平成13(ネ)132 損害賠償請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成13年11月28日 仙台高等裁判所
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判決文本文20,191 文字)

平成13年11月28日判決言渡平成13年(ネ)第132号損害賠償請求控訴事件(原審・福島地方裁判所郡山支部平成9年(ワ)第201号平成13年2月19日判決言渡) 主文 1 原判決主文第1項を次のとおり変更する。 (1) 控訴人は,被控訴人に対し,6万3372円及びこれに対する平成9年7月6日から支払いずみまで年6分の割合による金員を支払え。 (2) 被控訴人のその余の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを100分し,その1を控訴人の,その余を被控訴人の各負担とする。 3 この判決は,第1項(1)に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴の趣旨(1) 原判決主文第1項を取り消す。 (2) 被控訴人の請求を棄却する。 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2 控訴の趣旨に対する答弁(1) 本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は,控訴人の負担とする。 第2 事案の概要本件は,控訴人に対し自宅の新築工事の請負を依頼した被控訴人が,建築工事の瑕疵や完成引渡しの遅延があるなどとして,控訴人及び工事監理契約上の義務を負うとする原審相被告のaに対し,瑕疵の補修工事費用406万9324円,補修工事にともなう大工宿泊費24万0701円,クロス代金5万円及び外壁タイル代金4万円,未工事分の脱衣室(洗面所)鏡代金1万9982円及び電気工事費5万6800円,工 6万9324円,補修工事にともなう大工宿泊費24万0701円,クロス代金5万円及び外壁タイル代金4万円,未工事分の脱衣室(洗面所)鏡代金1万9982円及び電気工事費5万6800円,工期中の水道代等3625円,アパート家賃12万6000円,完成遅延にともなう約定違約金587万9926円,並びに慰謝料500万円の合計1548万6358円のうち,未払残代金260万6250円を控除した後の1288万0108円及びこれに対する補修工事完成日の翌日である平成8年8月9日から支払いずみまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の連帯支払いを求めて提訴したところ,原審が,控訴人に対する請求についてのみ,400万1386円並びに内金399万7761円に対する前同日からの年6分の割合による遅延損害金,及び内金3625円(水道代等)に対する立替払いの日の翌日である同年10月12日からの年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で認容したので,控訴人が敗訴部分について控訴した事案である。 1 争いのない前提事実(1) 請負契約の締結被控訴人は,控訴人との間で,平成6年12月18日,次のとおりの自宅の新築を目的とする建築工事請負契約を締結した(以下「本件請負契約」という。)。 敷地福島県須賀川市bc番d建物木造瓦葺2階建住宅(以下「本件建物」という。)床面積延床面積191.77平方メートル(約58坪相当)1階 145.59平方メートル2階  46.18平方メートル請負代金元金  2660万6250円(坪単 平方メートル(約58坪相当)1階 145.59平方メートル2階  46.18平方メートル請負代金元金  2660万6250円(坪単価45万円相当)遅滞約款完成引渡しの遅延について1日当たり請負代金額の1000分の1の違約金を支払う。 (2) 本件請負契約における契約書及び設計図面本件請負契約における契約書には,図面等の添付はなく,契約書には具体的な工事内容が記載されていない。 設計図面は,控訴人から一級建築士に対する依頼により作成されており,その平面図は原判決別紙平面図のとおりである。 (3) 工期関係の合意被控訴人と控訴人とは,平成6年12月21日,工事の完成を平成7年9月の予定と合意した。 (4) 工事着手等の経過本件工事は,平成7年1月に着工となり,同年4月8日に上棟式を経た。 被控訴人の妻は同年9月以降,工事現場付近のアパートを借りて工事の進行に日常的に立ち会い,職人の世話を続けた。 被控訴人は,平成8年3月15日,本件建物に入居することを控訴人に対し通知した。 (5) 本件請負代金の一部支払い被控訴人は,控訴人に対し,本件請負代金の一部として既に合計2400万円を支払った。 (6) 相殺の意思表示控訴人は,平成12年3月29日の原審第16回口頭弁論期日において,被控訴人に に合計2400万円を支払った。 (6) 相殺の意思表示控訴人は,平成12年3月29日の原審第16回口頭弁論期日において,被控訴人に対し,本訴請求債権が認められる場合には,これと控訴人の被控訴人に対する本件請負残代金及び追加工事代金の請求債権合計795万3672円とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。 2 争点及び当事者の主張(1) 本件工事の瑕疵の有無① 被控訴人の主張本件工事には,本判決別紙主張対比表の被控訴人主張欄記載のとおり,天井高,床,建具,勝手口,下駄箱,階段,洗面台及び壁に関して瑕疵がある。 ② 控訴人の主張本件工事には,瑕疵はなく,控訴人の主張は,本判決別紙主張対比表の控訴人欄記載のとおりである。 なお,工事着手後に仕様を変更した場合,事前の打ち合せに基づいて施工した場合とは異なる対応(仕上げ)しかできないことがある。 (2) 本件工事の瑕疵などにより被控訴人が支出を余儀なくされた損害金等① 被控訴人の主張ア被控訴人は,瑕疵の補修工事を東京都在住の株式会社アーバン建築事務所に発注し,その工事代金に406万9324円を要した。 