状骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」として,「偽関節は,骨幹部又は骨幹端部に限る。」とした上で,「ア大腿骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」,「イ脛骨に偽関節を残し,運動機能に著しい障害を残すもの」と定めており,腓骨の偽関節については,7号に該当するものとは認められていない。 これは,腓骨は脚の静的負荷の6分の1を担うにすぎず,6分の1程度の支持性の減弱では一般平均人の通常の労働能力には支障を来さないことから,腓骨に偽関節が生じたとしても,「運動機能に著しい障害を残す」とは考えられないことによるものである。 原告の障害は,偽関節が「右腓骨」に残っている状態であり,7号に該当しないことは明らかである。 エ 12号該当性について原告の障害の状態が12号に該当するか否かを判断するに当たっては,「一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当するか否かを検討することになるところ,「機能に相当程度の障害を残すもの」とは,障害認定基準によれば,日常生活動作(下肢については,立ち上がる,歩く,片足で立つ,階段を上る,階段を下りるの5項目)の多くが「一人で全くできない場合」又は「一人でできるが非常に不自由な場合」をいうところ,原告の日常生活動作の障害の状態については,平成22年診断書「⑭日常生活動作の障害の程度」欄記載のとおり,日常生活動作5項目のうち,「一人で全くできない場合」は一つもなく,「一人でできるが非 常に不自由な場合」は二つにすぎない。 また,原告のP2整形外科の診療録(甲37),原告のP4病院の整形外科の診療録(甲44)及び各診断書(甲3,4,6,7)の 一つもなく,「一人でできるが非 常に不自由な場合」は二つにすぎない。 また,原告のP2整形外科の診療録(甲37),原告のP4病院の整形外科の診療録(甲44)及び各診断書(甲3,4,6,7)の記載内容を踏まえても,原告の障害の状態は,「機能に相当程度の障害を残すもの」とはいえないから,原告の障害の程度は12号に該当しない。 オ 13号該当性について(ア) そもそも,神経系統とは中枢神経(脳,脊髄),末梢神経(脳神経,脊髄神経),自律神経(交感神経,副交感神経)を指すものであるから,肢体の障害の認定は,障害認定基準第3第1章「第7節肢体の障害」に示す認定要領に基づいて認定を行うものとされているところ,原告の傷病は右下肢の障害であって「肢体の障害」であるから,「神経系統の障害」である13号の対象となる傷病ではない。 (イ) その点をおくとして,仮に原告の状態を神経系統の障害の認定基準に当てはめて検討したとしても,神経系統の障害においては,疼痛は,原則として認定の対象とならないが,四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛,脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛,根性疼痛,悪性新生物に随伴する疼痛等の場合は,疼痛発作の頻度,強さ,持続時間,疼痛の原因となる他覚的所見等により,軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは,障害等級3級と認定されるところ,以下に述べるとおり,平成22年1月21日現症時における本件傷病による障害の状態において,原告の疼痛が上記の神経障害性疼痛であることは客観的に明らかになっているとはいえない上,その当時,原告において,軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものともいえないことから,原告の障害の状態は,障害等級3級13号に該当しない。 (ウ) 慢性疼痛は,炎症や組織損傷などに伴う 上,その当時,原告において,軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものともいえないことから,原告の障害の状態は,障害等級3級13号に該当しない。 (ウ) 慢性疼痛は,炎症や組織損傷などに伴う侵害受容性慢性疼痛,神 経機能の変調に伴う神経障害性慢性疼痛及び心因性慢性疼痛に分類される。 疼痛は,原則として認定の対象とならないが,例外的認定対象として,「神経の損傷によって生じる灼熱痛」,「神経の外傷その他の原因による神経痛」,「根性疼痛」,「悪性新生物に随伴する疼痛」が挙げられており,これらは,例示的列挙ではあるが,いずれも神経の損傷等,神経そのものの障害による疼痛を指している。 すなわち,障害認定基準においては,これらと類似の神経そのものを原因とする疼痛のみを神経系統の障害による認定の対象とし,侵害受容性疼痛及び心因性疼痛を神経の障害による認定の対象から除外しているのである。 侵害受容性疼痛及び心因性疼痛を認定の対象から除外する意義は,そもそも疼痛は,必ずしも器質的な原因が明らかでない中で,その程度を測るには患者本人の主観的な訴えによるところが大きく,これのみをもって長期的な保険給付たる年金の支給の可否を認めることについて客観性及び公平性の確保が困難であるためであり,仮に,その疼痛が別の原因によるものであれば,本来,当該原因そのものについて判断されるべきであるからである。また,障害認定基準において,神経障害性疼痛等の疼痛については,疼痛発作の頻度,強さ,持続時間,疼痛の原因となる他覚的所見等によって判断し,軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものが障害等級3級と認定されるところ,上記で述べたとおり,疼痛の程度の判断は専ら患者の訴えによるところが大きいことから,その認定には他覚的所見をもって判断すべきところである に常に支障がある程度のものが障害等級3級と認定されるところ,上記で述べたとおり,疼痛の程度の判断は専ら患者の訴えによるところが大きいことから,その認定には他覚的所見をもって判断すべきところである。 (エ) その上で,平成26年12月8日付けP5医師作成の意見書(甲41。以下「P5意見書」という。)等を検討するに,同意見書には, 原告の疼痛が平成18年6月3日の受傷により惹起した神経障害性疼痛であることは,受傷の部位,受傷の状態と現状のレントゲンや疼痛の状態により診断できる旨記載されているところ,P5医師は,原告が受傷により神経が切れたかどうかは「レントゲンじゃわからないですね。」,「痛みは(中略)主観的なものではあると思います,もちろん,全て。」と証言しており,上記診断は,レントゲンなどの客観的な状態で診断したものではなく,P5意見書の記載は,原告の愁訴に基づくものであることが明らかである。 (オ) また,平成21年10月頃から平成22年4月頃までの原告の障害の状態と平成22年6月にP4病院麻酔科を受診するようになってからの原告の障害の状態,すなわち,本件傷病の部位の痛みの強さは明らかに異なる。 このことは,診療録の記載,原告に処方された鎮痛薬から明らかであるし,P5医師も証人尋問において,平成22年6月以降になると急にそれまでできていた歩行などができなくなるのはどのようなことかとの被告代理人の質問に対し,「疼痛が増してきたんだと思いますけれども。」と述べ,原告の痛みは当初は軽く,徐々に増してきて処方薬も強くなってきたのかとの被告代理人の質問に対し,「強度としては上がってきたんだと思いますけれども」と述べ,原告の痛みが増強している旨証言している。 これらのことに照らせば,医学的に見て原告の本件傷病部位の痛みの強度に変 告代理人の質問に対し,「強度としては上がってきたんだと思いますけれども」と述べ,原告の痛みが増強している旨証言している。 