平成6(ワ)5970等 商工組合中央金庫男女昇格差別

裁判年月日・裁判所
平成12年11月20日 大阪地方裁判所
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判決文本文85,764 文字)

主文 一被告商工組合中央金庫は、原告に対し、二二〇万円を支払え。 二原告の被告商工組合中央金庫に対するその余の請求、被告P1に対する請求及び被告P2に対する請求をいずれも棄却する。 三訴訟費用は、原告と被告商工組合中央金庫との間においては、原告に生じた費用の一二分の一を被告商工組合中央金庫の負担とし、その余は各自の負担とし、原告と被告P1及び原告と被告P2との間では、いずれも全部原告の負担とする。 四この判決一項は仮に執行することができる。 事実及び理由 第一請求一被告は、原告が総合六級の地位にあることを確認する。 二被告らは、各自、原告に対して、別紙(一)請求金一覧表の「請求金額欄」記載の各金員及び別紙(二)遅延損害金一覧表1ないし3記載の請求金内金ごとに同表「起算日」欄記載の日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 三被告らは、各自、原告に対して、平成六年六月以降毎月二四日限り、別紙(一)請求金一覧表の「差額賃金欄」記載の各金員及びこれに対する各支払日の翌日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 四被告P1は、原告に対し、五〇万円及びこれに対する平成六年七月一〇日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 五被告P2は、原告に対し、五〇万円及びこれに対する平成六年七月九日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要本件は、原告が、その使用者である被告商工組合中央金庫から、女性であるがゆえに昇格において差別され、低い資格に据え置かれたとして、同被告に対し、労働基準法四条、債務不履行ないしは不法行為に基づき、差別がなければ到達しているであろう資格にあることの地位確認並びに差額賃金ないしは差額賃金相当額(将来分を含む)、精神的損害についての慰 に対し、労働基準法四条、債務不履行ないしは不法行為に基づき、差別がなければ到達しているであろう資格にあることの地位確認並びに差額賃金ないしは差額賃金相当額(将来分を含む)、精神的損害についての慰謝料及び弁護士費用の支払を請求をし、また、原告の上司であった被告P1、同P2に対し、いずれも原告に対し女性を理由とした違法な査定を行ったとして、債務不履行ないし不法行為に基づき、被告商工組合中央金庫と連帯して差額賃金相当額(将来分を含む)及び弁護士費用の支払と、不法行為に基づき、同人らの違法な査定により原告の受けた精神的損害についての慰謝料の支払を請求する事案である。 一前提事実(当事者間に争いがない事実等) 1 当事者(一) 原告原告は、高校卒業後、昭和四七年四月に被告商工組合中央金庫(以下「被告金庫」という。)に雇用(以下「入庫」ともいう。)された職員であり、同被告の大阪支店、船場支店等に配属されてきた者である。 (二) 被告ら(1) 被告金庫は、昭和一一年に商工組合中央金庫法に基づいて設立された特殊法人で、中小企業の相互組織の金融機関である。従業員は約六〇〇〇名で、そのうち約二〇〇〇名が女性である。 (2) 被告P1は、被告金庫に勤務する職員であり、平成二年八月一五日から平成四年七月三一日まで船場支店の次長として、原告に対して人事考課を行った者である。 (3) 被告P2は、被告金庫に勤務する職員で、平成四年八月一日から平成五年七月三〇日まで船場支店の次長として、原告に対して人事考課を行った者である。 2 被告金庫の一般の営業店における課等の分掌業務被告金庫の一般の営業店には、業務室(又は業務課)と営業課がある。 そして、業務室内には、預金等の受払事務等を行う預金事務、債権(国債等の公共債を含む)の販売及び償還に関する事務等を行う 分掌業務被告金庫の一般の営業店には、業務室(又は業務課)と営業課がある。 そして、業務室内には、預金等の受払事務等を行う預金事務、債権(国債等の公共債を含む)の販売及び償還に関する事務等を行う債権事務、貸出等の実行及び回収事務を行う貸付事務、内国為替事務を行う為替事務、経理の統括及び主要簿の作成等を行う総務事務、債権取引の拡充等得意先活動を行う債権得意先がある。 また、営業課内には、貸出等の申込の受付及び調査等を行う営業窓口(以下「営窓」ともいう。)と営業店業務計画の策定、管理を行う営業総務とがある(乙一七)。 3 被告金庫の人事制度(一) コース別人事制度導入前(昭和六二年三月三一日以前以下「旧制度」という。)(1) 被告金庫では、コース別人事制度導入前より資格制度が実施されていた。 その資格制度の職能区分と資格区分は以下のとおりである。 まず、職能区分は事務職員と技能職員・労務職員に別れていた。そして、原告の資格であった事務職員の資格区分は、事務四級から事務一級、副主事、主事、副参事、参事、参与に別れていた。 次に、事務一級から事務四級までの資格基準及び必要最小経験年数は次のとおりである。また各資格には号俸が定められ(事務四級は一号俸から三号俸まで、それ以外の事務三級、事務二級、事務一級、副主事、主事、副参事までは各一から一〇号俸まで)、右資格と号俸により資格給が決定され、同一資格内では、原則として一年に一号俸昇俸していた(以下、昇格、昇俸をまとめて「昇格」という。)。 ア事務四級資格基準  ① 高卒者及び短大卒新規採用者② 職能基準A(事務処理能力)の四級及び職能基準B(企画・判断・折衝能力)の四級に該当する者最小必要経験年数三年(短大卒は一年)イ事務三級資格基準  ① 大卒新規採用者 ② 職能基準A(事務処理能力)の四級及び職能基準B(企画・判断・折衝能力)の四級に該当する者最小必要経験年数三年(短大卒は一年)イ事務三級資格基準  ① 大卒新規採用者② 職能基準Aの三級要件に該当し、かつ職能基準Bの四級要件以上を充たすもの最小必要経験年数通算八年(短大卒は六年、大卒は四年)ウ事務二級資格基準職能基準Aの二級要件に該当し、かつ職能基準Bの三級要件以上を充たす者最小必要経験年数通算一一年(短大卒は九年、大卒は七年)エ事務一級資格基準職能基準Aの一級要件に該当し、かつ職能基準Bの二級要件以上を充たす者最小必要経験年数通算一二・五年(短大卒は、一〇・五年、大卒は八・五年)(2) 旧制度における考課は、各資格ごとに考課項目が分けられ、それぞれの項目が、ABCの三段階で評価され、それにウェイトが掛けられ、その合計ポイントによって決定されることになっていた。この考課項目は担当職務毎に区分されているわけでも、担当職務によって三段階の内容が変わるわけでもなかった(乙一七、二一)。 また、事務三級から事務二級に昇格するには、筆記試験(Aテスト)に合格し、その翌年四月に職能基準A・Bともに要件を充たすか、あるいは職能基準Aの要件を充たさなければならないとされていた。そして職能基準A・Bともに要件を充たした者(前年と当年の人事考課が五段階評価の四以上)は、事務二級一号俸へ、職能基準Aの要件のみを充たした者(前年と当年の人事考課が五段階評価の三以上)は、事務二級六号俸へ昇格するとされていた。 (二) コース別人事制度導入以降(昭和六二年四月一日から)(1) コース別人事制度は、事務職員を総合職コースと一般職コースに区分し、コース毎に資格を設定する制度であり、コースの基準は左記 ていた。 (二) コース別人事制度導入以降(昭和六二年四月一日から)(1) コース別人事制度は、事務職員を総合職コースと一般職コースに区分し、コース毎に資格を設定する制度であり、コースの基準は左記のとおりであった。 ア総合職コース① 職務は将来にわたって管理業務・専門業務を含む業務全般に従事する。 ② 所要知識・能力として、a研修ならびに実務経験と金庫内外の自己研鑚による広範な知識・経験、b主として企画力、判断力、渉外力、指導・統率力、統括力③ 原則として国内各地域及び海外に隔地の転勤がある。 イ一般職コース① 職務は将来にわたって定型的・類型的事務あるいは渉外業務に従事する。 ②所要知識・能力として、a主として研修ならびに実務経験に基づく正確な業務知識。b主として正確迅速な事務処理能力③ 原則として住居の変更を伴う勤務地の変更はない。 資格区分は総合職は総合九級から総合一級まで、一般職は一般四級から一般一級までである。そして総合七級の代表的職位は調査役であり、総合六級のそれは支店課長であり、総合五級及び総合四級のそれは支店次長であり、総合三級から総合一級までのそれは支店長である。さらに、平成三年四月一日から総合職コースにおいては、総合七級と総合八級との間に総合七級Bが創設され、従来の総合七級は総合七級Aとなった。 一般職においては一般一級の上位資格となる主務が創設された。 (2) 昭和六二年四月一日からの「コース別人事制度」移行にあたって、新資格の決定は、旧資格に基づいて行われた。旧資格と新資格との対応関係は、左記のとおりであり、副主事以上は総合職とされたが、事務一級以下は、本人の意思を確認し、被告金庫が認めた場合に総合職への発令がさなれた。 ア一般職へ移行する職員(旧資格) (新資格)四級一・二号 以上は総合職とされたが、事務一級以下は、本人の意思を確認し、被告金庫が認めた場合に総合職への発令がさなれた。 ア一般職へ移行する職員(旧資格) (新資格)四級一・二号一般四級四級三号及び三級一ないし三号一般三級三級四ないし一〇号一般二級二級及び一級一般一級イ総合職へ移行する職員(旧資格) (新資格)三級及び二級の一ないし五号総合九級二級の六ないし一〇号及び一級総合八級副主事総合七級主事総合六級副参事総合五級ないし総合四級参事総合四級ないし総合三級参与総合二級ないし総合一級 4 被告金庫における給与(一) 基準給与基準給与は基本給と諸手当からなり、基本給は事務職員(一般職員)の場合、俸給、職能加給から構成される。 (1) 俸給は資格毎に定められ、毎年四月一日に原則として二号俸昇俸し、昇格した場合は各資格の一号俸に位置付けられる。 (2) 職能加給は毎年の考課により、ランクによって金額が決定される。 ランクは、S(特に優れている)、A(優れている)、B(普通)、C(やや劣っている)、D(劣っている)の五段階である。 (3) 諸手当のうち職務手当は、役付職員に支給されるもので、課長相当職以下の資格と職位の対応と職務手当は左記のとおりである。 (区分) (金額) (職位) (対応資格)Ⅱ―1 八万四〇〇〇円課長相当職総合六級以上 2 六万九〇〇〇円右同右同 手当は左記のとおりである。 (区分) (金額) (職位) (対応資格)Ⅱ―1 八万四〇〇〇円課長相当職総合六級以上 2 六万九〇〇〇円右同右同 3 五万四〇〇〇円主任調査役右同 4 五万一〇〇〇円右同右同 5 四万円調査役総合七級A以上 6 二万五〇〇〇円右同総合七級B以上(二) 臨時給与上期と下期の年二回にわたって支給される。職員組合と被告金庫の臨時給与に関する妥結内容は、基準給与×支給月数で算出される総ファンドと最低支給月数からなり、最低支給月数は一・五五か月が通例となっている。そして、各人の支給月数は人事考課に基づき決定される。 5 人事考課(一) 年次考課年次考課は、総合八級、九級及び一般職職員においては、各年一回一月一日付で、その他の職員においては、毎年一回四月一日付で行われる。考課対象期間は、総合八、九級及び一般職職員においては、前年の一月一日から一二月三一日までで、その他の職員においては、前年の四月一日から当年の三月三一日までである。 支店における第一次評定者は、組織規程に基づく指揮命令系統の直属の上司、一般的には課長が、第二次評定者は第一次評定者の上司、一般的には次長が、最終評定者は支店長とされている。 考課は、業績、勤務態度、能力の三つの区分について、各考課項目が定められている。原告の資格である総合八級の考課項目、その内容及びウェイトは別紙(三)のとおりである。この考課項目毎にA(期待し、要求するレベルをはるかに上回っている。)B(期待し、要求するレベル以上である。)C(期待し、要求するレベルには及ばない。)の評価が行われる。そして各評定項目毎にウェイトが決められて にA(期待し、要求するレベルをはるかに上回っている。)B(期待し、要求するレベル以上である。)C(期待し、要求するレベルには及ばない。)の評価が行われる。そして各評定項目毎にウェイトが決められており、ウェイト換算後のABCの数が集計される。原則としてAとCは相殺され、その後のAとCの数で、五・四・三・二・一の五段階評価が決定される(五はAの数が20ないし5、四はAの数が4ないし3、三はAの数が2ないし0、二はCの数が1ないし3、一はCの数が4ないし20)。そして、昇格するためには、昇格前の三年間の評価が、三・四・五ないしは四・四・五でなければならないとされている(甲六三、乙一五)。 (二) 賞与考課賞与考課は、年次考課の考課項目のうち業績・勤務態度の考課項目について行われる。考課対象期間は上期賞与は前年一〇月一日から三月三一日までの期間を、五月一日付で考課を行い、下期賞与は四月一日から九月三〇日までの期間を一一月一日付で行う。評定者は年次考課の場合と同様である。 賞与考課についても、考課項目毎にABCの評価を行いそれを集計し、五・四・三・二・一の五段階相対評価が決定され、その評価によって、個人別の支給率が決定される。 6 原告の職務歴と資格の推移(一) 原告の職務歴は以下のとおりである。 昭和四七年四月一日から昭和五一年七月三一日まで大阪支店・営業第二課・営業窓口補助昭和五一年八月一日から昭和五六年三月三一日まで大阪支店・営業第三課・営業窓口補助昭和五六年四月一日から昭和五七年九月三〇日まで同・経営相談所(調査課兼務)昭和五七年一〇月一日から同年一二月一五日まで同・業務課・貸付事務(実行)昭和五七年一二月一六日から昭和五八年一月一五日まで同・業務課・貸付事務(手形貸付回収)昭和五八年一月一六日から昭和 和五七年一〇月一日から同年一二月一五日まで同・業務課・貸付事務(実行)昭和五七年一二月一六日から昭和五八年一月一五日まで同・業務課・貸付事務(手形貸付回収)昭和五八年一月一六日から昭和五九年五月三一日まで同・業務課・貸付事務(証書貸付回収)昭和五九年六月一日から昭和六〇年一〇月三一日まで同・業務課・貸付事務(手形貸付回収)昭和六〇年一一月一日から昭和六一年四月二〇日まで同・業務課・経理昭和六一年四月二一日から昭和六二年三月三一日まで大阪地区センター・経理昭和六二年四月一日から平成元年二月二〇日まで大阪支店・営業第三課・窓口補助平成元年二月二一日から平成二年三月三一日まで同・営業第三課・窓口担当平成二年四月一日から同年七月三一日まで船場支店・業務室・総務平成二年八月一日から平成四年一月一四日まで同・営業総務課・契約事務平成四年一月一五日から平成五年七月二七日まで同・営業総務課・契約事務・保険事務平成五年七月二八日から平成六年一月一六日まで同・営業第三課(営業第四、五、六課勤務)・窓口補助平成六年一月一七日から平成八年三月同・営業第三課・窓口担当なお、平成八年四月から平成一〇年三月までは、担保評価センターへ異動になり同所での担保評価の職務に従事し、平成一〇年四月からは、梅田支店へ異動となり、営業窓口担当の職務に従事している。 (二) 原告の被告金庫への入庫後、提訴までの資格の推移は以下のとおりである。 昭和四七年度から昭和四九年度事務四級昭和五〇年度事務三級一号俸昭和五一年度事務三級二号俸昭和五二年度事務三級三号俸昭和五三年度事務三級四号俸昭和五四年度 事務三級一号俸昭和五一年度事務三級二号俸昭和五二年度事務三級三号俸昭和五三年度事務三級四号俸昭和五四年度事務三級五号俸昭和五五年度事務二級一号俸昭和五九年度事務二級六号俸昭和六〇年度事務二級七号俸昭和六一年度事務二級八号俸昭和六二年度総合八級六号俸平成五年度総合八級一八号俸(なお昭和六二年度から平成五年度までは、一年に二号俸づつ昇格) 7 原告に対する考課結果(一) 原告に対する昭和六一年一月一日以降平成五年一二月三一日までの年次考課の結果は以下のとおりである(乙二八八から乙二九五)。 (1) 昭和六二年一月一日付年次考課(考課期間昭和六一年一月一日から同年一二月三一日まで)  二内容 「連絡・報告」「知識・技能」の項目がA、その他はB(2) 昭和六三年一月一日付年次考課(考課期間昭和六二年一月一日から同年一二月三一日まで)  二内容 「協調」がA、「仕事の質」「分析力」がC、その他はB(3) 昭和六四年一月一日付年次考課(考課期間昭和六三年一月一日から同年一二月三一日まで)  二内容 「積極性」「知識」がA、「リーダー力」「分析力」がC、その他はB(4) 平成二年一月一日付年次考課(考課期間昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日まで)二内容 「協調」「知識」がA、「仕事の速さ」「課題遂行力」がC、その他はB(5) 平成三年一月一日付年次考課(考課期間平成二年一月一日から同年一二月三一日まで) 三内容 「責任感」がA、「協調」がC、その他はB(6) 平成四年一月 課題遂行力」がC、その他はB(5) 平成三年一月一日付年次考課(考課期間平成二年一月一日から同年一二月三一日まで) 三内容 「責任感」がA、「協調」がC、その他はB(6) 平成四年一月一日付年次考課(考課期間平成三年一月一日から同年一二月三一日まで) 三内容 「指導・育成」「責任感」がA、「仕事の速さ」「協調」がC、その他はB(7) 平成五年一月一日付年次考課(考課期間平成四年一月一日から同年一二月三一日まで) 三内容 「指導・育成」「責任感」がA、「仕事の速さ」がC、その他はB(8) 平成六年一月一日付年次考課(考課期間平成五年一月一日から同年一二月三一日まで) 四内容 「指導・育成」「積極性」「知識」がA、その他がB(二) 原告に対する平成五年上期・下期の賞与考課の結果は以下のとおりである。 (1) 平成五年上期(期間平成四年一〇月一日から平成五年三月三一日)総合考課二の上評価がAの項目なし評価がCの項目仕事の速さ(2) 平成五年下期(期間平成五年四月一日から同年九月三〇日)総合考課三の下評価がAの項目なし評価がCの項目なし二争点 1 昇格・賃金における男女格差の有無 2 被告金庫の人事制度自体が男女別労務管理制度であるか否か 3 原告に対する研修における差別の有無 4 原告の昇格における差別の有無(原告と同期同学歴の男性総合職職員との格差の合理性の有無)(一) 原告に対する業績評価における差別の有無(二) 職務配置における差別の有無 5 原告の賞与考課における差別の有無 6 原告の被告金庫に対する請求の当否(一) 地位確認請求について(二) 労働基準法四条違反、債務不履行責任、不法行為責任について(三) 損害について 7 原告の被告P1及び同P2に対する の有無 6 原告の被告金庫に対する請求の当否(一) 地位確認請求について(二) 労働基準法四条違反、債務不履行責任、不法行為責任について(三) 損害について 7 原告の被告P1及び同P2に対する請求の当否 8 時効について第三当事者の主張一原告の主張 1 争点1について(一) 昭和四七年度入庫の高卒男性職員の資格の推移と原告との格差原告の同期である昭和四七年度入庫高卒男性で平成五年四月一日現在在職者六六名について、入庫からの資格・号俸ごとの人数の推移を、昭和五九年以降平成五年までの期間について集計したものが、別表1である。これの□で囲まれた資格がその年度における標準的な者である(以下、これを「標準者」という。)。そして、別表1において、*で表示した資格が、原告の資格である。平成五年度の時点(勤続二二年目)を例にとれば、高卒男性の標準者は総合六級五号俸で、職位は調査役であるのに対し、原告は総合八級一八号俸であり、職位は書記である。 これによれば、右の高卒男性の標準者と原告の資格との間には、格差が存在する。 (二) 昭和四七年入庫高卒男性職員と原告との賃金格差(1) 基準給与について別表1の高卒男性標準者の資格・号俸と、原告の資格・号俸の推移をまとめたものが別表2であり、同表の資格・号俸による基準給与の推移をまとめたものが別表3の基準給与欄である。 別表3の結果によれば、平成五年四月現在で、高卒男性標準者と原告との間には、基準給与において月額一一万九七五〇円の差が生じている。(2) 臨時給与について右高卒男性標準者の基準給与を前提として、その臨時給与を算出したのが、別表3の臨時給与欄の記載である(臨時給与の算定にあたっては妥結支給率を乗じているが、この妥結支給率は全組合員の平均支給率に等しいものである。)。 そして、 前提として、その臨時給与を算出したのが、別表3の臨時給与欄の記載である(臨時給与の算定にあたっては妥結支給率を乗じているが、この妥結支給率は全組合員の平均支給率に等しいものである。)。 そして、右の結果によれば、平成五年度で、高卒男性標準者と原告との間の臨時給与の差額は、一〇五万四五一〇円に及んでいる。 (三) 昭和四七年入庫高卒男性職員と原告の間の昇格・賃金における格差が男女間格差であること(1) 原告と同期の高卒男性標準者との間には、昇格並びにその結果としての賃金に著しい格差が生じているが、原告の資格の推移は、高卒総合職女性の平均的な推移であり、この点において、原告と同期の高卒男性標準者との間の昇格及び賃金の格差は、男女間格差にほかならない。 すなわち、別表4は、平成五年四月一日現在在職の昭和四三年から昭和四八年入庫の高卒女性総合職(一六名)の職務と職位の推移を明らかにした表であるが、同表によれば、勤続年数三年から一七年までの間は、全員が書記であって、勤続一八年目において初めて調査役につく女性が一名出ているが、その他の女性は勤続二二年目(年度では平成元年から平成六年)においても、いまだ書記であるから、総合八級以下である。従って前記の原告の勤続二二年目でなお総合八級という資格は、高卒総合職女性の圧倒的多数の資格であることが明らかである。 (2) 平成三年上期以降平成五年下期までの、原告の賞与の支給率、総合八級の平均支給率及び職員組合妥結支給率は次のとおりである。 年度原告の支給率総合八級の平均支給率妥結支給率平成三年上期二・九一七三・三二六三・四五平成三年下期二・八三八三・三五〇 三・四〇平成四年上期二・九〇八三・四一一三・四五平成四年下期二・七四六 二・九一七三・三二六三・四五平成三年下期二・八三八三・三五〇 三・四〇平成四年上期二・九〇八三・四一一三・四五平成四年下期二・七四六三・二八八三・三五平成五年上期二・九五〇  三・三五三三・四〇平成五年下期三・〇五一三・二三九三・三〇右の比較から明らかなとおり、原告の支給率は、組合の妥結支給率より、また総合八級の平均支給率よりもさらに低い。被告金庫は、平成四年以前の原告の賞与の考課結果を明らかにしてきていないが、その明らかにした平成五年上期及び下期の考課結果において、年次考課には存在したA評価すら存在しないという不自然さが存在すること、また右のような原告の支給率が、平成五年度以外の年においても平均以下の実態であることから、結局のところ、他の年度においても、原告の賞与は根拠無く低く評価されていると考えられる。 2 争点2について(一) 被告金庫における男女差別(1) 旧資格制度下における男女差別被告金庫の事務職職員採用は、男女とも同一の採用試験であった。すなわち男女とも事務職としての採用で、給与体系にも差異はなかった。 しかし、昭和三〇年代当時から、実態としては男女別労務管理がなされており、男女で昇格年数を比較すれば、明らかに男子と女子の昇格には著しい差異があり「昇格実働年数」には男女差別があった。 昭和五一年ころ、被告金庫は、女子職員の資格の低さを合理化する理由として①女子は結婚までの「腰掛け」であり、期待が低い。女子は結婚したら家庭に入り子供を育てるべきである。②女子は債券得意先とか営業の窓口係の仕事はできない。 ③女子は生活の主体者でない(共働きの場合でも)ということを堂々とあげていた。この当時からの被告金庫の女 したら家庭に入り子供を育てるべきである。②女子は債券得意先とか営業の窓口係の仕事はできない。 ③女子は生活の主体者でない(共働きの場合でも)ということを堂々とあげていた。この当時からの被告金庫の女子労働者に対する姿勢が、今日に至るまで基本的に変わらず引き継がれ、原告に対する昇格昇進差別、配置差別、研修差別等となってあらわれている。 (2) コース別人事制度導入による男女別労務管理昭和六二年からコース別人事制度が導入されたが、この制度は、従前事務職として単一の職能区分のもとで、運用上の男女別の労務管理を行っていたものを、総合職と一般職とのコース別の二本建てにすることで、男女別労務管理の徹底を図ったものであった。 