令和7年10月8日判決言渡令和6年(行ケ)第10085号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和7年7月28日判決 原告株式会社ラプラス・システム 同訴訟代理人弁護士奥村直樹同松野仁彦同訴訟代理人弁理士森脇正志 同安藤康浩同工藤嘉晃 被告株式会社フィールドロジック 同訴訟代理人弁護士冨宅恵同藤原誠同訴訟代理人弁理士高山嘉成 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が無効2023-800022号事件について令和6年8月13日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 設定登録被告は、令和3年4月22日、発明の名称を「出力制御装置、出力制御プログラム、及びそれを用いた太陽光自家消費システム」とする特許出願(特願2021-072826号)をし、令和4年1月7日、特許権の設定の登 録を受けた(特許第7004987号、請求項の数は24。特許公報は甲25。以下「本件特許」という。)。 ⑵ 無効審判請求、訂正請求原告は、令和5年3月30日、本件特許の請求項1ないし24に係る発明につき特許庁に無効審判(無効2023-800022号)を請求した(甲 14)。 被告は、令和5年8月4日、本件特 正請求原告は、令和5年3月30日、本件特許の請求項1ないし24に係る発明につき特許庁に無効審判(無効2023-800022号)を請求した(甲 14)。 被告は、令和5年8月4日、本件特許の特許請求の範囲及び明細書につき訂正請求をした(甲14)。 特許庁は、令和6年1月12日付けで、審理事項通知書を発した(甲14)。 被告は、令和6年4月26日、手続補正書(甲14)を提出し、前記訂正 請求に係る訂正請求書を補正した(以下、令和6年4月26日付け手続補正書により補正された後の、令和5年8月4日付け訂正請求に係る訂正を「本件訂正」といい、本件訂正後の明細書及び図面を「本件明細書等」という。 本判決中で言及する図面は、別紙1図面記載のとおりである。訂正後の請求項の数24)。 ⑶ 審決特許庁は、令和6年8月13日、特許第7004987号の特許請求の範囲を、本件訂正に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、請求項〔1~5〕、〔6、7〕、〔8~12〕、〔13~16〕、〔17~20〕、〔21~24〕について訂正することを認める、本件審判の請求は成り立たない とする審決(以下「本件審決」という。本件審決の内容は別紙2審決書(写 し)のとおり。)をし、その謄本は、令和6年8月23日、原告に送達された。 ⑷ 本件訴訟の提起原告は、令和6年9月17日、前記第1記載のとおり、本件審決の取消し(ただし、本件訂正を認めた点については争わない。)を求めて、本件訴訟を提起した。 2 本件訂正後の特許請求の範囲本件訂正の内容は、本件審決第3の2、同4頁8行目ないし12頁24行目に記載のとおりである。 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし24の記載は、本件審決第3の2⑵、同17頁22 請求の範囲本件訂正の内容は、本件審決第3の2、同4頁8行目ないし12頁24行目に記載のとおりである。 本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし24の記載は、本件審決第3の2⑵、同17頁22行目ないし22頁26行目記載のとおりである(以下、 本件訂正後の請求項1ないし24の各発明をそれぞれ「本件発明1」ないし「本件発明24」と、それらを併せて「本件各発明」という。)ところ、このうち請求項1の記載は、以下のとおりである(なお、「1A」等は本件審決における分説であり、後記3⑵の甲1発明との対比において「発明特定事項1A」のようにして参照する場合がある。)。 「1A 太陽電池と、太陽電池の発電電力を制御するパワーコンディショナと、電力送配電網からの商用電力を負荷に供給するための受変電設備とを備える太陽光発電自家消費システムにおいて、前記パワーコンディショナの出力電力を制御するための出力制御装置であって、1B 前記負荷の消費電力と前記パワーコンディショナの最大出力可能電力 であるPCS定格との比率に対応させて、前記消費電力から引く電力の値を設定差分値として予め登録した比率・設定差分値テーブルを記憶している記憶部と、1C1 現在の前記消費電力と前記PCS定格との前記比率を算出し、1C2 前記比率・設定差分値テーブルを参照して、算出した前記比率に対 応する前記設定差分値を決定し、 1C3 現在の前記消費電力から決定後の前記設定差分値を引いた値を、前記PCS定格で割って、当該割った値を出力指令値とし、1C 前記出力指令値を前記パワーコンディショナに送信して、前記パワーコンディショナの出力を制御する制御部とを備え、1D 前記比率・設定差分値テーブルにおいて、前記設定差分値の値は、少 し、1C 前記出力指令値を前記パワーコンディショナに送信して、前記パワーコンディショナの出力を制御する制御部とを備え、1D 前記比率・設定差分値テーブルにおいて、前記設定差分値の値は、少 なくとも二種類以上存在し、1E 現在の前記消費電力から決定後の前記設定差分値を引いた値が、前記パワーコンディショナの出力電力の上限値となっている1F ことを特徴とする、出力制御装置。」 3 本件各発明につき、本件審決の判断の対象とされた無効理由 本件審決の判断の対象とされた、本件各発明(本件訂正後のもの。本件審決における「本件訂正発明」に相当)についての無効理由(審判段階における答弁書及び口頭審理陳述要領書による主張整理後のもの。)は、次のとおりである(本件審決第7、同65頁7行目~31行目)。 ⑴ 無効理由2(実施可能要件違反) 本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は、著しく不明瞭であり、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしておらず、本件各発明の特許は、同法123条1項4号に該当し、無効とすべきである。 ⑵ 無効理由3-1(甲1(特開2019-161777号公報。以下「甲1」 という。)に基づく新規性欠如)本件発明1、2、6、8及び9は、甲1に記載された発明(以下「甲1発明」という。)と同一であるため、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 ⑶ 無効理由3-3(甲1に基づく進歩性欠如) 本件発明3ないし5、7及び10ないし24に係る発明は、いずれも甲1発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすること 。 ⑶ 無効理由3-3(甲1に基づく進歩性欠如) 本件発明3ないし5、7及び10ないし24に係る発明は、いずれも甲1発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法123条1項2号に該当し、無効とすべきである。 4 本件審決の無効理由についての判断の要旨(本件訂正後の本件各発明に対す るもの。)⑴ 本件審決の理由の要旨本件審決の理由の要旨は以下のとおりである。 ア無効理由2(実施可能要件違反)について発明の詳細な説明の記載によれば、本件各発明の技術分野も、解決しよ うとする課題も、課題を解決するための手段も、本件各発明が奏する効果も、いずれも明確に理解することができる(本件審決第10の3⑴、同125頁)。本件明細書等の発明の詳細な説明は、本件各発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものであると認められ、無効理由2には理由がない(本件審決第10の3⒁、同130頁)。 イ無効理由3-1(甲1に基づく新規性欠如)について本件発明1と甲1発明とは、少なくとも、実質的な相違点である相違点1-1で異なるから同一ではなく、本件発明2は本件発明1の発明特定事項を全て備え、甲1発明とは同一でないから、本件発明1及び2についての無効理由3-1は理由がない(本件審決第10の5⑴、⑶、同137頁 31行目~138頁14行目、140頁13行目~16行目)。 本件発明6と甲1発明とは、少なくとも、相違点1-1と同様な実質的な相違点である相違点6-1(本件審決第10の7、同141頁7行目~12行目)で異なるから同一ではなく、本件発明6についての無効理由3-1は理由がない(本件審決 なくとも、相違点1-1と同様な実質的な相違点である相違点6-1(本件審決第10の7、同141頁7行目~12行目)で異なるから同一ではなく、本件発明6についての無効理由3-1は理由がない(本件審決第10の8、同141頁13行目~17行目)。 本件発明8と甲1発明とは、少なくとも、相違点1-1と同様な実質的 な相違点である相違点8-1(本件審決第10の10、同141頁26行目~31行目)で異なるから同一ではなく、本件発明9は本件発明8の発明特定事項を全て備え、甲1発明とは同一でないから、本件発明8及び9についての無効理由3-1は理由がない(本件審決第10の11、同141頁32行目~142頁6行目)。 ウ無効理由3-3(甲1に基づく進歩性欠如)について本件発明3ないし5は本件発明1の発明特定事項を全て備え、本件発明3ないし5と甲1発明とは少なくとも相違点1-1において異なっており、甲1発明から相違点1-1に係る構成は容易に想到し得ないから、本件発明3ないし5は、当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすること ができたものとは認められず、本件発明3ないし5についての無効理由3-3には理由がない(本件審決第10の6、同140頁17行目~141頁6行目)。 本件発明6と甲1発明との間には少なくとも相違点1-1と同様の相違点6-1(本件審決第10の7、同141頁7行目~12行目)が存在し、 本件発明7は本件発明6の発明特定事項を全て備え、本件発明7と甲1発明とは少なくとも相違点6-1において異なっており、甲1発明から相違点6-1に係る構成は容易に想到し得ないから、本件発明7は、当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められず、本件発明7についての無効理由3-3には理由がな 甲1発明から相違点6-1に係る構成は容易に想到し得ないから、本件発明7は、当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められず、本件発明7についての無効理由3-3には理由がない(本件審決第10の 9、同141頁18行目~25行目)。 本件発明8と甲1発明との間には少なくとも相違点1-1と同様の相違点8-1(本件審決第10の10、同141頁26行目~31行目)が存在し、本件発明10ないし12は本件発明8の発明特定事項を全て備え、本件発明10ないし12と甲1発明とは少なくとも相違点8-1におい て異なっており、甲1発明から相違点8-1に係る構成は容易に想到し得 ないから、本件発明10ないし12は、当業者が甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められず、本件発明10ないし12についての無効理由3-3には理由がない(本件審決第10の12、同142頁7行目~15行目)。 本件発明13と甲1発明は、相違点13において異なり(本件審決第1 0の13、⑻、同145頁7行目~33行目)、相違点13は相違点1-1と同様のものと解され、本件発明13は甲1発明から容易に想到し得たものではなく、本件発明13を引用する本件発明14ないし16についても同様であり、本件発明13ないし16についての無効理由3-3には理由がない(本件審決第10の14、同145頁34行目~146頁11行目)。 本件発明17と甲1発明との間には、少なくとも相違点13と同様の相違点17が存在し(本件審決第10の15、同146頁12行目~17行目)、本件発明17は甲1発明から容易に想到し得たものではなく、本件発明17を引用する本件発明18ないし20についても同様であり、本件発明17ないし20についての無効理由 同146頁12行目~17行目)、本件発明17は甲1発明から容易に想到し得たものではなく、本件発明17を引用する本件発明18ないし20についても同様であり、本件発明17ないし20についての無効理由3-3には理由がない(本件審決第 10の16、同146頁18行目~23行目)。 本件発明21と甲1発明との間には、少なくとも相違点13と同様の相違点21が存在し(本件審決第10の17、同146頁24行目~29行目)、本件発明21は甲1発明から容易に想到し得たものではなく、本件発明21を引用する本件発明22ないし24についても同様であり、本件発 明21ないし24についての無効理由3-3には理由がない(本件審決第10の18、同146頁30行目~35行目)。 ⑵ 本件発明1と甲1発明の相違点の認定本件審決は、上記判断をするに当たり、甲1発明の内容を本件審決第10の2⑸、同124頁4行目ないし29行目のとおり認定し、本件発明1と甲 1発明の一致点、相違点1-1及び相違点1-2を以下のとおり認定した(な お、「発明特定事項1B」等は、本件審決における本件発明1の分説に基づき、甲1発明と対比したものである。以下、同様である。)。(本件明細書等にいう「特許文献2」は、同段落【0007】によれば、特許第6364567号公報であり、他方、甲1は、その特許の公開公報である特開2019-161777号公報であるが、同特許は、設定登録が行われ、特許公報が発行さ れた後に公開され、公開公報が発行されたため、本件明細書等にいう「特許文献2」は、甲1と同内容である。)〈一致点〉(本件審決第10の4⑼、同136頁24行目~36行目)「太陽電池と、太陽電池の発電電力を制御するパワーコンディショナと、電力送配電網からの商用電力 文献2」は、甲1と同内容である。)〈一致点〉(本件審決第10の4⑼、同136頁24行目~36行目)「太陽電池と、太陽電池の発電電力を制御するパワーコンディショナと、電力送配電網からの商用電力を負荷に供給するための受変電設備とを備 える太陽光発電自家消費システムにおいて、前記パワーコンディショナの出力電力を制御するための出力制御装置であって、前記負荷の消費電力に関連付けて、情報を記憶している記憶部と、発電電力の上限値を、定格で割って、当該割った値を出力指令値とし、前記出力指令値を前記パワーコンディショナに送信して、前記パワーコン ディショナの出力を制御する制御部とを備え、差分値の値は、少なくとも二種類以上存在し、現在の前記消費電力から決定後の前記差分値を引いた値が、前記パワーコンディショナの出力電力の上限値となっていることを特徴とする、出力制御装置。」である点。 〈相違点1-1〉(本件審決第10の4⑼、同137頁1行目~22行目)「本件発明1の『記憶部』に記憶される情報は、『前記負荷の消費電力と前記パワーコンディショナの最大出力可能電力であるPCS定格との比率に対応させて、前記消費電力から引く電力の値を設定差分値として予め登録した比率・設定差分値テーブル』であるのに対し、甲1発明の記憶部に 記憶される情報は、『消費電力』に関連付けられた『一次係数a及び0次係 数b』並びに『一次関数P(t)=(1-a)S(t)-b』である点。 (発明特定事項1B)さらに、甲1発明の差分値である『aS(t)+b』が記憶部に記憶されているか否かが定かでない点。(発明特定事項1B、1D)さらに、本件発明1の『出力制御装置』は、『現在の前記消費電力と前記 PCS定格との前記比率を算出』するの (t)+b』が記憶部に記憶されているか否かが定かでない点。(発明特定事項1B、1D)さらに、本件発明1の『出力制御装置』は、『現在の前記消費電力と前記 PCS定格との前記比率を算出』するのに対し、甲1発明の『制御装置6』は、該比率を算出しない点。(発明特定事項1C1)上記に付随して、本件発明1の『出力制御装置』は、『前記比率・設定差分値テーブルを参照して、算出した前記比率に対応する前記設定差分値を決定』するのに対し、甲1発明の『制御装置6』は、そのような構成を備 えていない点。(発明特定事項1C2)また、上記に付随して、本件発明1の『出力制御装置』において、発電電力の上限値は、『現在の前記消費電力から決定後の前記設定差分値を引いた値』であるのに対し、甲1発明の『発電電力の上限値』P(t)は、『P(t)=(1-a)S(t)-b』により与えられる点。(発明特定事 項1C3、1E)」〈相違点1-2〉(本件審決第10の4⑼、同137頁23行目~26行目)「出力指令値を算出する際に発電電力の上限値を割る値が、本件発明1では『PCS定格』であるのに対し、甲1発明では『太陽電池1の定格電力』である点。(発明特定事項1C3)」 ⑶ 本件発明13と甲1発明の相違点の認定また、本件審決は、本件発明13と甲1発明の一致点を本件審決第10の13⑻、同145頁10行目ないし21行目のとおり認定し、相違点13を以下のとおり認定した(本件審決第10の13⑻、同145頁22行目~33行目)。 「本件発明13の『設定値』は、『前記負荷の消費電力と前記パワーコンディ ショナの最大出力可能電力であるPCS定格との比率に対応させて』記憶されているのに対し、甲1発明の『一次係数a及び0次係数b』は、消費電 、『前記負荷の消費電力と前記パワーコンディ ショナの最大出力可能電力であるPCS定格との比率に対応させて』記憶されているのに対し、甲1発明の『一次係数a及び0次係数b』は、消費電力に関連付けられているものの、消費電力とPCS定格との比率に対応させたものではない点。(発明特定事項13B)さらに、本件発明13は『現在の前記消費電力と前記PCS定格との前記 比率を算出』するのに対し、甲1発明は比率αを算出する構成を備えない点。 (発明特定事項13C1)上記に付随して、本件発明13の『上限値』は『算出した前記比率に対応する』ものであるのに対し、甲1発明の『上限値』は、消費電力S(t)に対応した『(1-a)S(t)-b』である点。(発明特定事項13C2)」 5 原告の主張する取消事由⑴ 取消事由1(実施可能要件違反に関する判断の誤り)(無効理由2に対応)⑵ 取消事由2(相違点1-1、1-2についての本件審決の認定及び新規性の判断の誤り)(無効理由3-1に対応、なお従属項等に関するものも含む)⑶ 取消事由3(相違点1-1についての本件審決の進歩性判断の誤り、その 他従属項等についての本件審決の判断の誤り)(無効理由3-3に対応)第3 当事者の主張 1 取消事由1(実施可能要件違反に関する判断の誤り)(無効理由2に対応)〔原告の主張〕⑴ 本件各発明の課題等について ア甲1の課題解決手段本件審決(本件審決第10の2⑶、同123頁)は、原告が主張する無効理由について検討する前提として、主引例である甲1の課題解決手段を「甲1課題解決手段1」及び「甲1課題解決手段2」と認定したが、このような認定は甲1発明の技術思想を過剰なまでに限定したものであり、誤 りである。このような本件 引例である甲1の課題解決手段を「甲1課題解決手段1」及び「甲1課題解決手段2」と認定したが、このような認定は甲1発明の技術思想を過剰なまでに限定したものであり、誤 りである。このような本件審決による甲1発明の認定が、本件審決の実施 可能要件、新規性及び進歩性に関する誤った判断を導いたものであり、上記の認定の誤りは本件審決の結論に影響している。 甲1の段落【0040】に「そこで、時刻tmにおいて、P(tm)がS(tm)-Z以下の値になるという束縛条件の下で総発電可能量が最大になるようa、bを決定する。」とし、続いてPCSの応答時間とその間の 消費電力の変動量の過去の実績が与えられた場合についての説明がなされ、さらに段落【0041】ないし【0047】で、図3(a)及び図3(b)を参照して、従来の発電量よりも発電効率がよい領域を作図して「a、bを決定」する方法の説明がなされている。 本件審決は、このような甲1発明に開示された作図によるa、bの求め 方と比較して、本件各発明にかかる消費電力SをPCSの定格Rで割った値αを変数としたテーブルを用いる出力制御装置の出力制御方法について、「課題1の解決は、少なくとも、テーブルに比率αが使用されており、比率αの値が100%以下であるか100%超であるかによって、逆潮流による不利益を被る蓋然性が高い領域か、逆潮流による不利益を被る蓋然 性が低い領域かが分かるという意味で、前記テーブルが分かりやすいことに起因する」等と効果を認定して(本件審決第10の1⑶オ(ア)、同115頁11~15行目)、本件各発明の実施可能要件、さらには新規性・進歩性を基礎づけようとしている。 