平成16(ワ)179 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年5月24日 宇都宮地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-36419.txt

判決文本文56,918 文字)

- 1 -平成19年5月24日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成16年(ワ)第179号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成19年2月1日判決当事者別紙当事者目録記載のとおり主文,,,,, 被告栃木県は原告X1同X2同X3同X4それぞれに対し800万円及びこれに対する平成14年7月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告栃木県は,原告X5,同X6,同X7それぞれに対し,500万円及びこれに対する平成14年7月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告X1,同X2,同X3,同X4,同X5,同X6,同X7の被告Y1,同Y2,同Y3に対する請求をいずれも棄却する。 原告X8,同X9,同X10,同X11,同X12,同X13の請求をいずれも棄却する。 ,,,,,,, 訴訟費用は原告X1同X2同X3同X4同X5同X6同X7に生じた費用と被告栃木県に生じた費用の8分の5を被告栃木県の負担とし,原告X8,同X9,同X10,同X11,同X12,同X13に生じた費用と被告栃木県に生じた費用の8分の3を同原告らの負担とし,被告Y1,被告Y2,被告Y3に生じた費用を原告らの負担とする。 ,,。 この判決は主文1項及び2項に限り仮に執行することができるただし,被告栃木県が,原告X1,同X2,同X3,同X4それぞれにつき550万円,原告X5,同X6,同X7それぞれにつき350万円の担保をそれぞれ供するときは,その仮執行を免れることがで- 2 -きる。 事実及び理由 第1請求 被告らは,各自,原告X1,同X2,同X3,同X4それぞれに対し,800万円及びこれに対する平成14年7月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 きる。 事実及び理由 第1請求 被告らは,各自,原告X1,同X2,同X3,同X4それぞれに対し,800万円及びこれに対する平成14年7月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,各自,原告X5,同X6,同X8,同X9,同X10,同X7,同X11,同X12,同X13それぞれに対して,500万円及びこれに対する平成14年7月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,縦二連装型式の散弾銃である猟銃(以下「本件猟銃」という)を。 使用した発砲事件により死傷者が生じたこと(以下「本件事件」という)に。 つき,①死者の相続人,負傷者本人及びそれらの親族である原告らが,栃木県公安委員会(以下「県公安委員会」という)による本件事件加害者への本件。 猟銃所持許可処分(以下「本件許可処分」という)は違法であった等と主張。 し,②原告X1及び同X2が,死者からの生前の苦情申出(以下「本件苦情申」),,出というへの警察官等の応対に違法があったと主張して被告警察官2名被告県公安委員会委員長及び被告栃木県(以下「被告県」という)に対し,。 それぞれ民法709条ないし711条,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料及びこれに対する本件事件発生日である平成14年7月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金について,損害賠償を請求した事案である。 前提事実(証拠を摘示しない事実は,当事者間に争いがない)。 (1)本件事件の概要平成14年7月4日午後1時ころ甲子は原告X1肩書住所地の自宅以,,(下「甲宅」という)ベランダにおいて,東側隣家住人である乙男がその自。 - 3 -宅(以下「乙宅」という)庭から狙撃発砲した本件猟銃の散弾に被弾し,。 その後死亡した。 所地の自宅以,,(下「甲宅」という)ベランダにおいて,東側隣家住人である乙男がその自。 - 3 -宅(以下「乙宅」という)庭から狙撃発砲した本件猟銃の散弾に被弾し,。 その後死亡した。 この際,甲宅の南西隣に居住していた甲子の義妹である原告X3も,異変(「」。)を察知して原告X3及び同X4肩書住所地の自宅以下X3宅というから外へ出たところ,乙男が甲宅ベランダから狙撃発砲した本件猟銃の散弾に被弾し,頭部銃創等の重傷を負った。 乙男は,本件事件直後に本件猟銃で自殺した。 (2)当事者ア原告ら,(,「」原告X1は甲子の夫である以下甲子及び原告X1を併せて甲家ともいう。原告X2は,甲子の長男である。 。)原告X3は,本件事件の被害者本人であると共に,甲子の義妹である。 原告X4は,甲子の実弟であり,かつ,原告X3の夫である(以下,原告X3及び原告X4を併せて「X3家」ともいう。原告X5は,原告X。)3の長女,原告X6は,同じく二女である。 原告X8,原告X10は,いずれも甲子の実妹であり,原告X9は,同じく甲子の実弟である。 原告X7は,原告X3の母である。原告X11は,原告X3の実兄,原告X12は,同じく実弟で,原告X13は,同じく実妹である。 イ被告ら被告Y1は,本件許可処分当時,栃木県警察本部(以下「県警本部」という)に所属し,同本部丙警察署(以下「丙署」という)生活安全課。 。 に係長として勤務していた警察官(警部補)であり,同課職員として管轄地域内の住民の安全な生活を実現維持すべく,刑事,行政等の警察活動に従事すべき任務を負っていた者である。 被告Y2は,本件許可処分当時,県警本部に所属し,丙署生活安全課課- 4 -長の職にあった警察官(警部)であり,上記被告Y1らを指揮して,上 行政等の警察活動に従事すべき任務を負っていた者である。 被告Y2は,本件許可処分当時,県警本部に所属し,丙署生活安全課課- 4 -長の職にあった警察官(警部)であり,上記被告Y1らを指揮して,上記の警察活動が適正に行われるよう職務の執行をする義務を負い,銃砲刀剣(。 類所持等取締法平成14年5月15日法律第43号による改正前のもの以下「銃刀法」という)上の銃所持許可についての実質的な審査の任に。 当たっていた者である。 被告Y3は,本件許可処分当時,県公安委員会委員長の地位にあった者である。 (3)栃木県における銃所持許可事務(乙1)平成14年当時,栃木県では,猟銃等講習会の開催及び講習終了証明書の交付は警察本部長の,銃所持許可申請の処理(ライフル銃を除く)及び許。 (。)可証の交付並びに射撃教習の教習資格認定申請の処理ライフル銃を除く及び認定証の交付は,警察署長の各専決事項とされていた。 (4)本件事件に至る経緯,,「」本件事件に至る経緯は以下に記載するほか別紙本件事件に至る経緯一覧表中の「争いのない事実」欄記載のとおりである。 ア長年のトラブル乙男は,本件事件以前より,甲子との間に20年来のトラブルを抱えており,このトラブルは近隣の者にも認識されていた。甲子は,乙男から加えられた加害行為,嫌がらせ等について,最寄りの丙署丁交番,丙署及び県警本部等に相談をしていた(トラブルの詳細,甲子による相談や警察官の認識の程度については争いがある。 。)イ轢過事件の通報甲子は,平成13年7月23日,乙男から車で轢かれそうになった(轢過事件)と丙署に電話をし,P1巡査が甲宅を来訪するなどした。 ウ乙男による申請及び許可(ア)乙男は,平成14年2月18日,県公安委員会に対して,猟銃等- 5 -講習会の受 れそうになった(轢過事件)と丙署に電話をし,P1巡査が甲宅を来訪するなどした。 ウ乙男による申請及び許可(ア)乙男は,平成14年2月18日,県公安委員会に対して,猟銃等- 5 -講習会の受講を申し込み(以下「本件講習会申込」という,これを。)受講の上,同月28日,講習修了証明書の交付を受けた(乙2,3)。 (イ)乙男は,同年3月11日,県公安委員会に対して,射撃教習資格認定申請(以下「本件教習資格認定申請」という)をした(乙4)。 。 丁交番員P2警部補(以下「P2警部補」という)は,乙男の身元。 調査を行い,同月16日「X1方と家族関係等で20年来トラブッて,いる状況にあり許可については熟慮を要する等の意見を報告した以,」(下「熟慮意見」という(乙7)。)。 (「」。)被告Y2及び丙署生活安全課保安係長P3以下P3係長というは,本件教習資格認定申請について,同申請書,添付書類,同申請受付,,時の面接調査の結果や上記身元調査の結果等をもとにその審査を行い認定相当との意見を具申した。 丙署長は,乙男に対して,同年4月1日,教習資格を認定(以下「本件教習資格認定」という)し,翌2日,認定証を交付した(乙8)。 。 (ウ)乙男は,A射撃場において射撃教習を受け,同年4月12日,教習修了証明書の交付を受けた(乙9)。 (エ)乙男は,同年4月24日,県公安委員会に対して,猟銃の所持許可申請(以下「本件許可申請」という)をした(乙10)。 。 P2警部補は,乙男の身元調査を行い,同年5月8日,前記(イ)と同様の熟慮意見を報告した(乙13)。 被告Y2及びP3係長は,本件許可申請について,同申請書,添付書類,同申請受付時の面接調査の結果,上記身元調査の結果等をもとにその審査を行い,許可相当との意見を具申 熟慮意見を報告した(乙13)。 被告Y2及びP3係長は,本件許可申請について,同申請書,添付書類,同申請受付時の面接調査の結果,上記身元調査の結果等をもとにその審査を行い,許可相当との意見を具申した。 丙署長は,乙男に対して,同年6月3日,銃刀法4条による猟銃所持許可(本件許可処分)をし,翌4日,許可証を交付した(乙14)。 エ乙男は,本件許可処分後,本件猟銃を購入所持し,自宅居室に保管して- 6 -いたところ,同年7月4日,本件猟銃を用いて本件事件に及んだ。 (5)銃刀法上の猟銃の所持許可要件欠格事由銃刀法5条1項では,猟銃等の所持許可処分の要件の1つとして,以下の事由に該当する場合には許可をしてはならない旨規定している。 精神病者,アルコール,麻薬,大麻,あへん若しくは覚せい剤の中毒者又は心神耗(こう)弱者(同項2号。以下「2号の欠格事由」という。 。)他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者(同項5号の3に該当する者を除く(同項6。)号。以下「6号の欠格事由」という。 。) 争点 (), 本件許可処分に関する県公安委員会ないし丙署警察官の職務の違法性故意過失(2)本件許可処分と甲子の死亡及び原告X3の負傷との間の因果関係(), 本件苦情申出に関する県公安委員会ないし丙署警察官の職務の違法性故意過失(4)被告らの責任(5)損害額 争点に関する当事者の主張(), 本件許可処分に関する県公安委員会ないし丙署警察官の職務の違法性故意過失(原告らの主張)ア(ア)本件事件に至る経緯についての主張は,以下に記載するほか別紙「本件事件に至る経緯」一覧表中「原告らの主張」欄記載のとおりである。 a甲子と乙男との間では,不正常かつ不穏な 原告らの主張)ア(ア)本件事件に至る経緯についての主張は,以下に記載するほか別紙「本件事件に至る経緯」一覧表中「原告らの主張」欄記載のとおりである。 a甲子と乙男との間では,不正常かつ不穏な状況が20年以上存在しており,平成12年3月末日に乙男が勤務先を退職し,日中もずっと- 7 -在宅するようになってからはさらに,その度合いがひどくなり,轢過事件はその最も甚だしい例であった。 轢過事件は,道路脇を歩行中の甲子を目掛けて,乙男が殺意をもって,わざわざ反対車線から自動車で突っ込んできたのを,甲子が辛くも飛び退き,自動車のフロントガラスで体を支えたので危うく助かったというものであって,極めて危険悪質なものであった。 乙男の異常な行動は,乙男の病的な性格が露呈していたものといわざるを得ず,不当な嫌がらせ及び攻撃の継続は,近隣にあっても周知の状況であった。 b本件事件は,上記経緯による乙男の甲子に対する強い憤まん,深い怨恨,ひいてはその縁者に対する敵意を原因とする,甲子に対する計画的犯行であった。本件事件当日,両者の間にトラブルはなかったのであり,本件事件は,偶然的トラブルの果てに,激情的に,たまたま手近にあった本件猟銃を持ち出して乱射したというものではない。 乙男は,平成12年12月以降病気の妻を介護していたが,平成14年6月下旬に,初めて,介護施設に対して「7月3日から5日ま,での間,妻の宿泊をお願いします」と期日を指定して宿泊を依頼し,本件事件当日は妻が不在であるように取り計らっていたのであり,本件事件の実行時期については,6月下旬の段階から計画していたものである。 さらに,乙男は,狩猟愛好者でもなく,合理的理由なしに本件猟銃を所持し,所持から僅か1か月のうちに甲子の計画的狙撃殺害を行っているのであって,甲子を狙撃し殺害す の段階から計画していたものである。 さらに,乙男は,狩猟愛好者でもなく,合理的理由なしに本件猟銃を所持し,所持から僅か1か月のうちに甲子の計画的狙撃殺害を行っているのであって,甲子を狙撃し殺害する目的で,計画的に本件許可申請を行い,本件許可処分による所持許可を得て,本件猟銃を入手したといえる。 また,原告X3の狙撃についても,乙男において,甲子の縁戚に連- 8 -なる者は,もはや通常の隣人の範疇ではなく甲子と同類として狙撃し尽くすという残忍な感情により行われたものといえる。 (イ)a我が国では,銃砲の所持は,その甚だしい危険性に鑑み,一般人については厳重に禁止され,一定の要件を備えた者の許可申請があった場合に,例外として都道府県公安委員会が許可するものであり,その許可は,厳重な覊束裁量行為である。 6号の欠格事由については,欠格事由に該当する者の銃器所持ないし使用によって,他人の生命もしくは財産又は公共の安全が害されることとなるのは明らかである一方で,一般人による銃所持,使用の必要性は非常に限定されたものであって,厳重厳格な運用によって国民の権利が不当に制限されるということもない。 したがって,6号の欠格事由の解釈運用においても,実質上の絶対禁止的運用を前提にした上で,必要性,適格性が特に明らかに認められる場合に例外的に許可するというものであるべきである。 すなわち,6号の欠格事由に該当する場合とは,違法な使用の具体的蓋然性が認められるときという狭いものではなく,所持者によって違法な使用がされる可能性が皆無とはいえないという事情が存在すれば足りるというべきである。 b乙男における,隣人との甚だしい不和の関係,トラブルの継続という状況は,根深い怨恨感の醸成の原因となり,銃が不正使用されるきっかけを与えやすい危険な環境因子であった ば足りるというべきである。 b乙男における,隣人との甚だしい不和の関係,トラブルの継続という状況は,根深い怨恨感の醸成の原因となり,銃が不正使用されるきっかけを与えやすい危険な環境因子であったから,本件では,所持者によって違法な使用がされる可能性が皆無とはいえない事情があり,6号の欠格事由の「他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれ」が存在したことは確実である。また,2号の欠格事由のうち「精神病者」ないし「心神耗弱者」に該当した可能性も高い。 イ(ア)本件許可申請では,乙男についての,家族,近隣等の調査を完全- 9 -に行い,調査の結果得られた情報を,有効に判断者のもとに集約し,格別の調査以外にも,丙署で認識していた情報を有効に活用して,諸情報に基づいて,乙男の銃所持の危険性について正しい判断を行うことが必要であった。 (),,。 イしかし本件許可申請の手続には以下のとおりの不備があったa乙男の家族への調査を行っておらず,近隣への調査も極めて不十分であった。 銃器は,その容易な殺傷能力からして,人間関係における葛藤等がきっかけとなって濫用されやすく,銃所持許可申請に対しては,人間関係とりわけ近隣との人間関係の良好性等について,慎重にして十分な調査がなされることが必須である。 乙男は,乙宅で妻及び長男と同居しており,家族に面接することは容易であったにもかかわらず,丙署はこれを行っていない。また,付近住民への面接調査,勤務先への調査も,用途目的の調査も行っていない。 