平成27(ワ)3134 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年9月28日 大阪地方裁判所
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判決文本文51,846 文字)

- 1 -平成29年9月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(ワ)第3134号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成29年7月21日判決原告パスカルエンジニアリング株式会社 同訴訟代理人弁護士別城信太郎同訴訟代理人弁理士深見久郎同佐 々 木眞人同高橋智洋被告株式会社コスメック 被告株式会社コスメックエンジニアリング上記両名訴訟代理人弁護士井上裕史同冨田信雄同佐合俊彦 主文 1 被告らは,別紙物件目録記載の各製品を製造し,販売し,輸出若しくは輸入し,又は販売の申出(販売のための展示を含む。)をしてはならない。 2 被告らは,原告に対し,連帯して4038万2750円及びうち2982万3000円に対する平成27年4月11日から,うち1055万9750円に対する平成29年3月6日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告らの連帯負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求- 2 - 1 主文第1項と同旨 2 被告らは 告らの連帯負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求- 2 - 1 主文第1項と同旨 2 被告らは,前項記載の製品及びその半製品を廃棄せよ。 3 被告らは,原告に対し,連帯して4646万4200円及びこれに対する平成27年4月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 請求の要旨本件は,発明の名称を「位置検出装置」とする発明に係る特許権(特許第5337323号。以下「本件特許権1」といい,これに係る特許を「本件特許1」という。)及び「位置検知装置」とする発明に係る特許権(特許第5666660号。 以下「本件特許権2」といい,これに係る特許を「本件特許2」というとともに, 本件特許権1と併せて「本件各特許権」という。)を有する原告が,被告株式会社コスメックエンジニアリング(以下「被告エンジニアリング」という。)が業として製造し,被告株式会社コスメック(以下「被告コスメック」という。)が業として販売する別紙物件目録記載1の各センシングバルブ付スイングクランプ(以下「被告製品1」という。),同目録記載2ないし4のセンシングバルブ付リンクク ランプ(以下「被告製品2ないし4」という。)及び同目録記載5ないし7の各センシングバルブ付リフトシリンダ(以下「被告製品5ないし7」といい,被告製品1ないし7を併せて「被告各製品」という。)が,本件特許1の請求項1及び2に係る各発明(以下,それぞれ「本件発明1-1」,「本件発明1-2」といい,両発明を併せて「本件各発明1」という。)並びに本件特許2の請求項1及び2に係 る各発明(以下,それぞれ「本件発明2-1」,「本件発明2-2」といい,両発 1-1」,「本件発明1-2」といい,両発明を併せて「本件各発明1」という。)並びに本件特許2の請求項1及び2に係 る各発明(以下,それぞれ「本件発明2-1」,「本件発明2-2」といい,両発明を併せて「本件各発明2」というとともに,本件各発明1と本件各発明2を併せて「本件各発明」という。)の技術的範囲に属する(損害賠償請求の対象としては被告各製品と型番が異なるだけで同一の構成の製品も含む。)として,被告らに対し,①本件各特許権(特許法100条1項)に基づき,被告各製品の製造,販売等 の差止めを,②本件各特許権(同条2項)に基づき,被告各製品及びその半製品の- 3 -廃棄を求めるとともに,③不法行為(本件各特許権の侵害)に基づき,平成25年8月9日から平成29年3月6日までの損害賠償金4646万4200円(被告らが得た利益の額に相当する損害金4224万4200円と弁護士費用相当額422万円の合計額)及びこれに対する平成27年4月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案であ る。 2 前提事実(1) 原告の有する特許権(争いがない)ア本件特許権1原告は,次の本件特許権1の特許権者である。本件特許1の出願願書に添付され た明細書及び図面(訂正後のもの。以下「本件特許1明細書」という。)の記載は,別紙本件特許1明細書のとおりである。 特許番号第5337323号発明の名称位置検出装置分割の表示特願2011-222846の分割(以下,特願2011-222 846号の出願を「本件原出願」といい,この分割出願を「本件出願1」という。)原出願日平成23年10月7日出願日平成25年7月5日登録日平成25年8月9日 11-222 846号の出願を「本件原出願」といい,この分割出願を「本件出願1」という。)原出願日平成23年10月7日出願日平成25年7月5日登録日平成25年8月9日イ本件特許権2 原告は,次の本件特許権2の特許権者である。 特許番号第5666660号発明の名称位置検知装置分割の表示特願2011-222846の分割(以下,この分割出願を「本件出願2」という。) 原出願日平成23年10月7日- 4 -出願日平成25年7月26日登録日平成26年12月19日(2) 構成要件の分説(争いがない)本件各発明を構成要件に分説すると,本件発明1-1については別紙構成要件目録1-1,本件発明1-2については別紙構成要件目録1-2,本件発明2-1に ついては別紙構成要件目録2-1,本件発明2-2については別紙構成要件目録2-2各記載のとおりである。 (3) 被告らの行為(争いがない)本件特許権1の登録日である平成25年8月9日以降,被告製品1及びこれと型番が異なるだけで同一の構成の製品を,被告製品2ないし4及びこれと型番が異な るだけで同一の構成の製品を並びに被告製品5ないし7及びこれと型番が異なるだけで同一の構成の製品を,被告エンジニアリングは製造し,被告コスメックは販売した(以下,被告各製品と型番が異なるだけで同一の構成の製品を含める場合には,各製品の呼称に「等」を付して,「被告製品1等」などという。)。 3 争点 (1) 技術的範囲の属否(争点1)ア本件発明1-1の構成要件の充足の有無(争点1-1)イ本件発明1-2の構成要件の充足の有無(争点1-2)ウ本件各発明2の構成要件の充足の有無( 的範囲の属否(争点1)ア本件発明1-1の構成要件の充足の有無(争点1-1)イ本件発明1-2の構成要件の充足の有無(争点1-2)ウ本件各発明2の構成要件の充足の有無(争点1-3)(2) 間接侵害の成否(予備的主張,争点2) (3) 無効理由の存否(争点3)ア本件各発明1(ア) 乙4発明を主引例とする進歩性欠如の有無(争点3-1)(イ) 乙5発明を主引例とする進歩性欠如の有無(争点3-2)(ウ) 乙6発明を主引例とする進歩性欠如の有無(争点3-3) (エ) 分割要件違反に伴う新規性欠如の有無(争点3-4)- 5 -イ本件各発明2(ア) 乙4発明を主引例とする進歩性欠如の有無(争点3-5)(イ) 乙5発明を主引例とする進歩性欠如の有無(争点3-6)(ウ) 乙6発明を主引例とする進歩性欠如の有無(争点3-7)(エ) 分割要件違反に伴う新規性欠如の有無(争点3-8) (4) 原告の損害額(争点4) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1-1(本件発明1-1の構成要件の充足の有無)について(原告の主張)ア被告各製品の構成は,別紙「被告製品1説明書」,同「被告製品2ない し4説明書」及び同「被告製品5ないし7説明書」記載のとおりであり,それによれば,被告各製品は本件発明1-1の技術的範囲に属する。 イ 「開閉弁機構」の充足性について被告らは,本件発明1-1の開閉弁機構が,出力部材が所定の位置に達したときに,瞬時に弁機構の開閉状態が切り換わる構成としているとして,少なくともスプ ール形の弁機構が除外されていると主張するが,どのような開閉弁機構であっても,開閉状態の切換えには弁体の移動を伴うため,開閉 に弁機構の開閉状態が切り換わる構成としているとして,少なくともスプ ール形の弁機構が除外されていると主張するが,どのような開閉弁機構であっても,開閉状態の切換えには弁体の移動を伴うため,開閉状態の切換え動作の開始から完了までに一定の時間を要することに照らせば,そのように限定する理由はなく,被告各製品のスプール形の弁機構も本件発明1-1の「開閉弁機構」に含まれる。 ウ構成要件1Dの充足性について 構成要件1Dは,「出力部材が所定の位置に達したときに…開閉状態を切り換え,…所定の位置に達したことを検知」するとしているところ,上記イで述べたことからすると,「開閉弁機構の開閉状態の切換え時」といえる切換え動作の開始から完了までの間のいずれかの時点が「所定の位置に達したとき」に当たる。そして,「閉弁状態」のことをエア通路が「完全に」閉じた状態であるとは規定していない などといった特許請求の範囲の記載に照らせば,開閉弁機構の開閉状態の境界であ- 6 -る切換え時は,上記いずれかの時点のうちエア圧が設定圧に達した時点のことをいう。したがって,「所定の位置に達したとき」とは,エア圧が設定圧に達した時点のことをいうと解するべきである。 もっとも,開閉弁機構の構造的相違にかかわらず,開閉状態の切換えに伴ってエア圧が上昇してからこれが検出されるまでに時間遅れが生じることは技術常識であ ることに照らせば,「出力部材が前記所定の位置に達したことを検知可能」とは,出力部材が所定の位置(エア圧が設定圧に達した位置)に達した瞬間を検知できなければならないわけではなく,出力部材が所定の位置(エア圧が設定圧に達した位置)に達したことを検知できれば足り,「出力部材が所定の位置に達したとき」とは,「出力部材が所定の位置に達した場合」と解する ければならないわけではなく,出力部材が所定の位置(エア圧が設定圧に達した位置)に達したことを検知できれば足り,「出力部材が所定の位置に達したとき」とは,「出力部材が所定の位置に達した場合」と解するべきである。 この点,被告各製品は,クランプ装置の「ロック動作」,「リリース動作」,リフトシリンダの「押し動作」,「引き動作」が正常に完了したことを確認するものであり,それら動作後の正常位置に達したか否かを検知するためのものである。そして,被告各製品においては,出力部材が所定の位置(エア圧が設定圧に達した位置)に達してからエア通路のエア圧の上昇が検知されるまでの時間遅れは,動作条 件により変動するとしても,どのような動作条件であっても,そのような時間遅れを考慮しない被告各製品の「エアセンシングチャート」(甲7ないし9)の波形に基づいて特定された「所定の位置」に達したかという検知は可能であるから,「出力部材が所定の位置に達したときに…所定の位置に達したことを検知可能に構成し」てあり,本件発明1-1の構成要件1Dを充足する。 エ 「位置検出装置」について上記ウのとおり,被告各製品は,「位置検出装置」である。 オ作用効果の奏功について被告各製品では,ロッドが下降してロック位置に達した状態では「スプール」が油室の油圧を利用して油室側に突出した状態に保持されるのであるから,被告各製 品は本件特許1明細書の【0019】に記載された作用効果を奏する。 - 7 -カ直接実施行為性について被告各製品にエアキャッチセンサは備わっておらず,被告らはエアキャッチセンサを製造,販売していないが,被告各製品のエア通路にエアキャッチセンサを接続すれば,出力部材が所定の位置に達したことを検知可能となるので,被告各製品 チセンサは備わっておらず,被告らはエアキャッチセンサを製造,販売していないが,被告各製品のエア通路にエアキャッチセンサを接続すれば,出力部材が所定の位置に達したことを検知可能となるので,被告各製品は,エア通路のエア圧を介して前記出力部材が前記所定の位置に達したことを検知可能 に構成されているといえ,被告各製品の製造販売等は,本件発明1-1の直接実施行為となる。 (被告らの主張)ア原告の主張アは否認ないし争う。 イ 「開閉弁機構」の充足性について 本件特許1明細書の【0008】,【0010】からすると,本件発明1-1は,信頼性や耐久性を向上させるため,従来技術と異なり,「エア通路を開閉する検出具を検出孔に対して摺動自在に移動させる構造」のもの(スプール形の弁機構はこれに当たる。)を除外しており,実施例においても,本件原出願の明細書においてもポペット形の弁機構のみが記載されていた。また,構成要件1Dは,「出力部材 が所定の位置に達したときに…開閉状態を切り換え,…所定の位置に達したことを検知」するとしており,出力部材が所定の位置に達したときに,瞬時に弁機構の開閉状態が切り換わる構成としているが,スプール形の弁機構では,「開」位置から「閉」位置への切り換えにある程度の時間が必要となり,上記の構成を充足しない。 したがって,本件発明1-1は,少なくともスプール形の弁機構を除外している と解するべきところ,被告各製品の弁機構はいずれもスプール形のものであるから,被告各製品は本件発明1-1の技術的範囲に属しない。 ウ構成要件1Dの充足性について構成要件1Dは,「出力部材が所定の位置に達したときに…開閉状態を切り換え,…所定の位置に達したことを検知」するとしているところ,「弁面39vが弁座3 ない。 ウ構成要件1Dの充足性について構成要件1Dは,「出力部材が所定の位置に達したときに…開閉状態を切り換え,…所定の位置に達したことを検知」するとしているところ,「弁面39vが弁座3 2aに当接して開弁状態から閉弁状態に切換わ」る時点が「開閉状態の切換えに相- 8 -当する」という本件明細書の記載(【0050】,【0051】)に照らせば,「出力部材が所定の位置に達したとき」とは,「開閉弁機構の開閉状態の切り換え」時,すなわち,出力部材が上昇限界位置に達してエア通路が「完全に」閉じた状態になった時点のことをいい,「エア圧」とは,この時点におけるエア圧のことをいうのである。原告は,「エア圧」が設定圧に達した位置が「開閉状態の切り換え」 時であると主張するが,明細書の記載によらない見解である上,それでは「所定の位置」が不明確である。 そして,出力部材が「所定の位置に達したこと」を検知することと「所定の位置にあること」を検知することを書き分けている特許請求の範囲の記載(請求項1及び2)や,本件特許1明細書における「出力部材の所定の位置を確実に検知可能で ある」との記載(【0020】)に照らせば,「出力部材が前記所定の位置に達したことを検知可能」とは,出力部材が所定の位置に達している状態が検知できれば足りるのではなく,出力部材が所定の位置に達した瞬間を検知できなければならない。このことは,仮に「所定の位置に達したことを検知」が,「所定の位置に達していることを確認する」場合を含むとすれば,本件発明1-1の「位置検知」は, 乙6,乙7や乙13などの往復制御の公知技術における「位置検出装置」と同義ものとなり,進歩性欠如の無効理由を有することになるからも,上記のように解釈すべきである。 