これらのことに照らせば,医学的に見て原告の本件傷病部位の痛みの強度に変化が生じていることは明らかである。 (カ) そして,平成22年診断書の「⑭日常生活動作の障害の程度」欄の「3 自覚症状・他覚所見及び検査所見」欄には,神経障害性疼痛をうかがわせるような記載は何もない上,P5医師の意見書及び同人の証言からも原告の疼痛が神経障害性疼痛のみであるとはうかがえな い。 これらのことに照らせば,平成22年1月21日現症時における原告の疼痛が神経障害性疼痛であると客観的に明らかになっているとはいえず,原告に生じた疼痛について,神経障害性疼痛のみによるものとして神経系統の認定基準による認定の対象とすることはできない。 (キ) 以上述べたとおり,原告の疼痛については,神経系統の障害の認定対象から外れるものであるが,仮に,同認定基準を当てはめた場合について検討する。 神経系統の障害の認定基準においては,疼痛について,疼痛発作の頻度,強さ,持続時間,疼痛の原因となる他覚的所見等により判断し,「軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの」を障害等級3級と認定すると取り扱う旨規定しているところ,平成22年診断書によれば,原告の疼痛による状態については「一日立ち仕事は困難。デスクワークは可能」とされており,これは,一般的な労働能力は残存しているが,疼痛により時には労働に従事することができなくなり,就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるものと判断されるものであって,軽易な労働以外の労働に「常に」支障があるということはできない。 すなわち,「軽易な労働以外の労働」とは,労働として本来想定される労働環境での労働(通 度に制限されるものと判断されるものであって,軽易な労働以外の労働に「常に」支障があるということはできない。 すなわち,「軽易な労働以外の労働」とは,労働として本来想定される労働環境での労働(通常の勤務時間が可能な労働)であり,デスクワークも,通常の勤務時間での勤務が可能であれば,本来想定される労働環境での労働に該当する。 障害認定基準は,厚年令別表第一に定められた「労働に著しく制限があるか制限が加わるとき」について,これを医学的見地から見た場合における具体的な状態を示す基準として認定基準を設けており,厚年法においては,被用者の就業業態,すなわち専らデスクワークのみ の業務であるか何らかの身体的運動を必要とする業務であるかによらず,その報酬に応じて同率の保険料を課している(厚年法81条)。すなわち,保険制度においては同一の負担に対して行われる給付は同一であるべきとするいわゆる給付と負担の公平性という原則があるところ,給付を行う必要性があるか否かという点についても,従前の就労内容によらず一般的な労働能力の減損をもって判断することとしているものであるにもかかわらず,仮に,原告の主張のとおりデスクワークが軽易な労働に当たると解すれば,そもそも専らデスクワークのみの就業者に対し,デスクワーク以外の業務に就労することが困難である程度の障害が生じた場合には,従前の就業に障害がなくても保険給付を行われなければならないこととなるが,このような解釈が公平性を欠くことは明らかである。 したがって,平成22年診断書の「一日立ち仕事は困難。デスクワークは可能」との記述をもって,軽易な労働以外の労働に「常に」支障があるとはいえない。 なお,P5医師の原告の障害の状態について,軽易な労働以外の労働に「常に」支障があるとする意見書の記載や同様の証言 は可能」との記述をもって,軽易な労働以外の労働に「常に」支障があるとはいえない。 なお,P5医師の原告の障害の状態について,軽易な労働以外の労働に「常に」支障があるとする意見書の記載や同様の証言は,飽くまでも原告の愁訴に基づくものであることが明らかであり,平成22年1月当時,原告の診察を直接していないP5医師意見書や同医師の証言をもって,原告の平成22年1月当時の障害の状態が軽易な労働以外の労働に常に支障がある状態であるということはできない。 また,原告の疼痛の強度は変化し,原告においては徐々に悪化してきていることは,診療録や投薬の内容からも明らかであるから,P5医師が診察した時点の状態の原告の愁訴をもって,原告の平成22年1月22日現症時当時の障害の状態が同様であると認定することはできない。 したがって,仮に原告の疼痛が神経障害性疼痛のみであると仮定しても,平成22年1月21日現症時における原告の障害が,軽易な労働以外の労働に「常に」支障があるとはいえないから,13号に該当しない。 カ 14号該当性について傷病が治った状態とは,器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合は,医学的に傷病が治ったとき,又は,その症状が安定し,長期にわたってその疾病の固定性が認められ,医療効果が期待し得ない状態で,かつ,残存する病状が自然経過により到達すると認められる最終の状態(症状が固定)に達した状態をいうところ,原告の障害の状態は,平成22年診断書の「⑱予後」欄において,「症状固定と考えます」と記載されている上,P4病院の整形外科の診療録(甲44)の平成22年1月21日の欄に「本日にて症状固定」と記載されていることからも本件傷病である右脛腓骨開放性粉砕骨折については,平成22年1月21日時点において,症状が固定し,「治っ の診療録(甲44)の平成22年1月21日の欄に「本日にて症状固定」と記載されていることからも本件傷病である右脛腓骨開放性粉砕骨折については,平成22年1月21日時点において,症状が固定し,「治った状態」といえることは明らかである。 よって,平成22年1月21日現症時における本件傷病による原告の障害の程度は,「傷病が治らないで」との要件を満たさず,14号に該当しない。 ⑵ 争点2(本件義務付けの訴えの適法性)について(原告の主張の要旨)ア本件義務付けの訴えは,非申請型義務付けの訴えであるところ,本件処分が取り消され,平成22年6月から停止された障害年金の支給がされるとしても,実際の支給までには時間がかかることや遅延利息がつかないことなどの不利益がある。 これらの点については,障害年金の支給を受けられず,しかも生活に 必要な仕事に就くことができず,これによって生活に困窮している原告にとっては,大きな不利益である。一刻も早く,年金の受給を受け,損害の拡大を避けるためは,他の方法がないといえる。 よって,本件義務付けの訴えは,「その損害を避けるため他に適当な方法がない」のであって「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるために他に適当な方法がないとき」(行政事件訴訟法37条の2第1項)の要件を充足している。 イ原告は,平成22年7月15日に本件処分を受け, 平成22年6月1日以降に支払われるべき年金の支給が停止されたが,本件処分は取り消されるべきである。原告が支給を受けるべき平成22年6月1日から平成25年7月5日までに支払われるべき年金総額は,年金年額103万1400円の3年と35日分である金319万3101円である。 (被告の主張の要旨)ア行政事件訴訟法が定める義 年6月1日から平成25年7月5日までに支払われるべき年金総額は,年金年額103万1400円の3年と35日分である金319万3101円である。 (被告の主張の要旨)ア行政事件訴訟法が定める義務付けの訴えは,行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるものであり(同法3条6項1号),ここでいう処分とは,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(同法3条2項)であり,行政庁の処分とは,「行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう」(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁)。 しかるに,原告が本件義務付けの訴えにおいて求める行為は,本件処分により支給されなかった平成22年6月分から,訴えの変更を申し立てた平成25年7月5日までの障害厚生年金相当額と,これに対する同月6日から支払済みまでの年5分の割合による遅延損害金の支払であるところ,厚年法において,原告に遅延利息を支給する旨の規定は何ら設 けられておらず,原告が請求の趣旨第2項で求める前記行為は,行政庁の法令に基づく行為ではなく,単に金銭の支給を求めているにすぎないから,行政事件訴訟法3条6項1号所定の「処分」に当たらない。 よって,本件義務付けの訴えは,この点において,訴訟要件を欠く。 イまた,原告は,障害厚生年金相当額の速やかな支給のためには,「他に適当な方法がない」から,非申請型の義務付けの訴えによるしかない旨を主張するようであるが,取消訴訟の場合と比較して非申請型の義務付けの訴えの場合の方が早く支給されるとは限らず,原告の上記主張は理由がない。 ウ以上のと 非申請型の義務付けの訴えによるしかない旨を主張するようであるが,取消訴訟の場合と比較して非申請型の義務付けの訴えの場合の方が早く支給されるとは限らず,原告の上記主張は理由がない。 ウ以上のとおり,本件義務付けの訴えは,訴訟要件を欠き,不適法であるから,却下されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 争点1について⑴ 厚生労働大臣は,障害認定基準に従って各障害等級に係る障害の程度の認定を行っているところ,障害認定基準は,かかる認定の審査事務を統一的かつ公平に行うため,専門家により構成された専門家会合における最新の医学的知見に基づく意見,指摘等を踏まえて作成されたものであること(乙11)からすると,合理的なものと考えられるから,特段の事情がない限り,障害認定基準に従って障害の程度の認定を行うのが相当である。 そして,厚年法施行規則51条の4第1項は,障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは,指定日までに,指定日前1月以内に作成された障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を提出しなければならない旨を定め,また,障害認定基準は,認定の方法として,障害の程度の認定は,診断書等の添付資料により行うが,提出された診断書等のみでは認定が困難な場合等には,所要の調査等を実施するなどして認定を行うなどとしているところ,厚年法47条が,障害厚生年金は, 被保険者等が,一定の要件を満たした上で,障害認定において,その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に,その者に支給する旨を定め,同法54条2項本文が,障害厚生年金は,受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは,その障害の状態に該当しない間,その支給を停止する旨を定め,同法上,裁定又は支給停止に係る認定,判断の方法 が,障害厚生年金は,受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは,その障害の状態に該当しない間,その支給を停止する旨を定め,同法上,裁定又は支給停止に係る認定,判断の方法に関する具体的な規定が見当たらない一方,同法96条,97条等が,厚生労働大臣等は,必要があると認めるときは,年金たる保険給付の受給権者に対し,その者の障害の状態,支給の停止等に係る事項に関する書類等を提出すべきことその他の調査,資料の提出等を求めることができる旨を定めていることなどに照らすと,上記の厚年法施行規則の規定は,専門的知見を有する医師等が作成した診断書には,一般に,客観性と信用性があるといえることから,これを提出させることにより,裁定又は支給停止に係る認定,判断の客観性を担保するとともに,その認定,判断を画一的かつ公平なものとするために規定されたものというべきであって,少なくとも,裁判所が,支給を停止する処分の違法性を判断するに当たり,診断書の他に障害の程度を判断するために合理的な資料が得られる場合にこれを含めて判断することを妨げるものではないというべきである。 ところで,厚年法36条2項は,年金の支給を停止すべき事由が生じたときは,その事由の生じた月の翌月から支給しない旨を規定しているところ,本件処分は,平成22年6月から年金の支給を停止するというものであるから,本件処分の適法性を判断するに当たっては,その前月である5月に「その事由が生じた」といえるか否かが問題となる。そこで,以下においては,平成22年5月当時,原告の障害の程度が障害等級3級に該当しなくなったといえるか否かについて,本件処分に際して原告から提出された平成22年診断書及び同診断書に基づき照会した結果であるP3医師 回答書に加え,本件各証拠を踏まえて,検討す 等級3級に該当しなくなったといえるか否かについて,本件処分に際して原告から提出された平成22年診断書及び同診断書に基づき照会した結果であるP3医師 回答書に加え,本件各証拠を踏まえて,検討することとする。 ⑵ 前記前提事実,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 ア通院,治療の状況等(ア) 原告は,平成18年6月3日,P6株式会社(以下「本件会社」という。)の従業員として,東京都千代田区内の建設工事現場に派遣され,同所において,鳶工として作業中,足場から転落したことにより,右足首を強打し,右脛腓骨開放性粉砕骨折の傷害(本件傷病)を負い,P1病院において観血的手術を受け,同日から同年7月14日まで同病院に入院した(前提事実ア,乙1,17)。 (イ) 原告は,平成18年7月14日,自宅に近いP7病院に転院し,手術を受け,同年9月3日,退院した(甲16〔4頁〕)。 (ウ) 原告は,平成18年9月4日から平成22年1月21日まで,P2整形外科に通院し,リハビリテーションを受けた(甲37)。 (エ) 原告は,平成18年12月27日以後,P4病院の整形外科,麻酔科及び脳神経外科に通院した(甲44,45,49,51,53,54,57)。 (オ) 原告は,平成21年3月1日から同月24日まで,プレート抜去術を受ける準備等をするためP1病院に通院した。 (カ) 原告は,平成21年3月24日,P4病院に入院し,同月25日,プレート抜去術を受け,同年4月4日,退院した(甲16〔5頁〕,甲44,47)。 (キ) 原告は,平成22年6月1日,同病院の麻酔科において腰部硬膜外ブロックの処置を受けた(甲45,53)。 (ク) 原告は,平成25年6月18日,P4病院に入院し,同月19日,同病院の形成外科において,「右下肢慢 22年6月1日,同病院の麻酔科において腰部硬膜外ブロックの処置を受けた(甲45,53)。 (ク) 原告は,平成25年6月18日,P4病院に入院し,同月19日,同病院の形成外科において,「右下肢慢性疼痛,神経痛」の治療,症 状改善のため,断端神経腫切除術,神経切断術を受けた。同術は,皮膚を切開し,断端神経腫を認めた場合,切除して断端を筋肉・軟部組織に埋移入し,疼痛領域の中枢側皮神経を探索し,切断するものである。