【DRY-RUN】○ 主文 一 本件訴を却下する。 二 訴訟費用は、原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告は、愛媛県伊予市に対し金一〇九万円及びこれに対する昭和五五年五月一 〇
○ 主文 一 本件訴を却下する。 二 訴訟費用は、原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告は、愛媛県伊予市に対し金一〇九万円及びこれに対する昭和五五年五月一 〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は、被告の負担とする。 3 右第1項につき、仮執行宣言。 二 本案前の申立て 主文第一、二項と同旨 第二 当事者の主張 一 請求原因 1 原告は、愛媛県伊予市(以下「伊予市」という。)の住民である。 被告は、昭和五〇年二月三日から二期引き続いて伊予市の市長であり、同市が経営 する水道事業の管理者である。 2 被告は、右水道事業管理者として、白石設計有限会社(以下「白石設計」とい う。)との間に、昭和五三年四月一四日、伊予市上水道第五次拡張工事の監理を、 代金一〇九万円で委託する契約(以下「本件契約」という。)を締結した。 3 しかし、本件契約の締結は、次の理由により違法である。 すなわち、水道法一二条によれば、水道事業者は、水道布設工事を自ら施行し、又 は他人に施行させる場合においては、その職員を指名し、又は第三者に委嘱して、 その工事の施行に関する技術上の監督業務を行なわせなければならないこととなつ ており、また、他方自治法二三四条の二によれば、普通地方公共団体が工事若しく は製造その他についての請負契約又は物件の買入れその他の契約を締結した場合に は、当該普通地方公共団体の職員は、政令の定めるところにより、契約の適正な履 行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認をするため、必要な監督又は検 査をしなければならないことになつている。もつとも、地方自治法施行令一六七条 の一五第四項によれば、特に専門的な知識又は技能を必要とすることその他の理由 により当該地方公共団体の職員によつて監督又は検査を行うことが困難で ないことになつている。もつとも、地方自治法施行令一六七条 の一五第四項によれば、特に専門的な知識又は技能を必要とすることその他の理由 により当該地方公共団体の職員によつて監督又は検査を行うことが困難であり、又 は適当でないと認められるときは、当該地方公共団体の職員以外の者に委託して、 当該監督又は検査を行わせることができることとなつている。ところで、本件契約 締結当時、伊予市には、上水道拡張工事の監督又は検査を行うことのできる有資格 技術職員(一級建築士三名、土木測量士二名、管工事施工管理技士三名)がおり、 これらの職員で充分右工事の監督・検査を行うことができた。 したがつて、本件契約を締結する必要は全くなかつたものであり、本件契約の締結 は、違法である。 4 被告は、本件契約の締結が前記のように違法であることを知つていたものであ り、仮に知らなかつたとしても、知らなかつたことについて重大な過失がある。 5 本件契約に基づき、伊予市は、昭和五四年三月三一日、白石設計に対し、前記 代金一〇九万円を支払つた。 6 そこで、原告は、昭和五五年三月二二日、伊予市監査委員に対し、監査を求 め、被告の前記行為によつて伊予市の被つた損害を補填するために必要な措置を講 ずべきことを請求したが、その請求は、同年四月一二日却下された。 よつて、原告は、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、伊予市に代位し て、被告に対し、損害金一〇九万円及びこれに対する訴状送達の翌日である昭和五 五年五月一〇日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払 を求める。 二 1 本案前の答弁 7 地方自治法二四二条二項によれば、監査請求は、その対象となる行為のあつた 日又は終つた日から一年を経過したときは、これをすることができないものとされ ている。ところで、本件契約につき、監査請求ができるのは 方自治法二四二条二項によれば、監査請求は、その対象となる行為のあつた 日又は終つた日から一年を経過したときは、これをすることができないものとされ ている。ところで、本件契約につき、監査請求ができるのは、遅くとも、本件契約 上の白石設計の履行行為の完了により、伊予市の本件契約代金支払債務が確定し、 代金一〇九万円の支払がなされた昭和五三年一二月二八日から一年後の昭和五四年 一二月二八日までである。しかるに、原告が監査請求を行つたのは、昭和五五年三 月二二日である。以上のとおり、本件訴えは、適法な監査請求を前置しないで提起 されたものであるから、不適法である。 2 請求原因に対する認否 (一) 請求原因1及び2の各事実を認める。 (二) 同3の事実のうち、本件契約締結当時伊予市に上水道拡張工事の監督又は 検査を行うことのできる有資格技術職員がおり、これらの職員で充分右工事の監 督・検査を行うことができたことは、否認する。 (三) 同4の事実を否認する。 (四) 同5の事実は、代金支払日の点を除いて、認める。代金支払日は、昭和五 三年一二月二八日である。 (五) 同6の事実を認める。 