昭和22(上)103 有毒飮食物等取締令違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和23年5月13日 大阪高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件上告はいずれもこれを棄却する。          理    由  被告人A及び被告人B、C二名の辯護人野口政次郎の上告論旨はそれぐ末尾添付 の各上  告趣意書記載のとおりで

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判決文本文1,804 文字)

主    文      本件上告はいずれもこれを棄却する。          理    由  被告人A及び被告人B、C二名の辯護人野口政次郎の上告論旨はそれぐ末尾添付 の各上  告趣意書記載のとおりであつて、これに對し當裁判所は次のように判斷をする。  被告人A上告趣意書について  所論のごとく假りに被告人が有毒飮食物等取締令を知らなかつたとしても、法の 不知は犯意を阻却するものでないから、そのために、被告人に犯意なしというを得 ないのみならず、原審の認定したのは、被告人に故意があつたというのではなく、 被告人は必要なる注意を怠つてメタノールの濃度約百パーセントの工業用アルコー ル<要旨第一>を飮用に供する目的で他に販賣したという、有毒飮食物取締令第一條 第二項違反の罪であるが、同令第一條は、</要旨第一>メタノールが人の生命身體に 害毒を及ぼすおそれがあるので、その性能に着目して、これが處分などを取締る趣 旨であつて、その違反罪が成立するためには、買受人その他においてその飮用によ つて現實に害毒を受けたことを必要としないものであるから、この點に關し所論の ような事情があるとしても、被告人が責任を免れるを得ないのはもちろんである。 また、被告人において、現今アルコールにはメタノールを多量に含有するものがあ り、その飮用によつて生命身體に危險を來すおそれがあることを認識しておつたこ と原判示のごとくである以上、これが販賣に當つては、原判示のような注意義務の あるのは當然であつて、敢えてこれを命じた法令<要旨第二>の存在を必要とするも のではないというべく、右の危険はこれを飮食するものの體質あるいはこれに混合 する</要旨第二>水の量等によつて異ることあるべきは自明の理であるから、單に被 告人自らこれを飮用して異状がなかつたという一事をもつて、前示注意義務を盡し たものというを ものの體質あるいはこれに混合 する</要旨第二>水の量等によつて異ることあるべきは自明の理であるから、單に被 告人自らこれを飮用して異状がなかつたという一事をもつて、前示注意義務を盡し たものというを得べきではない。  さらに原審の科刑が重きに失するとの所論については、これをもつて上告の理由 となし得ないことは日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律 第十三條第二項によつて明かであるから、論旨はすべて理由がない。  被告人B、同C辯護人野口政治郎上告趣意書第一點について  有毒飮食物等取締令第四條第一項は、論旨摘示のように規定しているのであるか ら、その規定自體から見て所論のごとく故意犯の場合は懲役刑に、また過失犯の場 合は罰金刑に處すべきものであるとは到底解することは<要旨第三>できない。要す るに、右規定の趣意は故意犯たると過失犯たるとを問わず、懲役まだは罰金に處す るを得べき</要旨第三>ものであつて、そのいずれにするかは裁判所の選擇に委した るものと解すべきである。論旨は理由がない。  同第四點について  <要旨第四>有毒飮食物等取締令第一條第一項は所定量以上のメタノールを含有す る飮食物の販賣などを禁するに對し、同</要旨第四>條第二項は本來飮食物でないも のにして、いやしくもメタノールを含有する以上これを飮食に供する目的をもつて 販賣などをすることを禁じている趣旨と解すべきであつて、そのかかる區別をなし たゆえんのものは、本來飮食物でないものは、いやしくもメタノールを含有する以 上、これを飮食に供することによつて生命身體に危害を及ぼすおそれがあるからで ある。  原判示によれば被告人等は、いずれもメタノールを含有する工業用アルコールを 飮食に供する目的をもつて販賣したものであるというのであつて、工業用アルコー ルは本來飮食物でないのはもちろんであ で ある。  原判示によれば被告人等は、いずれもメタノールを含有する工業用アルコールを 飮食に供する目的をもつて販賣したものであるというのであつて、工業用アルコー ルは本來飮食物でないのはもちろんであるから、原判決が、この事實に對して右取 締令第一條第二項を適用したのは正當であつて、論旨は理由がない。(その他の判 決理由は省略する。)  (裁判長判事 荻野益三郎 判事 大野美稻 判事 大島京一郎)

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