ア女性職員を一般職に押し込めたコース別人事制度導入時の振り分けコース別人事制度導入時、資格が副主事以上の事務職員いわゆる役付職員は自動的に総合職になったが、資格が事務一級以下の事務職員は本人の意思を確認の上、総合職か一般職かを発令するとされていた。ところが、男性が総合職を選択した場合は何の問題もなく総合職となれたが、女性が総合職を選択すると様々な嫌がらせがなされ、多くの女性が総合職選択の撤回を余儀なくされた。このコース別管理導入時の被告金庫の対応は、女性を総合職として位置付け、積極的に活用しようとする意思が被告金庫になかったことを示すものであり、このことは、このような被告金庫の方針をはねのけて総合職になった女性に対するその後の差別へと繋がるものである。 総合職になった女性は、コース別人事制度導入時すでに役付職員となっていた女性を含めて女性事務職員約二〇〇〇名中約五〇名でわずか二・五パーセントに過ぎないのに対し、男性の総合職職員がほぼ一〇〇パーセントであることから、コース別人事制度が女子職員を一般職に押し込めた事実は明白で 含めて女性事務職員約二〇〇〇名中約五〇名でわずか二・五パーセントに過ぎないのに対し、男性の総合職職員がほぼ一〇〇パーセントであることから、コース別人事制度が女子職員を一般職に押し込めた事実は明白である。 イ拡大する総合職と一般職の賃金格差従前の資格制度では自動昇格制度が採用されており、最長滞留年数で昇格した女性も給与年齢五一歳になればほぼ自動的に役付職員(従前の資格制度の副主事)になれたが、コース別人事制度では、一般職は役付職員にはなれなくなった。この結果、女子職員の大半が役付職員に就けなくなったのである。 そしてコース別人事制度導入によって、男性のほとんどが総合職に女性のほとんどが一般職になるや、総合職と一般職のベースアップ額に差がつき、総合職と一般職の賃金格差は、かえって拡大している。 3 争点3について(一) 被告金庫の集合研修と男女差別被告金庫は、後述のとおり、従前から行っていた計画的ジョブローテーションによる能力開発について、新人事制度施行後、昭和六二年三月二六日に「若手職員の計画的早期戦力化について」を制定して整備し、平成元年八月二四日には「若手職員の計画的早期戦力化」を制定、さらに平成四年三月二六日付の通牒「若手職員の計画的育成」を定めて整備した。これらの能力開発計画の大きな柱になっているのは、ジョブローテーションとともに、マンツーマン指導と集合研修である。 ジョブローテーションとは、日常の事務処理を通じて、基本的な知識・技能・態度を習得させるために、対象者の直属の上司がOJT(職場訓練)により計画的かつ継続的に指導を行うものであり、マンツーマン指導は、直属の上司以外に、若手職員がマンツーマンで指導を行うものである。 そして集合研修は、業務の基本的知識を段階的に教育するものであり、平成元年制定の「若手職員の計画 うものであり、マンツーマン指導は、直属の上司以外に、若手職員がマンツーマンで指導を行うものである。 そして集合研修は、業務の基本的知識を段階的に教育するものであり、平成元年制定の「若手職員の計画的早期戦力化」においては、以下のとおりの研修内容が定められている。 (1) 新入職員研修…導入研修(2) フォローアップステップⅠ研修(半年後研修)入庫半年のフォローと基礎的知識の徹底を図る。 調達の重要性認識、融資の基本ルール等の理解を促進する。 (3) フォローアップステップⅡ研修(一年後研修)ステップⅠ研修のフォローと営業窓口への導入を図る。 調達関係の推進策、取引先の実態把握手法等の習得を促進する。 (4) フォローアップステップⅢ研修(一年半後研修)ステップⅡ研修のフォローと営業推進意欲の高揚を図る。 営業セールスの推進策を検討し、日常管理の徹底を促進する。 そして平成四年制定の「若手職員の計画的育成」でも、ほぼ同様の集合研修の定めが置かれている。さらにこのようなフォローアップステップ研修の他にも、初級営業窓口研修や、分野別研修なども実施されている。しかしながらこの系統的な集合研修は、新人事制度導入にあたり選択によって総合職になった女性には、全くその対象とはされていなかった。新人事制度導入にあたり総合職になった女性は、男性に比べこれまでの職務経験が異なっていることから、このような集合研修を受講する必要性はより高いものがあるにもかかわらず、被告金庫はそのような措置を一切講じなかったのである。 総合職として採用された大卒の職員が入庫一年目から二年目に営業窓口業務入門の研修として受講するフォローアップステップ研修に、新人事制度導入時に総合職となった女性が参加できるようになったのは、女性総合職の有志が平成二年五月二三日付で職員組 年目から二年目に営業窓口業務入門の研修として受講するフォローアップステップ研修に、新人事制度導入時に総合職となった女性が参加できるようになったのは、女性総合職の有志が平成二年五月二三日付で職員組合の中央執行委員長宛「男女差の実態調査とその是正を求める要請書」を送付した後の、平成二年七月からの研修であった。 (二) 原告の受けた研修差別右のような研修における男女差別は、原告の場合も全く同様であった。男性総合職の場合には、前記のような被告金庫の集合研修の体系に従って行われているが、原告が入庫以来現在迄に受講した研修は左記のとおりであり、総合職選択の後も原告には、前記のような営業窓口育成のための集合研修を段階的に受講する機会は与えられず、きわめて場当たり的な対応がなされた。 (1) コース別人事制度導入前昭和五八年一〇月に洋上研修に参加しただけである。 (2) コース別人事制度導入後総合職を選択した原告は、過去の研修による差別のハンディを克服したいとの気持ちから、昭和六二年四月、「フォローアップステップ研修」への参加を申し出たが、P8課長代理は参加を拒絶した。その後、平成三年一一月にフォローアップステップ研修Ⅲを受講した。その後平成五年三月に、被告P2からフォローアップステップ研修への参加の意思確認があり、原告は「Ⅲは既に受講している為Ⅱを受講したい」との希望を伝えたが、被告P2は「Ⅰから順番に受けることになっている。Ⅰを受けたら、Ⅱ、Ⅲと順番に受講しないといけない。Ⅲを以前に受講済でも、もう一度Ⅲを受けないといけない」と言ったので、原告は既にⅢを受講済であるため辞退した。ところが、原告が裁判提訴も辞さないとの意思を被告金庫に伝えた以降の平成六年一月になって、原告が営業窓口で担当を持つことが決定してから、突然、P3次長が原告に対して 既にⅢを受講済であるため辞退した。ところが、原告が裁判提訴も辞さないとの意思を被告金庫に伝えた以降の平成六年一月になって、原告が営業窓口で担当を持つことが決定してから、突然、P3次長が原告に対してフォローアップステップ研修Ⅰを受講することを勧めてきた。原告は既にフォローアップステップ研修Ⅲを受講し、レベルからしてフォローアップステップ研修Ⅰを受講する必要はないと考えており、P3次長に断ったところ、同次長がそれでも執拗に受講を勧めたので、研修内容を検討してみてから考えようと、一旦は受講を了解した。しかし、送付されてきた研修日程表で研修内容を検討したところ、初歩的な内容でこれを一週間宿泊してまで受講する必要はないと判断して受講を辞退したものである。 原告は、平成三年七月に債権管理Ⅰを受講した。そして平成五年九月には中堅養成研修を受講したが、右研修は総合職の研修体系に記載のない新設の研修で、受講対象は総合八級の昇格遅れの職員とされた。 その後、原告が営業窓口において担当を持つことが平成六年一月に決定されたが、その後平成六年八月になって、営業窓口中堅研修(総合八級対象)への受講要請を受け、一一月に受講した。初級営業窓口研修ⅠⅡを受けさせないでのいきなり第一線主力層を対象とする営業窓口中堅研修への参加要請は、原告にとっては嫌がらせとも受け取れるものであった。ここでも被告金庫の原告に対する育成の意思の欠如と、一貫性のない対応が明らかである。 4 争点4について(一) 原告の能力について原告は、高い労働意欲と向上心でその職業生活において一心に努力を重ねてきたのであるが、その成果は、以下にみるとおり、自己啓発への取り組み、QC活動での成果、営業窓口での上司の評価などに顕著に現れている。これらの点からして、原告が被告金庫の職員として、その同期の ねてきたのであるが、その成果は、以下にみるとおり、自己啓発への取り組み、QC活動での成果、営業窓口での上司の評価などに顕著に現れている。これらの点からして、原告が被告金庫の職員として、その同期の男性と比しても、彼らの平均以上の能力を十分に有していたと考えられる。 (1) 自己啓発の取り組みについて被告金庫が自己啓発奨励制度を整備したのは昭和六二年のことであるが、原告はそれ以前から、積極的に自ら能力開発に取り組んできた。そして、現在までに以下のとおり、通信教育を受講し、銀行業務検定試験に合格してきた。左記の銀行業務検定試験は、合格率からしてもその難易度の高いものであり、そのような試験に原告が合格していること、そしてその合格点においても平均点以上のものであり、二度にわたって被告金庫から成績優秀により褒賞状を授与されていることは、原告の能力が銀行員としての平均的能力以上のものであることを示すものである。 銀行業務検定試験のそれぞれの合格率と原告の得点レベルは次のとおりである。 ア昭和五五年一〇月、法務三級合格率一〇・一五パーセント原告の得点は全体の平均点をいずれも大きく上回っている。 イ昭和五七年一二月法務二級合格率一七・八三パーセント原告の得点は全体の平均点をいずれも大きく上回っている。 ウ昭和六三年七月財務二級合格率二九・八四パーセント原告の得点は、全国平均点・団体平均点・都市銀行平均点のいずれをも大きく上回っている。この団体平均点は被告金庫の受験者の平均点をさすものと考えられる。ちなみにこの時、原告は、「銀行業務検定試験財務二級において優秀な成績で合格した」との褒賞状まで被告金庫から授与されている。 エ平成元年六月金融経済三級合格率三八・二一パーセント原告の得点は、全国平均点、都市銀行平均点を大きく上回り、団 務二級において優秀な成績で合格した」との褒賞状まで被告金庫から授与されている。 エ平成元年六月金融経済三級合格率三八・二一パーセント原告の得点は、全国平均点、都市銀行平均点を大きく上回り、団体平均点にほぼ等しいものであった。 オ平成五年四月税務二級合格率二二・四九パーセント原告の得点は、全国平均点・団体平均点・都市銀行平均点のいずれをも大きく上回っている。この時も原告は、「銀行業務検定試験税務二級において優秀な成績で合格した」との褒賞状を被告金庫から授与されている。 (2) 原告の自己啓発(被告金庫のポイント制について)被告金庫は、平成五年六月に、総合九級から七級A職員及び一般職職員を対象に「自己啓発ポイント制」を導入し、外部資格取得、通信教育終了等の自己啓発の成果を、一定の点数(ポイント)で表わすこととし、各資格ごとに目標累計ポイントを定めているが、左記の( )内の数字は、原告の各自己啓発ごとのポイントを示すものである。この原告のポイントを合計すると平成六年四月一日時点で四四ポイントであり、平成七年四月一日時点で四五ポイントである。被告金庫が定める「総合職目標累計ポイントモデル」のうち総合七級Bは四〇ポイントで、総合七級Aは四三ポイントであるから、原告は被告金庫の定める総合七級B及びAの目標累計に達している。 (通信教育・基礎的講座)昭和五五年八月財務分析基礎(ポイント1)昭和五五年八月法律基礎(ポイント1)昭和五六年六月税金基礎(ポイント1)昭和六三年四月外国為替基礎(ポイント1)昭和六三年五月経営分析(ポイント1)平成元年四月証券基礎(ポイント1)平成元年一一月貸出管理(ポイント2)平成二年七月提案セールス(ポイント1)平成六年三月能力開発(ポイント1)(通信教育 析(ポイント1)平成元年四月証券基礎(ポイント1)平成元年一一月貸出管理(ポイント2)平成二年七月提案セールス(ポイント1)平成六年三月能力開発(ポイント1)(通信教育・その他)昭和五七年七月民法基礎(ポイント1)昭和五八年七月債権管理(ポイント1)昭和五八年八月法務事例(ポイント1)平成元年二月税務事例(ポイント1)平成元年一〇月金融経済(ポイント1)平成二年五月中小企業取引実践(ポイント1)(銀行業務検定試験)昭和五五年一〇月法務三級(ポイント4)昭和五七年一二月法務二級(ポイント8)昭和六一二年七月財務二級(ポイント8)平成元年六月金融経済三級(ポイント3)平成五年五月税務二級(ポイント6)(3) QC活動の取り組みついてまた、原告は、QC活動においても、昭和五八年には選ばれて、第一四回QCサークル洋上大学に参加し、昭和五九年にはQC活動全国大会に出場してその成果を報告している。さらに、原告は、契約の立直しという使命を帯びて、船場支店営業総務課・契約に配属され、その不備削減・事務処理の正確性向上・効率化をテーマとして、平成三年七月以降、QCサークル活動と長期経営計画部会活動にも取り組み顕著な成果をあげている。原告はこれら活動のリーダーとして活動し、仕事の改善と効率化に努めた。 そして、そのことは自己申告表の成果欄や職員考課表でも上司から評価されているところである。 (4) 営業窓口での評価について原告の営業窓口への配置希望は、平成元年二月にやっとかなえられることとなったが、原告の営業窓口での業務振りについては、当時の上司であるP4課長代理からも「窓口として自分の取引先を持って八か月、先方とも上手にとけ込んで、無難に推移している 月にやっとかなえられることとなったが、原告の営業窓口での業務振りについては、当時の上司であるP4課長代理からも「窓口として自分の取引先を持って八か月、先方とも上手にとけ込んで、無難に推移している」「現職無難にこなしている」と評価されるものであった。後述のとおり原告は、男性職員のようなジョブローテーションによって、その能力を開発する機会もあたえられないままに、営業窓口業務に従事することになったのであるが、そのようなハンディを負いながらも、「現職無難にこなす」との評価を上司から得たということは、原告が同期の男性職員と比しても、平均以上の能力を有していることが裏付けられたと言える。 (二) 原告に対する人事考課の不当性(1) 評価制度の不当性考課査定の結果によって、原告に対する低格付を合理化するには、考課査定の前提条件において差別がないこと、考課査定そのものが公正に行われる制度的保証がされていること及び実際に行われた人事考課において考課を疑わしめるようなことがないことが必要である。しかるに、被告金庫の考課は、そのいずれの条件も満たさない。 被告金庫における人事考課は、コース別人事制度導入の前後を通じ、研修制度及び職務配置に差別があり、考課の担当者に女性差別意識がある。そして、考課項目が積極性、協調性といった不明確で恣意的評価に流れやすいものを含み、被告金庫の女性差別体質の下では、恣意的で差別的な考課を許すものとなっており、また、その「折衝」「教育・指導」「リーダー力」「企画・調査・分析力」等の項目は、これを発揮しうるような職務内容を担当していなければ、これらの項目で高い評価を受けることはできないのであるから、その担当する職務内容が、補助的定型的なものにとどまっている限り、人事考課において不利に扱われることは否定しがたい。しかも、被 いなければ、これらの項目で高い評価を受けることはできないのであるから、その担当する職務内容が、補助的定型的なものにとどまっている限り、人事考課において不利に扱われることは否定しがたい。しかも、被告金庫の考課は、相対評価であり、評価における各ランクを一定の割合に定める分布制限を行っているが、これは、その考課のABCのランクの区別が、評価者の胸先三寸にまかせるものとなっていること、また、評価者において、営業窓口を高く評価する傾向があること等を考慮するならば、被告金庫の人事考課が、その担当職務に大きく影響を受ける制度であり、また、運用となっていることは明らかである。結局のところ、被告金庫における昇格格差は、職務配置の格差に起因するということができる。 (2) 事務二級への昇格テスト後の昇俸における格差の原因コース別人事制度導入前の旧制度のもとにおいては、事務三級五号俸以上の者は、昇格テストに合格することによって、自動昇格ではない形での昇格が認められ、事務二級へ昇格できたが、号俸の格付はそれまでの考課により、事務二級一号俸と事務二級六号俸とに分かれていた。そして原告と同一給与年齢の学歴別、男女別事務二級昇格テストの合否と昇格の状況によれば、昇格テストに合格した男性と女性の事務二級六号俸への昇格率は大幅に違っている。すなわち男性は、合格者の中の九四・六パーセントが事務二級六号俸に昇格しているのに対し、女性の合格者の中で、事務二級六号俸に昇格している者は五・四パーセントにすぎない。そして高卒では、女性の事務二級六号俸への昇格者は一名もいないが、男性は九一パーセントが昇格している。この事務二級六号俸への昇格率においても、男女間格差が顕著である。そしてこのような昇格テスト後の昇俸における、男女間格差は、結局のところ人事考課の男女間格差に起因するも 一パーセントが昇格している。この事務二級六号俸への昇格率においても、男女間格差が顕著である。そしてこのような昇格テスト後の昇俸における、男女間格差は、結局のところ人事考課の男女間格差に起因するものであり、さらに敷桁すれば、職務配置上の男女間格差に起因するものである。 すなわち、昇格テストに合格したもので、その翌年四月に職能基準A・Bともにパスした者は、事務二級六号俸へ、職能基準Aのみをパスした者は事務二級一号俸へ、両方とも今少しの自己研鎖が必要なものは、事務三級六号俸へ移ることになるとされている。そして事務二級の職能基準Aは、「1、金庫の事務全般について、一般的な知識を有し、日常の業務を円滑に遂行し得る能力を有する者 2、課(係)の事務について、すぐれた知識と処理能力を有するとともに、課(係)の職員を指導・統率する能力を有する者 3、前記と同等に評価される者」であり、職能基準Bは、「1、担当業務について、一応独立して折衝または判断を行いうる能力を有するとともに、課(係)の業務全般についても、或る程度独立して折衝または判断を行い得る能力を有する者 2、渉外業務・判断業務または企画業務に従事し、その実績を通じて、日常業務を円滑に処理し得る能力を有すると認められる者3、前記と同等に評価される者」である。従って、この職能基準Bをもパスしようとすれば、「折衝または判断を行いうる能力」を示し得る業務に従事するか、「渉外業務・判断業務または企画業務」に従事している者が有利であることは明らかである。この点において、補助的定型的業務に長年従事させられることは、この昇格テスト後の昇俸においても不利に扱われる結果となることは否定できず、昇格テスト直後の昇俸の遅れも、結局のところ、職務配置が原因となっていると言わざるをえないのである。 (3) 原告に対 は、この昇格テスト後の昇俸においても不利に扱われる結果となることは否定できず、昇格テスト直後の昇俸の遅れも、結局のところ、職務配置が原因となっていると言わざるをえないのである。 (3) 原告に対する低評価の不当性被告金庫は、原告の業績を十分に評価せず、考課項目に対するA評価を極めて少なく評価している。 被告金庫は、原告の能力を開発し、また、発揮しうる機会を与えず、前記の適正な考課査定を行う条件を欠く状態で評価したものである。 被告金庫は、原告に昭和六三年から平成五年までC評価を行っているが、昭和六三年一月の評価については、当時、原告に単純な業務と使い走りだけさせ、分析力や判断力を必要とする業務に就けないで、仕事の質及び分析力の項目をCとしたものであって、原告の能力を正当に評価していない。 平成元年一月には、分析力とリーダー力の項目がCであるが、この当時も、原告は、単純な業務と使い走りだけしていたもので、分析力とリーダー力を発揮する機会を与えられていなかったのであるから、右評価も不当といわなければならない。 平成二年ないし平成五年、平成七年、平成八年にも、仕事の速さや課題遂行力、協調性などについてC評価がなされている。しかし、いずれも、原告の責任とはいえない事柄を評価して、低評価したものであって、不当な評価である。 (三) 職務配置における差別(1) 被告金庫における主な職務と職務内容は次の通りである。 ア営業窓口(略して営窓と呼ばれる)融資の受付窓口。主として顧客と折衝し、融資稟議を起案する。 イ営業総務(営総)融資にかかわる契約書の作成。支店の貸出預金計画の編成。延滞債権の回収。 ウ営業窓口補助割引手形、貸付本手形の受入れ。稟議書に基づく貸付実行の書面作成。お茶汲み、コピーなど。 エ債券得意先(債得)商工債 契約書の作成。支店の貸出預金計画の編成。延滞債権の回収。 ウ営業窓口補助割引手形、貸付本手形の受入れ。稟議書に基づく貸付実行の書面作成。お茶汲み、コピーなど。 エ債券得意先(債得)商工債券(ワリショー・リッショー等)の渉外販売担当。 オ本部業務(本部)本部において電算関係、手形集中業務等の業務を担当。 カ支店業務(業務)預金の受け払いと貸出回収等の記帳業務。経理事務。 右の営業窓口補助が担当職務としで配置されるのは、女性職員のみである。そして男性職員には、ジョブローテーションの中の一作業域として「営業窓口補助」が配置されることがあるが、その場合でも担当職務が営業窓口補助とされるわけではないし、その期間は三か月ないし六か月であって、原告のような二年間(昭和六二年四月からの営業窓口補助)にも及ぶ例はない。その内容も担保評価や財務分析等の指導を受けながら、OJTを行うものである。従って女性職員が担当するような、営業窓口担当者から指示される雑務の処理を行うものではないし、いわんやお茶汲みを業務とするものではない。 (2) 計画的ジョブローテーションの実施による能力開発男性職員は、計画的ジョブローテーションによって能力開発の機会が保障され、まず「支店業務」を担当して、銀行業務とはどういうものか、その基本的なもの(例えば金の勘定、伝票の整理)を把握して、次に「債得」で債券販売を通じて客との折衝能力を修得し、「営総」で融資の知識を得て、さらには「営窓」で融資における客との折衝能力を身につける。こうして男性職員は役付職員としての能力を開発していくのである。この計画的ジョブローテーションによる能力開発は、新人事制度施行前より運用として行われていたが、新人事制度実施後は、昭和六二年三月二六日に「若手職員の計画的早期戦力化について」が 発していくのである。この計画的ジョブローテーションによる能力開発は、新人事制度施行前より運用として行われていたが、新人事制度実施後は、昭和六二年三月二六日に「若手職員の計画的早期戦力化について」が制定されて整備され、同年六月二二日に、「営業窓口業務習得状況表の制定」が作成された。さらに、平成元年八月二四日には「若手職員の計画的早期戦力化」の制定で、総合職コースのジョブローテーションの目的として「基礎能力開発期(総合九級四年間)のうち二年間をジョブローテーション期間とし、計画的な職務体験を通じて職員個々の適性把握と能力開発を行う」とされ、ジョブローテーションモデルが明示された。さらに平成四年三月二六日付の通牒「若手職員の計画的育成」でも、ジョブローテーションについて、「日常の事務処理を通じて、基本的な知識・技能・態度を習得させ」るために、「日常業務においては、対象者の直属の上司がOJTにより計画的かつ継続的に指導を行」い、「入庫後二年間のうち原則として一年目は業務部門(預金・債券・貸付事務・外5・為事務等)へ、また二年目は営業部門(契約・営窓補助・債券得意先)へ配置」し「原則として三年目には営業窓口を経験させる」としている。さらに新入職員には若手中堅職員がマンツーマンで指導することが定められている。これに対し、女性はこのような計画的ジョブローテーションやマンツーマン指導の枠外であり、総合職を選択した女性であっても、男性のように多くの職務を担当せず、また営業窓口を担当している人はわずかしかいない。 これらの調査結果から、被告金庫の男性職員(昭和四七年入庫高卒)の場合は、その過半数は入庫約七年目(二四才)で支店業務を外れ、債券得意先の職務を担当する。入庫後九年目(二六才)で債券得意先、営業総務、営業窓口を担当する者が、二十数パーセントから 七年入庫高卒)の場合は、その過半数は入庫約七年目(二四才)で支店業務を外れ、債券得意先の職務を担当する。入庫後九年目(二六才)で債券得意先、営業総務、営業窓口を担当する者が、二十数パーセントから三十数パーセントとなり、入庫約一一年目(二八才)で営業窓口担当が約六割を占める。そして男性職員は、入庫後一四年目(三一才)で半数近くが、役付職員となり、一五年目(三二才)で役付職員は過半数を越し、二〇年目(三七才)で役付職員は八割を越えるのである(ここで役付職員とは、「役席」のことで、職位は調査役以上、資格は総合七級B以上である)。高卒男子職員の場合は、新人事制度導入後の大卒男子の場合のような短期間のものではないが、ジョブローテーションによる職務配置が行われていることがわかる。