この点,被告各製品は,クラ 乙6,乙7や乙13などの往復制御の公知技術における「位置検出装置」と同義ものとなり,進歩性欠如の無効理由を有することになるからも,上記のように解釈すべきである。 この点,被告各製品は,クランプ装置のピストン(出力部材)がストローク端に達していることを確認するための「確認バルブ」(開閉弁機構)を設け,エア通路 の圧力の変化(圧力信号)を,圧力センサや加工機器・洗浄機器などの他の機器に伝達して,次の工程(加工工程・洗浄工程など)を始めるように制御可能にしているが,ピストンがストローク端に達した瞬間やストローク端を離れた瞬間を捉えるような厳密な構成になっていない。現に,被告各製品では,出力部材が所定の位置(上昇限界位置)に達して閉弁状態に切り換わってから,これに伴って上昇したエ ア圧を検出するまでに大きな時間遅れが生じる。したがって,被告各製品は,出力- 9 -部材が所定の位置(上昇限界位置)に達した瞬間を検知できず,「出力部材が所定の位置に達したときに…所定の位置に達したことを検知可能に構成し」ていないから,本件発明1-1の構成要件1Dを充足しない。 また,仮に本件発明1-1が,設定したエア圧を介して「構造上の一点」を検知するものであるとしても,被告各製品は,クランプがロック動作又はリリース動作 をしたことを確認するための動作確認バルブを備えているものの,出力部材が構造上の一点に達したことを検知するものではない。また,上記のとおり被告各製品は,開閉弁機構が閉弁状態となった後,エア通路のエア圧が上昇してそれがセンサに検知されるまでに一定の時間を要することから,設定したエア圧を介して所定の位置を確実に検知可能なものではなく,構成要件1Dを充足しない。 エ 「位置検出装置」の充足性について仮に本件発 されるまでに一定の時間を要することから,設定したエア圧を介して所定の位置を確実に検知可能なものではなく,構成要件1Dを充足しない。 エ 「位置検出装置」の充足性について仮に本件発明1-1が,従来知られていた往復制御における「開閉弁機構(位置検出装置)」を,「出力部材が『所定の位置』に達したことを検知するという用途に利用した点において,従来技術と異なるとした場合でも,設定したエア圧を介して「構造上の一点」を検知するものであり,上記のとおり被告各製品は,開閉弁機 構が閉弁状態となった後,エア通路のエア圧が上昇してそれがセンサに検知されるまでに一定の時間を要することから,ユーザーが被告各製品を位置検出装置として使用するためには,その使用条件(供給エアの圧力,供給油圧,配管長さなど)に応じた「設定圧」を設定する必要があるが,被告各製品はそのような使用方法を想定しておらず,ユーザーにおいてそのような使用がされているわけでもない。した がって,被告各製品は,「位置検出装置」ではなく,そのような作用効果を奏する使い方もされていない。 オ作用効果の不奏功について本件特許1明細書の【0019】では,本件発明1-1の作用効果として,「出力部材が所定の位置に達しない状態では,油室の油圧を利用して弁体を油室側に突 出した状態に保持することができ」るとされているが,被告各製品では,出力部材- 10 -が所定の位置にない場合に,常に「弁体が油室側に突出した状態」にあるわけではないから,本件発明1-1の作用効果を奏しない。 カ直接実施行為性について被告各製品は,「確認バルブ」が取り付けられたクランプ本体のみであり,エアキャッチセンサを接続等しない限り,その製造販売は直接実施行為には該当し得な い。 カ直接実施行為性について被告各製品は,「確認バルブ」が取り付けられたクランプ本体のみであり,エアキャッチセンサを接続等しない限り,その製造販売は直接実施行為には該当し得な い。 (2) 争点1-2(本件発明1-2の構成要件の充足の有無)について(原告の主張)ア被告各製品の構成は,別紙「被告製品1説明書」,同「被告製品2ないし4説明書」及び同「被告製品5ないし7説明書」記載のとおりであり,それによ れば,被告各製品は本件発明1-2の技術的範囲に属する。 イ構成要件1Dと同様に,「所定の位置に達した時」(構成要件1G)とは,エア圧が設定圧に達した時点のことをいい,「出力部材が所定の位置にあることが検知され」る(構成要件1G)とは,出力部材が所定の位置(エア圧が設定圧に達した位置)に達したことを検知できれば足りるところ,被告各製品は,出力部 材が所定の位置(エア圧が設定圧に達した位置)に達したことを時間遅れはあっても検知できるから,「出力部材が前記所定の位置に達した時に…所定の位置に達したことを検知され」る構成にしてあり,本件発明1-2の構成要件1Gを充足する。 また,被告各製品は,本件発明1-2の構成要件1F及び1Hも充足する。 (被告らの主張) ア原告の主張アは否認ないし争う。 イ被告各製品は,「所定の位置から移動開始したときに」すぐに「開弁状態に切換えられ」るわけではないから,本件発明1-2の構成要件1Hを充足しない。被告各製品は,本件発明1-2の構成要件1F及び1Gも充足しない。 (3) 争点1-3(本件各発明2の構成要件の充足の有無)について (原告の主張)- 11 -被告各製品の構成は,別紙「被告製品1説明書」,同「被告製品2ないし4 足しない。 (3) 争点1-3(本件各発明2の構成要件の充足の有無)について (原告の主張)- 11 -被告各製品の構成は,別紙「被告製品1説明書」,同「被告製品2ないし4説明書」及び同「被告製品5ないし7説明書」記載のとおりであり,それによれば,被告各製品は本件発明2-1及び2-2の技術的範囲に属する。 (被告らの主張)否認ないし争う。 (4) 間接侵害の成否(争点2)について(原告の主張)仮に,エアキャッチセンサが設置されていない被告各製品のみでは本件発明1-1及び2-1の機能が実現されるものではないとして直接侵害が認められないとしても,被告各製品は,出力部材の位置検知をエア圧の圧力変化を介して行うことが 可能な物であるから,本件発明1-1及び2-1の課題の解決に不可欠なものである。そして,本件特許1及び2に関する無効審判請求の時期,被告各製品のカタログの記載内容等に照らせば,被告らが,被告各製品が本件発明1-1及び2-1の実施に用いられることを知りながら,業として,その製造及び販売をしていたことは明らかである。 したがって,被告各製品を業として製造及び販売する行為は,本件各特許権を侵害するものとみなされる。 (被告らの主張)被告各製品は位置検出装置又は位置検知装置として使用されていない,すなわち本件各特許権の直接侵害行為がないから,間接侵害が成立する余地はない。 (5) 争点3-1(乙4発明を主引例とする〔本件各発明1の〕進歩性欠如の有無)について(被告らの主張)ア本件各発明1とアメリカ合衆国特許第3530896号明細書(以下「乙4明細書」という。)に記載された発明(以下「乙4発明」という。)の相違 点- て(被告らの主張)ア本件各発明1とアメリカ合衆国特許第3530896号明細書(以下「乙4明細書」という。)に記載された発明(以下「乙4発明」という。)の相違 点- 12 -(ア) 相違点1-1(予備的主張)本件各発明1は,位置検出装置であるのに対し,乙4発明のパイロット弁Bは,ピストンロッドが所定の位置(後退ストローク端)に到達したときに動作される開閉弁機構であり,「位置検出装置」と明記されていない。 (イ) 相違点1-2 本件各発明1のエア通路は,シリンダ本体内に形成されているのに対し,乙4発明のエア通路は,キャップ部材に形成されているが,シリンダ本体内には形成されていない。 (ウ) 相違点1-3(予備的主張)本件各発明1は,「油室の油圧のみによって弁体を進出」させているのに対し, 乙4発明は,「油室の油圧とバネ力とによって弁体を進出」させている。 (エ) 相違点1-4(予備的主張)本件各発明1は,開閉弁機構に供給される制御流体が「加圧エア」であるのに対し,乙4発明は,制御流体が明記されていない。 イ相違点に係る構成の容易想到性 相違点1-2に係る本件各発明1の構成は,周知技術であるし,アメリカ合衆国特許第3555966号明細書(以下「乙5明細書」という。),イギリス特許第1140216号明細書(以下「乙6明細書」という。),アメリカ合衆国特許第3348803号明細書(以下「乙8明細書」という。),アメリカ合衆国特許第3463055号明細書(以下「乙9明細書」という。)に開示されている。した がって,相違点1-2に係る本件各発明1の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 また,相違点1-1に係る本件各発明1の構成が,周知技術であ 明細書」という。)に開示されている。した がって,相違点1-2に係る本件各発明1の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 また,相違点1-1に係る本件各発明1の構成が,周知技術であるし,乙5明細書,アメリカ合衆国特許第4632018号明細書(以下「乙7明細書」という。)に開示されていること,相違点1-3に係る本件各発明1の構成が,周知技術であ るし,乙6明細書,乙8明細書,乙9明細書に開示されていること,相違点1-4- 13 -に係る本件各発明1の構成が,周知技術であるし,乙5明細書ないし乙8明細書に開示されていることに照らせば,相違点1-1,1-3及び1-4が相違点であったとしても,これらに係る本件各発明1の構成はいずれも,当業者が容易に発明し得たものである。 (原告の主張) 被告らが主張する相違点に加え,相違点1-2に関しては,「一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路」という構成を備えているか否か,相違点1-3に関しては,「前記油室の油圧によって前記弁体を前記出力部材側に進出させた状態に保持する油圧導入室」という構成を備えているか否か,「前記油室と油圧導入室とを連通させる油圧導入路」という構成を備えているか否か,「前記 出力部材が所定の位置に達したときに,前記出力部材により前記弁体を移動させて前記開閉弁機構の開閉状態を切り換え,前記エア通路のエア圧を介して前記出力部材が所定の位置に達したことを検知可能に構成した」という構成を備えているか否かという点でも相違するなど,相違点に係る本件各発明1の構成は容易に発明し得たものではない。 (6) 争点3-2(乙5発明を主引例とする〔本件各発明1の〕進歩性欠如の有無)について(被告らの主張)ア本件各発明1 本件各発明1の構成は容易に発明し得たものではない。 (6) 争点3-2(乙5発明を主引例とする〔本件各発明1の〕進歩性欠如の有無)について(被告らの主張)ア本件各発明1と乙5明細書に記載された発明(以下「乙5発明」という。)の相違点 (ア) 相違点2-1本件各発明1の開閉弁機構には,油圧導入室と,油室と油圧導入室を連通させる油圧導入路を設け,油室の油圧によって弁体を出力部材側に進出させた状態に保持するのに対し,乙5発明のパイロット弁16は,バネ力及びエア通路内のエア圧によって進出させた状態に保持する。 (イ) 相違点2-2(予備的主張)- 14 -本件各発明1では,開閉弁機構の開閉により,加圧エアが供給されたエア通路と外界に連通したエア通路とが「連通」するのに対し,乙5発明の加圧エアが供給されたエア通路(通孔58)と外界に連通したエア通路(通孔64)とが「連通」しない。 イ相違点に係る構成の容易想到性 相違点2-1に係る本件各発明1の構成は,周知技術であるし,乙4明細書,乙6明細書に開示されている。したがって,相違点2-1に係る本件各発明1の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 また,相違点2-2に係る本件各発明1の構成は,周知技術であるし,乙6明細書,昭64-6373号公報(以下「乙13公報」という。),平1-65403 号公報(以下「乙16公報」という。),特開昭48-83279号公報(以下「乙17公報」という。)に開示されていることに照らせば,相違点2-2が相違点であったとしても,これに係る本件各発明1の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 (原告の主張) 被告らが主張する相違点に加え,「前記油室の ことに照らせば,相違点2-2が相違点であったとしても,これに係る本件各発明1の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 (原告の主張) 被告らが主張する相違点に加え,「前記油室の油圧によって前記弁体を出力部材側に進出させた状態に保持する油圧導入室」という構成を備えているか否か,「前記油室と前記油圧導入室とを連通させる油圧導入路」という構成を備えているか否か,「一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路」という構成を備えているか否か,「このエア通路を開閉可能な開閉弁機構」という構成を備え ているか否か,「出力部材により弁体を移動させて開閉弁機構の開閉状態を切り換え,エア通路のエア圧を介して出力部材が所定の位置に達したことを検知可能」という構成を備えている否か,「前記油室の油圧がドレン圧に切り換えられ且つ前記出力部材が前記所定位置に達した時に,前記開閉弁機構は,前記エア通路を閉じる閉弁状態に切り換えられ,当該切換えにより前記開閉弁機構に対して前記一端部側 に位置する前記エア通路の圧力を上昇させ,当該圧力が設定圧以上に上昇したこと- 15 -に基づいて前記出力部材が所定の位置にあることが検知され,」という構成を備えているか否かという点でも相違するなど,相違点に係る本件各発明1の構成は容易に発明し得たものではない。 (7) 争点3-3(乙6発明を主引例とする〔本件各発明1の〕進歩性欠如の有無)について (被告らの主張)ア本件各発明1と乙6明細書に記載された発明(以下「乙6発明」という。)の相違点(ア) 相違点3-1(予備的主張)本件各発明1は「位置検出装置」であるのに対し,乙6発明の弁体は,ピストン ロッドが所定の位置(後退ストローク端)に到達したとき う。)の相違点(ア) 相違点3-1(予備的主張)本件各発明1は「位置検出装置」であるのに対し,乙6発明の弁体は,ピストン ロッドが所定の位置(後退ストローク端)に到達したときに動作される開閉弁機構であり,「位置検出装置」と明記されていない。 (イ) 相違点3-2本件各発明1では,ピストンを油圧駆動にし,位置検出装置の制御流体を「加圧エア」としているのに対し,乙6発明では,ピストンを油圧駆動にした場合,反転 動作する装置の制御流体(制御管路としての流路61に供給される加圧流体)を「加圧油」としている。 (ウ) 相違点3-3本件各発明1は,出力部材が所定の位置にない状態で,開閉弁機構の流路は開弁状態を維持し,所定の位置に達した時に閉弁状態となり,圧力が設定圧以上に上昇 したことで所定の位置にあることを検出するのに対し,乙6発明は,出力部材が所定の位置にない状態で,開閉弁機構の流路は閉弁状態を維持し,所定の位置に達した時に開弁状態となり,圧力が設定圧以下に低下したことで所定の位置にあることを検出する。 イ相違点に係る構成の容易想到性 相違点3-2に係る本件各発明1の構成は,周知技術であるし,乙4明細書ない- 16 -し乙8明細書に開示されている。