また,補修工事にともない,大工宿泊費24万0701円,クロス代金5万円及び外壁タイル代金4万円を支出した。 イ被控訴人は,本件工事の未工事分として た,補修工事にともない,大工宿泊費24万0701円,クロス代金5万円及び外壁タイル代金4万円を支出した。 イ被控訴人は,本件工事の未工事分として脱衣室(洗面所)鏡代金1万9982円及び電気工事費5万6800円を支出した。 ウ被控訴人は,本件工事の工期中の控訴人が負担すべき水道料金・下水道使用料金3625円を立て替えて支払った。 エ被控訴人は,本件工事の完成遅延にともない,平成8年1月から同年3月までのアパート家賃合計12万6000円を支出した。 ② 控訴人の主張被控訴人の主張は争う。 被控訴人が実施した補修工事は,被控訴人の考えの変更による手直しや趣向による変更の部分が大多数であり,これらの費用を控訴人に負担させるのは誤りである。 (3) 完成引渡し遅延の有無及びその違約金の額① 被控訴人の主張通常の工事の経過よりみて,本件工事の完成引渡しは,平成7年12月末日には可能であったものであるから,平成8年1月1日から瑕疵の補修工事が完成した同年8月8日までの合計221日分について,約定の1日当たり請負代金額の1000分の1の割合による違約金2万6606円を乗じると,合計587万9926円となり,これを控訴人が支払うべき義務がある。 ② 控訴人の主張 割合による違約金2万6606円を乗じると,合計587万9926円となり,これを控訴人が支払うべき義務がある。 ② 控訴人の主張本件工事は,基礎工事の段階から,被控訴人側に定まった方針というものがなく,作業の結果をみて手直しを要求するという手順が繰り返されることとなった。当然,作業が二重,三重になるので,工期が遅れることとなった。どのように作り直しするかを,現場付近に住んでいた被控訴人の妻と東京にいる被控訴人の娘との間で話し合って決めていたので,新たな要求が控訴人に届くのが相当程度遅れることがしばしばで,その間は,加工や工事がストップするということが頻繁であった。また,被控訴人の妻と被控訴人の娘とでは,考えが違ったりして,通常では考えられない被控訴人側の対応があり,工事遅延の理由の一つとなった。 以上のように,工事が遅延したことの主たる理由は被控訴人側の対応にあるのであって,控訴人の責に帰すべき事由はそれに比して少ない。 (4) 慰謝料の支払義務の有無① 被控訴人の主張被控訴人は,補修工事,代金支払いに絡む下請による嫌がらせ,さらには悪質な根も葉もない噂の流布等により,筆舌に尽くし難い地獄の苦しみを余儀なくされた。そのため,上京して苦節40年の夢の結実として らには悪質な根も葉もない噂の流布等により,筆舌に尽くし難い地獄の苦しみを余儀なくされた。そのため,上京して苦節40年の夢の結実として故郷に建てた大事な家であるにも拘わらず,これを売り払って東京に帰りたい心境にさえ追い込まれた。このような精神的苦痛による損害は500万円が相当である。 ② 控訴人の主張被控訴人の主張は争う。 工事遅延による違約金のほかに慰謝料を控訴人に負担させることは不当である。 (5) 控訴人の相殺に供した自働債権の有無及びその金額① 控訴人の主張控訴人は,被控訴人に対し,本件請負残代金260万6250円の債権のほか,次のとおりの追加工事代金534万7422円の債権を有し,これら合計795万3672円を相殺に供した。 ア基礎工事代金 16万5000円駐車スペースとして西側を6尺空けるように指示されて基礎工事に着手後,さらに3尺空けるように要求されてやり直した。 イ瓦変更代 84万5248円和風瓦ではなく,洋風瓦を選択したことによる瓦代金の差額60万円,使用した洋風鬼瓦の代金2万3500円,及び被控訴人の指定変更による返品にかかる運送料22万1748円を要した。 ウ大工追加工事 123万6945円次のとおり,建具,サッシそ の指定変更による返品にかかる運送料22万1748円を要した。 ウ大工追加工事 123万6945円次のとおり,建具,サッシその他の追加変更のため材料代及び人夫代を要した。 パントリーのサッシ追加工事 7万6500円便所奥行等変更工事 8万5600円天窓追加工事 12万1300円ダイニングキッチン建具変更工事 7万4045円浴室サッシ変更工事 21万5900円下駄箱変更工事 2万2500円1階和室C建具変更工事 2万8500円2階洋室サッシ等変更工事 11万8500円2階和室サッシ等追加工事 11万2450円2階洋室クローゼット等追加工事 5万1750円ベランダ防水変更工事 13万0000円小屋裏収納追加工事 8万4200円階段サッシ追加工事 11万5700円エ外壁追加工事 191万6629円外壁はモルタル仕上げのところ,1階につきタイル仕上げとした。 オ板金等追加工事 35万円 エ外壁追加工事 191万6629円外壁はモルタル仕上げのところ,1階につきタイル仕上げとした。 オ板金等追加工事 35万円破風を銅板仕上げとするために20万円,雨樋を丸型から角型に変更するのに差額10万円を要するなどした。 カ電気配線追加工事 83万3600円② 被控訴人の主張本件請負残代金260万6250円は認める。 大工追加工事中,浴室サッシ変更工事21万5900円,2階洋室サッシ等変更工事11万8500円及び2階和室サッシ等追加工事11万2450円を認める。また,板金追加工事について20万円の範囲内で認める。 その余の控訴人の主張は否認する。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件工事の瑕疵の有無)について(1) 前記争いのない前提事実及び証拠(甲1,2,20の1,21,25の1及び2,26,27の1及び2,28ないし31,34,乙1ないし4,原審証人e及び同f,原審(第1,2回)及び当審控訴人代表者本人)により,被控訴人主張の工事の瑕疵と関連する工事内容に関し被控訴人と控訴人との主要な打ち合せ等の状況の概要が次のとおり認められる(被控訴人の意思はその妻eあるいは娘のfが控訴人に伝達することが多かったことから,以下「被控訴人」と記載する場合には,これら家族も含まれる場合がある。)