他方、女性は、勤続年数一五年を過ぎても、支店業務(含む営窓補助)を担当する者が八割を超え、債券得意先を担当するものが、勤統一七年で初めて現われ、勤続二〇年目以降でやっと二十数パーセントから三〇パーセント程度(四名ないし五名)である。営業窓口については勤続一二年目で初めて現われるが、それ以降もせいぜい一〇パーセント前後(一名ないし二名)に過ぎない。そして役席になるのは、勤続一八年目が始めてであり、それ以降も数パーセント(一名)に止まっている。 (3) 原告の職務歴と具体的な職務内容原告の職務歴と同期高卒男性の職務歴を対比させたものが、別表5である。 この対比から明らかなことは、原告は入庫以来九年の長き(経営相談所時代を含むと一一年)にわたって営業窓口補助の職務に就かされ、さらに昭和六二年四月に新人事制度が導入されて総合職になった後も、二度にわたって営業窓口補助の職務に就かされていることである。 また原告の実際の仕事内容は次の通りである。 ア入庫後、昭和五六年三月三一 昭和六二年四月に新人事制度が導入されて総合職になった後も、二度にわたって営業窓口補助の職務に就かされていることである。 また原告の実際の仕事内容は次の通りである。 ア入庫後、昭和五六年三月三一日まで(大阪支店・営業第二課、営業三課)お茶汲み・コピー・封筒書き・たばこ買い・清書・計算以上営業窓口担当者からいわれた補助的仕事が主である。他に手形割引と手形貸付の際の手形の預かりと貸付実行準備を行っていた。 イ昭和五六年四月一日から五七年九月三〇日まで(大阪支店・経営相談所)お茶汲み・上司が指摘した部分の新聞の切り抜きとファイリング後の必要に応じて上司の指摘による提出・経営相談資料(図書等)の貸出し業務・経営相談の件数の集計報告・講演用のポスター作成・図書の整理、整頓・スライドの説明、管理ウ昭和五七年一〇月一日から昭和六一年四月二〇日まで(大阪支店・業務課)貸付事務(実行、手形貸付回収、証書貸付回収)・経理事務しかし右業務は、同期高卒男性職員では平均して入庫後六年目ぐらい迄の者が行う職務である。入庫一〇年超過した同期高卒男性職員で、右の貸付事務のような支店業務に従事している者は、七パーセント前後しかいない。 エ昭和六一年四月二一日から昭和六二年三月三一日まで(大阪地区センター)大阪府内店舗の日々の取引の伝票の整理と製本オ昭和六二年四月一日から平成元年二月二〇日まで(大阪支店・営業第三課・窓口補助)お茶汲み・コピー・郵便発送・郵便切手、印紙購入・清書・不動産情報(新聞広告チラシ、新聞記事、雑誌、専門誌)等の整理管理・担保物件の写真撮影・フイルム現像の手配・法務局での登記簿や公図等の取り寄せ・年金福祉事業団代理貸付(住宅ローン)の稟議作成以上窓口補助として、窓口担当者の指示による単純な業務ばかりと「使い走り」が主だ 写真撮影・フイルム現像の手配・法務局での登記簿や公図等の取り寄せ・年金福祉事業団代理貸付(住宅ローン)の稟議作成以上窓口補助として、窓口担当者の指示による単純な業務ばかりと「使い走り」が主だった。 カ平成元年二月二一日から平成二年三月三一日まで(大阪支店・営業第三課・営業窓口)営業窓口(営窓)キ平成二年四月一日から平成二年七月三一日まで(船場支店・業務室・総務)お茶汲み・郵便の発送準備・郵便の受付、受付簿記載・小口の経費事務・物品管理・定例報告書作成・その他雑用一切ク平成二年八月一日から平成五年七月二七日まで(船場支店・営業総務課)営業総務(営総)同期高卒男性職員なら入庫後九年目にして配属になるのが一般的な業務である。 ケ平成五年七月二八日から六年一月一六日まで(船場支店・営業三課・窓口補助)お茶汲み・コピーとり・受け入れ手形の形式要件、枚数、金額チェック等の補助業務に再び従事させられる。但し、平成五年一二月一〇日以降は、取引方針策定、担保評価替え等の事務処理を担当した。 コ平成六年一月一七日以降(船場支店・営業三課・営業窓口)営業窓口(営窓)以上のように、原告に対する職務配置の経過と、男性職員のそれと比較すると、原告に対する職務配置の経過には、男性職員に対するようなジョブローテーションによって能力開発を行っていくという観点が全くなく、被告金庫の都合のみの場当たり的な職務配置が行われているということができる。 5 争点5について原告の年次考課は、前提事実7記載のとおり、平成四年度(平成四年一月一日から一二月)は、仕事の速さがCで、「指導・育成」と「責任感」がAである。また、平成五年度(平成五年一月一日から一二月)は、C評価がなく、「指導・育成」がAである。ところが、平成五年上期と下期の賞与の考課 月)は、仕事の速さがCで、「指導・育成」と「責任感」がAである。また、平成五年度(平成五年一月一日から一二月)は、C評価がなく、「指導・育成」がAである。ところが、平成五年上期と下期の賞与の考課結果においては、原告は年次考課と同じC評価は存在していても、A評価は全く存在しない。年次考課と賞与考課とは、その考課対象期間が異なるが、少なくとも平成四年度と平成五年度の考課期間をあわせると、平成五年上期・下期の賞与の考課期間をカバーしており、しかも平成四年度及び平成五年とのいずれの考課期間においても、「業績」「勤務態度」のいずれか区分の考課において、A評価が存在するにもかかわらず、賞与考課においては、A評価は全く存在しないのである。結論として、原告は前述の通り根拠無く低い年次考課を、賞与考課においてはさらに低く査定されていると考えられる。 また、平成三年上期以降平成五年下期までの、原告の賞与の支給率、総合八級の平均支給率、及び職員組合妥協支給率は1(三)(2)に記載のとおり、原告に対する支給率は、組合の妥結支給率、総合八級の平均支給率よりも低い。平成五年上期及び下期の考課結果において、年次考課には存在したA評価すら存在しないという不自然さが存在すること、また、右のような原告の支給率が、平成五年度以外の年においても平均以下の実態であることは他の年度においても、原告の賞与は根拠なく低く評価されているというべきである。 6 争点6について(一) 男女平等の原則憲法一四条は、法の下の平等を定め、性別による差別を禁止している。 また、憲法一四条を受けた労働基準法は、第三条において、国籍、信条又は社会的身分による差別的取扱いを禁止し、同法四条では女子であることを理由として賃金について男子と差別的取扱いをしてはならないとしている。このように、労働基準 働基準法は、第三条において、国籍、信条又は社会的身分による差別的取扱いを禁止し、同法四条では女子であることを理由として賃金について男子と差別的取扱いをしてはならないとしている。このように、労働基準法は、賃金以外の労働条件について男女差別を禁止する直接規定を置いていないが、このことは決して賃金以外の男女差別を労働基準法が容認する趣旨ではない。労働基準法は性別を理由とする不合理な差別を禁止する趣旨であり、すでに裁判例が積み重ねられている結婚退職制、出産退職制に対する判旨の中でも「性別を理由とする合理性を欠く差別の禁止は労働法の公の秩序を構成する」と判断されているところである。 国際的に見ても、一九六六年に国連で採択され、一九七九年に我が国も批准した「経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」では、「公正な賃金及びいかなる差別もない同一価値の労働についての同一報酬。特に、女子については、同一の労働についての同一報酬とともに男子が享受する労働条件に劣らない労働条件が確保されること」(七条a項①)とともに、「先任及び能力以外のいかなる事由も考慮されることなく、すべての者がその雇用関係においてより高い適当な地位に昇進する機会」を確保することを締約国に求めている。 また、一九七九年に国連で採択され、我が国も一九八五年に批准した「女子に対するあらゆる形態の差別撤廃条約」では、雇用の分野において、女子に対して男子と同一の「労働の権利」、「同一の雇用機会についての権利」、「昇進」、「雇用の保障」、「労働に係るすべての給付及び条件についての権利」、「同一価値の労働についての同「報酬及び同一待遇についての権利」、「労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利」(一一条b項、c項、d項)等を定めている。そして、この差別撤廃条約を受けて 」、「同一価値の労働についての同「報酬及び同一待遇についての権利」、「労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利」(一一条b項、c項、d項)等を定めている。そして、この差別撤廃条約を受けて、我が国でも雇用機会均等法が制定され、一九八六年より施行されている。かかる、国内法ならびに国際法秩序の到達点からするならば、雇用のいかなる場面における男女差別も民法九〇条に定める公の秩序に反し無効であるといわざるを得ない。 (二) 労働者の人格権もとより企業の人事権も絶対的なものではなく、その行使に当たっては、何よりも労働者の人格権を侵害しないことが求められるものである。そして労働者が企業の中で尊重されるべき人格権の具体的な内容で、本件に関わるものは以下の通りである。かかる人格権を尊重すべき企業の義務は、企業と労働者の雇用関係に基づき企業が信義則上負うべき義務でもある。 (1) 担当業務や研修を通じて、自己の能力を開発していく権利労働は、労働者にとって単に賃金を得るためだけの手段ではなく、自己実現の場であり、また自己の能力を開発していく場でもある。労働者にとっては、自己の能力が適切に開発されることは、労働の生き甲斐を得ることにつながり、ひいては労働者をより人間らしくする事にもつながるものである。また、年齢に応じた役職に就くためにも、役職にふさわしい能力開発が労働者に保障されることが必要であり、そのような観点からの能力開発が行われない場合には、労働者は職業生活が長くなれば長くなるほど職場での疎外感をつのらせ、労働自体が苦役となっていく。 労働基準法一条一項は、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定めているところ、労働を通じて、労働者の能力開発をはかっていくことも、この「人たるに値する 一条一項は、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定めているところ、労働を通じて、労働者の能力開発をはかっていくことも、この「人たるに値する生活」の内容をなすと考えられるものである。 (2) 他の労働者と平等・公正に扱われることを求める権利国際条約ならびに我が国の法制度において男女差別が違法であることはすでに述べたとおりであるが、かかる差別によって労働者の被る不利益は、単なる経済的なものにとどまらない。差別は、人間の尊厳そのものを傷つける行為である。差別によって労働者の能力に低いレッテルを貼り、労働者の名誉感情を否定し、ひいては人間らしい向上意欲をも踏みにじるものである。また、差別は労働者の職場の人間関係をもいびつにし、差別された労働者の職場環境を耐え難いものにする。このような労働者の名誉感情や向上欲の尊重、そして良好な職場の人問関係を築く権利は、まさに労働者の人格権の内容をなすものであり、差別はその人格権に対する侵害である。 (三) 被告金庫の責任(1) 労働基準法四条違反前述のとおり、労働基準法(以下「労基法」という。)四条は、憲法一四条を受けて、「女子であることを理由として賃金について男子と差別的取扱いをしてはならない」と定める。被告金庫においては、基準給与のうちの俸給は、資格の格付によって決定され、職能加給は考課によって決定される。また、臨時給与は、基準給与に査定によって決定される支給月数を乗じて決定される。このように被告金庫においては、資格及び考課査定と賃金は連動している。すなわち、被告金庫においては、格付は給与決定を意味し、昇格は給与引き上げを意味する。そして格付が考課に基づくものであることは、昇格が給与引き上げを意味することをいささかも変えるものではない。こ 。すなわち、被告金庫においては、格付は給与決定を意味し、昇格は給与引き上げを意味する。そして格付が考課に基づくものであることは、昇格が給与引き上げを意味することをいささかも変えるものではない。これは、昇給に当たって使用者による考課査定がなされることが、給与の引き上げである昇給の性格を変えないのと同様である。こうした格付、昇格の性格からすれば、仮に使用者が一定の労働者についてその性を理由として格付、昇格において差別したとすれば、それは端的に労基法四条違反と評価されるべきである。労基法四条違反となる賃金差別には様々な形態がある。賃金表を男女別にするという原始的な差別に始まり、初任給格差の維持、拡大、本人給における差別を経て、家族手当支給条件の差別、基本給の上昇率や一時金の支給率における差別に至るまで、様々な形態における男女賃金差別が存在しうるが、昇格差別を通じての賃金差別もその一形態であるというべきである。 仮に、職能資格制度においてなされる、格付を通じての男女の賃金差別が労基法四条違反ではないとすれば、使用者は職能資格制度の採用とその運用を通じて労基法四条を容易に潜脱しうることになるが、それが極めて不当、不合理なことであることは論を待たないのである。被告金庫は、前述のとおり、原告が平均以上の能力を有するにもかかわらず、その職務配置における差別を行い、ひいては考課査定において不利益に扱い、原告に対して著しい昇格差別を行ってきたのである。かかる被告の昇格差別は、労基法四条に違反するというべきである。そして、賃金差別を意味する使用者の格付は、差別された女性の資格決定に関する限り、労基法四条に違反して無効となる。それによって、女性労働者の資格については空白が生じることになる。この空白部分は、被告金庫が男女差別をすることなく原告に対する格付 された女性の資格決定に関する限り、労基法四条に違反して無効となる。それによって、女性労働者の資格については空白が生じることになる。この空白部分は、被告金庫が男女差別をすることなく原告に対する格付を行ったとしたら、いかなる格付が行われたかを判断して、被告金庫と原告との労働契約の内容が補充解釈されるべきである。しかるところ、この補充解釈にあたっては、原告に特段の事情のない限り、被告金庫の平均的な格付に等しい格付がなされていたと解釈されるのがもっとも現実的である。しかも、本件においては、前述のとおり、原告は被告金庫において平均以上の能力を有することが明らかであるから、原告の同期の高卒男性の標準者の水準に昇格していたものとして、解釈されるのが相当である。よって、被告金庫は、原告と同期高卒男性の標準者との賃金差額について、労基法四条に基づく責任を負うべきである。 (2) 債務不履行責任労働契約もすべて労使の自治に委ねられるのではなく、使用者は、憲法、労基法等の理念から導かれる信義則上の義務として、労働者の人格権を尊重し、労働者を平等に取り扱うべき労働契約上の義務(平等取扱義務)を負っているものである。 ところが前述のとおり、被告金庫は、原告に対して、女子であることを理由に、長年にわたり職務配置において差別し、ひいては考課査定において不利益に扱い、また、考課査定そのものにおいても性差別を行ってきたものである。そして、その結果、原告に対して著しい昇格差別の結果を招来せしめたものである。原告に対する被告金庫のかかる研修差別・配置差別・考課差別・昇格差別は、前記のとおり使用者が労働契約の信義則上負っている義務に違反するものである。 よって被告金庫はこの労働契約違反(債務不履行)によって原告に生じた差額賃金相当の損害を賠償する責任を負うものである。 前記のとおり使用者が労働契約の信義則上負っている義務に違反するものである。 よって被告金庫はこの労働契約違反(債務不履行)によって原告に生じた差額賃金相当の損害を賠償する責任を負うものである。 (3) 不法行為責任(民法七〇九条)前述のとおり、労働条件において女子を男子と差別して取り扱ってはならないことは、すでに確立した公序である。また、この公序は、同時に、労働者が労働者として企業の中で尊重されるべき人格権を、男女平等に尊重されるべきことを要請するものでもある。したがって、被告金庫はその労務管理において、かかる公序を尊重し、労働者の人格権を尊重し、管理職にそのことを徹底せしめ、かつ管理職にかかる公序に違反する行為がある場合にはそれを指導監督して是正させる義務を負うものである。しかるに、被告金庫は、前述のとおり長年にわたって男女差別の労務管理を行い、むしろかかる公序に反する労務管理を遂行し、原告に対しても前述のような研修差別・配置差別・考課差別・昇格差別を行ってきたものである。 このような公序に違反する行為は不法行為であり、被告金庫は不法行為によって原告に生じた損害を賠償する責任を負うものである。 (四) 地位確認請求の根拠前述のとおり、格付(職能資格の決定)は、被告金庫においては、賃金の主要部分を決定する重要な役割を果たすものである。こうした格付、昇格の性格からすれば、仮に使用者が一定の労働者についてその性を理由として格付、昇格において差別したとすれば、それは端的に労基法四条違反と評価されるべきであることは前述したとおりである。また、この格付決定権の行使にあたって、使用者が一定の裁量権を有することは否定できないとしても、その裁量権は様々な制約を受付るのである。それは何よりも憲法や強行法規、労働協約、就業規則等に違反してはならない の格付決定権の行使にあたって、使用者が一定の裁量権を有することは否定できないとしても、その裁量権は様々な制約を受付るのである。それは何よりも憲法や強行法規、労働協約、就業規則等に違反してはならないし、公序良俗に反するものであってはならない。しかるところ、被告金庫が、配置差別や考課差別を行いひいては昇格差別を行なってきたことは、公序良俗に違反するものである。従って、被告金庫の原告に対する格付は、労基法四条違反及び公序良俗違反として無効であるといわざるをえない。そしてこの無効になったことにより、原告の資格については空白が生じることになるが、この空白部分は、被告金庫が男女差別をすることなく原告に対する格付を行ったとしたら、いかなる格付が行われたかを判断して、被告金庫と原告との労働契約の内容が補充解釈されるべきであり、その基準としては、原告の同期の高卒男性の標準者の水準に昇格していたものとして、解釈されるのが相当であることは前述したとおりである。 そして、被告金庫においては、格付と賃金決定とは不可分の関係にあるのであって、労基法四条に違反し、また公序良俗違反によって無効となるのは、まさに格付行為そのものであるから、空白となった資格部分について、昇格した地位の確認の請求を認めるというのが論理的な解決である。のみならず、本件のような資格決定を通じての賃金差別の場合には、使用者の一回の行為による賃金差別の場合と異なり、単に差額請求を認容するのみでは合理的解決をもたらさないことにも注意すべきである。すなわち、仮に差別された女性について男性と同一の昇格した地位の確認を認めないとすれば、男女の資格格差すなわち賃金格差は将来にわたって継続することになり、差別された女性労働者は繰り返し差額賃金を請求しなければならないことになる。それが訴訟経済上大きい問題を の確認を認めないとすれば、男女の資格格差すなわち賃金格差は将来にわたって継続することになり、差別された女性労働者は繰り返し差額賃金を請求しなければならないことになる。それが訴訟経済上大きい問題を含むことは明らかであろう。またこうした差額賃金の請求という方法では、将来に生じる退職金や年金の格差問題の解決は事実上不可能である。このように、問題の現実的解決の必要性からしても、女性職員については男性基準に従って昇格したものとして扱うのが最も適切である。 (五) 損害(1) 差額賃金及び差額賃金相当損害金ア差額賃金前述のとおり、被告金庫は、原告と同期高卒男性の標準者との賃金差額について、労基法四条に基づく責任を負うべきであるところ、原告と同期高卒男性標準者との賃金差額は、別表3「差額賃金計算表」記載のとおりである。 イ差額賃金相当損害金前記のとおり、被告金庫は、債務不履行責任もしくは不法行為責任に基づき、原告に対し、研修差別、職務配置、考課査定・昇格における差別によって生じた損害を賠償する責任があるところ、その損害は差別がなければ支払われたはずの賃金額と原告に支給された賃金額との差額である。そして前述のとおり、原告は被告金庫の中で平均以上の能力を有することが明らかであるから、原告が男女差別を受けてこなければ、少なくとも同期の高卒男性の標準者に等しい格付を受け、それに相当する賃金を得てきたものと考えられる。 よって被告金庫は、別表3「差額賃金計算表」相当の損害金を原告に対して賠償する責任がある。 (2) 精神的損害ア性差別による精神的苦痛すでに見たとおり、原告は入庫後間もなくから、男性とは異なる職務上の配置に疑問を感じつつも「自己啓発で努力を続けていけば、いつかは男性と同等に扱ってもらえる日が必ず来ると信じて希望をもちつづけ 痛すでに見たとおり、原告は入庫後間もなくから、男性とは異なる職務上の配置に疑問を感じつつも「自己啓発で努力を続けていけば、いつかは男性と同等に扱ってもらえる日が必ず来ると信じて希望をもちつづけ」て、努力を重ねてきた。しかし被告金庫の原告に対する処遇は、原告のそのような真摯な努力を踏みにじるような対応としか言いようがなかった。 新人事制度導入にあたって希望に燃えて総合職を選択しても、営業窓口補助業務しか与えられず、総合職でかつ一番年上の原告が、どの女性よりも「お茶汲み」に駆けずり回るという状況であったし、若手男性総合職には実施されたジョブローテーションやマンツーマン指導も原告には、かかわりのないことであった。希望したフォローアップステップ研修への段階的な参加すら認められなかった。原告の強い要望により、被告金庫は、やっと平成元年二月から営業窓口を担当させたものの、わずか一年余りで何ら合理的な理由無く営業窓口から外し、「女性が少ないから総務をしてもらう」との支店長の説明どおり、女性であるが故の業務室・総務への配置を受けたのである。そしてそこで原告を待ち構えていたものは、補助・雑用業務であり、極めて繁忙な中での「お茶汲み等の雑務」であった。その後に原告が配置された営業総務課・契約も、総合八級の職員としては異例のものであったが、「契約を立て直して欲しい」とのP5支店長の言葉を真撃に受け止め、原告は不備削減・事務整備のために、QCサークルや部会活動に必死に取り組んで成果をあげるのである。そしてさらには、銀行業務検定試験の税務二級にも合格し、今度こそと営業窓口への配置を期待していた矢先の平成五年七月、入庫以来三度目、総合職になって二度目の営業窓口補助への配置を受けるのである。この時の営業窓口補助への発令は、ずっと金庫を信頼し、疑問を感じながら 営業窓口への配置を期待していた矢先の平成五年七月、入庫以来三度目、総合職になって二度目の営業窓口補助への配置を受けるのである。この時の営業窓口補助への発令は、ずっと金庫を信頼し、疑問を感じながらもベストを尽くし続けてきた原告の心に拭いようもない不信感をうえつけた。そしてこのような不信感に苛まれているその時期に、今度は平成五年一一月二日の被告P2発言によって、原告は決定的な精神的打撃を受けるのである。被告P2発言で原告が思い知らされたことは、原告がどのように努力しても、管理職は「女である」という枠でしか原告を評価していないということであり、原告を低く評価するためには、どんなに事実に基づかないことでも平気で理由にするということであった。そしてこの被告P2と同じことを、被告P1からも言われていたことを思い起こし、それが考課査定につながっていることを思い知らされるのである。この後、原告は文字も読み取れず、仕事も手につかない状態になって、長期の休暇を余儀なくされる。原告が、被告金庫の男女差別の処遇そして被告P1・被告P2の発言によって著しい精神的苦痛を受けたことは明らかである。 イ提訴後の事情被告金庫の根強い女性蔑視の体質は、上司をして「性格は温和」と評された原告をして、裁判に立ち上がらせるほどにひどいものであったが、そのような被告金庫の体質が、提訴後はより陰湿な形で、原告を苦しめることとなった。このことは、被告金庫が本件訴訟において、総力を挙げて原告の能力が低かったことを必死になって立証しようとし、通常男性ならば問題にもされないような極めて些細なミスを必死に集めて書証として提出したりしたこと、しかもその大量の書証は原告が本件提訴を行ったあとに意図的に収集されたものであることに端的に示されている。被告金庫では、従来、男性の職域とされてき なミスを必死に集めて書証として提出したりしたこと、しかもその大量の書証は原告が本件提訴を行ったあとに意図的に収集されたものであることに端的に示されている。被告金庫では、従来、男性の職域とされてきた営業窓口や債権得意先などの職務に就いた総合職の女性が、男性ならば笑ってすまされるミスを針小棒大に指摘されたり、男性たちは簡単に通る稟議なのに事細かに訂正を求められるなどの経験をしているが、原告の場合は、そのような「いじめ」が提訴によって一層ひどいものとなったのである。