したがって,相違点3-2に係る本件各発明1の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。相違点3-3に係る本件各発明1の構成は,周知技術であるし,乙4明細書に開示されている。したがって,相違点3-3に係る本件各発明1の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 また,相違点3-1に係る本件各発明1の構成は,周知技術であるし,乙5明細 書,乙7明細書に開示されていることに照らせば,相違点3-1が相違点であった は,当業者が容易に発明し得たものである。 また,相違点3-1に係る本件各発明1の構成は,周知技術であるし,乙5明細 書,乙7明細書に開示されていることに照らせば,相違点3-1が相違点であったとしても,これに係る本件各発明1の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 (原告の主張)相違点に係る本件各発明1の構成は容易に発明し得たものではない。 (8) 争点3-4(〔本件各発明1の〕分割要件違反に伴う新規性欠如の有無)について(被告らの主張)開閉弁機構にスプール弁を含む本件各発明1は,本件原出願の出願願書に添付された明細書及び図面(以下「本件原出願明細書」という。)に記載されていない新 たな技術的事項を追加するものであるから,本件出願1は分割要件に違反する。このように本件出願1に分割出願違反があることを前提とすると,本件各発明1は新規性を欠く。 (原告の主張)本件原出願明細書には「前記の種々の開閉弁機構の構造も例示であって,これら の開閉弁機構に限定されるものではなく,本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の開閉弁機構を採用することができる」と記載されている(【0097】)。そして,ポペット弁とスプール弁は,いずれも開閉弁機構の構造として周知のものである。 したがって,本件原出願明細書の実施例における例示がポペット弁のみであるとしても,開閉弁機構としてスプール弁も採用可能であることは,当業者は当然に理解 する。 - 17 -したがって,開閉弁機構にスプール弁を含む本件各発明1は,本件原出願明細書に記載されていない新たな技術的事項を追加するものではなく,本件出願1は分割要件に違反せず,新規性を欠かない。 (9) 争点3-5(乙4発明を主引例とする〔本件各発明2の〕進歩性欠 原出願明細書に記載されていない新たな技術的事項を追加するものではなく,本件出願1は分割要件に違反せず,新規性を欠かない。 (9) 争点3-5(乙4発明を主引例とする〔本件各発明2の〕進歩性欠如の有無)について (被告らの主張)ア本件各発明2と乙4発明の相違点(ア) 相違点1-1本件各発明2のエア通路は,「前記エア通路の一端部は,加圧エア供給源から加圧エアが供給されるエア供給路に接続され,前記エア通路の他端部は,外界に開放 されたエア排出路に接続され,前記環状部材を前記環状部材の径方向に貫通し,前記弁体に対して前記エア通路の一端部側に設けられ,前記加圧エアの通路となる第1エア通路が形成され,前記油圧導入室の外周に位置し,前記弁体に対して前記エア通路の他端部側に設けられ,前記加圧エアの通路となる第2エア通路が,前記キャップ部材の外周部と前記装着孔の内周面との間,または,前記キャップ部材の内 部に形成され,」,また,「シリンダ本体内に形成されている」のに対し,乙4発明のエア通路の構成は,「前記油圧導入室の外周に位置し,」,「前記キャップ部材の外周部と前記装着孔の内周面との間,または,前記キャップ部材の内部に形成され」,「シリンダ本体内に形成されている」という構成を有していない。 (イ) 相違点1-2 本件各発明2の弁体本体は,小径軸部と小径軸部に対して第2方向側に設けられた大径軸部とが一体形成されたものであるのに対し,乙4発明の弁体本体は,先端部と後端部とが一体形成されたものである。 (ウ) 相違点1-3本件各発明2の弁ケースは,前記シリンダ本体の装着孔の途中部に装着され,前 記弁体の先端部が挿入される貫通孔を有する環状部材と,環状部材に隣接し,シリ- (ウ) 相違点1-3本件各発明2の弁ケースは,前記シリンダ本体の装着孔の途中部に装着され,前 記弁体の先端部が挿入される貫通孔を有する環状部材と,環状部材に隣接し,シリ- 18 -ンダ本体の装着孔を塞ぐように固定され,凹穴を有するキャップ部材とから構成されているのに対し,乙4発明の弁ケースは,シリンダ本体の装着孔の途中部に装着され,前記弁体の先端部が挿入される貫通孔を有するバルブ本体の先端部と,それに隣接し,凹穴を有するバルブ本体の後端部とから構成されている。 (エ) 相違点1-A(予備的主張) 本件各発明2は「位置検知装置」であるのに対し,乙4発明のパイロット弁Bは,ピストン及びピストンロッドが所定の位置(後退ストローク端)に到達したときに動作される開閉弁機構であり,「位置検知装置」と明記されていない。 (オ) 相違点1-B(予備的主張)本件各発明2の開閉弁機構の制御流体が「加圧エア」であるのに対し,乙4発明 の開閉弁機構の制御流体が「加圧エア」であるかが明確ではない。 (カ) 相違点1-C(予備的主張)本件各発明2は「油室の油圧のみによって弁体を進出」させているのに対し,乙4発明は「油室の油圧とバネ力とによって弁体を進出」させている。 (キ) 相違点1-D(予備的主張) 本件各発明2はシール部材として,前記小径軸部の外周側に設けられ,前記油圧シリンダの油室と前記エア通路との間をシールする第1シール部材と,前記大径軸部とともに前記凹穴に摺動自在に内嵌され,前記エア通路と前記油圧導入室との間をシールする第2シール部材とを備えているのに対し,乙4発明には,シール部材について明記されていない。 イ相違点に係る構成の容易想到性 嵌され,前記エア通路と前記油圧導入室との間をシールする第2シール部材とを備えているのに対し,乙4発明には,シール部材について明記されていない。 イ相違点に係る構成の容易想到性相違点1-1に係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙5明細書,乙6明細書,乙8明細書,乙9明細書に開示されている。したがって,相違点1-1に係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。相違点1-2に係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙6明細書,乙8明細書,乙 9明細書に開示されている。したがって,相違点1-2に係る本件各発明2の構成- 19 -は,当業者が容易に発明し得たものである。相違点1-3に係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙9明細書に開示されている。したがって,相違点1-3に係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 また,相違点1-Aに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙7明細書,乙13公報,昭59-212503号公報(以下「乙14公報」という。)に 開示されていること,相違点1-Bに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙5明細書,乙7明細書に開示されていること,相違点1-Cに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙6明細書,乙8明細書,乙9明細書に開示されていること,相違点1-Dに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙8明細書に開示されていることに照らせば,相違点1-Aないし1-Dが相違点で あったとしても,これらに係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 (原告の主張)被告らが主張する相違点に加え,本件各発明2では,「油圧供給源から供給される油圧シリンダの油圧によって弁機構の弁体 本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 (原告の主張)被告らが主張する相違点に加え,本件各発明2では,「油圧供給源から供給される油圧シリンダの油圧によって弁機構の弁体を第1方向に進出させ」るのに対し, 乙4発明では,「孔延長部33」に導入された油圧は「弁体29」をバランスさせるものにすぎず,進出させる力はゼロである点,本件各発明2では,「前記エア通路の一端部は,加圧エア供給源から加圧エアが供給されるエア供給路に接続され,前記エア通路の他端部は,外界に開放されたエア排出路に接続され」るのに対し,乙4発明のパイロット弁Bの制御流体は「加圧エア」ではなく「加圧油」であり, 乙4発明には「エア通路」自体の開示がなく,他端部が外界に開放されることもない点,本件各発明2は,「前記シリンダ本体の装着孔の途中部に装着され,前記弁体の小径軸部が挿入される貫通孔を有する環状部材」,「前記環状部材に隣接し,前記シリンダ本体の装着孔を塞ぐように固定され,凹穴を有するキャップ部材」,「前記小径軸部の外周側に設けられ,前記油圧シリンダの油室と前記エア通路との 間をシールする第1シール部材」,および「前記大径軸部とともに前記凹穴に摺動- 20 -自在に内嵌され,前記エア通路と前記油圧導入室との間をシールする第2シール部材」を備え,「前記環状部材を前記環状部材の径方向に貫通し,前記弁体に対して前記エア通路の一端部側に設けられ,前記加圧エアの通路となる第1エア通路が形成され」,「前記油圧導入室の外周に位置し,前記弁体に対して前記エア通路の他端部側に設けられ,前記加圧エアの通路となる第2エア通路が,前記キャップ部材 の外周部と前記装着孔の内周面との間,または,前記キャップ部材の内部に形成され」るのに対し,乙4発明は 記エア通路の他端部側に設けられ,前記加圧エアの通路となる第2エア通路が,前記キャップ部材 の外周部と前記装着孔の内周面との間,または,前記キャップ部材の内部に形成され」るのに対し,乙4発明は,かかる構成に対応し得る事項が明らかでない点といった相違点があるなど,相違点に係る本件各発明2の構成は,容易に発明し得たものではない。 (10) 争点3-6(乙5発明を主引例とする〔本件各発明2の〕進歩性欠如の 有無)について(被告らの主張)ア本件各発明2と乙5発明の相違点(ア) 相違点2-1本件各発明2の弁機構は,油圧供給源から供給される油圧シリンダの油圧によっ て弁機構の弁体を第1方向に進出させるのに対し,乙5発明のパイロット弁16は,バネ力及びエア通路内のエア圧によって進出させる。 (イ) 相違点2-2本件各発明2の弁体本体は,小径軸部と小径軸部に対して第2方向側に設けられた大径軸部とが一体形成されたものであるのに対し,乙5発明の弁体本体は,先端 部と後端部とが一体形成されたものである。 (ウ) 相違点2-A(予備的主張)本件各発明2はシール部材として,前記小径軸部の外周側に設けられ,前記油圧シリンダの油室と前記エア通路との間をシールする第1シール部材と,前記大径軸部とともに前記凹穴に摺動自在に内嵌され,前記エア通路と前記油圧導入室との間 をシールする第2シール部材とを備えているのに対し,乙5発明には,同様の構成- 21 -の第1シール部材は明記されているが,前記構成の第2シール部材について明記されていない。 (エ) 相違点2-B(予備的主張)本件各発明2では,開閉弁機構の開閉により,加圧エアが供給されたエア供給路と外界に開放された が,前記構成の第2シール部材について明記されていない。 (エ) 相違点2-B(予備的主張)本件各発明2では,開閉弁機構の開閉により,加圧エアが供給されたエア供給路と外界に開放されたエア排出路とが「連通」するのに対し,乙5発明の加圧エアが 供給されたエア供給路(通孔58)と外界に開放されたエア排出路(通孔64)とが,直接「連通」しない。 (オ) 相違点2-C(予備的主張)本件各発明2のエア通路は,「前記油圧導入室の外周に位置し,前記弁体に対して前記エア通路の他端部側に設けられ,前記加圧エアの通路となる第2エア通路が, 前記キャップ部材の外周部と前記装着孔の内周面との間,または,前記キャップ部材の内部に形成され」るのに対し,乙5発明のエア通路の構成は,「前記油圧導入室の外周に位置し,」,「第2エア通路が,前記キャップ部材の外周部と前記装着孔の内周面との間,または,前記キャップ部材の内部に形成され」という構成を有していない。 イ相違点に係る構成の容易想到性相違点2-1に係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙4明細書,乙6明細書,乙8明細書,乙9明細書に開示されている。したがって,相違点2-1に係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。相違点2-2に係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙6明細書,乙8明細書,乙 9明細書に開示されている。したがって,相違点2-2に係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 また,相違点2-Aに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙8明細書,乙9明細書に開示されていること,相違点2-Bに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙6明細書,乙7明細書,特開平6-15549号公報(以下 件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙8明細書,乙9明細書に開示されていること,相違点2-Bに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙6明細書,乙7明細書,特開平6-15549号公報(以下 「乙10公報」という。),特開2003-305626号公報(以下「乙11公- 22 -報」という。)に開示されていること,相違点2-Cに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙6明細書,乙8明細書,乙9明細書に開示されていることに照らせば,相違点2-Aないし2-Cが相違点であったとしても,これらに係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 (原告の主張) 被告らが主張する相違点に加え,本件各発明2は,「前記油圧シリンダのシリンダ本体に形成されたエア通路の開閉状態を切換えることにより前記出力部材の位置を検知可能に構成し」,「前記エア通路の一端部は,加圧エア供給源から加圧エアが供給されるエア供給路に接続され,前記エア通路の他端部は,外界に開放されたエア排出路に接続され」る,「前記エア通路を閉じる閉弁状態に切換えられ,当該 切換えにより前記弁機構に対して前記一端部側に位置する前記エア通路の圧力を上昇させ,…前記エア通路を外界に開放する開弁状態に切換えられ,当該切換えにより前記弁機構に対して前記一端部側に位置する前記エア通路の圧力を低下させ」るという構成を備えているのに対し,乙5発明はそのような構成を備えていない点も相違するなど,相違点に係る本件各発明2の構成は,容易に発明し得たものではな い。 (11) 争点3-7(乙6発明を主引例とする〔本件各発明2の〕進歩性欠如の有無)について(被告らの主張)ア本件各発明2と乙6発明の相違点 (ア) 相違点3-1本件 (11) 争点3-7(乙6発明を主引例とする〔本件各発明2の〕進歩性欠如の有無)について(被告らの主張)ア本件各発明2と乙6発明の相違点 (ア) 相違点3-1本件各発明2では,ピストンを油圧駆動にし,位置検知装置の制御流体を「加圧エア」としているのに対し,乙6発明では,ピストンを油圧駆動にした場合,反転動作する装置の制御流体(制御管路としての流路61に供給される加圧流体)が「加圧油」となる。 (イ) 相違点3-2- 23 -本件各発明2のエア通路は,前記油圧導入室の外周に位置し,前記弁体に対して前記エア通路の他端部側に設けられ,前記加圧エアの通路となる第2エア通路が,前記キャップ部材の外周部と前記装着孔の内周面との間,または,前記キャップ部材の内部に形成されているのに対し,乙6発明の制御流体の流路は,そのような構成になっていない。 (ウ) 相違点3-3本件各発明2の弁ケースは,前記シリンダ本体の装着孔の途中部に装着され,前記弁体の小径軸部が挿入される貫通孔を有する環状部材と,前記環状部材に隣接し,前記シリンダ本体の装着孔を塞ぐように固定され,凹穴を有するキャップ部材とから構成されているのに対し,乙6発明の弁ケース(ケース本体)は,シリンダ本体 と一体である。 (エ) 相違点3-4本件各発明2は,出力部材が所定の位置にない状態で,弁機構の流路は開弁状態を維持し,所定の位置に達した時に閉弁状態となり,圧力が設定圧以上に上昇したことで所定の位置にあることを検知するのに対し,乙6発明は,出力部材が所定の 位置にない状態で,弁機構の流路は閉弁状態を維持し,所定の位置に達した時に開弁状態となり,圧力が設定圧以下に低下したことで所定の位置にあることを検知す るのに対し,乙6発明は,出力部材が所定の 位置にない状態で,弁機構の流路は閉弁状態を維持し,所定の位置に達した時に開弁状態となり,圧力が設定圧以下に低下したことで所定の位置にあることを検知する。 (オ) 相違点3-A(予備的主張)本件各発明2は「位置検出装置」であるのに対し,乙6発明の弁体は,ピストン ロッドが所定の位置(後退ストローク端)に到達したときに動作される開閉弁機構であり,「位置検出装置」と明記されていない。 (カ) 相違点3-B(予備的主張)本件各発明2は,前記小径軸部の外周側に設けられ,前記油圧シリンダの油室と前記エア通路との間をシールする第1シール部材と,前記大径軸部とともに前記凹 穴に摺動自体に内嵌され,前記エア通路と前記油圧導入室との間をシールする第2- 24 -シール部材とを備えられているのに対し,乙6発明は,シール部材の明記がない。 イ相違点に係る構成の容易想到性相違点3-1に係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙4明細書,乙7明細書に開示されている。したがって,相違点3-1に係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。相違点3-2に係る本件各発明2の構 成は,周知技術であるし,乙5明細書,乙8明細書,乙9明細書に開示されている。 したがって,相違点3-2に係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。相違点3-3に係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙9明細書に開示されている。したがって,相違点3-3に係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。相違点3-4に係る本件各発明2の構 成は,周知技術であるし,乙4明細書に開示されている。したがって,相違点3-4に係る本件各発明2の構成 発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。相違点3-4に係る本件各発明2の構 成は,周知技術であるし,乙4明細書に開示されている。したがって,相違点3-4に係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 また,相違点3-Aに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙5明細書,乙7明細書,乙13公報,乙14公報に開示されていること,相違点3-Bに係る本件各発明2の構成は,周知技術であるし,乙8明細書に開示されていること に照らせば,相違点3-A及び3-Bが相違点であったとしても,これらに係る本件各発明2の構成は,当業者が容易に発明し得たものである。 (原告の主張)乙6発明に基づいて本件各発明2を容易に発明し得たという被告らの主張は争う。 (12) 争点3-8(〔本件各発明2の〕分割要件違反に伴う新規性欠如の有無) について(被告らの主張)開閉弁機構にスプール弁を含む本件各発明2は,本件原出願明細書に記載されていない新たな技術的事項を追加するものであるから,本件出願2は分割要件に違反する。このように本件出願2に分割出願違反があることを前提とすると,本件各発 明2は新規性を欠く。 - 25 -(原告の主張)本件原出願明細書には「前記の種々の開閉弁機構の構造も例示であって,これらの開閉弁機構に限定されるものではなく,本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の開閉弁機構を採用することができる」と記載されている(【0097】)。そして,ポペット弁とスプール弁は,いずれも開閉弁機構の構造として周知のものである。 したがって,本件原出願明細書の実施例における例示がポペット弁のみであるとしても,開閉弁機構としてスプール弁も採用可能であることは,当業者は当然に理解する。 機構の構造として周知のものである。 したがって,本件原出願明細書の実施例における例示がポペット弁のみであるとしても,開閉弁機構としてスプール弁も採用可能であることは,当業者は当然に理解する。 したがって,開閉弁機構にスプール弁を含む本件各発明2は,本件原出願明細書に記載されていない新たな技術的事項を追加するものではなく,本件出願2は分割 要件に違反せず,新規性を欠かない。 (13) 争点4(原告の損害額)について(原告の主張)ア被告らの得た利益の額等被告らは,本件特許権1の登録日である平成25年8月9日以降,●(省略)●, 被告らは,平成25年8月9日から平成29年3月6日までの間に,上記各製品を販売したことにより,合計4224万4200円の利益を得ている●(省略)●。 したがって,原告の被った損害は4224万4200円である(特許法102条2項)。また,被告らの特許権侵害行為と相当因果関係に立つ弁護士費用の損害額は,422万円が相当である。したがって,原告の被った損害の合計額は,4646万 4200円である。 イ過失の存在被告らが,本件特許権1の特許公報発行日(平成25年10月3日)に本件特許1に係る無効審判請求をしていることに照らせば,被告らは,本件特許権1の特許公報発行日前から本件特許権1の存在を認識していたことは明らかである。このこ とに,被告らが,平成25年9月30日に本件原出願に基づく特許に係る無効審判- 26 -請求をしていることなどを併せ考えると,本件特許権1の登録日であるだけでなく,本件原出願に基づく特許の登録日である同年8月9日の時点で,本件特許権1の存在を認識していたといえる。したがって,被告らには,本件特許権1の登録日である平成25年8月9 1の登録日であるだけでなく,本件原出願に基づく特許の登録日である同年8月9日の時点で,本件特許権1の存在を認識していたといえる。したがって,被告らには,本件特許権1の登録日である平成25年8月9日から過失がある。 なお,平成25年11月6日から平成29年3月6日までの被告各製品等の製造 販売数に関する被告らの主張は認める。 ウ寄与度位置検出装置である被告各製品は,開閉弁機構という部品のみからなるものではなく,製品の全体にわたって本件発明1-1を実施するものであり,被告らも本件発明1-1の実施による効果を強調した販促活動を行っていることに照らせば,被 告各製品を販売したことにより被告らの得た利益に対する確認バルブの寄与度は,100パーセントである。 また,被告らが指摘する本件発明1-1とは別の特許権に係る発明は,需要者の購入意欲を喚起するものではなく,本件発明1-1の寄与度を減殺する理由にはならない。 (被告らの主張)ア侵害行為により得た利益の不存在被告各製品は,ピストンロッドが上昇限界位置又は下降限界位置に達した上昇後のエア圧をエアキャッチセンサの設定エア圧とする態様では使用されていないから,本件特許権1の侵害行為に使用されておらず,被告らが侵害行為によって得た利益 は存しない。 イ過失の不存在特許法103条により過失が推定される根拠は特許公報により特許権が公示されることにあるから,特許登録後,特許公報が発行されるまでの間は特許権侵害については過失は推定されない。そもそも,本件原出願に係る特許権が登録された時点 で,本件出願1が分割出願されていることを予想することはできないし,仮にこれ- 27 -ができたとしても,本件特許権1の内容まで予想することは そも,本件原出願に係る特許権が登録された時点 で,本件出願1が分割出願されていることを予想することはできないし,仮にこれ- 27 -ができたとしても,本件特許権1の内容まで予想することはできない。 したがって,被告らが損害賠償責任を負うとしても,本件特許権1の特許公報発行日である平成25年11月6日から平成29年3月6日までの販売についてであり,●(省略)●。 ウ寄与度 本件発明1-1は「位置検出装置」に関する発明であり,クランプ装置の発明ではないことに照らせば,センシングバルブ付クランプ装置等であり,センシングバルブ単体ではない被告各製品等を販売したことにより被告らの得た利益に対する位置検出装置である確認バルブの寄与度は,多くても製品全体の30パーセントである。そして,原告が,被告各製品を購入した者全てがこれを位置検出装置として使 用していることを立証していないことは,寄与度の算定に当たっては考慮すべきである。 また,被告製品1等のロック・リリース動作タイプは,本件発明1-1とは別の特許第6076735号(乙31の1の請求項1ないし5及び7に係る発明〔2つの検出弁を備えたもの〕)を,被告製品1等の二つのセンシング弁センサ付きのも のは,特開2014-159868(乙31の2の請求項2に係る発明〔ハウジングの上部に伝道ボール式の確認バルブを備えたもの〕)を実施しており,被告製品5ないし7等は,上記特開2014-159868号の請求項11に係る発明(ハウジングの上部に伝道ボール式の確認バルブを備えたもの)を実施していること,本件発明1-1が実現したセンシングバルブの小型化は,バネを用いて弁部材を進 出させるように被告らが設計変更した製品(乙34)のように本件発明1-1を実施しなくても実現可能 実施していること,本件発明1-1が実現したセンシングバルブの小型化は,バネを用いて弁部材を進 出させるように被告らが設計変更した製品(乙34)のように本件発明1-1を実施しなくても実現可能であることに照らせば,被告各製品を販売したことにより被告らの得た利益に対する本件発明1-1の寄与度は,多くても50パーセントである。 したがって,被告各製品等の利益額に対する本件発明1-1の寄与度は,多くと も15パーセントを超えることはない。 - 28 -第3 当裁判所の判断 1 争点1(技術的範囲の属否)について技術的範囲の属否については,以下のとおり,被告各製品が,本件発明1-1の技術的範囲に属すると認められる一方,本件発明1-2及び本件各発明2の技術的範囲に属するとは認められない。 (1) 争点1-1(本件各発明1の構成要件充足性)についてア本件発明1―1の意義本件発明1に係る特許請求の範囲は,別紙構成要件目録1-1のとおりであるところ,本件明細書によれば,本件発明1-1の特徴は,以下のとおりである。 (ア) 本件発明1-1は,特に出力部材が前進限界位置や後退限界位置な どの所定の位置に達した際に,出力部材の動作に連動させて,シリンダ本体内のエア通路の連通状態を開閉弁機構により切り替え,エア圧の変化を介して出力部材の位置を検知可能にした位置検出装置に関するものである(【0001】)。 (イ) 本件発明1-1は,①出力部材が所定の位置に達したことをエア通路のエア圧の圧力変化を介することによって確実に検知可能にし,②検出スペース を別途設けないことによって小型化を可能にし,③長期間の使用や加工条件によってもエア通路が閉塞せずに出力部材の所定の位置を検出できるよう信頼性や耐久性を向上させること 能にし,②検出スペース を別途設けないことによって小型化を可能にし,③長期間の使用や加工条件によってもエア通路が閉塞せずに出力部材の所定の位置を検出できるよう信頼性や耐久性を向上させることを目的として,請求項1の構成を採用したものである(【0007】~【0011】)。 (ウ) 本件発明1-1によれば,①出力部材が所定の位置に達したとき, 出力部材により弁体を移動させて開閉弁機構の開閉状態を確実に切り替えるため,エア通路のエア圧を介して出力部材の所定の位置を確実に検知することができる(【0020】,【0060】)。 また,本件発明1-1によれば,②開閉弁機構について,シリンダ本体内のエア通路を開閉するものとし,シリンダ本体に形成した装着孔に弁体を組み込むことで, 開閉弁機構全体をシリンダ本体内に組み込むことができるため,油圧シリンダを小- 29 -型化することができる(【0018】,【0059】)。 さらに,本件発明1-1によれば,③油圧シリンダの油室の油圧を,開閉弁機構の油圧導入室に油圧導入路を介して導入可能に構成し,その油室の油圧を利用して弁体を油室側に突出した状態に保持することができるため,信頼性と耐久性を向上させることができる(【0019】,【0060】)。 そして,これらからすると,本件発明1-1において出力部材の位置検知が行われる仕組みは,シリンダ本体内に形成されたエア通路が,一端部に加圧エアが供給され,他端部が外界に連通しており,このエア通路を開閉弁機構が開閉可能にしていることから,出力部材が所定の位置に達したときに開閉弁機構の弁体を移動させて,開閉弁機構の開閉状態を切り換えると,それに伴いエア通路の外界への連通が 遮られて,エア通路のエア圧が上昇するため,このエア圧の上昇を検知するこ 位置に達したときに開閉弁機構の弁体を移動させて,開閉弁機構の開閉状態を切り換えると,それに伴いエア通路の外界への連通が 遮られて,エア通路のエア圧が上昇するため,このエア圧の上昇を検知することによって出力部材が所定の位置に達したことを検知するものであると認められる。 イ被告各製品について証拠(甲7ないし12,乙23)及び弁論の全趣旨によれば,被告各製品について,次のとおり認められる。 (ア) 被告製品1(センシングバルブ付スイングクランプ)は,別紙被告製品1説明書の2記載の図面のとおりのもので,シリンダ本体と,シリンダ本体に設けられたリリース動作確認バルブとを備えるスイングクランプであり(なお,ロック動作確認バルブも備えるものと備えないものがある。),加工工程・洗浄工程などの自動化ラインにおいて,被加工部材(ワーク)を固定するために用いられる。 被告製品1におけるリリース動作確認バルブは,a:シリンダ本体と,このシリンダ本体に進退可能に装備されたピストンロッドと,このピストンロッドを退入側に駆動するための油室とを有するリリース動作確認バルブであって,b:前記シリンダ本体内に形成され且つ一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路と,このエア通路を開閉可能なスプール形(円筒の中にスプール状の弁体が 移動して空気圧の通路を開閉する構造。乙1の109頁。)の開閉弁機構を備える。 - 30 -被告製品1のリリース動作確認バルブの開閉弁機構は,c:前記シリンダ本体に形成した装着孔に進退可能に装着されたスプールと,油室と油圧連通路により連通する油圧導入室を備え,ロック油圧供給時には,油圧導入室に油圧が導入され,油室のロック油圧により前記スプールを前記ピストンロッド側に移動(下降)させ,リリース スプールと,油室と油圧連通路により連通する油圧導入室を備え,ロック油圧供給時には,油圧導入室に油圧が導入され,油室のロック油圧により前記スプールを前記ピストンロッド側に移動(下降)させ,リリース油圧供給時には,スプールがピストンロッドに押されてピストンロッドと 反対側に移動(上昇)するものである。 また,被告製品1のリリース動作確認バルブは,d:リリース油圧供給時には,前記スプールがピストンロッドに押されて移動(上昇)し,ノズル穴が遮られることにより,リリース検出エア圧が上昇するものである。被告製品1自体にエアキャッチセンサは備わっておらず,被告らはエアキャッチセンサを製造,販売してもい ないが,ユーザーにおいて他社が製造,販売するエアキャッチセンサと接続することにより,リリース検出エア圧が設定圧まで上昇すると,エアキャッチセンサがONとなり,リリース動作を確認することができるものであり,カタログにおいてもそのような使用方法が記載されている。被告製品1におけるピストンロッドのストローク位置とリリース検出エア圧との関係は,カタログでは,別紙被告製品1説明 書記載のセンシングチャートのグラフが記載されているが,実際の製品では,別紙エア圧の推移記載のグラフ(乙3及び24)のように,エア圧の上昇に時間遅れがあるものとなっている。 上記のように,被告製品1は自動化ラインで用いられるものであるが,自動化ラインにおいては,被加工部材が確実に固定されていない状態で加工工程を開始する と,正確な加工ができなかったり,加工機器を破損させたりするおそれがあることから,動作確認バルブのエア通路の圧力の変化を,圧力センサ等に伝達して,次の工程を始めるように制御可能にしている 。 (イ) 被告製品2ないし4(センシングバルブ付リンククラ りするおそれがあることから,動作確認バルブのエア通路の圧力の変化を,圧力センサ等に伝達して,次の工程を始めるように制御可能にしている 。 (イ) 被告製品2ないし4(センシングバルブ付リンククランプ)は,別紙被告製品2ないし4説明書の2の図面の構成を有しており,そのリリース動作確 認バルブ及びロック動作確認バルブは,被告製品1のリリース確認バルブと同様の- 31 -構成を有する。 (ウ) 被告製品5ないし7(センシングバルブ付リフトシリンダ)は,別紙被告製品5ないし7説明書の2の図面の構成を有しており,その引側端確認バルブ及び押側端確認バルブは,被告製品1のリリース動作確認バルブと同様の構成を有する。 ウ構成要件1A及び1Eの「位置検出装置」,1Bの「開閉弁機構」及び1Dの検討(ア) 構成要件1Dは,「前記出力部材が所定の位置に達したときに,前記出力部材により前記弁体を移動させて前記開閉弁機構の開閉状態を切り換え,前記エア通路のエア圧を介して前記出力部材が前記所定の位置に達したことを検知可 能に構成した」というものであるところ,この構成は,被告らが主張する解釈のように,①出力部材が所定の位置に「達した瞬間」に,開閉弁機構の開閉状態が「完全に」切り換えられ,②エア圧を介して出力部材が所定の位置に「達した瞬間」を検知することができるもので,③「所定位置」が「上昇限界位置又は下降限界位置」である場合に最も良く妥当する。 また,本件特許1明細書の記載を見ても,実施例1の第1位置検出装置と第1開閉弁機構について,「クランプ装置1がアンクランプ状態になったとき,図2に示すように,ピストンロッド部材4aの大径ロッド部4eにより弁体本体38がキャップ部材32側へ押動される。そして,…弁体本体38と共に可 ついて,「クランプ装置1がアンクランプ状態になったとき,図2に示すように,ピストンロッド部材4aの大径ロッド部4eにより弁体本体38がキャップ部材32側へ押動される。そして,…弁体本体38と共に可動弁体39も移動し,弁面39vが弁座32aに当接して開弁状態から閉弁状態に切換わり,エア通 路35cとエア通路35dの間が閉じられる。」(【0050】),「この閉弁状態への切換えにより,第1開閉弁機構30よりも上流側において,上流側エア通路21a内のエア圧が上昇するので,圧力スイッチ21nによりピストンロッド部材4aが上昇限界位置に達したことを検出することができる。」(【0051】)とされており(第2位置検出装置と第2開閉弁機構に関する【0058】も同旨), この記載も,上記の被告らの主張のように解釈する場合に最もよく理解し得るもの- 32 -である。 そして,被告らは,上記の解釈に基づき,④出力部材が位置する構造上の一点を瞬間的に検知するのが構成要件1A及び1Eの「位置検出装置」であり,⑤開閉にある程度の時間を要するスプール形の弁は構成要件1B等の「開閉弁機構」には含まれないと主張する。 (イ) しかし,まず①の点(出力部材が所定の位置に「達した瞬間」に,開閉弁機構の開閉状態が「完全に」切り換えられること)については,前記(1)アで述べたとおり,本件発明1―1の特徴は,出力部材が所定の位置に達したことをエア通路のエア圧の圧力変化を介することによって確実に検知可能にすることにあるところ,出力部材の移動に伴い開閉弁機構の弁体が移動することにより,エア通路 のエア圧の圧力変化が生じさえすれば,開閉弁機構の開閉にある程度の時間を要する場合であっても,開閉途上における圧力変化を介して,それに対応する出力部材の位 弁体が移動することにより,エア通路 のエア圧の圧力変化が生じさえすれば,開閉弁機構の開閉にある程度の時間を要する場合であっても,開閉途上における圧力変化を介して,それに対応する出力部材の位置を検知することが可能であり,その場合も上記の本件発明1-1の特徴が妥当している。そうすると,構成要件1B等の「開閉弁機構」とは,開閉にある程度の時間を要する構造のものも含まれ,また,構成要件1Dの「開閉弁機構の開閉状 態を切り換え」とは,開閉弁機構の開閉状態が完全に切り換えられている必要はなく,弁体が,検知すべき圧力変化(原告のいう設定圧)に対応する開閉途中の位置に達したことを含むものと解するのが相当である。そして,このように解する以上,構成要件1B等の「開閉弁機構」にはスプール形のものも含まれ(上記⑤),また,構成要件1Dにおいて検知すべき出力部材の「所定の位置」(上記③)は,出力部 材の上昇限界位置又は下降限界位置に限られず,出力部材によって弁体が移動する開閉弁機構の開閉途上状態に対応する,出力部材の位置も含まれると解するのが相当である。そしてまた,「エア圧」も,開閉弁機構の開閉状態が完全に切り換えられた状態におけるエア通路のエア圧に限られるものではなく,上記のとおり開閉弁機構の開閉途上状態におけるエア通路のエア圧も含まれると解するのが相当である。 以上に対し,被告らは,構成要件1Dの「開閉弁機構の開閉状態を切り換え」の- 33 -意義を上記のように検知すべき圧力変化(設定圧)に対応させて考えることは,特許請求の範囲にも本件特許1明細書にも記載されておらず,それらに基づかない解釈であると主張する。しかし,前記(1)アのとおり,本件発明1-1の上記のような特徴を本件特許1明細書から読み取ることができるから,その特徴を 件特許1明細書にも記載されておらず,それらに基づかない解釈であると主張する。しかし,前記(1)アのとおり,本件発明1-1の上記のような特徴を本件特許1明細書から読み取ることができるから,その特徴を踏まえて構成要件1Dの意義を上記のとおり解することが,特許請求の範囲や本件特許1明細 書の記載に基づかないものであるとはいえない。また,構成要件1Dの出力部材の「所定の位置」についても,確かに本件明細書の【0051】及び【0058】では,上昇限界位置及び下降限界位置としているが,それらは実施例の記載にすぎないから,上記のとおり,本件発明1-1の特徴を踏まえて,出力部材によって弁体が移動する開閉弁機構の開閉途上に対応する位置も含まれると解することが,本件 特許1明細書の記載に基づかないものであるとはいえない。 また,被告らは,構成要件1B等の「開閉弁機構」につき,本件特許1明細書の実施例においてポペット形の弁のみが記載されていることや,【0008】において,従来技術の特許文献2の課題として,「エア通路を開閉する検出具を検出孔に対して摺動自在に移動させる構造であるため,長期間使用した場合にエア通路を閉 止する性能が低下する虞がある。」と記載されていることから,スプール形の弁は含まれないと主張する。しかし,本件特許1明細書においてポペット形の弁が記載されているのは,実施例の記載であるにとどまり,本件発明1-1の特徴的な技術思想がスプール形の弁についても妥当することは前記のとおりである。また,【0008】は,特許文献2の装置の具体的な構造において,エア通路の閉止性能が低 下することを指摘するにすぎない上,スプール弁を用いつつも他の手段,例えば,材料の変更や摺動距離の短縮などによって閉止性能の低下を抑制できることは当業者にとって いて,エア通路の閉止性能が低 下することを指摘するにすぎない上,スプール弁を用いつつも他の手段,例えば,材料の変更や摺動距離の短縮などによって閉止性能の低下を抑制できることは当業者にとって明らかであるから,このような指摘をもって,スプール弁自体を採用することが否定されているものと解することはできない。そして,このように解することが,本件各発明1に係る特許出願が分割出願としての要件に反するものでない ことは,後記争点3-4について述べるとおりである。したがって,被告らの上記- 34 -主張は採用できない。 (ウ) 次に②の点(エア圧を介して出力部材が所定の位置に「達した瞬間」を検知することができること)について検討するに,弁論の全趣旨によれば,本件発明1-1のような開閉弁機構の開閉によるエア圧の変化を検知する装置において,通常,開閉弁の開閉状態が変化してからエア通路のエア圧の変化が検知されるまで に時間遅れが生じること,その時間遅れの長短は,開閉弁とエア圧検知装置との距離や開閉弁機構の開閉速度等の様々な要因により異なることは,技術常識であると認められる。このことを考慮すると,本件発明1-1について,エア圧を介して出力部材が所定の位置に「達した瞬間」を検知するものと解することは,上記の技術常識に沿わないというべきである。そして,上記の技術常識を考慮するならば,構 成要件1Dにおける「所定の位置に達したことを検知」とは,検知すべきエア圧に対応して時間遅れがなければ出力部材が存在するはずの「所定の位置」(いわば検知目標位置)に対して,技術常識上生じる時間遅れによる位置誤差を含めた位置検知を許容するものと解するのが相当であり,原告が時間遅れを考慮すべきでないと主張するのも,実質的にはこの趣旨を含むものと解され 目標位置)に対して,技術常識上生じる時間遅れによる位置誤差を含めた位置検知を許容するものと解するのが相当であり,原告が時間遅れを考慮すべきでないと主張するのも,実質的にはこの趣旨を含むものと解される。構成要件1A及び1E の「位置検出装置」(上記④)も,このような意味での位置の検出を行うことを可能にした装置との意味に解するのが相当である。 以上に対し,被告らは,本件特許1明細書において,本件発明1-1の効果として,「前記エア通路のエア圧を介して出力部材の所定の位置を確実に検知可能である。」(【0020】)としていることから,位置を確実に検知するためには出力 部材が所定の位置に「達した瞬間」を検知する必要があると主張する。しかし,本件特許1明細書の【0020】では,「出力部材が所定の位置に達したとき,出力部材により弁体を移動させて開閉弁機構の開閉状態を確実に切り換えるため,前記エア通路のエア圧を介して出力部材の所定の位置を確実に検知可能である。」と記載されており,出力部材が弁体を移動させることにより開閉弁機構の開閉状態が切 り換えられることの構造上の確実性をもって,出力部材の位置検知の確実性が図ら- 35 -れることを述べているにすぎず,この記載をもって,出力部材が所定の位置に「達した瞬間」を検知することが記載されているとは認められない。 また,被告らは,構成要件1Dが,出力部材が所定の位置に「達した瞬間」を検知するのでなければ,本件発明1-1の「位置検出装置」は,乙6,乙7や乙13などの往復制御の公知技術における「位置検出装置」と同義のものとなり,進歩 性欠如の無効理由を有することになると主張する趣旨とも解されるが,本件発明1-1の「位置検出装置」がそれらの公知技術における「位置検出装置」と同義であるか否か 出装置」と同義のものとなり,進歩 性欠如の無効理由を有することになると主張する趣旨とも解されるが,本件発明1-1の「位置検出装置」がそれらの公知技術における「位置検出装置」と同義であるか否かにかかわらず,本件発明1-1に進歩性欠如の無効理由が認められないことは,後記争点3-1ないし3-3について述べるとおりであるから,被告らの主張は採用できない。また,被告らは,以上のように解するときには「所定の位置」 が不明確であるとも主張するが,本件発明1-1の「所定の位置」が,検知すべきエア圧に対応して時間遅れがなければ出力部材が存在するはずの位置と解されることは前記のとおりであり,この位置は検知すべきエア圧に対応して明確に定まるから,被告らの上記主張は採用できない。 エ被告各製品の本件発明1-1の構成要件充足性について (ア) 被告製品1は,前記イ(ア)のとおりの構成を有するものであり,そのリリース動作確認バルブは,ピストンロッドが上昇することによりスプールが上昇してノズルが「開」状態から「閉」状態に徐々に切り換わっていく中で,エア通路のエア圧が徐々に変化していくものである。そして,カタログ(甲7及び10)では,別紙被告製品1説明書のセンシングチャートにおいて,ピストンロッドのスト ローク位置とリリース検出エア圧の関係を実線のグラフで示し,ノズルの完全「開」状態のエア圧から完全「閉」状態のエア圧に上昇するほぼ中間付近の点線で示されたエア圧を「エアキャッチセンサ設定圧(ON)」としているから,被告らは,カタログ上,同点線のエア圧を設定圧とする場合には,エアキャッチセンサが同エア圧を検知してON状態となったときに,ピストンロッドは同センシングチャートの 実線グラフと点線の交点を横軸上に垂下した位置にあり,そ 線のエア圧を設定圧とする場合には,エアキャッチセンサが同エア圧を検知してON状態となったときに,ピストンロッドは同センシングチャートの 実線グラフと点線の交点を横軸上に垂下した位置にあり,そのようにエアキャッチ- 36 -センサによって設定圧を検知することによって,「リリース動作確認」を行うと記載していると認められる。