しかし、甲1における上記説明は、あくまで一般的な解析手法を述べた ものにすぎず、本件審決 頁11~15行目)、本件各発明の実施可能要件、さらには新規性・進歩性を基礎づけようとしている。 しかし、甲1における上記説明は、あくまで一般的な解析手法を述べた ものにすぎず、本件審決の上記認定は誤りである。さらに、甲1に係る特許権者でもある原告が製造販売する甲1発明の実施製品をみても、1次係数a及び0次係数bに相当する値として「初期値」が予め入力されており、需要者の使用態様に応じてa及びbの値を適宜変更することで、最適化が行われることが予定されている。すなわち、甲1発明の実施品のカタログ (甲15)の4頁によれば、甲1発明の実施品は、一例として、消費電力 Sを0.9倍した値からさらに-10kWした値をもって初期設定値として設定している。 甲1発明やその実施品で用いられる消費電力の一次関数は、いわゆる単調増加関数(変数xの値が大きくなるにつれて、関数f(x)の値も大きくなる関数)であり、しかもその増加率は一定であるから、その式自体が 人間の直感で理解できる程度に分かりやすいものである。それにもかかわらず、本件審決は、「甲1特許制御を実際に運用するに先立って行う設定が難解」(本件審決第10の1⑵ア、同100頁15~16行目)とし、さらには、上記したような「甲1課題解決手段1」及び「甲1課題解決手段2」(本件審決第10の2⑶オ、同123頁12行目~19行目)なるものを 認定したのは、誤りである。甲1の開示は、あくまで一般論として説明されたに過ぎないものであって、甲1発明の実施製品では、係数a及びbに相当する値として初期値が予め入力され、需要者の使用様態に応じて係数a及びbの値を適宜変更することが予定されているから、甲1に一つの実施例として説明された1次係数a、0次係数bの数学的算出方法を常 相当する値として初期値が予め入力され、需要者の使用様態に応じて係数a及びbの値を適宜変更することが予定されているから、甲1に一つの実施例として説明された1次係数a、0次係数bの数学的算出方法を常に適 用しなければ1次係数a、0次係数bが求められないかのような本件審決の理解は明らかな誤りである。 イ本件各発明の課題(ア) 本件各発明の課題本件審決は、本件各発明が解決しようとする課題を、「課題1:甲1特 許制御よりも、運用前に行う設定を分かりやすいものとする課題2:逆潮流を回避する課題3:発電効率をできる限り高くする」(本件審決第10の1⑵イ、同100頁32~34行目)であると認定した。 しかしながら、本件各発明が解決しようとする課題は、より具体的に、課題1:従来の等差制御及び等比制御と比較して、系統への逆潮流の回 避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で、優れたパワーコンディショ ナの制御方法を、分かりやすく示すこと、課題2及び課題3:従来の等差制御及び等比制御と比較して、系統への逆潮流を回避しつつ、かつ、太陽電池の発電電力のできる限りの有効活用の点で、優れた出力制御装置等を提供すること、と認定されるべきである。 (イ) 本件各発明の課題2及び課題3 本件明細書等の「発明が解決しようとする課題」の記載によれば、等差制御の場合、消費電力が大きい領域において、「消費電力が急激に変化した場合、パワーコンディショナ制御が追いつかず、系統への逆潮流が発生してしまう場合がある」(段落【0008】)。すなわち、「等差制御においては消費電力が大きくなればなるほど、消費電力が急激に変化し た場合、逆潮流のリスクが高くなる」(段落【0012】)。 一方、等比制御の場合、「消費電力が小さい領 。すなわち、「等差制御においては消費電力が大きくなればなるほど、消費電力が急激に変化し た場合、逆潮流のリスクが高くなる」(段落【0012】)。 一方、等比制御の場合、「消費電力が小さい領域・・・においては、消費電力が急激に変化した場合、パワーコンディショナの制御が追いつかず、系統への逆潮流が発生してしまう場合がある」(段落【0009】)。 また、「消費電力が大きい状況において、等比制御によっては、発電効率 が低下していることとなる」(段落【0012】)。すなわち、「太陽電池が電力を供給することができる日照状況である(原文ママ)関わらず、パワーコンディショナからの出力を制御することで、必要な電力を十分に取り出していないということを意味する」(同上)。 「このように、等差制御および等比制御には、それぞれの問題点が存 在する」(段落【0013】)。 そこで、本件各発明は、このような従来の等差制御及び等比制御の問題点を解決し、「系統への逆潮流を回避しつつ、かつ、太陽電池の発電電力をできる限り有効活用することができる出力制御装置、出力制御プログラム、及び太陽光自家消費システムを提供することを目的とする」(段 落【0015】)ことが開示されている。 さらに、本件明細書等の実施例には、本件各発明の効果について、「荷重等差制御では、・・・等比制御と比べたら、発電効率が向上している」こと、また、「荷重等差制御では、等差制御と比べて、消費電力が大きい場合、消費電力との間に、余裕があることがわかるので、逆潮流は等差制御と比べて、明らかに、生じにくい」ことが記載されている(段落【0 088】)。「荷重等比制御を用いれば、等差制御よりも、消費電力との間に、余裕マージンを持たせておきながら、等比制御よりも、 制御と比べて、明らかに、生じにくい」ことが記載されている(段落【0 088】)。「荷重等比制御を用いれば、等差制御よりも、消費電力との間に、余裕マージンを持たせておきながら、等比制御よりも、発電電力の向上を図ることができる」ことも記載されている(段落【0104】)。 これらの実施例の記載は明らかに、本件各発明に係る出力制御装置等が、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太 陽電池の発電電力の有効活用の点で、優れていることを述べている。したがって、上記各記載は、いずれも本件各発明の課題2及び課題3が、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で、優れた出力制御装置等を提供することであることを裏付けるものである。 したがって、本件各発明が解決しようとする課題2及び課題3は、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で優れた出力制御装置等を提供することであると認定されるべきである。 (ウ) 本件各発明の課題1 本件明細書等の「発明が解決しようとする課題」の記載によれば、従来の「等差制御および等比制御には、それぞれの問題点が存在する」(段落【0013】)。この「問題点」とは、前述のとおり、「系統への逆潮流を回避しつつ、かつ、太陽電池の発電電力をできる限り有効活用する」(段落【0015】)ことが十分にできないというものである。 甲1に記載のシステムは、「その問題点を、実質的に解決しようと試み て」(段落【0013】)いるものであり、同システムは、「発電電力の上限値と消費電力との差分が、消費電力の1次関数となるように設定している。すなわち、一次関数の傾きaに相当する部分を て」(段落【0013】)いるものであり、同システムは、「発電電力の上限値と消費電力との差分が、消費電力の1次関数となるように設定している。すなわち、一次関数の傾きaに相当する部分を等比制御による比率とし、一次関数の切片bに相当する部分を等差制御による定数として、等比制御と等差制御とを組み合わせることで、発電効率を向上させよう としている」(同上)。 しかしながら、本件明細書等によれば、(甲1では)「aとbの値の決め方ついては、抽象的に記載されているに過ぎず、また、特許文献2における説明は難解なため、実際に、具体的に、aとbの値をどのような値として決定していけばよいのか不明である。」(段落【0014】)、「そ れゆえ、本発明は、パワーコンディショナの制御を分かりやすいものと・・・することができる出力制御装置」(段落【0015】)等を提供することを目的とするものとされる。 以上のとおり、本件明細書等は、甲1は、従来の等差制御及び等比制御の問題点を解決するために、「一次関数の傾きaに相当する部分を等比 制御による比率とし、一次関数の切片bに相当する部分を等差制御による定数として、等比制御と等差制御とを組み合わせることで、発電効率を向上させようとしている」(段落【0013】)と評価する一方、「実際に、具体的に、aとbの値をどのような値として決定していけばよいのか不明である」(段落【0014】)点を問題としている。 この甲1の問題点とは、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で優れた出力制御を行うという前提となる目的があり、そのために、具体的にどのような制御を行えば良いかが「不明である」(段落【0014】)という意味であることが、文脈から明らか 発電電力の有効活用の点で優れた出力制御を行うという前提となる目的があり、そのために、具体的にどのような制御を行えば良いかが「不明である」(段落【0014】)という意味であることが、文脈から明らかである。 本件各発明は、前記のような甲1の問題点を解決するために、「パワー コンディショナの制御を分かりやすいものと・・・する」ことを課題とするものであるから、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で優れたパワーコンディショナの制御方法を、分かりやすく示すことを課題とするものである。 したがって、本件各発明の課題1は、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で優れたパワーコンディショナの制御方法を、分かりやすく示すことであると認定されるべきである。 ⑵ 実施可能要件違反の有無について ア本件各発明の課題2及び課題3を解決し得るような実施をすることができる程度に明確かつ十分な記載の有無(ア) 本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が課題2及び課題3を解決できるように、発明に係る出力制御装置を生産でき、かつ、使用できるように具体的に記載されているとはいえない。 本件各発明は、比率・設定差分値テーブルにおける比率α、設定差分値βの具体的な登録の方法を特定しておらず、いかなる比率α、いかなる設定差分値βであっても登録する場合をも含むものである。したがって、必ずしも従来の等差制御、等比制御よりも優れた制御を行うものではない。むしろ、本件各発明に係る比率・設定差分値テーブルには、従 来の等差制御、等比制御と実質的に同一の制御方法も含まれる。例えば、本件各発明は、比率・設定差分値テーブル た制御を行うものではない。むしろ、本件各発明に係る比率・設定差分値テーブルには、従 来の等差制御、等比制御と実質的に同一の制御方法も含まれる。例えば、本件各発明は、比率・設定差分値テーブルにおいて、設定差分値βをほんの僅かにしか変更せず、事実上一定とする場合には、従来の等差制御と実質的に同一の制御方法となる。特許請求の範囲にも本件明細書等にも「二種類以上」とされる設定差分値の値が、相互にどの程度の差異が あれば良いのか、具体的な開示は存在しないため、極めて僅かな差異し かない場合も含み得ることとなるからである。 また、「何パーセント毎に、設定差分値を予め決めておくかは、本発明を限定するものではない」(段落【0092】)ため、比率αを限りなく小さく分けることによって、設定差分値βを設定すれば、従来の等比制御と実質的に同一の制御方法も本件各発明による制御に含まれることと なる。 したがって、単に発明の詳細な説明に、比率・設定差分値テーブルが開示されているというだけでは、当業者が課題2及び課題3を解決できるように、本件各発明に係る制御装置等を生産し、使用できるものではない。 (イ) 本件各発明の詳細な説明が実施可能要件に適合しているというためには、比率・設定差分値テーブルに、いかなる比率α、設定差分値βを登録すれば、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で優れた制御を行い得るのかという点について、十分な開示が必要である。 ところが、本件審決では甲1特許制御の問題点として「aとbの値をどのような値として決定していけばよいのか不明である」ことを指摘し、これを踏まえて本件各発明が解決しようとする課題を認定しているにもかかわらず(本件審 決では甲1特許制御の問題点として「aとbの値をどのような値として決定していけばよいのか不明である」ことを指摘し、これを踏まえて本件各発明が解決しようとする課題を認定しているにもかかわらず(本件審決第10の1⑵ア、同100頁8行目~11行目)、本件明細書等には、比率(α)及び設定差分値(β)をどのような値と して決定していけばいいのかという核心的な事項が具体的に記載されていないという問題がある。 本件明細書等の発明の詳細な説明は、比率・設定差分値テーブルを予め登録することは開示するものの、同テーブルに具体的に、いかなる比率α、設定差分値βを登録すれば、従来の等差制御及び等比制御と比べ て、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で優れ たパワーコンディショナの制御を行い得るのかは開示されていない。 本件明細書等には、「好ましくは、比率αが大きくなるほど、設定差分値βを大きくする」(段落【0069】。段落【0017】及び【0084】にも同様の記載がある。)という一般論のみが記載されているが、当業者がこのような記載に基づいて、直ちに従来の等差制御及び等比制御 と比べて優れた制御を行い得るものではない。 また、図4の比率・設定差分値テーブル、図8の比率・設定比値テーブルの例は、比率αが大きくなるほど設定差分値β、設定比値を大きくする、という上記一般論に基づく実施例に過ぎず、それ以上に、従来の等差制御及び等比制御、従来技術である「消費電力の一次関数」として 制御した場合(甲1に示される従来技術)と比べて優れた制御方法が読み取れるものではない。 さらに、「図4に示した比率・設定差分値テーブルは、あくまでも一例であり、本発明を限定するものではない」(段落【0064】)とされ、結局当業者 )と比べて優れた制御方法が読み取れるものではない。 さらに、「図4に示した比率・設定差分値テーブルは、あくまでも一例であり、本発明を限定するものではない」(段落【0064】)とされ、結局当業者は、比率・設定差分値テーブルに、いかなる比率α、いかな る設定差分値βを登録すれば、課題2及び課題3を達成し得るのか、理解することができない。 加えて、本件明細書等には、「比率・設定差分値テーブルは、書き換えることができるようにすることで、実際運用した結果に基づいて、当該テーブルを、適切なものとすることができる」こと(段落【0035】)、 「比率・設定差分値テーブルは、太陽光発電自家消費システム1の発電可能能力や負荷6での消費電力の大きさなどを考慮して、予め決定しておく。また、予め決定した比率・設定差分値テーブルを、入力部46を利用して、運用状況を見ながら、適宜、書き換えることができる。」(段落【0064】)ことが記載されている。 上記記載によれば、比率・設定差分値テーブルは、当業者の責任にお いて、「太陽光発電自家消費システム1の発電可能能力や負荷6での消費電力の大きさなどを考慮して、予め決定し」、「実際運用した結果」や、「運用状況を見ながら、適宜、書き換える」ものである。すなわち、本件明細書等では、[従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で、優れた出力制御装置 等を提供する]という本件各発明の課題2及び課題3は、全て当業者自身の「考慮」や試行錯誤により達成すべきものとされ、当業者の努力に丸投げされている。 そうであるとすると、発明の詳細な説明は、当業者が、課題2及び課題3を解決できるように、発明に係る物を生産し、かつ、使用するに当 より達成すべきものとされ、当業者の努力に丸投げされている。 そうであるとすると、発明の詳細な説明は、当業者が、課題2及び課題3を解決できるように、発明に係る物を生産し、かつ、使用するに当 たり、過度の試行錯誤を要求するものである。 (ウ) したがって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件各発明の課題2及び課題3を、いずれも解決できるように、発明に係る物を生産でき、かつ、使用できるように、具体的に記載されているものではなく、実施可能要件に適合しない。 イ本件各発明の課題1を解決し得るような実施をすることができる程度に明確かつ十分な記載の有無(ア) 本件明細書等の記載は、本件各発明の課題1を解決できるように、発明に係る出力制御装置を生産でき、かつ、使用できるように具体的に記載されているとはいえない。 本件明細書等における発明の詳細な説明は、比率・設定差分値テーブルを予め登録することは述べているが、同テーブルに具体的に、いかなる比率α、設定差分値βを登録すれば、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で優れたパワーコンディショナの制御を行い得るのかは開示されていない。 既に述べたとおり、本件明細書等には、「好ましくは、比率αが大きく なるほど、設定差分値βを大きくする」という一般論のみが記載されているが、当業者がこのような記載に基づいて、直ちに従来の等差制御及び等比制御と比べて優れた制御を行い得るものではない。 また、本件明細書等では、「従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で、優れたパ ワーコンディショナの制御方法」に関しては、全て当業者自身の「考慮」や試行錯誤 等では、「従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で、優れたパ ワーコンディショナの制御方法」に関しては、全て当業者自身の「考慮」や試行錯誤により達成するべきものとされ、結局のところ、発明を実施する当業者の創意工夫に丸投げされてしまっている。 そうであるとすると、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が、課題1を解決できるように、発明に係る物を生産し、かつ、使用するに 当たって、過度の試行錯誤を要求するものであり、本件明細書等の発明の詳細な説明は、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で、優れたパワーコンディショナの制御方法を、分かりやすく示してはいない。 (イ) 本件審決は、本件各発明のテーブル(比率・設定差分値テーブル及び 比率・設定比値テーブルを含む。)が課題1を解決するための手段となっているとしたが(本件審決第10の1⑶ア、同101頁9行目~102頁5行目)、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の観点からは、比率α、設定差分値β(あるいは設定比値)として、具体的にいかなる数値を登録するかが極めて重要であるにもかかわらず、本件 明細書等は、この点何ら具体的な開示をしていないし、本件各発明のテーブルが、消費電力とPCS定格との比率αを用いることの技術的意義は記載されていない。そのため、本件審決の上記説示は、本件明細書等の記載に基づかないものである。 また、本件明細書等には、「比率αが100%以下の領域には設定差分 値の設定が必須である」との記載はないし、反対に、「比率αが100% を超える領域には設定差分値を設定する必要がない」との記載もない。 本件明細書等は、「 の領域には設定差分 値の設定が必須である」との記載はないし、反対に、「比率αが100% を超える領域には設定差分値を設定する必要がない」との記載もない。 本件明細書等は、「比率が100[%]よりも大きい場合でも設定差分値を設けることで、急な消費電力の減少が生じたとしても、逆潮流の回避が可能となる。」(段落【0033】)として、「比率・設定差分値テーブルは、比率が100[%]よりも大きい場合においても、設定差分値が 登録されているとよい。」(段落【0018】)と述べており、実施例では、比率αが110[%]の場合まで、設定差分値β を定義しているが、「110[%]を超えても、設定差分値βを定義してもよい。」(段落【0067】)と述べている。 