【DRY-RUN】主 文 一、 原決定を取り消す。 二、 本件競落を許さない。 理 由 一、 抗告人らの抗告の趣旨と理由は別紙のとおりである。 二、 当裁判所の判断
主 文 一、 原決定を取り消す。 二、 本件競落を許さない。 理 由 一、 抗告人らの抗告の趣旨と理由は別紙のとおりである。 二、 当裁判所の判断 (一) 昭和三八年(ラ)第二二一号事件について。 本件競売及び競落期日公告によると、競売法二九条の要求している賃貸借の期 限、並びに借賃及び借賃の前払又は敷金の差入れあるときはその額について何らの 記載のないことが認められる。しかし、同公告に抗告人Aが主張するような賃貸借 の記載がないからといつて、同抗告人が競落人に対抗できる賃貸借が消滅させられ る理はない(最高裁判所昭和二五年(オ)第二二八号昭和二八年三月一七日第三小 法廷判決民集七巻二四八頁参照) そうすると、同抗告人は、本件競落許可決定に対し、主張のような理由を掲げて 抗告する何らの利益がないわけであるから、同抗告人のこの理由は採用に出ない。 (二) 昭和三八年(ラ)第二一九号二二〇号事件について。 (1) 抗告人Bの抗告理由第一点について。 同理由は、競売法三二条によつて準用される民訴六八一条二項六七二条に列挙さ れた異議の原因のいずれにも該当しない。 したがつて同理由は、この点で失当であり採用に由ない。 (2) 同抗告人の抗告理由第二点、同C及び同Dの抗告理由について判断す る。 本件記録によると、前掲競売及び競落期日公告には、別紙目録記載の不動産のう ち、本件土地の最低競売価額を金二七万円、家屋の最低競売価額を金八一万九、七 二〇円とし、登記簿上畑である前者について、特に「現況は宅地である」と記載さ れていること、そして、昭和三八年一〇月一五日午前一〇時、原裁判所で開かれた 不動産競売期日では、Eか、本件土地を金四五万円、家屋を金八五万円で競買した が、同人は、本件土地を農地としてではなく、本件 れていること、そして、昭和三八年一〇月一五日午前一〇時、原裁判所で開かれた 不動産競売期日では、Eか、本件土地を金四五万円、家屋を金八五万円で競買した が、同人は、本件土地を農地としてではなく、本件家屋の敷地即ち宅地として競買 した。原裁判所は同月二二日午前一〇時に開いた競落期日で、Eの右競落の許可決 定をしたことが認められる。そうすると、原裁判所は、本件土地は、登記簿上畑に なつているが、現況は宅地であることから、宅地として競売手続を進めたことにな るが、原裁判所の右手続は正当であり、地目が畑であることから、現況を無視して 農地としての競売手続を進めなければならないものではない。 そうだとすると、右抗告人らが本件土地を、地目どおり農地として競売しなかつ たことを理由に、原決定の取消しを求めることは、失当である。 (三) 職権によつて、本件記録を精査すると、原決定には次の違法があり取消 しを免れない。 (1) 本件記録によると、原裁判所から、競売法二八条によつて本件不動産の 評価を命ぜられた鑑定人Fが提出した鑑定書によると、本件土地を農地として一坪 当り金一万円と評価し、適正更地価額として、金三六万円(本件土地の坪数は三六 坪である)と積算した。しかも、「競売という特殊な市場での売買を目的とした評 価であるため、その特殊性に対する価額調整の必要を認め、又本件土地の地目が、 農地であるため需要者がある程度、限定されるという市場性も勘案して」七五パー セント調整し、本件土地を金二七万円に評価したこと、本件家屋についても同特殊 性を勘案して同割合による価額調整をしたことが認められる。 (2) 右鑑定は、本件土地を畑として評価したことと、畑としての時価を、競 売の特殊性により更に七五パーセント調整したこと及び本件家屋の評価についても 競売の特殊性により同割合の調整をしたこ られる。 (2) 右鑑定は、本件土地を畑として評価したことと、畑としての時価を、競 売の特殊性により更に七五パーセント調整したこと及び本件家屋の評価についても 競売の特殊性により同割合の調整をしたことにおいて、二重の過誤を犯している。 <要旨第一>競売法二八条で鑑定人に目的不動産を評価させ、その評価額をもつて 最低競売価格とすることにしたのは、</要旨第一>不動産の価額を相当に維持し、不 当に安価に競売されることを防ぐことにある。したがつて、鑑定人が、目的不動産 を評価するに当つては、公正な立場に立つて、可及的に客観的価額を算出すべきで あることは当然である。本件鑑定のように、競売期日に相当の競売申込みがないこ とを予想して、はじめから、目的不動産の評価額を、客観的価額以下に調整して見 積ることは、右評価の趣旨に反する越権的評価である。そればかりか、それは競売 法三一条民訴六七〇条によらないで最低競売価額を低減する結果をきたし許されな い。 <要旨第二>そのうえ、農地法は現況主義をとつているのであるから、真実建物の 築造されている本件土地の競売につい</要旨第二>て農地法上の知事の許可は不要で あり、したがつて、買受資格に制限はないし、名目上地目が農地となつていても、 その移転登記は知事の許可証明書を必要とするものではないから、市場性はなんら 限定される理がないとしなければならない。 そうだとすると、右鑑定人は、本件鑑定に当り、本件土地を現況宅地としてその 時価を算出すべきであり、本件家屋と本件土地の時価算出について競売市場の特殊 性による価額調整をすべきではなかつた。しかるに、本件鑑定は、これと異なる立 場で、本件土地が畑であり、市場性が制限されることを評価するに際して勘案し た。 そうすると、原裁判所は右鑑定を鵜呑みにせず、再鑑定を命ずるなど適切な方法 を採つ しかるに、本件鑑定は、これと異なる立 場で、本件土地が畑であり、市場性が制限されることを評価するに際して勘案し た。 そうすると、原裁判所は右鑑定を鵜呑みにせず、再鑑定を命ずるなど適切な方法 を採つて適正な最低競売価額を求める挙に出るべきであつた。しかるに、原裁判所 は、ことここに出でず、過誤のある本件鑑定の評価額を最低競売価額として競売及 び競落期日公告に掲載した以上、それは適法な最低競売価額の掲載がなかつたこと に帰着し、原決定はこの点において取消しを免れない。 (四) 以上の次第であるから、民訴四一四条三八六条を適用して主文のとおり 決定する。 (裁判長裁判官 平峯隆 裁判官 大江健次郎 裁判官 古崎慶長)
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