ただし,実際の製品では,別紙エア圧の推移記載のように,ピストンロッドのストローク位置とリリース検出エア圧の関係は,センシングチャートよりも時間遅れを伴うグラフとなるから,カタログに従って検知するエア圧を設定した場合には,エアキャッチセンサがON状態となったときには,ピスト ンロッドのストローク位置は,カタログのセンシングチャートが想定するよりも時間遅れの分だけ先に進んだ位置にある。したがって,被告らは,実際の製品では,エアキャッチセンサによって設定圧を検知するときには,ピストンロッドのストローク位置が,カタログのセンシングチャートが想定するよりも時間遅れの分だけ先に進んだ位置にあることを前提とした上で,エアキャッチセンサによって設定エア 圧を検知することによって,「リリース動作確認」を行うものとして,被告製品1を販売しているということができる。 ところで,証拠(甲7及び10)によれば,被告製品1のピストンロッドは,下降したロック動作位置と上昇したリリース動作位置との間を移動するものであり,リリース動作確認は,ワークを固定するクランプのリリース動作を確認し,それに より安全で確実なワーク搬入出を可能とするものであると認められる。そうすると,被告製品1におけるリリース動作確認は,クランプ(より具体的にはピストンロッド)が安全で確実なワーク搬入出を可能とするリリース動作位置にあることを確認するもので ものであると認められる。そうすると,被告製品1におけるリリース動作確認は,クランプ(より具体的にはピストンロッド)が安全で確実なワーク搬入出を可能とするリリース動作位置にあることを確認するものであり,そのために検知エア圧を設定し,そのエア圧に対応するピストンロッドのストローク位置をもって,確認すべきリリース動作位置とした上で,エア キャッチセンサによって設定エア圧を検知することによって,ピストンロッドがリリース動作位置にあることを確認するものであるといえる。そして,このことに先に述べたところを併せ考慮すると,被告製品1は,エアキャッチセンサによって設定エア圧を検知することによって,ピストンロッドが,センシングチャートによって想定するよりも時間遅れの分だけ先に進んだ位置にあることを確認し,それをも ってリリース動作確認をするものであるといえるから,本件発明1-1における- 37 -「位置検出装置」に当たるというべきである。この点について被告らは,被告らのユーザーは,ピストンロッドの構造上の一点を検知するために被告製品1を使用していないと主張するが,被告らのユーザーがリリース動作確認を行う以上,上記のようにピストンロッドの位置検知ないし位置検出を行っているというべきであるから,被告らの主張は採用できない。 (イ) 以上を前提に,被告製品1の本件発明1-1の構成要件充足性を検討する。 a 構成要件1Aについて前記イ(ア)のとおり,被告製品1のリリース動作確認バルブは,シリンダ本体と,このシリンダ本体に進退可能に装備されたピストンロッド(「出力部材」に相当す る。)と,このピストンロッドを退入側に駆動するための油室とを有するスイングクランプ(油圧シリンダに相当する。)におけるリリース動作確認バルブであって, たピストンロッド(「出力部材」に相当す る。)と,このピストンロッドを退入側に駆動するための油室とを有するスイングクランプ(油圧シリンダに相当する。)におけるリリース動作確認バルブであって,前記(ア)のとおり,ピストンロッドの位置を検出する位置検出装置であるから,構成要件1Aを充足する。 b 構成要件1Bについて 前記イ(ア)のとおり,被告製品1のリリース動作確認バルブは,前記シリンダ本体内に形成され且つ一端部に加圧エアが供給され他端部が外界に連通したエア通路と,このエア通路を開閉可能なスプール形の開閉弁機構を備えるところ,スプール形の開閉弁機構も構成要件1Bの「開閉弁機構」に当たることは前記ウ(イ)のとおりであるから,構成要件1Bを充足する。 c 構成要件1Cについて前記イ(ア)のとおり,被告製品1のリリース動作確認バルブのスプール形の開閉弁機構は,前記シリンダ本体に形成した装着孔に進退可能に装着されたスプール(「弁本体」に相当する。)と,油室と油圧連通路により連通する油圧導入室を備え,ロック油圧供給時には,油圧導入室に油圧が導入され,油室のロック油圧によ り前記スプールを前記ピストンロッド側に移動(下降)させ,リリース油圧供給時- 38 -には,前記スプールがピストンロッドに押されてピストンロッドと反対側に移動(上昇)するものであるところ,証拠(甲7及び10)によれば,リリース油圧供給時にピストンロッドが設定圧に対応する位置まで移動(上昇)し,開閉弁機構が設定圧に対応する開閉状態に達して開閉弁機構の開閉状態が切り換わるまでは,前記油圧導入室に導入された前記油室の油圧によって前記スプールが前記ピストンロ ッド側に進出させた状態に保持されると認められるから,構成要件1Cを充足する。 この点 閉状態が切り換わるまでは,前記油圧導入室に導入された前記油室の油圧によって前記スプールが前記ピストンロ ッド側に進出させた状態に保持されると認められるから,構成要件1Cを充足する。 この点について,被告らは,被告製品1は「出力部材が所定の位置に達しない状態では,流体室の流体圧を利用して弁体を流体室側に突出した状態に保持することができ,開閉弁機構の開閉状態を保持することができる。」(本件特許1明細書 【0019】)との作用効果を奏しないと主張するが,上記に照らして採用できない。 d 構成要件1Dについて前記(ア)のとおり,被告製品1のリリース動作確認バルブは,リリース油圧供給時において,前記ピストンロッドが,設定エア圧に対応するストローク位置(「所 定の位置」に相当する。)に達したときに,前記スプールを移動させて,開閉弁機構をピストンロッドの同ストローク位置に対応する開閉状態とし(「開閉状態を切り換え」に相当する。),前記エア通路のエア圧を介して前記ピストンロッドが前記ストローク位置からセンシングチャートによって想定するよりも時間遅れの分だけ先に進んだ位置にあることを検知(「所定の位置に達したことを検知」に相当す る。)可能に構成したものであるから,構成要件1Dを充足する。 e 構成要件1Eについて前記(ア)のとおり,被告製品1のリリース動作確認バルブは,位置検出装置であると認められるから,構成要件1Eを充足する。 (ウ) 被告製品2ないし4のリリース確認バルブ及びロック動作確認バル ブ,被告製品5ないし7の引側端確認バルブ及び押側端確認バルブは,前記イ(イ)- 39 -及び(ウ)のとおり,被告製品1と同様の構成を備えるから,上記(イ)と同様の理が妥当し,構成要件1Aないし1 ,被告製品5ないし7の引側端確認バルブ及び押側端確認バルブは,前記イ(イ)- 39 -及び(ウ)のとおり,被告製品1と同様の構成を備えるから,上記(イ)と同様の理が妥当し,構成要件1Aないし1Eを全て充足すると認められる。 (エ) 小括以上によれば,被告各製品は,いずれも本件発明1-1の構成要件を全て充足し,本件発明1-1の技術的範囲に属する。 なお,被告らは,被告各製品はエアキャッチセンサを備えず,被告らはエアキャッチセンサを製造,販売してもいないから,その製造,販売等が本件発明1-1に係る本件特許権1の直接実施行為を構成することはないと主張するようにもうかがわれるが,本件発明1-1の特許請求の範囲では,「エア圧を介して…検知可能に構成した」(構成要件1D)とされているにすぎず,エアキャッチセンサ等のエア 圧を検知する部材は構成要件とされていないから,本件発明1-1の位置検出装置は,エアキャッチセンサ等と接続されることにより,エア圧の変化を検知可能な構成が備わっていれば足り,エアキャッチセンサ等自体を備える必要はないと解するのが相当である。したがって,被告各製品の製造,販売等は,本件発明1-1に係る本件特許権1の直接侵害行為を構成するというべきである。 (2) 争点1-2(被告各製品の本件発明1-2の構成要件充足性)について本件発明1-2は,本件発明1-1を引用した上で構成を更に特定したものであるところ,構成要件1Hの「前記所定の位置」は,構成要件1Dの「所定の位置」と同様の意味に解するべきであるから,構成要件1Hは,出力部材が,設定エア圧に対応する位置から移動開始したときに,開閉弁機構は,「エア通路を外界に開放 する開弁状態に切換えられ」るとするものであると解される。 これに対し, ら,構成要件1Hは,出力部材が,設定エア圧に対応する位置から移動開始したときに,開閉弁機構は,「エア通路を外界に開放 する開弁状態に切換えられ」るとするものであると解される。 これに対し,被告各製品では,前記のとおり開閉弁機構の開閉動作の途中をもって検知すべき「所定の位置」としており,出力部材がその「所定の位置」から移動を開始する前後を通じて,エア通路は外界に開放されており,移動を開始したときにエア通路を外界に開放する開弁状態に切換えられるわけではない。したがって, 被告各製品は,少なくとも本件発明1-2の構成要件1Hを充足しないから,その- 40 -余の点を検討するまでもなく,被告各製品は本件発明1-2の技術的範囲に属するとは認められない。 (3) 争点1-3(本件各発明2の構成要件充足性)について証拠(甲6)によれば,本件各発明2は,本件各発明1と同様の技術的意義を有する発明であると認められるから,本件発明2-1の構成要件2M及び本件発明2 -2の構成要件2M´の「所定の位置」は,本件発明1-1の構成要件1Dの「所定の位置」と同様の意味に解するべきである。そうすると,構成要件2M及び2M´は,いずれも,出力部材が,設定エア圧に対応する位置から移動開始したときに,「エア通路を外界に開放する開弁状態に切換えられ」るとしていると解されるから,先に本件発明1-2の構成要件1Hについて述べたのと同様,被告各製品は, 構成要件2M及び2M´を充足せず,その余の点を検討するまでもなく,被告各製品は本件各発明2の技術的範囲に属するとは認められない。 2 争点3-1ないし3-4(本件発明1-1の無効理由の存否)について上記1のとおり,被告各製品が本件発明1-1の技術的範囲に属することから,本件発明1-1につい 範囲に属するとは認められない。 2 争点3-1ないし3-4(本件発明1-1の無効理由の存否)について上記1のとおり,被告各製品が本件発明1-1の技術的範囲に属することから,本件発明1-1については無効理由の存否が問題となるところ,本件発明1-1に 無効理由があるとは認められない(なお甲31参照)。 (1) 争点3-1(乙4発明を主引例とする進歩性欠如の有無)についてア乙4発明乙4公報には,次の発明(乙4発明)が記載されていると認められる(別紙引用例図面目録の引用例1【図1】参照)。 シリンダ本体10と,このシリンダ本体10に進退可能に装備されたピストン15及びピストンロッド16と,このピストン15及びピストンロッド16を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為の油室とを有する油圧パワーアクチュエータAにおける前記ピストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に到達したときに動作されるパイロット弁Bであって,バルブ本体21に形成されポート 26と27を接続する流路及び同様に形成されたポート26と28を接続する流路- 41 -と,これら流路を切り換えることでこれら流路を開閉可能なパイロット弁Bとを備え,前記パイロット弁Bは,エンドキャップ11に形成した装着孔に進退可能に装着された前記スプール弁29と,バネ35のバネ力によって前記スプール弁29を前記ピストン15及びピストンロッド16側に進出させた状態に保持する孔延長部33と,前記油室と前記孔延長部33とを連通させる軸孔路48とを備え,前記ピ ストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に達したときに,前記ピストン15に設けたカム部材43により前記スプール弁29を移動させて前記パイロット弁Bの開閉状態を切り換える,前記流路の開 ストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に達したときに,前記ピストン15に設けたカム部材43により前記スプール弁29を移動させて前記パイロット弁Bの開閉状態を切り換える,前記流路の開閉状態を切り換えることで前記ピストン15及びピストン16が往復移動するよう制御可能に構成し,ピストン15及びピストンロッド16が後退ストローク端に到達したときに動作される開閉弁装 置。 イ乙4発明との相違点本件発明1-1の技術的構成は,別紙「構成要件目録1-1」記載のとおりであるから,本件発明1-1と乙4発明との間には,少なくとも,次の相違点があると認められる。 開閉弁機構の油圧導入室と油圧導入路について,本件発明1-1の油圧導入室は,油室の油圧によって弁体を出力部材側に進出させた状態に保持するものであるのに対し,乙4発明の孔延長部33は,バネ35のバネ力によって,スプール弁29をピストン15及びピストンロッド16側に進出させた状態に保持するものであって,油室の油圧によっても当該進出された状態に保持するものであるかは不明である点。 ウ相違点に係る容易想到性乙4発明において,上記相違点に係る本件発明1-1の構成を備えるようにするには,油室(孔延長部33)の油圧によってスプール弁29を下方に進出させた状態に保持することを,当業者が容易に想到することができたことが必要である。しかし,乙4発明において,油室(孔延長部33)の油圧によってスプール弁29を 下方に進出させた状態に保持するためには,スプール弁29の上端に作用する力を- 42 -下端に作用する力より大きくする必要があり,このためには,スプール弁の上端と下端の受圧面積が等しくなるように構成されている(2欄1・2行,4欄16ないし25行)のを 端に作用する力を- 42 -下端に作用する力より大きくする必要があり,このためには,スプール弁の上端と下端の受圧面積が等しくなるように構成されている(2欄1・2行,4欄16ないし25行)のを,上端の受圧面積を下端の受圧面積よりも広くするよう構成を変える必要があるところ,スプール弁29の押下力がバネ35により既に与えられている乙4発明において,油圧によってスプール弁29を下方に進出させた状態に保持 することは,バネ35による押下力に付加して,又はこれを置換して,スプール弁29の上端の受圧面積を下端の受圧面積よりも広くするような構成に変えた上で,油圧による押下力を得ようとするものということができ,これは,乙4発明に,スプール弁29を押し下げるための構成の作用,機能の点で,大きく異なる構成を適用しようとするものであるから,上記相違点に係る本件発明1-1の構成を適用す る動機付けがあるということはできない。また,乙4発明においては,スプール弁29の両端に作用する油圧による力が等しくなるように構成されており,孔延長部33に導入された油圧は,スプール弁29の押下力を持たないことが前提となっているから,当該油圧に押下力を持たせることには阻害事由もある。 