したがって、本件明細書等は、比率αが100%を超える領域であっ ても、比率αが100%以下の領域と同様に、設定差分値βを登録すべきことを、繰り返し述べているのであって、比率αが100%を超える領域と、比率αが100%以下の領域とで、異なる取扱いをすべきことを示唆する記載はない。以上のとおりであるから、本件明細書等の記載によれば比率αを用いることで設定差分値の設定を必須とする領域が明 確に理解できる旨の本件審決の判断(本件審決第10の1⑶エ(ウ)、同114頁26行目~31行目)は、本件明細書等の記載に基づかないものである。 (ウ) また、少なくとも本件発明3及び本件発明10では、「比率αを用いた荷重制御のテーブル」が課題1の解決原理とはなり得ない。本件発明3 及び本件発明10は、「前記比率・設定差分値テーブルは、前記比率が100[%]よりも大きい場合においても、前記設定差分値が登録されている」ことを要件とする。すなわち、本件発明3及び本件発明10にお 及び本件発明10は、「前記比率・設定差分値テーブルは、前記比率が100[%]よりも大きい場合においても、前記設定差分値が登録されている」ことを要件とする。すなわち、本件発明3及び本件発明10においては、比率αが100%を超える領域であっても、比率αが100%以下の領域であっても、設定差分値βが登録されている。本件発明3及 び本件発明10では、比率αが100%よりも大きい場合においても、 設定差分値が登録されているため、本件審決が述べる理由により、「比率αを用いた荷重制御のテーブル」が課題1の解決原理となるとは認められない。 さらに、特許請求の範囲をみても、比率αが100%よりも大きいか否かによって区別をしている請求項は、請求項3及び10のみが存在す るに過ぎず、その他の請求項は、比率αが100%であるかそうではないかを何らかの区別の基準としているわけではないから、請求項3及び10以外の請求項について、発明の課題をいずれも解決しないことが明らかである。 (エ) 本件各発明は、比率・設定差分値テーブルに、消費電力そのものの絶 対値ではなく、「PCS定格との比率」を用いることから、パワーコンディショナの制御が当業者にとって分かりにくく、難易度の高いものであるし、本件各発明の「比率・設定差分値テーブル」では、①PCS定格が500kWである場合(段落【0089】)と、②PCS定格が10kWである場合を区別して認識できないから、設定差分値βを設定する上 で分かりにくい表示となっている。本件各発明を分かりやすいものとする本件審決の判断は誤りである。 (オ) 当業者である需要家が、負荷特性や運用状況による多様な事情に応じて柔軟に発電量を設定しようとするのであれば、甲1に開示されているとおり、制御方法 いものとする本件審決の判断は誤りである。 (オ) 当業者である需要家が、負荷特性や運用状況による多様な事情に応じて柔軟に発電量を設定しようとするのであれば、甲1に開示されているとおり、制御方法を季節、時刻に依存して変更する方法が分かりやすい のに対し、本件各発明のように「比率・設定差分値テーブル」を用いて、「比率α」の領域ごとに設定差分値βを設定する方法は、非常に難易度が高く、実務上困難であり、当業者にとって極めて分かりにくい。 本件各発明の課題解決原理が、「αが大きいほど、すなわち消費電力がPCS定格に近づくほど急な需要低下で逆潮流が起きやすいので、大き めのマージン(β)を設定すればよい」というものであるとすれば、本 件各発明は、「発電電力の上限値を消費電力の関数」ないし「一次関数」として「出力指令値を算出」する甲1発明と同一であり、何ら新規のものではない。 (カ) 比率αが100%超の範囲か否かにより、逆潮流が生じる蓋然性に格別の違いはなく、「比率αに対する100%という閾値」に技術的意義は ないから、本件審決の判断(本件審決第10の1⑶エ(ウ)、同114頁3行目~115頁2行目)は誤りである。 本件審決の説示によれば、比率αが100%を超えれば、本件各発明では設定差分値βの値は小さくて良いはずなのに、実際に明細書で開示される例では、比率が100%を超えている場合にも、大きな設定差分 値βの値が設定されているから、「閾値」の重要性を強調する本件審決は誤りである。 「比率αに対する100%という閾値」は、消費電力が固定値であるPCS定格より大きいか否かということを示すに過ぎず、消費電力をPCS定格という固定値で除することに格別の技術的意義は存在しない。 (キ) 本件審決の という閾値」は、消費電力が固定値であるPCS定格より大きいか否かということを示すに過ぎず、消費電力をPCS定格という固定値で除することに格別の技術的意義は存在しない。 (キ) 本件審決の「制御に必要な遅延Δtを無視すれば」(本件審決第10の1⑶エ(ウ)、同114頁18行目)との前提は、本件明細書等の段落【0008】、【0009】に記載されたパワーコンディショナ制御に要するタイムラグの存在に反した仮定であるし、そもそも本件特許の「比率・設定差分値テーブル」の必要性を否定するものでもある。さらに、比率 αが100%よりも大きい場合は逆潮流による不利益を被る蓋然性が低い領域であるとの本件審決の判断は、「最大限発電しても良いように思う」という思い違いを招き、「消費電力が急に低下した場合、最大限発電していると、パワーコンディショナの制御が追いつかずに、逆潮流を生じてしまう」ことになるから、本件審決の判断は誤りである。 本件各発明において、比率αの上限として設定されている110%に ついては、技術的根拠がない。 (ク) 本件審決の「図8Cに示されるテーブルにおける『PCS定格が500[kW]の場合』との記載も、同様に『消費電力が500[kW]の場合』の誤記であると解される。」(本件審決第10の3⑵、同126頁13行目~15行目)との解釈に従うと、同一の消費電力(500kW) に対して異なる設定差分値が存在し、消費電力が確定しても設定差分値は一意に定まらないことになり、比率αと設定差分値や設定比値等を使用するテーブルが、果たして「分かりやすい」ものになっているかという点も疑問である。 PCS定格が大きいほど設定差分値が小さくなることは、PCS定格 が大きい程、「制御に必要な遅延」が小さく 用するテーブルが、果たして「分かりやすい」ものになっているかという点も疑問である。 PCS定格が大きいほど設定差分値が小さくなることは、PCS定格 が大きい程、「制御に必要な遅延」が小さくなることを意味するが、本件明細書等の「複数のパワーコンディショナ3のPCS定格の合計が比αを求めるためのPCS定格となる」(段落【0044】)との開示は、単体のPCSの「制御に必要な遅延」より、複数のPCSを集めた全体のPCSは「制御に必要な遅延」が小さくなることを意味しており、矛盾 した記載である。 (ケ) したがって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件各発明の課題1を解決できるように、発明に係る物を生産でき、かつ、使用できるように、具体的に記載されているものではなく、実施可能要件に適合しない。 〔被告の主張〕⑴ 本件審決の認定は、甲1の内容に則しており何らの誤りもない。甲1発明は、「線形関数が難しい・分かりにくい」の問題を抱えているのではなく、一次係数a及び0次係数bを「実際の消費電力」「発電性能」に応じてどのように選定するのかが、甲1では具体的に示されていない点に問題を抱えている。 原告は、一次関数という形式自体を捉えて理解可能と主張するが、本件審決 は、一次関数における一次係数a及び0次係数bを実際にどのように設定するのかが、甲1の明細書に記載されておらず、それを理解するのが困難である、明細書が「抽象的」である、と評価しているのである。原告は、本件審決を論難するため、意図的に論点の「すげ替え」を行っている。 また、本件審決は、甲1の開示を踏まえ、具体的にどのような形で「a」 及び「b」を選択するかという点を「甲1課題解決手段1及び2」として整理しているのであって、何ら無理 げ替え」を行っている。 また、本件審決は、甲1の開示を踏まえ、具体的にどのような形で「a」 及び「b」を選択するかという点を「甲1課題解決手段1及び2」として整理しているのであって、何ら無理な認定ではない。甲1は、本件審決が認定しているとおり、「一次関数以外の解決方法は示されていない」のであって、甲1において、急激な需要変動への対応を課題として挙げられている以上、本件審決が甲1課題解決手段1及び2を導き出しているのは至極当然のこと である。 原告が「単調増加かつ定率変化で分かりやすい」と主張する対象は、「y=ax+b」という一次関数の数式の形状のことであるが、本件審決が評価しているのは、上記一次関数の「a」及び「b」の設定であり、甲1発明が、抽象的かつ難解と評価されている理由もこの点にあり、本件審決の判断に何 らの誤りもない。甲1において、「a」及び「b」の設定方法が開示されていない以上、これが課題として設定されることは当然のことである。 ⑵ 本件各発明の記載内容及び本件審決における認定をみれば、比率αを用いる制御がいかに分かりやすいかという点、及び「α=100%」を閾値とする意義は十分に合理的であるといえる。 自家消費型太陽光発電システムの運用においては、発電電力・消費電力双方の変動要因を抱え、いつ、どの程度の余剰電力が生じうるかを厳密に予測しきることなど不可能であるということを前提に、本件各発明の意義を考えなければならないということである。自家消費型太陽光発電システムにおいては、発電電力が増大している際に、需要家の消費電力が急激に下がること で生じる余剰電力の系統への逆潮流を回避しなければならないわけであるが、 それを実現するために、気象データや負荷の時間帯別統計が参考になるも 要家の消費電力が急激に下がること で生じる余剰電力の系統への逆潮流を回避しなければならないわけであるが、 それを実現するために、気象データや負荷の時間帯別統計が参考になるものの、これらが大まかな目安にとどまるため、これらのみで系統への逆潮流を回避しつつ、発電効率を高めるという目的を達することはできない。 本件各発明においては、比率αが大きい領域では逆潮流の危険性が増加するため、逆潮流の防止を優先し急激な需要の減少に備えて出力上限値を低く 設定し、逆に、比率αが小さい領域では逆潮流の危険性が減少するため、発電効率を優先して出力上限値を高めに設定することで、逆潮流の回避と発電効率の向上という二律背反する目的を実現しているわけである。 ただ、これは、あくまで、本件明細書等で示した一つの実施形態であって、請求項1(本件発明1)においては、比率αの段階区切りや設定差分値の上 げ幅・下げ幅について、需要家の事情に合わせて設定差分値(マージン)を段階的に調整できるようにしている。 そして、本件各発明においては、現在の消費電力がPCSの最大出力に対してどの程度近づいているかを「消費電力/PCS定格=比率α」という指標を設けることで、需要家が「α」値を把握することができる。 これにより、需要家は、直感的に逆潮流の危険性を認識することができ、かかる認識に沿った形で上限値の調整(マージン設定)を段階的に行うことができるという特徴を有している。 すなわち、本件各発明は、比率を用いたテーブル方式を採用することによって、需要家に対して、「いつどこまで発電を抑制すべきか」を従来よりも分 かりやすい形で示し、需要家が、負荷特性や運用状況による多様な事情(消費電力の大きさや変動特性)に応じて柔軟に発電量を設定する( 要家に対して、「いつどこまで発電を抑制すべきか」を従来よりも分 かりやすい形で示し、需要家が、負荷特性や運用状況による多様な事情(消費電力の大きさや変動特性)に応じて柔軟に発電量を設定する(例えばαの上昇に応じて差分値をどの程度増やして設定するか等)ことができるという利点をもたらしている。ここに、本件各発明の従前の技術には存在しない利点が存在するのである。 甲1発明においては、発電電力の上限値を、P(t)を「P(t)=(1 −a)S(t)−b」のような一次関数式によって表し、これによって制御するためには、時間帯ごとや季節ごとに消費電力の変動を予想して、あらかじめ係数「a」及び「b」を事前に設定しておく必要があるが、たとえば、特定の季節、時間帯において、消費電力が増大するタイミングで、係数「a」及び「b」をどのように設定すればよいかが分からず、需要家が、逆潮流や 発電の過抑制の経験に基づいて、経験値に基づいて複雑かつ微小な数値設定を行わなければならない。 他方、本件各発明は、パワーコンディショナ(PCS)の最大出力可能電力(PCS定格)と消費電力との比率αを求め、その大小に応じて設定差分値βを段階的に登録した「比率・設定差分値テーブル」を参照する。 「比率・設定差分値テーブル」は、αが大きいほど、すなわち消費電力がPCS定格に近づくほど急な需要低下で逆潮流が起きやすいので、大きめのマージン(β)を設定すればよいという単純かつ分かりやすいルールを提示することで、逆潮流回避と発電効率のバランスを容易に実現することができ、甲1発明のように、時間軸で係数「a」、「b」を変えるような煩雑な予測が 不要となっている。 以上のとおり、本件各発明は「制御を分かりやすいものとする」という課題に応じ 実現することができ、甲1発明のように、時間軸で係数「a」、「b」を変えるような煩雑な予測が 不要となっている。 以上のとおり、本件各発明は「制御を分かりやすいものとする」という課題に応じた合理的かつ実務的な利点を備えている。 ⑶ 本件明細書等において、比率α(消費電力/PCS定格)が100%を超える状態というのは、理論的には消費電力がPCS定格を上回る理想の状態 (制御に遅延Δtがないと仮定した場合)である。本件審決(本件審決第10の1⑶エ(ウ)、同114頁14行目~25行目)は、上記理想の状態では、太陽電池の発電電力が増大しても需要電力の方が大きいため余剰電力が生じにくいという事例を説明しているに過ぎない。「α=100%」は、PCS定格と消費電力が等しい境目であり、需要家が、これを基準に消費電力が大き いか小さいかを直感的に理解することができるため、本件各発明の比率・設 定差分値テーブルを参照する上で、極めて有用な基準である。本件審決において、「α=100%超を蓋然性の低い領域」と判断されているのでは、あくまで「理論上は逆潮流が起きにくい」と整理しているにすぎない。 ⑷ 本件明細書等における比率「α」の導入は、PCS定格と消費電力を分かりやすく扱うための合理的構成にほかならず、110%という数値もあくま で一例を示したものに過ぎず、原告の主張には理由がない。 本件明細書等においては、PCS定格をR、消費電力をSとするとき、α=S/Rという比率を用いれば、需要家が「自身の消費電力がPCS定格に対して何割であるか」を直観的に理解することができると記載されている(段落【0064】ないし【0065】等)。すなわち、「絶対値比較」ではなく 比率化することで、消費電力が定格の何%付近にあるかを て何割であるか」を直観的に理解することができると記載されている(段落【0064】ないし【0065】等)。すなわち、「絶対値比較」ではなく 比率化することで、消費電力が定格の何%付近にあるかを段階的にテーブル化しやすくしているわけである。 本件明細書等においては、比率「α」を0~100%に区切った例だけでなく、100%を超えた領域(例えば110%)の場合にも、設定差分値を定義しておく例(段落【0067】等)が記載されている。これは、消費電 力がPCS定格を若干上回っている状態でも、急激な負荷変動がある場合を考慮し、あらかじめマージンを設定して逆潮流を回避するためであり、単なる一例にすぎない。原告が指摘する「技術的根拠のない数字」なのではなく、本件明細書等において、消費電力がPCS定格をある程度超える事態にも備えられる柔軟な枠組みを開示しているものである。 2 取消事由2(相違点1-1、1-2についての本件審決の認定及び新規性の判断の誤り)(無効理由3-1に対応)〔原告の主張〕⑴ 相違点1-1についてア甲1発明は、本件各発明における「比率・設定差分値テーブル」を実質 的に開示するものである。すなわち、甲1は、発電制御システムにおいて、 発電電力上限値を算出するための一次関数式として、段落【0036】において〔式4〕(P(t)=(1-a)S(t)-b)を開示しているところ、仮にa=(50/R)(※RはPCSの定格電力)、b=25、R=500[kW]と仮定した場合、a=0.1、b=25となる。 すなわち、P(t)=0.9S-25という式が得られる。これを、消 費電力から差分を引くという形式に変形すると、以下のとおりとなる。 P(t)=S-(0.1S+25)・・・式Ⅰそして、本 すなわち、P(t)=0.9S-25という式が得られる。これを、消 費電力から差分を引くという形式に変形すると、以下のとおりとなる。 P(t)=S-(0.1S+25)・・・式Ⅰそして、本件各発明における設定差分値βは、「(負荷の)消費電力から引く電力の値」(特許請求の範囲請求項1参照)、すなわち「消費電力S(t)から引く値」として定義されるものであるから、式Ⅰの0.1S+25を もって、本件各発明の「設定差分値」に相当すると考えることが可能である。 ここで、本件各発明との関係では、比率αは「前記負荷の消費電力と前記パワーコンディショナの最大出力可能電力であるPCS定格との比率」として定義されているから、式としては、比率αはS(t)/R(消費電 力÷PCS定格)で表現されるところ、本件明細書等の実施例においては、R=500〔kw〕とされているから(段落【0089】、【0101】参照)、α=S(t)/500として表現することが可能である。以上を踏まえると、甲1発明の一次関数の式〔式4〕からも、本件発明1と同様の比率・設定差分値テーブルを作成することが可能であるから、甲1発明にお いても「比率・設定差分値テーブル」が存在するに等しい。 また、甲1発明において、上記のとおり、比率・設定差分値テーブルと等価な〔式4〕は、当然甲1の制御装置6の記憶装置に記憶されているものであるから、甲1発明も、「比率・設定差分値テーブル」に等しい構成が「記憶」されているものといえる。したがって、発明特定事項1Bに関す る構成が本件各発明と甲1発明において異なるとする本件審決の認定は 誤りである。 イ本件発明1において、「負荷の消費電力と前記パワーコンディショナの最大出力可能電力であるPCS定格との比率 各発明と甲1発明において異なるとする本件審決の認定は 誤りである。 イ本件発明1において、「負荷の消費電力と前記パワーコンディショナの最大出力可能電力であるPCS定格との比率」における分母となるPCS定格(P(t))自体は定数であるから、結局、この要件は消費電力の増減にあわせて出力電力の上限値を決めるという程度の意味を有するに過ぎな い。 そして、甲1発明においても、S(t)の値が増えると、計算上、当然に、S(t)/R(PCS定格)の値も増えることになるから、それに応じて、「設定差分値」の値も増加することになる。結局のところ、本件各発明及び甲1発明では消費電力の値にあわせて上限値が決められており、上 限値が消費電力の関数として規定されている。定性的にみても、本件明細書等の各実施例は、いずれも、等比制御同様に消費電力Sが大きくなるにつれて上限値が小さく抑えられるテーブルのみが例示されている。 つまり、甲1発明においても、負荷の消費電力が増えた場合に、そこから引く設定差分値の値を増加させるという構成は開示されているから、 「比率を算出し」これに対応した「設定差分値を決定(する)」という構成が開示されているに等しい。そうすると、甲1発明において生じている現象としては、比率が算出されて比率に対応した設定差分値が決定されていることに等しい。 本件各発明のβに相当する値は、甲1発明においてaS(t)+bとな り、これらは数式的に等価といえ、甲1発明において、P(t)及びβを求めるために消費電力Sを取得することは、本件各発明において比率αを取得することと実質的には同一視されるものである。 「aS(t)+b」は「設定差分値」βに相当するから、本件発明1の発電電力の上限値が設定差分値を引いた値である点 ことは、本件各発明において比率αを取得することと実質的には同一視されるものである。 「aS(t)+b」は「設定差分値」βに相当するから、本件発明1の発電電力の上限値が設定差分値を引いた値である点は、相違点とはならな い。 ウ甲1発明において開示されている制御のための式について、P(t)=(1-a) S (t)-bは、P(t)=S(t)-{aS(t)+b}と変形することができるところ、上記式の第2項{aS(t)+b}は、本件各発明と対比すると、まさに、「消費電力から引く電力の値」としての「設定差分値」βに相当するから、本件発明1の発電電力の上限値が設定 差分値を引いた値である点は、甲1発明との相違点とはならず、本件審決の認定には誤りがある。 