1 主 文被告人を懲役4年6月に処する。 未決勾留日数中250日をその刑に算入する。 理 由(罪となるべき事実)被告人は、精神発達遅滞、自閉スペクトラム症の疑いがあった長男のA(当時3歳)の養育に疲弊するなどして、平成29年11月24日午後6時頃から同日午後6時30分頃までの間、京都府木津川市(住所省略)所在の当時の被告人方浴室において、Aに対し、殺意をもって、浴槽に張った湯水に同人の全身を沈め、よってその頃、同所において、同人を溺死させて殺害した。 (法令の適用)1 構成要件及び法定刑を示す規定被告人の判示所為は刑法199条に該当する。 2 刑種の選択有期懲役刑を選択する。 3 酌量減軽犯情を考慮し、刑法66条、71条、68条3号を適用して酌量減軽をする。 4 宣告刑の決定以上の刑期の範囲内で被告人を懲役4年6月に処する。 5 未決勾留日数の算入刑法21条を適用して未決勾留日数中250日をその刑に算入する。 6 訴訟費用の不負担訴訟費用は、刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させない。 (量刑の理由)本件犯行は、虐待を伴うものではないし、あらかじめ計画されたものではないが、被害者が就寝中に突如連れて行かれた浴槽に沈められて死亡した結果が重大である2 ことはいうまでもない。被告人は、精神発達遅滞や自閉スペクトラム症の疑いのあった被害者の養育に疲弊して、その将来を悲観するとともに、そのような状況から自らを解放するため、被害者の殺害を決意し、本件犯行に及んでいるが、このような犯行動機自体に酌むべき点はない。もっとも、被告人は、被害者の養育に不安感等を抱きつつも被告人なりに懸命に被害者を含む三人の子の育児に当たっていたところ、被害者に対す 犯行に及んでいるが、このような犯行動機自体に酌むべき点はない。もっとも、被告人は、被害者の養育に不安感等を抱きつつも被告人なりに懸命に被害者を含む三人の子の育児に当たっていたところ、被害者に対する行政からの一定の支援を受けつつも、障害を抱える子の養育や被告人自身の双極性障害Ⅱ型の精神障害に対する家族の十分な理解や支援がない中、被告人の上記障害等もあいまって、孤立感等を深め、上記のような動機から被害者の殺害を決意した。このように、被告人自身の精神障害も背景に、被告人が追い詰められて本件犯行に及んだその動機の形成過程には一定の酌量すべき事情がある。 以上によれば、本件は、同種事案(殺人、単独犯、凶器等なし、被告人から見た被害者の立場は子、処断罪と同一又は同種の罪の件数1件)の中で、執行猶予を付すような軽い部類の事案ではないものの、実刑に処すべき類型の中で中程度ないし多少軽い部類に位置づけられ、殺人罪の法定刑の最下限をやや下回る刑に酌量減軽するのが相当である。 その他、被告人に前科がないこと、被告人が、更に多様な視点から内省を深める必要はあるものの、後悔の念を有し、今後自らの精神障害の治療をしていく旨述べていること、被告人の帰りを待つ家族がいること等の諸事情も併せて考慮して、被告人を主文の刑に処することとした。 (求刑・懲役8年)令和4年12月7日京都地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官 増 田 啓 祐裁判官 國 分 進裁判官 熊 野 結 衣 子 野 結 衣 子
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