したがって,その余の点を検討するまでもなく,乙4発明に基づいて本件発明1 -1が容易に想到し得たとは認められない。 (2) 争点3-2(乙5を主引例とする進歩性欠如の有無)についてア乙5発明乙5公報には,次の発明(乙5発明)が記載されていると認められる(別紙引用例図面目録の引用例2【図1】,【図3】参照) シリンダ12と,このシリンダ12に進退可能に装備されたピストンロッド26と,このピストンロッド26を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為の油 目録の引用例2【図1】,【図3】参照) シリンダ12と,このシリンダ12に進退可能に装備されたピストンロッド26と,このピストンロッド26を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為の油室とを有する油圧シリンダにおける前記ピストンロッド26の位置を検出する位置検出装置であって,ヘッド20内に形成された通孔56,通孔58及び通孔64が設けられ,通孔58は端部に加圧エアが供給され,通孔64は端部が外界に連通し, そしてこの通孔56と58との間を流れる流路及び通孔56と64との間を流れる- 43 -流路を開閉可能な空圧バルブ16とを備え,前記空圧バルブ16は,前記ヘッド20に形成した装着孔に進退可能に装着された弁部材46と,圧縮バネ50の作用と加圧エアの圧力が,操作具44がシリンダ12の内部へ移動する方向に作用し続けるように構成されることで,弁部材46をピストンロッド26側に進出させた状態に保持し,ピストン24が後退時には,弁操作具44がリリースされる空間を備え, 前記ピストンロッド26が所定の位置に達したときに,前記ピストンロッド26により前記弁部材46を移動させて前記空圧バルブ16の通孔56と58との間及び通孔56と64との開閉状態を切り換え,前記通孔56のエア圧を介して前記ピストンロッド26が前記所定の位置に達したことを検知可能に構成した,位置検出装置。 イ乙5との相違点本件発明1-1と乙5発明は,少なくとも,本件発明1-1の開閉弁機構は,油室と油圧導入室を連通させる油圧導入路を備え,油室の油圧によって弁体を出力部材側に進出させた状態に保持するのに対し,乙5発明の空圧バルブ16は,油圧導入路に相当する構成を備えておらず,バネ力及びエア通路内のエア圧によって進出 させた状態に保持する点 って弁体を出力部材側に進出させた状態に保持するのに対し,乙5発明の空圧バルブ16は,油圧導入路に相当する構成を備えておらず,バネ力及びエア通路内のエア圧によって進出 させた状態に保持する点で相違する。 ウ相違点に係る容易想到性乙5発明において,上記相違点に係る本件発明1-1の構成を備えるようにするには,油圧導入路を備え,油室の油圧によって弁体を出力部材側に進出させた状態に保持することが必要であるところ,乙5公報には,弁部材46を左方に押圧する 力について,通孔58からの加圧エアによる作用とバネ50による作用とが並列して記載され,さらに「協働」する旨記載されていること(3欄9~13行,37~43行)からすれば,当業者は,通孔58からの加圧エアによる作用には,弁部材46を左方に押圧するものが含まれていると当然に理解するというべきであるから,そうであるにもかかわらず,乙5発明において,弁部材46に油圧導入路を備えて, 油室の油圧によって弁部材46を押圧するような状態にすることは,通孔58から- 44 -の加圧エアによる作用を失わせることになり,このような状態にすることには阻害事由があるというべきである。 また,乙5発明において,弁部材46に油圧導入路を備えて,油室の油圧によって弁部材46を押圧するような状態にすることは,弁孔53などに油圧を導入することになり,空圧バルブ16の作用が失われることになるから,かかる点からも, このような状態にすることには阻害事由がある。 したがって,その余の点を検討するまでもなく,乙5発明に基づいて本件発明1-1を容易に想到し得たとは認められない。 (3) 争点3-3(乙6を主引例とする進歩性欠如の有無)についてア乙6発明 乙6公報には,次の発明 ,乙5発明に基づいて本件発明1-1を容易に想到し得たとは認められない。 (3) 争点3-3(乙6を主引例とする進歩性欠如の有無)についてア乙6発明 乙6公報には,次の発明(乙6発明)が記載されていると認められる(別紙引用例図面目録の引用例3【図1】,【図6】,【図8】,【図10】,【図11】参照)。 低圧シリンダ20と,この低圧シリンダ20に進退可能に装備されたピストン21及び高圧ピストン26,27と,このピストン21及び高圧ピストン26,27 を進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する為のメインシリンダ空間22,23とを有する連続ピストンドライブにおける反転動作する装置であって,一端部に圧力媒体が供給され他端部が回収容器に連通した流体通路と,この流体通路を開閉可能な二方パイロット弁63,64とを備え,前記ピストン21が左端又は右端に達したときに,前記ピストン21により前記二方パイロット弁63,64のプランジ ャ65を移動させて前記二方パイロット弁63,64の開閉状態を切り換え,前記流体通路61の流体圧を介して反転動作する装置。 イ乙6発明との相違点本件発明1-1と乙6発明は,少なくとも,本件発明1-1では,ピストンを油圧駆動にし,位置検出装置の制御流体を「加圧エア」としているのに対し,乙6発 明においては,ピストンを油圧駆動にした場合,反転動作する装置の制御流体が- 45 -「加圧油」となる点で相違する。 ウ相違点に係る容易想到性乙6発明において,上記相違点に係る本件発明1-1の構成を備えるようにするには,反転動作する装置の制御流体を加圧油から加圧エアへと変更することが必要であるところ,乙6発明は,四方弁36のピストン45に作用する制御流体と,ピ ストン21に作用する 成を備えるようにするには,反転動作する装置の制御流体を加圧油から加圧エアへと変更することが必要であるところ,乙6発明は,四方弁36のピストン45に作用する制御流体と,ピ ストン21に作用する駆動流体について,圧力配管39から流入する加圧油を共通して用いることによって,ピストン21とピストン45に同じ圧力(P)を作用させるというものである(乙6公報)から,加圧油を共通のものとすることは,乙6発明の目的を達成するために必須の構成であるといえ,乙6発明において,制御流体を加圧油から加圧エアへと変更することにより,駆動流体である加圧油と,制御 流体である加圧エアに分離することは,乙6発明が有する機能を阻害するものというべきである。また,乙6発明において,圧力配管39は一つしかなく,また,四方弁36は加圧油で切替動作を行うものであるところ,制御流体のみを変更し,駆動流体である加圧油と,制御流体である加圧エアへと分離すれば,圧力配管39に加圧油と加圧エアが流入することになり,その機能を害することになるとともに, 四方弁36も動作しなくなることは明らかであるから,かかる点からも,制御流体を加圧油から加圧エアに変更することについて阻害事由があるというべきである。 したがって,その余の点を検討するまでもなく,乙6発明に基づいて本件発明1-1を容易に想到し得たとは認められない。 (4) 争点3-4(分割要件違反に伴う新規性欠如の有無)について ア被告らは,開閉弁機構にスプール弁を含む本件発明1-1は,本件原出願明細書に記載されていない新たな技術的事項を追加するものであるから,分割要件に違反すると主張する。 イ本件原出願明細書(乙2)には,次の記載がある。 本発明の目的は,出力部材が所定の位置に達したことをクランプ本体内のエ 新たな技術的事項を追加するものであるから,分割要件に違反すると主張する。 イ本件原出願明細書(乙2)には,次の記載がある。 本発明の目的は,出力部材が所定の位置に達したことをクランプ本体内のエア通 路のエア圧の圧力変化を介して確実に検知可能で小型化可能な流体圧シリンダ及び- 46 -クランプ装置を提供すること,出力部材の所定の位置を検出する信頼性や耐久性を向上し得る流体圧シリンダ及びクランプ装置を提供すること,等である(【0010】)。 前流体圧シリンダの流体室の流体圧を,開閉弁機構の流体圧動入室に流体圧導入路を介して導入可能に構成し,出力部材が所定の位置に達しない状態では,流体室 の流体圧を利用して弁体を流体室側に突出した状態に保持することができ,開閉弁機構の開閉状態を保持することができる。流体室の流体圧を利用して弁体を付勢するため,信頼性と耐久性の面で有利である。出力部材が所定の位置に達したとき,出力部材により弁体を移動させて開閉弁機構の開閉状態を確実に切り換えるため,前記エア通路のエア圧を介して出力部材の所定の位置を確実に検知可能である (【0019】)。 前記の種々の開閉弁機構の構造も例示であって,これらの開閉弁機構に限定されるものではなく,本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の開閉弁機構を採用することができる(【0097】)。 ウ本件原出願明細書【0097】には,開閉弁機構の構造は特定の構造に 限定されるものではなく,「本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の開閉弁機構を採用することができる」と記載されている。そして,本件原出願明細書に記載された発明は,「流体室の流体圧を利用して弁体を付勢する構造」を採用することで,信頼性と耐久性の確保を図るものであるから(【0010】,【0019】),スプー ている。そして,本件原出願明細書に記載された発明は,「流体室の流体圧を利用して弁体を付勢する構造」を採用することで,信頼性と耐久性の確保を図るものであるから(【0010】,【0019】),スプール弁を採用することが,発明の趣旨に反するものではない。また,ポペット弁 とスプール弁は,いずれも開閉弁機構の構造として周知のものである(乙1)。したがって,本件原出願明細書には,開閉弁機構としてスプール弁を用いるという技術的事項が記載されているというべきである。 よって,本件出願1に分割要件違反があることを前提として本件発明1-1の新規性欠如をいう被告らの主張は,前提において誤りがあるから採用できない。 (5) 小括- 47 -以上によれば,本件発明1-1について無効理由があるとは認められない(なお,被告らは,仮定的に明確性要件違反の無効理由も主張するようにも思われるが,前記1(1)ウ(ウ)で述べたことに照らし,明確性要件違反の無効理由があるとは認められない。)。 3 差止め及び廃棄請求について 以上によれば,被告各製品の製造,販売等は,本件発明1-1に係る本件特許権1の侵害行為を構成する。 ところで,被告らは,被告各製品については既に設計変更をしており(乙34),被告各製品の在庫が存在しないこと(乙32),これらを製造するために必要とされる治具等が廃棄済みであること(乙33)も認められるが,被告らが被告各製品 が本件発明1-1の技術的範囲に属することを争うとともに本件発明1-1に係る本件特許1の無効を主張していることからすると,被告らがなお被告各製品を製造,販売等するおそれは認められるから,被告各製品の製造,販売等の差止請求は理由がある。 他方,上記のとおり,被告各製品の在庫が存在しないことからすると ることからすると,被告らがなお被告各製品を製造,販売等するおそれは認められるから,被告各製品の製造,販売等の差止請求は理由がある。 他方,上記のとおり,被告各製品の在庫が存在しないことからすると,被告各製 品の廃棄請求については,その必要性が認められないから,理由がない。 4 争点4(原告の損害額)について(1) 損害賠償の対象及び被告らの責任原告は,損害賠償請求については,その責任原因たる不法行為として,被告各製品の製造,販売等のほか,これらと型番が異なるだけで同一の構成の製品の製造, 販売等についても対象としているところ,前記のとおり,被告各製品は本件発明1-1の技術的範囲に属すると認められるから,これらと型番が異なるだけで同一の構成の製品についても同様であると推認される。したがって,それら各製品の製造,販売はいずれも本件特許権1の侵害行為と認められる。 また,前提事実記載のとおり,被告らは,被告エンジニアリングが被告各製品等 を製造し,被告コスメックがそれらを販売する関係にあったところ,被告らの本店- 48 -所在地及び代表者が同一であることからすると,被告らは経済的に密接な関係にあると推認されるから,被告らによる被告各製品等の製造販売行為については,共同不法行為が成立し,被告らは連帯して損害賠償責任を負うと解するのが相当であり,本件で原告が被告らの連帯責任を主張するのも,この趣旨によるものと解される。 (2) 過失が認められる範囲 ア本件特許権1の侵害行為については被告らの過失が推定されるところ(特許法103条),その根拠は,特許庁での実体審査を経て特許が登録された場合には,特許公報により特許権の登録の存在及びその内容が公示されることから,当該特許発明を業として実施する事業者に特 ところ(特許法103条),その根拠は,特許庁での実体審査を経て特許が登録された場合には,特許公報により特許権の登録の存在及びその内容が公示されることから,当該特許発明を業として実施する事業者に特許権の調査義務を負わせても不合理ではない点にある。したがって,本件特許権1の特許公報発行日である平成25年1 1月6日以降の販売分については被告らの過失が推定され,この覆滅事由に関する主張立証はない。 イ他方,特許法103条の上記趣旨からすると,本件特許権1の登録日である平成25年8月9日から本件特許権1の特許公報発行日の前日である同年11月5日までについては,過失の推定が及ばないと解すべきところ,原告は,その期 間の販売分についても,被告らに過失があると主張する。 しかし,まず,本件出願1については,本件特許権の登録より後の同年10月3日に出願公開がされている(甲2)ところ,それより前に被告が本件出願1の存在と内容を認識し,又は認識することができたとは認められないから,出願公開より前の期間において被告に過失があるとはいえない。また,出願公開以後,本件特許 権1の特許公報が発行された同年11月6日までの間に,製造販売された被告各製品等があると認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件特許権の設定登録後,特許公報の発行までの間の期間についての損害賠償請求は,その余について判断するまでもなく理由がない。 (3) 被告らが得た利益の額 ア弁論の全趣旨によれば,●(省略)●(なお,原告は,被告らが得た利益の- 49 -額を算定するに当たり,上記1個当たりの利益額に8%を加算するが,被告各製品等の1個当たりの利益が上記の金額を上回ることを認めるに足りる証拠はない。)。 したがって,上記期間の被告各製品等の製 -額を算定するに当たり,上記1個当たりの利益額に8%を加算するが,被告各製品等の1個当たりの利益が上記の金額を上回ることを認めるに足りる証拠はない。)。 したがって,上記期間の被告各製品等の製造,販売等により被告らが得た利益の額は,合計3864万5000円●(省略)●となる(なお,弁論の全趣旨によれば,平成25年11月6日から原告が本件の訴状で請求対象とした平成27年2月 28日まで(以下「当初請求期間」という。)