またミスを事細かに指摘されるのみならず、決済を意図的に遅らせるという上司の対応も原告を苦しめる。このようないじめの中で、原告は二度にわたって精神的に追い詰められ、鬱状態になって休暇を余儀なくさせられている。 原告は、平成八年四月に営業窓口から融資第一部近畿圏担保評価センターへ配属になった後、平成一〇年四月から梅田支店で再び営業窓口に配置されて現在に至っている。持ち帰り仕事もしないと勤まらないハードな業務であるが、原告の心の中には、被告P2、被告P1の発言に象徴されるような被告金庫の女性蔑視の体質や、努力が報われない上司の対応が、心の中にとげのように突き刺さって、原告の日々の職業生活を重く辛いものにしている。 以上のような原告提訴後の、被告金庫の対応も、原告の人格権を侵害するものといわざるを得ない。 ウ相当慰謝料額原告が男女平等に扱われるべき権利を侵害され、さらにはその人格権を侵害された苦痛は、単に金銭によって慰謝されうるものではないが、敢えてその苦痛を金銭による賠償によって慰謝するとすれば、五〇〇万円が相当であり、原告は被告金庫に対して五〇〇万円の賠償を求めるものである。 エさらに弁護士費用として三〇〇万円の賠償を求める。 7 争点7について(一) 被告P1の発言被 るとすれば、五〇〇万円が相当であり、原告は被告金庫に対して五〇〇万円の賠償を求めるものである。 エさらに弁護士費用として三〇〇万円の賠償を求める。 7 争点7について(一) 被告P1の発言被告P1は、平成三年一二月一三日、会議室に原告を呼び出し、原告が、朝管理職に対してお茶だしをしていないことに不快感をあらわにし、「先輩の後ろ姿を見て、朝のふき掃除や支店長へお茶だしをしようとは思わないのか。子供を生むのは女の仕事だ。女性には、女性にしかできない役割があるだろう」と一方的に発言した。 (二) 被告P2の発言被告P2は、平成五年一一月二日及び一一月二二日の原告との面接において次のとおり発言した。 (1) 原告に対する性差別意識に基づく発言ア一般職とのあつれきがあった(一一月二二日発言)イ原告は総合職を前面に出しすぎる(一一月二日発言)ウ原告は女性の中で孤立している(一一月二日発言)エお茶を頼まなくてもいれるべきだ。お茶を頼みにくいと思わせるものがある。 それがよくない(一一月二二日発言)オ Mさん(一般職。主務の女性)の動きと比べてどうか(一一月二日発言)結局のところ原告は総合職であるにもかかわらず、被告P2との面接においては、専ら一般職の女性と原告との人間関係が問題にされている。男性の総合職であればありえないことである。また「総合職を全面に出しすぎる」としている点についても、男性であれば問題にもならないことであるが、原告が女性であるが故に問題とされているものであって性差別意識に基づくこと明らかである。さらにお茶汲みを問題として、「お茶を頼まなくても入れるべきだ」とか「お茶を頼みにくいと思わせるものがある。それがよくない」とかの発言は、まさに原告にいわゆる「女性役割」の発揮を強要するものであって、性差別意識に基づくもの て、「お茶を頼まなくても入れるべきだ」とか「お茶を頼みにくいと思わせるものがある。それがよくない」とかの発言は、まさに原告にいわゆる「女性役割」の発揮を強要するものであって、性差別意識に基づくものである。 (2) 考課査定の公正さを否定する発言カボーナスは生活給だという考え方がある。元の給与が高いので、率は低くても多いはずだ。 キ評価は過去を踏襲している。 ク難易度の高い仕事をしている営業窓口に配分を多くせざるを得ない面がある。 右のカの発言については、被告P2は、被告金庫の人事方針にも反して、原告に対する低支給率すなわち低査定を合理化しているのである。このようなことを被告P2が何のためらいもなく言えるということは、女子は賃金が低くても当然とする性差別意識がその根底にあると考えられる。またそもそも人事考課は、考課期間が定められているのであるから、右の「前回を引き継ぐ」という発言は、かかる考課期間を定めている人事考課制度の趣旨に反するものである。 (3) 低評価の理由にできない事柄をあえて問題にする発言ケ契約の精度を求めすぎる。 コ平成四年九月末日に、他の人はまだ仕事をしているのに、原告が真っ先に帰った。 コの発言については、そもそも残業は強制されるものではないし、しかも原告は、P6某補佐役席の了解を得て帰っているのであって、なんらマイナスに評価されるべき事柄でない。 (4) 事実に基づかない発言サこの時期の残業が多かった。 シ大卒二年目が契約実行を応援したが、応援者のほうが処理件数が多かった。従って八級に求められるスピードに達しない。 ス営業窓口とのコミュニケーションが悪い。 セ月華殿の事務処理を放置した。 右のサシスの発言については、いずれもなんら事実にもとづかないことが明らかである。 (三) 被告P1及び被告P2 ない。 ス営業窓口とのコミュニケーションが悪い。 セ月華殿の事務処理を放置した。 右のサシスの発言については、いずれもなんら事実にもとづかないことが明らかである。 (三) 被告P1及び被告P2の責任被告P1は、平成二年八月八日から平成四年七月三一日まで、次長として原告の第二次評定者の立場にあった者であり、原告に対する平成三年一月一日付年次考課、平成三年五月一日付上期賞与考課、平成三年二月一日付下期賞与考課、平成四年一月一日付年次考課、平成四年五月一日付上期賞与考課をそれぞれ実施したものである。また被告P2は、平成四年八月一日から平成五年七月三〇日まで、次長として原告の第二次評定者の立場にあった者であり、原告に対する平成五年一月一日付年次考課、平成五年五月一日付上期賞与考課をそれぞれ実施したものである。 被告P1及び被告P2は、被告金庫における管理職として、職員を男女差別なく取扱い、またその人格権を尊重すべき義務を負っているににもかかわらず、前述のとおり、原告に対して性差別意識に基づくことが明らかな発言を行い、ひいてはそのような意識で考課査定にも影響を与えたものである。 被告P1及び被告P2の右行為は、被告金庫の管理職として原告に対して負っている労働契約上の義務に違反するものとして債務不履行責任を負うべきものあるし、また公序に反して男女差別を行いまた労働者の人格権を侵害したという点において不法行為責任を免れないものである。 よって被告P1及び被告P2は、原告が被告らの右発言及び考課査定によって被った損害を賠償する責任を負うものである。 (四) 被告P1及び被告P2に対する請求被告金庫においては考課査定によって昇格及び臨時給与が決定される仕組みとなっているから、被告P1は、原告に対する明らかな性差別意識に基づいて低査定を行う (四) 被告P1及び被告P2に対する請求被告金庫においては考課査定によって昇格及び臨時給与が決定される仕組みとなっているから、被告P1は、原告に対する明らかな性差別意識に基づいて低査定を行うことによって、平成三年四月以降の原告の基準給与並びに臨時給与の決定に影響を及ぼしたことは明らかである。したがって、原告が平成三年四月以降に被った差額賃金相当の損害の発生については、被告P1の考課査定行為が大きく寄与しているものといわざるを得ない。そして、その寄与率については一割を下回ることはないと考えられるから、被告P1は、原告が平成三年四月以降に被った差額賃金相当損害金の一割相当の金額について、被告金庫と連帯して原告に賠償する責任を負うものである。 また、被告P2も、原告に対する明らかな性差別意識に基づいて原告を低査定したものであるから、原告が平成五年四月以降に被った差額賃金相当の損害の発生については、被告P2の考課査定行為が寄与しているものといわざるを得ない。そして、その寄与率については一割を下回ることはないと考えられるP2は、原告が平成五年四月以降に被った差額賃金相当損害金の一割相当の金額について、被告金庫と連帯して原告に賠償する責任を負うものである。 よって、被告P1及び被告P2の発言によって被った原告の苦痛を敢えて金銭で慰謝するとすれば、それぞれ五〇万円が相当であり、原告は被告P1及び被告P2に対し、それぞれ五〇万円の賠償を求めるものである。 また弁護士費用として五〇万円を請求する。 8 争点8について(一) 賃金相当損害金請求に対する二年の短期消滅時効について原告の主張する「差額賃金相当損害金」の請求は、債務不履行責任及び不法行為責任を根拠とするものである。したがってその要件事実は差額賃金の請求の要件事実とは異なるものであり 年の短期消滅時効について原告の主張する「差額賃金相当損害金」の請求は、債務不履行責任及び不法行為責任を根拠とするものである。したがってその要件事実は差額賃金の請求の要件事実とは異なるものであり、被告金庫が主張する二年の消滅時効の主張は根拠のないものである。すなわち、賃金請求に関しては、使用者側の故意又は過失は要件とされていないので、短期消滅時効も合理性がある。しかし、不法行為に関しても、債務不履行に関しても、請求が認められるためには、故意又は過失の存在が要件とされており、明らかに要件が加重されているのである。したがって、不法行為や債務不履行については、賃金相当損害金の請求であっても、賃金請求で認められる短期消滅時効ではなく、通常の時効期間で考えられるべきである。 (二) 本件における時効の主張について(1) 消滅時効の趣旨と権利の濫用消滅時効の本来の本旨は「権利の上に眠っていた者」を救済しないことにあるとされている。しかるところ、本件においては、被告金庫は、男女平等原則という日本国憲法の基本原則にも反して、労基法四条違反及び民法九〇条違反の違法行為を継続しており、その違法性の程度は極めて強いものである。他方、賃金差別という事案の特殊性から、原告に対して被告金庫の違法行為を早期に認識して、法的手段に訴えることを期待するのは極めて困難であるといわざるを得ない事情がある。したがってかかる状況において被告らが消滅時効を援用するのは、自ら法違反を継続しながら、消滅時効を口実にその責任を免れようとするものであって、権利の濫用といわざるを得ない。 (2) 消滅時効の起算点について本件原告においても、本件訴訟提起前には被告金庫から男女差別はないと説明されており、本件訴訟においても被告金庫は同様の主張を繰り返している。原告が本件提訴に至った (2) 消滅時効の起算点について本件原告においても、本件訴訟提起前には被告金庫から男女差別はないと説明されており、本件訴訟においても被告金庫は同様の主張を繰り返している。原告が本件提訴に至ったのは、提訴直前に被告金庫職員であるP7に相談し、P7が各種資料を収集して男性職員と原告との格差を明らかにしてはじめてその格差の大きさに愕然として決意したのである。 したがって原告が訴訟による救済が可能な法的権利の存在を確信したのは早くとも本件提訴時ころであり、したがって消滅時効の起算点は早くとも平成六年六月一七日であると解すべきである。 (3) 地位確認について雇用契約上の地位自体は給料債権とは別個独立の権利であるから、右権利について給料債権の消滅時効の規定を類推することはできない。 二被告らの主張 1 争点1について平成五年四月時点で、原告の同期高卒男性総合職は六六名在籍しているが、うち一〇名は総合八級、うち一名は総合九級である(原告も含めれば、六七名中一二名で約一八パーセントが総合八、九級)。すなわち、男性総合職の中にも原告と同資格の者が一〇名存在しているのであるが、原告の職務遂行能力がこれらの者より高いとはいえない。むしろ、原告は総合八級の中位にしか位置しておらず、原告の職務遂行能力が総合八級相応といえても、これを上回るとはいえない。 2 争点2について被告金庫の人事制度が男女別労務管理制度であることは否認する。被告金庫の旧制度は、各資格ごとに考課項目を分け、項目ごとにA・B・Cの評価を行い、その合計ポイントによって、考課を行っていたもので、男女で考課項目や考課方法に差があったわけではないし、コース別人事制度においても、考課項目や考課方法に男女で差があったわけではない。 3 争点3について(一) 原告が受けてきた研修(1) ので、男女で考課項目や考課方法に差があったわけではないし、コース別人事制度においても、考課項目や考課方法に男女で差があったわけではない。 3 争点3について(一) 原告が受けてきた研修(1) 原告が受けてきた研修は次のとおりであり、研修差別の事実は認められない。 ア昭和五八年一〇月一四日間の「QCサークル洋上大学研修」イ平成三年七月 「分野別研修(債権管理実務1)」ウ平成三年一一月  「フォローアップステップ研修Ⅲ」エ平成五年九月 「平成五年度中堅養成研修」オ平成六年一一月  「平成六年度中堅窓口職員研修」(2) フォローアップステップ研修についてフォローアップステップ研修の対象とされているのは総合九級の若手職員であり、原告のような総合八級職員は対象となっていなかった。フォローアップステップ研修に総合八級の職員が参加するようになったのは、平成二年に女性総合職から同研修への参加要請があり、それを受けて同年より、総合九級職員でなくても、女性総合職の希望者については、フォローアップステップ研修Ⅲを受講できるようにしたためである。なお、フォローアップステップ研修Ⅰ、Ⅱは極めて初歩的であり、いくらなんでも総合八級であれば不要であろうとの判断から、平成二年度においては受講対象とはしなかったが、その後、フォローアップステップ研修Ⅲを受講した女性総合職から、同研修Ⅲからでは難しすぎるとの意見が出たため、平成五年より受講者のレベルに応じて、どの段階からでも受講可能とし、研修の実をあげるために、同研修Ⅰを受講したものはⅡ・Ⅲを受講し、Ⅱを受講したものはⅢを受講するといった制度になった。原告については、平成六年一月に営業窓口担当者にした後、大阪支店営窓からのブランク等を考慮し、同年三月に実施される平成五年度フォローアップステッ Ⅱを受講したものはⅢを受講するといった制度になった。原告については、平成六年一月に営業窓口担当者にした後、大阪支店営窓からのブランク等を考慮し、同年三月に実施される平成五年度フォローアップステップ研修への参加を勧めたのであるが、原告の方から、受講を辞退したのである。 以上、被告金庫は原告に充分に研修の機会を与えており、研修差別の事実はない。 4 争点4について(一) 原告の能力(1) 原告は、同期の高卒男性総合職の平均以上の能力を有すると主張しているが、これには何の根拠もない。原告の主張を前提とすれば、常に同期の高卒男性総合職の相当数が、原告の下位に位置づけられることになるが、これらの同期高卒男性総合職の者の能力が原告より低いことについて合理的な主張はない。したがって、原告の請求は主張自体失当である。 (2) 昭和六二年四月一日にコース別人事制度が導入され、以降原告は同制度の下で、総合八級となり現在に至っている(平成一二年四月一日時点でも総合八級)。すなわち、原告は長期間にわたり総合八級に滞留しているのであるが、被告金庫においては、平成五年九月、原告も含め長期間にわたり総合八級に滞留している総合職に対し、「平成五年度中堅養成研修」を実施し、原告もこれを受講した。 右研修は、原告と同じ総合八級の高号俸、すなわち役付職員一歩手前で足踏みをしている職員の活性化・再教育、動機付け・意欲付けのために行った研修であるが、研修参加者は原告を含めて九八名(うち女性七名、大卒男性一二名)であり、原告より早く入庫した者も、遅く入庫した者もいるが、給与年齢で見れば、原告がほぼ真ん中となるような集団である。そして、このような研修において実施された、○×式と穴埋め式の業務全般に関する客観的なペーパーテスト(ただし、受験者は第二班の四四人)において、原告の れば、原告がほぼ真ん中となるような集団である。そして、このような研修において実施された、○×式と穴埋め式の業務全般に関する客観的なペーパーテスト(ただし、受験者は第二班の四四人)において、原告の成績は一〇〇点満点中六九点であった。これは、平均点六七・六点を若干上回るものの、原告より高得点者二〇名、低得点者二〇名、同得点者三名という状況であり、原告は、正に真ん中の成績である(第一班を含めても、ほぼ中位である)。要するに、原告は総合八級の職員の中において、可もなく不可もなくといった成績なのであって、原告の資格はその能力等に相応なものであって、差別の事実は全く認められないのである。 (二) 原告に対する人事考課(1) 原告の自己啓発等ア事務二級一号俸昇格後、事務二級六号俸に昇格前に原告が受けた通信教育の内容、原告が資格相応の自己啓発を受けていたにすぎないこと原告はテスト受験の結果、昭和五五年四月に事務二級一号俸に昇格することになり、その後、昭和五九年四月に事務二級六号俸に昇格した。そして、昭和六二年四月一日以降、コース別人事制度の導入によって、コース別人事制度における総合八級に移行した。 そして、昭和五九年四月に事務二級六号俸すなわち総合八級になる前に、原告が受けた通信教育等は、総合九級相応の通信教育等であり、総合八級相応の通信教育等ではなかった。すなわち、原告が受けた通信教育は次のとおりであり、いずれも総合九級に期待される程度の基礎講座であり、原告は資格相応の自己啓発を受けていたにすぎない。しかも、財務分析基礎講座、税金基礎講座に至っては、総合八級が通信教育を受けてもポイントを付与されない程度のレベルの講座である。 財務分析基礎講座(八か月昭五四年七月から昭和五五年二月)法律基礎講座(一〇か月昭和五四年七月から昭和五五年四 、総合八級が通信教育を受けてもポイントを付与されない程度のレベルの講座である。 財務分析基礎講座(八か月昭五四年七月から昭和五五年二月)法律基礎講座(一〇か月昭和五四年七月から昭和五五年四月)税金基礎講座(七か月昭和五五年七月から昭和五六年一月)民法基礎講座(五か月昭和五六年一〇月から昭和五七年二月)そして、昭和五五年一〇月に原告が合格した法務三級も、総合九級(事務二級一号俸ないし五号俸の資格に相当する)の職員が取得すべきと期待される標準的な試験にすぎない。しかも、原告はその試験に合格するために、深夜早朝、土日祝日など、私生活のほとんどを費やして勉強したということであるから、当時原告に事務二級六号俸(総合八級)に相当する能力は到底なかったといいうるのである。ところで、原告は入庫八年目にして、法務三級に合格しているのであるが、コース別人事制度導入後、原告より下位の資格である総合九級でも入庫一年目で、法務三級より難しい法務二級に合格しており、入庫四年目ともなると過半数の九級職が法務二級に合格している。自己啓発においては、法務二級は、総合八級職にふさわしい試験とはされているが、現実には総合九級でも容易に合格できる程度の試験なのである。これに対し、原告が法務二級に合格したのは、入庫一〇年目の昭和五七年二一月である。以上から見ても、テスト受験当時、原告が総合八級に相当する事務二級六号俸の能力を有していたとは到底認められないのである。 イ銀行業務検定試験について原告は、銀行業務検定試験が、昇格の必須条件であると主張するが、被告金庫と職員組合との団体交渉においては、銀行業務検定試験の合格が昇格の条件ではないことは何度も確認していることであり、役席者が、そのような発言をするわけもない。そして、実際には、これらの試験に合格しなく 職員組合との団体交渉においては、銀行業務検定試験の合格が昇格の条件ではないことは何度も確認していることであり、役席者が、そのような発言をするわけもない。そして、実際には、これらの試験に合格しなくても総合七級に昇格している女性職員がいることは原告も認めるところである。 ウ自己啓発制度自己啓発の奨励は、自己研鑽によって、金庫業務の円滑・適正・効率的な遂行に寄与してもらうものであるが、それぞれの担当職務にその知識が現実に反映されなければならない。要は、いくら知識はあってもそれが職務上発揮されない場合には考課上高い評価は得られないのである。しかるに原告は、法務二級に合格していても、取引先合併時の対応ができなかったり、当座預金強制解約の手続きがとれなかったり、借入・保証に関する意思確認を怠ったまま実行検印に回したりということがあった。また、財務二級に合格していても、企業分析が不十分な結果企業の実態を踏まえた取引方針を策定することができなかったことが多かったのであり、原告がミスを重ねた集金事務にしても、上記取引先合併時の対応についても、当座預金の強制解約の手続きについても全て被告金庫の基本通牒・マニュアルに明記されているものばかりであるにもかかわらず、現実に対応ができなかったのである。すなわち、机上での教科書的な財務分析とは違い、『生きている』企業を分析・評価し、問題点を捉え、先々企業維持に問題がないかどうかを限られた時間で効率的に判断し、取引先との臨機応変・緩急自在の交渉で融資案件を成約にまでもってゆく、そのような能力が不足していると判断せざるを得なかったのである。 また、原告は、総合七級Bの四〇ポイントを上回ると主張しているが、被告金庫がポイントモデルとして挙げている総合七級Bの累計ポイントの内訳は、「外部資格・試験」で三一ポイント、 得なかったのである。 また、原告は、総合七級Bの四〇ポイントを上回ると主張しているが、被告金庫がポイントモデルとして挙げている総合七級Bの累計ポイントの内訳は、「外部資格・試験」で三一ポイント、「通信教育」では九ポイントである。これに対し、原告のそれは、「外部資格・試験」で二九ポイント、「通信教育」で一五ポイントである。通信教育は、低いポイントしか設定していないが、原告はその通信教育でポイントを稼いでおり、外部試験だけで見れば、総合七級Aのポイントモデルどころか、総合七級Bのポイントモデルにも達していないのである。また、原告は、総合八級になった後、昭和六三年に「外為基礎」、平成元年に「証券基礎」及び「金融経済基礎講座」を受講しているが、これらはいずれも一般職や総合九級が受講すべきとされている通信教育であり、総合八級の原告であれば、既に修得済みであるはずのレベルの低い通信教育である。しかるに、原告は総合八級になった後も、このようなレベルの低い通信教育を受けているのである。さらに、「知識」は考課項目の一つに過ぎないものであって、総合八級のウェイトとしては、一ポイントであるから、二〇分の一の考課において評価されるにすぎない。しかも、原告に対し知識について被告金庫は「C」評価をしたことはないのであるから、自己啓発ポイントが高いにもかかわらず、考課で差別されているとの原告の主張は失当である。 エ QCサークル活動QCサークル活動における成果が、原告の日常業務にどのように表れたのか明らかでないし、その活動が原告の職務遂行能力の高さを示すものとはいえない。 (2) 原告の業務に対する評価ア原告の職務内容① 大阪支店で営業窓口となるまでの原告の勤務状況a 入庫から大阪支店営業第三課・営業窓口補助まで昭和五三年当時、原告には特別に希望する業 い。 (2) 原告の業務に対する評価ア原告の職務内容① 大阪支店で営業窓口となるまでの原告の勤務状況a 入庫から大阪支店営業第三課・営業窓口補助まで昭和五三年当時、原告には特別に希望する業務はなく、要望も出されていなかった。また、同年一〇月三一日現在の自己申告表において挙げた「正確・迅速」「折衝」「協調」「熱意・積極性」「注意力」「知識・技能」の六つのうち、原告自身が目標どおりにできたと評価しているのは「正確・迅速」「協調」の二つのみである。少なくとも右の自己申告表からすれば、この時期、原告が配属部署に不満を抱いていたとは認められないし、目標達成の程度からすれば特に優れた実績を残したとも認められない。 b 大阪支店経営相談所(調査課兼務)右配属は、原告の希望を考慮した結果である。 ところで、同所へ配属される前の年の昭和五五年一〇月三一日現在の自己申告表には、教育指導を要する事項として「協調性の発揮」を指摘されているところであり、協調性に関しては同所への配属以前から注意を受けていたものである。また、原告の協調性のなさについては、昭和五三年四月一日現在の自己申告表において、「今後は関連他業務の知識を深めることと、関係他係との協調を高めることを中心に努力して行くものとした」と指摘されており、原告自身も改善目標として「協調」を挙げているところである。そして、同年一〇月三一日現在においても、「他係との連携を密にすること」等、同じような指摘を受けているところである。さらに、経営相談所における職務については、同所に配属された七か月後の昭和五六年一〇月三一日現在の自己申告表には原告自身が同所の職務が「適している」と認めており、また、「当面の配置換えは希望しないが、できるだけ多くの職務を経験させていただきたい」と記載している。 右大阪経営 一〇月三一日現在の自己申告表には原告自身が同所の職務が「適している」と認めており、また、「当面の配置換えは希望しないが、できるだけ多くの職務を経験させていただきたい」と記載している。 