すなわち、「比率・設定差分値テーブル」自体は甲1発明に開示されているに等しく、甲1発明の一次関数の式〔式4〕から「aS(t)+b」を含む式に変形できるから、「SからaS(t)+bを減算するという演算は 記載されていない。」(本件審決第10の4⑵イ、同133頁14行目~15行目)とする本件審決の認定は誤りである。 本件発明1における「比率を算出」との要件は、単なる計算上の問題に過ぎず、技術的な意味のある発明特定事項ではないから、限定要素としては無視されるべきものである。 甲1発明において、S(t)の増加に応じて、S(t)/R(PCS定格)及び設定差分値の値も増加することになるから、「比率を算出し」これに対応した「設定差分値を決定(する)」という構成が開示されているに等しく、この点が仮に形式的な意味での相違点とされたとしても、様々な目的のために、消費電力と定格電力との比率を算出するという処理は、例え ば取消事由3で示す甲16ないし18にもある れているに等しく、この点が仮に形式的な意味での相違点とされたとしても、様々な目的のために、消費電力と定格電力との比率を算出するという処理は、例え ば取消事由3で示す甲16ないし18にもあるとおり、当業者が本件特許の出願日以前から当然行っていたことに過ぎず、実質的な相違点ではない。 甲1発明の一次関数の式〔式4〕から、本件発明1と同様の比率・設定差分値テーブルを作成することが可能であるから、甲1発明において「比率・設定差分値テーブル」が存在するに等しく、技術的な側面から見ても、 本件各発明の「設定差分値」の目的は発電電力の上限値を算出することに あり、決まった数字に基づき「上限値」を算出するという本件各発明の構成は実質的に開示されているといえる。 関数かテーブルかという点は設計上の微差にすぎないから、実施的な相違点ではあり得ない。 エ甲1発明において、〔式1〕は計算のために予め記憶部に記憶されている から、「予め登録」の点において、甲1発明と本件各発明との間に相違点が存在するわけではない。 オ本件発明1と甲1発明が実質的に同一であることは、原告代表者作成の陳述書(甲19)及び周知技術を示す証拠(甲21ないし24)からも明らかである。 カ以上のとおりであるから、本件審決は本件発明1と甲1発明の相違点1-1を誤って認定したものであり、本来この点は一致点として認定されるべきものである。相違点に関する認定を誤った本件審決には結論に影響する重大な違法があるから取り消されるべきものである。 ⑵ 相違点1-2について 本件発明1における「PCS定格」とは、特許請求の範囲の記載(請求項1)に規定されるとおり、太陽電池に接続されたPCS(パワーコンディショナ)が出力できる最大電力を指す 点1-2について 本件発明1における「PCS定格」とは、特許請求の範囲の記載(請求項1)に規定されるとおり、太陽電池に接続されたPCS(パワーコンディショナ)が出力できる最大電力を指すものであり(特許請求の範囲及び明細書の段落【0016】等)、甲1発明に開示される「太陽電池1の定格電力」と実質的に同一の意味であることは当業者にとって明らかである。 甲1の段落【0027】の開示からしても、「太陽電池1の定格電力」とは、PCSの定格出力の意味である。 したがって、相違点1-2に関する本件審決の認定は誤りであって、相違点1-2はそもそも存在せず、両者を別の構成とする審決の認定は誤りである。 〔被告の主張〕 ⑴ 相違点1-1についてア比率α導入の技術的意義甲1発明においては、単に消費電力S(t)と係数a、bを用いて上限値を直接算出するのに対し、本件各発明においては、「消費電力をPCS定格で除した値」を明確に認識することにより、逆潮流のリスク管理を分か りやすくしており、ここに本件各発明固有の技術的意義が存在する。 したがって、本件各発明と甲1発明には課題解決手段において実質的な差異があるといえる。 イ 「テーブル参照」と「一次関数」の構造的差異甲1発明における「aS(t)+b」は、実測されるS(t)に応じて その都度演算される値であり、甲1発明においては、「あらかじめ比率αに対応づけた差分値をテーブル登録し、参照する」構成が開示されていない。 すなわち、本件各発明の比率・設定差分値テーブルの技術的構成は、甲1号発明においては開示されていない新規の技術要素である。 ウ逆潮流回避・運用設定の「分かりやすさ」 本件各発明が比率αを導入しテーブル管理する理由 ・設定差分値テーブルの技術的構成は、甲1号発明においては開示されていない新規の技術要素である。 ウ逆潮流回避・運用設定の「分かりやすさ」 本件各発明が比率αを導入しテーブル管理する理由は、最終的に「逆潮流による不利益を回避しつつ、運用設定を分かりやすくする」ことにある。 本件審決においても、課題1で示されているとおり、比率αを用いない甲1発明には、本件各発明が解決する課題や得られる効果が存在しないのであり、両者は本質的に異なる発明である。 したがって、審決が相違点1-1を「実質的な差異」と判断したことは、課題設定と課題解決手段との関係においても、正当な認定である。 ⑵ 相違点1-2についてア PCS定格と太陽電池定格の構造的違いパワーコンディショナ(PCS)の最大出力可能電力(PCS定格)と 太陽電池の定格電力は、それぞれ異なるハードウェア特性を規定する値で ある。 本件各発明がPCS定格を用いるのは、PCSが実際に逆変換して取り出せる最大電力を基準とし、これを超えないよう上限値を設定するためである。 ここで、「逆変換」とは、太陽電池から得られる直流電力(DC)を、商 用電力などで用いられる交流電力(AC)へ変換することを指す。 太陽電池は直流電力を生み出すため、交流電力を用いる一般的な家電や商用電力系統に接続して使用できない。 パワーコンディショナ(PCS)は、直流から交流へ、逆方向に変換する装置(いわゆるインバータ機能)を備えており、変換後の交流電力を負 荷に供給できるようにする装置である。 このため、本件各発明でPCS定格を基準にとするということは、PCSが直流を交流に変換できる最大出力(最大電力量)を上限としていることに技術的意義がある。 すなわち、PCS うにする装置である。 このため、本件各発明でPCS定格を基準にとするということは、PCSが直流を交流に変換できる最大出力(最大電力量)を上限としていることに技術的意義がある。 すなわち、PCSが実際に交流として取り出し可能な範囲を超えないよ うに制御することで、システム全体の安全性や安定性を確保しながら発電電力を効率よく利用できるようにしているのである。 他方、甲1発明は、あくまで「太陽電池の定格電力」で割って出力指令値を決定しているため、PCS定格を基に制御する本件各発明のように、システム全体の安全性や安定性を確保しながら発電電力を効率よく利用 することができない。 以上のとおり、「PCS定格」と「太陽電池定格」は、構造的に異なる技術的意義を有するのであって、両者が実質的に同義であるとはいえない。 イ制御対象の違いによる課題解決手段の差異本件各発明では「PCSの最大処理能力」を上限の基準としているため、 PCS定格を用いる必然性があり、この点が本件各発明の課題解決に直結 している。 他方、甲1発明は太陽電池自体の最大発電能力(太陽電池定格電力)を指標にしており、PCS側の事情(処理能力)とは切り離された形で上限値を調整している。 いずれの定格を割り算の分母とするかは、制御方針や設定目的に直結す る重大な差異であり、これを技術的に同義などということはできない。 ⑶ 小括以上のとおり、本件審決が認定した相違点1-1及び1-2に何らの誤りもない。 3 取消事由3(相違点1-1についての本件審決の進歩性判断の誤り、その他 従属項等についての本件審決の判断の誤り)(無効理由3-3に対応)〔原告の主張〕⑴ 本件審決が認定した本件発明1と甲1発明の相違点1-1が誤りであり、 件審決の進歩性判断の誤り、その他 従属項等についての本件審決の判断の誤り)(無効理由3-3に対応)〔原告の主張〕⑴ 本件審決が認定した本件発明1と甲1発明の相違点1-1が誤りであり、実質的には相違点でないことは既に主張したとおりである。 また、消費電力P(t)と定格電力との比率を算出すること自体は本件特 許出願当時の当業者が種々の目的のために行っていたことであり、単なる設計事項のレベルに過ぎず、当業者であれば、適宜採用し得た構成であり、容易想到なものである。すなわち、消費電力SをPCS定格で除して、両者の比率を出すこと自体は、審決が認定するとおり、初等数学程度の知識(小学校レベルの割り算)によって算出することができる上に、当業者がこのよう な比率を算出して甲1発明で比率を利用することに対する強い動機付けを有したことは、周知技術(甲16ないし18)によっても裏付けられている。 したがって、相違点1-1に係る本件発明1の構成は当業者にとって容易想到なものである。 本件各発明の「比率・設定差分値テーブル」は、かえって制御を分かりに くくしたに過ぎず、進歩性を裏付けるものではない。 ⑵ その他従属項について、相違点6-1、8-1、13、17、21の誤りについては、相違点1-1について上記で論じてきたところと同様である。 〔被告の主張〕⑴ 消費電力と定格電力との比率算出甲16ないし18に記載の発明は、いずれも、太陽光発電システムにおけ る逆潮流回避やPCS定格を用いた出力制御を目的とするものではなく、環境負荷の評価、部品負荷の評価、照明の省エネ管理など、全く別の技術的課題を解決するための構成にすぎないのであって、これら文献を総合しても、甲1発明において消費電力をPCS定格で除して比 ではなく、環境負荷の評価、部品負荷の評価、照明の省エネ管理など、全く別の技術的課題を解決するための構成にすぎないのであって、これら文献を総合しても、甲1発明において消費電力をPCS定格で除して比率αを導入する必然性や具体的動機付けを見出すことができない。 したがって、これらの公知文献の存在をもって、「PCS定格を基にした逆潮流制御が当業者に周知であった」と認定することはできない。 ⑵ 比率計算の周知性と逆潮流回避の動機付けの関係原告は、消費電力と定格電力の比率算出自体は当業者に周知であると主張するが、比率の算出が可能ということをもって、消費電力とPCS定格との 比率を用いて逆潮流を抑制する制御手段を思いつくという必然性がない。 本件各発明の課題は、太陽光発電システムにおいて逆潮流による不利益を回避しつつ分かりやすい運用が可能な制御を行う点にあり、単なる割り算の周知性から直接導かれるものではない。 そして、甲16ないし18が示しているのは、消費電力と定格電力を比較 することであって、当業者に逆潮流抑制策として「消費電力とPCS定格との比率αを算出して上限値を制御する」という構成を選択・適用するだけの動機付けや示唆を提供していない。 この点、本件審決においては、初等数学程度の知識によれば、消費電力Sと、消費電力を定数で除したものとが比例関係にあることに思い至りはする ものの、消費電力をPCS定格で除するように動機付けすることについては、 初等数学程度の知識は何も示唆しないと判断されているが、本件審決の評価は、極めて適切である。 そして、本件審決においても示されているとおり、原告の主張は、消費電力Sと、消費電力SをPCS定格で除したものとが同一視できることを根拠にしたものであり、甲1発 審決の評価は、極めて適切である。 そして、本件審決においても示されているとおり、原告の主張は、消費電力Sと、消費電力SをPCS定格で除したものとが同一視できることを根拠にしたものであり、甲1発明において消費電力SをPCS定格で除する動機 付けがあることについては、初等数学程度の知識に基づいて想到し得ることを主張するだけであって、何らの技術的根拠もない。 ⑶ 本件発明6以降のその他の請求項原告は、本件発明6以降のその他の請求項(原告は、いずれも従属項であると主張するが、請求項6、同8、同13、同17、同21は独立請求項で ある)につき、相違点1-1についての判断の誤りを起点として、本件審決の判断は誤りであると主張する。 しかし、既に主張したとおり、本件審決における相違点1-1に関する判断に何らの誤りもなく、相違点1-1の存在を理由とする新規性、進歩性の判断についても何ら誤りがない。 したがって、本件発明6以降のその他の請求項についての原告の主張はいずれも根拠がない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(実施可能要件違反に関する判断の誤り)(無効理由2に対応)について ⑴ 本件各発明の課題等についてア本件各発明の概要本件各発明の内容は、特許請求の範囲請求項1ないし24(本件審決第3の2⑵、同17頁24行目~22頁26行目)のとおりであるところ、本件明細書等の記載(本件審決第5、同45頁19行目~64頁下から2 4行目の前まで)によれば、本件各発明の技術分野、背景技術、発明が解 決しようとする課題、課題を解決するための手段及びその効果等につき、以下のとおり認められる(本件明細書等記載の用語による場合がある。)。 (ア) 技術分野「本発明は、太陽電池による発電電力 決しようとする課題、課題を解決するための手段及びその効果等につき、以下のとおり認められる(本件明細書等記載の用語による場合がある。)。 (ア) 技術分野「本発明は、太陽電池による発電電力を自家消費するためのシステムで用いられるパワーコンディショナの出力制御装置及び出力制御プログラ ムに関し、より特定的には、逆潮流が発生しないようにするための出力制御装置及び出力制御プログラムに関する。」(段落【0001】)(イ) 背景技術「従来、太陽電池による発電電力と、電力送配電網から供給される電力とを連系させて、並列的に負荷を駆動するための太陽光発電システムが 知られている。」、「当該太陽光発電システムでは、太陽電池による発電電力が、電力送配電網に逆流(以下、『逆潮流』という。)することを防止するために、太陽電池による発電電力を制御して、負荷による消費電力以上の発電を太陽電池が行わないようにするために、パワーコンディショナの出力が制御されている。」(段落【0002】、【0003】) 「逆潮流を防止する方法としては、主に、従来、二つの方法が存在する。 一つは、等差制御と呼ばれるものである。等差制御と呼ばれる方法においては、消費電力に対して、一定の電力を差し引いた電力を、パワーコンディショナの発電電力の上限値とする。」(段落【0004】)「もう一つの方法は、等比制御と呼ばれるものである。等比制御におい ては、消費電力に対して、一定の比率をかけた電力を、パワーコンディショナの発電電力の上限値とする。」(段落【0005】)(ウ) 発明が解決しようとする課題「図9に示す等差制御の場合、・・・パワーコンディショナの制御に要するタイムラグがあり、瞬時にパワーコンディショナの出力を制御するこ とはできないので (ウ) 発明が解決しようとする課題「図9に示す等差制御の場合、・・・パワーコンディショナの制御に要するタイムラグがあり、瞬時にパワーコンディショナの出力を制御するこ とはできないので、消費電力が急激に変化した場合、パワーコンディシ ョナ制御が追いつかず、系統への逆潮流が発生してしまう場合がある。」(段落【0008】)「図10に示す等比制御の場合、・・・瞬時にパワーコンディショナの出力を制御することができないので、例えば、消費電力が小さい領域においては、消費電力が急激に変化した場合、パワーコンディショナの制御 が追いつかず、系統への逆潮流が発生してしまう場合がある。」(段落【0009】)「等比制御においては消費電力が大きい状態においては、パワーコンディショナの出力が大きく抑制されることとなるので、逆潮流の可能性は低くなる。しかし、消費電力が大きい状況において、等比制御によって は、発電効率が低下していることとなるのである。ここで、発電効率が低下するとは、太陽電池が電力を供給することができる日照状況であるマ関マわらず、パワーコンディショナからの出力を制御することで、必要な電力を十分に取り出していないということを意味する。」(段落【0012】) 「このように、等差制御および等比制御には、それぞれの問題点が存在する。その問題点を、実質的に解決しようと試みているのが、特許文献2(特許第6364567号公報)に記載のシステムであるといえる。 特許文献2に記載のシステムにおいては、発電電力の上限値と消費電力との差分が、消費電力の1次関数となるように設定している。すなわち、 一次関数の傾きaに相当する部分を等比制御による比率とし、一次関数の切片bに相当する部分を等差制御による定 上限値と消費電力との差分が、消費電力の1次関数となるように設定している。すなわち、 一次関数の傾きaに相当する部分を等比制御による比率とし、一次関数の切片bに相当する部分を等差制御による定数として、等比制御と等差制御とを組み合わせることで、発電効率を向上させようとしているのである。」(段落【0013】)「しかし、特許文献2の記載において、aとbの値の決め方ついては、 抽象的に記載されているに過ぎず、また、特許文献2における説明は難 解なため、実際に、具体的に、aとbの値をどのような値として決定していけばよいのか不明である。」(段落【0014】)「それゆえ、本発明は、パワーコンディショナの制御を分かりやすいものとしながらも、系統への逆潮流を回避しつつ、かつ、太陽電池の発電電力をできる限り有効活用することができる出力制御装置、出力制御プ ログラム、及び太陽光自家消費システムを提供することを目的とする。」(段落【0015】)(エ) 課題を解決するための手段・発明を実施するための形態a 本発明の一実施形態は、太陽電池2と、パワーコンディショナ(PCS)3と、出力制御装置4と、受変電設備5と、負荷6と、蓄電装置 7とを備える太陽光発電自家消費システム1である。太陽光発電自家消費システム1には、電力送配電網8から、商用電力が供給されている(段落【0039】)。 b 出力制御装置4は、制御部41と、記憶部42と、出力部43と、受電電力計測部44と、発電電力計測部45と、入力部46とを含む (段落【0047】)。 c 記憶部42は、制御部41を動作させるためのプログラム、後述する比率・差分テーブル、及び、各種データを記憶するためのメモリである。比率・設定差分値テーブルは、太陽光発電自家 落【0047】)。 c 記憶部42は、制御部41を動作させるためのプログラム、後述する比率・差分テーブル、及び、各種データを記憶するためのメモリである。比率・設定差分値テーブルは、太陽光発電自家消費システム1の発電可能能力や負荷6での消費電力の大きさなどを考慮して、予め 決定しておく。また、予め決定した比率・設定差分値テーブルを、入力部46を利用して、運用状況を見ながら、適宜、書き換えることができる。たとえば、0<α≦20[%]の場合(α1領域の場合)、設定差分値β1を、30[kW]と設定する。同様に、20<α≦40[%]の場合(α2領域の場合)、設定差分値β2を、40[kW]と 設定し、40<α≦60[%]の場合(α3領域の場合)、設定差分値 β3を、50[kW]と設定し、60<α≦80[%]の場合(α4領域の場合)、設定差分値β4を、60[kW]と設定し、80<α≦100[%]の場合(α5領域の場合)、設定差分値β5を、70[kW]と設定し、100<α≦110[%]の場合(α6領域の場合)、設定差分値β6を、70[kW]と設定する。好ましくは、比率αが 大きくなるほど、設定差分値βを大きくし、これにより、消費電力が大きい領域において、急激に消費電力が低下としたとしても、設定差分値βに余裕を持たせることになるので、発電電力が消費電力を上回って、逆潮流が発生するという状況を回避することが可能となる。なお、比率・設定差分値テーブルにおいて、設定差分値が全て同じでは、 本発明の目的が達せないので、設定差分値は、少なくとも二種類以上存在する(段落【0049】、【0064】、【0065】及び【0069】)。 d 制御部41は、出力制御装置4の動作を制御するためのコンピューター装置である。出力制 差分値は、少なくとも二種類以上存在する(段落【0049】、【0064】、【0065】及び【0069】)。 d 制御部41は、出力制御装置4の動作を制御するためのコンピューター装置である。出力制御装置4は、現在の消費電力÷PCS定格を 計算し、現在の消費電力とPCS定格との比率αを算出する。次に、出力制御装置4は、比率・設定差分値テーブルを参照して、設定差分値βを決定する。出力制御装置4は、(消費電力-設定差分値β)/PCS定格を演算して、演算結果を、出力指令値Aとする。制御部41は、計測した受電電力、発電電力、比率・差分テーブル、及びPCS 定格に基づいて出力指令値Aを算出して、出力部43を介して、パワーコンディショナ3に送信する(段落【0048】、【0053】、【0062】、【0063】及び【0073】)。 