令和5(わ)2047 建造物侵入幇助、強盗致傷幇助、窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年8月5日 千葉地方裁判所
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判決文本文3,996 文字)

- 1 - 主文 被告人を懲役5年に処する。 未決勾留日数中150日をその刑に算入する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 Aと共謀の上、令和5年8月28日午後2時7分頃、群馬県藤岡市(住所省略)所在の株式会社Bにおいて、同店店長Cの隙を見て、同人がショーケースから取り出してトレイに置いた同人管理のネックレス4本(販売価格合計312万2350円)を持ち去り窃取した。 第2 D、A及び氏名不詳者らが、共謀の上、金品強取の目的で、令和5年9月7日午後6時18分頃、千葉県習志野市(住所省略)所在の有限会社E店長Fが看守する同店店舗に、正面出入口から侵入し、その頃、同所において、同人(当時41歳)及び同店従業員G(当時50歳)に対し、持っていた包丁を突き付け、持っていたハンマーを振り下ろすなどの暴行脅迫を加え、同人らの反抗を抑圧した上、前記F管理の腕時計等合計88点(販売価格合計3934万9900円)を強取し、その際、前記包丁の刃を前記Gの手に接触させ、同人に全治まで約2週間を要する左母指・右中指・右母指切創の傷害を負わせるに当たり、その情を知りながら、これに先立つ同月5日から同月7日までの間に、埼玉県内、東京都内、千葉県内又はその周辺において、スマートフォンを使用して、氏名不詳者からの犯行日、集合時間、集合場所等の連絡をAに伝達した上、同月7日、同人を被告人が運転する自動車に乗せて前記集合場所令和5年(わ)第2047号、令和6年(わ)第735号建造物侵入幇助、強盗致傷幇助、窃盗被告事件令和6年8月9日千葉地方裁判所刑事第3部判決 - 2 - 付近の同県柏市(住所省略)H店まで送り届け、もってD、A及び氏名不詳者らの前記犯行を容易にさせてこれを幇 幇助、窃盗被告事件令和6年8月9日千葉地方裁判所刑事第3部判決 - 2 - 付近の同県柏市(住所省略)H店まで送り届け、もってD、A及び氏名不詳者らの前記犯行を容易にさせてこれを幇助した。 (量刑の理由) 1 本件は、被告人が、Aと共謀してネックレス4本を窃取した事案(判示第1。 以下、「第1事件」という。)及びAらによる建造物侵入、強盗致傷を幇助した事案(判示第2。以下、「第2事件」という。)からなる。 2 第2事件について2件の犯行のうち、重い第2事件についてみると、本犯である建造物侵入及び強盗致傷の犯行(以下、「本件犯行」という。)は、指示役(氏名不詳者ら)や実行役(D及びA)などに役割を分担して組織的かつ計画的に行われており、質屋の営業時間内に店の正面から侵入し、ハンマーや包丁を用いて被害者らに暴行脅迫を加えて金品を奪うという大胆な犯行であって、その態様は悪質である。被害額は販売価格合計約3900万円と高額であり、財産的被害が大きいこと、被害者1名は全治約2週間のけがを負い、凶器を持った犯人に襲われた恐怖の大きさや今後の生活への影響等の被害者の受けた精神的苦痛からすると、本犯の犯行による結果は重大であり、同被害者が厳しい処罰感情を持つのも当然である。 被告人が本件犯行に関して果たした役割について検討する。メッセージ証拠(被告人からAへ送ったもの)と整合し、内容も具体的で信用できるA供述によれば、本犯者であるAは、本件犯行前は強盗を行うことに積極的ではなかったところ、被告人は、そのような態度のAに対して、Aが本件犯行の前に被告人に連絡なしに強盗に参加しなかった際、「そういうのは電話でいうのが筋なんじゃないん?」「俺もさ真剣にやってるからさ」などのメッセージを送り、指示役から伝えられた本件犯行の犯行日、集 犯行の前に被告人に連絡なしに強盗に参加しなかった際、「そういうのは電話でいうのが筋なんじゃないん?」「俺もさ真剣にやってるからさ」などのメッセージを送り、指示役から伝えられた本件犯行の犯行日、集合時間や場所等をAに伝えている。このような経緯に加え、本件犯行当日、Aに対して「お前が行かないと俺が詰められる」と言うなどしていることからすると、被告人は、単に指示役からの指示をAに伝えたにとどまらず、本件犯行に積極的でないAに犯行を促すようプレッシャーをかけているといえる。その後、被告人は本件犯行当日、 - 3 - 犯行の集合場所付近にAを車で送り、Aは犯行現場でショーケースを叩き割り、指輪を盗むなど自身の役割を果たしている。そうすると、被告人は、犯行に積極的ではないAにプレッシャーをかけた後、Aを集合場所付近に送ることにより、心理的・物理的に犯行実現に大きく寄与したといえる。 