の被告各製品等の販売個数は,●(省略)●。 イ被告らは,本件発明1-1は「位置検出装置」に関する発明であるのに対し,被告各製品等はセンシングバルブ付クランプ装置等であり,位置検出装置である確認バルブの製品全体に対する寄与度は多くても製品全体の30パーセントで あると主張する。 そこで検討するに,本件発明1-1は「位置検出装置」の発明であるが,その構成は,油圧シリンダ(シリンダ本体,シリンダ本体に装備された出力部材,出力部材を駆動するための油室を有する。)を前提として,シリンダ本体内に形成されたエア通路と開閉弁機構(シリンダ本体内に装着された弁体,油圧導入室,油圧導入 路)から成っている。このように,本件発明1-1では,エア通路及び開閉弁機構がシリンダ本体内に設けられて油圧シリンダと構造上一体のものとされていることに加え,油圧シリンダの構成も,エア通路や開閉弁機構の構成と有機的な関係を持つことにより,先に1(1)で述べた本件発明1-1の特徴を形成していることを考慮すると,同様の構成を有する被告各製品等において本件発明1-1の位置検出装 置が占める割合を考えるに当たっては,エア通路や開閉弁機構だけでなく,油圧シリンダも含めて考える必要があるというべきである。 他方,被告製品1等は,証拠(甲7及び1 件発明1-1の位置検出装 置が占める割合を考えるに当たっては,エア通路や開閉弁機構だけでなく,油圧シリンダも含めて考える必要があるというべきである。 他方,被告製品1等は,証拠(甲7及び10,乙23)によれば,シリンダ本体,シリンダ本体に装備されたピストンロッド及びピストンロッドを駆動するための油室を有する油圧シリンダの先端に,ワークを固定するためのクランプ部材が設けら れているものであり,エア通路及び開閉弁機構はいずれもシリンダ本体内に設けら- 50 -れていると認められる。そうすると,被告製品1等における位置検出装置以外の部分は,先端のクランプ部材のみであるというべきところ,甲7及び甲10のカタログにおける製品説明では専ら油圧シリンダ部分の構造の説明がされていて,クランプ部材については特段の言及がない。そして,証拠(甲8及び11)によれば,被告製品2ないし4等についても同様のことが妥当すると認められる。 また,証拠(甲9及び12)によれば,被告製品5ないし7等については,被告製品1等のクランプ部材に相当する部材もなく,全体が位置検出装置に当たると認められる。 ウ以上を考慮すると,被告各製品等の製造販売による利益中に油圧シリンダを含む位置検知装置部分が占める割合は,95パーセントと認めるのが相当であ る。したがって,被告各製品等の製造販売等により被告らが得た利益の額のうち,位置検知装置部分によるものは,3671万2750円(38,645,000×0.95)と認められ,これが原告が受けた損害の額と推定される(なお,このうち当初請求期間分は2711万3000円である。)。 なお,被告らは,被告各製品等は,ピストンロッドが上昇限界位置又は下降限界 位置に達した上昇後のエア圧をエアキャッチセンサの (なお,このうち当初請求期間分は2711万3000円である。)。 なお,被告らは,被告各製品等は,ピストンロッドが上昇限界位置又は下降限界 位置に達した上昇後のエア圧をエアキャッチセンサの設定エア圧とする態様では使用されていないから,本件特許権1の侵害行為に使用されておらず,被告らが侵害行為によって得た利益は存しないと主張するが,前記1(1)エで述べたところに照らして採用できない。 (4) 推定覆滅事由について ア被告らは,被告各製品等の一部における他の発明の実施を主張する。 (ア) 被告らが指摘する発明のうち,発明の名称を「シリンダ装置」とする発明に係る特許権(特許第6076735号)の特許公報(乙31の1)には,別紙「乙31の1公報の記載」のとおりの記載があり,その記載からすると,乙31の1公報には(以下の記載中,括弧内のものは本件発明1-1において相当する 構成である。),①駆動室(油室)への加圧流体(油圧)の供給と排出によりピス- 51 -トン(出力部材)が昇降するシリンダ装置(油圧シリンダ)において,ハウジング(シリンダ本体)の上壁内にピストンに連結された出力ロッド(出力部材)の下降検出用及び上昇検出用の検出弁(開閉弁機構)を二つ設け,各検出弁に検出用の加圧エア(加圧エア)を供給する供給路(エア通路)を設ける(請求項1),②それらの検出弁(開閉弁機構)の軸心の角度を5度から15度の範囲内にする(請求項 2),③給排路(エア通路)をハウジング(シリンダ本体)内で二つの検出弁の存在しない面部分に設ける(請求項3),④給排ポート(エア通路の外界への開口部)をハウジング(シリンダ本体)に設けたフランジの据付面に開口させる(請求項4),⑤下降検出用の検出弁のストローク長さを上昇検出用の検出弁のストロ (請求項3),④給排ポート(エア通路の外界への開口部)をハウジング(シリンダ本体)に設けたフランジの据付面に開口させる(請求項4),⑤下降検出用の検出弁のストローク長さを上昇検出用の検出弁のストローク長さよりも長くする(請求項5),⑥上昇検出用の第2検出弁について,ハウジン グ(シリンダ本体)の上壁に形成された第2装着孔(装着孔)に挿入されたスプール形の第2検出ロッド(弁本体)の下受圧部よりも上受圧部の受圧面積を大きくし(本件特許1明細書の図面と同様),駆動室(油室)と貫通孔(油室導入路)により連通した圧力室(油圧導入室)を設け,第2検出ロッド(弁本体)が上昇したときにそのスプール形の弁面により弁孔(エア通路の弁側への開口部)が閉じられる ようにする(請求項7)という発明(以下「乙31の1発明」という。)が記載されており,それにより,シリンダ装置をコンパクトにでき,下降位置と上昇位置を確実に区分けして検出でき,検出弁を簡素な構成で確実に閉弁できるとの作用効果が記載されていると認められる(【0007】ないし【0011】,【0013】)。そして,被告製品1等のうちリリース動作確認バルブとロック動作確認バ ルブの双方を備えるものでは,スプール弁を採用したリリース動作確認バルブ及びロック動作確認バルブがいずれもシリンダの上部に設置されており(甲7),甲10のカタログでは,「省スペースを追求したコンパクトなスイングクランプ」との記載が冒頭にされている。 しかし,被告製品1等におけるその実施態様は,本件発明1-1を実施した上で, 上記の特許発明を実施するというものであるから,本件発明1-1の実施を前提と- 52 -しつつ,その構成を更に特定して,本件発明の1-1による小型化等と同種の効果を強化することを図ったものであ 上記の特許発明を実施するというものであるから,本件発明1-1の実施を前提と- 52 -しつつ,その構成を更に特定して,本件発明の1-1による小型化等と同種の効果を強化することを図ったものであるといえる。そうすると,被告製品1等の顧客の中に,その特有のコンパクト化等に惹かれて被告製品1等を購入した者がいる可能性は否定し難いものの,被告製品1等が業務用の工作機械に用いられるもので,クランプ装置に対する需要は被告製品1等の販売がなくとも存在したはずであること, 原告の製品(甲20)のほかに本件発明1-1と同様の作用効果を有する競合品が存在したと認められる証拠はないことを考慮すると,被告製品1等に乙31の1発明が実施されているという事情は,被告製品1等が販売されなかった場合に原告の製品がその需要を吸収できず,被告らが得た利益の額を原告が得ることができなかったはずであると認めるだけの事情(推定覆滅事由)としては認められないという べきである。 (イ) また,被告らが指摘する発明のうち,発明の名称を「シリンダ装置」とする発明の公開特許公報(乙31の2)には,別紙「乙31の2公報の記載」のとおりの記載があり,その記載からすると,乙31の2公報には,①スプール弁又はポペット弁のいずれかを採用した上昇用検出の第2検出弁及び下降検出用の第1 検出弁とがシリンダの上部に設置されているという構成を備えるシリンダ装置に関する発明(以下「乙31の2発明A」という。請求項2,【0013】,【0014】)及び②スプール弁を採用した伝動部材を有する上昇検出用の検出弁がシリンダの上部に設置され,ピストンの上昇によって伝動部材を有する上昇検出用の検出弁を閉弁状態とすることにより,ピストンの上限位置を確認するという構成を備え るシリンダ装置に関 出用の検出弁がシリンダの上部に設置され,ピストンの上昇によって伝動部材を有する上昇検出用の検出弁を閉弁状態とすることにより,ピストンの上限位置を確認するという構成を備え るシリンダ装置に関する発明(以下「乙31の2発明B」という。請求項11,【0019】,図5A,B)が記載されていると認められ,前者についてはシリンダ装置をコンパクトにできるとの作用効果が,後者については伝動部材を配置することで検出面を横向きに配置することが可能となり,検出弁の配置の自由度が向上するとの作用効果が記載されていると認められる(【0006】,【0016】)。 しかし,まず,①についてみると,被告製品1等に関する乙31の2発明Aは,- 53 -上記乙31の1発明の請求項1とほぼ同様の発明であるから,先に乙31の1発明について述べたのと同様のことが妥当する。 次に,②についてみると,確かに,被告製品5ないし7等も,伝動ボールを介したスプール弁を採用した横向きの押側端確認バルブがシリンダの上部に設置され,ピストンの上昇位置によってスプール弁を閉弁状態とすることにより,ピストンの 上限位置を確認するものであり(甲9),カタログにおいては,「省スペースを追求したコンパクトなリフトシリンダ」との記載が冒頭にされている(甲12)。しかし,被告製品5ないし7等は,本件発明1-1を実施した上で,乙32の1発明Bを実施するというものであり,しかも,乙32の1発明Bは,本件発明1-1の構成要件1Dにおける「出力部材により前記弁体を移動させ」る構成を伝動部材を 介する構成とするものであるが,検出弁を横向きに配置し得ることは本件特許1明細書の実施例における第1検出装置において既に開示されているところであるから,検出弁の配置の自由度が向上するとの作用効果も 介する構成とするものであるが,検出弁を横向きに配置し得ることは本件特許1明細書の実施例における第1検出装置において既に開示されているところであるから,検出弁の配置の自由度が向上するとの作用効果も本件発明1-1が想定するものと顕著な相違があるとは認め難い。 そうすると,被告製品1等及び被告製品5ないし7等に乙32の2発明A及びB が実施されていることをもって,被告らが得た利益の額を原告が得ることができなかったはずであると認めるだけの事情(推定覆滅事由)と認めることはできない。 イまた,被告らは,本件発明1-1が実現したセンシングバルブの小型化は,設計変更した製品(乙34)において油圧ではなくバネにより弁部材を進出させることに見られるように,本件発明1-1を実施しなくても実現可能であったと 指摘する。 しかし,前記1のとおり,本件発明1-1は,油圧シリンダの油室の油圧を,開閉弁機構の油圧導入室に油圧導入路を介して導入可能に構成し,その油室の油圧を利用して弁体を油室側に突出した状態に保持することができるため,信頼性と耐久性を向上させることができるとの点にも特徴を有するのであるから,バネにより弁 部材を進出させることを本件発明1-1の代替技術として捉えることは相当でない。 - 54 -また,被告各製品等のカタログの冒頭のページでは,「動作確認バルブ内蔵で自動化設備に最適」と記載されており,被告らの製品の中には動作確認機能がないものもあること(甲7ないし12)からすると,被告各製品等において本件発明1-1を実施した動作確認機能の存在が被告各製品等の販売に大きく貢献したことは容易に推認することができる。 以上からすると,代替技術の存在を理由とする被告らの推定覆滅事由の主張は,採用することができない。 ウな の存在が被告各製品等の販売に大きく貢献したことは容易に推認することができる。 以上からすると,代替技術の存在を理由とする被告らの推定覆滅事由の主張は,採用することができない。 ウなお,被告各製品等は,動作確認バルブを備えているものの,エアキャッチセンサを備えていないことから,動作確認機能を用いないで使用することも可能である。しかし,被告らの製品の中には動作確認機能がないものもあることから すると,あえて動作確認機能付きの被告各製品等を購入しながら,その機能を使用しない者がいるとは通常考え難く,そのような使用をする顧客が実際にどの程度存在するかも不明であるから,上記の点をもって推定覆滅事由と認めることはできない。 エ以上によれば,本件において推定覆滅事由は認められない。 (5) 小括以上によれば,本件で原告の被った損害は3671万2750円(うち当初請求期間分は2711万3000円)と認められる。また,認容額を始めとする本件に現れた一切の事情を考慮すると,被告らの特許権侵害行為と相当因果関係に立つ弁護士費用の損害額は,367万円(うち当初請求期間に対応する分は271万円) と認めるのが相当である。したがって,原告の被った損害の合計額は,4038万2750円(うち当初請求期間分は2982万3000円,その後の期間分は1055万9750円)である。なお,遅延損害金については,当初請求期間の侵害行為に係る分については2982万3000円に対する当該期間の不法行為後である平成27年4月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分 の割合によるものが認められるが,その後の侵害行為に係る分については,侵害行- 55 -為が行われた各日の原告の損害額を認めるに足りる証拠はないから, 日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるものが認められるが、その後の侵害行為に係る分については、侵害行為が行われた各日の原告の損害額を認めるに足りる証拠はないから、本件で原告が損害賠償を請求する期間に鑑み、1055万9750円に対する不法行為後の平成29年3月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるものの限度で認めるのが相当である。 5 結論 以上の次第で、原告の請求は、前記3及び4認定の限度で理由があるから、その限度で認容することとし、その余は理由がないことからいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 髙松宏之 裁判官 野上誠一 裁判官 大門宏一郎 (別紙)物件目録 1 被告製品1型式 LHW●●●0-●●E 型式 LHW●●●0-●●J 2 被告製品2型式 LKW●●●0-●●J 3 被告製品3型式 LKW●●●0-●●H 4 被告製品4型式 LKW●●●0-●●E 5 被告製品5型式 LLW●●●0-●●J 型式 LKW●●●0-●●J 被告製品3型式 LKW●●●0-●●H 被告製品4型式 LKW●●●0-●●E 被告製品5型式 LLW●●●0-●●J 被告製品6型式 LLW●●●0-●●H 被告製品7型式 LLW●●●0-●●E 各型式番号中の「●」は,算用数字又は英文字を示す。

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