右大阪経営相談所における原告の勤務については、「大阪経営相談所においては全般的に相応の成果をあげた」(昭和五七年一月三日現在の自己申告表)との評価であり、上位資格に昇格できるような職務遂行状況ではなかった。 c 大阪支店業務課昭和五七年一〇月一日から昭和六一年四月二〇日まで原告は、大阪支店業務課貸付事務に配属され、実行・手形貸付回収、証書貸付回収、経理の業務に従事した。 この間、原告は、昭和五七年一〇月三一日現在、昭和五八年一〇月三一日現在、昭和五九年一〇月三一日現在、昭和六〇年一〇月三一日現在の自己申告表を提出しているが、いずれの自己申告表においても、職務適性を原告自ら普通と記載し、「現部店での職務希望」「長期的な職務希望」「自由記載欄」のいずれの欄にも何ら希望を記載していない。したがって、原告が右職務配置について不満を抱いていたとか、差別と感じていたといった事実は認められない。この時期は、原告の希望どおりの職務配置であったといえる。しかし、その当時の原告の勤務に対する評価は、「全般的には相応の成果をあげたが、実践面でやや問題ある点が見られた」(昭和五八年一〇月三一日現在)、「①サークル活動全国大会に出場するなどQCを通しその成果は十分に認められる②課内のリーダーとして努力は認められる」(昭和五九年一〇月三一日現在)、「1業績・勤務態度とも相応の成果をあげた。2日常業務におわれ、リーダーシップの発揮については今一つの感があった」(昭和六〇年一〇月三一日現在)であり、資格相応か、やや不十分といった程度の評価を受けているに過ぎず、昇格できるような職務遂行 2日常業務におわれ、リーダーシップの発揮については今一つの感があった」(昭和六〇年一〇月三一日現在)であり、資格相応か、やや不十分といった程度の評価を受けているに過ぎず、昇格できるような職務遂行能力の発揮は認められない。 d 大阪地区センター原告が昭和六一年四月二一日から昭和六二年三月三一日まで大阪地区センター、経理に配属された。そして、昭和六一年一〇月三一日現在の自己申告表には、現職務適性度について普通と記載し、現部室店での職務希望については、「1為替(仕向)、2預金」と挙げ、長期的な職務希望には、「1債券、2総務」を挙げている。また、転勤は希望しないと記載し、その理由として、「通勤に便利な為」と記載している。 大阪地区センターが新設され、経理を集中的に処理することになれば、経理担当者が配属の対象になるのは当然のことであり、原告の希望が通らなかったからといって、これを差別とする理由は全くない。そして、昭和六一年の人事考課については、指導・統率力が「C」となっているが、この点は昭和六一年一〇月三一日付自己申告表の「過去一年間の成果についての面接結果」においても、「折衝については、自己の意見にこだわることなく相手の意見もきく姿勢に多少欠けていた様に見られる」と評価されている。なお総合考課は二である。ここにおいても、昇格できるような勤務状況ではなかったということである。 ② 大阪支店営業第三課・営業窓口(担当をもたない営窓)a 担当をもたない営窓について原告は、昭和六二年四月一日から平成元年二月二〇日まで大阪支店営業第三課に配属された。同課において、原告は、営業窓口(当初は担当を持たない営業窓口)であった。 原告は当初は担当をもたない営業窓口として業務に従事してきたのであるが、男性総合職であっても担当を持たない営業窓口になるこ 同課において、原告は、営業窓口(当初は担当を持たない営業窓口)であった。 原告は当初は担当をもたない営業窓口として業務に従事してきたのであるが、男性総合職であっても担当を持たない営業窓口になることはある。すなわち、「若手職員の計画的早期戦力化」における総合職のジョブローテーションにおいては、営業窓口の前段階として営窓補助が位置づけられており、総合職も担当を持たない営業窓口の仕事をすることがあるのである。なお、担当を持たない営業窓口を営窓補助ということもあれば、一般職が営業窓口の補助をする場合を営窓補助ということもあるので、営窓補助といったからといって、常に一般職の業務とはいえない。 b 原告は当時営業窓口を希望していなかったこと個々の職員にどの職務を担当させるかは、業務上の必要性、職員の能力・適性等を勘案して被告金庫が決定することであって、原告の担当職務も、このような観点から決定されてきたものであり、原告が女性であるが故に営業窓口に配属されなかったという事実はない。しかし、そもそも原告が営業窓口を希望していたのかというと、営業窓口を特別に希望していたわけではないのである。 c 原告が従事した営業窓口の業務(昭和六二年四月から昭和六三年七月まで)右期間、原告は、担保評価、財務分析、財務分析システム(以下、フィスカルという)への財務情報登録、簡単な稟議起案等に従事した。 以上の業務は、一般職が担当する業務ではなく、営業窓口として独り立ちさせるためのトレーニングとして、財務分析なり、あるいは簡単な調書の作成、あるいは不動産の評価等をやらせていたものであって、原告が担当を持たないとはいえ、営業窓口として、業務に従事してきたことは明らかである。 ③ 原告が従事した営業窓口の業務(昭和六三年八月から平成一年二月まで)昭和六三年八月からは たものであって、原告が担当を持たないとはいえ、営業窓口として、業務に従事してきたことは明らかである。 ③ 原告が従事した営業窓口の業務(昭和六三年八月から平成一年二月まで)昭和六三年八月からはP8課長代理に代わりP4課長代理が原告の直属の上司となるが、引き継ぎにおいては、P8課長代理から仕事が遅いこと及び理解しているかどうか不安である旨の指摘をされていた。P4課長代理の下で原告が従事した業務は、企業分析に基づく取引方針策定、貸出稟議書の起案、担保評価(含担保物件の実査、法令上の制限確認)、年金福祉事業団の代理貸付の稟議起案等である。 ④ 大阪支店・担当を持たない営業窓口時代の原告の職務遂行能力以上のとおり、原告は昭和六二年四月一日から平成一年二月まで、担当をもたない営業窓口として業務を遂行してきたのであるが、原告自身がどのような評価をしていたのかというと、貸出稟議の迅速な処理等について、自信がないとしているのである。 また、自己申告表Ⅱにおいても、昭和六二年上期(六二年四月から九月)には、担保調査・評価の習得、企業分析の習得、昭和六二年下期(六二年一〇月から六三年三月)には、担保調査・評価の習得と遅延先の解消、企業分析の習得、昭和六三年上期(六三年四月から九月)には、企業分析の習得と目標を挙げているが、自己評価においても必ずしも達成できていない。そして、大阪支店・営業窓口(担当を持たない)時代(昭和六二年四月一日から平成一年二月まで)の人事考課は、昭和六二年、昭和六三年とも二であって、営業窓口がすぐに務まるような状態ではなかった。 ⑤ 大阪支店営業第三課・担当を持った営業窓口a 担当先を配慮せざるを得なかったこと前述のとおり、原告は昭和六二年四月一日から、担当を持たない営業窓口として業務に従事していたが、平成元年二月から ⑤ 大阪支店営業第三課・担当を持った営業窓口a 担当先を配慮せざるを得なかったこと前述のとおり、原告は昭和六二年四月一日から、担当を持たない営業窓口として業務に従事していたが、平成元年二月からは、原告の強い希望もあり、担当を持たせることとなった。しかし、担当先としては、原告は当時運転免許を持っていなかったので、交通の便も考慮し、支店から地下鉄、バスで訪問可能な比較的近場の先を中心に選定するといった配慮を行わざるを得なかった。 b 担当先及び貸出残高原告の担当先は、当初七から八件で、平成一年八月には本人の希望を容れて担当先数を二二から二三件に増やしたのであるが、原告以外の総合九級の二人は大体五、六〇件を持っていた。原告に二二、三件しか担当させられなかったのは、原告の仕事が遅かったためである。 以上のとおり、原告の担当先数、貸出残高いずれも総合九級をはるかに下回るレベルである。 ⑥ 大阪支店・営業窓口時代の原告の勤務状況平成一年二月から平成二年三月まで、担当を持った営業窓口としての原告に対する評価は、営業窓口として資格を上回る職務遂行能力を発揮したとはいえないというものである。 ⑦ 船場支店の業務室・総務a 右異動が原告への差別であるとの主張は根拠がないこと原告が女性であるが故に営業窓口から総務に異動になったとの事実は全くない。 また、原告は、昭和六一年一〇月三一日付自己申告表において「長期的な職務希望」として「総務」をあげている。すなわち、「総務」は原告の希望職務なのである。 b 原告が営業窓口から船場支店総務に異動となった理由原告は、平成一年二月から大阪支店において、担当をもった営業窓口となったのであるが、既述のとおり、その仕事ぶりは芳しくなく、営業窓口としての適性があるとは判断できなかった。 一方、船場支店の総務で 原告は、平成一年二月から大阪支店において、担当をもった営業窓口となったのであるが、既述のとおり、その仕事ぶりは芳しくなく、営業窓口としての適性があるとは判断できなかった。 一方、船場支店の総務では、P9(総合職役席。女性)、P10(総合職)、P11(パート。女性)の三人が総務の業務を分担していたところ、P9はその年の五月末に退職することが決まっており、P10は肝臓の病気で職務遂行に若干問題がある状況であり、P9職員が退職した後は、実質一名に人員が減少することになる。このため総務の作業域の立て直しが必要となったのである。 c 船場支店業務室・総務における原告の勤務状況総務における原告の勤務は、平成二年四月一日から七月三一日までと短いものであるが、この間の原告の勤務状況も決して芳しいものではなかった。すなわち、原告が総務担当として、経理処理にかかわった平成二年四月一日から八月一三日までの経費支出の手続きに関する「更正」ミスの件数は、同僚職員に比較しても多く、また全店平均のミスの件数も大幅に上回っている。 ⑧ 船場支店・営業総務課a 原告は、営業総務課の配属に満足していたこと原告は、平成二年八月一日から平成五年七月二七日まで営業総務課に配属されたが、原告は、この配属に満足していたものである。 b 営業総務課における勤務状況原告の平成二年から同四年までの各年次考課はいずれも三であり、資格相応の評価である(なお、平成五年は、考課四である)。 すなわち、①営業窓口との連携が悪く、効率的な業務推進という点で問題があり、②営業窓口から回される書類に一部でも不備があるとその不備を感情的に指摘し、また書類が完全に揃うまで契約書の作成に取りかからず、これを放置し、できるところから書類を作成し、融資実行に備えるといったことを行わないため契約書の完成 部でも不備があるとその不備を感情的に指摘し、また書類が完全に揃うまで契約書の作成に取りかからず、これを放置し、できるところから書類を作成し、融資実行に備えるといったことを行わないため契約書の完成が遅れがちになり、契約書の作成を急いでいる営業窓口の担当者の不評を買っていた。③月末近くになって急に融資案件が発生し、至急契約書を作成しなくてはならない場合でも、原告は拒絶することがあった。④時間外に明日の朝までに、契約書が至急必要という場合でも、原告は拒絶することがあった。⑤指導・教育していた契約担当の若手総合職の業務のサポートといった点でも今一歩であった。⑥営業総務課の一般職と協調して仕事をするという姿勢がずっとなかった。一般職は原告に対して、お茶だし、電話、短期実行を手伝ってもらえないことに不満を持っていた。そのためP19課長が原告に手伝うように指示したが手伝おうとしなかったという状況だったのである。 なお、協調性以外でも、仕事の速さに問題があった。 ⑨ 船場支店・営業第三課・窓口補助(担当を持たない営業窓口)a 船場支店営窓補助が担当を持たない営業窓口であったことイ平成五年七月二八日から平成六年一月二八日まで、原告は船場支店・営業第三課に配属された。 原告は、同課での業務がお茶くみ業務であったと主張するが、そのようなことはない。 ロ営業窓口補助という発令であるが、男性総合職も営窓補助に発令されているのである。原告自身、平成五年七月の段階で担当を持って、一人で営業窓口をやる自信があるのかどうかについて、自信がない旨の供述をしており、大阪支店の営業窓口から三年以上経過し、かつ大阪支店では営業窓口不適とされた原告に対して、窓口補助として助走期間を付けるのは被告金庫の配慮として何ら問題にされるものではない。 ハ船場支店・営窓補助時代の の営業窓口から三年以上経過し、かつ大阪支店では営業窓口不適とされた原告に対して、窓口補助として助走期間を付けるのは被告金庫の配慮として何ら問題にされるものではない。 ハ船場支店・営窓補助時代の原告の勤務状況原告の営業総務課、営業第三課を通じての平成五年の年次考課は四となっている。しかし、必ずしも勤務状況良好とはいえない状況であった。 すなわち、目標計画については指示に沿った行動が図られてないし、期日管理、渉外活動、金融相談、実態把握、稟議のいずれも不十分であった。 ⑩ 船場支店・営業第三課・担当を持った営業窓口a 船場支店・営業窓口時代の原告の全般的な勤務状況イ担当先数及び貸出残高担当を持ってからの原告の勤務状況が惨憺たるものであったことは、後述のとおりであるが、担当先、貸出残高の推移をみるだけで明らかである。 時期担当先数貸出残高(億円)平成六年一月三九六八平成七年四月二六四五平成八年一月一四一〇まず、平成六年段階での原告の担当先数は、総合九級との比較で見れば、かなり少ない数である。 原告の三九件、貸出残高六八億円というのは、原告の前任で総合九級の職員が十分にこなしていた担当先をそのまま引き継がせたものである。にもかかわらず、担当を持って約九か月後の原告の感想は仕事の量について「やや多すぎる」(平成六年一〇月一日付自己申告表Ⅰ)というものである。しかし、総合八級の窓口としての仕事の量としては決して多くなく、むしろ少ないほうである。それにもかかわらず、原告の担当先数、貸出残高はさらに減少していくのであって、到底総合八級相応の職務遂行能力があったと見ることは困難である。 さらに、平成八年一月には、担当先数・ 少ないほうである。それにもかかわらず、原告の担当先数、貸出残高はさらに減少していくのであって、到底総合八級相応の職務遂行能力があったと見ることは困難である。 さらに、平成八年一月には、担当先数・残高を一四件一〇億円程度と大幅に減らさざるを得なくなった。これは、原告の事務処理が著しく遅延し、方針・稟議起案が間に合わず、課長が恒常的に方針、稟議起案をする状況に陥り、課の運営上支障が生じ、取引先に対しても迷惑をかけられないとの判断によるものである。 ロ原告の渉外活動が低劣であること営業窓口の仕事の内容については、要は、午前から午後にかけては、貸出・預金・周辺業務のセールス、新規取引先開拓等の渉外活動のため店外で活動するものである。すなわち、「日中にセールスに回る」ということである。しかし、原告の渉外活動は極めて低劣であった。 ハ船場支店・営窓時代の原告の個々具体的な勤務状況当時の原告の勤務に対する職員考課表、指導観察メモ、面接結果記載内容を一覧にしたのが別紙5である。これによれば、如何に原告の職務遂行能力に問題があったか明らかである。 イ配置差別についての反論① 配置権限について配置転換を命じうることはあくまで使用者の権利であって、使用者が労働者に対し配置転換を命ずべき義務を負っているわけではない。右の意味において、被告が原告に対し配置転換を命ずべき信義則上の義務を負っていることを前提とする原告の本訴請求は失当といわざるをえない。 ② 原告の営業窓口の適性について営業窓口に配属される者の職務遂行能力は、中小事業主からの信頼を勝ち取るだけの広範な知識と適確な与信判断を下せるだけの総合的な判断力、さらには融資条件(例えば、金額、貸出期間、金利、担保、保証人等)の交渉においても相手を納得させるだけの力が必要である等々、多様な能 るだけの広範な知識と適確な与信判断を下せるだけの総合的な判断力、さらには融資条件(例えば、金額、貸出期間、金利、担保、保証人等)の交渉においても相手を納得させるだけの力が必要である等々、多様な能力・適性が必要であり、これらに耐えられるという職員を営業窓口に配置することになる。そして、原告の希望によって、原告を営業窓口に配属したものの、原告に営業窓口としての適性がなかったことは前述のとおりである。 ウ原告の業績に対する人事考課① 昇格のための要件a 昭和五三年から昭和六一年まで昇格するためには、資格相応の能力、つまり平均点では上位の資格に昇格することはできず、もっと優秀でないと昇格はできないことになっている。したがって、原告が資格相応の職務遂行能力であれば、昇格対象とならないのである。 また、事務三級五ないし一〇号俸から、事務二級六号俸へ昇格するためには、前述のAテストに合格するとともに、前年と当年の人事考課において四(五段階評価)を得なければならない。 b 昭和六二年以降コース別人事制度における昇格についても、資格相応では昇格できないのは旧制度と同様である。すなわち、当該資格における職務遂行能力、勤務成績、執務態度、資質等を総合的に審査のうえ、上位資格基準を充足しうると認められる者を昇格させるのであって、資格相応の職務遂行能力では昇格できないのである。そして総合八級である原告が総合七級に昇格するためには、当年考課で五の評価を得なければならないのである。 したがって、原告が総合八級の上位資格である総合七級B(役付対応資格で調査役の肩書がつく)に昇格するためには、当該資格に求められる能力を有していなければならないのである。総合七級Bの職員というのは、他の職員の集金事務について確認の検印を押すことのできるだけのチェック能力・通 肩書がつく)に昇格するためには、当該資格に求められる能力を有していなければならないのである。総合七級Bの職員というのは、他の職員の集金事務について確認の検印を押すことのできるだけのチェック能力・通牒の理解が要求され、自分の集金事務がまともにできないでミスばかりしているような職員に、このような確認の検印を押す権限を与えることはできないところ、原告は、集金事務のミスが多かった。また調査役は、極度扱いの手形割引の実行において、金利、個々の取り入れ手形毎の取入限度金額、割引期間等の諸条件をチェックして、稟議条件(極度設定時の稟議条件)に違反していないか確認のうえ、実行検印を押さなければならないところ、原告は取り入れ限度オーバーを見落とし、次長や課長のチェックで判明したことがあり、到底総合七級B該当の職務遂行能力はないといわざるを得ない。 ② 被告金庫の資格制度と原告の資格の推移a 旧制度における資格旧制度における事務四級から事務一級までは、最小必要経験年数が、事務四級が三年、事務三級までが通算八年、事務二級までが通算一一年、事務一級までが通算一二・五年と定められていた。 原告についてみれば、入庫した時点から旧制度が適用されたと仮定し、昭和五三年度には、事務三級四号俸に格付されている。したがって、昭和五三年度までは、原告は最小必要経験年数で昇格しており、考課差別が問題となる余地はない。 b テストの導入と原告の昇格旧制度では、事務三級から事務二級に昇格するにあたっては、テストを実施することとし、このテストに合格しなければ、昇格できないことになった。 そして、昭和五四年、事務三級五号俸になった原告は、テスト受験資格を得、昭和五四年にテストを受けたが、事務二級六号俸に昇格することはできずに事務二級一号俸にとどまり、この段階で、原告の資格は同 。 そして、昭和五四年、事務三級五号俸になった原告は、テスト受験資格を得、昭和五四年にテストを受けたが、事務二級六号俸に昇格することはできずに事務二級一号俸にとどまり、この段階で、原告の資格は同期入庫者に遅れることになった。 このときの昇格者の内訳は次のとおりであり、女性でも事務二級六号俸に昇格している者がいる一方、男性でも事務二級六号俸に昇格できなかった者もおり、原告が女性であるが故に、事務二級六号俸に昇格できなかったとか、男性だから当然に事務二級六号俸に昇格できるといった事実はない。 二級六号俸男性一五八名女性二名二級一号俸男性六名女性二二名三級六号俸男性三名女性一三名合格男性一六七名女性三七名不合格男性四名女性四〇名受験せず男性 〇名女性八六名合計男性一七一名女性一六三名ところで、女性の事務二級六号俸への昇格率(五・四パーセント合格者三七名中二名)が、男性のそれ(九四・六パーセント)に比べて低いことは右のとおりであるが、客観的なテストであるAテストへの合格率の段階で、すでに男性九七・七パーセント、女性四八・一パーセントと著しい差がみられ、これにそもそも受験すらしなかった女性を含めて合格率を出せば、その合格率は二二・七パーセントと女性の合格率はさらに低下するのであるから、右テスト受験時の男女の集団を均等な集団と見ることはできず、二級六号俸への女性昇格者の割合が少ないからといって、女性差別を推認することはできない。 むしろ、前述のとおり、性別にかかわらず、事務二級六号俸、同一号俸、事務三級六号俸と分布しているのであるから、性別による差別は認められないと 少ないからといって、女性差別を推認することはできない。 むしろ、前述のとおり、性別にかかわらず、事務二級六号俸、同一号俸、事務三級六号俸と分布しているのであるから、性別による差別は認められないというべきである。 5 争点5について性別を理由に、原告が低い支給率でとどめおかれているという主張は争う。被告金庫においては、賞与は、職員組合との間で妥結した総支給率を基準給与に乗じて総ファンドを算出し、賞与考課等に基づいて各人の支給額を決定しており、資格ごとの平均支給率という考え方はとっていない。 6 争点6について(一) 地位確認の請求について原告は、本訴において、総合六級の地位にあることの確認を求める。しかし、昇給については、職務の等級を下位から上位に格上げすることであり、原則として職務と一体になった等級を被告の人事上の裁量によって変更することであって、あくまで被告金庫の裁量権の行使であると言わざるを得ない。したがって被告金庫の昇格決定なく、原告を総合六級に格付することはできない。 特に、被告金庫においては、総合七級Bからは、役付対応資格であり、「調査役」の肩書が付き、その上の総合六級はさらに上位資格、上位職位であるから、被告金庫の有する権限を委譲・付与され、金庫に代わって人事権の行使などを行う資格であって、その資格の付与は、使用者である被告金庫の人事上の裁量に基づく権限であり、その確認を求めることはできないというべきである。 二労基法四条違反、債務不履行ないしは不法行為責任について原告の主張は争う。 なお原告は、憲法一四条をも根拠とするが、憲法一四条は私人相互の関係を直接規律することを予定するものではなく、原告の主張は失当である。 また本訴提起時の男女雇用機会均等法の配置及び昇進に関する規定は、努力規定に過ぎず、その違反に するが、憲法一四条は私人相互の関係を直接規律することを予定するものではなく、原告の主張は失当である。 また本訴提起時の男女雇用機会均等法の配置及び昇進に関する規定は、努力規定に過ぎず、その違反に対して直接私法上の効果を格別有するものではなく、雇用におけるいかなる場面の男女差別も民法九〇条に定める公の秩序に反し、無効であるとの原告の主張は認められない。男女雇用機会均等法において、配置及び昇進等における男女差別が禁止され、これが施行されたのは、本訴提起後の平成一一年四月一日に至ってのことであり、このように公序良俗の内容も時代とともに変化するものであって、現在の基準で過去を判断しえないのは当然である。 三損害原告の主張は争う。 7 争点7について(一) 被告P1の発言被告P1は、短期実行の方が忙しいときには、お客さんへのお茶出しとか、電話に出るとかの手伝いをしてほしいと言ったにすぎず、差別発言をしたことはない。 (二) 被告P2の平成五年一一月二日の発言営業総務課の分担が、契約(長期実行のこと)、短期実行、計画、外国為替等に分かれており、原告が契約を担当していたことは既述のとおりである。しかし、課をまたがるような応援の場合は格別、営業総務課の中であれば、わざわざ応援体制を取るまでもなく、課長権限でいくらでも応援を組むことができる。そして、長期実行と短期実行いずれも業務多忙ではあるが、忙しさのピークは短期実行が月末に集中し、実行件数についても短期実行の方が圧倒的に多いため、長期との比較でいえば、短期が多忙ということになり、総合職で長期実行を担当している原告に、短期実行を手伝うことが期待されるのは当然ということになる。 被告P2は、女性一般職から原告に対して、総合職として、給料並みの仕事をしていないんじゃないか、一般職の私たちが困っ 担当している原告に、短期実行を手伝うことが期待されるのは当然ということになる。 被告P2は、女性一般職から原告に対して、総合職として、給料並みの仕事をしていないんじゃないか、一般職の私たちが困っているのに、お茶出し、電話取り、なかなか手伝ってもらえないし、短期の実行についても兼務になった時期もあったはずなのに手伝ってもらえなかったといった不満が出されていたことから、営業窓口と連携して、また一般職と融和して業務を円滑に遂行する上で、当然の注意・指導をしたにすぎず何ら差別発言ではない。 (三) 被告P2の平成五年一一月二二日の面接同年一一月二二日の面接は二〇分程度のものであったが、その間、主に発言していたのは原告であって、被告P2が差別発言をした事実はない。その内容も、一一月二日の面接と同様、原告の考課の不平・不満に対する助言・指導・注意の域を出ないものである。 (四) 被告P1、被告P2の責任(1) 人事考課についての被告P1、被告P2の責任平成五年の年次考課において、最終評定者が第二次評定者の考課を修正し、それが最終の考課になっていることからも明らかなように、被告金庫における考課決定権は、最終評定者である部室店長にあり、第二次評定者である被告P1、被告P2にはないのである。したがって、被告P1、被告P2の低査定(このような事実はないが)によって、原告の考課が決定されたことを前提とする原告の主張は失当である。 また、第一次評定が第二次評定によって修正されたことによって、評定項目のAまたはCの数が変わることはあっても、考課結果が異なるような修正は行われてはおらず、この点でも原告の主張は全く根拠がないのである。 (2) 被告P1及び被告P2の原告に対する考課被告P1及び被告P2の原告に対する考課は、いずれも適正であって、原告を差 な修正は行われてはおらず、この点でも原告の主張は全く根拠がないのである。 (2) 被告P1及び被告P2の原告に対する考課被告P1及び被告P2の原告に対する考課は、いずれも適正であって、原告を差別したものではない。 8 争点8について原告は、被告金庫に対しては、差額賃金については、労基法四条に基づき、差額賃金相当額については債務不履行と不法行為といった請求をしているのであるが、以下のとおり、本訴で原告が求める差額賃金相当額というのは要するに差額賃金のことである。何故なら、およそあらゆる請求権は、それが履行されない場合に、それに相当する損害を発生させるものであって、原告の主張する差額賃金相当額も、結局において、原告の主張する差額賃金が支払われないことによって発生した損害にすぎないのである。 このように、差額賃金相当額と言葉を言いかえたところで、結局は、同性質のものであって、債務不履行による損害賠償請求権は、本来の債権の拡張(遅延賠償の場合)または内容の変更(填補賠償の場合)であって、本来の債権と同一性を有する。時効期間は本来の債権の性質によって定まるのであるから、賃金請求権が短期消滅時効にかかれば、損害賠償請求権も時効にかかるのは当然のことである。そして、賃金請求権の消滅時効は二年(労基法一一五条)であるから、平成四年五月分(支払日平成四年五月二四日)までの賃金は時効により消滅している。被告金庫は消滅時効を援用する。 次に、不法行為に基づく差額賃金相当額の請求についてであるが、契約責任はもともと債務者が履行の債務を負っているという特殊の関係がある場合のことであるから、契約責任の方が責任が重くなって債権者に有利になるというのはよいとしても、逆に不法行為責任の方が責任が重くなって債権者に有利になることがあるというのは、理論的に見てお 係がある場合のことであるから、契約責任の方が責任が重くなって債権者に有利になるというのはよいとしても、逆に不法行為責任の方が責任が重くなって債権者に有利になることがあるというのは、理論的に見ておかしい。そうだとすれば、不法行為責任の方が債権者に有利だとして、その選択を認める必要は、そもそもないのであって、本訴においても、消滅時効は賃金請求権として二年が適用されるべきである。 この点、不法行為責任との競合を認める見解も少なくないが、その見解においても、債務不履行責任と不法行為責任が競合する場合に、不法行為に基づく請求権が成立するためには、契約の存在が行為の違法性を取り除くのが常であるから、債務不履行において予想される以上の違法性がなければならないとする。したがって、このような特段の事情の認められない限り、不法行為に基づく損害賠償請求権も二年の時効によって消滅するものである。ただし、そう解釈しないと短期消滅時効を定めた意味が失われてしまうのである。 なお、予備的に被告金庫は、三年の消滅時効も援用する(民法七二四条)。また、消滅時効の援用については、被告P1、被告P2においても同様である。 第四当裁判所の判断一争点1(昇格・賃金における男女格差の有無) 1 原告と同期同学歴の男性職員との格差の存在原告の同期である昭和四七年度入庫高卒男性総合職で平成五年四月一日現在の在職者六六名についての、昭和五九年から平成五年までの各年度における資格、号俸の分布は、別表1のとおりである。そして、右各年度における原告の資格、号俸は、同表の*印のとおりである(甲二四三及び弁論の全趣旨)。 これによれば、コース別人事制度が導入された昭和六三年度において、原告より資格、号俸が低い同期同学歴男性職員は、六六名中、九級に一名いたに過ぎず、原告と同じ八級に二 (甲二四三及び弁論の全趣旨)。 これによれば、コース別人事制度が導入された昭和六三年度において、原告より資格、号俸が低い同期同学歴男性職員は、六六名中、九級に一名いたに過ぎず、原告と同じ八級に二一名、七級に二〇名、六級に二四名であり、平成五年度においては、原告より資格、号俸が低い同期同学歴男性職員は六六名中一名に過ぎず、原告と同じ八級以下の同期同学歴男性職員は六六名中一一名(一名が九級)であり、他は、七級が一四名、六級が三一名、五級が一〇名である。なお、七級以上は、役付者となる。 2 女性総合職の昇格状況女性の総合職についてみると、原告と同期入庫の四名の総合職の中では、平成八年七月一日に一名(P13)が総合七級Bに昇格している。また昭和四三年から昭和四八年入庫の女性総合職一六名の中では、昭和四八年入庫のP14が、平成元年四月に調査役(総合七級B以上)に昇格、昭和四一年入庫のP15が、平成六年七月一日付けで総合七級Bに昇格しただけであり、他の総合職の女性は、いずれも非役付者である(甲二四六、三〇二、三〇四、弁論の全趣旨)。 3 昇格・賃金における男女格差以上によれば、被告金庫では、総合職における資格、号俸については、男女で差が生じており、右資格、号俸は、被告金庫の人事制度上、賃金面にも反映されるから、賃金額についても差が生じていたといえる。 二争点2(被告金庫の人事制度自体が男女別労務管理制度であるか否か)被告金庫の人事制度は、前提事実欄3ないし5に記載のとおりであり、旧制度もコース別人事制度も、制度そのものあるいは考課方法において男女で異なっているわけではない(乙一七、一八)。従って、制度自体が男女別労務管理制度であるとまではいえない。 原告は、実態としては、旧制度以来、男女別労務管理がされていたというが、これは運用の問題 で異なっているわけではない(乙一七、一八)。従って、制度自体が男女別労務管理制度であるとまではいえない。 原告は、実態としては、旧制度以来、男女別労務管理がされていたというが、これは運用の問題であって、制度として、資格や考課方法が男女別に定められていたとまで認めるに足りる証拠はない。 また、原告は、昭和六二年のコース別人事制度導入時、男性職員には、総合職を、女性職員には、一般職を選択するように説得が行われ、これにより、被告金庫は、従前旧制度における運用上の男女別の労務管理を、事実上制度上も男女別労務管理を行うことにしたと主張する。確かにコース別人事制度の導入の際に、ほとんど全ての男性職員が総合職を選択し、ほとんどの女性職員が一般職を選択したこと、当時、原告を含め総合職を選択しようとした女性職員に対して、面接の際、暗に総合職を選択することをあきらめるように説得がなされていたことを認めることができる(甲四三、四四、二七九、三〇二、三〇三、三二六、弁論の全趣旨)。しかし、コース別人事制度導入時、すでに資格が副主事以上の者については、男女の区別なく自動的に総合職へ移行となったこと、総合職と一般職では、職務内容、転勤範囲等で差があることから、すべての職員が総合職に適するとはいえないこと、そこで、管理職が、職種の内容などを説明し、そのうえで当人の意思確認を行うことも不当とはいえないこと、当時男性でも一般職を選択した者が一二名おり、女性で総合職を選択した者が約五〇名いたこと(弁論の全趣旨)を考慮すれば、右事実をもって、コース別人事制度が男女別労務管理であるとまでいうことはできない。 三争点3(原告に対する研修における差別の有無) 1 原告の受講した研修原告が、被告金庫に就職以降受けてきた研修は、以下のとおりである(甲二五の二、乙二二ないし二 あるとまでいうことはできない。 三争点3(原告に対する研修における差別の有無) 1 原告の受講した研修原告が、被告金庫に就職以降受けてきた研修は、以下のとおりである(甲二五の二、乙二二ないし二七、乙三五)。 昭和五八年一〇月一四日間のQCサークル洋上大学研修平成三年七月分野別研修(債権管理実務Ⅰ)平成三年一一月フォローアップステップ研修Ⅲ平成五年九月平成五年度中堅養成研修平成六年一一月平成六年度中堅窓口職員研修そして、原告は、昭和六二年にフォローアップステップ研修への参加を希望したが、当時は右研修は総合九級を対象としたものであったことから受講できなかった。その後、平成二年に女性総合職職員からの希望により、総合九級でなくともフォローアップステップ研修Ⅲを受講できるようになり、原告は右のとおり平成三年一一月にこれを受講し、さらに、平成五年より受講者のレベルに応じて同研修Ⅰ、Ⅱについても受講できるようになったため、被告金庫は、平成六年三月に実施されるフォローアップステップ研修Ⅰへの参加を原告に勧めたが、原告は研修の内容が初歩的なものばかりであったとして受講を辞退した(甲二七九、三二六、乙一七)。 2 研修における差別の有無原告は、被告金庫は、男性には、計画的ジョブローテーション及びマンツーマン教育並びに集合研修による能力開発が行われるのに対し、女性に対しては、これを育成するという視点に欠けているとして、女性総合職は、男性総合職とのこれまでのキャリアルートが違い、OJT、Off―JT(職場外訓練)による経験が不足していたのであるから、同時期に総合職になった男性職員に比し、より集合研修を受けさせる必要性が高かったにも関わらず、何ら措置を講じず、場当たり的な対応をして、男女差別を行ったと主張する。 が不足していたのであるから、同時期に総合職になった男性職員に比し、より集合研修を受けさせる必要性が高かったにも関わらず、何ら措置を講じず、場当たり的な対応をして、男女差別を行ったと主張する。 確かに、被告金庫においては、コース別人事制度導入後、「若手職員の計画的早期戦力化について」「若手職員の計画的早期戦力化」が制定され、また「若手職員の計画的育成」という通牒が定められ(甲七三、七五)、その中で定められた新入職員に対する系統的な集合研修が実施されている(甲三二一、三二二、三二六)。 しかし、後述のように、男性についても必ず計画的ジョブローテーションに基づく配置や異動されていたとまでは認められないうえ、原告は、コース別人事制度導入時、すでに被告に就職後一五年を経過していた者であり、コース別人事制度導入後に採用された者と研修の種類、数等において異なることもやむを得ないものであり、また、前記認定によれば、被告金庫としては、女性総合職の要望に従い、対象となる研修を増やしていったことが認められるのであるから、原告に対し、研修において男女差別があったとは認められない。 また、原告は、平成六年八月の営業窓口中堅研修について、これは第一線主力層を対象とする研修であって、初級営業窓口研修を受けさせないでこれを受講させるのは嫌がらせである旨をも主張するが、原告が就職後二六年を経過した職員であったことに鑑みれば、初歩的な段階の研修を飛ばして第一線主力層を対象とする研修を受講させたことを不当ということはできない。 四争点4(原告の昇格における差別の有無) 1 原告と同期同学歴の男性総合職職員との格差の合理性の有無(一) 原告の能力について原告は、同期同学歴の男性職員の平均的な能力を有すると主張する。 しかし、これを直接認めるに足りる証拠はない。 むし と同期同学歴の男性総合職職員との格差の合理性の有無(一) 原告の能力について原告は、同期同学歴の男性職員の平均的な能力を有すると主張する。 しかし、これを直接認めるに足りる証拠はない。 むしろ、昭和五九年四月に事務二級六号俸(総合八級)になる前に原告が受けた通信教育等は事務二級一号俸ないし五号俸(総合九級)相応の資格であったこと(甲二四、乙一六)、総合八級になった後に受講した通信教育の中には「外為基礎」「証券基礎」「金融経済基礎講座」といった一般職や総合九級が受講すべきとされている通信教育があったこと(原告本人第二〇回)、平成五年時点で、原告と同期同学歴の男性職員六六名のうち五五名が総合七級B以上であるところ、平成五年九月に実施された昇格が遅れているとされる総合八級に長期滞留している職員を対象とした「平成五年度中堅養成研修」において実施されたテストにおいて、原告の得点は、平均点をわずかに上回るにとどまり、右研修の参加者のほぼ中位に位置したことなどに照らせば、原告が総合七級以上の者が多数いる同期同学歴の男性職員の平均的な能力を有するとまではいえない。原告は業務検定試験の成績をもって原告が同期同学歴の男性職員の平均的能力を有すると主張するが、右各試験については、被告金庫の総合九級の職員においても多数合格していることからすれば、原告の右主張は採用できない。 (二) 原告の自己啓発に対する不当な評価の有無原告が修得した外部資格等は、法務三級、法務二級、財務二級、税務二級、金融経済三級である(甲二三七、三二六)。また、原告は、通信教育にも取り組み、平成五年一〇月には、「管理者能力開発コース」を終了している。そして、昭和六二年以降の年次考課において、原告の「知識」に対する考課結果はBないしAであり、この点について、男女差別による不当な人事 、平成五年一〇月には、「管理者能力開発コース」を終了している。そして、昭和六二年以降の年次考課において、原告の「知識」に対する考課結果はBないしAであり、この点について、男女差別による不当な人事考課がなされたとは認められない。 原告は、法務、財務、税務二級に合格することが、総合七級に昇格するための必須の条件であり、原告は総合七級へ昇格しうる条件を取得したにもかかわらず昇格させないのは違法であると主張する。しかし、そもそもこれらの試験に合格することが総合七級に昇格する必須の条件であるとはいえず、また、被告金庫では、「総合職目標累計ポイント」が定められ、総合七級Bの獲得すべきポイントは「外部資格・試験」で三一ポイント、「通信教育」で九ポイントとされているところ、原告の獲得したポイントは「外部試験・資格」で二九ポイント、「通信教育」で一五ポイントであって、総合七級Bの条件を充たしていたとはいえない(甲二四、乙一六)。したがって、原告の右主張は採用できない。 (三) 原告に対する職務配置と具体的な職務遂行に対する評価(人事考課)(1) 原告の職務歴は、前提事実のとおりであり、また、昭和六一年から平成五年までの年次考課の結果も前提事実に記載のとおりである。そして、各時期における原告の職務内容を主な考課結果とともに述べれば、以下のとおりであった。 ア被告金庫に入庫してから昭和五九年三月三一日まで原告は、昭和四七年、被告金庫に、銀行の事務をやるといった程度の認識で就職し(原告本人第二〇回)、就職後から昭和五六年三月三一日までは、大阪支店の営業第二課あるいは第三課に配属され営業窓口(貸付窓口)補助の仕事に従事していた。このときの原告の具体的な職務内容は、お茶汲み、コピー、封筒書き等の仕事と、手形割引、手形貸付の際の手形の預りと貸付実行準備の補 あるいは第三課に配属され営業窓口(貸付窓口)補助の仕事に従事していた。このときの原告の具体的な職務内容は、お茶汲み、コピー、封筒書き等の仕事と、手形割引、手形貸付の際の手形の預りと貸付実行準備の補助的な仕事であった(甲三二六)。 そして、原告は、昭和五三年までは、男性職員とともに、最小年数で昇格していったが、昭和五四年にAテストを受験し、男性に比し、女性職員は、テストの合格率が低く、また、昇格の度合いも低いことを認識し、男性職員並みの自己啓発の必要性を感じ、この頃より通信教育を始めた。 その後、原告の職務の第二希望が考慮され(甲五五)、昭和五六年四月一日から昭和五七年九月三〇日までは、大阪支店経営相談所(調査課兼務)に配属され、経営相談資料(図書)の貸出し業務、スライドの説明、管理等の業務に従事した。 原告は、昭和五七年一〇月一日から大阪支店に異動となり、業務課に配属された。ここで、原告は貸付事務(実行、手形貸付回収、証書貸付回収)の業務に従事した。原告は、それまで業務課での勤務の経験はなかったものの、資格、年齢が一番上であったことから、専任チェッカー(役席の検印の代行ができる照合者)とリーダーの発令を受けた。なおこの時期の職務配置については、原告も自己の希望に沿うものであったと認めている(原告本人第一八回)。 イ昭和五九年四月からコース別人事制度導入前(昭和六二年三月三一日)まで① 原告は、昭和五九年四月以降も、昭和六一年四月二一日に大阪地区センターに異動するまで、引き続き大阪支店の業務課で貸付事務に従事していた(甲三二六)。 原告は、昭和五九年四月、事務二級六号俸に昇格し、その後、コース別人事制度導入時までに事務二級八号俸に昇格している。この間の原告に対する評価は「①サークル活動全国大会に出場するなどQCを通しその成果は十 は、昭和五九年四月、事務二級六号俸に昇格し、その後、コース別人事制度導入時までに事務二級八号俸に昇格している。この間の原告に対する評価は「①サークル活動全国大会に出場するなどQCを通しその成果は十分に認められる。②課内のリーダーとして努力は認められる。」(昭和五九年一〇月三一日現在)「1、業績・勤務態度とも相応の成果をあげた。2、日常業務におわれ、リーダーシップの発揮については今一つの感があった」(昭和六〇年一〇月三一日現在)というものであった(甲三六一、三六二)。 ② 昭和六一年四月二一日から、昭和六二年三月三一日まで、原告は大阪地区センターの経理に配属され、大阪府内店舗の日々の取引の伝票整理と製本の業務に従事した(甲三二六)。 この間の原告に対する人事考課は、「連絡・報告」「知識・技能」がAであるが、「指導・統率力」がCとされていた。そして「指導・統率力」の項目の説明としては、「自己の意見にこだわる処がみられ、円滑に同僚、下級職員をとりまとめていく能力にやや欠ける」とされていた(乙二八八)。また原告は昭和六一年一〇月三一日現在の自己申告表で、現職務適性度について、普通と記載していた。 ウ大阪支店営業第三課配属時(昭和六二年四月一日から平成二年三月三一日まで)① 昭和六二年四月一日、原告は総合八級の発令を受け、大阪支店営業第三課に配属された。 原告の担当職務は、「営業窓口補助」であったが、一般職のそれとは異なり、担当をもたない営業窓口として処遇され、法務局へ行って謄本や公図をとってくるといった営業窓口補助の業務にも従事しながら、直属の上司のP8課長代理の指導をうけて、担保評価、財務分析、フィスカルへの財務情報登録、簡単な稟議起案等営業窓口本来の業務にも従事していた(乙三二二)。そして、昭和六三年八月からは、原告の直属の上司はP 司のP8課長代理の指導をうけて、担保評価、財務分析、フィスカルへの財務情報登録、簡単な稟議起案等営業窓口本来の業務にも従事していた(乙三二二)。そして、昭和六三年八月からは、原告の直属の上司はP4課長代理となり、企業分析に基づく取引方針策定、貸出稟議書の起案、担保評価、年金福祉事業団の代理貸付の稟議起案等に従事した(乙四四)。このことは、昭和六四年一月一日付職員考課表の異動意見等の欄に「営業の窓口補助をやらせながら、窓口として信用調査、調書作成のOJTを実施中」と記載されていることからも認められる(乙二九〇)。 この点、原告は、この期間の自己の業務について、営業窓口補助業務のみであったと主張するが、原告に対する処遇が一般職に対するものとは異なっていたことは、この時期、原告が、一般職は作成しない稟議書、相談メモ、取引方針策定等を作成していること、換地処分のからんだ担保評価の実査を行っていること、二〇〇枚の名刺を作っていること(乙三二から三四、四七、四八、二二六、二四四、三二四、三二五ないし三三二)、あるいは自己申告表の業務の質についての記載が、昭和六二年四月一日の「適当である。」から同年一〇月一日の「ややむずかしい」に変わっていること(甲三七八、乙一六二)等に照らし、採用しえない。 原告の希望により、平成元年二月から、原告は営業窓口として担当を持つようになるが、担当を持つまでの期間(昭和六二年四月一日から平成元年二月まで)の原告の人事考課は、以下のとおりであった。すなわち、昭和六二年、六三年ともに総合考課は二であり、A評価の考課項目は「協調」(昭和六二年)「積極性」「知識」(昭和六三年)、C評価の考課項目は「仕事の質」「分析力」(昭和六二年)「分析力」「リーダー力」(昭和六三年)であった。そして特記事項としては、昭和六二年は、「総 」(昭和六二年)「積極性」「知識」(昭和六三年)、C評価の考課項目は「仕事の質」「分析力」(昭和六二年)「分析力」「リーダー力」(昭和六三年)であった。そして特記事項としては、昭和六二年は、「総合職として意欲認められるが能力面今一つ努力を要する」とされ、昭和六三年は、「女性営業窓口として独り立ちさせるにはまだ能力・経験とも不足。向上心・素直さを有しており時間かけて教育すれば、営業窓口としても相応の水準には到達可能と考える。」「男性窓口と同等レベルまで育てることはまず難しい、営窓経験させた後、債得あるいは業務・総務の総括(リーダー)として活躍させた方がベターと考える。」とされていた(乙二八九、二九〇)。 ② 平成元年二月以降、原告は担当をもって、営業窓口として業務に従事した。この時期、原告は、P4課長代理の勧めもあり、営業窓口の業務のため自動車の運転免許を取得した。 原告は、当初担当取引先が七ないし八件であったが、その後、八月には、原告の希望により担当先を二二から二三件に増やした。そして同月一四日現在の原告の貸出残高は三三億一四〇〇万円であった。他方、この時期、原告以外の総合九級の男性職員は、担当先を五、六〇件持っており、貸出残高も四六億二六〇〇万円から八六億五一〇〇万円であった。 この時期の原告に対する年次考課は、以下のとおりであった。 すなわち平成元年の総合考課は二であり、A評価の考課項目は「協調」、C評価の考課項目は「仕事の速さ」「課題遂行力」であった。そして特記事項としては、「知識としては相応のものを有しているが、経験・能力不足は否めず、実績が伴っていない。」「知識欲、向上心は旺盛で評価されるが、厳しい金利交渉、量の確保等営窓の置かれている現状では力不足の感あり。」「営窓男子同資格者と伍していくのは仲仲難しいと思われるが、鋭 ず、実績が伴っていない。」「知識欲、向上心は旺盛で評価されるが、厳しい金利交渉、量の確保等営窓の置かれている現状では力不足の感あり。」「営窓男子同資格者と伍していくのは仲仲難しいと思われるが、鋭意努力中であり、暫くは見守っていくしかないか。但し営窓の経験を生かして債得ないし営業総括あるいは総務業務のリーダー等は十分こなせよう。」とされていた(乙二九一)。 そして、P4課長代理の当時の指導観察メモには、「長期四件一四五をこなしJCBも累計六件、ジャーナル月二件と評価できる。」(一一月二九日)、「マコト㈱のリボ当五〇M成約は立派」(一月三〇日)「リボ当貸は累計三件成約で一件有望。財も一八件と周辺卒なくこなし始めた。」(二月二八日)、「顧客に対するフォローは非常によい。個人のワリショー(三和、淀川機工等)は上手に売っているし、総合口座も地道にセールスしている。」(一二月二五日)と原告を評価する記述がある一方、他方で「仕切るセンスは乏しく、不安残る。」(三月三一日)、「仕事のスピードが遅く注意。正確性にもやや欠ける。」(五月三〇日)、「一二/上旬、一一/下旬の処理遅延の件を強く指導。しかし江守バルブの分類を処理期限が遅れ二度期限をジャンプする。」「メリハリをつけ、ある時は債得に手伝ってもらう等の処理が下手。」(一二月二五日)とマイナスの評価の記載もあり、平成元年一二月時点での感想としては、「1外交職員としての素質はある。2財務分析能力は相応ながら、机上的、理論的、抽象的でありポイント、切り口をつかみ、そこから商売を広げていくセンスに弱い。3文章表現上の組立能力、説得力のある文章、語いに乏しく、総合的に機能した調書作成能力に劣る。4女性の得意な細かなセールス、地道かつ親切なセールスは非常に強い。―F・B、代理貸、ワリショー、すまいるローン等 上の組立能力、説得力のある文章、語いに乏しく、総合的に機能した調書作成能力に劣る。4女性の得意な細かなセールス、地道かつ親切なセールスは非常に強い。