昭和45(オ)272 保証債務履行請求

裁判年月日・裁判所
昭和46年3月16日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所 昭和43(ネ)796
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判決文本文2,592 文字)

主文 原判決を破棄し、本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。理由 上告代理人山本朔夫の上告理由について。原審は、被上告人の本件連帯保証契約は、訴外D建設株式会社の代表取締役であるEが、被上告人の代理人として締結したものであるところ、同人には右保証契約を締結する権限はなかつた旨判示したうえ、上告人の表見代理の主張に対し、以下のように判示してその主張を排斥している。すなわち、原審は、「控訴人(被上告人)は、昭和三七年頃住宅金融公庫から住宅建築資金を借受けてDに住宅を建築させたが、右借受けについては、Eを連帯保証人に立てると共にその借受け手続の一切を同人に代行させたところ、その後Eは、昭和四二年四月下旬頃DがF信用組合から金六〇〇万円を借受け、これについては連帯保証人を要するところから、控訴人に対し右金融公庫から金員を借受ける際差入れた借用証はこれを書換える必要があり、これには印鑑および印鑑証明が必要である旨申し欺いて控訴人からその印鑑および印鑑証明書三通の交付を受けたうえ、これを冒用してDのF信用組合よりの借入につき控訴人が連帯保証人となつた旨装つたが、その後も右印鑑を返還せず、更に右に使用しなかつた印鑑証明書一通と共にこれを保管していたところ、これらを冒用して控訴人が本件保証をした旨前記売買取引契約書に記載したものである」との事実を認定したうえ「控訴人がEに授与した代理権は被控訴人(上告人)との関係において与えたものではなく、住宅金融公庫からの借入れにつき与えたものであつて、しかも、右代理権は右借入れの終了と共に消滅しているものであるのみならず、控訴人はDがF信用組合から金六〇〇万円の借受けをした際その連帯保証をする代理権をEに与えたことがないこと前記のとおりである。しかるに、Eが右の売買 れの終了と共に消滅しているものであるのみならず、控訴人はDがF信用組合から金六〇〇万円の借受けをした際その連帯保証をする代理権をEに与えたことがないこと前記のとおりである。 あつて、しかも、右代理権は右借入れの終了と共に消滅しているものであるのみならず、控訴人はDがF信用組合から金六〇〇万円の借受けをした際その連帯保証をする代理権をEに与えたことがないこと前記のとおりである。しかるに、Eが右の売買 れの終了と共に消滅しているものであるのみならず、控訴人はDがF信用組合から金六〇〇万円の借受けをした際その連帯保証をする代理権をEに与えたことがないこと前記のとおりである。しかるに、Eが右の売買取引契約書を作成当時控訴人の印鑑およ- 1 -び印鑑証明書を所持していたのは、右のDがF信用組合からの借入れにつき連帯保証人を要するところから、前記のとおり控訴人を欺いてその印鑑および印鑑証明書の交付をうけ、これを右借入れにつき冒用したのちも控訴人に返還せずに保持していたことに由来するものである。」と判示して、本件保証契約について表見代理の成立する余地はないとしているのである。その判示するところは、必ずしも明確とはいえないが、要するに、Eには、表見代理の基本となるべきなんらの代理権もなかつた旨を判示し、それを理由として表見代理の成立を否定した趣旨と理解することができる。しかしながら、右認定の事実によれば、Eが本件連帯保証契約を締結した際に使用した印鑑および印鑑証明書は、被上告人が住宅金融公庫から借り入れた際の借用証を書き換えるためにEに交付したものであるというのであり、一般に、証書の書換えとは、契約の更新、更改等なんらかの新たな法律効果を目的とする行為を意味するものであるから、かりに、実際にはそのような必要がなく、したがつて、右交付がEの欺罔に基づくものであつたとしても、被上告人は、右印鑑および印鑑証明書がなんらかの法律行為に利用されることを許容したうえで、これらをEに交付したものとみる余地がある。そうであれば、この場合は、単に印鑑等を騙取した場合とは異なり、被上告人は、Eに対して、これらを使用することを前提としたなんらかの代理権を与えたものということができ、Eになんらの代理権もなかつたとは即断できないのである。右代理権が、代理人の詐欺 合とは異なり、被上告人は、Eに対して、これらを使用することを前提としたなんらかの代理権を与えたものということができ、Eになんらの代理権もなかつたとは即断できないのである。右代理権が、代理人の詐欺によつて授与されたという事実は、直ちに右代理権の存在を否定するものではない。 したなんらかの代理権を与えたものということができ、Eになんらの代理権もなかつたとは即断できないのである。右代理権が、代理人の詐欺 合とは異なり、被上告人は、Eに対して、これらを使用することを前提としたなんらかの代理権を与えたものということができ、Eになんらの代理権もなかつたとは即断できないのである。右代理権が、代理人の詐欺によつて授与されたという事実は、直ちに右代理権の存在を否定するものではない。それゆえ、これを基本代理権とする表見代理の成立する余地がないわけではなく、しかも、右のような事実は、原審において、被上告人自身の主張するところであるから、なんらの基本代理権も存在しないことを理由として表見代理の成立を否定した原審の判断は、この点に関する法令の解釈適用を誤つたものというべきである。そして、この違法は原判決の結論に影響すること明らかである- 2 -から、論旨はこの点において理由があり、原判決は破棄を免れない。もつとも、相手方である上告人において、右Eに代理権があると信ずべき正当な事由があつたか否かについて、原判決には一部これを否定するかの如き判示もないではなく、その事情によつては、表見代理の成立を否定すべき場合も考えられるけれども、原審の認定をもつてしては、いまだその成否を判断するに足りない。そこで、本件は、さらに右の各点について審理を尽くさせるため、これを原審に差し戻すのが相当である。よつて、民訴法四〇七条を適用して、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官下村三郎裁判官田中二郎裁判官松本正雄裁判官飯村義美裁判官関根小郷- 3 - 松本正雄裁判官 飯村義美裁判官 関根小郷

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