。 ① 平成6年8 その妻eあるいは娘のfが控訴人に伝達することが多かったことから,以下「被控訴人」と記載する場合には,これら家族も含まれる場合がある。)。 ① 平成6年8月下旬,須賀川市に住宅を新築することを計画していた東京在住の被控訴人は,実兄の説明では坪当たり45万円で堅い仕事をするという控訴人が施工した住宅2軒(農家風の住宅と洋室の多い住宅。2軒とも外壁はモルタル仕上げであり,屋根瓦は和風瓦。)を見分したのち,控訴人代表者と面会し,大工歴が30年あることなどの話を聞き,被控訴人が計画している住宅新築工事について打診するなどをし,同月26日には控訴人から建物の立面図の送付を受け,「骨格は頑丈に建築してもらい,内外装は被控訴人の希望を反映したい」との考えの下,控訴人に建築工事を依頼することを決め,同年10月ころ,控訴人に対し口頭で住宅新築工事を依頼した。 ② 被控訴人は,同年11月12日,控訴人と打ち合せを行い,被控訴人側で作成した間取り図面をもとに間取り,内装に関して被控訴人の希望(床の段差なし,戸は引戸,天井は最大限高くし,明るい室内で,外観は洋風にしたい。)を伝え,また,同年11月15日ころ,控訴人に対し,「明るい家に住みたい」などの希望を記載した書面を送付し,同年12月18日,本件請負契約を締結し(契約書には,図面等の添付はなく,具体 人に対し,「明るい家に住みたい」などの希望を記載した書面を送付し,同年12月18日,本件請負契約を締結し(契約書には,図面等の添付はなく,具体的な工事の内容及び見積りは記載されていない。),同日,地鎮祭を行った。 ③ 被控訴人は,同年12月26日,控訴人から「工事着手7年1月9日,完成7年9月予定,上棟7年3月26日予定,坪45万円,今までの仕事でやっている単位」との趣旨などが記載され,本件建物と西側境界との距離が3600ミリメートルと表示された簡略な建物配置図及び建物南立面図の送付を受け,基礎工事が開始された後の平成7年1月14日及び同月28日,控訴人と打ち合せを行い,天井を最大限高くし,便所も段差がないようにし,外観はタイル貼りと洋風瓦とすることの希望を伝え,同月28日には,控訴人が建築許可申請図面の作成を依頼している一級建築士も出席して約1時間だけ打ち合せを行った。 被控訴人は,平成7年2月,一級建築士から建築許可関係書類に添付された同人作成の本件建物平面図(同図面では,1階の和室C及び納戸と廊下との各出入口,居間と台所との出入口及びパントリー(食品庫)の出入口はいずれもドア,1階脱衣室と廊下との出入口は柱を半柱にして設置する引戸,脱衣室と台所との出入口は引戸,2階の洋室と和室との出入口 品庫)の出入口はいずれもドア,1階脱衣室と廊下との出入口は柱を半柱にして設置する引戸,脱衣室と台所との出入口は引戸,2階の洋室と和室との出入口はいずれも引違戸であり,1階台所勝手口には土間はなく,直接外部に出る設計内容となっていた。)や配置図(本件建物と西側境界との距離を1800ミリメートルとしている。)等の図面の送付を受けた。 そして,被控訴人は,同年2月下旬ころ,控訴人に対し,「洋瓦」「外壁材1Fタイル」「台所,居間等は普通の柱を使用して,20センチメートル位天井高にできるそうだが,和室部分は無理か。」「駐車場スペースとして西側は1間半空ける。」「以上,現在の疑問点,希望するところですが,どこまでに予算内に納まるか,どれだけ予算超過となるか,目安で結構ですから,示して下さい。」などの要望等を記載した書面や平面図に種々の要望事項等を記載した書面(1階の台所と居間との出入口が2枚引戸との記載で,パントリーの出入口が引戸として表示されている。1階和室Cの戸はドアの表示がある一方,出入口部分に直線を引いて引戸であることを表示している。2階の洋室と和室との出入口は引違戸と表示されており,この部分に関連した記載はない。)を渡した。さらに,被控訴人は,上棟式後の同年5月4日ころ,控訴人に対し,前同様に平面図に要望事項を記載 示されており,この部分に関連した記載はない。)を渡した。さらに,被控訴人は,上棟式後の同年5月4日ころ,控訴人に対し,前同様に平面図に要望事項を記載した書面を渡した。 被控訴人は,その後も控訴人に対し,書面,電話あるいは口頭により,要望を伝えていた。 (2) 前記(1)の認定事実を前提にして,被控訴人主張の本件工事の瑕疵の有無を検討する。 ① 天井高について天井高については,被控訴人から最大限高くしてほしいとの要望があったことは前記(1)の認定事実のとおりであるが,要望にそって各室の天井高について具体的な高さを決めて施工することの合意は,これを認めるに足りる証拠がないこと,控訴人の施工により最終的に各室の天井高がいくらになったのかを知る確たる証拠は提出されていないこと,控訴人は,被控訴人の要請を受けて,台所,1階居間及び2階洋室の各天井について構造上許容される最大限の高さとなるように施工したこと(原審控訴人代表者本人第1,2回),及び被控訴人が控訴人に対し平成8年3月9日到達の書面で善処を要望した修理箇所の中に各室の天井高の件は含まれていないこと(甲3の1ないし3),以上の諸点に照らすと,天井高についての工事に瑕疵はない。 ② 床の段差について被控訴人と控訴人との間で,本件建物の便所の ないし3),以上の諸点に照らすと,天井高についての工事に瑕疵はない。 ② 床の段差について被控訴人と控訴人との間で,本件建物の便所の床と廊下のそれとは段差がないように施工する旨の合意をしたことは,当事者間に争いがないこと,床の段差がないように施工することはさほど困難ではなく,構造上の制約はあまりないこと(原審控訴人代表者本人第1回),被控訴人の東京在住時の自宅は,1階の台所と和室の各床,並びに2階の廊下と和室の各床には段差がなく,1階の便所の出入口には敷居の段差があること(甲15,20の1,原審証人e),及び被控訴人が控訴人に対し平成8年3月9日到達の書面で善処を要望した修理箇所の中に床の段差の件が含まれていること(甲3の1ないし3),以上の事実と前記(1)の認定事実を総合すれば,被控訴人と控訴人との間で,本件建物の廊下の床と各室とのそれとは段差がないように施工する旨の合意をしたことが認められるところ,本件工事後の本件建物の1階の廊下の床と和室,居間,台所,脱衣室及び納戸のそれとは2から3センチメートルの段差(敷居を含めて)があり,また,2階の廊下の床と洋室のそれとは同様の段差があり(甲13,31,原審証人e),これにより室内でも注意深く歩かないとつまづいてしまうおそれがあることは明らかである。した 洋室のそれとは同様の段差があり(甲13,31,原審証人e),これにより室内でも注意深く歩かないとつまづいてしまうおそれがあることは明らかである。したがって,床の段差についての工事に瑕疵がある。 ③ 建具についてア建具①について前記(1)の認定事実及び証拠(原審証人e及び同f,原審第1回及び当審控訴人代表者本人)によれば,本件建物の1階の脱衣室と廊下及び台所との出入口の戸は,当初から引戸の予定であり,特に廊下との出入口は半柱に設置する引戸の予定であったこと,1階の和室Cの戸は,手違いから被控訴人の意に反するドアを予定し,パントリーの戸は当初ドアを予定していたが,途中,被控訴人からの指示で引戸で施工することになったものであることが認められ,さらに,上記の戸について施工された工事の内容は,いずれも引戸レール部分が敷居上にはなく,敷居外に設置され,壁から突き出す戸枠の部分が目立つ形となっているところ(甲13,33,原審控訴人代表者本人第1回),1階の脱衣室と廊下及び台所との出入口は,当初から予定されていた引戸を前提に施工していれば,上記のような体裁の悪さは生じないし,1階の和室Cの出入口も,当初から被控訴人の意思を反映して引戸としていれば,上記のような体裁 ていれば,上記のような体裁の悪さは生じないし,1階の和室Cの出入口も,当初から被控訴人の意思を反映して引戸としていれば,上記のような体裁の悪さは生じないことから(原審控訴人代表者本人第1回,弁論の全趣旨),工事の瑕疵といえるが,一方,1階のパントリーの出入口は,当初予定のドアに対応した開口部の構造(両脇の柱や敷居)となっていたものであり,また,その開口部の両脇の柱の一つにあっては,隣接する浴室の四隅の一つの柱を兼ねているものであるから(乙1,原審第1回及び当審控訴人代表者本人),1階のパントリーの出入口を引戸に変更して施工することになった結果として,上記のような形が生じてもやむを得ないものであり,これについての工事に瑕疵はない。 イ建具②について前記(1)の認定事実及び証拠(原審証人e及び同f,原審第1回及び当審控訴人代表者本人)によれば,本件建物の2階の洋室と和室との出入口の戸は,当初から引違戸の予定であり,途中,被控訴人からの指示で両開戸で施工することになったものであることが認められ,さらに,施工された工事の内容は,引戸レール部分が敷居上にはなく,敷居外に設置され,壁から突き出す戸枠の部分が目立つ形となっているところ( れ,さらに,施工された工事の内容は,引戸レール部分が敷居上にはなく,敷居外に設置され,壁から突き出す戸枠の部分が目立つ形となっているところ(甲13,原審控訴人代表者本人),これは出入口を両開戸を引違戸に変更して施工することになった結果であるから,上記のような外形が生じてもやむを得なかったものであり,これについての工事に瑕疵はない。 ウ建具③について証拠(甲13,原審控訴人代表者本人第1回)によれば,本件建物の2階の洋室及び和室の各出入口の戸の飾り枠がこげ茶色に塗装されているところ,塗装自体は被控訴人の妻からの指示されたことによるものであり,飾り枠の周囲の茶系統の色との関係で極端な不調和となっているものとは認められないから,これについての工事に瑕疵はない。 エ建具④について最終的な仕上がり状態の下で,傷などの仕上げの悪さや建具の建て付けの悪さについて,控訴人が責任を負うべきと判断される瑕疵としては,証拠(甲13)によれば,1階和室Cの襖の枠の一部に虫食い様の不良箇所と同室の出入口引戸の一部に塗装はげがあること,2階和室の襖の枠下部の一部に傷があること,1階の脱衣室と台所との出入口の戸枠の下幅が上幅より狭くなっており,また,引 に塗装はげがあること,2階和室の襖の枠下部の一部に傷があること,1階の脱衣室と台所との出入口の戸枠の下幅が上幅より狭くなっており,また,引戸レールも若干浮上っていることが認められる。 上記の建具の傷などは,部分的補修を必要とするという限度において,工事の瑕疵といえるものであり,1階の脱衣室と台所との出入口の不具合は,前記アの工事の瑕疵と併せると,全面的な補修を必要とする工事の瑕疵に当たる。 ④ 勝手口について前記(1)の認定事実及び証拠(甲33)によれば,本件建物の1階台所の勝手口は,当初から靴脱ぎ用土間の設置が予定されておらず,勝手口から直接外に出る間取りで,勝手口のドアの下端は台所の床面とほぼ同じ高さにあり,本件建物の周囲コンクリート犬走りから相当に高い位置となることが予定されていたところ,施工された工事の内容は上記にそった内容のものであることが認められる。そして,当初から土間の設置を予定しなかったことは,勝手口に隣接するパントリーへの出入りの安全を考慮すれば,理由のあるところであり,勝手口が高いことは,外の靴脱ぎ台等の構造物の調整によりその不便さが相当程度解消できる性質のものと判断される。そうすると,勝手口についての工事に瑕疵はない。 ⑤ 下駄箱につい の調整によりその不便さが相当程度解消できる性質のものと判断される。そうすると,勝手口についての工事に瑕疵はない。 ⑤ 下駄箱について証拠(甲33,原審証人g,原審控訴人代表者本人第1回)によれば,本件建物の1階玄関内に設置された下駄箱が,壁が垂直に施工されていないために(壁が上下で1センチメートルずれている。),壁に密着して垂直に設置されず,補正の必要がある状態が生じたことが認められるから,工事に瑕疵がある。 ⑥ 床の軋みについて証拠(原審証人h)によれば,本件建物の2階の床の一部が,本件工事後,軋んでおり,これを理由とする補修の必要性が認められるから,工事に瑕疵がある。 ⑦ 階段について証拠(甲13,原審証人e及び同g)によれば,本件建物の階段は,本件工事後,昇降時にかなり軋み,その原因は荷重のかかる板に対する補強が不足していることにあると認められるから,工事に瑕疵がある。 ⑧ 洗面台について本件建物の1階脱衣室の洗面台の下の収納扉等の設備の設置については,これを施工することを合意したことを認めるに足りる証拠はないし,これを施工することが住宅建築請負の常識ともいえず,本件請負契約の内容に含まれているとはいえないから,工事に瑕疵はない。 足りる証拠はないし,これを施工することが住宅建築請負の常識ともいえず,本件請負契約の内容に含まれているとはいえないから,工事に瑕疵はない。 ⑨ 壁仕上げについて証拠(甲13,原審控訴人代表者本人第1回)によれば,本件建物の1階廊下の壁(和室A側)の一部が本件工事後に盛り上がっている状態であったところ,控訴人がこの部分の内部の間柱を削って平らにして,クロスを貼り,補修し,これによりほぼ改善されたことが認められるから,工事に瑕疵はない。 2 争点(2)(本件工事の瑕疵などにより被控訴人が支出を余儀なくされた損害金等)について(1) 補修工事関係の費用証拠(甲8,9,10の1の1ないし3,10の2及び3,原審証人f,同g及び同h)によれば,本件工事後の平成8年6月から8月にかけて,被控訴人は,本件建物について,自己の負担で被控訴人主張の工事の瑕疵の部分を含めて,必要と考えた箇所の補修工事等を株式会社アーバン建築事務所等に依頼して実施し,同社に対し,工事費用合計406万9324円を支出し,さらに補修工事等にともなって,大工宿泊費24万0701円,クロス代金5万円及び外壁タイル代金4万円を支出したことが認められる。 しかし,上記費用のうち,本件工事の瑕疵と相当因果関係にある損害は,次の費用であり,他の費用については,本件工事の瑕疵と相当因果関係 れる。 しかし,上記費用のうち,本件工事の瑕疵と相当因果関係にある損害は,次の費用であり,他の費用については,本件工事の瑕疵と相当因果関係にある損害とは認められない。 ① 1階建具,建具枠巾木取替工事(計5箇所)のうち脱衣室(洗面所)出入口1本引戸 13万4000円大工手間上記工事全体分25万円(全体)のうちの相当額材料建材費上記工事全体分2万5000円のうちの相当額② 補修工事のうち(脱衣室出入口の補修工事にともなうもの)1階食堂壁一部補修大工手間1人 2万5000円1階食堂天井一部補修大工手間0.5人 1万2500円1階食堂柱補強大工手間4人 10万0000円1階脱衣室(洗面所)壁補修その他大工手間2人5万0000円1階廊下壁補修大工手間1人 2万5000円1階玄関下駄箱取付直し大工手間1人 2万5000円2階洋間軋み直し大工手間1人 2万5000円2階洋間一部床板貼り替え大工手間0.5人 1万2500円階段軋み直し大工手間1人 2万5000円階段裏天井手直し大工手間2人 5万0000円材木建材費上記工事全体分11万7000円のうち相当額③ 1階縁側, 階段裏天井手直し大工手間2人 5万0000円材木建材費上記工事全体分11万7000円のうち相当額③ 1階縁側,廊下,便所張替工事のうち(床の段差の補修工事にともなうもの)縁側桧フローリング 3坪 11万4000円廊下ナラフローリング 7坪 18万2000円上がり框 1式 4万6000円大工手間上記工事全体分32万5000円のうち相当額材木建材費上記工事全体分4万6000円のうち相当額④ 塗装工事(9万5000円),電気工事(7万8000円)及び諸経費(35万円)のうち,相当額⑤ クロス代金(床の段差の補修工事にともなうもの)5万0000円以上の費用は,金額の全部が損害となる費用の合計が87万6000円であり,上記相当額の合計は100万円(前記の建具・の部分的補修の費用及び消費税相当分も考慮した金額)を下らないものとみるのが相当であるから,これらを合計すると,187万6000円となる。 (2) 未工事分関係の費用証拠(甲11の1及び2),並びに弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,本件建物の1階脱衣室に取り付けられるべき鏡の代金1万9982円を支出し,また,外構工事費用の一部であ 1の1及び2),並びに弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,本件建物の1階脱衣室に取り付けられるべき鏡の代金1万9982円を支出し,また,外構工事費用の一部であるガーデンライト及びインターホーンの取付費用合計5万6800円(被控訴人主張の電気工事費)を支出していることが認められるところ,上記の鏡の設置はその性質上及び代金額に照らし,本件請負契約の内容に含まれるものと認められる(したがって,この費用の請求は,その実質は工事の瑕疵に基づく損害賠償請求である。)。他方,上記のガーデンライト等の各取付費用はその性質上,本件請負契約の内容には含まれるものとは認められない。 (3) 工期中の水道料金等証拠(甲11の3),並びに弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,平成8年3月分の本件建物等の利用にともなう水道料金・下水道使用料金3625円を支払ったことが認められるが,後記3(1)で認定のとおり,被控訴人は同年3月15日には本件建物に入居している状況であるから,上記認定事実から,控訴人が本件工事のために水道等を利用したものと推認することはできず,また,これを認めるに足りる証拠はない。 したがって,控訴人において上記の水道料金等を負担すべき理由はない。 (4) 工事完成前のアパート家賃証拠(甲11の4の1ないし3,原審証人e)によれば,被控訴人は,平成8年1月から3月まで,本件工事現場の近くに,工事が (4) 工事完成前のアパート家賃証拠(甲11の4の1ないし3,原審証人e)によれば,被控訴人は,平成8年1月から3月まで,本件工事現場の近くに,工事が遅延している本件工事の進捗を見守る目的で妻のeが居住するアパートを借りて,その家賃合計12万6000円を支出したことが認められるが,その経緯に照らし,社会通念上,その支出の必要性があるものとは考えられず,本件請負契約と相当因果関係にある損害とは認められない。 3 争点(3)(完成引渡し遅延の有無及びその違約金の額)について(1) 証拠(甲4,19,原審証人g,原審控訴人代表者本人第1回),並びに弁論の全趣旨によれば,被控訴人の妻eは,平成8年3月15日,本件建物に入居したこと,及び,そのころ,本件工事は2階屋根裏収納の間仕切り工事等が未了であったものの一応完成したことが認められるから,同日,本件工事の完成,引渡しがあったものと解するのが相当である。 (2) 本件請負契約には,遅滞約款が付されており,控訴人は,完成引渡しの遅滞について1日当たり請負代金額の1000分の1の違約金を支払う義務があることは,当事者間に争いがなく,これによれば,1日当たり2万6606円が違約金となる。 そして,工期については,契約締結後に,本件工事の完成を平成7年9月の予定と合意されたことは,当事者間に争いがないところ,「平成7年9月の予定」とは,平成7年9月か ,工期については,契約締結後に,本件工事の完成を平成7年9月の予定と合意されたことは,当事者間に争いがないところ,「平成7年9月の予定」とは,平成7年9月から起算して相当期間の範囲内の工事の完成をも許容する趣旨であると解するのが合理的である。 (3) そこで,前記の相当期間の範囲内について検討するに,以下の事情が認められる。 前記争いのない前提事実及び前記1(1)の認定事実に照らせば,本件請負契約においては,本件建物の内外装の仕様の多くは,当事者が適宜,打ち合せを行い,建築構造上の制約の下,請負代金額の範囲内で実施できる工事等を念頭に置きながら,その具体的内容を順次確定させていく方法が採られていたものであるうえ,被控訴人が東京都に居住し,控訴人と面談する機会が限られていた。そして,証拠(原審証人e及び同f,原審控訴人代表者本人第1回)によれば,本件建物の内外装等の仕様について,控訴人が被控訴人との打ち合せを早めに,かつ,十分に行わなかったことに加えて,被控訴人及びその家族の意思統一が不十分で,内外装等の選択が確定的でなかったことから,段取りよく工事が進捗しないという一般的状況が存在していたことが認められ,さらに,控訴人は,控訴人代表者を棟梁とし,大工の従業員5人ほどで構成されている小規模な工務店であるうえ,経営上,複数の建築請負を併行して行う必要があることが認められる。 表者を棟梁とし,大工の従業員5人ほどで構成されている小規模な工務店であるうえ,経営上,複数の建築請負を併行して行う必要があることが認められる。 以上の事情を総合して考慮すると,平成7年12月31日までは前記相当期間と認めるのが相当である。 そして,控訴人の平成8年1月1日からの工事遅延についての責任は,本件工事の内容を早期に確定させる方法及び機会を提供できる立場にある専門業者の控訴人の方が素人の被控訴人に比較してより重いものというべきであるから,控訴人は,1日当たり2万6606円の割合による73日分の違約金である194万2238円を支払う義務がある。 上記の範囲を超えて本件工事が遅延したことについて,控訴人の責めに帰することのできない事情は認められない。 4 争点(4)(慰謝料の支払義務の有無)について証拠(原審証人e及び同f)によれば,被控訴人は,控訴人が被控訴人及びその家族との打ち合せや連絡に十分な意を注がず,打ち合せ等に基づく合意事項を本件工事に的確に反映させず,本件建物に対する被控訴人及びその家族の期待を失わせ,かつ,完成遅延についても工期遵守の姿勢に乏しいうえ,その現状に不安を感じた被控訴人が本件工事現場付近にアパートを借り,現場の控訴人従業員に対し,頻繁に茶菓子を提供するなどの世話をもして対応したにもかかわらず,誠実な対応をしなかったことで,少なからぬ精神的打撃を受けたことが認められ,これに,前記認定の工事の瑕疵の程度,及び控訴人が請負契約の内容 話をもして対応したにもかかわらず,誠実な対応をしなかったことで,少なからぬ精神的打撃を受けたことが認められ,これに,前記認定の工事の瑕疵の程度,及び控訴人が請負契約の内容を明確にしないまま,本件工事を進行させたことが本件紛争の主要な原因の一つであることをも考慮すると,本件では,前記の損害賠償や違約金では償いきれない精神的損害があるものと認められるから,これを補填するために,慰謝料として200万円を控訴人に負担させるのが相当というべきである。 5 被控訴人の控訴人に対する債権の合計元金額前記の各債権を合計すると,元金額は,583万8220円となる。 なお,これらの債権はいずれも期限の定めのない債権であるから,控訴人が履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負うことになり,本件では訴状送達の日の翌日である平成9年7月6日から遅滞の責任を負うことになる。 6 争点(5)(控訴人の相殺に供した自働債権の有無及びその金額)について(1) 控訴人が被控訴人に対し,本件請負残代金260万6250円,大工追加工事のうち,浴室サッシ変更工事代金21万5900円,2階洋室サッシ等変更工事代金11万8500円,2階和室サッシ等追加工事代金11万2450円,及び板金追加工事のうちの銅板仕上げ代金20万円,以上の各債権(合計325万3100円)を有していることは,当事者間に争いがない。 (2) 基礎工事代金について前記1(1)の事実及び証拠(乙3,甲25の1,25の2,原審控訴人代表者本人第1,2回)によれば,控訴人は,平成7年1月,本件 (2) 基礎工事代金について前記1(1)の事実及び証拠(乙3,甲25の1,25の2,原審控訴人代表者本人第1,2回)によれば,控訴人は,平成7年1月,本件建物の基礎工事の一つとして敷地に対するちょうばりを実施し,敷地を掘削したが,その際,本件建物の配置図及び被控訴人の指示に基づいて,西側の境界から6尺(約1800ミリメートル)離して実施したところ,その後,間もなく,被控訴人から西側の境界から約9尺(実際は約2600ミリメートル)離してほしいとの指示があったので,これに従って,再度,ちょうばりを実施し,敷地を掘削する基礎工事を実施したことが認められる。 証拠(甲16,原審控訴人代表者本人第1,2回)によれば,控訴人は,平成8年3月31日ころ,被控訴人に対し,本件請負残代金及びその他の追加工事代金とともに,基礎変更分として10万円を請求していることが認められ,これに照らせば,上記の無駄となった基礎工事代金は10万円と認めるのが相当である。 (3) 瓦変更代について証拠(甲16,乙9の1ないし3,原審証人f,原審(第1,2回)及び当審控訴人代表者本人),並びに弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,控訴人との打ち合せにおいて,本件建物の屋根瓦を洋風瓦にすることとし,和風瓦との差額を後日精算することを予定したこと,被控訴人は,洋風瓦の具体的注文において,控訴人に対し,当初は, いて,本件建物の屋根瓦を洋風瓦にすることとし,和風瓦との差額を後日精算することを予定したこと,被控訴人は,洋風瓦の具体的注文において,控訴人に対し,当初は,コーヒーブラウン色の洋風瓦を注文し,その後,被控訴人の妻eがチョコレート色の洋風瓦に変更する旨を伝え,さらに,同女が再度,コーヒーブラウン色の洋風瓦を注文し,不要になった瓦の返品運賃は被控訴人において負担する旨の意思を伝えたこと,控訴人は,被控訴人側の上記注文の変更により控訴人の仕入先である有限会社添田瓦店が負担した返品の運送料22万1748円を負担することになったこと,被控訴人の選択により本件建物の屋根瓦に使用されたコーヒーブラウン色の洋風瓦と和風瓦との差額は合計60万円であり(控訴人と被控訴人側との打ち合せの中で,洋風瓦と和風瓦との差額が50万円から60万円になるとの話が出ていた。),さらに被控訴人の要望により洋風鬼瓦も使用したこと,以上の事実が認められる。 そして,証拠(甲16,原審控訴人代表者本人第1,2回)によれば,控訴人は,平成8年3月31日ころ,被控訴人に対し,本件請負残代金及びその他の追加工事代金とともに,洋風瓦変更分の60万円,瓦返品の運賃の22万1748円だけを請求し,洋風鬼瓦の代金は請求していないことが認められ,これに照らすと,上記の瓦変更代等は,洋風鬼瓦の代金を含んだものとしての82万1 の22万1748円だけを請求し,洋風鬼瓦の代金は請求していないことが認められ,これに照らすと,上記の瓦変更代等は,洋風鬼瓦の代金を含んだものとしての82万1748円と認めるのが相当である。 (4) 大工追加工事について証拠(甲16,原審控訴人代表者本人第1,2回)によれば,控訴人は,平成8年3月31日ころ,被控訴人に対し,本件請負残代金とともに追加工事代金分を請求しているが,サッシ変更追加工事代金を除いては大工追加工事を含めていないことが認められ,これに照らすと,これらの大工追加工事は当初の本件請負契約に含めたものと認めるのが相当であるから,当事者間に争いがない前記各サッシ変更追加工事(代金合計44万6850円)を除くその他の大工追加工事に関して,被控訴人に対し追加工事費用を請求することはできないものと解するのが相当である。 (5) 外壁追加工事について前記1(1)の認定事実及び証拠(甲16,乙8,原審証人e及び同f,原審(第1,2回)及び当審控訴人代表者本人)によれば,控訴人は,これまでに坪単価45万円で請け負った新築工事の住宅の外壁は,タイル貼り以外のモルタル塗り等の仕上げであったこと,被控訴人が本件請負契約の締結前に見学した控訴人施工の住宅の外装は,屋根瓦が和風瓦で,外壁はモルタル塗りであったこと,被控訴人は,「控訴人に骨格は頑丈に建築してもらい,内外装は被控訴人の希望を反 した控訴人施工の住宅の外装は,屋根瓦が和風瓦で,外壁はモルタル塗りであったこと,被控訴人は,「控訴人に骨格は頑丈に建築してもらい,内外装は被控訴人の希望を反映させたい」と考えて,本件請負契約を締結したものであり,坪単価45万円の予算の範囲内でしか本件建物を建築しないとの限定した考えでいたわけではないこと,洋風瓦の使用に関しては,和風瓦との差額の大体の金額が打ち合せの中で出ていること,控訴人は,被控訴人の指示に基づいて,本件建物の1階の外壁をタイル貼りで仕上げたが,使用したタイルは,有限会社稲田タイル店が見積もった2種類のタイルのうちから被控訴人の妻eが選択した価格の高いほうのタイルであったこと,以上の事実が認められる。 上記の認定事実によれば,被控訴人と控訴人との間で,タイル貼り壁とモルタル塗り壁の差額を後日精算することを黙示に合意したことが認められるところ,証拠(甲16,原審控訴人代表者本人第1,2回)によれば,控訴人は,平成8年3月31日ころ,被控訴人に対し,本件請負残代金及びその他の追加工事代金とともに,タイル外壁分として160万円を請求していることが認められ,これに照らすと,上記の外壁追加工事の代金は160万円と認めるのが相当である。 (6) 板金等追加工事について前記のとおり,銅板仕上げ代金20万円については,当事者間に争いがないが,雨樋を丸形から角 60万円と認めるのが相当である。 (6) 板金等追加工事について前記のとおり,銅板仕上げ代金20万円については,当事者間に争いがないが,雨樋を丸形から角型に変更したことにともなう差額分の負担に関しては,これを被控訴人が負担するとの合意や負担しなければならない事情を認めるに足りる証拠はない。 (7) 控訴人の被控訴人に対する債権の合計元金額前記の各債権を合計すると,元金額は,577万4848円となる。 