(甲20,57)(ケ) 原告は,平成25年10月7日,脊髄刺激発生装置植込術のためP4病院に入院し,同月8日及び15日,同病院の脳神経外科において,同術を受け,同月28日に退院した。同術は,脊髄刺激電極留意後の試験刺激で効果を確認し,全身麻酔下に下腹部皮下に刺激発生装置を埋め込み,脊髄刺激電極と結線し刺激を開始するというものであり,原告は,同術を受けた後,脊髄刺激療法(脊髄に微弱な電気流すことにより,痛みをやわらげる治療)を開始した。(甲22,23,25,26,28,48,49,54)。 イ診断書等後掲の証拠によれば,原告に対する診断書等に,次のとおりの記載がある。 (ア) 平成20年診断書(乙2)⑧「平成18年6月3日,就労中受傷→P1病院で手術施行。平成18年7月14日~9月3日までP7病院に入院。平成18年9月4日,リハビリ目的にて当院外来へ紹介来院。X線で仮骨形成はほとんど見られない。」⑨「当院外来でリハビリを行い,フォローアップはP7病院からP4病院へと変更になった。セークスを行い,徐々にではあるが,仮骨形成が見られ,平成20年6月に腓骨のK-ワイヤーは抜去。 骨は未。」「⑲日常生活動作の障害の程度」欄に,「歩く(屋内)」につき「○△(一人でできてもやや不自由)」,「歩く(屋外)」につき 仮骨形成が見られ,平成20年6月に腓骨のK-ワイヤーは抜去。 骨は未。」「⑲日常生活動作の障害の程度」欄に,「歩く(屋内)」につき「○△(一人でできてもやや不自由)」,「歩く(屋外)」につき「△×(一 人でできるが非常に不自由)」,「㉒現症時の日常生活活動能力及び労働能力」欄に,「階段昇降以外の屋内移動は支障はないが,屋外での移動歩行は約10分程度で創部に痛みが出現する。デスクワークであれば可能か。」(イ) 平成22年診断書(乙6)「障害の状態(平成22年1月21日現症)」「④最近一年間の治療の内容,期間,経過,その他参考となる事項」欄に,「平成21年3月25日,他医においてプレート抜去術を行った。 その後,当院外来でリハビリ行うも右下腿痛,右足関節痛は残存し,10分間続けて立っていられない。長時間の歩行で痛みが増強する等の症状が残存。また,下腿骨と距骨の適合性が悪く将来的に変形性関節症をきたす可能性あり。」「⑭日常生活動作の障害の程度」欄に,「片足で立つ(右)」,「歩く(屋内)」につき「○△(一人でできてもやや不自由)」,「歩く(屋外)」につき「○×(一人でできるが非常に不自由)」,「立ち上がる」につき「イ支持があればできるがやや不自由」,「階段を登る」につき「イ手すりがあればできるがやや不自由」,「階段を降りる」につき「ウ手すりがあればできるが非常に不自由」,「平衡機能」の「開眼での起立・立位保持の状態」につき「ア可能である」,同「開眼での直線の10m歩行の状態」につき「アまっすぐ歩き通す」「⑰現症時の日常生活活動能力及び労働能力」欄に,「15分程度の屋外歩行で疼痛が出現する為,一日立ち仕事は困難,デスクワークは可能。」(ウ) P3医師回答書(乙7)「平成22年1月21日現症時点で偽関 の日常生活活動能力及び労働能力」欄に,「15分程度の屋外歩行で疼痛が出現する為,一日立ち仕事は困難,デスクワークは可能。」(ウ) P3医師回答書(乙7)「平成22年1月21日現症時点で偽関節の状態である。(右腓骨)」 (エ) 平成22年10月26日付けP4病院P8医師作成の診断書(甲4)病名右下肢神経障害性疼痛付記 H18/6/3に作業中受傷し,以後傷が治癒しても疼痛が遷延した。消炎鎮痛薬等整形外科での鎮痛治療に反応なく当科紹介となった。 消炎鎮痛薬での鎮痛効果がみられないこと,疼痛が長期にわたり遷延していることなどから,上記診断を疑い,鎮痛補助薬としての○を使用したところ疼痛の軽減がみられた。このことから上記診断を確定診断としてよいと考える。 しかし,締め付けられるところが腫れるという訴えが出て,○の副作用を疑い,同様の作用機序をもつメキシレチンと,Caチャネルの抑制効果を持つガバペンチンに変更し良好な疼痛管理が行なえている。 現状では,メキシレチン,ガバペンチンともに一般的な神経障害性疼痛を保険適応とはしていないが,世界疼痛学会等の治療方針においても妥当な治療方針とされており,治療効果から見ても上記診断は適切と考える。 (オ) 平成23年11月29日付けP8医師作成の診断書(甲3)病名右下肢外傷後神経障害性疼痛付記 H18/6/3に作業中受傷し,以後傷が治癒しても疼痛が遷延した。整形外科での疼痛治療に反応無く当科紹介となった。 神経障害性疼痛として鎮痛補助薬による治療を行ったが,徐々に鎮痛効果が弱くなり現在は○を導入して疼痛管理を試みている。 痛みが強い為現在では極軽い労働しか出来ない状態である。 (カ) 平成24年6月19日付けP8医師作成の診断書(甲6)病名右下腿外傷後 弱くなり現在は○を導入して疼痛管理を試みている。 痛みが強い為現在では極軽い労働しか出来ない状態である。 (カ) 平成24年6月19日付けP8医師作成の診断書(甲6)病名右下腿外傷後混合性疼痛付記下腿外傷後遷延疼痛で2010年6月1日に整形外科より当科紹介となった患者さんです。神経障害性疼痛として治療を行いましたが,効果は不十分で○を導入しています。 疼痛の原因としては,○の効果があること,ガバペンチン,SNRIにより○の量を副作用を抑えられる範囲にとどめられていることから,偽関節による侵害受容性疼痛とそれに誘発された神経障害性疼痛による混合性疼痛であると診断します。症状に関しては,約半年の間薬の量が安定しています。 疼痛の程度は現在日常生活に支障はないが,軽度な労働以上は不可能と診断します。 (キ) 平成24年6月19日付けP4病院P9医師作成の診断書(甲7)病名右下腿両骨開放骨折付記平成18年6月4日,上記受傷。 上記にて脛骨は変形治癒となり,腓骨は偽関節を有している。 5分程度の歩行,立位で腓骨偽関節部の疼痛が出現する。 内側は挫滅による神経障害があり,麻酔科にてPainコントロールを行っている。 そのため,軽労作,デスクワークなどは可能と思われるが,重労働は不能と考えます。 (ク) 平成24年10月9日付けP9医師作成の診断書(甲11)病名右下腿両骨開放骨折後遺症付記右脛骨は外反変形(6.7度)しており,腓骨は14.1度の外反変形がある。 腓骨は骨癒合を得られておらず偽関節を呈している。 関節可動域は右足関節背屈は自動5度他動17度と制限されており,底屈も同様に自動45度他動50度と関節可動域制限を認める。 下腿疼痛のためデスクワーク以上の労務は不能と認めます。 。 関節可動域は右足関節背屈は自動5度他動17度と制限されており,底屈も同様に自動45度他動50度と関節可動域制限を認める。 下腿疼痛のためデスクワーク以上の労務は不能と認めます。 今後,右足関節は変形性関節症に移行する可能性が高いことが予想される。 (ケ) 平成25年5月21日付けP9医師作成の診断書(甲19)病名右下腿開放骨折術後腓骨偽関節,右下腿末梢神経断裂付記下腿両骨開放骨折に伴い,神経損傷もあり。 現在,保存加療中であるが,腓骨は偽関節を呈している。 右下腿に激痛が残存しており,同部疼痛は受傷時の神経損傷によるものと考えている。 今後,右足関節は変形関節症に移行する可能性が高いことを認めます。 (コ) 平成25年11月1日付けP5医師作成の診断書(甲22)病名末梢神経障害性疼痛付記右下腿の末梢神経障害性疼痛の軽減をはかるため,断端神経腫と思われる組織の切除等の手術が行われたが,症状改善しないため,平成25年10月8日および同年10月15日に,脊髄刺激電極および刺激装置の埋込術を行ない脊髄刺激療法を開始している。 (サ) 平成26年1月20日付けP5医師作成の診断書(甲29)病名複合性局所疼痛症候群。神経障害性疼痛。 