e 出力部43は、出力制御指令値をパワーコンディショナ3に送信するための装置である。出力指令値Aに基づいて、パワーコンディショ ナ3は、出力する電力の上限値を制御する。パワーコンディショナ3 の出力上限値の時間変化P(t)は、消費電力の時間変化S(t)から、定数βを引いたものとなる(段落【0050】、【0076】、【0081】)。 (オ) 発明の効果本発明によれば、比率・設定差分値テーブルという分かりやすいテー ブルを用いて、逆潮流の回避の設定を行うことができるので、パワーコンディショナの制御を分かりやすいものとすることができる。特許文献2のように、一次関数のaとbを設定する場合に比べて、比率・差分テーブルは、分かりやすいものとなっている(段落【0030】、【0091】)。 また、一律同じ値の差分値を用いて制御する等差制御と比べて、消費電力とPCS定格との比率に応じ て、比率・差分テーブルは、分かりやすいものとなっている(段落【0030】、【0091】)。 また、一律同じ値の差分値を用いて制御する等差制御と比べて、消費電力とPCS定格との比率に応じて、設定差分値を決めることができるので、発電電力上限値に余裕を持たせることができつつ、逆潮流の回避を実現しつつ、等比制御と比べて、発電電力上限値を高く設定することができるので、太陽電池の発電電力を出来る限り有効活用することがで きる(段落【0030】)。 (カ) 産業上の利用可能性本発明は、出力制御装置、出力制御プログラム、及びそれを用いた太陽光自家消費システムであり、産業上利用可能である(段落【0111】)。 イ甲1発明の内容 本件各発明は、上記のとおり、本件明細書等の発明が解決しようとする課題等において、特許文献2として記載された甲1との関係で、分かりやすい設定を可能にした旨の記載があることから、甲1発明の内容について検討する。 甲1には、以下の記載がある(図面については、本件審決第9の1⑸~ ⑼、同95頁~98頁参照。下線は判決で付記)。 (ア) 技術分野本発明は、発電制御装置及びそれを用いた太陽光発電の発電制御システムに関する(段落【0001】)。 (イ) 背景技術従来、太陽光発電システムは、電力会社との売買契約に従って、余剰 電力は商用電力線に逆潮流させ電力会社に売電されていた。しかし、太陽光発電のような分散電源が増加するにともない、逆潮流による電力系統の電圧変動という弊害が生じることとなった。そのため、現在では太陽光発電システムから電力会社への逆潮流を回避する必要が生じている。 逆潮流を抑制し、太陽電池が発電する電力(発電電力)を制御する方法 として、例えば が生じることとなった。そのため、現在では太陽光発電システムから電力会社への逆潮流を回避する必要が生じている。 逆潮流を抑制し、太陽電池が発電する電力(発電電力)を制御する方法 として、例えば特許文献1、2が開示されている。特許文献1(特開2017-093127号公報)には、消費電力に対する発電電力の差分値が閾値以下になると太陽電池の発電電力を制御するシステムが、特許文献2(特開2012-175858号公報)には、消費電力に対する発電電力の不足分である受電電力が閾値以下になると太陽電池の発電電 力を制御するシステムが開示されている(段落【0002】、【0003】)。 (ウ) 発明が解決しようとする課題しかしながら、いずれのシステムにおいても、消費電力に対する発電電力の差分値と閾値とを比較判定し、太陽電池の発電電力を制御するものであった。このようなシステムでは、過剰に発電電力を抑制する結果、 太陽電池の発電可能な電力を十分に活用できない。 本発明は、商用電力線への逆潮流を回避しながら太陽電池の発電効率を向上させることができる自家消費型の発電制御システム、及びそれに使用する発電制御装置を提供することを課題とする(段落【0004】)。 (エ) 課題を解決するための手段 本発明に係る発電制御システムは、発電電力を制御するパワーコンデ ィショナと、負荷に接続された受変電部と、前記負荷の消費電力を取得すると共に前記パワーコンディショナの出力を制御する発電制御装置と、を備え、前記発電制御装置は、発電電力の上限値を消費電力の関数として出力指令値を算出し、前記出力指令値に基づいて前記パワーコンディショナの出力が制御されることを特徴とする(段落【0005】)。 また、前記関数は、一次関数であること 限値を消費電力の関数として出力指令値を算出し、前記出力指令値に基づいて前記パワーコンディショナの出力が制御されることを特徴とする(段落【0005】)。 また、前記関数は、一次関数であることを特徴とする(段落【0006】)。 このような発電制御システムとすることにより、逆潮流を回避するために、太陽電池の発電電力を制御しながら、太陽電池の発電効率を向上させることができる。 特にパワーコンディショナによる太陽電池の発電電力を制御するためのパラメータである出力指令値を、消費電力についての関数、特に一次関数により算出することにより、容易に、従来過剰に抑制されていた太陽電池の発電電力を有効に利用することが可能となる(段落【0007】)。 (オ) 発明の効果 本発明によれば、逆潮流を回避しながら太陽電池の発電効率を向上させることができる自家消費型の発電制御システム及びそれに使用する発電制御装置を提供することができる(段落【0017】)。 (カ) 発明を実施するための形態a 図1は、本発明に係る発電制御システム10の一実施形態の主要構 成を示す。発電制御システム10は、太陽電池1、PCS(パワーコンデショナ)2、受変電部3及び発電制御装置(以下単に、制御装置6と称す)を備え、太陽電池1により発電された電力を自家消費するシステムであり、発電制御システム10は、さらに蓄電池7を備えてもよい(段落【0020】)。 bPCS2は、太陽電池1から出力された直流電力を交流電力に変換 するとともに太陽電池1の発電電力を制御する。すなわち、PCS2は、太陽電池1のI-V特性に従って太陽電池1の発電電力を制御することができ、例えばMPPT法により発電電力が最大となるように制御することができる(段落 池1の発電電力を制御する。すなわち、PCS2は、太陽電池1のI-V特性に従って太陽電池1の発電電力を制御することができ、例えばMPPT法により発電電力が最大となるように制御することができる(段落【0021】)。 c 受変電部3は、電力会社5等からの商用電力線に接続されており、 商用電力線から電力供給を受け負荷4に電力を供給することができる(段落【0023】)。 d 制御装置6は、太陽電池1の発電電力の上限値を設定するため、負荷4の消費電力、又は受変電部3から負荷4への供給電力を計測する計測部を備える。また、制御装置6は、太陽電池1の発電電力をPC S2から取得し、時々刻々変化する太陽電池1の発電電力を監視することもできる。制御装置6は、さらにマイコン等の演算処理部、記憶装置及び計時部を備える。制御装置6は、計時部の計時機能を用い、指定された(又は記憶装置に記憶された)頻度で(又は日時に)、消費電力を取得し、演算処理部において、得られた消費電力の値を用い、 後述する関数(一次関数)によって太陽電池1の発電電力の上限値を設定する。さらに制御装置6は、発電電力の上限値を太陽電池1の定格電力で除して出力指令値(=(発電電力の上限値)/(定格電力)[%])を算出する。出力指令値は、入出力部を経由してPCS2に出力され、PCS2は出力指令値に従って、太陽電池1の発電電力が上 限値以下となるように制御する。なお、発電電力の上限値そのものを出力指令値としてPCS2に出力してもよい(段落【0025】ないし【0027】)。 e 発電制御システム10、特に制御装置6による太陽電池1の発電電力の上限値(最大発電許容値)の設定方法について説明する。本発明 に係る発電制御システム10は、発電電力上限値を以下に説明するよ 電制御システム10、特に制御装置6による太陽電池1の発電電力の上限値(最大発電許容値)の設定方法について説明する。本発明 に係る発電制御システム10は、発電電力上限値を以下に説明するよ う一次関数式により算出し、一次係数a及び0次係数bを実際の消費電力、発電性能にあわせて設定することにより、発電効率を上げることができる(段落【0031】、【0034】)。 消費電力は時刻により変化するため、時刻tにおける消費電力及び発電電力上限をそれぞれS(t)、P(t)[W]とする。 S(t)=消費電力 [式1]P(t)=発電電力上限値(最大発電許容値) [式2]P(t)は、S(t)とP(t)との差分が、S(t)の一次式となるように設定する。 S(t)-P(t)=aS(t)+b [式3] ここで、aは0以上1以下の値とする。式3よりP(t)=(1-a)S(t)-b [式4]となる。(段落【0035】、【0036】)以下、式4により発電電力上限を設定する効果及び、一次係数a、0次係数bの設定法の例について具体的に説明する。 式4を所定の時間間隔(t0からt1、例えば、6時から18時、0時から24時)の範囲で時間積分することにより、所定の時間の発電可能な総発電可能量[Wh](総発電量上限値)は∫P(t)dt=∫(1-a)S(t)dt-∫bdt [式5]となる。ここで係数a、bを時間に依存しない定数とすると、 ∫P(t)dt=(1-a)∫S(t)dt-b∫dt=(1-a)∫S(t)dt-b(t1-t )dt-∫bdt [式5]となる。ここで係数a、bを時間に依存しない定数とすると、 ∫P(t)dt=(1-a)∫S(t)dt-b∫dt=(1-a)∫S(t)dt-b(t1-t0)[式6]となる。 ここで、例えば、時刻tmで消費電力量が最大となるとすると、P(tm)=max(P(t)) [式7] となる。 もし、時刻tmを中心とする時間帯において消費電力の絶対値の変動が大きくなる場合、急な消費電力の変動に発電電力の制御が追随できないリスクが高くなる可能性がある。そのため、この時間帯において、消費電力と発電電力との差分に対して、十分なマージン(余裕度)を持たせることを想定する。すなわち、時刻tmでのS(tm)とP (tm)との差分を所定の値Z(余裕度)以上に設定すると、S(tm)-P(tm)≧Z [式8]となる。そのため、P(tm)は、P(tm)≦S(tm)-Z [式9]となる。 そこで、時刻tmにおいて、P(tm)がS(tm)-Z以下の値になるという束縛条件の下で総発電可能量が最大になるようa、bを決定する。 なお、Zは、太陽電池の発電量制御の応答性、PCSのMPPT制御の変動幅や、過去の実績から想定される消費電力の変動量等から決 めればよく、Zが小さいと逆潮流のリスクが高くなる。 例えば、PCS2による発電力制御の応答時間が1分程度であり、その間(1分間)の消費電力の変動量が過去の実績から50kWであったとすると、Zの値は50kW以上の値を設定する必要がある。また、応答速度が速く例えば5秒以 る発電力制御の応答時間が1分程度であり、その間(1分間)の消費電力の変動量が過去の実績から50kWであったとすると、Zの値は50kW以上の値を設定する必要がある。また、応答速度が速く例えば5秒以内程度であれば、その間の消費電力 の変動は少なくなると考えられるため、Zの値としてより小さい値を設定できる。(段落【0037】ないし【0040】)f 図3は、横軸に総発電可能量、縦軸にP(tm)をプロットした相関図であり、図3(a)は、aをゼロとしたときのbの依存性(従来の制御法)を示し、図3(b)は、a及びbの依存性を示し、図3(c) は(a)及び(b)を合成した図である。 図3(a)に示すように、bを変化(増大)させると、矢印αに示す方向に、直線LAに沿って総発電可能量及びP(tm)が変化する。 図3(b)において、直線LB1は、bをゼロとしaを変化させた時の総発電可能量及びP(tm)を示す。直線LB1において、aを変化(増大)させると、矢印βに示す方向に、直線LB1に沿って総 発電可能量及びP(tm)が変化する。 さらに、bを変化(増大)させると、直線LB1が、矢印γで示す方向に、例えば直線LB2、直線LB3へとシフトする。 なお、直線LB2、LB3において、aを変化(増大)させると、直線LB1と同様な矢印βの方向に、直線LB2、LB3に沿って総 発電可能量及びP(tm)が変化する図3(c)は、図3(a)及び(b)を合成した図であり、視認性のため直線LA、直線LB1及び直線LB3のみをプロットしている。 図中、直線Lmは、P(tm)の上限を示す。(式9参照。)図3(c)において、直線Lmと直線LAとが交わる点の総発電可 能量が、aをゼロとしたとき(従来の制御法)の最大の総発電可 している。 図中、直線Lmは、P(tm)の上限を示す。(式9参照。)図3(c)において、直線Lmと直線LAとが交わる点の総発電可 能量が、aをゼロとしたとき(従来の制御法)の最大の総発電可能量(図中、「TA」で示す)となる。 さらに図3(c)に示すように、直線Lm以下であり且つ総発電可能量がTA以上となる領域(図中に示す、ハッチングされた領域「K」)が存在し、S(tm)と総発電可能量との組み合わせを実現できるよ うにa、bを設定できることが理解できる。 領域Kの内部は、従来の発電量の制御方法よりも発電効率がよい領域である。 領域Kの内、最も総発電可能量が大きいのは、点TB1であり、その点を実現するa、bを選択することも可能であるが、領域K内部の 領域で、従来よりも発電効率が高く、さらに逆潮流のリスクを低減す るように発電電力の低い点、例えば図3(c)中の点TB2を選択して、a、bを決定してもよい。a、bの設定可能範囲が確定するため、利用者がその範囲から発電電力の上限を確定すればよく、太陽電池1を制御する条件の選択の幅が拡大する。 このように、従来のような発電電力の上限値を消費電力に依存しな い制御方法とくらべ、式4に示すように発電電力の上限値を消費電力の一次関数とすることで、総発電可能量を増大させることができる(段落【0041】ないし【0047】)。 g なお、図3(c)においては、tmは消費電力が最大となる時刻としたが、他の時刻、例えば消費電力の時間変動が大きい時刻(S(t) の時間微分が最大となる時刻)、日照量が最大となる時刻等をtmとして、図3(c)に相当するグラフを作成し、一次係数a、0次係数bを決定してもよい。なお、図3(c)は、消費電力の時間積分により算出している 微分が最大となる時刻)、日照量が最大となる時刻等をtmとして、図3(c)に相当するグラフを作成し、一次係数a、0次係数bを決定してもよい。なお、図3(c)は、消費電力の時間積分により算出している。そのため、a、bを確定するための時間積分は、過去数日の消費電力の平均値を用いたり、過去数週間の同じ曜日の消費電 力を使用してもよい。また、図3(c)は、従来と比べ発電効率を向上することができることを示すものであり、a、bの設定条件は上記方法によらず、例えば、aを0(ゼロ)としてbを確定し、aの値を変化させて総発電量のデータを取得し蓄積し、総発電量が高い条件となるようにaの値を確定してもよい。また、逆にbを0(ゼロ)とし てaを確定し、bの値を変化させて総発電量のデータを取得し蓄積し、総発電量が高い条件となるようにbの値を確定してもよい。また、時間積分する時刻t0、t1は、適宜変更が可能であり、例えば6時から10時、10時から14時、14時から18時のように複数の時間帯を設け、それぞれの時間帯でa、bを確定し、それぞれの時間帯毎に 一次係数a、0次係数bの値を変えてもよい。また、時間積分を行わ ず特定の時刻t(例えば午前10時等)において、式6の代わりに式4を用いて図3に相当するグラフを作成してもよい。また、一次係数a、0次係数bを決めるためのZの値は、予め過去の実績等から決めておき、a、bの設定可能範囲を算出後、設定可能範囲から利用者等がa、bの値を決定し、発電電力の上限を決めてもよい。例えば、Z の値として十分に余裕を持たせて大きく設定し、使用実績を見ながら小さくしていってもよい。(段落【0048】ないし【0052】)h このように、太陽電池1の発電電力を制御するために2つのパラメータ(一次 して十分に余裕を持たせて大きく設定し、使用実績を見ながら小さくしていってもよい。(段落【0048】ないし【0052】)h このように、太陽電池1の発電電力を制御するために2つのパラメータ(一次係数a及び0次係数b)を用いることで、太陽電池1の設置箇所、季節、時刻に応じて、様々な条件に対応することができる。 また、制御装置6内の記憶装置に過去のデータを記憶して、最適なa、bの値を算出できるように学習機能を備えさせることが可能である。 太陽電池1の使用条件に合わせて、発電電力の上限と2つのパラメータ(a、b)との相関関係についてのデータを作成及び保存、蓄積し、蓄積されたデータから、最適な条件を設定することができる。2つの パラメータを用いるため、条件の最適化の自由度が増加し、様々な状況に合わせた制御条件を得ることができる。(段落【0053】、【0054】)i 図4は、本発明の別の効果を示す図であり、P(t)の時間依存性を示し、さらに、簡単のため0次係数(b)をゼロとしたときの、P (t)の一次係数aの依存性を模式的に示す。横軸は時刻であり、縦軸に各一次係数におけるP(t)をプロットしている。 図4において、曲線A、B、Cは、この順に一次係数が増大している。図4より明らかなように、一次係数が増大すると、発電電力上限値が低下するとともに、曲線の凹凸(変動幅)が低下する。例えば、 極大点tUの発電電力上限値と極小点tLの発電電力上限値との差が 曲線A、B、Cの順に低減することが分かる。即ち、一次係数が増大すると発電電力上限値の変動幅が少なくなる。その結果、PCS2による制御すべき発電電力の応答性が緩和されるという効果もある。 このように本発明に係る発電制御システム10においては、従来と比較し 大すると発電電力上限値の変動幅が少なくなる。その結果、PCS2による制御すべき発電電力の応答性が緩和されるという効果もある。 このように本発明に係る発電制御システム10においては、従来と比較し、逆潮流を回避しながら総発電量を増大させることが可能な太 陽光電池の制御が実現でき、さらに、発電電力を制御する変動幅が緩和される効果もある。(段落【0055】、【0056】)j さらに一次係数a、0次係数bは、季節、時刻に依存して変更してもよい。制御装置6の計時部の時計機能を利用し、記憶部に記憶した季節、時刻毎に設定された一次係数a、0次係数bの値を用いてもよ い。 例えば、太陽電池1の発電電力は、定格電力に近くなると、発電電力の変動が小さくなる。この場合Zの値を小さく設定し、それに合わせて一次係数a、0次係数bを算出してもよい。すなわち、太陽高度が高く、十分な日射量を得られ、太陽電池の定格電力に近い値が出力 されるような季節及び時刻において、Zを小さく設定することも可能である。 一次係数a、0次係数bの値を太陽電池1の特性や負荷の消費電力の動向にあわせて柔軟に設定することにより、さらに太陽電池1の発電効率を向上させることができる。また、制御装置6からPCS2へ の制御命令は、その頻度を適宜変更できる。頻度に合わせてa、bを設定してもよい。例えば、頻度が少ない場合、消費電力、発電電力の変動を見込んで、発電電力の上限の算出には、想定される変動幅に余裕(マージン)を持たせてZ値を大きく設定し、一次係数a、0次係数bを確定する。頻度が大きい場合、発電電力の変動幅に対する余裕 を少なくすることができ、Z値を小さく設定し、一次係数a、0次係 数bを確定することができる。(段落【0060】、【006 る。頻度が大きい場合、発電電力の変動幅に対する余裕 を少なくすることができ、Z値を小さく設定し、一次係数a、0次係 数bを確定することができる。(段落【0060】、【0061】)(キ) 甲1発明の内容前記(ア)ないし(カ)(特に下線部を参照)及び甲1の図面中、特に図1、3及び4(本件審決第9の1⑸~⑼、同95頁~98頁参照)によれば、甲1には、以下の内容の甲1発明が記載されているものと認められる。 これは、本件審決が認定した甲1発明の内容(本件審決第10の2⑸、同124頁4行目~29行目。【】内の数字は、甲1の該当段落の記載)と同じである。 