7 相殺後の債権控訴人は,原審第16回口頭弁論期日で,被控訴人に対し,本訴請求債権と被控訴人に対する控訴人主張の債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をしているところ,被控訴人の本訴請求債権のうち,認容できる583万8220円と控訴人の被控訴人に対する前記債権577万4848円とは相殺適状の関係にあるから,この結果,被控訴人の控訴人に対して請求できる債権額は,6万3372円となる。 8 以上の次第で,被控訴人の本訴請求は,控訴人に対し,6万3372円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成9年7月6日から支払いずみまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却すべきである。 したがって,これと一部異なる原判決は相当でないから,上記趣旨に変更することとし,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法67条2項,64条,61条を,仮執行の宣言につき,同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第三民事部 用の負担につき,民事訴訟法67条2項,64条,61条を,仮執行の宣言につき,同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第三民事部裁判長裁判官喜多村治雄裁判官小林崇裁判官片瀬敏寿(別紙)主張対比表┌─┬────┬───────────────┬───────────────┐│ │ 項目 │ 被控訴人の主張 │ 控訴人の主張 │├─┼────┼───────────────┼───────────────┤│1│天井高 │ 通常240㎝のところを和室で│ 台所,1階居間,2階洋室につ││ │ │10~15㎝,洋室で20㎝は高│いて,梁等を削るなどして最大限││ │ │くするという約束であったが守ら│高くした。10㎝は高い。 ││ │ │れなかった。 │ ││ │ │ │ ││2│床の段差│ 和室を含めて出入口の床面に段│ 控訴人の要望は,便所について││ │ │差がつかないように要望したの │廊下と段差なしということだけだ││ │ │に,2階和室を除き,2~3㎝の│った。 ││ │ がつかないように要望したの │廊下と段差なしということだけだ││ │ │に,2階和室を除き,2~3㎝の│った。 ││ │ │段差がついた。 │ ││ │ │ 東京の自宅が全て段差なしであ│ 東京の自宅が全て段差なしであ││ │ │るのを踏襲しようとして何度も要│ることも聞いていない。 ││ │ │求した。 │ ││ │ │ │ ││3│建具 ①│ 脱衣室,パントリー(食品庫)│ ドアの予定で施工していたとこ││ │ │及び1階和室Cについて,引戸の│ろ,引戸への変更を要求された。││ │ │予定が勝手にドアに変更され,そ│したがって,戸枠が突き出すのも││ │ │の後,引戸に修正されたため,壁│やむを得ない。 ││ │ │から戸枠が突き出して見苦しい。│ ││ │ │ │ ││ │建具 ②│ 2階洋室と和室の間は両開戸の│ 引違戸の予定で施工していたと││ │ │予定であったのに勝手に引違戸に│こ ││ │建具 ②│ 2階洋室と和室の間は両開戸の│ 引違戸の予定で施工していたと││ │ │予定であったのに勝手に引違戸に│ころ,両開戸への変更を要求され││ │ │変更され,その後両開戸に修正し│た。したがって,戸枠が突き出し││ │ │たため,壁から戸枠が突き出して│てもやむを得ない。 ││ │ │見苦しい。 │ ││ │ │ │ ││ │建具 ③│ 2階の洋室出入口ドア及び和室│ 被控訴人の妻の指示どおりであ││ │ │出入口引戸の各飾り枠の塗装につ│る。 ││ │ │き,ドアの現場搬入後のデザイン│ ││ │ │上,不釣り合いの色を塗られた。│ ││ │ │ │ ││ │建具 ④│ 和室の襖・障子の全般について│最終的な仕上がりに問題はない。││ │ │傷があるなど仕上げが悪く,また│ ││ │ │建て付けが悪いため隙間の空く所│ ││ │ │傷があるなど仕上げが悪く,また│ ││ │ │建て付けが悪いため隙間の空く所│ ││ │ │がある。 │ │└─┴────┴───────────────┴───────────────┘┌─┬────┬───────────────┬───────────────┐│4│勝手口 │ ドアの設置位置が高すぎるため│ 注文どおりに施工した後のクレ││ │ │地上との高低差が大きくなったこ│ームである。 ││ │ │と,靴脱ぎ用の土間がないことか│ ││ │ │ら,使い勝手が悪い。 │ ││ │ │ │ ││5│下駄箱 │ 壁等が垂直に施工されなかった│ 納まりを調整して設置したので││ │ │ため,天袋部分が垂直に設置され│問題はない。 ││ │ │なかった。 │ ││ │ │ │ │ ││ │ │ │ ││6│床の軋み│ 2階洋室の出入口付近及び和室│ 被控訴人の妻の立会いのもとに││ │ │との境界付近の床が軋む。 │試したが,異常はなかった。 ││ │ │ │ ││7│階段 │ 補強不足のために昇降時に軋 │ 施工後,充填材の乾燥過程で音││ │ │む。 │がすることがあるが,自然と音は││ │ │ │出なくなる。 ││ │ │ │ ││8│洗面台 │ 1階洗面台の下に収納扉等が付│ 施工後の要望である。 ││ │ │いていない。 │ ││ │ │ │ ││9│壁仕上げ│ 1階和室A側の廊下壁面が盛り│ 完了した。 ││ │ │上がっていた ││9│壁仕上げ│ 1階和室A側の廊下壁面が盛り│ 完了した。 ││ │ │上がっていたため,修正に応じて│ ││ │ │くれたが,クロス貼りが未了のま│ ││ │ │まとなった。 │ │└─┴────┴───────────────┴───────────────┘

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