付記平成18年6月就労中に発生した事故により右下腿骨骨折を生じ,その後,骨折部の偽関節および同部位の神経断裂等を原因とした難治性の疼痛が持続している。この疼痛は,持続的な 痛みに加えて,右下肢を床につけたり体重の荷重により激痛となる。このため軽易な労働以外の労働に常に支障がある。 疼痛軽減のため平成25年10月より脊髄刺激療法を開始している。本療法は本例のような神経障害性難治性疼痛に対し適応がある。 (シ) 平成26年10月16日付けP3医師の回答書(甲 に支障がある。 疼痛軽減のため平成25年10月より脊髄刺激療法を開始している。本療法は本例のような神経障害性難治性疼痛に対し適応がある。 (シ) 平成26年10月16日付けP3医師の回答書(甲40の1及び2)初診時(平成18年9月4日)から,平成22年10月14日までの間,症状(右下肢痛,右足関節痛)は持続していた旨の記載がある。 (ス) P5意見書(甲41)「P10さんの診断については,(中略)事故による右下腿骨骨折により,神経断裂等を原因とした難治性の疼痛が現在まで持続している。その疼痛は,持続的な痛みに加えて右下肢を床につけたり体重の荷重により激痛がある。このため軽易な労働以外の労働に常に支障があると評価できることは,間違いないところである。」,「この点は,P10さんに対する痛み軽減のための脊髄刺激療法を行わなければ,家庭での生活すら疼痛(激痛)によってできないことからもわかる。」「P10さんの疼痛は,平成18年6月3日の受傷により惹起した神経障害性疼痛であることは明らかである。このことは,受傷の部位,受傷の状態と,現状のレントゲンや疼痛の状態(灼熱痛,根疼痛等がある)より診断できる。」,「疼痛の状態とは,発作の頻度・持続性(常時持続してある),強さ(痛みの軽減措置をとらなければ麻酔の投与が不可避であるほど強い),疼痛の原因となる他覚所見(手術により一定の軽減が見られること。)などであり,明かな神経障害性疼痛である。」「P10さんの疼痛は,主に神経障害性疼痛であり,これ自体で 『軽易の労働以外には支障』がある状態にある。」「私の手術は,P10さんの神経障害性疼痛の治療に効果を有するものであり,それ自体の疼痛が家庭での日常生活に支障があるだけでなく,『軽易な労働以外の労働に常に支障がある』状態だからこ 態にある。」「私の手術は,P10さんの神経障害性疼痛の治療に効果を有するものであり,それ自体の疼痛が家庭での日常生活に支障があるだけでなく,『軽易な労働以外の労働に常に支障がある』状態だからこそ,この手術を行って,疼痛の軽減を図るものである。今後も,体内に入れた器具の状態を見ながら,必要に応じてさらに疼痛軽減の為の治療や手術を行っていかなければならないと考えている。」ウ診療録後掲の証拠によれば,各診療録において,それぞれの日付の欄等に,次のとおりの記載がある。 (ア) P2整形外科の診療録(甲37)平成19年3月1日「下腿内側さわるだけで痛い」平成19年7月18日「疼痛悪化」平成19年10月17日「足底接地にて疼痛+」「歩行時痛軽減」平成21年2月7日「創部疼痛は変わらない」平成21年2月17日「疼痛存続」平成21年5月21日「他動踵授動術疼痛の著明改善」平成21年8月19日「左股関節痛(+) 20分くらい歩くと」平成21年10月14日「痛覚過敏(+)」平成22年1月8日「10分間続けて立ってられない」平成22年1月16日「自覚:仕事スタートのための通勤で40分,25分電車,15分歩きで疼痛+」平成22年5月11日「創部ソフトタッチで疼痛」平成22年5月26日「右足関節痛(+),疼痛(+),再び疼痛増加」(イ) P4病院整形外科の診療録(甲44) 平成21年3月31日 「慢性疼痛」平成22年3月16日,同年4月20日 「週に4日出勤している」他科依頼票(起票日が平成22年6月1日)の「依頼内容」欄「下腿遠位内側の痛みが続いており,貴科受診希望しております。」他科依頼返信(返信日が平成22年6月1日,担当氏名がP8)の「返信内容」欄 「末梢神経障害によるアロディニ 1日)の「依頼内容」欄「下腿遠位内側の痛みが続いており,貴科受診希望しております。」他科依頼返信(返信日が平成22年6月1日,担当氏名がP8)の「返信内容」欄 「末梢神経障害によるアロディニアを主体としたCRPSが疑われる状態と考えます。硬膜外ブロックと鎮痛補助薬で治療していきたいと考えます。ご紹介有難うございました。」エ疼痛について疼痛が長時間持続する場合は慢性疼痛と呼ばれ,一般に,6か月以上に及ぶ疼痛をいう。慢性疼痛は,炎症や組織損壊などを伴う侵害受容性慢性疼痛,神経機能の変調に伴う神経障害性疼痛及び心因性疼痛に分類される。(甲43,乙22)神経障害性疼痛は,痛覚受容器の刺激ではなく,末梢神経系若しくは中枢神経系における損傷又は機能障害に起因する。診断は,組織損傷と不釣り合いな疼痛,異常感覚(例,灼熱痛,刺痛),神経学的診療で検出された神経損傷の徴候から示唆される。(甲42)侵害受容性疼痛は,炎症や組織損傷により生じた発症物質が,侵害受容器を興奮させることによって生じる鈍い痛み又は鋭い痛みである。疼痛は軽度なものから重度まで様々な度合いがあり,患者により異なる。 この種の疼痛は,通常,痛みの原因となる患部が完治し,痛みがなくなるか,医学的治療がされればコントロールされる。侵害受容性疼痛は,捻挫したときなどに生じる一時的症状であるが,慢性疼痛となることがあり,がん性疼痛や関節炎痛は,典型的な侵害受容性慢性疼痛である。 (甲43,乙22)⑶ア原告は,原告の障害について,神経障害性疼痛であると主張するので, まず,13号に該当するか否かについて検討するに,障害認定基準は,13号に関する神経系統の障害の認定基準として,疼痛は,原則として認定の対象とならないが,四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛,脳神 13号に該当するか否かについて検討するに,障害認定基準は,13号に関する神経系統の障害の認定基準として,疼痛は,原則として認定の対象とならないが,四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛,脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛,根性疼痛,悪性新生物に随伴する疼痛等の場合において,疼痛発作の頻度,強さ,持続時間,疼痛の原因となる他覚的所見等により,軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは,障害等級3級と認定するとしている。 このように,障害認定基準が,疼痛は原則として認定の対象とならないとした上で,例外的に認容することができる疼痛として,神経の損傷によって生じる灼熱痛,脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛,根性疼痛,悪性新生物に随伴する疼痛を列挙し,「神経系統の障害」として疼痛に関する基準を示していることに加え,疼痛は,必ずしも器質的な原因が明らかではなく,侵害受容性疼痛や心因性疼痛など,その疼痛が別の原因である場合には,その原因となる傷病自体について判断されるべきであるといえることにも照らすと,上記の障害認定基準は,主として神経障害性疼痛(神経機能の変調を伴うもの)をその対象としているものということができる。 なお,被告は,原告の傷病は右下肢の障害であって「肢体の障害」であるから,「神経系統の障害」である13号の対象となる傷病ではない旨の主張をするが,上記の障害認定基準によれば,およそ「四肢」の神経の損傷による障害を神経系統の障害から除くべきものとは解されないから,原告の本件傷病が右下肢に存するものであるということをもって,直ちに神経系統の障害として13号の該当性が排除されるものでないことは明らかである。 