「1a 発電制御システム10は、太陽電池1、PCS2、受変電部3及び制御装置6を備え、太陽電池1により発電された電力を自家消 費するシステムであって、(【0020】)1bPCS2は太陽電池1の発電電力を制御し、(【0021】)1c 受変電部3は、商用電力線に接続されており、商用電力線から電力供給を受け負荷4に電力を供給し、(【0023】)1d 制御装置6は、負荷4の消費電力を計測し(【0025】)、得ら れた消費電力の値を用い、一次関数によって太陽電池1の発電電力の上限値を設定し、(【0027】)1e 制御装置6は、発電電力の上限値を太陽電池1の定格電力で除して出力指令値(=(発電電力の上限値)/(定格電力)[%])を算出し、出力指令値はPCS2に出力され、PCS2は出力指 令値に従って、太陽電池1の発電電力が上限値以下となるように制御し、(【0027】)1f 時刻tにおける消費電力及び発電電力上限をそれぞれS(t)、P(t)とし、(【0035】)P(t)=(1-a)S(t)-b となり、(【0036】) し、(【0027】)1f 時刻tにおける消費電力及び発電電力上限をそれぞれS(t)、P(t)とし、(【0035】)P(t)=(1-a)S(t)-b となり、(【0036】) 一次係数a及び0次係数bを実際の消費電力、発電性能にあわせて設定し、(【0034】)1gP(t)は、S(t)とP(t)との差分が、S(t)の一次式S(t)-P(t)=aS(t)+b となるように設定し、(【0036】)1h 制御装置6の計時部の時計機能を利用し、記憶部に記憶した季節、時刻毎に設定された一次係数a、0次係数bの値を用いてもよい、(【0060】)1i システム。」 ウ本件各発明の課題上記を踏まえて、本件各発明の解決しようとする課題について検討する。 (ア) 本件明細書等の発明が解決しようとする課題欄には、前記ア(ウ)のとおりの記載があるところ、段落【0013】に記載された「特許文献2」は、甲1と同内容であるから、段落【0013】の「特許文献2に記載 されたシステム」は、特許文献2の発明に係る発電制御システムのことであり、上記イ(エ)等にいう発電制御システムである、甲1発明の発電制御システム(前記イ(キ)。以下「甲1特許制御」という。)を意味するものと解される。 そして、上記段落【0013】に記載された「等比制御」と「等差制 御」は制御の一種であるから、「等比制御と等差制御とを組み合わせ」たものも制御の一種と認められる。 そうすると、段落【0013】に記載された「特許文献2に記載のシステムにおいて・・・一次関数の傾きaに相当する部分を等比制御による比率とし、一次関数の切片bに相当する部分を等差制御による定数と して、等比制御と等差制御とを組み合わせ」たものは に記載のシステムにおいて・・・一次関数の傾きaに相当する部分を等比制御による比率とし、一次関数の切片bに相当する部分を等差制御による定数と して、等比制御と等差制御とを組み合わせ」たものは、甲1特許制御で あり、段落【0014】に記載された、「a」は、段落【0013】に記載された「一次関数の傾きa」であり、「一次関数」は、同段落に記載された「発電電力の上限値と消費電力との差分」である「消費電力の1次関数」を指すことは明らかである。 また、段落【0014】に記載された「b」は、段落【0013】に 記載された「一次関数の切片b」であり、「一次関数」とは、上記と同じく「消費電力の1次関数」を指すことは明らかである。 段落【0014】に記載された「実際に、具体的に、aとbの値」を「決定」することとは、システムの運用に先立って行われる「設定」の一種と解される。 段落【0015】は、「それゆえ」として、段落【0014】の上記のとおりの特許文献2に記載のシステムにおいて「実際に、具体的に、aとbの値をどのような値として決定していけばよいのか不明である」ことを受けて、「本発明は、パワーコンディショナの制御を分かりやすいものとしながら」、系統への逆潮流を回避しつつ、太陽電池の発電電力を有 効活用することができる出力制御装置等を提供することを目的とする、としている。 これらを踏まえると、段落【0013】ないし【0015】に記載された本件各発明の課題は、甲1特許制御においては、発電電力の上限値と消費電力の差分が一次関数となるようにしたときの一次関数の傾きa 及び切片bの値を運用前にどのように設定していけばよいのかが不明であったとして、パワーコンディショナの制御を分かりやすいものとすること、すなわち 次関数となるようにしたときの一次関数の傾きa 及び切片bの値を運用前にどのように設定していけばよいのかが不明であったとして、パワーコンディショナの制御を分かりやすいものとすること、すなわち甲1特許制御よりも、運用前に行う設定を分かりやすいものとすることを課題の一つとしているものと解される(後記課題1)。 そして、本件明細書等の段落【0015】にあるとおり、本件各発明 の課題は、逆潮流を回避すること、太陽電池の発電電力をできる限り有 効活用することにもあるものと認められる(後記課題2、3)。 さらに、パワーコンディショナの制御によって太陽電池の発電電力をできる限り有効活用することとは、太陽電池によるエネルギー変換をできる限り効率的に行うことであるから、発電効率をできる限り高くすることであると認められる(後記課題3)。 (イ) 上記(ア)を整理すると、本件各発明が解決しようとする課題は、以下のとおりの課題1ないし3であると認められるところ、これは本件審決(本件審決第10の1⑵イ、同100頁32行目~34行目)の認定と同旨である。 課題1:甲1特許制御よりも、運用前に行う設定を分かりやすいもの とすること。 課題2:逆潮流を回避すること。 課題3:発電効率をできる限り高くすること。 エ原告の主張に対する判断原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑴イ(ア)ないし(ウ)のとおり、本件 審決の本件各発明が解決しようとする課題1ないし3の認定は不十分であり、課題2及び課題3は、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で、優れた出力制御装置等を提供することと認定されるべきであり、課題1は、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回 制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で、優れた出力制御装置等を提供することと認定されるべきであり、課題1は、従来の等差制御及び等比制御と比べて、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力 の有効活用の点で優れたパワーコンディショナの制御方法を、分かりやすく示すことであると認定されるべきであると主張する。 しかし、前記ウで検討したとおり、本件明細書等の記載に基づき検討すれば、段落【0013】ないし【0015】に記載された本件各発明の課題は、前記ウ(ア)のとおり、甲1特許制御を従来の等差制御及び等比制御の 問題点を克服しようとするものと位置付けた上で、甲1特許制御よりも、 運用前に行う設定を分かりやすいものとすることにあると認められる。なお、原告の主張のうち、「従来の等差制御及び等比制御と比べて」、系統への逆潮流の回避、太陽電池の発電電力の有効活用の点で優れたパワーコンディショナの制御方法を、「分かりやすく示すこと」を課題とする、との点(前記第3の1〔原告の主張〕⑴イ(ア)、(ウ))については、本件明細書等 における根拠を欠く上、等差制御については、事前に差分を一定に設定するものであるから、等差制御と比べて更に分かりやすくすることは想定し得ず、前提を欠くものといえる。 また、課題2について、本件明細書等の段落【0015】には「それゆえ、本発明は、パワーコンディショナの制御を分かりやすいものとしなが らも、系統への逆潮流を回避しつつ、かつ、太陽電池の発電電力をできる限り有効活用することができる出力制御装置、出力制御プログラム、及び太陽光自家消費システムを提供することを目的とする」と記載されているから、本件各発明の課題は、少なくとも「逆潮流を回避する」ことであると認 活用することができる出力制御装置、出力制御プログラム、及び太陽光自家消費システムを提供することを目的とする」と記載されているから、本件各発明の課題は、少なくとも「逆潮流を回避する」ことであると認められる。 さらに、課題3について、本件明細書等の段落【0015】の記載によれば、本件各発明の課題は、太陽電池の発電電力をできる限り有効活用することにあると認められ、これは前記のとおり「発電効率をできる限り高くする」ことである。 これらによれば、本件各発明が解決しようとする課題は、前記ウ(イ)のと おり、本件審決が認定した課題1ないし3であると認められる。 したがって、本件審決の認定に誤りはなく、上記原告の主張は採用することができない。 ⑵ 実施可能要件違反の有無ア判断基準 特許法36条4項1号に規定する実施可能要件については、明細書の発 明の詳細な説明が、当業者において、その記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、特許請求の範囲に記載された発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているかを検討すべきである。 本件各発明は、出力制御装置、出力制御プログラム、及びそれを用いた 太陽光発電自家消費システムの発明であり、いずれも物の発明であるから、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合しているというためには、当業者が、本件発明1~24の出力制御装置、出力制御プログラム、及びそれを用いた太陽光発電自家消費システムを生産でき、かつ、使用することができるように具体的に記載されていなければならな いというべきである。 イ実施をすることができる程度に明確かつ十分な記載の有無について本件明細書等には、前記⑴アのとおりの記載がある。この記載及び うに具体的に記載されていなければならな いというべきである。 イ実施をすることができる程度に明確かつ十分な記載の有無について本件明細書等には、前記⑴アのとおりの記載がある。この記載及び図面(特に図2ないし4、8C及びE)に照らせば、発明が解決しようとする課題の解決手段は、消費電力とPCS定格との比率に対応した少なくとも 二種類以上の設定差分値等を記憶し(請求項1、6、8、13、17〔その他一群の請求項の関係にあるものも同様である〕、段落【0069】等)、これを用いてパワーコンディショナの出力指令値を算出すること(前記⑴ア(エ)cないしe)であると認められ、このような構成を実現することは、本件各発明に係る特許請求の範囲の記載及び前記⑴ア(エ)等の記載によれ ば、当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)であれば技術常識に基づいてさほどの困難を伴うことなくこれを実施できるものと解される。すなわち本件発明1ないし5、13ないし16の出力制御装置、同6、7、17ないし20の出力制御プログラム、及び同8ないし12、21ないし24のそれを用いた太陽光発電自家消費システム を、それぞれ生産でき、かつ、使用することができると認められる。 なお、本件明細書等には、「比率α」及び「設定差分値β」の具体的な決定方法は記載されていないが、前記⑴ア(エ)cのとおり、本件明細書等の段落【0064】に「比率・設定差分値テーブルは、太陽光発電自家消費システム1の発電可能能力や負荷6での消費電力の大きさなどを考慮して、予め決定しておく。また、予め決定した比率・設定差分値テーブルを、入 力部46を利用して、運用状況を見ながら、適宜、書き換えることができる。」と記載され、同段落【0065】以下 などを考慮して、予め決定しておく。また、予め決定した比率・設定差分値テーブルを、入 力部46を利用して、運用状況を見ながら、適宜、書き換えることができる。」と記載され、同段落【0065】以下に「たとえば、0<α≦20[%]の場合(α1領域の場合)」として、「設定差分値β1」の設定の仕方が記載され、異なる比率αに応じた設定差分値βの設定の仕方がそれぞれ記載されており、需要家の事情を考慮した最適な設定値の求め方それ自体は、 上記本件明細書等の記載によって、需要家それぞれの事情に応じて適宜設定可能なようにするものであって、本件各発明は、直ちにその具体的な決定方法を示すことを課題ないし目的としたものとは解されないから、上記具体的な決定方法の記載がないことをもって、直ちに本件各発明が実施可能でないとはいえない。 よって、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は、当業者が容易に本件発明1ないし24の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであると認められるから、特許法36条4項1号の規定(実施可能要件)を充足していると判断するのが相当である。 ウ原告の主張に対する判断 (ア)a 原告は、本件審決が甲1の課題解決手段を「甲1課題解決手段1」及び「甲1課題解決手段2」と認定したことについて、このような認定は甲1発明の技術思想を過剰なまでに限定したものであり、誤りであって、この誤りは本件審決の結論に影響している旨を主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑴ア)。 この点につき、甲1発明が解決しようとする課題の内容が「商用電 力線への逆潮流を回避しながら太陽電池の発電効率を向上させることができる自家消費型の発電制御システム、及びそれに使用する発電制御装置を提供すること」(段落【000 内容が「商用電 力線への逆潮流を回避しながら太陽電池の発電効率を向上させることができる自家消費型の発電制御システム、及びそれに使用する発電制御装置を提供すること」(段落【0004】)であることに照らせば、発電効率を向上させるための電力制御の具体的な内容を特定することが必要であり、本件審決が、前記⑴イ(カ)e、fの甲1の段落【004 0】ないし【0047】、図3(a)及び(c)の記載を参照し、甲1の課題解決手段として「甲1課題解決手段1」及び「甲1課題解決手段2」を認定したこと(本件審決第10の2⑶オ、同123頁12行目ないし19行目)は妥当なものということができ、同解決手段の認定は、甲1発明の技術思想を過剰までに限定したものとは認められな いというべきである。また、後記するとおり、本件審決の甲1発明の内容、本件各発明と甲1発明の一致点及び相違点の認定、新規性及び進歩性の判断に誤りも認められない。したがって、原告の上記主張は前提を欠き、採用することができない。 b 原告は、甲1発明及び甲1発明の実施品で用いられる消費電力の一 次関数は、増加率が一定の単調増加関数であり、分かりやすいものであるから、本件審決の認定は誤りであると主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑴ア)。 しかし、甲1発明では、需要家は一次関数の傾きa及び切片bを用いて逆潮流を回避するための余裕量であるマージンの設定を行うこと になり、一次関数の傾きa及び切片bと、PCSの動作との関係を把握する必要があるのであって、その意味で、需要家にとって実際に運用するのに先立って行う設定は難解で、かつ分かりやすいものとはいえないということができる。 なお、本件審決は「甲1特許制御を実際に運用するに先立って行う 設定が難解である」 にとって実際に運用するのに先立って行う設定は難解で、かつ分かりやすいものとはいえないということができる。 なお、本件審決は「甲1特許制御を実際に運用するに先立って行う 設定が難解である」(本件審決第10の1⑵ア、同100頁15行目~ 16行目)としていて、甲1発明で用いられる一次関数自体の分かりやすさではなく、一次関数に含まれる係数a及びbの設定についての分かりやすさを問題としているのであり、原告の「甲1発明やその実施品で用いられる消費電力の一次関数」が「分かりやすい」か否かについての主張は、本件審決の適切な理解に基づくものとはいえないと いうべきである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 c 原告は、甲1発明の実施製品では、係数a及びbに相当する値として初期値が予め入力され、需要者の使用様態に応じて係数a及びbの値を適宜変更することが予定されているから、甲1に一つの実施例と して説明された数学的算出方法を常に適用しなければ係数a及びbが求められないかのような本件審決の理解は誤りである旨を主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑴ア)。 しかし、甲1発明の実施製品の具体的構成は、甲1発明の認定に直接的な影響を及ぼすものとは認められず、甲1発明の内容は、あくま でも甲1の記載の解釈により定められるものである。 仮に甲1発明が甲1発明の実施製品と同様に、係数a及びbに相当する値として初期値が予め登録され、需要者の使用態様に応じて係数a及びbの値を適宜変更するものであったとしても、需要家が係数a及びbを具体的にどの程度変更すべきかについては、甲1には記載さ れているものではないから、甲1発明において「実際に、具体的に、aとbの値をどのような値として決定していけばよいの 要家が係数a及びbを具体的にどの程度変更すべきかについては、甲1には記載さ れているものではないから、甲1発明において「実際に、具体的に、aとbの値をどのような値として決定していけばよいのか不明」(本件明細書等段落【0014】、本件審決第10の1⑵ア、同100頁10行目~11行目)であることに変わりはなく、この点が、本件各発明の実施可能要件、新規性及び進歩性の判断に影響を及ぼすとも認めら れない。 したがって、原告の上記主張は前提を欠き、採用することができない。 (イ)a 原告は、本件審決では甲1特許制御の問題点として「aとbの値をどのような値として決定していけばよいのか不明である」ことを指摘し、これを踏まえて本件各発明が解決しようとする課題を認定してい るが、本件明細書等には、比率(α)及び設定差分値(β)をどのような値として決定していけばいいのかという核心的な事項が具体的に記載されていない問題がある旨を主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵ア(イ))。 しかし、本件各発明では、比率αが使用されたテーブルに、需要家 の事情を考慮し、PCS定格に基づき需要家毎に適切な設定値を設定するものであるところ、需要家が設定値として最適な値をどのように求めるか自体については、前記イで検討したとおり、本件各発明の課題ないし目的とするところではないと解される。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 b 原告は、特許請求の範囲をみても、比率αが100%よりも大きいか否かによって区別をしている請求項は、請求項3及び10のみが存在するに過ぎず、その他の請求項は、比率αが100%であるかそうではないかを何らかの区別の基準としているわけではないから、請求項3及び10以外の請求項につ している請求項は、請求項3及び10のみが存在するに過ぎず、その他の請求項は、比率αが100%であるかそうではないかを何らかの区別の基準としているわけではないから、請求項3及び10以外の請求項について、発明の課題をいずれも解決しな いことが明らかである旨を主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(ウ))。 しかし、本件明細書等で示されている比率αに関する100%という閾値は、それを超えた状態では逆潮流が生じにくいことを示す一つの目安であり、閾値が100%に限られるとすべき合理的な理由はな い。すなわち、100%よりも低い値(例えば、20%、40%、6 0%、80%のいずれかの値)を閾値とすることも本件各発明に含まれるものであるから、需要家の置かれた状況によっては、それらの閾値を使って、本件各発明の課題を解決しうると解される。よって、比率αが100%よりも大きいか否かによって区別をしている請求項である請求項3及び10以外の請求項が、本件各発明の課題をいずれも 解決しないものとは認められない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 c 原告は、本件各発明は、比率・設定差分値テーブルに、消費電力そのものの絶対値ではなく、「PCS定格との比率」を用いることから、パワーコンディショナの制御が当業者にとって分かりにくく、難易度 の高いものであると主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(エ))。 しかし、本件各発明における「PCS定格との比率」は、現在の消費電力がPCSの最大出力に対してどの程度近づいているかを需要家が把握できるようにした指標であると認められる。一般に、対象者の理解を助けるために、相対値を用いた換算や、認識しやすい単位での 表現が行われることは広く社会に定着してお 近づいているかを需要家が把握できるようにした指標であると認められる。