乙男の甲家に対する不当な嫌がらせ,攻撃の継続は,近隣にあっても周知の状況であり,近隣周辺の調査が確実に行われていたならば,さらに詳しい情報を得ることも容易であったが,担当警察官らは,トラブルの性質についての事情ないし証拠を調査,把握しなかっ ,近隣にあっても周知の状況であり,近隣周辺の調査が確実に行われていたならば,さらに詳しい情報を得ることも容易であったが,担当警察官らは,トラブルの性質についての事情ないし証拠を調査,把握しなかった。 bP2警部補の熟慮意見,B民生委員からの情報を無視した。 (a)銃所持許可手続において,最も重要なものは身元調査とその結果であるところ,身元調査におけるP2警部補の意見は,射撃教習資格認定時と銃所持許可申請時の二度にわたって「熟慮を要す,る」というものであり,これは,銃所持を不許可相当とする意見であった。 P2警部補は,身元調査の結果,乙家と甲家との間の長年のトラ- 10 -ブルの多発という状況に接して,乙男が甲家との関係で,本来の使用目的から逸脱して銃を使用する可能性の存在を認識し,そのような事態の発生を危惧して,熟慮を要するとの見解を明らかにしたものである。 P3係長は,10年余りにわたって携わった銃所持許否合計200ないし300件のうち,身元調査で熟慮を要するという消極で慎重な意見は初めてであったが,そのことを被告Y2に報告しなかった。 (b)また,乙男は,B民生委員に対して「甲子がどうしても許,せないので何とかしたい,その結果刑務所に行くことになってもいい」と語っており,このことは,B民生委員から被告Y1に対しても伝えられていた。 (c)上記各情報は,丙署生活安全課に達していたのであり,これを銃所持許可のマイナス情報として扱わなかった,あるいは,許可判断者がこれを知らなかったのであれば,そのこと自体に警察としての過失があったこととなるのは明らかである。 c轢過事件を含めた乙男と甲子との関係の不安定性,葛藤の認識を反映しなかった。 (a)甲子は,乙男による不当な攻撃について,多数回にわたり,県警本部や丙署などに ったこととなるのは明らかである。 c轢過事件を含めた乙男と甲子との関係の不安定性,葛藤の認識を反映しなかった。 (a)甲子は,乙男による不当な攻撃について,多数回にわたり,県警本部や丙署などに申告し,善処を要望し続けており,丙署及び県警本部は,乙男の不穏性に関する情報について,十分に接し,認識していた。 (b)丙署及び県警本部は,遅くとも平成12年11月9日には,甲家と乙家との交際の端緒,不和及び不穏の時期と原因,嫌がらせの特徴的な内容,嫌がらせが既に20年近く継続していることを知ったのであり,今後も乙男の甲家に対する嫌がらせ行為が発生する- 11 -と予測することは十分に可能だった。 (c)P3係長は,轢過事件が故意によるものであれば,銃所持の許否の要件審査の対象となることを認識しながらも,轢過事件についてはあいまいな事実認識のまま要件審査をした。 dP2警部補の熟慮意見,B民生委員の提供情報,轢過事件の意義等についての評価を誤り,乙男の銃所持の危険性を認識し得ず,これを看過した。 (a)乙家と甲家との間には,しばしば警察官が臨場するトラブルが発生し続けていたのであって,その一方に銃を持たせることなどは極めて危険であり,通常の感覚からすれば誰しも危惧するところである。 (b)丙署及び県警本部は,頻繁多数回にわたって甲子からの被害申告と相談を受けており,乙男の不穏性に関する情報は十分に有していた。また,丙署生活安全課員は,乙男と甲子との間の紛争に何回も出動し,相談を受けてきており,両者間の紛争の中には,刑事,,事件の立件を想定したり犯罪要素を想定した事案が含まれており甲子と乙男との関係性には刑事事件の対象となる重大で深刻な要素があったにもかかわらず,その評価を誤った。 さらに,甲子は,主に轢過事件の捜査に関する丙 を想定したり犯罪要素を想定した事案が含まれており甲子と乙男との関係性には刑事事件の対象となる重大で深刻な要素があったにもかかわらず,その評価を誤った。 さらに,甲子は,主に轢過事件の捜査に関する丙署の活動についての苦情を県警本部に申し立てており,県警本部はこれを受理するとともに,公安委員会へ報告していたのであるから,警察官あるいは公安委員会において,いずれも,乙男の欠格事由該当性を認識することができたというべきである。 (c)銃器所持の許可事務に当たる警察官は,当然,犯罪学ないし犯罪心理学上の類型とそれを構成し得る指標について,的確な知識ないし学問的ないし経験的な実質的感覚を有しているべきである。 - 12 -本件事件のパターンは,多数の犯罪事例に基づいて考察されてきた犯罪心理学上の犯罪カテゴリーに関して,良く知られた古典的学説において特徴的指標を有する一個の類型として定立されたものに同定されるほど,一般的なものであり,警察官において,乙男の危険性を的確に評価すべきだった。 (d)P3係長及び被告Y2らは,上記P2警部補の意見を留意していたにもかかわらず,これを精査せず,無視して,漫然と乙男の銃所持を許可した。 P3係長及び被告Y2らは,診断書の正当性,真実性を検証しておらず,銃所持の目的の審査も不十分であった。面接表も,要件審査に加わる立場にない者が作成した,証明力が薄いものであった。 銃所持許可申請段階では,射撃教習資格認定よりも具体的な資料や情報に基づく許可,不許可の実質的審査を慎重に時間をかけて実施すべきだったにもかかわらず,P3係長及び被告Y2らは,射撃教習資格認定と同一の運用を行った。 ウ以上のとおり,丙署警察官及び県公安委員会は,近隣調査を十分に遂行し,乙男と甲子との長年のトラブル及び乙男の病状を把握するなどして 3係長及び被告Y2らは,射撃教習資格認定と同一の運用を行った。 ウ以上のとおり,丙署警察官及び県公安委員会は,近隣調査を十分に遂行し,乙男と甲子との長年のトラブル及び乙男の病状を把握するなどして,乙男に欠格事由の存在することを覚知し,本件許可申請に対する却下処分,,を下し本件事件の発生を未然に防止すべき義務があったにもかかわらず,,上記義務に違背し漫然と本件許可処分をして同人に対し所持許可を与え本件事件を招来したのであるから,本件許可処分は違法である。 エ被告Y1について(ア)捜査義務の懈怠被告Y1は,乙男の不法な攻撃について甲子からしばしば相談を受けて,とりわけ,轢過事件については犯罪として相談を受けており,捜査を進めて立件すべきであった。そして,粗暴犯であり近隣者に対して犯- 13 -罪行為に及んでいる乙男が欠格事由に該当する者であることは一見して明らかであるから,被告Y1が上記職務上の義務を誠実に尽くしていれば,本件許可処分がされることはなかった。 しかし,被告Y1は上記義務を怠って捜査を懈怠し,本件許可処分を招来した。 (イ)調査,審査義務の懈怠被告Y1は,甲子からの従前の相談・申告によって乙男の危険性について十分に認識しており,また乙男の精神異常さえ認識していたのであるから,乙男が欠格事由に該当することを認識していた。したがって,被告Y1は,本件許可申請に関し,乙男のトラブル及び病歴の把握に基づき,欠格事由に該当することを被告Y2に報告するとともに,本件許可処分の審査において上記トラブル及び病歴の事実が反映されるように行動し,乙男が欠格事由に該当するとの審査が行われるようにして,本件事件が発生しないように活動する義務を負っていたというべきである。 しかし,被告Y1は上記義務に違背して報告等を怠り,本件 るように行動し,乙男が欠格事由に該当するとの審査が行われるようにして,本件事件が発生しないように活動する義務を負っていたというべきである。 しかし,被告Y1は上記義務に違背して報告等を怠り,本件許可処分を招来した。 オ被告Y2について被告Y2は,丙署生活安全課課長として,住民生活関連の犯罪捜査や,県公安委員会が銃刀法上の猟銃所持許可処分の当否の判断をするための聞き込み調査などの調査,審査等の警察業務を行う任にあった。しかし,被告Y2は,上記義務を怠り,警察活動が適正に行われるよう生活安全課員を指揮せず,また,本件許可申請について正確適切な審査を行わず,丙署署長の決裁を誤らせ,本件許可処分を招来した。 カ被告Y3について県公安委員会は,丙署長に銃刀法所持許可に関する調査事務を委任する- 14 -に際しては,許可申請者の欠格事由該当性について正確な調査がされ,的確な意見が具申されるよう,警察署長を指導監督する責任があり,本件で調査が適切に行われれば,乙男について欠格事由に該当する旨の判断がされたはずである。 そして,県公安委員会の委員長は,公安委員会の主催者として,公安委員会の適切な運営が実現され,不適切で違法な銃砲所持の許可がされることのないよう,公安委員会の業務を指揮監督すべき責任がある。 しかし,被告Y3は,上記義務を怠り,本件許可処分を招来した。 (被告らの主張)ア(ア)本件事件に至る経緯についての主張は,以下に記載するほか別紙「本件事件に至る経緯」一覧表中「被告らの主張」欄記載のとおりである。 丙署が認知していた乙男と甲子のトラブルは,いずれも,刑事事件として立件できるようなものではなく,隣同士の諍いが些か度を過ぎているといった類のものであって,隣人トラブルの域を超えるものではなかった。また,そのトラブルも,平成1 トラブルは,いずれも,刑事事件として立件できるようなものではなく,隣同士の諍いが些か度を過ぎているといった類のものであって,隣人トラブルの域を超えるものではなかった。また,そのトラブルも,平成13年11月3日以降,警察への通報,相談等は途絶えていた。 丙署においては,原告らが主張するような,乙男が甲子に対して怨恨感情,憤まんを抱いていたとの事実は認識していなかったものである。 (),,イ本件教習資格認定申請の審査に際して被告Y2及びP3係長は,,かねてから乙男と甲子との間にトラブルがあったことを承知しており身元調査を行ったP2警部補からも「X1方と家族関係等で約20年,来トラブッている状況にあり,許可については熟慮を要する」との意見が寄せられていた。 そこで,被告Y2及びP3係長は,改めて丙署の相談記録により平成13年以降のトラブルの状況を精査したが,これらのトラブルは,隣人- 15 -トラブルの域を超えるものではなかった。また,同人らは,被告Y1に,,最近の状況を尋ね平成13年11月3日以降は甲子からも乙男からも同署への相談等がなかったことを確認した。 その上で,被告Y2及びP3係長は,銃刀法解説書や猟銃等取扱読本,。 を参照しながら乙男が6号の欠格事由に該当するかどうかを検討した(ウ)被告Y2及びP3係長は,上記検討の結果,乙男のトラブルは専ら甲家との間のものであって,他の近隣との間では何の問題もなかったこと,トラブルの内容も隣人トラブルの域を超えるものではなく,乙男が穏和な性格で粗暴性はないと認められたことから,銃刀法解説書及び猟銃等取扱読本の説明に照らして,6号の欠格事由は認められないと判断した。 さらに,精神病者,心神耗弱者等ではない旨の医師の診断書があり,医師の診断を排して,乙男を精神病者又は ら,銃刀法解説書及び猟銃等取扱読本の説明に照らして,6号の欠格事由は認められないと判断した。 さらに,精神病者,心神耗弱者等ではない旨の医師の診断書があり,医師の診断を排して,乙男を精神病者又は心神耗弱者と認める事情もなかったことから,2号の欠格事由も認められないと判断した。 被告Y2及びP3係長は,以上の事実から,乙男について,2号及び6号の欠格事由には該当しないと判断し,P3係長において射撃教習資格認定の起案を行い,被告Y2,副署長を経て署長の決裁を得た。 (エ)6号の欠格事由については,主観的な憶測では足りず,同号所定の「おそれ」を認定すべき客観的・合理的な根拠が必要と解されるのであり,本件では,乙男と甲子との間のトラブルが,銃器による殺傷事件等にまで発展しかねないとのおそれを人に抱かせるようなものであったかどうかが関係する。 仮に,原告らが主張する,乙男の諸々の言動を前提とした場合でも,そこから,乙男が銃器を使用して人を殺傷したり,威嚇,脅迫等を行う可能性があることを通常人が看取することは不可能であったというべきであり,上記認定時又は許可時において,乙男に6号の欠格事由があっ- 16 -たとは到底いえない。 (オ)本件許可申請時の判断も上記(ウ)と同様であるほか,P3係長も直接乙男と面接したところ,乙男は終始紳士的な態度で話し方も穏和であり,甲子との関係についても「大丈夫ですよ。問題ないですよ」。 ,「,との答えであったしP2警部補による身元調査の結果も穏和であり粗暴性は認められない」というものであった。 また,被告Y2及びP3係長は,被告Y1に質すなどして,本件教習資格認定以降も甲子とのトラブルに関する通報,相談等がないことを確認し,疑問を抱かせるような新たな事情は認められなかったことから,欠格事由には該当しな びP3係長は,被告Y1に質すなどして,本件教習資格認定以降も甲子とのトラブルに関する通報,相談等がないことを確認し,疑問を抱かせるような新たな事情は認められなかったことから,欠格事由には該当しないと判断した。 イ(ア)轢過事件について甲子から丙署に一般加入電話で申告があったため,P1巡査が甲子を訪ねて事情を聴き,経過を地域課の上司と生活安全課の被告Y1に報告した。 轢過事件については,甲子の「轢かれそうになった」との言葉の外にそのような事実があったことを認めるに足りる証拠はなく,乙男車が甲子の説明するような動きをして甲子に向かっていき,甲子が咄嗟にこれを回避してフロントガラスに手をついたというような状況はまったく窺われない。また,乙男に殺意が認められないことはもとより,脅しあるいは嫌がらせの目的で故意に車を甲子に向かわせたという事実も認められず,乙男に甲子を殺傷する危険性があることを窺わせるような轢過事件があったとは到底いえない。 轢過事件については,甲子が被害届を出さなかったために刑事被疑事件として捜査するには至らなかったものであり,乙男を轢過事件の犯人と決めつけ,乙男に欠格事由があったとする原告らの主張は根拠がないものである。 - 17 -(イ)身元調査についてa身元調査において,何軒の住宅を尋ねるか,誰に対して聞き込みを行うかは,調査者の判断に委ねられている。 ,,P2警部補は本件教習資格認定申請時の身元調査の際に近隣3軒本件許可申請時の身元調査の際に上記3軒のうちの1軒につき,乙男の銃所持に関する聞き込みであることは告げずに,聞き込みを行ったが,近隣には乙男と甲子とのトラブルに関わりたくないとの意識もあったようで,特段の情報は得られず,乙男と他の近隣とのトラブルの情報はまったくなかった。乙男と甲子との間にトラ げずに,聞き込みを行ったが,近隣には乙男と甲子とのトラブルに関わりたくないとの意識もあったようで,特段の情報は得られず,乙男と他の近隣とのトラブルの情報はまったくなかった。乙男と甲子との間にトラブルがあったことはP2警部補も既に承知しており,P2警部補は,それ以上の聞き込みを行うには及ばないと判断したものである。 bP2警部補が身元調査書に「熟慮を要する」と記載したのは,銃刀法上の許可事務に携わった経験もなく欠格事由に関する法条やその解釈に精通していたものではない中,乙男につき「穏和であり,粗暴,性は認められない」としつつも,甲子方とのトラブルが気になったことから,そのあたりをよく考える必要があるとの認識・意見を述べたものであり,乙男が欠格事由に該当すると判断したものではない。 P3係長は,本件教習資格認定申請時の身元調査の復命直後,P2警部補から直接話を聞いたが,乙男自身に関しては「礼儀正しくまじめな印象」とのことであり,許可すべきでないという意見ではなかった。 c甲子と乙男とのトラブルに関する近隣居住者の認識は,路上で両者が言い争っていることの目撃以外は,ほとんどが直接認知したものではなく,甲子の一方的な話をもとにしたものであって,その内容も,本件許可申請の審査時において,警察が把握していた内容以上のものではなかった。 - 18 -,,,それだけでなく近隣居住者の多くは本件事件発生後においても乙男につき好感的な見方を示していた一方で,甲子と乙男とのトラブルに巻き込まれるのを嫌い,誰一人として両者の間に分け入ったり,警察その他の関係機関に情報提供しようとはしなかったものである。 今になって,幾人かの者が,警察に聞かれれば答えたなどと言い出しても,これを信じることは到底できない。 原告らは,身元調査としての近隣居住者へ の他の関係機関に情報提供しようとはしなかったものである。 今になって,幾人かの者が,警察に聞かれれば答えたなどと言い出しても,これを信じることは到底できない。 原告らは,身元調査としての近隣居住者への聞き込みが不十分であった旨主張するが,そうした聞き込み等により,甲子と乙男とのトラブルや乙男の性格等に関し,警察が把握していなかった重要な情報がもたらされるというようなものではなかったことは明らかである。 (ウ)乙男のB民生委員に対する発言について乙男の上記発言は,同人が銃所持許可を得るための手続を開始する1年3か月も前のものであり,その真意は,B民生委員が理解し,Y1警部補に引き継いだとおりであって,乙男の粗暴性,危険性などを示すものではないというべきである。 (被告Y1及び同県の主張)被告Y1は,本件事件当時丙署生活安全課生活安全第二係長の職にあったもので,犯罪捜査を本務としていたわけではなく,轢過事件につき刑事事件としての捜査を行うべき立場になかったし,本件許可処分に関し,申請者の調査等の事務には従事していない。 (被告Y3及び同県の主張)県公安委員会においては,散弾銃の所持許可は警察署長の専決,公安委員会への事後報告事項とされており,本件許可処分についても,丙署長が決裁した。被告Y3は,県公安委員会委員長として,栃木県警察を管理する同委員会の会務を総理し,同委員会を代表する立場にあったのであって,本件許可処分に直接関わってはいない。 - 19 -(2)本件許可処分に関する県公安委員会あるいは丙署警察官の職務と甲子の死亡及び原告X3の負傷との間の因果関係(原告らの主張)県公安委員会あるいは丙署警察官の職務に前記(1「原告らの主張」)欄で主張した違法がなければ,乙男が数々の不法な攻撃を繰り返してきた事実が必ずや認知,報告さ 負傷との間の因果関係(原告らの主張)県公安委員会あるいは丙署警察官の職務に前記(1「原告らの主張」)欄で主張した違法がなければ,乙男が数々の不法な攻撃を繰り返してきた事実が必ずや認知,報告され,乙男に欠格事由があるとの判断に至って,本件許可処分は行われなかったはずである。そして,乙男は,本件許可処分に基づいて本件猟銃を所持し,甲子及び原告X3に対する凶行である本件事件に及んでおり,本件許可処分がなければ本件事件もあり得なかったのであるから,上記県公安委員会及び丙署警察官の職務行為と原告らの損害との間には,因果関係が認められる。 (被告らの主張)否認ないし争う。 (3)本件苦情申出に関する県公安委員会あるいは丙署警察官の職務の違法性,故意過失(原告らの主張)ア本件事件に至る経緯についての主張は,別紙「本件事件に至る経緯」一覧表中「原告らの主張」欄記載のとおりであり,甲子は,轢過事件に関する丙署の警察活動について,20回にわたり,丙署及び県警本部に対して苦情処理ないし情報提供を行った。 これらは,いずれも,栃木県公安委員会苦情処理規程及び栃木県警察苦情処理に関する訓令(以下「本件規程及び訓令」という)に基づく苦情。 に該当する。 特に,平成13年8月29日の電話は,これを受けた県警本部の担当課員であるP4警部補によって,正規の苦情として受理されていたし,苦情の内容は,甲子が同年9月17日に投函した手紙によって,正確に伝達さ- 20 -れた。 イよって,県警本部は,本件規程及び訓令に基づく内部での通知,調査及び措置並びに甲子への処理結果の通知を行うべきであった。また,県公安委員会も,本件訓令に基づく集約,整理,報告,事実調査等の指示や甲子への処理結果の報告を行うべきであった。 しかし,県警本部及び県公安委員会は,上記処理を 理結果の通知を行うべきであった。また,県公安委員会も,本件訓令に基づく集約,整理,報告,事実調査等の指示や甲子への処理結果の報告を行うべきであった。 しかし,県警本部及び県公安委員会は,上記処理を行わず,甲子に対する通知や報告も行わなかったものであり,苦情申出に対する処理に違法があった。 被告らは,甲子からの苦情の受付によって,乙男の危険性についての情報を得ていたにもかかわらず,苦情に対して,苦情処理制度の本旨・法規の規定に則った対応をすることなく,轢過事件についての捜査の懈怠を是正せず,刑事事件として立件しなかった。 ウまた,苦情申出を受けた警察は,警察活動の改善・適正化を実現する必要があり,県警本部や丙署においても,本件苦情申出を受け,轢過事件についてしかるべき態勢をとって処理し,立件すべきであった。 (被告らの主張)ア法律上義務付けられているのは,県公安委員会に対し文書による苦情申出があった場合の苦情処理であり,その余の処理は,県公安委員会及び県警本部長が内規(乙24,25)をもって制度化しているものであって,内規上の手続に沿った処理がされなかったからといって,対外的意味における違法の問題は生じない。 ,,,また警察にもたらされる苦情は様々でありこれに対する適宜の調査説明,説得等により目的が達せられるということも少なくないのであるから,苦情処理手続のルートに乗せ,回答を行う等の措置を講じなかったからといって,そのこと自体が直ちに国家賠償法の適用上違法の評価を受けるわけではない。 - 21 -イ甲子からの文書による苦情は平成13年9月17日付けの手紙のみであり,これもP4警部補宛のものであって,国家公安委員会規則に従った公安委員会に対する苦情申出ではなかった。 また,県警本部及び丙署は,甲子から寄せられた問い合わせ, 13年9月17日付けの手紙のみであり,これもP4警部補宛のものであって,国家公安委員会規則に従った公安委員会に対する苦情申出ではなかった。 また,県警本部及び丙署は,甲子から寄せられた問い合わせ,苦情等に対しては,その都度しかるべき回答を行い,事実関係の調査を行い,被害届を出すよう説得し,あるいは犯罪捜査のありようにつき説明する等の措置を講じてきた。上記手紙に関しても,従前から対処してきたものと同旨の苦情であり,P4警部補においてこれを丙署に回付し,その後,丙署刑事課員において甲子に被害届の意思につき確認の電話を入れ,来署を促すに至ったものであって,このP4警部補の措置に,国家賠償法の適用上違法な点はない。 (4)被告らの責任(原告らの主張)ア被告栃木県は,国家賠償法1条1項により,その職員等である県公安委員会,被告Y2,被告Y1等丙署警察官がその職務を行うにあたってなした不法行為について,その責任を負う。 イ(ア)被告Y1,被告Y2,被告Y3は,前記(1)原告らの主張欄記載の義務を怠り,本件許可処分,本件事件を招来したのであるから,民法709条ないし711条により,不法行為責任を負う。 (イ)警察関係者の職務懈怠により善良な市民に死者をも発生させる犯罪被害の多発という事態を直視するとき,少なくとも,当該事件の発生について故意又は重過失のある公務員に対して,その職務執行の適正を確保するとともに公務員の自覚を喚起することは必要不可欠となっており,公務員個人という理由のみで被害者が加害者に対して責任追及できないことは憲法17条の趣旨にも反し,不当である。 ウ(ア)被告Y1及び被告Y2は,本件許可処分手続の担当者及び責任者- 22 -であり,乙男による甲子への20年以上にわたる加害行為の内容と経過とを知っていたにもかかわらず も反し,不当である。 ウ(ア)被告Y1及び被告Y2は,本件許可処分手続の担当者及び責任者- 22 -であり,乙男による甲子への20年以上にわたる加害行為の内容と経過とを知っていたにもかかわらず,乙男による加害行為を制圧することなく漫然と本件許可処分をし,その必然的結果として本件事件を惹起したのであり,少なくとも重大な過失がある。 (イ)被告Y3は,公安委員会の委員長として警察事務の管理,監督を通じて銃刀法を適正に運用すべき義務があったのにこれを怠り,専決規程を極めて形式的に運用し,本件事件の直接の原因となった本件猟銃の所持を防止できなかったことについて,少なくとも重大な過失がある。 (被告Y1,同Y2及び同Y3の主張)公権力の行使に当たる公務員の職務行為による損害賠償について公務員個人が責任を負わないことは,既に判例上確立された法理というべきであり,原告らが主張する上記3名の被告らの行為は,被告栃木県の公権力の行使に当たる公務員の職務行為に該当することが明らかであり,公務員個人である同被告らは損害賠償責任を負わない。 (5)損害額(原告らの主張)ア本件事件により,甲子は全身に散弾を浴びて即死し,原告X3は顔面及び頭部を中心に全身に散弾を浴びて,体に多数の散弾が残っており,左眼失明,左手全廃,重度の神経症状に悩まされ,回復の見込みはほとんどなく,身体障害1級に認定されている。 原告らは,本件事件の被害者及びその遺族,家族として,大きな精神的苦痛を被っており,これを強いて慰謝料をもって評価すれば,甲子の夫である原告X1,甲子の子である同X2については甲子の死亡により,同X3については傷害により,甲子の弟であり同X3の夫である同X4については甲子の死亡及び原告X3の死亡にも比肩すべき重大な傷害により,それぞれ精神的苦痛を被って 同X2については甲子の死亡により,同X3については傷害により,甲子の弟であり同X3の夫である同X4については甲子の死亡及び原告X3の死亡にも比肩すべき重大な傷害により,それぞれ精神的苦痛を被っており,これを慰謝するにはそれぞれ800万円- 23 -の慰謝料を下回ることはない。 また,甲子の兄弟である同X8,同X9及び同X10は甲子の死亡により,同X3の母親である同X7,同X3の子である同X5及び同X6,同X3の兄弟である同X11,同X12及び同X13は同X3の死亡にも比肩すべき重大な傷害により,それぞれ精神的苦痛を被っており,これを慰謝するには500万円の慰謝料を下回ることはない。 イ本件苦情処理の違法によって,甲子は大きな精神的苦痛を被り,被告に対する慰謝料請求権を取得し,原告X1及び原告X2はこれを相続した。 また,原告X1及び原告X2は,甲子に対して不誠実な対応が示されるたびに大きな精神的苦痛を被っていた。よって,上記ア記載の同原告らの慰謝料請求の原因としては,本件苦情処理についての対応も含まれるものである。 第3争点に対する判断 上記前提となる事実に証拠(以下に記載するほか,主な証拠を各項目の後に掲げる。甲7ないし10,11の1ないし11の3,12ないし18,19の1ないし19の3,20の2,22ないし24,27の1ないし27の15,28ないし30,32の1及び2,33,37,38,42,43,46ないし48,52ないし60,62,63,65ないし71,乙1ないし23,26ないし47,50の1及び2,51ないし70,82ないし84,88ないし94,96ないし104,113,証人P1,証人P5,証人P3,証人P,,,,,,,,, 証人C証人D証人E証人F証人B証人G原告X1原告X4原告 84,88ないし94,96ないし104,113,証人P1,証人P5,証人P3,証人P,,,,,,,,, 証人C証人D証人E証人F証人B証人G原告X1原告X4原告X3,被告Y1,被告Y2)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下(1)ないし(10)の事実が認められる。 ()(,,,,,, 転入から平成10年まで甲18 乙88 103)ア甲子(昭和16年7月6日生)は,昭和44年10月26日,H株式会- 24 -社(以下「H社」という)勤務の原告X1(昭和17年8月1日生)と。 結婚し,原告X2をもうけた後,昭和53年12月5日から,原告X1がH社のあっせんで購入した分譲住宅(甲宅)で,原告X1及び同X2とともに3人で生活するようになった。甲子は,言動のはっきりした社交的な性格であり,ガーデニングを趣味として,家事の傍ら,自宅庭で様々な草木を育てるなどしていた。 乙男(昭和15年1月10日生)は,高校卒業後,自動車整備関係の工場勤務を経て,自衛隊に3年間勤務し,大型免許を取得するなどし,除隊後タンクローリーの運転手として稼働した後,H社に勤務するようになった。乙男は,昭和48年に妻の乙子と結婚し,翌49年に息子の乙郎をも,,(),うけた後甲子とほぼ同時期に甲宅の東隣の分譲住宅乙宅を購入し同所に居住するようになった。乙男は,生真面目な性格であり,山歩きや魚釣りを趣味としていた。 甲子,乙男らが居住していたI地区は,昭和52年ころに造成された新興住宅地であり,他にもH社の関係者が多く居住していた。 ,,,原告X4と原告X3は昭和48年9月に結婚後昭和54年1月から甲宅の南西隣に位置するX3宅に居住するようになった。X3家は,甲家とは,親族関係 り,他にもH社の関係者が多く居住していた。 ,,,原告X4と原告X3は昭和48年9月に結婚後昭和54年1月から甲宅の南西隣に位置するX3宅に居住するようになった。X3家は,甲家とは,親族関係にあり,親しくしていたが,乙家とは,会うと挨拶をする程度の関係であった。 イ甲家と乙家とは,転入当初は,顔を合わせると挨拶をしたり,専業主婦である妻同士が,昼間に世間話やお茶飲みをするといった和気あいあいの,,,付き合いをしておりじきに乙宅と甲宅の庭の境界部分の塀を一部開き乙子が度々甲宅を訪れるようになるなど,近所で,仲が良いと評判になるほどであった。 しかし,数年後には,乙子が甲家宛の郵便物を勝手に見た,見ないといった問題から,甲子は乙子に対して憤慨し,付き合いを断るようになり,- 25 -甲子の口からこのことを知った近所の者も,次第に乙子と疎遠になっていった。 ウ乙男は,昭和50年代半ば以降,自宅庭から甲子に対して怒鳴ったり,甲宅へ犬猫の糞やゴミを投げるといった嫌がらせをするようになっていった。 昭和62年以降,原告X1が,平日はJ県K市へ単身赴任をし,週末に甲宅に帰ってくるようになると,乙男の嫌がらせの多くは,平日の,原告X1が留守のときに行われるようになった。 エ甲子は,乙男の嫌がらせが約10年と長期にわたって続いたことから,平成3年12月には,L市広報課市民相談係,L地方法務局人権擁護係,精神保健相談センターへ,乙男に対して隣人としてどう対処すべきか等について相談をしたことがあった。 オ平成8年1月,乙子は,自治会の行事の準備から帰宅後,くも膜下出血を起こし,2度の手術を受けたものの,同年3月以降右半身不随となり,身体障害者1級,要介護2の認定を受けた。 乙子は,同年6月下旬に入院先の病院を退院して乙宅に戻ったものの, から帰宅後,くも膜下出血を起こし,2度の手術を受けたものの,同年3月以降右半身不随となり,身体障害者1級,要介護2の認定を受けた。 乙子は,同年6月下旬に入院先の病院を退院して乙宅に戻ったものの,脳外科及びリハビリ科への通院が続き,乙男は,仕事から早く帰って来ては,乙子の面倒をみたり,家事を行うようになった。乙子は,以前から難聴であったことに加えて,くも膜下出血後は失語症になり,片言の単語が話せる程度の状態となった。 乙男は,このころから,甲子が正午ころに布団を叩くことについて,大声で文句を言うようになっていった。乙男は「昼の食事,休憩時間に布,団を叩くのは非常識だ。昼時の時間帯を外してくれれば,音が大きかろうがかまわない」などと乙郎にも話し,甲子への怒りを顕わにしていた。 。 ,,,,,乙男は甲子が布団を叩く時間を午後1時2時などに変えてもなお,「()。」文句を言い続け甲子が周りの人も布団叩きをやっているでしょ- 26 -などと言うのに対して「周りはいいんだ。貴様だけは何やってもだめな,んだ」などということもあった。 。 乙男は,同じころ,自宅敷地内の,甲宅ベランダから目につく甲宅との境界付近に,約30cmの高さの木の棒を地面に立て,棒の先端に,ネズミの死骸を糸で吊すという奇異な行動に出た。 (2)平成10年(年を記載しないものはいずれも平成10年である。甲53,乙96,97)ア3月末ころ,甲家が甲宅屋根をコロニアルから瓦へ替えたところ,乙男が夜中に3日間にわたって甲宅の屋根へ石を投げた。また,同じころ,乙男が夜にわざわざ電話をかけ甲子に苦情を言うことがあった。 イ甲子は,そのころ,L地方法務局に電話で相談したところ,乙男の嫌がらせをメモに残しておくことを助言されたため,それ以降,乙男の じころ,乙男が夜にわざわざ電話をかけ甲子に苦情を言うことがあった。 イ甲子は,そのころ,L地方法務局に電話で相談したところ,乙男の嫌がらせをメモに残しておくことを助言されたため,それ以降,乙男の発言や行動で気付いた点を,日記等にメモするようになった。 ウ8月には,甲子が甲宅の庭木に消毒液を散布し,同時期に乙宅の庭の芝生が一部枯れたのを機に,乙男は,同月13日,甲子に毒物をまかれたなどとして110番通報をし,鑑識官を含む10名以上の警察官が出動するという騒ぎを起こした(以下「毒物事件」という。 。)その後,芝生が刈れた原因は,乙男がシンナー類の液体の残りを芝生に捨てたためであった可能性が高いことが判明した。 エ甲子は,10月3日,I地区の自治会の会長や副会長と共に,乙男の過去の嫌がらせを整理して記載したメモを持参して丁交番を訪れ,相談をしたところ,勤務先であるH社に相談すること,電話での嫌がらせは録音することを助言された。 オ12月8日には,甲家で頼んだ大工の職人が自動車2,3台を甲宅前の道路上に停めていただけで,乙男は,110番通報をしてパトカーを呼んだ。 - 27 -(3)平成11年(年を記載しないものはいずれも平成11年である。甲22⑫⑬,乙92)ア9月27日,乙男は,回覧板を届けに甲宅を訪れた際,チャイムを何度も異常に鳴らし,玄関先や庭先から甲子に対して執拗に叫び続けた。 ,,,,()甲子は翌28日近所に住むH社の総務課のMに対して前記 エのメモと同じメモを渡し,乙男との関係について,H社の仲裁を依頼した。 イ10月ころ,甲子は,乙宅との境に塀を建てることを考え,業者の見積もりをとるなどしていたところ,乙男が,甲子より先に,甲宅との境に約2mもの高さのアルミ製の塀を立てた。乙男は,甲子に覗 した。 イ10月ころ,甲子は,乙宅との境に塀を建てることを考え,業者の見積もりをとるなどしていたところ,乙男が,甲子より先に,甲宅との境に約2mもの高さのアルミ製の塀を立てた。乙男は,甲子に覗かれているから塀を立てたなどと乙郎に話した。 甲子は,このころから,乙男に,甲宅内での会話を盗聴されたり,甲子の様子を盗撮されているという不安を感じるようになった。 ウ甲子は,H社が仲裁に動いてくれる様子がみられない中で,10月17日には,近くの公民館へ無料法律相談に行き,乙男との件を相談した。 (4)平成12年(年を記載しないものはいずれも平成12年である。乙26,27,56,61,64,66,92,96ないし98,103,証人B,被告Y1)ア(ア)乙男は,3月にH社を定年退職した後,就職はせず,乙子の介護と家事のために,日中自宅で過ごすようになった。同じころ,乙子は病気のために満足に歩くことができなくなり,乙男は,度々,乙子を病院へリハビリに連れて行くようになった。 (イ)7月3日午後零時半ころ,甲子が布団を取り込んでいたところ,乙男は「今,昼休みだ。雨も降ってない,雷も鳴ってない,今布団取,り込む事ないだろう「オメェーは嘘つきだ。木を根元から切ると言。」ったのに切らない「旦那は俺を馬鹿にしている」などと怒鳴った。 。」。 - 28 -甲子は,同日夕方,丙署に電話をかけ,乙男との件の相談をしたところ,何かあったらいつでも110番するように助言された。甲子は,L地方法務局人権擁護課にも電話し,翌4日には相談に訪れた。 (ウ)7月4日の夕方,乙男は,回覧板を届けに甲宅に行った際に,大声で怒鳴り始め,その後,自ら110番通報をした。これを受けて,丙署の警察官2名が,パトカーで乙宅へ臨場した。また,同じころ,原告甲子も110番 日の夕方,乙男は,回覧板を届けに甲宅に行った際に,大声で怒鳴り始め,その後,自ら110番通報をした。これを受けて,丙署の警察官2名が,パトカーで乙宅へ臨場した。また,同じころ,原告甲子も110番通報をし,隣の主人が来てもめている旨申告し,丁交番の警察官2名が,丙署警察官の臨場直後に,パトカーで臨場した。丙署の担当警察官は,勤務日誌に「事案処理(口論「隣家とのいざこ,)」『ざ』との申告に基づく事案処理」と記載した。 (エ)甲子は,8月1日には,丙署に電話をして,乙男の嫌がらせについて相談し,人権擁護センター,裁判所,弁護士にも相談しているし,110番通報したこともある,最近は小石を投げたり車のエンジンをかけておいて排気ガスを流したりする,精神異常ではないかと思える行動が多い,何かあったら110番するのでよろしくお願いしたい,などと訴えた。丙署では,甲子からの相談内容を「隣りに住む住人からの嫌,がらせについて」と題を付して,電話記録用紙に記載した。 (オ)10月ころには,乙男は,甲宅との境の塀のすぐそばに,塀の高さより少し低い脚立を常置するようになり,度々,脚立に登って甲宅を覗き込むようになった。 また,乙男は,興奮したときに,脚立に登って塀の上から上半身を甲宅敷地内へ乗り出し,数十cmの長さの剪定鋏を持った腕を伸ばして鋏を開閉し,甲子を威嚇することもあった。 (カ)甲子は,11月には,夜中に乙男が甲宅敷地内に侵入しているという不安を感じ,カーポートに,センサー付きのライトを設置した。 イア甲子は11月1日にL地方法務局人権擁護課保健婦のN以(),,,(- 29 -下「N保健婦」という)に対して,電話で,乙男との件を相談した。 。 甲子は,その後,B民生委員の家を訪れ,興奮した様子で,乙男とのトラブル 護課保健婦のN以(),,,(- 29 -下「N保健婦」という)に対して,電話で,乙男との件を相談した。 。 甲子は,その後,B民生委員の家を訪れ,興奮した様子で,乙男とのトラブルについて相談をした。B民生委員は,甲子に対して,布団を入れる時間を変えたり,話し合いをするようにアドバイスをしたが,甲子には,アドバイスを聞き入れる様子はみられなかった。 (イ)11月7日,乙男がB民生委員に電話をかけ,甲子とのトラブルについて相談をした。乙男は,それまでの甲子との間のトラブルを話した上で,興奮した口調で「どうしても許せないので何とかしたい,そ,の結果刑務所に入る事になっても良い」と口にした(以下「刑務所発。 言」という。 。)B民生委員は,それまでに,相談者の口から刑務所発言のような言葉を聞いたことがなかったため,何か間違いがあっては困る,エスカレー,,「,トしては困ると思い乙男に対して思い余った様なことはしないでお互いに話し合った方が良いですよ」と助言した。 。 乙男は,その後しばらく話をした上で,甲子と話し合いをする気はない,ご心配をおかけしますなどと言って,電話を切った。 ウ(ア)甲子は,11月9日には,乙男との件を警察に相談するために,毒物事件を含む,それまでの経過を記載したメモを持参して丙署を訪れた。丙署では,生活安全課困りごと相談(12月から「警察安全相談」へ名称変更)係長の任に就いていた被告Y1が,甲子の相談について,安全相談案件として対応した。 甲子は,被告Y1に対して,丁寧な口調で,昭和57年頃から嫌がらせが始まったこと,N保健婦やB民生委員にも相談をしてきたことなどを伝えた。 被告Y1は,甲子に対して,すぐに解決とはいかないと思うが相手のことを調べて効果的な方法を考えたい,相手が敷地内に 嫌がらせが始まったこと,N保健婦やB民生委員にも相談をしてきたことなどを伝えた。 被告Y1は,甲子に対して,すぐに解決とはいかないと思うが相手のことを調べて効果的な方法を考えたい,相手が敷地内に無断で入った,- 30 -深夜大声で怒鳴る,凶器となるような物を手にする等の場合には110番申告をするようにと話した。 (イ)被告Y1は,甲子が帰った後で,N保健婦とB民生委員に電話をかけ,甲子と乙男との件について尋ね,聴取内容を,相談受理簿に記載した。 B民生委員からは,甲子の相談内容と,11月7日の乙男の電話での発言の報告があり,被告Y1は,上記受理簿に「どうしても許せない,ので何とかしたい。その結果刑務所に入る事になっても良い」と乙男。 がB民生委員に話したこと等を記載した。 (5)平成13年(年を記載しないものはいずれも平成13年である(甲。 17,22⑥,24,29,30,32の1及び2,42,43,47,48,53,67,乙28ないし44,51,52,56,57,67〔写真13,38,68〔写真24,100ないし104,証人C,証人P1,〕〕原告X1,被告Y1)ア(ア)甲子は,1月か2月ころに,B民生委員に電話をかけ,乙男とのトラブルの話をした。 そこで,Bは,乙男の様子を確認するために,乙男に電話をかけたところ,乙男は,乙子の容態や介護の苦労について話すだけで,甲子とのことについての話はなかった。 (イ)3月12日朝,乙男は,甲宅玄関先で,甲子に向かって大声で怒鳴った。 (ウ)4月16日,甲子が布団を取り込んでいる際中に,乙男が,金属製のものをかちかちとさせ始めたので,甲子は,午後2時半ころに,丁交番に相談の電話を入れ,P7巡査部長,P8警部補がパトカーで甲宅を訪れた。 P7巡査部長らは,甲子の話を数十分程度 に,乙男が,金属製のものをかちかちとさせ始めたので,甲子は,午後2時半ころに,丁交番に相談の電話を入れ,P7巡査部長,P8警部補がパトカーで甲宅を訪れた。 P7巡査部長らは,甲子の話を数十分程度聞いた後,甲子方を辞して- 31 -乙宅へ行くと,乙男がカーポートの辺りにいたため,10分程度乙男と話をして,仲良くするように注意をした。P7巡査部長らは,丙署の勤務日誌に「事案処理(隣家のトラブル「隣家同士のトラブルの事案,)」処理」と記載した。 (エ)甲子は,4月19日朝,裁判所に,乙男の嫌がらせについて何らかの保全処分を申し立てることができないか相談をしたところ,警察へ相談することを示唆されたため,丁交番に電話をした。 丁交番では,P8警部補が対応し,丙署生活安全課に相談することを勧めたため,甲子は,夕方,丙署生活安全課に電話で相談をしたが,満足のいく回答は得られなかった。 (オ)甲子は,5月には,原告X4の助言もあって,防犯カメラやダミーカメラを,玄関先,庭先,北側勝手口付近等に設置した。 5月20日午前4時ころ,原告X1が出勤のため車で甲宅を出た際,乙男は,棒を持って乙男玄関に立ち,原告X1に続いて車を発車させようとしたが,止めた。 5月28日午後3時ころ,乙男は,甲宅の壁に石や土を投げてきた。 (カ)6月9日,甲宅の前の道路の側溝の補修工事の件で,乙男と甲子,,及び原告X1がX3宅の庭まで聞こえるほどの大声で言い合いとなり原告X4が仲裁に入ることがあった。その際の乙男は,目つきが鋭く,全身を震わせ,言葉遣いも荒く,興奮していないときとはまったく異なる様子だった。 イ(ア)7月23日午前8時半ころ,甲子が,自宅近くのゴミ集積場から甲宅に戻ろうとして,C宅南側の5.8m幅道路(以下「本件道路」という)の南端付近を西方 ないときとはまったく異なる様子だった。 イ(ア)7月23日午前8時半ころ,甲子が,自宅近くのゴミ集積場から甲宅に戻ろうとして,C宅南側の5.8m幅道路(以下「本件道路」という)の南端付近を西方へ向かって歩いていたところ,前方から,乙。 男が運転するセダンの自家用車が,センターラインを南側へまたいで甲子の方へ向かってきて,甲子のすぐ脇で停止した。甲子は,驚いて車か- 32 -ら身をかわすとともに「きゃー何するの」などと大きな声で叫んだと,ころ,乙男の車はすぐにその場を去り,甲子も自宅へ歩いて帰った(轢過事件。 )甲子は,自宅へ帰ると,丙署へ電話をかけ,隣人に車で轢かれそうになったと伝えて警察官の来訪を求め,在宅していた原告X1にもその旨伝えた。 (イ)丙署は,丁交番に甲子の申告内容を伝えて臨場を指示し,同交番勤務のP1巡査が甲宅へ行き,事情聴取に当たった。 甲子は,P1巡査に対し,それまでの乙男の嫌がらせについて,嫌がらせを記載したメモを見せて話をした上で,轢過事件について,甲子を待ち伏せしていたのか,たまたま目に入って轢こうとしたのかわからないが,ここまでするというのは単なる嫌がらせではなく,殺意を持っているのではないか,などと話し,警察で何とかしてほしいと依頼し,原告X1も,警察の捜査を依頼した。 甲子は,30分ほど話をしているうちに,次第に,汗が吹き出て,顔色が悪くなるなど体調が悪化していったが,轢かれそうになったから気分が悪い,主人が居るから大丈夫,などと言いながら,P1巡査と話を続けていたところ,嘔吐するに至り,その後,救急車でQ病院へ運ばれた。 (ウ)P1巡査は,甲子作成のメモを借りて甲宅を辞し,帰署後,甲子の相談内容等を,相勤者に報告の上交番引継簿に記載した。丁交番の勤,「()」「『,務日誌には事 急車でQ病院へ運ばれた。 (ウ)P1巡査は,甲子作成のメモを借りて甲宅を辞し,帰署後,甲子の相談内容等を,相勤者に報告の上交番引継簿に記載した。丁交番の勤,「()」「『,務日誌には事案処理相談隣人からの嫌がらせを受けており今朝は隣人の車にひかれそうになった』との申告に基づき,相談者宅。 へ赴き事情聴取に従事した」と記載した。 。 P1巡査は,甲子の話には大げさな面があり轢過事件の事実関係の話も現実的ではないと考えて,甲子の申告を,被害申告ではなく,生活安- 33 -全相談として報告して,上司の判断を仰ぐこととし,警察安全相談記録簿(以下「相談記録簿」という)に「隣人からのいやがらせについ。 ,て」との件名で甲子からの相談内容を記載して,甲子の話を聞きながら作成した図面と甲子作成のメモを添付し,同日中に,丙署の生活安全課に提出した。 ウ甲子は,頭痛や吐き気がひどく,病院に搬送後そのまま入院することとなり,検査の結果,脳梗塞を起こしていることがわかったが,治療により症状が改善したため,8月10日に退院した。甲子は,入院中の7月24日には,看護師に対して,涙を流しながら,乙男の嫌がらせについて話をした。 P1巡査は,7月28日に,甲子から受け取ったメモを返すために甲宅を訪れたところ,原告X1から,甲子が轢過事件当日から入院している旨を聞いた。 エ被告Y2は,前記イ(ウ)の相談記録簿の決裁に際して,末尾に「事実関係について見分等に(より)明らかにし事実存在すれば警告等により対処のこと」と記載し,被告Y1に対し,甲子に電話をして詳細を聞くように指示をした。 被告Y1は,これを受けて甲方へ何度か電話をかけたが,甲子が入院中でつながらなかったところ,甲子に怪我も外傷もなかった以上現場に行って調査をすることもできないなどと て詳細を聞くように指示をした。 被告Y1は,これを受けて甲方へ何度か電話をかけたが,甲子が入院中でつながらなかったところ,甲子に怪我も外傷もなかった以上現場に行って調査をすることもできないなどと判断して,事実関係の調査を行わないこととした。 オ(ア)甲子は,退院後の8月13日に,丙署に電話をかけ,乙男が轢過事件の件で何か処分を受けたか問い合わせをした。丙署では,交通課が応対し,状況を調査してから連絡する旨を回答した。甲子は,翌14日も,丙署に問い合わせの電話をかけた。 被告Y1は,甲子からの問い合わせの電話があったことを知って,同- 34 -月15日に甲宅へ電話をかけ,甲子に対し「7月23日の件は相談と,して受理して報告書が作成されており,甲子に対するアドバイス等は考えたが,乙男を処分するための刑事手続は進めていない。処分を期待するのであれば最初からその意思を示し被害届を出して下さい。被害届があり犯罪構成要件に該当する行為があれば,適正な捜査を進め検察庁に送り,裁判にかける努力をする。今回は相談として受理したが甲子が入院していたのでその後のフォローもできなかった」などと回答した。 。 甲子は,被告Y1の話を聞き,轢過事件当日にP1巡査に話をしたにもかかわらず,自身が入院していた3週間近くの間捜査が行われないままであったことに対して,驚きと失望を隠せず,被告Y1の説明を納得することはできなかった。 (イ)甲子は,その後も轢過事件のことが頭から離れず,同月21日に,,,Cに会った際にも轢過事件の話をしたところCから轢過事件の際に甲子の悲鳴を聞き,甲子が本件道路の南端に立って北側を向き,甲子のすぐ目の前に,乙男車が東を向いて停まっているのを見たとの回答を得た。 そこで,甲子は,翌22日,被告Y1に電話をかけ,Cから聞いた話 子の悲鳴を聞き,甲子が本件道路の南端に立って北側を向き,甲子のすぐ目の前に,乙男車が東を向いて停まっているのを見たとの回答を得た。 そこで,甲子は,翌22日,被告Y1に電話をかけ,Cから聞いた話を伝えたが,被告Y1は,被害届は出さないと言ったはずだ,などと答えて,刑事手続を進めるという話はしなかった。 (ウ)甲子は,被告Y1の対応に落胆し,8月28日には,O新聞社の社会部に電話をかけて相談したところ,県警本部に相談することを勧められため,翌29日,県警本部に電話をかけ,応対したP4に対し,約1時間にわたって,丙署の対応についての不満を述べた。P4は,甲子の申告を苦情事案として処理し,上司に報告するとともに,丙署に連絡し,苦情受理書の写しを送付した。 被告Y1は,甲子の苦情申出の事実を聞き,以前は被害届を出さない- 35 -,,と言っていたのに話が違うと思ったたため甲子の真意を確認するべく同日午後1時30分ころに甲宅に電話をかけ,甲子の話を聴取した。その際,甲子は,轢過事件について,被害届の提出や告訴を考えたいと話した。 (エ)これを受けて,同日夕方には,丙署刑事課のP5警部補とP9警部補が,甲宅を訪れ,轢過事件について甲子の話を聴取した。甲子は,,,P5警部補らに対して隣がどうしてこういうことをするのか知りたい,,今は告訴するとかしないとかではない今回は車に轢かれそうになった車を武器にしているから警察が入れると思った,Cが轢かれそうになったのを見ているはずなので話を聞いてほしい,などと話をした。 P5警部補らは,甲子に対して,近所の住民や乙男から話を聞く,捜査した結果事件にできない場合もあるがそのときは了解してほしい,原,。 