イ(ア) 前記前提事実,前記⑵イのとおりの各診断書等及び前記⑵ウのとおりの各診療録の記載 ということをもって,直ちに神経系統の障害として13号の該当性が排除されるものでないことは明らかである。 イ(ア) 前記前提事実,前記⑵イのとおりの各診断書等及び前記⑵ウのとおりの各診療録の記載から,原告が本件傷病を受傷して以降,疼痛の 治療を継続しており,本件傷病に関し慢性的な疼痛を有していたことは明らかである。 (イ) そして,前記⑵イ(ケ),(サ),(ス)のとおり,原告は,平成25年5月21日付け診断書(甲19)において,P9医師により「右下腿に激痛が残存しており,同部疼痛は受傷時の神経損傷によるものと考えている」とされ,平成26年1月20日付け診断書(甲29)において,P5医師により,本件傷病の受傷後,「骨折部の偽関節および同部位の神経断裂等を原因とした難治性の疼痛が持続している」とされ,P5意見書(甲41)においても,「事故による右下腿骨骨折により,神経断裂等を原因とした難治性の疼痛が現在まで持続している」とされているなど,いずれも,本件傷病の受傷時の神経損傷又は神経断裂を原因として疼痛が生じていると診断されていること,前記⑵ア(ク)のとおり,原告は,平成25年6月19日,P4病院形成外科において,断端神経腫切除術,神経切断術を受けているところ,P5医師の証言によれば,同術によって神経鞘腫を取っているということは,そこが断端で切れていたということにほかならないとされていること(P5証人〔証人調書30,31頁〕),原告の本件傷病の受傷以外に上記のような神経損傷又は神経断裂を生じさせる原因があることはうかがわれないことを併せ考えると,原告においては,本件傷病の受傷を原因として,神経損傷又は神経断裂が生じていたと認めることができる。 そして,前記⑵ウ(ア)のとおり,P2整形外科の診療録において,平成19年3月1日に 考えると,原告においては,本件傷病の受傷を原因として,神経損傷又は神経断裂が生じていたと認めることができる。 そして,前記⑵ウ(ア)のとおり,P2整形外科の診療録において,平成19年3月1日に「下腿内側さわるだけで痛い」,平成22年5月11日に「創部ソフトタッチで疼痛」の記載があるところ,診療録は,患者が診察時点における自身の状態を正直に医師に告げたものがその都度記録されていると考えるのが自然であるから,上記の各時点 において,原告は,軽く触れるだけで疼痛が生じる状態にあったと認められる。 さらに,前記⑵イ(エ),(オ),(ケ),(コ),(サ)のとおり,平成22年10月26日付け,平成23年11月29日付け,平成25年5月21日付け,同年11月1日付け及び平成26年1月20日付けの各診断書において,原告の疼痛が神経障害性のものである旨の診断がされており,そのうち,平成22年10月26日付けの診断書においては,「消炎鎮痛薬での鎮痛効果がみられないこと,疼痛が長期にわたり遷延していることなどから,上記診断を疑い,鎮痛補助薬としての○を使用したところ疼痛の軽減がみられた。このことから上記診断を確定診断としてよいと考える。」とされ,平成25年5月21日付けの診断書においても,「右下腿に激痛が残存しており,同部疼痛は受傷時の神経損傷によるものと考えている。」とされており,それぞれ原告の疼痛が神経障害性であると診断した理由が記載されている。 以上によれば,①原告において,本件傷病の受傷を原因として神経損傷又は神経断裂が生じており,②平成19年3月1日及び平成22年5月11日の各時点において,原告の右下肢は,軽く触れただけで疼痛が生じるような状況にあったところ,P5医師の証言によれば,そのような疼痛は神経障害性であるとされており(P 年3月1日及び平成22年5月11日の各時点において,原告の右下肢は,軽く触れただけで疼痛が生じるような状況にあったところ,P5医師の証言によれば,そのような疼痛は神経障害性であるとされており(P5証人〔証人調書12,30頁〕),③平成22年10月26日から平成26年1月20日付けで作成された各診断書において,各医師により,原告の疼痛が神経障害性であると診断されていることになる。 (ウ) これらに加え,前記⑵ア(ケ)のとおり,原告は,平成25年10月に脊髄刺激療法を開始しているところ,証拠(甲25,29,41,48,P5証人)によれば,脊髄刺激療法は,神経障害性疼痛に効果があるとされており,原告には,同療法の効果があったということも 認められること,前記⑵イ(ス)のとおり,P5意見書において,受傷の部位,受傷の状態,疼痛の状態,強さ,脊髄刺激療法により痛みが軽減していることなどの理由を挙げて原告の疼痛が神経障害性疼痛であるとされていることなども併せ考慮すれば,原告は,本件傷病の受傷を原因として神経損傷又は神経断裂を生じ,これにより現在に至るまで疼痛を生じたものであり,この疼痛は,神経障害性疼痛であると認めるのが相当である。 なお,原告を診断した各医師は,原告の訴えをもとに診療録に記録し,診断書を作成したと思われるものの,前記⑵ア,ウのとおり,原告は,本件傷病の受傷後,一貫して疼痛に対する治療を継続し,平成22年6月1日には,腰部硬膜外ブロックの処置,平成25年6月19日には,断端神経腫切除術,神経切断術を受け,同年10月には,脊髄刺激発生装置植込術まで受け,以後脊髄刺激療法を開始していることをみると,原告は,疼痛の改善のため真摯に治療を受けていたと推認することができ,医師に対し自覚する症状をそのまま伝えていたと認めるのが 刺激発生装置植込術まで受け,以後脊髄刺激療法を開始していることをみると,原告は,疼痛の改善のため真摯に治療を受けていたと推認することができ,医師に対し自覚する症状をそのまま伝えていたと認めるのが相当であって,各医師が記録した診療録や作成した診断書等は,信用性が高いものというべきである。 ウ(ア) これに対し,被告は,P5意見書には,原告の疼痛が神経障害性疼痛であることの理由として「現状のレントゲン」を挙げている一方で,P5医師は,原告が受傷により神経が切れたかどうかは「レントゲンじゃわからないですね。」,「痛みは(中略)主観的なものではあると思います,もちろん,全て。」と証言していることをもって,P5意見書の診断は,レントゲンなどの客観的な状態で診断したものではなく,原告の愁訴に基づくものであることが明らかである旨を主張する。 しかしながら,P5医師は,前記イ(ウ)のとおり,P5意見書において,受傷の部位,受傷の状態,疼痛の状態,強さ,脊髄刺激療法に より痛みが軽減していることといった根拠をもとに判断していると述べているのであって,これが原告の単なる愁訴に基づく診断として排斥すべきものといえないことは明らかである。 (イ) また,被告は,平成21年10月頃から平成22年4月頃までの原告の障害の状態と平成22年6月にP4病院麻酔科を受診するようになってからの原告の本件傷病の部位の痛みの強さが明らかに異なるとし,このことは,診療録の記載,原告に処方された鎮痛薬から明らかであり,P5医師も原告の痛みが増強している旨証言している旨を主張する。 この点,証拠(甲44,45,53,P5証人)によれば,平成23年11月15日には,オピオイド系の「○」が処方されるなど,平成23年頃から強い薬が処方されていることが認められるところ,この る。 この点,証拠(甲44,45,53,P5証人)によれば,平成23年11月15日には,オピオイド系の「○」が処方されるなど,平成23年頃から強い薬が処方されていることが認められるところ,このことについて,P5医師は,「疼痛の悪化も考えられますし,もちろんそれまで疼痛のコントロールが不十分だったということで薬を変えたんじゃないかと思います。」