一般に、対象者の理解を助けるために、相対値を用いた換算や、認識しやすい単位での 表現が行われることは広く社会に定着しており、合理的な説明手法として容認されている上、「PCS定格」は、通常はPCSの製品仕様として明示されており、需要家が契約時や設置時に把握することが期待されるものである。そうすると、本件各発明において「PCS定格との比率」を用いて電力量を表現することは、需要家の理解を助けるも のと認められる。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 d 原告は、当業者である需要家が、負荷特性や運用状況による多様な事情に応じて柔軟に発電量を設定しようとするのであれば、甲1に開示されているとおり、制御方法を季節、時刻に依存して変更する方法 が分かりやすいのに対し、本件各発明のように「比率・設定差分値テ ーブル」を用いて、「比率α」の領域ごとに設定差分値βを設定する方法は、非常に難易度が高く、実務上困難であり、当業者にとって極めて分かりにくいと主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(オ))。 しかし、甲1に開示された時間帯や季節に依存して各係数を設定する方法は、本件明細書等の段落【0094】ないし【0095】にお いて、「(変形例) 従来の技術では、たとえば、特許文献2の段落0060に記載されているように、季節や時刻に依存して、一次関数の一次係数aおよび0次係数bを変更することが開示されている。これによって、特許文献2では、太陽電池の特性や負荷の消費電力の傾向に合わせて、一次係数aおよび0次係数bを柔軟に設定することができ るとされている。しかし、時刻毎に、各係数を設定したとした場合、当初想定していたような 、太陽電池の特性や負荷の消費電力の傾向に合わせて、一次係数aおよび0次係数bを柔軟に設定することができ るとされている。しかし、時刻毎に、各係数を設定したとした場合、当初想定していたような消費電力の傾向とは、異なるような変化を消費電力がした場合、元々設定した各係数は、消費電力の向上に役に立たないものとなる。」(段落【0094】)、「すなわち、時間帯や季節に依存して、各係数を設定するような特許文献2の方法では、必ずしも、 消費電力の向上が実現しているとは、言えない場合が発生してしまう。」(段落【0095】)と言及されているとおり、当初想定していた消費電力の傾向とは異なる変化を生じた場合、設定した各係数は消費電力の向上に役に立たないものとなり、消費電力の向上が実現されない場合が発生してしまうとの問題を指摘しているところである。このよう に本件明細書等で指摘された問題を無視して、事情に応じた変動への対応につき、単純にいずれが分かりやすいかを問題とするのは相当とは解されない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、本件各発明の課題解決原理が、「αが大きいほど、すなわち 消費電力がPCS定格に近づくほど急な需要低下で逆潮流が起きやす いので、大きめのマージン(β)を設定すればよい」というものであるとすれば、本件各発明は、「発電電力の上限値を消費電力の関数」ないし「一次関数」として「出力指令値を算出」する甲1発明と同一であり、何ら新規のものではないと主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(オ))。 しかし、既に検討したとおり、需要家が設定値として最適な値をどのように求めるかについては、本件各発明の課題ないし目的とするところではなく、「αが大きいほど、すなわち消費電 張〕⑵イ(オ))。 しかし、既に検討したとおり、需要家が設定値として最適な値をどのように求めるかについては、本件各発明の課題ないし目的とするところではなく、「αが大きいほど、すなわち消費電力がPCS定格に近づくほど急な需要低下で逆潮流が起きやすいので、大きめのマージン(β)を設定すればよい」に対応する事項は、特許請求の範囲請求項 2及び9に特定されているにすぎず、本件各発明が本件発明2及び9に限定されているものではないから、当該事項が本件各発明の課題解決原理とは認められず、原告の上記主張はその前提を異にするものである。それを措くとしても、本件各発明の「比率・設定差分値テーブル」の内容は、図4によれば、比率αが大きくなるに従って設定差分 値βの値を大きくし、比率αが100%以上の場合は設定差分値βを80%を超えた場合と同じ値にするものであり、甲1発明の一次関数(αが大きいほど大きめのマージン(β)を設定する単調増加関数)と同一とはいえない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 e 原告は、比率αが100%超の範囲か否かにより、逆潮流が生じる蓋然性に格別の違いはなく、「比率αに対する100%という閾値」に技術的意義はないから、本件審決の判断(本件審決第10の1⑶エ(ウ)、同114頁3行目~115頁2行目)は誤りであると主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(カ))。 しかし、本件各発明において比率αが「100%」を超える領域は、 あくまで理論上は逆潮流が起きにくいこと示すものであり(本件審決第10の1⑶エ(ウ)、同114頁14行目~25行目)、本件各発明における比率αに対する「100%」という値は、ユーザーがPCS定格を意識しつつ制御設定を分かりやすく調整でき すものであり(本件審決第10の1⑶エ(ウ)、同114頁14行目~25行目)、本件各発明における比率αに対する「100%」という値は、ユーザーがPCS定格を意識しつつ制御設定を分かりやすく調整できる境目にほかならないものであるから、需要家にとっての設定の「分かりやすさ」の観点 からは意義が認められる。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、本件審決の説示によれば、比率αが100%を超えれば、本件各発明では設定差分値βの値は小さくて良いはずなのに、実際に明細書で開示される例では、比率が100%を超えている場合にも、 大きな設定差分値βの値が設定されているから、「閾値」の重要性を強調する本件審決は誤りであると主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(カ))。 しかし、既に検討したとおり、本件各発明の「比率・設定差分値テーブル」の内容は、図4の例によれば、比率αが大きくなるに従って 設定差分値βの値を大きくし、さらに比率αが100%以上の場合は設定差分値βを80%を超えた場合と同じ値にするものであるが、比率αが100%を超えた場合であっても消費電力の急減に備える必要があるから、設定差分値βをある程度大きい値(80%を超えた場合と同じ値)にすることは妥当である。また、この例において「100%」 は、設定差分値の傾向が上昇から平坦に変化する重要な「閾値」と認められるから、本件審決における「閾値」の意義の検討は相当である。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、「比率αに対する100%という閾値」は、消費電力が固定値であるPCS定格より大きいか否かということを示すに過ぎず、消 費電力をPCS定格という固定値で除することに格別の技術的意義は 存在 100%という閾値」は、消費電力が固定値であるPCS定格より大きいか否かということを示すに過ぎず、消 費電力をPCS定格という固定値で除することに格別の技術的意義は 存在しないと主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(カ))。 しかし、「比率αに対する100%という閾値」が、消費電力が固定値であるPCS定格より大きいか否かということを示すに過ぎないものであるとしても、簡潔な表現として需要家の理解を助けるものと認められる。また、既に検討したとおり、本件各発明において消費電力 のPCS定格に対する比率αを用いることは、需要家の理解を助けるものと認められる。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 f 原告は、本件審決の「制御に必要な遅延Δtを無視すれば」(本件審決第10の1⑶エ(ウ)、同114頁18行目)との前提は、本件明細書 等の段落【0008】、【0009】に記載されたパワーコンディショナ制御に要するタイムラグの存在に反した仮定であるし、そもそも本件特許の「比率・設定差分値テーブル」の必要性を否定するものでもあり、さらに、比率αが100%よりも大きい場合は逆潮流による不利益を被る蓋然性が低い領域であるとの本件審決の判断は、「最大限発 電しても良いように思う」という思い違いを招き、「消費電力が急に低下した場合、最大限発電していると、パワーコンディショナの制御が追いつかずに、逆潮流を生じてしまう」ことになるから、本件審決の判断は誤りであると主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(キ))。 しかし、本件審決の「制御に必要な遅延Δtを無視すれば」との前 提は、あくまでも理論上で逆潮流が起き得ないことを示すものであり、逆潮流が生じにくい状態を表現するための前提であること キ))。 しかし、本件審決の「制御に必要な遅延Δtを無視すれば」との前 提は、あくまでも理論上で逆潮流が起き得ないことを示すものであり、逆潮流が生じにくい状態を表現するための前提であることは明確であり、本件審決の表現が原告の指摘するような思い違いを生むものとも認められない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、本件各発明において、比率αの上限として設定されている 110%について、技術的根拠がないと主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(キ))。 しかし、本件明細書等に記載された110%は、消費電力がPCS定格をある程度超える事態にも備えられるようにしたことを示す単なる一例であると認められ、本件明細書等には比率αの上限が110% に限定されるとの記載はないから、原告の上記主張は採用できない。 g 原告は、本件審決の「図8Cに示されるテーブルにおける『PCS定格が500[kW]の場合』との記載も、同様に『消費電力が500[kW]の場合』の誤記であると解される。」(本件審決第10の3⑵、同126頁13行目~15行目)との解釈に従うと、同一の消費 電力(500kW)に対して異なる設定差分値が存在し、消費電力が確定しても設定差分値は一意に定まらないことになり、比率αと設定差分値や設定比値等を使用するテーブルが、果たして「分かりやすい」ものになっているかという点も疑問であると主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(ク))。 しかし、図8Cに示される「PCS定格が500kWの場合」という記載は、「消費電力が500kWの場合」の誤記であるという前提の上では、図8Cに「(参考値)」との記載が明記されており、図8Cは比率αの値が大きくなれば設定差分値が大きくなる 00kWの場合」という記載は、「消費電力が500kWの場合」の誤記であるという前提の上では、図8Cに「(参考値)」との記載が明記されており、図8Cは比率αの値が大きくなれば設定差分値が大きくなることを、理解しやすいように記載したものと解される。少なくとも図8Cに係る誤記に よって当業者が本件各発明を実施できないものとは認められない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、PCS定格が大きいほど設定差分値が小さくなることは、PCS定格が大きい程、「制御に必要な遅延」が小さくなることを意味するが、本件明細書等の「複数のパワーコンディショナ3のPCS定 格の合計が比αを求めるためのPCS定格となる」(段落【0044】) との開示は、単体のPCSの「制御に必要な遅延」より、複数のPCSを集めた全体のPCSは「制御に必要な遅延」が小さくなることを意味しており、矛盾した記載であると主張する(前記第3の1〔原告の主張〕⑵イ(ク))。 なるほど複数のPCSを集めた全体のPCSの制御には、一つのP CSの制御よりも時間がかかることをふまえると、単体のPCSの「制御に必要な遅延」より、複数のPCSを集めた全体のPCSは「制御に必要な遅延」が小さくなることは技術的に不可解であるようにも思われる。しかし、複数のPCSが用いられることの説明は、本件明細書等の段落【0043】及び【0044】のみに含まれるものであり、 あくまでも補足的な位置付けであると認められるから、これらの記載があったからといって、当業者が本件各発明を実施することができない程度に不明確になるものとは認められない。それに応じて、例えば単数のPCSが用いられる場合とは別の比率・差分値テーブルを使用する程度のことは、当業者が て、当業者が本件各発明を実施することができない程度に不明確になるものとは認められない。それに応じて、例えば単数のPCSが用いられる場合とは別の比率・差分値テーブルを使用する程度のことは、当業者が適宜なし得る事項といえる。したがって、 原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 取消事由1の成否以上によれば、取消事由1(無効理由2に対応)には理由がない。 2 取消事由2(相違点1-1、1-2についての本件審決の認定及び新規性の判断の誤り)(無効理由3-1に対応)について ⑴ 相違点1-1、1-2の認定の誤りの有無前記1での検討によれば、本件審決の甲1発明の内容及び本件各発明の課題の認定に誤りはなく(前記1⑴イ(キ)、1⑴ウ(イ))、これを前提として本件発明1と甲1発明とを比較すると、前記第2の4⑵のとおりの一致点及び相違点を認めることができ、相違点1-1、1-2についての本件審決の認定 に誤りはない。 ⑵ 本件審決の新規性の判断の誤りの有無ア相違点1-1が実質的な相違点といえるかについて本件発明1において、負荷の消費電力とパワーコンディショナの最大出力可能電力であるPCS定格との比率αを使用することは、既に検討したとおり、現在の消費電力がPCSの最大出力に対してどの程度近づいてい るかを需要家が把握できるようにした指標であり、需要家の理解を助けるものであるとともに、PCS定格は製品仕様として明示されているのが通常から、需要家にとり容易に把握可能なものである。 そうすると、本件各発明において、PCS定格との比率を用いて電力量を表現することは、甲1発明とは異なる観点から、需要家の理解を助ける ものであるということができ、相違点1-1は、実質的な相違点であると認められ 発明において、PCS定格との比率を用いて電力量を表現することは、甲1発明とは異なる観点から、需要家の理解を助ける ものであるということができ、相違点1-1は、実質的な相違点であると認められる。 イ相違点1-2が実質的な相違点といえるかについて相違点1-2に係る電力の変換・制御を行うPCS(パワーコンディショナ)と、発電を行う太陽電池とは全く別の装置であるから、「PCS定格」 と「太陽電池の定格出力」の技術的な意味が同一ということはあり得ない。 そうすると、相違点1-2についても、実質的な相違点と認められる。 ウ本件発明1、2、6、8及び9についての新規性の判断の誤りの有無上記ア、イによれば、本件発明1と甲1発明とは、実質的な相違点1-1及び相違点1-2で異なるから、本件発明1は甲1発明とは同一でなく、 新規性が認められ、本件発明2は、その構成に請求項1を含むから、新規性が認められ、これらの点に関する本件審決の判断(本件審決第10の5⑴、⑶、同137頁31行目~138頁14行目、同140頁13行目~16行目)に誤りはない。 本件発明6は、本件発明1を出力制御プログラムの発明として特定した ものであり、甲1発明との間には、少なくとも相違点1-1と同様の相違 点6-1(本件審決第10の7、同141頁7行目~12行目)が存在するから、新規性が認められ、この点に関する本件審決の判断(本件審決第10の8、同141頁13行目~17行目)に誤りはない。 本件発明8は、本件発明1を太陽光発電自家消費システムとして特定したものであり、甲1発明との間には、少なくとも相違点1-1と同様の相 違点8-1(本件審決第10の10、同141頁26行目~31行目)が存在するから、新規性が認められ、本件発明 テムとして特定したものであり、甲1発明との間には、少なくとも相違点1-1と同様の相 違点8-1(本件審決第10の10、同141頁26行目~31行目)が存在するから、新規性が認められ、本件発明9は、その構成に請求項8を含むから、新規性が認められ、これらの点に関する本件審決の判断(本件審決第10の11、同141頁32行目~142頁6行目)に誤りはない。 以上のとおり、本件審決の本件発明1、2、6、8及び9についての新 規性の判断には誤りはない。 ⑶ 原告の主張に対する判断ア相違点1-1に関する原告の主張について(ア) 原告は、甲1発明の一次関数の式〔式4〕からも、本件発明1と同様の比率・設定差分値テーブルを作成することが可能であるから、甲1発 明においても「比率・設定差分値テーブル」が存在するに等しいと主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴ア)。 しかし、比率・設定差分値テーブルと一次関数とでは、制御の実現手段が異なる以上、両者は技術的観点からみると、構成として同一とはいえず、単に効果が類似していることをもって構成の同一性を主張するも のとして、原告の主張は前提を欠くものというほかない。その点を措くとしても、本件各発明の「比率・設定差分値テーブル」は、図4によれば、比率αが大きくなるに従って設定差分値βの値を大きくするだけでなく、例えば比率αが100%を超える場合は設定差分値βを80%以上の場合と同じ値にすることができるなど、甲1明細書に記載された一 次関数(αが大きいほど大きめのマージン(β)を設定する単調増加関 数)と同様のものといえない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、甲1発明において、一次関数の式〔式4〕は、当然「制御装置6」の記憶装置に 単調増加関 数)と同様のものといえない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、甲1発明において、一次関数の式〔式4〕は、当然「制御装置6」の記憶装置に記憶されているものであるから、甲1発明も、本件発明1と同様の「比率・設定差分値テーブル」に等しい構成が「記憶」 されているといえると主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴ア)。 しかし、既に検討したとおり、制御の実現手段が異なる以上、比率・設定差分値テーブルと一次関数との構成の同一性を認めることはできないから、仮に甲1発明において一次関数の式が記憶されているとしても、比率・設定差分値テーブルが記憶されているものということはできない。 その点を措くとしても、甲1には、「記憶部」に「一次係数a、0次係数bの値」を記憶することについては記載されているものの(段落【0060】)、段落【0027】、【0054】等の記載を参照しても、「記憶装置」に「一次係数a、0次係数bの値」を記憶することは記載されておらず、さらに「記憶部」と「記憶装置」との関係も不明であるから、原 告の上記一次関数の式〔式4〕が、当然に「制御装置6」の記憶装置に記憶されているとはいえない。そうすると、甲1の内容から、一次関数の式が記憶装置に格納されることを、当業者が一義的かつ明確に認識することができるとはいえない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 (イ) 原告は、本件各発明のβに相当する値は、甲1発明においてaS(t)+bとなり、これらは数式的に等価といえ、甲1発明において、P(t)及びβを求めるために消費電力Sを取得することは、本件各発明において比率αを取得することと実質的には同一視されるものであると主張する(前記第3の2〔原告の主 に等価といえ、甲1発明において、P(t)及びβを求めるために消費電力Sを取得することは、本件各発明において比率αを取得することと実質的には同一視されるものであると主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴イ)。 しかし、当該演算が甲1に明示的に記載されていない以上、当該技術 的事項が当業者に対して直接的かつ一義的に開示されているとはいえない。仮に、式の変形により結果的に同一の演算が得られるとしても、それは引用文献(甲1)の記載内容から当業者が容易に導き出せることを意味するものではなく、記載の有無に関する判断を左右するものではない。したがって、本件審決が、この点を本件発明1と甲1発明との相違 点と判断したことに誤りはなく、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、「aS(t)+b」は「設定差分値」βに相当するから、本件発明1の発電電力の上限値が設定差分値を引いた値である点は、相違点とはならないと主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴イ)。 しかし、既に検討したとおり、制御の実現手段が異なる以上、比率・設定差分値テーブルと一次関数との構成の同一性を認めることはできないから、原告の上記主張はその前提を異にするものである。それを措くとしても、既に検討したとおり、本件各発明の比率・設定差分値テーブルは、甲1明細書に記載された一次関数と同一とはいえないから、原告 の主張は前提を欠くものである。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 原告は、「比率・設定差分値テーブル」自体は甲1発明に開示されているに等しく、甲1発明の一次関数の式(式4)から「aS(t)+b」を含む式に変形できるから、「SからaS(t)+bを減算するという演 算は記載されていない。」(本件審決第1 発明に開示されているに等しく、甲1発明の一次関数の式(式4)から「aS(t)+b」を含む式に変形できるから、「SからaS(t)+bを減算するという演 算は記載されていない。」(本件審決第10の4⑵イ、同133頁14行目~15行目)とする本件審決の認定は誤りであると主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴ウ)。 しかし、本件各発明と甲1発明においては制御の実現手段である課題の解決方法において差があるから、「比率・設定差分値テーブル」と「一 次関数の式」はそもそも同一とはいえない。その点を措くとしても、本 件各発明の「比率・設定差分値テーブル」は、甲1明細書に記載された一次関数と同一とはいえない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、本件発明1における「比率を算出」との要件は、単なる計算上の問題に過ぎず、技術的な意味のある発明特定事項ではないから、限 定要素としては無視されるべきものであると主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴ウ)。 しかし、既に検討したとおり、本件各発明では「PCS定格との比率」を用いることは需要家の理解を助けるものと認められ、本件において「比率を算出」という要件は無視されるべきではない。したがって、原告の 上記主張は採用することができない。 原告は、甲1発明において、S(t)の増加に応じて、S(t)/R(PCS定格)及び設定差分値の値も増加することになるから、「比率を算出し」これに対応した「設定差分値を決定(する)」という構成が開示されているに等しく、この点が仮に形式的な意味での相違点とされたと しても、様々な目的のために、消費電力と定格電力との比率を算出するという処理は、例えば取消事由3で示す甲16ないし18にもあるとおり、当業者が本件 の点が仮に形式的な意味での相違点とされたと しても、様々な目的のために、消費電力と定格電力との比率を算出するという処理は、例えば取消事由3で示す甲16ないし18にもあるとおり、当業者が本件特許の出願日以前から当然行っていたことに過ぎず、実質的な相違点ではないと主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴ウ)。 しかし、既に検討したとおり、本件各発明では「PCS定格との比率」 を用いることは需要家の理解を助けるものと認められ、本件において「比率を算出」という要件は無視されるべきではないから、原告の上記主張はその前提を異にするものである。なお、甲16ないし18については、後記3⑶アで検討するが、原告の主張を裏付けるものとはいえない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、甲1発明の一次関数の式〔式4〕から、本件発明1と同様の 比率・設定差分値テーブルを作成することが可能であるから、甲1発明において「比率・設定差分値テーブル」が存在するに等しく、技術的な側面から見ても、本件各発明の「設定差分値」の目的は発電電力の上限値を算出することにあり、決まった数字に基づき「上限値」を算出するという本件各発明の構成は実質的に開示されているといえると主張す る(前記第3の2〔原告の主張〕⑴ウ)。 しかし、既に検討したとおり、制御の実現手段が異なる以上、比率・設定差分値テーブルと一次関数との構成の同一性を認めることはできないから、原告の主張は前提を欠くものである。それを措くとしても、既に検討したとおり、本件各発明の比率・設定差分値テーブルは、甲1明 細書に記載された一次関数と同一とはいえないから、原告の上記主張はその前提を異にするものである。したがって、原告の上記主張は採用することができ 本件各発明の比率・設定差分値テーブルは、甲1明 細書に記載された一次関数と同一とはいえないから、原告の上記主張はその前提を異にするものである。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 原告は、関数かテーブルかという点は設計上の微差にすぎないから、実施的な相違点ではあり得ないと主張する(前記第3の2〔原告の主張〕 ⑴ウ)。 しかし、関数とテーブルは技術的に大きく異なるものであり、本件各発明において比率αに応じたテーブルを用いることが、設計上の微差とは認められない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 (エ) 原告は、甲1発明において、〔式1〕は計算のために予め記憶部に記憶されているから、「予め登録」の点において、甲1発明と本件各発明との間に相違点が存在するわけではないと主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴エ)。 しかし、既に検討したとおり、制御の実現手段が異なる以上、比率・ 設定差分値テーブルと一次関数との構成の同一性を認めることはできな い。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 (オ) 原告は、本件発明1と甲1発明は実質的に同一であることは、原告代表者作成の陳述書(甲19)及び周知技術を示す証拠(甲21ないし24)からも明らかであると主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴オ)。 しかし、陳述書(甲19)における説明は、直ちにその裏付けとなる 客観的資料となり得るものではないほか、甲21(特開2015-188996号公報)は、発明の名称を「電動工具」とし、電動工具のモータの回転を制御するにつき電圧を調整しモータを駆動する構成に係る発明(段落【0006】等)であり、甲22(特開2004-317918号公報)は、発明の名称を「加熱装置」 動工具」とし、電動工具のモータの回転を制御するにつき電圧を調整しモータを駆動する構成に係る発明(段落【0006】等)であり、甲22(特開2004-317918号公報)は、発明の名称を「加熱装置」とし、電子写真方式の画像形 成装置に備えられる定着装置において、入力電圧と定格電圧との比較によりローラーの回転速度を変えることに係る発明(段落【0051】等)であり、甲23(WO2015/097838A1)は、発明の名称を「電力変換装置」とし、電力変換装置において、直流電圧値が第二の閾値(平滑コンデンサ定格電圧値の100%)と比較し、直流電圧値が第 二の閾値を超えているか否かに応じて、異なる処理を行うことに係る発明(段落【0019】等)であり、甲24(特開2011-235840号公報)は、発明の名称を「船舶の電気推進システムの推進制御装置」とし、電力変換器の入力端電圧が制限電圧(ハイブリッド電源の規定電圧(100%V)より若干高い電圧100+α%Vに設定されている。) を超えると、推進制御装置の速度制御部が、電力変換器を制御して入力端電圧が制限電圧を超えないように電圧制限動作を行うことに係る発明(段落【0043】)等であり、これらはいずれもパワーコンディショナの技術分野に係る発明ではなく、本件発明1と甲1発明とが実質的に同一であることの根拠とはならないというべきである。そして、本件発明 1と甲1発明とが同一といえないことについては、これまで繰り返し述 べたとおりである。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 イ相違点1-2に関する原告の主張について原告は、本件発明1における「PCS定格」とは、請求項1に規定されるとおり、太陽電池に接続されたPCS(パワーコンディショナ)が出力 とができない。 イ相違点1-2に関する原告の主張について原告は、本件発明1における「PCS定格」とは、請求項1に規定されるとおり、太陽電池に接続されたPCS(パワーコンディショナ)が出力 できる最大電力を指すものであり、甲1発明に開示される「太陽電池1の定格電力」と実質的に同一の意味であることは当業者にとって明らかであると主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑵)。 しかし、既に検討したとおり、電力の変換・制御を行う「PCS」と発電を行う「太陽電池」とは全く別の装置であり、「PCS定格」と「太陽電 池の定格出力」の技術的な意味が同一ということはあり得ない。さらに、本件各発明において「PCS定格」で除するのは「割合」と「出力指令値」の二つであるが、甲1発明において「太陽電池1の定格電力」で除するのは「出力指令値」のみであり、両者の用途が異なるから、甲1発明と本件各発明は同一とはいえない。したがって、原告の上記主張は採用すること ができない。 原告は、甲1の段落【0027】の開示からしても、「太陽電池1の定格電力」とは、PCSの定格出力の意味であると主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑵)。 しかし、甲1の段落【0027】には、制御装置6が太陽電池1の発電 電力の上限値を設定し、その上限値を太陽電池1の定格電力で除して出力指令値を生成し、PCSがその出力指令値を使って太陽電池1の発電電力を制御することは記載されているが、PCSの定格出力に関して何ら記載されていないから、「太陽電池1の定格電力」がPCSの定格出力の意味であるとは認められない。したがって、原告の上記主張は採用することがで きない。 ⑷ 取消事由2の成否以上によれば、取消事由2(無効理由3-1に対応)に理由はない 意味であるとは認められない。したがって、原告の上記主張は採用することがで きない。 ⑷ 取消事由2の成否以上によれば、取消事由2(無効理由3-1に対応)に理由はない。 3 取消事由3(相違点1-1についての本件審決の進歩性判断の誤り、その他従属項等についての本件審決の判断の誤り)(無効理由3-3に対応)について⑴ 相違点1-1についての進歩性判断の誤りの有無 原告は、本件審決が認定した相違点1-1は誤りであり、実質的には相違点ではない旨主張するところ(前記第3の3〔原告の主張〕⑴)、既に検討したとおり、本件発明1、3ないし5と甲1発明とは、少なくとも相違点1-1において異なっている。 そして、甲1には、相違点1-1に係る本件発明1の構成である、消費電 力P(t)とPCS定格との比率αを算出することについて、何らの記載も示唆もなく、甲1発明においては、S(t)と、一次係数a及び0次係数bとから発電電力の上限値P(t)を求めることが可能であるから、S(t)をPCS定格で除して比率αを求める必要性がそもそも存しない。 また、甲1発明において、S(t)をPCS定格で除して比率αを求める ことについての動機付けが存するものと認めるべき証拠はない。 したがって、甲1発明から、相違点1-1に係る本件発明1の構成は容易に想到し得ないものと認められる。 そうすると、本件審決の相違点1-1についての進歩性判断(本件審決第10の6、同140頁22行目~141頁4行目)に誤りはない。 ⑵ 本件発明3ないし5、7及び10ないし24についての進歩性判断の誤りの有無相違点1-1に係る本件発明1の構成は容易に想到し得ないものと認められるから、本件発明1は、容易想到とは認められず、本件発明3ないし5 いし5、7及び10ないし24についての進歩性判断の誤りの有無相違点1-1に係る本件発明1の構成は容易に想到し得ないものと認められるから、本件発明1は、容易想到とは認められず、本件発明3ないし5は、その構成に請求項1を含むから、容易想到とは認められず、この点に関する 本件審決の判断(本件審決第10の6、同140頁17行目~141頁6行 目)に誤りはない。 本件発明6は、本件発明1を出力制御プログラムの発明として特定したものであり、甲1発明との間には、少なくとも相違点1-1と同様の相違点6-1(本件審決第10の7、同141頁7行目~12行目)が存在するから、容易想到とは認められず、本件発明7は、その構成に請求項6を含むから、 容易想到とは認められず、この点に関する本件審決の判断(本件審決第10の9、同141頁18行目~25行目)に誤りはない。 本件発明8は、本件発明1を太陽光発電自家消費システムとして特定したものであり、甲1発明との間には、少なくとも相違点1-1と同様の相違点8-1(本件審決第10の10、同141頁26行目~31行目)が存在す るから、容易想到とは認められず、本件発明10ないし12は、その構成に請求項8を含むから、容易想到とは認められず、この点に関する本件審決の判断(本件審決第10の12、同142頁7行目~15行目)に誤りはない。 本件発明13と甲1発明の相違点13の内容は、前記第2の4⑶のとおりであるところ、相違点13については、前記⑴で検討した相違点1-1と同 様のことがいえるため、本件発明13は容易想到とは認められず、本件発明14ないし16は、その構成に請求項13を含むから、容易想到とは認められず、これらの点に関する本件審決の判断(本件審決第10の14、同145頁34 め、本件発明13は容易想到とは認められず、本件発明14ないし16は、その構成に請求項13を含むから、容易想到とは認められず、これらの点に関する本件審決の判断(本件審決第10の14、同145頁34行目~146頁11行目)に誤りはない。 本件発明17は、本件発明13を出力制御プログラムの発明として特定し たものであり、甲1発明との間には、少なくとも相違点13と同様の相違点17(本件審決第10の15、同146頁12行目~17行目)が存在するから、容易想到とは認められず、本件発明18ないし20は、その構成に請求項17を含むから、容易想到とは認められず、これらの点に関する本件審決の判断(本件審決第10の16、同146頁18行目~23行目)に誤り はない。 本件発明21は、本件発明13を太陽光発電自家消費システムとして特定したものであり、甲1発明との間には、少なくとも相違点13と同様の相違点21(本件審決第10の17、同146頁24行目~29行目)が存在するから、容易想到とは認められず、本件発明22ないし24は、その構成に請求項21を含むから、容易想到とは認められず、これらの点に関する本件 審決の判断(本件審決第10の18、同146頁30行目~35行目)に誤りはない。 以上のとおり、本件審決の本件発明3ないし5、7及び10ないし24についての進歩性判断に誤りはない。 ⑶ 原告の主張に対する判断 ア原告は、消費電力P(t)と定格電力との比率を算出すること自体は本件特許出願当時の当業者が種々の目的のために行っていたことであり、単なる設計事項のレベルに過ぎず、当業者であれば、適宜採用し得た構成であり、容易想到なものである旨、消費電力SをPCS定格で除して、両者の比率を出すこと自体は、初等数学程度の 行っていたことであり、単なる設計事項のレベルに過ぎず、当業者であれば、適宜採用し得た構成であり、容易想到なものである旨、消費電力SをPCS定格で除して、両者の比率を出すこと自体は、初等数学程度の知識によって算出することがで きる上に、当業者がこのような比率を利用することに対する強い動機付けを有したことは、周知技術(甲16ないし18)によっても裏付けられている旨、したがって、相違点1-1は当業者にとって容易想到な構成に過ぎないと主張する(前記第3の3〔原告の主張〕⑴)。 しかし、甲16(特開2010-97508号公報)は発明の名称を「環 境負荷量算出方法、その実行プログラム及びその実行装置」とするもので、定格電力に対する実消費電力の割合を、「装置特性―係数関係テーブル」に登録して環境負荷を分析する発明(段落【0041】等)であり、甲17(特開2013-200594号公報)は発明の名称を「故障率算出装置及び故障率算出用プログラム」とするもので、「部品の故障率予測モデル」 を用いた評価において、部品の定格電力に対する消費電力の割合を、「スト レス値」として算出する発明(段落【0017】、【0037】等)、甲18(特開2005-135816号公報)は、発明の名称を「照明制御システム」とし、照明器具の消費電力を定格電力量で除算し、省エネ率を求める照明制御技術に関する発明(段落【0057】、【0061】等)であって、これら文献の記載内容は、甲1発明とは課題や目的が異なるものであ り、甲1発明に直ちに適用し得るものとは認め難い。仮に消費電力P(t)と定格電力との比率を算出すること自体が公知であったとしても、前記のとおり、甲1発明において、S(t)をPCS定格で除して比率αを求め、それを設定に用いることに のとは認め難い。仮に消費電力P(t)と定格電力との比率を算出すること自体が公知であったとしても、前記のとおり、甲1発明において、S(t)をPCS定格で除して比率αを求め、それを設定に用いることについての示唆はなく、パワーコンディショナ(PCS)の技術分野において当該技術事項が技術常識であったとも認め られない。したがって、相違点1-1に係る本件発明1の構成は当業者にとって容易想到なものであったとは認められない。 原告は、本件各発明の「比率・設定差分値テーブル」は、かえって制御を分かりにくくしたに過ぎず、進歩性を裏付けるものではないと主張する(前記第3の3〔原告の主張〕⑴)。 しかし、本件各発明の比率・設定差分値テーブルによる設定については、既に検討したとおりであり、PCSの制御を分かりやすくするものということができる。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 イ原告は、本件審決の相違点1-1の判断が誤りであることを前提に、その余の従属項等の認定判断も誤りであると主張する。 しかし、前記⑴において既に検討したとおり、本件審決の相違点1-1の認定及び相違点1-1についての進歩性判断に誤りはなく、前記⑵のとおり、本件審決の本件発明3ないし5、7及び10ないし24についての進歩性判断に誤りはない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ 取消事由3の成否 以上によれば、取消事由3(無効理由3-3に対応)に理由はない。 4 その他原告は縷々主張するが、いずれも理由がなく、本件審決の結論に影響を及ぼす違法を認めるに足りるものでもない。 第5 結論以上によれば、原告が主張する取消事由はいずれも理由がなく、本件審決に は取り消すべき違法は認められない。 なく、本件審決の結論に影響を及ぼす違法を認めるに足りるものでもない。 第5 結論以上によれば、原告が主張する取消事由はいずれも理由がなく、本件審決には取り消すべき違法は認められない。 よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平健 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則 別紙1 図面【図2】 【図3】 【図4】 【図8C】 【図8E】 【図9】 【図10】 別紙2 省略
▼ クリックして全文を表示