被告人の犯行動機についてみると、被告人は、本件犯行後、Aに対して、「今日現金もらえるから待機しているよ」「いくらもらえるかな」というメッセージを送っており、被告人も本犯から利益の分配を受けることを期待してることがうかがえるから、被告人は報酬目的で本件幇助行為に及んだといえ、かかる動機は非難に値する。 3 第1事件について第1事件についてみると、犯行後の着替えを準備するなど事前に計画したうえで、財布にトイレットペーパーを詰めるなど真に商品を購入する客であるかのように装って犯行に及んでおり、巧妙な犯行であるといえ、被害額は販売価格約312万円と高額で、結果は重い。 被告人は、犯行現場となった店舗を提案し、犯行時に実行犯のAが着る服を準備し、犯行がうまくいくようAに犯行方法を指示、提案するなどしている。また、被害品の売却価格は合計約210万円で、そのうち被 被告人は、犯行現場となった店舗を提案し、犯行時に実行犯のAが着る服を準備し、犯行がうまくいくようAに犯行方法を指示、提案するなどしている。また、被害品の売却価格は合計約210万円で、そのうち被告人が得た利益は、被告人が売却したネックレス2本分の売却価格約124万円に、Aから受け取った15万円を併せた約139万円であり、Aの利得の約2倍に当たる。これらの事情を踏まえると、被告人は、主導的に犯行に関与したといえる。 4 犯情に関する弁護人の主張について⑴ 両事件について弁護人は、両事件の財産的被害について、実損害は販売価格ではなく仕入れ価格であると主張する。しかし、本件の被害品はいずれも販売に供された商品であるから、その財産的被害の評価は、仕入れ価格に経費や利益等を踏まえて設定された販売価格を基準に実損害を考えるべきである。 ⑵ 第2事件について - 4 - 被告人は、動機について、報酬目的ではなく、指示役から脅されたからと述べ、前記2の犯行動機で指摘したメッセージについては、Aが現金をもらいに行くので被告人はAの送迎のための待機をしていたという趣旨であり、Aがいくらもらえるか気になったから聞いただけであると説明するが、上記メッセージの文面や本件の経緯等に照らし、かかる説明は不合理であって、被告人の供述は信用できない。 また、被告人は、本犯の犯行により被害者がけがをすることは全く想定していなかったと述べるところ、被告人は、指示役から実行犯の犯行内容は知らされていなかったが、ハンマーやナイフを使って強盗することは想定していたとも述べており、凶器を用いた強盗をする際に被害者が怪我をする可能性を全く想定しないことは通常考えられないから、被告人のかかる供述は不自然であり信用できない。 ⑶ 第1事件について被告人は、第1 も述べており、凶器を用いた強盗をする際に被害者が怪我をする可能性を全く想定しないことは通常考えられないから、被告人のかかる供述は不自然であり信用できない。 ⑶ 第1事件について被告人は、第1事件の被害品を売却して得た利益について、犯行後にAと被告人の2人分の弁護士費用として80万円(1人40万円)を払う予定であったため、Aから15万円を受け取ったが、結果的に弁護士費用を払わなかったので、Aに後日40万円を渡した旨供述する。しかし、そもそも逮捕されてもいないのに弁護士に相談するということ自体が極めて不自然であること、弁護士費用を払っていないにもかかわらず、Aに対してすでに払った旨説明して15万円を受け取っているという経緯からすると、被告人の供述は信用できない。 5 以上のような犯罪事実に関する事情に照らすと、本件は同種事案(強盗致傷、共犯関係等は幇助犯)の中では中程度よりやや重い部類に属する。 6 次に、犯罪事実以外の事情について検討する。被告人は、各犯行に至る経緯等についてあいまいな供述をしており、本件の振り返りとしては不十分で、現時点で、被告人が真摯に反省しているとまではいえない。他方で、被告人が、各事実を認めて、一応反省の弁を述べている点は被告人に有利に考慮することができる。被告人には、服役前科はないものの、罰金前科があることや、本件の犯行に至る経緯を踏まえると、被告人の規範意識に問題がないとはいえない。被告人は、出所後の生活について考え - 5 - てはいるが、現時点では具体的な計画ができているとはいえず、今後も自身の更生について考えを深める必要がある。 7 そこで、犯罪事実に関する事情を中心に、犯罪事実以外の事情も考慮して、被告人に主文の刑を科すのが相当であると判断した。 (求刑懲役7年、弁護人の科刑意見懲 ついて考えを深める必要がある。 7 そこで、犯罪事実に関する事情を中心に、犯罪事実以外の事情も考慮して、被告人に主文の刑を科すのが相当であると判断した。 (求刑懲役7年、弁護人の科刑意見懲役3年・執行猶予)令和6年8月9日千葉地方裁判所刑事第3部(裁判長裁判官宮本聡裁判官内村祥子裁判官坊直徹)

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