と証言している(P5証人〔証人調書14頁〕)ことに照らすと,上記のように処方された薬が強くなったことから,直ちに疼痛が悪化したと認めることは相当ではないというべきである。 また,前記⑵ウ(ア)のとおり,P2整形外科の診療録には,平成19年3月1日「下腿内側さわるだけで痛い」,平成21年2月7日「創部疼痛は変わらない」,平成21年10月14日「痛覚過敏(+)」,平成22年5月11日「創部ソフトタッチで疼痛」などの原告の疼痛に関する記載があることなどからすると,診療録の記載から原告の疼痛が平成22年6月以降悪化したことを直ちに読み取ることも困難である。 そして,被告は,P5医師が原告の痛みが増強している旨証言して いる点として,P5医師は,平成22年6月以降になると急にそれまでできていた歩行などができなくなるのはどのようなことかとの被告代理人の質問に対し,①「疼痛が増してきたんだと思いますけれども。」と述べ,原告の痛みは当初は軽く,徐々に増してきて処方薬も強くなってきたのかとの被告代理人の質問に対し,②「強度としては上がってきたんだと思いますけれども」と証言していることを指摘する(P5証人〔証人調書18,20頁〕)。 しかしながら,P5医師は,いずれも,原告の疼痛が悪化したかどうかを質問されて証言したのではなく,原告代理人が診療録(甲37)の一部を示すなどして,それまでできていた歩 証人調書18,20頁〕)。 しかしながら,P5医師は,いずれも,原告の疼痛が悪化したかどうかを質問されて証言したのではなく,原告代理人が診療録(甲37)の一部を示すなどして,それまでできていた歩行などができなくなったということを前提にしてその理由を聞く質問に対し,上記①のとおり証言し,また,原告代理人がカルテの状況からすれば,徐々に痛みが増してきて,だんだんと薬も強くしてコントロールできなくなったと思われるが,いかがですかと質問したのに対し,上記②のとおり証言しているにすぎないのであって,原告の痛みが増強してきたと明確に証言しているわけではない。 むしろ,P5医師は,被告代理人からの「先ほどから先生は,先生が診られたときと,受傷時から変わってないというのがご認識なんですよね。」という質問に対し,「そうですね。」と証言し(P5証人〔証人調書19頁〕),原告の症状について,「多少の変動はあるとは思いますが,(中略)ああいう疼痛はそんなに急激に変わるわけがないというのは,経験から思います。」(P5証人〔証人調書15頁〕)と証言しているのであって,P5医師の証言から,原告の疼痛が増強してきたと認めることは困難である(もっとも,P5医師は,一般論として,神経が切れた場合,痛みが増強してくることはよくあることである旨を証言している。)。 これらに加えて,P5医師が「神経が切れたときの疼痛の性質は変わっていない,強さの程度の差はあったかと思いますけれども。」(P5証人〔証人調書19頁〕),「神経障害を思わせるような疼痛は変わってないと思います。ただ,強度は変わってきたんだと思いますね。」(P5証人〔証人調書28,29頁〕)と証言していることを併せ考えると,被告の指摘するところによっても,本件傷病の受傷時から有していた神経障害性疼痛 す。ただ,強度は変わってきたんだと思いますね。」(P5証人〔証人調書28,29頁〕)と証言していることを併せ考えると,被告の指摘するところによっても,本件傷病の受傷時から有していた神経障害性疼痛が悪化した可能性があるということが認められるにすぎず,原告の疼痛が神経障害性疼痛であることが否定されるものではないというべきである。 エ次に,原告の本件傷病に基づく神経障害性疼痛の程度が「軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの」といえるか否かについて検討する。 (ア) 証拠(甲16,33,34,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,原告が勤務していたときの状況につき,次のとおりの事実が認められる。 a 原告は,本件傷病の受傷後,治療等のため本件会社の勤務を休んでいたが,その後,平成22年1月21日から平成25年6月まで,千葉県船橋市に所在する本件会社の倉庫(資材センター)に勤務していた。 b 上記資材センターにおける原告の業務の内容は,倉庫に1人で常駐し,倉庫内に置かれている溶接工具等を,資材センターに所属している運転手が持ち出したときに,その個数を確認してパソコンに入力し,溶接工具等が不足した場合,その分の発注をするため業者に電話をし,1ないし2週間に1度程度,業者が品物を運んできたときに,その置く場所を指示し,伝票を受け取り,整理をするというものであった。 c 原告は,週に4日から6日勤務し,体調不良や痛みが激しい時は休みをとっていた。そして,原告は,午前8時45分から9時30分の間に出勤し,午後5時まで倉庫にいたものの,そのうちの大半の時間は何もしないか休憩をしていた。 d 原告が上記のとおりの勤務をすることになったのは,本件傷病の受傷後,本件会社に頼み込み,何とか体の負担がないところで仕事をさせてもらえる ,そのうちの大半の時間は何もしないか休憩をしていた。 d 原告が上記のとおりの勤務をすることになったのは,本件傷病の受傷後,本件会社に頼み込み,何とか体の負担がないところで仕事をさせてもらえるように願い出たことによるものである。 (イ) 上記(ア)の原告の業務内容に照らすと,その労働は,「軽易な労働以外の労働」に該当しないものであることが明らかである。そして,原告が上記の勤務を開始した経緯や,その業務の内容が約3年半もの間変わらなかったことにも照らすと,上記の業務の内容は,原告の労働能力を反映したものとみることが可能である。 (ウ) そして,前記のとおり,原告は,疼痛のための治療を継続し,平成22年6月1日には,腰部硬膜外ブロックの処置,平成25年6月19日には,断端神経腫切除術,神経切断術を受け,同年10月には,脊髄刺激発生装置植込術まで受け,以後脊髄刺激療法を開始していることや,前記⑵ウ(ア)のとおり,P2整形外科の診療録において,平成19年3月1日に「下腿内側さわるだけで痛い」,平成22年5月11日に「創部ソフトタッチで疼痛」などの記載があり,その当時,軽く触れるだけで疼痛が生じていたと認められることのほか,前記⑵で認定した診療経過等をみると,原告には,本件傷病の受傷後,継続して相当程度の疼痛があったと推認することができ,また,平成22年6月1日に腰部硬膜外ブロックの処置をしていることも,同年5月当時,原告が相当程度の疼痛に悩まされていたことを客観的に裏付けるものということができる。 (エ) また,前記⑵イ(オ),(カ),(キ),(ク)のとおり,平成23年1 1月29日付けP8医師作成の診断書において,「痛みが強い為現在では極軽い労働しか出来ない状態である。」,平成24年6月19日付けP8医師作成の診断書において ),(ク)のとおり,平成23年1 1月29日付けP8医師作成の診断書において,「痛みが強い為現在では極軽い労働しか出来ない状態である。」,平成24年6月19日付けP8医師作成の診断書において,「疼痛の程度は現在日常生活に支障はないが,軽度な労働以上は不可能と診断します。」,平成24年6月19日付けP9医師作成の診断書において「軽労作,デスクワークなどは可能と思われるが,重労働は不能と考えます。」,平成24年10月9日付けP9医師作成の診断書において,「下腿疼痛のためデスクワーク以上の労務は不能と認めます。」とされていること,前記⑵イ(ス)のとおり,P5意見書において,「持続的な痛みに加えて右下肢を床につけたり体重の荷重により激痛がある。