【DRY-RUN】主 文 本件上告をいずれも棄却する。 上告費用は上告人等の負担とする。 理 由 上告人代理人等は「原判決を破毀し、本件を原裁判所に差戻す、」との判決
主文 本件上告をいずれも棄却する。 上告費用は上告人等の負担とする。 理由 上告人代理人等は「原判決を破毀し、本件を原裁判所に差戻す、」との判決を求め、その理由として、末尾添付上告理由書記載のとおり主張した。 上告理由第一点について。 <要旨>国有財産のうち普通財産は国の私産の性質を有し、これに私権を設定することができる(国有財産法第二十</要旨>条)のであるから、普通財産の有償貸付の性質は賃貸借契約であると解するを相当とする。従つて、建物の所有を目的として普通財産である土地の貸付契約がなされた場合には、借地法の適用があるものと解すべきであるが、国有財産法は国有財産の管理の公正を期するため、その貸付について特別の定めをなしているのであるから、この限度においては同法の規定が優先して適用せらるべきものと解するを相当とする。国有財産法第二十一条は普通財産の貸付期間を限定しているが、その貸付期間はこれを更新することができると規定し、かえつて、更新を禁止する旨の特別の規定は存しないのであるから、法定更新に関する借地法第六条は普通財産である土地の貸付契約についても当然に適用せられ、たゞ更新後の借地期間については前記国有財産法第二十一条の特別の規定があるため、借地法第六条第一項後段、第五条の適用がなく、前契約におけると同一の期間となるものと解すべきである。 原判決の判示によれば、原審は本件土地を含む旧第二海軍航空廠跡の土地五万五千五百七坪一合はもと国の所有で、戦後雑種財産(現行国有財産法の普通財産)に変更せられ、国は訴外合資会社清和コルク工業所に対し、本件土地を相当額の貸付料を徴収し、借地期間を昭和二十五年四月一日から昭和二十七年三月三十一日までとして貸付けた事実ならびに上告人Aが本件第一土地 変更せられ、国は訴外合資会社清和コルク工業所に対し、本件土地を相当額の貸付料を徴収し、借地期間を昭和二十五年四月一日から昭和二十七年三月三十一日までとして貸付けた事実ならびに上告人Aが本件第一土地上に本件第一建物を、第二土地上に、第三建物をそれぞれ所有して、右各土地を占有している事実を認定しているのであるから、原審が上記清和コルク工業所から本件土地の賃借権の譲渡を受け本件土地を適法に占有しているとの上告人の主張に対し、借地法の法定更新の規定は、国有財産法第二十一条第一、二項の規定に照らして国有財産の貸付についてはその適用がなく、清和コルク工業所の有した賃借権は昭和二十七年三月三十一日の経過によつてすでに消滅したから、右上告人の主張は失当であると判断したのは上記国有財産法の解釈を誤つた違法があるものといわなければならない。 しかしながら、本件土地は被上告人が国から払下を受け、昭和二十九年二月十七日その所有権移転登記手続を経たものであることは、原判決の適法に確定した事実であり、原審が右被上告人の所有権取得以前に上告人Aが前記同人所有の本件第一、および第三建物につき上告人名義の登記手続を経由した事実のないことを認定し、上告人等は本件土地の賃借権の譲受をもつて被上告人に対抗することができない、との判断をなしていることも原判文上明かである。本件記録によれば、上告人Aが合資会社清和コルク工業所から本件土地の賃借権の譲渡を受けるについて、所有者である国の承諾を得た事実についてはなんの主張もなしていないことが明らかであるから、かりに清和コルク工業所の有した本件土地の賃借権が法定更新せられたものであり、上告人Aがこれを譲受けたものであるにしても、上告人Aは右譲受けを国に主張することができず、適法な賃借権を有しないのであるから、国から本件土地所有権の譲 件土地の賃借権が法定更新せられたものであり、上告人Aがこれを譲受けたものであるにしても、上告人Aは右譲受けを国に主張することができず、適法な賃借権を有しないのであるから、国から本件土地所有権の譲渡を受けた被上告人に対してもまた、地上建物についての登記の有無にかゝわず、右賃借権の譲受をもつて対抗し得ないことはもちろんのことである。上記原審の判断は、必ずしも明確ではないが、右と同趣旨に解し得られないではないから、原審が上告人等は本件土地を占有するについて、被上告人に対抗し得る正当の権限を有しないと判断し、被上告人の本訴請求を認容したのは結局において正当に帰するものといわなければならない。そうだとすれば、上記国有財産法の解釈適用を誤つた違法は、原判決に影響を及ぼすことが明かな法令の違背にはならないから論旨は採用することができない。 同第二点について、原判決は「被上告人はその用地が手狭になつたので、国に対し本件土地等の払下を申請したところ、被上告人は既にその隣地の払下を受けていた関係から、法定の特別縁故者として、本件土地等の払下を受けたものであり、右払下申請当時においては従前右土地を使用していた訴外日本燃料株式会社および合資会社清和コルク工業所は既に倒産解体して、払下を受ける能力がなくなつており、また現実に本件土地を使用していた上告人等は右土地についてなんらの使用権限をも有しなかつたので、国は払下にあたりこれらの者の申請の有無および土地使用を特別に考慮することなく払下を進めたものである。」との事実を認定しているのであつて、右事実は原判決の挙示する証拠によつてこれを認めることができる。外に、特別の事情の存在についてなにも認定されていない本件では、上告人等主張のように、被上告人が、ことさらに上告人等が本件土地上に建物を所有し、居住している事 る証拠によつてこれを認めることができる。外に、特別の事情の存在についてなにも認定されていない本件では、上告人等主張のように、被上告人が、ことさらに上告人等が本件土地上に建物を所有し、居住している事実を無視し、上告人等の利益を害することのみを目的として本件土地の払下を受けたものであることを認めることはできない。その他被上告人が上告人等に対し本件建物の収去および本件土地の明渡を求める必要性についての原判決の判示は十分になつとくのいくものであり、右原審の認定した事実関係のもとにおいては、被上告人の本訴請求は権利の濫用ではないと解するを相当とするから、論旨は理由がない。 よつて、本件上告は理由がないから民事訴訟法第三百九十六条、第三百八十四条によりこれを棄却することとし、上告審での訴訟費用の負担については同法第九十五条、第八十九条、第九十三条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官村松俊夫裁判官杉山孝裁判官山本一郎)
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