告X1が帰宅する9月1日にまた伺うなどと話をして甲宅を後にしたP5警部補らは,その足で, ,近所の住民や乙男から話を聞く,捜査した結果事件にできない場合もあるがそのときは了解してほしい,原,。 告X1が帰宅する9月1日にまた伺うなどと話をして甲宅を後にしたP5警部補らは,その足で,C宅を訪れ,Cから,轢過事件の目撃状,,,況として声がしたので声がする方を見ると甲子が道路に立っておりその脇に乙男の車が停まっていた,甲子が轢かれそうになった瞬間は見ていない,などと聴取した。 P5警部補らは乙宅も訪れたものの,留守のようだったため,乙男からの事情聴取は行わなかった。 (オ)P5警部補らは,甲子が話した轢過事件の態様が現実的なものではなく,Cも目撃者とはいえず,甲子の話を俄に信用することはできないと考えたものの,なお,甲子から被害状況を詳しく聞き実況見分を行ってから乙男の話を聞こうと考え,轢過事件について,暴行事件として捜査を開始することとした。 (カ)9月1日,P9警部補らが甲宅を訪れ,甲子と原告X1から話を聞くととともに,Cは轢過事件を目撃していない旨を伝えた。その際,- 36 -P9警部補らは,甲子に対して,被害妄想的ではないか,原告X1に対して,定年まであと1年だから仕事を辞めて自宅に戻ったらどうか,などと話をしたところ,甲子と原告X1はこれに不満を覚えた。 甲子は,翌2日に丙署に電話をかけ,警察官の来訪を要請し,これを受けて訪問したP9警部補らに対して,被害届を出したい旨伝え,翌日の午前9時に丙署に行くことを約束した。 しかし,一方で,甲子は,Cが轢過事件を目撃していないというP9,,,警部補らの話に納得していなかったのでその日の夜Cに電話をして再度,轢過事件の目撃状況について尋ねたところ,Cから,以前と同様に,甲子の様子を見ていた等の話が得られた。そのため,甲子は,Cは目撃者のはずであると考え,警 いなかったのでその日の夜Cに電話をして再度,轢過事件の目撃状況について尋ねたところ,Cから,以前と同様に,甲子の様子を見ていた等の話が得られた。そのため,甲子は,Cは目撃者のはずであると考え,警察に対してさらに不信感を抱くようになった。 そこで,甲子は,翌3日に,丙署へ電話をかけ,警察は信用できないから轢過事件についてはもう警察には頼まない旨を伝えるとともに,翌4日には,県警本部に電話し,P4に対して,轢過事件で何度も警察が家に来ているのに今さら被害届を出さなくてはならないのはおかしい等と述べ,P5警部補やP9警部補に対する不信感を伝えた。また,甲子は,O新聞に警察の対応を批判する内容の投稿を送るなどした。 (キ)甲子は,その後も,県警本部に電話をかけ,丙署警察官の対応について苦情を伝えるとともに,9月17日には,甲子がI地区の自治会の福祉部長と電話で話したときの話を録音したテープとその反訳書等を,P4宛てに郵送した。上記反訳書中,甲子の発言の中には「隣の,人が20何年,嫌がらせされてたんですけど,車を武器に使ったんで,警察入れてもいいかなと思って警察を入れたんです「警察入っても。」入んなくてもいいんですけど,お隣がなにしろ,何を思って,家だけ干渉しているんだかね,だからそれさえ止めてくれれば何の問題もないん- 37 -ですよ」というものがあった。 。 (ク)P5警部補は,9月26日,甲子に電話をかけ,被害届提出の意思を尋ねるとともに,翌日午後1時30分の来署を要請した。 翌27日,甲子は原告X1と共に丙署を訪れ,轢過事件の警察の捜査や事情聴取の方法について不満を伝えた上で,最終的に「事件から),(2か月も経って,もう遅いので被害届は出さない。今さらもめ事は起こしたくない。相手の尻に火を点けるようなものだ」と言い,被害 捜査や事情聴取の方法について不満を伝えた上で,最終的に「事件から),(2か月も経って,もう遅いので被害届は出さない。今さらもめ事は起こしたくない。相手の尻に火を点けるようなものだ」と言い,被害届は。 提出しないことを表明した。また,原告X1も「もっと悪くなるから,出さない」などと言い,甲子に同調した。 。 そこで,P5警部補は,轢過事件の申告の処理結果を明らかにするために,被害届を提出しないことを確認する文書の作成を甲子に求め,甲子の言葉を拾い上げて「私は,平成13年7月23日,午前8時17,分ころ,自宅北側の路上において,東隣に住む乙男さんが運転する普通乗用自動車に轢かれそうになりましたが,この件については,被害届を出したことによってさらに生命の危険があるかもしれないため,被害届。」,は提出しませんと記載した答申書を甲子と原告X1に示したところ甲子は,上記「ため」の後に「又,今さら届出しても遅いと思うた,,め」という文言を付加し,これに,甲子と原告X1が署名押印した(以下,上記の答申書を「本件答申書」という。 。)カ9月16日午後7時半ころ,甲子がX3宅へ行くために甲宅から本件道路上へ出た途端に,乙男の乗った自転車が甲宅フェンス付近に近づき,いったん方向転換した上で,甲子が,甲宅の3件西隣に位置するF宅の角を曲がるまで甲子の後を付いてきて,再度方向転換をして戻っていった。そ,,,。 のため甲子はX3宅から帰る際には原告X4に付き添ってもらったキ10月6日午前11時ころ,乙男は甲宅へ電話をかけ,電話に出た甲子に対し怒鳴って電話を切った。 - 38 -ク10月30日午後零時半過ぎ,甲子が布団を叩いて取り込んでいると,乙男が,塀の脇の脚立に登って塀越しに甲宅へ身を乗り出し,甲子に大声で文句を言っ 甲子に対し怒鳴って電話を切った。 - 38 -ク10月30日午後零時半過ぎ,甲子が布団を叩いて取り込んでいると,乙男が,塀の脇の脚立に登って塀越しに甲宅へ身を乗り出し,甲子に大声で文句を言ってきたため,甲子は,自宅庭にあった物干し竿を手に取り,乙男に向かって突き出した。すると,乙男は,甲子の手から物干し竿を奪い,手にした竿で,甲子の肩や手を突いてきたため,甲子は警察に連絡した(以下「竿突き事件」という)。 。 丙署警察官が甲宅,乙宅を訪れて事情を聞いたところ,乙男に外傷はなく,乙男は,甲子の布団叩きの時間についての不満や,覗かれるから塀を建てたことなどを話しながらも,竿を甲子に返すことを了承したため,担当警察官らは,双方に対して,仲良くするように諭して現場を後にした。 担当警察官は,丙署の勤務日誌に「事案処理(近隣トラブル「甲方,)」から隣人の乙男さんとトラブルになったとの申告により,現場赴き。事情聴取(昼食時,甲方において布団たたきをしたことから口論になったも。 の」と記載した。 。)甲子は,同月31日に県警本部に電話をしたが,満足のいく答えは得られなかった。 ケ11月1日午後2時ころ,甲子がうどん粉をビニール袋に入れて,自宅2階の乙宅側の窓から外へ突き出して置いておいたところ,乙男がカメラで写真を撮り始めたため,甲子は,ビニール袋を切って,炭疽菌より強い粉だ,と言って乙男の方へ粉をまき,これを見た乙男が,実際に炭疽菌をまかれたとして110番通報をした(以下「炭疽菌事件」という)。 。 ,,,,通報を受けてP5警部補らを含む警察官56名が出動したところ乙男は,非常に興奮しており,P5警部補らがうどん粉である旨説明しても,炭疽菌で間違いないから衣服の検査してほしい,として譲らず,P5,。 警部補らが 部補らを含む警察官56名が出動したところ乙男は,非常に興奮しており,P5警部補らがうどん粉である旨説明しても,炭疽菌で間違いないから衣服の検査してほしい,として譲らず,P5,。 警部補らが衣服の検査を了承するまでの間興奮が冷めない様子であったまた,その際,甲子は,P5警部補に対して「自動車に跳ねられても,- 39 -警察はなにもしてくれない。自分で対抗することに決めた」と話した。 コ11月2日,乙男は,竿突き事件について被害届を出したいとして丙署に行き,警察官とともに甲宅を訪れた。 サP5警部補は,炭素菌事件の際,衣服を検査するとして乙男から衣服を借りていったが,検査は行わないまま,12月20日に,乙宅を訪れて返却したところ,乙男は,P5に対して,落ち着いた様子で,甲子との間にはもう何もない,炭疽菌事件も気にしていないからもうけっこうです,などと話した。 シ乙子は,卵巣のう腫のために継続して通院するなど,体の不調が続いており,乙男は,年末ころから,乙子の看病疲れを理由として,かかりつけの内科医から睡眠薬あるいは安定剤の処方を受けて,服用するようになった。 (6)平成14年(年を記載しないものはいずれも平成14年である。甲55,乙7,13,15,16,45,46,50の1及び2,52ないし5,,,,,,,,,) 証人P5同P3同P6同G被告Y2,,,,ア乙男は2月初旬ころGの経営する銃砲店を紹介なく訪れGに対し射撃をやりたいと話した。 乙男は,続けて,H社を定年退職した,若いころから射撃をやりたいと思っており,病気の妻が回復してきてたまには付き添わなくとも大丈夫な状態になったから射撃をやりたいなどと話し,銃砲を所持したいと思っている旨を伝えた。 , 年退職した,若いころから射撃をやりたいと思っており,病気の妻が回復してきてたまには付き添わなくとも大丈夫な状態になったから射撃をやりたいなどと話し,銃砲を所持したいと思っている旨を伝えた。 ,,,Gは乙男に対して銃砲所持許可手続の説明をする中で乙男について物静かで紳士的であるという印象をもち,所持許可申請手続を手伝うこととした。 イ(ア)乙男は,2月18日,丙署を訪れて本件講習会申込をし,P10嘱託員がこれを受け付けた。 - 40 -(イ)丙署において,銃所持許可関係事務は,生活安全課保安係長のP3係長と生活安全課課長の被告Y2が担当していた。 P3係長は,銃所持許可要件の審査事務を約10年間,合計200ないし300件程度経験したが,それまでの間,不許可としたり,取り下げを促した案件はなかった。また,許可した銃が犯罪に使用されたという事例を目にしたこともなかった。 被告Y2は,平成13年4月から,銃所持許可関係事務に担当課長として携わるようになり,専ら,P3係長からの報告等をもとに審査を行っていた。 (ウ)被告Y2は,乙男について,轢過事件,炭疽菌事件が問題となっていたことや,乙男と甲子との間に長年のトラブルが継続していたことを知っていたため,P3係長に対して,引き続き行われる教習資格認定申請や銃所持許可申請の審査の際に,甲子とのトラブルが継続しているかどうか,あるいは,甲家との間以外にも乙男にトラブルがあるかどうかを含めて,身元調査等を十分に行うように指示をした。 また,Y2課長は,本件講習会申込についてP11副署長,P12署長の決裁を受ける際に,乙男が甲子との間にトラブルを抱えていると知っていたP12署長からも,身元調査をしっかりと行うように指示を受け,これをP3係長へ伝えた。 もっとも,被告Y2は,付近住民からの調 長の決裁を受ける際に,乙男が甲子との間にトラブルを抱えていると知っていたP12署長からも,身元調査をしっかりと行うように指示を受け,これをP3係長へ伝えた。 もっとも,被告Y2は,付近住民からの調査に際して甲家から意見聴,,取を行うと乙男あるいは甲子を刺激することにもなりかねないと考えP3係長に対して,甲家から必ず意見を聞くようにという指示は行わなかった。 (エ)P3係長は,被告Y2の指示を受け,P10嘱託員に対して,教習資格認定申請時に乙男と面接する際に,よく乙男の話を聞いてチェックすることを指示した。 - 41 -(オ)P3は,被告Y1が以前甲子から相談を受けていた関係で,被告Y1に尋ねれば,乙男と甲子との現在の関係について情報を得られると考え,乙男から本件講習会申込があったことを話した上で,乙男と甲子との間で炭疽菌事件以降新しいトラブル等があったかどうかを尋ねたところ,被告Y1から,同事件以降のトラブルは今のところ聞いていない旨の回答を得た。 (カ)乙男は,同月28日に,銃刀法5条の3第1項の講習会を受講の上考査に合格し,講習修了証明書を交付された。 ウ(ア)乙男は,3月11日,丙署を訪れて,散弾銃の所持を希望して,本件教習資格認定申請をし,P10嘱託員がこれを受け付けた。 P10嘱託員は,受付に際して乙男と面接を行い,医師の診断書,講習終了証明書,経歴書等の添付書類の確認に加えて,乙男から,面接調査表に基づき,2号の欠格事由に関して精神病歴の有無等を,6号の欠,(,,),格事由に関して性質粗暴性短気激情性としておとなしいこと素行(酒癖,ギャンブル癖等)としてギャンブルはやらないこと等を聴取し,その旨を記載した面接調査票を作成した。また,銃所持の動機として,退職した後の趣味として標的射撃をした 性としておとなしいこと素行(酒癖,ギャンブル癖等)としてギャンブルはやらないこと等を聴取し,その旨を記載した面接調査票を作成した。また,銃所持の動機として,退職した後の趣味として標的射撃をしたい旨を聴取した。 P3係長は,P10嘱託員から,上記面接調査表に基づき,聴取内容の報告を受けた。 (イ)銃所持許可関係の事務手続は,銃刀法関係事務処理要領に則って行うこととされており,同処理要領には,銃所持許可申請時に「身元,調査表…により調査を行うこと(第7の1(1)ウ「身元調査にあ」),たっては,申請者及び家族に直接面接するほか,付近住民,友人,勤務先等について幅広く行い,申請者の性格,行状,生活環境,用途目的等について調査を行うこと(第7の1(2)が規定されており,教習」)資格認定申請の段階から身元調査を行うこととされていた。 - 42 -P12署長は,同日付けで,乙宅を所轄する丁交番の所長代理であったP2警部補に対し,乙男の身元調査を命じた。 (ウ)P3係長は,被告Y2から身元調査をしっかりと行うように指示を受けていたものの,P2警部補に対しては,乙男と甲子のトラブルは丁交番管内で起きていたものであるため,改めて上記の指示をしなくとも,P2警部補は,当然に,慎重に身元調査を行うべき事案であるとわかっているはずであると考え,特段の指示はしなかった。 (エ)P2警部補は,P5警部補に,乙男と甲子とのトラブルについて質問するなどして,乙男の6号の欠格事由の有無等の調査を行い,同月16日「性格」につき「穏和であり,粗暴性は認められない「日,,」,常生活態度」につき「家族仲は良いが隣に居住するX1と家族関係等,で約20年来現在までトラブッている」旨記載し「その他参考事項,,許可についての適否意見」として「隣に居住す 「日,,」,常生活態度」につき「家族仲は良いが隣に居住するX1と家族関係等,で約20年来現在までトラブッている」旨記載し「その他参考事項,,許可についての適否意見」として「隣に居住するX1と家族関係等で,20年来トラブッている状況にあり,許可については熟慮を要するものと認められる(トラブル事案については既に生活課に報告済(熟慮。 )」意見)と記載した身元調査表を作成し,丙署へ提出した。 P2警部補は,乙男の家族,退職した勤務先であるH社からの聴取は行わなかった。また,付近住民からの聴き取りとして,乙宅の西隣に位置する甲宅,その西隣のE宅や,同じ並びのF宅,乙宅から道路を挟んで北東の向かい側に位置するD宅からの聴取も行わず,B民生委員からの聴取も行わなかった。 (オ)P3係長は,同日中に,P2警部補に対して,電話で,聞き込み先とその回答,P2警部補自身の抱いた印象を尋ね,P2警部補から,近隣住民3軒から聞き込みをしたが,1軒は関わり合いになりたくない様子であり,他の2軒からは,乙男は真面目な人物で,甲子が被害妄想的であるとの話が寄せられた,P2警部補自身も乙男と面接した結果,- 43 -真面目で粗暴性は認められず,甲家以外には隣近所とのトラブルも認められなかった,との回答を得た。 (カ)P3係長は,P2警部補に対して,乙男の家族や元勤務先,友人等について面接調査を行ったか否かについては確認せず,聞き込み先の3件の近隣住民が誰であるかも確認しなかった。 P3係長は,身元調査表に「熟慮を要する」という意見が記載され,ているのを目にしたのは初めてであったところ,その意味については,生活安全課に報告済みのトラブルの外に,さらにトラブルがあるかどうかをよく調べてほしいとの趣旨と理解した。 (キ)P3係長は,相談記録簿 るのを目にしたのは初めてであったところ,その意味については,生活安全課に報告済みのトラブルの外に,さらにトラブルがあるかどうかをよく調べてほしいとの趣旨と理解した。 (キ)P3係長は,相談記録簿から乙男と甲子に関する記録を調べた上で,再度,被告Y1に対して,乙男と甲子の間に最近トラブルがないかどうかを尋ね,被告Y1から,トラブルの報告は受けていない旨を聴取した。 (ク)P3係長は,相談記録簿のうち,轢過事件についてP1巡査が作成した記録を見て,P5警部補に轢過事件のその後の処理結果を尋ね,甲子から被害届が出されず事件化が難しかった旨,甲子が本件答申書を作成した旨を聴取した。 