このため軽易な労働以外の労働に常に支障があると評価できることは,間違いないところである。」とされ,また,P5医師は,「四六時中激しい疼痛が続いているということで,動いても痛いし,同じ姿勢を取っても痛がるということで,まず,作業ができても軽いものであろうということですね。」との証言をしているところ(P5証人〔証人調書5頁〕),各医師の診断は,原告の訴えを基礎にしていると考えられることを踏まえても,前記⑶イ(ウ)で述べたとおり,その信用性は高いものというべきであり,各医師が,その当時の原告の疼痛の程度を推し量った上で,原告の労働能力について評価しているものというべきである。また,これらの診断の時期は,平成23年11月29日以降のものではあるが,前記⑶ウ(イ)で検討したとおり,本件傷病の受傷後,神経障害性疼痛が次第に増強してきた可能性があるものの,前記⑵イ(シ)のとおり,平成26年10月16日付けP3医師の回答書には,平成18年9月4日から平成22年10月14日までの間,症状(右下腿痛,右足関節 疼痛が次第に増強してきた可能性があるものの,前記⑵イ(シ)のとおり,平成26年10月16日付けP3医師の回答書には,平成18年9月4日から平成22年10月14日までの間,症状(右下腿痛,右足関節痛)は持続していた旨の記載があることなどに照らすと,本件傷病の受傷後,原告の痛みの程度に顕著な変化があっ たとは考えられず,前記(ウ)で述べたところの原告の平成22年5月当時の症状の程度を裏付けるものということができる。 (オ) なお,前記⑵イ(イ)のとおり,平成22年診断書には,平成22年1月21日現症時の日常生活活動能力及び労働能力として,「15分程度の屋外歩行で疼痛が出現する為,一日立ち仕事は困難,デスクワークは可能。」との記載があるが,「デスクワーク」は,幅のある多義的な表現であり,現症時以降である平成22年5月当時には,原告は,前記のとおり,資材センターに「勤務」しており,これをも「デスクワーク」といい得ることにも照らすと,それ自体で原告の労働能力を判断することは困難であるというほかはない。 (カ) 以上によれば,原告の平成22年5月当時の症状は,相当の痛みを有するものであったと評価することができ,具体的には,右下腿に軽く触れるだけで痛みを感じ,動いても同じ姿勢を取っていても痛みを感じるというものであって,そのような症状を有していれば,動作が相当程度制限され,労働をするにしても常時集中していることが困難であることは容易に推認することができる。このことに加え,その当時勤務していた資材センターにおける業務内容等から推認することができる原告の労働能力や,原告を診断した各医師の労働能力等に関する意見等をも踏まえると,平成22年5月時点における原告の神経障害性疼痛の程度は,「軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの」と評価す 原告の労働能力や,原告を診断した各医師の労働能力等に関する意見等をも踏まえると,平成22年5月時点における原告の神経障害性疼痛の程度は,「軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの」と評価することができるものというべきである。 なお,被告は,原告の疼痛が神経障害性疼痛であると客観的に明らかになっているとはいえず,神経障害性疼痛のみによるものとして神経系統の認定基準による認定の対象とすることはできない旨を主張するところ,前記⑵イ(カ)のとおり,平成24年6月19日付けP8医師作成の診断書には,原告の疼痛の原因として,「偽関節による侵害 受容性疼痛とそれに誘発された神経障害性疼痛による混合性疼痛である」との記載があるものの,P5医師は,証人尋問において,原告の疼痛は,神経障害性疼痛が中心になっている旨,P5意見書は神経障害性疼痛に焦点を当てており,神経障害があったために出ている疼痛であることは間違いない旨,神経障害性疼痛と侵害受容性疼痛とは疼痛として質が異なり,分けることができる旨を証言していること(P5証人〔証人調書9,21頁〕)などを踏まえると,仮に原告の疼痛に侵害受容性疼痛が併存していたとしても,このことは,上記の判断を左右しないというべきである。 ⑸ 以上に述べたところによれば,原告は,平成22年5月当時,神経障害性疼痛を有しており,それは,軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものと評価すべきであるから13号に該当し,原告の障害の状態は,障害等級3級に該当するということになる(なお,被告は,本件処分が平成22年診断書及びP3医師回答書に基づいて原告の障害の状態について判断したことは違法ではない旨を主張するが,前記⑴のとおり,少なくとも,裁判所が,支給を停止する処分の違法性を判断するに当たり,診断書の他に障害 及びP3医師回答書に基づいて原告の障害の状態について判断したことは違法ではない旨を主張するが,前記⑴のとおり,少なくとも,裁判所が,支給を停止する処分の違法性を判断するに当たり,診断書の他に障害の程度を判断するために合理的な資料が得られる場合にこれを含めて判断することを妨げるものではないというべきであるし,本件においては,前記⑵イ(イ)のとおり,平成22年診断書には疼痛に関する記載があったのであって,これまで述べたところに照らせば,本件処分時において,かかる診断書の記載等を踏まえて調査を尽くした上で判断すべきであったということができる。)。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件処分は違法であるから,取り消されるべきである。 2 争点2について⑴ 原告は,本件義務付けの訴えにおいて,本件処分が取り消されるべきで あるとした上で,原告が支給を受けるべき平成22年6月1日から平成25年7月5日までに支払われるべき年金総額である金319万3101円及びこれに対する遅延損害金を支払うことの義務付けを求めている。 ⑵ 行政事件訴訟法において,「義務付けの訴え」とは,同法3条6項1号又は2号の場合において,行政庁がその「処分」又は「裁決」をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいうところ,原告が義務付けを求める対象が上記にいう「裁決」に当たらないことは明らかであるから,これが上記にいう「処分」に当たるか否かを検討すると,この場合の「処分」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為であって既に述べた「裁決」以外のもの(同条2項),すなわち,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解するのが相当である(最高 項),すなわち,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)。しかるに,原告が義務付けを求める対象は,本件処分が取り消されることを前提とした年金及び遅延損害金の支払であり,かかる支払自体は直接権利義務を形成し又はその範囲を確定するものということはできないから,上記の「処分」に該当しないといわざるを得ない。 ⑶ したがって,本件義務付けの訴えは,不適法であり,却下を免れない。 3 結論以上の次第で,原告の訴えのうち,本件義務付けの訴えは不適法であるからこれを却下し,本件処分の取消しを求める請求は理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官舘 内 比佐志 裁判官荒谷謙介 裁判官宮端謙一

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る