―F・B、代理貸、ワリショー、すまいるローン等の判断業務をそれ程伴わないが、ただ売るだけではなく、多様かつ地道なセールスを必要とする総合セールスレディー的なものが最適か。」とされている。また平成二年三月時点では「稟議処理速度、判断面での改善の余地は残るがキメ細かいセールス、総合取引メリットのコツを覚えてきつつある。」とされている。 その後、平成二年四月に、原告は、船場支店の業務室に異動となった。 以上によれば、この時期の原告は、初めて営業窓口の業務に従事したこともあり、すでに総合八級としてある程度営業窓口の経験を積んでいた他の男子職員と比較すれば、総じて仕事が遅く、判断力にも問題があり、商売を広げるセンス、調書作成能力に乏しかったといえ、当時、大阪はバブル期にあり、営業が非常に忙しかった中で、営業窓口としての適性が不十分であり、業務も十分にこなせるとまでは評価されなかった(乙二九〇、二九一、証人P16)。このため、昭和六一年一〇月三一日付自己申告表で、原告が長期的な職務希望としてあげていた「総務」(甲三一一)に従事すべく平成二年四月に船場支店へ異動になった。 この点、原告は、自己には営業窓口としての適性はあり、この時期、他の男性職員に比し、経験不足というハンディがあるにもかかわらず、むしろよく頑張ったといえるものである、平成元年三月一三日の貸出稟議書(乙四九)、同年六月の取引方針表(乙五〇)、同年一〇月の取引方針表(乙五二)については、P4課長代理の処理の仕方が不適切なものであり、これを原告に指示できなかったから同課長代理が書類を原告に替わって作成したにすぎない、作業遅延の結果トラブル 同年一〇月の取引方針表(乙五二)については、P4課長代理の処理の仕方が不適切なものであり、これを原告に指示できなかったから同課長代理が書類を原告に替わって作成したにすぎない、作業遅延の結果トラブルは発生していない、作業の遅延を指摘されたことはないと主張する。 しかし、平成元年三月一三日の貸出稟議書(乙四九)、同年六月の取引方針表(乙五〇)、同年一〇月の取引方針表(乙五二)については、P4課長代理が原告に替わって起案し、江守バルブの取引方針表(乙五三)、多木農工具の担保条件変更(乙五四)の処理を遅延させていたのである。当時のP4課長代理の処理、判断が適切なものであったかどうかは別にして、貸出稟議書(乙四九)については、原告自身、自分が当時提出した起案(甲七七、七八)では稟議が通らなかったかもしれないと供述しているのであり(原告本人第一九回)、当時原告が、通らないかもしれないと思って当該稟議書を作成したとは考えられないから、原告の調書作成能力が十分でなかったことは推認できる。取引方針表(乙五〇)の案件については、原告は自分で判断ができずに、P4課長代理の指示を仰いだことは認めており(甲三三八)、取引方針表(乙五二)については、貸出ができないわけではないにもかかわらず(証人P4第一〇回、証人P7、弁論の全趣旨)、貸出に消極的な起案を作成したのである。また、処理遅延について注意を受けていたことは認められるし(乙二九八)、処理遅延により問題が現実に顧客との間で発生しなくとも、遅延自体が問題であることは疑いがない。従って、当時原告に営業窓口としての適性が十分にあったとする原告の主張は採用しえない。 エ船場支店業務室総務配属時(平成二年四月一日から同年七月三一日まで。但し、職員考課表上は八月七日まで)この時期、原告は、一般帳票、重要帳票(手 が十分にあったとする原告の主張は採用しえない。 エ船場支店業務室総務配属時(平成二年四月一日から同年七月三一日まで。但し、職員考課表上は八月七日まで)この時期、原告は、一般帳票、重要帳票(手形・小切手等)の管理、定例給与等の管理、諸届(休暇、早退、遅参)の管理等総務一般の業務に従事した(乙二九九)。 原告は、接客業務(お茶汲み業務)が中心であったと主張するが、この時期の指導観察メモの記載では、「翌日の給料明細の準備が間に合わず、当日早帰りが出来なかった。」(五月二三日)、「各部の通ちょう類の整理が殆ど終わった。」(六月二九日)「初めての転出入手続きを積極的に取り組んだ」(七月三一日)等の記載があること(乙二九九)、経費支出の手続きに関し、約四か月の間に約四七〇件(ミス件数を控除)もの処理を行っていること(乙二四五、なおパートのP11某が処理件数が多いが、同人は経理専門であった。証人P17第六回)、当時業務室では、五月末で総合職のP9某が退職予定であり、総合職のP10某が病気で休みがちであったため、総務の作業域の建て直しが必要であったことから、原告が配置され、原告の後任には総合職のP12がなったこと(証人P17第八、第九回)などに照らし、原告の右主張はたやすく首是できない。 被告金庫は、総務課の仕事の中で、原告に経費支出上の機械処理について他の同僚、地区センター、全店平均を上回るミスがあり、勤務状況は芳しくなかったと主張するが、確かに、原告の打刻ミスが多かったことは認められるものの(乙二四五)、右ミスについては、指導観察メモにも記載がなく(乙二九九)、またこの期間は、年次考課対象期間としては、後に配属された営業総務課と同じであるため、業務室総務のみの年次考課として当時、右原告の打刻ミスがどのように評価されていたのかは不明である く(乙二九九)、またこの期間は、年次考課対象期間としては、後に配属された営業総務課と同じであるため、業務室総務のみの年次考課として当時、右原告の打刻ミスがどのように評価されていたのかは不明である。 オ同支店営業総務課・契約事務・保険事務配属時(平成二年八月一日から平成五年七月二七日まで)① 当時、船場支店の契約では、不備事例が段ボール箱二箱ほども蓄積し、早急にその建て直しが必要な状況にあった(被告P1)。このため、原告は支店長から、契約の建て直しを任され、事務整備を図って欲しいと言われて営業総務課で契約事務に従事することになった。この配属について、原告も、過去の大阪支店での営業窓口の経験、法務二級の知識等を駆使し、営業窓口の指導・改善効率化に自分の能力は最大限に生かせると評価し(原告本人第一八回)、配属直後の平成二年一〇月一日付の自己申告表Ⅰでは、現職務適性度について「極めて適している。」としている。そして、原告は、契約事務の改善に熱心に取り組み、平成三年七月以降は、QCサークル活動と長期経営計画部会活動においても、リーダーとして活動し、仕事の改善と効率化に努めた(甲三一八、三一九、三二六)。平成三年上期には、「過去の仕掛品は一掃され」(乙一八〇)、平成四年上期には「保険事務の整備は完了し、作業負担は大幅に改善され(乙一八一)、平成五年一月時点では、「契約事務の中核的存在」となった(乙二九四)。さらに、若手にも熱心に指導・育成を行っていた(被告P1)。なお、この間、短期実行の一般職が多忙であったため(後述)、平成四年四月に原告に短期実行を、P18に契約をそれぞれ兼務させる発令が行われたが(証人P19)、原告は短期実行を十分に手伝わず、またP18も契約で十分に仕事ができなかったため、右兼務はその後解除されている。 ただ、書類に不備 、P18に契約をそれぞれ兼務させる発令が行われたが(証人P19)、原告は短期実行を十分に手伝わず、またP18も契約で十分に仕事ができなかったため、右兼務はその後解除されている。 ただ、書類に不備があったり、必要書類が不足しているにもかかわらず、契約の作成を依頼してきた営業窓口と原告が激しく言い合うこともあり、このため原告の厳しい対応を嫌った営業窓口が、同じく契約の係りであった総合職の若手職員に仕事を持ち込むようにもなった(被告P1)。 また、新規貸付業務のオンライン移行による契約関係の事前準備作業や店舗移転作業についての処理速度が遅かった(乙三〇〇)。 さらに、平成三年当時非常に金利が高く、また将来的には金利が下がる経済状勢であったことから、顧客が短期(一年未満)の借り入れを希望し、短期実行が忙しくなり、短期実行を担当していた一般職の女性職員から、原告が短期実行を手伝わないという不満が出ていた。このため、当時の原告の直属の上司であったP19課長代理は、平成三年五月に原告に保険と短期実行事務を手伝ってくれるように依頼したが、八月になっても原告は、短期実行に取り組もうとはしていなかった。その後、平成三年一一月に船場支店が仮店舗に移転したため来客が多くなり、この来客への接待(お茶出し)が忙しくなっていったが、原告がこの来客へのお茶出しをしないため、一般職の女性職員から原告に対する不満が出ていた(乙三〇〇、証人P19、被告P1)。 なお、原告は、P19課長代理の作成した指導観察メモ(乙三〇〇)について、すべて鉛筆書きであること、後述のような被告P1からP19課長代理に対し考課結果に関する指示があったことからすると、右の指導観察メモは、後に書き換えられた可能性が否定できないと主張するが、P19課長代理は、当時自ら作成したものであると証言 P1からP19課長代理に対し考課結果に関する指示があったことからすると、右の指導観察メモは、後に書き換えられた可能性が否定できないと主張するが、P19課長代理は、当時自ら作成したものであると証言し、その証言内容も右指導観察メモとほぼ一致するものであり、その証言内容についても信用性があるところ、他に原告の主張するように後に書き換えられたと認めるに足りる証拠もないことから、右被告の主張は認められない。 ② 平成二年から平成四年までの原告の年次考課は以下のとおりであった。 考課結果は、平成二年から四年まで、三であった。A評定の考課項目は、平成二年が「責任感」、平成三年が「指導・育成」「責任感」、平成四年が「指導・育成」「責任感」であり、C評定の考課項目は、平成二年が「協調」、平成三年が「仕事の速さ」「協調」、平成四年が「仕事の速さ」であった。そして特記事項は、まず平成二年は「八月から契約を担当しているが、相応の知識もあり、問題意識を持って取り組んでいるため、業務の改善意欲も出てきている。現在のセクションは適任と思料され、今後更に経験を積ませて契約の要として新人の指導育成にも当たらせたい。」「女性間でやや浮き上がっている感じがある。」「契約担当として成長させたい。」であった。平成三年は、「業務への取組み姿勢は評価できるが、やや柔軟性に欠けるきらいあり。他課等との連繋による効率的な業務遂行が今後の課題。本人は営窓、債得を希望しているが、今少し現職にて適性を見極めたい。」であった。平成四年は、「契約事務の中核的存在として、知識・経験を活かすとともに、新人の教育指導にも意欲的に取組んでおり、仕事の面では安心して任せられるタイプ。但し、営業窓口との連携による効率的な業務推進の面では今一歩工夫が必要。」であった。 なお、原告の直属の上司は、平成五年 の教育指導にも意欲的に取組んでおり、仕事の面では安心して任せられるタイプ。但し、営業窓口との連携による効率的な業務推進の面では今一歩工夫が必要。」であった。 なお、原告の直属の上司は、平成五年三月一一日からはP20課長代理、同年七月一四日からはP21課長代理となった。また、第二次評定者である次長は、平成四年七月二三日から、被告P2に代わり、平成五年七月一四日からは、P3次長に代わった。 カ同支店営業第三課配属時(営業第四、五、六課兼務、平成五年七月二八日から平成六年一月一六日まで)① 原告の希望により、原告は、営業第三課(四課、五課、六課兼務)に配属されることになった(甲三一五)。同課での原告の職務についての発令は、営業窓口補助であった。 この点、原告は、当時の業務は、一般職のP22職員と同じものであり、主たる業務はお茶汲みであったと主張する。しかし、P22職員に渡された業務指示メモ(甲八八の一)と原告に渡された業務指示メモ(甲八八の二)とは、明らかにその内容が異なり、原告に手渡されたメモ(甲八八の二)には、湯茶サービスとの文言はないこと、また九月末日には、窓口として方針、担保評価、稟議起案等三から五課の処理を委任するので責任ある処理をするように言われていること(乙三〇二)等に照らし、右原告の主張は採用しえない。 ② 原告は、平成五年一一月二日に、被告P2と面談し(後述)、精神的影響から同年一一月一二日以降休暇を取得した。その後、同年一一月二二日に、支店長の立会のもと、被告P2と再び面談し(後述)、同年一二月一〇日から仕事に復帰した。原告は、被告P2の発言にショックを受け、自分に対する評価が男女差別であると考え、このころから裁判提訴を考えるようになり、このことを被告金庫にも知らせていた(甲三二六)。 ③ 平成五年の原告の年次考 原告は、被告P2の発言にショックを受け、自分に対する評価が男女差別であると考え、このころから裁判提訴を考えるようになり、このことを被告金庫にも知らせていた(甲三二六)。 ③ 平成五年の原告の年次考課は、四であり、Aの考課項目は「指導・育成」「積極性」「知識」であり、Cの考課項目はなかった。また特記事項としては、「平成五年七月に契約から営窓補助に配転。配転後の相応な処理能力と旺盛な知識欲。向上心にも評価出来ることから出来るだけ早い時期に営窓を担当させたい」「意欲・資質ともに相応。柔軟性、応用力等なお見極めを要すが、早い段階で営窓をトライさせたい。」というものであった。 キ同支店営業第三課(平成六年一月一七日以降平成八年三月末日まで)平成六年一月一七日以降、原告は、営業窓口として、担当を持つようになった。そして原告は、平成六年四月、本訴を提起した。 担当を持つようになった当初の担当は三九件、貸出残高は六八億円であったが、次第に減少し、平成七年には二六件、四五億円、平成八年には一四件、一〇億円となった。 原告は、この期間、取引方針策定(被告金庫の顧客の財務諸表等を分析し、その企業に対する向こう一年間の基本的取り組み方針を決定する作業)や貸出稟議書の起案が遅延し、課長等の援助を受けて処理していた。その中には、平成七年一月の株式会社某運道具の当座預金の強制解約処理のように、原告が通牒を見ただけでは処理方法が分からず、P21課長が引き取り、結局パートの職員が作成した件、同年八月の取引先の合併に関する報告書を放置し、催告期限を徒過した件、同年八月に商手極度額の増額を指示されていたにも関わらず、同年一二月時点でも処理が未了であった件もあった。また、原告の処理の遅延や営業に関し熱意が感じられないといった苦情が顧客から幾度かあり、その都度P21課 商手極度額の増額を指示されていたにも関わらず、同年一二月時点でも処理が未了であった件もあった。また、原告の処理の遅延や営業に関し熱意が感じられないといった苦情が顧客から幾度かあり、その都度P21課長から注意を受けていた。 さらに、平成六年八月には、集金帳(票)を顧客の目の前に置いたまま離席したため、当該顧客が集金票を誤って持って帰ってしまうということがあった。そして、同年一二月八日には、ある顧客の当座預金に交換銭不足が発生し、顧客が時間までに金員を持ってくることができないという状況になった際、その顧客の他の普通預金口座等から振り替えるという処理が一般的であるにもかかわらず、上司の許可を得ずに、その顧客に連絡のうえ、その顧客の当座預金の口座に不足額相当の自己の金員を入金した。さらに、平成七年四月、原告は、顧客にインパクトローンの金利で誤った金利を提示し、すぐに修正の電話を入れずに、課長に報告するということをしたため、取引先が課長から訂正の電話を受けるまでに決裁を得てしまい、修正することができず、低い利率で取引せざるをえなかった。その他にも割引手形の取り入れ限度のチェックを怠り、二度(平成七年八月及び一二月)取り入れ限度額をオーバーしたり、平成七年九月に繰上償還手数料を計算違いのまま取引先に示すというミスをし、その後は、日常業務である利息計算の検算をP21課長に依頼するようになったり、さらに集金票の書き損じが他の営業窓口の職員に比較して多いなど、原告の営業窓口としての業務の遂行には問題があった(甲一八四、乙五七、九四ないし九七、一一五の二、一一六の一ないし五から一二三の一ないし三、一二六の三、一二七の一ないし三、一一七の一、二、一一八の一、三、三〇七、三〇八、証人P21)。 これらについて、原告は、稟議書の起案等が遅れることはよくあること 一ないし五から一二三の一ないし三、一二六の三、一二七の一ないし三、一一七の一、二、一一八の一、三、三〇七、三〇八、証人P21)。 これらについて、原告は、稟議書の起案等が遅れることはよくあることであり、すでに前任者の時点で遅滞していたものもある、また、その他の事例についても、例えば、顧客の集金票の持ち帰りは、集金票一枚のことでありP21課長のもとで集金票紛失の事例があるように、被告金庫の不備事例集にも同じような事例が記載されていることから、他の職員にも発生しているようなミスにすぎない。さらに原告の立替払いについては、関係者が相互に牽制していれば生じなかったものであるなどと主張するが、いずれも、原告がミスをしたものであることは間違いはない。 (2) 人事考課制度自体の不当性についてまず、原告は、被告金庫の人事考課制度には、個々の考課項目において「積極性」「協調性」等と言った恣意的な考課項目が存在すること、分布制限により評定項目毎の評定尺度において相対評価の現実があり、また、五段階評価の総合考課は相対評価であること(甲五八、六〇、七〇)、さらには、職員考課表が非公開とされていること等から、被告金庫の人事考課査定の制度自体が、男女差により格差を生じさせうる不公正なものであると主張する。 しかしながら、被告における業務が多岐にわたり、かつ、定量的にその成果を測定できるものではないことから、考課項目自体はある程度抽象的にならざるを得ないうえ(乙一七)、相対評価が行われるとしても、そのことのみで直ちに被告金庫の人事考課において男女差別があったとはいえないから、原告の右主張は採りえない。また、職員考課表が非公開とされていることも、そのことのみによって、考課制度が男女差により格差を生じさせうる不公正なものであるとまではいうことができない。 (3 ないから、原告の右主張は採りえない。また、職員考課表が非公開とされていることも、そのことのみによって、考課制度が男女差により格差を生じさせうる不公正なものであるとまではいうことができない。 (3) 原告に対する業績評価における差別の有無原告は自己の業績が十分に評価されていない(各考課項目に対するA評価が少なすぎる)と主張するので、これについて検討する。 前述のとおり被告金庫では、旧制度あるいはコース別人事制度のいずれにおいても、職員の職務遂行能力を、職掌、各職掌毎の資格、さらに各資格毎の等級と体系的に位置づけたうえ、個々の職員を、各職掌、各資格、各等級毎に位置づけ、それぞれに応じた処遇を行い、賃金もこれら資格、等級毎に応じて定められるといういわゆる職能資格制度、職能給制度が採用されている。そして、被告金庫においては、旧制度では、昇格のための最長滞留年数が定められており、一部自動昇格制度が採用されていたが、コース別人事制度においては、原告の所属する総合職の昇格については、すべて人事考課によるものとされた。したがって、コース別人事制度のもとでは、雇用契約上、昇格及びこれに伴う昇給の決定は、使用者たる被告金庫の人事考課により行われることになったのである。そして、右人事考課については、当該労働者の職務遂行能力を多面的に判断する必要があり、ひいてはその結果が企業の実績を左右する重要なものであるが故に、就業規則などで定められた考課者、考課項目、考課基準などに従うことを前提としつつも、最終的には被告金庫の総合的な裁量的判断に委ねられているとするのが相当である。ただし、右人事考課が、専ら、国籍・信条・性・社会的身分等による差別に基づいて行われ、あるいは不当労働行為として行われた場合のように、著しく不合理で社会通念上許容できない(公序良俗に反する である。ただし、右人事考課が、専ら、国籍・信条・性・社会的身分等による差別に基づいて行われ、あるいは不当労働行為として行われた場合のように、著しく不合理で社会通念上許容できない(公序良俗に反する)ものであるときは、右裁量権を濫用するものとして、当該人事考課は違法であるといわざるをえない。 被告金庫における昇格には、少なくとも前年度の総合評価が五段階評価の五(きわめて優れている)でなければならず、このためには原告が属する総合八級については、一五の考課項目の中で最終的に、C「要求するレベルには及ばない」との一対一の相殺処理後、A「要求するレベルをはるかに上回っている」が五個以上残らなければならない(但し「仕事の量」といった五つの考課項目についてはウェイトが2であり二倍に計算されるため、最大二〇個のAをつけることは可能。)。したがって、三(資格相応、Aが一ないし二個)あるいは四(優れている、Aが三ないし四個)では昇格の対象とはならないことになる。 しかるところ、前記認定のとおり、原告が自己啓発を行い、自ら積極的に業務に従事し始めたのは昭和五四年のAテスト受験後のことであり、原告が問題とする昭和五九年以降平成二年八月に船場支店で営業総務課に配属され、契約の仕事に従事するまでの間、原告に特に目立った業績があったわけではなく、全般的には、各考課項目について平均的な評価(B評価「期待し要求するレベル以上である」)相当といったものであった。この時期の原告の総合評価は二(やや劣っている)であり、全般的には無難に過ごしていたとすれば、評価としてやや低い印象はあるものの、他方、総合職となり大阪支店で営業窓口の業務に従事するようになった時に、原告の仕事の速さについては、遅いという評価がなされており、これ以降、この点は本訴提起時、またそれ以降も、業務の内容 あるものの、他方、総合職となり大阪支店で営業窓口の業務に従事するようになった時に、原告の仕事の速さについては、遅いという評価がなされており、これ以降、この点は本訴提起時、またそれ以降も、業務の内容が変わり、考課者が変わっても基本的には変わらない評価であることからすれば、原告の仕事の速さには問題があったと認めざるをえず、この点を加味すれば、最終的に総合評価で二という結果も、あながち不当なものとはいえず、被告金庫に違法な裁量権の逸脱があったとまでは認められない。特に昭和六二年四月以降、大阪支店の営業第三課に配属された時の原告は、初めての営業窓口の仕事であり、後のことではあるが、平成六年一月以降の再度の営業窓口としての原告の状況が、ミスが多くまた稟議書等の処理も遅いといったものであったことからすれば、資格毎の絶対評価である被告金庫の人事考課において(甲六三)、すでにそれまでも何年も営業窓口の業務に従事している総合八級の他の職員と比較されるならば、総合評価において二と評価されてもやむをえないものであったといえる。 他方、平成二年八月からの原告の職務遂行をみるに、原告は契約の建て直しという使命を与えられ、それを十分に遂行し、また後輩の指導・育成やQC活動の充実など、十分な業績を挙げ、平成五年一月一日付けの職員考課表では、平成四年の原告の職務遂行について「契約事務の中核的存在」と評価されていた。しかるに、Aの数は一五の考課項目のうち「責任感」「指導・育成」の二つに過ぎず、「仕事の量」(期間内の仕事の処理量や処理範囲は、仕事の分担等に照らして満足いくものであったか)「仕事の質」(仕事の過程・結果は正確で、かつ緻密であったか)「仕事の改善」(現状の問題点に着目し業務の改善・効率化などを行ったか)「課題遂行力」(与えられた仕事について常に問題点を把握 であったか)「仕事の質」(仕事の過程・結果は正確で、かつ緻密であったか)「仕事の改善」(現状の問題点に着目し業務の改善・効率化などを行ったか)「課題遂行力」(与えられた仕事について常に問題点を把握改善しつつ、やり遂げる能力はどうか)といった他に評価しうるであろうと考えられる考課項目についてはいずれもBでとどまっている。 原告本人は、その評価が低いことについて、能力を発揮できる職務を与えられなかったためであるとかミスについては自分の責任ではない旨を述べるところ、これを採れないことは、前述のとおりである。しかし昇格のためにはCとの一対一の相殺処理後、Aが五個以上残らなければならないという条件のもとで、平成五年四月時点では原告と同期・同学歴の男性職員のうち約八三パーセントの者が原告より上位の資格にいるということ、被告金庫の職員であるP23は、自らの第一次評定者としての経験から、三年間の評価で次に昇格するという前提のもとでは、日常年間を通して目立ったミスもなく真面目に与えられた仕事を処理している部下については、厳しい評価をすることはできず、各考課項目にAを付けていたと証言していること(甲五九、証人P23)などを考慮すれば、被告金庫の人事考課上、一人の評価について最終的に五個以上のAがつくことはめずらしいことではないと推認できるにもかかわらず、業績を挙げた原告に対するAの考課項目の個数が二にとどまり、仮にCの項目がなくとも総合評価としては三(資格相応)にしかならないというのは明らかに不当に低い評価といわざるを得ない。