P3係長は,P5警部補の話を聞いても,乙男がわざと甲子を車で轢こうとした事実が果たして存在したか否かについて,自ら確証をもつことはできないままでいたが,これを確認する調査は行わず,被害届が出されなかった理由をP5警部補に尋ねたり,本件答申書を調査することもなかった。 また,P3係長は,上記相談記録簿に,甲子の相談内容として「乙,(男は)殺意をもっているのではないか」との記載があるのを目にしたものの,気に留めることはなく,記載者であるP1巡査から話を聞くこともなかった。 - 44 -(ケ)被告Y2は,P3係長から,前記(ア(エ)及び(キ)記載),の事項について報告を受けたが(ウ(カ)及び(ク)記載の事項に,),ついては報告を受けなかった。 被告Y2は,身元調査表の「熟慮を要する」との意見について,甲家との諍い,トラブルが20年も続いているのでこれを参考にして慎重に判断すべきである,との趣旨と理解した。 エ(ア)被告Y2は,P3係長と共に,警察庁保安部保安課編集の「銃刀法解説書」や,警察庁生活安全局銃器対策課監修の「猟銃等取扱読本」の6号の欠格 して慎重に判断すべきである,との趣旨と理解した。 エ(ア)被告Y2は,P3係長と共に,警察庁保安部保安課編集の「銃刀法解説書」や,警察庁生活安全局銃器対策課監修の「猟銃等取扱読本」の6号の欠格事由の解説部分を参照して,教習資格認定の可否について審査を行った。 ,,「,,,銃刀法解説書には6号の欠格事由について例えば殺人強盗傷害等の犯罪を犯し再犯の疑いのある者,…,犯罪の経験はないが,その性格,環境などからみて現に人の生命,身体若しくは財産又は公共の安全を害するおそれのあることが明らかである者等がこれに該当する」と記載され,これに続いて「公共の安全を害する」の例として「直,,接には人の生命又は財産に対して危害を加えないが,絶えずゆすり,たかり,脅迫等を行っている者が,近隣の者に畏怖心を起こさせるような言動をする場合」が挙げられていた。 猟銃等取扱読本には6号の欠格事由に該当する場合の例として殺,,「人罪,強盗罪,恐喝罪,傷害罪等の犯罪を犯し再犯のおそれがある者,ゆすり,たかりなどを行って,近隣の者に恐怖心をおこさせるような言動をしている者,飲酒すると凶暴な言動をする者,激情型の性格の者」が挙げられていた。 (イ)被告Y2及びP3係長(以下「被告Y2ら」という)は,銃所。 持の目的は標的射撃にあることを考慮したほか,乙男と甲子との間の諍いは,20年前からの嫌がらせの継続,轢過事件,炭疽菌事件いずれに- 45 -ついても,若干度が過ぎた悪質なものであることは否定できず,修復には時間がかかるかもしれないが,いわゆる隣近所の諍いにすぎないと評価し,これに,平成13年11月3日以降両者からトラブルの相談がなかったこと,乙男について穏和,真面目で粗暴性は認められないとの前記ウ(エ)のP2警部補による人物評価と る隣近所の諍いにすぎないと評価し,これに,平成13年11月3日以降両者からトラブルの相談がなかったこと,乙男について穏和,真面目で粗暴性は認められないとの前記ウ(エ)のP2警部補による人物評価とを加味し,乙男が甲子に対して銃を悪用するおそれは認められず,前記(ア)の,銃刀法解説書及び猟銃等取扱読本の記載のいずれにも該当しないと判断した。 以上の検討の結果,被告Y2は,乙男は6号の欠格事由に該当しないと判断して,乙男に対する教習資格認定証の交付を可とする意見をP13副署長,P14署長に報告し,決済を受けた。 P14署長は,3月15日に着任したばかりであったが,既に,乙男が甲子との間にトラブルを抱えていることを知っており,被告Y2に対,。 して最近トラブルが発生していないかよく調査するように指示をした(ウ)4月1日,P14署長は,乙男に対して教習資格を認定し,翌2日,P10嘱託員が乙男に対して認定証を交付した。 乙男は,同月12日,A射撃場で,Gの指導により,射撃教習,25発の実射試験を受け,教習修了証明書の交付を受けた。 オ(ア)乙男は,4月24日,丙署を訪れ,標的射撃を用途として,散弾銃の所持を内容とする本件許可申請をし,P10嘱託員がこれを受け付けた。 P10嘱託員は,乙男と面接を行い,本件資格認定申請時の調査事項に加えて,乙男から,用途目的として,射撃教習を受け,健康で身体的欠陥もなく,用途が射撃で銃との適合性もあること,銃砲保管状況,火薬保管状況等を聴取し,総合判断として,許可上支障ないと認める旨の意見を記載した面接調査票を作成した。 P3係長は,通常の許可申請の案件では,自らが面接を行うことはな- 46 -かったものの,本件許可申請については,被告Y2の指示を受けて,直接乙男と面接を行い,銃所持の動機や甲家との関係につ た。 P3係長は,通常の許可申請の案件では,自らが面接を行うことはな- 46 -かったものの,本件許可申請については,被告Y2の指示を受けて,直接乙男と面接を行い,銃所持の動機や甲家との関係について尋ねたところ,乙男は,退職したので趣味として射撃をやりたい「隣とは大丈夫,です。特に問題はないですよ」等と,淡々と話していた。 。 P3係長は,乙男について,穏やかで真面目で紳士的な印象を受け,乙男の話に不審な点は感じなかったため,甲家との関係について,轢過事件等の具体的な事象を挙げるなどして,さらに深く質問をすることはせず,紳士的で温厚な人物である旨を,被告Y2へ報告した。 (イ)被告Y2は,P3係長の報告を受けて,身元調査の下命の決裁を上げるのに問題はないと考え,副署長,P14署長の決裁を受けた。決裁に際して,P14署長は,被告Y2に対し,身元調査で,前回の調査以降のトラブルがないかどうか,近隣の者に対する暴力事件などを起こしていないかよく調査するように指示をした。 P2警部補は,同日付けでP14署長による身元調査の下命を受け,同年5月8日,乙男の欠格事由の有無等の調査を行い,本件資格認定申請時と同様に,前記ウ(エ)のとおりの熟慮意見を記載した身元調査表を,丙署へ提出した。 P3係長は,被告Y1から,新しいトラブルの相談を受けていないことを,P5警部補から,平成13年12月に乙宅を訪ねた際には前記(5)サのとおり,乙男の様子は問題がなかったことを聴取し,その旨被告Y2へ報告した。 (ウ)被告Y2らは,5月10日,前記エ(イ)と同様の検討事項に加え,炭疽菌事件以降約6か月間の間,乙男と甲子との間に,警察に連絡が入るようなトラブルはなかった以上,今後両者の間に何らかのトラブルが起きる可能性は低いと考えて,甲子との間に以前トラブルがあ 項に加え,炭疽菌事件以降約6か月間の間,乙男と甲子との間に,警察に連絡が入るようなトラブルはなかった以上,今後両者の間に何らかのトラブルが起きる可能性は低いと考えて,甲子との間に以前トラブルがあったという事実は,6号の欠格事由についての客観的,合理的根拠には当た- 47 -らないと評価した。 被告Y2は,上記評価に基づき,乙男は6号の欠格事由に該当しないと判断し,6月3日,乙男に対する銃所持許可を相当とする意見をP13副署長,P14署長に報告し,決済を受けた。 同日,P14署長は本件許可処分をし,翌4日,P10嘱託員が乙男へ猟銃所持許可証を交付した。乙男は,同許可証の交付を受けると,その足でGの銃砲店を訪れて本件猟銃を購入し,再度丙署に戻り,P3係長とP10嘱託員から,銃の確認や,保管上の注意事項等の指導を受けた。 ,,,カ甲子は3月上旬には明け方に乙男が甲宅の庭に来ている気配を感じ防犯グッズの設置を検討したり,民間の調査会社へ,門扉の開閉時に音が出るような装置の設置について相談した。 キ乙男は,4月,5月ころからは,乙子が足の浮腫のために1人では歩けなくなったため,夜中に1時間おきに起こされる状態となり,睡眠不足の状態が続くようになっていた。 ク6月5日午後零時半ころ,甲子が布団を取り込んでいる最中,乙男が,乙宅から塀越しに甲子に向かって怒鳴り出したため,甲子は警察へ相談することを考えたが,1人で話をするのでは警察にばかにされるため原告X4に同席してもらおうと考え,夕方,原告X3に電話をかけ,乙男の嫌がらせがまた始まり,午後9時過ぎに警察官が甲宅に来るため,原告X4にも立ち会ってほしいと依頼した。 甲子は,午後9時半ころに甲宅を訪れた丁交番所長のP6警部補とP15巡査に対して,乙男のこれまでの嫌がらせを話し,何か事が 9時過ぎに警察官が甲宅に来るため,原告X4にも立ち会ってほしいと依頼した。 甲子は,午後9時半ころに甲宅を訪れた丁交番所長のP6警部補とP15巡査に対して,乙男のこれまでの嫌がらせを話し,何か事が起きる前に何とかしてほしいと頼んだところ,P6警部補らは,今一度,民生委員や自治会役員等に相談することを勧め,身の危険を感じたときは110番をして下さい,警らを強化します,などと言って,午後10時20分ころ,- 48 -甲宅を後にした。上記相談の際,甲子から,乙男が猟銃を所持しているとの話は出なかった。 ,,「」P6警部補は相談記録簿に隣家の主人にいやがらせをされているとの件名で,甲子の相談内容を記載した。 ケ甲子は,翌6日には保健所に,翌々7日にはB民生委員に電話をかけ,轢過事件を含めて,乙男の件について相談した。これに対して,Bが,轢過事件の事実関係等を詳しく尋ねたり,甲子にも問題があるのでは,と伝えたところ,甲子は,Bにはもう相談しない旨を告げて電話を切った。 コ乙男は,同月8日,Gから,トラップ射撃(射台の前方15メートルから飛び出す,クレーと呼ばれる皿を射止める射撃競技)用の弾丸250発を購入し,翌9日には,Gの付き添いのもとA射撃場へ行き,本件猟銃を初めて用いて,150から160発程度,トラップ射撃を行った。 乙男は,Gに対して,今度またお願いします,と言い,同射撃場を後にした。 サ乙子は,同月13日に容態が悪化し,救急車で搬送された。 シ乙男は,7月3日の午前9時ころから,乙子を介護施設に預けた。 (7)ア乙男は,7月4日午後1時8分,乙宅2階の自室に保管してあった本件猟銃を持ち出し,乙宅庭から,甲宅2階ベランダで布団を取り込んでいる甲子目掛けて銃弾を発射し,甲子は頭部左側面に被弾してその場に転倒した。 その後 日午後1時8分,乙宅2階の自室に保管してあった本件猟銃を持ち出し,乙宅庭から,甲宅2階ベランダで布団を取り込んでいる甲子目掛けて銃弾を発射し,甲子は頭部左側面に被弾してその場に転倒した。 その後,乙男は,甲宅の敷地内へ侵入し,甲宅1階南側窓のガラスを割ってサンダル履きのまま甲宅内へ押し入り,2階ベランダへ行き,1,2mの至近距離から,助けを求める甲子の右胸へ,さらに3発の銃弾を撃ち込んた。 原告X3は,X3宅に在宅していた折,突然の発砲音に驚いて2階に駆け上がり,東側窓から,音のする甲宅の方を見たところ,甲宅2階ベラン- 49 -ダに甲子が横たわり,乙男が傍らで本件散弾銃の銃口を甲子に向けて構え,,,,ているのを目にしたため大声でやめてやめてと叫んだところ乙男は原告X3を狙って発砲を繰り返し,最終的には,甲宅へ駆け寄ろうとX3宅北方の勝手口から外へ出た原告X3目掛けて2発の銃弾を発射し,原告X3は頭部左側面と頚部左側面に被弾してその場に転倒した。 乙男は,その後,甲宅2階6畳間で,自ら銃弾で頭を打ち,自殺した。 (甲7,16,18,乙67〔写真73,81)〕イ原告甲子は,Q病院に搬送されたが,同日午後2時39分に,出血性ショックにより死亡した。 原告X3は,R病院に搬送され,ICU救命救急センターでの懸命の治療により一命をとりとめ,その後,眼球摘出手術,長期間のリハビリを経たものの,左腕の機能全廃,体幹の機能障害による歩行困難により,身体障害者1級の認定を受け,日常生活の大半を車椅子で過ごし,介護を要する状態にある。また,頭蓋骨や頚部等に,100個以上の散弾が,摘出が困難なまま残存し,常に痛みやしびれといった神経症状に苦しみ,睡眠も阻害される状態にある(甲7ないし13)。 (8)ア原告X1は,平成15年10月1 頭蓋骨や頚部等に,100個以上の散弾が,摘出が困難なまま残存し,常に痛みやしびれといった神経症状に苦しみ,睡眠も阻害される状態にある(甲7ないし13)。 (8)ア原告X1は,平成15年10月14日,県公安委員会に対して,本件事件につき,犯罪被害者給付金支給裁定の申請をしたところ,同16年1月28日,甲子と乙男とは約20年間にわたりトラブルを続けていた状況にあり,同トラブルの積み重ねによる感情的対立が本件被害の背景事情と認められ,犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律施行規則(平成15年9月11日国家公安委員会規則第14号による改正前のもの。以下同じ)6条前段の「犯罪行為が行われた時において,被害者等と加害者と。 の間に密接な関係があつたとき」に当たり「一部を支給しないことが社,会通念上適切でないと認められる特段の事情があるとき(同規則8条1」項)にも当たらないとして,3分の1相当額を減額した金額を支給する旨- 50 -の裁定がされた(甲25,乙109ないし111)。 イ原告X1,同X2,同X3及び同X4は,平成16年12月,L地方検察庁に対し,被告Y2,同Y1,同Y3を被疑者として,本件所持許可処,。 ,分につき業務上過失致死事件として告訴をしたL地方検察庁検察官は平成17年12月28日,同事件につき不起訴処分をしたため,原告X1らが,平成18年4月20日にL検察審査会に対して審査申立をしたところ,同審査会は,同年10月19日,被告Y1及び同Y3については不起訴処分を相当とする議決をし,被告Y2については「本件散弾銃の所持,を許可するに当たっての責任者であり,その使命は極めて重く,許可に当たっては,身元調査等を十分に行うべきであったのに,不安な部分を抱えたまま許可してしまった過失が否定できず,また,被疑者に予見可 ,を許可するに当たっての責任者であり,その使命は極めて重く,許可に当たっては,身元調査等を十分に行うべきであったのに,不安な部分を抱えたまま許可してしまった過失が否定できず,また,被疑者に予見可能性がまったくなかったとまでは言い切れないことから,捜査が不十分であると言わざるを得ず,再捜査を要望する」との理由により,不起訴を不当とする議決をした(甲18,63)。 (9)付近住民の認識(甲33,37,38,乙82ないし84,証人D,同E,同F)アDは,乙家と本件道路を挟んで北東の向かいの位置に居住しており,平成13年7月ころから平成14年5月ころまでの間に約10回程度,日中自宅にいる際に,乙男と甲子が本件道路上で激しく怒鳴り合っていたのを耳にし,窓から乙男らの様子を窺うことがあった。Dが目にした際の乙男と甲子の様子は,1m位離れた距離で,お互い向き合い,罵り合うような言い方で怒鳴り合うというものであり,何かのはずみで殴り合いになるのではないかと思わせるような,険悪な様子だった。 Dは,平成13年11月を含めて,3回ほどパトカーが来たのを見たことがあった。 イEは,甲家の西隣の位置に居住し,甲子と親しく付き合っており,甲子- 51 -,,,から乙男による嫌がらせとして布団叩きについて文句を言われること糞を投げられたこと,屋根に石を投げられて瓦が割れたこと,木を切れと怒鳴られたこと,塀の脇の脚立に登ってがたがたとされること,盗聴器を仕掛けられたこと,車で追いかけようとされたこと,轢過事件があったこと等の話をその都度聞かされており,約20年間の間トラブルが継続していることを認識していた。 Eは,乙男が甲宅へ回覧を届けに来たときに甲高く裏返るような大声で怒鳴っていたのを耳にしたり,道路上で乙男と甲子が大声で言い争っている り,約20年間の間トラブルが継続していることを認識していた。 Eは,乙男が甲宅へ回覧を届けに来たときに甲高く裏返るような大声で怒鳴っていたのを耳にしたり,道路上で乙男と甲子が大声で言い争っているのを聞いたこともあった。 また,甲子が「警察は,女の言うことと思って聞く耳を持っていない」,などと,警察が甲子の話を聞いてくれないことについて不満を述べていたのを聞いていた。 ウFは,甲家の3件西隣の位置に居住し,甲子と親しくしており,甲子から「私が言っていたことを覚えてほしい」と言われたり「乙男からの,,(嫌がらせの)証拠になるから日記を書く」と言っているのを聞いていたほか,乙男による嫌がらせとして,糞を庭に投げられたこと,石を投げられたこと,ネズミの死骸を吊されたこと,路上でけんかをしたこと,毒物をまかれたと言って110番されたこと,回覧を届けに来た際に大声で怒鳴られたこと,木を切れと言われたこと,盗聴器を仕掛けられたこと,脚立に登って騒がれたこと,唾を吐きかけられたこと,側溝の工事後にわざと水を流されたこと,車で追いかけようとされたこと,轢過事件があったこと,竿で突かれて怪我をしたこと,炭疽菌をまかれたと言って110番されたこと等の話をその都度聞かされていた。 (10)なお,上記(6)クの平成14年6月5日のP6警部補らの甲宅訪問時の甲子の発言について,証人P6の証言(同人の陳述書も含む。以下同様)中同認定に反する部分は,以下のとおり採用できない。 - 52 -アすなわち,証人P6は,甲子から「隣の主人が猟銃を持っているとい,う話を聞いたんですけど,キチガイに銃なんか持たせていいんですか「銃」で何かされたら困る」との話があったと証言し(証人P6〔37,41,94,証人P6作成の陳述書等にも同様の記載部分がある(乙55,4 を聞いたんですけど,キチガイに銃なんか持たせていいんですか「銃」で何かされたら困る」との話があったと証言し(証人P6〔37,41,94,証人P6作成の陳述書等にも同様の記載部分がある(乙55,4〕6,47。 )イしかしながら,まず,トラブル相手である乙男が猟銃を持っているという重大な事項を甲子が知った場合に,F,原告X3など親しくしていた近隣の者に,すぐにその旨伝えないとは考えにくいところ,証拠(甲38,54,証人F,原告X3)によれば,両名とも,本件事件が起きるまで,乙男が銃を持っているとは知らなかったものと認められ,この点不自然というほかない。また,甲子に乙男の銃所持を知り得る機会があったとは窺われないから,甲子が,同日の時点で,乙男の銃所持を知っていたとも考えられない。さらに,P6警部補が上記相談後直ちに作成した相談記録簿(乙45)には,甲子からの相談内容が詳細に記載されていながら,上記甲子の話の記載がなく,記載を欠くことについて合理的理由も認められない。以上の点に加えて,P6警部補の訪問時に同席していた原告X4は,(),甲子から銃の話が出たことを否定していること原告X4を考慮すると証人P6の上記証言部分等は採用できない。他に上記認定を覆すに足りる証拠はない。 争点(1(本件許可処分に関する県公安委員会ないし丙署警察官の職務の)違法性,故意過失)について(1)違法性についてア銃刀法は,殺傷を目的とする凶器である銃砲刀剣類及びこれらに類する物件を所持,使用することなどにより生ずる危険性に鑑み,その危害を予防し,国民の生活の安全を図ることを目的として,銃砲等の所持を一般的に禁止する等必要な規制を定めているものであるから,個々人の生命及び- 53 -身体という個別的利益を保護する趣旨を含むと解され, 防し,国民の生活の安全を図ることを目的として,銃砲等の所持を一般的に禁止する等必要な規制を定めているものであるから,個々人の生命及び- 53 -身体という個別的利益を保護する趣旨を含むと解され,銃刀法上の所持許可処分にかかる公務員の職務行為が国家賠償法1条1項の適用上違法となるかどうかは,許可処分の法的要件充足性の有無のみならず,被侵害利益の種類,性質,侵害行為の態様及びその原因,当該処分の発動に対する被害者側の関与の有無,程度並びに損害の程度等諸般の事情を総合的に考慮して,当該公務員の当該処分に至る過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したか否かにより決すべきである。 以下,前記1に認定の事実に基づき,本件許可処分に関する県公安委員会ないし丙署警察官の職務の違法性について検討する。 イ本件許可処分の銃刀法上の許可要件の充足性(ア)前記アの銃刀法の目的,銃砲等の所持が一般的に禁止されていることに加え,6号の欠格事由の規定が上記一般的禁止の目的を実現すべく「おそれ「認めるに足りる相当な理由がある者」と,不許可の幅,」を広げる意味で認定者の要件該当判断の裁量を広く認めていることに照らせば,6号の欠格事由に該当しないとして銃所持を許可する判断については,判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により事実の基礎を欠くか,又は事実に対する評価が合理性を欠くこと等により判断が社会通念に照らし妥当性を欠く場合に,裁量権の逸脱又は濫用があったものとして,処分要件の充足を欠くというべきである。 (イ)本件許可処分の判断の基礎事実についてa乙男と甲子との間のトラブルについて(a)乙男と甲子との間のトラブルは前記のとおり20年以上の長期にわたり継続しており,平成10年以降についてみると,前記1(2)ウ及びオ の基礎事実についてa乙男と甲子との間のトラブルについて(a)乙男と甲子との間のトラブルは前記のとおり20年以上の長期にわたり継続しており,平成10年以降についてみると,前記1(2)ウ及びオ,同(4)ア(ウ,同(5)ア(ウ,イ,ク及))びケ記載のとおり,轢過事件及び炭疽菌事件を含めて,警察官の出動を要する悪質なトラブルが,7回にもわたり勃発しており,全体- 54 -的にも,平成12年以降徐々にトラブルの程度及び頻度が高まっていたものである。 (b)特に,前記1(5)イ(ア(イ)及びオ(イ(エ(カ))))(ク)の事実によれば,轢過事件は,乙男の故意によるものと断定することまではできないものの,乙男の運転する車が道路脇を歩いていた甲子に急接近したことで,甲子は,驚愕するとともに,乙男が殺意を持っているのではないかという不安を感じ,その後2か月が経過してもなお,仮に轢過事件について被害届を出してそれを乙男に知られた場合には,乙男から生命の危険が生じるような仕打ちを受けるかもしれないという不安が続いていたものと認められる。 そして,トラブルの程度及び頻度が高まりつつある中で,歩行中に乙男に車で急接近されるという事態に遭遇して,甲子が上記のような不安を感じることは自然であるし,前記1(5)イないしオに認定の,轢過事件発生から本件答申書作成に至る経過中の甲子の言,,動に不合理な点もないから上記不安は真摯なものであったといえ轢過事件は,トラブルの中でも,特に重大なものであったというべきである。 (),(()cまた平成12年11月7日の乙男の刑務所発言前記14イ(イ)からすれば,乙男は,当時,甲子に対して危害を加える)意思を有していたと認められる。 これに対し,被告らは,刑務所発言は乙男の粗暴性ないし危険性 12年11月7日の乙男の刑務所発言前記14イ(イ)からすれば,乙男は,当時,甲子に対して危害を加える)意思を有していたと認められる。 これに対し,被告らは,刑務所発言は乙男の粗暴性ないし危険性ひいては上記加害意思を示すものではないとし,証人Bも,乙男の発言の真意は,甲子に対して頭にきているんだということを聞いてほしかったんじゃないか(証人B〔20,117,本気で何か〕)しようというようなことは感じなかった(同〔21,言葉のあ〕)やとして,言葉の勢いとして聞いた(同〔120,145,何〕)- 55 -か具体的な対応策をとらなければならないような深刻な事態になっているというような認識はなかった(同〔22,被告Y1に対〕)しても,乙男も後で落ち着いて話をするようになったので,今,特別早急に何かが起きるという状態ではないと思うと伝えた同1,(〔53)と,これに一部沿う証言をする。 〕しかし,B民生委員は,刑務所発言の2日後の,甲子と乙男の件に関する被告Y1の問い合わせに対し,刑務所発言の事実を特に取,,,,り上げて報告しているのであるからそもそもBにおいて当時刑務所発言について上記供述のようにとらえていたものとはいえず,むしろ,一般的にみて事理分別をわきまえているべき60歳近くの男性が,公的立場にある民生委員に対して相談をする中で,興奮した勢いにせよ「刑務所に入る事になっても良い」などという,言葉を口にすることは異様であり,相当に強固な意思を有していたことが窺われるというべきであって,同人の上記供述は,上記認定に影響するものではない。 (d)以上によれば,前記(a)のトラブルの長期性,悪質性,悪化傾向に加え,乙男が本件許可処分の僅か約1年半前の時点で甲子への加害意思を有し,甲子も本件許可処分の 記認定に影響するものではない。 (d)以上によれば,前記(a)のトラブルの長期性,悪質性,悪化傾向に加え,乙男が本件許可処分の僅か約1年半前の時点で甲子への加害意思を有し,甲子も本件許可処分の僅か約9か月前の時点で乙男から殺されかねないとの真摯な不安を抱いていたことを併せて考慮すれば,両者間のトラブルは,通常見られるような近隣同士のトラブルにとどまらず,相当険悪化しており,深刻なものであったと認められる。 また,上記のとおり,両者間のトラブルが長期かつ険悪,深刻なもので,徐々に悪化しつつあったことに加え,前記1(6)クのとおり,乙男が本件許可処分後許可証の交付を受けた翌日には再び甲子に対する嫌がらせに及んでいることを考慮すれば,両者間のトラ- 56 -ブルは,本件許可処分時においてなお継続していたと認められる。 被告らは,両者間のトラブルの考慮要素として,炭疽菌事件以降半年間トラブルの相談等がなかった点を重視すべきであるとの趣旨の主張をし,これは,本件許可処分時には両者間のトラブルは緩解傾向にあったとの主張と解されるところ,前記1(6)オ(ウ)に認定の事実によれば,被告Y2らは,本件許可申請の審査に際し,半年間トラブルの相談等がなかった点を重視して,両者間の関係は改善傾向にあり,本件許可処分以降トラブルが起きる可能性は低いと判断したことが認められる。 しかし,乙男は,平成14年2月の時点から,本件講習会申込な,,,ど猟銃所持許可を得るための行動をしていたもので一般的にも申請者において,滞りなく許可を得るべく,許可前のしばらくの間は欠格事由に該当するとの判断につながるおそれのある行動を控えることは十分にあり得るところであるし,上記のトラブルの経緯,期間やその程度に鑑みると,僅か半年の間目立ったトラブルがなかっただけでは は欠格事由に該当するとの判断につながるおそれのある行動を控えることは十分にあり得るところであるし,上記のトラブルの経緯,期間やその程度に鑑みると,僅か半年の間目立ったトラブルがなかっただけでは,到底両者間のトラブルが緩解したということはできないから,半年間相談等がなかったという事実は,上記認定を妨げるものではなく,他に上記認定を覆すに足りる証拠はない。 b乙男の甲子に対する加害意思について前記a(c)に説示のとおり,乙男は,平成12年11月7日の時点で甲子に対する加害意思を有しており,トラブルの険悪性,深刻さ及び継続性を考慮すると,乙男の加害意思は,その後も継続し,本件処分時においてもなお存在していたものと認められる。 c銃所持の目的について前記1(1)ア及び同(6)アのとおり,乙男は,妻である乙子の看病で時間をとられる前は,魚釣りや山歩きなどを趣味としていたと- 57 -ころ,乙子の病状が思わしくなく,その看病疲れから乙男自身も投薬を受け始めた平成14年2月ころに,若いころから射撃をやりたいと思っていた,妻が回復してきて付き添わないですむようになってきたなどと,上記経緯や当時の状況に照らして不自然な動機を告げて,銃所持に向けた準備を始め,本件許可処分後は,本件猟銃を入手した後一度だけこれを用いて射撃場で練習を行ったのみであるから,乙男の真の銃所持の目的が標的射撃にあったとは考えにくく,むしろ,これらの事情に加え,本件許可処分の僅か約1か月後に,予め前日に乙子を乙宅から遠ざけた上で本件事件に及んでいること,本件事件当日その発端となる特段のトラブルがあったことは窺われないことや,乙男の加害意思の存在,トラブルの険悪性,深刻さ及びその継続性等前記a及びbで説示した事実に照らせば,乙男は,銃を用いて甲子へ危害を加えるために本 なる特段のトラブルがあったことは窺われないことや,乙男の加害意思の存在,トラブルの険悪性,深刻さ及びその継続性等前記a及びbで説示した事実に照らせば,乙男は,銃を用いて甲子へ危害を加えるために本件許可申請を行ったと認めるのが相当である。 d乙男の性質(激情性)について乙男が甲子との間に,前記aに説示したとおり険悪かつ深刻なトラ,,,(()),ブルを抱えていたこと特に乙男の毒物事件前記1 ウ刑務所発言(前記1(4)イ(イ)及び炭疽菌事件(前記1(5))ケ)の際の興奮にまかせた言動や,布団叩きに対する過剰なまでの反応(前記1(1)オ,同(4)ア(イ,同(5)ア(ウ,ク,同)) ク脚立に登り鋏を開閉して威嚇するという攻撃的な行動前()),(記1(4)ア(オ,刑務所発言に現れた甲子に対する加害意思に))照らせば,乙男は激情性(乙6「性質」欄参照)に該当する性格を有していたといえる。 (ウ)基礎事実の誤認aところで,前記1(6)エ(イ)及びオ(ウ)の事実によれば,被告Y2らは,①乙男と甲子との間のトラブルはいわゆる隣近所の諍い- 58 -にすぎず,深刻なものではなく,かつ,改善傾向にある,②銃所持の目的は標的射撃にある,③上記①及び②から乙男に甲子に対する加害意思は認められない,④乙男について穏和,真面目で粗暴性は認められないとし,これらの事実を重要な基礎として,乙男が6号の欠格事由には該当しないとの判断に至ったものと認められる。 しかしながら,前記(イ)の認定事実に照らしみると,被告Y2らには,上記の,①乙男と甲子との間のトラブル,②銃所持の目的,③乙男の甲子に対する加害意思,④乙男の性質(激情性)について,いずれも事実誤認があったというべきであり,本件許可処分の判断の基礎とした には,上記の,①乙男と甲子との間のトラブル,②銃所持の目的,③乙男の甲子に対する加害意思,④乙男の性質(激情性)について,いずれも事実誤認があったというべきであり,本件許可処分の判断の基礎とした重要な事実に誤認があったというほかない。 ,,,bそして乙男が甲子との間に長期かつ険悪深刻なトラブルを抱え甲子への加害意思に加え,激情性というべき性格を有しており,甲子への加害に銃を用いることを意図して本件許可申請を行ったという前記(イ)に説示した事実に加え,殺傷を目的とする凶器としての銃の性質を考慮すれば,乙男には,本件許可処分時において,甲子の生命あるいは身体に危害を加えるおそれがあったというべきである。 この点,被告らは,本件許可申請の審査では,銃刀法解説書及び猟銃等取扱読本の説明に照らして乙男に6号の欠格事由は認められないと判断した旨主張し,6号の欠格事由該当性は,他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害する現実的危険性及び明白性があるか否かで(()())。 判断すべきと主張するものと解される前記1 エア参照しかし,前記(ア)に説示したとおり,6号の欠格事由の規定が不許可の幅を広げる意味で認定者の要件該当判断の裁量を広く認めていることからすれば,同号に該当すると判断するには,他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害する抽象的危険性の存在をもって足りると解するべきであり,本件許可申請については,前記(イ)に説示した- 59 -事実によれば抽象的危険が認められるといえるから,被告らの主張は採用の限りではない。 (エ)小括以上によれば,本件許可処分は,重要な事実の誤認により事実の基礎を欠くものであり,欠格事由に該当しないことという銃刀法上の銃所持許可要件を充足しないものであったというべきである。 ウ本件許 小括以上によれば,本件許可処分は,重要な事実の誤認により事実の基礎を欠くものであり,欠格事由に該当しないことという銃刀法上の銃所持許可要件を充足しないものであったというべきである。 ウ本件許可処分に至る経緯について(ア)被告Y2らによる事実調査等a被告Y2らは,乙男と甲子との間には,炭疽菌事件のように,相談記録簿に記載されている以外にも警察官が臨場したトラブルがあったことを認識しており,また,轢過事件の相談記録簿添付の甲子作成のメモに,乙男との過去のトラブルが,日付や時期を明示して記載されているのを目にしていたのであるから,両者間のトラブルの程度を認定するに当たっては,勤務日誌等の他の記録を調査して,警察官の臨場を要するトラブルがどの程度存在したのかを調査すべきであった。 また,平成12年11月9日の相談受理簿は,被告Y1が甲子から,,初めて相談を受けた際に作成したものであってP3係長においても甲子の相談の経緯を被告Y1から確認した以上,相当程度詳細な内容が記載されていることを想定し得たはずであるから,被告Y2らにおいて,その内容を十分に精査し,刑務所発言の事実,ひいては乙男が甲子に対して危害を加える意思を有していることを看取し考慮すべきであった。 