三 本案前の答弁に対する原告の主張 1 本件契約上の白石設計の履行行為が完了したのは、昭和五四年四月二二日であ る。すなわち、伊予市上水道第五次拡張工事では、昭和五三年一二月から試送水が 行われたところ、全自動操作式揚水ポンプが予定どおり作動しなかつた。これは、 揚水ポンプにフード弁が取り付けられていないことによるものであることが、昭和 五四年二月になつて判明し、二号機ポンプには同年三月三日、一号機ポンプには同 年四月二二日に右弁がそれぞれ取り付けられて、揚水ポンプが完全に作動可能とな つた。したがつて、本件契約上の白石設計の履行行為も、昭和五四年四月二二日ま で完了していなかつたものというべきであ プには同 年四月二二日に右弁がそれぞれ取り付けられて、揚水ポンプが完全に作動可能とな つた。したがつて、本件契約上の白石設計の履行行為も、昭和五四年四月二二日ま で完了していなかつたものというべきであるから、本件契約については、昭和五四 年四月二二日から一年後の昭和五五年四月二二日まで監査請求できるものとすべき である。 2 仮に、右主張が容れられないとしても、伊予市上水道第五次拡張工事が完成 し、各種の精算が終つたのは、昭和五四年三月三一日であるから、この日から一年 後の昭和五五年三月三一日まで監査請求ができるものとすべきである。 3 仮に、右の主張も容れられず、原告の監査請求が地方自治法二四二条二項所定 の期間経過後になされたものであるとしても、右期間を徒過したことについて、原 告には、正当な理由がある。すなわち、本件契約については、Aが昭和五四年一二 月二二日監査請求をし、昭和五五年二月二〇日、その請求を棄却されたが、この棄 却処分の通知書の理由の中に、本件契約締結当時伊予市水道課には上水道拡張工事 の監督・検査を行うことのできる有資格者は一名しかいなかつたので、本件契約を 締結するのもやむを得なかつた旨の記載があつた。ところが、その後、伊予市水道 課には本件契約締結当時他に一名の有資格者が勤務していたことが分り、右記載は 虚偽であることが明らかになつたので、直ちに、原告は、監査請求をしたものであ る。以上の次第であるから、期間経過後に監査請求したことについて、原告には、 正当な理由がある。 第三 証拠(省略) ○ 理由 一 まず、監査請求前置の点について判断する。 1 地方自治法二四二条二項によれば、監査請求は、当該行為のあつた日又は終つ た日から一年を経過したときは、これをすることができないものとされている。 証人Bの証言及びこれにより真正に成立したものと認められ 地方自治法二四二条二項によれば、監査請求は、当該行為のあつた日又は終つ た日から一年を経過したときは、これをすることができないものとされている。 証人Bの証言及びこれにより真正に成立したものと認められる乙第二号証によれ ば、被告は、伊予市の市長で、同市が経営する水道事業の管理者として、白石設計 との間に、昭和五三年四月一四日、本件契約を締結したことが認められる。 そうすると、本件契約の締結が違法であるとして、伊予市の住民が伊予市監査委員 に対し監査請求ができるのは、本件契約が締結された昭和五三年四月一四日から一 年後の昭和五四年四月一四日までであるといわなければならない。しかるに、本件 契約の締結が違法であつたことによつて伊予市の被つた損害を補填するために必要 な措置を講ずべきことを請求して、原告が伊予市監査委員に対し監査請求をしたの が昭和五五年三月二二日であることは、成立に争いのない甲第二号証(原告の監査 請求書)及び原告本人尋問の結果により明らかである。 原告も被告も、地方自治法二四二条二項にいう、当該行為の「終つた日」とは、当 該行為又はその効力が相当期間継続性を有するものについて、当該行為又はその効 力が終了した日を指すものと解し、本件契約について、いつその効力が終了したか を問題にするが、当該行為の「あつた日」が一時的行為のあつた日を意味するのに 対し、当該行為の「終つた日」とは、その文理上、継続的行為について、その行為 が終つた日を意味するものと解される。したがつて、契約締結行為に違法があるこ とを理由とする監査請求は、契約の締結された日から一年内にしなければならない ものというべきである。(なお、原告において、本件契約に基づく代金の支払等の 各履行行為又は代金支払のための公金の支出行為に違法な点があるというのであれ ば、それぞれの行為を対象に当該各行為のあつ ない ものというべきである。(なお、原告において、本件契約に基づく代金の支払等の 各履行行為又は代金支払のための公金の支出行為に違法な点があるというのであれ ば、それぞれの行為を対象に当該各行為のあつた日又は終つた日から一年内に監査 請求をすべきであつた。) 以上によれば、原告の監査請求は、地方自治法二四二条二項所定の期間経過後にな されたものといわざるを得ない。 2 原告は、監査請求期間の徒過について、同条項但書の正当な理由があると主張 するが、原告の主張する事由がそのとおりあつたとしても、それが右但書の正当な 理由に当たるものと考えられない。 二 そうすると、本件訴えは、適法な監査請求を前置しないで提起されたものであ つて、不適法であるから、これを却下し、訴訟費用の負担について民訴法八九条を 適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官 渡邊 貢 岩谷憲一 松原正明)
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