そして原告とほぼ同時期に入庫した女性の総合職一六名の中で、被告金庫に入庫して約二十数年以上経過した平成五年当時で、役付者(総合七級)以上の者は一名しかいないこと、原告と同じく総合職であるP24の人事考課について、支店が総合評価で 性の総合職一六名の中で、被告金庫に入庫して約二十数年以上経過した平成五年当時で、役付者(総合七級)以上の者は一名しかいないこと、原告と同じく総合職であるP24の人事考課について、支店が総合評価で四を付けたにもかかわらず、人事部の調整により三となったことがあったこと(甲三〇三)などをも合わせ考慮すれば、かかる原告に対する低い考課の理由について、原告が女性であることを理由としたものであったと判断せざるをえず、右以外に、証拠上これを否定するに足りる特段の合理的な理由はみあたらない。 したがって少なくとも平成四年度の原告の業績に対する人事考課については、男女差別に基づくものであり、これについては、被告金庫に、違法な裁量権の濫用があったといわざるをえない。ただし、この期間の原告に対する評価が、違法に低いものであるとはいえても、本件においては、原告と同じくらいの業績を有する者(男性職員)との比較については、何ら主張・立証がなく、当時の原告に対する人事考課が昇格条件を充たすもの(最終的に五個以上のA)であったか否かについては判断できない。 なお、平成五年度における総合評価については、前述のとおり四とされているが、平成五年度の途中で原告は営業第三課に配置替えとなっていることから、前年度の評価を承継しているともいえず、これが裁量の範囲を逸脱しているとまでは認められない。 以上によれば、原告の職務遂行に対する人事考課については、違法な点は認められるものの、原告が総合六級はもとより総合七級Bに昇格できなかったことが、男女差別であるとまではいえない。 (4) 職務配置における差別の有無原告は、男性職員については、ジョブローテーションによって能力開発の機会が保障され、能力が開発されて行くのに対し、女性職員に対しては、そのような能力開発の機会は与えられ 職務配置における差別の有無原告は、男性職員については、ジョブローテーションによって能力開発の機会が保障され、能力が開発されて行くのに対し、女性職員に対しては、そのような能力開発の機会は与えられず、原告は、採用されてから一一年間営業窓口補助に配置されたが、男性職員が営業窓口補助に配置されるのは、教育の一環として三ないし六か月間に過ぎないと主張する。そして、職務配置により差別を受けることで能力が開発されないことは、昭和五四年に実施されたテストの結果、男性職員の大多数がAテストに合格し、二級一号俸に昇格したにもかかわらず、女性についてはAテストの合格率が低く、また二級一号俸に昇格したものもわずかであったことからも認められると主張する。 原告が、被告金庫に雇用された昭和四七年当時においても、未だ、男性は経済的に家庭を支え、女性は結婚して家庭に入り、家事育児に専念するという役割分担意識が根強く残っており、女性の勤務年数も比較的短い時代であったことから、一般的に、女性に対する期待度は男性に比べて低い時代であったということはでき、原告が営業窓口補助に昭和五六年まで九年間配置されたことは、右のような風潮が影響していた可能性は否定できない。しかしながら、被告金庫の旧制度のもとで、具体的に男性職員には計画的なジョブローテーションが行われていたことを認めるに足りる証拠はない。 他方、原告の業務は、被告金庫入庫以来常に補助業務であったわけではないし、その職務配置についても、原告の希望を入れて配置されたときもあったのである。 そして、そもそも、その主張の企画力、リーダー力、分析力などについても、企画、指導、分析等を内容とする業務に就かなければ、その能力を判断できないというものではなく、配置が直接に低い評価に結びつくものとまではいえない。むしろ原告は、被告 ーダー力、分析力などについても、企画、指導、分析等を内容とする業務に就かなければ、その能力を判断できないというものではなく、配置が直接に低い評価に結びつくものとまではいえない。むしろ原告は、被告に就職以来九年間窓口補助に配置され、主として補助的業務を担当していたにもかかわらず、その後、昭和五七年には、大阪支店営業課で専任チェッカーとリーダーの発令を受けているのであり、補助的業務に従事していたからといって、能力が開発されなかったということはできない。確かに、原告主張のように昭和五四年に実施されたテストにより、男性職員の方が多く昇格したことは認められるが、このことのみをもって原告についてその職務配置により能力が開発されていなかったとまでは認められない。 原告は、昭和五三年までは、最小年数で昇格し、昭和五四年の異動は、第二希望とはいえ、その希望によるものであり(甲五五)、昭和五七年一〇月の異動も原告の意向に沿うものであったことからすれば、原告に対するこの時期までの配置を男女差別ということはできないし、昭和六一年四月の異動についても、これを男女差別と認めるに足りる事情はない。 原告は、昭和六二年四月一日から平成元年二月二〇日まで、営業第三課窓口補助に配置されたが、これが異例であったことは認められる。ただ、一般職の窓口補助と異なり、営業窓口としての業務も行っていたことは前述のとおりであり、補助とされたのは原告に対する信頼度が少なかったためであり、また、補助業務が比較的長期に及んだことも、右期間における原告の業務に対する評価からすれば、これを差別ということはできない。 平成二年四月の異動の理由については、前述のとおり、バブル期の多忙な時期における戦力として不十分であったと評価されたもので、その評価が不当ともいえないから、右異動を不当という いうことはできない。 平成二年四月の異動の理由については、前述のとおり、バブル期の多忙な時期における戦力として不十分であったと評価されたもので、その評価が不当ともいえないから、右異動を不当ということはできない。また、平成二年八月、平成四年一月の各異動についても、前述の事情からすれば、これを男女差別とまでいうことはできない。 以上に対し、原告は、平成五年七月二八日、営業第三課窓口補助に配転された。 その業務は一般職の窓口補助と異なっていたというものの、原告がかつて大阪支店での営業窓口の経験を有することからすれば、従前の窓口担当時の原告に対する評価が低かったとしても、あえて「窓口補助」の発令をしなければならないほどの理由はなく、平成五年当時総合職男性職員についてそのような発令をした例がない(被告P2及び弁論の全趣旨)ことからすれば、基本的に職務配置については被告金庫の総合的な裁量事項であるとしても、右発令は原告が女性であることを理由とした不当な差別的取扱いというべきであり、人事権を濫用したものである。 五争点5(原告の賞与考課における差別の有無)平成三年度から平成五年度までの原告の賞与支給率、総合八級の平均支給率、妥結支給率は、原告の主張1(三)(2)に記載のとおり認められる。これによれば、原告に対する賞与の支給率は、総合八級の平均支給率及び妥結支給率より低い。前述の原告の業務に対する評価からすれば、右の平均支給率等より低いというだけで差別的取扱いがされたとまではいえないが、平成四年度の年次考課については、前述したとおり、原告が女性であることを理由に低く考課査定されたと認められるのであるから、同年度の賞与考課において同様の不当な評価がされた疑いを残し、仮にこれがないとしても賞与の額については当然に年次考課の影響を受けているものという とを理由に低く考課査定されたと認められるのであるから、同年度の賞与考課において同様の不当な評価がされた疑いを残し、仮にこれがないとしても賞与の額については当然に年次考課の影響を受けているものということができる。ただ、これらの差別によって、具体的にいくらの損害が生じたかは、これを認定することが困難であるから、この点は、精神的損害の算出に当たって考慮するものとする。 六争点6(原告の被告金庫に対する請求の可否と損害) 1 地位確認の請求について昇格は、当該労働者の職務の等級を上位に引き上げることである。原告は、総合六級の地位にあることの確認を求めるが、被告金庫においては、前述の被告金庫の総合的な裁量的判断である人事考課に基づき、被告金庫が決定するものであり、被告金庫による昇格決定の意思表示がなければ、昇格の効果は生じないから、原告が総合六級の地位にあることを認めることはできない。 この点原告は、男女雇用機会均等法を根拠とするが、これは企業に対する努力規定にすぎないから根拠とならない。また、原告は、労基法四条により、被告の違法な考課の部分は無効であり、その雇用条件の空白は、男性総合職の標準者のそれをもって充てられるべきだとも主張するが、労基法四条は賃金に関する男女差別を禁止する規定であり、本件のような昇格における男女差別に直接適用することができるものではなく、また、仮に同条、あるいは同法一三条の適用を認め、原告の現在の職務の等級の格付が無効であるとしても、同法一三条は、無効となった部分の基準を同法の中に求めており、原告が主張する男性総合職の標準者をもって充てることができないのはもちろんのこと、基本的には労働者に対する職務の格付は、被告金庫の裁量によるものであるから、無効となった部分に対応する基準を一義的に同法の中に求めることはできず、 者をもって充てることができないのはもちろんのこと、基本的には労働者に対する職務の格付は、被告金庫の裁量によるものであるから、無効となった部分に対応する基準を一義的に同法の中に求めることはできず、原告の右主張もとりえない。 2 債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償前記認定のとおり、被告金庫の原告に対する平成四年度の人事考課は、男女差別という公序良俗に反し、違法な裁量権の濫用であったといえる。また、原告に対し「窓口補助」を発令したことも男女差別であって違法というべきである。したがって、これら被告金庫の違法な行為により、原告が経済的あるいは精神的に損害を被った場合には、被告金庫は、少なくとも不法行為に基づき、原告が被った右損害を賠償する責任を負う。 次にその損害額について検討する。確かに右時期の被告金庫の人事考課及び配置が違法なものであったとはいえるが、他方、当時の原告に対する正当な考課が、総合七級Bへの昇格の要件を満たすものであったかについては、一概に決しえない。 しかし、熱心に仕事に取り組み成果を上げたことを正当に評価されなかったことによる原告の精神的苦痛については、多大なものがあったといえる。実際に原告は自己に対する違法な査定を知ったことにより、鬱状態にまでなっている(甲三二九)。また、総合職でありながら、窓口補助に配置されたことも、原告に精神的苦痛を与えたことが推認される。これらの事情を総合考慮すれば、その精神的損害に対する慰謝料としては二〇〇万円が相当である。 また弁護士費用については、諸般の事情を考慮し、その一割をもって相当とする。 七争点7(被告P1・被告P2に対する請求) 1 証拠(甲一〇七の二、三、乙一九五、二七九、原告本人、被告P1、被告P2)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (一) 被告P1の る。 七争点7(被告P1・被告P2に対する請求) 1 証拠(甲一〇七の二、三、乙一九五、二七九、原告本人、被告P1、被告P2)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (一) 被告P1の原告に対する平成三年一二月一三日の発言平成三年一二月当時、営業総務課の短期実行は、P25、P26、P22の三名であったが、P22が休みがちであったうえに、平成四年九月には、P26が退職予定であった。そして前述のとおり、当時短期実行が多忙であり、次長であった被告P1としては、早急に営業総務課の人員体制の見直しと、人事部に対し人事の要請の有無を判断する必要があり、このため課内の意見を徴収する必要が生じたため、平成一二年三月一三日に一般職を含め課内の職員と面接した。その際、被告P1は、P27から原告に対する不満、すなわち、来客へのお茶出しを原告が手伝わない、営業総務課全員で出るようになっていたはずの電話を原告がとらない、原告の営業窓口に対する言い方が非常にきつく、聞いていて不愉快だといった不満を聞かされた。このため、原告と面接した際、被告P1は、原告に対し、女性の若い人たちが忙しいときは、状況をみて手伝ってやって欲しい旨述べた。この若い人たちとは、短期実行を担当していた一般職の職員等であるが、これらの者の業務には、来客へのお茶出しも含まれていたところ、原告は、P27が独りでいい格好をしていると述べ、朝の拭き掃除や管理職へお茶出しについて述べ始めた。このため、被告P1は、人がやっておられるのにどうのこうのいうことはないと原告に言ったりした。 またP27が、原告が出席簿の件についても分け方が男女別になっていたことについて抗議していたと話していたことから、原告に対し、出席簿のことを激しく抗議したようだがといったところ、原告は、これについては何を言われて 原告が出席簿の件についても分け方が男女別になっていたことについて抗議していたと話していたことから、原告に対し、出席簿のことを激しく抗議したようだがといったところ、原告は、これについては何を言われているのかわからなかったようなので、話はそこで終わった。 以上の認定に対し、原告本人は、右被告P1の面接は、原告に対する人事考課のフィードバックのために行われたものであり、その際、被告P1は「先輩の後ろ姿をみて、朝の拭き掃除や支店長へのお茶出しをしようと思わないのか。子供を産むのは女の仕事だ。女性には、女性にしかできない役割があるだろう」と発言して、原告に拭き掃除とお茶出しをするようにいってきたと述べる。しかし原告と被告P1と面談は、時期、フィードバックの担当者が課長であることなどから、人事考課のためのフィードバックであったとは認めることはできず、また次長である被告P1がお茶出し等の要請のためだけに、P27らを含む職員と面談を行うとは不自然であり、原告本人の右供述は採用しえない。 (二) 被告P2の原告に対する平成五年一一月二日の発言(1) 原告は、平成五年五月のP20課長からの人事考課のフィードバックで平成四年の年次考課が三、平成四年下期(平成四年四月から九月まで)の賞与考課が二であることを聞き、平成四年にはQCサークル活動や長期経営部会活動により、成果をあげていたとの自負があったため、この考課に納得がいかなかった。そして平成五年六月の賞与考課のフィードバックで平成五年上期(平成四年一〇月から平成五年三月)の賞与考課が二であることを聞き、納得がいかないと言ったところ、前回の二の下から今回は二の上に上がっていると言われた。そして、その後、同年七月に営業窓口補助の発令を受けた原告は、平成五年の自己申告表の記載をする前に、考課二の理由を聞くべく、 いと言ったところ、前回の二の下から今回は二の上に上がっていると言われた。そして、その後、同年七月に営業窓口補助の発令を受けた原告は、平成五年の自己申告表の記載をする前に、考課二の理由を聞くべく、被告P2に面接を申し出た。そして、原告の申し出により、平成五年一一月二日、被告P2は原告と面接した。 被告P2は、これ以前の平成五年六月にP20課長から、原告が考課の件で次長に聞きに来るかもしれないと言われていたが、その後、原告からは何もなく、同年七月に原告のラインの上司から離れてもいたこともあり、その後約四か月もたって、原告が平成五年上期の賞与考課で面接を求めてきたとは思っていなかった。このため、被告P2は、人事考課の資料を何も持たずに原告との面接に応じた。 この点、原告は、平成五年六月にP20課長から人事考課について原告が聞きに来るかもしれないと言われていたのであるから、被告P2としても、原告との面接が考課のフィードバックであるとの認識はあったはずであると主張するが、原告との面接に、考課後約半年以上も経過しているにもかかわらず、被告P2が何らの資料も持たずに、原告と面接していることなどに照らすと、原告の認識が平成五年上期の賞与考課の第二次評定者であったP2からその考課のフィードバックをうけるというものであったにせよ、被告P2にもその認識があったとまでは認められず、原告の右主張は採用しえない。 (2) そして平成五年一一月二日当日、平成五年上期の賞与考課が二である理由を尋ねる原告に対し、被告P2は概ね以下のように答えた。「評価は過去を踏襲している。被告P2は、原告が契約を立て直したことを評価し前回よりも引き上げた。ボーナスは生活給だという考え方がある。元の給与が高いので率は低くても多いはずだ。原告のクラスでの(賞与)の評価は決して低くない 。被告P2は、原告が契約を立て直したことを評価し前回よりも引き上げた。ボーナスは生活給だという考え方がある。元の給与が高いので率は低くても多いはずだ。原告のクラスでの(賞与)の評価は決して低くない。平成四年九月末日にP28、P29が契約実行を応援したが、応援者の方が処理件数が多く、スピード、処理能力がこれらの者より劣る。原告は契約の精度を求めすぎる。月華殿の件にしても処理が遅すぎた。四月九日に他の人がまだ仕事をしているのに、原告は真っ先に帰った。」また、なぜ昇格できないのかという原告の質問に対し、被告P2は、「難易度の高い仕事をしている営業窓口に配分を多くせざるをえない。原告は女性の中で孤立しており、またP27と比べてどうかということもある。原告は総合職を全面に出しすぎる。」と述べた。 この点、被告P2本人は、原告に「原告のクラスでの(賞与)の評価は決して低くない」「難易度の高い仕事をしている営業窓口に配分を多くせざるをえない」「原告は女性の中で孤立している」「P27と比べてどうかということもある」と言ったことはないと述べる。 しかし、右被告P2の発言については、当時原告が作成した記録(甲一〇七の二)に記載されていること、被告P2は、この面接の際に、原告に納得させるために賞与支給額決定表(乙二八〇)を採りに行って、説明していること、管理では昇格できないということを言われたという他の管理職がいること(甲三〇)、被告P2が、原告のラインの上司であった時に、一般職から、原告が総合職として給料並の仕事をしていない、お茶出し、電話採り、短期実行について手伝ってもらえなかったという不満を聞いていたこと(被告P2)、当時原告から朝の拭き掃除と管理職へのお茶出しの協力を断られたP27が、一人でこれらの作業をやっていたこと(原告本人第一八回)、 ついて手伝ってもらえなかったという不満を聞いていたこと(被告P2)、当時原告から朝の拭き掃除と管理職へのお茶出しの協力を断られたP27が、一人でこれらの作業をやっていたこと(原告本人第一八回)、被告P2も原告に対し、総合職ということを全面に出しすぎると述べたことは認めていることなどに照らし、右被告P2本人の供述は採用しえない。 (三) 被告P2の原告に対する平成五年一一月二二日の発言内容被告P2との面接を終え、事実に反する出来事や偏見でしか評価されず、女性という枠の中でしか評価されていなかったと思い、強くショックを受けた。そして仕事に従事することが困難になり同年一一月一二日からは休暇をとった。そしてこの休暇中に、P30支店長に面接を求め、被告P2の発言に対する意見を求めたところ、P30支店長が、「P2次長はおそらく総合八級で求められているものと実際と比べてどうだったかということを言っているのだと思う。」と推測の域を出ないことを言ったため、原告はP30支店長の立ち会いの下で、被告P2の発言の真意を確かめたいと申し出て、被告P2を支店長室に呼んでもらった。他方、被告P2は、支店長室に呼ばれて行ったところ、そこに休暇中の原告がいたことから驚いた。 このとき、被告P2の発言は概ね以下のようなものであった。 「一般職とのあつれきがあった。四年一〇月のP28やP29が契約の応援をした際に応援者の方が実行処理件数が多く、総合八級に求められるスピードに達しない。残業が多かった。他店では預金担保も契約係りで行っている。契約は一人で十分だ。お茶を頼んでも断って入れない。月華殿を放置していた。総合八級にあるまじき行為だ。営業窓口とのコミニュケーションが悪い。」そして、これらの事項についてその理由や根拠を次々に問い質す原告に、被告P は、ほとんど って入れない。月華殿を放置していた。総合八級にあるまじき行為だ。営業窓口とのコミニュケーションが悪い。」そして、これらの事項についてその理由や根拠を次々に問い質す原告に、被告P は、ほとんど無言であったが、総合職を全面に出しすぎるという意味を尋ねられた際に、「お茶を頼まないと入れないだろう、言われなくとも入れるべきだ、原告にはお茶を頼みにくい雰囲気がある。そう思わせるにはあなたに問題がある。」などと答えた。 この点、被告P2本人はお茶出しの話はしたが、「お茶を頼まないと入れないだろう、言われなくとも入れるべきだ、原告にはお茶を頼みにくい雰囲気がある。そう思わせるにはあなたに問題がある。」とは言っていないと述べるが、これらについても、当時原告が作成した記録(甲一〇七の三)に記載があること、前述のとおり、被告P2は、お茶出しの件で、原告が一般職から不平をかっていることを認識しており、また、営業窓口とのコミュニケーションが悪かったのは原告の対応に問題があると認識していたこと(乙二七九及び弁論の全趣旨)からすれば、対人関係がスムーズに行かないのは、原告に非があると考えていたと推認できることに照らせば、被告P2本人の供述はたやすく信用しえない。 2 以上の認定をもとに、被告P1・被告P2の債務不履行ないし不法行為責任について検討する。 (一) まず、原告は、被告P1及び被告P2の前記発言から窺われるように、両名が違法な男女差別の意識を持ち、被告金庫の履行補助者として原告に対し差別的な違法な人事考課をしたから、原告に対し、被告P1及び被告P2も債務不履行責任を負うと主張するが、この両名の被告は、いずれも原告に対し雇用契約の当事者ではないから、契約上の責任が発生する余地はなく、原告の右主張は失当である。 (二) 次に、被告P1及び被告P2の第二 履行責任を負うと主張するが、この両名の被告は、いずれも原告に対し雇用契約の当事者ではないから、契約上の責任が発生する余地はなく、原告の右主張は失当である。 (二) 次に、被告P1及び被告P2の第二次評定者としての人事考課が、原告に対する差別意識をもって行われたとして、右両名の不法行為責任を求める点については、まず被告P1は、P19課長が「指導・育成」「協調」をB・BとしていたものをA・Cに変更したにすぎず、これは最終的な考課の総合判断に影響を与えるものではないこと、次に被告P2については、第一次評定者がBとしていた「責任感」をAと評定し、最終的な考課判断を引き上げていること、さらに両者の査定が男性職員に比し低く査定するという差別的なものであったとしても、両者は、いずれも第二次評定者にすぎず、考課全体における右両者の寄与度を単純に判定することはできないこと、被告P1及び被告P2に、被告金庫と別個の人事考課についての不法行為責任を認めることはできないといわざるを得ない。 よって、本件において、被告P1、被告P2に、人事考課について、不法行為責任を認めることはできない。 (三) さらに、原告は、被告P1及び被告P2の発言自体が、女性差別に基づく違法なものであるとして、これによる精神的損害についての慰謝料を請求する。 被告P1の発言については、前記認定のとおりであり、被告P1は原告以外の男性職員にお茶出しの協力を求めたことはないことは認めているのであるから、右発言は原告にいわゆる女性としての役割を求めたものとはいえるが、原告は、P31次長からも管理職へのお茶出しへの協力を求められ、これを断ったということがあり、またこの被告P1の発言自体については、当時原告として特に問題として取り上げる意識はなく、被告P2との面談後に思い出した程度のものであ 職へのお茶出しへの協力を求められ、これを断ったということがあり、またこの被告P1の発言自体については、当時原告として特に問題として取り上げる意識はなく、被告P2との面談後に思い出した程度のものであることからすると(甲三二九)、当時このP1の発言により、原告が精神的損害を受けていたとまでは認められない。 次に、被告P2の発言については、前記認定のとおり原告は、女性の役割を果たしていないという発言そのものよりも、女性ということでいくら成果をあげても低く人事考課されていることに強い精神的ショックを受けたものであり、発言そのものによる精神的損害があったとまでは認められない。 (四) 以上、原告の被告P1、被告P2に対する請求いずれも認められない。 八争点8(時効について)原告に生じた損害は、前述のとおり、平成四年度の人事考課及び平成五年の職務配置に関わるものにすぎないので、時効の成否は問題とならない。 よって、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第五民事部裁判長裁判官松本哲泓裁判官川畑公美裁判官西森みゆき

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