さらに,P3係長が轢過事件につき自ら事実認識を持ち得なかったにもかかわらず,これを確認する調査を行わなかったことは,前記1(6)ウ(ク)に認定のとおりであるところ,乙男が故意に甲子を轢こうとした事実が存在した場合には,それが刑事事件として立件され- 60 -なかったとしても,6号の欠格事由の判断に重要な影響を及ぼす事実であることはP3係長においても認識していたところであるから(証人P3〔103,P3係長は,事件化が難しい事案であったとい〕)う認識で満足することなく 号の欠格事由の判断に重要な影響を及ぼす事実であることはP3係長においても認識していたところであるから(証人P3〔103,P3係長は,事件化が難しい事案であったとい〕)う認識で満足することなく,自ら一定の事実認識をもつべく本件答申書を含めた関係書類の調査を行うべきであったし,そもそも,一般的に,銃所持許可申請の申請者について,刑事事件関係書類が存在する場合には,当該事件の内容,性質等を審査に反映させるべく,関係書類を十分に調査すべきである。 bしかしながら,被告Y2らは,一般的に行うべき,刑事事件関係書類の記載内容の確認を怠り,轢過事件の関係書類の調査を十分行わなかった。さらに,前記1(6)に認定のとおり,本件許可申請については,本件講習会申込み時点から,乙男の身元調査を入念に行う必要があることを認識していたにもかかわらず,審査に当たって,P3係長において,相談記録簿等を閲読し,炭疽菌事件以降のトラブルがないかどうか等を被告Y1やP5警部補から聴取し,P2警部補に身元調査を行わせて甲家以外との間に近隣トラブルは認められない旨と乙男の印象とを聴取するにとどまり,それ以外には,熟慮意見を目にした後ですら,特に,P3係長においては,約10年間,200件ないし300件の審査事務の経験において,熟慮意見を目にしたのは初めてであったにもかかわらず被告Y2にその報告をせず(前記1(6)ウ(ケ,熟慮意見を軽視し,P3係長自ら乙男と面接するのみで,)),,通常の審査において行う調査に加えた特段の調査を他に行わずまた実施した調査に基づき判明した事実を十分に検討することもなかった。 (イ)P2警部補による事実調査等aまた,前記1(6)ウ(エ)に認定のとおり,P2警部補の身元調- 61 -査では,家族との面接,友人,勤務先等からの聴 事実を十分に検討することもなかった。 (イ)P2警部補による事実調査等aまた,前記1(6)ウ(エ)に認定のとおり,P2警部補の身元調- 61 -査では,家族との面接,友人,勤務先等からの聴取や,付近住民からの幅広い調査は行われず,本件事務処理要領に則った調査が行われていない。 しかし,そもそも身元調査に当たっては,申請者の性格,環境などをできる限り正確に把握して審査に反映すべく,申請者が社会生活を営む上で密接な関わりを有している人々から広く身元調査を行う必要があるというべきであって,P2警部補の身元調査は,通常行うべき調査を欠いた不十分なものであった。 b特に,本件許可申請の乙男のように,隣人トラブルを抱えている申,,()請者については付近住民からの調査の重要性は高く前記1 に認定のとおり,乙宅の付近住民の間では,乙男と甲子との間のトラブルが長く継続していることが周知されており,両者の関係が心配されていたことが窺われるのであるから,D宅を初めとして,一般的に関わりの多いとされる向こう三軒両隣の家(なお,隣家となる甲宅については後記のとおり)や,E宅,F宅などの,乙宅及び甲宅の並びの家の住民から聴取すれば,トラブルの程度や乙男の性格の認定に資する情報として,被告Y2らあるいはP2警部補において認識していた以上のトラブルの詳細や,乙男についての風聞,行状等に関する情報が得られた蓋然性が高い。 したがって,被告Y2らは,P2警部補に対する身元調査の下命の際に,乙宅及び甲宅と関わりの多いと考えられる上記住民らから事情聴取を行うべきことを指示し,P2警部補においてその旨実行し,上記トラブルの詳細,風聞,行状等の事実を審査に反映させるべきであった。 cまた,被告Y2が甲家からの意見聴取に消極的であり,現にP2警部 を行うべきことを指示し,P2警部補においてその旨実行し,上記トラブルの詳細,風聞,行状等の事実を審査に反映させるべきであった。 cまた,被告Y2が甲家からの意見聴取に消極的であり,現にP2警部補も聴取を行わなかったのは,前記1(6)イ(ウ)及びウ(エ)- 62 -に認定のとおりであるが,乙男が甲子に対して危害を加えるおそれがあるか否かの判断に際して,甲家の意見は最有益な資料の1つとなり得るものであり,意見聴取を控えるに値するだけの理由が存するとも認められない以上,甲家から意見聴取を行い,これを考慮するべきであったといえるから,これを行わなかったことは,合理的な調査を怠ったものといわざるを得ない。 (ウ)小括以上によれば,被告Y2らにおいて,関係書類の調査や身元調査に当たり,合理的な調査を怠るとともに,調査によって判明した事実の検討を漫然と行ったため,上記のとおり要件を充足しない本件許可処分が行われたというべきである。 エ 結論 前記1で認定した事実及び前記イウで説示したところによれば,本件許可処分により侵害される被侵害利益が,生命及び身体という,極めて重要で一度失われると回復不能な法益であること,本件許可処分は,殺傷を目的に製作された凶器である猟銃の所持を許可するという一般的に危険性の高いものであること,被害者である甲子及び原告X3は,乙男と甲子とのトラブルが通常の隣近所の諍い程度のものであり,乙男は穏和で粗暴性はないというような,判断の基礎とされた重要な事実の誤認につながる情報の提供はしておらず,むしろ,甲子は,乙男が甲子に危害を加えるおそれがあることを窺わせる事実につき情報を提供していたこと,本件許可処分により生じた損害は,甲子の死亡,原告X3の負傷及び後遺症,それらの親族の精神的苦痛等極めて甚大であること,他方で,銃 加えるおそれがあることを窺わせる事実につき情報を提供していたこと,本件許可処分により生じた損害は,甲子の死亡,原告X3の負傷及び後遺症,それらの親族の精神的苦痛等極めて甚大であること,他方で,銃所持が許可されることにより乙男が得る,猟銃を所持及び使用できるという利益は保護するに値しないものであり,一般的にも,享受できなかったからといって支障のあるものとはいえないことが認められる。 - 63 -,,そして本件許可処分がその要件を充足しないものであったことに加え上記各事情及び前記ウのとおり,本件許可処分が行われた原因が事実の調査及び検討の懈怠にあることを考慮すれば,被告Y2及びP3係長の本件許可処分の審査における職務行為には,国家賠償法1条1項にいう違法があったというべきである。 (2)故意又は過失についてア前記(1)に説示した事実によれば,乙男は,銃を甲子への加害に用いるために本件許可申請を行ったものであり,被告Y2らにおいても,前記調査及び検討の懈怠がなければ,本件許可処分をした場合には,甲子に対して本件猟銃による攻撃が行われるおそれがあることを予見し得たというべきである。 また,乙宅及び甲宅が住宅街に位置し,近隣に多くの住民が居住していたことからすれば,乙男が甲子への攻撃を行うに際して,居合わせた近隣,,,,の住民に対しても攻撃への妨害を排除すべくあるいは興奮のあまり銃口を向けることは十分想定し得るものというべきであり,原告X3を含めた近隣住民に対する攻撃が行われるおそれについても,予見することができたというべきである。 イそして,前記(1)で説示したとおり,本件許可処分の審査過程における,6号の欠格事由が認められないとの判断は,事実の基礎を欠くとともに社会通念に照らして妥当性を欠くこと,本件許可処分が である。 イそして,前記(1)で説示したとおり,本件許可処分の審査過程における,6号の欠格事由が認められないとの判断は,事実の基礎を欠くとともに社会通念に照らして妥当性を欠くこと,本件許可処分がされた原因が事実の調査及び検討の懈怠にあることを考慮すれば,被告Y2及びP3係長には過失があったと評価される。 争点(2(本件処分と甲子の死亡及び原告X3の負傷との間の因果関係))について前記1に認定の事実及び前記2に説示したところによれば,乙男と甲子との関係は,平成12年以降それまでにも増して険悪化し,平成13年7月には轢- 64 -過事件が起きるほど悪化していたものの,甲子は,各種相談機関への相談に併せて,防犯カメラを設置したり,不安を感じたときは原告X4に援助を頼むなどして,乙男からの嫌がらせに対して警戒していたところを,本件許可処分を得て,甲子への加害に用いるために本件猟銃を購入した乙男により,本件猟銃を用いて狙撃され,命を奪われたものであるから,本件許可処分が行われず乙男が本件猟銃を所持しなければ,甲子において,本件事件の時点で死に至ることはなかったものというべきである。 また,原告X3においても,本件事件までの間,乙男との間で何らトラブルはなかったところを,乙男が本件猟銃により甲子を撃つのを止めさせようとしたために狙撃され,重傷を負わされたのであるから,同様に,本件許可処分が行われず乙男が本件猟銃を所持しなければ,原告X3が本件事件の時点で重傷を負うことはなかったものといえる。 そして,前記2で説示したとおり,本件許可処分により侵害される被侵害利益が,生命及び身体という,極めて重要で一度失われると回復不能な法益であること,本件許可処分の審査過程における,6号の欠格事由が認められないとの判断は社会通念に照らして著しく妥当性 害される被侵害利益が,生命及び身体という,極めて重要で一度失われると回復不能な法益であること,本件許可処分の審査過程における,6号の欠格事由が認められないとの判断は社会通念に照らして著しく妥当性を欠くことに照らし,被告Y2らの職務行為の違法及び過失の程度は相当大きいものであることをも考慮すると,被告Y2らの違法行為と,甲子の死亡及び原告X3の傷害との間には相当因果関係があると認めるべきである。 争点(4(被告らの責任)について)前記2及び3に説示したところによれば,被告Y2及びP3係長は被告県の公権力の行使に当たる公務員であり,その職務である,本件許可処分にかかる業務を行うについて,過失及び違法があったといえるから,被告県は,上記職務行為により原告らに生じた損害について,国家賠償法1条1項に基づき,賠償責任を負う。 原告らは,被告Y2,同Y1及び同Y3についても個人として損害賠償責任- 65 -を負うと解すべきである旨主張する。しかし,公権力の行使に当たる国又は公共団体の公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によって違法に他人に損害を加えた場合には,その公務員が属する国又は公共団体がその被害者に対して賠償の責に任ずるのであって,公務員個人はその責を負わないものと解すべきである(最高裁昭和30年4月19日第三小法廷判決・民集9巻5号534頁,最高裁昭和47年3月21日第三小法廷判決・裁判集105号309頁,最高裁昭和53年10月20日第二小法廷判決・民集32巻7号1367頁等参照。 。)したがって,その余の点を検討するまでもなく,被告Y2,同Y1及び同Y3が損害賠償責任を負うとの原告らの主張は理由がないことに帰する。 争点(5(原告らの損害)について)(1)以上認定した事実に基づき,丙署警察官らの違法な職務 もなく,被告Y2,同Y1及び同Y3が損害賠償責任を負うとの原告らの主張は理由がないことに帰する。 争点(5(原告らの損害)について)(1)以上認定した事実に基づき,丙署警察官らの違法な職務行為により原告らが被った損害について検討する。 ,,,本件事件は白昼自宅ベランダに居た甲子を本件猟銃を手にした乙男が庭から突如狙撃し,続いて,窓ガラスを割って屋内へ土足で押し入り,頭部に被弾し痛みに苦しみながら助けを請う甲子の右胸に向けて,至近距離から冷酷に銃弾を撃ち込み,甲子を死に至らしめるとともに,乙男の暴挙を押しとどめようと必死に声を上げたX3に対してまで,さらに狙撃を重ね,重大な傷害を与えたという,まれにみる凄惨かつ悲惨なものであった。 (2)本件猟銃の凶弾を受けた原告甲子の戦慄,苦痛はおよそ筆舌に尽くし難いものがあったと思料され,なぜ乙男が猟銃を持っているのかもわからないまま,夫の定年退職を間近にし,夫婦だけの静かな生活を目前にして非業の死を遂げることとなったその苦しみ,無念さは,察するになお余りあるところである。 原告X1は,妻甲子と共に轢過事件の捜査を警察に要請し,その過程で,,,,甲子共々警察の言動に不信を感じるとともに留守宅の甲子を案じながら- 66 -定年退職を3か月後に控えて十数年間の長い単身赴任生活を終えようとする最中に,甲子を本件猟銃の凶弾によって失い,甚大な悲しみを味わうとともに,本件猟銃の所持が警察の許可によるものであることを知るに及び,銃の許可さえなければ本件事件は起きなかっただろうとの悔しさを拭えないままでおり(甲53,70,原告X1,原告X2は,本件事件発生を止められ)ずにむざむざ母甲子を死なせてしまったことに深い後悔とやるせない思いを抱き,事件後対人関係を築くのに困難を抱えつつ,警察に対 までおり(甲53,70,原告X1,原告X2は,本件事件発生を止められ)ずにむざむざ母甲子を死なせてしまったことに深い後悔とやるせない思いを抱き,事件後対人関係を築くのに困難を抱えつつ,警察に対して,甲子からの相談に対処せずに乙男に凶器を提供したとの憤りを抑えきれない状態にあり(甲52,これらの事情に加え,本件で認定した各事情を総合すると,)甲子の死亡により原告X1及び同X2に生じた精神的損害を慰謝するには,それぞれ800万円を下回ることはないと認めるのが相当である。 (3)原告X3は,よもや自分が乙男から攻撃を受けるとは想像だにしない中,いわば巻き添えとなる形で銃撃を受けたことにより,多大な精神的恐怖と身体的苦痛を被り,今もなお,重大な後遺症と絶え間ない痛みに苛まれ,生活もままならない状態を余儀なくされているものであり(甲54,68,原告X3,これらの事情に加え,本件で認定した各事情を総合すると,そ)の精神的損害を慰謝するには,少なくとも800万円を下回ることはないと認めるのが相当である。 原告X4は,本件事件により妻X3が上記重大な傷害を負ったことで受けた精神的苦痛は悲痛なものであることに加え,原告X3の日々の通院や生活の介護に専念するまでとなっており(甲55,68,原告X4,原告X5)及び同X6並びに同X7は,母あるいは娘である原告X3が本件事件により,,上記のとおり重大な傷害を負わされたことで深い悲しみを受けるとともに(,),原告X3の介護や生活の援助等の負担を負うに至っており甲62 これらの事情に加え,本件で認定した各事情を総合すると,原告X4に生じた精神的損害を慰謝するには800万円を,同X5,同X6及び同X7に生- 67 -じた精神的損害を慰謝するにはそれぞれ500万円を下回ることはないと認 で認定した各事情を総合すると,原告X4に生じた精神的損害を慰謝するには800万円を,同X5,同X6及び同X7に生- 67 -じた精神的損害を慰謝するにはそれぞれ500万円を下回ることはないと認めるのが相当である。 (4)原告X8,同X9,同X10,同X11,同X12,同X13は,本件事件により,兄弟姉妹である甲子の死去あるいは原告X3の重傷によって大きな悲しみを受けるとともに,原告X3の看護に務めたり,本件事件に至,,る経過の調査裁判資料作成のために勤務を辞して生活の大半を費やすなど大きな負担を強いてられてきたことが認められるものの(甲62,65,)これらの者と甲子あるいは原告X3との間に,民法711条所定の者と実質的に同視しうべき身分関係が存したものとまでは認められないから,上記原告らについては,慰謝料を認めるのが相当とはいい難い。 原告X1及び同X2は,慰謝料請求の根拠として,本件苦情申出に関する県公安委員会あるいは丙署警察官の職務に違法,故意又は過失があったことをも主張するが,前記5(2)に説示したところによれば,原告両名の請求については,その全額につき,被告Y2らの本件許可処分にかかる職務行為に基づく精神的損害の慰謝料として,理由があると認められるものであるから,本件苦情申出に関する争点(3)については,検討の必要がないことに帰する。 第4以上によれば,原告X1,同X2,同X3,同X4,同X5,同X6及び同X7の被告県に対する請求は,いずれも理由があるから認容することとし,同原告らのその余の被告らに対する請求及び原告X8,同X9,同X10,同X11,同X12,同X13の被告らに対する請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 宇都宮地方裁判所第1民事部裁判長裁判官福島節男裁判 ,同X9,同X10,同X11,同X12,同X13の被告らに対する請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 宇都宮地方裁判所第1民事部裁判長裁判官福島節男裁判官原道子- 68 -裁判官田端理恵子

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る