平成7(行ツ)122 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成11年10月21日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 昭和63(行コ)51
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判決文本文2,724 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 一上告代理人兼上告補助参加代理人熊野勝之、同藤田一良、同加島宏、同小坂井久、同川下清、同坂和優、同西村陽子、同持田明広、同田中稔子、同加藤清和の上告理由A第一点ないし第六点、同B第一点、同C第一点、同D第一点、同E第一点及び第二点並びに同F第一点について 1 憲法の政教分離原則の趣旨からすれば、憲法二〇条一項後段にいう「宗教団体」、憲法八九条にいう「宗教上の組織若しくは団体」とは、特定の宗教の信仰、礼拝、普及等の宗教的活動を行うことを本来の目的とする組織ないし団体を指すものと解すべきである。所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実及び原審が適法に確定したその余の事実関係の下では、財団法人S会(以下「S会」という。)及びその支部であるT会(以下「U会」という。)が行う英霊顕彰事業にはV神社の参拝の実施等の宗教的色彩を帯びた活動も含まれているが、これらの活動を含む右事業は、会の本来の目的として、特定の宗教の信仰、礼拝、普及等の宗教的活動を行おうとするものではなく、その会員が戦没者の遺族であることにかんがみ、戦没者の慰霊、追悼、顕彰のための右行事等を行うことが、会員の要望に沿うものであるとして行われていることが明らかであり、これらの点を考慮すれば、S会及びU会は、いずれも、特定の宗教の信仰、礼拝、普及等の宗教的活動を行うことを本来の目的とする組織ないし団体には該当しないものというべきであって、前記「宗教団体」又は「宗教上の組織若しくは団体」に該当しないと解するのが相当である。以上のことは、最高裁昭和四六年(行ツ)第六九号同五二年七月一三日大法廷判決・民集三一巻四号五三三頁、最高- 1 - 「宗教団体」又は「宗教上の組織若しくは団体」に該当しないと解するのが相当である。以上のことは、最高裁昭和四六年(行ツ)第六九号同五二年七月一三日大法廷判決・民集三一巻四号五三三頁、最高- 1 -裁昭和五七年(オ)第九〇二号同六三年六月一日大法廷判決・民集四二巻五号二七七頁、最高裁平成四年(行ツ)第一五六号同九年四月二日大法廷判決・民集五一巻四号一六七三頁の趣旨に徴して明らかというべきである(最高裁昭和六二年(行ツ)第一四八号平成五年二月一六日第三小法廷判決・民集四七巻三号一六八七頁参照)。 したがって、箕面市から、社会福祉法人W協議会(以下「W協議会」という。)を経て、U会に配分された本件補助金の支出及び同市の職員による本件書記事務への従事は、憲法二〇条一項後段、八九条に違反するものではない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。 2 また、右のとおり、U会が特定の宗教の信仰、礼拝、普及等の宗教的活動を本来の目的とする団体に当たるとはいえないところ、【要旨】原審の適法に確定した事実関係の下においては、本件補助金の支出及び本件書記事務への従事の目的は、遺族の福祉増進にあることが明らかであり、遺族の福祉増進の面での金銭的ないし事務補助による援助が結果としてU会の宗教性を帯びた活動に対する間接的な援助となる面があるとしても、その効果は、間接的、付随的なものにとどまっており、特定の宗教を援助、助長、促進し、又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるようなものとは認められない。したがって、本件補助金の支出及び本件書記事務への従事は、宗教とのかかわり合いの程度が、我が国の社会的、文化的諸条件に照らし、信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとは認められず、憲法二〇条三項により禁止される宗教的活動 かかわり合いの程度が、我が国の社会的、文化的諸条件に照らし、信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとは認められず、憲法二〇条三項により禁止される宗教的活動に当たらないと解するのが相当である。このことは、前掲各大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。 これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。 3 以上のとおり、原判決に所論の違憲、違法はなく、論旨は、いずれも採用することができない。 二同G第一点、第二点及び第四点について- 2 -原審の適法に確定した事実関係の下においては、社会福祉事業法五六条一項に規定する条例が制定されていない状態で社会福祉法人に助成がされた場合においても、同条二項以下の規定による地方公共団体の監督が及ぶものとし、また、W協議会に対する本件補助金の交付の経過等を考慮すると、右条例が存在しないことから直ちに同協議会に対する本件補助金の交付が地方自治法二四二条の二第一項四号所定の住民訴訟において損害賠償の対象となるような違法な公金の支出になるとはいえないとした原審の判断は、いずれも正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、違憲をいう点を含め、右と異なる見解に立って原審の右判断における法令解釈の誤りをいうものに帰し、いずれも採用することができない。 三同G第三点について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。原審の適法に確定した事実関係の下では、U会が慈善又は博愛の事業を行っているとはいえず、本件補助金支出の憲法八九条違反をいう所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は採用することができない。 四同H第一点ないし第八点について所論の点に関する原審の事 の事業を行っているとはいえず、本件補助金支出の憲法八九条違反をいう所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は採用することができない。 四同H第一点ないし第八点について所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係の下においては、U会に対する本件補助金の支出及び本件書記事務への従事が地方自治法二三二条の二の規定する公益上の必要性に基づくものということができるとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。論旨は、違憲をいう点を含め、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は右と異なる見解に立って原判決の法令解釈の誤りをいうものにすぎず、採用することができない。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 - 3 -(裁判長裁判官小野幹雄裁判官遠藤光男裁判官井嶋一友裁判官藤井正雄裁判官大出峻郎)- 4 -

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