-1-平成25年6月20日判決言渡平成25年(行コ)第4号免許更新修了確認期限延期申請棄却処分取消請求控訴事件 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 熊本県教育委員会が平成23年3月17日付けで控訴人に対してした修了確認期限延期申請の棄却処分を取り消す。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要(略称は原判決の例による。) 1 本件は,小学校教諭一級普通免許状等を有していた控訴人が,免許状更新講習の課程を修了したことについて修了確認期限(教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律(改正法)附則2条3項)までに,免許管理者である熊本県教育委員会(処分行政庁)による確認(更新講習修了確認)を受けなければならないところ(改正法附則2条2項),改正法附則2条10項,教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令(改正省令)附則9条1項3号及び改正法附則2条4項に基づき,処分行政庁に対し,上記修了確認期限の延期を申請した(本件申請)ものの,処分行政庁により本件申請を棄却する処分を受けた(本件処分)ため,本件処分は違法であるとして,被控訴人に対し,本件処分の取消しを求めた事案である。 被控訴人は,① 控訴人の請求が認められ,本件処分が取り消され,本件休職により本件修了確認期限が延期されることになるとしても,本件延期期間は,延期すべき事由がなくなった本件休職の終了日から起算して2年2か月の期-2-間(平成23年12月4日まで)の範囲内で定められるところ,同日は既に経過しているから,本件処分の取消しは無意味であり,控訴人の請求には訴えの利益がない,② 控訴人は,本件休職を延期事由としないも 間(平成23年12月4日まで)の範囲内で定められるところ,同日は既に経過しているから,本件処分の取消しは無意味であり,控訴人の請求には訴えの利益がない,② 控訴人は,本件休職を延期事由としないものであることを明確にしていたところ,被控訴人は,本件申請延期事由等について延期の可否を判断し,本件処分を行ったものであるから何ら違法な点はないとして,請求を争った。 原審は,① 控訴人の請求に訴えの利益はあるとしたが,② 控訴人は,処分行政庁から,本件申請書について,本件申請延期事由を「延期事由」とし,本件申請延期期限を「延期を申請する修了確認期限」とすることにつき,申請内容の変更を求められたが,控訴人においては,この行政指導に従う意思がないことを明確にし,むしろ,本件申請延期事由及び本件申請延期期限について審査及び許否の決定を求めるという断固たる意思を明確にしていたことが明らかであるとし,本件申請延期事由は文部科学省令で定める本件各延期事由に該当するとは認められないとして,控訴人の請求を棄却した。 控訴人はこれを不服として控訴した。 2 教員免許更新制の概要等,前提事実,争点及び争点に対する当事者の主張は,次項のとおり当審における控訴人の主張を追加するほか,原判決「事実及び理由」中「第2 事案の概要」1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 当審における控訴人の主張控訴人は,意に反する休職を強要されたため,本件申請延期事由として「休職」とは記載できず,本件申請書に,「長期の遠距離勤務のため未受講」(本件申請延期事由)と記載せざるを得なかった。上記の事情の下では,本件申請延期事由は,改正法附則2条4項,改正省令附則7条1項各号の「やむを得ない事由」(本件各延期事由)に当たるというべきである。 控訴人 事由)と記載せざるを得なかった。上記の事情の下では,本件申請延期事由は,改正法附則2条4項,改正省令附則7条1項各号の「やむを得ない事由」(本件各延期事由)に当たるというべきである。 控訴人は,原審において,本件申請延期事由は「やむを得ない事由」に該当-3-するとの主張はしないとしたが,改めて本件申請延期事由が「やむを得ない事由」に該当するとの主張をする。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件控訴は理由がないものと判断する。その理由は,次項のとおり当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほか,原判決「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 当審における控訴人の主張に対する判断(1) 控訴人は,本件申請延期事由が「やむを得ない事由」に該当すると主張する。 しかし,更新講習は,必修領域に係る講習(12時間以上)及び選択領域に係る講習(18時間以上)の合計30時間以上受講することが必要であるが,同一大学で全て受講することもでき,例えば30時間を,必修をA大学で2日間,選択をB大学で2日間,C大学で1日間というように分けて受講することも可能である。開講期間は,長期休業期間中か,そうでない場合には土曜日又は日曜日であった。(乙5,6)熊本県内においては,更新講習会場は,a大学,熊本大学黒髪キャンパス,b大学熊本キャンパス,c大学及びd高等専門学校八代キャンパスの5会場が用意されている。控訴人の自宅と各会場への距離とその間の移動に必要な時間は,それぞれ,もっとも移動時間が短いa大学で約33.3キロメートルで約74分(JR有佐駅まで徒歩30分を含む。)であり,もっとも移動時間が長い熊本大学黒髪キャンパスでも約33.3キロメートルで約85分である。(乙3) 間が短いa大学で約33.3キロメートルで約74分(JR有佐駅まで徒歩30分を含む。)であり,もっとも移動時間が長い熊本大学黒髪キャンパスでも約33.3キロメートルで約85分である。(乙3)以上のとおり,更新講習は5日間ですませることができ,長期休業期間中か,そうでない場合には土曜日又は日曜日に受講が可能であること,更新講習会場を分けて受講することも可能であったこと,上記のとおり更新講習会-4-場は控訴人の自宅からそれほど遠いとはいえず,更新講習に要する期間が5日間にとどまることからすれば更新講習会場に通うことが困難であるともいえず,受講について特に問題があったとはいえないことからすれば,本件申請延期事由は「やむを得ない事由」に当たらないというべきである。 (2) 控訴人は,更新講習受講の機会が与えられなかったとも主張する。 しかし,処分行政庁は,本件申請延期事由が本件各延期事由とは認められないとして,控訴人に対し,度々,申請延期事由を「休職のため(平成19年10月5日~平成21年10月4日)」に補正するよう行政指導したものの,控訴人はこれに応じようとせず,本件申請延期事由を補正しないことを表明したものである。控訴人は,以上のような事情の下で更新講習修了確認期限の延期が認められなかったにすぎないから,控訴人に更新講習受講の機会が与えられなかったとはいえない。 (3) 控訴人は,休職とされたことは意に反するものであるとして縷々不満を主張するが,これが更新講習修了確認期限の延期を申請する上での「やむを得ない事由」に当たらないことは明らかである。 (4) 控訴人は,原審において本人尋問の機会が与えられていないとも主張する。 しかし,原審における控訴人訴訟代理人は,控訴人本人尋問の申出をし,平成24年7月2日,上記申出が 明らかである。 (4) 控訴人は,原審において本人尋問の機会が与えられていないとも主張する。 しかし,原審における控訴人訴訟代理人は,控訴人本人尋問の申出をし,平成24年7月2日,上記申出が採用され,同年9月24日の口頭弁論期日において尋問を実施するとされたものの,同月3日,控訴人訴訟代理人が上記申出を撤回している。よって,本件で,控訴人に本人尋問の機会が与えられていないとはいえない。 3 よって,原判決は相当であるから本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第3民事部 裁判長裁判官犬飼眞二-5- 裁判官青木亮 裁判官清野英之
▼ クリックして全文を表示